心理描写で組織なおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの心理描写で組織な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年01月11日の時点で一番の心理描写で組織なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

88.5 1 心理描写で組織なアニメランキング1位
Darker than BLACK-ダーカーザンブラック 黒の契約者(TVアニメ動画)

2007年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (3659)
19782人が棚に入れました
10年前突如東京を襲った異変、通称「地獄門(ヘルズ・ゲート)」といわれる未知の領域が出現したその時からこの世界は本当の“空”を失い、夜空を覆う満天の星空は偽りの星達のものとなった。また時を同じくして「契約者」と呼ばれる特別な能力を身につけた者達が現れはじめる。人間らしい感情や「契約対価」という代償と引き換えに人外の能力を得た存在である彼らを利用して、このゲートに関する情報を得ようと各国の諜報機関が東京にエージェントを送り込む。
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

「人間性」がテーマの、繊細なバトルアニメ

能力系バトルアニメ。
原作なしのオリジナルアニメーションです。

「組織」と呼ばれる団体のエージェント、「黒(ヘイ)」。
任務をこなす中でさまざまな人々と関わり、「組織」の正体へと近づいていく。
そんなお話。

能力者は「契約者」と呼ばれ、能力を使うと、そのたびに「対価」を支払わなければいけないという制限があります。
そのため濫用はできません。

さらに「契約者」は、人間らしさが欠如するという特徴があります。
主人公ながら、氷のような目をした「黒」。
表の優男と、裏の冷徹な暗殺者を使い分け、見ているこっちも怖くなるほどです。

人間性が失われ、ロボットのように合理的に行動する契約者達。
しかし、もともとの人間性の部分が完全に消失するわけではありません。
ふとしたところで見せる、人間味のある感情や行動が目を惹きます。
合理的な判断と、義理や人情や愛情といった人間的な部分の間を揺れ動く、契約者たちの葛藤がテーマ。

主要人物だけではなく、敵役にも同じことが言えます。
そして、支払う「対価」の内容の多用さ。
たったそれだけで、しっかりキャラが立っています。

敵や脇役にすら惚れてしまうくらいです。
{netabare}
・物語全体を通して暗躍し、潔い最期を迎えたノーベンバーイレブン
・感情をもたないはずのドールの銀(イン)に涙を流させた歌手(ベルタ)と詩人(イツァーク)のコンビ
・黒との決着を命よりも優先し、負けると分かっていながら勝負を挑んだウェイ・チージュン
・仲間を救うため、そして、黒と会うために、致命的な対価を支払うアンバー
{/netabare}
みんな魅力的。

もう一つの見所はバトルです。
各契約者は、出会ってみるまでどんな能力をもっているかわからない。
決して主人公無双ではなく、ギリギリの手に汗握る戦いが繰り広げられます。
演出も迫力があるし、カッコイイ!
{netabare}
「仮面割れすぎ!」とかつっこんじゃダメです。
{/netabare}

もちろん契約者だけではなく、普通の人間も大活躍。
両者を同等に活躍させることで、人間と契約者の価値観の違い、そして共通点が浮き彫りになります。
契約者以上に冷徹な人間、人間以上に感情的な契約者。

{netabare}
警視庁公安部のメンバーもさることながら、久良沢探偵事務所の2人もいい味を出していますね。
久良沢凱、普段はダメ探偵ですが、黒に対して核心に迫るセリフを吐く。
「顔や言葉に出せなくたって あの子、心の中じゃ泣いてんだ!わかるか!? 人形扱いしていい人間なんざ、 この世のどこにもいねぇんだ!!」
能力で気絶させながらも、傘を置いて立ち去る黒が印象的でした。
{/netabare}

謎めいた発言や、抽象的な演出が含まれているものの、大筋は分かりやすいストーリー構成。
感情や人間性という繊細なものに優しく触れつつも、ハードボイルドさを失わせず、うまくバトルアニメに仕上げた良作だと思います。

