2023年度の復讐劇TVアニメ動画ランキング 1

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59.3 1 2023年度の復讐劇アニメランキング1位
はめつのおうこく(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★☆☆ 2.9 (132)
365人が棚に入れました
人類に知恵と安寧をもたらした存在――“魔女”。 しかし、リディア帝国の“超産業革命(ギア・エクスパンション)”は魔法を凌駕する科学文明を生み出し、 魔女は進歩を阻害する“敵”と見做されてしまう。 かくして“魔女狩り”が始まった。 魔女クロエに育てられた人間アドニスは 最愛の師を奪われ、同族である人類への復讐を誓う。 絶望を糧にした修羅は、殺戮の果てにいかなる“救い”を見いだすのか――。
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

【失敗作の典型例-5】アイデアだけの投げっぱなし。面白いストーリーに昇華できていない。

【レビューNo.102】(初回登録:2023/12/31)
コミック原作で2023年作品。全12話。
「葬送のフリーレン」のレビューで
>面白いアイデアや一見いいシーンだな思う作品はあるのですが
>・アイデアを出したことに満足して、そこで終わってしまっている。
>・全体像がしっかり練られてないから、いいシーンも「点」にしかならず、
> むしろ全体像との整合性から違和感すら覚えてしまう。
と書いたのですが、まさにこの作品はその典型例かなっと。

(ストーリー)
かつて魔女と人間が共存していた世界帝国リディア。しかし科学文明が発展し
魔女の力を恐れた人間族の王が魔女狩りを強行する。魔女に育てられた人間ア
ドニスは師匠クロエとの逃亡の果てに目の前で彼女が殺される事となり、帝国
への復讐を決意する。
(wikiより)

(評 価)
・アイデアを出したことに満足して、そこで終わってしまっている
 この作品いろいろとアイデアは光るものがあり、特に1話は期待大だったん
 ですよね。
 ・科学文明 VS 魔法という対立軸から始まる重厚なダークファンタジー感
  ・魔女狩りという残虐非道な行為
  ・公開処刑にはこの光景に熱狂する王国民
   (ネットでは「民度がゴブリン並みの王国」と揶揄もw)
  ・かなり攻めた残虐でグロいシーン(エロも少々)
 その後も
 ・ビジュアル映えする記述式召喚魔法
 ・絶滅寸前の魔女側の企み
 ・意表をつくどんでん返しの連続
 ・OP曲もかなり良き

 特に魔法といえば「何!?無詠唱魔法だと!!」がお約束となっているこの
 手の作品の中で、特殊な羽根筆(クイル)を用いて発動する記述式召喚魔法
 はかなり魅力的だと感じたのですが・・・
 物語が進むにつれ、「意表をつくどんでん返しの連続」もその場のインパク
 トで「おおー」と最初は感心するのですが、それ以降が結局雑に殺し合うと
 か「残虐なシーンをぶっ込んでおけばそれっぽく見えるやろ」みたいな感じ
 で、最初のアイデアを出したことに満足して、そこで終わってしまっている
 みたいな。
 「フリーレン」がひとつのアイデアをもう一歩踏み込んで更に面白くなるレ
 ベルまで昇華しているのと比べると、最初のインパクトだけでストーリーへ
 の落とし込みが不十分かなっと。

