幻想的でSFなおすすめアニメランキング 4

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの幻想的でSFな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年02月06日の時点で一番の幻想的でSFなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

85.0 1 幻想的でSFなアニメランキング1位
ダーリン・イン・ザ・フランキス(TVアニメ動画)

2018年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (1081)
4732人が棚に入れました
遠い未来。人類が荒廃した地上で生き抜くために作り上げた巨大移動要塞都市では、名前のないコドモたちが戦うことだけを教え込まれながら、毎日を過ごしていた。コドモたちの1人であるヒロは、角が生えた謎の少女ゼロツーとの出会いを機に彼女のパートナーとなり、命を懸けた戦いに身を投じることとなる。

声優・キャラクター
上村祐翔、戸松遥、梅原裕一郎、市ノ瀬加那、田村睦心、山下七海、後藤ヒロキ、早見沙織、市川蒼、石上静香、小西克幸、井上麻里奈、堀内賢雄
ネタバレ

HmFDB75691 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

【総評】 ストーリーよりも予想や考察で楽しむアニメ

TRIGGERとA-1 Picturesが組んでロボアニメを作ったらこうなるんじゃないかって感じのアニメ。


第1話~第4話 一区切りしたのでレビューしてみた
{netabare}
ロボアニメにありそうな展開がつづいている。毎回レビューしたくなるほどではない。有名な制作会社が組んだのだから、もう少し個性的な作品にしてほしい。

コックピット内の下ネタ会話は個性的でいい。あとは、どこかで見たことあるようなストーリー。
用語を調べると、ピスティル/ステイメンはめしべ/おしべ。そんな感じと思ったよ。フランクスはフランクのことかな。搭乗者の気分や気持ちが現れるから。


この手のアニメにありそうな展開を予想してみる。

・だまされて戦わされている
・叫竜は人類が作り出した
・ヒロとゼロツーは以前会ったことがある
{/netabare}

第5話~第8話 ロボなしのほうが面白かったかも
{netabare}
第8話はこれまでのなかで一番よかった。ロボなしのほうが面白い気がする。どこかで見たようなロボバトルがあるために、ありきたりなアニメに思えてしまう。

このペースだと2クールか。ロボなし1クールラストにオチあり、としたほうがいい作品になったと思う。
{/netabare}

第9話~第13話 予想通り
{netabare}
ヒロとゼロツーは会ったことがあると予想したけど、その通りだった。
気になるのは、子供たちがいなくなるのと、ゼロツーが人間化していくのに関連があるのか……。ヒロを取りこまないから、元の姿に戻ってるとか、そんなことを考えてしまう展開だった。
{/netabare}

第14話~第16話 謎が多すぎる
{netabare}
謎が多くて、予想するのが難しい。
ネットでよく見るのが、001がいてゼロツーと叫竜の姫を争っているとか。だけど、ここにきて新キャラがラスボスかなあ。ナナがコドモのときのキャラの可能性はありそう。

ゼロツーが人間と叫竜に分かれて、ヒロがどちらかを選択するとか考えたけど、選ぶのは叫竜の姫と言っている……。
ただ、ゼロツーが人間化してるのは自制心ではなく、ほかに理由があると思う。ミクの老化(?)は都市にいる人と同じ現象だろうし、都市に人がいなくなったから、影響が及んだような。都市そのものがゼロツーを人間化させるためにあるんじゃないかと。

ヒロはゼロツーと搭乗して体に変化が現れたけど、あれは叫竜と同じコアができたのではないか。ゼロツーと搭乗した人間が叫竜になっていくとか。

ほかに思いついたのを書いてみる。あの巨大な手は兵器かなにか。見られたら困るものを隠した。七賢人は角があるか、人工知能。地球ではなく別の星で、コドモたちを使ってその星の生物と戦わせているとか。

気になるキャラは、ナオミ。キャラ一覧にもあるし、ヒロが気にかけているのも伏線と思われる。ミストルティンを去ったキャラの代表として、再登場するんだろうな。
{/netabare}

第17話 556+214=?
{netabare}
子作りアニメになってきた。
ナナも子作りしているなら、相手はハチだろう。だから、こんな計算式を思いついた。

7+8=15(イチゴ)、7×8=56(ゴロー)

すでにネットで同じことを考える人がいた。だから、だれも考えていないのを探してみた。

ナナの子作り遺伝子を引き継ぐならココロのはず。ココロがフトシを捨てた理由もあるはず。それを表す計算式が、これ。

556(ココロ)+214(フトシ)=770(ナナ)

つまり、ココロとフトシは、兄妹(番号から考えてココロが妹)。無意識に兄だと感じて、フトシを捨てた。
でも、よく考えたら、子供より番号がデカいのはおかしい……。
{/netabare}

色々予想してみた
{netabare}
ナナの相手はハチではなく、ミクが見つけた写真のなかにいる。眉毛が太い男だと予想している。

オトナは肉体を捨てたアンドロイドかな(微妙)。

ほかの謎は『パシフィック・リム』を参考に考えてみた。

地球は叫竜の星とゲートで繋がっていて、グランクレバスが出入り口。叫竜を送り込んで資源を吸収している。
地球を救うために、叫竜の姫はゲートをくぐってやってきた。そのときに乗っていたのが、フランクスに似たロボ。
絵本のようなことがあったあと捕まる。同調されたりして、叫竜の目的を知られる。
叫竜の星を攻撃するためにフランクスを量産。姫のDNA(鍵)がないとゲートをくぐれないため姫からゼロツーを作る。
9'sは叫竜のコアで運ばれてきた叫竜星人。姫を助けにきて、居場所を教えてもらうまで従っているふりをしている。

謎の大部分が解決するけど、さすがにここまでパクらないだろう。もしかしたら、『パシフィック・リム』をパクっていると思わせるミスリードかも。
{/netabare}

第18話 痛ッ、が伏線だろう
{netabare}
ココロがナナと同じ境遇になるのはわかりきっている。衝撃回と思った人はいないだろう。だから、1話使うのはもったいない。謎が多いわりには進み方がスローペース。全部回収できるのか。

ナナのパートナーがハチでないのは予想通り。あとは眉毛が太いかどうか。回想シーンとミクが見つけた写真を比べてみた。メガネの男は共通しているけど、あとはあまり似ていない。ただ、ココロと同じように、ナナは髪をいじるのが大好きかもしれない。

あと、指輪を外そうとして、「痛ッ」で思い出す。たぶん、伏線。
{/netabare}

計算式を考えてみた(196-015=?)
{netabare}
イクノが百合とわかり、数字にもなにか隠されていると思って、探してみた。

現在のパートナー、フトシをどう思っているか。

214(フトシ)-196(イクノ)=18(いや)

ココロに捨てられ、イクノにも嫌われているようだ。
イチゴが惚れているヒロに対して、どう思っているか。

196(イクノ)-016(ヒロ)=180(いや)

やっぱり嫌っているようだ。
では、本当にイクノはイチゴに対して百合なのか。

196(イクノ)-015(イチゴ)=181

これを(強引に)漢字に変えると、百、八0(八と0)、一。並べ替えて縦にすると……。






百合という漢字が出現。やっぱり、百合だった。
{/netabare}

色々予想してみた2
{netabare}
推測する材料が乏しいので予想するのが難しい。まずは、叫竜がどこからきたのか考えてみる。

(1)別の惑星
これは前に書いたので省略。ただし、人類が移住してきたパターンも考えられる。その場合、プランテーションは移民船。

(2)感染
ヒロの竜化が感染なら、地球上の生物が叫竜となった可能性もある。七賢人のセリフは、感染をおそれて肉体を捨てたと解釈できる?叫竜の姫は抗体を持っているとか……。

(3)ガイア理論
地球の自浄作用により現れた。アニメによくあるガイア理論。マグマ燃料と関連があるかも。

宇宙からの襲来とか、地底や海底に潜んでいたのは、ちょっと古いかな。AIの仕業にするのが一番簡単だと思う。

つぎは、巨大な手について。
あれだけデカいのだから、全身は相当なもの。脅威になるのは間違いない。完全体になっていないか、拘束されているか、伸ばしたら手だけが届いたか……。叫竜を運ぶものとも考えられる。

あとは、恋愛や子作りは意図的な気もする。なんらかのシナリオがあって、恋愛するように導いたとか。フランクスもそのひとつ。
{/netabare}

第19話 太い眉毛が伏線か……?
{netabare}
ネットでは、某アニメのパクリと騒がれているが、『パシフィック・リム』にも似ている。二人乗りに変えたところとか。

謎が明らかになったように見えるけど、肝心なところはスルーされている。むしろ増えた気もする。

・遠い未来?
HPに遠い未来と書かれているけど、数十年は近い未来だろ。

・ご都合主義的なマグマ燃料
今回の説明だけで終わらないと思う。一般的なマグマとは無関係と言える。

・パイロットに生殖能力が必要
ロボ動かすのにそんなの必要ない。この点から考えても、人類が製造したものではないとわかる。


今回気になったのは、博士の嫁、カリナ。眉毛が太い。当然、二人も子作りしているはず。となると、こう予想できる。

博士とカリナの子供→ナナのパートナー、ナナとパートナーの子供→ココロとフトシ

こうやって太い眉毛が引き継がれていった……。
子作りしていくほうが美しい、というオチにもなる。
{/netabare}

【考察・予想】遠い未来について
{netabare}
百年程度は近未来の範囲ではないか。それと気になるのは、西暦がない点。公式HPの解説も2025年だけ。西暦2025年とか、AD2025とするのでは。ほかのロボアニメのHPを調べたが、西暦はついている。

文明が滅んでから2025年後、別の惑星に移住してから2025年後ではないだろうか?

遠い未来にも合致する。
しかし、オーストラリアやアラスカといった名称が出てくる。疑問を持たずに見れば近未来の地球で、西暦は省略したと解釈されるが、"遠い未来"の疑問は残る。

・文明は滅んだが、人類の記憶からは消えている
・別の惑星に移住したが、地球と思いこませている

強引ではあるが、こういう解釈もありうる。
次回は特番なので、三つのパターンで考察でもしてみようと思う。

1.西暦2025年(近未来の地球)
2.文明が滅んでから2025年後(遠未来の地球)
3.別の惑星に移住してから2025年後(遠未来の別の惑星)
{/netabare}

【考察・予想】謎を解く鍵はミツバチか?
{netabare}
叫竜の姫がオスのDNAを取り込んで、新しい生命を生み出したという計算式を思いついた。

叫竜の姫(001) + ハチ = 9's

"ナナ+ハチ=イチゴ"から、9'sがイチゴに興味を示す理由がハチだと推測できる。ただし、ナナハチには恋愛感情はないだろう。

さらに、恐竜から叫竜、博士の左腕から巨大な左腕が生み出された。

「働き蜂はすべてメス」。叫竜がメスなのはここからの発想だろう。ミツバチは蜜を集めて巣に戻り蜂蜜を作る。蜜にあたるのが地球上の生物(恐竜や人間)で、蜂蜜がマグマ燃料。叫竜の姫はオスのDNAを取り込んで新しい生命を生み、マグマ燃料で育てる。

・恐竜のDNA+恐竜マグマ燃料→叫竜
・博士の左腕+恐竜マグマ燃料→巨大な左腕
・ハチのDNA+人間マグマ燃料→9's


ローヤルゼリーを与えられて女王蜂が誕生する。ローヤルゼリーは花粉から作られる。花粉はオシベ(ステイメン)から出る。ゼロツーと搭乗する男はローヤルゼリーで、新しい女王を作るため。ゼロツーが餌と言っていたことと合致する。あと、ツノではなく触覚かもしれない。
{/netabare}

【考察・予想】コドモは遠い親戚か?
{netabare}
ヒロイチゴの10番台は、一桁のコドモ(ナナハチ・カリナも?)の組み合わせで生まれた。
メンデルの法則なら、ナナハチがP世代、ヒロイチゴがF1世代となる。

P世代とF1世代を交配させ、コドモを増やす。さらに、そのコドモとコドモからコドモを……と何世代もつづけていった。その結果、老化現象が起きた。F1であるヒロイチゴには起きず、ほかの子より感受性も高い。

兄妹といった血のつながりが強いと、フランクスのパイロットとして支障が出る。その例がココロとフトシ。兄妹の可能性は低いが、どこかでつながっているのだろう。ヒロとミツル、イチゴとイクノも遠い親戚だと思う。あと、ココロ、ミツルに老化がなければ、奇跡的な交配を経て結びついたと言える。

F1は毎回作っていたと思う。リーダーにもなるし、パイロット適性も高いから。そのほかのコドモはできるだけ血縁にならないよう交配していった。コピーではないのでナナのようなフラッシュバックもない。

現在は40世代目。ヒロの正確なコードはFP40-T3NL-016で、FP-40はフランクスパイロットの40世代目と考えられるから。
たくさん生まれても適性がないコドモばかりになる。だから、長い期間を経て、少しずつ増やしていった。一世代に15年かけたとしても、現在に至るまで600年かかる。現在は、西暦2700年くらいか。これなら遠い未来と言える。
{/netabare}

【考察・予想】予想が難しい三つの謎
{netabare}
第20話の予告を見たけど、転校生の女の子がヒロにキスして、幼なじみのゼロツーが激怒、みたいな感じだった。叫竜の姫がオスのDNAを取りこみ、新たな生命を作るという流れか。博士が作りたかったのはヒロ(竜化したオス)で、ゼロツーはそのための道具だった……そんな展開を予想してしまう。


マグマ燃料、叫竜の姫、七賢者は、推測する材料が少ないので予想が難しい。ただ、繋がっているとは思う。

・マグマ燃料
地球にあったとは考えにくい。外から持ち込まれたはず。高度な文明をもった女だらけの移民船が、生物のいない地球にたどりつく。DNAといったデータだけを残し、肉体は大地にささげ、マグマ燃料となる。マグマ燃料のおかげで緑豊かな星へと変わり、生命が生まれる。

・叫竜の姫
人口生命体で、巨大な宇宙船のなかにいる。オスのDNAを取り込み、新しい生命を作る。生物の進化を担っている。マグマ燃料が枯渇すると、大地が荒廃するため、叫竜に命じて取り戻す。いわば、自浄作用。

・七賢者
AI。移民船のデータを戻せる生物が現れるまで進化を見守る役目だった。しかし、長い時を経て創造主になる野望を抱く。叫竜の姫を取り除き、従順なゼロツーと取り換えようとしている。博士と七賢者の思惑は、ゼロツーを作る点では一致するが、そのさきは別だと思う。


次回は、 叫竜の姫を倒しにいくんだろう。倒すのは9'sかな。伏線としか思えないナオミも出てきそう。
{/netabare}

第20話 古典回帰に意表を突かれた
{netabare}
地球が住める星になるまで移民船が待機しているとか、叫竜のコアで運ばれてきた叫竜星人とか考えたけど、古すぎると思った。叫竜星人なんか書いてるとき苦笑だったよ。

地球を舞台にすると、どうしても宇宙からの襲来になってしまう。ゲートを使うとか工夫して、「あっ」と驚くものがほしかった。「ええーっ」だったので。
面白いことは面白かった。ネットでは賛否両論。じょじょに評価が下がりそうな気はする。

とりあえず、叫竜の姫と七賢者の謎は解決した。この二つは伏線が少なく難解だったので。叫竜が乗り物だったのは意外ではないが、進化するのはやられた感じ。進化するから叫竜の姫から生まれる生物と考えてしまった。

意外だったのは、ココロが指輪を外している点。「痛ッ」は伏線だと思うので、はめたときに思い出すんだろう。
気になったのは、叫竜の姫を見たときのヒロのフラッシュバック。これは考察してみたい。
{/netabare}

【考察・予想】OPの伏線回収か?
{netabare}
冷静になると、また考察したくなった。VIRMについてちょっと考えてみた。

叫竜人がいるなら、VIRM人だっているよね。ツノがふたつはVIRM人かもね。高度な科学力があるから、謎も簡単に解決……というわけで、VIRM抜きで考察することにした。


博士が言った「また持って行かれた」ものは、叫竜の姫。こう推測できる。

最初に博士が会った叫竜の姫はオリジナルで、001はコピー。

博士が作ったものにだけ、コードがつくと考えるほうがすっきりする。

オリジナルを持って行ったのはだれか?
VIRMとは考えにくい。この時点で現れたなら、七賢者が全員VIRMを認識しているはず。

オリジナル(叫竜人の女性)は、巨大な"左腕"(叫竜)になった。たぶん、ナナがいた部隊との戦闘で。

姫のパートナーは絵本の王子(竜化した人間の男)。

001は巨大な"右腕"になり、両手でゼロツーを受けとめる。ゼロツーは空を飛ぶ必要があるので、大槍に乗り込む。

エサは進化のためのデータで、姫は腕だけ、ゼロツーは全身(人間の男)を得た。ゼロツーは人間になれるが、人間の姿をした叫竜というオチ。詳しくはつぎの考察で書く予定。
{/netabare}

