小説原作で近未来なおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの小説原作で近未来な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年01月04日の時点で一番の小説原作で近未来なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

63.8 1 小説原作で近未来なアニメランキング1位
シャングリ・ラ(TVアニメ動画)

2009年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (349)
2393人が棚に入れました
21世紀半ば、止まらない地球温暖化に抗するため、国連はかつての京都議定書で取り交わされたCO2削減幅を大幅に上回る議決を強行採決する。
結果、経済市場は株価から炭素へ移行された。M7.5の第二次関東大震災が発生し、都市機能が完全に停止した東京都にも、炭素税は容赦なく課せられた。東京再生計画を打ち出した都は、アトラス計画を発動する。しかし、都民全員が移住するはずだったアトラスに実際に用意されたのは、350万人分のスペースだけだった。森林化により街は森に侵食され、その結果難民が続出した。
富裕層と貧困層、格差を産んだこの計画にゲリラの総統・北条國子が立ち上がる。
しかし、アトラス計画には別の目的が隠されていた。アトラスランクの真の意味とは、“後継者”とは何の後継者なのか。

声優・キャラクター
高橋美佳子、有賀由衣、井口裕香、石井真、中田譲治、大塚芳忠、堀内賢雄、京田尚子、石塚理恵、五十嵐麗、中村秀利、金田朋子、平川大輔、櫻井孝宏、中村悠一、福山潤、渡辺久美子、山下百合恵、三澤紗千香、柿原徹也

らしたー さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

フィクション作品における「組織」描写とか、雑談

以下すべて雑談で。

このアニメ、様々な組織がたくさん登場するんだけど、どれもみんな描写がおざなりすぎませんか。というか、これに出てくる「上に立つ者」たちはみんな幼すぎないか…。人として。ぶっちゃけ精神年齢的に。キャラだけは無駄に濃いけど。

べつにフィクション作品に現実の企業や行政組織のようなリアリティを反映すべきだなんて微塵も思ってないけれど、こう最低限の、なんていうかなあ、ちゃんと組織として、円滑かつ実効的に機能してそうな雰囲気くらいは、感じさせてほしい。要職につく人間がみんな無能すぎてつらい…。

モチベーション管理だなんて大仰なことを持ち出すまでもなく、そもそも構成員の能力範囲をちゃんと把握し、適所にアサインしている感がまったくないんだよなあ。
それ、組織活動の最低ラインではないだろうか。序盤しか見てないけど、いちばんまともそうなのが反政府ゲリラとか、正直どうかと思う。

なんか「イカれたボスと、その他ショッカーたち」みたいなのばっかなんだよねえ。それか北斗の拳に出てくるゴロツキ軍団。ちょっとしたミスを責められてリーダーに頭を割られて死ぬ世界。北斗の拳はそれで世界観にマッチしているから笑いになるけど、このアニメではなあ。ご立派な組織が泣くぞ。

ああいうダメ組織が大手を振って君臨できちゃってることは、それを取り巻く社会もその程度の成熟度ってことです。ある程度の年齢以上をターゲットにした作品では、そう思わせたら厳しいんじゃないかしら。
この作品だけを槍玉に上げるのはフェアではないですけど…。

これと似た感想を持ったのが『デッドマンワンダーランド』かなあ。あれも着想は素晴らしいのだけど、刑務所の組織描写がダメダメで。幼稚さが鼻について素直に楽しめないんです。

とにかく、あまりに組織活動の描写が稚拙すぎて、世界観とかキータームがまったく頭に入ってこなかった。けっこう面白そうな設定だろうに。
炭素経済だっけ、たぶん現実にあるCO2の排出量取引に触発されてるんですよね。周辺の描写がダメすぎてまったく頭に入ってこないけど。もっと小さい頃なら、ノリで楽しめたかもしれない。


●フィクション作品における「組織」

偏見かもしれませんが、「組織と組織の熱いぶつかり合いヒャッホー」みたいな、シチュエーション自体にテンション上がっちゃってる作品って、だいたい駄目な気がする。経験上、だいたいそう。

逆に、素直にまず人間を描こうとしてる作品の方が、まだ組織描写もしっかりしていることが多い。人間を描くってことは、そいつが無頼漢の一匹狼でもない限り、組織を描くってこととほぼイコールだから。

登場人物の立ち位置や行動原理、振る舞いの上限と下限ってのは、そいつの属する組織や部分社会と無関係ではいられません。当たり前のことですけど。
その集合形態がゲゼルシャフトであろうとゲマインシャフトであろうと、人物の行動の概ねを規定するのは、その所属する組織にほかならないのです。
だからこそ、規定された行動基準を逸脱することが、ある種のわかりやすいキャラの個性になったりもするのですよ。
もうね、丁寧に人物を描こうとする場合、その必然として、組織の描写が必要になってくるのです。

そういう自然な切り口の作品のほうが、結果的に組織描写に光るものを発揮する傾向が強いんじゃないかなあ。などと過去のいろんな作品を頭に浮かべながら思うわけですよ。それかもう、攻殻みたいに最初から組織を描ける力量を持った人にやらせるしかない。