キャラクターの「感情」に注目しながら観ると、より楽しめるはずです。

{netabare}
……というか、1番人間性があるのは猫(マオ)ですよね。
最初からキャラ全開!
人間性じゃなくて猫性と言った方が良いのか……。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/11
♥ : 58
ネタバレ

disaruto さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

雰囲気に酔えるオサレアニメ

制作はボンズのオリジナルアニメです。
ジャンルはSF・スパイバトルアクション・ヒューマンドラマです。


10年前、東京に突如「地獄門」(ヘルズ・ゲート)と呼ばれる領域が生まれ、「契約者」と呼ばれる特殊能力を持った者たちが現れ始める。
彼らは感情を失い、「対価」と引き換えに強力な能力を用いるので、各国諜報機関が彼らをエージェントとし、「地獄門」の調査をさせている。
主人公の黒(ヘイ)も「契約者」かつ“機関”の一員であり、銀(イン)・猫(マオ)・黄(ホァン)とともに諜報活動を行う。
彼は「黒の死神」と呼ばれ、最強のエージェントの一人として恐れられていた。


私にとっての鬼門である異能力バトル系。
そもそも少年漫画系バトルもの・ラノベ系ファンタジーが好みでないのもありますが、この手の作品は設定・キャラ過多で覚えていられなくなるのがキツイのですw
本作は割と大人向けに作ってあると風のうわさで聞いたので、ちょっと見てみました。


見始めは「ん?」って思いました。
確かに萌え絵でもないし、おっさん多いし。
でもラノベ原作ではないですが、全体的な設定は完全にラノベw
“契約者”“対価”“組織”“エージェント”“パンドラ”、“天国門”に“地獄門”。
これは尋常じゃないほどの厨二ですよw
私の知る限りではぶっちぎり。


でも本作の本質は設定ではない。
契約者とそれを取り巻く人たちの人間ドラマが主眼。
それとおおよそ二話構成のため、テンポが非常に良いのも特徴です。
しかし一貫したストーリーラインもあり、終盤は物語が繋がりだします。

全体的に二項対立で描かれているのが目立ちました。
契約者と一般人、能力と対価、理性と感情、日常と非日常、正義と悪、敵と味方、チームプレーとスタンドプレー、組織と個人みたいな感じです。
このため人間ドラマは分かりやすく、結構感情移入もしやすくなっています。
二話構成なのにゲストキャラが立っているのはこのためでしょう。

その中でも主人公の黒とノーベンバー11が格好良すぎる。
黒はナチュラルたらしだよねw
ノーベンバー11は{netabare}信念を貫き、死んでいった姿{/netabare}が印象的。


彼らの特殊能力や対価も独特で面白いものが多いです。
{netabare}一番最初に出てきた能力者の“指の骨を折る”っていう対価は重すぎるでしょw
あとアルマの「変身」とアンバーの「時間操作」も能力自体は強力ですが、対価が“年齢変化”に関する者できついものがありますね。
そう考えると私が一番欲しい能力は汎用性の高そうな黒の「物質変換」かノーべンバー11の「凍結」、あと名前忘れたけど“臭いを嗅ぐ”対価の「憑依」のどれかになるよねw{/netabare}


各ストーリーは二話構成で分かりやすい反面、本筋となるストーリーラインはなかなかに難解。
一つ一つの事件が最後に繋がっているのですが、最初に通してみても分かりづらいと思います。
全体的に説明が少なく、伏線を放っておくことが多いのが原因です。
もう一度見てみると終盤の展開を知っているため、いろいろと新しい発見があるかも。

以下核心的なネタバレ。
{netabare}結局、“組織”は契約者を消すために契約者を使って情報を集めていたっていうね。
“組織”の規模は随分でかいらしく、警察組織をも巻き込んでいるようです。
黒は最終話で一般人と契約者の共存を望み、“サターンリング”のみを破壊しました。
これにより“EPR”と“組織”の計画はどちらも失敗に終わったわけです。
そういえば、作中で生き残った契約者がほとんどいないですねw{/netabare}


