告白でファンタジーなおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの告白でファンタジーな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年02月21日の時点で一番の告白でファンタジーなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

64.8 1 告白でファンタジーなアニメランキング1位
君は冥土様。(TVアニメ動画)

2024年秋アニメ
★★★★☆ 3.3 (96)
292人が棚に入れました
ある日突然、メイドさんが営業に来た──。 高校生・横谷人好の家に突然の来訪者が現れた。 黒髪で清廉、丁重な言葉使いが特徴的なメイドさん。 第一声は「私を雇って欲しい」。 彼女は前職が”殺し屋”、特技は”暗殺”、家事は全くの初心者で”ドジっ子” 運命の出会いから、メイドさんと同じ屋根の下での共同生活がスタートする…!? だんだんと、感情を知らない彼女の心が揺れ動いていく──。 これは、ひとりぼっちだったメイドさんに”家族”ができるまでのお話。
ネタバレ

てぶくろ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

ハートフルさを全面に出す割に視聴側からの歩み寄りがかなり強いられている。

  最終話まで視聴しました。
 {netabare} 第9話までを視聴し終えた時点で もっと単純にラブコメを楽しもう と気持ちをつくってはいましたが、想像以上のエピソードの弱さに面食らってしまいました。


 第10話では、あのデート"らしき"ものは置いておくとして、その後のコタツでのエピソードで、妹が余計なことを言いそうだから止めるために とかではなく言い終わった後に 天誅だ! つってコタツの中で足を蹴る。
 この時点で割と?な行為なのに、それは実は雪さんの足でした!お顔真っ赤っ赤!恥ずかしぃっ!

    空間認識能力ゼロなんかコイツ。

 これを入れるくらいなら、デートの部分をその前後も含めもっと膨らませて欲しかったな…。


 第11話は人好くんの童貞力が爆発している間に、雪さんがさらに幼児退行してしまいました。
 この事について、人好くんは自分に非があるということは自覚しているものの結局なにもせず、しかもそれを「雪さんを悲しませないため全精力を注いだ」などと誤認して正当化しているのが最悪です。
 添い寝している時も罪悪感や贖罪の気持ちで複雑な顔をしているのかと思いきや、しっかり性欲を抱えている人好くんははっきり言ってだいぶ気持ち悪いです。

 これが思春期男子のリアルだ と言われると確かにそうなのかもしれませんが、そんなとこだけリアルなんかい という気がします。


 第12話は、お父さんの登場でしたがここまで引っ張った割にあっさりでした。
 原作のお父さんとお母さんの意味深な会話をCパートで入れ込み、引きを作って終わるのかなと思っていたのでそれも意外でした。
 この最終回を、そして1クールのアニメ作品としても この物語を人好くんと雪さんのラブコメとして区切ろう という意図が感じられました。

 それに伴って、人好くんがお父さんに対し踏み出す意識を見せる改変があったのは良かったと思います。
 あまりにも小さな一歩で、言っても言わなくても状況は変わらない ただ人好くんが自己満足するための一歩でしたがいいと思います。
 元々反対されてなかった、雪さんを家に置くことへの了承を念押ししただけですからね。



 全体を通して

 序盤の方に感じる、展開やキャラに対しての戸惑いや違和感をこちら側が歩み寄り飲み込んだとしても、多くのラブコメ作品がブチ当たる課題、「主人公に魅力がない問題」を超えられなかったなと思います。

 個人的にも、どうにも人好くんのことが好きになれません。
 雪さんへの恋心が「それって結局性欲じゃね?」ってところから移動しなかった印象です。
 

 家族とのことについても、散々回想とかで擦りましたけど、かけがえのない僕ってこんなに繊細なの、愛に飢えてて可哀想でしょ!寝てると泣いちゃう!真意を聞くのは傷ついちゃうかもだからイヤッ!パパママもっと僕にかまってよ! とトラウマというより駄々をこねている感じがして気持ちがついていきませんでした。
 
 ロボに乗って使徒と戦えと言われてたり、スポーツや芸術に打ち込んでいる子がこういう気持ちを抱えている とかならまだしも、普通に暮らしている帰宅部の高校生男子にこんな感じで来られても同情も納得も感情移入も難しい。
 
 
 家族が絶縁状態になったのかと思いきや、天真爛漫な妹はよく懐いているし両親同士も会っている模様。
 にも関わらず10年経ってもまだ新鮮に 置いていかれた !と思っているのはなんなんや?
 「孤独感…」って言いたいだけの中二病やん。
 邪気眼系の中二病を卒業して、今 別タイプの中二病発症してるって 人好くんは思春期をフルコンプしようとしてますね。
 
 何か事情があって一緒に暮らさなくなり、その事情が人好くんには説明されていない というのは確かに本人にしたら憤りを感じることでしょうが、その事情を聞かない理由が 怖いから と言われてしまうと じゃあ知らんがな と思ってしまいます。
 
 人好くん自身がグズグズの甘え野郎にも関わらず、一丁前に雪さんの人格の成長を促そうとしていたり、みんなでお手々繋いでランランラン という幼稚園児並みの家族観のくせに雪さんに家族になろうとか言うてんのがキツイ。
 そしてそれを失恋したとかいって泣いてんのもキツイ。

 人好くんは雪さんへの恋心を「雪さんは精神が赤ちゃんだから」と諌めていたりしましたが、いやむしろ 自分より精神が未熟で身体は大人だったからこそ好きになったんやん。
 そんな性欲先行の恋心で泣かれてもな…。
 