あー、もちろんこれは、ある程度の年齢層に訴える場合の話です。勢いでドーンと魅せちゃうだけの自信があるなら、蛇足とは言わないまでも、必須の描写ではないと思ってます。


雑談もいい加減にしろよって話ですが。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 2

dbman さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ハガレン、けいおん、ハルヒに埋もれた名作

原作未読。放送当時に視聴。

このアニメが放送された同時期には、『ハガレン』『けいおん!』『ハルヒ第2期』『咲-Saki-』『東のエデン』などなど化け物揃いの作品だらけだったため否応なしに埋もれてしまった印象。あにこれでの評価62.7点という数字はあまりにも相応しくなく、まさに隠れた名作のひとつであったことを記しておきたい。

舞台は地球温暖化の影響から第二次関東大震災が発生、都市機能が完全に停止しジャングルと化した近未来の東京都。貧富の格差を産んだ政府に反旗を翻すべく立ち上がり戦う少女たちの物語。そのストーリーは結構に難解だったり突っ込みどころこそ多分にあるが、見応えはバッチリでした。

主人公の北条國子(声:高橋美佳子)も元気ハツラツ! といった魅力あるキャラだったけれど、それ以上に光っていたのが脇を固めるオカマたちw 國子の母親代わりでももあるモモコ(声:中田譲治)との絡みには和まされること請け合い。またモモコの相棒にしてこちらもオカマのミーコ(声:大塚芳忠)のキャラも素敵で、このオッサ…彼女らを演じているのが中田譲治さんと大塚芳忠さんということでも存分に楽しめるものとなっていた。さらには、井口裕香、中村悠一、福山潤、柿原徹也、平川大輔などなど声優陣も豪華すぎるメンツが集っていた。

またMay'nちゃんが唄うオープニングテーマ「キミシニタモウコトナカレ」は、マクロスF関連曲以外の彼女の楽曲で1.2を争う名曲。さらにエンディングテーマ「はじまりの朝に光あれ。」はその独特な曲調に中毒性があり、約10年近く経ったいまも私のお気に入りアニソンメドレーのなかで現役として活躍し癒してくれている。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 20
ネタバレ

モンドリ・ウッテ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

「だから、オカマの銀ってなんなんだよ!」

これだけ豪華な声優陣をつぎこんで、これだけ独特な世界観を構築して、なかなかかわいい主人公や味のあるキャラをたくさん配置したにも関わらず、作品自体にまったく知名度がないのは、当時GONZOがそれだけ傾いていたってことなのか。

ただ、その独特な世界観にとっつきにくさはあるので、最初の何話かを観て終わりにした人は多いと思う。10話過ぎあたりからじわじわ面白くなってくるのだが、そこまで我慢して観るのはなかなかにしんどい。私もこれを週一で観るかと言われたら、そこまでの魅力は感じられなかった。

時代設定は近未来で、森、電脳世界、秋葉原、経済戦争、古代日本、レジスタンス、ドSとドM、などなどおおよそ相容れない単語がごった煮状態で存在し、消化しきれていない感は否めない。風呂敷広げすぎたな、というイメージ。


この作品を語る上で絶対に欠かせないのが、二人のニューハーフの存在。

{netabare} 主人公「國子」を影に日向に守り続け、その精神的支えになり続けた、ある意味一番男らしい男キャラ「モモコ」。
一方、もう一人の主人公「美邦」の母親代わりとして寄り添い、死んでもなお傍にあり続けた母性溢れる「ミーコ」。この二人がいなければ、私も最後まで観なかったかもしれない、と言うほどの存在感。{/netabare}

最後は涙を誘う展開もあるので、暇な時にどうぞ。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 1

76.9 2 小説原作で近未来なアニメランキング2位
未来少年コナン(TVアニメ動画)

1978年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (447)
2311人が棚に入れました
2008年、核兵器をはるかに上回る威力の「超磁力兵器」による最終戦争が勃発。人類は大半が死滅し、それまで築かれてきた高度な文明の多くが失われてしまった。地形は大きく変化し地軸も曲がり、多くの都市が海中に没した。戦争から20年、コナンは「おじい」と二人、のこされ島と呼ばれる小さな島で平穏に暮らしていた。ある日、海岸に少女ラナが漂着する。ラナはハイハーバーという島で暮らしていたが、科学都市インダストリアの者たちにさらわれそうになり、隙を見て船から逃げ出していた。インダストリアは、前時代の巨大な塔(三角塔)を中心とした都市だが、塔を維持するためのエネルギーが乏しかった。そこで、太陽エネルギーのシステムを復活させるため、その技術を持つラオ博士を探していた。しかしラオが見つからないため、ラオとテレパシーで会話できるという孫娘のラナを狙ったのだ。コナンの奮闘空しく、ラナは再び連れ去られ、おじいは死んでしまう。コナンはおじいを埋葬し、ラナを救うため、そしてまだ見ぬ人々に出会うために島から旅立つ。やがて、多くの仲間を得て、世界征服を目論むレプカに立ち向かうことになる。

