切ないで漫画原作なおすすめアニメランキング 12

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91.6 1 切ないで漫画原作なアニメランキング1位
四月は君の嘘(TVアニメ動画)

2014年秋アニメ
★★★★★ 4.3 (5065)
20147人が棚に入れました
母の死をきっかけにピアノが弾けなくなった元天才少年・有馬公生。モノクロームだった彼の日常は、一人のヴァイオリニストとの出逢いから色付き始める。
傍若無人、喧嘩上等、でも個性あふれる演奏家・宮園かをり。少女に魅せられた公生は自分の足で14歳の今を走り始める。

声優・キャラクター
花江夏樹、種田梨沙、佐倉綾音、逢坂良太、早見沙織、梶裕貴
ネタバレ

フリ-クス さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

『愛は地球を救う』的なアレ

名作、と一般的に呼ばれてはいるものの、僕的に
 『いやいや、そんな言うほどいいもんじゃないでしょ』
というアニメが、いくつか存在いたしております。

本作『四月は君の嘘』はその代表格というか、
ぶっちぎりの一位作品でありまして、
見返すたびにアラが見つかってココロがささくれ立つ一本です。

もちろん、同作に熱狂的なファンが多いことは存じ上げておりますし、
その方々の思いを否定するつもりは毛頭ありません。
僕が言うのは「こういう角度からだとこう見える」という話に過ぎず、
どんな角度から見るかなんて、100%、個人の自由です。
そこに正誤だの良し悪しだのは存在しない、と僕は考えております。

  ただ、自分が好きなものを悪く書かれて気分がいい人なんてイナイ、
  というのも真なり、です。

同作に関わる美しい感動・印象を断じて犯されたくない、
そういう思いがある方は、
この先を読まれないことを強くおすすめいたします。

根拠もなくイチャモンを並べ立てる、みたいなことはしていませんが、
かなり『辛辣な表現』になっておりますし、
そのことで誰かの心を傷つけるのは、僕の本意ではありません。

ほんと、あくまでも「僕の角度からだとこう見える」という話でして、
ムリして読む必要なんてありませんから、
不快な思いをしたくない方は、どうぞお引き返しくださいませ。

警告は致しました。では、遠慮なく……


  身体障害者や余命宣告を受けた方々を安易に扱い、
  感動コンテンツとして消費している作品を、
  巷では『感動ポルノ(Inspiration porn)』と呼んだりします。

  もちろん、そういう方々と真摯に向き合い、
  目を逸らしたくなるような現実を繊細に描いていくことによって、
  芸術と呼べる域まで達した作品はたくさんあります。

  そうした作品と『感動ポルノ』の分水嶺は、
    作品を通じて伝えたいこと、訴えたいことの有無や深さ
  だというふうに、僕は考えています。

  残念ながら本作は後者の方かと。
  作品として『伝えたいこと』なんてリッパなものはありません。
  (少なくとも僕には伝わってきません)

  きれいで頑張ってる少女が死んじゃったら『かわいそう』なのはあたりまえ。

  プロフェッショナルのモノづくりとか物語づくりというのは、
  その『かわいそう』という共通認識をフックとして、
  なにを描き、なにを伝えようとするか、
  それらを通じて『なんのためにその作品を創るのか』を突きつめていく、
  そんなところがキモであると僕は愚考するわけです。

  ところが本作は、その『かわいそうさ』をアピールしているだけ。
  それっぽく聞こえるだけの言葉を並べ立て、
  人のカタチまでも不自然に歪め、
  ほらほら、こんな頑張ってるのにかわいそうでしょ、泣けるでしょ、
  そんなふうに物語を飾り立てているだけなんです。

  そこには何のメッセージもありません。

  作画がかなりイイので誤魔化されがちですが、
  そこに気がついちゃうと、少なくとも僕はダメです、ダメでした。
  作家の「カンド-作品として他人から評価されたい」という、
  『エゴ』や『自己実現欲求』ばかりが鼻について、
  とても泣く気にはなれません。

で、総論的に『ダメだダメだ』と言われても、
とてもじゃないけどナットクできる話ではないと思いますので、
ここからは総論や抽象論ではなく具体的に、
  どこがどう、なぜダメなのか
というポイントを列挙してまいりたいと思います。



【1.オマージュにおいて、引用元への理解・リスペクトがナイ】

リアルタイムで本作がはじまったとき、
僕はほんとうに、めちゃくちゃ気に入ってたんです。
友人にも「今期No.1はダントツでこれじゃね?」とか言ってましたしね。

作画はきれいだし、音楽も楽しいし、人物造形もしっかりしている。
ときおり「はあ?」とは思わされるものの、
そんなものを吹っ飛ばすぐらい、作品に『いきおい』がありました。

その評価にはっきりと『?』がついたのが、
第八話、井川絵見が演奏する『木枯らし』でのモノローグです。
{netabare}
  ここで絵美は心の中で『響け』と三回連続で唱えます。
  これはもちろん『君に届け』のオマージュですね。
  黒沼爽子が風早くんに思いを伝えるべく、
  心の中で『届け』と唱えながら駆けていくシーン。

  オリジナルの方は、能登麻美子さんによる歴史的名演です。
    ひとつめの『届け』は、まだ『願望』に近いもの。
    ふたつめの『届け』で、それがはっきりとした『意志』に変わり、
    みっつめの『届け』では、さらに熱い『情熱』へと昇華します。
  わずか17秒、たった九文字しかないこの台詞に、
  爽子という『人間』の軌跡と成長、魅力が全て込められています。

本作での『響け』は、その劣化版。
絵見は最初から自分の感情全開で演奏をしていますから、
言葉の意味も重さも変わりようがありません。

ただ『君に届け』レベルの脚本は年に数本あるかないかですし、
うわっつらを真似ただけになるのは、
まあギリギリ、理解できないこともありません。

問題はそこではなく、
能登さんに基礎声質が似ている早見沙織さんに、
当のご本人、能登さんの面前でこのセリフを言わせたこと。

ギャグとしての扱いやバラエティ企画ならまだわかりますが、
ガチな物語・お芝居の一環としてこの演出というのは、
  『下品を』通り越して『下劣』の一言。
もちろん『結果として、悪気なくこうなった』可能性もあるわけですが、
僕が製作なら、制作の現場に任せず、
事前にお二人の元に出向いて説明とお詫びをします。しなきゃいけません。

  もちろん、早見さんは何も悪くありませんし、
  業界内で人格者と尊敬される能登さんがキレることも考えられません。
  おふたりとも「そんなそんな」と笑ってくれることでしょう。

  ただまあ、やっぱりカチンときたんでしょうね、特に能登さん。
  この後につづく早希(公生の母)のお芝居において、
  早見さんがかすんじゃうほど、
  鬼気迫る、あるいは慈愛に満ちた素晴らしい演技を披露してくれました。
  役者の意地、ここにありです。


で、この一点をもって浮かんできた疑念、つまり

  この作品、オマージュでオリジナルへのリスペクト足りないんじゃね?

というのは、このあとからも出るわ出るわ状態です。
いやなんかもう、
オリジナルをほとんど理解せずに引用したのかな、みたいな感じです。


まず、本作そのものがオマージュじゃないかと言われている、
三田誠広さんの『いちご同盟』からの引用ですが、
少なくとも僕には、何らのリスペクトも感じられません。
単に音楽とビョ-キつながりということで、
カッコよくて意味深なシ-ンを無理やり引っ張ってきただけに思えます。

  そもそも、入院中の女の子に『いちご同盟』を持ってく段階で減点100。

  そして同作は『生と死』に向き合う少年少女の、
  定まらず翻弄される未成熟な心を、精緻な技巧で描いた名作です。
  面白半分に場面や台詞を切り取っていいような、
  作家のエゴや売れ線狙いで書かれた作品じゃないんです。
  (同作では、直美はこの段階ですでに片足を切断していますしね)

  なぜ『面白半分』という強いコトバを使うのかは後述しますが、
  役作りのため同作を読んでいたであろう種田さん(宮園かをり役)、
  すごく演りにくかったことと思います。

あと、後半にやたら出てくる『繋がっている』という言葉は、
村上春樹さんの『ダンス・ダンス・ダンス』のパクリ、
あ、いえ、オマージュですね。

  ただ、本作での用いられ方というのは、
  ライトな読者やエセハルキストが都合よく解釈して流行らせたもので、
  大元の用いられ方ではありません。

  そもそも春樹さんは、
  『人と人との情緒的なつながり』みたくありふれたものを、
  わざわざ『ツナガッテイル』とカナに直して意味深っぽく強調するような
  安い作家さんじゃないんです。
  ラノベならいざ知らず、純文なめんじゃね~ぞおい。

あと、武士の妹ナギが公生にレッスンうける前と、連弾後のセリフ、
  「われはファントム、オペラ座に潜む怪人。」
  「私はクリスティーナ、オペラ座の舞台に憧れる女の子。」
というのは、もちろんミュージカル『オペラ座の怪人』のパクリ、
あ、いえ、オマージュですね。

  これはもう、大本とは遠く離れた、質の低い言葉遊びに過ぎません。

  最初っから姿をみせてちょこんと座ってるファントムなんかいません。
  クリスティーナがドキドキしながらレッスンを受けていたのも、
  ファントム(エリック)の正体を知る前のことですしね。

  原作でのクリスティーナは
   「正体を知る前→憧れ・師事/知った後→嫌悪・同情」であり、
  かたや本作のナギは
   「正体を知る前→嫌悪/知った後→憧れ・師事」ですから、
  まったくベクトルが逆。かすりもしていません。

  ですから、オマージュではなく『比喩表現』としても失格点。
  ただ単に『音楽繋がり・かっこいいから』という理由で、
  原作もろくに知らずひっぱってきただけのことではあるまいかと。

あと『ピーナッツ』からもあっちこっち引っ張ってきてますが、
これは、原作をよくしらない(英語版で何冊か読んだだけ)ので、
コメントのしようがありません。

いずれにしてもオマージュというのは、単なる『引用』ではありません。
その原作品への強いリスペクトがあることが大前提ですし、

  その言葉や表現を使って、なにを伝えるか
  その言葉・表現の上に、自分としてなにを載せるか

というのが大切、というか本質的なところであります。
少なくとも僕の耳には、
本作にそういうものの存在がまるっきり感じられません。

  平たく言うと、本作で使われている全ての引用は、
   原典へのリスペクトも感じられなければ、
   必然性もなく、
   その引用を通じて伝えたいこともない、
  ぶっちゃけ『カッコイイから借りているだけ』にしか聞こえないんです。

こういうのは『オマージュ』とは呼べず、
単なる『借りパク』なんじゃないかと愚考するところであります。
{/netabare}


【2.音楽の扱いがザツ・オンガク論がいいかげん】

これも回が進むにつれて印象が変わっていったポイントであります。

視聴開始当初、僕は本作のことを
  『ちゃんとオンガクと向き合った、ホネのあるアニメ』
だと思っていたのです。

ほんとそう思っていたのですが、回が進むにつれ、
その扱いがザツなところとか、
言ってることがいいかげんなところとか、
そういうのが鼻について、作品自体を楽しめなくなっていきました。
{netabare}

まず、とにもかくにも『演奏中の無駄なモノローグ』が多いんです。
マンガなら『音』がないから言葉で補うのは必然なんですが、
アニメでそれをする必然性はありません。

  先に例示した絵美の『木枯らし(9話)』なんか、
  曲の尺が4分あって、
  モノローグが被さらないのはアタマの27秒とラスト15秒のみ。
  全体の80%以上は『曲がきちんと聴けない』んです。