 人好くんはエロ漫画の主人公としてなら好きになれたかもしれません。
 

 原作はこんな主人公でも、作者の美麗で特徴的な画風の絵で引き込み、内容は自分のテンポで読めるのでなんとかなっているんですけどね。
 アニメになって気づくキツさってあるんですね。

 OPEDは好きでした。

         {/netabare}

 第9話まで視聴しました。
 {netabare}第3話まででこの作品に抱いていた印象は「キャラや展開に対しての説得力が弱く、それってどうなん?という違和感が勝ってしまっている」でした。
 大方予想通りこの違和感という部分は話数を重ねることで流してしまえるものになっていると感じています。

 では、第9話まで視聴した現在 新たにこの作品に対して抱いている印象はというと、至ってシンプルに「中身が無ぇな」です。
 
 雪さんが学校に通うようになってから、殺し屋お姉さんと一悶着したり、文化祭を通じて新キャラとの交流を深めたり、と色々あったはずなんですが、正直印象に残っているシーンがありません。

   
 基本的にこの作品、「もしも殺し屋のメイドさんが普通の日常生活に混ざったら」という自らが設定した筈のお題の大喜利が弱いせいで、『勝田ソース』という大味のボケに何から何まで頼り切りになっています。

 キャラクターが心情を吐露する少しシリアスな部分も、「寝ていたらうなされている」の一本槍です。

 ワンパターンな展開にテンポ悪く内容の薄い会話 となると印象に残るはずもありません。
 とは言え、原作の時点でこんな感じなのでそもそも「話」を作るのが苦手なんだろうな などと邪推してしまいます。


 その「話の弱さ」がより顕著だったのが第9話だと思います。
 一応話を跨いで、勝田祭だ!文化祭だ!などと盛り上がりを煽っておきながら、いざフタを開けてみると文化祭というよりケイドロ大会でした。 なんじゃそりゃ。

 百歩譲ってケイドロ大会でもいいんですけど、内容は結局一対一の力比べでしかありませんでした。 …なんじゃそりゃ。

 今話を日陰 ナカ との関係性を作る話として割り切るにしても、殺し屋という要素ですら持て余しているのに忍者が出てきてもな…などと思ってしまいました。


 クールも終盤に差し掛かり、残りの話数はもっと単純にラブコメを楽しみ 雪さんを愛でようと思っているのですが、若干作画に気掛かりなところがあります。

 明確に崩れているわけではありませんが、今話なんかはモブの配置がめちゃくちゃになっています。

 ケイドロを観戦する人好くんの隣には赤いダウンを着た女の人がいましたが、次のカットでは色が変わっていたり、少しすると男性に変わっていたり、後ろには学生が座っていたはずがいつの間にか一般客になっていたりします。
 まぁ観客席ですから入れ替わりがあったのだと納得しましょう。

 しかし、運営側の実況席であるnazcaさんの隣に座っていた男子生徒は3回くらい変わっています笑
 途中、パーカーの一般客が紛れ込んでるやん笑

 こういう細かいところから盛大に崩れそうで不安です。

 そういえば、画面の構成も漫画のコマ割りそのまんまなところが多いのも気になります。
 そこからさらにセリフがカットされているんだから、中身が薄く感じてしまうのは必然かもしれませんね。

 次回に期待です。

          {/netabare}

 第3話まで視聴しました。
 {netabare} 第3話まで視聴し終えての所感としては、雰囲気はハートフルな感じで大変結構なんですが、なにかちょっとでも違和感を持ってしまうと途端にバランスを崩してしまうような危うさを感じています。

 
 個人的に感じている違和感をいくつかあげるとすると…

 最終的にメイドさんを雇うことになる ということ自体はいいんですけど、ハウスキーパーを雇う事と その人を住み込みで雇う事にするというのは、またちょっと事情が違うんじゃないか? と思ってしまいました。
 とりあえず家の掃除を手伝ってくださいって話だったのになんかシレッと泊まることになっていて、さらにそこからシレッと共同生活が始まっていることになんだか釈然としません。
 人物への掘り下げばかりが優先されており、事象への言及が疎かになっている印象です。
 メイドさん個人を「根はいい人」と受け入れるのとは別で、メイドさんと一緒に暮らすことへの何らかの理由付けは必要だったと思います。
 トラックが突っ込んでくるみたいな展開も、メイドさんと人好くんの関係性を作るための雑な力技に見えます。
 
 第2話では犬を拾ってあげることで人好くんの優しさが描かれましたが、個人的には現時点で「なんとなくやる気が起きなくて」くらいの理由で一軒家をゴミ溜めにするような奴がホイホイ犬なんか拾うなよ、と思ってしまいました。
 親が不在だからって本当に自由にしていますね人好くん。

 この話では犬を発端に、雪さんの心の整理がなされたり人好くんの言葉で前向きになったりしました。
 素敵な感じではありましたが、ですが…なんというか…雪さん結構チョロいですよね。
 第1話の時点でも少し感じていましたが、そんなもんでええんや感がすごいです。

 このタイミングで自己嫌悪的な独白を人好くんにするって、それはもうなんか「私可哀想でしょ」アピールでしかないような…。

 さらに言うと、この独白によって だから殺しをしていても仕方なかった と自身を正当化したままで、「普通」を目指しますって言われてもな…。
 まぁでもこれは後に必ずカウンターが来るでしょうからその時にどんな答えを出すのかに期待しましょう。


 細かい部分ではあるんですが第3話の冒頭のピアスのくだり、躊躇う雪さんに人好くんは「人の体に穴を開けるのが本職なのでは?」とツッコミを入れていましたが、ならお前の方こそ皮膚科に行って本職の医師に開けてもらえよ と思ってしまいました。
 原作の補完として、犬を病院に連れていく様子を差し込む配慮はあるのに、こういうのや資源ゴミのダンボールを切り刻んで捨てる様子は入れたりするの謎采配ですね。

 
 ここまで感じた違和感を色々あげてつまり何が言いたいかと言うと、「キャラクターの言動や行動、話の展開にいまいち説得力がない」です。
 だから、全体的にこちら側からの歩み寄りが強いられていると感じるんだと思います。
 今のところこの作品、ギャグでもラブコメでもありませんもんね。
 
 これから先、登場人物が増えてラブコメ色が強くなっていったら気にならなくなっていくかもしれませんね。

 次回に期待です。

         {/netabare}

投稿 : 2025/02/15
♥ : 7
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

2話 なぜ最近の物語の主役はいい子でなければならないのか?

