小説で恋愛なアニメ映画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の小説で恋愛な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月06日の時点で一番の小説で恋愛なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

91.3 1 小説で恋愛なアニメランキング1位
劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(アニメ映画)

2020年9月18日
★★★★★ 4.4 (573)
2723人が棚に入れました
――あいしてるってなんですか?かつて自分に愛を教え、与えようとしてくれた、大切な人。会いたくても会えない。永遠に。手を離してしまった、大切な大切なあの人。代筆業に従事する彼女の名は、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。人々に深い、深い傷を負わせた戦争が終結して数年が経った。世界が少しずつ平穏を取り戻し、新しい技術の開発によって生活は変わり、人々が前を向いて進んでいこうとしているとき。ヴァイオレット・エヴァーガーデンは、大切な人への想いを抱えながら、その人がいない、この世界で生きていこうとしていた。そんなある日、一通の手紙が見つかる……。

声優・キャラクター
石川由依、浪川大輔
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

年賀状でも書こっかなぁ

sincerely 
①副詞 心から 本当に
②アニメOPに使用されたTRUEの楽曲
③{netabare}劇場版ヴァイオレットエヴァーガーデン 冒頭の一語{/netabare}

TV本編を想起させる仕掛けが冒頭からてんこ盛りでより楽しむためには本編必須。ただし厳密ではなく可能であればレベル。一見さんいらっしゃい指数でなら『外伝』>『劇場版』になります。


「届かなくていい手紙なんてないのです」

 そして

「私は…愛を知りたいのです」


作品を紐解くキーワードにして二つの軸。
前者は人の想いは届いて初めてかたちになるという大切な概念。ドールや携わった人たちとの物語。
後者は兵器として育てられた少女が人間性を獲得していく過程。少佐とヴァイオレットの私的な物語。

ギルベルト少佐の残した「心から…あいしてる」の言葉。復員後のC.H郵便社にてカトレアが発したシンプルな一言に反応して自動手記人形の仕事をすると申し出たことが全ての始まりです。道具として利用価値がないなら自分を捨ててくれとまで言った少女が申し出たのです。
それだけ強い執着を持っていた言葉「あいしてる」。かくして愛を知るために始めた仕事を通じてもう一つの軸である人の想いを届ける素晴らしさを学んでいく過程がTV本編でした。

「届かなくていい手紙なんてない」裏を返せば「人の想いは必ず届けなければならない」です。

ターニングポイント{netabare}(己のやってきた重大さに気づいた第9話){/netabare}以降どう物語は進行していくかが肝でした。それでターニングポイントの次回話で選択したのは{netabare}(思いっきり手紙を届ける話。かつ神回と言われる10話と){/netabare}少佐との話は遠ざかる方向へ。

「届かなくていい手紙なんてないのです」

「私は…愛を知りたいのです」

前者はひととおり形をつけ後者はおあずけ。あくまで彼女の周囲の人たち“が”想いを伝えることが出来たのでした。TV本編を通して自分の想いをまがりなりにも形作れるように成長してきたヴァイオレットがどうにかして“自分の想いを届けられるのか”。残された宿題でした。

なお「届かなくていい手紙なんてないのです」を磨き上げたものが外伝です。さあ残るは↓


「私は…愛を知りたいのです」


前置きが長くなりました。この残された宿題への回答がなされ物語が完結するのがこの劇場版です。

TV本編でスッキリしなかったかもしれないそこのあなた! 諸悪の根源が消えていくことでしょう。
TV本編を称賛して止まないそこのあなた!是非もなし、、、まずは試されよです。

自分はスッキリしなかった側でした。結果は申し上げた通り。圧巻の140分です。




鑑賞前の方これ以降はやめときましょう↓

※ネタバレ 備忘録的なもの(長い)


■切っても切れぬTV本編 ネタバレ度:軽

{netabare}冒頭画面に浮かぶ“sincerely"の文字。間髪入れずに見覚えのあるあのお屋敷と意外なあの子。涙腺を蛇口に例えるならこの時点で開栓して戻れなくなった方もいらっしゃるのでは?
そんな一つの文字だったりあのエピソードを彷彿させる冒頭もTV本編へと意識を持ってく仕掛け。アン孫が手放した手紙が風で飛ばされて野山や街を駆け抜ける演出は第1話ヴァイオレットが手放した手紙が飛ばされていくのと同じです。

あの時と違うのは携わるメンバーです。エンドロールでは原画と美術監督に物故者を確認。サポーティングスタッフは言わずもがな。原画すら焼けてほぼほぼゼロスタートだったこの映画の冒頭を飾ったのが2018年TV本編を意識した演出だったことについて制作会社のプライドと矜持を感じます。{/netabare}


■あん時の主題歌の位置付け ネタバレ度:軽

{netabare}『sincerely』+○○○○○
○○○○○+『みちしるべ』

○に入るのは“あいしてる”。「心からあいしてる」少佐の言葉がなければ少女は生きる支えを失ってたでしょう。全てはここから始まりヴァイオレットの手紙の一文「あいしてるはみちしるべになりました」に繋がります。映画観てTVのOPとEDあらためて聴いたら鳥肌もんでした。{/netabare}


