てけ さんの感想・評価
3.9
尻切れトンボ
ジブリ作品。
心臓に病気を抱える少年・翔(しょう)と、小人のアリエッティとの出会いを描いた作品。
アリエッティの冒険活劇です。
小さいものが大きく描かれる世界。
動物や虫、草花が圧倒的な存在感を持っています。
特に見事だったのは「水滴」。
表面張力で丸く固まる水は、よく観察され描写されているのがわかります。
また、BGMも場面にマッチしたかっこいいものが多かったです。
そんな中を駆け回るアリエッティにはワクワクさせられました。
ただし、オチが微妙。
見ていて、「あれ? もう終わり?」となりました。
一応悪役のばあさんがいますが、勧善懲悪でもなければ、特に何か大きなものを得るわけでもない。
シンデレラストーリーにはなりません。
登場人物も少ないし、全体的にこぢんまりとした印象です。
テーマもはっきりしませんでした。
小さいけれどたくましい命と、大きいけれど弱い命。
その対比で「死生観」を表現しようとしていたのかな?
ただ、見せ方があいまいであまりメッセージが伝わってきません。
悪くはないんですが、小人視点での世界観以外は、印象に残らない作品でした。
【おまけ】
生物学的にいうと、小さい生物ほど声帯が小さくなります。
その結果、発声時の音域が上がります。
つまり、人間をそのままの構造で縮小すれば、どんどん声が高くなっていきます。
アリエッティら小人たちの声は、翔にはさぞかし高く聴こえたことでしょう。