  19話、武士の弾いた『革命のエチュード』なんか、
  3分40秒の尺で、モノローグがないのはアタマの7秒のみ。
  わざわざ子供時代の回想まで引っ張ってきて、演奏をツブしています。

さらに呆れるのは10話で、
前回(9話)で演奏が『完全に』終わっている『木枯らし』を、
もう一回、ほとんどフル尺でやっているんです。

さすがに同じ音源を二回使うのは良心が痛んだのか、
わざわざ生バンドつけたアレンジ音源をつくってゴマかしてますが、
そこには何のメッセージも必然性もありません。

  『熱い、情熱的な演奏』ということを表現したいのなら
  もとの音源で充分できています。
  『クラシックはもっと自由なもの』ということを表現したいのなら
  それを『ピアノのコンクール』の音源でやるのはおカド違い。

そんなことをするぐらいなら、
演奏中のモノローグをぜんぶ演奏前の会話劇にして9話の尺を埋め、
演奏シーンを10話一本にまとめればよかったんです。
同じような意味のないアレンジは、
13話のラフマニノフでもやってましたが、ほんと意味がありません。

つまるところ『コトバで語ること』と『オンガクで語ること』が、
ごちゃごちゃになっているんですよね。
というか『オンガクで語りたいこと』があるのかどうかも眉唾です。

キャラに「音楽は言葉を超える」なんて聞いたふうなセリフ言わせながら、
その音楽にばんばんセリフかぶせて、
言ってることとやってることが違うじゃんか、というハナシです。

  ちなみに『響け! ユ-フォニアム』みたいに、
  ちゃんとオンガクと向き合っている作品は、
  演奏中に必要のないモノローグをいれることは、ほぼありません。

  モノローグが比較的多い『のだめ』だって、
  その音楽を理解・楽しむための補助的なものがほとんどです。
  萌え系の『ぼざろ』や『けいおん!』だって同じこと。
  イミのない言葉をできるだけ排除して、
  聴かせるべきところをきっちり聴かせることに心を砕いています。

  音楽で語るべきことは、音楽で語る。
  そんなアタリマエができてないのは本作だけなんじゃないかしら。

  演奏者に『届け、届け』なんて言わせながら、
  その音楽を『きちんと視聴者の耳に届けるつもり』がないという、
  国会のダブスタ発言みたいな演出になっちゃっています。


なお、幼き日の公生が楽譜に忠実に弾くことで優勝することを、
他の子どもたちが『ヒューマンメトロノーム』『譜面のしもべ』と揶揄してる、
なんてくだりもありましたが、これはもう『ふざけんなよ』です。

音楽のコンクールは、ほとんど年代別に分かれるんですが、
公生が出ていたのはおそらく小学生高学年の部。
この年代に『楽譜を自分なりに解釈』なんてスキルは求められていません。

  そもそも『譜面どおり弾く』というコトバの用い方・重みが違うんです。
  国立音大だってソルフェージュの授業があるんですよ?
  楽譜を読み解くというのは、その曲の本質に迫っていくことなんです。

  ロックバントがスコアをちょいちょいと見て、
  じゃあ後はフィ-リングで、
  なんていうのとは、そもそも楽譜が占めるポジションが違うんです。

コンクールって、大会によってレベル差があるんですが、
トップレベルのコンクールに出場する子どもたちやその指導者たちは、
その重みをイヤというほど理解しています。
わずか数曲を、毎日数時間、
何か月もかけて『楽譜どおり』弾けるよう仕上げていくんです。

もちろん、一曲の完成に固執することによって『独創性』や、
さまざまな曲を自分なりに楽しむ心が失われることを危惧する方もいます。
ソルフェージュ能力の発達に支障がでるとの声もあります。
ピアノ教師によっては、
子どものうちはコンクールに出すべきじゃない、という方もいるほどです。

そして、公生が出場するのはトップレベルのコンクール。
そういう場所で有馬公生というのは、
出場している方々が目指すところの『完成形』なんですね。
それを「楽譜どおりでつまんね~」とか言うのは、
ろくに楽譜も読めない、なんちゃってピアニストぐらいのものなんです。

  ちなみに、本作のなかでは公生の演奏を、
  「デジタル時計のようにコンマ一の誤差もなく、余韻もない」と評していますが、
  そもそも、そんなものは『楽譜どおり弾いた』演奏ではありません。

  それが正解なら、演奏家なんていりませんしね。打ち込みで充分です。

  作品内で絵美に「つまんね~演奏」とも言わせてましたが、
  それはつまり、ショパンだのモーツァルトだのは、
   『指示どおり弾いたらつまんね~演奏にしかならない楽譜』
  ばっか残していると言ってるのと同じです。
  これはもう、わかってるわかってない以前のハナシではあるまいかと。

原作者の新川直司さんは、クラシックの経験はまるっきりなく、
高校時代はヘヴィメタばっか聞いていたんだそうです。
だからこそ、こういうめちゃくちゃなお話を書けるんだろうな、と。

このヒトって『さよなら私のクラマー』でも、
まるっきりサッカーというスポーツを理解していない、
素人のたわごとレベルの話を書いていましたよね。

  知らないなら、調べろよ。
  調べもしないで、
  わかったふうなこと書くなよ。

  本気でそれに打ち込んでいる人たちに失礼きわまりないだろうが。
{/netabare}


【3.病気と真剣に向き合っていない、デッチあげている】

宮園かをりの病気はいったいなんだったんだ、
なんていう議論じみたものがネット上に出回っています。
  ・白血病
  ・脳腫瘍
  ・パーキンソン病
  ・ALS
  ・SCD(脊髄小脳変性症)
  ・筋ジストロフィー
なんていろいろと候補が上がっていますが、
どれも「この症状はあてはまるけど、この症状や治療はあてはまらない」
ということで、結論は『わかんない』になっています。
{netabare}
そりゃあそうだろうな、と僕は思います。だって、
  何かの病気を想定し、取材に基いて書いたものじゃない
というのがまるわかりなんですもの。

そういうのは、業界ではよくあるハナシなんです。

  有名どころはやっぱり庵野秀明監督の『エヴァンゲリオン』ですね。
    こんなアニメ、どうせ誰も真剣に見ねえや
  いうことで、なんも考えず『伏線っぽいイミシンな』ものをまき散らし、
  なにも回収せず(できるわけもなく)話を畳んじゃいました。

  で、後から人気に火がつき、謎本まで出版される大騒ぎに。

  あちこちから『謎の真相』を聞かれるんだけど、
  庵野さん、ほんとに、まったく、これっぽっちも、考えてなかったんです。
  「アンノのやつ、マジで頭抱えててさ。ま、自業自得だけど」
  というのは、庵野さんのご友人である某漫画家さんから直接聞いた話。
  まあ、結果がアレなので、禍転じてほにゃららら、なんですが。

そこから業界が得た教訓というのも、
『これからは設定をちゃんとしよう』というリッパなものではなく、
ぶっちゃけた話をすると
  イザとなったら気合と口先でなんとかなるんだなあ、
みたいなアレであり、似たようなものがいまでも量産されております。

宮園かをりの病気もその一つ、ですね。

早い話「徐々に身体が弱って死に至る、手術困難な病気」であれば、
なんだってよかったんです。
だから、それっぽい症状なり病気を『デッチあげた』。

ネット上では病名を公開しないことを
 『同じ病気を持つ人の希望を奪ってしまわないように』
なんて好意的に解釈してる方が多いですが、そんなわけあるかい。

  かりに具体的な病名のウラ設定があったにしても、
  原作者にしてみれば、
  かをりが『きれいに死んでくれれば』それでよかったわけで、
  正確な医学的考証なんか、ハナからやってません。

  ですから、もしも具体的な病名をあげてしまえば、
   「こんな症状が出る(出ない)のはおかしい」
   「こういう治療をしないのはおかしい」
   「このタイミングでこんな手術なんかできっこない」
  などと、
  同じ病気に苦しむ方々からクレームの嵐になるのが目に見えてます。

  ですから、病名なんか公開できるわけがありません。
  ごまかしごまかしでつなぐ以外に手はなく、
  そんなわけで『誰が見ても病名が特定できない映像』になっているわけです。

ふたつ前の章の話に戻りますが、
僕が『いちご同盟』の引用を『面白半分』と称したのは
こういう理由です。

三田誠広さんがあの作品を書きあげるために、
  どれほどの取材をし、
  どれほどの見たくないものと向き合い、
  自我の根底を揺さぶられるような思いをしたことか。

そういう取材・努力・考証を一切せず、
とりあえずきれいに死んでくれればいいやあ、でヒロインを殺すマンガ家に、
あの作品を寸借する資格なんてない、と僕は思うのですが。
{/netabare}


【4.言語表現がチンプ、言ってることが支離滅裂】

これは原作者さんのクセだと思うんですが、
ものごとを『詩人』っぽく表現しようとして、
言葉選びでコケてるところがけっこう多いんですよね。
{netabare}
  「そのホイッスルは澄み切った空に乱反射した」
  「壊れたシ-ソ-みたいにぎっこんばったん心臓が波打ってる」
  なんて、意味わかんないですしね。

  前者は『乱反射』というコトバの明らかな誤用。
  比喩表現だとしても、情景がまるっきりイメ-ジできません。
  後者は、ふつうに不整脈。医者行けよ医者。
{/netabare}
まあ、そういうのはただ『こっぱずかしい』だけなんですが、
それだけじゃなく、
根っこの部分で『?』となる表現も散見されます。
{netabare}
作品全体を通じて、しょっちゅうつまづいちゃうのは、
『ジブンたちは演奏家(音楽家/ピアニスト)なんだ』
という系統の表現ですね。

  イシキタカイ系はけっこうなんですが、
  実態は、まだ『先生について演奏を習っている』中学生です。
  演奏家を名乗るにはほど遠く、
  それを目指してがんばっている若者、という位置づけかと。

  先のない宮園かをりが『生き急ぐ』のは仕方ないにしても、
  一円も稼いだことがないスネかじり、
  いくつかのコンクールで賞を取っただけの『生徒さん』が、
  職業的演奏家の『生き方』を語っちゃうってどうなんでしょうか。

さらに、その前提となる演奏家論として、宮園かをりに五話で、
  楽譜を投げ捨てた演奏家なんていっぱいいるよ。
  それでも、また拾い上げて楽譜にむかう。
  そうやって、最も美しい『嘘』が生まれる。
なんて、とんでもないセリフを言わせちゃっていますしね。

これ、言葉としてはウツクシイけれど、内容的には大問題です。
だって、その前後の公生とのやりとりも加味すると、

  演奏家は、ほんとうは楽譜通りになんか演奏したくない。
  だけど聴衆の喝采がきもちいいからやめられない。
  で、しぶしぶやって素晴らしい演奏(美しいウソ)が生まれる。

ということを言っちゃってるわけですから。

そういう、箸にも棒にもかからない職業観をベースに、
音楽家(演奏家)とはなんぞや、ということをイシキ高く語られても、
え……まあ……そうですね、としか言いようがありません。


で、物語が進むにつれて、支離滅裂な言い草が増えてきます。
あまりにも多すぎて全部紹介できないのですが、
代表的なところを挙げるとですね、

13話 紘子(公生母の友人、ピアノニスト、公生の現先生)のセリフ
   「最愛の母の死が彼に何かをもたらしたのだとしたら、
    それは鬼のとおる道だ」
21話 かをりの病状にショックをうける公生のモノローグ
   「音楽は、大切な人を連れ去っていく……」

  まず紘子さんのセリフですが、言ってる意味がわかりません。
  愛する人の死を乗り越えて開花した音楽家なんて、なんぼでもいます。
  音楽的な精進のために、自らの手でその人を殺したのなら、
   『鬼のとおる道』と表現してもいいでしょうが、
  公生はふつうに母親の病死をのりこえてるだけ。鬼、関係ありません。