■3つの疑問 ネタバレ度:重

もやっとしかけて咀嚼して納得したものもいくつかありますよ。

1.{netabare}少佐はなんで拒否るの?会ってやれよ!{/netabare}

{netabare}そりゃ私たちはヴァイオレットの気持ちを知ってるから少佐がヘタレてるようにしか見えないアレ。
恐らく半々。何かっていうと、ギルベルトは生き別れた後のヴァイオレットの歩みを知らない。上官と兵器の間柄の他を知らず「自由になりなさい」「普通の少女としてその名に合う女性になってほしい」と言った手前、自分が障害となるわけにはいかないという考え方には理があるように思えます。
それと、ここは彼にとってやっと見つけた安住の地。自己都合と侮るなかれ、全てを失って自分には何もないとすら思ってる男の弱さよ。仕事も順調そうな前途洋々の娘を自分の我が儘で留めるきっかけを作ってはいけないと思ってもこれまた不思議ではないかと。{/netabare}

2.{netabare}なんで拒否られて帰ろうとするんだろう?{/netabare}

{netabare}だってそのためだけに生きてきたぐらいの娘さんですよ。そんな簡単に諦められるものかしら?
これ根深いかもしれません。「あいしてる」の意味をまだ自分が理解できてないと思ってそう。少佐の拒否は自分がうまく想いを伝えられてないからと自分の所為にしてたのなら哀しいこと。まるで虐待を受けた幼子のようなメンタリティ。ただこれは帰還兵のPTSDのようなものというか、感情を知らないところからスタートした彼女の出自を考えれば納得できる心の動きだったように思えます。{/netabare}

3.{netabare}なんで少佐は翻意して駆けだしたんだろう?{/netabare}

{netabare}兄と手紙。家は兄が継ぐから「自分の人生を生きろ」と。まんま少佐がヴァイオレットに言ったことと同じでしたね。ここで少女があの頃と違う彼女であることを察したのかもしれない。家の縛りから開放されたのもあるでしょう。こうみると自ら人生を切り開く選択肢を奪われてた者同士という意味でどこか通じ合う二人だったのかもしれませんね。
そしてホッジンスやヴァイオレットの直接交渉にも勝る手紙の威力。この作品だからこそです。{/netabare}


■ピリオドとして代筆業 ネタバレ度:重

{netabare}昔々あるところに…の昔語り。こんな時代がありましたよね、のピリオドの捉え方が秀逸。電話の登場によって我々が辿った史実をなぞるかのような展開に、あたかもヴァイオレットの時代が現実にあったような気にさせられます。

A:手紙
B:電話

ユリスがリュカに想いを伝えるには手紙では間に合わなかったでしょう。アイリスの言葉を借りてBがAに取って代わる時代の転換点を明示してました。
具体的には代筆業の衰退です。そのことで失われるもの。想いを汲み取って言葉に変換する担い手がいなくなること。誰しもが言語化の術に長けているわけではありませんので需要がゼロになることはありません。それでも即時性のメリットが勝り、より便利な方に流れるのは仕方のないこと。
そうやってオワコン化していく自動手記人形の横で手紙というツールだけが残ります。とある場所で手紙の文化が残ったのは即時性以上に一呼吸置いて言葉を紡ぐ必要のある手紙の本質みたいなのを島民が共有してたからでしょうね。
こういう栄枯盛衰や無常感を「もののあはれ」と言うのでしょう。我々の情感に直接訴えてきます。{/netabare}


■「私は…愛を知りたいのです」 ネタバレ度:重

{netabare}そもそも“あいしてる”の意味を知るための代筆業。それを知ってさらに自分が届けたい相手に届いた以上仕事を続ける必要はないですよね。

 言葉はいつでも 語るでもなくて
 そこにあるばかり つのるばかり

自暴自棄な兄に向けた妹の手紙代筆から始まり、王女の恋文、歌姫の曲の作詞、残される娘への手紙ほかあらゆる人のあらゆる場面の、言葉にならない言葉を拾い上げてきた逸材。カトレアさん風に言えば“行間を読み取ってきた”手練手管に秀でたヴァイオレットちゃんです。
そんな子がギルベルトを前にして何も言えなくなるクライマックスが一番グッときました。あー…だからこの物語は手紙だったんだという説得力があったのです。{/netabare}

{netabare}そしてあえて過去を振り返ってみる。人間兵器として人の感情を知らずに育った少女の人間性を取り戻す物語として。またはTV本編ですっきりしなかった帰還兵の心の再生について。

結論は出たと思います。罪の意識を自覚したあの第9話から繋がるであろう悔恨と贖罪意識の落としどころ。そしてぶっ壊れていた己自身の精神の構築。戦後にヴァイオレットが重ねてきた年月は意味をなすものだったのだろうか?

