心理学でシリアスなアニメ映画ランキング 1

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ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年03月01日の時点で一番の心理学でシリアスなアニメ映画は何なのでしょうか?
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78.1 1 心理学でシリアスなアニメランキング1位
PERFECT BLUE -パーフェクトブルー(アニメ映画)

1998年2月28日
★★★★☆ 3.9 (657)
3062人が棚に入れました
アイドルグループのチャムに所属する霧越未麻(きりごえ みま)は突如グループ脱退を宣言し、女優への転身を計る。かつてのアイドルからの脱却を目指すと自分を納得させ(つつも事務所の方針に流されるままに)、ドラマ出演でレイプシーンを演じる。さらにはヘアヌードのオファーが来るなど、アイドル時代からは考えられなかったような仕事をこなしてゆく未麻。しかし、人気とは裏腹に未麻は現状への不満を募らせ、アイドル時代の自分の幻影さえ見るようになる。
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

こんな怖いアニメがあるとは

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 80分の作品。初見だと思って見ていたのですが、いくつか見覚えのあるシーンがありました。TV(WOWOW?)でやってたのかもしれませんし、どこかでトレーラーを見たのかもしれません。ちゃんと見たのは初めてです。

 いわゆるサイコサスペンスに属する作品です。ショッキングなシーンも多いし、音楽も怖いしで、いろいろと大変でした。でも、おばけ的な超常現象を扱っているわけではないので、ホラーってわけではないのかな。まぁ幻想をおばけと捉えればホラーと言えなくもないけど、謎解き要素が強いのでやっぱりサスペンスのがしっくり来るように思えます。この辺のジャンル分けは人によるかも。
 この作品の楽しみの一つに、いくつか発生する事件の犯人を探し当てることがあるのですが、現実の世界と妄想の世界と劇中劇という三つの世界を使うことによって、あの手この手でミスリードを誘ってきます。最終的には犯人が明らかになりますし、劇中劇が一部事件の解説をしてくれているので、最後まで見ても分からないということはないでしょう。今敏監督作品を見たことがない人は、この作品から入っていくのがいいかもしれません。客観を排して主観に傾倒した今敏監督の特徴そのままに、分かりやすいストーリーになっています。

印象に残ったシーン:ネタバレレビューを読む

エンディングについて:
 今敏監督作品の特徴は、エンディングにあると思うんですよ。私が今まで見てきた「千年女優」や「パプリカ」は、エンディングで明かす内容に違いはありますけど、最後に一気に収束する手法は同じだと思いました。パーフェクトブルーも同様なのですが、パーフェクトブルーとこれらの作品を比較すると、エンディングでのカタルシスは少し弱いように感じました。これは、事件の犯人探しに注視してしまう視聴者側の心理が影響しているのだと思います。犯人が分かり、事件が終息した段階で、こちらの気持ちが一段落してしまうので、エンディングまで緊張感を維持しておくことが結構難しいんですよね。一方で、この作品はサイコものですので、エンディングでの一言は、異様なぞくぞく感がありました。
ネタバレレビューを読む

対象年齢:
 R15であることは前提としても、人を選ぶような気がします。エログロとそれに関する暴力描写が苦手な人は極力避けた方がいいと思います。もし、視聴するのであれば、自分のメンタルケアができる準備をしておいた方がいいでしょう。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 18
ネタバレ

Tuna560 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

『PERFECT BLUE』作品紹介と総評+考察「自己の確立と乖離」

今敏監督が初監督を務めた作品。
「アイドル」「ホラー」「熱狂的なファン」の3本柱から展開されるサイコスリラー作品です。

(あらすじ)
アイドルグループのチャムに所属する霧越未麻は突如グループ脱退を宣言し、女優への転身を計る。かつてのアイドルからの脱却を目指すと自分を納得させつつも事務所の方針に流されるままに、アイドル時代からは考えられなかったような仕事をこなしてゆく。
しかし、人気とは裏腹に未麻は現状への不満を募らせ、アイドル時代の自分の幻影さえ見るようになる。本当の自分の姿なのか。自分が望んだことなのか。そんな疑問を抱く中、何とかインターネットに接続して見たホームページに自分の行動が本人の記憶以上に詳しく描写されていることに気づく。未麻はストーカーに監視されていたのだった。また、未麻の周辺で関係者が次々と殺される事件が発生する。(wikipedia参照)

まず初めに…「よくこれをアニメでやろうと考えたな!」という感想しか思い浮かびませんでした。過激な描写と内容の連続で、視聴にはそれなりの覚悟を要すると思われます。いやはや、「R-15指定」というレーティングをされているだけの事はあります。

物語としては”主人公視点の思考を体感するサイコホラー”とでも言いましょうか。”現実の自分”と”なりたかった自分”の乖離が引き起こしたストレスにより陥った不安定な思考が描かれ、視聴者に対しても”現実と非現実”が混同する感覚を引き起こさせます。この事もあり、最後の展開はなかなかスリリングなものに仕上がっていると思います。

