卒業式で中学生なおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの卒業式で中学生な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年02月16日の時点で一番の卒業式で中学生なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

79.7 1 卒業式で中学生なアニメランキング1位
僕の心のヤバイやつ 第2期(TVアニメ動画)

2024年冬アニメ
★★★★★ 4.1 (265)
887人が棚に入れました
重度の中二病で陰キャの市川京太郎と、クラスで人気者の山田杏奈。 美少女らしからぬ行動を繰り出す山田に、市川は目を離せずにいた。 そんな市川の恋心を知ってか知らずか、山田は天真爛漫に近づいて来る!! 全く違う世界にいたはずの2人。しかしその距離は、徐々に近づいていき……。

声優・キャラクター
市川京太郎:堀江瞬
山田杏奈:羊宮妃那
小林ちひろ:朝井彩加
関根萌子:潘めぐみ
吉田芹那:種﨑敦美
足立翔:岡本信彦
神崎健太:佐藤元
太田力:福島潤
原穂乃香:豊崎愛生
市川香菜:田村ゆかり
南条ハルヤ:島﨑信長

カミタマン さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

意外にも感動した!

2024/05/16 初投稿

山田がドストライクなので高評価は見る前から確定だったのですが・・・w

印象としてはちょっとエッチないちゃラブコメディー的な印象だったのですがw
音楽の使い方が上手く感動させられました!

ちょいちょい各話の終盤に音楽で感動的に盛り上げたりされていました。

そして何より、全話見終わった後で
OP「僕は...」をフルコーラスで聞いたら、衝撃的なほど感動に襲われ思わず泣いてしまいました。

聞いていなかったらぜひ「僕は...」のフルコーラスバージョンを聞いてみることをお勧めします。
作品の本質がしっかり整理され、さらに非常に感情面に訴えて来ます!

投稿 : 2025/02/15
♥ : 20
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

観た後にじんわりくるラブコメの名作 第二章

[2024.3.31見終わって]
最終話みてあらためて思ったこと。
山田さんのことを本気で心配して山田さんの一部になりたいって思う下心なしの純粋な気持ち。
市川くんの山田さんへの想いはもう恋じゃなくて愛だなぁって。

なんていうか、大人の普通の恋愛ものよりも、こういうピュアな恋愛もののほうがココロにくるのって、市川くんのお姉さんの放課後デートじゃないけど、思春期の恋心ってもう二度と味わえないものだから尊く思えちゃうんでしょうね。

市川くんは山田さんのおかげで成長できて、山田さんも市川くんのおかげでもっと自分を好きになれた。
ほんと、とても素敵なラブコメでした。原作者さん、アニメスタッフさんありがとうございました。

ラストで1期OPのヨルシカの「斜陽」が流れる粋な演出にまた涙腺が。。

[初回感想]
1期は私にとって名作でした。
原作の良さをうまく引き出してる演出とリズと青い鳥の音楽などを手掛けた牛尾憲輔さんの静かでエモい劇中曲、そして市川くんが山田さんと出会ってからのココロの動きと成長を丁寧に描かれてて、見てる私のココロを何度もヤバくさせていただきました。

そして待望の2期!!
実は原作も最新刊まで読んでまして、これからの展開はおおよそ知ってはいるんですが、でもだからこそ あの展開を1期と同じスタッフがどうエモく演出してくれて私のココロをヤバくしてくれるのか、楽しみで仕方ありません。

OPの二人のダンス、かわいいですね。スキロー思い出しました。
EDは1期に続いて こはならむさん。今期もまた本編の余韻をいい感じにしてくれそうな曲ですね。

各話感想は以下のとおりです。

ツイヤバ
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karte13「僕らは探している」
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karte14「僕は大人のなりかけ」
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karte15「僕は山田と」
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karte16「山田は僕を」
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karte17「僕は知りたい」
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karte18「山田は僕が好き」
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karte19「僕らは溢れ出る」
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karte20「僕らは夜更かしした」
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karte21「僕らは約束した」
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投稿 : 2025/02/15
♥ : 36
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

先制の初回、中押しの6回、ダメ押しの最終回……ヤバすぎる2期

引き続き原作未読で視聴。

【物語 5.0点】
恋愛ラブコメ続編物でありがちな、
連載続けたいから引っ張ってるのは分かるけど、早くくっけば良いのに?という焦れったさから来る退屈さ。

対して、この2期は、思春期の自意識過剰に伴う繊細さ故に恋路に踏み出せない、
葛藤する少年少女の心理描写の解像度を極限まで高めることで、
退屈になりかねない停滞期を、濃厚な人間ドラマに昇華することに成功しています。


