商取引おすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの商取引成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月05日の時点で一番の商取引おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

89.4 1 商取引アニメランキング1位
狼と香辛料II(TVアニメ動画)

2009年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (2977)
16148人が棚に入れました
旧作からキャラクターデザイン担当と制作会社を変更しつつ、続編として制作された電撃文庫の人気ライトノベル原作アニメ第二弾。ホロの故郷を探すロレンスとの旅は、いつ果てるともなく続く。そんな彼らは道中で若き商人アマーティと出会うが、彼は清楚な修道女の振りをしているホロに一目惚れしてしまい、ロレンスを相手に彼女を身請けするよう持ちかけてきた。そんな折、些細なことで仲違いしてしまったホロとロレンス。あろうことか、ホロはアマーティに知恵を貸しているらしい。楽しかった二人の旅もこの地が終着点になってしまうのか? 原作の長編2作を映像化。アニメシリーズの前作は活劇要素も多彩だったが、今回はより会話劇と商取引の駆け引きに特化した内容となっている。

声優・キャラクター
小清水亜美、福山潤、千葉紗子、小山力也、笹島かほる、渡辺明乃、朴璐美、内田夕夜、豊崎愛生
ネタバレ

いしゆう さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

わっちは この旅の続きをもっと観たいでありんす!

あらすじはあにこれを参照ください
放送時期:2009年7月~9月

Ⅰ期からの続編です。

〇物語
行商人(ロレンス)とヨイツの賢狼(ホロ)
この二人の旅の続きを また観られるなんて とても嬉しい♪。

行商をしながら色々な町を巡る展開は変わらず
町によって特色が異なる点も 観ていて飽きないですし毎回新鮮でした。

商人のロレンスが 行く先々で売買をするのは Ⅰ期から同じ
Ⅱ期は{netabare}”投資話 人身売買 信用売り”等{/netabare}色々な
専門用語が出てきて 正直難しい 
例えると 旅が進む毎に難易度を増すRPGのような感じ
ホロとロレンスが難局をどう乗り切るか 見所の一つです。

また 各地に存在する年代記作家から
ホロの故郷 ヨイツに関することが 少し明らかになります
伝承で出てくるアレ{netabare}(月を狩る熊){/netabare}見た目怖すぎ!

こういうファンタジー要素も魅力の一つですよね
クメルスンに住む{netabare}ディアナ{/netabare}も雰囲気ありますし
中世ヨーロッパの背景とファンタジーって相性最高ですよね。

ホロとロレンスの恋愛要素は Ⅰ期よりハードルが上がってます 
お互いの信頼を試す内容で 特にⅡ期はロレンスの成長過程が観られます
{netabare}アマーティ{/netabare}との決闘ではオロオロしながらも
自分の気持ちに正直になりホロの為行動する姿 応援したくなります。

また港町レノスでは 
お互いの気持ちが通じ合う瞬間が観れます。{netabare}
自己犠牲ともいえるホロの行動 最悪”大狼”になれば解決・・でも
そういう事じゃないんです”ロレンスの為”なんですよね
そしてロレンスがとった決断と行動 カッコ良すぎ! 
二人の成長した関係が観れてよかったです。{/netabare}


〇キャラ
Ⅰ期のレビューはホロの魅力を書いたので今回はロレンスを紹介します

博識であり 難局を商人の知恵と感覚で越えていく様はまさにできる男
ただ 商人としては凄いのに 反面女心の方はまだ良く分かっていない 
だから 勝手な解釈をして苦しんだり 少し子供みたいな所もありますが
まぁ そこも含めて とても分かり易くて可愛い人なんです。

ホロと交わした”目的地まで一緒に旅をする”約束を決して反故にせず
どんなに辛い試練も受けて立つ度胸と人柄はカッコいいの一言!
Ⅱ期はロレンスに多くスポットが当たってます 存分に魅力を感じて下さい

今回ロレンスの紹介でしたが
キャラでしたら やっぱりホロですよね
Ⅰ期と被る部分もありますが書いてみます。

何百才も生きてきた賢狼で 
長年パスロエ村に麦の神をしていた過去を持ち 
知識も豊富 的確な観察と洞察を繰り出し常に最適の答えを知っている
他にも動物と会話が出来たりする・・など

そんな完璧な賢狼ですが 
ロレンスの前では 子どものような無邪気さが表面に出たり
大食いで 深酒しては二日酔い・・・ 
このギャップこそがホロの魅力なんですよね 
本当に表情がコロコロ変化して可愛いです。

加えて ホロの豊かな表情から発する 花魁言葉 
相変わらず強烈 前作同様 一度聴くと しばらく耳から離れません 
”わっち””たわけ””してくりゃれ” 
思わず 日常心の中でつぶやきたくなるで”ありんす”♪


〇二人の関係
Ⅰ期では 誰が観ても分かり易いくらい 
ホロの手のひらで踊らされていたロレンス

そこは Ⅱ期でもあまり変わりません
ただ 二人の距離感はⅠ期とは違うように感じました。 

クメルスンとレノス この二つの街を旅する中で 
二人にどんなイベントがあり どう変化してくのかは 
その目でご確認ください。


〇感想
ネタバレになるので詳細は伏せますが
Ⅰ期が好きな方にはおススメ Ⅱ期も期待を裏切りません!
心地良い世界観にずっと浸っていたくなりますよ♪
{netabare}
ホロとロレンスの会話の掛け合いもⅠ期からパワーアップ
お互いを大事に思う気持ちが言葉の端から伝わちゃって もう勝手にして♪

どんなトラブルに巻き込まれても 壊れない絆は
この二人の関係性が とてもシンプルで明確だからなんでしょうね

ただ 賢狼ホロは 過ぎていく時間が人と違うとか・・・
”孤独は死に至る病じゃ”そう呟くホロがロレンスと
”今”を大事に楽しんでいるところは 少し切なく考えさせられました。
{/netabare}
Ⅰ期に続き Ⅱ期も 一気見しました 
理由は Ⅰ期の時と 全く同じ 
1話1話楽しむより 物語の先の展開を早く知りたくて
Ⅰ期は結局 細かい所が気になり 2周しました
どうやらⅡ期も同じ道を辿る事になりそうです。
  
最後に一つ気になることがあります それはこの時点でⅢ期が無いこと! 
{netabare}ラスト まだ続く感じの雰囲気ありましたよね?{/netabare}
でも 期待して待っています。


以上 最後までお読み下さりありがとうございました。
  



 

投稿 : 2024/11/02
♥ : 56

みかみ(みみかき) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

気恥ずかしくなるほどのバカップル・アニメ

いや、いいんです。いいとは思いますよ。一期から、ひきつづき商人リアリティ全開で、先物とか信用売りとかいろいろとやってくれて、日本のサブカル界隈におけるきわめて貴重な立ち位置を継続して保ってくれていて、本当にすばらしいと思っています…よ。

……しかし、しかしだ…
…なんだ、このバカップルどもは…っ!!!
 
 「ホロ可愛い」「ロレンスさんかわいい」
 という声が多数聞かれるのも納得の、恋愛初期のうろうろバナシ。ええ、かわいいと思いますよ。思いますとも。
 恋愛描写というのは、少女漫画とかの恋愛マンガってほとんどが恋愛初期のウロウロばなしなわけで、こういう恋愛の初期のプロセスが一番萌える、っつーのは、よくわかるわけです。しかし、それにしても、これはさすがに、中高生の恋愛ではあるまいか、と三十路も越えた身の上としては思うわけです。
 何が、「賢狼」なのか…!寂しがり屋のどこにでもいる小娘以外の何者でもないのではなかろうか。
 ロレンスさんがかわいいのはまぁ、いいよ。

 ほどよく中二がまぶしてあるファンタジーアニメとしての程よさ、という点からいえば、この味付けは非常にうまいのかもしれません…が……いやー、こうきたか、ここまで露骨にこっち方向に舵を切ってきたか、としみじみするものがありました。

 実際、商人の先物だの、信用買いだの相場がなんちゃらの話だけで、ワンクールもたそうと思うと難しいのはよくわかるわけです。相場なんちゃらの部分の話は、なんかわかりにくいもの。視聴者ほんとにわかってるのかどうか、謎だもの(いっそのこと、図解とかしてもらったほうがいいのでわ)。

 まあ、だからこそ、裏切りだとか、ドタバタハプニングとか、生命の危険に関わる事件とか、恋愛とか、恋愛とか、恋愛とか、そういった「味付け」によって作品を構成しなければいけないわけで、そのことはよくわかります。ある程度、作り手の側でも自覚的にやっていらっしゃるのでしょう…が、しかし、それにしても、この驚異的なバカップルっぷりは、さすがに近年まれに見るバカップルでありまして、いやぁ…なんとやら。
 中途半端なラブコメもびっくりの、「おまえら、もう、わかったからさっさとくっつけよ…!」展開。

 トータルに言えば、面白かったし、曲もよかったし、いいものだったといって、いいと思っておりますが、それにしても、終始、気恥ずかしい…。

 あるいは、あれだ、ほら。『モテキ』。
 いい年して、こういう恋愛しているのは別に悪いとは思わないし、これはこれで、とても素敵なことだとは思う…けれども、物知り顔の人間が、こういうことやっているのはさすがに、突っ込みどころおおすぎて気恥ずかしすぎる。なので、おまえら、『モテキ』の主人公の藤本みたいな恋愛ヘタレ野郎っぽい感じの演出になっちまいなよ…!
 そんなことを思った次第です。

■よかったセリフ

ちなみに、II期のなかで個人的に一番、いいセリフだな、と思ったのは、
「彼は、騎士かもしれない。だが、俺は商人だから、横のつながりを利用することは恥じないし、商人は商人の戦い方がある。騎士にとっては、卑怯かもしれない」
というセリフ。
こういうセリフがさらっと出てくるアニメは本当に貴重で素晴らしいと思っております。このぐらいの言い回しの水準のものがさくさくと存在するような状況になってくれると、日本のアニメは本当に豊かだな、と思えます。

■本作がベタに好きな人は、現代なら、商社マンになると良いのでは。

 なお、本作で描かれるような商売を好きな人は、現代でいうのならば「商社マン」になる、というのが一番近いだろうか。先物買いだの、空売りだのの投資だといったタイプの商売は、現代においては超高等数学を駆使した証券マンたちの世界になっているため、商社マンの商売がたぶん、いちばん近いだろう。
 本作を、経済・経営と結びつけて議論している人がいたが、いわゆる経済学・経営学を学んでも本作のような感じとはまったく違う世界観ので。

 わたしは、こういうタイプの商売人の感覚というのはあまりよくわからん。こういう商売人の知人と飲んでいても、細かい話やら、勘所がよーわからんし。
 相場感を読んだり、契約をいじったり、投資したりしながら、生きるのではなく、わたしはやっぱりこういう仕事の勘所はぜんぜんわからんよなぁ、というのを見ながら思った。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 18
ネタバレ

たつじん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

前作とちょっと違うテイストで

前シーズンに比べ、このシーズンではロレンスとホロの恋愛感情が多く描かれています。
その心理を表す言葉は各話にちりばめられていて・・・
とても意味深で印象に残ります。

では、ここでその印象的な台詞とともに感想を・・・。
{netabare}
1話 狼とふとした亀裂
ホロ『孤独は死にいたる病じゃ』
旅の途中からひとりで故郷に帰れないかとロレンスに言われたホロ。
寿命が異なるがゆえに、いつまでも彼と過ごすことは出来ない・・・
人間と狼の一生の長さを痛感してしまい、ホロが思わず呟いてしまいます。
その亀裂は「夢見る男性」と「現実を見る女性」との亀裂にも見えますね。

3話 狼と埋まらない溝
ホロ『ぬしはわっちの何じゃ!いや・・・わっちはぬしの何じゃ!』
自分の帰る場所がないと知ったホロが叫んでしまいますが、ロレンスはこの問いに対して思わず口ごもってしまいます。
それでもたたみかけるホロに、ロレンスは『しゃべるな!』と怒鳴ってしまいました。
相手にとっての自分の存在を問いかけられても即答できない・・・
人間と狼の溝というだけでなく「男女の気持ちの溝」を感じてしまいます。

