夏休みで友情なアニメOVAランキング 3

あにこれの全ユーザーがアニメOVAの夏休みで友情な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月06日の時点で一番の夏休みで友情なアニメOVAは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

71.6 1 夏休みで友情なアニメランキング1位
ヤマノススメ おもいでプレゼント(OVA)

2017年10月28日
★★★★☆ 3.9 (102)
432人が棚に入れました
「天覧山に、高尾山、三ツ峠!」これまで登ったいろいろな山と、おもいでが詰まった写真を見ていたあおいとひなた。ふと、あおいの部屋にあった宝箱を開けてしまったひなたは、手作りで不格好のアクセサリーを見つける。それをきっかけにひなたは、あおいと一緒に過ごした、幼いある日のことに思いを馳せる――。

声優・キャラクター
井口裕香、阿澄佳奈、日笠陽子、小倉唯
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

素敵な思い出と新たな思い出

このアニメはセカンドシーズンとサードシーズンとの狭間の物語です。
2話編成ですが、それぞれの話には素敵な思い出が含まれています。

■ここなの8/31

ここなの優しさや立派さが良く分かる内容でした。
ここなは癒しの女神のようです。

夏休み最後の日、ここなは母親と一緒にお出かけの予定でしたが、お母さんには急な仕事が入ってしまい、一緒にお出かけできなくなりました。
『仕事だから仕方ない』。ここなは自分自身に言い聞かせます。
カレンダーに大きく書き留めて楽しみにしていた日でしたが、ここなは笑顔で出勤するお母さんを見送ります。

ここなは大人への気配りができる優しい子です。

ここなは、一人で飯能のあちこちを散歩します。
天覧山のふもとにある神社、第二天覧山、シネマ小路、ひかりばし…
行く先々で、その都度、幼い頃にお母さんと一緒に歩いた記憶がよみがえります。
{netabare}
そして迷子の女の子に遭遇するのです。
女の子は不安で泣きじゃくっています。
実は、ここなも幼い頃に迷子になったことがあったのです。

ここなはとても優しい女の子です。

幼い子の不安を取り除くため、ここなは優しく女の子の手を握り、一緒に女の子のお母さんを探してあげます。
女の子はここなと一緒だと安心して泣くのをやめました。笑顔になりました。

そして行き着いた先は、メディカルハーブガーデン。
女の子は母親に再会できて大喜び。
そしてここも、ここなが幼い頃にお母さんと一緒に来た場所でした。

どこに行ってもお母さんとの楽しかった思い出がよみがえります。{/netabare}
『だからここなは寂しくありません』。ここなは再び自分自身に言い聞かせます。

家に帰ると、お母さんから「来週は一緒にお出かけできる」との嬉しい知らせがありました。
ここなは大はしゃぎです。
やはりここなは、お母さんと一緒におでかけしたかったのです。

ここなにとっての夏休みは来週まで続くのでしょうね。(^_^)


■ひなたの10/28

あおいとひなたとの素敵な思い出のお話です。

あおいの家へ遊びに行ったひなたは、無断であおいの宝箱を開けます。
宝箱の中には不細工なつくりのどんぐりのアクセサリーがありました。
あまりにもお粗末な作り物だったので、ひなたは笑います。

でも、よくよく考えると、それは…{netabare}ひなたが幼い頃につくったものでした。
幼い頃、ひなたが引っ越す際にあおいへ渡したプレゼント。それがどんぐりのアクセサリーでした。
あおいは、そのときのプレゼントを今も大切に持っていました。
『それにひきかえ自分は…』ひなたは考えます。
ひなたは、引っ越しの際にあおいからもらったプレゼントを失くしていました。


ひなたは、自分自身があおいへ渡したプレゼントを忘れていたことを後悔します。
あおいからもらったプレゼントを失くしてしまったことを後悔します。思い出を失くしたことが寂しかったのです。
だからひなたは、失くしたことを正直にあおいに告白して謝ります。

『失くしたらまた拾えばいいんじゃない?』
何気ないあおいの提案で、二人はまたドングリをひろい、思い出の品を作るのです。

二人には、新しい思い出プレゼントができました。{/netabare}

二人の思い出プレゼントは、これからも増えていくでしょうね。{netabare}たとえばフクロウとか…{/netabare}(^_^)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 26