象徴的だったのが第10話(karte22)
ネタバレレビューを読む
これはこれで好きな女子の本心をうっかり垣間見ちゃう激ヤバなムズキュンイベントなのですがw
それ以上に中二病少年のハートが如何に繊細なコワレモノで、
恋愛成就させるためには熟成する時間が必要であることが、
作者も、きちんと整理できていることが確認できた印象的なカット。

何故、今はまだ、付かず離れずの距離感が適切なのか、
都度、納得できるだけの心情表現があったので、
私は前向きな気分で告白前のもどかしい恋愛劇を見守ることができました。
というより毎回キュンキュンして尊死してましたw


卒業式?体育祭?修学旅行?ダルくてやってられんし。
主人公・市川もまたカースト下層民らしく、各種学校行事を毛嫌いしながら、
心のモヤモヤをぶつけるはけ口としてチャッカリとイベントを活用しちゃってる。
一周回ってやっぱり学校って青春って良いなと視聴者に思わせる。
学校との距離感も良い意味でささくれだっている感じで良かったです。

しかし、まさか第6話(karte18)にて、ネタバレレビューを読む で感動させられるとは思いも寄りませんでした。
美容院で髪型から変えて男の本気をぶつけられる学生時代のくだらないイベント。
全てがしがらみに絡め取られている実社会では、そんな都合の良いサンドバッグはそうそうありませんw
儀式は組織内政治であり私心は全て検閲で弾かれますw


こんな病んだヤバい大人の私がラスト感涙したのは言うまでもありません。
自分で踏み出した一歩。しかと見届けました。
私も挑戦をやめないで、自分を好きになろうと思いました。
素敵でヤバい恋愛続編物をどうもありがとうございました。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・シンエイ動画

相変わらず撮影の貢献度が高い本作。
心に何かが芽生えた時に差し込む光など、
リアリティより心情反映に重きを置いた処理が成され
市川と山田の青春劇を盛り上げる。

振り返ればこの2期は初回から言葉以上に伝わる作画の心情表現もトップギアでした。
市川と山田の両想いなんて、周りはとっくに気付いている。
だけど口には出さずにそっとしておいてあげよう。
冒頭から映像を通じて空気感が伝わったことで、
私も見守り視点でスムーズに折り合うことができました。


キャラが躍動するOP映像も高密度で素晴らしい出来栄え。
本シリーズ配信を独占しているAmazon Prime Videoも、
最近OPスキップボタンを挿入して来るようになりましたが、
映像美に目を奪われた私はワンカットも飛ばせませんでした。


【キャラ 4.5点】
作中、中3進級イベントを挟んだ2期。
新たなクラスメイトとして、告白成功させたい祝いたい、
恋愛積極煽り勢の安堂カンナや半沢ユリネが登場。

ただここも、あくまで初恋は見守る、育む。
少年少女が抱えたモヤモヤした関係性は、
恋愛という枠に性急に分類することなどできない。
こうした基本線は変えない上での、終盤、佳境に向けたスパイス。
思春期の恋愛は焦っちゃいけないという反面教師として機能した感じ。


モデルでもあるヒロイン山田杏奈。
芸能界サイドからはマネージャー諏訪や、
山田の隠れ大ファンでネタバレレビューを読む が割り込む。
いずれも市川に、こんな根暗な僕が光の差す場所で輝く山田と釣り合うのだろうか?
この恋心は絶望だという市川の葛藤描写を拡張するサブキャラとして有用でした。


あとは山田のパパ。圧が凄かったですw
でもネタバレレビューを読む


【声優 4.5点】
市川の心の中の格好つけたいもう一人の自分、
“イマジナリー京太郎”役の福山 潤さん。
市川も初恋で殺人本より恋愛漫画読むようになって、
イマジナリーも2期になってさらに出番が増えている気がw

放送に先立つ1期振り返り動画では、
市川姉役の田村 ゆかりさんを差し置いて、
ナレーションした福山 潤さんのナルシストボイスが作品をナビゲートw


級友・足立役の岡本 信彦さん。
神崎、太田と共に頭の悪い中学生の猥談ネタ担当の三バカの一角で、
折角のイケボを無駄遣いしている感が相当ありましたがw
終盤11話、ネタバレレビューを読む
泥臭くて格好良かったです。


山田の親友・小林ひちろ役の朝井 彩加さん。
よしよし~って感じで山田を理解してあげられる、
保護者な朝井さんの明るい濁声。
1期、2期通じてホッと一息付ける癒やしスポットでした。