6話 狼と信ずべき神
ロレンス『・・・それでも俺はお前と旅がしたい』
決死の思いで、アマーティからホロを取り返したロレンスの言葉です。
この旅という言葉には「人生」という意味も汲み取れました。
商人を天職とすることを決意しながら、その人生を「ホロとともに生きていきたい」というロレンスの決意を感じとれました。

8話 狼と蠱惑的な旅人
ホロ『困っておらぬならのんびりせぬか・・・?わっちはそうしたい』
ベットの中からホロがロレンスの手をとりそう言って目を閉じます。
楽しい時をずっと一緒に過ごしたいというホロの本音ですね。

9話 狼と無謀な商談
ホロ『ぬしはその身勝手な独占欲に、どう整理をつけるかや?』
お互いの気持ちを知りながら、その結末をどうするつもりかを探ろうとするホロの言葉です。

ロレンス『その気持ちに整理などつかない・・・ただしそれには自己嫌悪をともなう』
ホロの立場であればと言いながら、自分で決断できないロレンスの臆病な一面でしょうか?
相手に決断を委ねて、それに従ってあげるのを優しさだと勘違いする男性。
そんな自分のことを頼りにしたり思い悩む女性の姿を、愛おしく思える・・・男性心理そのものです。

11話 狼と別れの決意
ホロ『わっちは怖かった・・・この楽しさを加速させる・・・ぬしの優しさが』
楽しい旅の最後に訪れるものは・・・
所詮は結ばれない二人であるがゆえ、ホロはこの出会いに終止符を打とうとします。
ホロが別れの決意をロレンスに告げる言葉でした。

12話 狼ととめどなき涙
ロレンス『望んでも手に入らないかもしれない・・・だが望まなければ絶対手に入らない!』
ロレンスがホロを抱きしめながら言います。
商人として儲けることよりも大切なもの・・・
それは旅の伴侶、すなわちホロだという告白の言葉でした。{/netabare}

このように人間と狼の恋愛を描きながら、そのなかで揺れ動く男女の心理が巧い台詞で表現されていました。
前シーズンとちょっとテイストは違いますが是非観ていただきたい作品ですね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17

89.4 2 商取引アニメランキング2位
狼と香辛料(TVアニメ動画)

2008年冬アニメ
★★★★☆ 4.0 (4753)
23403人が棚に入れました
旅から旅へ各地を巡り、物を売り歩く行商人として生きるクラフト・ロレンス。
収穫祭に沸くパスロエの村へ行商に訪れたロレンスはその帰り、自らの荷馬車にとんでもないモノが入り込んでいたのを見つけてしまう。パスロエで仕入れた麦束に混じって眠りこけていたのは、獣の耳と尻尾をそよがせる美しい少女だった。
自らを『ヨイツの賢狼』ホロと名乗り、長いことパスロエの麦を豊作にするため手を貸していたと嘯く少女。左前脚だけとは言え狼としての姿まで見せられたロレンスは、ホロの素性を訝りながらも「遙か北の故郷に帰りたい」と願う彼女を旅の道連れとすることになる。
賢狼と行商人の軽妙洒脱な掛け合いに彩られた、彼らの行商模様と道中での様々な事件を描く、「剣も魔法もない」ファンタジー・ストーリー。

声優・キャラクター
小清水亜美、福山潤、名塚佳織、中原麻衣
ネタバレ

フリ-クス さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

Of Walls and Eggs(壁とタマゴ)

昨年の2月25日に『完全新作制作決定』の報が出てから、
まるっと一年間、放置プレイが続いている『狼と香辛料』であります。
なんかもう、ここまで徹底的にほったらかされると、
  ほんとうに作ってくれたらラッキー
みたいな賢者タイムに入っておられるファンもけっこう多いのでは。

  二期の放送が終わってから、もうじき14年ですものね。
    はいはい、あと一、二年ぐらい待ちますよ。
    どうせ権利処理だのなんだのでフリーズしてるんでしょ、
    待ってたげるから好きにやったんさい。
  と言えるぐらいには、視聴者もみんなオトナになっているわけで。
  
まあ確かに前作、一期二期のアニメは、
権利処理という観点からも、かなり興味深いものでありました。
僕はこの作品について考察しようとすると、
系統や完成度が真逆なんですが、
ずっと昔に作られた村上春樹さん原作の映画を思い出してしまいます。

はあ? なにいってんだおまえ。

そんなふうに感じられる方が大半でしょうし、
本編の評価にはぜんぜん、まるっきり関係ないことなので、
そこのあたりはネタバレで隠しときますね。
けっこう長いので、
権利処理や製作業務に関心のある方だけ、どうぞ。
{netabare}

いまや日本文壇の重鎮みたくなっている村上春樹さんですが、
デビュー作はかなり古くて1979年、
群像新人賞を受賞した『風の歌を聴け』という中長編であります。

実はこの作品、大森一樹監督の手によって1981年に映画化されておりまして、
なかなかにすさまじい仕上がりになっております。
原作ファンの方も未読の方も唖然ボーゼン、
舌打ちをしつつ上映中にこぞって席を立っちゃいそう、みたいな感じです。

  ちなみに村上春樹さんご自身は、この映画に対して

    僕がこの映画で個人的に評価するのは、
    大森くんが「後先考えず」にとでも言えばいいのか、
    とにかくやりたいことを若々しく、自由にやってくれたこと、
    そして(中略)個性的な三人の若い俳優を起用し、
    生き生きと上手に動かしてくれたこと、その二点だ。
    僕がこの映画に関して言いたいことは、そこにつきると思う。

  というように述べられています。いやあ、大人そす。

この春樹さんのコメントで注目すべきなのは
  『やりたいことを若々しく、自由にやってくれたこと』
を評価している部分だと拙は個人的に思っております。

小説やマンガなどの『版権(原作)モノ』を映像化する場合、
制作者が配慮しなくてはならないポイントは以下の二つです。

  ① 著作権者監修
  ② 原作ファンの心理

このうち①は、ほんとに『絶対的』なものでありまして、
原作者が映像について「こんな改変・演出は認めない」と言ったら
上映なりOAなりができないことがホーリツで決まっております。

  万が一、制作がやらかしてくれたら、
  著作権者との間にハサまれた製作スタッフが、
  痛む胃をさすりながら両者間を走り回ることになります。

  ですから、春樹さんみたく
    自分が書いたものと映像作品は別物だと理解しております。
    それを承知で作品をお預けしたのですから、
    どうぞ監督さんの思うままご自由になさってください。
  という姿勢の原作者さんは、ガチで『神様』みたいなものでありまして。

  もちろん、できてきた映像を気に入る・入らないはあります。
  だけど、それと『許諾する・しない』は別のハナシ。
  そこんところを理解してくれない『不安定な神様』も多数おられます。

   だったら最初っから映像化許諾すんじゃね~よ、とか、
   てめえで監督しろってんだつったく、なんてのは
   製作・制作を問わず、この業界定番のグチなんじゃないかしら。

  しかしながら『あきらかに制作がワルい』というトラブルも多々あり、
  そこんところはケ-スバイケース。
  とにもかくにも、菓子折りがたくさんいることだけは確かであります。


これに対して②の『原作ファンの心理』というのは、
ホーリツ的にはなんの保護もされていない、しかも曖昧なモノでして、
製作サイドとして極論をするならば、

  板さえ売れてくれればビジネス的にはどっちでもいい

ファクターであると言うことができます。

ただし、大枚をはたいて映像化するということは、
その原作ファンが『劇場に来てくれる・板を買ってくれる』
ということを当て込んでいるわけであります。

ですから製作的には、なるべくなら原作のテイストにそったカタチで、
言っちゃえば『無難』なモノづくりをして欲しいのですが、
そうそう思い通りに動いてくれないのがクリエイターという生き物でありまして。

  もちろん、尺や話数のカンケイで、
  プロットを足したり引いたりするのは『あたりまえ』のことです。
  (それでも『約ネバ』みたく大ブ-イングになることもあり)

  それ以外にも、監督がアクの強い方で、
   ・この作品はこうした方がゼッタイ面白くなる。
   ・ファンが何を言おうが、オレはこの作品をこう解釈する。
  みたいに突っ走ったりした日にゃあ、
  それが原作ファンに受け入れられることを祈るしかありません。
{/netabare}

相変わらずマクラが長くて恐縮ですが、
僕がどうしてこんな狭い内輪話を書いているかというと、
本作『狼と香辛料』が、

  原作とはまるっきりイメージの違うモノ

であり、それがファンに受け入れられた好事例だからであります。
(村上春樹さんの映画とは真逆の事例ですね)


物語の舞台は、中世ヨ-ロッパ風の架空世界。
架空と言っても、魔法使いだの悪魔だの妖精さんだのがいるわけでなく、
国名などがオリジナルなだけで、
かなり現実世界に近い設定になっております。

その世界で、旅の行商人クラフト・ロレンスが、
何百年と生きていて少女に姿を変えられる賢狼、ホロと出会います。
ロレンスは、故郷の村に帰りたいというホロの願いを聞きいれ、
二人で行商の旅をつづけながら、
その故郷の村『ヨイツ』を探すこととなります。

旅の途中で魔物を討伐するとか巨悪組織と敵対するとかは全くなくて、
お話の中心は平たくいうと『行商よもやま話』、
ロレンスが巻き込まれる商売トラブルのあれやこれやがメインになります。

通貨変動だの為替だの相場だの関税だの信用取引だの、
いわゆる『ケーザイ』のイロハ、
商取引の仕組みを物語にうまく取り入れた、かなり斬新な作品ですね。
内容的には初級レベルなんですが、
時代性、法整備や通信技術が未発達な世相がうまく組み込まれており、
けっこう興味深く楽しめる仕上がりになっております。


原作は支倉凍砂さんのライトノベル。
本アニメの元となった『狼と香辛料』シリ-ズは17巻で完結し、
いまは『新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙』というのをやっているそうです。
(ごめんなさい、読んでません)

大本となる『狼と香辛料』シリ-ズも何冊か読んだだけなのですが、
支倉さんは14歳から小説を書きはじめ、
16歳からいろんな文学賞に応募していたというキャリアの方だけあって、
ヘタベタ表現やこっぱずかしい直喩、ムダ長文などがなく、
わかりやすくてサクサク読める、楽しい作品だったと記憶しています。

  特徴的だと思ったのは『心理描写』がすごく多いということ。

  二人称で書かれているにもかかわらず、
  たとえばロレンスが何をどのように、どのぐらい強く思ったのか、
  みたいなことがストレートに表現されており、
  行間を読むスキルがほとんどいらない書き方だなあ、と。
  (もちろん読者層に合わせてるんだと思いますが)

そして同文庫のイラストは、文倉十さん。
ちょっとジュニアっぽい印象の、
少しメルヘンっぽい、かわいらしい絵を描く方です。

この支倉さんの書き方と文倉さんのイラストを組み合わせた印象は、

  可愛らしいキャラクターが、
  わちゃわちゃと楽しい会話をしながら旅をして、
  おカネに絡むいろんな事件に遭遇したり巻き込まれたりする物語

みたいな感じではあるまいかと(もちろん拙的な主観ですが)。
で、アニメの方はどうかと言いますと、

  しっとりとした情感のある、メリハリが効いた大人のビジネス寓話

みたいな感じに仕上がっております(いや、これも拙的な主観ですが)。
それぞれが面白い作品ではあるのですが、
そのテイストというか、受ける印象がまるで違うんですよね。


そのように印象が異なる要因は、大きく分けて三つあると僕は思っています。

  一つめは『余分なモノローグの排除』。
  二つめは『キャラデの大胆な変更』。
  三つめは『役者さんのお芝居』。

まず一つめの『余分なモノローグの排除』ですが、
これは文章作品を映像化するときに、多く見られる傾向ですね。

  表情、仕草、明暗、背景、アングル、SEなど、
  映像作品には心理を描写する方法がいくらでもあるわけですから、
  いちいち心情解説的なモノローグを挟む必然性はありません。  