  次に挙げた公生のモノローグは、もう完全に『いいがかり』です。
  かをりが病気になったのって、音楽、なんにも関係ありません。
  なんの脈絡もなく、
  こういう理解の仕方をさせたら音楽家としてのピンチ感が増す、
  そんな理由で言わせているだけのことではあるまいかと。

母親と好きな女の子がどちらも病死するって、もちろん可哀そうなことです。

だけど、その『可哀そうさ』をアピールするため、
関係ないコトバや解釈をこじつけてドラマ感をあおろうっていうのは、
僕には『とても醜いこと』に感じられます。
ヒトの『死』というのは、
そういうヨコシマな言葉で飾り立てていいものじゃない、と思うんですよね。
{/netabare}


【5.人のカタチがご都合主義で崩壊していく】

ここまでごちゃごちゃ書いてきましたが、
それでも『人のカタチがちゃんとした、ドラマとして成立している』作品なら、
僕は物語の評価に『2』なんてつけません。

ですが、その『人のカタチ』が、回を追ってぐちゃぐちゃになっていくんですよね。
これは言いたいことが山ほどあるんですが、
長くなるので(ここまででも充分長いですし)
物語の最終盤、21話と22話にしぼって言及させていただきます。
{netabare}
おさらいしておきますと、この終盤の前フリとして、

 前話で宮園かをりの発作を目撃し、公生、いじけてふぬける。
 →手紙をうけとり、カヌレもってお見舞いへ。
 →かをりからコンクールと同じ日に手術を受けることを知らされる。
  「君のせい、ぜんぶ君のせい」と指さして言われ、
  わたしたちは命がけであがく演奏家じゃない、と励まされる。
 →それでも「もう一週間もピアノさわってない」とダダをこねる公生。
 →かをり、必死にたちあがり「奇跡なんてすぐ起こっちゃう」とさらに励ます。
 →そのまま倒れ「わたしを一人にしないで」と公生の腕の中で泣くかをり。
 →「僕はバカだ」と、ある程度ナットクする公生。
  (「雪の中の君はウツクシイ」とか、意味ないこと考えてますが)

と、まずまずきれいなやりとりがあったわけです。

ところが、コンクール当日、
公生って、ひざを抱えて引きこもっちゃってるんですよね。
ウツクシイやりとりも、かをりの懸命な励ましも、すべて台無し、ゴミ箱へポイ。
しかも、なんでそうなったのか、一切の描写がありません。
で、コンクールの描写に移るわけですが……

 →絵美や武士に気遣われても、ほぼ無反応の公生。
 →舞台に上がっても、顔を覆ってうずくまる。
 →椿のくしゃみを契機に、なぜか、いきなり覚醒する公生。
 →ぐちゃぐちゃといろんなこと考えながら演奏開始。
 →かをりのタマシイ登場。手術失敗を確信。
 →最後の共演(超ウルトラス-パ-過剰演出)を経て、演奏終了。
 →雪の中、お墓の前でかをりの両親から手紙をわたされる。
  (火葬後、ソッコ-納骨? 四十九日までは家に置いてあげなさいよ)
 →なぜか、桜が咲くまでボッケにいれたまま手紙を放置。
 →ぶらぶら歩きながら読んで、びっくり。で、ふわっとした大団円。

これはもう、ツッコミどころ満載。てか、筋の通ってるところがありません。

つまるところ、演奏前に公生が引きこもっていたのって、
この『覚醒』をカンド-的に見せるためであって、
おハナシの前後のつながりも人のカタチもまるで関係ないんですよね。

しかも、その公生の覚醒・フッカツっていうのは、

  みんなが支えてくれたからいまのジブンがあるんだ

という『魔法少女アニメのど定番』みたいな気づきでしかないわけです。

その気づきも、それまで親身に心配してくれた紘子さんや、
舞台袖で気遣ってくれていた絵美、武士をガン無視しておいて、
  ピアノ弾いてたらなんか急にヒラメキました、
  やっぱピアニストってすごいっスね。
という、ご都合主義を通り越した、シュールな展開によるものなわけでして。

桜が咲くまで手紙を放置プレイするのも意味不明。

ふつうは『すぐに読む』か『哀しくて読めず封印する』の二択ですよね。
これ、物語のはじめと終わりを四月でキレイにまとめたかった、
という作者のご都合に合わせている以外、理由がまるで考えられません。

かをりをソッコ-納骨したのも、そのカンケイかと。

  二月十八日(手術日)を命日とすると、
  四月八日の四十九日法要時に納骨するのが一般的。
  ふつう、親族以外は法事に出ないから、公生の墓参りはその後になります。
  そうなると、中学は卒業するし、ヘタすると桜、散っちゃいますし。
  (ラストシーン、中学の制服のままです)

  だったらお通夜の席で手紙渡しなさいよ、というハナシなんですが、
  そこは絵的な原作者のこだわりがあったと思われ。
  (あるいは納骨をいつやるのか知らず、調べもしなかった、とかね)

  おかげでかをりのお骨は、
  生まれ育った愛着ある実家に、まったく置いてもらえませんでした。 
  (僕的には、手紙なんかよりそっちの方が可哀そうです)


で、その『かをりの手紙』なんですが、こちらもモンダイだらけです。

まず、かをりは『君のせい』で手術を受ける気になった、
ということを、公生にはっきりと言っちゃっているわけです。
で、その手術が失敗して死んじゃった、と。

  これ、あなたが公生だったら、セキニン感じませんか?

どうせ助からない病気であったとしても、
手術をしなければ、一分でも一秒でも長くご両親と一緒にいられたわけです。
そんなもん知るかい、なんてフツ-は思わないですよね。

  ところが、手紙にはその件に関するフォロー、なんにもなし。
  公生くんも、責任感じてたり自分責めてたりするフシ、なんにもなし。
  それって人としてどうなのよ、と思うのは拙だけなんでしょうか。

で、この手紙が公生に最後に会った直後に書かれたものであること、
雪の屋上で公生を励ましつつ「一人にしないで」と泣いた、
感動シーンに続けて書かれたものであることが、さらに問題を深くしています。

  もう助かりません、あなたもうすぐ死にます、
  医者にそう言われて書くのなら、
  こういう『雲の上から』みたいな文面になっちゃうのはわかります。

  でも、かをりは『生きるために』手術を受けたんですよ?

  あがくと決めた、少ない可能性に賭けて手術を決めた。
  でも失敗するかも知れない、こわくてたまらない、でも、生きたい。
  生きてもう一度、公生と共演したい。奇跡を起こしたい。だけどやっぱりこわい。
  そういう思いがぐちゃぐちゃになって泣いたんです。
  そんな気持ちのときに、こんな雲の上からみたいな手紙、書けると思いますか?

    君がこの手紙を読んでるということは、手術は失敗しちゃったんだね。
    残念。でも、後悔は一つもありません。
    私は、最後まであきらめず頑張った私をほめてあげたいと思います。

  そういう書き出しで、自分を鼓舞しながら、
  万が一ダメだったときのために、
  そうなったら伝えられなくなる想いを書き記すのが自然じゃないのかな、と。

  ところが、かをりの手紙はぜんぜん違います。
  これじゃまるで、余命宣告を受けた人の『遺書』そのまんま、
  すでに天に召された気になっている、生きボトケのお手紙じゃないですか。

実は最初、種田さん(かをり役)がこの文面を語る芝居を聴いたとき、
ものすごい違和感があったんです。
彼女ほど実力のある方が、なんでこんなに中途半端なお芝居するんだろうって。

だけど、よくよく考えてみるとナットク。

手紙を書いている時の心情をトレースしたら、とても演れません。
そこにフォーカスすればするほど、
綴られたコトバと感情が乖離していってしまうんです。

ですから、いつ、どんな思いで書かれた手紙であるかはガン無視して、
(ほんとはそれが一番ダイジなんですが)
とにかくけなげに、おナミダ頂戴で演るしかなかったんだな、と。

でまあ、凛として演るのもしおしお演るのも違うと思い、
とりあえず無理やり気持ちを作って、
キャラを意識してちょい明るめに、だけど生命感を漂わせないよう、淡々と演った。

  ところが、巷ではこれが『名演』っぽく語られ、
  イベントで同じところ再朗読させられたりするハメに。
  ほんと、役者さんって大変だなあと思います。
{/netabare}


というわけで、僕的なおすすめ度はCランクです。
映像がかなりきれいなので総合満足度が3.4になっておりますが、
心証的には2点台がいいところの作品かな、と。

内容的には、ど直球の感動ポルノ。
  病気にも、
  音楽にも、
  人の死にもカタチにも、
ろくに向き合わず売れ線だけを追求した会心の一本です。

おそらくは、原作の抱えた問題をそのままアニメに完コピ(原作未読)。
監督のイシグロキョウヘイさんは、
内容のなさを映像でカバ-しようとしすぎかと。

  これが初監督作品でいろいろ気を使ったのはわかりますが、
  原作者の新川直司さんだって、
  初のアニメ化作品だったわけですしね。

  講談社の版権担当は最初とっつきにくいけど、
  強気にいったらけっこう話聞いて親身になってくれるし、
  (昔は、ですね。いまもそうなのかな?)
  ちょっとこれおかしいんじゃね、と感じるところは
  もっとゴリゴリいくべきだったと思います。後の祭りですが。


ただまあ、板もマンガもけっこう売れたようで、
ビジネス的には成功作品です。
カネ目当てで作った感動ポルノでお金がたくさん入ってきたんだから、
そこは「よくできました」と誉めてあげるところかと。
流れで『いちご同盟』がそこそこ売れたのも、よき。

現実論として、こういう作品の需要があることは誰にも否定できません。

ぶっちゃけたハナシ『いちご同盟』みたいな
  悲しい・可哀そうという表層を超えて突きつけられるなにか
が含まれているコムズカシイ作品よりも、
  うんうん、好きな人が死んじゃったらつらいよねえ。
  うんうん、支えてくれる友だちや仲間はダイジだよねえ。
  うんうん、打ち込めるものがあるっていいよねえ。
みたくアタリマエのことを目先を変えた言葉で語った作品の方が、
市場に受け入れられやすいのは『事実』です。

マ-ケットにおいて『感動』は『消費するモノ』なんです。

消費財としての『感動ポルノ』のどこがワルいんだ、と問われれば、
実際のところ、どっこも悪くなんかありません。
それは『良し悪し』の話ではなく『好き嫌い』の話でしかないんですよね。


  僕は、あくまでも個人的にですが、
  アニメが『消費財』ではなく『文化』であることを願っています。
  ですから、音楽や人の生死にかかわる作品は、
  きちんとそれらに向き合い、
  物語に芯なり骨格をちゃんと通して届けて欲しいと思うんです。

  ただ、そういうのは現場を離れたから言えることであり、
  それができるんならトックにやってんだよ、
  というのは、現場を預かる方の多くが声を大にして言いたいセリフだろうなと。

    そんなもんは、チンプな理想論に過ぎね~よ。
    こっちゃビジネス、食い扶持かせぎでやってんだよ。
    みんなが「いい」と言ってるのに、なにカッコつけてんだテメエ。

  というのは、ある意味『正論』なんです。
  ……いや、そうじゃないな、自分を正統化したがっちゃってるな。
  そういうのは、ほんとうに、イタいほどの『正論』なんです。


つまるところ、世間一般からしたら『たかがアニメ』なんですよね。
ですから、僕が言っていることは、
しょうもない一個人の、しょうもない感傷論みたいなものに過ぎません。

でも……ですね、

  その『たかがアニメ』に全てを賭けている人たち、
  命を削るようにしてモノづくりに打ち込んでいる人たちがいることを、
  ほんの少しでも考えていただけたら、
  そんなふうに考えてアニメを見る方が一人でも増えたら、

     僕としては、とても、とても幸せだなあと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 28
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renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

いろいろ良かった!