声優・キャラクター
小原乃梨子、信澤三惠子、青木和代、山内雅人、永井一郎、吉田理保子、家弓家正、神山卓三、増岡弘、池田勝、若本規夫、水鳥鐵夫、石丸博也、つかせのりこ、宮内幸平、田中秀幸、伊武雅刀
ネタバレ

Kuzuryujin さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

アニメ好きなら一度は観るべき

一応原作はあるものの、かなり改変されており、制作しながらも新しいアイディアを多数導入。
宮崎監督のほぼオリジナルの物語です。
言わば、明るく前向きなヒーローエンターテイメント。

<宮崎アニメと自分>
実はこの作品以降の宮崎アニメで絶賛するほど面白いと思ったものはありません。
僭越ながら、仮にコナンを100点とするなら、
この作品以前では、ルパン第一TVシリーズ95点、パンダコパンダ90点。

この作品以降では、カリオストロ&ルパン第二シリーズ宮崎演出回85点、
ナウシカ87点、ラピュタ88点、トトロ80点、千と千尋75点、もののけ姫70点。
それ以外、観たことあるものはすべて70点未満。

シンプル・イズ・ベスト派のあくまで自分の好みなのであしからず。

<自分がアニメ好きになったきっかけ作品のひとつ>
この作品は民放で再放送されてる時に初めて観ました。
もしこの作品とファーストガンダムとハーロックに出会ってなかったら成人してもアニメ観続けてなかったかもしれません。

このすぐ後に、ガンダムで名を馳せる富野氏も絵コンテで参加していて
後に第一線で活躍するアニメクリエイターたちに多くの影響を与えたとされる作品です。

Blu-ray BOX-SET初めて入手したのもこれ。
だから生涯のベスト1アニメと言えばこれだし、コナンと言えば探偵の方ではないんです。



★以下、敬意を込めて語ります
※ 裏ネタの情報源は主にBlu-ray BOX特典の冊子のスタッフインタビューから頂きました。

{netabare}
<認めるべきものだな、若さゆえの情熱と言うものを>
宮崎駿氏当時37歳。30代の体力でしか成し遂げられない入魂の賜物。
この制作に掛かりきった一年間は、深夜2時3時まで仕事しても朝10時には現場入り。
現場が家になってたようで帰宅時の一言は「お疲れ様」じゃなく「行ってくる」
すべての作画、脚本、自ら担当以外の絵コンテにもチェック欠かさず気に入らなければ自ら修正。

高畑勲氏の絵コンテまで手を加え高畑氏から顰蹙も買ったこともあったらしい。
(9,10話のサルベージ船のあたり)
演出は、ともかく面白ければなんでもいい、という主義で一貫。

そのエネルギーが作品全26話すべてに漲っている。

当時のTVアニメ1本分の作画数は世界名作劇場が4000枚目標だった時代。
名劇で高畑勲さんは6000枚は使ってたらしい。
コナンはそれ以上で7000枚以上(8000枚くらいという説もある)。
1978年はセル画の時代、デジタル時代の今とは比べ物にならない苦労が偲ばれる。
初めてのNHKの連続アニメで、スタッフも宮崎さん中心に一丸となりいいもの創るぞ、
とやる気と意欲に満ち満ちて徹夜はあたりまえ。

チーム宮崎のケミストリーがあるからこそ作品に魂が宿った。
作画監督で参加した大塚康生さんは、ルパンなどで気心知れた宮崎さんの最高のパートナー。
この時期、所属会社が違っていたので本来は組めなかったが、
宮崎さんの強い要望で大塚さんの会社が黙認する形で参加できた。

<ヒーローの鑑>
ほとんどがランニングに短パンで裸足姿の主人公、12歳の少年コナン。
ラナや仲間のためなら例え火の中水の中、一寸の躊躇いもなくどこでも飛び込む。
ともかく飛んで飛んで跳ねて跳ねて動く動く。
ひたすら前向き積極的。後悔したり落ち込んだりなんてする暇なし。
逆に単純な衣装で素肌の露出が多いのが幸い。
動きが細かい動画をタイトなスケジュールの中でも生み出すことが出来た。

<面白いから許す!>
コナンはどんな高所から落ちても死なず、腕力、脚力、足の指先の器用さ力技、超人間離れ。
体の丈夫さ天下無双、サイボーグなみ。

<ごまかしの天才、これ褒め言葉>
コナンとそれに引っ張られるジムシーとダイスの活躍ぶり、嘘で嘘を塗り固め、
「そんなばかな」のツッコミも力技で捻じ伏せる。宮崎先生の真骨頂。

<まるでアリが象を倒すが如く>
そんな宮崎マジック最大の見せ場は、ギガントでの対決。
機体の性能差、物理法則、風圧の威力&機体内外の気圧の差なんてどこへやら。
ラナ救出のためコナンたちが乗るレシプロエンジンのファルコは、
飛行中のロケット推進ギガントにたどり着き、自然落下で翼に突き刺さる。
超高速の中、翼を走り回り、外壁破壊と内部潜入成功、破壊の限りを尽くし墜落までの演出は全く目が離せない。
まさに圧巻の一言。「そんなばかな」の嵐。

