夫婦で純情なおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの夫婦で純情な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月11日の時点で一番の夫婦で純情なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

84.5 1 夫婦で純情なアニメランキング1位
瀬戸の花嫁(TVアニメ動画)

2007年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (2403)
13749人が棚に入れました
ごく平凡な中学生、満潮永澄の平穏な毎日は、とある夏の出来事を境に、音を立てて崩れ去っていった。帰省していた瀬戸内のビーチで溺れてしまった永澄を助けたのは、なんと人魚の女の子、瀬戸燦!しかも、人魚の世界は、「渡世の仁義」を重んじる仁侠の世界だった上、人間に姿を見られれば、その人間か自分のどちらかが死ななければならないという掟が存在した。最後に残された回避手段は、「人魚の正体を知った人間が人魚の身内となる」という方法のみ!
「どちらかが死ぬか、人魚の身内となるか」そんな究極の選択を迫られた永澄が出した結論は燦との結婚だった!永澄と燦の2人を中心に、人間、人魚さまざまなキャラクターたちが騒動を巻き起こすドタバタギャグ&ラブコメディ。

声優・キャラクター
桃井はるこ、水島大宙、野川さくら、三宅健太、鍋井まき子、村瀬克輝、桑谷夏子、子安武人、伊丸岡篤、並木のり子、松島栄利子、森永理科、力丸乃りこ、矢部雅史、小野大輔、山﨑バニラ

ワタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

抱腹絶倒!ドタバタ任侠コメディ

とにかく笑える。めちゃくちゃ笑える。全話通して笑える。
もうこれを観ずしてギャグアニメ語るなっていうレベル・・・流石に言い過ぎでしょうかw
でも少なくとも私の中では「ハレグゥ」「ふもっふ」と並んでギャグアニメの最高峰。

私は原作未読ですが、原作を超えたアニメと言われてるのは分かる気がしますね。
”人魚(にんぎょ)と任侠(にんきょう)って似てるよね~”
っていう阿呆な発想から生まれたとしか思えないこの作品が、まさかここまで化けるとは!
アニメスタッフの仕事ぶりが本当に素晴らし過ぎますw

ある日突然、男主人公の元にヒロインが押し掛けて来て
ヒロインの数も徐々に増えていくというハーレム萌えアニメのお決まりの設定。
が、そんな設定を忘れてしまうぐらい、毎度のこと暴走しまくりの展開に腹筋がよじれましたw

ギャグのセンス自体なかなかのものですが、何より素晴らしいのはその演出ですね。
ハイテンションにも程があるってぐらい次々とギャグを繰り出していきます。
本当に息つく暇もないですねw 一息ついたかなって思ってもすかさずネタが飛んで来るw
極道系のBGMとか、サンちゃんの任侠モード時に挿入される演歌とかも地味に良い味出してます。

また、どのキャラも異常な程にキャラが立っています。
ギャグアニメにおいてキャラ立ては重要だと思いますが、本作はこれが完璧。
声優の演技に関しても、良い意味で既存のイメージをぶっ壊す絶叫演技など
持てる力を十二分に引き出しています。これは音響監督の功績も非常に大きいでしょう。
一部滑舌の悪いキャラもいますが(全セリフのうち半分ぐらい、何言ってるか分からないw)
ハイテンションなノリだけで笑えてしまうので、あまり気になりませんでしたね。

最終話は過去最高レベルの演出力による笑いに加えて、燃えや感動もあり
そして二期を望むのを躊躇う程の完璧な締め。最終回が素晴らしい作品はたくさんあるけど
個人的に真っ先に思い浮かぶのは「スクライド」そしてこの「瀬戸の花嫁」です。

その他、夏らしいカラッと爽やかなOP、OP前の恒例の山崎バニラのナレーション、
本編後のおまけコーナーなどなど、見所は盛り沢山。2クール全く飽きることなく楽しめました。
なお視聴の際は、深夜だと自身の笑い声で家の人や近所に迷惑がかかると思うので
明るい時間帯での視聴を推奨致します^^

投稿 : 2024/11/09
♥ : 59

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

一本筋の通っていて・・・見ていて気持ちの良い作品です^^

この物語の主人公は、中学2年生の満潮永澄(みちしお ながすみ)。夏休みの中、両親と共に祖母の家で過ごすため、瀬戸内に訪れます。そして、海で遊んでいたら海に溺れてしまうのですが・・・ある女の子に助けられ、一命を取り留めます^^

その女の子・・・なんと瀬戸内地方に古くから伝わる伝説・・・人魚だったのです。人魚界の掟によると、人魚の姿を見たもの・・・若しくは姿を見られた人魚は生きてはいけない事になっていました・・・そこで、残された手段である「人間が人魚の身内になる」つまり、結婚する事でお互いが命を落とすことなく一緒になることを主人公は選択し・・・物語が動いていくのです^^

この作品は、「お互い中学生」「人間と人魚の結婚」という、背伸びをしても届かないような問題を抱えつつも、お互いがお互いを思いやり、少しずつ・・・だけど確実に思いを育み・・・お互いの成長を見ることのできる作品です^^

ヒロインの瀬戸 燦(せと さん)は人魚なのですが、瀬戸内の気質なのか、家が極道一家だからなのか、義理・人情に厚く、困った人は見過ごせない性格の持ち主で、とにかく見ていて気持ちの良い子でした・・・^^
「任侠(にんきょう)」と書いて「人魚(にんぎょ)」と読む・・・竹を割ったような彼女の性格を表した名セリフでした^^;