・全体像がしっかり練られてない
 物語の全体像としても「人類(科学)VS 魔女の重厚なダークファンタジー」
 のハードなシリアス路線でいくのかと思いきや・・・
 {netabare}・国王の妃は実は魔女だった
  ・男を操る愛の魔法で実は国王を操り、同族狩りをしていた!!
   (自分の魔法は女性には効かないので、脅威を排除した)
   → 物語の根幹を覆すとか、それに見合う展開を準備してるの?
     (アニメでは当然時間切れw)
  ・新王女さまご乱心?!まさかのアイドルライブwww
   (一応国民に魔法をかける狙いがあったぽいが)
   で、その陰に挟まれる旧体制の粛清シーン(首斬り)
   → 魔法の効かない女性はともかく、魔法で操ることが可能な男性も粛
     清の必要あったの?
 ・ずっとシリアスだったのに、新章が始まるとヒロイン・ドロカのドジっ子
  ネタでコメディ色多めに。{/netabare}
 何というか、この原作者は一体何をやりたいのか?
 敵の国家諜報局局長・シロウサギとの最終決戦も
 ・シロウサギのキャラがいろいろとこの作品から浮いている
  シロウサギをワイルドでクレイジーなキャラにしたかったんだろうが、ワ
  ンピース・黄猿を下品にしたような、残念なキャラ描写で不快感しか残ら
  ない。
  (それにサイボーグのくせに王女さまの愛の魔法が効くの?等ツッコミど
   ころも多いw)
 ・アドニスの方も
  ・瀕死の重傷もドロカの愛の魔法・束縛(マンドラゴラ)で完全復活どこ
   ろか謎のパワーアップ。
  ・クロエ直伝の最終奥義を発動するも仰々し過ぎて、シロウサギ一人倒す
   のにそこまで必要だったのか。
 ・最後にドロカの「復讐は間違っていない」ってそっち側になるんかーい!
 ちょっと引き気味で観てたというか・・・

 全体像がしっかり練られていないようで、いろいろとチグハグな感じが否め
 ないなと。他のレビュアーさんも書かれていましたが、
 「描きたいシーンから話を構築している印象」
 というのが拭えないかなっと。

・クリエイターとしての矜持は?
 上述で「アイデアは光るものがあり」と書きましたが、これも投げっぱなし
 でいいのでしたら、他のクリエイターさんももっとアイデアがあったのかも
 しれないんですよね。
 でも、いろいろ検討の結果、
 ・そのアイデアから以降の発展性
 ・作品全体像との整合性
 で、泣く泣くボツにしたアイデアもあったと思うんですよ。
 この辺はやはりクリエイターの矜持として、譲れないところでしょう。
 そういう目でみると、この作品はどうなかなっと。

ちょっと辛口なレビューになりましたが、ある意味1話が良すぎたので期待値
が上がってしまい、そこから裏切られた感もあるから、この評価になっている
のは否定できないですかね。1話から心動かされなければレビューを書くこと
すらなかったと思いますし。
そういう意味では(良し悪しは別にして)印象に強く残る作品ではあったと
思います。ただ個人的は原作者にもう少し頑張って欲しかったなと。

OP「消えるまで/Hana Hope」
これはかなりよかったので、毎回飛ばさずに聴いてましたね。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 15

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

はめつのじんかく

原作未読 全12話

魔女と共存している世界、科学文明が発達した人類の国である帝国は魔女狩りを始めて多くの魔女を滅ぼしました。

主人公のアドニスは、魔女であるクロエの育てられた人間でした。その2人も帝国に捉えられて、そして大衆の面前でクロエは処刑され主人公は人間に対して復讐を行うダークファンタジーです。

アドニスは人間でありながら魔術を使い、帝国に対抗していきます。

とにかくアドニスも帝国も殺し方が非常に残酷で、これから脇役になるような感じのキャラでも簡単に殺されます。

帝国もアドニス陣営も魔女も性格がぶっ飛んでいますね〜

ハッキリ言って滅茶苦茶です。

最初は、ちょっといいお話かな〜と思って観ていましたが、1話の途中から酷いお話になりました。

残酷描写に耐性がない方にはオススメしません。

OPはHana Hopeさん、EDはWho-ya Extendedさんが歌っています。

最後に、よく地上波で放送できたと思うような残酷描写が多かったですね〜

投稿 : 2024/11/09
♥ : 13
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

世界観とテーマが上手く重なっています。面白くて奥行を感じました。

 科学(新しいもの)と魔法(古いもの)の対比とそれぞれに闇を抱えている。特に科学側のスマホとか大衆の衆愚化とか面白い視点だったと思います。魔法側は伝統重視で頭がアップデートせず、選民思想的なものもあったのでしょうか。それが8話までくらいでしょうか。