【考察・予想】第21話の予想
{netabare}
ヒロの体内のコアや知性のないスタンピード・モードは、叫竜になる前段階と推測できる。戦い続ければ、ヒロはコアになり、ゼロツー(正確にはストレリチア)は叫竜に進化する。

20話ラストのトラップは叫竜の姫のDNAから作られたと考えられる(高度な文明にしてはセキュリティーが脆弱)。DNAを変えるために、001は右腕(叫竜)になると予想。

第21話は、こんな感じかな。
ゼロツー大槍に乗り込む→001右腕になる(つがいがなくてもいい)→VIRMによって大槍大破→巨大な両手がゼロツーを受けとめる→ヒロのコアで大槍再発進(比翼の伏線回収)
{/netabare}

第21話 絵本の結末はどうなるんだ?
{netabare}
ゼロツーがなにかに乗ることはわかったけど、姫の叫竜だったとは……。叫竜に認められたのか。OPの両手受けとめが回収されてるのかも。

勢いに押されて気にせず見てたけど、あとから考えるとけっこう雑。
スターエンティティのためにゼロツーを作ったにしては、扉があかないとか、三人になれば何とかなるとか、もう少し練ってもよかったのでは。

今後は、アパスのなかで眠り続けるゼロツーを、ヒロが起こしに行くという展開か。ゼロツーが考えた絵本の結末があるので復活するんだろう。絵本だけ残ってる可能性もあるけど。そのあたりは少し考えてみたくなった。
{/netabare}

【考察・予想】今後の展開を予想してみる
{netabare}
第21話のラストは絵本の結末に沿っただけ。このあとゼロツーの考えた結末につながると思う。ゼロツーがハッピーエンドを考えたなら、このアニメもハッピーエンドになる。
例えば、生まれ変わりなら、ヒロとゼロツーも未来に転生し、こんな感じになる。

「遅刻、遅刻ぅ~」と言いながらパンを咥えて走るゼロツーが、ヒロとぶつかり尻もち。「パンツ見たでしょ」「見てない」と言い争っていると、空からVIRMが襲来。地下で眠っていたアパスが出現。起動因子がキスだと気づいて……。

第1話の魚を咥えるゼロツー、パンツを見つけるヒロという伏線(?)の回収にもなる。
{/netabare}

【考察・予想】気になる二人の結末を予想
{netabare}
パンを咥えて走るゼロツーを期待してるけど、予告を見る限りでは難しそう。
ゼロツーが考えた絵本の結末とヒロが描いた変な王子。この二つをどう扱うか。転生後の王子として絵本に登場できると思うんだけど……。

計算式も使って予想してみる。

ヒロ(016) + ゼロツー(002) = 18

漢字にすると、十八。さらに合体させると"木"ができる。
荒廃した地球を覆う巨大な連理木(れんりぼく)になる?

気になる二人が木になるか微妙だが、裸で抱きあうシーンはありそう。
{/netabare}

第22話 あれって、飛べるんだ……
{netabare}
絵本とつながっているのは予想通り。ゼロツーはアパスのなかで眠ってヒロが起こしにくると考えたけど、戦っていたか。アパスは迎撃システムじゃないのか? 「じつはこのアパス、空も飛べるんだ」というセリフを姫に言わせるべきだろ。

絵本にはまだ空白があるから、結末は変わる可能性があるし、変な王子も回収されていない。ただし、だれが書くのやら。
ナオミの伏線が回収されたけど、期待したものとは違うなあ。ヒロと再会させるキャラだろ。

ゼロツーがアパスに取り込まれたのは、スタンピード・モードだから。解除すれば戻れるんじゃないか。攻撃されて、アパスからストレリチアを切り離す気はする。そのとき肉体がないと、ゼロツーが戻れなくなる。だから、連れて行っている可能性が高い。

ゼロツー(肉体)も連れて行くのか、ココロの出産と火星に着くのはどちらが早いか、といった点を考察してみたい。
{/netabare}

【考察・予想】次回の展開を予想してみる
{netabare}
ココロの出産は最終回かな。ただし、絵本の読み聞かせのほうが絵になる。火星には一週間で着きそう。帰還できそうなのは、イチゴ(&ゴロー)。ただ、荒廃した地球に自然をよみがえらせる役目をヒロとゼロツーは担っている気はする。

ゼロツー(肉体)は連れ行くと思う。地球に残したままだと、ヒロが帰還しないといけないし、チュッチュできない。アパスに乗り込んだあと、スタンピード・モード解除。ゼロツー復活。攻撃を受けてストレリチア単体で敵本体に突入か。
{/netabare}

第23話 結局ラストは『パシフィック・リム』
{netabare}
ゼロツーの合流(というか融合)は笑えた。笑えるという意味では面白かった。
ゼロツーはこのアニメの顔ではあるが、アパスの顔にするのは微妙。擬人化させた感じ。アニメって好きだよね、こういうの。「地球に帰ろう」とか言ってるのもツッコミたくなった。ゼロツーアパスで畑を耕せば効率は上がるけど。

ゲートについては以前予想で書いた。結局、ラストは『パシフィック・リム』。映画では持参した爆弾を使ってしまい自爆を選び、パイロット二人が脱出する終わり方だった。このアニメもそんな感じになりそう。

ただ、このまま地球に戻っても体格差がありすぎて結婚式はできないので、転生ハッピーエンドの可能性が出てきた。
{/netabare}

【考察・予想】最終回を予想してみる
{netabare}
途中までは『パシフィック・リム』と同じになるだろう。持参した爆弾は群がる敵に使ってしまい、自爆を選ぶ。アパスの大きさから考えて威力は相当なもの。そのあと、ヒロとゼロツーがどうなるか。

1.都合よく地球に戻る
自爆寸前で姫の思念体が現れ、「あとはわたしに任せろ」とおいしいところを奪っちゃう。
ヒロとゼロツーは都合よく地球に戻り、しかも人間の体になっている。

2.ココロの双子として生まれる
結婚はできなくなるけど。

3.転生してハッピーエンド
エンディングが流れる数分間で、出会いから結婚まで演出。

ただ、人間ではなく、それを超えたところで結ばれるのがテーマなので、人間以外の可能性が高いかな。桜の木とか。
あと、気になるのは絵本の結末をだれが描くのか。ココロかイチゴかな。
{/netabare}

最終話 ほぼ予想通りの結末
{netabare}
桜の木、絵本、転生、これらのキーワードで予想していたから、ほぼ予想通りの結末。逆に言えば、わかりやすい面白みのない結末だった。

ラストシーンはきれいに収めた。散々視聴者をかきまわしたのだから、最後も意表をついてほしかった。
入学式に遅刻してパンを咥えて走るゼロツーを見たかった。八年後では転生としては早すぎるか。パンが出てきたときは期待したのに……。

まえにも書いたけど、ゼロツーが人間にならずに結ばれることがこのアニメのテーマだと思う。人間に転生したのは、ハッピーエンドを求める視聴者におもねった感じがする。

あと、巨大な腕は謎のままだけど、最終回を見た感じでは、ナオミの腕から進化したのかも。ミストルティンをよけた理由にもなる。説明がないのでなんとも言えないけど。

総評はそのうち書く予定。
{/netabare}

【総評】 ストーリーよりも予想や考察で楽しむアニメ
{netabare}
ゼロツーにウェディングドレスを着せたほうがよかった。

観終わって一番強く思う。
ロボなしでキャラだけのやり取りのほうが、いい作品になっただろう。

『パシフィック・リム』をパクったのがよくなかった。
("パクリ"と書いているが批判ではない。オマージュより見慣れているし、字数が少ないので)

『パシフィック・リム』は、二人乗りのロボで怪獣を倒す話。最後は怪獣がゲートをくぐってやってくるのを知り、爆弾でゲートを壊そうとするんだけど、途中で使ってしまい自爆。パイロットの二人は脱出してハッピーエンド、というシンプルで面白い作品。

これに余計なもの(VIRM)を入れたのがこのアニメ。
しかし、VIRMがないと、怪獣が叫竜になっただけの丸パクリになる。丸パクリになってしまうから、VIRMを入れたのだと思う。その結果、シンプルさを失い、評価も下げてしまった。


多くの視聴者を感動させたヒロとゼロツーの幼いときのエピソードも、パクリを疑っている。

監禁されている女の子を男の子が助けて一緒に逃げる→大人に捕まってしまい記憶をなくす→成長してから再会し、あることがきっかけで記憶を戻す

これは某ドラマのあらすじを書いただけである。よくあるストーリーでパクリと言えないなら、テンプレに視聴者は感動させられたことになる。


結論としては、パクリ部分によって評価を上げたが、オリジナル部分によって下げたと言える。謎を残したままなのも爽快感を削いだ。オリジナルアニメではよくあることだけど。

ただ、予想や考察ができ(2クール目からだが)楽しめた。
考察した人かわいそう、というコメントを見かけるけど、考察もせずに最後まで見た人は根気のある人だなって思う。
競馬で走っている馬をただ見ているより、予想したほうが楽しめる。このアニメも予想や考察で楽しめると思う。
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 16
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

船頭居なくて船進まず

2話までの感想{netabare}
ギャグなのかシリアスなのか判断に苦しむ。
そして自分はそういうのって結構好きだったり。
このプレッシャー…小池一夫か?
「どうしてエレクチオンしないのーッ!」「オレは…ゼロツーとじゃないとエレクチオンしないンだ」

これは天使の3Pや“宇宙より遠い~”を見てても思ったことなンだけど、色仕掛けをするのって女性側もスッゲー緊張するんじゃない?
もし反応しなかったら沽券に関わるというか。
(本家の「どうしてエレクチオンしないのー!?」はそれでプライドへし折るシーンな訳だけどさ)
ただのフニャチンじゃなくて「お前では勃たない」だからねぇ…いやぁ怖い怖い、刺されても文句言えんぞ。{/netabare}

余談・園芸ネタ{netabare}
2話で演習をしたロボットの機体名がストレリチアとデルフィニウムで「ん?」と思いまして。
ストレリチア→極楽鳥花、デルフィニウム→大飛燕草って和名がある植物の名前でして、「ああ、鳥絡みの名前なのね」ってのは瞬間的に思いました。
が、残りの機体名は聞き覚えが無いので「植物以外で、やっぱり和名宛てると鳥関係の何かなんだろうなぁ」って思って関心を持つことはありませんでした。
が、やっぱりなんか気になって調べてみました、公式のページ見ながら。

まずアルジェンティアだけど、「argentea 花」でググってみたところケイトウ(鶏頭)がヒット。
って、ケイトウなんて属名のセロジアまでしか覚えてないって、種小名はカンベン(っていうか属名はダブりNGだけど種小名はダブりOKなので厄介)。
ニワトリって漢字入るしロボのデザインもそれっぽいし、これで合ってるんじゃないかな。

次、ジェニスタ…ググったらヒトツバエニシダだった。
これは純粋に知らなかった、エニシダはエニシダでしか覚えてないや。
エニシダは漢字で書くと金雀枝、うん、鳥入ってる。
とはいえロボのデザインにはどこにもエニシダっぽい所は見当たらないような…?

最後はクロロフィッツ、綴りはChlorophtumでクロロフィツムだと思うんだけど、オリヅルラン(折鶴蘭)でした。
これも学名までは知らなかった…5種類の中で一番目にしてるのにね、近所でもよく見かける。

ってことで結論。
ロボは「和名にすると鳥の名前が入る植物の名前」で機体名が統一されてる。
デザインもそれに即してる感じではあるけど(ストレリチアの青い角はまんまソレだし)、そこまで徹底的ってほどではない。
エンディングのタイトルもトリカゴだし、何か鳥に意図があるのかも知れない(無いかも知れない)。
ここら辺はインタビューとかで普通に話してるのかも知れないけどねー、気付いたので調べたって感じです。{/netabare}

6話までの感想{netabare}
「13都市のフランクスは特別だ」と言われてたので、では量産型とどう違うの?と気になってしまうのは自然な流れ。
ひょっとしたら搭乗スタイルからして違うかも?と思ったら…量産型のコクピット内(搭乗者2人が1画面に収まってる画)見せないでやんの。
わざわざ見せるまでもない、大した違いは無いってことなんだろうけど…。。
「描かなきゃアカン」ではなく「描かないよりは描いた方が良いよねー」程度のことではあるけど、描くの面倒だったのかな?

それ以外は「まぁこんなもんじゃないの?」って感じ。
まだ話が動いてないので…次回から動き始める、のか?{/netabare}

12話までの感想{netabare}
まず↑の“2話までの感想”で小池一夫に触れたけど説明がイマイチだったので改めて説明。
小池一夫の真骨頂といえば、冷静に考えたらオマヌケな姿──大抵は全裸で股間エレクチオン状態──なのに真顔で難しいことを言うトコロ。
「そんなこと言うがお前その格好じゃ説得力ないよw」とついつい突っ込んでしまう、ギャグなのかシリアスなのかよく分からん微妙さが面白い。
これは時計仕掛けのオレンジのドルークと同じ系統かと。

で、ダリフラはメカに乗って戦闘して、危険な目に遭ったりシリアスな展開になっても「そうは言っても搭乗姿ってアレなんだよなぁ」と吹いてしまうのを楽しむものなのかな?と思ってまして。
なのだけど…あれ、そうじゃないかも?
というのも、今度は↑の“6話まっでの感想”で触れた「コクピット内(搭乗者2人が1画面に収まってる画)」が、7話以降も殆ど出てこない。
こうなってくると「設定上は立ちバック姿だけど1話で興味を引くためだけで、もう見せません」ってことなのか?と思い始めたり。
また、搭乗中の女性パイロットの顔すらも滅多に見せない、それを見せる必要があるシーンではロボットの表情で代用。
なんか「極力コクピットの中は描きたくありません」って意思がひしひしと…同時に、ロボの顔のデザインはそのためか?とさえ思えてきました。
女性キャラの表情描くのとあのメカの表情描くのどっちが手間か?って考えると前者っぽいし、結構初期の頃から省力ポイントは練られてたのかも。
で、立ちバックシーンは手間かかる部分になると思うので、もうマトモに描かれること無いかも?
「わざわざ立ちバックって設定にしたんだからもっと描けよオラァン!」と言ったら「ハイ、コクピットの中をなるべく描かないで済むようにロボの表情とシンクロするように設定しました。これからもこの設定を活かしてコクピット内を見せずにロボの表情で表現するようにします」と返された感。
ボクはどんな表情をすればいいのだろう。

そして話グルっと回って小池一夫の件、立ちバック見せないんだったら「ギャクなのかシリアスなのかよく分からん微妙さが面白い」って点に於いては条件を欠いてしまいます。
ありゃこれは参ったね…そして話はなんか“地球へ”みたいになって来てるような?
嫌いじゃない、むしろ好きな部類の設定だけど、前期(2017、10~12月)でもクジラっていう“地球へ”モドキ作品があって大コケしたばかりなので、大丈夫かなぁと不安ががが。{/netabare}

16話までの感想{netabare}
いや参ったね、13話終わった段階で感想書いておけば良かったか。

まず13話、途中まではまずまずの出来だったのに、オチがちょっと…。
「記憶消されてたのを(内容も一緒に)思い出しました」って、まてまて。
記憶操作自体がデウスエクスマキナに片足突っ込んでると思うんだよね、そんな設定あるなら途中どうとでもできちゃうじゃん、と。
というかそれだけで一つの作品作れるくらいのドデカいネタで…同期に放送してるものならウィクロス、カリギュラはちょっとまだ不明、公式の動画がネット上にずっと上がってる物としてはモンストアニメ(一期)とか。
なにより「記憶消されてたこと自体記憶にない」「記憶を消されてたことは分かるがその内容は思い出せない」「記憶消されてたことは分かるし、その内容も分かる」と、段階があると思うんだ、左から重篤。
ウィクロスやモンストはこの真ん中の状態がデフォで、一方のダリフラでは…左から一気に右まで行っちゃってない?
段階すっ飛ばし過ぎじゃない?
この雑さがどうにもデウスエクスマキナ臭に感じてしまい、3話はとても褒められたものではありませんでした。

そして15話ではヒロとイチゴでデルフィニウム動かせて「!?」に。
「ゼロツーの想いが流れ込んで来るー」って、フランクスにはそんな機能あったのか。
また、その場面のイメージ映像では13話の幼少時の出会いシーンはナシで、「これじゃあ馴れ初めは他人には分からないままなのかな?」と思ったら16話でしっかり「二人に何があったか分からないけど」みたいなことをイチゴが言っててそれは評価。
うん、そこは評価する、評価するけど…16話さ…

大切な思い出を消したヤツに、なにか思うことないの?(※)

ってのがすっごい引っかかってしまいまして。
なーんにも思ってなさそうなのが違和感ありまくりで…「てめぇよくも」ってのもさることながら、「思い出したのはあれで全部だろうか」とか思ったりしない?
もっといえば「大人達はいつでも都合のいいように記憶を操作できる。今こうしてる間もなにか洗脳が施されてるのかも知れない」って思わない?
これは“ゆゆゆ”でも思ったことだけど、今ある自分の記憶は本物だろうかって不安にはならないのだろうか。
記憶操作できる存在から「もうそういうことはやってないししません」って保証取りつけてないんだぞ?(証言だけではダメだぞ)
結局これって、キャラの身になって物を考えてない、物語の都合でキャラを動かしてるだけ、もっど悪い予感がするのは「他の作品の印象的なシーンを継ぎはぎしただけ」に思えてどうにもこうにも。
記憶操作ネタはホント慎重に扱わないとアホっぽくなるだけなんで…。

まだ最終回迎えてないし、文句ではなく今後※の問題へ切り込んでく展開になってくれたらいいなぁ~ってことで。
パパへ不振を抱かない(そういう発想が浮かばない)こと自体が既に洗脳されてるってことなんかなぁ?
一応「いただきますの時にパパへの感謝の言葉を言わない」と洗脳がほぐれつつあるような描写はあったけど、き、期待して、大丈夫、なのか??{/netabare}

19話までの感想{netabare}
これってちゃんと何人もの目を通して推敲したのかなぁ?
マグマエネルギーで不老不死→わかる、っていうか突っ込むところではないだろう
不老不死の施術をすると生殖能力を失う→わかる、減数分裂しないとか受精卵が育たないとか起きるだろう
生物学者が対叫竜兵器作った→わ、わかる、そのせいでロボっぽくないロボになったってことの説明にもなる、かな?
フランクスの操縦は「生殖能力をを持ってないと無理」→ん?

