心理学で小説原作なおすすめアニメランキング 2

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの心理学で小説原作な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年01月14日の時点で一番の心理学で小説原作なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

68.6 1 心理学で小説原作なアニメランキング1位
BEATLESS(TVアニメ動画)

2018年冬アニメ
★★★★☆ 3.3 (356)
1493人が棚に入れました
22世紀初頭、社会のほとんどをhIEと呼ばれる人型ロボットに任せた世界。21世紀中ごろに超高度AIと呼ばれる汎用人工知能が完成し、人類知能を凌駕、人類は自らより遥かに高度な知性を持つ道具とともに生きていた。100年あまりで急激に進行した少子高齢化により労働力は大幅に減少したが、その穴をhIEが埋めることで社会は高度に自動化され、生活は21世紀初頭よりも豊かになっていた。 そんな中、hIEの行動管理クラウドのプラットフォーム企業「ミームフレーム社」の研究所から5体のレイシア級hIEが逃亡する。「モノ」が「ヒト」を超える知性を得たとき、「ヒト」が「モノ」を使うのか、「モノ」が「ヒト」を使うのか。「ヒト」と「モノ」のボーイ・ミーツ・ガールが今始まる。

声優・キャラクター
吉永拓斗、東山奈央、冨岡美沙子、五十嵐裕美、下地紫野、雨宮天

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

約90年くらい未来の話(第17話: マジかい、こんなに面白くなるなんて聞いてない(笑)!)→ ヒギンズも出てきて、Final Stage堂々完結!

== [下記は5話視聴終了時レビュー: 全話視聴終了時まで逐次追記あり] ==
月刊『NewType』にて2012年頃に連載されたSF小説が原作らしいです。(未読)

評点は観終わってからということで、現時点では保留です。

第5話まで観終わったところでこのレビューを書いています。SFだなんだと御託を並べてはいますが、ぶっちゃけ「人間とアンドロイドのロマンス」からそう遠くない着地点に落ち着きそうに見えて仕方がありません。この先も観ていてもしそうならなかったらごめんなさい。

あ、主人公アラトの妹のユカが可愛いのはちょっとした癒しですね。

人工知能の業界では有名な「技術的特異点」(俗に「2045年問題」とも言われる)を実際に迎えてそれよりもさらに数十年経ってしまった未来のお話らしいです。

今ほどはっきりとこの問題が論じられるよりも前にも「コンピューターが人間の知能・能力を凌駕する未来」みたいなことはいろいろなSFで取り上げられている気がするので、その意味では「古典SF」的なテーマも含んだ作品と言えます。

特にSF好きでなくても有名なところだと映画『ターミネーター』などもそうですね。

いまや5年後の未来を見通すのも難しい昨今、100年近く未来を予測してそれらしい説得力のある映像にするのはとても難しい話だと思います。技術的には網膜投影とか電気的にニセの視覚情報を送るとかしてディスプレイ装置は必要なかったりするかもしれないと思いますが、作中のデバイスは現代とあんまり変わりはないみたいですね。

作中ではhIE(Humanoid Interface Elements)と呼ばれる人間そっくりの外見をしたアンドロイドが出てきますが、ヒロイン(?)と目されるレイシアを始めとするレイシア級hIEたちが使用する装備は武装にしろ光学迷彩にしろ、どれもかなり膨大なエネルギーを消費しそうでその供給源はアニメを観ていても良くわかりません(笑)。

この手の話は古典SF的には、作中の用語である「アナログハック」(人間が人間(っぽいもの)を見たときの感情の働き)と、逆に人工知能側が人間と接することで感情(めいたもの)を獲得するかといったあたりがポイントになっていたと思いますが、その意味では特にSF的に目新しい要素はないように思われます。

ただ、「人工知能が感情を獲得する」というのは「SF界のロマン」みたいなテーマでもあると思うので、古いSFファンには響く部分はあるかもしれません。

私はこういうのは嫌いじゃないので観続けてはいますが、他に観たい作品がそこそこありそうな2018年冬クールにおいては特に頑張って観なくても良い作品のようには思われます(しかもこれ、2クールあるらしい)。

