寓話でオートバイなおすすめアニメランキング 2

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早速見ていきましょう!

75.7 1 寓話でオートバイなアニメランキング1位
キノの旅(TVアニメ動画)

2003年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (640)
4030人が棚に入れました
『キノの旅』の世界には様々な「国」(実態は都市国家)が世界中に散在している。「国」はそれぞれまったく違った文化をもっており、技術的な格差もきわめて大きい。
しかし、各国とも言語は統一されている様子(ただし、1巻「平和な国」では隣国と「言語も違う」と書かれている)。
たいていは高い城壁に囲まれており、城壁内は各国の法律が機能して比較的秩序が保たれている。しかし、城壁の外は盗賊などにも遭遇することがある無法地帯である。
ネタバレ

アリス★彡 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

傍観者のキノとおかしな国々たち

ライトノベル原作。ディストピア。
電撃文庫では、エンターテイメントよりではなく、テーマを真剣に考えるタイプの作品として売り出されています。
寓話的で、おとぎ話チックです。

男の子なのか、女の子なのか分からないキノと、喋るバイク「エルメス」の独特の風味の旅。

現実味の無い話をつらつらと並べているように思えますが、モチーフは長い歴史をみればどこかで見つかるといった話が多いです。その分に、感情移入がしにくいので、絵本を読んでいる感覚を思い出して視聴してみると良いと思います。桃太郎や浦島太郎を読む感覚です。

特徴的なところとして、ディストピア特有の管理社会の国や格差社会の国があったりします。
重要なのは、主人公が自己主張をあまりしないということですね。そのために、何が言いたいのか、何を感じて欲しいのかは、視聴者に委ねられるといっても過言でもありません。残酷なシーンだけを見せられて、そこから何かを感じ取るのは、視聴者の想像力次第なのです。

例えるなら、「人間が一人死んでいるのを誰かが呆然と眺めて、それをどう感じるか」それと似たような感覚でしょうね。
ここでハッキリとした描き方が好きな方は、何が言いたいのかよく分かりません。それなので、そういう方にはおすすめできません。

しかし、ここで物凄いメッセージ性を感じる方にはおすすめします。
孤児の写真を見て、それをどう感じるか、そんな感覚に近いかもしれませんね。

孤児が可哀想だと思った方は状況から感情を浮かべるタイプです。
そこから、社会状況を考察する方は、ワンステップ進んでこの作品をもっと楽しめる方でしょう。

作画は匿名掲示板で批判されていますが、これを萌え画やリアルチックな作画でやるのは合っていないので、まだ良い方でしょうね。
とても残酷で救いようのない絵になりそうなので...。
シャフトの映画の作画がちょうど良いくらいだと思います。

ストーリーはディズトピアとしてテーマを上手く伝えることが出来ており、エンターテイメントのような楽しいと思える作品ではなく、思い切り考えて自分が生きるための材料にする作品です。



■人の痛みが分かる国

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これは現代の高度な科学技術への危惧なのでしょうか。


■多数決の国
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民主政治だから正しいと言って、少数派を排除しているとこうなるということですね。マイノリティ差別の危なさを説いています。

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キノの旅の童話チックな所は、この部分ですよね。
現実離れした事を描いて、視聴者に訴えかけます。
現実離れしているといっても、人間の歴史を辿ればそういったことがあるかもしれませんね。

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■レールの上の三人の男

↓ネタバレ
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「旅人さんはどこに行く?」
私たちは何を目指して、何のために仕事をするのでしょうか...。

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■働かなくても良い国の話
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働くという形式は無くなっても、何かをしなければだらけてしまう。
そのために、働く人は減らないと思います。
人の助けになりたい、といった自己満足の精神が働いて、概念自体は無くならないと思います。

そういう事を言いたかったのでしょうか。


■予言の国
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言いたいことは、「誰が発した言葉が、誰が解釈して影響し合っていく。」といった事でしょうね。
極論で何かに例える回りくどい方法です。しかし、視聴者の目を引くことが出来ています。詩の下りは童話の一部を聞いているようでした。


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■コロシアム
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罰を間違えると何かを崩壊させてしまうというアイロニーも含まれています。