 初見でした。全22話。音楽で紡ぐ生と死と恋のお話。
 すごかったですね。素晴らしかった。ストーリー自体は奇をてらったものではないですが、演出関係が充実していたので非常に楽しめました。まだ見てない人は、すぐにでも見たほうがいいかもね。そう思える作品です。イシグロキョウヘイ監督の要チェックリスト入りが確定しました。

 視聴後にマンガ版を大人買いしたので、ちょっとだけ比較が入っています。敢えてマンガ版とアニメ版の完成度を比較するなら、アニメ版の方が上だと思います。再現率が高いのでマンガ版の良さが損われていないですし、ここにアニメ独自の演出が効果的に乗ってくるからです。
 各論と総論に分けて記載していきます。長文なので暇人向け。もちろん既視聴向け。


各論編:{netabare}
 この作品は、長期的なフラグと短期的なフラグが良い具合に混合されていたと思います。それらについて、演出面から確認していきます。

「映画のワンシーンみたいだ」:{netabare}
 長期的なフラグのこと。
 コウセイが実感してしまった「映画のワンシーン」と、カヲリが実感してしまった「映画のワンシーン」について。

 第2話、カヲリのコンクールが終わったあと、コウセイ・ツバキ・ワタリのもとにカヲリが駆け寄って来るシーンがありますよね。確認してほしいのは、参考動画の1分18秒から1分40秒までです。
 参考動画→<https://www.youtube.com/watch?v=kljOup17Z7k>
 コウセイがカヲリを迎えようとちょっと動いたときに、ワタリがそれを追い越してカヲリに駆け寄ります。この二人を見ていたコウセイは、「映画のワンシーンみたいだ」と感じてしまいます。そして、ツバキはコウセイの疎外感を指して「友人A」と言います。

 これに紐づいているのが第22話後半ですよね。確認してほしいのは、参考動画の1分34秒から1分55秒までです。
 参考動画→<https://www.youtube.com/watch?v=xNAWzYd83o8&t=114s>
 下駄箱にいるメガネおさげのカヲリが、コウセイにどう話しかけようかと思案しています。このとき、歩いているコウセイとワタリの方へカヲリがちょっと動くんですが、ツバキがそれを追い越してコウセイのところに行ってしまいます。このときのモノローグは、「結局眺めてるだけでした。だってみんな、仲良すぎるんだもの」です。

 直接的に紐づいているのは、上の1分35秒から1分40秒までと下の1分43秒から1分48秒までですね。スロー再生は共通していて、構図はピッタリ真逆になっています。つまり、この二つのシーンはワンセットってことです。

 この手紙のシーンは、すごく切ないですよね。第2話でコウセイが「映画のワンシーン」で疎外感を覚えてしまったように、カヲリにとってもコウセイ達が「映画のワンシーン」だったんだな、と気づかされてしまいます。カヲリはそもそも「友人A」ですらなかったですし、そう言ってくれる友人も近くにいませんでした。本当に単なる観客だったんですね。「友人A」のコウセイの方がよっぽどマシってものです。
 カヲリの感じていた疎外感を、第2話のコウセイに件のセリフを重ねることで表現していたこのシーン。この合わせ技にはちょっとグサッと来てしまいました。まさか第2話が第22話と紐づくとは思っていなかったので、なおさらこの演出には惹かれましたね。
{/netabare}

駆け寄るカヲリ:{netabare}
 こちらは短期的なフラグのこと。
 カメラ演出絡みです。カメラのフレームを「│」で表現します。「コウセイ│カヲリ│」と表記した場合は、カヲリをカメラで撮っていて、コウセイはフレーム外(左側)にいるってことです。参考動画を見つけられず。すまぬ。

 第3話の前半と後半で、全く同じフレームワークが使われています。
 コウセイ│    ←カヲリ│ と撮っていて、右端にいるカヲリが左のコウセイへ駆け寄って
 コウセイ│カヲリ     │ となって、このままカヲリは左側へフレームアウトします。
 カメラのフレームが固定されていて、カヲリがフレーム内の右端から左のフレーム外まで走るだけですね。

 前半で使われているのが、カフェで子供ときらきら星を弾いた後、ネコに餌をあげているコウセイにカヲリが駆け寄るシーンです。後半で使われているのが、カヲリがコウセイに「くじけそうになる私をちょっぴり支えてください」って言うちょっと前のところ。屋上のシーンです。

 そもそも、このフレームワークはちょっと不思議ですよね。駆け寄るだけのシーンなら、駆け寄っているカヲリをカメラで追うのが一般的な撮り方だと思います。でも、ここではそうはしていません。
 また、二人の(心理的な)距離感が近づくシーンなら、こんな感じにしますよね。
 │コウセイ   ←カヲリ│という状況から、│コウセイカヲリ    │にする。こうすれば、二人が近づいたなってことが違和感なく伝わってきます。でも、ここではコウセイをフレーム内に入れていないんです。
 つまり、このフレームワークで描きたかったのは、「近づけないさま」ってことですよね。前項で述べたことと関連してしまうんですが、カヲリにとってのコウセイは映画の中の人でした。同じフレーム内にはいないんです。この二人の距離感を、このフレーム演出を使って表現しているんだと思われます。
 だからこそ、カヲリがフレーム外にいるコウセイに一生懸命近づこうとしているのが伝わってきてしまうし、フレーム外にいるコウセイに対してカヲリはどんな気持ちで駆け寄ったのかなぁとか、コウセイと同じフレームに入りたかったんだろうなぁとかって考えてしまう。そういうコウセイに近づけないカヲリの切なさを描いたフレーム演出ですよね。

 で、問題となるのは、この切なさフレームが同じ回に二度も使われているってことです。こういう特殊なフレームワークはほっといても目立ちますよね。それを二度も使っている。つまり、意図的に目立たせているんです。それは、この二つのシーンで対比を作るためだと思います。
 私は、同じ演出が使われたときには、「同じところを見て」や「変わったところを見て」というメッセージが織り込まれていると考えているんですね。ここの二つのシーンでは、「同じところ」として「コウセイとの距離を詰められないカヲリ」というのがあるんですが、それ以外に「変わったところ」というのもあると思います。

 前半では、ネコを理由に駆け寄っています。後半では、コウセイを理由に駆け寄っています。語弊を恐れなければ、ネコを言い訳にしていたカヲリが、ちゃんとコウセイに向き合えたってことです。これが一つの違いですよね。でもこの違いだけでは、フレーム外という関係性までは変えることができなかったんです。
 ただ、その後のシーンには更なる違いが表れてきましたよね。前半ではダメでしたが、後半のシーンの後ではカヲリはコウセイから同意を引き出すことに成功しています。この変化をもたらしたのは、カヲリが自分の心情をきちんと吐露したからです。「くじけそうになる私をちょっぴり支えてください」と吐き出したからこそ、やっとコウセイの手を取れたんです。頑張って頑張って、カヲリはコウセイを影の中から光の中へと連れ出せた。フレーム外だった二人の関係が、このカヲリの吐露によってフレーム内に入ったってことですね。
 「くじけそうになる私をちょっぴり支えてください」自体も良いシーンなんですが、それをより引き立たせるために同じフレームワークで対比を強調したんだと思います。

 ちなみに。こちらは同じ構図で違う結論ですが、前項は違う(真逆の)構図で同じ疎外感を描いていますよね。同じなんだから「変わったところを見て」、変えたんだから「同じところを見て」ですね。
{/netabare}

おまけ①マンガ勢の嫉妬:{netabare}
 長期短期フラグとは関係ない話なんですが、各論なのでここで。

 第5話、病院で着替えを覗かれたカヲリが「もうお嫁に行けな~い」と叫ぶシーンがあります。この叫びに合わせて、病院の玄関のアップから病院の全景までズームアウトしています。言葉で説明するとややこしいので、こちらをどうぞ。
 16秒くらいから。一瞬です。参考動画→<https://www.youtube.com/watch?v=WVhCH0CnNaY>

 このカットも面白いですよね。
 最終的な位置関係は「カメラ→車→病院」なんですけど、ここからズームインしても玄関だけを写せないですよね。間にある車が邪魔をして、「リアガラス越しのフロントガラス越しの玄関」になってしまいます。
 ですから、このシーンではズームアウトしながらカメラも同時に引いているんですね。でも、途中にある二枚のガラスを思いっきりすり抜けちゃっていますよね。これは実写では絶対にできません。カメラが車のガラスをすり抜ける、なんて実体のあるカメラでは不可能です。
 これが出来るのは、実体のないカメラを使っているマンガとアニメだけ、と言いたいところですが、マンガはズームの過程を描けないのでムリですね。これは、アニメだけに許されたカメラ演出です。アニメの特権。

 最近のアニメは、実写に近づける演出がすごく多いですよね。肉眼に近づける、と言ったほうが正しいニュアンスかもしれませんけど。選ぶ言葉はともかく、今までできなかったことなのでしょうから、それをやりたくなる気持ちも分かるんですが、実写と同じになるなら実写でいいんじゃないの?と思うこともままあります。せっかくアニメというメディアを使っているんだから、アニメでしかできないことにもきちんと力を入れてほしいと思っています。
 アニメにしか出来ないことをやっているのを見ると、やっぱりそのアニメに対する好感度は当然上がります。まぁ、私はマンガ勢なので、これはマンガじゃできないなぁと嫉妬しただけなんですけどね。
{/netabare}{/netabare}

総論編:{netabare}
 総論編でも書くことは変わりません。長期的なフラグと短期的なフラグについて。
 ただ、短期的なフラグ―飛び込みとかおんぶとか泥団子とかの一話から数話で回収されるもの―については、見ていれば分かるものばかりなので、ここでは長期的なフラグについてだけ記載します。ネコと桜と線路だけです。


ネコ(とお母さんとカヲリ):{netabare}
 ネコがめちゃくちゃ頑張っていましたね。桜も線路も頑張っていたんですけど、それらにも増してネコがすごかった。
 この作品のネコって、ストーリーテラーというか狂言回しというか、そういう役割を担っていますよね。ネコはしゃべったりしゃべらなかったりなんですけど、登場することでストーリーが進む。これを支えているのがネコに与えられた象徴性なんですが、これについてはコウセイのお母さんとカヲリが関係するので、併せて整理していきます。

 この作品の前半(第13話まで)というのは、一言でまとめるならコウセイとお母さんの話ですよね。お母さんの影に怯えていたコウセイが、第13話での演奏をもってお母さんの光の部分を思い出し、影との決別に至る物語。前半ではお母さんの影の部分が強調されることが多かったですが、その根底に光があったことは第1話できちんと描かれています。帰宅したコウセイが、遺影を前に「ただいま、母さん」と言っていますからね。コウセイにとってのお母さんは、影一辺倒ではなくて、きちんと光の部分がベースに置かれているんです。お母さんの影の部分が強調されているように見えるのは、そこにピアノが介入してきたからに他なりません。コウセイにとってのお母さんは、第1話の時点から光と影の両方を併せ持った重層的なキャラクターとして描かれているんです。
 そして、お母さんの影の部分だけを担って登場するのがネコです。ネコの存在自体が捨てられてしまったチェルシーを思い出させ、それがお母さんの影の部分と直接的に紐づいてしまう。つまり、前半のネコはお母さんの影の部分にまつわる不吉なネコ、影のネコ。