個人的にずっと気になっていたのは黒についての設定です。
主人公補正なのかなと思っていましたが、どうも違ったようです。
{netabare}彼の対価は何か?
なぜ彼は合理的思考に支配されないのか?
それはとても簡単なことで、“彼が契約者ではないから”。
ハヴォックの話で妹うんぬん言っていましたが、そういうことだったんだなあと。
でも、納得のいく理論は全く提示されていないのがこの作品の難点w{/netabare}


総括して、抜群の雰囲気を醸し出す作品でした。
ちょいグロ描写、明らかにされない設定も数多くありますが、雰囲気アニメを見たい人にはもってこいかと。
ストーリー構成も相まって、硬派な割には結構見やすい作品かなと思いました。
でも、契約者みたいに合理的すぎる人には向かないですw

投稿 : 2025/01/11
♥ : 50

ワタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

契約者は夢を見ない

ヘルズゲートと呼ばれる未知の領域と、契約者と呼ばれる特殊な能力を持った存在の出現。
契約者であり、とある組織に属する主人公・黒(ヘイ)の任務遂行が物語の軸となる。
契約にまつわる人間ドラマとスタイリッシュなアクションシーンが光るボンズのオリジナル作品。

契約者は能力使用後に「対価」を支払わなければならないという設定があり、
そして能力だけでなく、対価の内容も能力者によって異なる。
容易なもの、苦痛を伴うもの、命にかかわるもの、その他ユニークなものまで多種多様。

物語は基本、ゲストキャラにスポットを当てた2話完結仕立てのドラマにより進行。
2話かけることで、どのエピソードも非常に丁寧に作られている印象。
契約者を通じての人間の業が色濃く描かれており、物悲しい結末も多いが、余韻が心地良い。

契約者それぞれの能力を活かしたバトルシーンもあり、黒のワイヤーアクションは必見。
作画もよく動き、スピード感ある迫力満点なアクションを楽しめる。
菅野よう子が手掛けるBGMも、バトルを盛り上げる要素の一つ。
バトルシーンだけでなく、世界観と絶妙にマッチするBGMは本作の魅力の一つでもある。

キャラクターは何と言っても主人公の黒が魅力的。
冷徹で非情な面もあるが、次第に人間臭さを見せ始める。
任務のため、普段の日常では穏やかで気弱そうな青年を演じているという二面性も良い。
あるいはこの気弱な青年「李」こそが、本当の彼の素顔なのではないかと想像させられる。
黒の他にもゲストキャラ含めた様々な人間、契約者、対抗組織の強キャラも一癖ある連中ばかり。
組織間の抗争の裏で、黒の正体を探る役割を負った、警視・霧原未咲の立ち位置も絶妙。

多くの謎や設定を放置して、物語は幕引きを迎える。
物語の根本と個別エピソード、どちらに重点を置くかによって、評価が大きく異なる作品。
個人的には、設定部分はドラマを盛り上げるための「舞台装置」と割り切って見ていたので
最後まで楽しめたし、制作側にもそういう思惑があったのではないかと推測している。
また、設定自体にオリジナリティはないが、素材の質と組み合わせ次第で、
いくらでも面白いものが作れるという好例を本作は示してくれた。
厨二な雰囲気アニメの域を出ないが、終始心地良い雰囲気に浸らせてくれた作品です。

投稿 : 2025/01/11
♥ : 45

76.8 2 心理描写で組織なアニメランキング2位
91Days(ナイティーワンデイズ)(TVアニメ動画)

2016年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (832)
3951人が棚に入れました
ある誕生日の晩、少年の幸せな生活は突然終わりを迎えた。マフィアの抗争により、目の前で両親と弟を殺された少年アヴィリオ。7年後――差出人不明の一通 の手紙を読み、静かに嘲笑うアヴィリオ。その手紙をきっかけに、彼はローレスの街へと舞い戻る。そして幼馴染のコルテオと再会し、ヴァネッティファミリー に密造酒を卸そうと持ちかけるのだった。

