れんげ さんの感想・評価
4.1
「オトナ帝国」の原監督による渾身の一作。児童文学アニメと侮るなかれ!!
2007年劇場公開。
本編、約140分。
【前置き】
初期の「劇場版クレヨンしんちゃん」の多くに携わってきた、原恵一監督の劇場映画。
原作があまりアニメ化に至らない児童文学ということから、原監督の意向とは裏腹に中々制作出来なかった経緯があり、「オトナ帝国」(2001)「アッパレ戦国大合戦」(2002)等の実績を経て、やっと本作の制作に着手したそうです。
原作者であえる木暮正夫さんは、本作の完成目前に他界されたそうですが、本作の数々の受賞歴や何よりその出来に対し、きっと雲の上から監督に賛辞の言葉を送っていらっしゃることでしょう。
小学生の姪が遊びに来ていたので、年齢的にもピッタリと思い、宿題終わりのご褒美に身内一同で本作を鑑賞しました。
子供は子供なりに、大人は大人なりに皆無言でじっくり本作を見ていました。
それを遠目で見て一人ほくそ笑む私。
……なんとも変な絵でしたね。
【あらすじ】
小学5年生の「上原 康一(うえはら こういち)」は、下校途中に偶然、川辺に埋もれていた大きな石を見つけます。
好奇心からその石を割ってみると、中には化石のように干からびた生物が出てきたのでした。
それは、長い間地中で仮死状態になっていた『河童』の子供だったのです。
なんとか家族を説得した康一は、その河童に「クゥ」と名付け、共に生活を始めました。
当初は、あるトラウマから人間に対し警戒心を抱いていたクゥでしたが、康一や家族の厚意を機に、徐々に信頼を寄せるようになっていくのですが……。
【語ってみる】
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【クゥ以上に心動かされた存在、オッサン】
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【総評】
児童文学を題材にしたアニメ映画として、子供が楽しみしっかり学ぶことの出来る作品だと、私は自信を持って言えます。
(終盤は小さい子だとダレかねないですが、しっかり見て学んでほしいですね。)
加えて大人にも、きっと胸にズキンと突き刺さるシーンが幾つもあることでしょう…。
私は、本作はハッキリ言って、どちらかと言えば大人向けな映画だと思っています。
メインは河童ではありますが、そのクゥと飼い犬を通し、生々しく描かれた家族が、失敗し…そして成長する物語ですので。
前半と後半の描き方の落差はかなり違いますので、そういう意味でも後半までじっくり見て御判断下さい。
さて、作中でクゥがこう言う場面がありましたね…。
「父ちゃんが言ってた…。
人間は、水や地べたを俺達から奪い、そのうち風や空や、神様の居場所まで自分達のものにしちまう。
それと引き換えに、魂を失くしちまうだろうって…。」
いつか、この父ちゃん河童が言ったことを、思いっきり否定できる未来が訪れたら良いですね。
ではでは、読んでいただきありがとうございました。
◆一番好きなキャラクター◆
『オッサン(犬)』声 - 安原義人さん
◇一番可愛いキャラクター◇
『菊池 紗代子』声 - 植松夏希さん
以下、犬の名前について。
(どーでもいい話なので、〆ます。)
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