引きこもりで中学生なTVアニメ動画ランキング 3

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の引きこもりで中学生な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年04月13日の時点で一番の引きこもりで中学生なTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

77.0 1 引きこもりで中学生なアニメランキング1位
ローゼンメイデン(TVアニメ動画)

2004年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (1162)
6837人が棚に入れました
引きこもりの日々を過ごす少年・桜田ジュン。彼はネット通販で買った商品を、期限ギリギリでクーリングオフしてスリルを楽しむという、鬱屈した性格の少年であった。
ある日、彼は怪しげなダイレクトメールを受け取る。そこに書かれた、「まきますか まきませんか」との問いに、軽い気持ちで応えてしまう。すると翌日、薔薇の装飾金具の付いた重厚な革製の鞄が送り付けられて来た。
鞄を開けると、中にはまるで生きているかのように精巧に作られたアンティークドール(少女人形)が収まっていた。興味半分にジュンが螺子を巻くと、人形は目覚め、「ローゼンメイデン(薔薇乙女)の第5ドール真紅」と名乗り、ジュンに対して、自分と契約して家来となる事を要求する。
最初こそ真紅の尊大な態度に反発したジュンだったが、突如窓ガラスを割って侵入してきた人形に命を狙われ、訳も分からぬうちに真紅と止む無く契約を交わしてしまう。こうして、真紅に関わる事により薔薇乙女達の争いに巻き込まれてしまったジュンは、様々なドール達やその関係者達との出会いを通じて、その心を成長させていく事になる。

声優・キャラクター
真田アサミ、沢城みゆき、野川さくら、田中理恵、力丸乃りこ、倉田雅世、桑谷夏子
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

少女たちに囲まれてるけど、ハーレムアニメじゃないよ

原作未読。

引きこもり中学生、桜田ジュンの元に、「真紅」という人形が現れる。
ゼンマイを巻くことで、まるで人間のように行動する真紅。
真紅は「ローゼンメイデン」と呼ばれる人形たちの1体だった。
しかし、ジュンはローゼンメイデンの争いに巻き込まれてしまう。
戦いの中、ジュンがドールたちを通して成長していく話。


ローゼンメイデンのドールたちは、自分の力だけでは動くことができません。
誰も見つけてくれなければ、永遠に動かないままカバンの中にいるしかありません。
対して、ジュンは自分の力で動くことが可能なのに、部屋に閉じこもって出てこない。
この対比がストーリーの中核を担っています。


また、本来心をもたない人形がジュンの心を成長させる。
そういう切り口で見ると深いテーマが隠されていそうですが、そこまで立ち入っていません。

あくまで「戦いの中で得る成長」がテーマです。


ただ、ジュンが引きこもるきっかけは弱い気はします。
まあそこはご愛敬。
本編でもちゃんとフォローされていますので良しとしましょう。
{netabare}
真紅「時には雨が降り、嵐が吹き荒れることもある。景色が移り変わり、放っておくと取り返しが付かなくなることもあるの。その度に、アナタは戦い続ければならない。それが……」

ジュン「それが"生きている"ことだから」

このように、
「生きることは戦いである」ということを、今まで何度も戦い続けてきた人形に教えてもらったわけですね。
{/netabare}

今でも色あせないキャラクターデザインと、各キャラの個性の強さ。
また、ギャグとシリアスのバランス、物語のテンポもいいですね!

階段回は大爆笑でした。

ペース配分が絶妙なので、一気に見てしまう勢いがあります。
ドールのネーミングも独特で素敵です。
ただし、人名は……。


老若男女問わずオススメできる作品。
麻生太郎も絶賛です。

↓ローゼン閣下の真相↓
{netabare}
司会:『ローゼンメイデン』を読んだことはありますか?

麻生:「あります」

何でこの話を聞いたかというと、『ローゼンメイデン』っていう本がたまたま羽田の飛行場で売ってたんですよ。で、このローゼンメイデンというのを、「これが、『ローゼンメイデン』って言うのか』って思ってたまたま見てたら、そこに中学生の修学旅行がいて、パシャパシャパシャって(携帯電話で撮られて)。それがあっという間に流れて、「麻生は少女漫画を読む」って話になっちゃったんです。たまたまこれが、と。
だけど、最近みんなこう……どれもこれもやたら目玉が不必要にデカく描いてある漫画が多くて、『ゴルゴ13』みたく目の小さいのってのは本当に少ねぇな。ははははっ。ねぇ、どうしてこんなに大きく目玉が描いてあるんだろう。

司会:あれはたまたまだったんですか?

麻生:『ローゼンメイデン』はそう。ただ、「ローゼンメイデン閣下」(というフレーズ)がいつのまにか何となく(広まって)、とにかく、何だろうね(私に対する)ハンドルネームまで「閣下」みたいな形になってたりしてるでしょ?

http://www.garbagenews.net/archives/1447038.html
{/netabare}

投稿 : 2025/04/12
♥ : 81

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

だって・・生きることは闘うことでしょ?