声優・キャラクター
近藤隆、江口拓也、小野大輔、斉藤壮馬、津田健次郎、西山宏太朗、中村悠一、櫻井孝宏、山路和弘
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

ロング グッドバイ

1920年代、禁酒法時代のアメリカ。
法は力を持たず、街はマフィアに支配されている。
舞台は密造酒の闇取引が横行するローレス。
家族を抗争により殺害されたアンジェロの、
復讐に至る91日間を描くフィルムノワール。

物語は殺人の夜より7年後から始まる。
{netabare}追っ手を逃れ生き延びたアンジェロ、
彼の元に届けられた差出人不明の一通の封書。
アヴィリオと名を変え、
ヴァネッティファミリーに近づく。{/netabare}
ここから壮大で重厚な復讐劇が幕を開ける。

バッカーノがタランティーノ作品なら、
こちらはコッポラ、ゴッドファーザーでしょうか。
派手な銃撃戦や暴力描写はあるものの、
それ以上に、心理描写が巧みで、
物語・構成・演出と隙のない出来でしょう。
ゲーム感覚的な死を感じさせないシナリオ、
この作品からは、人の命の重みを感じます。
そこも魅かれた理由の1つです。

兄弟の確執、仲間との絆、
{netabare}復讐を誓うものとされるものの奇妙な信頼関係。{/netabare}
復讐という負の連鎖が教えてくれるもの、
これは哀しい運命に導かれる男たちの群像劇だ。

旅路の果てに空虚へと至る、
感慨深いラストシーンが美しい。

投稿 : 2025/01/11
♥ : 58
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

完成度の高い人間ドラマと丁寧な演出が見所〈2020年7月からまたも再放送〉

2016年夏放送のTVアニメ。全12話。
7年前の誕生日、マフィアに家族を殺されたアヴィリオという青年の復讐譚です。

本作の魅力はストーリーと演出。ミステリーでもアクションでもなく、ヒューマンドラマです。
マフィア映画はゴッドファーザーくらいしか見たことがありませんが、洋画をオマージュしているのはすぐにわかります。暗い雰囲気や地味な演出、キャラクター死亡率の高さ、流血描写の多さなどで好みは分かれると思います。

ヒューマンドラマを織り込んだストーリーは完成度が高く、とても綺麗にまとまっています。でも余韻も凄く残っていて、正直見て良かったという言葉しか出てきません。脚本の練り込みと人間ドラマという点での初志貫徹ぶりに、良いものを見られたという満足感が得られました。
アニメでこういう爽やかさと寂寥感、悲壮感を残せる作品は珍しいと思います。私が語るより実際に見てもらったほうが良いと思う。

台詞が少なく作画や演出からキャラクター心理を読むタイプなので、とにかく目が離せませんでした。
作画は全体的に大変そうなのに心理描写に必要な仕草や表情は一貫して細かく、そこはスタッフの意地だったという印象。神がかった作画とはまた違うこだわりで、私のとても好きな方向性です。凄く記憶に残りました。

背景はリアルな方向性ではなく、水彩画のようなタッチ。手描きのキャラクターとよくマッチしていました。子どもや動物の動きが地味ですがリアル寄りで、とても可愛くて大好きでした。
自動車はCGなので浮いてしまうのだけは残念ですが…今って車を手描きできるアニメーターさんは少ないようですね。
小物や銃器の設定に専属スタッフがいるなど、時代考証にもこだわっていると思われます。まあ私は詳しくないので断言は出来ないのですが。

声優さんは実力派が揃っていて、中堅とベテランの演技が素晴らしいです。茶風鈴さん子どもの頃から大好きなので、悪役声が聞けてとても嬉しい。

音楽、OP、EDは使い方も含め作風をきちんと反映していて良かったです。特にOPは素晴らしい出来でした。

今回は内容に触れるのはやめておきます。
正直なところ良い意味で語る言葉が見つかりませんし、この作品はこのまま受け止めたいと思います。


あとはキャラについて雑感。
{netabare}
まあ皆犯罪者ですが、それに相応しい描き方なのでモヤモヤする事は無かったです。
コルテオさえ酒を密造していて、その時点で運の尽きというか…でも生きて幸せになって欲しかったなあ…。

