合体で学園なアニメ映画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の合体で学園な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月15日の時点で一番の合体で学園なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

78.3 1 合体で学園なアニメランキング1位
グリッドマンユニバース(アニメ映画)

2023年3月24日
★★★★★ 4.2 (109)
410人が棚に入れました
蝉の声が聞こえる中で繰り広げられる日常の風景。そんなツツジ台の静寂は、怪獣グールギラスの声によって破られた。響裕太は内なる声に呼ばれ、ハイパーエージェント・グリッドマンと一体化する。グリッドマンとなった裕太はグールギラスを苦戦しながらも倒すことができた。
裕太のクラスメートの内海将、宝多六花はグリッドマンの誕生に立ち会ったことで、3人はグリッドマン同盟を結成する。しかし、3人は翌日驚くべき現実に直面した。人々から怪獣の記憶が消され、犠牲になった人々はそもそも存在しないことになっていたのだ。
裕太たちはグリッドマンとともに、この世界に迫りくる危機に向かっていくことを決意する。ツツジ台に隠された秘密とは? そして怪獣を操る者の目的は?
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

人類は虚構から宇宙を創造する驚異の生命体

【物語 4.0点】
『SSSS.GRIDMAN』の少し後の世界に『SSSS.DYNAZENON』をクロスオーバーさせるお祭り映画の定番プロット。
多元宇宙(マルチバース)設定でというのも典型的。
だが決してやっつけで総出演させたキャラをごった煮するだけの後夜祭映画ではなかったです。

英断だったのは、当初、シナリオの主軸にと用意していた新キャラを、
脚本を詰める中で、尺が足りないからと、設定ごとバッサリと切り捨てたこと。
これ、中々できることじゃないと尊敬します。
もしも新キャラをゴリ押ししてたらコンテンツ崩壊の危機でした。


ファンなら何とか考察して食らいついて、展開カオスだな~wと笑って楽しめる。
この破綻しそうで崩れない、絶妙な脚本綱渡り感のスリルを、
初稿の未練など整理すべきは整理する、試行錯誤の末に実現。
(因みに六花と内海が、裕太がなくした『SSSS.GRIDMAN』の記憶を再現する学祭作中劇の改稿を重ねる件。
雨宮監督が改稿で受けたストレスの発散でもあるのだとかw)


作中劇制作の展開もあって、『SSSS.GRIDMAN』に引き続き、
虚構を創作する人類の功罪という題材はさらに深化。

人間の創造力が生み出したグリッドマンの可能性と危険性。
『グリッドマン』がネット時代を先取りし過ぎた90年代特撮ドラマとして誕生し、
時代が追いついて再起動(リブート)される。
映画館の鑑賞者を含めた入れ子構造で、テーマもクロスオーバーする爽快感。

『グリッドマン・ユニバース』のタイトル回収も見事でしたが、
『SSSS.DYNAZENON』に円谷の要望で付けられたという“GRIDMAN UNIVERSE"のサブタイも、ある意味、伏線回収された点も綺麗でした。


総じて闇鍋化しやすいオールスター展開を緻密に煮詰めた快作だったと思います。


【作画 4.0点】
アニメーション制作・TRIGGER

日常シーンでは止め絵のっぺらぼうが声を発する底辺レベルまで脱力。
一転バトルシーンでは爆発力のあるリッチな映像で魅せる。
“退屈な日常”と鬱屈を晴らすバトルシーン。
ON-OFFを、作画カロリーで体現する極端なバランスは健在。

返す返すも、作品の枠を越え、複雑合体しても破綻しない、
巨大ロボのデザイン設定には驚かされます。
「フィクションなんて多少カオスな方がおもしろいぜ。」
というのは物によりけり、本作は良きですが……。
巨大ロボ合体はカオスな方が断然面白いですw

ただ最もインパクトがあったのは合体ではなく{netabare} 2代目の巨大化w{/netabare}
何故、宣伝ポスターで敢えて“『シン・ウルトラマン』の円谷”のコピーだったのか。
{netabare} 長澤 まさみさんが巨大化した{/netabare} トラウマも思い出しつつ、一番首肯したシーンでもありましたw