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ふたつの思い出プレゼント

この作品の原作は未読ですが、TVアニメ第1期~第3期は視聴済です。

セカンドシーズンとサードシーズンの間に作られたOVAで、Blu-rayには劇場先行限定版と通常版の2種類が販売されているそうです。
劇場先行限定版には、絵コンテ・原画集、オリジナルサウンドトラックCDが特典となっているとか…
因みに私はdアニメストアで視聴しました。

このOVAは、2つの物語で構成されています。


「Present1 夏 ここなの8/31」
8月31日。夏休みの最後に、大好きなお母さんとおでかけの約束をしていたここな。

ところが急な仕事が入ったお母さんはここなと一緒に出かけられなくなってしまい、
ここなはひとりで飯能の街を散歩することにする。

その道すがら、ここなはふと、幼い頃にお母さんと一緒に過ごした日々を思い出して……。


「Present2 秋 ひなたの10/28」
「天覧山に、高尾山、三ツ峠!」これまで登ったいろいろな山と、
おもいでが詰まった写真を見ていたあおいとひなた。

ふと、あおいの部屋にあった宝箱を開けてしまったひなたは、
手作りで不格好のアクセサリーを見つける。

それをきっかけにひなたは、あおいと一緒に過ごした、
幼いある日のことに思いを馳せる――。


公式HPのSTORYを引用させて頂きました。

考えてみれば、この作品は女の子だけの"ゆるふわアウトドア"の先駆けなんですよね。
等身大の中高校生が、昔の出来事に思いを馳せてみたり、相手の存在の大きさを改めて認識したり…

山の厳しさや頂上に辿り着いた時の達成感を感じつつ、ちょいちょい挟まれる何気ない日常の光景に癒しが感じられる作品であることを思い出しました。

物語は、1話完結型なので視聴は時系列じゃなくても問題ありませんでした。
とは言え、キャラの紹介なしでいきなり本編が始まるので、視聴するならせめてファーストシーズン視聴しておきたいところです。

この作品に触れるのはサードシーズン以降初めてとなりますが、第4期のTVアニメ作品となる「ヤマノススメ Next Summit」が発表されていたのは知りませんでした。
2019年に新プロジェクトが発表されてから2年間、ずっと水面下では作り手の皆さまは動かれていたそうです。
これは、また楽しみが一つ増えましたね♪

主題歌は、あおい(いぐっちゃん)、ひなた(あすみん)による「おもいでクリエイターズ」

全1話27分弱の作品です。
このシリーズを好きな方には是非チェックして欲しい作品だと思いました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17

二足歩行したくない さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

おもいでをありがとう

ヤマノススメのOVA。
セカンドシーズン終了後3年越しのOVAで、一話15分ほどの短話が2本収録されています。
それぞれここなとひなたが主人公で、登山は関係ない、日常を描いたストーリーです。

1話目はここながメイン。
急な仕事で母と計画していた旅行が無くなってしまったここなが、飯能の街を散歩する内容です。
ここなの思い出の道を辿るだけの15分で、ほっこりとはしましたが、正直微妙でした。
それよりもここなちゃん、性格はすごくいいのに同年代の友達と遊んだりしないのかなとか、そういうところが気になりました。
加えて、ここなの両親は休日に突発で仕事が入るくらい忙しいのに、風呂場がバランス釜なのがある意味リアルで、悲しい気持ちになります。
昔、バランス釜の賃貸住宅に住んでいましたが、風呂桶狭いし、シャワー弱いし、あれ大変なんですよね。

2話目はひなたがメインです。
ひなたとあおいは家も裕福で、そういう意味では安心して見れますね。
あおいの部屋で制服デートしていた二人ですが、あおいの離席時に、ひなたはあおいの部屋で過去に自分がプレゼントした髪飾りが大事にされていることを発見します。
その時に交換であおいにもらったプレゼントを亡くしてしまったことに気づいたひなたは、あおいに対し申し訳ない気持ちになるが、という展開です。
二人の距離が物理的にいちいち近くて、激しいゆりっぷりに恥ずかしくなる15分でした。
いちゃつきようがすごくて、もうね、たまらんかったですわ。思わず混ざっちゃいたくなりますね。
あと、最後のあおいの「あひゃひゃひゃ」という笑い方がすごくかわいくて良かったです。マネして使いたいです。まずいか。