 この不吉さを象徴するネコは、本来であれば、お母さんの光と影の重層構造が確立する第13話の段階で、消滅してしまうものだったと思います。影の部分だけを描く必要がなくなるからです。でも、この作品ではそうはなりませんでした。お母さんが持つ光と影の重層構造を、ネコが引き継いでいくんです。ネコの象徴性が転換されているってことです。
 後半におけるネコの意味合いが最も分かりやすいのは、エンディングですね。ネコを追うことがカヲリとの思い出を辿ることになる、というあのエンディング。つまり、後半のネコは、カヲリにまつわる希望のネコ、光のネコなんです。
 つまり、前半での不吉なネコは、後半ではいつの間にやら希望のネコへと転換されているんです。

 そもそも、ネコの象徴性も影一辺倒ではありませんでしたよね。ベースに光があることが第1話のオープニングできちんと描かれています。カヌルを食べながら歩くカヲリが、ネコを見つけて追いかける、というシーンです。ここでのネコはカヲリにつながる光のネコです。ベースに光があることを先に入れておくのは、お母さんの描き方と同じです。
 この第1話のオープニングは、最終話から振り返ってみるとものすごく濃いシーンですよね。カヌルが好きなカヲリと、ネコを追うことがカヲリを追うことになるというエンディングへのフラグ立てをしながら、同時にネコのベースに光があることをきちんと見せている。
 この後は、ネコが不吉なネコとして跋扈していくんですが、ネコが登場するシーンでは、積極的にカヲリも絡ませているんですね。カフェで子供たちときらきら星を弾いた後とか、公園でトラウマを告白する前とか。これによって、不吉なネコが描かれるのと同時に、それがカヲリとの思い出で上書きされていくんです。だから、ネコが悪いものだけじゃなくて、最終的には良いものにすり替えることが出来る。不吉なネコをカヲリとの思い出で上書きしていったからこそ、ネコを追うことがカヲリの足跡を辿ることになる、というあのエンディングが成立するんです。

 一般的には、一度与えた象徴性というのは覆すのが難しいですよね。一旦ネコを不吉なネコとして描いてしまったら、それとは真逆の希望のネコに転換するというのは、不可能に近い。この作品のネコは黒ネコですから、もともとの不吉さとも相まってなおさら難しいと思います。でも、この作品ではその象徴性の転換を、お母さんからカヲリへとバトンタッチすることで非常に上手く描いていました。このネコ転換は作中では別段説明されてはいないんですけど、「見ていれば自然にわかる」というレベルに仕上がっていたと思います。
 第1話のオープニングシーンは、マンガ版にはないアニメ版独自のものですね。かなりの良改変だと思います。
 (希望のネコに介在する不吉なネコ―事故ったネコの血―については、次項で述べます)
{/netabare}

桜(と演奏時の演出):{netabare}
 桜の使われ方もよかったですよね。この作品での桜の意味合いは定番通りでいいと思います。「出会いと別れ」や「始まりと終わり」という二面性を持った象徴物ですね。

 作中でまず目につくのは、第4話の使われ方ですよね。
 第4話はコウスケとカヲリが共演する回ですけど、二人の会場入りを見送るツバキが「もうすぐ春が来るよ」と葉桜の横で言っています。「春の終わりを告げる葉桜の横で、春の始まりをツバキが告げている」という二面性の上に、「今までのコウセイの終わりとこれからのコウセイの始まり」という二面性を乗せているわけですね。桜の持つ二面性をビジュアル面と内容面で重ね合わせ、素敵なコントラストに仕上がっていました。ここもマンガ版の描き方より良かったです。

 この第4話の桜の上を行くのが、第21話での桜だと思います。演奏時の演出とも関連するので、そちらと一緒に整理をしてしまいます。演奏時の演出をまとめると、こんな感じになっています。
 ①幼少コウセイ:ひまわりと青空
 ②水没コウセイ:水中
 ③第4話のカヲリと共演コウセイ:青空と桜
 ④第10話のソロコンクールコウセイ:水没から桜へ
 ⑤第13話にお母さんの死を乗り越えたコウセイ:黄色い光の玉
 ⑥第18話のナギと共演コウセイ:無し、というか「凪ぎ」というべきかな

 第18話以降の終盤で描かれていたのは、カヲリの死を目前にしたコウセイの退行ですよね。
 第21話の演奏は、手のひらにネコの血を見るところから始まります。ここでのネコの血は、上で述べたネコ転換の落とし穴に相当するものですよね。ネコ転換によって「お母さんの死→不吉なネコ→ネコ←希望のネコ←カヲリ」という関係性を積み上げようとしていたのに、ネコの血によって不吉さが膨れ上がってしまい、「お母さんの死→不吉なネコ→ネコの死→不吉なネコ→カヲリの死」になってしまった、という落とし穴。
 このネコの血は後半に登場していますが、意味合いとしては前半のネコに由来するものですから、新たな問題が出てきたわけではないんです。前半のコウセイと同じ問題(乗り越えられない死)が再度表れてしまった。だから退行ですね。
 そして、ネコの血から始まった第21話の演奏は、桜を咲かせるところで終わります。

 この構造っていうのは、ぴったり第10話の演奏と同じですよね。第10話の演奏は、ネコのぬいぐるみを見てしまうところ(演奏開始自体は第9話)から始まって、最後に桜を咲かせて終わります。第10話も第21話も、ネコで始まり桜で終わっているんです。
 また、第10話の桜と第21話の桜は、構図までもが一緒になっているんですけど、これも第10話の演奏と第21話の演奏の親和性を説明するためのものですよね。そして、この親和性によって第21話の桜は、退行してしまったコウセイが第10話終了時点まで復帰した、ということを表現していたんだと思います。

 この第21話の桜を見たときに、第22話への期待感がものすごく高まりました。第10話の桜の後に、お母さんの死を乗り越えた第13話の演奏があったように、第21話の桜のあとには、カヲリの死を乗り越える第22話の演奏が来るだろう、という期待感です。この期待感をもたらしてくれた第21話の桜が、今作におけるナンバーワンの桜です。
{/netabare}

おまけ②第22話の演奏:{netabare}
 桜からは逸脱しちゃうんですけど、この流れに乗って第22話の演奏の話を。
 その前に前項③第4話の補足なんですけど、このときの青空と桜はそのままコウセイとカヲリですよね。
 コウセイ=ひまわり=青空(夏空)で、カヲリ=春=桜。

 第22話の演奏で、風景が変わりますよね。
 コウセイは、青空のもとでピアノを弾いています。そして、おそらく、青空の映っている足元は水面ですね。これが意味しているのは、水中から水上へ、だと思います。水面に波がないのは凪ぎ(ナギ)だから。
 さらに、光の玉です。第13話のコウセイは、黄色い光の玉しか飛ばしていなかったですよね。エミの演奏では赤い光の玉と黄色い光の玉が飛んでいて、それについてカヲリは「怒りと寂しさ」と言っていました。つまり、第13話のコウセイは、寂しさを意味する黄色い光の玉しか飛ばせていなかったんです。でも、第22話では七色の光の玉を飛ばしています。これは、様々な人との出会いがもたらしてくれた「カラフル」ですね。一応七色について触れておくと、母さん、ワタリ、ツバキ、アイザ&イガワ、アイザ妹、ヒロコさんの六色にカヲリで七色です。
 最後に、星空。これはきらきら星ですね。コウセイの言う「君と見る星空はどんな…」というやつです。私は最初、カヲリが演奏に登場した段階で「カヲリが死んだ!」と思っちゃったんですけど、これは間違いですよね。この時点では「もうすぐ死にそう」くらいで、カヲリがきらきら星になったタイミングが「カヲリの死」でした。

 で、この第22話の演奏演出っていうのは、おそらくたぶん確実に、過去の演奏演出のすべてを盛り込んで、それをブラッシュアップさせたものになっているんですよね。つまり、第22話の演奏自体が、コウセイの過去やコウセイの人生をすべてひっくるめたものになっていた。コウセイは、自分のすべてを死にゆくカヲリに「届け!」と叫んでいました。
 第22話は、ストーリー的な集大成ではありますけど、演奏演出の集大成としても見どころが多かったと感じました。 
{/netabare}

線路:{netabare}
 この作品の線路は、境界として使われていましたよね。こっちにいるか、あっちにいるか、という境界です。線路を走る電車は、強いて表現すれば、その意味合いを強調するって感じですかね。 

 これが分かりやすく演出されているシーンが第6話にあります。このシーンでは、カヲリとツバキが一緒に帰宅をしていて、十字路で別れています。この十字路は、何度か登場する重要な十字路です。ここでカヲリは、自分とコウセイを指して「私たち」と言います。
 二人が別れたあと、カヲリは画面上の道に進んでいって、しばらく歩いたら走って逆走します。音楽室で練習しているコウセイのところへ行くために、学校へ戻るんです。
 一方ツバキは、十字路から画面左に進行していって、そのまま線路を渡ります。すると、先輩から電話がかかってきて、カヲリの言う「私たち」に自分が入っていないことに気づきます。そして、自分と先輩を指して「私たち」「付き合いましょうか」とこぼしてしまうんですね。ここで、電車が通過します。
 線路を渡らずにコウセイのもとに行けたカヲリと、線路を渡って先輩のもとへ行ってしまったツバキ。このシーンで描かれているのは、二人の対照的な状況ですよね。この境目が線路です。

 また、第6話には十字路から線路に至る演出が、もう一つ使われています。短期的なフラグですね。ツバキとカシワギが一緒に帰宅をしていて、十字路でツバキが説教されるシーンです。ここでは、ツバキのケガに気づいたコウセイが氷を持って登場し、コウセイに気づいたカシワギは画面上の道へとはけていきます。
 その後のシーンでは、線路わきでコウセイがツバキを負ぶって歩き、ツバキは「私たちには一緒にいた長い時間がある」と自分とコウセイの「私たち」を考えます。でも、電車は通ってくれないんですね。

 この二つ以外では、以下のシーンで線路が出てきます(私のメモで確認できる範囲です)。
 第5話。先輩がツバキに告白するところ。ツバキと先輩の二人が線路わきを歩いています。電車は無し。
 第7話。ネコを見てコウセイが吐いてしまったあとの、コウセイとカヲリの公園のシーン。トラウマを告白をしているところですね。ベンチの後ろ側が線路です。ここでは電車が複数回通過しています。
 第11話。コンクールを終えて感情に芽生えたコウセイが、カヲリ・ツバキ・ワタリという感情を持つ三人と一緒に、「(みんなと同じ)人間なんだ!」と線路わきを走るところ。このときは電車と競争しています。
 以上の演出によって、「線路が境界として成立している」ということと、「電車は同じ側にいるキャラたちのつながりの強度を示している」というのが見えてきます。

 で、線路演出で一番大事なのは、第22話ですよね。この作品の文字通り一番最後のシーンです。
 2分33秒くらいから。参考動画→<https://www.youtube.com/watch?v=aQJB3NbE6kI&t=12s>
 コウセイが、(カヲリの象徴である)ネコを追っていて、カヲリの幻影は線路の向こう側へ行ってしまう。そして、線路の向こう側からツバキが現れて、コウセイの側に来ると「ずーっとずーっと、そばにいてやるんだからな」と言う。その後、線路の向こう側にネコが現れて、電車が通過するとネコの姿が消えてしまう。