そこは「不老不死施術を受けた者では操縦できない」じゃないの?
引っかけかなぁ?
生殖能力の有無だけで言えば、不老不死施術したかどうかは大した問題ではなく…あくまでいち集合でしかない。
要は作中の言い方では、あたかも「お前がそう設計したんじゃん」って印象が強くて。
これが「不老不死施術を受けた者では無理」って言い方なら「意外な副作用」として受け入れやすいのに。
流れで理解できなくもないけど言葉のチョイスが悪い。

それとやっぱり↑でも指摘したけど、ヒロ達は何をもってして自分の記憶は正しいと思ってるんだろう?
ひょっとしたらその感情さえ操作(作り出されたもの)されてるかも知れないぞ?
視聴者(神の視点)から見れば「嘘じゃない」ってのは分かるけど、キャラクターはそれの確認のしようがない。
どうもやっぱり描きたいシーン優先でキャラに立ってモノを考えてない臭がする…なんかレクリエイターズを彷彿とさせる。

あとちょっと専門的な話になるけど、「(叫竜は)女性が持つ染色体XXが含まれる~」とかなんとか。
え、どうやって!?
ホニャララって生物の遺伝子と酷似してるとかで性染色体の存在が判明したはいいとしても…ホモ結合だからってメスとは限らんぞ?
生活史分からない状態でXY型とZW型(またはそれ以外)って判別できるのか?
まぁそれ以前に…対立遺伝子かよw倍数体かよwwwww
そこまでやったら2n=いくつかまでやりゃあいいのに…今後やるのかな?シローとか出ないの?
ってかフランクスの機体名に植物の名前付けてるが、どれも雌雄同株なんですがそれは。
特にクロロフィッツ(オリヅルラン)は栄養生殖(無性生殖)の代表選手みたいなもんで…あ、それイチゴもだ。

なによりビックリなのは、あんな世界になってからそんなに時間経ってないこと。
居住区の住民がツガイで生活してるのは大昔の慣習引きずってるせい…と思ったら数十年程度しか経ってないという事実。
居住区民って記憶操作されてるのかな?
ってか“ビートレス”で疑問に思ってることの正反対でおかしい方向に振り切っちゃってて…。
不老不死化→労働の不必要化→ガリアンのランプレート人化
分からんでもないけど、途中に「インフラの自動化」が無いとどうにも釈然としないというか。

間すっ飛ばしてる感というか、既存作品の切り貼りでそのパーツ同士の隙間を埋める部分が雑というか…既存作品の知識を持って「説明しなくても知ってるでしょ?」って振舞ってる感。
パーツの隙間を埋めることに苦労してた既存作品を蔑ろにしてるみたいでどうにも感じ悪い。{/netabare}

21話までの感想{netabare}
ペアのうち片方がフランクスから離れた場所に置かれて、もう片方のペアの待つフランクスに辿り着いたら勝利って展開多いっすね。{/netabare}

23話までの感想・ガンダム本編でMS少女は止めろと言っただるるるろおおお!!!?(言ってない){netabare}

くっそう、思い出せない。
エヴァじゃなくトップ2じゃなくて巨大ロボだかなんだかが美少女の顔になるのって何かあったよねぇ…なんだっけ?(武装神姫のアテナじゃないなぁ、途中から突如そうなるヤツ)
思い出せないってことは大した作品じゃないってことかな、もしくは記憶違い?

いやさぁ、こういうのってすっごくキモいと思うんだよね。
アニメの方は何だったか思い出せないけど、一方でゲームは思い出しました…怒首領蜂大復活を見た時、あん時ぁ吐き気を催したぞ?
エスプやムチムチポークには文句は無いが(といいつつメーカー違うけどエグゼリカは寒気を覚えた)、なぜに首領蜂でボスを美少女化するかねぇ、と。
まるでコンマイみたいだあ、って…気になってさっきググってみたら首領蜂はすっかり美少女コンテンツになってるのねー。
ピンクスゥイーツじゃダメなのか。

デク「ケイブも生き延びたいからなーっ!」
ドバ「そうだった…」

と、別にゲームの文句ここで言ってもしょうがないのだけど、ああいうのが商売として成立してるからには支持する人が居るってことでしょう。
むしろそれを「うっ」て思う自分の方が稀なのか?
でもってダリフラのスタッフはそういうのが大好きな方達だった模様。
アイマスが大好きって段階で気付くべきだったかー、しっかしそうはいっても明貴美加だってTPOは守ってたと思うんだが。
最初から「そう」なら文句は無いんだ、引っ張って満を持して「どうだ」と出してきたのがコレだと「ええ…」とドン引きでして…。{/netabare}

最終回まで見て{netabare}
ひっどいなこれ…。
何がどう酷いのかひとつひとつ説明してくのはこっちも辛いんだけど、全体の雰囲気としてはコメルシやビビオペっぽい。
って、ビビオペとプロデューサー同じだって!?
…。
作画上がりの新人(?)監督潰しが得意なのかな?
オリジナルやりたいなんて言い出さない様に、大人しく原作モノを粛々とこなす様に叩き潰すためのこの企画だったんじゃ…。

見当違いかもしれないけど自分が肌で感じるのは、監督自身の「アレやりたい」ってのもさることながら、下の者から「あれ入れようコレ入れよう」と注文が来たら首を横に振れない人なんじゃないかな。
ここら辺がコメルシっぽいんだよね。
しかもそう進言する連中なんて社会の底辺を這いずる“アニメで育ったアニメーター”ばっかりで、結局「どこかで見たアレ」しか出てこないの。
で、作監上がりの監督は不必要な物を「要らん」とホチキスで止めてゴミ箱へ捨てる(宮崎駿)ようなこともできずに全部作品に入れちゃいましたー、みたいな。

思わせぶりなシーンはあるけど全部投げっ放し、木曜洋画劇場の予告だけ見てる感じ。
こういうのってあんまここで書くのは適切じゃない気がするけど、エロマンガとかよく見てみると、その作家の得意とするポーズってのがあるみたいで、クライマックスのシーンがどれも同じポーズなんてのがよくあったり。
恐らく編集からあれこれ言われるのが弱いジャンルだからだと思うのだけど。
要は意識的に違うものを書こうと心に強く持ってないと、手癖と言うか、いつもの書き慣れたものに収束しちゃう。
ダリフラも「どこかで見たアレ」の殆どがガイナで、以前描いたことがあるんだからそりゃ再び描くのは楽だしついついそっちに流れちゃうんじゃないかな、意識をちゃんと持ってないと。
で、監督はアレ入れようコレ入れようで頭がゴチャゴチャして強く意識しておくことを忘れちゃった、みたいな。
で、そこで「あんたブレてるよ」って指摘するのがプロデューサーだと思うのだが、なんかそれを怠ってるっぽい、これまで関わってきた作品(レクリ、ビビオペ、プラメモ)の傾向見てみるに。

まぁなんつーか、原作モノならまだしもオリジナルをやるには無茶だったっつーか…ビビオペの高村と同じ道を辿りそうで。
見てるこっちが心苦しくなるというか、あんま強く批判する気も起きないけどお勧めする気もありません。


追記
そういやコミカライズの方はとらぶるの矢吹でしたね。
ある意味お似合いっていうか、矢吹も通った道なんじゃ…。
とらぶる無印は、それこそうる星よろしく後先考えずに次々と新キャラ・新設定をボコボコ突っ込みまして。
けどダークネスになってそりゃアカンと気付いたのか、それまで出しまくったキャラ・設定をどうにか回収することで「あれは伏線だったんだ」ってことにしようと尽力した形跡がよく見て取れます。
これは多分長谷見沙貴の力もあって、話飛ぶし以前もどこかで書いたけど“もえたん”のオーコメで長谷見沙貴出てて、まぁ大抵は戦車のアレのよいしょ(アクタスなんで)なんだけど反省会も展開してて、序盤にケータイで変身するシーンで「これ設定入れたけど後半全然生かしてませんね」みたいなこと言ってたり。
チェーホフの銃(ググって)は発砲させねばならぬってのを心底思い知ったみたいで。
で、それを現場で体験してきた矢吹からしたら借り物(パクり)の部品ばかりで作られた発砲能力の無い銃になってるアニメのダリフラはどう映ってるんだろう?
仕方ない自分もそうだったと子供を見る面持ちなのか、失笑なのか…。{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 23
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

少々、天元突破グレンラガンを彷彿とさせる展開

A-1 PicturesとTRIGGERの共同制作オリジナルアニメーション企画。

出会いによって一変してしまう典型的なボーイミーツガール作品であった。フランクスというロボットに男女{netabare}(生殖可能な状態というのが必要条件){/netabare}で搭乗し、叫竜と戦うというもの。比翼の鳥という表現がよく出てくる。{netabare}グレンラガンの如く、真の敵はまた別にいるわけだが。実体を持たない意識の集合体みたいなやつ。叫竜も元々人間で過去に集合体みたいなやつに攻め込まれた人たちの子孫であった。強い人は姫みたいな奴だったり、兵器になるが、弱い人は地下のマグマになったらしい。そら、勝手に使われたら、怒りますわ。{/netabare}

{netabare}最後の敵を倒すときにマトリョーシカのように小さいやつが出てくるのも。{/netabare}グレンラガンのよう。エヴァンゲリオンぽい所もあったような気がする。

この作品で最も印象に残っているのは{netabare}7話の休息を取る回でココロが見つけた出産に関する本を読んで子作りに興味津々になり、ミツルとしちゃうこと。さらに、一発で決めている。若さのなせるわざ。結婚式を邪魔され、記憶を消されたのは個人的に最も辛いシーンだった。結局、4人目まで生まれるけれども。結婚に出産にと、戦闘漬けの生活しかしてこなかった子供たちが始めた人間らしい生活。最終話ではヒロとゼロツーの戦闘よりも地球に残った人々の生活が描かれている。子供たちが増えて人類創生。ゴローはなんだかんだイチゴと子供作って、ココロに振られたフトシも家族ができ、イチゴに振り向いてもらえなかったイクノは研究で人類の手助け。ナナとハチも大分性格が変化して最初とは大違い。ゼロツーの好きだった絵本の最後のページは幸せそう。それに、最後は2人で再会できたみたいでめでたし。{/netabare}結構、最終回は個人的に好きな展開だった。それなりにハッピーエンドでかつ、家族愛を感じられる展開で。グレンラガンを彷彿させると書いたが、やはり名残はあるが、別物として作られたと感じるので、グレンラガン見たことない人でも楽しめる。途中は単調なバトルが続くが、{netabare}ココロの悪阻シーンから個人的に面白く感じるようになった。{/netabare}

ミクが表情豊かで飽きさせない。一人は変顔要員必要ね。博士の懺悔やゼロツーが{netabare}叫竜の姫のクローンだったこと{/netabare}も印象的だった。ラスト4話くらいが好きであった。

OPは中島美嘉でKISS OF DEATH 艶めかしい歌声。
EDは全てXX:meというヒロインのユニット{ゼロツー(戸松遥)、イチゴ(市ノ瀬加那)、ミク(山下七海)、ココロ(早見沙織)、イクノ(石上静香)}が歌う。
トリカゴは現代のJKっぽい制服を着たヒロインが素敵。
真夏のセツナでは水着を着たヒロインがセクシー。束の間の休息という感じが溢れている。
Beautiful Worldではヒロインたちの仲良し日常生活が描かれる。
ひとり ここはゼロツー(戸松遥)のみ歌唱。ゼロツーの好きな本が絵が描かれる。出会いと別れの切ない物語。{netabare}人間になりたいと焦り、戦闘するゼロツーが過去にヒロと出会っていたことを思い出す回でのみ、流れるわけだが、少々リンクしている。{/netabare}
EscapeもJK風ファッションのヒロインたちがより憂いを帯びた表情。手を繋いだり、寄り添ったり。そして、たくさん並んだゼロツー。
ダーリン 作品の終わりが近づいているときに流れるので、切なくなってくる。

以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
1. 独りとヒトリ
遠い未来。 人類は荒廃した大地に、移動要塞都市“プランテーション”を建設し文明を謳歌していた。そんなプランテーションのひとつ、「セラスス」では、パラサイトたちの入隊式を翌日に控えていた。パラサイト候補の一人であるコード016「ヒロ」は、事前のテストで落第を言い渡され、失意の中にいた。 入隊式の説明会にも出ず森に入ったヒロは、奥にある泉で、見知らぬ少女が泳いでいるのを目撃する。コード002「ゼロツー」と名乗ったその少女の額からは、艶めかしい二本のツノが生えていた。

2. 繋がるということ
ヒロのことをすっかり気に入った様子のゼロツーは、13都市に残ることに。だがヒロは、ゼロツーとストレリチアに乗ったときのことをほとんど覚えていなかった。ゼロツーともう一度乗れることを証明したい。そんな思いを抱えながら、ひとり、訓練に明け暮れるヒロ。一方イチゴは、ゼロツーに、これ以上ヒロと関わるのはやめてほしいと告げる。そんなとき、ヒロの実機での起動テストが行われることになった。テストの結果次第では正式にパラサイトとして選出されると言われ、希望を抱くヒロ。そのテストでのヒロのパートナーに名乗り出たのは……。

3. 戦う人形
起動テストでの失敗のあと、気まずいヒロとイチゴ。ヒロはもう一度ゼロツーと乗られるようにナナやハチに掛け合おうとする。そんなヒロに対し、ゴローがある噂を口にする。「3回以上、ゼロツーと一緒に乗れたパートナーはいない」と。それを知りつつも、他に道はないと答えるヒロ。そんなとき、13部隊がはじめての実戦に出ることに。ただしAPE本部からは、ストレリチアの出撃は禁止とされた。「いいの? あの子たち、みんなやられちゃうよ?」そんなゼロツーの言葉を聞きながら、もどかしい気持ちでヒロが見守る中、13部隊が叫竜と遭遇して……。

4. フラップ・フラップ
先の戦いのあと、ミツルは意識を取り戻したが、肉体には大きなダメージが残った。しかもゼロツーに対して異様なほどの怯えを見せる。「パートナー殺し」という、ゼロツーに付きまとう噂。ゼロツーと一緒に乗ったパートナーは、3回目で必ず命を落とす――その噂のことは、ヒロも何度も聞いていた。フランクスに乗れなければ、いないのと同じ。しかしゼロツーと乗れば、無事では済まないかもしれない。ふたつの感情の間で揺れるヒロ。一方、ゼロツーに対してAPE本部から「13都市を出て前線に戻れ」という通達が届く。