『SSSS.GRIDMAN』ラストで物議を醸した{netabare} 実写映像。{/netabare}
マルチバース演出に寄与した本作のカットを見れば、納得感が増すと思います。


【キャラ 4.0点】
裕太の六花への告白の行方というシナリオ軸。

『SSSS.GRIDMAN』主人公・響裕太とヒロイン・宝多六花より、
恋愛面で一歩先を行く『SSSS.DYNAZENON』主人公・麻中蓬(よもぎ)とヒロイン・南夢芽。
両カップルが邂逅した時、何が引き起こされるのか?
特撮だの、多次元世界の命運だのより、私は鑑賞前から恋バナが気になって仕方がありませんでしたw

蓬くんも裕太に{netabare} 「告白しないんっすか?」{/netabare} って感じで無自覚にマウント取る豹変ぶりw
すっかり明るくなった夢芽ちゃんもそうですが、恋が少年少女に与える活力って恐ろしいですねw

刺激を受けた裕太の行動を待つ形の六花。
六花は裕太との“グリッドマン同盟”の日々の再現劇シナリオを何度も書き直しています。
つまり改稿の度に、裕太くんのことをジックリ考えてアウトプットを繰り返しているということ。

これを踏まえた上で、六花が再びグリッドマンとして戦いに赴く裕太の身を案じる表情。
裕太がどれくらい六花のことが好きなのか探るような表情。
もう、いちいち可愛すぎて悶えます。
六花ちゃんの顔も太ももも眩しすぎて直視できませんw


その他、総登場したキャラたち各々に、時間と経験による成長や変化が感じ取れるのも楽しい要素。
ただ心配なのは{netabare} 再び無職となった山中暦。
蓬もナチュラルに「大丈夫っすか?」って感じで話振る辺り、ホント図太くなりましたw{/netabare}


【声優 4.0点】
主人公・響裕太役の広瀬 裕也さん。
記憶喪失設定もこじれて複雑化したキャラにも好対応。
宇宙の一大事に対しては割りと即断即決でハキハキして頼もしいヒーローなのに、
六花に対しては相変わらずモジモジとw
この落差を演じることで、世界平和や期末試験より重大な恋の難しさを好表現していました。

六花役の宮本 侑芽さんVS夢芽役の若山 詩音さん。
両アンニュイ・ヒロインボイスが共鳴したらどんだけ気だるげになるのか戦々恐々でしたがw
TVアニメ版でのキャラ成長もあってか意外とシャキシャキとガールズトークを繰り広げていました。
{netabare} マックス{/netabare} の横槍が無念ですw


TVシリーズでED主題歌を担当していた内田 真礼さんに今作では割りと出番があって良かったです。
賞味期限は本当に重要です。
食中毒防止の面でも、人間関係進展の面でも、趣味の面でも。
アニメ映画は劇場公開期間が一番の食べ頃。鑑賞したい衝動は抑えてはいけません。


【音楽 4.0点】
劇伴担当はTV版と同じく鷺巣 詩郎氏。
“退屈な日常”では無音やピアノ曲で潜伏→バトルではお馴染みの金管と混声コーラスの雨あられ。
ここも極端なバランスで押し通す。
本作ではエレクトロミュージックへのチャレンジも目立ちました。

ファイナルバトルでは鷺巣氏のBGMだけでは火力が足りぬとばかりに?
ボーカル・大石昌良さんによるTVアニメ版OPを相次いで投入するお祭り騒ぎ。

そのオーイシマサヨシさん主題歌「uni-verse」は歌詞には青春を織り込むが、
曲調はショータイム感のある陽気な一曲。

クライマックスでは内田 真礼さんの過去のシングル曲「ハートビートシティ」が挿入。
ポップな告白ソングで胸が高鳴ります♪

投稿 : 2024/11/09
♥ : 16
ネタバレ

フリ-クス さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

After festival(祭りのあとで)

日本語で言うところの『後の祭り』って、
ガイジンに英語で”after festival”といっても伝わらないそうであります。
それはほんとに『祭りのあと』のこと、
つまり単純な時系列を表しているだけのコトバなんだとか。
いわゆる『日本人にだけ通じるエイゴ』の一つですね。