彼女は人間性を獲得してきました。これはTV本編でもさんざんぱら描かれてきたこと。
そして劇場版で彼女は人を残すこととなりました。個別で直接救われた者も多いが、ヴァイオレットのまいた種が人々の想いを繋げ多くの人たちの心を豊かにしていっただろうことは想像に難くありません。繋がりに繋がってあのアンの孫娘が登場したことが象徴的だったかと。
たしかに彼女は数多くの兵士を殺めてきました。その悔恨と贖罪は心に留めながら、それ以上に人を救ったであろう事実が垣間見えただけで充分なのかなと思いました。

そして時代は流れドールも絶えて久しい頃合い。
『外伝』にてほどけない三つ編みに例えられた三者(①送り手②受け手③繋ぎ手であるドール&配達人)の繋ぎ手を見守るかのように、これからも切手となって想いを届け続けることになるのでしょう。{/netabare}






■だがしかしですよ ネタバレ度:軽

そもそもでこればっかりはどうしようもないのだけど…
{netabare}ギルベルトって兄の泥を被らざるを得ない家庭事情で鬱屈していて、本来はやりたかった仕事(たぶん教師!?)を諦めて軍に進んだ、で合ってます?
それで軍属ながら引き取った少女に読み書きそろばんを教えていたわけですよ。擬似的であれ教師と生徒の構図です。生活指導/道徳の授業も当然のようにしてました。
その結果、教え子に愛情を覚え死に際に「愛してる」と涙流してしまうやつですよ。別に愛に歳の差なんてと思いますから推定14~15歳に惚れてもかまわないんですが、熱血指導の情熱が愛情に転換してしまったヤバめな事案という思いが此度の“教師になりたかったかもしれない設定”で強くなりました。

けれども全力で見て見ぬふりをすることにしよう。

{netabare}ギルベルトってヴァイオレットちゃんが惚れるほどのタマか? …うーん、、悩むなぁ…{/netabare}

多分に嫉妬含みの引っ掛かりを理由に『外伝』のほうに自分は軍配が上がりそうです。例によって二つの軸の片っ方のお話つまり“少佐色が薄い”物語ですから。{/netabare}



視聴時期:2020年9月 

-------

2020.09.30 初稿
2021.08.09 修正

投稿 : 2024/11/02
♥ : 69
ネタバレ

シン☆ジ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

最後の手紙(2回目感想を追記)

下手な言葉を使うとネタバレしそうなので、ポスターのキャッチコピーを一部引用しました^^;

 TV版本編の初放送は2018年で初視聴も同時期でした。。

===劇場版:初見での感想===
 2020年9月19日(土)、劇場版本編を観覧。
 (★舞台挨拶ライブビューイング付き)

全国の劇場で舞台挨拶が見られるとのことで、
予定を繰り上げて、あわてて劇場に行きました。

でも、TV版本編を少しでも復習してから、行くべきでした。。
2年の月日は自分にはちょっと長かった。。
ヴァイオレットへの愛情は忘れようがない。
そんな変な自信を持っていましたが、いかんせん物語の詳細をとどめておけるほどの記憶力は、現在の自分には持ち合わせていない事を突き付けられました。。トホホ

いよいよ物語の主人公、ヴァイオレット本人のストーリーが幕を開けます・・

■{netabare}
 ヴァイオレットには幸せになってもらわないと・・
 ひょっとして、社長とくっつくのかなぁ・・

なんて思ってたら、

 まさかと思うけど、少佐の兄?

と思ってしまうような展開でした。。

でもその上を行く、まさか・・・
少佐が生きていたとは、ね。
TV版完走時は死んだと思ってたから、
外伝も感動したんだけど。。

途中辺りから、

 え。ひょっとして生きてる?

てな展開。
ぶっちゃけ、ダマされた、という思いもw

いや・・・でも・・
これで、よかった。

思えばTV版を観ている時、実は少佐は生きていたというストーリーを妄想していたんでした。ちょっと忘れてました。
ヴァイオレットが幸せになる道は、それしかないですよね。

でもでも・・
少佐の生存がわかるシーンの感動が薄いせいか、
その分、ラストに至るまで延ばす延ばすw

 なんだよ、少佐・・
 ナニ自虐的になってんだ、そういうキャラ?
 てめ、ヴァイオレットを泣かすんじゃねーw
 身元を引き受けた責任と、
 何より「愛してる」と言った責任、
 男ならキッチリとりやがれw

てな展開は、個人的にはストレス展開でした。
いやわかりますよ。
その後の感動のための前フリだろうってことは。

でも、それならそれなりの想いの爆発に共感したかった。。
少佐が走り出した時って、なんか自分的には動機づけが弱かったんですよね。。
ドア越しにしゃべった時以上の動機が感じられなかったというか。。
だから、ラストの感動シーンも、ちょっとモヤモヤして感情移入しきれなかった。

さすがに、ラストシーンは感動的でした。
ただ、あんな遠い岸からのあんな掠れたような声が聞こえるのか、とか
ヴァイオレットは義手重いはずなのに泳げるの、とか
細かいところが気になって、これまた感動ボルテージ上昇の阻害要因となってしまいました。。トホホ