  本作におきましても、
  ストーリーの進行上でどうしても必要な場合を除き、
  蛇足と呼べそうなモノローグが可能な限り排除されています。

  それが適切な『間』と『タメ』をつくり、
  手とり足とり何でも解説で少しジュニアっぽかった原作とくらべ、
  オトナ向けの映像作品にシフトさせているんです。よき。

    もちろん、ひたすらモノローグを削除すればいいというわけではなく、
    本作とは真逆の『涼宮ハルヒの憂鬱』みたいな成功例もあり、
    あくまでも作品の総合的なチュ-ニングのおハナシなのでありますが。


二つめの『キャラデの大胆な変更』は、正直、すごいです。

  文倉十さんのタッチを踏襲してアレンジするのではなく、
  『ヴァンドレッド』『怪物王女』などで有名な黒田和也さんに、
  ほとんど一からキャラデを依頼して、
  全く別モノと言っていいキャラビジュアルを立ち上げました。

  これ、口で言うのはカンタンなんですが、
  版権サイドにキャラデ変更を通すのってホント大変なんです。
  なんせ『原作を売るために』アニメ化をしているわけですからね。
  ましてや、版元が悪名高いカ〇カワですから。
  いやほんと、よくもまあ通したもんだみのもんたよしのり(←死語)。

  さすがに文倉さんに気を使ってか、
  EDは画も音楽も、原作のイメージそのまんま。
  逆に言うと、
  キャラデ変更してなかったら本編もあのイメージになっていたわけであります。

  もちろん『そっちの方がすき』な方を否定はいたしません。
  いたしませんが、あくまでも拙的には、
  変更したからこそ、このしっとりした世界観が出せた、
  アニメ作品として成功する大きな要因になった、と愚考する次第であります。
  (文倉さんファンの方々、ほんとごめんなさい)


三つめの『役者さんのお芝居』は、小清水亜美さんと福山潤さんが無双しております。

  そもそもヒロインのホロは何百年と生きている賢狼ですから、
  役作りがきゃぴきゃぴ少女じゃ『おかしい』んですよね。
  それなりの落ち着きと見識を兼ね備えたキャラじゃなきゃイケナイわけです。

  だからといって『熟女・おばはん』に振るのは、アニメ的にアレ。
  ヒロインというのはあくまでも魅力的で、
  視聴者を惹きつけるキャラじゃないといけません。

  このジレンマをものの見事に解決したのが、小清水さんの役作りですね。

  ソプラノボイスで語られる「わっち」「主さま」「ありんす」などの廓言葉は、
  かわいらしいんだけど、その奥にはっきりと『艶』が感じられてよき。
  この『かわいいくせに艶がある』お芝居って、ほんとに難しいんですよね。
  理屈じゃなく感性的な領域で役を深くとらえていかないと、
  なかなかこういった役作りに辿りつけません。

  そして、単に『感性任せ』で押し切るのではなく、
  それをきちんとカタチにしていく『技術』があるところがハラショーかと。
  シ-ンや感情に合わせて緩急をつかいわけ、
  冒頭と末尾の音の強弱によって微細な心の波を表現するなど、
  ものっそい丁寧なお芝居が、ホロというキャラを際立たたせています。

  そして、そのホロを受け止めるロレンス、福山さんの役作りも実によき。

  原作設定では20代後半ということになっていますし、
  エラそうなこと言うわりにミスったり日和ったりするキャラですから、
  もっと若々しく演ってもよかったんです。

  だけどそうすると、物語が軽くなる。
  そして、ホンモノの若造をホロが『若造呼ばわり』したところで、
  ホロの『何百年と生きている賢狼』っぽさがちっともでません。

    中世で20代後半なら、子供が三人いてもおかしくない『おっさん』です。
    その『おっさん』を口先で煙に巻き、手玉に取るからこそ、
    ホロの賢狼っぽさというものが浮き上がってくるわけでありまして。

  だからといって、ホンモノの『おっさん』みたく演じるのはホビロン。
  それなりの知識と経験を蓄えいっぱしの商人面をするも、
  ときおり『若気』が顔を出してしまうビミョーなお年頃であるわけです。
  このあたり、
  福山さんがほんとうまくチュ-ニングしているなあ、と。
  
  いまでこそ原作を読み返してみると、
  小清水さんと福山さんの声がアタマのなかに蘇ってきますが、
  ゼロから読むイメージは、
  文倉十さんのイラストに引っ張られることもあり、
  二人とも、もっと若々しくてわちゃわちゃしている感じなんですね。

  ここのところのイメージ変換、
  小清水さんと福山さんが創造した『若さと渋さが同居するオトナ』の造形が、
  物語に絶妙な深みとコクを与えていると思う拙であります。



僕的なおすすめ度は堂々のAランク。

全てのアニメにきらら的なアレを求めている方々にはちょっとナニですが、
そのへんもホロのケモ耳とふさふさ尻尾で、ぎりフォロー。

  さすがオオカミというか、
  平気でばっぱか脱いですぐまっぱになるところなんか、
  手塚〇虫的なサービスカットと言えなくもなく。

  ホロがロレンスを会話のキャッチボールで手玉に取るところは、
  なんというか『からかい上手のケモ耳さん』みたいな感じで、
  一定の需要は満たしてるんじゃないかしら。

ただ、見どころは『剣も魔法もないファンタジー』の謳い文句どおり、
中世のしっとりとした空気感や、
ホロとロレンスの、こじゃれたふうベタ甘会話、
よく練り込まれたビジネストラブルにおける知略勝負のドキハラ感、
みたいなところではあるまいか、と愚考いたします。


全13話の物語は、大きく分けて三部構成。
出会い編で二話、オオカミバレ編四話、羊編七話みたくわかれておりんす。
ただ、それぞれにテ-マときっちりした起承転結があり、
ショ-トプロットがうまく差し込まれているので、
長いという印象ではなく『ていねいに描かれている』という感じかと。
{netabare}
  最後の羊編は、さらに大きく分けてみっつ。
  ・武具を手にいれてドヤ顔編
  ・相場大暴落で崖っぷち編
  ・羊飼いを巻き込んでの金塊密輸編
  という感じにわけられるので、七話あってもぜんぜん長く感じません。
  
  ちなみに金塊の密輸というのはれっきとした『犯罪編』でして、
  内容的にもチカラワザ。商売どうこうの『知恵』はカンケイありません。
  ロレンスが、自分を裏切った商会の手下に向かって
    おまえたちと一緒にするな
  なんて言ってましたが、基本、同じ穴のムジナでありんす。おまゆう。
{/netabare}

制作は、これが四年ぶりの元請けとなるイマジン。
作画に関しては、超美麗、とまではとても言えませんが、
15年前のアニメとしてはかなり頑張ってます。
全体的にしっとりとした雰囲気がほどよく漂っていて、
違和感なく楽しめる良作レベルかと。

  ただ、何があったのか知りませんが、
  本作を最後にアニメ制作から撤退しちゃうんですよね、イマジンさん。
  (二期は、制作会社が変わっております)
  その後、子会社でエロゲやエロアニメなんかをつくっており、
  なんかよくわかんない感じに迷走されております。


役者さんのお芝居は、既述どおりハイレベル。
小清水さんと福山さんのメイン二人はもちろんスゴいんですが、
わきを固めるキャストもみんな水準以上。
{netabare}
  個人的に好きなのは、羊飼いのノーラを演じた中原麻衣さん。
  ノ-ラって、気弱そうな外見や物言いとはうらはらに、
  けっこう計算高くてしたたかですし、やることもエグいんですよね。
  オンナの強さの体現というか、
  まさに『羊の皮をかぶったオオカミ』でありんす。

  中原さんって何を演らせてもうまいんですが、
  とりわけこういう役どころ演らせたら、めっちゃハマりますよね。
  いやほんと、オンナは怖いです(←差別発言)。
{/netabare}

音楽は、清浦夏実さんが歌うOP曲『旅の途中』が絶品です。
本編で描こうとする世界観とカンペキにリンク、
このOPなくして本作の成功はなかった、なんて強弁してもいいレベルかと。

楽曲のできのよさもそうなんだけど、
ゼロから曲作りをスタートして、
あの原作からこんなにしっとりとした美しい楽曲を作れるって、
なんかすごくないですか?

  劇伴も、古楽や民族音楽ベースの吉野裕司さんに依頼し、
  アコースティック主体で、
  映像にも作品の時代背景にもうまく溶け込んでいて、よきです。

  唯一の例外がEDなんですが、
  これは前述のとおり、原作者・ファンへのエクスキューズかと。
  そのよしあしについては、
  皆さまそれぞれ一言あるかと存じますが、
  権利処理とは、かくも妥協点さがしの繰り返しなのであります。



とにもかくにも一風変わった、
そして見ごたえのあるオトナのファンタジー作品であります。
なろう系ご都合ファンタジーに食傷気味の方も、
  そうなんだよなあ、
  物語って、ホンライはこういうものなんだよなあ、
なんて感じていただける逸品ではあるまいかと。

そして、あの『リコリコ』ではじめて小清水亜美さんを知った方にも、
ぜひに、とおススメしたい、彼女の代表作の一つでもあります。

  12歳から劇団若草に所属していたとはいえ、
  本作公開時は、まだ23歳だったわけであります。
  それでこの表現力というのは、さすが小清水さんとしか言いようがなく。
  基本が完璧にできているうえに、
  役柄を『皮膚感覚的にとらえる』感性がスゴい方なんですよね。


ほんとうに三期があるのか、
あるとしても、一期・二期と同じテイストになるのか、
そこのあたりは、現段階(23年4月06日)ではちょっとわかりません。

わかりませんが、単体作品としてもすごく出来がいいので、
未視聴の方はもちろんのこと、
既に視聴された方も、もっかい見ても損のない作品ではあるまいかと。

  え~~、でもケモ耳なんでしょ?

  なんて思われる方がおられるかも知れませんが、
  そういうアレなご心配は無用です。
  ケモ耳とハサミは使いよう。こっちは正しいほうの使い方ですね。
  決してナニな作品ではありませんので、
  安心してお試しください。
  
    全国のクリエイターを目指すみなさまも、
    ケモ耳は用量・用法を守って正しくお使いくださいませ。


**************************************************************


ここからは、原作とアニメについての個人的な意見です。
本作にはまるっきり関係ありませんし、
あくまでも拙個人の主義主張みたいなものですから、
まるっとネタバレで隠しておきますね。
{netabare}

本作『狼と香辛料』は、原作とのイメージ変換が、
原作ファンにも好意的に受け取られて相乗効果を発揮したという、
けっこう珍しいタイプの成功事例であると拙は思います。

  原作に対して大きなアレンジをした場合、
  たいていは『ちげ~だろ』とか『わかってね~な』とか言われて、
  ネット上でフクロにされる場合が多いんですよね、現実は。

この点に関してはいろんな意見があると思いますが、
僕個人としては、原作という『壁』に向かって果敢に挑んでいくという、
  監督のクリエイティヴィティ
というものをリスペクトしたいと考えています。

冒頭にご紹介した村上春樹さんの言葉をお借りするなら、

  もしここに硬い大きな壁があり、
  そこにぶつかって割れる卵があったとしたら、
  私は常に卵の側に立ちます。

みたいな感じですね(おいこら、なにさまだ、僕)。

ただしそれは『なんでも擁護』という、
バカ親まるだし的な意味で言っているのではありません。
プロの評価はできあがった作品がすべて。
作品が原作と比較してあきらかに『つまらない』ものであれば、
フクロにされるのは当然のことであると思います。

  一部の原作厨の方を除き、原作ファンが怒っているのは
    『原作をかえた』ことではなく、
    『原作のおもしろさを損なった・つまらなくした』
  ことに対してであると僕は思っています。
  より面白くした・付加価値をつけたのなら、ふつうは怒りませんって。

実際のところ『改悪』と呼べる作品が存在しているのは『事実』です。
そこはもう、フクロ、フルボッコでいいんじゃないのかな、と。
それを擁護するつもりも、擁護すべき必然性もありません。

