大惨事おすすめアニメランキング 5

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの大惨事成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月22日の時点で一番の大惨事おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

86.4 1 大惨事アニメランキング1位
東京マグニチュード8.0(TVアニメ動画)

2009年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (2698)
13861人が棚に入れました
中学1年生の小野沢未来は弟の悠貴のお守りとして一緒に東京のお台場へロボット展を見に来ていた。その最中、東京にM8.0の海溝型大地震が発生、連絡橋は崩壊し、東京タワーが倒壊するなど、東京は大きな被害を受ける。
未来と悠貴はお台場で出会ったバイク便ライダー日下部真理の力を借りて世田谷の自宅へ帰ろうとする。

声優・キャラクター
花村怜美、小林由美子、甲斐田裕子、喜多村英梨、豊崎愛生、高平成美、遠藤綾、沢城みゆき、野中藍、中博史、井上喜久子、滝川クリステル

ITTON さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

ラストですべての伏線が回収された!

物語は東京をおそった震災で帰宅困難者となったある中学生の姉と小学生の弟が自宅を目指して歩く、とゆう単純明快な内容のはずなのですが随所で起こるイベントがこの話をとてもリアルで深い物にしています。

地震が起きる前は漠然と過ぎ去る日々、そして家族関係に常に苛立っているような姉でしたが帰路での体験を通じて大きく大人の階段への一歩を踏み出し家族の絆を硬いモノにしていました。

ですが、震災で家族愛や成長をテーマにした作品というだけならラストシーンで号泣することはなかったと思います。
この作品にはそういった要素+αがありました。

物語の途中からある変化が起こり何度も「何かおかしいな」と思う場面があります、ですが何がおかしいのかその時点では明言されませんでした、そして唯一すべての疑問を払拭することができる展開がこの作品には用意されていました。

この構成術、伏線回収の方法が私にとってのαであり、不意を突かれたように泣かされました。

ヒトが行動を起こすときにココロの支えとなるモノがどれほど重要な役目を果たすのか経験することのできる良作だと思います。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 3
ネタバレ

ひろえっくす さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

クラッシュ症候群の恐ろしさ

{netabare}クラッシュ症候群とは、瓦礫等で長時間圧迫されて、壊死した筋肉から
生まれたカリウム・ミオグロビンなどの毒性物質が、救助による圧迫開放で
血流が再開し、毒性物質が全身に運ばれる症候です。

症状としては、
挫滅組織の体液シフトによる脱水症状や、
腎臓に届いた毒性物質が尿細管を壊死させ、急性腎不全を引き起こし、
最悪な場合、高濃度のカリウムが致死的不整脈を起こし、急性心不全により
死に至る場合もあります。

重症であることが見落とされやすい症状な為、救出当初は比較的元気に見えますが、
突然容態が悪化し亡くなってしまう事があり、
阪神・淡路. 大震災後の調査では372件のクラッシュ症候群の内、
50件もの死亡が確認されています。

◆クラッシュ症候群の簡単な判断
・重量物に2時間以上挟まれている(筋肉壊死の時間的目安)
・挫滅部位がパンパンに腫れたり、点状に出血している
・茶褐色(ワインレッド色)に変色した尿が出る(ミオグロビン尿)
・挟まれた部分の感覚がない(知覚麻痺)
・挟まれた部分が動かない(運動麻痺)

クラッシュ症候群は一刻を争う高度な医療処置が必要ですが、
応急処置としては

・.飲める範囲で大量(1リットル以上)の水を飲ませる
(臓器に悪影響を及ぼす毒性物質の血中濃度を下げる事ができる)

が挙げられます。
また、

・挫滅部位より心臓側へ止血帯法を行い、有害物質の心臓・腎臓到達を防げる

という方法もありますが、
管理態勢が整っている医療現場に対し、
訓練経験の乏しい一般市民が行う止血法では、

★筋肉損傷・細胞の壊死、神経麻痺や損傷・知覚異常などのリスク

が生じる為、注意が必要です。

「日本版救急蘇生ガイドライン」の2005年改訂(G2005)以降は、
止血目的での止血帯法は推奨されていません。
現在、外出血コントロールとしての止血法は、直接圧迫止血法
(清潔な布やガーゼなどを重ねて、傷口に当てて、その上を手で圧迫する方法)
のみが推奨されています。

◆どうしても止血が必要だと判断される場合のポイント
・止血帯は、大腿部もしくは二の腕に
(胴体や首はもちろん不可、脛や前腕部も骨の構造上、有効な緊縛が困難)

・止血帯には幅広(3cm以上)の布を
 (細いと組織挫滅や神経損傷の危険)

・緊縛開始時間を、紛失しない止血帯や体自体にメモ

・1時間以内に、災害拠点病院か透析医へ搬送

・30分に一度は緊縛を4~5分緩め、末梢部分の血流を補うこと

止血帯法は、「命を失うか、縛った部分の手足を失うか」
という究極の選択でもある為、判断が難しい所でもあるようです。

【作品の内容の感想】
リアリティーを追及したとあるので、演出もあまり大袈裟なものはなく、
ドキュメンタリー物のように、淡々とストーリーを追っていく感がありました。

ただ、リアリティーを追及するのなら、弟の死は目の前の事実として描写した方が、
より感情に訴えかけるものがあったのではないかと思います。

弟の死がはっきりとわかるまで、??となっていた為、姉が泣いてるシーンでも
少し共感しづらかったです。

それと、この作品の意義の一つである「地震の恐ろしさ」を伝える為には、
もう少し強い表現も必要なのではないでしょうか。

こう言うと少し語弊があるかもしれませんが、主な登場人物で死んだのは弟君だけで、
それもわかりづらい表現で、悲劇の描き方がちょっと中途半端な気がしました。

最後のプレゼントのシーンは感動的で泣ける話ではありましたが、
地震の恐ろしさや悲惨さを訴える為には、火垂るの墓のような、
誰も報われないような悲劇的な描写も必要ではないのかと思います。

この作品でクラッシュ症候群というものを知り、調べるきっかけとなりましたが、
せっかく膨大な量のリサーチを行ったのならば、上記のような地震に関わる知識の説明なんかも
もう少し入れてよかったのではないでしょうか。

あとは、西川貴則さんの主題歌はカッコいいけど、この作品の世界観には合ってないような、
人物画も、電脳コイルのような作風でしたが、これもリアリティを伝える上では
不適切な気がしました。

ただもう一度見れば評価が変わるかもしれません。

アニメの作品としては、ちょっと厳しめの評価になってしまいましたが、{/netabare}
地震というものを考えさせる意味ではとても意義のある作品だったと思います。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 7
ネタバレ

みかみ(みみかき) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

地震と津波。

<みじかい感想>

 とてもよかった。何よりも、わたしにとってはなまなましい作品だった。

<みじかくない感想>

■わたしにとってのなまなましさ

 何のヒネりもない感想だけれども、観ていて涙がでた。わたしはだいぶんスレてしまっている人間なので、あまり泣くことはないのだけれども、泣いてしまった。
 なぜ泣いてしまうのか。
 そういうことの理由を問うことはヤボでもあるのだけれども、その理由はおそらくわたしにとっては、三つぐらいあったのだと思う。