1話 清々しいくらいお話がない。強引に設定を説明しただけ。

{netabare} 作品の意図としては「ヴァイオレットエヴァーガーデン」のヴァイオレットが、もし自分の家にメイドとして来てくれたら?という感じですね。

 びっくりしたというか、清々しいくらい開き直った設定と状況の説明の第1話でしたね。人間のリアリティどころか、アサシンメイドを家に上げることからして展開は説得力ゼロですし、親の許可もないし、事故のシーンも作りすぎですし、とんかつソースが好きというキャラ付けも説明だけです。なんで何もできない人間がメイドになったのかがわかりません。

 そんな、名前がない怪しげなメイド姿の女を採用して家に泊める人間は世の中にはいません。ナイフ持ってるんですよ?そういえば給料の話とか待遇の話もないですよね?身分確認とか…まあ、言い出すときりがないですけど…

 ストーリー、エピソードどころか「お話」が全くななく、自分が描きたい「状況」まで強引にもってくるだけの第1話でした。フラッシュバックがあるのでいろいろ後でネタバラシで話を作るつもりなんでしょうけど、逆にそれをしたいがために強引で無理やりな印象になったと言えばいいんでしょうか。

 これは少年向けだからと言うなら、それは少年を馬鹿にしすぎでしょう。というか意図としては少年向けではなく、むしろ異世界転生と一緒で、頭を空っぽにして見る奴だからお話と設定が不自然なのは許してね、という開き直りにすら見えます。

 これだったら、その設定の説明を一切せずメイドが家で働いていることろからのスタートで、そのきっかけをあとから物語にした方が良かった気がします。

 原作付きのようですが、シリーズ構成と脚本でなんとかしようよ、という感じですね。過去見てきた数多のアニメの中でも、びっくりするくらい展開が不自然でした。ちょっと似ている気がしたのが「彼女お借りします」ですね。あの不自然な話の展開とキャラと設定と関係性を描きたいだけというマインドに類似性を感じました。

 逆にそれで「何を描きたいんだろう?」という興味があります。ちょっと見てみようかなという気になりました。ひょっとしたら、こういう疑問・疑念を全部吹き飛ばしてくれる何かが…{/netabare}


2話 なぜ最近の物語の主役はいい子でなければならないのかが分からない。

 なぜ、ラノベや少年マンガの主人公の少年は、いい子でなければいけないのでしょう?いい子でいることが美少女と恋愛できる理由だということでしょうか?
 悪いところがあると、恋愛する資格がないと思うのでしょうか。もちろん、いろいろ欠点の描写はあると思いますが、いい子というのは「本質と正義と人間が分かっている少年」という意味でです。しかも、その内容が極めて浅い「僕が考えた正しい少年」という水準です。

 このキャラ造形ってなんなんでしょうね?「ロシデレ」も「義妹」そんなキャラ造形だった気がします。「マケイン」ははじめの数話は上手くキャラを作っていたのに、結局はいい子にしようとしていました。異世界系も同じような傾向がある気がするので流行りなんでしょうか。

「異世界失格」ですら、口では独特の価値観を語っていましたが、結局人助け行脚でした。「ブラックジャック」の時代からそういう傾向がなくはないのですが、しかし、彼はちゃんと行動原理を持っていてそこに説得力がありました。

 それが「少年漫画」つまりティーン向けの令和のマーケティングとしては正しい考え方なのかもしれません。が、話としては物足りない部分になってしまいます。
 そういえば「魔女の旅々」でも、ヒロインが人助けしないと酷評されていました。「ひげひろ」では犯罪行為だと糾弾する騒ぎがありました。つまり、綺麗な行動をしないと恋愛する資格がないという感覚なんでしょうか?

 昨今のこの「主人公いい子化傾向」は少し病的な気がします。「小市民」シリーズが同時期にあったので余計感じました。童話の結末から死とか復讐、不条理とかがデオドラント化された影響でしょうか?因果応報じゃないとやりきれないくらい実生活が辛いのでしょうか。

 つまり、本作の主人公にはまったく乗れませんので、この辺で中断します。

投稿 : 2025/02/15
♥ : 6
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

ソース派にオススメ?