英語でそのニュアンスを伝えたい場合には、
” It's too late.”が一番ストレートに伝わるそうです
他の言い方としては
”What's done is done.”(やっちゃったことはやっちゃったこと)
”There's no use crying over spilled milk. ”(覆水盆に返らず)
みたいなのが一般的なんだそうであります。


さて、アニメの世界で『after festival(祭りのあと)』の代表格、
祭りの後でやるお祭りといえば『劇場版』。
(作画崩壊したのをオンエアしちゃうのは『後の祭り』)
おまつり的にもりあがったテレビシリーズ作品を劇場版にして、
狭いファンからがっつり儲けさせていただきましょう、
というのはたいていの製作委員会がやっていることでありまする。


本作はトリガーさん制作の『電光超人グリッドマン』原作シリ-ズで、
  第一弾『SSSS.GRIDMAN』 2018年10月~12月放送
  第二弾『SSSS.DYNAZENON』2021年04月~06月放送
に続く、第三弾ですね。2023年03月に公開された劇場版であります。

  最終的な興行収入はまだ発表されていないんですが、
  中間推移を見る限り、
  八億にチョイ届かないぐらいだったのかな、と。
  深夜枠発の劇場版としては、
  二塁打ぐらいと評価していいヒットを記録いたしております。

第一弾の『グリッドマン』と二弾の『ダイナゼノン』は、
キャラやストーリーのつながりが薄めなので、
なるべくグリッドマンの方から見たらいいんじゃねぐらいなんですが、
本作は前二作のキャラが勢ぞろいたしますし、
ストーリーもこてこてに絡んでいますので、未視聴の方はおいてけぼり。

いや知らんけど、という方は、
まずはテレビシリーズを放送順に見ることをおススメいたします。
どっちも面白いし、見とかないとほんとわけがわかりませぬ。


で、こっからは、
テレビシリーズを視聴済みの方向けのおハナシであります。
まずは製作の経緯について……

もともと第一作の『グリッドマン』を作ったときには、
続編とかシリ-ズ化なんてまるっきり考えていなかったそうです。
それが、けっこうあたったので『ダイナゼノン』を作ることになったんだとか。

で、『ダイナゼノン』をちくちく制作しはじめたころに、
プロデューサーが色気を出して
  キャラがみんな出てくるお祭り映画みたいの作ろ~ぜ
とかなんとか言い出したのが本作の発端なのだとか。

もともとなんも考えていないのに『続編』だの『劇場版』だのが決定し、
ツジツマを合わせるために監督が吐きそうになるのは、
このギョ-カイでは日常茶飯事。

テレビ版から引き続き監督になった雨宮哲さん、
なんとかしようとストーリーの原案を考えたのですが、
『せっかくの劇場版なんだから』といろんな方がちゃちゃ入れたみたいで、
当初考えていたストーリーはボツの憂き目にあったそうです。
(雨宮さん、初の劇場版監督なので強くでられなかったんでしょうね)

というわけで、船頭さんが次々とフネに乗り込み、
先に結論じみたハナシになっちゃいますが、
  前二作的な『らしさ』半分、ナニコレ的な厨二展開が半分
という、かなり中途半端な仕上がりになっています。
いやほんと、面白いっちゃ面白いんですが、ツギハギ感がエグいかと。


拙の勝手な思い込みに過ぎないかも知れませんが、
本シリ-ズの雨宮カントクって、
  ドラマをきちんと描く
ことにすごくこだわっている方だと思うんですよね。

  テレビシリーズでは、
  同尺のアニメと比べて二割ぐらいシナリオの文字数をへらし、
  タメと余韻をもってキャラの心情を表現していました。

  お芝居のつけ方も、
  いま評判の『フリ-レン』にも通じるナチュラルな方向を示し、
  視聴者が同じ目線で共感できるように配慮。

  Bパ-トまるまる使ってバトル、みたいな演出もなく、
  むしろその前後の『ヒトのあり方』的なことをきっちり描いて、
  絵空事なのにエソラゴトじゃない世界観を構築しておられました。