だけど、それにビビッてガチガチのモノづくりしかできないようならば、
それはもう『文化』と呼べるものじゃない、とも拙は考えています。
  『原作を大事にする』ことと
  『原作に媚びへつらう』ことは違うだろ、と。
サカナをブツ切りにしてお皿の上に並べただけのものを出され、
これが『素材をダイジにした料理』です、とか言われても困っちゃうわけですから。
(せめてウロコぐらいとろ~よ、ウロコぐらい)

これからも版権モノのアニメというのは
  「おお、その手できたか」と原作ファンを唸らせるものや、
  「文章やマンガをただ動かした」だけのもの、
  「てめえコラ、ちょっとこっちこいっ」と原作ファンを激怒させるもの、
いろんなものが出てくることかと存じます。

  僕個人といたしましては、
  粉々に砕け散ったタマゴの破片をせっせとホウキで掃きあつめながら、

    まあ、しゃあないよな。
    次、がんばればいいんだから、
    顔だけは、あげとけ。

  なんて声をかけてあげたいと、秘かに思っている次第なのであります。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 23
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

まったり見れるけど、本格的な商売を扱ったアニメ。私とホロがレビューしてみます。

原作未読。
アニメ1期のみでのレビューです。


主人公のロレンスと狼の化身ホロのやりとり、そして行商人としての旅を描いたアニメ。
時代はルネサンス以前のヨーロッパという雰囲気です。

ロレンスは、能力が高く、経験も豊富だが、お人好しな面があります。
ホロは、商売の経験はないものの、非常に鋭い勘をもっていて、人の感情を操ることに長けています。
そして独特なしゃべり方。廓詞(くるわことば)と呼ばれる言葉と現代語の中間のような話し方をします。
何とも美しくて、不思議な魅力をもったキャラですね。

ロレンスもホロも頭の回転が速いです。
その二人が織りなすウィットに富んだ会話、そして距離感が大きな見所です。
ロレンスが前に出たり、ホロが前に出たり、並んで歩いてみたり。
ただ歩いているシーンにも、二人の心情が表れています。
ゆったりとした雰囲気のなか、徐々にキャラクターの魅力が伝わってきました。

作画は綺麗だと思います。
……というより、作画の雰囲気が好きなのかもしれません。
舞台は西洋風なのに、どことなく日本的な風情を感じさせてくれます。
のんきな旅路の風景を見ると、「夏目友人帳」のほのぼのとした空気感を思い出しました。

OPテーマ「旅の途中」も印象に残りました。
切なさの中にも暖かさ、そして雄大さを感じる歌です。
毎回聞き入ってました。


そして肝心のストーリー。

構成はしっかりしています。
伏線を張って、きちんと回収。
商売を通じ、ロレンスとホロを中心とした人間模様が変化する過程が描かれています。
おそらく「信頼」がテーマでしょう。

商売の部分は、けっこう本格的です。
ぼーっと見ていると理解できない部分があると思います。
私もそうでした……。

ホロがかわいいと思えればそんなこと気にせずに楽しめるのですがw


……ということで、難しいことは登場人物に任せることにしましょう。
レビュアーをホロさんに交代します。

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わっちは賢狼ホロでありんす。

アニメ内の商取引について、わっちが説いてあげんしょう。
分からない部分があった主様は、ぜひ見てくりゃれ。

{netabare}
【為替】
{netabare}
まずは、ロレンスとぶどう園の主人との会話で出てきた「為替」の話からしようかの。

①まず、Aという会社の系列の店に、麦を売る。
この時にはお金をやりとりをせず、「クラフト・ロレンスから銀貨○○枚分の麦を買った」という証明書だけを受け取るんじゃ。
②その後、ヨーレンツという町に到着したら、そこにあるA会社系列の店で、塩を買う。
その時は証明書を渡すだけで取引成立。
あとはA会社が勝手にやってくりゃれるわけじゃな。

こうすれば、ロレンスは、①と②の道中、証明書以外に何も持たなくても済むじゃろう?
現金がなければ、盗賊や傭兵も襲って来ない。
仮に証明書を奪ったところで、身分を明かさねば換金できぬ。
ロレンスが塩を手に入れられたのは、ロレンスの築き上げてきた信用のおかげでもある。
商売には商人の信用が関わってくることが分かるじゃろ?
これがロレンスの言った「為替」というシステムじゃ。

まあ、アニメ中では「会社」ではなく「商会」と呼んでおるがの。
信用でつながった、商人どもの集まりのことじゃな。
{/netabare}

【お金の価値】
{netabare}
わっちも覚えるのに苦労したが、特に必要なのは、「トレニー銀貨」と「リュミオーネ金貨」の価値じゃ。

慎ましく暮らせば、トレニー銀貨1枚で1週間は暮らせる金額。
まあ、トレニー銀貨1枚は、日本円で約1万円くらいだと思ってよいじゃろう。

さて、テンの毛皮は、1枚当たりトレニー銀貨3枚で売れた。
それが70枚。
つまり、銀貨210枚≒210万円以上で売れたわけじゃ。
本来なら、銀貨140枚≒140万円でも十分な利益が出るのに、りんごを使っただけでこの差じゃ。
香りが70万円に化けたことになる。
……長生きはするもんじゃの。

そして、リュミオーネ金貨の価値は、トレニー銀貨30~35枚ほど。
リュミオーネ金貨1枚≒33万円程度の価値があるわけじゃ。

さて、ノーラに頼んだ仕事の報酬は20リュミオーネ。
日本円にすると、660万円ほど。
何とも驚きの額でありんしょ?
……さすがにあの小娘も「これは危険な仕事だ」と感じ、悩んだわけじゃな。
{/netabare}

【ロレンスが大損した理由】
{netabare}
これはほとんど事故に近いが、胡椒の取引が一つの要因じゃの。
天秤の仕掛けを見破って、してやったりと思ったロレンス。
「経験は過信を生み、過信は時に命取りとなる」
わっちはそう言ったのじゃが、その通りになってしまった。
つまりは、武具の価値が下がる可能性を調べず、その場の成功の勢いで注文したことに問題があったわけじゃな。
まあ、その商人が値下がりの可能性に気付いておったかどうかは、わっちにはわかりんせん。
{/netabare}

【ロレンスの借金】
{netabare}
買った武具の値段は100リュミオーネ≒3300万円。
そのうち、47と4分の3リュミオーネ≒1500万円が信用貸し。
2日で約1500万円稼いで来いと言われたわけじゃ。
しかも手元にあるのはガラクタ。
これは、実に難しい問題じゃった。
ロレンスが精一杯借金して回って、1日で3リュミオーネ≒100万円。
「たった」とは言っておるが、それでもそれなりの金額は貸してもらえたんじゃ。
{/netabare}

【リーベルトの命乞い】
{netabare}
……まったく、やつはたわけものじゃった。
しかし、命乞いに300リュミオーネ≒1億円、600リュミオーネ≒2億円。
あれはもう、払うつもりなど毛頭ないと言っておるも同然じゃのう。
{/netabare}

【レメリオについて】
{netabare}
密輸に協力した、レメリオという目付きの悪い人間。
やつもロレンスと同様に、武具を買い集めておったが、価値の暴落で借金まみれになっておったのじゃ。
つまり、借金まみれ同士で密輸を行って、お互い何とかしようという交渉をしたわけじゃ。

しかし、レメリオが持っていた現金が少なく、密輸が成功しても自分の借金返済がやっと。
そこで、いくらか浮かせようと、わっちらを出し抜こうとしたわけじゃ。

まあ結局、わっちが一肌脱ぐことで、何とかなったがな。

手に入れた金塊の額は100リュミオーネ≒3300万円分。
持ち逃げすれば、ロレンスの腕なら10倍にすることもできたんじゃが、ロレンスはそうせんかった。
その金塊を、レメリオに500リュミオーネ≒2億円で買い取らせることにしたんじゃ。
ただ、ロレンス個人ではなく、ロレンスの所属する商会名義じゃ。
しかも、10年ローンで返済することにして、破産を免れさせた。
つまり、ペナルティは与えるがチャンスは奪わぬ。
まったく……どこまでもお人好しじゃな。
その証書を商会に持って行ったところ、130リュミオーネ≒4000万円ほどで買い取ってもらえて、わっちらは、当面の資金を得たわけじゃ。
{/netabare}


{netabare}なんだか「ロレンス」と呼びすぎて……わっちは妙な気分になったのじゃが{/netabare}……。

主様、話は理解できたかや?
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 97

hiroshi5 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

「社会」と「自然」。共存か敵対か。

この作品を見るに当たって必要なのは「社会」と「自然」(「世界」)の違いについての理解だ。

アメリカの社会学者バーソンズが「構造-機能」分析を基とした社会全体を生命体のような1つの自己維持をめざすシステムとして捉え、このシステム(社会システム論)を近代文明は推し進めてきた。それは科学技術の進歩によって飛躍的に促進されるのと同時に、より確実なものになった。
そして、より社会というものを完成させようと、国民に社会システムに疑問を感じさせないように科学でも予測不可能な「自然」or「世界」というものを排除しようとした。いや、実際排除したと言っても良いだろう。

結果として、時間は物理的に区切られ、国民は時間を過ごすのではなく時間に束縛されるようになった。そして、自然の現象に対しても予想内での範囲しか信じないようになった。

しかし、この一見完璧とも言えるシステムは実際にその予想外の何かが起こった時にまったく機能しなくなる。いや、むしろ障害になる。東日本大震災がその例だ。被害地域の住民たちが何かをしたくても、NPOなどが資金を分配したくても、社会の秩序を守るはずの規制や法律が障害になってしまって結局復興は遅れるばかり。


ここから導きだされる答えは、我々は「社会まみれ」になってはいけないということだ。社会に依存しきった人間は「なんとかなるだろう」と思っている。私もその一人だ。しかし、実際「なんとかなるの」のはそれなりに準備か備えをしている者だけだ。人間の予想を超える力、「自然」というものがあるということを考慮して生きなければいけない。

我々は環境問題を自分たちでなんとかしようとしているが、どんなに人類が進化しても「自然」に生かされていることを忘れてはならない。


前置きが長くなったが、この物語はそういう巨大かつ圧倒的な「自然」の力を表現した作品と言って良いだろう。一見中世ヨーロッパの物語かと思うかもしれないが、それは見当違いである。そもそも「神」なる存在がこの作品には登場するのだから。

人々が信じる対象が「神」や崇高なる存在から、己が信じる技術、能力などの進歩に依存するカタチになってくる。まさに産業革命の過程を描いているわけである。
それは、ホロが村の住民、特にクロエがホロと敵対するところ、また正教会の独裁傾向からも見て取れる。

この作品の面白いところはロレンスが商業という産業革命の過程に加担するカタチを取りながらも、ホロという一種産業革命前にヨーロッパを支配した「伝統主義」の権化のようなキャラクターをセットにして、「旅」をさせることだ。
ここでの「旅」は前述した「自然」の存在を考慮した非社会的行為として捉えて良いだろう。ロレンスの商業に対する姿勢は途中の「自分の店を持つことを延期する」ということで一部停止していると考えて良いだろう。

つまり、ロレンスは時代の流れに逆らってホロという今は古き傾向に身を染めたのだ。


こういったことは歴史の中でよくあった。アメリカで産業革命が起こった時もイギリスの量産型生産技術を導入することで独創性を代償に普遍化、一貫性を得た。それが時代の流れだったのだ。しかし、この流れは結果として産業社会のスタグフレーションを導き、大恐慌、サブプライム、リーマンショックなどに通じる。これからもそういったことは必ず起こるだろう。

新たな産業革命は環境産業で間違いない。天然ガスや再生可能エネルギーに市場は移動する。その時、またもや「自然」という予測不可能な存在を無視し、人類自らの技術や能力を過信し大惨事を起さないようにしなければいけない。

天然ガスや再生可能エネルギーは自然に優しいから、その市場が発達することは「自然」と「共存」することに繫がると端的に考えるかもしれないがそうでもない。適材適所という言葉があるように、それらにも釣り合い不釣り合いというものがある。日本の場合では大きな河には大抵既にダムが建設されているし、山が多いため風車も厳しい。季節によっては曇りが多いことから太陽光発電もそこまで見込めない。地熱発電は行政や官僚が既得権益を守るため縦掘りを許さず何百万も余計に負担が掛かる斜め掘りしか許可しない。正直、これから原発を停止して、日本全体を支えていくにはロシアなどから輸入される天然ガスぐらいなものなのではないだろうか(まぁこれも領土問題を解決しなければ話にならないが)?