元殺し屋で天然ドジっ娘属性のメイドを雇うことになった、高校生男子宅で繰り広げられる、
日常などを描いた同名コミック(未読)の連続アニメ化作品(全12話)

【物語 3.5点】
暗殺者が普通の生活に馴染む系のコメディは、最近、常に供給がある風潮なので、
特段、真新しさはありませんが、私は比較的このジャンルは何度でも美味しく頂ける質だったこと。

集中力を要する“質アニメ”がごった返す2024年秋アニメの中で、
日常物でホッと一息つける枠がもう一本欲しい所へ、本作がスッと滑り込み、
気が付いたら完走していた感じです。


中盤5話にて、この種のシナリオでありがちな、
やはりお前は暗殺者(こっち)側の人間だというシリアス展開もありましたが、
基本的には、横谷家の四季を描く、かなり日常寄りの歳時記。
メインディッシュにはなり得ないけれど、デザートならあっても良いポジション。


メイド様こと雪さんの日常の幸福を象徴するのが「勝田のソース」ではないでしょうか。
勝田惣菜店が誇る、トンカツにベストマッチする魅惑の味に取り憑かれた雪さんの姿は、
見ていて私もとても幸せな気持ちになりました。
何だかんだ勝田ソースの{netabare} 供給が1週間絶たれた{/netabare} 雪さんのエピソードが、
5話より好きだったり。

苦悩と退屈に満ちた日々が続く中でも、これさえ食べられればハッピーになれる。
私も何か一つ見つけたいなと思いました。


【作画 3.5点】
アニメーション制作・FelixFilm

シリーズで元請けしてきた『MFゴースト』2期がズレ込んだこともあり、
同スタジオ初の同一クール複数作品放送となりキャパオーバーも懸念されましたが。
作画カロリーを抑える所は抑えながら無難に乗り切る。

平生は時に立体感も乏しい、のっぺりとした印象の作画ですが、
5話など、暗殺者・雪(シュエ)のアクションシーンや、
主人公少年・人好(ひとよし)と雪の感情が昂ぶるカットなど、
勝負所では、描きこんで来ます。


将来的なフルCGアニメ制作を目指しているというFelixFilm。
『MFゴースト』よりは2D寄りの本作ですが、
主題歌アニメーションでは大胆に実写映像も取り込むなど、
2Dの枠を破りたい同スタジオの意志は伝わって来ました。

個人的にはOPのトンカツソースと血の混同を誘発するカットからの、
赤線が入ったロゴ形成の演出が、妙に病み付きでした。


【キャラ 3.5点】
主人公少年・横谷人好(ひとよし)。
雪さんに膝枕している時は、よくあるラッキースケベ野郎。
私も爆発しろとか思ってましたがw
後半に入り、人好もまた、両親離婚による親父とのわだかまりなど、
寂しさを抱え母性の代替を求める、ちゃんと中身のあるキャラだなと見直しました。

離婚した母方に身を寄せている人好の妹・李恋(りこ)
訪れるとパッと明るくなる陽キャ。
母、妹と、太陽のような女(ひと)と別々に暮らすとなったら、
人好も雪さんに膝枕したくなるというものです。


最初メイド業はてんでダメだった雪さん。
バケツがあればひっくり返すレベルで、よく暗殺業が務まったなとw
ただ雪さんが徐々に家事に慣れていく姿も日常の尊さを象徴していました。
私も洗濯など苦痛なルーティンなどとやさぐれずに、
仕上がったタオルの柔らかさに幸福を感じてみたいと思いました。

モフモフと言えば、横谷家で飼うことになった、あげもち太郎。
その名の通りの衝撃のまるっ子さ。
フカフカは正義なのであります。


【声優 4.0点】
雪さんを演じた上田 麗奈さん。
“白狼の雪(はくろうのシュエ)”としてヤりに行く時の冷酷な低音。
勝田のソースで昇天した時の、ラリった?高音までw
芸域の広さを遺憾なく発揮。

うえしゃまも、プリキュアやっていたかと思えば、
本作と同クールで『アオのハコ』で後光が差すくらいの正統派ヒロイン・千夏先輩も好演したり。
キャリアも中堅に差し掛かり、充実の一途ですね。

2025年も既に数多くのメインキャストが決まっている上田さんですが、
私は『チェンソーマン』のレゼ役が特に楽しみです。


そんな雪を狙う猫っぽい暗殺者・グレイス役のLynnさんも、
詰めが甘い(いや、雪(シュエ)がおかしいだけかw)新任体育教師(変装)役で対抗?

終盤、絡んできたくノ一属性のクラスメイト・日陰ナカ役の稲垣 好さん。
私にとっては『Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-』以来、
久々のメイン所でのエンカウントで何か嬉しかったです。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は得田 真裕氏。
ギャグからアサシンアクションまで、対応力が求められた音楽。
暗殺者の運命(さだめ)を内包したメインフレーズから、
弾むようなメロディのコメディ曲に、心情を深堀りするバラード曲まで。
同氏はピアノ一つで多彩なムードを演出してくれました。

実写ドラマ・ドキュメンタリーが主戦場で、アニメはたまにといったキャリアの得田氏。
個人的には、バトル物を中心に、もっとアニメにも楽曲提供して欲しい、
菅野 祐悟氏のお弟子さんです。


OPはtricot「おとずれ」、EDがDUSTCELL「表情差分」
いずれも、日常寄り。雪さんの心情を汲み取った主題歌。

自分は特に「表情差分」がお気に入り。
無表情だった雪さんが、様々な感情を取り戻していく過程が走馬灯のように駆け巡る、
心地よいアップテンポナンバーです。

投稿 : 2025/02/15
♥ : 14

71.7 2 告白でファンタジーなアニメランキング2位
デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(アニメ映画)

2024年3月22日
★★★★☆ 3.8 (59)
247人が棚に入れました
東京で女子高生ライフを送る小山門出と中川凰蘭。学校や受験勉強に追われつつも毎晩オンラインゲームで盛り上がる2人が暮らす街の上空には、3年前の8月31日から、突如現れた巨大な宇宙船「母艦」が浮かんでいた。異様な光景は日常に溶け込み、当たり前となっていたが、ある夜、東京で悲劇が起こる。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