躊躇なく海に飛び込んだヴァイオレット、男っぽい。
惚れ直しそうw

そんな彼女も、ようやく・・本当にようやく、たどり着いた少佐の胸では・・ただただ・・泣き崩れるしかなく・・


さて・・
ここで触れずにはおけませんね。
ツイッターにも出ています。
舞台挨拶での石立監督の言葉。

 ~{netabare}
  ヴァイオレットが書いた手紙には、
  セリフに出なかった一文がある。
  これが、少佐をヴァイオレットの元に
  駈け出させた。。

  というもの。

  なんでしょうね。。
  気になる。。
  「あいしてる」かな。
  でもそれはドア越しに言ってたような。

  てかこれ、セリフにしてくれれば
  もっともっと感動できただろうに。。
 {/netabare}~

にしても、ポスター、いい絵ですね♪
ネタバレしそうですがw

でも・・

ああ・・完結してしまった><
(ホントはこれをタイトルに書きたかった)

もっと引き延ばして何作か出してくれてから、こういう結末になるんだと思ってました・・
原作はどうなんでしょう・・

未来からヴァイオレットを過去の人物として振り返る作りは、個人的にはあまり好きとは言えず、どうせなら子孫も見せて欲しかったけど・・

エンドロール後の1ショットは、救われました。
これで、よしとしましょう。

過去だからお幸せに、と言えないのはもどかしい。

ならば・・

良かったね、ヴァイオレット。

{/netabare}■

そう、エンドロールは最後まで、観ないとですね♪

ちなみに劇場で配布された、入場者プレゼントは
~{netabare}「ヴァイオレット・エヴァーガーデン if」{/netabare}~でした。

あ、3種類の短編小説ランダム配布って公式に書いてた。。
急いては事を仕損じる。
ゆっくり読もう。。


===劇場版:二回目の感想===

京アニはご存知のとおり寄付金を受け取ってくれません。
感謝の心、支援の心を込めて、再度劇場へ行きました。
TV版を観直した後、今度は目線を変えて。

その目線とは、ヴァイオレットであり、ギルベルト。
初見ではどうしてもホッジンズ社長というか保護者目線になってしまいましたが、この物語は、二人の物語であり、その目線で観るのは必定かと。

~{netabare}
まずは、1期を再視聴したことで1期を思い出させるシーンがとても胸に響きました。手紙が空を舞うシーンとか主要エピソードとか。
特にアンのエピソードは一番涙を堪えるのが大変だったかも。

感激は初見ほどではありませんでしたが、ギルベルトの気持ちが何となく理解できました。
愛するが故、自分はヴァイオレットにふさわしくない、と。
これは初見でもわかってはいましたが、わかって1期を観なおすと、彼はヴァイオレットを預かり戦場に送ったことをとても後悔していて、結果ヴァイオレットの両腕を失わせ、たとえ自分が生き永らえたとしても、自分の愛を貫くことは資格がないと考えても仕方がないかもしれない、と思えました。
彼がヴァイオレットに会えないと言ったのも、会ってしまえばその信念も揺らぎかねないからで、つまりそれだけヴァイオレットを愛しているからに他なりません。

ヴァイオレット目線で観ると・・・
心からの願いが叶えられないと知り、本当に切なくつらい日々を過ごして。
それが会えるかも知れないとわかり、本当にうれしくて。
でもやはり会えないことになり、とても悲しくて。
それでも生きていてくれたことが、やはりうれしくて。
最後に追いかけてきてくれたことが、最高にうれしくて。
この目線で観るのはとても切ない・・・

むしろ、ラブコメ風に・・・
「このまま会えないまま、どっちか結婚して、その後に会うことになってたらどうするのよ!ギルベルトおおおー!!」
と罵ってあげても良かったのにww

でも、やはりこれは二人の愛のストーリー。
これで、良かった・・

最後に、手紙の一文の考察を。
~{netabare}
映画の冒頭では、sincerelyの文字が出ます。
意味は「心から」かと。

また本シリーズは物語の最後にタイトルが出ます。
本劇場版では「あいしてる」。
つまり・・・
『心から 愛しています』
これが、ヴァイオレットからの、愛する人への最後の手紙の、最後の一文だったのではないでしょうか。

振り返ってみると、ヴァイオレットはドア越しでは「愛してる」は言っていません。彼はその事実を知らず、ただ父親のように慕っているものと勘違いしていたのかも知れません。
だから、この一言が、彼をヴァイオレットの元へ駆け出させたのだと、私は思っています。
{/netabare}~

いつか、ネタ明かしがされる事を期待します。


蛇足ではありますが・・
病院で亡くなる男の子のシーン・・
音がデカ過ぎて感情移入の邪魔になる思いでした。
もっと静かな曲か、むしろセリフのみでも良かったかと。
{/netabare}~

はぁ・・切なくて息が詰まりそう。
この劇場版と、1期・Extra・外伝で無限ループに陥りそうです・・

 制作:京都アニメーション
 監督:石立太一
 脚本:吉田玲子

 2020/09/19 閉館直前のMOVIX利府にて初視聴。
 2020/10/05 同じ映画館にて二回目視聴。


■余談
劇場内で完全新作ARIAの予告編が流れてました・・脚本が同じく吉田さんかな?と思ったら・・

 総監督・脚本:佐藤順一
 監督:名取孝浩
 アニメーション制作:J.C.STAFF

ほへ・・
ストレスフリーの世界でホッとしたい・・
違う作品の話ですみません^^;