アヴィリオとコルテオが特に好きでした。アヴィリオが幸せになる目は無いのはわかっていたけど、やっぱり悲しい。
コルテオとチェロットは数少ない癒し枠、だったんだけど…コルテオ切ない。チェロットは元気にやっていってくれることを切に願います。
ファンゴさんは最初は雰囲気ぶち壊しな上、もともとこういうキャラが嫌いなので正直何これって感じでしたが、周囲を引っ掻き回して弱者を追い詰める役回り、底の知れなさがどんどん嵌っていって、コイツじゃなきゃダメなんだなと思うようになりました。
ネロ、甘すぎて絶対マフィアに向いてないんですけどw

あと女の子と子どもたちめっちゃ可愛い。ただ、こういう作品ではやっぱり不憫な役回りになりやすくて可哀想だなあ。フィオは強い女性でした。男だったら立派にファミリーを守ったかもしれませんね。
オジサン達渋い。駆け引きとか腹の探りあいってイイよねw{/netabare}
(2016.10.6)


【再放送決定につき追記】
2019年10月3日より、BS日テレにて毎週木曜日23時30分~24時放送です。
興味がある人は是非!(2019.9.13)

【またも再放送決定】
BS日テレさんいつもありがとうございます。最近BS日テレにお世話になりっぱなしだな…。
2020年7月12日より、毎週日曜日23:30~放送です。
見てない方は是非♪(2020.7.3)

投稿 : 2025/01/11
♥ : 56

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

予告の期待を裏切らないスタート、そして期待を上回る結末へ。

原作なしのオリジナルTVアニメ作品(アニメイズム枠)。

禁酒法時代のアメリカが舞台で、主人公はマフィアに殺害された両親の仇討ちを目指す話でした。作品の雰囲気とかキャラの感じ的には「GANGSTA」とかを思い出さなくもありませんが、ちょっとゴッドファーザーっぽいBGMが使われたり、お話的には架空であっても歴史は踏まえているっぽいのでアメリカの連続ドラマを観ているような気分になります。

PVと本編を観てみて、変にミスリードとかは狙っていないっぽいです。個人的にはこういうまともそうなドラマを期待できそうなシリアスっぽい作品は好きですので視聴継続しますが、明らかに流血シーンとかは多そうなので観る場合はそのつもりで…。

→ ということで視聴を終えての感想。
1話で持ったイメージ通りの、シリアスなお話でした。主人公のアヴィリオがマフィア間の抗争に時には巻き込まれ、時には利用して家族の復讐を果たしていきます。

アヴィリオが仇のひとりであるネロに対して持つ感情の変化が、物語のひとつのポイントだったと思います。ネロももう一人の主人公だったと言っても良いかもしれません。大変面白かったです。

投稿 : 2025/01/11
♥ : 39

84.2 3 心理描写で組織なアニメランキング3位
シン・エヴァンゲリオン劇場版:||(アニメ映画)

2021年3月8日
★★★★★ 4.2 (442)
2042人が棚に入れました
 エヴァがついに完結する。2007年から『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズとして再起動し、『:序』『:破』『:Q』の3作を公開してきた。その最新作、第4部『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の劇場公開が決定。人の本質とは何か? 人は何のために生きるのか? エヴァのテーマは、いつの時代にも通じる普遍的な核を持っている。
 シンジ、レイ、アスカ、マリ、個性にあふれたキャラクターたちが、人造人間エヴァンゲリオンに搭乗し、それぞれの生き方を模索する。人と世界の再生を視野に入れた壮大な世界観と細部まで作り込まれた緻密な設定、デジタル技術を駆使した最新映像が次々と登場し、美しいデザインと色彩、情感あふれる表現が心に刺さる。
スピーディーで濃密、一度観たら病みつきになるその語り口は、興行収入80億円超えの大作『シン・ゴジラ』も記憶に新しい庵野秀明総監督による独特の境地。その庵野総監督がアニメーションのフィールドで創作の原点に立ち返り、新たな構想と心境によって2012年の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』以後、封印されてきた物語の続きを語る。
 1995年にTVシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』でアニメファンのみならず、アーティストや学者までを巻き込んで社会現象を起こした初出から、実に25年――その間、常にエポックメイキングであり続けたエヴァの、新たな姿を見届けよう。