本作も、前ハンブンはそんなかんじ。
懐かしいキャラが次々出てきて親近感を抱けるお芝居を展開します。
(全員そろった学校風景とかすっごく楽しかったです)
バトルは見せ場だけを見せてさっくり終了。
さらにはガウマさんほんとよかったね的な再会なんかもあって、
拙的には大マンゾクな内容でした。

ところが、物語のど真ん中、 {netabare}
具体的には『ダイナゼノン』のキャラが消失したところから、 {/netabare}
なんだかな展開にいきなりシフトチェンジいたします。

  メタバ-スがど~したこ~したという、  
  既視感バリバリな厨二的セカイ観の講釈にはじまり、
  そいでもって、
  ラストバトルのいや長げ~こと長げ~こと。
  敵が出てきてからラスボス倒すまで35分ぐらいあるんですよね。

  苦戦したら仲間が出てきて加勢してくれて、
  倒したと思ったらフッカツしたり新たな敵がでてきたり、
  その都度ヘンケイしたり合体したりの繰り返し。

  最後の方の合体なんか、
  元はナニでどこに誰と誰が乗っているのかなんて、
  いちいち考える気もいたしませぬ。

  これ、玩具化案件持ち込んでも断られるだろうなあ、
  バンダイでも立体化ムリだろうなあ、
  そんなこと考えつつ、ためいきつきながら眺めていました。


つまるところ本作っていうのは、
『きちっと人間ドラマを描きたい』タイプの監督と、
『アニメ映画は講釈たれてなんぼ、バトってなんぼ』の旧勢力が、
  尺を半分にすぱっと切って張り合わせた折衷作、
みたいな感じに仕上がっているんです。ほんと、マジで尺の半分のところで。

そこんところを
 「一粒で二度オイシイ」と感じるか、
 「世界観がぐりとぐら」と感じるかは見るヒト次第かと。

拙が物語に『3』というシブい点をつけたのはそこのところです。
いやだって、
  ほんとラストバトルなげ~し、
  この世界の『ナゾ』が宇宙規模とか話デカくし過ぎだし、
  アカネとか二代目とかバトってんのムリありすぎて笑っちゃうし、
  無理くりいっぱい合体させすぎて造形ぐちゃぐちゃだし、
  そもそも『敵』の目的が昔マンガみたいだし、
拙個人としては、サービスがぜんっぜんサービスに感じられないんですよね。

本作に限らず、なぜかテレビシリーズの劇場版化って
  ハナシを『世界のおわり』みたいなデカいものにして、
  出てきたキャラクターはむちゃでもクチャでも全部ぶちこんで、
  ド派手バトルで尺ひっぱって、
  声優にユウジョ-叫ばしときゃなんとかなるなる。
と考えている業界人が少なくないんですよね。

まあ、平たく言えば、アニメ業界の『悪しきテンプレート』。

いまさらそんなものを『お祭り映画』だなんて、
拙的には、ちょっと感性的にアレな気がしないでもありません。
だって、昭和も平成も、とっくに終わっているんですもの。

そういうのって、場末のフーゾク店、
いわゆる『サービス過剰なえっち下着』みたく感じちゃうんですよね。
お好きな方はお好きなんだろうけれど、拙はムリ。
別料金かかっていいから、
もうちょい知性的なおねえさんとチェンジお願いいたします。


ただし、最後まで通しで見ると、
視聴後感はそんなに悪くないんですよね。
ちゃんとTVシリ-ズのテイストを継承していたように感じられます。

なぜかというと、
ラスボス倒してからのエピローグが、
エンドロールをのぞいて12分もあるんですよね。
{netabare}
  そこで、ガウマは長年の姫への思いから解放されます。
  哀しいけれどヨカッタね、的なハナシの括り方がとってもよき。

  さらに、ホンモノの”after festival”、
  学園祭の後の告白シ-ン、
  裕太くんと六花の照れ照れハッピーエンドは、らしさ満開でとってもいい感じ。

  グリッドマンの第一話で、
  記憶喪失になるまえの裕太と六花でなんかあったっぽいんですが、
  同作は最後までそのへんがグダグダに。
  で、本作では六花が
  「時間かかってよかったよ……わたしも裕太を好きになれたから」
  と言ってるから、たぶん、告白→保留コースだったんでせう。