20歳前後の頃、球体関節人形の展覧会に行って以来、その魅力の虜になり
人形制作を趣味にするようになった自分としては、
とても興味を惹かれる作品ではあったが、放送当時はまだアニメを
今ほど理解も視聴もしておらず、人形のデザインは可愛く感じたものの
人間達のキャラデザや、雛苺の萌えを意識したような口調に
違和感を覚え、数話観て切ってしまっていた。
今思うと、なんてつまらないことに拘っていたんだろうと思う。

それから数年が経ち、アニメに対しての向き合い方が変わって
もう一度観てみたら、すっかりドツボにはまり、後半9話から最終話までは
胸が苦しくなるほど感動してしまっていた。

まずこの作品はあくまでも、主人公である桜田純の心の成長が
物語のメインであり、ドールたちの日常とバトルはそのための
手助けをする役割として描かれている、ということを言っておきたい。

バトルの理由であるアリスゲームに関しての詳しいことや
第1ドールである水銀燈がなぜ、第5ドール・真紅を目の敵に戦いを挑むのかは
ここではほとんど語られないので、そちらのほうをメインで観た人は
もしかしたら不満を覚えたかもしれない。

でも、不登校でずっと自宅に引きこもり、食事すら自室でしかしなかった純が
人形達と出会い、生活を共にする中で少しずつ変化を見せ
やがては自分の心の奥底と向き合い、さまざまなことに気づき
這い上がっていく様子には何度も涙腺が壊れた。

もちろん、ゴスロリファッションやドールが元々大好きな自分としては
彼女達を見ているだけで幸せだったりもして。
放送当時に観た時、憤慨したはずの口調は逆に可愛く感じるようになっていて
なんだ・・自分もアニメへの向き合い方がかなり変化していたんだなと、
はじめて気づかされた作品でもあった。

コメディパート+バトルパート+日常パートと、テンポも良く飽きないし
それぞれに流れる音楽もとても良かった。
それに、胸に刻みたくなるような良い言葉もたくさんあった。
中でも特に、真紅の語るセリフがいい。

ドール達の中でもひときわ知性と気品にあふれ、
立ち居振る舞いのすべてがエレガントな真紅の魅力は
時々見せる羞恥心も含め、個人的には一番理想のドールだったけれど
翠星石の独特な口調は、意地悪さと優しさが複雑に交じり合った彼女にぴったりで
アニメ的にはこういうのもアリだな・・と思ったし、
雛苺の純真無垢な、幼児のようなキャラもあってこそ、物語を面白くもしていた。
ちなみに翠星石の双子の妹である蒼星石のボーイッシュさと裏腹な性格も
共感する部分がかなりあったりで、ほんと・・バランスが良かったと思う。

なお、水銀燈に関しては、彼女の悪魔的狂気の原動力となっているものが何か
わかってて観るのとそうでないのとでは、印象がだいぶ誓うので
そのあたりを中心に描いたOVA『ローゼンメイデン・オーベルテューレ』
のほうを先に観ることをオススメする。

投稿 : 2025/04/12
♥ : 51

disaruto さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

メリハリの効いた作品。「だって、生きることは戦うことでしょ?」

制作はノーマッドで原作は漫画です。
ジャンルはファンタジーです。


引きこもりの少年桜田ジュンはある日「まきますか、まきませんか」という手紙を受け取り、軽薄に答えてしまう。
その瞬間、部屋の中に箱が出現し、中に綺麗な一体の人形が入っていた。
彼女のねじを巻いてみると、突然動きだして…。


当初の印象だとダークファンタジーで暗い話なのかな?と勝手に思っていたのですが、なかなかのキャラアニメでギャグも多かったですね。
特に5話は突き抜けていて面白かったです。
一期に登場するドールは5体でそれぞれ性格が全然違います。
具体的にはクーデレ、ロリっ子、ツンデレ、ボクっ子、冷徹。
キャラ設定が複合施設状態なので多分気に入るキャラが一人くらいは出てきそうですね。
私は水銀燈がお気に入り。キチっぷりが良い。

ですが、やはり暗めの話ではあります。
日常回を効果的に入れて、だんだんと真紅と水銀燈の戦いに物語が終局していく形はなかなかスマートで美しかったです。
欲を言えば、ラストのようなストーリー上の盛り上がりがもう一つくらいあればよかったかなとは思います。
蒼星石の話は若干インパクトが薄かったような。


このアニメの一つの特徴として、水銀燈一人だけが完全に悪役として描かれている点があげられます。
見ている側も自然と「この畜生が!」となります。

このアニメ全体で描いているものは「戦いの中での成長」でしょうか。
最初の内は主人公にイラつくこと請け合いですが、彼にも複雑な事情があるのです。
誰にでも挫折してしまうことがあります。
そこから立ち直れるかどうかに「人間力」が関わってくるわけです。
だって、生きることは戦うことでしょ?


総括して、若干予想したものとは違いましたが面白かったことに変わりはないです。
とりあえずドールが可愛いねw

投稿 : 2025/04/12
♥ : 51

79.2 2 引きこもりで中学生なアニメランキング2位
お兄ちゃんはおしまい!(TVアニメ動画)

2023年冬アニメ
★★★★☆ 3.8 (654)
2233人が棚に入れました
引きこもりのダメニートな緒山まひろは、ある日目覚めると“女の子”になっていた!? 鏡に映る美少女が自分だと分からず混乱するまひろのもとに、飛び級で大学に入学した天才科学者である妹・緒山みはりが現れ、飲み物に怪しげな薬を盛られていたことが判明する…! もう2年も外に出ないで いかがわしいゲーム三昧… たまには働いてもらわなきゃ! みはりによる“女の子になる薬”の経過観察として、突如女の子として暮らすことになったまひろにとって、トイレやお風呂、スカートやブラジャーなど“女の子の生活”は知らないことばかり…。 さらに、みはりの中学時代の同級生である穂月かえでやその妹・もみじ達とも知り合い、 まひろの日常はどんどん賑やかさを増していく。苦難の連続に、果たして“元”お兄ちゃんの運命やいかに…!?
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

灰色の青春もおしまい!

