化け猫アニメ映画ランキング 2

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早速見ていきましょう!

72.6 1 化け猫アニメランキング1位
泣きたい私は猫をかぶる(アニメ映画)

2020年6月5日
★★★★☆ 3.7 (139)
660人が棚に入れました
見つけた、君に会える魔法――自由奔放、ちょっと変わった中学2年生、笹木美代(ささき・みよ)。クラスメイトから「ムゲ(無限大謎人間)」というあだ名で呼ばれ、学校でも家でもいつも明るく元気いっぱい。ムゲ熱烈に想いを寄せるクラスメイトの日之出賢人(ひので・けんと)に毎日果敢にアタックを続けるが全く相手にされない。めげずにアピールし続ける彼女には誰にも言えないとっておきの秘密があった・・・。大好きな日之出のそばにいられる唯一の方法、それは猫になって会いにいくこと。≪人間≫のときには距離を取られてしまうが、≪猫≫のときには日之出に近づける日々。猫として長く過ごすほど、いつしか猫と自分の境界があいまいになっていく。このままずっと、彼のそばにいたい。でも、《私》に戻ることができなくなる――「猫」の世界を通して繰り広げられる、私をみつける青春ファンタジー。

声優・キャラクター
志田未来、花江夏樹、寿美菜子、小野賢章、千葉進歩、川澄綾子、大原さやか、浪川大輔、小木博明、山寺宏一
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

やっぱり猫が好き

佐藤順一監督、脚本岡田磨里。
スタジオコロリド制作。

夏の縁日、少女夜行、
新しい家庭環境に折り合いを付け生きる少女。
夜の祭りで迷い込んだ不思議な猫の世界、
{netabare}少女は猫の世界から好きな少年を見つめる。{/netabare}
少年もまた現実に折り合いを付け生きていた。

決して不幸せではない。
かといって幸せでもない。

どこにでもいる少年少女の日常。
{netabare}きっと2人は人から愛されることの、
イメージが持てないでいるのだ。
些細な日常の中で気付かない些細なこと、
愛することより愛されていること、{/netabare}
とても共感の持てる小さな物語である。

表現したい想いがある。
でも表現の仕方がわからない。

私が私でいられる時間は必要で、
ビタミンやミネラルはそこで補給され、
私と私が歩む人生との整合性が保たれる。
子供だってそうやって生きている。

高度に複雑化した関係性の中で、
私を支え導く大切な人々への、
眼差しが優しい素敵な心象風景である。

きっと、永遠は見つかる。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 49

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

見つけた、君に会える魔法…

サトジュンと岡田麿里さんがタッグを組んだオリジナルアニメ…
と聞けば気になりますよね。

ですが、私にとって結果的にラッキーでしたが、劇場での視聴を楽しみにしていた方には残念だったのではないでしょうか。
コロナウィルスの影響により、前売券の発売延期、公開日の延期…
そして劇場公開せずNETFLIXでの配信に変更されたからです。
私はNETFLIXに入会しているので視聴できましたが、多くの方々が入会している訳では無いと思うので…


私はあなたの力になりたい。好きって言われたい…

笹木美代(ささき・みよ)は、いつも明るく陽気な中学二年生の女の子。
空気を読まない言動で周囲を驚かせ、クラスメイトからは「ムゲ(無限大謎人間)」という
あだ名で呼ばれている。
しかし本当は周りに気を使い、「無限大謎人間」とは裏腹に自分の感情を抑えて日々を過ごしていた。
そんなムゲは、熱烈な想いを寄せるクラスメイトの日之出賢人(ひので・けんと)へ
毎日果敢にアタックを続けるが全く相手にされない。
めげずにアピールし続ける彼女には誰にも言えないとっておきの秘密があった・・・。

それは、猫の姿になって 大好きな日之出に会いにいくこと。

実はムゲは、ある夏祭りの夜お面屋にいた猫の店主から、「かぶると猫へと姿を変えることができる」という
不思議なお面をもらって以来、猫・太郎として日之出の家に通っていたのだ。
普段はクールに振舞う日之出だが、太郎にだけは素直な気持ちを打ち明けることができ、
いつしか太郎は日之出の支えになっていた。
≪人間≫のときには距離を取られてしまうが、≪猫≫のときには近づけるふたりの関係。
ムゲもまた、猫でいれば周囲との関係に悩むことない自由さを知り、次第に心地よさを覚えていく。