声優・キャラクター
緒方恵美、林原めぐみ、宮村優子、坂本真綾、三石琴乃、山口由里子、立木文彦、清川元夢
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

さよならエヴァンゲリオン

スタジオカラー制作。

初号機の覚醒により発生した、
ニアサードインパクトから14年後の世界。
再び厄災のトリガーとなったシンジは、
茫然自失のまま赤い大地を放浪している。
一方、ヴィレはパリ解放を目指し、
ネルフとの市街地戦を繰り広げている。

本質は何も変わっていない。
主題の普遍性に驚くばかりである。
どう解釈するのかは全く問題ではない。
全てのものごとに決着を試みた、
その瞬間に立ち会えたことに感謝したい。

物語は4部構成になっているが、
日常パートは鮮烈なほど印象深い。
{netabare}どのような状況であれ、
日々懸命に生き、生命を育む人々を、
ありのままに肯定し描くことが、{/netabare}
旧劇との対比となっているのでしょう。

そして碇親子の物語である。
{netabare}父ゲンドウは最愛の人との再会を願い、
差異のない世界を創造しようとしている。{/netabare}
シンジは父との対話を通じ決断をする。
彼にはもう迷いがないのだ。
{netabare}父の告白を許容するシンジ、
ユイが歌う「日付のない墓標」が優しい。{/netabare}
ほんとに似た親子なのだと思う。

物語が「ある場所」で終わったことに、
とても意味のあるものだと感慨深く思う。

ぜひたくさんの想いを。

投稿 : 2025/01/11
♥ : 50

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

「否定」ではなく、「肯定」する生き方

ネタバレを極力避けて話したい。

25年前の庵野監督は明らかに「オタク」であることに対して「否定」的な立場から作品を作っていた。

アニメとか漫画とか映画とかゲームとかどうでもいいから、街に出てコミュ二ケーションしなさいと。。。

「書を捨てよ、町に出よう」ということである。

しかし、この25年間で社会は様変わりした。アニメを見ることに対しての偏見は愚か、アカデミー賞や歴代の興行収入を支えているのはアニメや漫画だし、ハリウッド製作の映画やドラマまでもが今やアニメや漫画の実写化がほとんどである。