■大人の国
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これは作者が子供視点に経って、児童虐待、もしくは親だからといって何かも正当化している人を揶揄しているのでしょうか。
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エルメスがキノの幻聴に見えたのは私だけでしょうか。エルメスを旅人のキノに似せて...十分あり得ると思うのですよね。

■平和な国
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■機械人形の話
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■本の国
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「表現問題で熱くなっている内に、本が無くなってしまいますよ」ということを言いたそうですね。

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表現問題について、「熱くなるのは勝手だけれど、その媒体が無くなっても知らないよ」ということでしょうか。
規制派も本が健全なものになって欲しいから、規制しているだけで無くなって欲しいと思っている方は描かれていませんでした。

この考えから行くと、作者は傍観者だけれど、無くなるのは困るという立場でしょうね。

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■人を喰った話

【物語のポイントまとめ】
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人間と動物の命の価値は同等なのか...といった話は置いといて。

食物連鎖のお話でしょうか。

人間は生きている上で、動物の命を犠牲にしなければ、生活が出来ません。

例えば、人間は生活する上で、食料品を手にしなければなりません。
魚や肉、野菜などを食べなければ活動することが出来ないのです。
そういえば、インドで日光に当たるだけで生活できる人物が紹介されていましたね。嘘っぽいですが。
そういう人間はそうそういないわけですから、その辺は置いておきますね。

森や草木を伐採することだって、間接的には動物の生活圏を奪っていることになりますから、いくら配慮しても動物を犠牲にしなければならない状況がします。

薬品を作るために、殺されている動物たちと人間を一緒にしてみたらどうなるか。化粧品を作るためには、動物を使った薬品テストが必要になってきます。


「人間は生活している上で、誰かの犠牲無しでは生きていけない。」
そういう事を表した話だと思いました。


■魔法使いの国

「人間の持つポテンシャルの低さと高さ。」
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率直な感想として。

ライト兄弟のお話?
キノの旅の世界では、凄まじく科学が発展した世界が存在します。それなのに、「空を飛ぶ機械が無い」というのはキノの嘘でしょうか?

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「人間の持つポテンシャルの高さと低さについて、実感していてね」
初めから偏見を持っていると潜在的な力を発揮できない、ということでしょうか?


もしくは、人間は見たことの無いことを軽視して、誰かが何かを成し遂げるとその人を神様だと拝める馬鹿馬鹿しさとも取れますね。説得力の話にも聞こえます。




■彼女の旅

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ここから読み取れることは...。
会社の求めているのは、自分勝手な人間ではなく、働く気力もあって集団に馴染む人物。
って、作者はどれだけ働くことが嫌いなんですか(笑)


三人のレールの話でも同じことが言えますが、作者は管理社会の体制があまり好きでは無いようです。私も作者と同じような価値観を持っているのですが、そこまで強くない思想です。

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この話だけを見ると、自意識を持たずして、労働することは難しいということを伝えたいのでしょうか。
彼女の旅というまとまりで見ると、「旅」というテーマに収められているような気もします。

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【武力を使わずに旅をする彼女】
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旅をする事は一体?
キノも自分の旅が「何の意味があるのか」を疑問視するようになります。


■優しい国
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「災害に対しての人間の無力さ」
もしくは、「本当の優しさ」でしょうか?

■総評

映画やOVAも全て視聴済みで、レビューがとても書きにくかったです。
難しい所は、「主人公が自己主張しない」という事。
その為に、解釈が難しく、一つの物語を見て、どう思うかは視聴者次第なのです。社会システムについて否定的に思うのも、「こういうのもありかも」と思うのも、視聴者次第なのです。

テーマを投げ捨てる、という表現がしっくりくるかもしれません。

この作品は投げかけられたテーマについて、ゆっくりと考察する。
もしくは、悲観的な感情を抱いて、楽しむ。
この二つが本作の楽しみでしょうね。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 13
ネタバレ

石川頼経 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

かつてない程、面白い作品でした。しかしこれって「アニメ」としての面白さなのかな?