それと、第5話まで進んだところで次回は総集編になるようです。まあ、あんまり期待はしていません…。
== [第5話視聴終了時レビュー、ここまで。] ==

2018.5.5追記:
第14話、新OP/EDは今回から。
紅霞姐さん、かっけえ! ……と盛り上がってきたところで、特番の多さでは定評のある本作は次回も特番(笑)

2018.5.26追記:
第16話: 原子力でいうとIAEAみたいな超高度AIの国際相互監視機関(IAIAだっけ?)があることが明らかに。なるほど、超高度AIってスタンドアローンで運用しないと国際協定違反なのか。

さらにいろいろ盛り上がってきたところで水島精二監督の体調不良が本人tweetにより明らかに。ギリギリのところで戦う制作スタッフの状況、笑えない…。

2018.6.9追記:
第17話: 最初は話半分に聞いてたけど、ガチにSFだった!
ビジュアル関係なくストーリーだけで読めそうなので俄然、原作小説に興味が湧いてきた。

これ、深層学習とかニューラルネットとかの近頃のAI事情をある程度知ってる人の方がストーリーに信憑性を感じるんでしょうね。

とりあえず5話時点で見込んでいた着地点は越えそうなので謝ります、ごめんなさい…。

2018.6.22追記:
4話分が「BEATLESS Final Stage」として9月に放送が先送りになるらしいです。まあ、放送される予定が決まっているだけ良しとするしかないでしょうか。
http://beatless-anime.jp/sp/news/detail_0620_1.php

2018.7.9追記:
上記の通り「BEATLESS Final Stage」を残していますが、無印「BEATLESS」としては最終回。ヒギンズも出てきて、登場キャラクターは出揃った感じです。

アニメの総集編とか特別編というと基本的にネガティブなイメージですが、この作品の場合は「Intermission」を号する回については制作が間に合わないという事情で作られたという点はさておき、内容的にはけっこう正しく「総集編」でした。

録画を残しているんですが、「総集編」回も消さないでおこうと思います。

2018.10.1追記:
MXでは9/28, 29の両日に渡って第21~24話が「Final Stage」と称して放送され、無事に完結しました。

シリーズ全編を通じてもちろん主人公は遠藤アラトでヒロインはレイシアだと思うんですが、「影の主人公: エリカ・バロウズ」って感じで面白かったです。たぶんエリカの方が内海遼(うつみ りょう)よりも「影の主人公」の称号にふさわしかったかなと思いました。

1周回って5話時点で想定していた着地点だったのかもしれないですけど、その「1周回る」過程でそれ以上のものを見せてくれたと思います。

とても面白かったです。原作はまだ読んでないですけど、読んでみようかな…。

投稿 : 2025/01/11
♥ : 73
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

世界一賢い女がバグだらけな存在に未来を託した

2018.10.19記


全24話(クール20話+FINAL STAGE4話)完走を受けて再投稿
※あらすじ・用語などは公式やwiki等でよろしゅう


人間は形に縛られる。その上で信じることだけが人間の出来ることでもあり、未来への希望なのだ。キリッ


第1話、レイシアとアラトの初遭遇時、暴走するアンドロイドの襲撃を前に、危ないから逃げようとするアラトにレイシアは問う。

「なぜ、逃げなければならないのですか?」「恐いのですか?」「その恐れは乗り越えなくていいのですか?」「今戦わずに、いつ戦うのですか?」

逃げないことを決めたアラトだがじゃあどうすればいいかわからない。警察に頼ろうとするも、警察ではこの状況には対応できないと分析するレイシア。途方に暮れるアラトにさらにレイシアがこう告げる。

「アラトは私を信じますか?」「私を、信じますか?」


全話完走してからあらためて振り返ると、こんな場面も静かな感動を呼ぶ。そんな作品。

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と偉そうなことを言いつつ、まずは作品の内容以外のことでだいぶお騒がせしておりました。
アニメ制作が追いつかず、監督がぶっ倒れる。intermissionという名の総集編がけっこうな頻度で挿入される。芸人呼んでのお茶濁し回もあり。結局、予定していた2クール内で収まり切れず、残り4話をFINAL STAGEと冠してやっと完結しました。
この時点でリアタイ組の多く(?)が脱落したんじゃないかと思います。なんとか完結するにはしたので、後追い組にとってはこのことは関係なく、視聴のハードルにはならないですね。