  告白を保留されている男子って、
  毎日が断頭台にのせられているようなものでありますから、
  結果はさておくとして、
  記憶喪失でそのキョーフから逃れられていたこと、
  裕太くんはグリッドマンに全力で感謝いたさねばなりませぬ。

  そして、なんといってもエンドロール終了後のおまけ15秒が秀逸。

  ヨモギくんの家族にまじってユメが黙々とカニを食べているなか、
  ヨモギの「おいしい?」という問いに対し、
  母親が「ふつう」と答えて物語が閉じるサイコ-の大団円。

  一周回って、
  ちょっとだけニンゲン的な成長とかしたりして、
  そしてまた日常に戻っていく。

  ドラマってそうあるべきなんじゃないのかな、
  そんな感じの監督の控えめだけど強烈なメッセージが、
  わずかな尺に凝縮して詰め込まれています。 {/netabare}

つまるところ、
こうしたアニメ映画でど派手なバトルを『祭り』の部分とするなら、
その『祭りのあと』がしっかりと、
そして、ていねいに描かれているんですよね。

実際、大きな祭りのあとの寂寥感とか、
日常に戻っていく心地よい倦怠感とか、
そういうのってもう、ヒトの心の中でセットになってると思うわけです。

そうしたものをひっくるめて描くことが、
雨宮監督の考える『祭り』の映像化なんじゃないかなあ、と思ってもみたり。
{netabare}
メタファーとしての実写の差し込みは、
『祭りの終わり』というよりも『夢の終わり』みたく感じましたが、
よく考えてみたら、そこ、境界線がけっこう曖昧なんですよね。 {/netabare}

とにもかくにも、
この、ラスボス退治後に見せた監督の意地とコンジョ-によって、
中盤~終盤の油ギトギトな展開が中和され、
さっぱり気持ちよく「ごちそうさま」が言えるコースになっております。
やっぱお会計は笑顔でするのがイチバンかと。



拙的なおススメ度は、テレビシリーズ視聴済みという前提で、

  合体ロボ・ヒ-ロ-・怪獣バトルが好きな方々 →S~A
  そういうのは苦手だけど前作は好きだった方々 →Aマイナス
  そういうのは苦手だし前作もイマイチだった方々→C

みたいな感じです(ゴリゴリの主観ですが)。


映像は、劇場版の名に恥じないクオリティ。
最後のバトルであれやこれやを合体させすぎて、
  なにかよくわかんないモノ
になっちゃったので4.5点という評価なんですが、
おおむね、満点に近いデキではあるまいかと。


お芝居は、安定のナチュラル系。
いい役者さんをずらりとそろえて聴き心地がよく、
カニ売ってた内田(姉)さんもかわいかったです。

  ほんと日常パートだけなら満点あげたいぐらいなんですが、
  バトルで叫ばしすぎちゃったので、こちらも4.5点。
  このへんも劇場版の悪癖だなあと個人的に思ってもみたり。


音楽は、個人的にはイマイチ。
劇伴は鷺巣詩郎さんなんで全くモンダイないんですが、
テ-マ曲がちょっとな……。

  アニメファンに評判のいいオーイシマサヨシさんなんですが、
  拙の耳にはジュニア作品っぽく聞こえちゃうんですよね。
  作品のモチ-フ上、
  仕方ないっちゃ仕方ないんですが、
  本編の劇伴として使うのはカンベンして欲しかったです。

  いやほんと、なんのために鷺巣さん呼んだんだ、みたいな。

  もちろん、そう思わない方もたくさんおられるでしょうし、
  これはあくまでも個人的な、
  100パーセント『好み』のモンダイであります。


とにもかくにも『ファン向けお祭りアニメ』でありますから、
前作ファンなら充分楽しめるデキだと思います。
拙ごときの小者は、
宮本侑芽さんが演る六花をもっかい聴けただけで大マンゾク。

  あ、姫ってこんなヒトだったんだ、とか、
  世の中で守らなきゃイケナイもののみっつめってそれなんだ、とか、
  チセのタトゥー、リスカ痕の上書きじゃなかったんだ、とか、