山は関係ないし、短いですが、すごく幸せなOVAでした。
続く3期も視聴中ですが、この二人はそろそろつきあっちゃってもいいんじゃないかと期待しています。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 1

64.0 2 夏休みで友情なアニメランキング2位
イリヤの空、UFOの夏(OVA)

2005年2月25日
★★★★☆ 3.5 (255)
1400人が棚に入れました
浅羽直之は園原中学校の二年生。
夏休みの間中、裏山にてUFOを探す日々を送っていたがUFOについては結局何の成果も得られなかったため、せめてもの思い出にと浅羽は学校のプールへと忍び込む。が、そこには伊里野加奈と名乗る、見慣れぬ不思議な少女がいた。状況が飲み込めないままに浅羽は伊里野と触れ合うが、すぐに伊里野の兄貴分と自称する謎の男が現れて、その夜はそれでお開きとなった。
そして翌日の始業式の日、浅羽のクラスに伊里野が転校生として編入してきた。ささいな事件がきっかけでクラスから孤立してしまった伊里野と、そんな伊里野のことが気にかかる浅羽と、伊里野の周囲に垣間見える幾つもの奇妙な謎。そんな風にして、浅羽直之のUFOの夏は、その終焉に向けて静かに動き出したのだった――。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

夏の残滓を追いかけて……。

原作ライトノベルは全4巻購読済み。

軟弱な主人公の中二少年に、過酷な運命を背負った少女のボーイミーツガール。
彼女を強大すぎる敵との戦いや、少女を囲う大人たちから守りたい、物にしたいと思ってはみるが、
少年一人では力も技術も知恵も、そもそも精神力や覚悟すらも、圧倒的に足りない……。

前世紀末から今世紀初頭かけてに確立された、いわゆるセカイ系の典型的なプロット、表現を一通り揃えた本作。
(さらには{netabare} 少女のピッチリしたパイロットスーツまで付いてくる定番ぶり{/netabare})
ここまではまだ凡庸なのですが、本作を非凡たらしめているのは、夏成分のスパイス。

……とは言っても、本作、夏を含んだタイトルでありながら、
夏休みで展開される場面は、回顧を除けば、序盤、8月最後の一日のシーンのみ。
あとはズルズルと残暑が続く二学期にて、
パワー不足、思慮不足な少年のあがき……にもなっていないような中途半端な言動に、
思わず頭を抱えてしまう場面が繰り返されます。

中二少年にはとても無理な願望。それを諦めきれない青さ。
それらが終わった夏の熱気はやがて冷めていくという必然、
それでも終わって欲しくない夏への未練とリンクして、
何とも言えない切ない感情がいつまでも心に燻り続けるのです。

原作既読組から見ると、本OVAの物足りないと思う点は心理描写。
特に主人公少年が抱く、自己制御もままならないドロドロした思春期の心情が
描き切れてないとは思います。
原作に比べて少年がいい人になってる感じがするんですよね……。
こういうシナリオは主人公がイタければイタい程、
物語がハートの奥深くまで刺さると私は思っていますので……。

一方、背景作画は、いつまでも残り火となってグズグズしている夏という、
原作の特徴を再現するのに十分な画力があり、
感情が極まった所で、過ぎ去った夏への憧憬が最大化する、
雰囲気は味わえると思います。

作中、特に、{netabare}少年が無意識に南を目指す件がいい。
彼なりに、一生懸命、合理的に考えているようで、
結局は、消えゆく夏への諦観混じりの渇望により、
南へ南へと流されて行くのが精一杯……。
それらの描写が世界が変わってしまうのも、夏が終わるのも
何人たりとも止めることはできないとの宣告となって突き付けられます。{/netabare}

自分にとって『イリヤの空~』は未だに夏を葬り去るための劇薬なのです。


最後に原作小説でとても心に残っている一節を引用してレビューを締めたいと思います。

 
 {netabare}伊里野(いりや)は夢中になっていた。砂浜を四つんばいで手探りしては花火の化石を探し回る。
本当にそこに美しい花火が見えているような顔で浅羽(あさば)の説明に聞き入り、
最後には思い切りよく海に投げ捨てる。