 一つ目は、震災直後のタイミングにみたせいだ。非常になまなましかった。これは2011年だからこそ、よくわかった。死者数がどんどんと増えていく報道や、自衛隊の動きなどが、まさに数ヶ月前の三月の記憶がそのままだった。
 そして、帰宅ルートであるお台場→芝公園・麻布十番・恵比寿→三軒茶屋のルートはわたしにとって通勤・通学・居住経験のあるところだ。いずれの場所もなじみ深いゆえに、それが崩壊したシーンというのは感じるものがあった。
 加えて、この中に登場する姉弟は、幼かった頃の、姉と自分の関係に非常に似ていた。姉はまさに、ああいう未来ちゃんにそっくりな性格の人で、小さい頃の自分は、悠貴くんをもう少し残念にしたような子供だった。大筋の性格はすごく似ていた。この姉弟の描写は実際にモデルがいるんじゃなかろうか、と思った。姉がああいう性格だと、弟は姉の影響をうけて、自分の欲求を外に出すのを我慢する子になりがち…だというのがあるのかもなあ、などと思ってみていた。

 そういうわけで、とても、この話がフィクションだとは思えず、すべてがわたしにとっては極めてなまなましかった。
 私は、この作品にとっての理想的な観客だったのかもしれない。


■本作のうそっぽいところ

{netabare} なお、実際とそぐわないところ、ということでは帰宅に時間かかりすぎではないか、とは思った。あの道のりを実際に知っている身としては…大人の足だけならば物語上の10分の1以下の時間で帰れる。子供の足でも、五分の1ぐらいの時間で帰れるのではないだろうか…。
 いかに道がねじまがっているとは言え、そんなには遠くない。これは、古屋兎丸の『彼女を守る51の方法』についても言えるのだけれども、六本木から渋谷までの道のりって、実際にあるくと1時間ぐらいしかかからないはずなんだけどね…{/netabare}
 

投稿 : 2024/12/21
♥ : 34

63.1 2 大惨事アニメランキング2位
COPPELION コッペリオン(TVアニメ動画)

2013年秋アニメ
★★★★☆ 3.2 (772)
3789人が棚に入れました
西暦2036年、「コッペリオン」と呼ばれる遺伝子操作により生まれた3人の女子高生が無人の東京を歩いていた。彼女達は、お台場原子力発電所で起きたメルトダウンにより、死の街と化した東京から生存者を救援する自衛隊の特殊部隊だった。捜索をする彼女達に、突如銃声が鳴る。そして・・・残留放射能あふれる無人の廃墟であり、緑あふれる野生の王国でもある、異界と化した東京都内が主な舞台となっている。
ネタバレ

素塔 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

天使と人形

原発のメルトダウンにより死都と化した東京。
クローン技術と遺伝子操作で生み出された、放射能への耐性を備える
「コッペリオン」と呼ばれる、JKたちの特殊部隊。
汚染下に取り残され、死と隣り合わせの極限状況を生きる人々との出会い・・・

こんな概要を聞かされれば、いかにもクールかつダークな
ディストピア風世界観が想像されるだろうし、あるいは
科学文明への懐疑をテーマにした社会派路線だって期待されるだろう。

ところが、いざ蓋を開けてみて現れたのは、
テーマ性がせいぜい1割で残り9割はエンタメ志向、
アクション・バトル主体の、異能も兵器も取り混ぜたサバイバル活劇。
しかも並行してめっぽう熱い、情味あふれるヒューマンドラマが展開される。
ストーリー、キャラクター、さらに作品全体を包む空気はどことなく懐かしい、
「昭和的」とでも呼べそうなもの。一言でいえば、すごく人間臭い。

素人目には充分過ぎるほどの内実が備わって見えるにもかかわらず、
本作の評価が顕著に低い理由はおそらく、期待外れ、ということではないだろうか。
つまり、題材から予期されるものと実際の内容との乖離。
とめどなく湧き上がる「何でこうなった?」感に応えるべく
以下、しばし小考に入るので、興味のある方のみどうぞ。


{netabare}
原作コミック4巻の巻頭に、作者のこんなコメントが載せられている。

「どんな最悪の情況でも道はきっとあるはず。
 コッペリオンのキャラクターに毎回はげまされながら描いてます。」

うん成程、作者本人がかなり熱い人なのだということがわかる。
キャラクターへの深い思い入れが先行する物語だと見れば
ほぼ納得がいくのだが、作者をこれだけ引っ張るキャラクターというものが
具体的にどんなものかは興味が湧くところ。

兵士、ロボット、産婆・・・やたらに多種多様なキャラが目白押しのなか、
頭抜けて凄いのは何といっても本作の主役、成瀬荊(いばら)。
のっけからCV戸松遥さんのなんちゃって関西弁に度肝を抜かれるが、
そんなの気にしてたら、このぶっ飛んだ激アツキャラにはついていかれない。
例えば、こんなセリフ。

「科学者なら胸張ってください! みんなが欲しがった、
 だから技術者が頑張ってその需要にこたえた、何も間違ってない。
 私は科学が好きです。だって、私のお母さんやもん。」

お母さんって・・・まさに昭和の科学観を地で行くオプティミズム。
彼女もまた「心優しい科学の子」、つまり鉄腕アトムの妹になるわけだ。
さらにこんなことも言う、

「この街であの事故がなければ、うちらはこの世に生まれてなかった。
 だから、こんな所でもうちらには縁のある土地なんです。
 もしかしたらここが私のふるさとなのかも・・・」

驚くことに、彼女は原発事故を自身の存在の根拠として受け容れ、
廃墟となった旧首都を、自らを世界と結びつけるよすがとしているようなのだ。
このセリフこそが多分、本作が選び取った独自の方向性を示すものなのだろう。



最先端の生命工学によって生み出されたコッペリオン。
ともに科学の精髄として、原子力技術ともパラレルな関係にあり、
しかもその存在が原発事故に直接由来しているという紛れもない事実。
ここから、彼女たちの葛藤と苦悩に焦点を当てた一つの心理劇が容易に構想できる。
ところが、作者が描きたかったのはそれとは別の方向性だったのだ。

生存者の救出という、唯一の存在理由となる任務にすべてを賭け、
救出を拒まれれば涙を流して懇願するほどの、異常な情熱を傾ける。
過酷なミッションを屈託もなく「修学旅行」と言ってのけ、
決して人間を憎まず、科学を告発せず、運命を呪わず、
ただ信じ、一切を受け容れてひたすら前に進もうとする荊の鬼気迫る姿。
背負わされた残酷な宿命とか、それへの抵抗とかを定石どおりに描くのが
むしろ平凡なものに思えてくるほどの、比類のないユニークな造型だ。

撤退作戦の捨て石にされた第一師団の兵士たちの怨念。
反逆のコッペリオン、小津姉妹を駆り立ててやまない人間への憎悪。
行く手に立ちはだかる、世界に対する絶望の念が荊の信念と激突する。
バトル展開の必然性は、絶望との闘いという本作の主題からの自然な帰結である。
そして、荊の執念が彼らの中に人間性の回復、あるいは覚醒を生じさせる結果、
救出というミッションは、心の「救済」へと変化していく。

人間によって造られ、使い捨てられるだけの「人形」であるはずだった
その彼女が、人間性の極致とも言うべきものを具現し、
あるいは人間をも凌駕する「天使」へと変容を遂げる。
そのアイロニーこそが、この物語のエッセンスなのではないだろうか。