次に内容について、
「あ、今きっと大事そうなこと言ってるんだよね」と思いつつ、理解が追いついていかない。けっこう難解です。それぞれ小難しいこと言うのですが、エリカとレイシアはその中でも2トップだろうと思います。
さらに前半の引きこみが弱いです。
例えば第2話。いきなりのファッションモデル回。唐突感が否めません。
× そういう路線?そんな媚びてもらわんでもいいのに。100年後も恵比寿にatreあるん?キャラも弱いな。主人公と妹がアホにしか見えん。
○ ま、いんじゃね?レイシアかわいいし(*^^*)
そして第3話。レイシア誘拐されるの巻。モデル回を受けてのストーカーの犯行という結果に…
× しょうもないイベントぶち込むなあ。国とか大企業ではなく個人の犯行かいな…はぁ。そしてやっぱり主人公と妹がアホにしか見えん(笑)
○ ま、よくわからんけどいっか… レイシアかわいいし(*^^*)
そんなこんなで第五話終わったら、いきなり総集編ですからね。

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前半が退屈な良作はこれまでもあるものの、“けっこう意味不明”の烙印を押されがちな演出になったのは製作陣の力不足だと思います。
たしかに難解な部分はあるかもですが、全話通せばそこそこついていけるくらいの難解さです。補足するのなら原作者長谷敏司の実況ツイートなんかは理解の助けになりました。

『自分はめっちゃ面白かったけど、注目されてないしあまりにも周りの反応が冷たいので、こそこそと愛でる作品』

お前の良さは俺がわかってるぞ!と売り出し中アイドルの追っかけをする心境に近いかもしれませんね。やったことないけど。。。
もともと本作のテーマ「boy meets girl」ということで、障害があればあるほど恋っていうやつは的な観点でいうと、「だって人じゃないしハードル高すぎじゃね?」というのがそそられたというのが一点。
次にSFの王道「人類より高度な知能をもつAIの行きつく先」ということでも納得できる内容で、希望の見える終わり方も好印象だったというのが二点目。
上記二点の魅力が柱で、バトル中心のFINAL STAGEにもなると、これまた高度な電子戦が繰り広げられ、いろいろな伏線を回収しながらの盛り上がる展開を見せたというのも好きな理由になるかと思います。

リアタイではブツ切れでストーリーを追うのに難儀しましたが、少し時間を経過した今なら、“後半失速するタイプの作品ではない”という意味でお薦めの作品になります。

とりあえず以下の3点を押さえとくと置いてけぼりにならないはずですよ。おそらくですが・・・



■ちなみにどこまで我慢(笑)すればいいのか?
物語の流れを軽く追うと、転機となるのは1クール終了間際の第11話。
第1話~第10話。レイシア級hIEが各々の行動原理に則した行動を取っていることの説明部分。レイシアの場合、アラトへの継続的なアナログハックと情報収集活動を描いている。
第11話。ネタバレレビューを読む
第13話。ネタバレレビューを読む
第14話。OPEDが変わる。物語も節目を迎える。ネタバレレビューを読む
以降、レイシアのミッションが徐々に分かってきて、「おー怖っ!」と感じる要素が増えてきます。そこでのアラトの葛藤など、「ちょろい。いらつく」と思ってた彼が、という後半の展開はなかなか見ものですね。


■そもそも押さえておきたい背景みたいなのは何か?

「高度に発達しすぎたAIを人間が持て余している」

です。きっかけは本編の半世紀前、超高度AI《ありあけ》の事故。人類を凌駕する知能を持つAIへの警戒を決定した事案です。警戒してても世界的な合意形成や決定事項などは曖昧なままで、とりあえず超高度AIは外部と遮断しとけばOK!みたいな状況で飽和点を迎えそうだよ、という局面から物語がスタートします。
警戒する人間の代表例として登場するのがアラトの二人のお友達。海内遼は“AIはモノ。決定・判断の権能を人間の手からAIに渡してはいけない”という立場。村主ケンゴは“AIはいらない。人間だけでもなんとかやっていけるはずだ”という立場。だからこそ、“AIへの警戒心がない”アラトが際立ってくるという仕掛けです。
持て余している人達として描かれているのはお偉方さんたち。不信・警戒の行きつく先は破局。ネタバレレビューを読むヒギンズは地下施設で固定されているため、移動式のバックアップが必要と判断してレイシアを作成しました。