前に新作の一話を見て「月刊ストーリーランドの謎の老婆」を思い出した。と書きましたが、むしろ「アラビアンナイト」や「銀河鉄道999」に似ているかもしれません。

総評
こんなに面白い、アニメを見たのは初めてかもしれません。
dアニメストアで13話を一気に見入ってしまいました。正直、こんな事は初めてです(ニコニコ動画などの一挙放送とかは除いて)
総合点数的には、奇妙なストーリーの魅力で持っているので伸びませんが、本当は「物語の評価」は5.0を大幅に上回ります。10点つけたいくらいです。
キノの奇妙奇天烈、摩訶不思議な旅は本当に面白かったです。
話しの寓話性、哲学性、アイロニーなどはいろいろかんがえさせられます。
そして、バトルもちょくちょくあり楽しく、幼少の頃の女の子っぽいキノも可愛かったです。
そして、キノは異常に強いです。あの世界では男女の運動能力差はないんでしょうね。

キノの飄々としたエゴイストぶりや中立主義、「断る事は丁重な態度ながらきっちりと断る」「正当防衛でなら平気で人を殺める」など「正義」にこだわってない部分、(これらの点はちょっと間違ってましたネタバレになるので最下段に補足します)も奇妙な物語を加速させていました。

声優に女優の前田愛さんを使った点を叩いている人もいますが、他の人はともかく、少なくとも彼女の演技に不満はなかったです。
むしろ、キノの声に非常にあってました。

さて、あえてケチを付けると確かにかつて見た事のないほど面白い作品でしたが、これって原作小説、つまりシナリオや設定の面白さであって、
「アニメ作品として面白さなのか? 高評価なのか?」という疑問は確かにあります。
秀麗なキャラデザイン、ヌルヌル動く動画、声優の見事な演技、心に沁みるアニソンなどのアニメ作品ならではの魅力、総合力は「ほどほど」だった気もします。
「アニメ作品として面白い作品」の好例と言えば「まどマギ」とかだと思いますが、キノはそういった作品からは離れている気がします。
まあ、その辺は新作キノに期待ですね。

補足その1 キノの主義について(かなり長文)
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補足その1に追加考察
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補足その2 声優について
旧作キノはキノとエルメスを声優ではなく俳優を使った点を叩いている人がいるようですが、
キノは上記にも書きましたが、喜怒哀楽の感情をほとんど出さないキャラ。
エルメスに関しては所詮は人間ではなく「喋る機械」に過ぎないわけですから、これはこれで良いと思います。
翠星のガルガンティアのチェインバーの声を「セリフ棒読み」とかいって叩くようなものではないでしょうか?
キノとエルメスにいても「そういうキャラなんだ」と割り切れば大しては気にならないと思います。

補足その3 「コロシアム」と「優しい国」の解釈について
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投稿 : 2025/03/01
♥ : 24
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

主人公キノ役・前田愛(注・声優じゃない方を指す)についてアレコレ推測してみる

原作ライトノベルは20巻まで購読中(注・但し『学園キノ』は2巻途中で挫折w)

主役に“ちゃんとした声優”ではなく子役・タレントの前田愛さんを起用。
ぼやけた棒読みが賛否を呼んできた配役です。

私も演技については下手……と言うより、
そもそも演技させるつもりがなかったのでは?と捉えています。
感想としては好き嫌い以前に、
受け手の予断を許さない『キノの旅』らしいキャスティングだったなと思っています。


原作者・時雨沢恵一氏による『キノの旅』、特に初期の構成、文体等には、
読者を敢えて不安にさせることで、固定観念が通用しないぞ?と警戒させ、常識外のシナリオも覚悟させる。
その上で平時では理解しがたい価値観、許容しがたい言動を受け止めさせる。
そんな仕掛け、遊び心、危険性が満載。

その性向は主人公の旅人・キノと相棒の喋るモトラド・エルメスについても顕著。
例えば本作でもアニメ化された第三巻・第四話「機械人形の話」の序盤の一部を引用してみると……


 ネタバレレビューを読む


少し長くなりましたがw
原作はこのような初巻・第一話冒頭だけで済ませておけばいいような紹介文が、
次の話でも、二巻でも三巻でも表現を少しずつ変えながら毎回のように続くのです。
要するに読者は毎度、この話の主役も本当にいつものキノ&エルメスなのか?
とまず疑心暗鬼になるわけです。