そういったこれからの「自然」と「社会」の関連を考える上でも是非見て欲しい作品だ。「社会まみれ」ではなく、「自然」と共存していくシステム、それがこれからの時代求められるのだろう。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 24

83.6 3 商取引アニメランキング3位
まおゆう魔王勇者(TVアニメ動画)

2013年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (2542)
14792人が棚に入れました
人間と魔族の戦争が始まって15年。
人間側は魔族の重要拠点を一つ占領したが、その隙に領土の一部を奪われており、魔物による被害と混乱が人々を苦しめていた。
そんな中で、勇者が三人の仲間とともに魔族討伐に立ち上がった。 快進撃とともに人々の希望となった勇者一行だが、魔界進攻は思ったように進まず、勇者は仲間と離れ、たった一人で魔王の城に乗り込む。

声優・キャラクター
小清水亜美、福山潤、斎藤千和、戸松遥、東山奈央、沢城みゆき、神谷浩史、福圓美里、平川大輔、銀河万丈、鈴木達央、寺島拓篤、伊藤静、藤井麻理子、松井恵理子、三宅健太、立花慎之介、梶裕貴、チョー、町田政則、東地宏樹、森川智之、大塚芳忠
ネタバレ

みかみ(みみかき) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

勇者魔王もの大好き男に「どの作品が好き?」と訊ねられたとき、女はどう答えたらいいの?

(インスパイア元:http://matome.naver.jp/odai/2136863010862162801)
(更新日:2014年2月15日)

あ、まず前提として、
貴女が勇者魔王もの大好き男を夢中にさせることが、
はたして貴女を幸福にするかどうか、それはまた別問題だけれど。
とはいえ、勇者魔王もの大好き男たちは玉石混交ながら、
IT系の超かしこい男なども多く、
したがって、釣り師たる女たちにとっては、
なかなかあなどれない釣り場です。


では、勇者魔王もの大好き男に「どの作品が好き?」と訊ねられたとき、
貴女は、どう答えれば理想的でしょう?
まず最初に、その男がドラクエのようなタイプのオーソドックスな勇者魔王ものと
あとはテレビドラマ、そして(自分でものを書くほどではないけれど)ちょっと考えることも好きな、
そんなタイプの場合は、
貴女はかれの目を見て、微笑みとともに質問など無視して、こう言いましょう、
「わたしと、一緒に『伝説の勇者の伝説』観よう♪」
これこそまさに必殺の答えです。
そこで勇者魔王もの大好き男が、えへへ、とやにさがったならば、
貴女は、ひそかに、「DQ3」「DQ4」「FF6」あたりを
ひそかに遊んでおき、雑談に答えられるようにしておきましょう。
これで成功まちがいなしです。


しかし、ここでは、もう少しハイブロウな(?)いわゆる勇者魔王もの好きの男の
落とし方をお伝えしましょう。
この場合、貴女は、こう答えましょう、
「わたしは、『まおゆう』が好き。
一気に全部読んじゃった。アニメも見たし、
あの経済ネタも、ぜんぶ大好き♪」
もしも貴女がそう答えたならば、
その瞬間、勇者魔王もの大好き男の目はきらりと輝き、
かれの貴女への恋心は、
20%増量になるでしょう。


なぜって、『まおゆう』は、
濃厚な味わいのある経済知識が散りばめられていて、
その中にも軍事/政治ネタがスパイスとして効いている、
思想ネタは素朴な啓蒙思想ながらも、そこがまた
オーソドックスな教育を受けた人の実直な筆致という雰囲気をかもしだしていて。
しかも『まおゆう』が書いている経済ネタは、
日本の経済学をやっている人のスタンダードを、
質高くふるまっていて、なおかつ、
経済政治ネタをファンタジーに混ぜるというジャンルをメジャーにした功績もあって。
したがって『まおゆう』こそは、
本来なんの接点もないまったく縁もゆかりもない別々の世界に生きている、
キャリア・ウーマンと、玉もあれば石も混じっている、そんな勇者魔王もの大好き男たちが、
この世界で唯一(いいえ、『竜の学校は山の上』、『狼と香辛料』と並んで唯三)遭遇しうる場所です。





では、参考までに、危険な回答を挙げておきましょう。
勇者魔王もの大好き男に「どの作品が好き?」と訊ねられたとき、
貴女がこう答えたとしましょう、
「『ソードアート・オンライン』のが好き♪ 原作もぜんぶ読んじゃった。」
その瞬間、勇者魔王もの大好き男の貴女への恋心は消えます、
なるほどSAOは、人気のファンタジーもの。勇者設定と、現代が混じっているという点で広義の勇者魔王ものには入るでしょう
勇者の設定は平凡ながら、ま、無難にまとめてあるものの、
しかし、現実と勇者の折り合いを書くというよりも、勇者の俺Tueeeee感だけが醸成される展開に加えて、
驚異的なハーレム展開。も少し、社会的な想像力にあふれた味わいが好きな勇者魔王もの大好き男にとっては天敵なんです。
また、もしも貴女が「勇者ヨシヒコが大好き♪ あたし勇者ヨシヒコ全部観たんだ♪」
と答えたとしても、ちょっと危険球となるでしょう、
なぜって、『勇者ヨシヒコ』は、深夜テレビとはいえテレビで放映され、
キャスティングなどからもテレビドラマファン層の女性を掴み、好意的に見れば批評精神も感じられます
ですが、『まおゆう』などと比べると、露骨なインテリ臭が少ないことに単なるB級娯楽と捉える向きも少なくありません
(ただ、勇者ヨシヒコは人によってやや反応は分かれるかもしれません)


またもしもたとえあなたが勇者魔王ものが大好きで、
「わたし、『魔王倒したし帰るか』が好き、SF的想像力もシビアでいいけれど、
最高に好きなのは人間描写♪ あの陰鬱とした描写がすっごくシビれるの。」
と、答えたとしたらどうでしょう?
なるほど、貴女の趣味は高く、
たしかに『魔王倒したし帰るか』は、SF的想像力にあふれているのみならず、
人間描写も最高にすばらしいんですけれど、
しかし、貴女の答えを聞いて、勇者魔王もの大好き男はきっとおもうでしょう、
(なんだよ、お高くとまった女だな、厭世的なメンヘラ女だったりしたらめんどくさそう)って。


貴女が、勇者魔王ものが大好きで、名作の名を挙げるにしても、
たとえば、九井諒子の『竜の学校は山の上』ならば安心でしょう、
なぜならば、九井諒子は、ふつうのOLにもマニアにもともに愛されるめずらしい作品で、
貴女がその名前を挙げても必ずしも、あなたが勇者魔王ものおた宣言をしているとは受け取られないでしょう。

しかし、たとえば、星新一的なセンスの光る『王「本気で魔王倒す」勇者「えっ?」』にせよ、
生態系のメタファーと既存のファンタジーへのアイロニーが融合した『勇者のくせになまいきだ』にせよ、
それまでにないテンポと批評性を魅せる『30秒勇者』にせよ、
テンポの良いRTSの楽しさとドット絵のかわいさで魅せる『100人勇者』にせよ、
ファーストフード店のバイト店長の日常を伺わせるな『はたらく魔王さま!』にせよ、
ソーシャル・ゲームの感覚をうまくズラした、『いけ!勇者』にせよ、
2chSS発の『勇者「冒険の書が完結しない」』、はたまた『母「でかけるの?」勇者「あぁ、ちょっと世界を救いに」』にせよ、
そういう作品の名前をいきなり挙げるのは、ちょっぴり微妙。
ましてや貴女が、「2ch系SSの勇者魔王ものが大好き♪ わたし、もうほとんどのSS、読んじゃった♪」
と答えたならば、どうでしょう?。
これはかなり博打な答え方で、
なるほど、2ch系SSは、『まおゆう』も『魔王倒したし帰るか』も産んだ多数の傑作勇者魔王ものSSを抱えた場所ゆえ、
あなたがそう答えた瞬間、勇者魔王もの大好き男がいきなり超笑顔になって、
鼻の下がだら~んと伸びちゃう可能性もあるにはありますが、
しかし、逆に、(なんだよ、この女、勇者魔王ものおたくかよ)とおもわれて、どん引きされる可能性もまた大です、
なぜって、必ずしも勇者魔王もの大好き男が勇者魔王もの大好き女を好きになるとは、限らないですから。
しかも、この答えには、もうひとつ問題があって、
男たちは、女を導き高みへ引き上げてあげることが大好きゆえ、
もしも貴女が、「2ch系SSの勇者魔王ものが大好き♪」なんて言ってしまうと、
そこにはもはや、男が貴女を勇者魔王ものを教育する余地がまったく残されていません、
したがって貴女のその答えは、
勇者魔王もの大好き男の貴女への夢を潰してしまうことに他なりません。


ま、ざっとそんな感じです、貴女の目には男たちはバカでスケベで鈍感に見えるでしょうが、
しかし、ああ見せて、男は男で繊細で、傷つきやすく、女に夢を持っています、
貴女の答え方ひとつで、男の貴女への夢は大きくふくらみもすれば、
一瞬で、しぼんでしまいもするでしょう。





では、スキットを繰り返しましょう。


「わたしは、『まおゆう』が好き♪
原作も読んだし、アニメも見ちゃった。昔はDQとかFFとか遊んでたし、
経済政治ネタも、大好き♪」
そして、その瞬間、勇者魔王もの大好き男の目がらんらんと輝いたなら、
貴女はこう重ねましょう、
「それからね、いま、わたしが読んでみたいと思っているのは、
九井諒子さんの作品、素敵な作品をたくさん書いているって噂を聞いたから。
あなたがもし持ってたら、わたしに九井諒子さんの作品貸してよ♪」
これでもう完璧です。


そうなったらこっちのもの、
デートの日には、アイメイクをばっちり決めて、かわいい下着をつけて、
アプワイザー・リッシェか、ジルスチュアートの可愛いワンピを着てゆきましょう。
その日から、勇者魔王もの大好き男は貴女の虜になるでしょう。
では、釣り師としての貴女の、愛の幸運と幸福をお祈りします!

{netabare}

上記は、「なんなんだ」と思われたかもしれませんが、ネット上で有名なテンプレートの改変ネタになります。男が落ちるかどうかは全く保証いたしかねますので自己責任でよろしくお願いします。
さて、
もともと書いていた感想は下記になります。

タイトル:
わたしを原作厨だと嫌ってもらってもかまいません……でも…わたしのことは嫌いでも、まおゆうのことは嫌いにならないでください…!

本文:

 一話視聴しての感想は、たいへんあざやかなものでした。

 …
 ………
 …………
 …原作を読むべし。以上…!