■レイシア級5体のhIEに与えられた役割をすごい考えとく

 紅霞 レイシア級hIE Type-001 「人間との競争に勝つため」の道具
 スノウドロップ レイシア級hIE Type-002 「進化の委託先」としての道具
 マリアージュ レイシア級hIE Type-003 「環境をつくるため」の道具
 メトーデ レイシア級hIE Type-004 「人間を拡張するもの」としての道具
 レイシア レイシア級hIE Type-005 「人間に未だ明かされざる」道具

なんやら哲学的ですが、だからこいつはこう動いたんだ、がわかります。前半の主役紅霞さん。要所で出てくるスノウドロップさん。どうしてエリカバロウズに囲われてるのか?のマリアージュさん。登場頻度多めでよく引っ掻き回してくれるメトーデさん。そして謎多き主役レイシアさん。



というわけで以上3点よろしくお願いします。



OPED 実は全部好きですね。曲もですが流れる映像が物語に沿っていて良いです。1クールめのOPは特にかっこよくて好き。



■■重度ネタバレ■■

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人間は形に縛られる。その上で信じることだけが人間の出来ることでもあり、未来への希望なのだ。キリッ





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20話終了時点での初稿
2018.07.07記

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2019.04.21追記
《配点を修正》

投稿 : 2025/01/11
♥ : 69
ネタバレ

雀犬 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

エリカ・バロウズの孤独

【概要】
 2017冬-2018春、長谷敏司の近未来SF小説を原作とするディオメディア初の2クール作品。全24話…なのですが制作が遅れに遅れ、最終4話はBEATLESS Final Stageとして秋に放送されました。キャッチフレーズは「モノとヒトのボーイ・ミーツ・ガール」。新装文庫版を購入済み。

 舞台は今から100年後の日本。人工知能が人間の知性を超えた後、いわゆるシンギュラリティ以降の世界でのヒトとAIとの新しい関係性を提示するSFストーリーです。

 本作の問題点としてビジュアル的にパワー不足で未来感に乏しいこと、要素を色々詰め込みすぎて理解しづらいこと、主人公のアラト君に共感しにくいこと等が挙げられます。ただこれらの欠点は他の方が既に指摘しており今更感があるので、すでに気合で完走された方向けに、いまひとつ理解されていないように思えるBEATLESSの内容について若干補足をすることにします。といってもSFやAIに詳しい方には退屈な話かもしれませんが。

【シンギュラリティ】
 コンピュータは毎年約2倍の速度(※)で性能を向上させ続けている。この年に2倍の速度でコンピュータが性能を向上させ続けるという法則をムーアの法則と言います。このムーアの法則に従えば、2045年には汎用人工知能(本作では"超高度AI"と呼称されている)が人間の英知を超えた新しいコンピュータやロボットを開発し、加速度的な技術進化が起きるであろうという予測がある。これは一般に技術的特異点、あるいはシンギュラリティと呼ばれます。BEATLESSは2051年に超高度AIが誕生したという設定であり、そこからさらに50年経過した世界のお話です。

 現在は第三次AIブームとされ、ディープラーニングに代表される機械学習の技術革新がありAI開発が世界で加速しています。Googleの開発したAI、DeepMindが囲碁の世界チャンピオンを破ったことは記憶に新しい。すでにAIはGoogle翻訳やSiriなど身近な所で活用されています。かつては空想に過ぎなかったシンギュラリティも現実味を帯び始めているわけです。

 その一方でAIが人間を超える知力を獲得した先には、我々がAIを制御することができなくなり、主従関係が逆転し暴走したコンピュータが人間を支配するような危機的状況が訪れるという懸念もある。人工知能の開発は人類を破滅に導く危険性があると、ビル・ゲイツやイーロン・マスク、今年亡くなられたホーキング博士などの著名な人物が警鐘を鳴らしています。AIによって人間が支配されるディストピアな未来!もあながちSF好きの誇大妄想として片付けられない事態になりつつあるといえます。