私はあまり好みじゃないけど、とても素晴らしい作品でした

美少女になってかわいい女子達と仲良く女子中学生生活を過ごしたいっていう夢を形にした癒し系ゆる百合コメディアニメ
ゆるふわ癒し系百合アニメで、引きこもりの成長物語なところもあっていろいろ楽しめます
可愛らしいふわっとしたキャラデザと温かみのある色使いとぬるぬる動く作画がとても良い
女の子達の日常を見るアニメだから話の面白さはないけど、最終回はとても良かったです!

ダメなところなんてないけど、女子同士の会話のやりとりとか私生活があまり女子っぽくないかな? 
みはりが女子女子したものにあまり興味ない設定にしたことで話は作りやすくなったかもだけど、性転換のテーマ性は薄くなったように思います
そこがちょっと残念で、せっかく性転換させるならもっと深く女子コミュや女の子の生活とのギャップに切り込んで欲しい

あと男が美少女になって生活する作品はいっぱいありそうだけど、女が美少年になる作品ってあまりなさそうだからそっちも見てみたいです
中身が女の美少年とか、女子にモテすぎてやばそう

【最終回】{netabare}
まひろがせっかく男に戻れそうなのに、もみじ達との絆を選んで女の子になる薬を飲む展開が良かったですよねー!

もみじ達は「まひろちゃん」の友達であって「まひろくん」の友達ではない、ウソからできた友達
薬を飲めば友達でいられる時間がのびる、でもいつかはどちらか選ばないといけない時がくる
男に戻っても引きこもってゲームするだけなら、女の子のまま友達と楽しく過ごしたほうが幸せなんじゃないの?って部外者だから思っちゃうけど、
ずっと男として生きてきたから、なかなか割り切れるものじゃないですよね

でも、まひろはもみじ達と一緒にいることを選びました
まひろはこのまま続けたら本当に心まで女の子になって戻れなくなっちゃうかもっていう恐怖はあったでしょう
でも薬を飲んだってことは、それだけみんなとの楽しい日々を失いたくないって気持ちが強かったんだと思う
魔法がとけたら終わりになる「嘘の関係」だとしても・・・

みはりはお兄ちゃんを女の子にしたいわけじゃないと思うので
2期があるなら男を捨てて女の子になる決断をするまひろちゃんと、男に戻って欲しいみはり・・・とかもあるかも?
{/netabare}

【体が女の子だからセーフ?そんなわけない】{netabare}
まひろは身体が女の子で、心もちょっとずつ女子っぽくなっていてもベースがエッチな本やゲームが好きな男性って思うと受け入れづらい
たぶん、身体が女子になったけど心は男のままな人と一緒にお風呂入れる女子はそんなにいないし、女子トイレで隣の個室に入るとかもっと無理でしょ
だってそれ、女の子の身体に男が憑依してるのと一緒ですよね?

完全に心も女の子になってしまったなら元男性でもいいと思うんだけど、男の気持ちが残ってるならお風呂も更衣室もお手洗いも別にしないと
生まれつき女の子の身体だけど、心は男性っていうなら気にする子あまりいないと思うけどね、似てるようで全然違うと思う
{/netabare}

【細かいこととかどうでもいいこと】{netabare}
にゃんさんが感想で書いていたけど、私も同じところが気になりました
3話でまひろがおかゆ作っているシーンではケガなんてしてないのに、直後の看病して疲れて寝てるシーンでは右手の指にたくさん絆創膏が・・・
いつの間にケガしたの?
後から人参かタマネギでも切って投入したんでしょうか?
右利きっぽいのに右手ケガするのも不思議 {/netabare}

投稿 : 2025/04/12
♥ : 26
ネタバレ

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

・・・おもしろいというのも、かわいいというのもはばかられる・・・。

まいったな・・・いい歳したおっさんがこの作品を面白いと言ったり、かわいいと言ったりするのはとってもはばかられます・・・。


が、とてもおもしろかわいかったです。


全体的に、「幼い」に振り気味だったり、セクシャルなというか「女子の世界」的なものに踏み込んだ作品なのでこの点も・・・、



とっても、興味深かったのですが、やはり大手を振っては言いづらいw。


物語は荒唐無稽系ではありますが、シチュエーションをつくるための強いワンポイントとしては成立していたと思います。
曰く「引きこもりアニキを女子化」の一点突破。
これ以外に、グダグダ後付けすることなく、この一点のみの設定を基に1クールワチャワチャ系で突っ走った印象でした。


作画の評価は、先に述べたようにふわっとした感じの、少し「幼い」に振った感じでしたが、独特の色使いで効果的に雰囲気が醸し出されていました。


声優さんは、勢いがあって、個性的で可愛らしくなかなかによかったです。
どの登場キャラも特に違和感はありませんでした。
ワチャワチャ感も含めて、女子女子感満載でした。


音楽はOP/EDとも、作品コンセプトをガッツリ引き受けとても楽しく観ていました。
ちょっと、頭に残りそうなフレーズも楽しかったです。


キャラは元気でよかったです。
繰り返しになりますが、元気、勢い、かわいい、って感じでした。


ただ、おじさんとして気になったのは最終盤ですね。
{netabare} 薬が切れそうになり、男に戻るタイミングがあった時に・・・。
確かに、観ている分にはかわいく、楽しかったのは間違いないので名残惜しくはありました、また、女子化したことから始まった楽しい体験や楽しい人間関係を続けたいのは理解できたのですが・・・。
そこで、女子化の継続を選択してしまう兄とそれを許容してしまう妹に、ほんの少しだけもやもやしてしまいました。