猫として長く過ごすほど、いつしか猫と自分の境界があいまいになるムゲ。
ある日、再び現れた猫店主から、猫の“お面”とムゲの“顔”を交換し、
≪人間≫を捨て≪猫≫として生きるよう迫られる・・・

このままずっと、彼のそばにいたい。でも、《私》に戻ることができなくなる――
自分が誰に支えられているのか。大切なものに気がつくとき、二人の世界が変わり始める。


公式HPのSTORYを引用させて頂きました。

始まって直ぐ、サトジュンワールドにジブリ感がプラスされた感じがしました。
ネコと摩訶不思議な空間との組み合わせは、まさにARIAそのものです。
それに「千と千尋の神隠し」の世界観が雰囲気を助長してくれている感じ…
もう期待感が右肩上がりです。

気になるあの人は今、何をしているんだろうか…?
誰でも一度は気にしたことのあるシチュエーションだと思います。
勿論、自分では会いに行けないし、仮に会ったとしても教えて貰えないかもしれません。
そもそも、会いに行くための口実がなかったり、嫌われたくないからあと一歩が踏み出せず躊躇してしまう…

青春のど真ん中って感じが羨ましくもありますけれど…

でも、それが「自分とは全く違う何か」でなら、見せて貰えるかもしれない…
見てどうするか…それはきっと実際に見てみなきゃ分からないと思いますが、この作品の根底にはそんな「もしもワールド」が息づいていました。

この作品で秀逸だと思ったのは人との関わり方です。
最初は、ムゲが日之出の力になりたいと思い動き出しますが、人との関係性ってそんな一方的じゃないんですよね。

お互いが支え、支えられている…
何かをしてあげたいという気持ちは交錯する…
そんな心情が巧みに描かれているんです。

そして物語を彩る主題歌 ヨルシカさんの「花に亡霊」も抜群だったと思います。

作画も綺麗、キャラはしっかり動くし背景も繊細且つ緻密で申し分無しでした。
日本のアニメーションの素晴らしさが感じられる作品だったのではないでしょうか。
私はしっかり堪能させて貰いました。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 19
ネタバレ

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

既視感がある猫物語

絵柄が幼いので、あまり期待せずに観ました。
しかし、巧みな物語構成に徐々に夢中に。
それは各キャラの背景が描かれていたからかな。
人猫関係が有機的に結合し、クライマックスへなだれ込む。
見応えがありました。

恋愛ファンタジーストーリー。
破天荒な女の子ムゲはちょっとクールな日之出が好き。
でも、日之出はムゲのアタックをむげに断る。
だから、ムゲは猫に変身し、日之出に会いに行く。
しかし、ムゲはデブ猫の陰謀にハマり・・・という感じの物語。

私のもっとも好きなのは{netabare}エンドロールの映像です。
暖かい余韻に浸れて清々しい。
日之出のお姉ちゃんが可愛そうとか。
ヨリちゃんの照れ顔が可愛いとか。
本筋と関係ないところが楽しいです。{/netabare}

ムゲの声は志田未来さん。
本業ではないけど、役に合っていたと思います。
並みいる声優陣に引けを取りません。
こっちの世界でも十分やっていけるでしょう。

背景は常滑に似ているなあと思ったら本当に常滑でした。
遠い昔に同級生の実家へ遊びに行った街。
狭い路地を上った先は・・・「猫の森?」
谷山浩子好きの同級生のことを思い出しました。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 18

計測不能 2 化け猫アニメランキング2位
映画『化け猫あんずちゃん』(アニメ映画)