終盤にかけ、コッペリオンたちの悲劇的な宿命が徐々に明かされてゆく。
それは「生命」への、「生きる」ということへの省察を私たちに促すものだ。

ラストで描かれる、「死」が支配する廃墟の中での新たな生命の誕生。
もちろん、本作が月並な感動エンドで終わるはずもなく、
そこにコッペリオンたちの悲劇が重ねあわされ、深い余韻が醸し出される。
以下のセリフは何かに抵触するらしくミュートされているが、別サイトから補った。

「コッペリオンの体細胞には抗放射線能力が備わっているのですが、
 生殖細胞にはそれが機能せずやむなく子宮に処置を施しました。つまり・・・
 あの子らは子供を産めないのです。」

コッペリオンたちから奪われているものは、実はそれだけではない。
ある日突然、全機能が停止して最期を迎えるという残酷な運命が彼らを待っている。
その突然死がいつ来るかは誰にも予測できない。
つまり彼らの未来は最初から与えられておらず、予め失われている。
だからこそ、荊のようにすべてをこの「今」に集約して生きるしかできないのだ。

「わたし、そういう難しいことがよく分からないんです。
 でも、分かっていることが一つあります。
 それは、今日も空がきれいやってことです。
 だから別に悲しくありません。」

夕空を仰ぎ見ながら荊が、実にさばさばとした調子で語った言葉だ。

今日も空を美しいと感じていられる―、ただそれだけのことが
世界の中にあること、生きていることの最もシンプルな感覚なのかも知れない。
そんなことを考えずにはいられない気持ちにさせられる。

あるいは逆に、ある人の死とは、その人が日々見ていた空と
ずっと慣れ親しんできたその人の周囲の世界が、すべて消え去ってしまうという
取り返しのつかない喪失を意味しているのだと、
そんな厳然たる事実に、あらためて気づかされるのだ。
{/netabare}


キャラクターの一人一人を愛情をこめて丁寧に描こうとする
作者の愛着が、ストーリー進行を停滞させてしまうという皮肉。
前半の4話までが第一部、後半が第二部と、
全13話が二部構成になっている本作の視聴では、
テンポが遅く、退屈に感じられる第一部を乗り切れるかが鍵になりそうだ。

個人的な評価として、キャラクターの他にもう一個の満点を作画、
とりわけ驚くべき創意に富んだ背景美術に贈りたい。
全編を通して舞台となる廃墟の景観を細密に、
さらにテクスチュア風の処理を加えて大胆に再現し、
画面には虹のグラデーションのような滲みやぼかしを用いて
ユニークな色彩処理を施すことにより、リアルでありながら同時に幻想的な
変質した異空間を見事に表現している。

荊たちのプロポーションのデフォルメも凄い。
異様に細長く引き伸ばされた、エル・グレコの宗教画の人物のような姿。
それも、背景を流れ続ける雲と、吹き続ける風の動きが映像に通わせる
野性味を帯びた生気の中で、まるで原野に揺らぎ立つ陽炎のように見え、
いつしかしっくりと風景に馴染んで来る。今もなおどこかで
彼女たちの「修学旅行」が続けられている、そんな気さえしてきそうだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

制作が発表されたのは2010年の秋。
放送開始は2013年10月。この間にあの大震災と事故とが発生している。
このあたりの経緯についてはよく知られているので詳述しないが、
本作の評価の低さに影響を与えていることは間違いないと思われる。
架空の「題材」であったものが、現実の「問題」に変換される、
つまり、現実がフィクションを追い抜いてしまうような事態が生じた時、
本作の内容があまりにも牧歌的なものに感じられるのは自然だろう。

目下のコロナ・パンデミックを引き合いに出すまでもなく、
現実感覚の変容によって、これまで以上にストーリーのリアリティーと
踏み込んだ強烈なメッセージ性とがフィクションに要求される時代になった。
世界についての私たちの常識のパラダイムが大きな転換を余儀なくされる、
そのような混沌の時代に、すでに私たちは足を踏み入れている。

(初投稿 : 2021/07/05)

投稿 : 2024/12/21
♥ : 8

けみかけ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

【今となってはアニメ化は叶わないのか?】

2011年1月にアニメ化が発表されたSF漫画

内容は
【近未来の東京が大震災に見舞われ、お台場に建てられた原子力発電所がメルトダウンを起こして東京が死の街と化してしまう】
というもの


そう、まさにこのアニメ化発表の後、日本は前代未聞の原発事故に見舞われることとなってしまう
被災地の現状なども考慮され、アニメ化の話は一旦白紙に戻されてしまったようです・・・


この作品の魅力は、放射能抗体を生まれ持つよう遺伝子操作された女子高生たちが、自分達の出生に悩みながらも死の街に隠された謎を解き明かしていく
という人の命や都市の在り方を考えさせられるところにある


さらに原作では荒々しいタッチながらも非常に密度の高い絵柄で描かれた【廃墟と化した東京】たちをアニメではいったいどうやって表現するのか?などとても楽しみでありました


今更アニメ化は無理なのだろうか・・・不謹慎を覚悟の上で、「残念で仕方ない」と言いたいです

投稿 : 2024/12/21
♥ : 12

アニメ記録用垢 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

方向性を間違えてしまった残念な作品

本作は汚染された都市に残された人達を救助する物語で
草木や苔などに覆われた廃墟がとても幽寂閑雅で魅力的で見所です。
これは今まで観たことのない部類の良作では?
と思って観ていたのですが、7話以降に異能力バトルアニメに様変わり。

何故こうなった……と私は落胆の意を隠せません。
元々、汚染された都市で人を救う為に作られたコッペリオン(主人公達)と呼ばれる人造人間という設定はあったものの
汚染物質への耐性と多少の超人的身体能力くらいでした。

それが7話で出て来た、掃除係と呼ばれる主人公達とは別のコッペリオンが急遽出て来て
それも意味のわからない理由で敵側になっており
更には、岩盤を持ち上げたり、電柱を素手で握りつぶしたり
仕舞いには電撃を放ったりします。
どこぞの超電磁砲ですか?とこのデミウルゴス頭が痛くなりました。


敵側に回った理由を説明しますと
コッペリオンは実在する著名人の細胞で作られており
敵の小津姉妹は殺人経歴のある芸能人の細胞で作ったから
頭がおかしい奴等になったとのことですが
何故、頭がおかしいとわかっている奴等を主人公達の救援に向かわせたのでしょうねぇ~

そもそも国家で開発研究して作るのなら、そういったことは回避すべき事案だと思いますし
と言いますか何故に芸能人の細胞を??と理解することができません。
普通に考えれば、身体や頭脳が優れている人達の細胞を使うべきではないでしょうか。


以上理由により序盤4話くらいまで良作評価を下していたものが、急遽駄作評価を付けざるを得ない作品へと変わってしまいました。
アインズ様もええええ!!!!と驚きの声を上げていましたね。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 10

65.0 3 大惨事アニメランキング3位
屍者の帝国(アニメ映画)

2015年10月2日
★★★★☆ 3.7 (301)
1621人が棚に入れました
19世紀末、かつてヴィクター・フランケンシュタイン博士が生み出した、死体に新たな生命を与えて「屍者」として動かす技術が世界に広まり、いまや屍者は労働力や兵力として世界を支えていた。
親友フライデーとの約束のため、自らの手で違法に屍者化を試みたロンドン大学の医学生ジョン・H・ワトソンは、その技術と野心を見込まれ、政府の諜報組織「ウォルシンガム機関」にスカウトされる。
そこで極秘任務を与えられたワトソンは、フランケンシュタイン博士が残した、生者のように意思を持ち言葉を話す屍者=ザ・ワンを生み出す技術が記された「ヴィクターの手記」を求めて旅に出る。