思えば、山田役の羊宮 妃那さん目当てで観始めた『僕ヤバ』
好きな男の子と夢を叶える仕事の好機との間で揺れ動くヒロインボイス、
相変わらず何でも美味そうに食べるもぐもぐボイスw

羊宮さんはこの夏、同じくテレ朝のアニメ枠・NUMAnimationで放送予定の米澤 穂信氏の青春ミステリー小説『<小市民>シリーズ』ヒロイン役も決まっており活躍が期待されます。


【音楽 4.5点】
アマプラにNUMAnimationと、
独占イチオシしたいメディアに恵まれた『僕ヤバ』。

宣伝も兼ねた動画、番組での赤城 博昭監督や小沼 則義音響監督のメディア露出も頻繁で、
心情表現を極めるために、音響等を如何に工夫しているのか?
私はある程度スタッフ意図をインプットした状態で2期も観ることができました。

恋愛ってウキウキな印象ですがシャイな思春期少年にとっては地獄。
だからここはリズムは弾ませず敢えてピアノバラードをチョイスして、
倒錯した思春期心理を演出する。

現実世界では環境音が急に大きくなったりはしない。
だがここは感情が盛り上がる場面だからボリュームを上げていく。

こうした音響方針を分かった上で視聴すると、
リアリティより心情を表現できる映像作品って面白いなって感じで沼ります。


OP主題歌は、あたらよ「僕は…」
シリーズ各話全タイトルに挿入された一人称を曲名にピックアップして、
少年にとって光となった想いをぶつけるアップテンポナンバー。
大サビ前のポエトミーも良い意味でイタくてグッド。

ED主題歌は「恋してる自分すら愛せるんだ」
恋に気付いた自分すら受け止められない、
思春期の自己肯定不足によく効く良作ラブバラード。
世界を優しく祝福する歌詞世界で、クライマックスの挿入にも使える一曲。

投稿 : 2025/02/15
♥ : 28

81.7 2 卒業式で中学生なアニメランキング2位
のんのんびより のんすとっぷ(TVアニメ動画)

2021年冬アニメ
★★★★☆ 4.0 (471)
1791人が棚に入れました
「旭丘分校」の生徒はたった5人。学年も性格も違うけれど、野菜を作ったり、虫捕りをしたり、楽器を練習してみたり・・・春夏秋冬の変わりゆく田舎生活はワクワクが止まりません。のどかでいつも通りだけど、くすっときて、ちょっぴり沁みて、心がほっこりする。まったりゆるゆるなメンバーが送る日常が、またまたはじまります。

声優・キャラクター
小岩井ことり、村川梨衣、佐倉綾音、阿澄佳奈、名塚佳織、佐藤利奈、福圓美里、新谷良子

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

数ある「のんのん」の中でも「のんすとっぷ」こそ至高。3期かけて積み上げてきたものが活きている。

 「ゆるキャン」と同じく、すでに充分完成された日常系ギャグとしてもはや進化の余地はありない、そんな風に考えていた時期が私にもありました…。


 全てのクオリティーがアップしているが、キャラと声優のマッチングがアップしてギャグの冴えが格段に上がっている。正直個人的には今までは寒い瞬間が多少あったけど、今期は本当に笑わせて頂きました。


 なっつんとひか姉、特に後者の出るだけで笑える女と化した感がある。台詞をいかに喋るかだけでここまで面白くなるもんなんだなぁ〜。メカコマぐるみの狂気も素晴らしい。


 あと、今期も魅力はここまで積み上げてきたものがあるからこその喜びと感動がある。駄菓子屋とほのかちゃんの件では涙せずにはいられなかった…。


 シンプルで純粋だからこそ胸に沁み入る救いこそ日常系の行き着く極地だと思う。プロ幼女な久野ちゃまが加わったことも大きいねぇ〜。そんなしおりちゃんに対してお姉ちゃんであろうとするれんちょんの姿には思わず…。


「いつも同じ道じゃないのん。いつもちょっと違うお天気日和なのん。」

投稿 : 2025/02/15
♥ : 48

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

完璧なsuspend/resume(サスペンド/レジューム)→ ほぼ原作通りの最終回

== [下記は第1話視聴終了時のレビュー: 以下、追記あり。] ==
れんちょんのリコーダー、nano.RIPEのOP主題歌、メインキャラクター4人でのED主題歌、居間のテレビ画面で次回予告と完璧な前作からのフォーマット踏襲でした。背景美術は相変わらず美しいというか、もしかしたら作画はグレードアップかも?