 話を戻すと、BEATLESSはこのシンギュラリティ問題、すなわちAIが人間の知能を超えてしまったときに私たちヒトはそのようなモノをどう扱えばよいのか?を問いかけている作品だといえます。

 普通に鑑賞すると新藤アラトとレイシアの物語からひとつの回答を得ることができます。ただ残念ながら僕はアラト君(+妹ちゃん)があまり好きではないのです。彼に対して言いたいことは山のようにあるのですが、彼の悪口を延々書き連ねても仕方がないのでそちらには触れず、裏口から本作を語ることにします。影の主人公ともいえる少女、エリカ・バロウズにまつわるお話です。

 おそらく原作を未読の方は彼女の存在意義も行動原理も理解しづらかったのではないでしょうか。実はエリカはその特殊な出自を背景にして21世紀の現在と22世紀の未来を接続する非常に重要なキャラクターで、ただの解説役ではなかったのです。

※ 正確には半導体の集積度が18ヶ月で2倍になる

【エリカ・バロウズ】
ネタバレレビューを読む

【総論】
 この結局アニメが言いたかったことは、例えシンギュラリティが現実のものとなりAIが人間を知能を超えてしまったとしても、私たちはミームの進化によって乗り越えることができる。だからフランケンシュタイン・コンプレックスに怯えることなくテクノロジーを進歩させていく、それが正しい未来観であり、私たちの歩むべき道なんだということなのでしょう。

 この考え方自体に疑問や批判もあると思います。「私達は原子力の力すら持て余しているのに、汎用人工知能をコントロールできるとは思えない」という反論は当然ある。作者もそれを承知しているから後半の展開は福島原発事故をモチーフとしているのでしょうけれど、果たして十分な説得力があったのか意見が分かれるところかな。

 ただ、本作が訴えかけていることが理解されないまま「総集編を4回やってなお放送延期した2クールクソアニメ」と不名誉な称号を与えられるのも不憫ですので長文レビューを書かせていただいた次第でして、意外と骨太なSF作品じゃないかと思います。

 まぁでも、チョロくて主体性がないアラト君に共感できないという意見には僕も同感でして、強くお勧めはできない作品なんですけど。

投稿 : 2025/01/11
♥ : 43

65.9 2 心理学で小説原作なアニメランキング2位
空中ブランコ(TVアニメ動画)

2009年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (270)
1412人が棚に入れました
不眠症を患うサーカスの空中ブランコ乗り・山下公平は、着ぐるみを着た謎の精神科医、伊良部(いらぶ)一郎の診察を受けた。
それからというもの往診と称し公平につきまとう伊良部だが、公平のもとを訪れるヘッピリ腰の区役所職員やスキーゴーグル着用のヤクザといった、ちょっと変な人々をおもしろがってばかりいた…。

声優・キャラクター
三ツ矢雄二、朴璐美、杉本有美、森川智之、三木眞一郎、浪川大輔、平田広明、入野自由、高橋広樹、岩田光央、羽多野渉、置鮎龍太郎、古谷徹

米麹米子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

全てのカナリアの声を

全11話
オムニバス形式で心療内科の患者と
症状で構成されてるのだけど
面白い。

精神科や心療内科って、実際は白かったり落ち着いた雰囲気。
でも、この病院はとってもカラフル。
モノノ怪の監督とキャラデザの方がやってるからか
演出も構成も色使いも凝ってるんだよね。

人の心ってカラフルだから病院もカラフルなのかなって思ったり
モノトーンが病状醸し出してる感じだったり
病状も、一般的にかかりやすい病気を扱っていて
真面目に作ってる事が伺える。

伊良部先生が3パターンで登場して
パターン別に応答が違ってるのも見所だし
一話ずつ話数を重ねていくと
他の話の人がちらっとうつって
全部繋がっていたりして
上手いなぁって思った。