 この演出が意図しているのは、(ネコとしての)カヲリが境界の向こう側(彼岸)へ行ってしまった、ということと、カヲリ(としてのネコ)を追うことでツバキとめぐり合えた、すなわち、カヲリがキューピット役となって、コウセイとツバキのハッピーエンドを導いたってことですよね。
 線路の境界としての意味合いを、最後の最後で此岸(この世)と彼岸(あの世)との境界にまで昇華させたのも見事だし、第1話から積み上げてきたネコとカヲリの関係を収れんさせたのも素晴らしいし、カヲリが導いたコウセイとツバキの未来というのも美しい。うれしいとか、悲しいとかじゃなくて、このシーンにはただただ感動しました。
 この線路を使った演出は、マンガにはないアニメオリジナルのものです。素晴らしいですね。
{/netabare}{/netabare}

おわりに:{netabare}
 やっぱり1期2クールはレビューが長くなってダメですね。ストーリーラインを含め、ごっそり削ったつもりだったんですけど、あまり短くなりませんでした。

 私はこの作品をかなり絶賛しています。退屈になりがちな会話のシーンでも、上述のとおりネコや線路が意味を持って登場していて、とにかく見どころが多いんですね。カメラ演出も面白いです。
 実は止め絵も多いと感じているんですが、あまり邪魔になっていないですよね。止め絵は街の風景などに多く使われているんですけど、これがエンディングで効いていました。カヲリの足跡を追いながら風景を映すことで、確かにカヲリはこの街に生きていたんだな、という実感が湧いてくるんです。この風景止め絵のせいでストーリー進行が遅めなんだな、なんて途中では考えていたんですが、無駄なものなんかではありませんでした。
 この作品は、飛び込みや泥団子のような短期的なフラグ回収が中心ですよね。でも、ネコと桜でつながる第10話と第21話とか、「映画のワンシーン」でつながる第2話と第22話とか、長期的なフラグ回収も多いんですね。1周目では拾えなかったものも多いでしょうから、今から2周目が楽しみなくらいです。

 ただ、文句が全くないわけではありません。例えば、次の二つです。
 一つ目は、第1話のお母さんの「あなたは私の代わりにヨーロッパで活躍するの」というセリフです。ひたすらにコウセイの幸せを願っていたお母さんの姿を知った後だと、お母さんこんなこと言うのかな?という疑問が残ります。原作通りなんですけど、正直改変したほうが良かったと思いました。2週目だと、なおさら違和感が残りそうです。
 二つ目は、何話か忘れましたが、部屋の隅で怯えている子供コウセイにヒロコさんが近づくシーン。ここ、大股でズカズカと歩くんですよね。怯えている子供にそんな風に近づくかなぁ、と思いました。
 この二つのシーンにどういう評価がされているのかは分かりませんが、私は脚本と演技のミスだと感じました。別に減点だとかって話ではないんですけど、その他が良いせいで悪目立ちしてしまったかもしれません。

 ベストガールはまだ決めかねています。
 涙腺崩壊請負人のカヲリ、幼馴染は結ばれないという定説をぶち壊したツバキ、顔面大勝利のエミ、成長が最も精緻に描かれていたナギ。さて、どうしたもんかなぁ。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21
ネタバレ

ウル さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

登場人物一人ひとりに共感出来た作品 

この作品は好きすぎて、どうレビューすればいいかわかりません。
少しずつレビューを書いていけたらなと思います。
この作品が苦手だなと思う人の考察もしながらレビューしていこうかなと思います。
多分かなり長文になりますので時間がある人が見ていただけたらと思います。

まず、私は恋愛系のフィクション作品はあまり見ません。
都合のいい展開が多すぎてあまり世界に入っていけないのが理由のひとつです。
勿論、面白い作品も知ってますが最初は期待せずに見ました。
パッケージの絵もあまり好みではありませんでしたし。
なので絵が好みじゃないって人も一回見てほしいです。

最初に思ったのがパッケージよりアニメーションで動いているキャラクターのが魅力的であったことです。
普通は逆なことはあってもこんなことなかったのでびっくりしました。
正直、見始め2話ぐらいは少し退屈に感じることもありましたが、演奏場面やモノクロの世界観とカラフルな世界観。
そしてなにより、演奏場面の作画が綺麗で惹かれて見続けていました。
音楽も、演奏場面以外のバックサウンドがすごくいい。
この作品が嫌いな人も多分演奏場面はすごいと思っているんじゃないかと思います。
普通のアニメだとあんなに手元映しませんし。
ロングで撮って誤魔化すって言ったら失礼かもしれませんがそんな音楽アニメが多かったのでびっくりしました。
普通の恋愛アニメでは、味わえない熱い展開もあるので、普段スポーツアニメが好きな人もハマると思います!

  
ただ、女性キャラクターの暴力ギャグ的表現が合わない人はちょっときついかもしれません。
私はアニメらしい表現で好きです。(ハガレンのヒロインが大丈夫ならいけると思います)
ポエムチックな事を主人公が言うことが多いのでそれも苦手だと思う人もいると思います。
また、このジャンルは好き嫌いハッキリ別れそうです。
苦手な私がハマったのでおすすめはしたいです。


個人的にすごいと思ったところを簡潔にあげると、私はアニメ、映画、マンガ、ドラマと色んな作品を見てきましたが、2週目がこんなに面白い作品はなかなかないです。

それだけ、登場人物一人ひとりの心理描写がしっかりしているんだなと改めて思いました。
見て合わなかったら残念ですけど、見て好きになってくれたら嬉しいですね。

もう一つは{netabare}泣ける、感動、熱い出来るポイントが何ヶ所もあるところです。特に泣ける、感動出来る話数が多い!普通の物語だと最後感動した。
とかは結構あるんですけどこのアニメは泣ける、感動する話数がかなり多いです。
特に13話は最終話より泣けた人も多かったと思います。
そこがすごいなと思いました。{/netabare}



ここからはネタバレありで書いていきます。全部見終わった人で、お時間ある方だけお付き合いください。めっちゃ長くなりますがこれでも端折っているのでご了承ください。


1話
{netabare}仲良し3人と公生の過去と、トラウマにふれるシーン。
公生が「ピアノは嫌いだ。けどそれでも、しがみついているのは僕には何もないから…ピアノを除けば僕は空っぽで不細工な余韻しか残らない」のセリフはかなり好きです。
隣の公生の家からピアノが聞こえないのを心配する椿もいい。
ラピュタの鳩のシーンの曲をかをりが弾いてるシーン…2週目の人はかをり登場シーンだけで涙もんです。{/netabare}

2話{netabare}
椿が公生に後悔してほしくないってのがすごくわかります。
「今の公生は必死で音楽にしがみついている」
公生もほんとは音楽が好きなのに近づけない…罪悪感と恐怖でいっぱいになっているのがわかりますよね。

そしてかをりの「私の音楽届くかな?」ってセリフ…
自由に弾くかをりに興味をもつ公生。
演奏が終わってから公生に感想を聞きに行く、かをり…このときの反応が2周目組はやばいです。
公生の返しもいいですよね!
かをりが待ち伏せしてるところも、ほんとは公生のこと待ち伏せしてたんですよね!
ここでの公生の優しさがいい。{/netabare}

3話からどんどん世界に惹かれていきました。
{netabare}公生が自分のトラウマをかをりと話し合うシーン、伴奏を頼み込んで必死で頼み込むかをりとバックの音楽が美しい。(後半で、ここの意味を知ったときはやばかったです)
無理かどうか女の子が教えてくれるさって、渡ってほんといいこといいますね。
そしてラストで今までモノクロに見えていた、公生の住んでいる街がカラフルに色づいているシーン{/netabare}最高の3話の終わり方です。
ここから本腰を入れて見始めました。

4話
{netabare}かをりとの演奏シーン。
トラウマに必死に抵抗して諦めそうになる公生(ここの公生の心理描写がすごくいい)、
諦めいないかをり、それに応える公生見ていて覚悟を決める。
こんなに熱くなるとは思いませんでした。 {/netabare}

5話
{netabare}かをりが倒れるのですが、すぐ退院したので初見の時はさほど気になりませんでした。
椿の心理描写がリアルで先輩との再会でより公生のことでヤキモキしているところがほんといい。{/netabare}

6話
{netabare} 椿が、音楽が出来ない自分と音楽が出来るかをりを比べて公生と距離を感じてるところがいい。
かをりが、「だめだめな弟って感じ」って言うシーンも椿が公生のこと好きなの知っていて自分も同じ気持ちだよって伝えたかったんですね。
逆にかをりが椿に同じこと、言ったシーンでも、前に公生のことを、「だめだめな弟」って感じって言ってましたし。
いいシーンです。

あとは、椿の気持ちもわかりますが先輩に「付き合いましょうか?」
て言い方はちょっと卑怯ですよね。
気持ちもわかりますけどね。
辛くて、寂しくて、気持ちがぐちゃぐちゃで自分も自分の気持ちに気づけていない椿の気持は見ていて、いい意味でもやもやします。

あと、音楽室でのかをりと公生のシーンもいい。
もうドキドキしまくりです。
その後の、大会での椿のシーンもやばいです。
公生の横に、かをりが来るところを見てしまうシーン椿の心理描写には共感できます。
あと柏木がいい人過ぎる。
ラストシーンでこのまま時間が止まればいいのにって言う椿。
2週目見ると気持ちがおかしくなります{/netabare}

7話
{netabare}渡が部活で負けて1人で泣くシーンもすごくいい。
人前では、明るくいようとする渡はすごくカッコいいです。
かをりの「君はどうせ君だよ」ってセリフもいいですよね。
ここからピアノコンクールで武士と絵見との再会。
あの二人の心理描写もいい。
演奏前の緊張感見てる側にも伝わってきます。
私の子供の時を思い出しました。{/netabare}

8話
{netabare}武士と絵見がどんな気持ちで舞台に立っているか。
熱いです。
恋愛アニメなの忘れるぐらいに熱いです。
ここは下手なスポーツアニメより全然熱い!{/netabare}

9話
{netabare}公生の演奏場面。
小さい頃のトラウマと闘いながら演奏します。
この回もこれはバトルアニメなんじゃないかと思うぐらいに熱い。
また、子供のときの回想がかなり入るシーン母親に最後に言った言葉…切なすぎます。{/netabare}

10話
{netabare}母親のトラウマに押しつぶされて演奏を止めてしまう公生…けど心の中のかをりが演奏をやめることを諦めさせてくれない。
誰のために何のために弾くのか、公生が僕は君のために弾こうって言うところがやばい。
「届くかな、届くといいな」ってかをりと、同じこと言ったり、お互いに「君がいるよ」って言ってここで、かをりが公生のこと泣きながらフルネームで言うのいいですよね。{/netabare}


11話
{netabare}瀬戸さんとの再会。
公生をピアノの世界に引きずりこんだ張本人の登場。君が好きですってピアノが歌ってたと言われるが、これは、感謝で恋愛じゃない友人Aだというところも共感出来ます。
友人が好きな女の子を好きになってはいけないと、無意識にブレーキをかけてるんですよね。
細かいところですがいいです。
あと、コンクールの発表場面…いい。
みんながどれだけ本気でやっているか…負けて悔しいか目のあたりにする公生が、音楽家としても人間としても成長するところです。
このあと、悔しくてみんなで電車の横の道路で走るところってベタですけどめっちゃいいですよね。
このシーン2周目だと…
瀬戸さん弟子入りしてかをりとコンクールにガラコンに出るか聞く場面とか愛の悲しみという曲のチョイス。
地味に好きなのがかをりがバイオリンに向かって話しかけるシーン。
楽器を人として扱ってるシーン。
楽器をしていた、してる人は気持ちがすごくわかるんじゃないかなと思います。
前に公生がまた「お前と二人ぼっちか」ってセリフもありましたけど、かをりはほんとに会話しているのようなのがよかったです。