<NHKだからこそできた奇跡の名作>
放映前に8本納品済だったがスタッフが徹夜しても週一本制作することなど到底不可能。
当然、放映開始と共にストックはじわじわと減少。
民放ならスポンサーもあり毎週欠かさず放送と言うのが鉄則。
しかし、NHKなら特番挟めば調整も可能。
実際、第15話以降次回まで1週間伸ばしが続出した。
そのためストックは最低でも4本はなんとかキープできたそう。
おかげでストーリーもじっくり練り込めたし、宮崎先生のチェックも抜かりなく作画崩壊などとは無縁だった。

<そんな名作を視聴者が放っておくわけがない>
初回放送時は、さほど話題にも上らなかったし視聴率も関東地区で平均8%。
しかし放映終了後、NHKに何万通ものハガキによる再放送の要望が殺到。
すぐに再放送開始。以来、民放含め再放送多発。
人気はうなぎ上りとなり武道館でのイベントも企画され名作の殿堂入り確定。
コナン役の小原乃梨子さんによると、サイン会があると来るのは大学生が多かったらしい。

<元祖ツンデレか?>
ダイスとモンスリー、宮崎監督含め最後ああなるとは誰も思ってなかった。
キャラクターが意志を持ち勝手に成長したかのよう。
モンスリーの「ばかね」は回を追うごとに意味が変わり、まさかの○○。
これにはかなり感動した。
観るたびに注目してしまう人間関係の絶妙な変化。
{/netabare}

何度観返しても面白いので万人におすすめです。
亡父も70代だったけど楽しんで観てました。

絵柄は古臭いと感じる方多いとは思いますが、普遍の名作です。
ご家族そろってどうぞ。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 19
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

面白さって何だろう

【文章整理】
ここは感想と評価のコーナーなのだが、問題作は、しばしば両者がコンフリクトを起こす。

感想:素晴らしい。数十年にわたり数十回視聴しているが、そのたびに主人公コナンの躍動にワクワクと心揺さぶられる。すでに歴史的ともいえる古い技術であるのに、動きのダイナミックさに古いという言い訳を全く必要としない。アニメの魅力の一部は、間違いなく動きそのものだと実作で証明している。

評価:基本設定とストーリーが衝突し、破綻している。その結果、ハッピーエンドを目指したストーリーは難破して、デストピアとしか言えない暗澹たる未来へ、それと知らぬ登場人物たちが突き進んで終幕する、ストーリーの破綻に終わってしまっている。


敵役である社会「インダストリア」は高度に工業化された社会であり、その複雑なテクノロジーを支えるエネルギー不足のため危機に瀕しており、生き残りをかけたエネルギーの争奪が、ストーリーの一つの柱だ。
この高度文明に対し、野生児コナンの「自然の」パワーの炸裂が、このアニメの見どころであり、この活劇ぶりは、何度見ても飽きることがない。

その大活躍が、今一つの社会「ハイハーバー」の性質にいわば目くらましをかけ、設定上の重大な齟齬を隠蔽する結果となってしまっている。

物語の後半、コナンたちの拠点として、「インダストリア」社会に対抗する、オルタナティブな社会として登場するハイハーバーは、細部まで工業化された「インダストリア」に対し、いわば「田園世界」の外見を持つ。

一見して「自然」的な風景を持つ「ハイハーバー」だが、両社会の描写を見比べると、「インダストリア」と「ハイハーバー」の根幹にある文明原理は、全くの同一のものと気づく。
文明化世界の高度な技術がもたらした破滅的な戦争の反省から、農業主体の文明を選んだかのように見えるハイハーバーだが、その運営は、高度産業社会と全く同一の原理、「人間の利便を高めるための、自然環境の改変とエネルギーの利用」に基づいている。

人間に奉仕する利用可能な資源としての環境とエネルギーという理念は、両都市で共有され、差異は無い。

ハイハーバーの美しい風景を支えているのは、農業という、土地の環境を人間の食糧生産ために改変する技術であり、風車という機械装置で、自然エネルギーを人間に有用な形に変換して使用してもいる。養殖もまた、当然のごとく、生態系と生殖に人為的な改変を加え、有用なものへと生物固有の特徴を改造していく技術にほかならない。

本物の野生児であるコナンやジムシーが初めてハイハーバーを訪れた際、この「技術文明化」になじめず、決裂を予感させるような描写があったことは、製作者が無意識でこの問題を察知していたことを示しているかもしれない。

いってみれば、ハイハーバーは、環境改造が中途半端な、発展途上のインダストリアだ。
おそらくインダストリアでそうであったような、より多くの人口を支えるための効率的な食糧生産の必要からより多くのエネルギーの必要が生じる、というループの手前に位置しているだけの違いしかない。
同じ問題が起これば、同じ経路をたどって、やがてインダストリア化するしかないことは、原理的に避けることができない(風車による風エネルギーも、太陽エネルギーも、原理としては同じ再生可能な自然エネルギーであることに注目)