主人公とヒロインは、色々な障害にぶつかります・・・思い悩んだり、時にはすれ違ってしまうこともあるのですが・・・
お互いがお互いを大切に想っているから、ちゃんと引き寄せ合える関係を見る事ができます^^

ドタバタ系の作品なので、全体的にテンションが高めで・・・所々に笑いのツボが散りばめてあります・・・なので、2クールの作品なのですが、どんどん見進めることのできる作品だと思いました^^

主人公とヒロインの行く末は如何に・・・?
私は最後まで楽しめた作品になりました^^
OVAも制作されているようなのでそちらも視聴してみようと思います♪

投稿 : 2024/11/09
♥ : 48

disaruto さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

任侠×ラブコメ。「任侠(にんきょう)と書いて、人魚(にんぎょ)と読むきん!」

制作はGONZO×AICで原作は漫画です。
ジャンルはラブコメです。
正確に言えば、コメディ要素がかなり強いスラップスティックラブコメディになるでしょう。


満潮永澄は瀬戸内で海水浴中に溺れたところを、人魚の瀬戸燦に助けられる。
しかし、人魚の正体を身内以外に見られた場合にはある厳格な掟があり、やむなく永澄は燦と結婚することになる。


とりあえず声優が凄いです。
喉潰しそうな発狂・ドス、高速台詞回しが異常に多い。
笑える場面が非常に多い本作ですが、声優パワーがかなり大きいです。
職人っぷりがやばい。

笑いのとり方はハイテンション任侠ネタが中心です。
ツッコミはほとんど主人公ばかりですが、これが良い。
回によって出来がまちまちなのはギャグ主体なので仕方ないですが、どの回もコンスタントに笑わせてもらえました。
とは言っても、後半の方が面白かったかな。

個人的に好きな回は2話、8話、19話、20話、23話、24話、26(最終)話。
挙げてみたら結構ありますね。
特に20話が破壊力ありすぎ。
全体的に「Kanon」(というか「Key」)を意識していましたよねw

ストーリーはご都合主義感が強いので脳内スルーするのが吉でしょう。
これはそういうアニメじゃないです。
笑うアニメです。


総括して、途中で呼吸困難になるくらい大爆笑した作品でした。
ギャグアニメが好きならばオススメします。
どうでもいいですが、「ローゼンメイデン」とキャストが結構かぶっています。
演技の違いを見てみるのも楽しいですよ。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 41

73.2 2 夫婦で純情なアニメランキング2位
舟を編む(TVアニメ動画)

2016年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (669)
2939人が棚に入れました
三浦しをんさんの小説「舟を編む」が原作。

玄武書房に勤める馬締光也(まじめ・みつや)が、辞書編集部で新しい辞書「大渡海」を編集することになる……というストーリー。定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる学者、徐々に辞書に愛情を持ち始める“チャラ男”など個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。

声優・キャラクター
櫻井孝宏、神谷浩史、坂本真綾、金尾哲夫、麦人、榊原良子、斎藤千和、日笠陽子
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

色盲の人に色という概念を伝えるにはどう説明したらいいと思いますか?

原作は三浦しをんさんの同名小説。2013年には実写映画化もされたそうです。

辞書の編纂者として抜擢された、生真面目かつ※1エキセントリックな印象の馬締光也(苗字はまじめと読む。そのままじゃないか‥!)と、その同僚で、いかにも世渡り上手な軽~い印象の西岡正志、二人青年を中心に描くお仕事の物語の様です。

耳に心地良い言葉と言うのは簡潔な表現である事が多いもの。アニメとか映画を見ている時に、台詞を聞き逃したり、見逃したりする時、そんな場面には必ずと言って良いほど、独白や会話の中に耳慣れない表現や珍しい単語が含まれるものです。

複雑に入り組んだ言葉の連なりにはそれを口にする人の個性や心情が如実に表れ、時として人物描写をより精彩のあるものとして際立たせますが、一方で不明瞭な表現と取られてしまう可能性を多分に含んでおり、視聴者にとっては優しく無い表現とも言えます。比べるべくもありませんが、それよりもずっと酷いのは、簡潔に表現出来る事柄を難解な言葉で表現するという行為で、これは不合理この上無く、またひどく滑稽なものです。

辞書を編纂するという行為は上記の真逆。言葉の持つ本来の意味、精髄をいかに簡潔な言葉で短くまとめるかに重点が置かれた作業と言えます。

誰が読んでも理解出来る文章を作るというのは簡単な様で難しいもので、誰々だったらどう解釈するのかな?とか、子供だったらどう思うのかな?とか‥、出来得る限り他者との隔てを無くす必要があります。自身を他者に投影するのではなく、他者を自身に投影しなければなりません。独り善がりの表現は禁物なのです。

ブリキ男は過去に知人から「※2色盲の人に色という概念を伝えるにはどう説明したらいいと思う?」と質問された事がありますが、難しい質問だなぁと思った後、ちょっと想像力を働かせて、色盲の人になったつもりで考えてみる事にしました。すると自然と視点は変わり、色という概念を形状や濃淡などの視覚的な認識の一種として広義に解釈する事によって、どうにか説明に至る事が出来たのです。皆さんは"色"をどういう言葉で説明しますか?

