Witch さんの感想・評価
4.5
シンプル・イズ・ベスト→若い世代には逆に新鮮かも
【レビューNo.19】(初回登録:2023/1/12)
コミック原作の2004年作品。全26話。
これ見つけたときは「こんな作品もアニメ化されてたんか!」って、めっちゃ感動したな。
(作品概要)
「陸奥圓明流」・・・それは無手(武器を使わない)での殺人技を極めた古武術。
その継承者である陸奥一族の末裔が、現在において最強の敵を求めて様々な格闘家と死闘を演じる
物語を描いたものが「修羅の門」という作品になります。そんな主人公の決め台詞
「陸奥圓明流千年の歴史に『敗北』の2文字はない」
その千年の歴史を描いた「修羅の門」の外伝にあたるのが、本作「修羅の刻」となります。
(作品の魅力)
・歴史上の剣豪との熱い死闘
アニメでは宮本武蔵、柳生十兵衛、新選組といった江戸時代の剣豪との「無手 VS 剣術」の熱い
死闘が描かれます。ちなみに剣豪達が生きた時代がそれぞれ異なるので、主人公はその時代に生
きた「陸奥」を名乗るものになります。まあ陸奥圓明流で闘うので主人公が変わっても戦闘スタ
イルは変わらないんですけどね。
・すべてがシンプル
・闘う理由がシンプル
「己より強い奴を喰らうのみ」理由はこれだけです。
「世界を救う」「愛する人を守るため」そんなものは不要です!
ただ強さだけを求めて互いの命を懸けるのです。
・バトルシーンがシンプル
リアル系のバトルものなので、刀から水や炎が出たりしません!異能力もないので魔法陣なんか
も使えません!鋭く迫る刃をかわし、拳を撃ち出し蹴りを繰り出す。過剰なエフェクトもなく実
にシンプルです。それでも見応えがあるのです。
・最終決戦に至るまでの物語も面白い
死闘がメインといってもずっと闘っているわけではありません。強敵とのファーストコンタクト
をはじめ、歴史的な背景なども織り交ぜエピソードを盛り上げながらクライマックスへ向かう。
実史を上手く取り入れながら物語を展開しているので、その辺りも楽しめます。
・ヒロインも登場するよ
上述過程で物語に花を添えるよう、ヒロインが登場します。
(というか、ヒロインといる時間が結構長いw)
まあ物語の性質上「子をなし次世代に継承していく必要がある」っていうのが大きいんだけど。
最後にヒロインと結ばれることにより、その物語が紡がれるのです。
ヒロインもその時代を生きた女性ということで毎回変わります。
アニメの世界にも流行りというものがあります。今やバトルものといえば、ゲーム世界や異世界、それ
に現世であっても異能力といったプラスアルファを付加した作品ばかりとなりました。その方が戦闘
スタイルのバリエーションが増え、いろいろなエフェクトも付加しやすく見映えのいいバトルシーン
か創りやすいのでしょう。でもそのような作品ばかりに食傷気味という方もおられるのでは。
今のアニメ基準からすると粗があるのも確かですし、原作の緊張感等を十分引き出せているかといえば
不満な点もあります。
しかしその点を差し引いても、時代を越えた色あせない面白さがこの作品にはあるといえます。
特に若い方には「ひと昔前のアニメの世界観」を楽しんでもらえたらと思います。
(追 伸)
ファンとしては本家「修羅の門」のアニメ化を期待したいところだが、正直かなり難しいと思います。
本作の持ち味を「無手 VS 無手」で描くのは、かなりハードルが高いなあっという印象です。
それにバトルシーン以外の物語性が「修羅の刻」に比べ数段劣るし・・・
そういう意味では「無手 VS 剣術」で見映えのするバトルシーンがあり、一般に馴染みのある江戸時代
の歴史を上手く物語に取り込んでいる「修羅の刻」の方をアニメ化したのは正解だったのかなっと。