 それらはみな、夏の化石だった。

 夏は死につつある。

 世界は、自分たちだけを残してどこか知らない場所へと動いていく。{/netabare}


さようなら……夏。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 25

Mir先生 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ひと夏のSF

原作は電撃文庫のラノベ。著者は秋山瑞人さん。
遅筆で有名なんですが、本作のヒットで更に遅筆になった印象。
ただあまりに目に見える動向が少ないので、どうやって食って行ってるんだと疑問にすら思う。
イリヤヒットにかこつけて、
似たような作品である「ミナミノミナミノ」を執筆するものの、刊行されたのは1巻のみ。
本当に生きてるのか? と疑問でしたが、
2012年1月に「龍盤七朝 DRAGONBUSTER02」が刊行されて、生存確認が出来た。

制作は東映アニメーション。
あの、手を抜くことが仕事の東映アニメーションだ。恐ろしい。

監督(シリーズディレクター)の伊藤尚往さんは、
2002年に東映版Kanonにてシリーズディレクターをして、歴史に残る作品を生み出した方。
それを知った一部の方は、「イリヤ死んだ」と思っていた。

しかし本作は奇跡的にも、なかなかのクオリティを維持している。
いや、東映があまり得意ではない萌えにしては、かなり頑張っている。
デジタルペイントしてます! という感じの彩色ですが、
東映アニメーションは2000年頃からデジタルに移行したので、ようやく使いこなせるようになって来た頃なのかも。

もしくは、シスプリ、ダ・カーポなどの作監で経験を積んだ志田ただしさんが、
ここで本気を出したのかも知れない。

内容としては、ラノベ全4巻をOVA6話にまとめた形なので、
無理なく綺麗に収まっている印象。
このタイトルに関しては原作を知っていたので、
頭に予備知識が入っており、よく描けているのかな、という評価になった。
5話、6話の盛り上がりも手抜きはなかった。ただ絶賛と言うよりは、安心した感じ。

公式では「SF青春ラブストーリー」とジャンル付けされている。
だけどそんなにSF色は強めではなく、不思議転校生イリヤと、ちょっぴりセカイ系の青春ストーリー。
後半の展開はジュブナイルっぽさも入っている。

この雰囲気は後に刊行される涼宮ハルヒシリーズにも近いと思う。
イリヤ1巻は2001年10月、ハルヒ1巻は2003年6月なので、「学園ものSF」の流れを作ったのはイリヤなのかも知れない。

また、イリヤの関係者である榎本の声が井上和彦さんですが、
新海誠監督の2004年公開の「雲のむこう、約束の場所」において、
軍関係者の冨澤の声が井上和彦さんで、そのキャラクターには不思議な類似点がある。
他にも「雲のむこう、約束の場所」は、全体的に雰囲気は似通っている印象。

イリヤの声優はラジオドラマでは広橋涼さんだったが、アニメ版では野中藍さんに。
個人的には広橋涼さんの方が、線が細い感じが出てよかったのかなと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3
ネタバレ

ニワカオヤジ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

気持ち悪い原作をアニメ化しても気持ち悪さは消えない。

原作は当時話題になっていたので読みましたが、
・ラノベ特有の自分に陶酔した文章およびタイトル。
・SF的背景をわざと説明不足にすることにより奥の深い感じを出そうとしているけど結構浅い(誰でも想像できる)設定
・主人公とヒロインの性格の気持ち悪さ
・表紙イラストで、イリヤの体のラインがくっきり出過ぎ。お尻の形が丸わかりのスカートとか、あり得ない。
など、どこを取っても中途半端かつ気持ち悪い作品でした。

まあそういう時代なので仕方がないのでしょうか。
この2年後に出た涼宮ハルヒは同じように謎設定のSFラノベなのに、浅さを感じさせないどころか作者のSFに対する造詣の深さがよく分かります。

で、アニメ。
原作のイメージをほぼ忠実に再現できていたので、原作が好きな人には満足できたのではないでしょうか。

イリヤの乗っている{netabare}戦闘機が動いているのを見て、普通の戦闘機とは違うからイリヤが特別なんだなと分かるようになったのは良かったと思います。しかし、学校で激しく動いただけで鼻血ブーのイリヤが、あの戦闘機の動きでかかる重力に耐えられるとは思えません。SFというつもりで作製したのであれば、体感重力を減じさせる方法とかの説明はして欲しかったです。{/netabare}