クソやばい地球人の青春に遭遇した宇宙人には同情を禁じ得ません

3年前“8.31の悲劇”以来、宇宙からの“侵略者”の巨大<母艦>に覆われる東京。
その下でハイテンション女子高生ライフを送る主人公少女らの日常と、
<母艦>という非日常が混ざり合う中で、やがで開示されていく真相と共に、日常と世界の破滅が示唆される同名コミック(未読)の劇場アニメ化作品の前半部。


【物語 4.5点】
作風は青春の一頁が世界の一大事とシンクロするセカイ系の再生産。
2014~2022年連載作ということで東日本大震災後、コロナ禍の世相も取り込んだ人間&世界模様が描かれる。


大抵のセカイ系でイタいのは主に思春期主人公の周辺になりますが、
本作の場合は災害、事故での犠牲者ニュースをも、スマホゲーのイベントと並行してコンテンツとして高速消費して、飽きたらもうオワコンだと使い捨てていく情報過多社会の病理。
マスコミを不信する余り、ネット上の陰謀論界隈に沼る母親。
個体ごとの正義を絶対化し、SNS上でマウントを取り合うまででも十分イタいのに、武器を持って傷つけ合うまでエスカレートする人類の異様。
など、東京及び日本、地球全体がイタくて終わってる感が、痛いトコロをマシンガンのように撃ち抜く台詞回しによって醸し出されています。

大体、宇宙からの“侵略者”として<母艦>に防衛利権の匂いをプンプンさせながら、大仰なレーザー兵器で攻撃を仕掛けているわけですが、
彼らの目的が侵略かどうかなどは真剣に議論されることはなく。
そもそも実は{netabare} “侵略者”が直接手を下した犠牲者はゼロなのでは?とすら思います。
8.31の被害は<母艦>を<A爆弾>により攻撃した米軍によるものですし、
作中での犠牲者も小型&中型船への“防衛行動”の巻き添えを食ったものなのではないでしょうか。{/netabare}
リスクをあると決め付けた人間社会のおぞましさ、滑稽さの炙り出しも上々です。


人間視点のSFとして挑むと、全体に日常がとっ散らかった感、
後半、主人公少女2人の青春が事の発端と結びついた回想という、世界がひっくり返るシナリオ転換などに振り回される危険性もあります。

が、私の場合は冒頭から、これは地球人を観察する宇宙人の視座で俯瞰した方が折り合えると割り切って観たので何とか付いて行けました。

特に産業革命以後、200年程度という宇宙から見れば瞬きする間に、
文明を急発達させ、爆発的に増殖し、地球を壊す勢いで戦争や大量虐殺(ジェノサイド)を繰り返して来た人類。
この原爆を持ってしまった猿の如きキモい地球人。
果たして心の成熟は伴っているのだろうか?
ちょっと“イソベやん”の“内緒道具”を渡して裁定してみよう。

前章終わった段階で世界は一層波乱含みですが、
後章に向けて、命綱となるテーマは提示されていると思うので、
手応えを感じながら後半戦に挑みたいです。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・ Production +h(プラスエイチ)

個人的に、初代『ガンダム』、今敏監督の方の『パーフェクトブルー』など、
人間の顔ってちゃんと観察すると美形一辺倒ではなく、
時に昆虫の如く気持ち悪くもある。
そこを再現できている人物デザインに対しては点数を盛る傾向にありますが、本作も同様。
私は特に、おむすび顔に円な瞳のメガネ娘・出元亜衣のデザインが好きです。

<母艦>周辺に揺らめくレタリング?が、
ゴシック体で打ち出される作中テロップの生成、解体過程でも垣間見えるのも意味深。

観察者視点に一歩引かせる地球人デザインと、テロップのレタリングが、
私を冒頭から宇宙人視点に誘導した主因。


細部の背景美術にも社会風刺などを含んだ表現が散りばめられ情報量は多め。
私の脳裏に焼き付いているのは、8.31以降は数える程しか出ていない“侵略者”への防衛行動での民間犠牲者。
それをトップニュースで大騒ぎする傍らで映し出される交番の看板。
<母艦>関連を遥かに凌ぐ数の交通事故死傷者数。
この辺りも騒ぐと決めたニュースばかり取り上げるメディアと、
反発して陰謀論に囚われるネット民という両極端を想起させられジワジワ来ます。


総じて巨大<母艦>の大技だけではない、地球人のイタい所を表現する小技も効いた刺激的な作画です。


【キャラ 4.5点】
主人公の眼鏡っ子・小山門出(かどで)
ロングツインテールの中川凰蘭(おうらん)こと“おんたん”
メイン2人に、恋愛リア充を目指す栗原キホ、出元亜衣、
無口な長身黒髪ロング・平間凛。
JK5人グループが頭のネジが外れた掛け合いを繰り広げて、
<母艦>の非日常に対峙する日常世界を構築。

例えば門出は担任教師の渡良瀬を慕っていますが、
この教師と生徒2人の会話も、ちゃんとした型に収まり切らない人間と青春を示唆していて不謹慎で面白い。

あとは、おんたんのイケメンメタボな兄で“ネット監視員”(ニート)のひろしが挑む、
SNS空間に広がる“情弱”どもの“総意”とか。

全体に、情報社会に監視されることを前提として、
火を点けられないように社会が強いた役割を仕方なく演じてやってる倦怠感が滲み出ており、
これもまた地球人のオワッてる感を濃厚にします。


【声優 4.0点】
主演・小山門出役にはYOASOBIのボーカルとしても活躍する幾田 りらさん。
相方の中川凰蘭役には、あのさん。
メイン2人にアーティストをオーディション選出して周りをアニメ声優で固める布陣。