同じ文明原理の2つの社会の闘争が、それと見えないのは、これは正真正銘の自然の申し子、野生児コナンがハイハーバー側の人物として繰り広げる、圧倒的な魅力を持ったアクションの数々による、あまりに華麗な幻惑効果のせいだ。
このアニメーション=動きの、それこそ原始的な魔力によって、2都市間の、「科学/技術」対「自然」といった根本原理の対立ではなく、同型的な競争相手の勢力争いという構図は、全く意識されない。

{netabare}これを示すように、終幕においてインダストリア難民を受け入れ、過剰人口に陥ったハイハーバーは、対処方法を生み出す必要に迫られる。
人口増に対し食糧生産のバランスの調整が必要であり、突き詰めれば、事実上わずか数日でほぼ自動的に数十万食もの食糧を生産しえたインダストリア型へと向かうことになるだろうが、ハイハーバー段階では、農地=改造して技術化された土地の拡大が必須となる。

最終話で、希望を求め陽気に旅立つ楽しい船出の描写とは裏腹に、孕んでいるのは、生産量の拡大と、そのための「自然」の文明化の拡大と強化のストーリーだ。
残され島が隆起した大陸の発見で幕を閉じるのだが、コナンの晴れやかな笑顔と裏腹に、その先にあるのは、やがてインダストリアへと行きつくだろう、自然の改造と人工化に呪われた技術文明の世界への拡大と強化、そしてコナンが回帰していくべき「自然」の不可逆的な消滅だろう。

このようなストーリーの破たんにも拘らず、今後も、何度もこのアニメを視聴し、楽しむことだろう。それほどアクションの説得力と魅力は圧倒的だ。

まったく問題作というのは、一筋縄ではいかない。{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 11
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

第8話が《神回》、お姫様だっこ満載のボーイ・ミーツ・ガール古典名作

昔の作品だけに、ところどころ脚本や設定の甘さが気になりましたが・・・第8話はオドロキの胸熱展開!
これ、ラピュタよりずっと面白くないですか?

宮崎駿監督の描くアニメ・ヒロインといえば、『天空の城ラピュタ』のシータ、『風の谷のナウシカ』のナウシカの2人が代表的と思いますが、個人的には、本作の第8話を見てしまったあとでは、本作のヒロイン(ラナ)に、この2人を遥かに超えるインパクトを感じてしまいました。

冷静に考えれば、この回って、少年マンガ・少女マンガの定番みたいな脚本ですが、これをNHKのお茶の間の時間に放送したのがまた凄いと思いました(WIKIPEDIA参照)。
これでは本作や宮崎駿監督に、熱狂的ファンが付いてしまったのも納得です。


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回


============= 未来少年コナン (1978年4-10月) ============

{netabare}第1話 のこされ島 ☆ コナンとラナの出遭い  ※作画・演出は古いが、EDが気になる曲調(*3)
第2話 旅立ち ☆ モンスリー隊のラナ拉致 ※主人公コナンが脳筋キャラで好感度微妙かも・・・
第3話 はじめての仲間 ☆ ジムシーとの出遭い
第4話 バラクーダ号 ☆ ダイス船長のインダストリア行き船 
第5話 インダストリア ★ 到着、ラナ救出に飛び出すコナン
第6話 ダイスの反逆 ★ 救出失敗、レプカ行政局長の目的 (*1) 
第7話 追跡 ★ ダイス船長のラナ奪取・逃走
第8話 逃亡 ★★★ ※かなりの胸熱展開、なるほどこれが本作の魅力か・・・
第9話 サルベージ船 ☆ コナン&ラナの逃避行、パッチ(サルベージ船のボス)登場
第10話 ラオ博士 × 天変地異の発生 ※パッチが実は・・・は脚本が安直× 
第11話 脱出 ☆ フライングマシンvs.モンスリー隊、再びインダストリアへ
第12話 コアブロック ☆ 三角塔地下の秘密、地下の人々、レプカ隊の攻撃
第13話 ハイハーバー ☆ ラオ博士再びインダストリアへ、ラナの故郷の人々  
第14話 島の一日 ☆ ※珍しい日常回
第15話 荒地 ★ オーロ兄妹との悶着、ラナの母の形見
第16話 二人の小屋 ☆ コナンとラナの約束、インダストリア艦の襲来
第17話 戦闘 ☆ オーロ隊壊滅、村の覚悟、砲撃開始、オーロの裏切り
第18話 ガンボート ★★  麦畑での逃亡、再び囚われるラナ、救出 ※第8話に次ぐ見せ場
第19話 大津波 ★ モンスリーの過去回想、大津波発生、モンスリー隊の降伏
第20話 再びインダストリアへ ☆ 村総出の麦刈り、モンスリーの戸惑い
第21話 地下の住民たち ☆ レジスタンス、ラオ博士の現状、独裁者レプカ、モンスリーの反逆
第22話 救出 ☆ 地下への水責め、ラナ人質に、ラオ博士との再会、モンスリー救出  
第23話 太陽塔 ☆ フライングマシンからのラナ救出、レジスタンス勝ち鬨、太陽エネルギー復活
第24話 ギガント ★ レプカの逆襲、沈船サルベージ、巨大戦闘機ギガント (*2)、翼上の戦い
第25話 インダストリアの最期 ☆ 続き、ギガント炎上、難民船出航
第26話 大団円 ★ コナン救出、ラオ博士の死、結婚式、のこされ島へ向け出航、新大陸{/netabare}
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★★★(神回)1、★★(優秀回)1、★(良回)7、☆(並回)16、×(疑問回)1