ラストのかをりが「心に何を思って、何を支えにしたの?」ってセリフの後、公生が「君がいたんだ」って…もう告白じゃん。
けどそれがいい。このときのかをりの気持ちを考えるとあぁぁぁってなります。{/netabare}

12話
{netabare}かをりとの帰り道、かをりが「身長伸びた?もう顔が下向いてないからだね」ってセリフいい。
公生の成長を態度でも分かるいいシーン。
みんなで花火、進路の話…それから絵見がガラコンこっそり見に来るのが面白かったです。
ラストかをりがガラコンに来ない。
順番を変えて貰えるようにラストの子に頼みに行くシーン熱いです。
今日の主役の座は僕たちが貰います。
僕たちってのがいいです。
あとこの回からOP、EDが変わります。特にED見て意味深すぎすと思いました。{/netabare}

13話
{netabare}かをりが間に合わないから公生が一人で舞台に立ちます。
最初は荒々しい演奏から音が聞こえなくなってくる、いつもみたいに音が聞こえないのに僕の中に音がある。
昔の母親との優しい気持ちを思い出す。
そこからの、公生の演奏表現がみんなの反応がいい。

あんなに優しかったお母さんがどんな思いで公生に厳しく当たっていたか…どんなに公正を愛していたか…母親がしていたことはけして許されることではないと思いますけど、その出来事も全部今の公生に繋がっているんだなと。
回想シーンのお母さんのセリフ…瀬戸さんに泣き崩れながら
「公生は私がいなくなっても生活出来る?」
「音楽で食べていける?」
「今、私が出来ること譜面を正確に忠実に弾かせること、手に技術さえあれば将来食べていけるかもしれない。」
「酷い母親あの子に何も残してあげられない。」
「毎朝歯磨きできるかしら?」
「どこでも寝ちゃうから風邪ひかないかしら?」
「運動が苦手だから大けがしないかしら?」
「もっとそばにいてあげたかった。」
「私の宝物は幸せになれるかしら?」
今まで、トラウマでしか表現されていなかったお母さんがこんな事思っていたなんて悲しすぎて感動して涙が止まりませんでした。
トラウマの亡霊も公生が作った幻、逃げ出すための理由、母さんはもうあそこにいない。
僕の中にいる。
そう思いながらトラウマを克服する公生もカッコよすぎる。
演奏後の瀬戸さんとの最高のやり取りですね。
僕の精一杯のピアノ母さんに届いたかなってセリフ。瀬戸さん…
「バカあんたたちは繋がっているんでしょ。届いたに決まってるじゃん。」泣きあって抱き合うシーン最高です。
三池君も影響されていい演奏家になっていくのもいい。
椿が公生の変化にいち早く気付くのもいい。
ラストの瀬戸さんのセリフ…「失って進むのかもしれない…」{/netabare}

14話
{netabare}かをりが倒れて入院したことを知る公生…公生は嫌な予感が頭の中でぐるぐるしていて、椿が心境描写がまたヤキモキします。
ラストの浜辺で歩くシーンの椿…めっちゃ気持ちがわかる。
ここではっきりと公生のこと好きだって認めるシーン。{/netabare}

15話
{netabare}椿の「悲しかったり、安心したり、ぐちゃぐちゃな私がバカみたいじゃない」ってセリフすごくいい。
あとなにより、先輩いい人すぎない?
カッコよすぎるよ。
「ありがとう澤部俺の彼女になってくれて」って言える先輩最高です。
その後の、音楽室で公生と椿のやり取りも最高すぎます。
公生が「いてもいなくても一緒なら一緒にいるよ…そばにいるよ」っていい。
このときの椿の心理描写もよくて最高です。
その後の、「今まで止まれ止まれ」って言っていた椿が「進め踏み出せ、私の時間動け」に変わるのもいい。
後半は凪に出会います。
そして、かをりのお見舞いに行こうとするけど部屋から、かをりと渡の楽しそうな声聞いて引き返す公生。好きな人が他の人と楽しそうにしてるのが嫌なのがわかります。
ラストシーン、かをりが病院廊下で転倒して立てなくなるところ…心が痛くなります。{/netabare}

16話
{netabare}病院から抜け出した、かをりとのデートは見ていて、楽しかったです。けど悲しい。
教室でのやり取り…「このまま時間が止まればいいのに」って思うかをり…椿と正反対…公生もこの時からハッキリとかをりのこと好きなの自覚すのもいい。
凪と公生のやり取りも最高です。
似た者同士。「これが僕の精一杯」ってセリフ。
情緒不安定のかをりラスト完全に母親とダブって見える公生…{/netabare}

17話
{netabare}かをりから自分は良くないって聞く公生…心理描写なくてもどんな気持ちか想像出来ます。
どれだけ辛いか…それに比べて椿は前向きに頑張っている。
最初は公生のこと嫌っていた凪の励まし。
公生からかをりの容態を聞いた渡。
渡なんであんなにカッコいいんだ?
「好きなこのためなら泥水だってすする」…有言実行の最高のキャラクターです。
凪のプレッシャーの掛かり方…あと4日もこの苦しみに耐えなきゃいけないのって。
それを見て、瀬戸さんが昔の公生のこと思い出して瀬戸さんすら前に進んで成長する。
学園祭舞台袖で震える凪を励ます震える公生。いい。{/netabare}

18話
{netabare}自分の演奏を聴かせる公生それに応えようとするかをり、プレッシャーを跳ね除けて演奏の中で成長し伝えようとする凪。
昔を思い出す武士。
そして嫉妬する三池君。いいね。
公生を呼び捨てすると怒るぐらいに好きになってるのも面白かったです。
ラストいつも励まされている公生がかをりを励ますシーンも最初とは逆でいいですよね。{/netabare}

19話
{netabare}2人で、もう一度舞台を立つのを目標に歩き出す2人。
必死で苦しいなかリハビリをするかをり…手術の決心。
心揺ぶられました。
こんなに一生懸命に苦しくても立ち向かうかをりがカッコいい。
公生の心がモノクロからカラーに変わったのと同じで、頑張っている公生を見てモノクロの心がカラフルに変わったかをり。
お互い辛くても高めあって励まして頑張っている。
その中で自分なりに公生のこと心配しながら前に進む椿。
コンクールの公生と武士と絵見のやり取りはひと時の休み。
お互い認め合ってライバルと認めているもの同士いいね。{/netabare}

20話
{netabare}椿に公生はかをりが好きなんだって言われて「うん」と言った公生、そのときの椿の心理描写いい。
椿が公生に告白(はっきりではないかも)します。
踏み出した椿。
前に進もうとしている姿。
私の時間は動き出したばかりだって。
公生が渡にはっきりとかをりが好きだと伝えるシーンの渡もカッコいい。
そのあと、かをりの急変を見る2人…あんなの見たら私ならもう音楽出来ないかもしれない…公生辛すぎるよ。
黒猫のシーンも全てが灰色に戻ってしまいそうになる。
もう見ていられなくなりそうでした。{/netabare}

21話
{netabare}心身共にボロボロになった公生…こんな状態でピアノなんて弾けるわけない。
音楽を通じて好きになっていく人がみんな悪くなっていく…「もう無理です…頑張れないよ」って言う公生の気持ちが痛いほど伝わりました。
けど、公生がダメになろうとかをりが励ましてくれる…お互いがお互いをこんなに支えあっている、こんなに励ましあっている。
その姿に感動しました。
かをりのエアバイオリン最高に綺麗でした。
かをりがはじめて人前で弱音を吐くシーン…「怖いよ…怖いよ…私を一人にしないで」って泣き崩れるシーンは悲しく泣けました。
10代の女の子が余命が残り少ないと知って正気でいられないと思います。
けどかをりは今までの怖い思いにも耐えて、辛くても苦しくても頑張ってきました。
今まで気丈に振る舞ってきました。
そんな彼女の心の叫びは、公生に心境の変化をもたらしたんだと思いました。
舞台裏の公生の心境…舞台に上がった公生が折れそうになるとき周りのみんなの繋がりを感じるシーン。
人は誰かと出会った時点で一人じゃいられない。
それを実感できるシーン。最高です。{/netabare}

22話
{netabare}公生がかをりが死んだことを察するシーン…あんなに美しく寂しいシーンなかなかないです。
2人が演奏している最中はあんなに楽しそうなのに、かをりが消えていく所は桜が散っていく綺麗なシーンです…けど悲しすぎますよ…あまりにもキツイです。
予想はしてましたけど心にきます。
あとアニメではないのですが、漫画版では演奏が終わったらスタンディングオベーションで、
武士と絵見が改めて公生の凄さを認めるシーンがあるのですがここ入れてほしかったです。
めちゃくちゃいいシーンなので。
「やっぱすげーな、あいつ」
「私たちは、旅をするんだね…あいつの背中を追い続けて…これまでも、これからも」
「ああ、きっと素晴らしい旅になるよ」
これがあれば完璧でした。

この後かをりからの手紙を読むところ…こんなの泣くにきまってるじゃん。

「忘れられない風景がこんなささいなことなんておかしいよね。」
「そんなことないよ」。
「君はどうですか?、私は誰かの心に住めたかな。」
「そうだね。」
「私は君の心に住めたかな。」
「土足で上がってきたよ。」
「ちょっとでも私のこと思い出してくれるかな。」
「忘れたら化けて出てくるくせに。」
「リセットなんか嫌だよ」
「するもんか。」
「忘れないでね。」
「うん。」
「約束したからね。」
「うん。」
「やっぱり君でよかった。届くかな。届くといいな。有馬公生君。」
「君が好きです。好きです。好きです。」
「カヌレ全部食べれなくてごめんね。たくさんたたいてごめんね。わがままばかりでごめんね。いっぱいいっぱい・・・ごめんね。ありがとう。」

かをりの告白からの公生とかをりのやり取りバックでキラメキが流れていて歌詞が今の公生の気持ちそのまま歌っているかのよう。
公生の一粒の涙。
椿の「一人になんてなれると思うなよ公生!背後霊みたくずーっとずーっとそばにいてやるんだからな。覚悟しとけ!」
あの踏切が開くまで、ほんのわずかな時間しかないのが象徴的で通り過ぎる電車は公生とかをりのあっという間の月日のようでもありそのことに思いを巡らせて、立ち留まっているのもあとわずかな時間でしかない。
公生は通り過ぎた列車の残響を感じながら、自分の足で歩き出さなきゃいけないんだ。勿論、その隣には椿も付き添ってる。

もうすぐ春が来る。君と出会った春が来る。君がいない春が来る。


そして公生の表情、渡の携帯、柏木さんのアシスト、椿のセリフすべてがいい。

けどどんなに、陳腐だと思われても最後かをりが元気になった後、この手紙を公生に読まれて怒り狂うところが見たかった。本当に見たかった。

見終わった後は1週間ぐらい心がもやもやしてました。
そのぐらい心に響くものがあったのだと思います。

このエンディングも賛否別れていますが私はけしてバッドエンドだとは思いません。
かをりは病気で亡くなってしまったが自分を振るい立たせ公生やみんなと
仲良くなって最後まで精一杯生きました。
公生はかをりと出会ってみんなとの繋がり母親の愛やトラウマを克服しました。
椿は自分の気持ちに素直になれました。
最高のハッピーエンドではないかもしれない。
けどバッドエンドではけしてないと思います。
あと最後の手紙を呪いの手紙みたいにいう人は気が向いたら四月は君の嘘Coda読んでみてください。
もちろん好きな人も。2年後のみんなや過去の公生や椿、かをりのお話が入っていて面白いですよ。{/netabare}

誤字脱字、文章がおかしなところもいっぱいあると思いますが最後までこんなにも長いレビューを最後まで見てくださりありがとうございました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 30