作画もセル画主体ですが、全体的に綺麗に描かれています。ただ、キャラデザで敬遠される方もいるでしょうね。登場人物の大半が目が離れている(いわゆる”インスマス面”)のため、不気味に感じる方も多いと思います。しかし、この不気味なキャラデザがさらに物語自体を引き立てていると思うので、個人的には違和感なく観る事が出来ました。

さて、いろいろと考察が出来る本作ですが、ここからは心理学的な考察をしたいと思います。
テーマは本作のキーでもある「自己乖離」についてです。


ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 31
ネタバレ

アイコン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

「パーフェクトブルー」意味は察してください。

原作未読。

といっても、
原作とはかなり違う仕上げに
なっているようです。
ざっくりとした原作のテーマだけを
並べて題材にした作品のようで、
原作はあってもないようなものです。
なのでまぁかなりオマージュを加えた
原作派生のオリジナル映画として
受け取って頂ければと。
その原作者様からも
「好きにつくってくれ」と
言われたそうです(笑)
本当は実写化の予定だったとか。
なので、
「パーフェクトブルー」という
今作のタイトルはあまり意味を
成していないようです(笑)

そんな今作、今敏さんの監督としての
処女作だそうで。
実はこの人の作品は妄想代理人しか
見ておらず、個人的に言ってしまうと
妄想代理人が面白くなかったので
名作と謳われる今作もそんなに
期待していませんでした。
そんな状態で見させていただきました。

それでは、今作の感想を述べていきます。

まずは物語や舞台設定から。

この作品のスゴいところは
皆さんが語っているように
90年代の映画とは思えない
現代的で斬新なテーマを
取り扱ったものだと言うこと。
それは他の方が説明してくれているので
ここでは省きます。
なので当時この作品を見た方は衝撃を
受けたのでしょうね。
元アイドル女優という設定も上手く活用され、
良くできていたと思います。
この間、インランドエンパイアという
これと似たような洋画を見たのですが、
もしかして今作の影響を受けているのでは?
という気がしています。
このパーフェクトブルーを元にした
「ブラック・スワン」という
映画も作られたそうですし、
とあるシーンのために版権を取った作品も
あるようで、この映画がかなりの人に
影響を及ぼしたことが伺えます。

ただ……演出がちょっと。

シリアスギャグや次シーンへのシフト、
そして表情や動きの描き方、
それはすごくよかったと思います。
かなり人間的にキャラが動いて
人間臭さを覚えるほどだし
あのファックス音からのBGMへのシフト、
すごく印象に残ってます。
アニメ的でとてもよかったと思います。

でも、無駄にエロいシーン、無駄にグロいシーン。
多々ありました。グロい描写はまぁ
出てくるタイミングや設定的にも
処理できるのでまだ良いのですが
エロいシーンはちょっと……。
突起物どころか、下の毛まで写す始末(笑)
ホントクソありがとうございましたm(__)m

正直、あんなに過激でなくても
もっと不条理を描けたのではないのでしょうか。
多分監督の自己満足も入ってるのでは(笑)
だって、女性のあれやこれやが写るわりには
男性の描写はほとんど隠れてるんですよね。
まるで監督の「男のモノなんぞ見たかねぇから、
全部隠しちまえ」みたいな思惑が
所々伝わってくる感じで(笑)
今敏監督、もっと欲抑えようぜ(笑)

あと、ホワイトアウト→開眼ッ!!
がちょっとくどかったかな(--;)
ああいったオチならもっと
減らしてもいいような気がします。
作品のテンポを悪くしていました。

ネタバレレビューを読む

作画は昔の作品としてはかなりいいです。
音楽もよく、劇中でかなり
不安を煽ってきてくれました。
声優さんも皆上手く、
潤子さんの演技は主役さながらの
演技を見せつけてくれていました。

でも、その声の中に
まさかサトシがいるとは(笑)

ホラー要素については、
ホラー映画やアニメをよく見る方なら
平気でしょうが、耐性がないと
+エログロ描写もあるのできついかと。
なのでよく考えてから見てください。

でも、深いとこに突っ込まなければよく
出来ていたなぁと思います。
自身や人間関係での悩みは必ずしも
その自身の周りだけの問題ではなく、
社会にも影響してくるものだと思います。
そして、その社会自体が本当は
主な問題の原因だったり……。
そしてそれがまた、人間関係の
すれ違いを起こす原因となったり。
これは、それに気づかない人たちの、
視野の狭い偏見的な考えや思い込み、
そんな人間の心理の恐ろしさを
描いた作品だと思います。
そしてその上で、
ミマの自分自身への葛藤や不安を描くという
ストーリー的な部分もあり、
所々ミマ以外の心理描写は
詰めが甘い気もしますが、
(わざとあまり描かないようにしてるのかも)
かなり作り込まれているなあと
私は思いました。
しかも80分強でこのクオリティ。
かなり上手く詰め込まれた気がします。
万人が見れる作品ではありませんが、
見ても損はしないと思います。
個人的にものすごく面白い!
というわけではないんですが、
かなりテーマ性に長けた作品です。
是非ご視聴を。


今度は東京ゴッドファーザーズやパプリカも
見てみようと思います。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 10
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