差別でSFなアニメ映画ランキング 1

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61.1 1 差別でSFなアニメランキング1位
PARASITE DOLLS パラサイト・ドールズ(アニメ映画)

2004年1月17日
★★★★☆ 3.5 (36)
192人が棚に入れました
 オリジナル・ビデオ・アニメ「バブルガムクライシス」に始まるフューチャークライムシリーズの流れを汲むSFアニメーション。捜査官たちが近未来の都市でうごめく陰謀に立ち向かっていく。監督はTVアニメ「めぞん一刻」の吉永尚之と「キル・ビル」でアニメーション監督を担当した中澤一登。21世紀初頭、関東大震災に見舞われた東京は、ゲノム・コーポレーションによって開発された人造人間“ブーマ”の投入とその活躍で復興を遂げる。そして西暦2034年、発展した都市の中で人間とブーマは共存を保っていた。だが、徐々にブーマを利用した事件が頻発。やがて、ブーマ犯罪を取り締まる高機動対テロチーム“A.D.POLICE”が設置される。さらに、難事件を専門とする特務組織“ブランチ”をチーム内に構成。その捜査官バズは相棒のブーマ、キンボールとブーマ連続暴走事件を追う。すると、彼らはその過程で、ある薬品を入手する。
ネタバレ

manabu3 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

いつの時代も、人は概して排他的なのか

人間と人造人間“ブーマ”が共存する時代のお話。
テーマは、人間と人造人間の共存について。
エログロあり。アニメ映画。

『攻殻機動隊』や『ブレードランナー』のような世界観が好きな人なら楽しめるかもしれない。
しかし、主張したかったことが希薄だった。視聴者が少ないのも納得できる。


■感想
人造人間が社会に普通に溶け込む時代の話ではあるが、彼らに対する差別も未だ残るようである。
顕著なシーンを2つ抜粋。
{netabare}①ある美しい人造人間が道を歩いていた
「あの子、可愛い」と発言した女性に対し、その友人が放った言葉は「どうせ人造人間でしょ」
(さりげないシーンではあった)
②とある女性に愛を告白し、迫る人造人間
告白された女性は拒絶する。「あなた人造人間でしょ!」
駆け付けた警察に対して「早く殺して!」と言い放ち、警察の銃を奪い自ら撃ち殺す。(!)
(でも確かに、告白して迫りくる人造人間は怖かった){/netabare}

いつの時代も、人は概して排他的で保守的な生き物なのだろうか。
この作品においても、上記で抜粋した2つのシーンなどで、
人間が人造人間に対する排他的な姿勢が描写されていた。
今の時代の世界においても、人種、身分、思想、宗教、容姿、肌の色など、
様々なことでそのことが言えるかもしれない。
排他的で保守的であるのが、良いか悪いかは何とも言えない。
何故なら自己保存のためには必要な要素でもあると思うからだ。
恐らく「限度」だと思う。自信はないけど。

何はともあれ、この作品も、人の何かしらの愚かしさを示唆しているのだろう。
ところで、この作品は何故このような排他的な要素(人造人間への差別)を包含したのだろうか。

1)人という生き物はいつの時代も大して変わらず、「いつの時代」も排他的だからか?
2)こうした作品が生まれたのは、「今の時代」を生きる人々が排他的だからか?

その答えはまだわからない。
自分勝手な私だけど、許せる限りで他者を許容をしてみようと思う。
このアニメを見てそう思った。
やはりSFは面白い。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 10

takumi@ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

アンドロイドの暴走と共存

『A.D.ポリス』の番外編にあたるOVAを劇場用に再構成したものなので
OVAも劇場版も内容はほぼ一緒。
なのでどちらをご覧になっても良いと思うが、
劇場版のほうが多少補足説明されてるのでわかりやすいかも。

時代は西暦2034年。「ブーマ」と呼ばれるアンドロイド的な存在と人間とが
共生する東京だったが、ブーマを道具として利用した犯罪も多発していた。
それらの事件を解決するためにADポリスが設置した特殊任務組織ブランチの活躍を
3つの事件を通して描く全85分ほどの物語。

主人公バズの相棒もまたブーマで。
見た目も声も話し方も、ほぼ一般的な人間と同じ。
会話をしているのを見る限り、心的なものは存在しているようだが
その心情の変化や機微はいかほどのものなのだろう。
アンドロイドやドール系の話はけっこう好きなので
そういう未来を思い描く時、夢と希望を感じることも多々あるし
パソコンやカメラですら生き物に感じることがあるその一方で、
なんだか薄ら寒いものを感じずにはいられない。

ちなみに、渋めなOPはスタイリッシュ。
キャラデザ、作画とも一昔前の雰囲気で、好みは分かれそうだが
背景など丁寧に描き込まれていて、きれいだった。
個人的には女性のヘアスタイルと服装が好みではなかったし
メイクも濃すぎて気に入らなかったけれど
おそらくこの作品、海外向けを意識したのかなと。
登場人物見ても、顔立ちや髪型が東京っていうよりは南米っぽかったしね(笑)

この作品、あにこれではまったく人気がないようで
レビューもほとんどないのは少々残念。
『A.D POLICE』や『バブルガムクライシス』がお好きな方はもちろん
攻殻機動隊などの世界観とも近いものがあるので
攻殻好きな方にも一度ご覧になっていただければと思う。
ただし、グロいシーンがダメな人にはオススメできないし
なんせ尺が短く、あまり深くは掘り下げていないため
観る人によっては内容が薄っぺらく感じる場合もあるかもしれない。
とだけ、付け加えておこうと思う。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 19

ワッキーワッキー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

ルビンの盃

■ストーリー■
西暦2034年、東京では「ブーマー」と呼ばれるアンドロイドが開発され、人々の生活を支えていた。その裏ではブーマーを使った売春や破壊活動、テロ行為が起こり、その対抗手段として、高機動対テロ組織「A.Dポリス」が組織された。そのA.Dポリスでも対処しきれない難事件解決のため特殊任務組織「ブランチ」のバズがブーマーの暴走事件の捜査をするところから物語が始まる。

■感想■
作画としては、近未来の話なのにPCや家電が時代を感じさせるものの、リアリティがある人物やブーマーの内部など、丁寧に描かれていてそこまで違和感なく視聴できました。

また、本筋としては、バズのトラウマとブーマーと人間の関係を一巻して描かれていたが、私としては2部構成にするより一部を集中して書いてほしかったかなという感想をもちました。

興味深かった点としましては、ブーマーを人間として観るのか、機械として物と観るのかを真っ向から書いている点です。
徐々に魂があるものとして見ていく主人公たちや、ブーマー自身も自分に機械ではない部分を感じていくといったところが、レビューのタイトルのルビンの盃(心理学テストの向かい合った人物に見えたり、盃に見えたりというもの)のように感じ人間の人間として認識する境界に迫る部分が、興味深かったです。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 3
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