作中にて馬締さんが"右"という言葉に与えた定義、これも同様で、"箸を持つ手"や"心臓の無い方"では不十分。左利きの人にも、心臓が右にある人にも、万人に分かる"右"で無くてはなりません。彼の"右"に与えた明瞭な表現、お見事でした。本編にてご確認下され。
{netabare}
馬締さんの"右"の定義、良く考えたら宇宙空間とか他の天体上(系外惑星とか自転していない星とか)では通用しませんでした(汗)壁掛け時計を正面から見据えた時の3時(左なら9時)の方向という言葉で端的に表せますが、エレガントではないですね‥まぁ宇宙で"右"の項引く人なんて皆無でしょうが‥(笑)
{/netabare}
2話の感想とあれこれ
{netabare}
「大渡海」編纂の志、とても崇高なものですが‥優れた辞書があっても言葉の海をすいすいと渡れるのはその辞書を持っている人に限る‥。値段張りそうだし‥。今ではオンライン辞書もかなり役立つし、こういう辞書手に取る人は限られるのかも‥。タウンページの配布とか毎年いらないから、5~6年に1回でもいいから、税金使って各家庭に一冊ずつ国語辞典の配布して欲しいとか思ったりしました。

ちなみに私が今良く使っている国語辞典は「明鏡国語辞典[携帯版]」。2003年出版の定価3000円のやつですが、今だったら中古で何と200~300円程度で手に入る! 古いからってあなどれない、中々のスグレモノなのでオススメです。常にネットにアクセス出来る環境をもっていないので、割と重宝しています。

本はあれこれ読んでいるけど人付き合いの下手な私は、馬締さんに他人とは思えない様な親近感を抱きました。見守っていきたいと思います。
{/netabare}
3話の感想
{netabare}
どんな男だって、夜ベランダで突然女性と出くわしたらびっくりするだろうと思いますが、朝玄関先で会ってもあからさまにたじろぐとは、馬締さん、どういう学園生活を送っていたのだろう? ちょっと気になりました。何というか、好きな子にばったりと出くわした時の高校生並みの反応‥。

作中で描かれた様な一目惚れを推奨する描写は、私的には手放しでは賛同はしかねます。周囲の人達も馬締さんの恋愛に関して全肯定で、当然の様に応援するし‥。なんかサザエさんとか、ちびまる子ちゃんとか、大衆向けアニメで描かれがちな本質の良く見えない恋愛観を見ている様でした。‥本をたくさん読んでいる人って、人の事を良く観察する癖が付いたり、懐疑的になったりする事が多いから、もうちょっとユニークな価値観を持っているのでは? とか思いました‥。

松本先生の辞書編纂に対する姿勢。恋愛も含め、視野を広く持つ必要があるという意見には納得‥でも終幕のテロップの恋についての説明が微妙‥。

「人を好きになり、いつまでもそばにいたいと思う気もち」

"いつまでもそばにいたい"って、相手の事がある程度分かってくればそうなると思いますけど、知り合ったばかりの片思いの段階では、話したり、顔を合わせるのが恐かったり、逃げ出したい気持ちになる事だってあると思います。大雑把過ぎる印象を受けました。

わたしが恋の項を書くとしたら「主に異性に対して抱く病的な好意、または独占欲。」とします‥が、こんな冷たい言葉で綴られたら恋という文字が可愛そうですね(汗)
{/netabare}
4話の感想
{netabare}
今回は西岡さんの有能さが発揮されるお話。この人もまた馬締さんに負けじと劣らず仕事熱心な人でした。「大渡海」編纂中止を阻止すべく奔走します。初回の印象からはとても想像出来ない機転と行動力を見せてくれました。適材適所とは正にこの事。誰かに出来ない事を誰かがやる。そうやって上手いこと歯車が噛み合う様に、人間関係が絡み合ったら世の中もっと円滑に回るのに‥。理想的なチームの一端を見た様でした。

でも西岡さんのやった様な会社の利益に関わる独断専行をしたら、現実ではどうなるのだろう? 私には分かりません。作中の人物の台詞にある様に「ただでは済まない」事になったりして‥。

続く馬締さんと香具矢さんのデートのシーン、偶然と、半ば強引に引き合わされた二人ですが、言葉の分かる異性と会話出来るって事は嬉しい事ですよね‥。二人を応援したくなる周りの大人たちの気持ちも何となく分かってきました。(大人の癖に何を今更‥)

そしてお約束の最後のテロップ、今回は「漸進」でした。

「漸進」の「漸」の文字は水の流れを切って徐々に導き通す事を意味し、そこから「だんだん」とか「次第に」という意味に変わっていったそうです。

作中では「立ち止まらず、少しずつ進む事」とありますが、前回の「恋」に続いてかなり淡白な表現という印象‥。導き通すという所が欠けていますが流れる水のイメージは感じられるので無難な解釈なのかも知れません‥。

言葉の意味を端的に表現する事は辞書編纂において重要な事だとは思いますが、要約が過ぎて本質から外れた意味を持たせると、言葉の精度が落ちてしまう気がします。かと言って複雑過ぎると編纂者の主観が強くなってしまう‥馬締さんの様に活字に耽溺した者のみが持つ微妙なバランス感覚が必要な様です。

「鏡の国のアリス」に登場するハンプティ・ダンプティは、言葉に給料を払えば、その言葉に好きな意味を持たせる事が出来ると豪語していますが、そんな話も少しだけ思い出してしまいました。

※:エンディングの語釈は「三省堂国語辞典」を参考にしている様です。シンプルな語釈で有名な辞書だそう‥。わたしは持ってません(笑)
{/netabare}
5話の感想
{netabare}
馬締さんの恋文は試金石の様なものかも知れませんね。受け入れてくれる人がいれば運命の人、そうでなければ縁が無かったという事‥。自分を偽ればいつか必ず綻びが生まれて後々大変な事にならないとも限りませんので、意外と相手の心を確かめる懸命なやり方なのかも(笑)