5. キミの棘、ボクのしるし
13都市と26都市のキッシングが行われる。キッシングとは、移動要塞都市同士で接続し、マグマ燃料の受け渡しをすること。しかしそれにより、大量の叫竜を呼び寄せることになってしまう。そこで、13部隊と26部隊が共同でふたつの都市を守ることに。両都市を繋ぐメインパイプの防衛には、ヒロとゼロツーが乗るストレリチアが配置されることとなった。26部隊のコドモたちは、ゼロツーとストレリチアの名を聞いて動揺する。以前にも26部隊はゼロツーと共同作戦を行ったことがあり、その際、ゼロツーの周囲を考えない戦い方のせいで仲間を失っていた。

6. ダーリン・イン・ザ・フランクス
キッシングによるマグマ燃料の受け渡しが続く13都市と26都市。大量に押し寄せてくる叫竜を相手に、フランクス部隊による防衛作戦が始まる。26部隊が見事な連携で次々と叫竜を倒していく一方で、13部隊はうまく戦えず、経験不足を露呈してしまう。そんな戦況を見て、ストレリチアがいよいよ戦場に出る。ヒロにとっては、ゼロツーとストレリチアに乗るのはこれが3回目。圧倒的な力で次々と叫竜を倒していくが、コクピット内のヒロの肉体は限界に達しようとしていた。

7. 流星モラトリアム
13都市は最重要特別監視都市に認定される。ゼロツーとストレリチアは13部隊所属となり、ヒロがゼロツーのパートナーに正式に選出された。ゼロツーの噂に対する疑念も晴れ、13部隊のコドモたちも彼女を仲間として迎え入れる。そんな13部隊に、休暇が与えられる。はじめて見る海を前に、テンションが上がるコドモたち。つかの間の平穏な時間を満喫する。だが、海岸から少し離れた場所に、見たこともない廃墟を見つけて……。

8. 男の子×女の子
13部隊のピスティルとステイメンの間で、大ゲンカが勃発。きっかけは、叫竜との戦いの最中、男子が女子の体をやらしい目で見てしまったことだった。これに堪忍袋の緒が切れた女子たちは、男子との共同生活を拒否。男子も、女子の好きにさせてなるものかとこれに応戦する。ケンカが長引けば長引くほどお互いに意固地になり、後に引けなくなっていくコドモたち。それは一部のコドモに稀に症状として現れる『思春期』と呼ばれる状態だった。

9. トライアングル・ボム
13部隊のコドモたちに、パパからプレゼントが届く。欲しいものを事前に伝えておけば、一年に一度、パパから届けられるという風習だった。それぞれがもらったプレゼントを喜ぶ中、ゴローが髪留めを持っていることに気付くヒロ。だがそれは今回もらったものではなく、昔、イチゴに渡そうとして渡せなかったものだという。そんなとき、叫竜が襲来。戦いの最中、デルフィニウムが叫竜の体内に取り込まれてしまう。ゴローはイチゴを緊急脱出させたものの、自らはコクピット内に取り残されてしまい……。

10. 永遠の街
戦いの活躍が評価された13部隊に、勲章が与えられることになった。授与式は、13都市内で行われる。これまで自分たちが守ってきた都市の中にはじめて入れることになり、はしゃぐコドモたち。中でも、オトナになることに憧れているゾロメは、興奮しすぎて落ち着かない。授与式当日。コドモたちは13都市の市長から直々に激励の言葉を受ける。式そのものは粛々と終わり、その帰り道、ゾロメはひとりはぐれて、都市の奥深くへと迷い込んでしまう。

11. パートナーシャッフル
叫竜との戦いの最中、ミツルが『コドモ熱』にかかり、クロロフィッツは行動不能に陥る。発熱は一時的なものだったが、これまでもあまり安定していなかったイクノとのコネクト値が、実戦投入が難しくなるほどまでに低下してしまう。このままでは部隊全体の作戦行動に影響が出るおそれがあった。そこでナナが打開策として提示したのは、13部隊のコドモたちの中でパートナーを入れ替えるというものだった。

12. ガーデン/始まりの庭
13都市は、通称『ガーデン』と呼ばれるAPEの施設に立ち寄る。そこは、何百人ものコドモたちが幼少期を過ごすパラサイト育成施設であり、ヒロたちにとっても故郷と呼べる場所だった。ガーデンに隣接するラボで、種々の検査を受ける13部隊のコドモたち。ヒロは、この場所に戻っているはずの元パートナー・ナオミに今の自分のことを報告するため、禁止されているにもかかわらず、ガーデンの内部に忍び込むことに。

13. まものと王子様
ゼロツーの肉体に異変が起き始めていた。その影響で精神的にも不安定になり、これまで以上に叫竜への敵意を剥き出しにするゼロツー。パートナーであるヒロの言葉さえも届かなくなりつつあった。そんな戦いの最中、ヒロはゼロツーの意識と深く繋がり、そこから流れ込んでくる記憶を垣間見る。それは幼い頃の思い出。まだ名前もなく、言葉も喋れなかった彼女と、かつて自分は会ったことがある――ヒロはそれを思い出すのだった。

14. 罪と告白
ゼロツーのパートナーとしてフランクスに乗り続けた結果、ヒロの肉体にも大きな変調が起きていた。結果、ヒロは一時的に意識不明の状態に陥ってしまう。ヒロの変調がゼロツーによって引き起こされたものであると知ったイチゴは、ゼロツーをヒロから引き離す。APE本部からも、この状況を受けてゼロツーをAPE直属の親衛隊『9’s』所属に戻すという通達が出された。もう一度話をしたいと願うヒロとゼロツーだったが、お互いに会えない時間が続き……。

15. 比翼の鳥
ゼロツーがミストルティンから去った後、13部隊は、グランクレバスという叫竜の一大拠点を制圧する作戦に参加することとなった。この拠点を奪取できれば、叫竜との長きにわたる戦いは一気に優勢に転じる。APEにとっては重要な作戦であった。他の多くの移動要塞都市、およびそこに所属する多数のフランクス部隊も戦いに投入される。その中には9’sとともに行動するストレリチアの姿もあった。一方、パートナー不在となったヒロは、出撃する13部隊の仲間たちを見送って一人だけ13都市に残る。そこへフランクス博士が現れて……。

16. ぼくたちの日々
グランクレバスでの激しい戦いからおよそ1ヶ月。13都市は壊滅したものの、ミストルティンは奇跡的に破壊をまぬがれており、13部隊はそこでの待機を命じられていた。しかしそれ以降、オトナからの連絡は一切なく、コドモたちを監督する立場のハチとナナも接触しようとしてこない。ミストルティンでは、環境を維持する機能が不具合を起こし、これまでのような快適な暮らしはできなくなっていた。そんな状況でも、自分たちで工夫しながら日々の生活をこなす13部隊のコドモたち。その中には、仲間たちと一緒に笑うゼロツーの姿もあった。

17. 楽園
オトナから一切の連絡がない状況が続く中、ミストルティンに突然、9’sの面々がやってくる。パパから様子を見てくるように言われたという彼らの言葉に、自分たちは見捨てられたわけではなかったと安堵する13部隊のコドモたち。9’sはミストルティンでの13部隊の生活に興味があるらしく、この日は泊まっていくという。その夜、ココロがみんなに内緒で手元に持っている『手帳』が、9’sに偶然見つかってしまい……。

18. 桜の花が咲く頃に
コドモたちとの接触を避けていたハチから、久しぶりに指示が来る。次の補給船が来たらミストルティンを放棄し、13部隊はAPEの施設『トリノス』に移るという。それを聞いたヒロは、ミストルティンにいられるうちに、最後の思い出作りとしてミツルとココロの結婚式を開こうと提案する。式場やドレス、そして指輪。どれも手作りで、自分たちができる範囲で準備をしていく。ミストルティンの森の桜が満開になったその日。コドモたちだけの結婚式が始まる。

19. 人ならざるモノたち
ラマルク・クラブによる13部隊への強引な対応を知らされたフランクス博士は、それを機に、APEという組織に彼自身が招かれたときのことを思い出していた。2025年。博士がまだ、ヴェルナーと名乗っていた頃。きっかけは、クリーンかつ万能なエネルギー源『マグマ燃料』がAPEにより発掘されたことだった。そのエネルギー革新により人類は本格的に不老不死の研究に着手し、ヴェルナーもそれに参加する。しかし、2037年。地中から叫竜と呼ばれる未知の存在が突如出現したことで、人類は苦難の時代を迎えることとなった。

20. 新しい世界
数多の犠牲を出しながらも奪取に成功したグランクレバス。その地下には、スターエンティティと呼ばれる叫竜の超巨大兵器が眠っていた。ニンゲンの手でこれを起動させることができれば、叫竜との長きにわたる戦いに終止符を打つことも可能となる。が、叫竜がそれを許すはずもなく、全戦力を投入してグランクレバスに迫ろうとしていた。フランクス隊が迎え撃つ中、ヒロとゼロツーに対しラマルク・クラブ賢人から別任務が命じられる。ヒロはそんなラマルク・クラブの賢人たちを前に、この作戦が終わったらオトナと決別すると宣言する。

21. 大好きなあなたのために
コード001――叫竜の姫によって乗っ取られたストレリチア。これを鍵として、スターエンティティは叫竜の制御の元、起動してしまう。だがそんなニンゲンと叫竜の決戦の場に、突如として空から謎の存在が降り立つ。VIRMと名乗るその存在を、叫竜の姫は“侵略者”と呼び、敵意を剥き出しにする。叫竜もニンゲンも関係なく無差別に攻撃するVIRM。APEは壊滅し、コドモたちは自分がなにと戦うべきか分からなくなってしまう。一方、ストレリチアを奪われた形のゼロツーは、自身と叫竜の姫との衝撃的な因縁を博士から聞かされて……。

22. スターゲイザー
ニンゲンと叫竜の戦いは終わった。叫竜は“侵略者”であるVIRMを迎え撃つため、次々と地上を離れ宇宙へと上がっていった。その中には、誰も乗っていないはずのストレリチア・アパスも含まれていた。生き残ったコドモたちは、新たな生活を始めていた。あまりにも厳しい環境に放り出されながらも、誰に頼ることもなく懸命に生きる日々。そんな中、戦いの後で抜け殻のように虚ろになってしまったゼロツーに、ヒロは献身的に寄り添っていた。

23. ダーリン・イン・ザ・フランキス
ヒロはストレリチア・アパスに取り込まれたゼロツーとの再会を願い、他のコドモたちとともに宇宙へ旅立つ。叫竜の艦隊は、火星宙域に集結しつつあった。だがそこでは、叫竜の艦隊とVIRMによる、地上で行われていたものとは比べられないほどの大規模で激しい戦いが繰り広げられていた。一方、ミツルはココロに付き添って地上に残り、二人の問題に向き合おうとするが……。

24. わたしを離さないで
仲間たちと別れたヒロは、VIRMとの最後の決着を付けるため、ストレリチア・アパスとともに宇宙の果てを目指す。虚無にも等しい真っ暗な宇宙空間をひたすら飛び続ける――永遠にも思えるその旅路は、やがてヒロの時間の感覚すらも失わせていく。一方、地球では、イチゴたちが宇宙から戻ってきてからすでに数年が経過していた。彼らは幾多の苦労を乗り越え、ようやく平穏な日々を送れるようになっていた。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 8

72.0 2 幻想的でSFなアニメランキング2位
雲のむこう、約束の場所(アニメ映画)

2004年11月20日
★★★★☆ 3.6 (853)
4712人が棚に入れました
日本が津軽海峡を挟んで南北に分割占領された、別の戦後の世界が舞台。
1996年、北海道は「ユニオン」に占領され、「蝦夷」(えぞ)と名前を変えていた。ユニオンは蝦夷に天高くそびえ立つ、謎の「ユニオンの塔」と呼ばれる塔を建設し、その存在はアメリカとユニオンの間に軍事的緊張をもたらしていた。
青森に住む中学3年生の藤沢浩紀と白川拓也は、津軽海峡の向こうにそびえ立つ塔にあこがれ、「ヴェラシーラ(白い翼の意)」と名づけた真っ白な飛行機を自力で組立て、いつかそれに乗って塔まで飛ぶことを夢見ていた。また2人は同級生の沢渡佐由理に恋心を抱いており、飛行機作りに興味を持った彼女にヴェラシーラを見せ、いつの日にか自分たちの作った飛行機で、佐由理を塔まで連れて行くことを約束する。
しかし、突然佐由理は何の連絡も無いまま2人の前から姿を消してしまう。

声優・キャラクター
吉岡秀隆、萩原聖人、南里侑香、石塚運昇、井上和彦、水野理紗

ジャーファル♪ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

【ネタバレ有】「切なさと物足りなさの両方を感じる、“発展途上の”新海作品!」

 

 新海監督の代表作の一つであり、新海監督の3作目にして、“初の劇場長編作品”である。


 この作品も、「ほしのこえ」や「秒速5センチメートル」同様、主人公とヒロインの“心の距離”と、その
“距離感の変化の速さ”をテーマとしているため―、

 ―今作においても、“主人公・浩紀(ひろき)”、“親友の拓也(たくや)”、“ヒロイン・佐由理(さゆり)”の3人が、“物理的な距離”を置くことで、彼らの“心も”また、以前とは違った距離感へと変わっていく…そんな関係を描いており、今日の新海作品に見られる“絶妙な心の距離感”は、こうして培われてきたんだと思わされる…、そんな“成長途中の未完成さ”を感じる作品となっている―。



 では早速、レビューへと移るが、新海作品(=新海誠監督の作品)の中でも、これほど“評価が二分される”作品は珍しいだろう―。


 (まずは否定的な意見から書かせてもらうと…)

 前述したとおり、この作品は、新海誠が今に至るまでの“軌跡(の一部)”のような作品であり、成長途中であるが故に、まだまだ完成度は低い。

 作画も今の新海作品に比べれば、“風景描写の緻密さや色合い”もまだまだで、欠点が見つからない最近の新海作品とは違い、「監督自身が伝えたいことは何なのか…」を理解することの方が難しい。


 また、全く情報の無いままこの作品を観た人からすれば、(といってもほとんどの人がそうだろうが…)、何かと“理解しづらい設定”で(…複雑なのに、詳しい説明もないため)、頭に何度も疑問符が浮かんだ人も少なくないだろう。


 その中でも、最もピンとこなかったのが、“ユニオンの塔”(=あらゆることの象徴であり、その本質は軍事兵器)に関連する設定だろう―。


 例えば、作中では、ユニオンの塔と関連して“平行宇宙”という言葉が使われるが、これは現実世界でも使われる、いわゆる“パラレルワールド”のことで―、
 ―「自分たちがいるこの世界とは、別の世界が存在している―」という概念であり仮説である…、のだが、そういった知識がないと、作中での会話や内容を理解するのは難しい―。


 また、ユニオンの塔の本当の目的である「平行宇宙との位相変換により、世界を書き換えること―」のくだりでは、その活動能力を抑制しているのが“佐由理”であり、そのせいで佐由理はずっと眠ったままである…、という説明があったが―、

 ―この2つを結びつけるのは、「佐由理の祖父が塔の設計者」ということだけであり、“アバウトに世界観全体を観れる人”には十分納得できる理由かもしれないが、そうでない人には、全く意味の分からない結びつけ方であり、それが尾を引いてしまったかもしれない(…が、そこを掘り下げるのは“野暮”だと感じたりもする…)。


 他にも、作中に登場する“蝦夷(えぞ)”だが、現実世界の“北海道の古称”としての蝦夷ではなく、“現実とは別の世界の”戦後を舞台にしたこの作品内での、北海道のことを指している。

 なので、作中にも1999年などの“西暦”が表れるが、今より以前の日本と同一視してしまうと、話がよく分からなくなってしまう。
 なぜなら、学校の校舎や町の感じを見る限りでは、少し前の日本の風景なのに、“ユニオンの塔”と呼ばれる建造物や、後半の戦闘シーンでは“ステルス機”のようなものが登場しており、明らかに、現実世界の今よりも科学が発達している。

 そのため、この世界は、“現実とは全くの別物”で、かつ“西暦とは全くつながらない”科学の進んだ世界だと認識して、この作品を観ないとついていけない。



 と言ったあたりが、「よく分からなかった」という内容の、よく見かける“否定的な”意見の理由であり、
“現実味がないストーリー”や、“論理的に成り立っていない設定”に辟易(へきえき)した人もいるのだろう―。