 9話の意味性も突然始まったAISFものみたいな展開で驚きましたが、なるほど女性と経済そしてネットポルノのアナロジーですね。

 そして最終の3話。主人公の愛ゆえの復讐劇と復活の阻止、ドロカの愛と救済の物語。全体的な構造は面白かったし、ドロカの魔法の正体と11話の衝撃。女性とは?愛とは?善性とは?という話にもなりそうな感じでした。

 そこで終わってしまったのが中途半端だったし、アイドル女王も含意がたっぷりなので描き切れなかったのは残念ですが、初めの残酷表現のインパクトから始まって、なかなか奥行がある世界観とストーリーだと思います。一つ一つの意味が分かりやすくくみ取れる話になっています。

 残酷表現というのはゴブリンスレイヤー等でもそうですが、作品世界における道徳や倫理水準、キャラの性格描写等々の含意があるものと、単なるエロいものでわけられると思います。本作はその点で復讐、群集心理、支配層や分断による対抗勢力にたいする残虐性などがちゃんとありました。作者はちゃんと考えているなあと思います。

 もちろん、創作意欲として自分の潜在意識にあるリビドーとタナトスの表出もあるでしょう。そのドロドロしたものがまた創作のエネルギーですから、これを否定しては作品は出来ませんし、エンタメの要素としても機能するでしょう。見てもらわないことには伝わりませんから。

 ということで、グロ表現でネガティブな意見はあるのは知っていますが、内容を読み取ると今の世界の分断や女性、SNSなどがテーマになっている出来がいい作品だと思います。
 荒っぽい表現でエピソードとかキャラとかドラマに若干のアラはあるものの、私は面白かったです。というか、ここから先が気になりました。

 評価はオール4点+世界観でストーリーに加点で4.5。ドロカのキャラの使い方の意外性で加点で4.5。音楽はOPはいいんですけどEDがちょっとなあ…それとOPEDアニメはもうちょっと凝って欲しかった…減点で音楽は3.5点とします。






以下 視聴時のレビューです。

2話 魔女狩り、エログロの胸糞だからこそ面白いと感じる自分を見つめる。

{netabare} 大西巷一氏(乙女戦争)久慈光久氏(狼の口)綱島志朗氏(人狼機ウィンガルダ)、アニメでは「海賊王女」など女性を特段に貶める話は多いです。特に魔女と刑罰、火刑のようなものは多いです。藤子F不二雄氏の「タイムパトロールぼん」の拷問シーンは強烈でしたねえ。

 ジャンヌダルクと魔女狩り、中世西洋、日本の江戸時代など女性に対する刑罰の史実というのは、胸糞ですが人気があるテーマですし、私自身眉をひそめながらも、その世界に引き込まれることがあります。(なお、魔女狩りは男性も対象でした)

 こういう創作は、作者の性癖としてのエロ表現の探求というドロドロしたものはありますが、一方でそれが悲惨であればあるほど物語性が増して行くという性質を持っています。人間の本来持っている、暗い方の好奇心や情動を直接刺激される感じです。それだけに現実にあり得ることであり人間の行動原理としてリアリティを持って迫ってきます。
 エロスは当然として、公開処刑や差別が大衆に及ぼしたガス抜き効果や体制への忠誠心の醸成効果を考えれば当然でしょう(スマホが強調されていたのは、この部分のアナロジーですね)。集団心理・群集心理の要素もあるでしょう。それが上にあげた作品群です。女性ではないですが映画「グラディエーター」もありました。

 例えば最近の作品で「回復術師のやり直し」が性的な表現で非難を浴びていましたが、私は「異世界もの」の中ではかなりリアリティをかなり感じましたし「復讐」のモチベーションと人間の本質から物語性を感じました。

 要するに1、2話には引き込まれましたし、胸糞が面白かったです。その要因は残虐性とエロス表現にあるのは認めざるを得ません。その心理が自分の内部にあることを見つめるのが重要なのでしょう。