本当に、それでいいのだろうか、と。
その仲良くなった女子友たちを裏切るというようにも取れるのではないか、と。
{/netabare}

まぁ、アニメにそこまで・・・と思いますし、フィクションはフィクション、ファンタジーはファンタジーな事は理解ているのですが、私も年を食っちゃいましたかね。


と、余計な事をいいつつも、本当に楽しく拝見したアニメでした。


「あのアニメ面白かったよねぇ」
「あれ、面白いよ」

とおススメすることは、オジサンにははばかられます><;。

投稿 : 2025/04/12
♥ : 21
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

重層的で面白い優れた物語。それを支える隙の無い高度な技術。

 あまりの高水準過ぎる作画・美術でかえってストーリーの印象が記憶に残っていないので、初回から半年ほど経過した23年9月、再視聴しました。

 今回も作画に心を持っていかれそうになりましたが、なんとか頑張って内容を理解しました。

 男であること、優秀な妹に対する劣等感に潰されそうになっていた「兄」が「妹」になることで「がんばらなくていい」立場を手に入れたことで、心を取り戻して行く話です。こう書くと重く感じるし、そういう描写もところどころありますが、しかし、全体的にはライトで緩い感じで、面白かったです。
 逆に言えば、面白いTS日常系としての作りになっていますが、その根底から読み取れるものがある、浅いようで結構奥行がある話だったとも言えます。

 そして「女子になること」よりも「女子であること」を丁寧に描写していました。下着・ファッション・洗髪・洗顔・トイレ・生理・化粧・振舞などの生活習慣から始まり、友達との付き合い方・中学生男子を女子の立場から見る・バレンタイン・学校のルールと化粧など様々な視点を描いていました。
 その生々しいペルソナ作り・排泄としての女性のするべき事が、コミカルな描写であまり嫌悪感やエロを感じさせず、軽妙にエピソードに落とし込めていました。

 男性の目からは、しかしそれがリアルなのかどうかは分かりません。ただ、リアリティはあります。女性と同居していても男性であれば気が付かない、むしろ積極的に男性からは隠しているような部分が丁寧に拾えていた…のではないでしょうか。それすら想像するしかないのが男から見た女だと思います。

 原作者は男性だそうですが、脚本・シリーズ構成に女性を置いているので、エピソードは、多分男が女を知ると言う点で、ある程度信頼してもいいのではないかと思っています。
 また、EDのクレジットで、プロップデザインというのは多分小道具のデザインだと思いますが、これが8名ですか。つまり、女子のアイテムは相当作り込んだのではないかと思います。
 化粧品やアクセサリー、下着にはホックやタグまで丁寧に作画されていました。つまり、女性がこの辺はちゃんと入り込んでいる証拠だと思いますので。

 そして、この作品を支えていたのが作画技術です。ヌルヌルというのもありますが、立体感です。3DCGに手書き修正をしたんだと思いますが、止め絵の横移動だけでなく回転させる手間を惜しんでいません。また、回転にも耐えられる優れた技術・デザインでした。
 髪の毛を立体としてモデリングしているのを逆手にとって、表と裏の色合いを大胆に変える手法。
 構図が凝っていて、俯瞰・あおりを含めて難しい視点で人物を描いています。
 背景美術に常にフィルターというかエフェクト(ひし形、丸、4角・5角の星型等)をいれることで背景と人物をなじませる一方、人物が見やすく浮き上がって見えます。

 その技術の頂点がEDだと思います。目がクラクラするようなヌルヌル感と立体感はすごかったです。OPEDの歌詞はちゃんと作品の意味になっていましたし、隅々まで手を抜いてません。

 これらの結果、ヒロイン?にちゃんと感情移入ができるというか没入感がすごい作品だったと思います。2回目なのに12話、OPED含め隅々まで堪能できました。というか、1話見るのに行きつ戻りつして、40分くらいかけてしまいました。

 ということで、2回目視聴して作品の内容まで入り込むと、単純な日常系の面白さと、男子が見る女子の世界というドキドキ感あるいは未知の世界を覗き見た感動、そして、兄妹感のコンプレックスや男として生きる意味という重い部分がほんのりと含まれている重層性がある優れた作品だったと思います。

 男子を選択する未来がくるのだろうか?という部分が特に考えさせる部分です。

 それが普通に面白いのですから大したものです。評価は…オール5でいいかなあ。名作かと言われると、テーマ性の薄さがいいところではありますので秀作という感じです。ですが、隙が無い優れた作品だったと思います。

  


以下 23年3月に書いた1回目のレビューです。


{netabare}1話 異次元のハイスペックTS。京アニの後継者はここかな?

{netabare} 開始数分であまりの画面のハイスペックに引き込まれます。すごすぎるだろう、と思って会社確認したら「無職転生」のところです。2期つくらないで何やってんの?と思いましたが、ひょっとしたらCG技術の蓄積のための習作でしょうか?

 カメラ(視点)の移動(パン、クローズアップ)は最小限で、構図も単純、人物の動きも少ないなので、そう予算をかけているようには見えません。
 が、とにかく人物の作画と動きが綺麗です。人物の動きというか輪郭線の感じがMMD(ミクミクダンス)の高級版という感じなので、3DCGモデリングだと思うのですが、2Dアニメエフェクトのせいか非常にナチュラルなアニメ絵になっています。
 ぼっちざろっくのライブシーンがずっと続いているような感じといえばいいのでしょうか。

 EDの動きを見ればわかると思いますが、これは人間の原画マンだと無理…というか不自然です。一方でその不思議な動きがコミカルな演出になっているので、独特の効果を生み出しています。

 あと着替えの頻度が尋常じゃないです。何回着替えてるの?これどうやってるの?キャラデザすごすぎでしょう?