あと、この作品を著しく残念なものにしたと感じたところは、イリヤが{netabare}逃亡先の学校で襲われかけた後。

イリヤが「何にもされてない」と強調しますが、そもそもイリヤがその「何か」という行為を知っていたことに違和感がありました。性教育とか受けてなさそうで、男の子に会っただけで好きになったりするくらい無垢なのに、そういうことは知ってるんかい!とツッコミたくなりました。

そして浅羽の対応のクズっぷりが際立っており、後で謝って済むレベルでは絶対にないですね。それなのに後からイリヤがあっさり浅羽を受け入れているところも気持ち悪いし、浅羽が好きだと告白するのも、「あ、イリヤに許してもらえてる!こりゃワンチャンありやな」と体目当てに叫んでるっぽくて絶対に無理。{/netabare}
エピローグでも、 {netabare}イリヤが戻って来ないのに満ち足りた顔をしている浅羽が本当に気持ち悪いです。すぐにアキホと付き合いそう。{/netabare}

しかし、元々が中学生向けのちょっとエッチな淡い恋愛物語だと思うので、自分も中学生の時に読んでいたら名作と思ったでしょうね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17

65.0 3 夏休みで友情なアニメランキング3位
エイリアン9(OVA)

2001年6月25日
★★★★☆ 3.6 (78)
262人が棚に入れました
第9小学校に通う主人公・大谷ゆりは6年生に進級して早々、危険で気持ち悪くて誰もやりたがらない係「エイリアン対策係」に選ばれてしまった。その活動内容は、ボウグと呼ばれる共生型エイリアンを頭にかぶり、学校に出没するエイリアンを撃退・捕獲すること。対策係となった3人の少女たちは、「エイリアン対策」の日々の中でそれぞれが抱える心の問題に向き合い、絆を深め合っていく。そんな彼女たちをよそに、次々に襲い来るエイリアン達や、学校の大人達は、様々な陰謀を張り巡らせ彼女らを巻き込もうとしていた。
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

原作愛が高じてアニメ化されたような作品

【レビューNo.92】(初回登録:2023/10/28)
コミック原作のOVAで2001-2002年作品。全4話。
交流ある「お茶さん」のレビューが琴線に触れたので、どんな作品なんやと。
>ガッツリと心をえぐってくる怪作(改題前)
なるほどこれは・・・

(ストーリー)
大谷ゆりは第9小学校に通う6年生。
この世界は度々エイリアンが飛来してくるので、学校には「エイリアン対策係」
が存在し、ゆりはその係に選ばれてしまう。
「エイリアン対策係」とは
・「ボウグ」と呼ばれる共生型エイリアンを頭にかぶり、学校に出没するエイ
 リアンを撃退・捕獲
・他のクラスから
 ・川村くみ:優等生でしっかり者。(ずっとやっていた学級委員長に嫌気が
       差し、それを辞めるために自ら志願)
 ・遠峰かすみ:天真爛漫な性格ながらも文武両道の天才児。(好きで志願)
優秀な2人に比べ臆病で泣き虫なゆりは、お荷物状態ながらも辞めることも許さ
れず、時には叱咤され、時には友情を育みながら活動に励むのだった。

(評 価)
ジャンル的にはSFダークファンタジーの部類に入るんですかね。
JSの緩い日常にエイリアンを登場させ、「鬱アニメ」的な展開をぶっ込んで
くるみたいな。

・原作愛が高じてアニメ化されたような作品
 率直な感想がコレですね。
 {netabare}・人気作だからとかヒットが期待できそうとかではなく
  (って当時のことは知らんけどw)
 ・逆に尖った表現等クリエイター魂を見せるといった気負いとかでもなく
 純粋に「ワイ、この作品めっちゃ好きだからアニメ化しちゃうぞ♡」みたいな?!
 原作愛を感じる制作陣の仕事ぶりだったなあっと。
 (って原作は知らんけどwそういう空気感がある作品かなっと) 
 視聴後の感想としては「鬱アニメ」なので、(ある意味気分は最悪ですがw)
 それ以上のモノが残るって感じですね。{/netabare}