“ナチュラル”なボイス素材を求めてのアーティストの主演起用。
確かにおふた方とも、地声が高音スウィートなアニメ声で天然素材としては上質。
ですが、私はやはり自然体を求めるにしても、演技力を磨き上げた声優にナチュラルな演技をさせるのがベストと考えるので、この点数が上限。

ただアーティスト2人でと決めた以上は、
下手に声優の枠にはめずに、2人の表現者としての感性に任せるという判断は、素材を活かす上ではベターな選択。
掛け合いシーンでは同じ歌手ならではの波長が合い、
仲良く喧嘩する良いリズムが生まれていたそうで。
声優陣も交えたJK5人組のバカ騒ぎの空気感もスムーズに出ており心地良かったです。

原作者いわく、アフレコ時は、主演おふた方とも作品世界に入るための準備はしてくれていたとあって、
宣伝目的で起用した俳優・タレントを“お客様”扱いする劇場アニメ作品よりは良好な仕上がりだったと感じました。


EDクレジットの最後には、
門出が愛読する作中漫画でシナリオにも深く関わる黒い『ドラえもん』?wこと「イソベやん」にて、
イソベやんに“内緒道具”をせびる自堕落女子・デベ子を演じたTARAKOさんへの追悼コメントが表記。
『ちびまる子ちゃん』のさくらももこ役など、だらけた演技も天下一品の楽しいお方でした。
ご冥福をお祈り致します。


【音楽 4.5点】
情報過多な東京の日常社会に溢れる生活音、
そこを切り裂く<母艦>絡みの非日常の異音、放たれるレーザー兵器の発射音など、
立体的に表現された音響は、本作劇場鑑賞の一番の意義と言っても過言じゃありません。

主題歌は主演アーティストのお二人が担当。

前章はano feat. 幾田りら「絶絶絶絶対聖域」
作編曲を凛として時雨のTKが担当。

曲調はテンション高めの無邪気な作風ですが、
歌詞世界は“地球オワタ”“地球が壊れたよ”などとシッカリ病んでいるので油断は禁物ですw

投稿 : 2025/02/15
♥ : 22

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

衝撃作です。青春と正義と災害を描いた壮大な日常系本格SF。追記 2回目見ました。

 インデペンデンスデイ、ニーアアンダー7、ヒドゥン、デスノート、マイケルサンデル、ゴジラ、時をかける少女、311、機動戦艦ナデシコ、タコピーの原罪、ドラえもん…の要素が入った日常系です。
 他にもあるでしょうが、要するに要素が多いです。それぞれの視点で分解する難易度は高くないです。

 いや、すごかったですね。上映時間120分らしいですが、体感時間は80分くらいかな。情報量は180分くらいのが圧縮されている感じです。ジェットコースターの様でいてのんびり女子だけ(ではないですが)青春ものでもあります。

 浅野いにお氏の作品は「うみべの女の子」が好きで何度も読んでいますが、それ以外はどうも性が合わず本作も1話を試し読みかにかをして切っていたと思います。ただ、本作を見てやはりマインドは一緒かな…と。読んでみたくなりました。結末は違うと公言されているみたいですし。

 大人になる意味、現実社会に生きる思春期の精神の中身といえばいいのでしょうか。進路、恋愛、性、親、天才と凡人、いじめ、正義、友人…そういうものが襲い掛かってくる小学校から高校時代の生きづらさをSF的表現で見せたような感じです。

 災害のオマージュとして、日常と非日常のシームレス感あるいは断絶感が同時に存在するような作品ではありますが、一方でこの思春期に襲ってくる精神的なクライシスのオマージュとも見えます。

 テーマは結末を見ないと何とも言えませんが、ストーリーとしての結末は分かりませんけど、思春期の落としどころになるのかなあ、という気はします。

 特筆すべきは映像がすごい…というと語弊がありますかね。2次元アニメ的なアニメ表現ですが明らかに3DCGですよね。見やすいのなんの。エフェクトだよりでなく、戦闘シーン頼りでもないです。それでいて構図はいいんです。

 脚本も詰め込んだなかに映像表現で上手く補完しているので、結構頭を使わなくても話の筋は素直に読めます。伏線とか考察とかそういうのを無理にする必要がない分かりやすさです。考察系とエンタメ系の要素のいいところが上手く組み合わさっています。演出も面白さと迫力と緊迫感と上手く表現できていたと思います。

 むしろ頭を使うのは別のところですね。頭がクラクラします。SFと書きましたけど表題がデーモンなので…まあ、それは後半ですね。

 稀にみる名作になる可能性を秘めています。後半次第ですけど。私は絶対に行きます。
 で、映画で一儲けした後でいいので、120分×2で240分です。つまり20分×12で1クール行けますよね?広く世間に公開してはどうでしょう?