 それともう1点。失礼ながらあまり話題になっているとも言えない本作の原作を拾ってきて、アニメ作品に仕上げるのは京アニっぽいですね。このままいけば京アニの後継者はここかな?

 内容はTSもの微エロ日常系という感じです。話に展開があるかどうかは不明です。劣等感についての深掘りとか、男と女の間の葛藤とか気付きがあれば面白いですけど、あまり期待しないでおきます。
 1話目はちょっと画面がすごいというか面白過ぎて話に集中できてませんけど。 {/netabare}


11話と現状までの総評 特に前半の女子体験と覗き見感覚がいいです。

{netabare} 作画というより画面全体のアニメ表現としてのシンプルで伝統的な感じがするけど新しい感じが本当にすばらしい。技術に詳しくないですが、本作のアニメ表現の技術は各社マネをして今後の日常系にもっと取り入れて欲しいです。

 初め構図が単純だと思いましたが、じっくり見ると特に2話ですが、魚眼レンズ的歪みや人間が入り込めない視点から映すことで覗き見的メタ視点などを上手く使っていました。人体のパースのデフォルメも含めて非常に視点を意識しているのが印象的です。

 この作品、主人公がJCの世界を覗き見るような感じです。それを我々は覗き見る。この2重のピーピング感を作画で表現したのは素晴らしかったと思います。
 すずめを多用することで間というか雰囲気を感じさせる演出も面白かったです。パステル調の色彩感覚もいいですね。

 下着のタグとか小物とか非常に細かく作画されていましたが、このこだわりが将に「魂は細部に宿る」ですね。
 また、制服のデザインがスカート長めのちょっとダサイ感じなのもいいですね。リアリティがあります。

 前半は女子というものを体験するようなストーリー展開でした。下着、洗髪や髪の手入れ、生理、化粧に買い物などによって、男性からみた「女子の秘密」を疑似体験できました。この部分がTS設定と覗き見視点と合わさって、興味深く見ることができた要因だと思います。

 後半は友情・日常系で男子が女子の視点になった話になり、男子中学生の行動にも切り込んできました。前半ほどのインパクトはないですが、ちょっとコミカルな日常系という感じでそれなりに楽しめています。

 何度見てもOPEDは素晴らしい作画で特にEDの動きは本当に面白いです。 {/netabare}


 最終話まで。日本のアニメの方向性はこの作品のコンセプトでお願いします。

 作画が異次元なのはもちろんですが、キャラデザが本当に素晴らしかった。2次元と3次元モデルの間にある「不気味の谷」というか「可愛さの谷」を解消する一つの方向性が提示された気がします。

 アニメ・マンガがなぜ優れているのか。それは「可愛いさ」の「記号化」が非常に高度だったからです。美少女キャラと言いますがああいう人間が現実にいたところで不気味なだけです。
 手塚治虫的マンガ記号からあずまひでお的ロリキャラやあだち充的美少女表現を経て、アニメ絵としての完成度を高めついにCGアニメキャラの完成系の一つとしてここに到達したか…という感じです。

 最終話12分くらいのところの超作画もアニメ的可愛さを「磨き上げた」感じで技術の進化に感動すら覚えました。そう…最終は思いっきり技術で悪ふざけをした感じです。料理や背景も謎の湯気もすごかった。奥行きや構図も旧来の日常系では考えられない出来でした。

 そしてジェンダー論やフェミニズムを論じるよりも「女性であるとはどういうことか」を考える一つのきっかけになるテーマ性が内包されていることも良かったです。それが非常に薄ーく入っているので初めは面白くて、少したつと何かを考えさせる一粒で2度おいしい感じです。
 その薄さがエンタメにおいては大事で、視点やエピソードの面白さと深掘りできる奥行きが両立していました。

 欠点があるとすると、2つです。1つはもうちょっと女子の世界しかわからない生々しいエピソードがあるといいかなあと思いますが、ストレスレスを目指しているのでしょうか。そこはチューニングなのでやむを得ない気もします。
 それともう1つ。画面が凄すぎて話に集中できませんでした。おかげでなんど戻ったことか。

 ということで、正直「無職転生」よりも作画という点では驚きは大きかったです。そして話も面白いし、キャラはデザインはもちろんキララ的キャラ造形のチューニングも良かったと思います。

 名作ではありませんが、何かの転換点を感じる作品でした。

 なお音楽の評価はEDのアニメも含めてです。本当は作画に10点くらい入れたいです。 {/netabare}

投稿 : 2025/04/12
♥ : 21

73.4 3 引きこもりで中学生なアニメランキング3位
ダンス・ダンス・ダンスール(TVアニメ動画)

2022年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (136)
447人が棚に入れました
ダンスール・ノーブル――それは王子を踊る資格のあるバレエダンサー。中学二年の村尾潤平は、幼い頃バレエに魅了されるも、父の死をきっかけに「男らしくならねば」とその道を諦めていた。だがある日、彼の前に転校生の美少女、五代都が現れる。都にバレエへのあこがれを見抜かれ、誘われた潤平は、都の幼馴染である森流鶯と共に、本格的なバレエダンサーへの道を歩みだす。「俺がそこで日本人初の『ダンスール・ノーブル』になるわ」すべてを犠牲にしたものだけが、立つことを許される、美しくも厳しいクラシックバレエの世界。完全な初心者である潤平の運命は!?大人気漫画家・ジョージ朝倉、初のテレビアニメ化!MAPPA(制作)×境宗久(監督)が挑む、バレエダンサー達の熱き青春バレエストーリー!!
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