 新海作品を崇拝し、個々の作品に対してではなく、“新海誠監督の作品が”好きだ、という人達からすれば、この作品もまた名作なのだろう―。

 自分は、新海誠さんを、宮崎駿さん、細田守さんらと同じく、“今のアニメ映画界の中心的な人物”だと考えている…、が、逆に言えば、あくまでアニメ映画という大きな枠の中の、“一(いち)監督”だとも思っている(新海監督に限らず、宮崎、細田両監督含め)。

 言いたいことは、つまり、同じ新海作品でも「秒速5センチメートル」や「言の葉の庭」は、アニメ映画という枠の中でも、“名作”だが、この作品は“それほど大きなウエイトを占めてはいない”のではないか…、ということである―。

 なので、「とにかく新海作品の世界観(作画含め)が好きだ」という人の、この作品の評価に対して、口をはさむつもりはないが、他のアニメ映画作品と“相対的に”比べれば、この作品はまだまだ“未完成”で、上にあげた2つの作品もしくは、他の名作アニメ映画とは、世辞にも“同格”とは言えない…。



 …と言うのが、この作品を“観終わってすぐ”の感想であった―。

 なので、ここまでの評価を見る限り、どこが評価が二分されているのか、と思うかもしれないが、次に挙げる点こそが、この作品の評価を二分する理由であり、ここまで批判的な事ばかり書いておいてあれだが、これこそがこの作品の“本質”だと確信している―。


 確かに、この作品を“観終わってすぐ”の感想は、SF的設定の内容云々(うんぬん)ではなく、主人公たちの“心情の変化”や“お互いの関係性”から、いろいろと視聴者に感じてほしいのだろうが―、
 ―やはりどうしても今の新海作品と比べると、その描き方も、“発展途上感”を感じずにはいられない、というのが本音であった。

 それでいて、それ以外の要素も、全く“答えを得ることが出来ないまま”終わる訳だから、いかに“完結の仕方”が大切か(例えば、「言の葉の庭」で言えば、最後に2人が進むべき方向へと向かっている様子が描かれている…)を感じさせられる内容になってしまっているな、と感じた。


 現実味がないストーリーや、論理的に成り立っていない設定に、否定的な意見がよく見られ、自分も最初は同じようなことを感じてはいた。

 しかし、こうしてレビューを書きながら、改めてこの作品を振り返ってみると、“視点を変えて”観てみれば、それほど気になることでもないと思わされる。

 つまりは、この作品の最も本質的な、“孤独感”の中を生きる3人の心の有り様や、それを映し出しているかのような、“緻密で美しい風景描写”、“背景色の淡さ”に注目してこの作品を観ることで、この作品の“良さ”というものが見えてくる―。


 この作品が上映されていた頃の自分なら、間違いなく、多くの人が言っている、「意味が分からない」というような感想を持っただろう―。

 しかし今の自分なら…、長い人生の中には、誰しもが必ず、“孤独感を感じる瞬間がある”ことを知っている今の自分なら、まだまだ未完成な部分は感じながらも、上で挙げたようなこの作品の“本質”を、十分に理解することが出来る―。



 また、この作品や前作の「ほしのこえ」でもそうだが、実は新海監督はこういった“SF世界もの”を描くのが好きなのだろうと思う。

 まぁしかし、皮肉にも、新海監督の“才能の開花”は、より“現実的な世界観”を描くことで現れた訳だが…(確かに、新海作品の一番の特徴であり長所である風景描写の美しさは、SF的世界を描くことよりも、現実の“どこにでもある”風景の美しさを、観ている自分たちが“再認識させられる”ところに、その魅力と意味があるように感じる…)。

 実は、新海監督の作品を“逆にたどった”自分としては、この頃の作品に見られるこのSF的要素が、新海監督の違う一面を垣間見ることができ、実に“新鮮だ”と感じて良かった。



 また、この作品は“音楽”が素晴らしい―。

 作中でも主人公たちが“バイオリン”を弾いているからか、主題歌の「きみのこえ」のイントロ部分でもバイオリンが使われ、その“重低音”が心に響く。

 それでいて、歌っている“川嶋あいさん”の声が、とても澄んだ優しい声で、それが歌詞にも重なり、すごく“儚い”気持ちにさせられ、その気持ちのまま、この作品を観終わることが出来る―。



 すでに“成熟した作品”を観てしまうと、どうしてもその監督がもともとこのレベルの作品を作れる人間なんだと“錯覚”してしまうことがあるが―、この作品を観れば、誰しも昔は、まだまだ“手探り状態”みたいな時期があったんだなと、改めて感じさせられる―。


 この作品は、今の新海作品を支える“礎”であり、“粗削りさ”を感じる中にも、今の新海作品に通ずる
“何か”が確かにある―。

 それを感じることが出来た人たちにとっては“名作”であり、自分は運よく、それを感じることが出来たのだろう―。
 なので、この作品も、また一つ心に刻まれた作品となった―。

 (終)

投稿 : 2025/02/01
♥ : 5

. さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

宇宙も夢を見るのだそうでございます。

本作品は語ります。宇宙も夢を見るのだそうでございます。宇宙の見る夢は様々な可能性を表した別世界。これを並行世界と呼ぶのだそうです。そしてその並行世界を人は無意識の内に夢等の形で見ているのかも知れないと・・・。とてもロマンチックなお話でございますね。


本作品は”新海誠”様の3作目の監督作品でございます。4作目が「秒速5センチメートル」になりますので、1作品前と言う事になります。「秒速5センチメートル」がどなたにでもお勧め出来る作品なのに対し、本作品は残念ながら少々人を選ぶ作品かと思われます。それ故、冒頭にて少しだけお断りをさせていただきたいと存じます。

先ずパッケージ絵の印象に反し、舞台はリアルな現代では無く、仮想世界の物語となっております。但し荒唐無稽なSF世界と言う事ではなく、日本を舞台とした別の世界と言う設定でございます。
ワタクシの物語に対する評価は☆3.5。少々厳しめでございます。これは壮大なストーリーで有るが故に、世界設定に対する説明、登場人物の感情の変化、心情の描写が少々足りていないと感じたからでございます。また全体時間も長すぎました。良い作品ではございますが、中だるみ感を感じてしまった点が大変残念でございます。これら残念な点を見事に克服し、そして”新海誠”様の本当に描きたかった主題を描いた作品が「秒速5センチメートル」では無いかとワタクシは”勝手”に思っております。

ワタクシ個人の意見で大変恐縮ではございますが、この作品における最大の問題点はOPでの回想描写かと思われます。小説に忠実であるが故の描写かと思われますが、正直この描写は小説を読んでいない方には混乱を招く要因でしかございません。よって、これが有る故にエンディングの解釈をあやふやにしてしまう可能性があると思われます。この点、本当に残念でございます。少々辛口な事を申し上げましたが、ワタクシはこの作品が大好きでございます。それ故にこの作品が酷評を受ける機会を少しでも少なくいたしたく、先にお断りをさせていただきました次第でございます。


それでは本題に参りましょう。
2004年の作品でございますが、今でも十分にトップレベルの作画クオリティーを持っております。さすがに次作品である「秒速5センチメートル」には一歩及びませんが、それでも息を呑むほどの突出した背景描写の美しさ。正に芸術の域では無いかと思うほどでございます。
「秒速5センチメートル」でも印象的でしたが、本作でも”駅の描写”、”電車の中の風景描写”、”草原と風の描写”等がとても印象深く、そして幻想的に描かれておりました。又、本作では飛行機が空を舞う描写が特に素敵でした。静寂な空間を滑るように飛ぶ浮遊感・・・。本当にお見事と言うしかございません。美しい風景描写の中で、3人の青年の追い求める夢と揺れ動く心情を背景に見事に重ね合わせ、とてもファンタジックな作品に仕上がっております。音楽も素敵でございますね。要所×2で掛かるBGMは大変作画にマッチしており、雰囲気を盛り上げてくれます。ED曲の『きみのこえ』も大変印象的な曲でございました。


冒頭で宇宙の夢についてお話させていただきましたが、本作では3人の青年達の叶えたい夢と、人が眠りの中で見る夢をかけている様でございます。
主人公の”藤沢 浩紀”様と”ヒロインの”沢渡 佐由理”はお互いが惹かれあい、そしてその思いはいつしか恋心へと変わっていきます。しかし無情にも2人は引き裂かれてしまう。”藤沢 浩紀”様が”沢渡 佐由理”様を思い、心を詰まらせていく描写。正に「秒速5センチメートル」の主人公を彷彿とさせます。

離ればなれになった2人はお互いを眠りの中で夢見続けます。現実世界では逢う事が叶わない2人。でもお互いが探し合い、激しく求め合うことでいつしか2人の夢はシンクロしていくのです・・・。
2人が交わしたあの日の約束。叶えることの出来なかった夢。
主人公は決意をします。一度は破れた夢だけど、一度は果たすことが出来なかった約束だけど。夢を現実にしようと。あの日の約束を叶えようと・・・。


「雲の向こうのあの場所にいこう。あの日交わした約束を果たしにいこう」 物語は大きく動き出します。
どうぞ2人の夢を、2人の恋を・・・応援してあげて下さい。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 20
ネタバレ

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

その先に約束は存在しているのか

視聴前 どういう

視聴後 おお

この話は北海道がユニゾンに侵略された話
ジャンルは恋愛・飛行機・中学生
新海誠作品の中で一番好きな作品です。私は当時この作品を見ていなかったのですが、秒速5センチメートルを機に見ました。
本作は物語というよりテーマを重視した作品なのかな、という印象です。序盤も中盤も終盤も基本は遅い展開です。内容もあまり濃くなく、「儚い淡い物語」と表現すればよいのですが、お世辞にも正直そうは言えません。が、現時点(2020・6)では満足できる新海誠の作品がないのでテーマがちゃんとしてる本作は一番という感じです。若干消去法感が否めませんが、とりあえず「本作が一番良かった」ということにしときましょう。
さてここまでテーマが良いと言ってきましたが、そのテーマについて述べていきたいと思います。
本作でおそらく一番出てくる単語「夢」とそれの「忘却」です。{netabare}本作のヒロインであるサユリは夢の中に閉じ込められていきます。しかし閉じ込められてもなお体には意志があります。それは今まで過ごしてきた現実の中で交わした約束にすがっているからです。その約束さえなければサユリはとっくに夢の中にすんでいたでしょう。その約束しか無いサユリはその中で出てくる主人公に頼るしかなく、そのまま異様なまでに依存してしまうわけで。そして徐々に夢の中でリンクしていきます。つまり自分も前から好きだった女の子と夢では会えなくなるのです。まぁ本人も「なんか大切なことを忘れている気がする」と夢の内容を忘れてしまっているんですがね。しかし物語が庵 進むに連れサユリを「夢」から救い出す方法がわかります。本人は得体のしれない感覚を持ちながら飛行機を完成させ、飛ばし目的地に飛ばすのですが、ものすごい喪失感を伴うわけです。
さてここで本題です。夢ときくと「寝たときに見るもの」という意味にも捉えることができますが、「私の夢」とも表現されるように「希望」や「願望」という意味も備わっています。本作は前者の方の夢にとらわれていましたが、同時に約束という希望もみていたわけです。夢から覚めるというのは希望を捨てるということになります。若干言葉遊び感がありますが、本作ではその言葉遊びを丁寧に描いたといって差し支えないでしょう。
そして見た夢というのは覚めても絶対覚えているということはありません。絶対に何かしらを忘れます。忘れては行けないこと、忘れたくないことも忘れてしまいます。本作は「「忘れる」という感覚に対し共感をもとめているやべー作品」という意見がありましたが、実際にそうだと思います。忘却という感覚自体忘却されてしまうのですから、頑張ってその感覚に共感しようとしても結局は忘れてしまうのです。無理がありますよねw
さて本当に本題です。主人公はなにかの違和感を感じ取りながらも、その約束を頼りに彼女の夢を壊し、両者にとてつもない喪失感をあたえたように、{/netabare}私達の行動には、自分と他人のリスクが伴うということを自覚しなくてはならなく、そして失うことに恐れてはいけない、ということです。まぁわかりきったおとではありますが、再認識できたかなって。
私の文章能力の低さが目立つ文章になってしまいましたねw

原作・脚本・監督・絵コンテ・演出・撮影・CGワーク・編集・色彩設計・音響監督は新海誠さん。うへぇ。過労死しそう。
キャラデザ・総作監は田澤潮さん。
劇伴は天門さん。
アニメ制作はコミックス・ウェーブさん。

作画はさながら表現や演出も本当に素晴らしかったです
主題歌は新海誠さん作詞、天門作編曲、川嶋あいさん歌唱の「きみのこえ」

総合評価 新海誠作品の中では

投稿 : 2025/02/01
♥ : 11

69.7 3 幻想的でSFなアニメランキング3位
サカサマのパテマ(アニメ映画)

2013年11月9日
★★★★☆ 3.8 (664)
3146人が棚に入れました
どこまでも、どこまでも坑道が続く地下世界。狭く暗い空間であっても、人々は防護服を身にまとい、慎ましくも明るく楽しい日々を送っている。地下集落のお姫様であるパテマは、まだ見ぬ世界の先に想いを馳せて、今日も坑道を探検する。お気に入りの場所は、集落の「掟」で立ち入りが禁止されている『危険区域』。これまでに見たこともない広大な空間には、幻想的な光景が広がる。世話役のジィに怒られながらも、好奇心は抑えられない。いつものように『危険区域』に向かったパテマは、そこで、予期せぬ出来事に遭遇する。何が『危険』であるのか、誰も彼女に教えてはくれなかったから。隠された“秘密”に触れる時、物語は動き出す――

声優・キャラクター
藤井ゆきよ、岡本信彦、大畑伸太郎、ふくまつ進紗、加藤将之、安元洋貴、内田真礼、土師孝也
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

良いふわふわ感

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 初見でした。100分くらいのSFファンタジー。

 演出のメインである重力感は、かなり上手く描けていたと思います。高所に立った時のぞくぞくする感じは、画面を通して見ている私にも感じられました。視聴後のスッキリ感も良く、結構面白い作品だったとは思います。
 ただ、作品の出来としては、まぁまぁくらいですかね。


世界の構造(ネタバレ注意):{netabare}
 オチが読みやすい分、分かりにくくはないと思うので簡単に。
 ボールの中にボールが入っている構造です。私たちが認識している地球が外側のボールだとすると、その中に内側のボールが入っていることになります。

 図解するとこんな感じです。外側ボールを”外)”、内側ボールを”内)”で表現します。
 < ←地球のコア  内)←偽物の空 ←アイガ|パテマ→ 外)私たち→ 本物の空→ >

 外側ボールの表面に、外側に向けて立っているのが私たちです。作中には一切出てきませんので、もし居たとしたらという話ですけどね。そして、私たちの足元の地下世界に、同じ向きで生活しているのがパテマたちです。
 外側ボールの裏面に、内側に向けて立っているのがアイガの人たち。この人たちが逆さまです。文字通り「ガイア」の逆ってことなんだと思います。

 内側ボールというのは、パテマたちの祖先が、アイガの人たちのために作った偽物の空です。光源でもあり熱源でもある人工物です。雲の描き方から察するに、雲の生産も行っているのだと思われます。地下深くに上空と同じ雲が再現できるとは思えませんから、雲状のガスというのが正しいのかもしれませんけどね。

 パテマが本物の空を目指さずに、偽物の空を目指していたのは、自分たちが逆さまだと思っていたからです。偽物の空だけを知っているため、本物の空の方を地下深くだと認識していました。
{/netabare}

吉浦康裕監督のこと:{netabare}
 吉浦作品は、「イヴの時間」と「アルモニ」を視聴済みです。今回で三作目ですね。
 特徴としては、かっちりとした作品を作る監督だと思います。世界観や設定を練り上げて、さらにフラグ管理も徹底することで、破綻のないストーリーを作る。世界観については、オリジナルというよりは、どこかで見たことのあるものが多いですから、独創性よりはアレンジャー気質を感じる監督です。

 「イヴの時間」では、このかっちり感がやや裏目に出てしまったような気がします。裏面のストーリーはもちろん、表面のストーリーでも、フラグが回収できてないことが分かってしまう。平たく言えば、未完であることがバレバレであるってことですね。もちろんこれは、完結ものとして評価しづらいだけで、作品として悪いという意味ではありません。

 かっちり感が良い方に転がったのが「アルモニ」です。二つの異なる世界を使って、かっちりしているのにわざと見せない部分を用意するという作りになっていました。これにより、答えを用意しながらも、その後どのように展開するのかを視聴者の想像に委ねることができていました。
 かっちりした作品というのは、破綻のない分、想像の余地や余韻が失われてしまうことが多いです。ですが、わざと穴をあけることで、破綻のなさと想像の余地を両立するかなりいい作品に仕上がっていました。