声優・キャラクター
細谷佳正、村瀬歩、楠大典、三木眞一郎、山下大輝、花澤香菜、大塚明夫、菅生隆之
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

思考は言葉に先行する

WIT STUDIO制作。

思考は言葉に先行する。
言葉があるから心がある。
そこに魂=意識が宿る場所があるのだ。
この作品のエッセンスが凝縮された、
印象深いモノローグで始まる。

舞台は19C末のロンドン/英領ボンベイ/日本。
ワトソンとフライデーが、
ある男の手記を探す冒険譚である。
{netabare}人は死亡すると体重が21g減少する、
人類史上最初に死者を蘇らせた男の手記。{/netabare}

そこに魂は存在するのか?
圧巻の映像で鬼気迫るものを感じる。
多くの指摘があるように、
{netabare}後半物語は崩れていくように感じるも、
ただこのテーゼはきつい、勝算がない。
人類が現実で未だ出せていない答えだ。{/netabare}
果敢にも挑戦したスタッフを評価したいと思う。

早逝した伊藤計劃原作である。
本来この作品も未完成とのこと、
天才とまで称された彼なら、
どんな結末を見せてくれたのだろう。
切り捨てるには惜しい作品です。

ハダリーリリスがエロカッコいい。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 48

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

【屍者(伊藤)の意思を追い続けるワトソン(円城とスタッフ)の旅】アニメーション史上最大のゾンビ映画!!!【そしてフライデー、とてもイイb】

伊藤計劃アニメ映画化三部作の第1弾
どうも過去を舞台にしたスチームパンクの今作を1作目に、近未来を舞台にした『虐殺器官』を次回作に、超未来を舞台にした『ハーモニー』で完結を迎えるつもりだったそうです
ただ例のマングローブ倒産で公開時期ズレ込んじゃいましたね、どうなるんでしょうか;


原作は伊藤さんが序文の草稿数十ページを書いた時点で死去された為に絶筆、盟友の円城塔が引き継ぐ形で2012年に完成を見ました
この映画自体、【原作とはほとんど別物】と呼べるほど改変されています
円城さんがそうであったように、今作のスタッフも伊藤さんが書き残した作品の世界観を、試行錯誤の繰り返しで“伊藤計劃作品”として完成させることに注力しています
(※ただし、「伊藤さんならこう書いた」という決め付けではありません)
この映画は屍者の意思を追う物語でありつつ、伊藤さんの意思を追う物語です


SFなので世界観だけ説明させて下さい


ヴィクター・フランケンシュタイン博士が屍者を復活させた事件から100年後の世界
その技術を兵力や労働力に用いることがアタリマエになった19世紀末
屍者技術の研究をしていたロンドン大学の医学生、ワトソン
彼は早慰した親友、フライデーを無断で違法な屍者として復活させる
ワトソンの腕を買ったイギリス政府の諜報機関は、彼にロシア軍を脱走した技術者、カラマーゾフを追うことを命ずる
カラマーゾフはアフガニスタン奥地に屍者の王国を築いたという
イギリス→インド→アフガニスタン→日本→アメリカ→イギリス
世界を股に駆けた旅の中で、ワトソンとフライデーは魂の秘密が記された“ヴィクターの手記”を巡る争いに混ざることとなる・・・


コナン・ドイル、メアリー・シェリー、ヴィリエ・ド・リラダン、イアン・フレミング、フョードル・ドストエフスキー、ジュール・ヴェルヌ、或いは19世紀末に実在した人物達・・・
著名な文学のキャラが次々と出て来るパスティーシュ小説が原作、ってかソレをさらに改変したから同人誌みたいな映画です
この手のは絶対的に苦手な方いらっしゃると思うので注意


物語の肝はやっぱりフライデー
原作と違い、ワトソンとフライデーが親友関係
フライデーが白髪アルビノで“イイ感じの美少年”
死んだ友を思わず復活させちゃった上に、だんだん生前の様子が垣間見えてきちゃったわけ
この辺のワトソンの葛藤が一番の見どころ
すごく丁寧に描かれていて改変としても、映画としても、これは大正解です


『ハル』のスタッフが再集結、主人公に細谷佳正を起用する辺り監督の拘りを感じます
ああ、脚本はフジを退社し自由の身となった山本Pでしたね・・・“Project Itoh”っておみゃーがコレやりたかっただけなのかよ、オイw


美麗な背景や煌びやかにCGで描かれる屍者技術の装置はスチームパンク好きには堪らないところでしょう
スチパン(狭義的にはエレクトリックパンク)アニメとしては『LAST EXEIL』や『スチームボーイ』を超え日本アニメ史上、最高に美しくカッコイイ世界観が描かれてます
記録媒体が挙ってパンチカードなのには笑いました


が、しかし!
オイラとして一番「スゲェな!」って思ったのが今作がたぶん【全世界中のアニメの歴史史上で最高の“ゾンビ映画”】であったことかな(爆)
特にゾンビなんてCGで描写すれば良いものを、ほとんどのカットでゾンビ独特の“歩き方”を作画しているというのにはアッケに取られましたw
いいぞ、もっとやれ


それにゾンビ美少年との友情の物語が重なる
全くいやらしさは感じさせずに、耽美な世界に魅入れる120分でもうお腹イッパイって感じで拍手です


でも、ここまでフライデーの存在が大きくなるとハダリー(花澤香菜)は結局のところ何なんだ、お話散らかりすぎだろ、って疑問もあります
(ワトソンがノンケだって示すためのキャラとか言うなよ!)
それこそ『ハル』を観て補完する必要があるんじゃ、とオイラは思うのです


なんだかんだで全く退屈しなかった素晴らしい映画です
伊藤計劃三部作とかカンケー無しにオススメしますb
唯一心の底からツッコミを入れたかったのは、楠大典さんが「バーナビー」を名乗っていたことでしょうか・・・
おまえはロックバイソンだろ!!!ってwww

投稿 : 2024/12/21
♥ : 21
ネタバレ

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

娯楽作品としては原作よりよくまとまっています

-・-・-・-・-・-・-視聴前レビューー・-・-・-・-・-・-
本日公開の作品
私は来週けみかけさんと観てくる予定ですが
全くレビューが無かったので
誰か少しでも興味を持ってくれればと思い
筆を執ることにしました

この作品はノイタミナムービー第2段
Project Itoh3部作の一つとして
先陣を切る形になります

Project Itohというのは
2007年に彗星のごとくデビューし
2009年に世を去ったSF作家伊藤計劃の作品を
アニメ映画として公開するプロジェクトです

計劃が作家として活動できた期間は短く
世に送り出した長編作品は
虐殺器官
METAL GEAR SOLID GUNS OF THE PATRIOTS
ハーモニー <harmony/>
の3本だけですが
その短い期間で書き上げられた作品は
閉塞していた国内SF界に
新たな潮流を巻き起こす契機となりました

PSYCHO-PASSが最初にアニメとして放映されていた時も
ネットでは計劃作品との共通点などが指摘されていましたが
こうやって同じノイタミナプロジェクトとして発表されると
やはりPSYCHO-PASSシリーズのルーツの一端は
伊藤計劃にあったんだなぁと改めて思います