OP 「いま地球が目覚める」
ED 「幸せの予感」


(*1)この回(第6話)を見終えた時点では、本作のヒロイン(ラナ)も、ナウシカやシータといった典型的な宮崎ヒロインと共通した気質の持ち主に見えました。
→{netabare}敵役のレプカが、コナンの額にヤキゴテ銃を向けて、「協力しないと、こいつの悲鳴を聴くことになるぞ」と脅しても、「知っていても教えない」とキッパリ拒否{/netabare}
→つまりラナは、自分の大切な人よりも自分の信念・思想を優先してしまうタイプに見えてしまった。
→ただし、この印象は、第8話視聴後は、完全に消え去りました(この回を高評価した理由)。

(*2)たった{netabare}一隻でも世界を滅ぼす力を持つ巨大戦闘爆撃機ギガントの復活{/netabare}。
→この展開って、まるで「ナウシカ」の巨神兵じゃないですか。

(*3)最後に、本作は、ED「幸せの予感」が最初から最後まで印象的でした(OPは音程ズレてて微妙でしたが)。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 28

67.2 3 小説原作で近未来なアニメランキング3位
マルドゥック・スクランブル 圧縮(アニメ映画)

2010年11月6日
★★★★☆ 3.8 (337)
1812人が棚に入れました
 『天地明察』で2010年本屋大賞に輝いた人気作家・冲方丁の出世作にして2003年日本SF大賞受賞の傑作サイバーパンク小説『マルドゥック・スクランブル』を、原作者自らの脚本でアニメ化する全3部作の映画プロジェクト、その第1弾。特殊な証人保護プログラムによって死の淵から甦った一人の少女娼婦が、不思議なネズミの捜査官と協力し、自分を亡き者にしようとした男の犯罪を暴くべく戦いを挑む姿を描く。声の出演は、ヒロインのバロット役に林原めぐみ、その相棒ウフコックに八嶋智人。マルドゥック市で生きる未成年娼婦、ルーン=バロット。働いていた店が摘発され、行き場を失った彼女は、カジノ経営をする資産家、シェルに拾われる。しかしその後シェルの非情な計画によって、彼女は車ごと爆破されてしまう。業火の中から辛うじて助け出されたバロット。彼女は、マルドゥック市の事件担当官ドクターとウフコックによって、特殊な強化繊維で再構成された人工皮膚を移植され一命を取り留める。これにより特別な能力も手に入れたバロットは、シェルの犯罪を追っていたドクターとウフコックの捜査に協力していくのだが…。

声優・キャラクター
林原めぐみ、八嶋智人、東地宏樹、中井和哉、磯部勉、田中正彦、若本規夫、かないみか、三宅健太、脇知弘
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

底辺少女が金のネズミと共に、生きる目的を獲得する再生のストーリー

 原作は文庫本の新・旧版・単行本すべて読んでいます。大今良時さんのコミック版も読んでいます。円盤も購入済み。日本のSFで3本の指に入るくらい好きな作品です。

 配信版確認しましたが、アダルトなシーンが全カットでしたね。これではヒロイン、ルーンバロットのどん底からの再生物語が描けるわけがないです。できればノーカット版であるいは原作を読んだ方がいいと思います。


「圧縮」のあらすじの説明です。まあ、高校の技術等で習うと思いますが、「圧縮」「燃焼」「排気」はエンジンの4ストロークのサイクルになります。つまり第1部の事ですね。

 サイバーパンク的な都市が舞台ですが、イメージとしてはソドムでしょう。「バットマン」のゴッサムシティのような爛熟退廃した都市です。
 この都市では、スクランブル09という非合法な肉体改造に関する戦争テクノロジーが、有用性を示す限りにおいて認められます。

 さて、ヒロインは12歳の時から父親に常習的に犯されていて、兄が父に発砲し刑務所へ。ヒロインも手をかけていますが、兄がすべて引き受けたのでしょう。
 ヒロインは少女売春婦・少女ポルノのスターでもあります。警察のガサ入れで留置されていたところを、シェルというカジノの大幹部に愛人として拾われます。

 ヒロインはシェルの秘密を知ろうといして、殺されかけます。そこを救ったのが、ドクターとウフコックという金色のネズミです。ヒロインはスクランブル09の技術で死にかけていたところを何とか救われます。

 治療中のバロットの潜在意識に生存の選択をさせた上で、バロットのスクランブル09使用の根拠とするため、バロットの生存をかけた裁判が始まります。生命保全プログラムです。