2024年7月19日
★★★★☆ 4.0 (3)
13人が棚に入れました
雷の鳴る豪雨の中。お寺の和尚さんは段ボールの中で鳴いている子猫をみつける。その子猫は「あんず」と名付けられ、それは大切に育てられた。
時は流れ、おかしなことにあんずちゃんはいつしか人間の言葉を話し、人間のように暮らす「化け猫」になっていた。
移動手段は原付。お仕事は按摩のアルバイト。現在37歳。そんなあんずちゃんの元へ、親子ゲンカの末ずっと行方知れずだった和尚さんの息子・哲也が11歳の娘「かりん」を連れて帰ってくる。しかしまた和尚さんとケンカし、彼女を置いて去ってしまう。
大人の前ではいつもとっても“いい子”のかりんだが、お世話を頼まれたあんずちゃんは、猫かぶりだと知り、次第にめんどくさくなっていく。
かりんは哲也が別れ際に言った「母さんの命日に戻ってくるから」という言葉を信じて待ち続けるも、一向に帰ってこない。母親のお墓に手を合わせたいというささやかな望みさえ叶わないかりんは、あんずにお願いをする。「母さんに会わせて」
たった一つの願いから、地獄をも巻き込んだ土俵際の逃走劇が始まるんだニャ。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

俳優キャストの芝居を生かす同録ロトスコープの人情劇

同名原作コミックは未読。
だらしがない父に借金を何とかする間だけと、祖父の寺に置いていかれた少女・かりん。
そこで出会った中年飲んだくれ“化け猫”あんずちゃんらとの、ひと夏の交流を描いた日仏合作劇場アニメ作品(95分)


【物語 4.5点】
内容自体は変哲もない人情ドラマ。
不遇な家庭環境などで、心の澱(おり)を抱えた1人の少女が、
夏の不思議体験を経て、ひと皮向ける。

立ちションに屁こきと化け猫あんずちゃんの奔放な言動も、
昭和のドラマでよく見かけた親父の生態といった感じで懐かしい風味。
温かいなと思いつつも、これ実写だったらイマドキ流行らないと誰も見向きもせず企画通らなかったかもなと穿ってみたりw

実際、本作は冒頭で、かりん父と祖父のありがちな親子喧嘩の余韻に、またこういうパターンか……となっている所に、
猫が当たり前に原付に乗ってやってくる衝撃カットで一気に興味を引く。

化け猫、妖怪の類が街を闊歩していても住民は誰も驚かない。
フィクションとして最初に堂々と大嘘を付くことで、
その後の地獄探訪などのファンタジー要素の配合もスムーズになったと好感します。


脚本もネタやコメディやらが一見、方方にとっ散らかっているように見えて、
{netabare} 自分と違って幸せそうな家族連れを見て自転車を蹴り倒す{/netabare} などグレる萌芽が出始めている主人公少女に、
君たちはどう生きるかを優しく語りかける。
終わってみれば、一本筋の通ったシナリオとしてよくまとまっていたと思います。

ラストシーンは(※核心的ネタバレ){netabare} 当初構想していた、かりんが借金返済に目処を付けた親父について行き、池照町から東京に帰っていく幕引きから、
親父と袂を分かち、あんずちゃんの寺に残る{/netabare} 結末に変更したとのこと。
ですが、逆立ちなど小ネタと思われた要素も後々に回収するなど、
伏線管理も丁寧だったこともあり、
私は唐突感より納得感の方が上回りました。

その観点から意外と好きなのが、かりんが、東京のカフェでボーイフレンドの秀一と語らうシーン。
{netabare} かりんが、このまま都会で猫かぶって、受験戦争の権化みたいな秀一との恋仲を目指すのか。
そもそも都会で勉学ばかりやる生活だけが正解なのか。
今のかりんは、秀一と釣り合う女なのか。{/netabare}
ラストとの対比で脳裏に焼き付いているカットです。


【作画 4.0点】
アニメーション制作・シンエイ動画(日)✕Miyu Production(仏)

Miyuはフランスから世界を巡り、面白そうなんだけど資金不足等で実現が難航しそうなプロジェクトを発見しては、
助太刀して作品完成を目指す活動に取り組んでおり、
今回の日仏合作も国際映画祭での日本側とのスタッフとの交流から。

結果、イマドキ古風でマニアックな人情アニメを鑑賞でき嬉しさ半分、
海外から救済されねば好企画が成立しない本邦の映画界という寂しさ半分……。


役割分担としては、シンエイが実際の役者の芝居映像から人物作画等を起こすロトスコープ制作。
Miyuが背景美術を担当。

舞台となった池照町のモデルとなった静岡県沼津市戸田の港町。
Miyuはフランスの画家・ピエール・ボナールの作風も意識して、
大胆に塗りを重ねるなど、
夏と海のカラッとした南国風の田舎町を好表現。