そういった状況において、本作はそういった「多様的」な生き方を「肯定的」に捉えている。

僕の周りには本当にいろんな人間がいる。サッカーが好きな人間もいれば、ギターや音楽が好きな人もいるし、漫画でもキワモノが大好きな女性もいっぱい知っている。

はたまた、性に対してもゲイやバイセクシャルな人だっているだろうし、興味がない人だっているだろう。

そう、その全てが全て「存在」していいのである。

確かに、それぞれは言葉が通じなくお互いを傷つき合うかも知れない。

あるいは全く引き合うことすらないかもしれない。

しかし、そういう社会でお互い理解し合おうとすることがなにより大切なのだ。

それがこのシン・エヴァにとって、いや全人類にとって「大人」になる。ということであると「結論」が出ている。

確かに現実ではなく「理想論」に過ぎないが、それでも人はあの25年前に比べれば、偏見や差別と向き合う人が増えた。

そういう意味では「進歩」しているのである。

個人的には今回の「シン・エヴァ」のラストより、漫画版の「エヴァンゲリオン」の方が好きだが、そういったことはこの際どうでもいい。

庵野監督とこの作品を全力で作ったスタッフの皆さんに何よりの感謝と尊敬を。。あなた方の「伝えたい想い」は伝わりました。

お疲れ様です。そしてありがとう「エヴァンゲリオン」

人生においてここまで晴れ晴れした気持ちになったのは久しぶりでした。



追記

ラストのある「ゲスト声優」が時代を象徴していると思うし、
なにより今度の「シン・ウルトラマン」がまさにド王道の物語になることも必然だと思う。

良い意味で垢抜けた傑作になることを期待してます。

投稿 : 2025/01/11
♥ : 42

takato さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

いやぁ〜全然面白くねぇな!。ただ、庵野先生とカラーの次回作にご期待ください。

 ネタバレになるので例え話でのツッコミになりますが、「思い出ぽろぽろ」か!、スターウォーズep9か!な作品です。言わんこっちゃないとは思いましたが、スターウォーズと同じで前作でグチャグチャになった風呂敷を大急ぎで畳んでるだけだから、ドラマやエモーショナルな盛り上げにも、物語という形での上手なテーマの展開にも、キャラの描き込みにも失敗してます。


 あるポイントでわかりきってる愁嘆場みたいなのが始まった時には頭を抱えそうになったし、ゲンドウの件りでは「それ前から知ってた!」とツッコミを画面に入れたくなった。


 ロボバトルの描写としてもCGばっかで手描きの最高峰だった旧劇のような色気も艶もないし、重量感や上がるロマン描写もなし。軽そうなエヴァがチャカチャカと動くばかりで何が起こってるのかよくわかりづらい(これは本作だけに限ったことじゃないが)。


 アナクロニズムと言われようが、やはりロボは手描きの方が向いている。テレビだと今は色々あるのかもだが、映画では手描きの方がねぇ…。そりゃあ手描きじゃあ表現は無理という場合もあるが、CGだからこそのロボ表現で本当に痺れたことは今んところあんまりないかな。


 じゃあ面白くもなんともないかと言うと、ある意味で面白いところはある。それは庵野監督の大人になりっぷりである。結婚して多くの人の仕事を指揮するより大きな立場になって、もうあんな昔みたいに中二丸出しでグズグズ悩んでらんねぇよ!って庵野さんの心は確かに伝わってくる(それを物語の中で上手く消化できてるとは言い難いが)。


 絵作り的にも、CGを殆ど使ってない庵野さんのロマン溢れる部分のパートでは流石の冴えを感じたし、あのキャラが☓☓☓な件にも「あぁ…、本当に大人になったんだなぁ…」と染み染み感じ入った。


 その辺の描き方が「思い出ぽろぽろ」と同じで、少々懐古主義的、或いは理想化され過ぎな気もするが、宮台さんの動画を見たりして共同体の大切さや共同身体性の重要さについて考えさせられていた私としては言いたいことはわかる、という感じではあった。しかし、昔には戻せないから、テックを使ってアップデートは必要だが新しい形の共同体の作っていくのは急務だろう。


 それにしても、やはり映画一本に詰め込むには無理があった気がする。どうせなら決戦前の物語をテレビで1クールやるくらい必要だったかも。


 ここまで大人ぶりを見せられると、やはりエヴァから開放させれた庵野さんとカラーの次回作に期待したい。庵野さんはナウシカはやって欲しいが、あとはフリーハンドで作って欲しい。


 カラーにはTVアニメにも参戦しないとジブリの二の舞になるから、優秀なスタッフたちの才能を活かせるオリジナルでも原作付きでも年一くらいでは新作を制作して欲しい。あぁ〜やっとネタバレを心配しないでネットを見れるという安堵の気持ちのみ!。


 作品としてのエヴァは、やはりスターウォーズにおけるep4、5、6みたいに旧劇までで終わりで良かった、という新劇が作られる当初から思ってたことなので別に大きなショックも無し!(破の時点では正直期待しちゃいましたがね)。

投稿 : 2025/01/11
♥ : 34
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