 時系列的には、「イヴの時間」と「アルモニ」の間に作らえたのが「サカサマのパテマ」です。作品の性質もこの二つの作品の中間に該当します。「イヴの時間」にあったフラグ未回収で中途半端な感じは消えているものの、「アルモニ」のような想像の余地は得られない。未完のせいで評価しづらい「イヴの時間」とも、かなりいい作品に仕上がっていた「アルモニ」とも違う、まぁまぁな作品。これが「サカサマのパテマ」です。
 そして、「サカサマのパテマ」のかっちり感がどこから来たかというと、「天空の城ラピュタ」です。
{/netabare}

サカサマのパテマのプロット:{netabare}
 サカサマのパテマの基本プロットは、「天空の城ラピュタ」と全く同じでした。
 女の子が落ちてきて、男の子と出会う。女の子がさらわれて助ける。上昇や下降の末に、新たなフィールドが用意されている。足場が崩れてエンディングに至る。お父さん役は同じ夢を追って死んでしまっている。敵はムスカのような分かりやすい悪役。

 「ラピュタ」を作りたかったのは理解しますが、さすがにここまで同じだと厳しいものがあると思います。パクリなのかオマージュなのかという話ではなくて、宮崎駿監督に正面から挑むとかラピュタ越えする作品を作るとかいうのが無理がある。ここまで同じプロットだとこちらも比較せざるを得ません。

 ラピュタというのは、冒険譚としての圧倒的な面白さに加え、宮崎駿監督の思想が出ているから傑作になっているんだと思います。面白さとメッセージ性が両立された稀有な作品です。
 ですが、この作品は表面をなぞるだけで終わってしまっています。人物像はどこかで見たものばかりで、掘り下げられてはいない。描かれている思想もありきたりな管理社会批判だけ。エンディング後に世界がどうなっていくのかの示唆も感じられない。
 重力感の描き方以外は、どれもこれも今一つなものばかりです。

 ラピュタのような名作と同じプロットで作品を作れば、失敗しないのは当たり前だと思います。ですが、ラピュタ越えする作品を作るというのは、宮崎駿監督本人にとっても非常に難しいと思います。
 結局、二番煎じにもかかわらず、新しい要素はほとんど見せられなかった。そんな意味でもこの作品は、「まぁまぁな作品」だと思います。
{/netabare}

演出関係:{netabare}
 静止後に画面をぐるっとひっくり返す演出が、複数回使われていました。個人的にはここまで露骨なのは最初の一回だけにして、あとはアレンジした演出を見せて欲しかったです。
 分かりにくくなるのを恐れたんだとは思いますが、分かりにくいことを分かりやすく表現することこそが演出力として必要なことなんだと思います。

 反面、パテマとエイジの人間関係の描き方は非常に良かったです。
 手と手でつながっていたものが、身体と身体でつながるようになる。反対を向いているという相容れない存在同士が、キスシーンのときだけ同じ向きを向いている。
 この辺の人間関係の進展の描き方は、この作品の設定と非常にマッチしていました。
{/netabare}

おわりに:{netabare}
 吉浦監督がどのような方向に行きたいのかはよく分かりませんが、いずれの作品も社会風刺の要素がありますから、今後もその傾向を持つんだと思います。ただ、かっちりな大枠を用意して作品をまとめ上げることを優先しすぎているせいか、そのメッセージ性自体は全く面白くありません。おまけで入れているようにすら感じます。そもそも風刺の内容に新しい視点があるわけではなく、既に語られてきたやや古いものばかりです。
 作品のプロットも、思想の中身も、二番煎じばかりという今の状況はなんとかした方が良いと思います。


 批判的に書いていますが、私個人としては、吉浦監督には結構期待しています。
 前述したとおり、「イヴ」「パテマ」「アルモニ」と、作品を追うごとにクオリティはどんどん上がってきています。しかも、ただ単にクオリティを上げているだけではなく、悪かったところは重点的に修正されています。

 特に、人間関係の描き方や掘り下げ方は、「イヴの時間」や「サカサマのパテマ」ではお世辞にも良い作品とは言えませんでしたが、「アルモニ」ではかなり上手くなっていました。
 また、作品の設定そのものにも改善が見られます。室内劇であったためにスケールが小さかった「イヴの時間」、大空を舞台としたスケールの大きい「サカサマのパテマ」、と来て、室内劇とファンタジーを組み合わせた折衷的な「アルモニ」が作られた。

 新しいことにチャレンジしながらハイペースで成長している監督ですから、個人的には今後が期待できる監督としてはかなり注目しています。

 今後は、プロットを引用しないオリジナルの長編に、ぜひチャレンジしてほしいと思います。「アルモニ」は短編でしたからね。もし次の作品で大失敗しても、切り捨てるようなことはしないと思います。
{/netabare}

対象年齢等:
 子供は十分に楽しめると思います。
 大人向けというのは厳しい気がしますが、大人が見ても損することはないと思います。「風に乗る」とか「風を切る」とかとは違う「ふわふわ感」を体験できるのは、この作品の特筆すべき特徴です。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 17
ネタバレ

ヲリノコトリ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

「物質に働く重力の向きが2種類ある」傑作SF

【あらすじ】
 「咎人は空に落ちる」。重力が反転した人々は地下に隠れ住んだ。そして月日は流れ、何も知らない少年と少女が出会う。その果てに待ち受ける真実も知らず……。

【成分表】
笑い★☆☆☆☆ ゆる★☆☆☆☆
恋愛★★★☆☆ 熱血★★☆☆☆
頭脳★★★★☆ 感動★★☆☆☆

【ジャンル】
SF、恋愛

【こういう人におすすめ】
SF好きな人。しっかり考えながら見るタイプの人。

【あにこれ評価(おおよそ)】
68.3点。いまいち。

【個人的評価】
舐めてたけど予想を超えてきた。スタジオ六花の可能性を感じた良作。

【他なんか書きたかったこと】
 地中に重力が逆向きの人々が住んでいて、ひょんなことから重力が逆の少年と少女が出会う。なんと少女は手を繋いでいないと空に落ちて行ってしまうのだ!そして始まる『天空の城ラピュタ』的な二人の冒険劇……。
 分かる。言いたいことは分かりますよ。一つのアイデアでゴリ押しする感じのありがちなストーリーに思えますよね。要するにご都合いちゃいちゃアニメじゃんハイハイご苦労さんって思ってるでしょう?
 少なくとも私はレンタル屋でパッケージを見たときにはそう思いました。
{netabare}
 でもこれ実はすごいですよ!「物質に働く重力の向きが2種類ある世界」というSFとして見ると、物理学的に全然間違ったところが無いです!
 そして、隠された謎も面白い!最後まで明言されない謎なので、ながら見するとストーリー構成の妙に取り残されますよ!

 むしろ頭を使ってアニメを見るタイプの人、緻密なストーリー構成が好きな人にこそおすすめしたいアニメ映画です。「重力が逆向きの二人のボーイミーツガール」というアイデアだけでも十分アニメ映画は作れたでしょうが、そこからさらに一歩テーマを突き詰めた良作SFです。
 映像的にも天地反転のカメラワークが面白くて「おー」ってなります。

↓以下、「一度みたけど何がすごかったん?まあラストあんま意味わかんなかったけど」という人だけ開いてください。これから観る人は絶対開けちゃダメ! 
{netabare}
 物語の始まりでは女の子サイドは地底人。男の子サイドは地上人として登場します。地上の都市の名前は「あいが」。この時点ではなんのことか分かりませんが、ちょっとスルーできない雰囲気を持つ都市名です。

 で、ボーイミーツガール。ここはまあ楽しんでください。
 でもこのあたりでの「都市の外のタブー」地域があとで効いてきます。

 で、女の子捕獲→救出。ここもまあ楽しんでください。
 しかしここで、「あいが」サイドが地底人に対してなんか無駄に敵対心があることが読み取れます。「罪人」という言葉も無駄に出てきます。これは単にジブリの悪役のマネしたいわけじゃなく、ちゃんと裏設定があるのです。”遥か昔”は、地底と地上で交流があったことも示唆されています。

 で、二人で空に落ちる!
 この展開、結構面白くないですか?本来は女の子のほうが軽かったので下向きの力の方が強くて地面にいたのですが、この時は女の子が足かせをしていたのでその重さの分だけ上向きの力が勝って空に落ちてしまったのです。なんか物理かじってるとこういうの楽しいです(笑)
 そして空へ浮いて浮いて行き着いた先が、都市!?
 ここまでちゃんと見てた人は大パニックになります。これはむかし空に飛んで行った人たちの都市なのか?いやいや、そうなると空の上にもう一つ地平があることになります。まさか地球をぐるっと囲むようにもう一つの地面の膜が作ってあるのか?
 NOです。
 最後までみると分かりますが、ここには人は住んでません。これは「気象発生+照明装置」です。……はい?って思いました?さあ先に行きましょう!
 
 ここでちょっといい話挿入。でもこれ、都市から気を逸らせるための罠です。にくいことしますね(笑)

 そして地下→ラスト。地下の一番底が抜けて、空が!
 わかりましたね。
 つまり地底人は男の子サイドのほうだったのです。女の子サイドは地下に住むだけの地上人。地底に「あいが」という巨大な空間があり、そのさらに最下層に無人の都市(に見える気象装置)があったのです。
 「あいが」=「さかさまのガイア(大地)」だったんですね。ま、これはチープっちゃチープですがさらっと面白いことしやがる。
 女の子サイドは「サカサマ事件」を起こした実験に関与していた人たちの末裔で地下都市アイガを監視する役目。男の子サイドは地下に追いやられたサカサマ人。アイガの人が地底人を恨んでいるのは当然ですね。しかしお互い長い年月の末、そのことを知るものがいなくなったようです。
 アイガの外のタブー地域はつまり、空間の終わり。つまり地下空間の壁がある場所なのです。
{/netabare}

↓「SFとして面白いこと!ちょっと間違ってること!」これも観てない人は開けちゃダメ!
{netabare} ・まず、アイガの男性陣は結構パテマを軽々片手で持ってますが、これはちょっと握力強すぎ。女の子が片手で懸垂してるのと同じ力が必要です。

・最初に二人で大ジャンプして追手をかわそうとしたシーン。あれはジャンプの瞬間にパテマ側も男の子を押すようにして二人の腕が曲がらないようにしないと成功しません。全体的にこいつら筋肉質だなあ。

・二人がアイガの塔から空に落ちるシーン。ちょっと初速が速すぎますね。もうちょっと風船くらいの速度で行かないと、無人の都市にぶち当たってヒキガエルですよ!

・しかし、無人の都市にぶち当たって死ぬことがない。これは空気抵抗で説明できます。二人の重力の差がごくわずかであればすぐに空気抵抗によって加速しなくなるので、「ゆっくり着地」はあり得ます。まあそうなるとゆっくり離陸するはずですけどね(笑)

・親が昔作った重力反転気球みたいなやつ。動力0で浮遊できる!ちょっとリスキーだけど魅力的な乗り物です!重りの落とし方ミスったら宇宙の果てですね。

・最後本当の地面が抜けた時、アイガ側におちる破片と、本当の空に落ちる破片の2種類がありましたね。芸が細かい!

・これ言ったらSFってジャンルはオシマイですが、地下につくられた空間デカすぎですね。地平線で見えなくなるところまで、認識できないほど地下深く掘られています。
{/netabare}

 さかさまな二人から子供生まれたらどうなるの?とか、ご飯食べたら浮くの?みたいな面白い考察をするレビューがありました。まさしく!そこらへん面白いです!分子レベル、量子レベルで重力が反転していると考えるのが自然なので、理論上「どっちの分子でできているか」によってどっち向きか決まると思います。
 ということはサカサマ人は地上の食べ物を食べ続けて正しい重力方向の炭素を摂り続けたら、地上で暮らせるようになるかも!反転する瞬間が怖いですが。あと、反転するまでは、排泄したう○こが上にすっ飛んで行きますね。
 ……やめとくかこの作戦は。
 あ、炭素など取らずとも数日正しい重力方向の「水」を飲めば重力反転は可能ですね!熱中症とかになって脱水症状がでたら宇宙まで飛んでいくかもですが。
 「生まれてきた子供」はほぼ母体の炭素から構成されるはずなので、パテマ側の重力になること間違いなしです。

↓私発案!正しい重力の戻し方!
{netabare}
1、地下の一室に閉じこもり、天井に磔にします
2、この状態で水だけを正しい重力方向のものと代えて、数日過ごします。その間、おしっこは浮くかもしれません。
3、何日かすると重力が反転します。
4、次にご飯も正しい重力のものに代えて数か月過ごします。この時期には頃合いを見て地上に出ることも可能です。
5、完成!もうサカサマ人じゃないよ!サイヤ人だよ!(髪の毛は逆立ちます)
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 40
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

秀逸なワンアイディアによって展開する劇的なアニメである一方、そのアイディアに引っ張られ過ぎた感もある

[文量→特盛り・内容→考察系]

【総括】
文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を受賞。王道のボーイミーツガールであり、冒険活劇。メッセージ性、芸術性、娯楽性、いずれの質も高い。大変出来の良いアニメ映画です。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
やはり、「重力が逆」「空に落ちる」というアイディアが秀逸。また、その効果により、カメラアングルがぐるっと上下逆転する映像は新しく、見処のひとつであり、パテマとエイジが手を取り合い空を(月面のように)駆ける様には緊張感と爽快感があった。

絵で魅せる、絵で伝える、というアニメの基本であり王道であり、奥義でもある魅力を堪能できるアニメ。カメラがグルグルと回り、天地が引っくり返ると同時に、自分の価値観や、これまで信じてきた事実の根底をグラグラと揺さぶられる妙な快感を味わえることでしょう。

それから、ヒロインのパテマがとても可愛らしかった。いかにも、宮崎駿さんが好きそうな女の子です(笑) 基本的には勝ち気だけど、少女らしい弱さもあって。映画という尺の中でも十分に魅力を表現できていたと思う。

ここまでは、絶賛w

ここからは、カライ評価。

(アニメをたくさん観てきた方なら)「実はパテマ達が通常の人類で、エイジ達が大罪人(逆さま人)だった」というオチは、正直早いうちから見当はついただろう(そうじゃないと、物語に決着がつかないしね。悪役が語る伝承は嘘であることが定番w)。

この作品は、監督に表現したいことが多過ぎたから、一生懸命にムダを削り、それでも尺からはみ出てしまい、泣く泣く描きたいシーンを削ってできた作品のように思う。監督にとってはツラい作業であったろうし、個人的には、そのぐらい思いの詰まった重い作品は、愛しく感じる。

とはいえ、やはり中途半端な感じは否めない。

この作品の致命的にマズイところは、ボーイミーツガールものなのに、主人公(エイジ)とヒロイン(パテマ)の心の交流、絆の深まりをじっくりと描ききれなかったことだと思う。

例えば、エイジとパテマが管理塔から空に落ち、エイイチの気球(的な乗り物)を見つけた場面。ハッキリとは描かれてないけど、エイジとパテマのキスシーンがあった。あれは感動的で良いシーンに成り得るんだけど、私は観ていて「いつの間にそんなことになったの?」と思ってしまった(出会ってからトータルで、2日も一緒にいないよね?)。なんか、「つり橋効果?」とか「ラゴスの死を知った後に優しくされたからほだされたのか?」とか、考えてしまった。言い方悪いが、パテマが尻軽に感じた。だから、最終的にフラレるポルタが可哀想で可哀想で。幼馴染みより、たった2日しか過ごしてない相手を選ぶってどうなのよ?