投稿 : 2024/11/02
♥ : 57
ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

みちしるべのその先が描かれた完結編

世界観:8
ストーリー:8
リアリティ:5
キャラクター:7
情感:7
合計:35

<あらすじ>
代筆業に従事する彼女の名は、〈ヴァイオレット・エヴァーガーデン〉。
幼い頃から兵士として戦い、心を育む機会が与えられなかった彼女は、
大切な上官〈ギルベルト・ブーゲンビリア〉が残した言葉が理解できなかった。
──心から、愛してる。
人々に深い傷を負わせた戦争が終結して数年。
新しい技術の開発によって生活は変わり、人々は前を向いて進んでいこうとしていた。
しかし、ヴァイオレットはどこかでギルベルトが生きていることを信じ、ただ彼を想う日々を過ごす。
──親愛なるギルベルト少佐。また今日も少佐のことを思い出してしまいました。
ヴァイオレットの強い願いは、静かに夜の闇に溶けていく。
(公式サイトより抜粋)


TV版は最後までヴァイオレットの戦闘能力に馴染めなかった作品でしたが、5話や10話等、お気に入りの回もありました。本劇場版については予告PVを見て、10話に関するストーリーもあることがわかったため、やはり劇場で見なければと思い、隙間時間を作って何とか見ることができました。
休日ながら朝の早い時間帯にもかかわらず結構人が入っていて、時間帯のせいかもしれませんが、私よりも年配の方が多い印象でした。

さて、世界観ですが、現実世界とは別の世界ですが、電話がまだ普及する前の、現実世界でいう19世紀末~20世紀初頭くらいが舞台となっています(技術的な点ではヴァイオレットの義手はその精巧すぎるが)。
今回は、TV版10話の少女アンの孫デイジーを中心に物語が始まります(PVでアンと思った人物はその孫で、アンの葬式が終わった時点)。予想外であり、その視点で、ヴァイオレットたちの働いていた郵便社が歴史を残すものとして博物館となっていたり、世界観をより俯瞰して見せる手法で、とても良かったと思います。
作画や背景も流石は京アニと思わせられました。音楽は、挿入歌の「みちしるべ」、TV放映時は微妙な使われ方もありましたが、今回は一番のタイミングでハマっていたと思います。改めて良い曲と思えました。

ストーリーは{netabare}ヴァイオレット軸で、消息不明であったギルベルト少佐と再会すること(ギルベルトの母親の墓参り、病気の子供(ユリス)の手紙を代筆、その子の危篤等を挟みつつ、郵便社を辞めたあと消息不明のヴァイオレットの結末)が中心となっています。ギルベルトが再会を望まなかった理由も私は納得できましたし(なぜ武器として使ったのかはわからないが)、デイジー視点の物語も構成のメリハリに繋がっていました。そして最後に本作のキーワードである「あいしてる。」で締める。完結作として美しい仕上がりでした。{/netabare}

さて、世界観とストーリーは高評価となるところ、大きく足を引っ張ったのがリアリティで、一言で言えば「過剰演出」です。TV版の7話だったかで、水面を歩いたりしているので、今更指摘するまでもなく、この作品の色と整理されているのかもしれませんが、私はやはり気になってしまいました。
細かい点もありますがそれは省略して、下記3点だけ指摘しておきます。

{netabare}・構図重視の会話
市長と会った時の会話、大雨の中でのジルベール先生宅(前と中)での会話、ブドウ?畑でのディートフリート(兄)とギルベルトの会話、船と陸での会話(?)などで、その距離でこの声量では会話が成立しないだろうと思われて、気になってしまいました。
アニメは絵に声をあてるので、画になる美しい構図が優先されることが往々にしてあるのでしょうし、今まで気にならなかった他の作品でも同様な事例が多々あるのでしょうが、本作では若干気になりました。

・ユリス君危篤時の対応
人が亡くなる時、部外者の同席は憚られるのが普通ではないでしょうか(別の世界なのでそのあたりの慣習も感覚も違うのかもしれませんが)。ユリス君は話せる状態だったので危篤ではないのではないか、とも思われたのがひとつ。また、苦痛を感じている状況の中で、郵便社が突然押しかけていって「親友への手紙書きます」というのは流石におかしいのでは。ヴァイオレット自身が行ったのなら、ユリス君との関係や、まだ人の心が理解しきれていない部分があるのかな?で済みますが、ユリス君に面識のないメンバーでですよ。相当苦しい状態のユリス君に、手紙代筆するから喋ってと言うのは、家族が怒りますって。リュカ君が、ユリス君にとってそこまで大事な友人であるか、というのも説明不足で、違和感ありまくりでした。
自分が死んだ日に渡してほしい、と本人から依頼があったのでその約束を律儀に守ろうとしての行動は理解できなくはないですが、待ってましたとばかりの対応になるので、TPO的にも不安な対応です。さらに、手紙を渡して失礼するならまだしも、居座って一緒に内容を聞いて親の泣く姿を見るってどういう神経なんだろうと思ってしまいました。。
本作一番の感動シーンだったように思いますが、素直に感動できずモヤモヤしてしまいました。