 えー、さて。
 
 何度でも申し上げますが、原作は稀有な傑作です。「ひぐらし」以来のインパクトを受けた作品だと言ってよいです。
 みなさん、原作を読みましょう。原作しかありません。もちろん、原作はメジャー向けコンテンツとしては洗練されていないので、合わないという人もいるのはわかっていますが、それでも、わたしは100%原作推しです。

 原作はこちらで、合法に、タダで読めます!
 ttp://maouyusya2828.web.fc2.com/menu.html

■アニメと原作の違い

 アニメと原作は何が違うか。
 まず、当たり前ですがテキストの分量が違います。アニメでは大量にテキストが端折られている上、話がスローリーな印象になります。原作のよいところは、大量の情報量が、ドバーっと、流れてくる感じなのですが、アニメ版は、視聴者層に配慮したのだろうとは思いますが、たいへん、はなしの密度が薄い感じに仕上がっております。とりわけ、一話でカットされている部分としては、魔族側にはどういった限界があるのか。魔王がどれだけ不完全か、といった点がきちんと言及されておるわけです。制作陣はテキストの中身をきちんと理解できる程度の尺の長さで展開したかったのでしょう……。

 第二に、アニメ版は、おっぱいがやたらと揺れますが、原作は、おっぱいが揺れません。わたしは微エロおっぱいアニメなどという、中途半端なものにあまり良い印象はありません。どストレートエロアニメなら、むしろOKですが、おっぱい関係ねーだろって話で、おっぱいをいっぱい強調されるのはむしろ、たいへん悪い印象を残すのであります。なんでおっぱい揺らす必要があったのかと小一時間……いや、まあだって、この話でおっぱいが揺れる必要ビタいち無いっつーか、そういうところで勝負かけてないだろ。これは。メインヒロインがお色気要員モノ、というのは、まぁ、伝統的にあるんだけど、私は、これは悪しき伝統だとしか思ってないので、ガチでやめてほしいのです。
 
 第三に、まおゆうは、ギャグとかそっち系のノリは正直ちょっと寒いんだ…!知ってたよ…っ!わたしだって知ってたよ…っ!だから、お願いだから、ギャグ系の部分とかをクローズアップしないでほしいな、と思ってたら、余裕バリバリで、コメディ内輪ノリ部分を前に出してアニメつくってきたよ、こいつら…っていうね。
 まあ、なんつーか、ある種のオタクの同人ノリそのものなんだよね、まおゆうのギャグセンスって…。だから、ちょっと、文化の外側にいる人間からすると、けっこう厳しいんだわ、コレ。

 ざっくりまとめると、

 「経済うんちく:いちゃいちゃ:ギャグ」の比率が違うわけです。2話現在までの感じだと、

【原作】 20:4:1
【アニメ】 10:8:3

 ぐらいの違いがあるわけで、なんつーか、なんで、わたしはこんな二流のラブコメを延々と見なければならないのか…ごごごごごごごごっごっゴッッゴッゴッゴッゴッッッ…!!!!!
 という原作厨としての静かな怒りが沸いてくるわけであります。

 …
 ……

 いやー、もう、そういうわけで、1話にして早くも、わたしが原作厨となる展開で確定いたしました。その点、わかりやすくてよかったです!
 まあ、予想された展開ではあったわけですが、いやぁ、完全にこれは原作厨になるしかありませんねぇ…。

■じゃあ、どうすれば納得したのか。

 いや、まあ、元も子もないことを言えば、アニメ化していいものになるわけがないだろうな、とははじめっから予想していたので、しょうがないことだとは思ってるんです。だからね、制作陣をdisるつもりは、実はこれっぽちもないんです。しょうがないっちゃぁ、しょうがないよね。
 アニメ化自体をしなかったほうが良かったかどうか、という点でいえば、原作ファンからすれば、この作品が少しでも世の中に広まること自体は大歓迎なので、いかに納得出来ないクオリティであるとは言っても、アニメ化されること自体は悪くないとも思ってるんです。
 1クールでやるにせよ、2クールでやるにせよ、原作のテキスト量からすると、どう考えても20分前後で一話構成で、ある程度メジャー向けのコンテンツとして再構成するのは、かなり骨が折れるでしょうし、まあ、もちろん、制作陣は、いろいろと難しい限界のなか頑張ってるとは思うので、その点をdisろうとは思いません。おっぱいアニメにしたこと意外は。

 ただ、個人的に、わがままだけを言わせてもらえれば、
 やはり情報量は変えないでほしかった。
 一つの方法としては、たとえば、魔王は、ゆっくりとしゃべるんじゃなくって、早口でどばーっとしゃべるタイプのキャラにしてほしかったなぁ。まぁ、もっとも、早口系の講義とかって、ごく一部の人にしかウケないので、コンテンツ事業者としては、筋のわるい選択だろうから、それは駄目だとは思うけどね。だから、その手法をとらなかったのは仕方がない。
 もう一つの、製作コスト&リスクがあがってしまうやり方としては、語り口の構成そのものを大きく変化して、別物スレスレというところまで再構成するというやり方だと思う。

 現代日本において、比較的大量の情報をパッケージングしつつ、ある程度メジャーに受けている手法っていくつかしかないわけですよ。
 1.サンデルの白熱教室スタイル
 2.NHKスペシャルスタイル(及び、その簡易版としてのクローズアップ現代)
 3.discovery Channel スタイル(及び、その派生系)
 …とか、パッと思いつくのがこのぐらい。民放のクイズ番組とかは、すごく情報量を少なくしてるし、「ためしてガッテン」とか「ホンマでっかTV」とかは、ネタそのものが、視聴者層にウケそうなものをピックアップしているので、ちょっと経済ネタをのっけるには不適切。旧「週間子どもニュース」も時事ネタという強みがあるので、ちょっと違う。
 で、とりわけ、「中心となる物語」をきっちりと構成しつつ、情報を伝えていくという編集方式だと、NHKスペシャルのやり方が一番近いと思うわけです。
 なので、もし、わたしが番組内容の再構成を大胆に許されるのならば、魔王と勇者の会話を、NHKスペシャルっぽい番組構成で、再構築しちゃいたい。まあ、作りこむの大変そうだけれども、情報量を少なくして、劣化版つくるよりは、そういう冒険をしてほしかった次第です。
 まー、予算も人材も、たっぷりと必要になっちゃうから大変なんだけどね。

 予算、人材、納期。そして、何よりもスタッフの情熱の総量が、プロジェクトのなかで充分そだっていなければ、そういう贅沢な再構成はできないでしょう。
 メディアミックス展開というのは垂直立ち上げをうまくやらなければいけないだろうから、時期的な問題も、もちろんあるでしょう。
 非常にハンドリングの難しいプロジェクトだったとは思います……が、こういう形のアニメに仕上がってしまったのは、やはり残念な気分です。 


■なお、そもそも、まおゆうの何がいいのか:最後に。

 ちなみに、原作のこの作品がすばらしいと思っているか、というと、短く言うと、
<経済学の考える、幸福のあり方>
を、おそらく、日本のコンテンツにおいてはじめて真正面から、充分な分量で書いた作品だと思うからです。

 もっとも、石ノ森章太郎の『マンガ日本経済入門』とか、経済ネタのマンガがいままでなかったわけではないけれども、はっきりと言って、まおゆうの作者のママレさんは、石ノ森章太郎とは明らかに見ている世界が違う。経済の話をする、というのは、頭をしかめて、むずかしく天下国家のことを論ずるという以上に、「わたしたちの世界はどのようにして成立しているのか」という世界観を与えてくれるものです。



 いまだに、不勉強な人だと、「新自由主義批判」とかをして何かを批判したような議論をしている人が日本には耐えないけど、あの手の議論は何度きいても寒々しい。新自由主義批判とかをしてしたり顔をしてる連中の経済談義なんかより、まおゆう原作のほうがよっぽどまともであり、啓蒙的意義が深いです。

*

 なお、ネットでまおゆうを批判している人の大半が、日本の七〇年代~九〇年代的な左翼系知識人の影響下にある人が多くてげんなりー。そういう人のしている批判は、「新自由主義的な世界観そのものがダメ」っていうだけの話なので、わたしのなかでは、「ああ、残念だな」と思っておわるだけなのですよ。
 まおゆうの議論の中身についての、ごくまっとうな批判は、開発経済学、数量経済史的な観点からなされるべきだと思っているわけで。開発経済学や、数量経済史的に込み入った話をすれば、まおゆうは、かなり沢山ウソをついているし「しょせんはファンタジー」であるのは、事実ではある。まぁ、あと政治思想史的なところもちょいと触れてるけど、そこはすごいちょっぴりすぐるので、まぁーそこはご愛嬌。
 だけれども、こういうコンテンツでこれだけ頑張ってみせてるのは、偉いよ。ほんと。

■狼と香辛料と何が違うかって?いや、ぜんぜん違うでしょ。

 なんか「狼と香辛料が~」って人多いけど、
 スタッフ同じなのこれ?そこらへんは、よーしらんけど、
 狼と香辛料とは、ぜんぜん違うはなしでしょう。

 あっちは、小売の行商人の話。こっちは、経済の計画をやる話。
 学部で言えば、商学部と経済学部。
 業種で言えば、商社と、(財務)官僚の違い。

 確かに、同じ「お金」の話だけど。狼と香辛料はゲームのプレイヤーの話だとすれば、まおゆうはお金をめぐるゲームの設計者の話です。


■追記:昔の原作初見時の感想など

PCのアーカイブあさってたら、昔の原作初見時の感想出てきたからせっかくだから、はっとこうか。

・おもしろいのだけれども、途中からちょい微妙
・やはりフェミニズム系の文脈の抑えのあまさがけっこう気にかかる。あと物語のご都合上あるていど仕方ないのはわかるけれども、「教育/啓蒙」がちょっと簡単に成功しすぎている。まあ、いいんだけどね。個人的には、もうすこし登場人物をすくなくして、じっくりと何度も失敗するような話ができるとベター。ひぐらしはそこらへんもよくできている。まあ、ひぐらしは、小さなとこで公務員やってた人のリアリティがやっぱよく出てるんだよね。
・モデルはほんとうに中世のヨーロッパそのものだよな、と。あと、わたしのような読者にとって、やはりおもしろみに欠けるのは、近代人が、前近代のことを書いているだけという部分。「近代」に至る過程であらわれた革命的な発明の<コタエ>を全て知っている。本当にまだ見ぬものを発明するための努力自体が書かれていないのが残念。まあ、そういう話の急速さを楽しむことこそが、この作品の魅力でもあるので、無いものねだりもいいとこっつーか、作者と前提を共有していないコメントなのは承知ですが。ここらへんは知性が超越しすぎている……というか、フォン=ノイマンですらもうちょっと悩みが多かったはずで、天才発明家というのは、こういうものではない。もちろん。。これは「魔王」だからいいんです、と言ってしまえばそれまでなんだけれども、解へ至る道程を模索するエネルギーが、足りない。やたらとあっさりとしすぎている。迷いが少なすぎる。人間は何かにつけ、もっと、もっと悩んできたと思うのだけれども…というのが主たる不満。コタエがコタエである、ということを半ば自明のようにざくざくと書いていけるのは、後世の人間が啓蒙として書いているから、ということに他ならない状況がある。それは、どうよ、と。
・啓蒙小説なのだと割り切って読めばいいのだろうし、啓蒙小説としては極めてすぐれているのは間違いない。というか、こういうものが出てきていること自体はガチで歓迎したい。
・いろいろと表現にきにかかる部分は多いというか、ライトノベル的な文脈にのりすぎというか、中二的妄想もうすこしどうにかならんか、と思うが、まあこういう世界感が好きな人なんだろうし、ある種の読者はこういうものこそ好きなのだろうし。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 56
ネタバレ

かげきよ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

まおゆうコンビはこれからも

{netabare}魔王の所に乗り込んだ勇者だったが魔王の正体は女性。
しかも魔王&魔族が必ずしも悪では無いことを知り、
手を組み互いに共存、平和への道を模索して行きそうなストーリー。 {/netabare}
↑※1話目のみのあらすじ

全く予備知識無く期待せずに観たんですがコレは面白いかも知れません。

※1話目のみの小感想{netabare}
勇者様がわりと呆気なく懐柔されちゃった事に多少疑問は残りますが、
お人好しみたいなんでそこは余りつつかない事にします。
魔王がオッサンだったら問答無用で終わってたかも知れませんけどね。
(早速つついてるけどねw)
{/netabare}
いろんな人物がちらほら出てなにやら伏線や広がりの香りがするのは良い傾向です。
何が正しく何が悪なのか深いテーマが隠れていそうです。
適度にコミカルなのも抑揚を付けてくれていて良いと思います。

声優陣も凄く豪華で「狼と香辛料」コンビの復活がうれしい!

期待度急上昇で楽しもうと思います。

※2話感想{netabare}
またえらく地味な正攻法で来ましたねー。 食の安定は平和への第一歩。
当然なんですが魔王と勇者で直接やっても埒が開かない気もします。
教育に目を付けたのは良いけど生徒の人数が少ないですね。時間がかかりそう。
人型の魔族を使うとか人形に魔術を施して宣教師として潜り込ませられないんですかね。
んーなんというか、
ファンタジーも取り混ぜて魔王と勇者ならではの切り口を見せて欲しかったかな。
正しいけど物足りない感じがします。折角の世界観なのですから。
まぁ「秘密兵器」がある様なので次回に期待します。

今回は魔王を上げと勇者を下げて対比させて武力だけでは平和は訪れない事や
地道な取り組みが平和を維持するのに必要なことを印象付けたかったのでしょう。
勇者が魔王を倒す=平和が訪れる ではないとね。

イチャイチャモードに入るのは少し早いかな、もう少しお互いの事や過去を知ったり、
心が近付くひとエピソードがあったら良かったと思います。
鼻の下伸ばしていてイザというとき魔王に乳首4つとかあっても知りませんからね!