表面は熱いスポコン。裏を返すと女性の天然の残酷さが辛いです。

 明らかに女性作家が描くキャラなのに、スピリッツでジョージ朝倉?男かよ、と思い、どうしても納得いかなくて調べたら、女性でした。

 最近は女性の方がスポコン描くのが得意なんでしょうか。ちはやぶる、ユーフォ、ましろの音、この音、かげき少女など、スポコン亜流の作品はみんな女性作家です。

 まあ熱いですよね。主人公のキャラの熱さというか、ストーリーを作るための少々デフォルメされた身勝手さが、ちょっとイラッと来ることもあります。周囲のメンバーのイジメは変な言い方ですが女子的な陰湿な感じで、これも見ていて不快になります。それが目的なのでしょうから、作品としてはいい出来なのでしょうが、感情移入という面で主人公に乗れない、という弱点にもなる気はしました。

 白鳥の湖の3人の関係をストーリーに落とし込むとはやりますね。ただ、王子様は誰なんだ?というのが主題ですね。もちろんバレエの話の出来の良さがそれを引き立てていましたが、こういう世界の狂気や才能の有無の残酷さも含めて、さすが女性作家、容赦がありません。

 なんといっても、恋愛関係です。これは結局 {netabare}都と潤平は上手くいかないということでいいんですよね?ここが女性的な感性です。女性の心理は女性作家だけあってリアリティがあるんでしょう。庇護すべき存在としての流鶯に最後は魅かれるみたいですけど、嫌な言い方をすれば結局流鶯の才能に心を持っていかれたという事だと思います。

 潤平はバレエへの憧れはありましたが、きかっけは都に惚れてという部分です。女性の肉体に照れる描写から女性になれていない。だからまだ恋愛感情がない都に妄想をするというのがしつこいくらい描かれます。
 で、都は自分の胸に流鶯を抱きしめます。これは腰を触るだけでビックリしていた潤平からすると衝撃でしょう。いろんな理由や思惑はあるにせよ、潤平が五代にいったのは都への想い。だから都が流鶯を選択した以上、結局都から生川に逃げるという面もあるのでしょう。

 これは結局女性は男の力に惹かれるという残酷さでもあるんだと思います。庇護欲ともとれなくはないです。{/netabare}いずれにせよ、ポリコレ的にごめんなさいですが、都って天然なんでしょう。思い切り感情でしか動いていないです。つまり「子宮で物を考えている」感じがすごいですね。女子から嫌われる描写がありますが、そういうところでしょうね。

 男の心理としては、非常に辛いですよね。あそこはそういう残酷な場面なんでしょう。加えて、夏姫ですね。彼女もあきらかに潤平の才能を認めて、惹かれています。性格や優しさではありません。もし潤平のフランクな性格に惹かれたと思うなら、私は違うと思います。才能が無ければ同じ性格でも歯牙にもかけません。

 女性作家ならではの熱いスポコンですが、その裏に陰湿な人間の心理と女性が心を惹かれるのは結局才能という残酷な部分もものすごく良く描写されていました。

 バレエのシーンの作画はモーショントレースとかしたんでしょうか?すごかったですね。その他の場面の感じにくらべて全然違いますね。ただ、少女マンガって、決め絵の時の描き込みと、淡々とした日常場面の作画の気合いが全然違うので、意図してないと思いますが、ものすごい少女マンガっぽさが出てました。

 総評すると、かなり話は面白いし熱い。ただ、男が見ると才能の世界の残酷さが辛い、女性の恋愛感情、心理が辛い。女性的な作品すぎて感情移入が辛い作品でした。
 ハチクロや3月のライオン的な残酷さがちゃんとあるのがやっぱり女性作家のあまりにリアルな心理描写は男には毒だなあという感じです。

 評価はします。しますけど、私はあまりに女性的な残酷さを読み取ってしまい若干減点します。非常に出来がいいのは認めますけど、生々しすぎます。

投稿 : 2025/04/12
♥ : 23
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

Dance in the mood.

【感想】
とても面白かったです! 今期でも1・2を争う作品だと思います
欠点はこれからもっと面白くなりそうってところで終わったところと、いじめシーンくらいかな
絶対2期作って欲しいです!

見どころはバレエの動きの綺麗さと、キャラクターの気持ちの表現、表情の緻密さ、演出の素晴らしさ、そういった映像コンテンツの完成度の高さに目を引かれました {netabare}
序盤は話は面白いのにあまりにやりすぎな集団いじめと主人公のひねくれ方が見ていて気分悪かったけど、バレエにちゃんと向き合ってからは話がスッキリしてさらに面白くなりました
最初から最後まで面白かったけどこれからさらに面白くなりそうでとても先が気になりますね {/netabare}

【作画】 {netabare}
作画はとても綺麗ですが瞳に入っている横の白線は慣れるまで時間がかかりました、慣れてしまえば表情の変化が緻密でとても良い仕事をしていると思います
このアニメの作画の凄さはただ動きが滑らかなだけじゃなくて、表現力が抜きんでているところです