既にお気づきの方もいると思いますが
前に述べた3作品の中に屍者の帝国は入っておりません
昔から文芸の神様というやつは
俊才を見つけるとすぐに手元に置きたがるようで
計劃もこの作品を数十ページ書いた時点で
神の御許へと召されていきました

後を引き継ぐ形で残りを円城塔が書き上げたものが
このアニメの原作となる屍者の帝国となります
円城氏はスペースダンディの豪華すぎる脚本家の1人だったので
小説はあまり読まない方でも
アニメに精通している方ならばご存知かもしれませんね

しかしまぁ
この作品は計劃自身がほとんど関与できていない上
他2作は近未来SFだったのに対し
この作品は19世紀を舞台にしたいわゆる伝奇ロマン
これをProject Itohトップバッターに持ってくるのは
かなりの冒険だと思います
Project Enjohの間違いじゃないのか?
とか突っ込みを入れたくなります
これがこけたら他の計劃作品に響くんじゃないか?
とか心配になります

しかしこの小説を計劃作品と認められるかどうかは別として
読み物として十分に面白かったのは確かですので
映画版の出来はどうなのかこの目で確かめてこようと思います

-・-・-・-・-・-・-視聴後レビューー・-・-・-・-・-・-

原作から比べると大分いろいろ弄ってありますが
概ねプラスに働いていたように思います

原作未読既読に関わらず楽しめる作品だと思います
原作を一切読まずに見た場合
ストーリーの細かい部分はよくわからないでしょう
しかし、そこを画面の中で細かく描写してテンポを損ねるよりも
アクションシーンで一気に押し切ってしまう方が
ずっとスクリーン映えするのは間違いありません
終盤の圧巻の映像美にはただただ絶句するばかりであります

そもそもの原作自体がハイパーテキスト性の高い小説です
文学におけるハイパーテキストすなわち超文脈とは
語句や人物、事件などの名前だけを作中に使い
その説明は作品の外に置いてあるものを指します。
もしもその言葉をしっかり理解したければ
Webのhtmlリンクをクリックして別のページに飛ぶように
別の小説や聖書、哲学書、理工書など開かなくてはいけません
場合によっては映画、漫画、アニメなどに行きつく場合もあります

この手法を使う事で限られた紙面の中に
無限の奥行きを出すことができますが
同時にベースとなるジャンルの知識に乏し人間には
その面白さがさっぱり理解されない危険性も孕みます

かつてエヴァンゲリオンが空前のブームを引き起こした背景に
この手法がありました
難解な言葉を断片的に並べ一切説明しない
その結果たくさんの解説本考察本が出版され
それらが飛ぶように売れたのは
作品の外にある科学・哲学・宗教を
ガジェットとして次々に使い捨てた結果
非常にたくさんのハイパーテキストリンクが張られていたからです

この屍者の帝国という作品でも鏤められた要素全てを理解するためには
SF・ミステリ・科学・哲学・宗教そして19世紀の歴史背景など
幅広いジャンルの造詣を要求されます
また原作ではハイパーリンクを張らずに
作中にて詳しく解説されている事柄も
映画では冗長すぎるため解説部分を丸々削除されていたりします

こんな風に書いていくと
まるでこの映画が極めて難解で一握りの人だけが楽しめる作品
というように見えがちですが
この作品の見事なところは
細かいところがわからなくても楽しめる点にあると思います
まっさらな状態でこの映画を見て細部まで理解するのは不可能ですが
スタッフもそんなことは承知の上で
全てを理解できなくても楽しめるように作ってあります
原作の魅力を言葉で説明するのではなく
直接感じてもらうというのがこの作品の切り口で
それは非常にうまくいっていたと思います

従って原作未読既読問わずオススメできる映画だと思います

以下原作と映画版の相違点について
{netabare}
かなりいろいろな点にアレンジが入っていますが
各国陣営のキャラ数の削減と果たす役割の変化が一番大きいと思います
物語の流れに沿って違いを確認していきましょう

英国

ジョン・H・ワトソン&フライデー

本作主人公にして最も大きく改変がされた人物
後にシャーロック・ホームズの右腕となる男
原作のワトソンは医学部の優秀な学生で
教授に推薦されウォルシンガムに所属することになります
そこで貸与された最新鋭の実験体が
Noble_Savage_007コードネーム:フライデー
つまりもともとワトソンの友人であったという設定自体が
映画版のオリジナルです
時折見せるフライデーの暴走も映画のみの設定
映画版のワトソンを突き動かす動機の大半はフライデーにあり
ワトソンとフライデーのエピソードは作品の中核の部分です
この部分がオリジナルなので作品としてはもはや別物に近い印象
先に映画を見てから原作本を読んだ人には
淡白すぎるワトソンがただ周りに流されて動いている様は
おそらくかなり物足りないのではないでしょうか?
このワトソン&フライデーの肉付けの巧さが
映画版を原作以上に魅力的な物語にしています

フレデリック・ギュスターヴ・バーナビー

ワトソンたちとは逆で原作でも映画版でも全く変わりませんw
実在の人物でアジアロシア境界を旅行し手記を発行しています
作品内ではその経験と胆力を買われ諜報員に選ばれたようです

エイブラハム・ヴァン・ヘルシング&M

ワトソンたちの上司にあたる人物たち
映画版では一人に役割をまとめています
原作ではMはほとんど出てきていませんが
弟が探偵をしているという発言から
マイクロフト・ホームズであると考えて良いでしょう
しかしマイクロフトはものぐさで人嫌いな性格なので
実際に表に出てきて指示を出したり対立したりする役割は
ブラム・ストーカーの作りだしたヴァンパイアハンター
エイブラハム・ヴァン・ヘルシング卿が担当しています
映画ラストにつなげるためにMの方の名前を残したのだと思いますが
クライマックスの立ち回りはMではなく
ヴァン・ヘルシングにやってほしかったところですね
なおトランシルヴァニアにおけるヘルシング卿の活躍も
作中ではザ・ワンと花嫁を巡って対決していたことになっています

ロシア

アレクセイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフ&ニコライ・クラソートキン

どちらもカラマーゾフの兄弟の登場人物です
アレクセイとクラソートキンの設定は改変されていません
改変されてはいませんがいろいろと省略されています
そして結末もいじってあります

アレクセイの計画は自身を屍爆弾化し
「証拠品」として大物を吹き飛ばすという一種の自爆テロ
原作ではクラソートキンは屍者化しません
アレクセイを連れてぺテルスブルクに行き
アレクセイの計画を実行する役割がまだ残っているからです

映画の方ではインパクトを重視してか
アレクセイとクラソートキン両方とも屍者化してしまいました
これでは計画が実行できません
実行できない計画そのものの話が無かったことになり
アレクセイが一体何をしようとしていたのか
真相が明らかにされぬまま物語は進んでいきます

アメリカ

レット・バトラー

風と共に去りぬにおけるスカーレットの恋人です
原作ではピンカートンの一員でハダリーの上司
ハダリーの能力を使ってグラントを襲撃している張本人
本来なら主人公パーティの5人目だった男です
ハダリーが火炎放射器で屍者を一網打尽にするシーンは
元々は彼の登場シーンのはずでした

原作では大里化学の事件の後
日本編は続きがあり
会談するグラントと日本皇帝が襲撃されますが
首謀者が居なくなっている以上
エピソード丸々カットになっています

ハダリー・リリス

出典はSF小説未来のイヴ
映画版では発明王トーマス・エジソンが作ったことになっていますが
未来のイヴにでてくるのはそれをもじったエディソン博士
元に戻さずにエディソンで良かったような気もしますね