揺蕩う(たゆたう)‥ゆらゆらとゆれる。説明これだけでいいんでしょうか? これじゃあ"ゆらめく"と同じ気がします(汗)
{/netabare}
6話の感想
{netabare}
一目惚れに近い感じの馬締さんもそうですが、恋文なのか何なのか分からなかったのに、伝わってきた真剣さだけで「好きです」って言ってしまえる香具矢さんにもちょっと軽薄な印象を受けてしまいました‥。現実ではそうやって付き合い始める人も多いかも知れませんが、ちょっとこの物語にそぐわない恋愛の描き方だった様に思います。お互いの事をまだ良く知っているわけでも無いのに、決断が早過ぎて思慮深さに欠ける印象を受けました。

共振‥前回に続いて他の語に簡単に置き換えられてしまう語釈でがっかり。共鳴と置き換えても差異が全く無い表現でした。言葉を扱う物語なのだからこういう細かいところにも気を使って欲しい気がします。
{/netabare}
7話の感想
{netabare}
大渡海の執筆依頼を受けていた小田先生の原稿が届くお話。

小田先生、伝えられた執筆容量を無視している上に、馬締さんにダメ出しされまくり‥。この人、名声とかはあるのかもしれないけれど能力は甚だ疑問でした。それに人に土下座させて喜ぶ人の精神構造って、小中学生とかのいじめっ子並みに幼い気がします。要はどっちが偉いかという事を確認して喜ぶおばか思考‥。視野が狭い人の様です。

元々商売としての意義は見出せない大渡海編纂なんだから、権威は無くとも若い人の中から優秀な人材を探すべきだった気がしないでもないです。最初から足手まといにしかならないこんな人に頼まなきゃいいのに‥とか思ってしまいました。でも現実ではコネとかで物事が進む事は良くあるので、ある意味リアルな描写なのかも知れません‥。

馬締さんと西岡さんコンビの「西行」修正シーンは、この作品ならではの面白さを見出せて大満足でした。文字の海の中で戯れる二人の姿は素敵なおもちゃを与えられて喜ぶ子供の様でした。

「遍歴する人、流れ者」という拡大解釈を追記するに至った動機については、西岡さんの「この意味を載せれば心強く思う人がいる」という情に偏った意見に依存しますが、客観性をそれほど無視した選択ではないとも思われたので好感が持てました。

ただ今回の山場、西岡さんの小田先生へ向けた止めの一言「地球のコアより固く、マグマより熱い」という大仰な表現については蛇足気味で、あまり心に響きませんでした。こういう"してやったり"な展開自体わたしは好きではありませんが、最後の台詞がバトルものにありそうな大見得なのでさらに残念。人物や作風にそぐわない気がしました。
{/netabare}
8話の感想
{netabare}
馬締さんと香具矢さんいつの間にか結婚してる(笑)というのは置いといて。

終幕近くのシーン、辞書編集部に新しく入ってきた岸部さんの"右"の説明が1話の馬締さんのものと同じだった点には作為的なものを感じました。性別の違いも経験の違いもあるし、あれこれ違っても良かろうと思われました‥。違った説明を考えるのが面倒なのと、それに続く西岡さんの「君、辞書向いてるよ」という台詞を言わせたかっただけの様に邪推してしまいました‥。

お約束の終幕の語釈について、今回は"編む"でしたが、「文章・歌などを集めて本にまとめる」との事。編むには当然他の意味もあるので、いくつかある語釈の内の一つだとして、それでもかなり雑な印象を受けました。

先ず文章と歌という語が並列に扱われているのがおかしいのと、用例もそれに合わせて「辞書を-」となっている所に強引さがあります。

"など"と入っているので文章という語と用例の辞書からは離れて、歌と並べて記すなら"物語"とし(他に"思想"とかもあるけれど‥)、文章という語は完成品を指す語なので後に置くのが適切かと思われます。二つ例を挙げると‥

「物語、歌などを集めて本にまとめる。」

「物語、歌などを文章にして本にまとめる。」

となりました。まぁ、いつもながら要約し過ぎな気もしますけれど(汗)
{/netabare}
9話の感想
{netabare}
前回に続き製本までの流れを描くお話。

西岡さんのいたずらは端的に馬締さんの性格を伝えようとした試みかも知れませんが、ラブレターのコピーを無断で読ませるって結構ヒドイ気が‥。西岡さんだからしょうがないんですが(笑)

松本先生の"言葉を大事にする"の説明シーン、内容そのものはなるほどと思わせるものでしたが、先の恋文の話の続きとしてみると、流れが間逆の方向に進んでいる様で若干の違和感がありました。馬締さんは例の恋文の中で言葉を大事にしていたのだろうかと‥。

後半、あけぼの製紙の宮本さんが岸辺さんをデートに誘うお話と予期せぬトラブルのお話がありましたが、ドラマ部分はやはり、毎度の取って付けた感があり馴染めませんでした。後者については編纂作業にPCを導入していれば回避出来たかも知れない問題なので、辞書編集部の頭の固さに閉口(汗)作業効率も格段に上がるでしょうに何故そうしないんでしょう‥理由は不明。

文章について、専門書など特定の読者層を想定して編まれた本と違って、辞書やこのレビューの様に、不特定の読者に向けた文章というのは平易な文体を心掛ける事は元より、多くの人にストレス無く読んでもらえるよう、専門用語、難解な表現は極力避けて綴られねばなりません。かと言って平た過ぎる文章には面白みが無いし、情報の詰まった文章というのは面白いもの。やはりバランスが肝要‥。