パテマとエイジが出会った後、治安警察に捕まるまでの間に、少し(2,3日程度)で良いから日常パートを差し込み、2人に「重力が違うからこそ成り立つラブコメ」をさせておけば、だいぶ違ったと思う(まあ、尺の関係で削ったのだろうけど)。

そこが、最大に残念なところかな。

あと、「折角考えた秀逸な設定を紹介したい」熱が凄すぎて(汗)

最もそれを感じたのは、やはり上記の「エイイチの気球を見付けた」場面。あの場所はおそらく、アイガ国民にとっての太陽なのだろう。大災害を経て地下に逃れた人類(逆さま人、後世のアイガ国民)は、自らの科学技術により、地価の大空間に空と星と太陽を作りあげた。それが、あの施設。その設定、世界観の作り込みは秀逸で、確かに紹介したい。気持ちは分かる。でも、あの少ないシーンでそこまで気付ける視聴者って多くない気がする(それに、エネルギー源とか、だれかコントロールしている人間がいるのかなど、不明な点もある。きっと裏設定はあるのだろうけど、視聴者には伝わらない)。

それよりも、例えば、アイガを「空中都市」にしちゃえば、話が早かったのでは?(ラピュタへ逆さまに立っている感じ)。それだと、父親の手帳を見つけるシーンと最後の本当の地球に辿り着くシーンが(ラストの)1発でいけるから、中盤にラブコメを入れられたと思う。

もちろん、2回にわたり世界を引っくり返すことで、世界観はより深まるから、あれはあれで価値は高いんだけど、何よりもパテマとエイジの心の交流を描くことが優先される、というのが私の意見だ(この作品がボーイミーツガールである以上)。

しかも、更に他にも、この作品には「異なる価値観を認める」というテーマも含まれている。

ベルトコンベアーのような道路で運ばれ、偏った思想教育を植え付けられ、(例えば空を飛ぶなど)おもいきった夢を持つことを禁じられた、無表情な学生達。まるで、大量生産される商品のようだった。それは多分、今の日本の教育や社会に対する(かなり大袈裟な)警告なのだろう。

「自分の価値観(世界)だけが正しいのか」「異なる価値観(逆さま人)とも手を繋ごう」というメッセージは、作中かなりたくさんあった。でも、結果が出てない。せいぜい、パテマとエイジが空の上から帰ってきた時に、学生達が明るい表情で空を見上げたことくらいだろうか。イザムラが死んだ後の世界で、彼らはどう生きるのだろうか? 本来ならCパートで、「その後」を見せるべき構成だろう。エイジの学校で学ぶパテマや、パテマの家で遊ぶカホ(エイジの同級生)とかね。まあ、これも尺の問題で無理だったのだろう。

と、色々と難癖はつけているが、確実にレベルの高い作品であったことは間違いない。記憶に残る一作になるだろう。実際、この映画にムダな部分はない。でも、足りない。つまり、アイディアと構想が良すぎただけだ。時には、思いきって「大衆化」する勇気も必要なのだと感じた作品だった。

イメージ的には、「鰻牛(うなぎゅう)ツユダクで生卵トッピング、あ、あと、カレーとチーズもかけて下さい」byすき家 って感じのアニメでしたねw どれもこれも美味いんだけど、バラバラでじっくり食べたかったな、と。
{/netabare}

【視聴終了(要約バージョン小盛りレビュー)】
{netabare}
「重力が逆」「空に落ちる」というアイディアが秀逸。絵で魅せる、絵で伝える、というアニメの基本であり王道であり、奥義でもある魅力を堪能できるアニメ。

ただ、主人公とヒロインの心の交流、絆の深まりをじっくりと描ききれなかったことがマイナス。また、監督が自らのアイディアを全部詰め込もうとして、やや空回っている感じもした。勿体ない作品だった。
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 40

75.7 4 幻想的でSFなアニメランキング4位
ペンギン・ハイウェイ(アニメ映画)

2018年8月17日
★★★★☆ 3.8 (268)
1231人が棚に入れました
小学四年生の少年アオヤマ君は、一日一日、世界について学び、学んだことをノートに記録する。利口な上、毎日努力を怠らず勉強するので、大人になったときにどれほど偉くなっているか、見当もつかない。そんなアオヤマ君は、通っている歯科医院の“お姉さん”と仲がよく、“お姉さん”はオトナびた賢いアオヤマ君を、ちょっと生意気なところも含めかわいがっていた。ある日、アオヤマ君の住む郊外の街にペンギンが出現する。海のない住宅地に突如現れ、そして消えたペンギンたちは、いったいどこから来てどこへ行ったのか…。アオヤマ君はペンギンの謎を解くべく研究をはじめるのだった。そしてアオヤマ君は、“お姉さん”が投げたコーラの缶が、ペンギンに変身するのを目撃する。ポカンとするアオヤマ君に、笑顔のお姉さんが言った。「この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるか?」“お姉さん”とペンギンの関係とは? そしてこの謎は解けるのか?少し不思議で、一生忘れない、あの夏の物語。

声優・キャラクター
北香那、蒼井優、釘宮理恵、潘めぐみ、福井美樹、能登麻美子、久野美咲、西島秀俊、竹中直人
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

この小四男子が大人になるのが楽しみでなりません

原作SF小説は劇場鑑賞後に購読。

ボクは大人になったら保母さんと結婚するんだ。
或いは先生と、或いは看護婦さんとか……。

幼少期の園児、児童の中には、時折、
こうした未来を語るナマイキな小僧がおりますがw
あれは果たしてどういった心情なのでしょうか?

年上の女性に甘えているようで母性依存とは少し違う。
だからと言って恋愛のいろはを知っているわけでもない。
大人になってから初恋の相手は先生だったなどと吹かす人もいますが、
あれは恐らく初恋の域には達していなかったと見るのが妥当でしょう。

そして、思春期を経て、恋を知っていく中で
母性依存以上、初恋未満の経験は、いつの間にか霧散してしまう。
その時、少年の心や周囲に何が起こったのか?
についてはあまり語られることもありません。


本作はそんな幼少期から思春期に差し掛かる少年と年上お姉さんの青春を
生命進化史や宇宙観に絡めたジュブナイルSF作品。

歯科医院に勤務するお姉さんを結婚相手に決めている主人公少年。
彼がまた只者ではありません。

“人類代表”就任を企てる少年の野望は、
夢物語にとどまらず、形にすべく既に計画的に動き出している。

ノートに自身の課題と研究テーマを列記。
(しかもジャポニカ学習帳などのお子様向け文具ではない。
論理的思考やスケジューリングに最適な大人向けの外国製方眼ノート)
解決のためのPDCAサイクルを回して、
日々、着実に“エラく”なっている自負を得ているのです。

けれど、宇宙物理学の知見に触れたり、
一流のビジネスマン、研究者に匹敵する
メソッドを体現した天才児をもってしても、
ようやく知りつつある恋の甘酸っぱさについては、認識しきれない。

知識だけでは感じ切れない。
成長や性徴を経ねば分らない感情が確かにある。
少年の知的生活を強調することで
浮かび上がって来る青春という構図が誠にこそばゆいです。


鑑賞された方の中には、というより多くの方が、
こんなすました主人公少年なんているわけないだろうw
と思われたのではないでしょうか。

ただ、私の場合は、自分も幼少期、ろくに方程式も解けないクセに、
舌で乳歯をグラつかせつつ、
NHKでアインシュタインの業績を優しく解説する番組などを見て、
宇宙の真理を知った気になっていたナマイキなガキだったのでw
本作の主人公少年の言動には共感できる点も多々ありました。
(但し私も流石に、{netabare} 怒りの感情を和らげるために、おっぱいを妄想して幸せになる{/netabare}
などということはなかったと弁明はしておきますw)

SF展開も私好みで思索も捗り、久々に幼少期に戻った気分になりました。
嬉しさの余り……また、劇場版の説明だけでは納得できないこともあって、
鑑賞後、原作購入して延々と考察に耽っている内に、
この夏も終ろうとしていますがw後悔などは全くありません。
脳に清々しい汗をかくこともできた素敵な夏でした。


それにしても、この主人公少年は
これからまさに恋を知り、青春を知ることになるのでしょうが、
別次元とも言える思春期の純情を経た時、さらに大人になった時、
この夏の思い出はどう自己解釈されるでしょうか?
未熟だった自分にのたうちまわったりもするのでしょうか?
今から反応が楽しみでなりませんw


その他、主人公少年だけでなく、同級生の男子一名と女子一名もまた、
初めて知ってしまった恋の感覚に戸惑いながらも成長していく。
三者三様の青春も実にくすぐったかった。良作青春SF映画でした。


以下、ネタバレかつ超絶ロングな考察。

一応ノート形式を気取ってはいます。
眺めていても大した「エウレカ!」も来ない半端な代物ですがw
鑑賞後の思索等にお役立て頂ければ幸いです。

{netabare}
□ブラックホールとワームホール仮説と“世界の果て”

劇場版では、“世界の果て”は遠い宇宙の外ではなく、内側にあるかもしれない。
と示唆された程度でしたが、原作では、かなり多岐に亘る思索があります。

例えば、恒星が死を迎える際に重力で自壊するなどして
空間に穿たれるブラックホール。
光も音も時間や空間さえも飲み込まれ押し潰されると言うこの穴については、
その出口が別の宇宙へ通じているという仮説が提唱されています。

この場合“世界の果て”は外側の辺境ではなく、
内側のブラックホールに存在することになるのです。


□始まりと終わりを繰り返す万物

無から生じた宇宙の膨張と収縮。
混沌と秩序、生と死、進化と絶滅、眩しい朝昼と静寂とした夜、
輝かしい夏も四季が巡れば秋を経て、命が眠る寂れた冬を迎える。

全ては始まり、やがて終わり、また混沌とした始まりへと回帰していく。
本作では盛衰を繰り返す森羅万象という宇宙観が、
少年が知覚する周囲のあらゆる事物、体験にあてはめられます。


□宇宙と海の共通点

原作では海の神秘についても、さらなる言及があります。
深海に至っては並の探査船は圧壊する程の高水圧。まるでブラックホール。
そこにすら棲息する生命体は、宇宙のエイリアンを思わせるグロテクスクな外観。

光や音が地上と異なる性質を見せる水中においては、
さながら宇宙空間を想起させる不思議な非日常的な環境を与えてくれます。
宇宙飛行士も水中で訓練に励むのです。

劇場版では、さらりと流されたプールのシーン。
あのカットだけだと全裸で女子の前に浮上する
少年の奇行を強調するだけのネタシーンと化していますがw
原作だと、あの場面に宇宙と海をつなぎ合わせる感覚を読者と共有する、
貴重な水中体験の描写があります。

後で原作を読んでいて、一番これは映像化して欲しかったなと思ったシーンです。


□コーラと多元宇宙論

お姉さんが投じたコーラからペンギンが発生する。これも含蓄に富んだ表現です。

原始の海から発生した生命が鳥類まで到達する生命進化史の早回しとも解釈できますし、
私の場合は幼少の頃見た多次元宇宙論の泡宇宙のイメージ映像を思い浮かべました。

宇宙は単一ではなく、無数に存在していて、炭酸の泡の如く生まれては消えている……。
コーラの漆黒の液体に泡立つそれらがペンギンへと到達し、また元のコーラ缶に回帰していく……。
一連の描写は宇宙の性質も示唆しているように感じました。

いずれにせよ、ペンギンの発生と消滅もまた、万物の盛衰を暗示しているものと思われます。


□<海>とは何か?

ハマモトさんが発見した膨張と収縮を繰り返す不思議な浮遊球体<海>
この世界に開いた塞ぐべき“穴”との指摘からも、
また上記の考察からも、ブラックホール?と推測したい所ですが、
重力による星の潰滅に由来しないためか、万物を吸い込み圧壊する性質はない模様。

一方でワームホールの如き異次元空間への転移機能は有していて、
<海>の中では物理法則や時空も混沌としています。
劇場版でも“世界の果て”と形容された<海>
原作では加えて「カンブリア紀」の海とも再三強調されています。
多種多様な海洋生物が爆発的進化を遂げては消えていった……。
地球生命史でもっとも多くの可能性が繚乱した時期。

<海>はかの時代の如き混沌への回帰をもたらすのです。


□ペンギンの役割

ペンギンと言う鳥類はまさに生命進化史の天邪鬼。
海の生命が数億年かけて上陸を果たし、翼を獲得し、大空に羽ばたいた……。
その進化に逆行するようにペンギンは、空を飛ぶことをやめ、
翼をフリッパーに変え、生命の故郷である海に舞い戻り、生き生きと泳ぎ回る。
そのクセ、かつての陸棲から海の主と化したシロナガスクジラと異なり、
ペンギンは完全に海棲生物にはならない。
「ペンギン・ハイウェイ」と呼ばれるルートを通って
彼らは海から陸の浜辺へ帰って行くのです。

お姉さんが出すペンギンたちもまた、混沌たる<海>と呼応しながら、
完全に混沌に回帰することはない。
それどころか混沌を振りまく<海>を、
残された鳥類としてのアイデンティティたるくちばしで突いて消してしまうのです。

混沌に最接近しながら、秩序へ舞い戻って来る。
「ペンギン・ハイウェイ」は混沌に背を向ける者たちの進路でもあるのです。


□ジャバウォックの役割

……これには参りました。なにぶん『鏡の国のアリス』の記憶がないものでして……。
こんなキメラみたいな怪物いましたっけ?

で、結局、ウィキペディアなどを当てにする羽目になったわけですがw

その中で使えそうかな?と思ったのはジャバウォック退治が、
「言語の存立」を脅かす混沌を両断する比喩であるとの解釈。

陸に出張って来たクジラの如き風貌のそれは、
混沌から秩序を構築する営みを妨害する<海>からの使者。
混沌の穴を塞ぐペンギンにとっては
やはり天敵となる存在だと思われます。


□少年の成長に待ったをかける、混沌回帰の誘惑

少年はお姉さんを未来の結婚相手と決めている。
けれどそれは恋慕の感情を理解できていない、
母性依存以上、初恋未満の幼少期の未熟である。
少年が幼少期を脱し恋とは何かを知れば、
お姉さんとの関係は成立し得ない幼少期の夢想として霧散する運命にある。

生まれて成長していっても、人はやがては死に絶える。
万物はどーせ原始の混沌に戻っていくと言うのに、
遠くの海辺の街など目指す必要はあるのだろうか?

このまま成長もせず、恋も知らず、
将来お姉さんと結婚すると無邪気に思えていた頃の
甘い夢に溺れていても良いのではないか?

混沌への退行という誘惑は、
成長し恋を認識しつつある少年を惑わせ続けます。


□新興住宅街と子供のセカイとお姉さん&ペンギンの行動可能範囲

原作では、主人公たちが暮らす新興住宅地についても多くの言及があります。
少年が引っ越して来た時は、誕生直後の宇宙や原始の地球の如き静けさだった街が、
人口増加と共に活気を得ていく……。

星や銀河が繁栄した宇宙史や、多様な進化が花開いた生命史と重ね合わされた、
ビッグバンのようなエネルギーで膨張を続けるこの街には
お姉さんが出すペンギンの素材ともなり得る特別な力が宿っているのです。

さらに“世界の果て”は内側にあるかもしれないという論理は、
子供たちが行動し、探検できる範囲内に
“世界の果て”はあるという幼少期にありがちな夢想とリンクします。

海辺の街を目指すためにはこの住宅街を、子供のセカイを出て、
外に踏み出さねばならない。

そして奇しくも子供のセカイはお姉さんやペンギンたちが存在できるエリア。
ペンギン・エネルギーが届く範囲ともリンクするのです。



□それでも少年は海辺の街を目指す

混沌への退行という誘惑を振り切って、
少年は秩序を阻害する<海>を終らせる決断をします。

それは恋と知ってしまったお姉さんとの関係。
でも現状では叶わない子供と大人の関係。
それらを一度精算する辛い判断でもあります。

例え、万物がやがて無に帰すものであっても、
少年は進化を続ける存在として、成長を選択し、
内側の“世界の果て”に籠もるより、遠く外側にある“世界の果て”を目指すのです。
子供のセカイを出て、海辺の街へ……。

幼少期を脱して思春期へと、街の安泰と共に、
少年の成長は健全性を取り戻すのです。


□お姉さんの体調と<海>の膨張・収縮とハマモトさん

<海>の拡大と相関関係にあるお姉さんの体調。

加えて私には少年と同級の少女ハマモトさんとの関係も
関連しているように思えます。

ハマモトさんは少年に思春期の健全な恋を体験させるキーになる登場人物。
ハマモトさんと<海>の研究を開始する前は拡大期にあったと言う<海>。
お姉さんも割と元気でした。

この辺りにの関連性についてもデータを整理すれば面白いのでは?と感じています。


□お姉さんの正体と役割

結局、私にとっては、これが一番の謎として残りました。

物体からペンギンを生成する人知を越えた存在であったお姉さん。

世界が混沌に飲み込まれるのを防ぐため生まれた異次元人か?
はたまた、主人公少年がお姉さんと結婚するという夢想が、
夏の終わりに彼女の引っ越しにより霧散する……。
という現実がまずあって、
そこからSFファンタジー方面へ派生した幻想がペンギンを出すお姉さんだったのか?
なかなか明確な答えが見出せません。

ただ、一つ思うのは、お姉さんは素敵な女性であったということ。
幼児、児童の結婚願望を向けられて、
軽くあしらうでもなく、中途半端に悪ノリするわけでもなく、
論理的に思考し研究する少年の可能性にかけて、
自身の謎を課題として提示するという形で、
少年が自力で思春期への成長へ踏み出す契機を与えた。

私は彼女の言動を好意的に受け止めています。{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 36
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