でも1、2期目を観てなくても何となく大丈夫そうな感じ。これぞ『のんのんびより』ですね。あ、新キャラは出ますよ。
== [第1話視聴終了時のレビュー、ここまで。] ==

2021.2.1追記:
第4話まで視聴終了。

なっつんと駄菓子屋が、それぞれ自分が一方的に有利な状況で相手が過去にやったことをあげつらう場面がありました。

スキーで無理矢理駄菓子屋に突き落とされて滑らされたとか、雪下ろしのために屋根に上がっているときになっつんに梯子を外されたとか、1、2期目から観ていると視聴者も「なるほど」と頷くけど良く考えたら作中で学年は同じなのにまだ冬は来ていないのです。「サザエさん時空」のパラドックス(笑)。

2021.3.29追記:
第12話(最終話)まで視聴終了。

実は「月刊コミックアライブ」4月号で原作は終了していて最終話も読んじゃっていたんですけど、概ね原作最終回通りの最終話という感じでした。ということでOVAとかはあり得ても本編が作られるのは本作で最後だと思います。

2期目の「りぴーと」では「サザエさん時空」のパラドックスはあまり目立たないように巧みなシリーズ構成がされていたのですが、「のんすとっぷ」はあまりそこには気を遣っていなかったようには感じています。

まあ、新キャラを出してしまったせいで仕方がなかったところもあるとは思いますけどね。

ここまでのシリーズの遺産みたいなものに頼ったきらいはありましたが、ちゃんとシリーズを終わらせたという点と、「年上としてふるまうれんちょん」を見せてくれたという点は高く評価できますね。

制作側も、つきあった視聴者もお疲れさまでした。

投稿 : 2025/02/15
♥ : 48
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

小さな音楽隊

SILVER LINK制作。

都会の喧騒を離れると、
ここまで小鳥や虫の声が聞こえてくる。
美しさを増した町の風景に、
さりげなく写る牛横断注意の立て看板。
豊かな自然の中で子供たちは、
スローライフな日常を生きている。

全くもって心配はいらない。
ゆるキャン△同様に強みを良く知っている。

登校時に歩きながら縦笛を吹く、
何気ないれんげの絵に衝撃が走った。
もう随分と忘れていた感覚である。
意味もなく登下校時は横に並び演奏する、
小さな音楽隊である。
大して楽しくもないのにずっと吹いていた。

ひぐらしの声、茜色の夕暮れ、
擦りむいた膝の思い出とともだち。

最終話視聴追記。
後半に並ぶ吉田玲子脚本回が印象に残る。
ネタバレレビューを読む
通いなれた通学路、同じような毎日でも、
れんげには違って見えている。

素敵な時間が流れています。
こんな平和な日常が今でもどこかで。

投稿 : 2025/02/15
♥ : 47

69.8 3 卒業式で中学生なアニメランキング3位
Sonny Boy サニーボーイ(TVアニメ動画)

2021年夏アニメ
★★★★☆ 3.4 (288)
807人が棚に入れました
長い長い夏休みも半ばを過ぎた8月16日。学校に集まっていた中学3年生・長良〈ながら〉たちは突然、思いも寄らない事態に巻き込まれていた。長良自身はもちろんのこと、謎の転校生・希〈のぞみ〉や瑞穂〈みずほ〉、朝風〈あさかぜ〉ら、36人のクラスメイトとともに、学校が異次元に漂流してしまったのだ。しかも彼らは、漂流と同時にさまざまな《能力》を入手。人知を越えた能力に大喜びし、好き勝手に暴れ回る者もいれば、リーダーとして他の生徒たちを統率しようとする者も、元の世界に戻るための方法を必死で探す者もいる。渦巻く不信や抑えきれない嫉妬、そして支配欲からくる対立。次々と巻き起こる不可解な事態を前に、少年少女たちは突如として、サバイバル生活に放り込まれてしまう。果たして長良たちはこの世界を攻略し、無事に元の世界に帰ることができるのだろうか……?
ネタバレ

素塔 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

アンチ・モラトリアム

本作とは全く印象が異なりますが、難解な青春アニメというと
今やネタアニメの定番になった「グラスリップ」が思い出されます。
揺れ動く思春期の心情を独自の表現語法を用いて描き出し、
心の内奥までも可視化しようとした点で両者は共通していますし、
結果、意味不明などと揶揄されてしまうのもやはり共通です。

「グラスリップ」では「未来の欠片」という超常的な現象が
ヒロインの深層心理をヴィジュアル化する装置として機能し、
また、エッシャーのトリックアート、「昼と夜」が解釈の鍵となっています。
イメージの喚起力に訴える同様の象徴表現を本作も駆使していますが、
こちらは比較にならないほどの徹底振り、まさしく完全な極振りです。