万人に理解されうる文章にする為には語彙を限定せねばならず、そうすると必然的に表現の幅が狭まり、大まかな意味は伝わっても精密さの欠ける曖昧な文章となってしまいます。逆に馬締さんの恋文の様に知力を総動員して綴った文章では理解が困難になる可能性が生じます。

言葉は生き物と作中にありましたが、その生き物を使って生き物である人間に意志を伝えるという難しさ、今もまたひしひしと感じるブリキ男なのでした。
{/netabare}
10話の感想
{netabare}
大渡海に"血潮"が抜けていたので再チェックというお話。

これまでのお話で既に語られた、未だに用例カードの集積をデータベースとして利用しているという設定にも驚きましたが、今回の24万語の手作業によるチェック作業もかなりきつそうでした。作業量もさる事ながらヒューマンエラーによる問題が次々と出そう‥。時代設定が現代であるという事も相まってPCを利用せずに行う人員を動員しての力技にはやはり前時代的な印象がありました。

日本では辞書などの手書きデータの電子化は80年代あたりから着々と進んでおり、1985年三修社によって発売された日本最初のCD-ROMコンテンツ「最新科学技術用語辞典」を皮切りに、翌々年1987年には「広辞苑第三版CD-ROM版」が発売されていたとの事。当時富士通のワープロ専用機(価格が200万円位もしたらしい)のソフトとして利用可能だったそうです。

現場の事など何も知らないわたしとしては、上記の流れからすると電子化作業は現在ではとっくに完了している様にも思えてしまいますが、実際の所はどうなんでしょう? 近い未来に紙媒体の印刷物自体が無くなる事など、まずあり得ませんが、作業効率の向上や生産コストの削減という観点からすれば、電子化は必然の成り行きとも言えるので、今回の様な時代錯誤とも言える非効率なやり方にはどうしても疑問を抱いてしまいました。

終幕の語釈については特に思う所が無いので今回もはしょります。
{/netabare}
11話の感想
{netabare}
後半の松本先生の死、「大渡海」初版刊行のお話はエピローグ扱いと受け取り、私は前半の松本先生の家の縁側のシーン、延いては荒木さんと真締さんが駅のホームで言葉を交わすシーンをこの作品の終幕と受け止めました。

松本先生の話によれば、日本では辞書編纂に公金が使われた例は皆無との事、それゆえ権威付けや支配の道具として使われる事も無いという‥。以前私はこのレビューで"タウンページの代わりに辞書を配って欲しい"と考え無しに綴ってしまった事がありましたが、いつもながらに浅知恵でした。

日本では一般的な書に関しては、人権侵害や著作権の侵害による出版の差し止めを除き、検閲が禁止されているため、法制度上の発禁は原則として存在しないというのが建前だそうですが、菊タブーだの鶴タブーだのという、いくつかの言論の禁忌に当たるものも確かに存在し、それらを避けなければならない暗黙の了解もある様です。報道についてはその傾向が特に顕著だそうな‥。責任の所在はマスコミ自体にあるそうですが、暴力的なものも含め様々な圧力が掛かる中で公正な記事を書くというのも難しい事なのだと推察されます。

言葉によって綴られる文章の内容については言うまでもありませんが、言葉そのものにまでその様な規制が掛かってしまうと、さらに窮屈この上ない社会になってしまいそうですね‥。松本先生の懸念はもっともな事だと思いました。

「大渡海」出版を待たずして逝ってしまった松本先生でしたが、生前に自分の仕事を引き継いでくれる荒木さん、真締さん、西岡さんを始めとする何人もの人たちと出会えた事は幸運であったと思います。「循環する命の営みほど我々にとって励みになるものはありません。」と話した松本先生は、辞書作りには完成が無い事を誰よりも深く理解してました。世には辞書編纂に限らず様々な未完成品が存在しますが、個人の死により永遠に未完となるものもあれば、引き継がれ完成に至るものもあります。松本先生は引継ぎ先を、命のバトンを渡すべき相手を見つけ、心安らかに息を引き取っていった事でしょう。結果よりも過程に意味があると常々考える私はそう信じます。

人の命もまた、廃れ編み直される辞書の如きに死に生まれ行くもの‥。定まった目的に向かって進む事も時として大事ですが、毎日を悔いなく過ごす様に努める人生の方にこそ真に尊いものがあると改めて教えられたブリキ男なのでした。
{/netabare}

主人公の馬締さんの声を演じるのはサイコパスの槙島聖護役でも有名な櫻井孝宏さん。西岡さん役は、こちらも言わずと知れた人気者、神谷浩史さん。それにしても馬締さんど~りで堂に入った話し方をする訳で‥紙の本とはよほど相性の良い方の様です(笑)朗読とかドラマCDとかの語りが好きな方なら櫻井孝宏さんの淡々とした言葉運びを耳に心地良く感じる事でしょう。

起伏のあるドラマを期待出来る様な作品では無いと思いますが、台詞そのものと落ち着いた作風に魅力を感じました。目に楽しいねこさん作画、丁寧なお料理描写も相まって、最後まで飽きずに視聴する事が出来そうです。

最後まで観終えて、一足飛びで目まぐるしく進む展開には戸惑いを覚える事もありましたが、辞書編纂というお仕事の一端、それに掛ける人々の情熱、真摯さの伝わってくる素晴らしいドラマだったと思います。