後はメイド長は良いキャラですね結構気に入りました。
新米メイドも貧しい者の目線から作品を盛り立ててくれそうです。

まだ始まったばかりですしね。引き続き次週に期待します。
{/netabare}

※3話感想{netabare}
「秘密兵器」=ジャガイモでしたね
テレレレン♪ じ ゃ が い も ~♪
四次元ポケットからこんなの出てきた様で、ある意味驚きました。
人間界でジャガイモ普及してなかったんでしょうか。

どうやら平和への道に関しては時間をかけリアル志向で行くんですね。
(テレポート程度はあるみたいですが)
ファンタジー織り込むと思っていたので見方を切り替えないといけないです。
暫くは「まおゆう」というか「がくゆう」(学者と勇者)ですね。

イチャイチャは相変わらずか…と思ったんですが、
いつの間にか大分時間も経過している様子(結構端折ってるのかな?)ですし、
キスぐらいしてあげても良いんじゃないのかな。
魔王が寂しい顔をするのずっと気に掛けてたんでしょ?
また駄肉度が増えちゃうね。メイド長の言うことも一理あるのかも。

いろいろとエピソード不足は否めないですけど、
「本来敵同士の存在が仲良くする」事には意義は感じますし、
今後少し悲しい含みもありそうな気がしてデレデレは許そうと思います。
声優も同じで「狼と香辛料」を匂わせて、実は「ギアス」のオチだったら…
頭脳派の魔王、魔王と勇者の宿命とかも重なり変な想像がよぎってしまいました。
流石にそこまではないと思いますが、この魔王の態度が何かの伏線にはなっていそう。

伏線と言えば同盟からの紅の学士暗殺フラグも気になります。
修道院と違い守銭奴の商人には丘の向こうが見られると言っても無駄そうです。
老弓兵(変態爺さん)が南部諜報部に所属しているらしいので刺客もありえますね。
EDの五枚目の挿し絵が捕まる魔王っぼいのでそれと絡んで来そう。
まずは次回の女魔法使い救出ですがやっと色々と勇者活躍の場がありそうで楽しみです。
{/netabare}

※4話感想{netabare}
魔王の美貌と商人の特性を巧く突いた一言で交渉成功。
嘘は混ぜず交渉したのも良かったのかも。
でも、クリティカルヒットしすぎで求婚される始末。
ややこしい問題にならなきゃいいんですが、なりそうな予感。

老弓兵の変態爺さんは一話で出たあの小国に居る様で今後どう絡むのか楽しみです。
南部って暖かいイメージだったんですが、この小国は寒そう。
トウモロコシの話といい南半球的な世界のイメージとした方がいいのかな。

今回は勇者の不器用な愛情エピソードがあったのでなかなか良かったです。
今後のイチャイチャがまた少し許せる方向へ傾きました。
「愛情は一番の絆」魔王が最初からイチャイチャモードだったのは、
この絆が何よりも重要だと考えての事もあったのかも。
平和を実現するには勇者との絆は必要不可欠ですしね。

それにしても勇者くん、寄り道ばかりしてないで早く女魔法使い助けて戻って来なよ。
長期間、魔界で単身元気な女魔法使いなら助け不要な気もしますが無事は伝えましょう。
{/netabare}

※5話感想(愛のムチの酷評あり){netabare}
このアニメ、描写と演出が足りてないです。
冬寂王の最期は愚かな上流階級の指揮官を庇うという、
この世界を踏襲し皮肉もある名シーンになっても良いはずなんですが、
王子との絆や国民や兵士との信頼関係の描写が無いので心が動きません。
海戦も迫力が無く台詞での補完により旗艦を護った事が判りましたがチープでした。
もう少しエンタメ性を重視して欲しいです。人を引きつけるには重要です。

ストーリーとしては大航海時代後の物流や植民地制度なんかを
学んでいて下地があるのでイメージは掴みやすいんですけど、
裏方作業にばかり焦点を当てていて絵になるシーンをみすみす逃してもったいないです。
歴史や社会の授業の紙芝居じゃないんだから。

ここに来て世界観や設定にも疑問が出てきました。
あの海戦、例え準備万全で指揮官が優秀でも見るからに勝ち目がありません。
魔物との戦い、ボウガンや剣だけで今まで対等に戦ってきたんでしょうか?
人間側にも魔法使いが居るんじゃないの? 強烈な剣技もないの?
戦闘にまでファンタジーは盛り込まないの?
海中や空中の魔物や霊体にどう抗って来たのでしょうか?
ファンタジーな相手にリアル路線で対抗するなら、
せめて人間側に火薬くらいは無いと戦力に差があり過ぎます。
ここまで観て来て食物、文化や知識、戦力の全てにおいて
魔界が上回っている印象がありバランスがおかしいです。
この状況で15年も戦争してたら差は出てきそうなんですが…。
ファンタジーを盛り込まないのならこの世界観すら無駄、不要に思えてしまいます。

先週までは目を瞑りましたが勇者についてもいくら何でも寄り道が過ぎます。
女魔法使いが心配ではないのでしょうか?
いつまでも無事だという確証があるの?
第一目標を忘れていて苛立ちを覚えます。 

いろいろと不満と不安が出てきた今回でした。
今まで溜まっていた不満も含め一度吐き出した形のレビューになっていますが、
期待はしている作品です。
次回からの盛り返しを期待します。好感レビューを書きたいな。

反対意見の多いイチャイチャや魔王と勇者である必要性についてはもう寛容です。
敵同士が手を組み仲良くなり愛するという事にメッセージを感じますので。
{/netabare}

※6話感想{netabare}
「戦争ってなんなのでしょう」っとこの作品のテーマを呼び起こすスタートでした。
本当に誰も戦争を望んではいないんですけどね。
この作品なりの答えが楽しみです。

前回書いた通り設定について納得しきれない部分もありますが、
引っかかってばかりいては楽しめないので、
<戦力>陸戦は人間が有利
<文化>知識は魔王と一部の魔族のみ
<食料>人より魔族の方が食べる
と解釈して均衡を保っていると思うことにします。

海戦はどうやって勝つのかなっと思っていましたが氷で道を作る作戦でした。
冬設定を生かしましたね。
海流もあるし流氷集めるのすごく大変だよ?
作業中は襲われないの?
浮いた氷であれだけ頑丈に作れるものなの?
っと軽くツッコミ入れましたが流すことに。
塩でくっつける豆知識も披露してくれました。

南氷将軍との一騎打ちこの作品の作風にしては演出がありまずまずでしたが、
もう一押し欲しいと思うのは贅沢でしょうか?
「派手にしろ」と言っている訳ではなく台詞や表情や間、心理描写、音楽などで
印象深い物にして欲しいのです。
今回であれば南氷将軍の背負うものや誇り、将として部下を生かす描写や演出が
もう少しあれば良かったなと思います。
魔族=敵・やられ役に見えてしまったので作品主旨と少々ズレている様に感じました。

人間側のファンタジー要素、勇者一行はアリなんですね。
女騎士強いわ。
折角ファンタジーの世界観なんだしストーリーがブレない程度になら、
こういうシーンが増えても良いと思います。

変態爺さんは笑えるキャラですね。
でも鋭い曲者っぼさも感じるので今後の絡みが楽しみです。

リアル志向な作風の割に都合良く行き過ぎな感じもありましたが、
結局領土は都市と島の交換で落ち着きました。
都市では交流や外交的な事が行われるのかな?
魔族とは言葉が通じる様なので色々できそうです。
火矢も登場するようで争いも今後どうなっていくのか気になります。

女魔法使いも忘れずにね!
{/netabare}

※7話感想{netabare}
イチャイチャは許すとは言ったもののハーレムになるとは。
ハーレムにすると視聴者や読者が食いつくんだろうけど、
ストーリーものでしつこくやると媚びてる感じがして好きじゃないです。
今回は別れ直前と言うことでまぁ良しとしますけど、
ストーリーとして意義ある範囲に適度にお願いします。

月日も大分経ち、メイド姉妹や弟子たちも立派になりつつあります。
束の間の平和にはなっているようで都市では交流も計っているようです。
今回は基本的に上手く行っている平和を見せてくれましたが、色々くすぶっている様です。

「また会おう、すぐにでも。」は、いかにもなフラグです。
また失脚した白夜王と指令官は手を組んで悪そうな企みをしています。
なんだか分かりやすい単調な展開になりつつあって
深みのあるストーリーになるのか心配な面もあります。
少しだけでも「まさか」を入れ込んでくれると楽しめるのですが。

1話目を観た後に期待が大きくなりハードル上げ過ぎたのかも知れません。
悪い作品ではないんですけど、物足りなさを感じてしまいます。
もうちょっと頑張って欲しいなー。

まぁ次回を楽しみに待つとします。
そして、お ん な ま ほ う つ か い は ?
{/netabare}

※8話感想{netabare}
ちょっとした「まさか」を入れ込んではくれました。
メイド姉が魔王の身代わりに捕まることに。
たかがじゃがいも、されどじゃがいも。
勇者は冬の国の領地外に出たところで助けるつもりの様ですが、
冬寂王に遺恨のある白夜王が手引きしていたら冬の国領で一波乱ありそうで心配です。

魔王の正体は主要な人に明かす段階の様ですが、
やっぱり描写不足な気がして置いて行かれている感じはします。
優秀な商人だからと押しつけられても飲み込み難いです。
知力で劣っていた勇者の個人的な判断にも見えますので不安も感じます。
信頼に至るもうひとエピソード欲しかったです。

ラブコメ的には本妻が決まってしまった感じです。
個人的には引っかかってはいないですけど、
女騎士ファンにはどう映るのかな?

魔王は歴代の魔王を封印する儀式の様なものをするようです。
あの魔王のまま帰って来れず、
一部意識を飲み込まれて戻る雰囲気は感じるのでハラハラしだしています。

女魔法使いは何なんでしょうか?
外の図書館で寝ているから勇者が助けに行かなくても
平気って事にされているのでしょうか?
腑に落ちません。
{/netabare}

※9話感想{netabare}
罪人って指輪外されないの?
あれっ?もう断罪式やるの?
演説させる機会あげちゃってるし!
同じ壇上にいたまま石投げさせるの!?
っと、色々思いましたが、
メイド姉のすばらしい演説でした。
「自身で考え動いてこそ人間」って事を説いていて言葉自体には感銘できました。
ただ出来れば学士の『偽物』としてではなくメイド姉『本物』としての口から聞きたかった。
役立たずの使者やおかしなシチュエーションも手伝い、
違和感があって素直に心で聞けなかった…ストーリー上仕方ないとも思うけど。

新キャラみたいなのや女魔法使いも残っていますが後残り三話で収集つくのでしょうか?
ただでさえ絵が足りず、はしょり感が強い作品なので心配ではあります。
{/netabare}

※総集編がありました

※10話感想{netabare}
権力もお金も分散させようとしてそれぞれ動きましたが意外と難しい話になってますね。
新しい人物も出てきてますし、(あのデブ貴族?誰?)
魔族と人間だった対立関係が人間界の中央と地方の対立にすり替わっちゃってるので、
複雑になっちゃってます。
考えながら観てこれた人はついていけるだろうけど、
気軽に見ていた人は大変というか置いて行かれるかも。

主食で先物やっちゃうのもどうかと思うけど、
青年商人は貴族にお金を吐き出させたい様子。
インフレで戦争まで起こっちゃっても止めないのはやりすぎな気もするけど。
犠牲が出てでも人間界の構造を変えたいのか、
勇者や冬寂王側なら何とかしてくれる計算があっての上なのか、他に何か考えがあるのか、
先を見ないと何とも分からないけど今までの流れに比べると現状強引な感じはします。

そして女魔法使いはネタだったようです。
火竜公女に魔法かけてあげたって事はもう勇者と出会って事情が分かっている
という事でしょうかね。
{/netabare}

※11話感想{netabare}
中央征伐軍は何故もたもたして開戦に踏み切らないんだろう?
大軍を見せつつ降伏勧告を行っているのでしょうか?
食糧不足で戦いに来ているのに大軍で長期戦にするのは考え難いのですが…。
わざわざ隙を作るから付け入られてますし。
戦争して欲しい訳ではないけれど、
相手が無能すぎるから上手く行くってのも楽しみが削がれます。
この後は多分傭兵集団なので金の切れ目が縁の切れ目となる展開になるのでしょう。

鉄国への奇襲も奇襲になってないです。逆に待ち伏せされています。
片目指令官が無能なのは描かれていたので、こちらは納得できますが、
ただあまり人間側を無能に描くと、今まで魔族と互角だったの?
という疑問が(魔王の教育が成果を見せているだけに尚のこと)再浮上してしまいます。
また、この戦闘で「火矢」が登場するのかと思っていたのですが、出ませんね。
このまま出ないのかな?

