鸐 さんの感想・評価
3.5
シンガポール映画とは思わなかった
以前、今度コミケに出すんです。という話をデッサンの先生にしたら、漫画描いてるなら観てみたら。と勧められたのがこの映画だった。
しかしマイナーな為か上映は気づけば終わっているし、レンタル屋にも置かれていない。
目当てのものを観るために期間限定でサブスクに登録して、観たかったアニメやドラマを探すたびに、見付けられなかった作品への期待値が高まっていくのだが、この作品もそういったもののうちの一つだった。
ちなみに見つけたのはNETFLIX。
開始はだいぶ癖のあるモノローグともったりしたFlash系のアニメーションに95分見続けるのはキツイかな?と思ったけど、アバンを超えると引き込みが強くなって、気づけば70分くらい経っていた。
物語は辰巳ヨシヒロ氏の生い立ちをなぞりながら、同氏の作品を交互につなげて、厚みのある人生を描いた物語になっている。
それまで辰巳ヨシヒロ氏のことは知らなかったけど、それまで大人向けというふわっとしたくくりしかなかった漫画に、劇画という名前をつけてジャンルを確立した人物だった。
自分の漫画は一回も先生に見せたことないのに目指す絵柄とか、考え方とか、自分に近くてデッサンのパース狂いだけじゃなくてまさか傾向も見抜かれていたのではないかと恐ろしかったりする。
EDロールを観ていたらカタカナの名前が多くて驚いた。
制作したのはシンガポールの制作チームだった。
作中で描かれる漫画は痴情を描いたものが多く、国境を越える普遍的な題材ではあると思うけど、どうしてこの人物にスポットを当てて制作に乗り出したのかはやっぱり気になるね。