 私平日に見ましたが、サービスデイなのに2人しかいませんでした。この作品が埋もれるのはもったいないです。



追記 無理無理時間作って前章も見てきました。

 後章がもう始まっていますが、なんとか上映館を見つけ無理無理見てきました。やはり面白いのは前章、感動・深さは後章という印象です。

 前→後→後→前という順番で見ました。

 で、2回目を見て気が付きました。この作品は「これからどうなるの?」がとても素晴らしい構成にまとめられています。ですので、面白さで言えば1回目が圧倒的に面白かったです。

 ただ、後章をみてから前章を見ると、ああ、そういうことか…とか、微妙な伏線に気が付いたり、意味が重層的になったり見方が変わったりという深堀りができるようになります。

 まこととふたばがなんで田舎から出てきたの?とか東京という意味が分かってくると味方が変わります。
 あるいは、前章の小学生の門出の正義と、後章のシップと小比類巻の正義の対比の構造とか面白いですね。
 イソベやんはもちろん「トモダチ」ですが「未来」「正義」「便利道具」などなどいろんな意味を後→前で見ると感じました。

 で、あとはアメリカで12巻まで含めたであろう、配信版が始まったらしいですね。コミックスで確認しているので、マストではないですが、見たいものです。

 あと、EDのANOさんという声優の人の曲の入りは本当に良かったです。(いやもちろんANOさんという人の名前と顔くらいは知ってますけどね。歌手だったんですね)

投稿 : 2025/02/15
♥ : 12

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

意外と新しい感覚? かな!

先ほど観終わりました。
原作は未読です。
先ずは、前半部分まで。

面白かったです。ワクワク。
少しも飽きませんでした。
必ず、後半も観ます。

あ、EDの後も観てくださいね。





あんまり面白いので、原作コミックに手を出しています。
なるほど、この絵を動かしたのか。
あ、アングルが少し違ってる。
間の取り方の計算が絶妙。
そんな発見がいくつもありました。

でも後半部分の購入は手控えます。
私的には、やはり映像から入りたい気持ちです。
ぜひ、前章(本作)をご覧になってみてください。
そして後章をご一緒に楽しみませんか?

投稿 : 2025/02/15
♥ : 12

63.5 3 告白でファンタジーなアニメランキング3位
星降る王国のニナ(TVアニメ動画)

2024年秋アニメ
★★★★☆ 3.2 (65)
175人が棚に入れました
フォルトナ国城下で孤児として暮らしていたニナは、星の神のごとき深き青――瑠璃色の瞳を持っていた。 事故で亡くなったフォルトナ国の王女アリシャと同じ色の瞳ゆえ、第二王子アズールに見出され、ニナは王女に成り代わることを求められる。 身代わりの星の巫女として、王女として、与えられた使命――それは三月のあと、大国ガルガダの第一王子セトに偽りの花嫁として嫁ぐこと。 運命に翻弄されながらも、誰かに必要とされることに喜びを感じるニナ。そのまっすぐな瞳が見ているものとは……。 愛する人を守る決意をしたとき、それぞれの運命が大きく動き始める!!

大重 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

そんな悪いとは言いませんが、ありがちですね

主人公のニナは浮浪者の女の子でしたが、
青い瞳が王女様と同じということで、拾われて王女様になるという内容ですね。
女性向けですね。

うーん、まあ作画はいまいち。
ニナがそんなに可愛く見えません。
男はまあまあ格好いい感じですが、それもすごく良いわけではなく…。

男のふりをしていたのでがさつなニナは今のところ可愛らしく無いのは確か。
主人公を好きになれたわけではありませんでした。

まあ…
そんなに興味は惹かれませんでしたね。
割とありがちな話、としか言いようがないです。

ありがちな中で特別可愛い、好きだ、と思ったわけでないなら続きを見る必要はないかと思いました。

投稿 : 2025/02/15
♥ : 1
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

暗闇の中でも星を見つける瑠璃色の瞳

フォルトナ王国城下町で孤児として暮らす少女ニナが、
王子アズールに、事故死した王女の身代わりの姫として見出され王宮入り。
王子と関わり合う内に惹かれ合ったり、さらなる波乱万丈に巻き込まれていく。
同名少女コミック(未読)の連続アニメ化作品(全12話)


【物語 3.5点】
逆境の暗闇の中でも、へこたれないヒロインのような者にこそ、光は訪れる。
そんな女(ひと)にこそ、頑なだった王子の心も開かれる。
本作はこれまで少女コミック界隈などで何度も生産されてきたテーマの再提供。
安心感はあるが意外性は少なめ。

毎話、王道要素がテンポ良く展開される構成は小気味良い。
EDアニメーションで、めくる本のページが影絵になっていて、
話数を重ねる度、影絵が各話の象徴的なカットを描いた挿絵として着色され、
波乱に満ちたヒロインの足跡を振り返る仕掛けとなっていますが。
1クールでよくこれだけのイベント量を消化できたなと感心します。

が、ハイテンポの代償として、じっくりと心情描写する機会が損なわれた感も。
試練に恋にと葛藤するヒロインの心情は、視聴者が読み取る間もなく、
モノローグで語られあっさり答え合わせ。
もっと色々、本音を想像させてドキドキさせてよと思うこともしばしば。

よって、私は本作を一日の締めなど、極力、心身が消耗した、
考察ばかりしたくなる深夜アニメ脳すらも死んでいる状況を選んで視聴しました。
すると、直球テーマによる浄化効果も相まって、醜さぶちまける系の他の深夜アニメ視聴も含めた日々のストレスが緩和され、
なかなかの入眠効果が得られました。

異世界ファンタジー版の「世界名作劇場」、童話絵本でも眺めるような距離感で行けば、
スッと折り合えるかと思います。


【作画 3.5点】
アニメーション制作・シグナル・エムディ

デジタル作画制作の推進を目的にIGグループが設立して10年になる子会社。
星空のようなニナの瑠璃色の瞳など描き込んで来る部分もありますが、
基本的には限界突破する程の作画カロリーは費やさず、無難に完走しましたという印象。

ニナも、思ったことが口やモノローグだけでなく、すぐ顔に出るので、
分かりやすかったですが、読み解きがいがないと思ったりしたのも脚本同様。
ニナは、髪型も色々と変わりますし、ちびキャラ含めた掛け合いや顔芸も多彩だったので、
見ていて退屈はしませんでしたが。
あと鳥の方のニィナとか。