キノの造形についても、精悍な若者であるらしいことは分りますが、
年齢については上記の十代半ばのこともあれば、それより若いこともあり、言及がないこともあります。

と言うより、そもそも、原作も本アニメ化作品も、
ショートエピソードが時系列順に並んでいるわけではありませんし、
シャッフルされたと思われる時系列が説明されるわけでもありません。
物語を読み込んでいくことで、キノの装備、設定等から類推することはできますが断定はできません。

性別もなかなか明示されません。
実は私は原作読み始めた当時、ネタバレレビューを読む

こんな表現どーせ常識が通用しない世界観に引きずり込むための作者によるトラップ。
名前を出し惜しみしているが、結局、主人公はいつものキノだろう……。
そう高をくくっていたら、原作では別キャラがメインの回もあったり、
或いはネタバレレビューを読む


こうして喋るモトラドという違和感だけじゃなく、
受け手に主人公ですら、あなたの思っている人間とは限らないぞ?と想像を逞しくさせた上で、
異国、異文化のありのままを感受させていく。
「世界は美しくなんかない。そしてそれ故に、美しい」という作品を象徴する一見、意味不明な言葉も、
上記のような洗礼を受けた後なら、何となく理解し、共有できてしまう。

そこに『キノの旅』の醍醐味があるのだと私は思います。


だから私は原作読む時も、アニメ版を見る時も、
話の冒頭、登場したキノは、自分が知っているいつものキノなのか?
まず常識を捨てて、世界をありのままを受け止める覚悟で物語に入っていきます。

その上で改めてキノ役・前田愛さんという判断について考えてみると、
敢えて掴み所のないボーイッシュな地声を、ほぼそのまま当てることで、
疑念から『キノの旅』の世界に入る手助けをする。らしい配役だったなと思うのです。

キノを単純に物静かなガンファイター系のアニメキャラとするならば、
“ちゃんとした声優”にちゃんとした演技をさせるのが最適です。
静かめな声を得意とする演者、
例えば電撃文庫版権物でキノ役をやっている久川綾さんでも良かったと思います。

ただアニメ声優はキャラクターに強烈な色を付けます。
卓越した声の表現力で、一声聴いただけで判別できるレベルで、性別だけでなく年齢すらも演じ分け、
キノをキャラ立ちさせ、記号化し、受け手に作品への安心感を与えることでしょう。
それは普通のアニメなら喜ばしいことです。

でも『キノの旅』にて一声でキャラクタ-を確定されると、
性別、年齢不詳のキノをまず疑うことから始める、常識の遺棄と、世界への没入という、
私なりの『キノの旅』満喫法が通用しなくなってしまいます。


一方で、近年の層が厚くなったアニメ声優業界ならば、
一般的なアニメのキャラクター作りとは違う、
キノ役に挑戦できる人材もいるのでは?との期待もあって、
続編アニメ化の際は是非“ちゃんとした声優”をとの願望もありました。

そういう意味で今秋からの『キノの旅』再アニメ化にて、
キノ役に悠木碧さんを起用した件は、
この旧作が奇しくも悠木さんにとって、子役・八武崎碧として声優デビュー作となった縁も含めて、
またアニメ声優の活動領域を広めるという観点からも、誠に興味深いチャレンジだと思います。

悠木さんと言えば、私にとっては感情が振り切れた時の熱演が好印象な声優さん。
原作も近年、エピソード主役を張る登場人物が増え、キャラアニメとしての素質も有していく中、
悠木さんもアニメ声優ならではの個性的なキノをぶつけてくるのか?
或いは旧作出演者としてキノを掴ませない、らしい仕掛けを声で構築し投げつけてくるのか?