・ギルベルトとの邂逅
ギルベルトとヴァイオレットの邂逅は美しかったですが、これは過剰演出の極みでしたね。まず、船を出航させすぎていて、陸から相当の距離となったところからスタートさせたので、ギルベルトの必死の走りや声が届くのか?というところでの違和感があり、ヴァイオレットが船をダッシュして、そのまま海に飛び込むまではよいかもしれないけど、泳ぐシーンを入れずに浅瀬みたいな場所で再会することになるのですが、背景からのバランスではまだ相当陸から離れた場所なんですよね。
始まりの距離感からして、会うところまでは少なくとも15分以上はかかると思いますし、お互いぼろぼろに疲弊してハーハーゼーゼーですよ(笑)
それを完全に排除した制作者側はある意味割り切ってるよな、と感心した次第です。{/netabare}

キャラクターは{netabare}本編から特段変化はありませんでした。2人がカップルとなって終わりましたが、王子とお姫様(人形)というキャラ造形で、過去に2人はずっと一緒に行動していたのなら、もう少し打ち解けた人間関係も描いてくれればよかったかも。
そういえば、TV版のレビューで書きましたが、やはりギルベルトは生きていました。生きていないと、この物語は終わらせられないのです。{/netabare}

情感については、{netabare}そんなわけで感動しそうな要所の構図に違和感等あったため、期待されたほどには涙が出ませんでした。また、人の亡くなるシーンで泣かせるのも一歩引いて見るタイプなので、押し付けられ感もあり、高評価できませんが、言語外の表現も丁寧でこれ以上は下げられません。{/netabare}

色々書かせていただきましたが、時代を流して見せることによって、変わるものと変わらないものを表現できていたのが特に魅力的でした。
手紙は普段伝えられない心を伝えるものとして有効であるのに、現代ではメールが普及しすぎて若干味気なくなってしまっているように思います。紙ならではの味はあるし、大事に保管すればずっと残るものですね。また、普段なかなか言えない感謝等は伝えられる時に伝えておこうと思わされます。
TV版をそれなりに楽しめた方、心を清めたい方に、おすすめできます。

(参考評価:4.0→修正4.2)
(劇場観賞2020.11)

<2022.5追記>
最近、レンタルで再視聴しまして、改めて良い作品だと思いました。
ブーゲンビリアも含めて、あからさまに悪意を持つキャラクターがおらず、心が重たくなることもありませんし、過剰演出はTV版からブレていない本作の表現と思い、少々ツッコミすぎたかなと反省。
時代が変わり、手段が変わっても、今、伝えるべきこと(気持ち)を伝えることの大事さという普遍的なメッセージ性は強力です。
以上を踏まえて、評価を上方修正しました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 37

62.3 2 小説で恋愛なアニメランキング2位
伏 鉄砲娘の捕物帳(アニメ映画)

2012年10月1日
★★★★☆ 3.6 (204)
1083人が棚に入れました
時は江戸時代。伏と呼ばれる若者による凶悪事件が頻発し、その首に幕府は懸賞金をかけた。伏とは──人にして犬、体も心も獣のよう。ひどく残酷な面があり人々から恐れられる一方で、犬の血なのか驚くほど人懐っこいところもあるという。ちっちゃな女の子だが腕利きの猟師、浜路は浪人の兄に誘われ、伏を狩りに山から江戸へやってきた。獣の臭いに敏感な浜路はすぐさま伏に気づき追いつめる。そんな浜路のまわりをうろつく瓦版の読売、冥土から、浜路は伏にまつわる世にも不思議な物語を聞く。そして冥土に誘われた場所で、一匹の伏をみつけた浜路。追いかけるうちに、伏とともに江戸の秘密の地下道へと落っこちる。真っ暗闇の中で、狩るものと狩られるものによる特別なひとときがおとずれた――。

声優・キャラクター
寿美菜子、宮野真守、宮本佳那子、小西克幸、坂本真綾、野島裕史、神谷浩史、水樹奈々、藤原啓治、阿部敦、浜田賢二、梅津秀行、納谷六朗
ネタバレ

鰺鱒 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

つながっ・・・

原作知らず。dアニメでたまたま見つけたので観てみた。
劇場公開作品らしい。


山から下り、江戸に出てきた鉄砲打ち・猟師の少女・浜地。
人と犬の血をひき人の魂を喰らって生きる伏[ふせ]と呼ばれる存在、そのひとり信乃。
浜地と信乃を中心に回るファンタジー江戸活劇、といったところ。

鉄砲を撃つとき、猟師と獲物は鉄砲を介して「繋がる」のだという。
作中、キーワードとして「繋がった」「繋がる」のセリフがたびたび聴かれます。震災直後の制作ということも影響しているのかもしれませんね。