 バロットは生きたいという潜在意識と裏腹に、自分を否定しています。この葛藤が前向きに生きる気持ちの阻害要因になっている感じです。この過程でウフコックはバロットに生きるための教育をして行きます。

{netabare} 信頼を結べたかに見えた2人ですが、バロットは想像を超える強大な力を手に入れ、自分の力に酔いしれてしまいます。そして、少女は自分が男たちに犯され続けた過去への復讐を、戦いに重ねてしまい男たちへの攻撃を楽しんでしまいます。
 その結果、パートナーであるウフコックを道具として濫用してしまい、危うく壊しかけてしまいます。{/netabare}


テーマ性です。

 少女が主人公なのはなぜか?それは都市において「もっとも弱いもの」だからでしょう(もちろんその方が見栄えがいいのももあるでしょうけど)。性的に消費され続け、自らそういう生き方を選択した結果、生きる理由を失い、愛情とは何かが分からなくなってゆきます。

 少女の性的な虐待と売春の描写はそれが生きるための手段です。バロットの他人に知られたくないという気持ちからそれを恥じていることが分かります。自分の過去の否定=自分の存在の否定になって、自分の存在が分からなくなっている感じです。ピッタリしたタイトな服を好むのは孤独感などの不安な精神状態を表しています。

 結果、生きたい・死にたいのアンビバレントな精神状態に陥ってしまいます。そして少女は生きる目的として、他人の愛情を欲します。ですが、本来的な愛情が理解できていません。だから父親の虐待を愛情として受け入れたし、シェルにすがったし、ウフコックに依存します。

 そこまでグロテスクにする必要があるか?という残酷描写もありますが、底知れない都市の欲望と残虐性のアナロジーになっています。ヒロインの生存の根拠ための戦いです。

 ヒロインは声を失っています。これは自分の本音を語ることができないアナロジーだと思います。ウフコックを使って話せるようになるという含意が読み取れます。

 作品全体は「狂った都市」つまり現代の東京・日本・資本主義的な欲望の中の狂気と、どん底を見た=聖性を得た少女の戦いということでしょう。つまり、過去ではなくどうやって前に進むのかという話です。
 
 また、戦争が生み出した、技術の非人間性も表しています。

 いくらでも語ることがある作品ですが、これくらいにしておきます。


 アニメ作品としてですが、ヒロインのデザインも声優も素晴らしいです。特にヒロインの身体が非常に華奢で壊れそうに描かれているのがいいです。それが「壊れそうな」少女を表現しています。

 EDのアベマリアですが、故本田美奈子さんの歌声がいいですが、本作の象徴するのは、ヒロインが、マグダラのマリアのように…娼婦という穢れの中で聖性を帯びる存在だということです。バロットの象徴として非常に良く作品と合っていました。


 恐らくは欠点は、この重厚な物語に対してちょっと説明不足なこと。アニメとして楽しむ分には上で書いた事は読み取れますが、サブスク等で1度しか見ていなければ、アニメとしては理解が追い付かない可能性もあるでしょう。

 予算または技術的な関係か作画が物足りないこと(高水準ですが、今の最新技術と比べるとちょっと見劣りする)。

 ということで点数は4.6ですが、主観では230点/100点くらいです。あまりに好きすぎて冷静になれません。


 以前2021/05/03に書いたレビューを全面的に更改しています。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 2

Jacks さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

本能に目覚めろ

その女性はある理由を探し求めて生きていた。利用され騙されながらも。裏社会は常に彼女を含む罪なき人々を支配する。
麻薬密売、娼婦、カジノ。そして科学技術。その上、様々な殺し屋達が蔓延している。苦痛で満たされているのだ。
罪悪感と罪の意識は等しい概念。時々戦士達はそれらに悩まされながら悪と闘う。その光景は表裏一体だ。ただ樹木という名の材料として燃え上がるだけ。
人々が彼らの心理を読み解くのは疑いようもない事。その答えは簡単だ。暗号化された人類だから。他に何がある?
そしてまた、一つの新世界が誕生する。未来を担うあの女性は躍進していく。真の悪との闘いの幕開けだ。彼女の名は...ルーン=バロット。

マルドゥック・スクランブル三部作は独特なサイバーパンクアニメ映画です。圧縮(The First Compression)は文字通り第一章。つまり導入部を意味します。
主人公は上記の通りルーン=バロットです。彼女は多くの敵に翻弄されながらも、立ち向かっていきます。これが基本的なストーリーの流れです。
設定とキャラがとても精密で、話に大きく関わります。この三部作は比較的大人向けです。本作に限れば無数の性的描写と血まみれバイオレンスがありますから。続編では緩和されています。
同時に、本作は人間の価値観について色々と考えさせられる部分もあります。バロットの存在理由は?なぜ人類は進化し続ける?良い意味で疑問が尽きません。
一見、本作は説明台詞のおかげで難解ですが、実は違います。伏線とメタファーの塊なのです。原作者である冲方丁さんは話の組み立て方を理解しています。SFの知識が豊富ですから。
特筆すべき点は銃の重要性ですね。本作の中ではただの凶器ではありません。本作での銃は命の必然性を表しています。殺るか殺られるかではなく、問うか問われるかです。
それを念頭に置けば、ますます本作を楽しめるでしょう。銃は確かに人を殺します。しかし、それ以上に命の大切さに該当します。この三部作はありきたりな作風ではないのです。