私がPVにて声を聴いた限りでは、この秋は後者の意味で、いい旅になりそうです♪

投稿 : 2025/03/01
♥ : 30

78.7 2 寓話でオートバイなアニメランキング2位
キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series(TVアニメ動画)

2017年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (758)
3323人が棚に入れました
主人公の人間キノと言葉を話す二輪車エルメスは、目的もなく、世界をあちこち旅している。世界のあちこちには個性豊かな国があり、人々は自分たちなりの法や常識をもって暮らしていて、キノとエルメスはそんな国々を訪れ、基本的に3日間だけ滞在し、また次の国へと旅立っていくのだ。そんなキノとエルメスの旅の話は、時に優しく、時に哀しく、時に滑稽で、時に胸に突き刺さる。そして、珠玉の物語たちは、一言では言い表せない鮮烈な光景を読者に見せてくれるのだ。“美しくなんかない。そしてそれ故に、美しい"世界を。

声優・キャラクター
悠木碧、斉藤壮馬、梅原裕一郎、松田健一郎、佐倉綾音、Lynn、興津和幸
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

思考実験の国を巡る、ならず者の旅、キノの旅、シズの旅

ライトノベル「キノの旅」のアニメ化作品。原作は時雨沢恵一さん。映像化は2003年のテレビシリーズ、短編映画2作を経て、今回で4作目。

本作「キノの旅 -the Beautiful World-」で主役を務めるのは、前作に引き続き、キノとエルメス、一人と一台のコンビの他に、前シリーズのコロセウム回で登場したシズと陸ネタバレレビューを読む

一貫してキノの旅のみを描いていた旧作と比較すると、今回は"キノの旅"が全体の約2/3を占め、そこに別の旅人達のお話が変則的に差し挟まれる構成。そのためロードムービーの色は薄くなり(元々それ程強くは無かったけど)オムニバスないしは短編集といった、原作により近い体裁を取っているという印象を受けます。

全12話中3話が旧作のリメイク、それ以外の9話の内4話+がキノ以外を主人公に据えたお話になっています。以下にサブタイのリストを載せときます。(リメイクはサブタイの頭に"Re:"付記)
ネタバレレビューを読む
リメイクは「コロシアム」「優しい国」「大人の国」の3本。キノの旅の起点であるエピソードの「大人の国」は、新作から見始めた人たちの為にどうしても除けないとしても、残念ながら他2つについては再構築の意義があまり感じられませんでした。アンケート結果に従って再アニメ化が決定されたそうなので仕方ない気はしますケド…。

各話についてのあれこれ
ネタバレレビューを読む
キャラについて、キノのアウトロー的な面、奔放な性格はそのままに、外見的描写はあからさまに女性寄りになり、旧作にはあった中性的な雰囲気が弱くなりました。コートを着用しないシーンが不自然なほど多くなり、体のラインをこれ見よがしに目立たせている風にさえ見えます。作中9話でもちらっと触れられていた様に、性別を隠す事は道中の無用なトラブルを避け、延いては自己防衛の有効な手段ともなり得るので、それを敢えてしないキノが何だか旅人として間抜けに見えてしまいました(汗)物語と演出の間の矛盾を感じます。

また、キャラデザ全般についても大きな変化があり、旧作とは異なり、よりラノベ的な、端正な顔立ちのキャラが多くなり、それぞれの個性が薄くなった印象を受けました。シズ、師匠、相棒あたりなんかは特に顕著で、理想的な顔立ちを追求すると、皆同じ顔立ちになってしまうと言わんばかりにそっくりさんで無個性でした。髪型と服装以外の外見的特徴で個々が区別が出来る様にして欲しかったです。「世界は美しい、ゆえに美しい」ではなく、「世界は美しくない、ゆえに美しい」が本作のキャッチコピーでもありますので(笑)

総評として、旧作と比べて全体的に雰囲気が明るく、キャラデザも今風、アニメが時代を映す鏡として機能している事を如実に表す作風の変化を感じました。命のやり取りなど殺伐としたシーンが度々描かれる作品なので、この変化は手放しでは受け入れ難いものがありました。構成の不備が第2話「コロシアム」と第12話「羊たちの草原」にあった事も残念です。

心待ちにしていた再アニメ化だったので、期待度が大き過ぎてがっかりしてしまう箇所もいくつかありましたが、なんだかんだで前期では取り分け楽しみなアニメの一つになっていました。原作ストックが山の様にあるので、次回のアニメ化に際してはリメイクエピソードを除外して、もう少し雰囲気暗めに作って欲しい(笑)というのが一視聴者としての願いです。

いつかまた始まる旅人の物語に期待を込めて!