アニメのキャラについつい敬称を付けたがるわたしですが、それも極々自然な事と今更ながら確認出来たアニメでもありました。松本朋佑というキャラに対しては"松本先生"と言う呼び方以外は考え付きませんでしたもの‥。本作の落ち着きのある作風を根幹から支える、自ずと敬意を抱きたくなる好人物でした。


※1:奇人、変人と訳される事もあるあまり有り難く無い言葉? 女性名詞"不思議ちゃん"もこれに含まれるらしい。

※2:知人は白と黒しか知覚出来ない全色盲を指していた様でした。

※:"舟を編む"と言う言葉、ちょっと不思議な響きですが、編む様にして作られる舟は実在します。私が知っている限りではアリュート・インディアンの作る伝統的な船"バイダルカ"がそれに当たります。無数のパーツを何本もの紐でしっかりと結わえ付けて作られる、剛性、柔軟性を備えたカヌーで、"バイダルカには間接がある"とまで称されています。

アニメとは全然関係ないけれど、ケネス・ブラウアー著「宇宙船とカヌー」に詳しい描写がありますので、ご興味が湧いた方は是非ご一読を。素晴らしい書です。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 56

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

とっても「ノイタミナ」…。

同名の原作小説があり、そこから実写映画化もされています。が、原作は読んでいませんし映画も観ていません。

良くも悪くもすごく「ノイタミナ」っぽいアニメ作品だと思います。『図書館戦争』や『四畳半神話大系』同様、たぶんノイタミナ枠でしかTVシリーズのアニメ作品として作られることはなさそうな感じです。

でも、ノイタミナは本来そういう枠だと思ってますのでけっこう楽しんで観ていました。CM明けの「辞書コント」も私は好きです(笑)。

あと、作中でやっていた用例採集は楽しそうだと思いました。

ちなみに作中でも紹介された大槻文彦が編纂した「言海」ですが、一応最初は国家プロジェクトで国費が出ていたんですよ。

政府としてのプロジェクトが打ち切りとなりその後、保管されて埃をかぶっていた作成途中の書類を大槻が引き取って仕事を続けて最終的に私費で完成させて出版したという経緯があります。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 45

ようす さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

「言葉は、言葉を紡ぐ人の心は、自由であるべきです。」

三浦しをんによる小説を原作とするアニメ。

実写映画も話題になりましたよね。
(まだ観ていないので、今度観ようと思っています。)

いやー、期待以上に良い作品でした。

最終話は涙が止まらなくて困りました(´;ω;`)

全11話です。


● ストーリー
玄武書房辞書編集部は、
新しい辞書『大渡海(だいとかい)』を作る計画に乗り出していた。

辞書編集部の西岡正志(にしおか まさし)は、
頼りない営業部の馬締光也(まじめ みつや)に出逢った。

彼は、言葉のいろんな意味を瞬時に、真面目に考える青年だった。

馬締を辞書編集部に迎え、
いよいよ辞書作りが本格的に始まった。


辞書を作る、なんて全然知らない世界だから、
新しく知ることばかりでとても引き込まれました^^

地味な作業が多いけれど、
出来事の描き方がうまくて、ドラマのよう。

とても根気のいる作業でもあり、
実際作中では13年以上の時が流れます。

季節が何度も移り変わり…
たくさんの人が関わって情熱を傾け…

そしてようやく1冊の辞書が完成するのです。

特に、『大渡海』の監修を行っている松本先生の生き様が、
私には一番印象深く残りました。


≪ 辞書 ≫

辞書というのは、
言葉の世界への招待状だと思います。

人と人とが分かり合おうとする限り、
この世に言葉は溢れ続ける。

人が自分の想いを伝えることをあきらめない限り、
この世に新たな言葉が生まれ続ける。

人々が言葉の海に溺れてしまわないよう、
陰から支えてくれるのが、辞書の役目。

自分の知らない言葉と出会える無限の可能性が、
そこには隠れているのですね。


愛用していた電子辞書が壊れてしまってからは、
私も紙の辞書を愛用しています。

本でも漫画でもそうだけど、
紙に触れるのが好きなのです(*´ω`*)

電子辞書だと、
調べたい言葉の意味の正解を探すことだけに集中してしまいますが、

紙の辞書だと、
すべての意味がすぐに目に飛び込んでくるから、わかりやすい。

そしてちょっと視線をずらすと、
すぐそばに違う言葉がたくさん並んでいて、
「こんな言葉もあるんだ。」という新しい発見もある。

この作品を観れば、
きっと辞書に触れたくなること間違いなしですよ^^


≪ 言葉 ≫

毎回タイトルには
ひとつの言葉がつけられています。

その意味は、EDのイントロで紹介されるのですが、
それが素敵…!

なんと話や登場人物の心情を的確に表現した言葉なのか…!としびれる!

するすると、ゆったりと流れていくストーリーも心地よいですが、

何より言葉に惹きつけられる。言葉に魅せられる。
言葉の魅力におぼれてしまいます。


● 音楽
【 OP「潮風」/ 岡崎体育 】

OPはアップテンポで楽しい気分になる曲ですね♪

どちらかというと静かである作品の雰囲気とは正反対な気もしますが、
まったく違和感はありません。

むしろ好きです^^


【 ED「I&I」/ Leola 】

こちらはしっとりとしたラブソング。

作品の雰囲気から考えると、
この曲はぴったり♪

歌詞は香具矢(かぐや)さんの気持ちなのかしら…と
思うと、よりうっとり(*´ω`)


● まとめ
辞書作りに情熱を注ぐ人たちのお話。

穏やかで優しくて、
激しくてアツくて、
しんどくて終わりがなくて、
沈んでも沈んでも底が見えなくて。

言葉の海の魅力に魅せられました。

とても好きな作品となりました^^

投稿 : 2024/11/09
♥ : 41

71.3 3 夫婦で純情なアニメランキング3位
トニカクカワイイ(TVアニメ動画)

2020年秋アニメ
★★★★☆ 3.4 (358)
1249人が棚に入れました
謎の美少女・司に運命の一目惚れをした少年・由崎星空(ナサ)。ナサの決死の告白に、彼女の返事は「結婚してくれたら、付き合ってあげる」!?ナサと司の愛に満ち溢れた、カワイイ&尊い新婚生活が始まる!!

