たばこ さんの感想・評価
1.1
劣悪な衆愚アニメの決定版
「衆愚政治」という言葉がある。
平たく言うと、「大衆迎合型の政治」だ。
つまり、ただひたすら大衆の人気取りにのみ終始する政治のことである。
指導者に理念や思想は無く、意思決定もしない。なぜなら、大衆の「よろこぶこと」だけをしていれば、指示を得ることが出きるからである。
同様に、「衆愚アニメ」という言葉がある。
(もちろん今、私が作ったので、できたての言葉だ。)
平たく言うと、「大衆迎合型のアニメ」だ。
つまり、ただひたすら大衆の人気取りにのみ終始するアニメである。
アニメ制作サイドに理念や思想は無く、「作りたいアニメ」というものも無い。なぜなら、大衆の「よろこぶこと」だけけを見せてやれば、人気を得ることが出きるからである。
では、いったいこの「衆愚アニメ」のどこがいけないのだろうか。
皆が喜ぶなら、それはそれでいいじゃないか。
結論から言うと、「駄目駄目」なんである。
もう、完全に、まるっきり、駄目だ。
まだ3話までしか見ていないが、はっきり言える。
(*最終話まで視聴済み)
このアニメは、完全に終わっているのだ。
皆が喜ぶからといって、何でもかんでももろ手を挙げて賞賛していいってもんじゃない。
そこには「喜び方」と「喜ばせ方」の2つの問題がある。
●視聴者の喜び方の問題
だいたい、このアニメを見て楽しんでいる人がいたとして、いったいそれはどのような「楽しさ」なのだろうか。このアニメに楽しめる要素があったとして、それはいったいなんなのだろうか。
おそらく、次のようなことだ。
「ニャル子さんがかわいい」
「オープニングの歌がはまる」
「(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!」
「織り込まれるパロディギャグが面白い」
「お色気要素があって、ブヒブヒ」
「やる気の無いイケメン主人公がかわいい」
まだまだ、あるかもしれないが、大体こんなところだろう。
で、だ。
この中にひとつでもいい、何か「新しい楽しさ」があるだろうか。
自分が予想もしていなかった楽しさがあるだろうか。
断じて、無い、と言い切れる。
全て、折込済みの、経験済みの楽しさのはずだ。
どこかの、何かしらのアニメで、すでに体験している楽しさを、ひたすら木偶のように繰り返し繰り返し体験しているだけに過ぎない。
悪い意味で、全く期待を裏切らないアニメなのである。
すでに慣れ親しんだ、安心して楽しめる要素を、まるでスルメを噛むように、くちゃくちゃといつまでも、何度でも楽しみつづける。
街灯に群がる蛾のように、死ぬまで、ひたすら、同じ場所をぐるぐると回り続ける。
もちろん、こうした楽しみ方をそれはそれで「是」とする意見もあるだろうし、それも悪くは無いのかもしれない。
が、それと同時に失うものもある。
こんな糞アニメを高く評価することが、何をもたらすのかは明白である。
第2、第3のスルメを増産することになる。
スルメアニメの拡大再生産。
まさにアニメ暗黒時代の幕開けである。
何の新鮮味も無い、完全なるテンプレート化した、2次、3次創作アニメが跋扈するようになる。
間違いない。
●制作者の喜ばせ方の問題
もっとも腹立たしいのは、このアニメの制作者サイドである。
その薄汚い魂胆が丸見えなのだ。
ヒロインのニャル子ひとつとってみても、ヒロインのテンプレ記号である「アホ毛」しかり、アスカとかハルヒを代表する「肉食系女子」しかり、とにかく、全て、丸パクリだ。
ギャクにしても、パロディといえば聞こえはいいが、やっていることは、単なる「後乗り」に過ぎない。
主人公の男も同じ。「ちょっとやる気のない、草食系男子」の量産型だ。
あらゆる面において迎合的だし、独創性が皆無で、全ての要素が剽窃だ。
これは、クリエイターとしての職務放棄と言っても過言ではない。
本来、制作サイドってのは、どうにかして視聴者の期待の上を行く作品を作ろうとするべきだし、そうであるはずだ。
本当に面白い作品ってのは、そうした製作者の熱が伝わるものだ。
そういう作品は、見終わった後に、仮につまらなかったとしても、少なくとも意気込みだけは伝わるものだ。
「ああ、こういうことがしたかったんだろうけど、上手くいかなかったんだね」と。
しかし、このアニメには、一切そうした意気込みが感じられない。というか、むしろ、そもそもそんな意気込みは無いのだろう。
こんな糞ほどの価値も無い、大衆迎合アニメを作っておいて、もし金以外に目的があるのであれば、聞いてみたいものだ。
まだ、序盤の第3話までしか見ていないし、もしからしたら、後半で、驚くほど「本当に」面白い展開があるのかもしれない。
そのときは、このレビューを書き直そう。
が、おそらくその可能性はほぼゼロだろう。
(2012年4月28日時点)
●最終話視聴後の感想追加
まあ、もうくどくどと説明するまでもなく、文句無しでつまらなかったんだけど、終盤はもう、なんていうか、
●気の毒だな
とさえ感じた。
例えるなら、
「冴えない男がモテるために恋愛マニュアル本を熟読して、そのノウハウをひたすら披露しまくって、合コンの序盤こそ人気あったんだけど、終盤には女の子に飽きられちゃって、最後は隅のほうで一人寂しく、残り物の枝豆をつまんでる絵」
的な気の毒さがあった。
もう正直叩く気さえ起きないほど、ただひたすら可哀想なアニメだった。