こうした野心的な独創が視聴者にウケないのはきわめて自然で、
この種の作品では視聴に払った注意力の量が感動に比例するので
制作に注がれたエネルギーに見合うだけの熱量で向き合わなければ入り込めず、
結果、作り手の自己満足のように感じられてしまうわけです。

本作はとにかく情報量が尋常でなく、深入りすると収拾がつかなくなるので
核心と思われる部分だけを抽出して概観することにします。
全体の大まかな構成は、漂流の"謎"をめぐる前半と、
漂流の"意味"を追求する後半とにはっきりと分かれていますが、
その転換の軸となる主人公長良の、決断と行動に焦点を当てた
いわば"長良ルート"と呼べるものが一応、標準的な読み筋になるようです。


ネタバレレビューを読む


長良ルートを締めくくる最終話の内容については、
希と瑞穂のその後の動向も含めて、いずれ補足する予定です。
本作のユニークな特色は、鬼面人を嚇すような世界設定よりも
この結論部分に提示されている独自の思想にあると自分は考えていて、
それを「アンチ・モラトリアム」などと呼んでみたのですが、
そもそも観る側に結論を委ねることを本作は意図しているようでもあり、
自分も確認できたポイントだけを覚書風に記しておくつもりです。

本作が執拗に反復する「死」のモチーフについても触れなければなりません。
光を志向しながらも死と親和的であり、作中に死の契機を導入する
希というヒロインの両義性は、本作の複雑な性格を端的に表出するものです。
また、「死」を「モラトリアム」と並ぶもう一つのテーマと捉えるならば、
その両者を統合する存在が瑞穂であり、最終話にその帰結が示されます。
長良ルートがシンプルな成長ストーリーであるのに比べ、
難解なメタファーや象徴が横溢するこの裏ルートの方に、余程興味をそそられます。


・・・しかし、さすがに四周もすると、最後は達観した心境に至ります。
これ、解らなくても別にいいんじゃないの? なんて。

理解しようと頑張ると、他作品を視聴する時間が削られます。
それよりは、クールでポップなヴィジュアルと雰囲気を楽しみつつ
一通り完走すれば、もうそれで十分なのではないだろうか?
哲学風味に抽出されたビターな青春のエッセンスをフィーリングで味わう、
こういうのが本作の正しい鑑賞法なのかも知れない、等々・・・

のっけから散々思わせぶりに引っ張りまわされた挙句、
最後は一方的に突き放される。有り体に言ってかなり鬼畜なアニメでした。
これがハッタリなら断じて許されないところですが、悔しいことには
十分過ぎるほどの内実を備えており、余韻も深いので黙らざるを得ない。
とは言え、好きになれるかどうかはまた別問題であって、
人に勧めたい気はあまりしないし、案外残らない作品にも思えます。

2022.11.23 投稿

投稿 : 2025/02/15
♥ : 18

御宅忍者 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

唯一無二の夏目監督。異世界の描き方。

小説をそのまま映像化したような作品

不思議な世界観であり、効果音だけの演出などが興味深かった。銀杏BOYZの主題歌もとても爽やかな夏を感じさせるものでとても良く、劇伴もとても良い。謎の世界観のため、好きな人は好き。嫌いな人は嫌い。極端に層が別れると思います。

opとedがなく、銀杏の主題歌だけで勝負するという挑戦を行なっている。最後の銀杏でいかに爆発させられるかが鍵になってくると感じた。

これぞ異世界というものを夏目監督は描いてくれている。異世界アニメの異世界は本来こうあるべきなのではないか。

市川さんと大西さんを中心としたキャスト陣のアフレコも良く、全体的に良かった作品。

哲学的作品が好きな人は好き。刺さる人には刺さるでしょう。監督もその人にしか求めてないです。

投稿 : 2025/02/15
♥ : 13
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ユートピアか、地獄か

マッドハウス制作。

いつもと変わらない夏休みのはずが、
突如、思いも寄らない事態に巻き込まれ、
生徒たちは虚空を漂う学校に閉じ込められる。

ネタバレレビューを読む

主流とは一線を画すアニメですが、
冒険的な世界観への挑戦をまずは肯定したい。

謎と不条理、好みの問題である。

社会性を獲得する物語なのでしょうか。
私にはとてもリアルなものに思えてきた。

最終話視聴追記。
ネタバレレビューを読む
概ね、気持ちの良い振り切った演出、展開に、
称賛の言葉を送りたいと思います。

なんて未熟で美しい青春なのでしょう。

投稿 : 2025/02/15
♥ : 55
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