声優・キャラクター
鬼頭明里、榎木淳弥、芹澤優、上坂すみれ、小原好美

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

30分耐久、ハヤテ2世による新婚さんいらっしゃーい

ラブラブカップルの新婚生活を見せつけられる耐久動画です。
30分耐久できるかどうか、我々は試されています。

これは、作業中にながら見するくらいがちょうどいい。

ハヤテのごとくの作者で、キャラデザはもちろん、
キャラクターのふとした仕草(特にドヤ顔とかポーズとか完全に一緒)やセリフ言い回し、世界観設定など
基本的にハヤテのごとくの特徴を踏襲している。
まるでヒロインと結ばれた後のハヤテのごとくのようです。

この作者、主人公が甘い言葉垂れ流し放題のくせに都合がいい時だけ鈍感になる自動運転ならぬ自動女たらし装置を備えており、肝心なところで計ったかのように鈍くなるので、進みそうで進まないのが特徴。そしてハイスペックなのに異常なまでに欲がないし恋愛運以外の運が壊滅的に悪い。
どう見てもナサはハヤテの生まれ変わりでしょ。ハヤテのごとくでできなかった結ばれた後のイチャイチャを描きたかったんでしょうかね?

今回、最初からヒロインと結ばれているので、2期あるとしてもハヤテのような誰とくっつくんかいい加減、はっきりせいってことにはならんと思うが、仮にも結婚しているのにこの進展の遅さはなんなんだろう。

良いところも悪いところもハヤテのごとくそのままだ。
そこが逆に、安心して見ていられるとも言える。

まるでかぐや姫の心情を唄っているかのようなちょっと神秘的な印象のあるOP曲は結構好きです。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 46
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

約束の花をかざりそう

原作未読


第2話で切ろうと思ってました。

命の恩人♀がトニカクカワイイので勢いで♂が告ったら結婚を条件にOKされて始まるファンタジー。
で同居を始めたら♂はヤラシイ想像しながらも手を出せないテンプレ甲斐性ナシさん。♀はわりと普通。クールまでいかないけれど冷静でそしてたまにデレる。そんな二人のイチャコラが第2話でした。

序盤の分岐↓

A. くだらん アホくさ
⇒はじめのくっつき方があり得ないので、延々とイチャコラ見せられるのしんどい

B. トニカクカワイイ
⇒女の子かわいいからまあいっか… 

自分は9割がたAに傾いてそのまま戻ってこないのが普通なんですが、なんやかんや踏み止まって完走です。ちなみにBかわいいから留まったということでもありません。


少年サンデー連載の漫画が原作とのこと。途中カミナリを落とす宇宙人の女の子の話題に触れて同誌連載の先輩漫画家への敬意を払っておりました。
だがちょっと待ってほしい。ラムちゃんネタに至るまでに

{netabare}「言葉の意味はわからんがとにかくすごい自信だ」と言ってみたり
仙道くんがチームに落ち着きを取り戻していたり
「眠れない午前2時 苛立ちがドアをたたく」とTMってみたり{/netabare}

これでもかと集英社でしたけど大丈夫? 微妙に面白かったのは確かだしまあいっか。いろいろパロディしてるところでなんとなくどんな話か見えてきて落ち着いた感じ。

{netabare}第3話銭湯回。あー風呂なし六畳一間の下宿ですね。そして近くに銭湯があると。二人で行く横丁の風呂屋ってことですかい。


 {netabare}『神田川』じゃん{/netabare}

そこからの連想ゲームで

 {netabare} かぐや姫じゃん{/netabare}


第1話月がきれいな夜だったし、第5話で鍵ノ寺邸で展示している月の石を見つけたり、決定的なのは{netabare}第8話。不老不死がからむ切ない系の物語確定しましたね。{/netabare}{/netabare}

起承転結の起でつまずき、承で持ち直し、転はとても良い感じ。結は…な全12話でした。わかってた人もそうでない人も“転”は楽しめたんじゃないでしょうかね。



※ネタバレ所感

■低体温三姉妹(余談)

極めてニッチなネタです。

有栖川要(CV芹澤優):銭湯屋の娘で妹のほう
鍵ノ寺千歳(CV小原好美):司の妹的な立ち位置
シャーロット(CV大和田仁美):鍵ノ寺家のメガネじゃないほうのメイド

この三名のCVさんがツボでした。理由は?

{netabare}上から『3D彼女』の一色いろは役、『月がきれい』の水野茜役、『はねバド!』の羽咲綾乃役。と体温の低さが心地よいヒロインを演じられてたのが印象的な演者さん。
揃いも揃った感がすごいあります。そして本作ではシャーロットを除きテンション高めのかしまし娘ポジションというのが共通項でしょうか。{/netabare}


■前頭葉

若さを保つ秘訣は前頭葉が硬くならないように好奇心を持ち続けること。それしないと偏屈な年寄り一直線なそうな。そして前頭葉を柔らかく保つために好奇心を持つことの他にもう一つ、恋をするといいらしいです。通ってた予備校の先生がそんなこと言ってました。

司の印象って…
{netabare}不老長寿設定が見えてきてから思ったこと。

 1000年以上生きてたら照れも恥じらいもどっかに飛んでいってるのでは?