まずはとても綺麗で手足の先までピシッと決まった美しいダンスが見どころ!ダンスシーンだけでも見る価値ありです
気持ちの昂りをうまく視覚化した演出も素晴らしくて、動きや表情に感情がしっかり乗っていてホント素晴らしい表現力だと思いました
演技ってやっぱり表情と表現力が大事ですからね、演技に一番大事なものをここまでリアルに描いたこの作品は革新的で映像技術の進歩が凄い
{/netabare}
【キャラクター】 {netabare}
潤平があれこれ葛藤する姿には、中学生らしさが感じられてとても良いですね、なかなか一つのことに専念する道を選ぶのは簡単じゃないと思うのでこうやって色々悩むのは仕方ないと思います
男らしさに憧れる潤平が、ヒロインと王子の求愛ダンスよりも迫力のあるジャンプを好んでロットバルトに興味持つのもキャラクターに合ってると思う

好きなことに一生懸命打ち込んでるキャラクターは魅力的に映りますね
でも、流鶯は引きこもってスナック菓子ばかり食べててどうやって綺麗な身体を維持しているのでしょう?

私は潤平と都の関係が好きだし、流鶯を選ぶにしても同情心から選ぶのはちょっと違うんじゃないかなって思うので流鶯を支えられるのは都しかいないからそばにいてあげてっていう言葉にはちょっと共感できないけど、都も同情や使命感だけで流鶯を選ぶことはないと思うので続きがあるなら見届けたいと思いました
ただ私の予想だと、都は流鶯に恋愛感情を持つことはないと思います
{/netabare}

【シナリオ】 {netabare}
本当はバレエが好きなのに「男らしくない」「サッカー部がある」「友達付き合いがある」など理由をつけて向き合おうとしない主人公と、都と都の母が主人公の才能を見出してバレエの世界に引っ張ろうとする序盤
流鶯が壮絶ないじめにあっているところを目にして助けに入った勢いでそれまで大事にしてきたことすべてを捨ててバレエに向き合う覚悟を見せた中盤
ライバルの高い壁に腐ることなく上を目指そうとする前向きな姿勢、それを目にして引きこもりから脱出し刺激を受けるライバル
競技でも恋愛でもライバルとして意識する二人と、二人の才能に憧れやら恋心やら嫉妬やら同情やら使命感やらが混ざった複雑な感情を持ちながら見守る都、
惹かれあう潤平と都の関係が凄く良くて、順調に栄光への階段を上っていくかと思いきや生川の登場で3人の関係も大きく変わりました、話のメリハリがよく最初から最後まで主人公と周りのドラマがしっかりしていて面白かった

白鳥の湖の演技もとても良かったですね、二人が互いを意識している様子や現時点での潤平と流鶯の力の差やダンスに賭ける想いが表現されていてとても見ごたえのあるシーンでした
それと対になるシーンがラストの海のダンス、このシーンはダンスに向き合ってから潤平にとって一番大切なもの「都」、それから彼にとってかけがえのない「五代スタジオ」「アドリブ」そしてぬるま湯である「居心地の良さ」そういったものとの決別をする象徴的なシーンでした
でも彼が都をどれだけ好きに思っているか、それは彼の表情やダンスでの表現から伝わってきます、本当に都のことが好きだと
アドリブや居心地の良さを捨てるだけなら、今後のバレエ人生を見据えての決断としてよく決断したねで終わりだけど、
大好きな都への想いまで捨てたのは、単に流鶯が都を想う気持ちの強さを見て同情して譲ったというよりは恋愛よりもダンスを磨いていくことを選んだからだと思います
理由は、あれだけこだわっていた男らしさや父の跡を継ぐことや友達付き合いを捨ててまで好きなこと「ダンス」を選んだことと今回の都への想いを捨てたことはたぶんリンクしてると思ってて、そもそも想いの強さが負けたくらいで都をあきらめるとは思えないですし、それは大好きな都よりももっと大好きなダンスを選んだということだと私は思います

都もそんな彼のバレエへの純粋すぎる情熱に惹かれていたのではないでしょうか?
それは潤平と同じようにバレエを大事にしていても、バレエを純粋に愛しているわけではなくてむしろ憎んでさえいるまるでダンスの呪いに取りつかれたような流鶯とは対照的で、バレエへの情熱は潤平に遠く及ばないように思うんですよね
そんな彼に都も危うさを感じているわけで、それが支えないといけないって気持ちになって、才能のない自分が才能のある流鶯の唯一の拠り所になっているという自覚から流鶯から依存されることに依存しているんだと思うけど、都も流鶯もいつまでもそんなことしてるキャラクターには見えないので
流鶯は都に支えられながら成長していって、いつか一人でもやっていけるようになると思うんですけど、そこで都が成長した彼を好きになるシナリオよりも
もう都なしでも流鶯は大丈夫だよ!ってなって一人で世界を目指すシナリオのほうが好きだし、そうでないと都への想いを捨ててバレエに向き合った潤平と対等にはなれないと思ったので
流鶯が一人で立てるようになって依存しあう関係が解消された後にようやく本当の恋愛が始まるとおもいますが、そこで流鶯を選ぶと依存から発展した恋愛ってホントに依存から脱却できているのか微妙ですし、やっぱり最後には純粋にバレエを愛する人に惹かれるんじゃないかな?
※アニメ最終話時点で思ったことなので、今後急展開で変わることは十分あるのでわかりませんけど、流鶯には死亡フラグも感じるのでそっち方面にいったら結構ショックですねー