原作ではピンカートンの一員としてグラントに仕えていますが
実際の主はレット・バトラーで
彼の利益になること以外はやりません
屍者を操りグラントを襲撃していましたが
レット・バトラーが出てこなくなったことで
その設定もうやむやとなり
作中の彼女の存在意義自体がだいぶ薄くなっています

さらにはラストシーンでも出番を奪われています
原作では事件を終息に導いたワトソンは諜報機関に高く評価されます
しかし、その評価は身内だけではなく敵対者も含まれていました
レット・バトラーを人質に取られたハダリーが
暗殺者としてワトソンの前に現れます
ワトソンは事件の際に手に入れた屍者を作る菌株あるいは言語の結晶
それをハダリーの手で自らに注入し
諜報機関が容易に手出しの出来ない重要度の存在へと引き上げます
しかし、それによって元のワトソンの人格は失われてしまい
それが映画のラストシーンに繋がります

このシーンは介助者がハダリーからフライデーに変更され
そこに至るまでの経緯の描写もなくなっています
原作と同じような顛末なのかどうかも分かりません

日本

登場人物には特筆するものがありません

暗殺未遂事件の話は先ほど述べたとおり

ヴィクターの手記を見つけてからのシーンはほぼオリジナル
あそこも映画版ワトソンとフライデーの絆が確認できる良いシーンでした
ここに限らずフライデー絡みの改変はとにかく出来がいいですね

このあたりからロンドンに戻るまでは
ほとんど別物と言っていいくらいのオリジナル展開です

ザ・ワン

フランケンシュタインの怪物
チャールズ・ダーウィン
Noble_Savage_001
原作ではヴィクターによって造られたのではなく
ヴィクターが見つけ出し再起動させた古代文明の遺産のようです
その肋骨から生み出された彼の花嫁となる存在を
心変わりしたヴィクターが命を吹き込む直前に殺してしまったことが
メアリー・シェリーが脚色し記述した事の発端の物語という事になっています
映画版ではハダリーを花嫁に作り替えようとして失敗していますが
原作では虚空から花嫁を召還することに成功し
花嫁を連れて現場を去りそのまま行方知れずとなって終わります

おそらく原作を読んでいない人は
たいていの人がハダリーが花嫁になるシーンで
ワトソンたちが阻止して終わることをなんとなしに予測すると思いますが
ザ・ワンが花嫁を手に入れる原作の結末を先に知っていると
本当にどっちに転ぶかわからない手に汗握る展開でした

全体的に映画化における原作改変は成功だったと思います
やはりワトソンにフライデーという強い動機を与えたことが何よりも大きいでしょう
傍観者の代名詞でもあるワトソンを主役に据えたはいいものの
元来の傍観者としての性質と物語を動かしていく主人公の性質が
どちらも中途半端に発揮されてしまっているのが原作ワトソンです
よりアクティブなワトソンを用意して
傍観者となったのは事件後であると繋げた映画版のほうが
一味上手だった印象です{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 27

70.5 4 大惨事アニメランキング4位
A.I.C.O. -Incarnation-(Webアニメ)

2018年4月1日
★★★★☆ 3.6 (238)
1033人が棚に入れました
2035年、近未来の日本。「人工生体」の研究中に起きた大事故“バースト”により、暴走した人工生命体“マター”が黒部峡谷一帯を侵蝕。 人類にとって希望の地と謳われた研究都市は、政府により立ち入りが禁じられた。 それから、2年後―。バーストで家族を失った15歳の橘アイコは、転校生の神崎雄哉から信じがたい事実を告げられる。それはアイコも知らなかった、自身の身体に隠された“秘密”だった。それを解く鍵は、バーストの中心地“プライマリーポイント”にあるという。アイコは、案内人の神崎雄哉と護衛部隊のダイバーたちと共に、封鎖されたエリアへの侵入を決意するが。人類の未来を背負う少年、少女が出会った時、明らかになる真実とは?

声優・キャラクター
白石晴香、小林裕介、古川慎、村田太志、名塚佳織、M・A・O、竹内良太、茅野愛衣、大川透、子安武人、田中敦子

レタスの人 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

主人公のサービスシーンがメインになってしまってる

見る前からちょっと嫌な気はしていたんだけど、まず話の大筋は割と単純である。
このアニメのメインのポイントはやたら無防備な天然系ヒロインがサービスシーン、胸や際どいパンチララインを常に見せてくるポイントだった。

なんでこんな環境でずっとセーラー服でいるねんって恐ろしい突っ込みどころは、他の微妙な点を萌えで補填しようとした考えでないかと邪推もしてしまう。

冒頭や設定自体は比較的面白いものの、ヒロインのヒラヒラした短いスカートのせいで終始物語に入り込めることは無かった。

また、男主人公も見てて疲れる性格をしている、変にラブコメしそうな種は撒いた上で男主人公は終始言葉と裏腹にコミュ障だし。
しかもその上で東のエデンの大杉君みたいなのがいるから猶更救えない。(※終始ヒロインに好きだ好きだと渾身のアタックをするものの全て受け流される二枚目キャラ)

ヒロインの正体を聞いた瞬間、凡そ彼の正体にも勘付く程度のよくある設定な為、ストイックな性格は仕方ないと序盤から納得して見れない事も無い。

とはいえ、最終回ギリギリまでこんな感じなので正直見てて疲れる。
彼のポジションでセカイ系をにおわせちゃ駄目だろ。

この二人は導入部から最後までセカイ系を参考にしたような関係だけど、実のところ接点があるようで考えてみると、お互いなんでもないから「え、えぇ…」で終る。


大量のアニオタをひっかけようと釣り餌を混ぜすぎてちょっとブレすぎたよね。

サブカル系としても大衆系としてもどっちつかずなこの物語は、サブカル初心者にオススメしやすいかもしれない。


因みに他の評価見てると難しいとか設定が丁寧で作り込まれてるとか書かれてるが、どっちも的外れな気がする。

エウレカ的手法で話が難しく感じるだけで、魔法が使える世界でアルテマを取りに鍵となる巫女をPTに連れて塔にを上るだけ様なレベル。
っつーか話の元ネタもエウレカか?

勿論アニメとしては、それだけじゃつまらないから、多少エッセンスはあるけど、今言った大筋大体完結してるのよ。
同じネトフリなら単純ながらもharmonyとかの方が余程ドキツイのでは。

次、作り込まれてるかどうかについて。

起源や仕組み、それに於ける影響が曖昧な設定を俺は敢えて魔法って呼んでるのだが(SFは硬派系に近づく程、実現や実存が考えられる設定になる。この設定は残念ながら都合よすぎて魔法レベル)、ただでさえその魔法の様な設定の話の中で、話の舞台設定はかなり限定されている。

個人的にはアニメ漫画にそこまで突き詰めて意味はないと俺も思ってはいるが、都合の良い舞台にしかカメラを回さず、こんな極大天変地異の上で、国民や政府、他国にこれだけ都合の良いムーブをさせた話が作り込まれてる訳ないだろう。(非難してる訳ではなく)
っつーかギロチンカッターなんかに及んでは、製作者が手動にする訳がないとかアホでもわかるし。(あった方が演出的に面白いので評価している。設定の作り込みに大きく反してるが、あった方が良い)
あまつさえエウレカの癖をそのまま引き継いでしまったのか、ご都合の塊、セカイ系もどきというトドメ。