・いろいろとバランスが絶妙
 「鬱アニメ」だからといって、ただ単に「胸くそ絶望展開」を見せればいい
 というのではなく、きちんと面白い作品として成立させるために、いろいろ
 と考えられているなっと。
 {netabare}・JSという設定が絶妙
  例えばこの世界の教師は何か企みがあり、対策係には厳しく当たります。 
  そんな先生は絶対的で逆らえないという従順さ(絶望具合)がいかにもJS
  らしい。
  そしてエイリアンとのバトルシーンなども、JSだからこそ少し緩さが生ま
  れ、この作品として収まりのいいシリアス加減になっているという印象。
  また全体を通して、まだ中学に上がる一歩手前の心の不安定さや純真さ具合
  等も上手く織り込んでいるなというのを感じますね。
 ・ボウグ(共生型エイリアン)のデザイン等が秀逸
  他のエイリアンはそれなりに敵っぽいデザインですが、このボウグは
  ・JSが頭にかぶったときどう見えるかを計算した「キモカワ」具合が絶妙
  ・戦闘形態といった「機能美」的な描写も秀逸
  ・JSと会話出来るのだが、その性格(作品での立ち位置)も巧み
   (ついでにCV:中尾隆聖さんがこれまた名演)
  作品のキモとなるだけに、本当によく考えられているなっと。
 ・陰と陽の使い分けも上手い
  キャラデザや(一見した)世界観は緩い感じなので、鬱展開(陰)だけでなく  
  ・その辺を活かした(陽)の描写だったり
  ・その(陽)があるから次の(陰)がまた映える
  というバランスも上手く取ってるなという印象ですね。{/netabare}

・その他補足
 「鬱アニメ」×「エイリアン」ということで、酷い展開や絶望感、グロ描写
 が多く、この時点でかなり視聴者を選ぶ作品ですが、
 {netabare}・振り返ると主人公ゆりのシーンの8割位は「涙目」描写だったのではw
  しかもグズグズ・ウジウジって感じで結構イライラが募る。
  → でも作品としてはベターな描写になるのかなあ。
 ・原作は完結しているらしいが、アニメは途中で終わる。
  → 個人的には、これはこれで余韻を残す終わり方でアリかなあ。
 ・あとOPはキャラソンなんですが、1話目は微笑ましく聴いてましたが、
  2話目以降は冒頭の歌詞
  「~普通じゃない朝が来て~ナイフが刺さったハートが疼く~♪」
  に何気に心が削られるんだよなw{/netabare}

個人的には
・好みかどうかでいえばあまり好みではないが
・面白かったかどうかでいえば、結構面白かったなあ
・客観的には4話であの完成度はかなり評価できるのでは
という感じですかね。
原作のよさもありますが、制作陣はホントいい仕事してるなと思います。

こんな作品、自分じゃ絶対手を伸ばさないだろうから、心を動かしてくださった
「お茶さん」には感謝ですね。

(追 記)
>原作愛が高じてアニメ化されたような作品
まあ原作は一定のコアなファンがつきそうなんだろうなって印象ですね。
・他の方のレビューを拝読するとやはりそんな感じ。
・原作は本編3巻を始め、続編の中学編やその後日談が連載されるなど、それなり
 に支持されてた様が伺える。
いうても、そういう背景もあったからアニメ化にGOサインが出たのかなっと。

>個人的には、これはこれで余韻を残す終わり方でアリかなあ
下書き後、YOUTUBEに原作のネタバレがアップされてたので視聴したのですが、以降
の話も面白そうだが、「OVAは敢えてここで止めておく」という「制作陣なりの美学」
だったのかなあって感じもしましたね。
(単純に売り上げ等で撤退しただけかもしれんけどw)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9

woa さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

エイリアン=人間になるということ

2001~2002年発売のOVA、全4話。

エイリアンと共生することになった小学生3人の大人へと変わる際の危機的な心理を描く。エイリアンそのもののグロテスクさとその死に際に飛散する血液が小学生の主人公たちに降りかかる様は、需要者層の特殊な嗜好の気味悪さも表しており、二重の意味で不快である。