当初は夫婦イチャコラを見せたいがためのご都合に見えたわけです。だがよくよく観察していると、ナサくんに惚れてるし、ゲームや竹下通りやら好奇心を保ち続けているのがわかります。奈良で若干感傷に浸ってはいたものの京都の寺社巡りに興味を示さず、過去より未来志向の人ですね。{/netabare}

{netabare}恋も含めて何度も同じようなことやってきてアーカイブも溜まってきてるに違いない存在なのに。便宜上ざっと60年の人生×25回分で1500年也。その25回目なうかもしれないところで司さんアレですから、自分を顧みて勇気をもらいますし戒めにもなります。
なぜかしらタイムリープするあの人や死に戻るあの人に抱くような謎の感動を覚えてしまった私。{/netabare}


“転”が良かっただけに{netabare}(結論先送りの意味で){/netabare}残念な最終回だったかも。
気になるけど続編あって観るかどうかは微妙です。



視聴時期:2020年10月~12月 リアタイ   

------


2020.12.21 初稿
2021.09.29 修正

投稿 : 2024/11/09
♥ : 45
ネタバレ

えりりん908 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

トニカクカワイイだけじゃないって、期待してたんですけど・・・

タイトルとか、番組宣伝のCMとか、
ひたすら甘々なのかな~?
そんな甘ったるい日常系、もういいかなあって思ってたんですけど・・・

これは、絶対、そんなんじゃないハズって観始めました。

ナサ君も変なキャラだけど、
それ以上に、ツカサちゃんが、尋常じゃないです。

{netabare}交通事故からのナサ君のかばい方!
トラックに跳ねられそうになったナサ君とトラックの間に跳び込んで、自分の身体をクッションにして、
それでもナサ君は大怪我してたのに、
ツカサちゃん、出血はしてるのだけど大した怪我もしていない感じだったなんて。

それで、名前も知らない初対面の男の子に、
いきなり「付き合ってください!」って言われて、
どうするか?って思う間もなく即答で
「結婚してくれるなら付き合ってもいいよ」って、
その場ですぐに結婚の約束をさせて、
それなのにそのまま消えちゃったと思ったら、
3年後、忽然とナサ君の前に現れて来て、
それで、結婚届けの用紙まで持ってきていて、
3年前の結婚の口約束を守らせようとしたりとか。

甘~い新婚生活はただの偽装で、
この先、
絶対なんかあるとしか思えない、
この不穏な感じ!

凄く、いいです!

それで、すごいオチ、期待していたんです。
これで中途半端に甘々のまま終わっちゃうんだったら、
凄く変な話でしょ?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
でも、8話まで観てきて、
「あ。これ仙狐さんだ…」
って思ってしまいました。

岡田磨里さんの「さよ朝」みたいな、壮大な愛と別れと孤独の物語を描くには、
残り数話では、圧倒的に時間が足りないし、
何よりも壮大なファンタジーに仕上げるだけの構成になってないから。

これは、そんな壮大な物語に仕立てるずっと手前の、
若い(本当は一人は若くないですw)二人の、
微笑ましくて慎ましい、取るに足らないささやかなエピソードをつないでいって、
仙狐さんと同じように物語の核心には触れないままで、
つまりはツカサちゃんの「悠久の時の物語」は
設定上の味付けってだけで、
作品の中では使われないまま、
終わってしまうんだろうなあって、
そんな感じがしてしまいました。

でもまあ、第7話で、
ナサ君が、過去の著名な数学者の定理なんかを持ち出して語る、
めちゃめちゃロジカルな、
「愛を一生かけて証明する」ってセリフ。
これが、すごく格好良かったから、
まあいいかなあ・・・って、
そんな気持ちになって、観続けてはいました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして結局、
最終回まで、
甘々のまま、
お話の方は、
終わってしまいました。
そういう作風の原作者さんなのだと教えて貰ったりして、
「そんなものかなー」と考えてはいるんですけど、
やっぱり元々の設定は、ちゃんと生かしてほしかったって思います。

1,000年も、16歳のまま生きてきた女性なら、
着物の着付けが上手とか、料理が上手とか、
そんなことだけじゃなくて、
人生経験をすごくすごくたくさん積み重ねて来ている訳で、
実際に16年しか生きていない男の子なんてまるで幼な過ぎて、
同じ目線で接して、照れたり恥ずかしがったりするのは、
すごく難しいと思うんです。

そして、その男の子と結婚すると決めたにしても、
その結婚相手が、いつか確実に自分を置いて先立つ人だと解っているのに、
なんで気楽に新婚生活を送れるのか、理解できません。

この原作者さんの作品づくりの方向性では、
無さそうなことだけど、
ナサ君が理系に特化したすごく優秀な頭脳を持つ、という設定を生かして、
二人の存在するかたちの違いという、深い溝を埋めてくれるような、
たとえば、
普通の人間を不老不死にできるようにするとか、
結婚した二人なら、夫婦共白髪を実現できるようにするとかいった、
大発明を成し遂げてしまう、
なんていうことを期待してしまったのは、
やっぱり間違い、なんでしょうか?
間違いなんでしょうね・・・{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 41
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