因みにここでもさっき引き合いに出したharmonyの方が細かく設定練ってる。
面白いかどうかは全く別だが、こっちの方が面白いと思うならばこのアニメの良い部分は設定の練りや物語の難解さは全く的外れって事。


セカイ系っぽくてアクションがかっこよくて女の子がエロ可愛くて、なんか人の生き死が近い戦場っぽい雰囲気があって、そういうの見るのが好きな人の琴線に触れやすいという事だ。


ここまで一見に馬鹿にしてるようだけど雰囲気のあるSFアクションとして俺は大いに楽しんだ。

比較的面白い部類だけど、それでも純粋なアニメ好きでないならば、残念ながら時間を割いて見る価値のあるアニメではない。
トイレとか電車でさくっと楽しめるように漫画にして欲しいな。


最後にもう一度言うけど、設定を理解とか理解できないとかじゃなくて、破綻してるのよ。
別にアニメだから良いんだけどね。極端に評価低い人はそれを重んじてるんだからそれに反論しようとこのアニメは練られてるとか適当なべた褒めして馬鹿晒すのは辞めてほんと。

名作映画、キューブのガバガバ設定を思い出せ!

投稿 : 2024/12/21
♥ : 1
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

黒部に大量

オリジナルアニメ NETFLIXのお下がり


ネトフリオリジナルを地上波で!ってパターン増えてますね。コロナ関係あるのかしら。全12話。
舞台は近未来2035年の日本。とある生体研究の成果物が暴走した後、あたり一帯封鎖されて早数年。
事態の解決に向けてその研究所を目指すことになるわけですが、人工生命体『マター』があたり一帯を侵食しており人間の侵入を阻みます。なかなかのサバイバルですね。そして明らかになってくる謎。

サスペンス・ミステリ色が強めのシリアス仕立て。キャラ原案:鳴子ハナハル氏ということで見た目は推して知るべし。面白かったです。ただ先に文句だけは言っとく。

■シリアスを削ぐもの①
{netabare}危険いっぱいの侵入作戦でボディスーツとか着てるわけですよ。で途中のチェックポイントで一休みする度に{netabare}なぜか“セーラー服”。{/netabare}
そんなに鳴子氏に気を遣わなくてもいいのに。いや視聴者サービスせんでもいいのに。バランスとるために♂に詰襟の学生服着させて笑いを獲りにいかなくても良かったのに、と残念でした。{/netabare}

■シリアスを削ぐもの② ※作品中盤のネタバレ
{netabare}詰襟が逆効果だったと思うのが、この主人公くんのクールで冷静沈着風設定でしょう。後にわかる諸事情のため、高校生らしからぬ佇まいを醸し出す神崎雄哉(CV小林裕介)クンその人です。そしてこの彼。顔色一つ変えず行動がへんちくりんだったりシリアスものにあるまじきブレブレさ。

どう考えても危険な作戦を課されるパーティメンバーにそれくらい言っとけよなリスクを伝えずに窮地に陥るある種の自傷行為。道中ばれてそこを質されると「バーストを収束させる為だ!(キリッ)」。いちおう前後関係あることなんですけど…回答になってません。しかしまわりはなんとなく納得してる。{/netabare}

これ、シリアスもので一番見たくない「キメたつもりがなんかギャグみたいになってますよ」パティーンです。興を削ぎますなぁ。

{netabare}そういったちぐはぐなのがいい感じで詰め合わせになってたのが第8話。
先述のリスク周知しとけよシーンもこの回。仲間が死んで悲しさのあまり嗚咽してと声優さんも演技素晴らしかったりするのですがいかんせん抗戦中。伏して泣くとか思いっきり仲間の足を引っ張ってます。これ戦い終わってからやれよと誰も突っ込まない優しい世界。{/netabare}

真面目な作風で心の機微に疎い作品は大きくマイナスです。おそらく嫌気さす方もいると思いますよ。


それでは一転して残りは褒めます。
目的の研究所のあるエリアは黒部峡谷内。場所的に黒部第四ダムに近接してるところ。ダムにピンとこない方も聞いたことあろうフレーズ“立山黒部アルペンルート”。そう風光明美な場所が舞台でロケハンがしっかりしてました。景色が綺麗。本社がご近所だし富山のP.A.Worksさんだったら面白いなと思いましたが制作はBONESです。
この景色をうまく活かしたのがEDですね。毎話飛ばさずクールダウンに利用してました。OPはTRUEさん。作品世界をうまく表したアニメーション。珍しくOPED飛ばさず堪能しておりました。

自然の美しさと対極にあるのは人工物の美しさ。黒部に点在する複数のダムは壮観です。その最奥に鎮座する第四ダムは壮観通り越して人間ってスゲーなと感動しますよ。難工事+ダムで検索すると真っ先に挙がってくるであろう黒部第四ダム(通称“くろよん”)。完成までに171人の殉職者を出した難工事でプロジェクトXにも取り上げられました。資材運搬のためのトンネル掘削も軟弱地盤やら破水帯やら困難がこれでもかと。なんでそこまでしてやるのか?

 関西の電力事情が逼迫

してたから。停電上等な大阪圏で安定した電力供給は至上命題。時代も時代ですから、戦争で死んでった者達のためにも/あいつらの想いに較べたら、と使命感に燃えてたわけです。石原裕次郎と三船敏郎とが組んだ映画『黒部の太陽』は大ヒットしました。


奇しくも“だいよん”にとある目的をもって向かう本作の主人公らパーティの苦難と“だいよん”に資材を運ぶためのトンネルを掘る漢達の物語が重なります。
『七人の侍』と『荒野の七人』の関係みたいなもんかしら。


なお、あれだけ足を引っ張る要素から視聴モチベーションを保てたのはどこかしら黒部にまつわる現実の物語と被るものがあったことが理由。それに加えてヒロイン橘アイコ(CV白石晴香)の熱演も。『ゴールデンカムイ』アシリパ役でも感じましたが抑えめトーンの時の白石さんはヤバいですね。
そんなこんなで最終12話まで完走。明かされる謎は納得感や驚きのあるもの。終わらせ方も良かったと思います。期待してなかったわりには前のめりで視聴できました。掘り出し物・良作です。



※ネタバレ所感

■南原顕子(CV田中敦子)

人工生体汚染災害対策庁(CAAC)対策局の局長。ブルゾンちえみをしゅっとしたような感じの役人です。

{netabare}すごい複雑な気分にさせられるお役人さん。
エリア内の人口生体“マター”をどう捉えるか南原と中央とで開きがありました。キーポジションのキャラなこともあり作品としては彼女サイドに寄ってます。どういう二項対立か?