投稿 : 2025/03/01
♥ : 52
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

流れの革命家ごっこ

2話までの感想
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3話までの感想
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4話感想
もうどこから突っ込んでいいやら分からない。
下書き書いたらめっちゃ長文になってしまって誰も読まない予感。
次回以降どうにかうまくまとめて書ければいいのだが…。

8話までの感想
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断念ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 10
ネタバレ

四文字屋 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

世界の静けさ。人の、醜さと脆さと強さ。第1級のファンタジーとしての雰囲気、名作に成りそうな風格が漂う、制作陣の本気がそのまま直球で伝わってくる作品で、

世界は美しくなんかない。
そしてそれ故に、美しい。
というキャッチコピーそのままの物語が展開して行きそうで、
一話にしてすでに、名作の予感さえただよっています!

前作未視聴、原作未読、前知識なし、で視聴に及んで、
これは素晴らしいファンタジーだ。と、視聴後はしばし、
その空気感にたゆたってしまいました。

もちろん、ファンタジーといっても、
ドラゴンが空を舞っている訳でもなく、
エルフやドワーフが出て来る訳でも、
魔法が飛び交う訳でもないけど、
まさに寓意に満ちた、ホントの意味での優れた「ファンタジー」で、
一発でその秀逸な世界観に心をもっていかれたのです。


鑑賞しながら思い起こしていたのは、「星の王子さま」のことでした。

ご存知の通り、王子さまは、作中で寓意に満ちた話を、
遭難した飛行士である「私」に話してくれますが、
星から落ちてきたって話も、さまざまな寓話も、
すべて王子さまが話して聞かせたことだけで、
ただの「脳内ファンタジー」なのかも知れません。
そして、砂漠で二人きりの時間を過ごす間、
なんのファンタジックな出来事も起きません。

でも「星の王子さま」は、まごうことなき最上質のファンタジーで。

キノの旅は、凄く、それに似た匂いがしたのです。



相棒のオートバイがしゃべるってことを除けば、
アニメとしての、いわゆるファンタジー要素は何もない。
機械がしゃべるってことだって、
それで自律起動したり勝手に走りまわったりすることもなく、
ただキノとお話しできるだけ。
これだって一人旅の寂しさ故の脳内会話だったってことにしてしまえば、
全ては現実世界と何も変わらない。



でも実際に、この一話だけで、一級のファンタジーとして成立している。

それは、おそらくは、物語の世界のあり方が、
そこだけが私たちのいびつな現実世界と違って
少しだけ違う方向に歪んでいること。
そしておそらくは、それぞれの都市国家が、
独自の文化をもち、独特の風習に倣って存立していること。

キノ自身は定住する場所をもたない旅人であること。

その前提条件があって、その上で、人と人が係わりあうことが、
凄くデリケートな出来事として存在すること。
そういった、人の在り方と、人に対する視線が、
ファンタジーとして見事に結晶していることが、この物語の魅力な訳です。
生き残る術として、夜ごと銃の訓練を怠らず、
寝るときには銃を握って胸に抱いて眠る。
そういう世界に生きていて、なお、都市から都市へ、
流れ続けて生きていく。
この少年の生き様は、それだけで寓意に充ち満ちた、
美しくなんかないからこそ、美しい。
そんな魅力的な話として心に刺さったのです。


第2話視聴。
第1話に比べると、先が読めてしまう展開ではあったんだが、
驚いたのがネタバレレビューを読む
そして、世界は美しくなんかない、と、キノが珍しく抑えられない程に怒っていたのが、ネタバレレビューを読む


第11話視聴。
ネタバレレビューを読む

最終話視聴。
ネタバレレビューを読む
「10月クールTVアニメ 早めの折り返しBEST10」1位→https://www.anikore.jp/anime_rankings/view/46297/

↓「最速!2017秋アニメBEST10」にランクイン↓
https://www.anikore.jp/anime_rankings/view/46224/

投稿 : 2025/03/01
♥ : 48
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