『この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるか?』

アニメ化もされた『夜は短し歩けよ乙女』、『四畳半神話大系』などの森見登美彦による原作小説は、角川文庫(角川書店)で書籍化(原作未読)。第31回日本SF大賞受賞。
アニメ映画は、119分(2018年)。監督は、『陽なたのアオシグレ』、『雨を告げる漂流団地』などの石田祐康。制作は、同監督の作品の他に『泣きたい私は猫をかぶる』、『BURN THE WITCH』などのスタジオコロリド。
(2024.3.29初投稿、3.31一部推敲、「考察を踏まえた感想」を追記)

以前から気にはなっていたものの、感想が人によって結構違うし抽象的。こういう作品は、経験上、刺さる人にだけ刺さるものが多く、自分に刺さるかまで観る前にわからないので躊躇していた作品。が、某レビュアーさんの勧めもあって観始める。

観終わった直後の感想としては、確かに、これは感想が人によって結構違ってきそう。なぜなら、本作には、大きく分けると「現実の話」と「夢のような話」という柱が2つあると感じたからです。
(これを補強する劇中の要素としては、本作に登場する「ジャバウォック」がルイス・キャロル作『鏡の国のアリス』の中で語られる怪物であるということ。なので、本作は、意識的に『鏡の国のアリス』の「(アリスの)夢のような話」と「現実の話」がごちゃまぜになった感じを描いていると思われます。例えば、冒頭のシーンである近くに海のない閑静な住宅街に南極周辺にしか生息しないはずの愛らしいペンギンが群れているという景色も、そういう感じですよね。)

その柱の1つ目である「現実の話」の中心は、本作の主人公であるアオヤマ君の「ぐらつく乳歯」、「にがいブラックコーヒーを我慢して飲む」、「セクシーな年上のお姉さんに憧れる」といったアイコンが示す「大人になりかけの少年のちょっと背伸びした恋」。
おそらく、ここに関する感想が人によって大きく異なることはないでしょう。なぜなら、誰しもが多かれ少なかれ大人への通過儀礼として「現実」に通った「道」(一本道としての「ペンギン・ハイウェイ」)でしょうから。

問題は、もう1つのSF要素のある「夢のような話」の方。
「アオヤマ君は、“お姉さん”がふいに投げたコーラの缶がペンギンに変身するのを目撃する。ポカンとするアオヤマ君に、笑顔のお姉さんが言った。『この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるか?』」(公式のSTORYから引用)という問いが、アオヤマ君と同時に我々にも投げかけられている。

そして、その謎については、劇中で明確な答えらしきものが提示されておらず抽象的な表現にとどまっている。
したがって、その解釈についての具体的なイメージや、そのイメージをどう具体的に説明するかは、その人の個人的な経験などが色濃く反映されることになるため、人によって大きく異なってくる。また、抽象的なだけに色々な解釈の余地があるとも思いました。


とはいえ、考察好きとしては、綺麗なお姉さんに挑発されたんじゃ黙っていられないということで(笑)、これから「ネタバレ全開で考察」していこうと思います(以下、興味のある方のみ、お付き合いいだだければ幸いです。)。


【「お姉さん」とは?】
{netabare}そもそも「お姉さん」には名前がないので、抽象的な存在であることが匂わされています(※マンションの表札も見えない)。
したがって、それだけでも「お姉さんは具体的な存在を持った人間ではない」といえそうです。

これを「現実の話」の文脈で考えるなら、特定されていないので、男の子の憧れの存在として、みんなが想像する「お姉さん」のアイコンという意味も含まれているのでしょう。

そうなると、問題は、やはり「夢のような話」の文脈における「お姉さん」の存在理由(正体)でしょう。


【「海」と「ペンギン」と「ジャバウォック」と「お姉さん」との関係】
これを考えるには、まず「海」と「ペンギン」と「ジャバウォック」と「お姉さん」との関係を解明する必要がある。

結論からいえば、これらはすべて「海」から生まれた存在(もしくは、結局のところ「海」と同じもの)だと考えます。

「お姉さん」は、「ペンギン」と「ジャバウォック」を生み出すことができる。そして、「お姉さん」は「ペンギン」をたくさん生み出すと疲れることから、「ペンギン」は、「お姉さん」自身がエネルギーを消費して生み出したことになります。また、「ジャバウォック」は、「お姉さん」が「この世界に未練があった」ことから無意識に生み出された存在でした。

さらに、「海」から離れると、「ペンギン」も「お姉さん」も存在できなくなるという描写、「海」の膨張と収縮に「お姉さん」の元気が連動しているという描写から、「お姉さん」は、「お姉さん」が「ペンギン」を生み出したのと同じように、「海」から生み出されたものだという推測ができます(もしくは、結局のところ、目的に合わせて形を変えて生み出されただけであって、本質的にはすべて同じものなので連動しているとも考えられます。)。

加えて、2002年にスティーヴン・ソダーバーグ監督によって映画化された、ポーランドのスタニスワフ・レムによるSF小説『ソラリス』に「海」が出てくる(ここで『ソラリス』がいきなり出てきますが、劇中でアオヤマ君がスズキ君をからかうためについた嘘が「スタニスワフ症」でした。)。

この『ソラリス』、簡単にいうと、惑星ソラリスの衛星軌道上にあるソラリス・ステーションで、そこにいないはずの人間が現れるという奇妙な現象が起こり、その謎を主人公が解明していくというお話。そして、その謎の人間は、{netabare}そこにいた研究員の記憶をもとに「海」が生み出した人間のコピーでした{/netabare}。

という本作の元ネタから考えても、「お姉さん」は、「海」が生み出した存在だといえそうです。{/netabare}


【「海」ってなに?】
{netabare}じゃあ、「海」ってなに?って話になると思うわけですが、結論からいえば、元ネタの『ソラリス』から考えても、「海」とは、我々では完全に知覚・認識できない「未知の存在」(高次元の存在、地球の意志、ライフストリーム(FF7)、神、宇宙人、オーバーロードなど)なのだと思います。


もっとも、「未知の存在」では説明になっていないので、もう少し考察を進めるなら、劇中で、アオヤマ君は、「海」について、時空を歪めるので、この世界に存在してはいけない「穴」みたいなものだと言っています。

また、物語の終盤に、お姉さんとアオヤマ君が「海」の中に入ると、そこには我々の世界と似てはいるものの違っているようにも見える異世界が広がっていました。

そうすると、この「穴」は、SFでは定番設定ともいえる「ワームホール」ということになりそうです(そんなものをアオヤマ君が生身で通過できるのかについては、真面目に考察しない方向で(笑))。


【「穴」の存在理由】
では、そんな「穴」がなんであるのかという話になってくる。

「穴」を修復するために「お姉さん」によって生み出された存在が「ペンギン」でした。だから、「ペンギン」は「海」を破壊しようとする。

もっとも、「お姉さん」が生み出した「ジャバウォック」は、「ペンギン」を食べる。これは、「お姉さん」がペンギンを生み出す理由と矛盾するのですが、「お姉さん」がこの世界に未練があり、修復が完了すると目的を果たして消えてしまうため、無意識に生み出されてしまった存在のようです。
(また、「お姉さん」が「ペンギン」や「ジャバウォック」を生み出せることは、「海」と同じ存在としての「生命の母」のメタファーということになりそうです。そうすると、いやらしい意味ではなく、母性のアイコンとして「お姉さんのおっぱい」を強調することにも意味が出てきます。)

じゃあ、「ペンギン」・「ジャバウォック」と「穴」はどういう関係なのか。

ヒントは「ジャバウォック」にありそうです。なぜなら、こいつは怪物なんですが、実は『鏡の国のアリス』では存在が語られるだけで実際に出てこない。だから、形が決まっていない。そこで、本作のジャバウォックをみると、異形ではあるものの、その原型は「クジラ」だと思われます(実際、一部の歯クジラはペンギンを捕食します。)。

そして、先程の「ペンギン」。実は、クジラとペンギン、この2種には共通点がある。

それは、進化の過程で、海から陸に上がって、再び海に戻ったというところ(劇中でも、終盤でそういった内容がイメージされるシーンがある)。また、ペンギンは海から餌をとり、クジラはペンギンを食べるという食物連鎖がある。
さらに、「海」のあった森は、円循環するように空間が歪められていました。あと、「海」にあたると人工物が自然に戻されるような描写がある。

そこで、これらは、あえていうなら「全ての生命はその母である海に戻る」、「円循環」、「万物の流転」のアイコンといえるでしょうか。

そうすると、上で書いたように、結局のところ、「海」と「ペンギン」と「ジャバウォック」は本質的に全部同じものだと考えられるので、これらは、「海」という1つの意志に従っていると考えられる。
そして、上で導いた「全ての生命はその母である海に戻る」が「海」の普遍的な意志なのだと推測できます(「海」に意志がないとみるなら、「相対性理論」のような普遍的な法則でしょうか。)。

したがって、「未知の存在」である「海」は、人類が円循環から外れそうなので、「穴」によって人類を「海」の普遍的な意志である「全ての生命はその母である海に戻る」を強制実行(人類にとっての、終末思想、地獄、最後の審判、終わり、死、世界の果てなど)しようとしていたと考えられます。


【「穴」と「お姉さん」との関係】
その強制実行に際して、「お姉さん」は、その「海」の意志を地球で実現するための「代行者」、「天使」、もしくは、その判断の正しさを担保するための「審判者」として「海」に用意された存在だったといえそうです(なぜなら、「海」を消滅させる能力、すなわち、強制実行を中止する能力を持っていた。)。

そうすると、「お姉さん」は、人類代表の賢いアオヤマ君が円循環の「道」(「ペンギン・ハイウェイ」)から外れることなく、破滅の道を選ばないと判断したことになりそうです。

もっとも、今後、アオヤマ君が努力を怠れば、再び「穴」があくかもしれないですし、ペンギン・ハイウェイの先にいるはずの「お姉さん」をどう解釈するかは、「海」を具体的にどう解釈するかによっても変わってきそうです(例えば、「海」を神と考えるのか、宇宙人と考えるのかなど)。

このあたりは、個人の宗教観なども関わってきそうですし、これが正しいなどと言うつもりもないので、参考までに見ていだければ幸いです。{/netabare}


【「お姉さん」の記憶は本物か?】
{netabare}あと触れておきたい謎としては、「お姉さん」がもっていた記憶の謎でしょうか。

まあ、「お姉さん」自体が人間ではないので、彼女自身が経験した本物の記憶ではないでしょうね。

もっとも、元ネタである『ソラリス』で「海」が他人の記憶をコピーして人もどきの存在を生み出していたことから考えると、別の誰かの実際の記憶のコピーである可能性が高い。例えば、かつて海に飲み込まれてしまった人の記憶などでしょうか。{/netabare}


【考察を踏まえた感想】
{netabare}劇中で、唐突にアオヤマ君の妹がお母さんが死んでしまうと泣いていたり、お父さんが「世界の果ては意外と近くにあるかもしれない」(つまり、「海」の存在の暗示)といっていたりするので、何か意味があるんだろうとは思ったんです。

しかし、抽象的な話なのでそもそも難しいとは思うのですが、他の劇中の要素をあわせても「穴」の存在理由を導くには、「未知の存在」に対する興味といった正の要素が強く恐怖といった負の要素が弱いと感じたので、ちょっと遠いかなあというのが率直な感想です。文字では気にならなかったであろう部分も、映像として解像度があがると、その分の情報量を足す必要が出てくる。

出しすぎるのも論争のもとになるのですが…、もう少し映画監督として色(自己流の解釈)を出しても良かったのかもしれませんね。{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 6
ネタバレ

四畳半愛好家 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

世界は研究すべき”不思議”で満ちている!

原作:「ペンギン・ハイウェイ」既読
 著:森見登美彦
  (代表作「夜は短し歩けよ乙女」「四畳半神話大系」「有頂天家族」等々)

『他人に負けるのは恥ずかしいことではないが、昨日の自分に負けるのは恥ずかしいことである。一日一日、ぼくは世界について学んで、昨日の自分よりもえらくなる。…今日計算してみたら、ぼくが二十歳になるまで、三千と八百八十八日かかることがわかった。そうするとぼくは三千と八百八十八日分えらくなるわけだ。…えらくなりすぎてタイヘンである。…結婚してほしいと言ってくる女の人もたくさんいるかもしれない。けれどもぼくはもう相手を決めてしまったので、結婚してあげるわけにはいかないのである。
 もうしわけないと思うけれども、こればかりはしょうがない。』(原作抜粋)

毎日学ぶことをモットーに、日々ノートを片手に世界に対する研究を重ねている優秀だけどちょっとスケベな愛すべき阿呆小学生の主人公と、謎多きお姉さんを中心に据えた、不思議なファンタジーSF作品。

森見作品にあるまじき優秀な小学生が主人公であるが、内在する阿呆さは”らしい”主人公でもある。美しい「お姉さん」の不思議な力に関する研究を進めていく中で生まれた謎が謎を呼ぶ作品であり、青春を感じさせる爽やかな作品でもあった。

途中冗長気味で、退屈に感じられる部分もあったが、総じて森見さんの描き難いオリジナリティーあふれる不思議な世界観を、精一杯うまく映像化していることに大変満足できた作品であり、面白さ、熱さ、美しさ、そして切なさが見事に融合された良作であったと思われる。
(ちなみに自分は泣きました。アオヤマくんは泣かないことにしているのに…。)

森見ファンはもちろん、ちょっと変わったアニメ映画が観たいなら、ぜひともチャレンジしてみてほしい作品である!

以下項目別ネタバレ付き感想
{netabare}
物語:4.5
 森見×上田誠は心配の必要なし。
 謎が謎のまま残ったことを残念に思う意見が散見されるし、その意見には大いに共感できるが、この不思議な世界を説明するのに十分な言葉はこの世に存在しないと思うし、誰もが納得する答えはきっとない。
 世界に空いた穴である<海>”広がる世界の果て”を埋めるためのペンギンであり、そのペンギンを生むお姉さんはきっと人間ではなかった。<海>がなくなれば<海>エネルギーで存在しているペンギンやお姉さんは消えてしまう…。主人公が立てた仮説はこんなところであろう。そして、主人公以上にお姉さんの真理に近づいた人間もまたこの世にはいない、とどまるところ現状人知では手には負えない問題なのである。
 これらは原作において”素敵な”父の言う「解決しないほうがいい問題」であり「理不尽なこと」であった。

 ただし、ぼくは決してあきらめていない。

『ぼくは世界の果てまでたいへん速く走るだろう。みんなびっくりして、とても追いつけないぐらいの速さで走るつもりだ。世界の果てに通じている道はペンギン・ハイウェイである。その道をたどっていけば、もう一度お姉さんに会うことができるとぼくは信じるものだ。これは仮説ではない。個人的な信念である。』

声優:3.5
主人公「アオヤマくん」を演じたのが北香那。演技がぶれずに想像以上にフィットしたキャスティングであった。
お姉さんは蒼井優。こちらは評価が分かれるかもしれない。演技力は流石であったが、アニメ声に毒された自分には、もう少し綺麗な声であててほしかった気がする…。
ウチダくんは釘宮であったこともあり、可愛すぎかよ!もしかしてヒロインよりも…なんて思ってしまったり。
その他お父さんを演じたのが西島秀俊…!棒演技ではあったものの、暖かい声はやはり素敵であった。

キャラ:4.0
アオヤマくんとお姉さんは安定として、脇を固めるキャラ達も素敵であった。ハマモトさんなんて可愛いじゃないか!
個人的には原作からお父さんがお気に入りだったりする。
いじめっ子のスズキくんと一緒に遊べるようになったのも良かった。

作画:4.5
素晴らしい。難しい世界観を見事に映像化しているし、演出も申し分なし。

音楽:4.5
主題歌は宇多田ヒカルの「Good Night」。最高にマッチしていて、エンディング中に席を立つ人が極端に少なかったように感じた。

最後にぼくとお姉さんに明るい未来があることを祈って、原作の最後の素敵すぎる文を引用したい。

『ぼくらは今度こそ電車に乗って海辺の街に行くだろう。
 電車の中でぼくはお姉さんにいろいろなことを教えてあげるつもりである。ぼくはどのようにしてペンギン・ハイウェイを走ったか。ぼくがこれからの人生で冒険する場所や、ぼくが出会う人たちのこと、ぼくがこの目で見るすべてのこと、ぼくが自分で考えるすべてのこと。つまりぼくがふたたびお姉さんに会うまでに、どれぐらい大人になったかということ。
 そして、ぼくがどれだけお姉さんを大好きだったかということ。
 どれだけ、もう一度会いたかったかということ。』

{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 17
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