【対マターへの態度】 

 偉い人:安全保障上の脅威
 南原:富を生み出す金の卵

チェックポイントは複数あるダム。第四ダムを起点に“マター”は増殖しながら下流にまで浸食してきて、最後の壁(ダム)を突破されて日本海へと流出してしまえば世界規模でのハザードへと発展してしまう局面です。とっとと駆逐する。“結晶化”壊死させる技術もあるにはあるが、殲滅できるか確証がない。むしろ逆に“活性化”させてさらなるハザード範囲の拡大にならんとも限らない。
要は決め手にかける状態。となると事態は膠着するものです。一方で“マター”は最先端技術の徒花のようなもんで研究開発用のサンプルを大量に保有しているとも考えられる。科学技術発展のアドバンテージを日本が有していると固く信じているのが南原の立場です。

 安全保障 VS 経済

迷うことなく前者なはずですが、南原は思いっきり後者に軸足を置いた行動をとります。またそれがかっこよく見えるんだな、これが(笑)
この二項対立の結末はエンタメらしく両者取りでしたが、安全保障を重視するお偉いさんの影がとーっても薄かったのが気になりました。{/netabare}

{netabare}安全保障軽視の風潮。根拠なく自分は大丈夫!ってクセがついてないか怖くなりますね。
決断遅くて逃げ遅れたりしませんように…{/netabare}



視聴時期:2020年7月~9月 リアタイ

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2020.09.29 初稿
2021.06.19 修正

投稿 : 2024/12/21
♥ : 41

nozzynozzy さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3

あれれ?何かが間違ってる

Netflixがバックについてる?作品なので、ちょっと過剰に期待したのが間違いでした。鳴子ハナハルがキャラ原案、監督は村田和也ということから、翠星のガルガンティアの鉄壁の布陣を期待していたのですが、ちょっとあれれ?という感じです。BONESさんがこれらの布陣を生かせなかったのでしょうかね...
 キャラは鳴子ハナハルのはずなのに、結果はなぜか古臭い作画になってしまってました。話は終盤あたりの伏線回収にて説明不足でわけがわからず、かといって途中の展開もほとんど同じような展開が繰り返されて飽きがきてしまうという状況でした。また、いろいろ工夫したストーリーのはずなのに、見終ってみると何故かチープな話になってしまっていたという印象です。音楽も同じような音楽をくりかえし使われていて、このアニメってなんとなく「正解するカド」の匂いがすると思ったら...これまた監督一緒でしたね。
 動画はぬるぬる動くのでこれは良かったです。
 全体を通して人に勧められるか?と言われると...ちょっと微妙かなー。素材はバッチりなはずなのに、何かが間違ってしまって、なぜこうなった?という印象です。次は頑張れ!Netflix!

投稿 : 2024/12/21
♥ : 3

55.8 5 大惨事アニメランキング5位
影鰐 - KAGEWANI -(TVアニメ動画)

2015年秋アニメ
★★★★☆ 3.1 (126)
517人が棚に入れました
ULTRA SUPER ANIME TIME枠にて放送。

突如として現代に姿を現し、襲いかかる謎の怪獣たち。

極限状態の中、ただただ翻弄される人々。

怪獣はなぜ出現し、人を襲うのか・・・.

科学者・番場宗介は、キーワード「影鰐」を手掛かりに真実を追う。

新感覚パニックサスペンスアニメーション。

声優・キャラクター
杉田智和、置鮎龍太郎、相沢舞、奥畑幸典、半田裕典、小杉史哉、森下由樹子
ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

モケーレムベンベ

とりあえず、UMA好き、オカルト好きな私は最後まで見れそうです。
1話
{netabare}
コンゴのジャングルの湖に住むモケーレムベンベという有名なUMAがいます。

住民の証言によると首長竜のような姿をしているらしいです。

でもその証言が一説には、調査隊の人が「こんな生き物を見なかったか」「それはこういう姿ではなかったか」という質問に対して住民が話を合わせて行き、首長竜のイメージが定着したという話もあるそうです。
{/netabare}
2話
{netabare}
山に登る話といえば、「神々の山嶺」がオススメの漫画です。これは純粋な山登りの漫画です。
{/netabare}


3話
{netabare}
海で遭難した人が帰ってくるという話では、オカルト板に投稿された「リゾートバイト」というお話が怖いです(閲覧注意と、長文なので1時間以上は読むのにかかります)
{/netabare}

6話まで
{netabare}
闇芝居の頃、私は見るのを途中で辞めてしまいました。なぜかというと、ネットにあるオカルトをそのまま話にしているような、既視感を感じたとともに目新しさが全く感じなかったから。
ですが影鰐は違います。世界各地のUMAの話を、怪物が人を襲う話として昇華しいる。正直見知った話であっても、一つ繋がりを持たせたり、アレンジを加えることで、これだけ面白くなるのだなと、ある種感動しています。
{/netabare}

最終話まで
{netabare}
「紙芝居的」作品で初めて、ストーリーとしては満足できる内容になっていました。
主人公番場と影鰐という話の核をしっかりと持っているし、影鰐を利用しようとする木村をダシにして話を上手く広げ、風呂敷をちゃんとたたんでいるあたり、非常に好感が持てました。
{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 28

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

未確認生物に翻弄される人々

全13話 1話約8分

突如現れた色々な未確認生物(UMA)に襲われる人々を描く作品です。

「闇芝居」の監督と同じ方なので、作画も全体的に暗くて止め絵が多く使われています。

危機をどう回避するか(できないか)というドキドキ感がありましたね。

根底には一本の流れがありますが、1話完結のエピソードなので観やすいです。

謎は残りますが、纏め方も良かったですね。

タイトルの「影鰐」意味もよく分かりました。

「闇芝居」が好きな方、ホラー作品が好きな方(グロくはありません)は観ていいかもしれません。

最後に、1月から「闇芝居」3期があるようですね〜夏というイメージがありますが、怖いお話は季節関係ないのでしょうねw

投稿 : 2024/12/21
♥ : 26

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

物語を終盤まで視聴して・・・ようやく繋がりました^^

この作品はオリジナルアニメだったみたいですね^^
私はショート作品は纏めて一気見するので、この作品も特に事前情報のないまま・・・知っていたのは映像に「萌え」要素がないことくらい・・・ずっと録り貯めていました。

完走して振り返ってみると・・・「萌え」の要素は何一つありませんでしたね^^;
でもQ車好きな方なら・・・ある意味痺れる作品かもしれません。
この物語の主人公である生物学者・・・番場 宗介の愛車がトヨタ2000GTだからです。
独特な形状をしたリトラクタブルヘッドライトや絞り込んだリアビューなど、作品の中で認識できるのは一部のディテールだけですが、好きな方にはピンとくると思います^^
(私は車に詳しくないので、表現が間違っているかもしれませんがご容赦願います^^;)

そして物語の方ですが・・・起きている事象・・・発生する場所・・・事の顛末・・・一見似ているようですがバラバラです。
でも、作品の構成上終盤でそれぞれの線が繋がってくるので、序盤は繋がりは意識せずに視聴しても良いと思います。
独特の間合いから時には手に汗握る話やグッとくる話が視聴者を待ってくれています。

物語の方はあまり書くとネタバレになるので控えておきますが、キーワードは「グロ」「過去」「進化」「ヒトの弱さ」「狡猾」「変化」というところだと思います^^;
「ヒトの弱さ」と書きましたが、弱いことを否定している訳ではありません。
もともとヒトは弱い生き物です。ひとりでは生きていけないし、身の危険を感じたときに瞬間的に優先する咄嗟の動作は自分自身の保護だと思います。
だから生きていく上で「弱いままで良いところ」と「強くしなければいけないところ」があるのだと思います。
そしてこの作品では「弱さ」がかりが描かれている訳ではありません。
「強さ」もしっかり描かれていると思います。
主人公である番場 宗介とは一体何者なのか・・・?
起きている事象と彼との相関は・・・?
気になる方は本編でご確認下さい^^

1クール13話の作品でした。物語は一応区切りが付いてところで終わっていますが、続編があってもおかしくない終わり方だったと思います。
オリジナル作品なので、続編の有無は全然分かりませんが・・・
もし続編が放送されるなら視聴したいと思います。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 17
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