ちまっとした部分もいい感じに回収されておりまする。

テレビシリーズを超えたか、と問われれば、
そこはちょっとモゴモゴなんですが、
少なくとも「カネかえせ」にはならない楽しい一本ではあるまいかと。



ちなみに、最初に雨宮カントクが考えていた本作の構想って、
単純に前二作のキャラを寄せ集めるのではなく、
三人目のヒロインを登場させて新たなドラマを見せるモノだったそうです。

最終的にできあがった本作は
『グリッドマンⅠ+Ⅱ』あるいは『グリッドマンオ-ルスタ-ズ』みたいな感じですが、
雨宮さんは『グリッドマンⅢ』をやりたかったんですよね。

実際、それでプロットなりシナリオ原案なりが進められていたんですが、
  「人物の掘り下げに尺を取られちゃう」
  「もっとグリッドマン世界のナゾ究明に尺をつかうべきだ」
という声に押し切られるカタチで、
本作の内容に落ち着いたんだそうであります。

  まあ、迂闊にふみこめないジジョ-があったことはお察しいたしますし、
  あくまでも個人の好き嫌いのハナシでしかないのですが、
  拙個人的には、原案バージョンの方が見てみたかったなあと。

  本作は本作でもちろん面白いのですが、
  やっぱ見たいじゃないですか、『グリッドマンⅢ』。
  まあ、いまさらそんなこと言っても

              『後の祭り』なんですけれどね。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 15
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

創作論、作品という宇宙、ファンサービス。面白かったです。

 単なるファンムービー、ファンサービスかなと思ってたら、ガッツリと含意がある感じでした。1度見たところだと、創作行為というのは一つ読み取れます。
 もちろん、六花、あかね、夢芽の3人のヒロインが再び見られるというゴージャスさはファンとしては喜ばしいことに間違いありません。

 そして、この見方ですね。制作者が込めた含意と面白いファンムービーの要素というこの映画の内容と、意味的にリンクしているメタ構造が感心ポイントになります。
 つまり、六花→アカネ→本作原作というそれぞれの創作活動が映画の内容的にも、メタ的な視点でも入れ子構造になっていることです。

 六花が創作についていろいろ悩んでいるので分かりやすいところです。この六花の話が最後の方のセリフにつながってくる感じです。「伝わったかな?」「面白かったんだからいいんじゃない?」とかそう言う感じでした。
 つまり、作者は言いたい事を作品に懸命に悩んで込めるけど、誰も受け取ってくれないのは残念。でも、面白がってもらえるならそれはそれでいいのかも、というのがありました。

 これは新条あかねが作った世界であるグリッドマンの世界で起こっているのが面白いところですね。{netabare}実写を出したのは、もちろんこの構造を改めて見せるためでしょう。グリッドマンという作品世界が忘れられて消滅するかもという話。あるいは他の宇宙と一緒になってしまうというのは、ちょっと「作品世界」という単語に連動する気がします。つまり一つ一つの作品とは宇宙だ、ということでしょう。

 つまり円谷ですからいろんなヒーローが過去いたわけで、その一つ一つの世界に携わった人が込めた思いが、忘れられて融合してしまう感じでしょうか。作品は忘れられてジャンルとして統合されてしまうという事だと思います。いろんな世界で作られた怪獣を創り出した行為が概念として形を持つ、というのもそのアナロジーでしょう。 {/netabare}

 話は変わりますが、最近宇宙論がホットです。量子論的な多元宇宙という概念だけでなく、我々の宇宙は実態のある宇宙の投射された映像のようなものであるとか、上位存在のシミュレートだという証拠があるとか、ビッグバンは実はなくてアインシュタインの宇宙項は正しかった、とかいろいろですね。
 それを見聞きして思うのは、宇宙の定義って結局人間の作り出した物理方式や数式で記述しているので、自分の描きたい宇宙に結論が収束して行くのではないか?ということです。