 本作においては魔女=超能力的な扱いにも通じます。つまり能力がある故の差別問題です。直接的には「アキラ」「エルフェンリート」ような作品との類似性を感じながら、SFとしては「シャーロット」「新世界より」などの要素も垣間見られます。

 人の命の復活なら「鋼の錬金術師」が印象的ですが、要するに禁忌問題が絡むかもしれません。

 あるいは国家の問題も提起しています。「過去の国家の罪」の上に立った国家の国民に対する復讐問題ですね。強制連行(事実には議論がありますが)、ナチス(これはまごうことなき事実)、黒人奴隷問題、海外植民地、中華思想と直接つながります。

 デオドラントされた異世界転生ものやラブコメも面白いですが、こういう人間の暗黒面が見られるエログロもバランスとして見ておいたほうが良いと思っています。刺激の強さが強烈ですから、10対1くらいでいいですけど。

 いろんな可能性を感じる作品ではありますが、いろんな作品の引用から成り立っている感じがあります。それを真似、パクリと言う事もできるでしょう。が、私は最近この作劇法にかなり肯定的です。これだけ創作物が多ければ新しいことはゼロ年代まででやりつくされています。というか失われた30年で原作者にとって、アニメや漫画、ラノベがそのまま作者にとっての「リアル」なのでしょう。現在は過去作がデータベース化されて共有して作られるしかないと思います。{/netabare}


8話 自分を産み出し、愛するものを奪う地獄のような世界への復讐と、愛による救済=隣人愛アガペ―の物語だと思います。

{netabare} ここまで見ると、1人の愛する人のためにあらゆるものに復讐する。つまり、1人か世界かという世界系の逆ですね。逆世界系です。
 愛する人を救うか、世界を救うか、という選択とマインドは似ていますがベ
クトルが違う。世界が救うべき価値が本当にあるのか?

 この愛する人の為をイコール自己愛にすると更に分かりやすいでしょう。師匠が復活を望まないことを誰よりも知っている。だから、そこに意味はない。つまり、師匠のためではなく自分のための復讐です。

 科学と伝統。どちらにしてもいい目に合えなかった犠牲者としての世代論に置き換えると、スマホが頻繁に出てくる意味、文明=資本主義、魔女=ある種の女性と考えると、現代社会のアナロジーでしかないです。すると、どんな人が生きづらくて世界に復讐したいか見えてくると思います。

 この世界にクロエを再びというのはすなわち地獄を味合わせることですから、そりゃあそう言う決断をするでしょう。一方で意思をもち明るく生きていたドロカを選ぶ理由ですね。
 彼女はすなわち世界を救済する象徴である「愛」です。それが男女の愛だけでなく、隣人愛アガペ―に通じるものではないか?もしかしたら自己犠牲による愛に通じて行くのかもしれません。

 この8話まで見る限りでは、現代社会への復讐=逆世界系と愛による救済=アガペ―の物語かなという気がします。

「はめつのおうこく」がひらがななのは、ひょっとしたら日本のことを指しているのでしょうか。要するに究極の疎外感と搾取と蔑みですね。男性の方がのれるマインドかな? {netabare}新しい支配者がアイドル的なのと、魔女=単性生殖だったのが象徴的ですね。{/netabare}オタクVSフェミニズムも入っていると思います。

 結構面白いです。アナロジーを読み取らなくても個人による復讐譚は最近の気分で増えているのかな?それが今の気分なんでしょう。そうそう「チェーンソーマン」と重ねると面白いかもしれません。{/netabare}


9話 突然のSF的寓話回。主人公のキャラブレた?

{netabare} 突然SF的な寓話の回になってちょっと驚きました。作り物の女性がアイドルなのか風俗なのかパパ活なのか2次元コンテンツなのかわかりません。しかし、子供を作らない性行為が国を亡ぼすと言う意味で、やっぱり日本のことですね。

 この話全体が不条理系の舞台設定の上で成り立っていたので、突然キノの旅みたいな話で、しかも分かりやすい内容でした。ただ、ちょっとキャラブレてない?と思わなくはない回でした。{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 13
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