配色も東京のカットでは冷たさを意識した寒色系、
地獄のシーンでは赤系を入れたりと、一工夫、色を加えることで空気感を醸成。


【キャラ 4.0点】
化け猫あんずちゃん。
寺で大切に飼われていたら長寿の末、二足歩行し人の言葉をしゃべるようになってしまった化け物。37歳。
マッサージ屋などとして地域社会に溶け込んでおり、住民からはほぼ人間扱い。
{netabare} 猫なのに原付無免許で切符きられるシーン{/netabare} は笑いましたw

酒飲みで、パチンカスで、{netabare} かりんちゃんから“預かった”バイト代を溶かす{/netabare} など、自堕落なのも人間味が溢れて?いますw
そんな、あんずちゃんの罪の告白もまた、真っ直ぐ生きるか否かテーマを問う要素として機能しており、
ここもコメディを散らかしているようで筋を通して来ます。


もう一人の主人公少女のかりんちゃん。
その父・哲也は、すぐにお金作るからと嘘を重ねる、
こちらも、あんずちゃんに負けず劣らず、清々しいくらい自堕落な親父。
グレ気味な娘から哲也と呼び捨てられるのも無理ありませんw

が、かりんもまた小5にして演技力を駆使して、
東京から来たデキる美少女を演出し、
田舎の不良小5少年の井上と林を籠絡し手駒にするなど、
早くも誑(たら)し込みの技術相伝の片鱗がw

所詮、蛙の子は蛙ということなのでしょうか。
あっ、自称“大妖怪”カエルちゃんも良かったです。
穴掘りキャラ設定は、展開を動かす上でも重宝しました。
{netabare} 妖怪や小5少女の洞穴温泉入浴シーン実現して頂き、どうもありがとうございました。{/netabare}


あとは地獄の鬼軍団がまんまヤ◯ザで、こちらも懐古な任侠映画風味。
地獄に落ちた人間に残虐行為を働く鬼たちの憩いの場が意外とホテルだったり、
冷めた口調で鬼の“組員”を顎で動かす閻魔大王が、静かなるドンって感じで可笑しかったです。


【声優 4.0点】
近年、ナチュラルな演技が欲しかったなどと、劇場アニメにタレント・俳優がキャスティングされる度、
ナチュラルな演技くらい今のアニメ声優でもできる。
そんな言い訳するくらいだったら、最初から企画成功のため俳優の知名度が欲しかったと言ってくれた方がまだ潔い。
などと方方に毒を撒き散らしている私ですが。

本作は実際の芝居を撮影して制作するロトスコープ。
しかも音声収録もアフレコではなく、撮影現場で収録する同録。

俳優キャストがアフレコに挑む度、声だけで演技する難しさを語られ、
だったら最初からアニメ声優でいいじゃんとささくれる私ですが。
同録ロトスコープならば俳優でも文句はない。
むしろ俳優の方が適任まであります。

あんずちゃん役の森山 未來さんも暑い中、
猫耳を付けて毛づくろいするなど人間味のある化け猫を熱演。

かりん役も当然、子役から。
演じた五藤 希愛(のあ)さんは芝居も上々でしたが、
スタッフは撮影当時かりんちゃんと同年代の11歳だったという点も重視。

実年齢とタイミングが合わねば成立し辛い。
この辺りも声一つで世代を飛び越えるアニメ声優の収録現場とは一線を画す。

拡大を続けるアニメと実写の中間領域を描く企画のあり方に一石を投じる制作手法だったと思います。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は鈴木 慶一氏。
とぼけた縦笛のコメディBGMから、のどかな田舎町の心情曲まで引き出しの多さでファンタジー要素も絡む人間ドラマをカバー。

因みに鈴木氏は、かりんの祖父の寺のおしょーさん役としても出演。
ロトスコープ素材映像用に芝居もした上で、楽曲制作に取り組む。
作品内世界の一員でもある作曲者ならではの解像度の高さで魅せる。


セリフも同録ならば、音響も同録なのも本作の特色。
池照町こと沼津市戸田のやかましい蝉の声も、夏のムード演出に効果的でした。


ED主題歌は、化け猫だけに?佐藤 千亜妃さんの「またたび」
透明感のあるボーカルとギターで彩る、ひと夏のバラードで、ほっと一息。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 10
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