世界観と作画が素敵です。僕はこの頃のGoHandsの手腕を既に認めています。かなり印象的です。美しいとも言えますね。
キャラに関してはすごく良いと思います。バロットがセクシーすぎです。ウフコックとドクター・イースターも良い味出しています。
シェル・セプティノスの一つ一つの台詞が意味深ですね。ディムズデイル・ボイルドの哲学も興味をそそります。
戦闘シーンはとてもカッコいいです。エフェクトも派手で、スプラッターです。バロットとウフコックがナイスコンビネーション。
声優陣の演技も洋画の吹き替えみたいで素晴らしいです。特にバロット役の林原めぐみさんは見事。バロットのあらゆる感情表現を巧みに演じ分けています。さすがですね。

本作は序章のため、ストーリーは未完結です。なので、続編を観る必要があります。肝心の続編ですが、個人的に面白さが少し半減しています。それでも十分見応えがあります。
燃焼(The Second Combustion)は心理戦が主なテーマで、排気(The Third Exhaust)は黒幕との決着が描かれています。それまで辛抱が必要ですね。

正直に言うと、本作だけに限れば目新しさはそこまでありません。ですが、もう一度言うように面白いです。この三部作がテレビシリーズかOVAだったらどうなっていたのでしょう?
僕個人の意見としては映画化で良かったと思います。それぞれ良さがありますからね。本作が気に入れば、続編も好きになるはずです。
ちなみに僕は3年前に全三部作を観ました。久々に近未来的要素を体感できました。この作品に出逢えて本当に良かったです。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 1

minisaku さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

面白いけど圧倒的に尺が足りてない。 全部見終わった感想です。

特殊な科学技術によって死の淵から甦った娼婦の少女が、不思議なネズミの
捜査官と共に、自分を亡き者にしようとした男の犯罪を追うってお話。

『圧縮』『燃焼』『排気』の全三部作で構成されている物語です。


まず最初に、この作品は全体的に暗めで内容的に重い部分も多いですし、
残虐な殺人行為や性的虐待など、暴力的でエログロな描写なども
結構あるので苦手な人は注意が必要です。



では、注意書きもしたのでココから感想w


かなり見るヒトを選ぶだろうなって作品ですが、なかなか面白かったです。

作品の持つ独特な世界観や雰囲気、綺麗な映像、スピード感あるアクションなど、
惹かれる要素の多い作品でしたが、この作品の一番はやっぱり映像ですね!!

立ち並ぶビルや光を帯びた道路など近未来の街並、楽園での草木や水などの自然風景、
色鮮やかなカジノでの背景などなど、映像だけでも十分引き込まれる位の魅力が
ありました。 特に「楽園」での光と水の描写はすごくキレイ!!

それに、この作品の見所の一つだと思う 戦闘でのアクションシーンなども
とても綺麗で良かったです!!


ただ、かなり自分好みの作品ではあったのですが、ストーリー自体が
面白かったかと言えば、それはまた別の話で...


大筋のストーリーは良いのだけど、展開が速くて元々わかりづらい内容な上に、
描写不足、説明不足が加わって更にわかりにくなってます。
やはり世界観や設定、バロットやボイルドの能力、心理描写などの
説明不足は大きいですね。

それに、人物描写はもっと欲しかった... 一番描かれていたバロットにしても、
それでも足りないって思うし、せっかく魅力的なキャラがいるんだから
もっと掘り下げあっても良かったと思う。
まぁバロットの心情、不安定さや心の弱さなどを、言葉だけじゃなくて
目線の動きや仕草などでも表現してるのは上手いと思うんだけど、
やっぱり足りてない...

あと、ラストは少しあっさりしすぎだったかな... それに加えて最終決戦のBGMが...
BGMがヒドかった。 なんで最後だけ... それ以外は良かったのに...


そんな感じで、ストーリー自体に対しては 物足りなさを結構感じますね。
原因は確実に尺の問題なんだろうけど...


でもまぁ、一部では華麗なアクション、二部では楽園での映像美、三部ではカジノでの
緊張感ある心理戦など、それぞれ見所もあって良かったと思うので、
一概によくなかったとも言えないんですよねw

そう、悪くは無いんですよね、なんとも惜しい作品なんです!!


自分としては、残念だった部分を含んでも、差し引きで「見て良かった」って思えますが、
好みがかなり出ると思うので、人にはあまりオススメは出来ないかな。

ただ、この映画って原作読んだ後に見ると かなり面白いんじゃないかなって
思ったりします。 自分はすごく原作読んで見たくなりましたしねw

というか、おそらく読むと思いますww

投稿 : 2025/01/04
♥ : 29
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