物語:つながっ・・・
{netabare}・・・てない。何一つ繋がってないんですよ。最初から最後まで。何から何までぶっつぶつに切れています。

事態の進展も、真なる敵が真なる敵たる理由も、伏と馬琴の関わりも、将軍家と里見家の関わりも、凍鶴・信兵衛の手紙の意味も、なにより、物語のメインとなるであろう浜地と信乃の心情の変化も、、、積み重ねなく、ポッとセリフだけで済ます。しかもかなり速い。理解も共感もしづらかったです。

結局は馬琴がこの世界の根底にまで関わるキーマンなのだが、その描写・説明がうまくいっているとは言いがたい。

どうしてこのような脚本になったのか、不思議でなりません。格好いいシーン、カッコイイセリフだけを切ってつないだ感じです。原作があるらしいので、物語を欲する方はこのアニメ映画でなく原作をお読みになった方が良いと思われます。

雰囲気を重視される方ならば、それなりに楽しめると思います。{/netabare}

作画:
{netabare}静止画として上、特に、背景画は美麗とも、不思議ともいえるような、独特の雰囲気があります。
動画として上から・・・微妙。動画として質が低いとはいいづらい。でも、微妙。なんか今ひとつでした。たとえば、町中を歩くシーンでは、キャラの動きはそれなりにリッチに描かれているし、背景は上述の通り秀逸なのですが、動きが合っていません。キャラの歩行速度、歩幅と背景の移動量の間にずれがあったり、歩幅と体全体の移動量がずれてみえたり。結構目立ってしまっていたように思います。

キャラデザは、かなり独特、ユニーク。でも、統一感はあって良かったと思います。{/netabare}

声優:
{netabare}アニメ映画の演技として微妙です。

メインを張るキャスト陣は、だいたい良かったと思いますが、冥土の演技は今ひとつ嵌まってなかったと思います。声も聞き取りづらかった。

ほぼ開幕と同時に竹中直人さん登場でものすごく期待感を感じたのですが、竹中さんは冒頭で出番終了でした。劇団ひとりさんは、さすがの芸達者なのでしょう。違和感を感じることはありませんでした。

在りし日の歌丸師匠、納屋六郎さん、藤原啓治さんの声が聞けたのはうれしかった。ですが、納屋さん、藤原さん共に二言三言といったところ。師匠は演技として正直しんどいです。子供役の声も浮いてました。輪をかけて厳しかったのがCharaさん。映画の主題歌がCharaさんだからって、無理矢理キャスティングする必要はなかったとおもいます。本当に、ひどかった。{/netabare}

音楽:
{netabare}物語がぶっつぶつに裁断された状態では、劇伴など気にしていられません。評価不可能です。邪魔になることはなかったと思います。

クライマックスの戦闘、一部でBGMをなくし、エコー処理をかけた音声だけで構成するシーンがあるのですが、正直ここも浮いてるように感じました。すぐ後にBGM復活。。。何がしたかったのか。{/netabare}

キャラ:
{netabare}結局のところ、物語を伝えることに失敗しているので、キャラクターも伝わってきませんでした。{/netabare}

[2021/01/19 v1]

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

パンクな江戸末期と逞しい女達の生き様を詰め込みまくった奇妙なロマンス

原作は『GOSICK』の桜庭一樹
監督は『忘年のザムド』の宮地昌幸
音楽は同じく『ザムド』で(本人曰くの)異化効果を演出するBGM、というものの制作に挑戦したという大島ミチル
脚本に『プラネテス』の大河内一楼


原作は「南総里見八犬伝」を新解釈し、伝承は史実にあったものだ、として扱っているのが特徴
江戸末期を舞台にした里見八犬伝の後日譚とも言うべき内容です
そして滝沢馬琴(里見八犬伝の著者、江戸末期に実在)自身とその娘が「里見八犬伝という物語そのもの」や「今作の一連の物語」は自分達が読み物としてまとめあげた“贋作”である
という〆の作品でもあります


映画で描かれるポイントはかなり的を絞っています
人と犬の混血であり、人を喰らう【伏】と呼ばれる男、信乃
田舎から江戸にやってきて偶然に信乃と出会った猟銃使いの少女、浜路
この二人の足跡を追う物語となっています


人と犬
狩る者と狩られる者
男と女
いつかは相対しなければならない二人の、ちょっと切ないラブロマンスがメイン










と、まあその辺りはかなり好印象ではあったのですが・・・
実際は少しサブキャラクター達のエピソードが詰め込みまくられてて路線がややブレ気味っす
伏である身を隠して吉原の遊郭で太夫にまで上り詰めた女、文芸家を目指してかわら版の執筆に打ち込む読売の少女、働き盛りに子供を授かったことで戸惑う若女将、、、
浜路の人生の道標となっていく、多くのサブキャラクター達ですが、江戸末期という女性の社会進出がままならなかった時代を生き抜く女達の姿が、あからさまな女性応援歌っぽく描かれていて、本来のラブロマンス的な方向性から風呂敷を広げ過ぎじゃないかと思います;