これから3人がどんなバレエ人生を歩んでいくのか、とても気になります、続きあるなら生川も関わってきてもっと複雑になるのかな?
{/netabare}
【いじめシーン】 {netabare}
・流鶯は学校での態度は最悪だし、スマホを壊して謝らないのは流鶯が悪いのでいじめられるのも仕方ないと思うけど、いじめがかなり陰湿で気分が悪いです
ただ流鶯の態度は不自然でまるでいじめてもらうために行動しているように見えました、
払いのけるだけの気骨があるなら言い返したりやり返したり逃げたりすればいいのになんでやられ放題なのでしょうか?
・流鶯へのクラス全員からのいじめが全校からのいじめに発展して最低な学校だと思った、担任は事前に気づかなかったのでしょうか?{/netabare}

投稿 : 2025/04/12
♥ : 22
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ダンスダンスはレボらない

原作未読

元はスピリッツなのね。やはり少年誌ラブコメと比較しても一段ギアが上がる感じ。バレエを頑張る少年少女のお話です。
なお、ダンスダンス…ときたらレボリューションと答える私。当然の如くモテツールのヒップホップに健康男子のベクトルは向かうのです。ダンレボに『白鳥の湖』『ドンキホーテ』があるとは寡聞にして知りません。男の子がバレエなんて…とクソガキな私だったら躊躇なく冷やかしてそうな気もします。実際そんな被害に遭って憧れに蓋をした子が思春期を迎え幼少期の情熱が蘇る流れ。

題材が美を求める性質のものとなると、精緻な動きをアニメーションで表現することが期待されます。『プロ野球スピリッツ』と『パワフルプロ野球』どちらのビジュアルに需要あるかというと圧倒的に前者。…と冒頭から妄言全開でそろそろ叱られそうですがそういうことです。たまには後者的なアプローチも面白いと思いますが本作はまごうこと無き前者のアプローチ。モーションキャプチャーばりばりだと放送前特番でしっかりとアピールしてました。

・少年誌ラブコメより踏み込んでいる情愛描写
・普通の男の子がバレエに食指が動くということ
・手足の指先までの踊りの再現度

土台となるのはバレエの再現度すなわち成果物の魅力なんだと思います。体軸のブレや手先の表現についてべた褒めセリフかましてもそう見えなければまるで説得力がありません。まずはこちらクリアー。
目に見えるものが良ければ次の段階ではそこに乗せるセリフの魅力でしょうか。モーションキャプチャーだけ頑張ったアニメと言われないようにするためにはこれも肝心です。こちらもクリアー。
特定の競技を扱いその競技描写が優れていて、そこに携わる人たちの想いが乗ってくればさらによい。ここで初めて好みが別れるんじゃなかろうかと思います。私は“冷やかされて諦めてそれでも悶々としていた”主人公の想いがどう変化してくるかに序盤の尺を使ってたことを評価してます。理由は後述。
もちろん競技者(表現者)のバレエに向き合う態度から想いを推し量るにせよ一人じゃなく複数人いるわけです。分かりやすいとこだとラブ要素なんですけど、そりゃ少年誌より“性”を意識しますよね。最後にこちらもクリアー。

好み別れるとこはしゃーないのですが、わりと基本というか王道を踏まえていて、最低限素材の良さを堪能できる良品なんじゃないかと思います。



※ネタバレ所感

■村尾潤平(CV山下大輝)
冷やかされた恥ずかしさで一度は諦めるも已むに已まれぬなんとやら。

{netabare}洋舞祭りでの独断専行を一つの例にしてもこの主人公は自己顕示欲のかたまりなんですよね。分のわきまえなさって一線級の活躍するような頭一つ抜けた人は多かれ少なかれ持ち合わせてる資質ですけど、実際近くにいたらわりと困る。そんな主人公。
ここで幼少期の断念話に戻ります。いざバレエやると決めるまでの曲がり道がけっこう長かったです。リミッターは森流鶯(CV内山昂輝)に解除されるわけですが、その後の浮かれっぷりときたら。
先天的なものである“性格”を環境因子いわば後天的なものである“我慢からの解放”でブーストさせました。“骨格”至上みたいなとこ作中で説明されるくらい先天的要素重視なバレエにおいても後天的というか積み重ねや行きがかり上のものがうまく絡み合って今がある!みたいな展開が良かったと思います。{/netabare}


■一対一のキャラ相関がせつない
見てると各キャラ自分に足りないものや欲しいものを他の誰かが持ってるなんてことがザラでした。

{netabare}例えば主人公クラスなら“華のある”潤平と“華のない”流鶯。
逆もしかり。高さがあって正確な流鶯と低くて粗削りな潤平。
母から見放された千鶴は日本トップクラスのプリマとなり、寵愛を受けた真鶴はバレエとは別の道へ。
その子供たち。孫の五代都(CV本渡楓)と流鶯とでは呪縛のかかりっぷりが対照的。そして共依存。
プリマに向いてない五代都(CV本渡楓)と対照的な生川夏姫(CV福圓美里)。こちらも身長で逆転現象が。

『才能』『考え方』に留まらずいろんなものを、誰かスーパーワンな存在が総取りするのではなく、各キャラに凸凹上手く分配しているようでした。
それなりに主要キャラ多めな数ある作品の中でもAさんとBさんとの対比がところどころになされ過ぎていることはこの作品の特筆すべき点かもしれません。{/netabare}


最後に、男子が少ないゆえの希少価値。そんなよりどりみどりにガキの頃から気づいていたら私もモテ人生を歩めてたかも、と妄想ダンス。
…なーんてことを思いつつ、下心全開の本作主人公くんと干支何周りしてる私も似たようなもんだと目を細めるのでした(違っ)。

投稿 : 2025/04/12
♥ : 22
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