作中世界において校庭にそびえたつ宇宙人の巣(?)と小学生の日常が調和しているように、主人公たちの心理は異質であり超現実的と思われるが、同時にかすみが自分の兄の偶像をエイリアンに見出していることから、我々視聴者の方も異星人なのかもしれない。ただ主人公たちエイリアン対策係がその活動にいそしむ間、普通の生徒たちはシャッターに守られながら学習を続ける様を見るに、やはり主人公たちの心理も非日常なのだと分かる。

この作品の面白さは本来シャッターに守られて普通の日常を送る側の人間であるゆりが、多数決原理によってエイリアン対策係に任命されてしまうジレンマや緊迫感を味わう不条理だろう。自ら立候補した他の二人と違い、ゆりは対策係に対して、ただ忌まわしい仕事として認識するのみで、良くも悪くも思い入れがないのである。勿論、かすみの好きであるという感情やくみの保護者的存在に支えられて、肯定的に自分の仕事をとらえ直そうとするが、結局その再定義も挫折してしまう点、エヴァに酷似している部分があるように思える。

そのため、共生しているボウグというエイリアンとのET的なコンタクトも成功しているとは言えない。

例えば夏休みが終わることで、夏休み中に育まれた人間関係が一旦リセットされてしまう経験を誰しもすると思うのだが、新学期早々生じた友情関係の破たんの際にゆりがくみとかすみの諍いに対してどちらにも与さずみんなで一緒がいいと言うのは、異質なものが持つ本質的な分かちがたさではないだろうか。

また毎回物語の構造を象徴するかのような夢を主人公のゆりは見るのであるが、彼女が日常で強く感受したと思われる印象の連なりは物語そのものと同じく何も核心にいたる事実は提示してくれないのである。

分かっている事実だけで言うと、最終話のEDで彼女たちが迎える末路は、凄惨であると同時に些末的なものである。結局、ゆりの夢オチとも思える終わり方はどのような結論も求めさせてくれないが故に、絶望的なのだ。

終わり方も相まって、いわゆる胸糞アニメなのであるが、先ほどもいったゆりの夢の中において、あたり一面綺麗な花畑で各キャラクターが唐突な問いや問題を語り掛けてくる不可思議な情景は、そこだけでも見る価値があると思われる。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5

お茶 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ズレが生み出す雰囲気

[エイリアン9]

全4話。クラスの中でエイリアン対策係となって3人の少女で(奴隷化=エイリアン化を実は目論まれてる)、次々学校に現れるエイリアンと戦うお話。とりあえず第一印象はこれは名作の予感と感じた。頭に味方側のエイリアンを装備して戦うのです。旧作風でありいい意味で凡庸で、カワイイ、のほほ〜んとした作画との、エイリアンの画とCGは怖いでもなく気持ち悪いでもなく、ウー・マ生物の雰囲気を出していい意味で浮いている風な所がギャップがありシュール。JCとは思えない画力。

エイリアン討伐時は授業を休んで戦うし、倒せない場合は夜通し。子供向けアニメのようで子供には見せてはいけない内容。4話でしかもこれからって所で終わったのが悔やまれます。そもそもかなり端折っているし説明もナッシングwでも惹きつける魅力を持った作品なのは間違いない。画面の切り替えとサントラは見事。サントラ集はプレミア価格が付いてるみたいです。しかしながらテーマ性を含んでいる事は確かなのですが妄想しないといけない演出止まりが難点。

何でも先生が敵エイリアンのようで(ここら辺の説明不足も難)ひたすら無理強いをしてくる体罰教師なの?とも思った。それとも嫌なことを続ける先に何かアル的なものかと期待してましたがハズレ。エイリアンが心を持っていて、先生が敵らしいのでそこら辺を+して本作を視聴してみると案外これはよさげとも感じた。まあ三人の少女が酷い目にあいます。バトルは単調ではなく小型、大型と色々出てくる。バトルは陰湿でもあり、まるで昆虫採集のようでもあり、逆に採集されてる節もあるし、主人公は泣きじゃくる。

全体通して1話1話の世界観のズレ、エイリアンと人間と学校の画のズレ。場面の焦燥感とサントラのズレ。もうズレにズレて堪らなくシュールな雰囲気。雰囲気だけでも味わえる一品。謎や続きの部分は原作買えと言わんばかりの作品でありんす。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 22
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