 この作品をみて、創作論と同時に「グリッドマンユニバース」の名に恥じない、ちょっと哲学的なものにも思いをはせてしまいます。と同時に人間の脳の活動つまり「創作という行為」は宇宙を創ることだ、という意味も強く感じました。
 ひょっとしたら物理的に宇宙は上位存在の創作活動から生まれたのかもしれないですね。この辺の世界観はSSSSグリッドマンを引き継いでいますが、アカネのパーソナルな問題の少し内省的な同作の内容に比べ、本作はもっと普遍性を感じました。


 2つの作品のクロスオーバーではありましたが、ダイナゼノンはちょっと弱かったですね。TVでちょっと気になってたことを見せてはくれましたけど。そして、映画のエンドロールのあとのカニ鍋です。あれの意味はちょっと考え中です。画面に映っていたTVの画面はなにかエルフがかば焼きに驚いているような感じでしたけど、意味はあるんでしょうか?あるいは本作で言っているところの創作論について主張でしょうか?
(追記 ああ…トリガーの制作の「ダンジョン飯」の場面かな?)

 アニメの出来は非常に良かったです。六花のふとももがまた太くなった感じもしますが、ヒロインたちも良かったです。
 ロボットシーンは実はあんまり興味はないですけど、エフェクトをたっぷり使って動きも構図もさすがという感じでした。

 1度見ただけなので、これくらいです。また、見たら追記か書き直します。

 評価は、そうですね。ただ、TVのグリッドマンと比べると物足りなさは残ります。そして映画で有料ということも加味すると、ストーリーは4、キャラは5。作画は4、声優・音楽は3.5(調整の意味も込めて)とします。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 10

63.4 2 合体で学園なアニメランキング2位
PERSONA3 THE MOVIE #1 Spring of Birth(アニメ映画)

2013年10月1日
★★★★☆ 3.7 (206)
1018人が棚に入れました
1日と1日の狭間にある隠された時間「影時間」。街は動きを止め、人々はオブジェへと姿を変える。そこにはびこる異形の怪物「シャドウ」。それらに対抗できるのは、ペルソナという特殊な力を持つ者だけ。私立月光館学園に転校してきた主人公・結城理(ゆうき まこと)はペルソナの力に覚醒し、同じペルソナ使いたちで構成された特別課外活動部へと引き入れられる。彼らはそれぞれ目的のため、影時間の真相を追う内、想像を絶する運命と対峙する―――。

声優・キャラクター
石田彰、豊口めぐみ、鳥海浩輔、田中理恵、緑川光、能登麻美子、中井和哉、田の中勇、沢城みゆき

Key’s さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

BD買って見直しました!

あらすじ

1日と1日のはざまにある影時間に
現われる異形の怪物シャドウ。
シャドウと戦うことができるのは、
ペルソナという特別な能力を持つ者に限られている。
私立月光館学園に転入した高校2年生の結城理は
ペルソナの力を覚醒(かくせい)させ、
ペルソナ使いのいる特別課外活動部に入ることに。
そして、理たち部員はおのおのが持つ目的を達成すべく、
影時間の真相を探っていく。



感想

PERSONA3は原作のゲームから
大好きでずっとアニメ化するのを待っていました
そして待望の映画化!

これはspringって書いてあるし4部作なのかな?
今回はそれの1作目である
具体的には4月から6月の事件までが描かれている

原作好きとしては
充分満足できる出来だったが
予備知識のない初見の人は
説明不足で少しわかりずらいかも

なんであれでペルソナが出てくるのかとかも
わからないだろうし後は電車を最後止めるところや
担任の先生によって風花が行方不明だったのを
病欠扱いされてたところもカットされていたな
まぁ尺的に仕方ないと思うが

あとコミュが発生するのが
少し唐突過ぎたかも・・・
P4Aみたいにした方がわかりやすくて
良かったかも?