青年商人の策は上手く行きそうです。
二大通貨制や魔族との通商(とりあえず塩中心かな)も視野に入れ競争原理導入と格差是正を
行う体制を整えつつあります。
これで中央は独占出来なくなるでしょう。

ただ戦争になってしまう事など都合の悪い部分には触れませんでした。
勇者や冬寂王側と協議していたのなら理解できそうなのですがそうでも無さそうです。
また、現在お金を持っている人や貴族がみんな中央でせしめている悪いイメージ
になっているのも気になります。
全うに貯蓄していたり立派な領主さんも居るのではないでしょうか。
序盤に腰を据えて平和への道を探っていた割にここに来てメリットばかり押しつけて
強引で一方的に都合の良い話になっているのが気に掛かってしまいます。

女魔法使いはいつの間にか魔王の方と繋がりがあったみたいです。
先週火竜公女に魔法を掛けていた謎が解けましたが、
本当にいつの間にそんな関係だったんでしょうか?

そして魔王と勇者はやはり戦う宿命であった様です。
案の定、魔の王に乗っ取られて出てきました。
物理攻撃そんなに出来ないですから、愛の力になるんでしょうか?
もったい付けていたキスが炸裂するなら魔王と勇者というより姫と王子っぽいですけどね。

もう次がラスト。
描写不足が解消される事はないと思いますが、
それ故に想像しながら楽しむ事は出来ている不思議な感覚でもあります。
(アニメーションとしてはどうなんでしょうかw)
ともあれ最終回を楽しみにしています。
{/netabare}

※12話感想{netabare}
魔王を抱きしめる展開ならキス位しても良かったんじゃないかな?

最終回でどう纏めるのか、纏まるのかな?っと思っていたら、
纏まり切らなかったですね。

戦争に関しては相手が無能な上に内輪で揉めてくれたため小競り合いで回避できました。
しかし中央と南部三国の対立構造は潜在的に残っていますし
中央教会と一部魔族の癒着やの問題も残っています。
鉄砲まで用意しているようです。

女魔法使いも謎が多いままでした。
魔王とのつながりも不明、洞窟で術式を見つけ何をしていたかも不明です。

魔族の方もまだまだ人間を敵視していてやっと開門都市を足ががりに
通商や交流が始まろうとする段階で平和へと向かうにはまだ色々大変そうです。

丘の向こうが見られるにはまだまだ先が長そうです。
これは2期がありそうですがこの時点では不完全燃焼という感じです。
{/netabare}

結局終始描写不足に悩まされましたが、想像もしながら楽しみました。
これだけ端折った感じだとアニメとして高い評価は出来ませんけどね。
不満がありながらも魅力はあるので2期が来るのは待ち遠しいです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 56
ネタバレ

plm さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

イチャラブしながら歴史発展を顧みる対話モノ

このアニメを観るときの注意
・この作品は冒険ファンタジーではない。魔王と勇者のバトル等を期待して観ると残念な気持ちに。
・2ちゃん即興小説が原作で、ショートショート(以下SS)独自なノリの会話が主体になっている。
・原作は13スレにわたる大作で、このアニメでは5スレちょっとのところまでしか描かれていない。

◇2ちゃんSSには独自の作品形態がある(2ちゃんSSの特徴について雑文まとめ)
{netabare} 2ちゃんSSの文章形式は、大部分を「」付きのセリフで表現して、地の文がないというもの。

男「今日はいい天気だね」
女「雨降ってるけど」
男「雨が好きなんだわー」

こんな感じのやりとりをひたすら積み重ね、話を展開するのが特徴となっている。
まおゆう原作もこの形式を取っているゆえ、ほぼ全ての場面で誰かと誰かの対話が主に描かれている。

何故こんな形式になったのか?これは新ジャンル「○○」といったものが流行ったことから察するに、
"会話・掛け合い"に焦点を当てて、簡潔にキャラクター性を引き出すことが目的だと思う。
まおゆうのイチャラブ要素も、その流れからきているいわばお約束のようなものなのかもしれない。

それに加えて「作品発表の場が掲示板であること」が大きな違いであると思う。
リアルタイムで第三者の感想を交えながらネタを投稿できること、
また、文字数制限等のため一度の書き込みで書ける量はさらっと読める程度に留めないとならない。
そこで一度の書き込みで、いかに"反応を得られるように表現するか"も考え所である。

まおゆうのような長編であっても、個々の投稿にそういった区切りの息遣いが存在する。
周りの反応も含めて、作品が執筆されていくのを追っかけるのも醍醐味だと思うので、
この辺りの2ちゃんSS独自の特色をバッサリ失ったアニメ化は、純粋に物語と映像化が核になるが..
基本的に即興で書かれたものだし、さてどうなるのか?
{/netabare}

▼視聴時感想
{netabare} 今期アニメの中では王道っぽいオーラで、けっこう期待度が高そうだが、
2ch発祥ノベルで冒険やアクションより対話が主軸だろうから、あまりアニメでやる意味が無さ気でもある。
だいぶ前に流行ってた気がするし、もしかしたら原作読んだことあるかもしれないが..覚えてない。
まぁ絵が綺麗だし観ていこうか。

2話
ああー話の流れはいいなぁ、1話では勇者に魔王と手を組まないか?な、一見危険な誘いだが
その真意は真の平和を得るため、という衝撃の開幕で
⇒では平和のためにまず何をすればよいか? 食糧を得るために農業を変えよう
⇒話が通じないので教育が先だ こんな感じが今回か。
ただこの内容に対して、特殊なセリフが多いことや、イチャイチャパートによって、
シンプルに重要な点が述べられてないから起伏がないな。もっと見せ場がハッキリしてたら良さそう。
真の意味での平和のために手を組んだっていうの1話でちょっと曖昧だったように思うんだよなぁ。

特にイチャイチャパート最初から飛ばし過ぎだが、まぁそれもまおゆうの見所の一つだろうし、
後半なってから唐突にやられてもあれなので、最初から作品の方向性を示すためにもこうする他ないか。

農業や経済の知識は中学校の社会科レベルから噛み砕いて説明していく感じで、勉強になって良さそう。


..6話近況、知識部分はそこそこ面白いが、唐突に場面転換・視点移動することが多く、
なんだか適当に観ていたせいなのか全然ついていけなくなってしまった。
それで、原作補完しようと読み進めているけどそれほど違いもなく..一層わからない。

▽疑問点あれこれ
{netabare} かげきよさんがお答えくださったので、ちょっと補完。ありがとう!
・魔法使い探しに行ったのはなかったことにされたのか
 ⇒探してるっぽい?
 その辺りからの勇者の行動が謎 魔王の騎士といっていたが魔王のために何をしていたのか?
 ⇒反魔王勢力の粛正してるっぽい
・極光島奪還のために魔王が出張っていった意図は?  貿易ルートを開くため?
 ⇒戦争の火種にもなってたしとりあえず奪還するため
・極光島奪還の時、聖鍵遠征軍が援軍にでたのは魔王と勇者の作戦だったの?
 わざわざ疲弊させた聖鍵遠征軍と魔族で戦わせるために勇者を働かせたのは何故?
 ⇒両軍の被害を最小限に抑えるためらしい
・そもそも戦争させたのは何故?勇者パワーで制圧してはいけなかったのか?
 ⇒魔王と勇者で敵を殲滅する!というのはこの作品のコンセプトに反するっぽい

極光島あたりはやっぱりわかりにくい感じがする。 {/netabare}

..9話 メイド姉、人間宣言!
今回の演説は良かったなー。なによりわかりやすい展開。
それにしてもメイド長の虫発言からよくここまで汲み取ったな・・。
人は自分の思考で行動すること を放棄したら虫になってしまうのやなぁ。

身近な問題として、現代でいうとネトゲとか携帯ゲーム依存になってるのは虫状態といえるかもしれない。
何かに甘んじて変化を閉ざしてしまうのは楽だけど、メイド姉はそれに一言申したいわけだな・・。
人間"変わること"がとても難しい事だけど、それに向かう事には輝きがあると、そんな風に受け取った。

..9.5 総集編だった
場面ごとにちょっと踏み込んでくれる解説編かも、と期待して観たもののただのおさらいでした。
極光島らへんはまおゆう世界でこんなことがあったよ!みたいに紹介される程度。

まおゆうはアニメでつまらなくなったという意見をよく聞くけど、原作と然程変わらなくないか?
そもそもこの作品の面白さってどこにあるんだろう。どうして支持されているのかわからなくなってきた。
{/netabare}

▼最終話視聴終了感想 & まおゆうをつまらなく感じるかどうかの相違とは何か?
{netabare} 終盤10~12話は案外楽しめたような気がする。
もっと簡潔に何が起きているのかが解れば、面白く観れるんじゃないかな、これ。

物語端折りすぎてて、もっとじっくりやれば良かったという意見をいくつか見かけるけど、
1スレ見た限り原作にかなり準拠しているように感じた。
原作の意図をあますところなく伝えたいという気持ちも もっともだが、
対話が長いので削られるのは致し方ないと思う。(ずっと喋ってるの聞いてたら疲れてしまう)

むしろこのアニメがつまらなく感じるのは、動きのない説明・講義パートの長さではないだろうか。
自分としては序盤中盤などは必要な情報だけにして、1シーンとして確立してないような場面は
もっと端折っても良かったんじゃないかと思う。

それぞれの場面を原作文章ほど語りつくせず、かといって外せない描写を抜き出して、
どれもがメインストーリーという風で描かれるので、もともと視点変化が多様な原作も相まって
観てる側としては話の不連続性、要点の不明さでどこを注視すればいいのか掴みにくかったと思う。

サブの展開は目立たない程度に小出しして、盛り上がり所に注目を向かせるようにしたら良かったのかも。
毎話ごとの話のテーマがハッキリしてれば、観る方としても見所が分かって楽しめたと思う。
(ここで原作との作品形態の差、息継ぎ・テンポの違いがでてしまっているのでは)
だからこそ、9話人間宣言や10話~聖教会と南部の対立・商人や軍人の立ち回り、
魔王の暴走でもいい、そういった話の見所が分かる回は楽しめたように思う。

どうしても原作をそのまま消化してるって感じで、アニメとして物語の流れができてない気がする。
唐突に話が始まり、唐突に場面が変わり・・っていうのが説明不足に感じる要因ではないだろうか。
視点移動の構成を少しずらす・・とか難しいか。省きすぎれば原作と別物になっちゃうし。

もうこの作品、性質上こうなってしまうのは仕方ない気がする。
原作既読派→もっと原作の会話や描写再現してくれ! アニメから派→もっと動きあるシーンやってくれ!
みたいな感覚のズレがあるんじゃないだろうか?
うまいこと要点抜き出してアニメ化したら、それは両視点において中途半端でしかなかった、みたいな。

さらに様子見のごとくまだまだ先の長い物語なのに1クール12話でやってるところからしても半端で、
話に何の進展や区切りもつかず伏線だらけで終わってて、1作品として評価するには不足が多すぎる。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
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