10話と11話が好きなんだけど

子供はみんなカナリアだよ
家族にとって
もっと見てよ
話してよって
思わず言いたくなっちゃった。
良い作品だと思うよ。
押し付けがましくもなく。

おしゃれにポップに作ってあるし
敬遠されがちかもしれないけど
それで判断してみないのは勿体ないなって思う。

行動療法・認知療法・暴露療法など
手軽にできる治療法をやってるのにも好感もてるし

普通の人が一番の下りは云々と思わず頷いてしまった。
大事な人のカナリアの声は
聞き逃さずにしたいものです。

OP・ED共に電気グルーヴで拘りがかんじられました。

投稿 : 2025/01/11
♥ : 49

minisaku さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

ヤブ医者なのか、名医なのか

少し変わった精神科医と様々な悩みを抱えた患者達が織りなす
一話完結のコメディ作品。 全11話です。

まず、この作品の最大の特徴でもある実写が入り混じった
アニメーションなんですが、自分は正直苦手でした。
いや... 気持ち悪くて嫌いだったかなw

見てるうちに慣れてくるけど、最初はとっつきにくかったし、
作品自体が既に独特というか奇抜なので、わざわざ実写混ぜて
さらに個性を出す必要があったのかな!?って思ってしまう。

まぁ内容としては、メンタルな病のお話なんですが、お堅い話でもないし、
重くもないので気楽に見れましたw
無邪気で能天気な伊良部のキャラのおかげでもあるのかなw

それに、患者の症状は多種多様なんですが、強迫神経症や携帯依存症など、
わりと身近な精神病を扱ってるので、「これに近い人周りにいるな~」とか
「こういう症状もあるんだ」とか、なかなか興味深くて楽しめましたw

あと、最終話もメンタルな部分を扱ったこの作品に相応しい話で
すごく良かったと思います。
『こういう患者じゃない、普通の人が一番厄介なんだよね』って
精神科医 伊良部の言葉がとても印象的でした。

まぁ絵柄は少し抵抗がありましたが、内容自体は結構面白かったですw
興味のある人は、1話見れば合うか合わないかは大体分かるので、
とりあえず、1話見て判断すれば良いと思います!!

投稿 : 2025/01/11
♥ : 27

ソーカー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

あるあるメンタルヘルス、悪趣味なハイブリッドアニメーション

精神科医、伊良部一郎と彼のもとに訪れる患者を描いた作品
実写とアニメーションを織り交ぜた「ハイブリッドアニメーション」なる作品らしい
好き嫌いがはっきりと分かれるのは確実です。

実写を使ったアニメーションには個人的にさほど抵抗はないのだけど
サイケデリックな色彩と独特な演出で、内容までも地味にえぐいため
見てたら脳が少々疲弊してくる・・・。
ここまで来たらスタイリッシュを通り越して悪趣味ですね。
評価が真っ二つに割れると言われるのも、頷けるアニメでありました。

個人的にこういった実験的アニメは好きなんですけど、
この作品はあまりにも癖が強すぎるので、最初はすんなりとは受け容れられなかった。
無駄と思われる過剰演出が目立つので、見ていてとにかく疲れる。
ただ全部見終えた感想としては、案外悪くなかったかもなぁ・・・・?

精神病患者の症状をコミカルかつリアルに描いてる点は結構面白かったです
携帯依存症やらパニック障害、強迫神経症、自己愛性パーソナリティ障害等々
そういった数々の症例というのは、現代人であるならば誰しも少なからず経験しうることなので
内容自体はなかなか興味深い。(詳しい人に言わせればツッコミどころはあるだろうけども)
一話完結方式ながらも、各話とリンクしながら話が進むのも非常に面白かった。
実写を使った演出や毒々しい色彩も、なかなかマッチしていた部分もあったと思う。

ただ、やはり意図がよく分からない演出は見る上ではストレス
特に福井アナウンサーがいちいち出てきて解説するのは、煩わしいとしか言いようがない
中盤までこぎつければ、そこそこ慣れてきて内容を楽しむことが出来るのだが・・・
ともあれ一長一短のある演出で、なかなか評価の難しい作品ではあると思うが
後味は悪くないアニメではあるし、ちゃんとメッセージ性も放つ良作ではあると思います

「モノノ怪」のように現実離れした話であるならば、奇抜な演出も効果的なのかも知れないけど
「空中ブランコ」はかなり現実感のある真っ当な内容なので
もっと演出を抑え気味にしても良かったんじゃないかなぁ・・・と思ってしまいますね

投稿 : 2025/01/11
♥ : 20
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