というか主人公落ち着き過ぎだなw
いや原作でもそういう性格だけど
アニメで見ると動じな過ぎだなw
でもああやって主人公の心が成長して
変わっていく感じは上手く表現されてて
素直に良かったと思う

ってかやっぱり
ペルソナ召喚のシーンは鳥肌立ったな
かっこよかった♪
でもやっぱりカッってなる
カットインは欲しかったかな?
あれはあれでかっこよかったから良いんだけど

それにコミュニティの各メンバーが
出てきたのも嬉しかった!
コミニティの話もするのかな?
あと音楽もやっぱり良いな
かっこよかった~♪

早く次が見たいな!
今から楽しみです♪



BD買って見直したので
感想追加

映画だと主人公の活躍に重きを置くために
どうやらあえて説明部分を省いていたようで
ディレクターズカット版では
説明部分を中心に結構追加されていた

色々気になったとこも
細かく修正されていてよかった

それと何度見ても
ペルソナ出す戦闘シーンは
かっこいいな~♪
鳥肌たちましたね!

コミュニティーの件は
どうやら原作とは違い
倒した敵のコミュニティーを
使えるようになる設定らしいです

映画だと多分コミュニティーの話を
する時間は無いっぽいから
今見てみると良い改変かな~?と思う

原作知識がない人も
映画ではわからなかったとしても
BDなら十分理解できると思うので
見てみてくださいね~

ホント次の話も楽しみです!
もう前売り券買ったので
早く見たいです~!

投稿 : 2024/11/09
♥ : 48
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

トワイライトゾーン

A-1 Pictures制作。
劇場版4部作まとめてこちらに。

日と日の狭間にある「影時間」
特定の者だけが真夜中訪れることの出来る世界。
彼らは1日が24時間ではないことに気付いている。
{netabare}その影時間にだけ現れる「シャドウ」
影時間の真相を追いシャドウとの死闘を経て、
少年は生きる意義を学び運命と対峙していく。{/netabare}

有名なアイギスを筆頭にキャラが素晴らしいです。
相変わらず相性の良い、好みの世界観で、
静かに歪み始めた陰鬱な世界を映し出します。
ペルソナシリーズが好印象なのはグロがないこと。
その陰影に富んだ映像だけで魅了されています。

拡がる無気力症候群の真相、
生きる証を見つけられず迷い悩む人たち。
死を知り、死を見つめ、死と向き合う、
命の放熱を知り成長を始めたそれぞれの未来。
そこにあるものを確かめて頂ければ。

標題に季節が入るのですが「夏」がお勧めです。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 27

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

思わず「こんなもんか」とか言ってしまったw

2012年春に公開された『P4』の映画にてエンドロール後に突如として発表された『P3』の映画化
イメージカラーの青が示すとおり、ペルソナシリーズ全体に圧し掛かるミステリアスな雰囲気と、よりポップで軽快な空気が漂う『P4』という作品とのちょうど中間にあたるのがこの『P3』の世界観の特徴
色でいうなればP3が“パステルブルー”、P4が“ビビッドイエロー”というところでしょうか


午前0時になると現れる、普通の人には見えない時間「影時間」
そこに迷い込んだ人を襲う怪物「シャドウ」
月光館学園に転校してきた物静かな主人公、「結城理」は特別課外活動部の仲間とペルソナ能力という力を用いて影時間の謎の解明やシャドウに巻き込まれた人を救わんと戦います


前作『P4』で実績のあるスタッフによるアニメ化
そのためデザインやエフェクト等はある程度確立されていますし、原作通りにやろうという姿勢は共通しています
「伊織順平アワー」とか
「空気読み人知らず」とか
「ブリリアント!」とか
原作を遊んだ人向けの小ネタをちょこちょこ絡めてくるので【ファンムービー】であるというのが大前提です


前作のアニメ化の時もそうでしたが序盤はとにかくダルい
事件の噂を聞く→探偵ごっこ→ダンジョン攻略→ボスとの戦闘
基本この繰り返し
今作の時点で桐条先輩が役立たずなのは原作通りながらアニメで見ると不自然極まりない(笑)
「山岸風花」がパーティー入りするまでが今作、次章は2014年初夏だそうでwちょっと間隔空け過ぎですw


一番最初のタナトス召還、山岸風花という少女と彼女の友人とのエピソード、今作のクライマックスとなるエンプレス&エンペラー戦に関してはアツい
最後だけ作画もいい
ですがその他は正直ダルい
まあ次章以降盛り上がるものだと思って割り切って見ていただくのが吉かと
音楽は素晴らしいです、そこはホント満点!

投稿 : 2024/11/09
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