グロ方面では、{netabare} 会話即セトに斬られたニナ{/netabare} などソコソコの衝撃シーンこそありますが深夜アニメでは控えめなレベル。
ロマンス部分も乱暴や夜伽を示唆する展開などがあったりもしますが、
実際に描写されるのはアニメ化部分ではキスまで。
私は配信組でしたが、TV放送は刺激を求められる深夜アニメではなく、安全安心なEテレ夕方枠とかでも良かったのではとも感じます。

ただ、そのキスに“好き”が入ってるか否かなど、
キスの意味の使い分けについては大事に描写されていて好印象でした。


【キャラ 3.5点】
明快だが予想通り過ぎると思うことも。

序盤フォルトナ王国で一番ヤベェ奴は悪女オーラ全開な王妃様ではなく、
{netabare} 穏やかな表情の無能サイコパスの国王の方{/netabare} だったというのも、
すぐにピンと来ましたし。

唯一、一本取られたなと思ったのが、終盤、{netabare} ニナの侍女ヒカミ。
異国ガルガダまで付いて来て、何か仕掛けてくるまでは分かりやすく匂わされていましたが、
性別まで偽っていたとは。{/netabare}
ただ、これも、やられてみれば、よくあるサプライズなんですけどね。
私も終盤までには、このアニメは、深読みせず無心でストーリーに身を委ねようと決めて、折り合った頃だったのも一因かなと。
制作者の掌の上で気持ちよく踊らされることができました。


フォルトナ王国の第二王子・アズール。
{netabare} ニナとは王族の身代わりとして連れて来られた者同士でもある。{/netabare}

ガルガダ王国の第一王子・セト。
{netabare} 数々の敵国を滅ぼして来た無感情な殺戮マシーン。{/netabare}

ニナはやがて二人の王子と両国を股にかけた三角関係を構築していくことになりますが、
二人の王子がデレるポイントも分かりやすくてくすぐったかったですね。

因みにファンの間ではアズール派かセト派で盛り上がっているそうですが、
私は断然セト派ですね。
{netabare} 殺戮マシーンが姫との愛を通じて人間の心を獲得していく過程。{/netabare}
このパターン。私は何度提供されても美味しく頂ける好物ですので。


【声優 4.0点】
主演ニナ役の田中 美海さん。
デビュー作のアイドルグループ「Wake Up, Girls!」片山実波役を務めていた頃から妹ポジション。
その後も様々なタイプの妹、年下役として、WUGメンバーの中でも一番堅実にキャリアを重ねて来た方。

ニナはスラム暮らしの頃は少年の格好と言動で身を守っていたため、
素の口調は粗暴なボーイッシュ。
心情を網羅するモノローグには乙女心も滲み出て。
王国の公の場では姫を騙り上品な言葉遣いで堂々と。
多彩な年下属性が求められる役柄でしたが、
みにゃみには対応できるだけの引き出しが培われていました。


アズール王子役の梅原 裕一郎さんは落ち着いたイケボ。
セト王子役の内山 昂輝さんは気だるげ成分配合のイケボ。
ボイスドラマから続けての指名となった一線級のお二人を相手に、
田中 美海さんが掛け合いで堂々と渡り合う。

正直、私は少女マンガはあまり守備範囲ではないですし、
お話にはハマりきれない懸念もありましたが。
みにゃみの成長に目を細められればそれで良いと割り切ったのが視聴動機でしたし。
得る物は得られたという点では満足できるアニメ鑑賞ではありました。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は田渕 夏海氏。
メインテーマとなる「瑠璃色の瞳」を始めピアノサウンドが牽引するピュアな曲風が中心。
癒やし目的で流しても効果ありそうな音源です。

主題歌はOPが坂本 真綾さんの「nina」
EDがムフルム王子役も務めた東山 奈央さんの「星の伝言」
ビブラートをあまり当てない純度の高い伸びやかな声優アーティストのボーカルが世界観にマッチ。
特に「星の伝言」は一日のEDとして聴いても綺麗に落ち着く逸品です。

投稿 : 2025/02/15
♥ : 12

tomledoru さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

きっと,話がこれから面白くなると思います。

ここまでの話は,隣の王国の友好の為に嫁ぐまでの話ですが,そこまでは大して面白くないので,評価も低いのだと思います。

しかしながら。中盤に入って。

隣の王国に。お妃候補として赴任して,隣の王国の冷酷で,傲慢な第一王子に,正々堂々と立ち向かっていく姿は本当に心が打たれるものがあります。

もともとの前提が。王女様の入れ替わりということもあって。下町育ちの。気性の強いところがありますが,ヒロインにはそういう,がんとした魅力があります。

最近流行りの背景で。中世ヨーロッパの国と国の存亡をかけた,駆け引きのような半ば道具として,ヒロインは描かれていますが。

人間そのものの気性や性格で。話しをだんだんと盛り上げて行ってるところは,絶対評価すべきだと思います。

いうなれば、これからもっと評価される作品になると信じています。

最近流行りの魔法ものや。ダンジョンもの。転生。魔王,戦いや冒険者といった良く言えば「スパイス」悪く言えば「小道具」を使わなくても。

充分面白いアニメーションが作れるという。最近の手本になる作品になると予感しています。

魔法物のアニメーションだったら?せめて「葬送のフリーレン」くらいの傑作を作ってもらいたいものです。

ヒューマンドラマのみのファンタジーアニメとしては,私は秀逸だと思っています。

投稿 : 2025/02/15
♥ : 4
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