また、かのokamaさんも関わっているキャラクターの造形やファッションや江戸の町並み等など・・・
全体的にお洒落でパンキッシュな世界観が目を引きますが、これが絶対に逆効果;(銀魂をイメージしていただけると解り易い?)
クロックパンク、エレクトリックパンク風に史実よりもやや先進的に描かれた今作の江戸時代で、滝沢馬琴や終盤のカギを握る徳川家定といった実在人物の登場は説得力が薄い;
実在人物を扱うのであれば世界観そのものの改変という部分はもっと注意を払ってほしかったと思います;


そしてイチバンの痛手は実は声優さん;


寿美菜子、宮野守をはじめとし豪華声優陣による素晴らしい名演技
またゲスト出演したとしてお茶の間のニュースでも話題になった竹中直人、劇団ひとり、桂歌丸師匠は思いのほか良い仕事をしてくれて文句の付けようが無かったのです


問題なのは宮本佳那子さん、charaさん、その他子役といった“ド素人勢”
恐らくは主役級の配役にも本職声優を扱わないジブリなどでは気にならないポイントのはずが、今作では本職声優に混ざってアテレコしたため実力差が歴然としてしまった感があります;
実際に寿、師匠、宮元、charaの4人で会話する場面があるのですが、寿と師匠だけが上手すぎてほとんど別次元の人間にwww


charaさんは今作とマッチした素晴らしい主題歌を提供してくれているだけあって、逆にガッカリ感がハンパ無いwww









散々に言いたい事言ってみましたが;
原作と違って浜路という女の子が【ちゃんと可愛く描かれている】のが大切な評価ポイント
観終わったときに「浜路可愛いよ浜路」
そう思えていればいいのではないでしょうか?

投稿 : 2024/11/02
♥ : 23

jujube さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.1

説明不足が散見。

原作読んでないけど、考察するのが面倒になるくらい説明不足感がありすぎた。

伏という化け犬一族の最期の生き残り男と、それを仕留める側の人間でガキの女のラブストーリー…みたいなもの。。。

大筋は分からなくはないけれど、特にサブキャラ達の行動原理が謎過ぎて、一切どの登場人物にも共感できず世界観に入り込めない作品。
もしかして、どっかの映画賞に出品しちゃってる⁈
キャー恥ずかしい‼︎ってなるレベルでした。

キャラデザが酷いのか、作画崩れが度々。
市井の人々が往年の日曜劇場っぽいけど、笑いも微笑ましさもなくて、あーこういう演出ワンパターンであるあるだよね、てところ。
なのに、大江戸異世界ファンタジーの美術設計とか変にギラギラで下品さが滲み出てるというか。脚本的に下品ていうか、PG12レートは課さないとあかんやつ。エログロですな。全編に陰鬱さが漂う。
パプリカてアニメ映画が昔あったけど、ああいう色遣いながら、スタイリッシュさが本作には全く無い。
比較対象として分かりやすく千と千尋でも良いけど(ハードルが上がっちゃう!)、
ああいう異世界ファンタジーの魅力は全く無いねえ。

[各種説明不足の一部]
・冒頭、主役ヒロインが都で見た伏一族の打ち首見せしめにびびってるのが謎。アバンで似たような涙を流す犬を鍋にして食ってたし、あれが人間ぽくて第一の伏かと思ったけど。
さらに兄貴に言われたことを鵜呑みにして、いきなり見た目人間の伏せの女を半殺しにできるメンタリティー…
・伏とは里見八犬伝的な作中の物語で語られるけど、どこまで事実関係が真実なのか分からない。
・ヒロインが初めて仕留めた伏の女が、幼くして離れて暮らす息子の想い出を語るけど、過去回想の無さ、他の仲間との掘り下げの無さのために絶望感薄いーていうか、それゆえ大一番のラストも淡々と見るしかできない。(息子はあれだって分かるけど)生き様が見えないんだよねぇ。
・え?なんでいきなり兄貴と行商女のラブロマンス始まってんの?そこはしれっとラストにできちゃった婚レベルでカットすべきでしょ。いきなりのメロドラマぶっこみに困惑。
・ラストのバトル、あーテンプレ少年漫画か?
なんで長屋のご近所さんまでバトルってんですかねぇ。別にヒロインに何の説明もされてないのに加勢して。あれはねーちゃんの獲物だから邪魔しないでねって、彼らに役人に刃向かうだけの動機付けが無いよね。中高生の万引レベルの厳重注意で済ませられるとでも思ってんのかな?一番分かんないのが、伏に人質にされた因縁チンピラ男の一瞬の掌返しだけど、いきなり話しの分かる善人になって簡単に役人に殺されててポカーン。
・ラスボス将軍の何かに憑かれた感。ここが一番の脚本の大穴!伏とどういう関係か全く分からな過ぎてマッハで置いてけぼりくらったわ。

音楽は良いね、CHARA好きだし。
大小の穴ぼこだらけながら、盛り上がりのところまでは一応段階を踏んでいく最低限の脚本レベルで星1.5。(最近それすらできないのが多すぎる。)まー作画とか音楽のおかげで若干上ブレしてしまったけど、こんな評価かな。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 0
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