88.4 2 切ないで漫画原作なアニメランキング2位
聲の形(アニメ映画)

2016年9月17日
★★★★★ 4.1 (1520)
7480人が棚に入れました
聲の形」は、聴覚の障害を持つ少女・西宮硝子と、彼女へのいじめに加担していた過去を持つ少年・石田将也の物語で、2人の衝突や再会を通して、孤独や絶望、愛などが描かれている。

声優・キャラクター
入野自由、早見沙織、悠木碧、小野賢章、金子有希、石川由依、潘めぐみ、豊永利行、松岡茉優
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

聲とは、思いを伝えること、発するだけではないことを教えてくれる作品

硝子と将也が動き、聲を発する。それだけでもう満足でした。全7巻を120分でどうまとめるのか、それが最大のポイントだったと思います。入るべきエピソードはほぼ入っていました。
{netabare}硝子との再びの出会い、子供の頃の虐め、将也の自殺話、結弦と将也の掛け合い、硝子の告白、長束との友情、直花との再会、遊園地、結弦とおばあちゃん、将也のキツイ言葉、硝子ママの誕生日、花火大会、硝子の自殺話未遂、将也の叫び、病院の出来事、将也と硝子の橋での会話、将也の開けた心。{/netabare}これだけ詰め込んでも入りきらなかった話もたくさんありました。{netabare}多分無理だろうと思っていた6巻の話は全カット。映画作りがカット。映画製作がなかったためにいろいろな人のエピソードがなくなり、友人たちの立ち位置が薄くなっていました。特に真柴は居なくても良いくらいで、かえってかわいそうでした。この人物の異様さが見ものの一つだっただけに残念。{/netabare}

やっぱり120分で原作の全てを表すのは難しかったですね。それと、ずいぶんマイルドにしていた感じです。小学生のエピソードはイメージビデオみたいになってましたし、硝子ママはキツいだけではなく裏に隠された強さが見えなかったのは残念でした。それでもよくまとめていたと思います。山田監督、吉田玲子さんはじめ、原作者も加わってかなり会議重ねたというし、そこで出た結論がここに表されたのだろうと思いますが、できればハルヒくらいの時間使ってもよかったのではと想います。

作画は安心の京アニです。風景、女の子の画きかたは本当に綺麗でした。あと感心したのは小学校の教室、広さから雰囲気から本当にリアルでした。さすがにこれは原作には出せない、アニメの良いところだと改めて思いました。

上映期間中、もう一度見に行きたいと想います。一回だけでは足りません。劇場でもう一度です。この作品の真価を見極めたいです。


【以下、原作見たときのレビュー】
京アニが劇場アニメを制作するというので気になって仕方がなく、大人の一気買い一気読みしました。

「これ、映像化するの?…本当に大丈夫か?」

これが率直な感想でした。これが少年誌で連載されていたのも驚きですが、さらにアニメ化ですからね。

{netabare}「聲」とわざわざ使っているので、言葉が上手く出せない人の話かと想像したらその通りでした。
聾唖の少女を小学生の頃に虐めた挙句、逆に自分が虐めの対象となってしまい、心を閉ざしたままに高校生になってしまった少年の物語です。
主人公の少年が自殺を考え、最後にこの少女に会いに行くところから展開していきます。この二人を軸に、関わる人びとが心を動かし、葛藤し、それぞれの生き方、解決に向かって進んでいきます。
障害者の問題、恋愛、悩み、葛藤、生き方など、いろいろつまった青春群像劇といったところでしょうか。
かなり重いです。特に小学校の頃の虐めは実写化したら「女王の教室」を越えるほど話題になること必至です。なので、アニメでどう取り扱うか、気になります。避けては通れない話なだけに余計にです。{/netabare}

原作は賛否両論、いろんな意見が寄せられたのですが、どう感じるかは読んだ人の感性に由るようになっています。

映画は京アニ制作ですから綺麗な映像になると思いました。予告編みたら、まさに京アニワールド。背景は綺麗だし、女の子は可愛い。ただ、硝子、直花はいいとして、みきは人物的にそこまで可愛くしなくとも…。
吉田×山田のコンビなので、心の動きや心情は細かく描かれることでしょう。いい作品になると思います。しかし心配な点もあります。この作品の主人公はあくまでも「石田将也」という少年です。吉田×山田コンビは思春期の少年の心を表現できるでしょうか。また、ストーリーをどこまで入れることができるでしょうか。予告編では重要なシーンは入っていたようなので安心ですが、たぶん時間的に6巻部分は削られちゃうのだろうな…。
相当に難しい作品です。京アニの力が試されます。

【主な登場人物紹介】
原作者曰く「みんな嫌い」なのだそうです。たしかに、この作品のファンはこのキャラがいい、嫌い、という人が少ない。それだけ等身大に近い、誰もがその嫌な部分を持っているという感じで描かれているのでしかたありません。
主観バリバリに入った紹介です。正確なものを求めるときはどうか原作を読んで感じてください。

石田将也(CV.入野自由)…ほぼネタばれです。ご注意を。
{netabare}主人公。高3。小学校時代はガキ大将。そのころの心情は「退屈は大嫌い」。少しずつずれはじめた友人たちを気にしながらも馬鹿をやっている毎日。そこへ現れた耳の不自由な転校生。彼は見つける。「この子は宇宙人だ」。悪戯しても怒らない耳の不自由な子。周りから浮いた耳の不自由な子への悪戯はエスカレートして激しい虐めに発展。しかし、虐めの結果、補聴器が次々壊され総額170万円もの被害となる。その責任を担任から将也一人が背負わされてしまう。翌日から虐めの標的は将也に。中学校では小学校の悪事がひろまり仲間はずれに。そのまま心を閉ざしてしまい、高校へ。高校では家族以外の顔が×と認識されてしまうほどの状態に。人生を見失い、自殺を考えるようになる。
補聴器の代金170万円を貯め、弁償してくれた母親の枕元に置き、自殺へ向かう。ただ、将也にはやり残したことが。それは小学校のときに虐めた耳の不自由な子「西宮硝子」に誤ることだった。そのために手話を覚え、彼は向かう、硝子の元に。

将也は悔いだけで生きています。自分が悪い、その感情はずっと残るため、硝子の気持ちに気づきませんし、応えてくれません。ただひたすら硝子への悔恨が彼を突き動かしていきます。自分が幸せになってはいけないと。葛藤とジレンマ、そして自分がなぜ生きているのかの悩み。そして、最後にようやく気づきます。このくだりは本当に感動します。{/netabare}

西宮硝子(CV.早見沙織)
{netabare}もう一人の主人公。高3。母親のお腹にいるときにウィルス感染してしまい、生まれながらにして耳が不自由に。母親の教育方針で普通学校に通うも、行く先々で虐めに遭う。将也の学校でも同じで、虐められる。やがて転校することに。その直前、気持ちが通じあわない将也と取っ組み合いのけんかを起こす。ただ、このけんかは生まれて初めて硝子が感情を露にした出来事でもあった。その後、障害者の学校へ進み、それなりに幸せに暮らしていたという。そんな時に現れた将也。彼女の人生もまた、大きく変わっていくことになる。

硝子は周りがごたごたしてしまうのは自分のせいだと思い込みます。そのため、何があっても気持ちを出しませんし、愛想笑いでごまかしてしまいます。この性格が最後に大きな事件を起こすことになるのですが…。自己犠牲ではないのです、それは硝子の心の弱さと葛藤が生んだ悲劇…
将也と再び会うことで硝子は変わっていきます。どんどん表情が豊かになり、そして、恋心まで芽生えてしまいます。このあたりは本当に女の子として可愛く見れます。{/netabare}

西宮結絃(CV.悠木碧)
{netabare}硝子の妹。中3。小学生のときに虐められる硝子をかばうため、髪をばっさり切って男勝りの性格になった。見た目は可愛い男のこのため、将也にも女の子とはしばらく気づかれなかった。この子なりにいろいろ悩み、不登校になっている。将也が小学校のときに硝子を虐めていたことを覚えており、将也と硝子を会わせない等していたが、将也と触れるうちに将也の心根を知り、将也の味方となる。将也と硝子を繋ぐキーパーソンでもある。

大人な感じをかもしつつも、実は子供の中の子供です。でも、将也と会い彼の心と性格を知り、硝子が変わっていくのを見つつ、周りの環境を感じながら成長していきます。おばあさんとの別れは涙ものですが、映画に描かれるかどうか…{/netabare}

植野直花(CV.金子有希)
{netabare}将也の小中学校のころの同級生。将也の近所に住んでいる。高3。小学校の時に将也が好きになり、高校になってもその気持ちは変わっていなかった。見た目美人だが、かなりキツく、思ったことは口に出ししまう残念な性格であある。小学校の時に将也がいじめられてから思いを残したまま近づくことができなかった。いじめの原因は硝子のせいだと思っており、高校で再び会っても嫌いな感情は変わっていなかった。

直花を嫌いだという人は多いかもしれません。特に気の弱い人は、生理的に無理と感じるでしょうね。それくらい「キツイ娘」です。本来は姉御肌でさっぱりしていて明るい性格です。硝子の面倒も見ていたのですが、周りに理解されず、硝子の性格から、最後は投げ出す形になってしまうます。いじめによって変わってしまった将也を元にもどそうとしますが、かえって距離ができてしまします。この子を中心に見てみると、また別の思いをすることもできるのですが、全体的に嫌われてしまうの仕方のないキャラです。{/netabare}

長束友宏(CV.小野賢章)
{netabare}将也のクラスメイト。高3.小太りでチリチリ頭の少年。自転車盗難の危機を将也に救ってもらったことから将也にとって高校で初めての友達となる。けっこう熱い性格で、将也がピンチの時は出しゃばって救うこともあるくらい。その一方で、罵られたりすると極端に弱気になる面を持つ。映画撮影に興味を持ち、将也と周りの人々を巻き込んで文化祭の出品作品を作ることになる。

将也のクラスメイトで初めて×が取れた人物です。将也が友達とは何かを改めて考えるようになったキーマンで、硝子との繋がりを積極的に応援してくれます。見た目がちんちくりんなのですが、まっすぐな性格なので好感が持てる人多いかもしれません。ただ、気が利きすぎているのも…。{/netabare}

川井みき(CV.藩めぐみ)
{netabare}将也のクラスメイト。高3。将也とは小中高と同じ学校に通う。小中高と学級委員を務めており、自分に自信がある性格で、周りにも信頼されていると思っている。将也のいじめも自業自得と思っていて、硝子のことは見ているだけだったのに、障碍者との学校生活は貴重な経験とすら思っている。将也を通してクラスメイトの真柴との距離を縮めたいと考えている。

この物語の中で、最も嫌われやすいキャラかもしれません。なにせ、自分は全く悪くないし、信頼されているとさえ感じていますので。小学校の時のいじめはすべて将也が悪いと思っているくだりは腹が立つ人続出したようです。最後にクラスメイトから実はウザがられていたことを知る場面がありますが、それでもへこたれません。恐るべきポジティブシンキングです。{/netabare}

真柴智(CV.豊永利行)
{netabare}将也のクラスメイト。高3。みきの紹介で、以前から興味のあった将也と友達になる。結構なイケメン。小学校のころにイジメにあっており、それ以来、イジメは極端に許せない性格となった。小学生のイジメに対し叱ったり、将也の小学校の担任に水をかけるなど熱いのだが、どことなく冷めた性格を持ち合わせている。

正直、登場キャラの中でも最も恐ろしい人物かもしれません。そのことがよくわかるシーンがいくつかあり、将也の告白に対しぶん殴って「他人様」と言い放ったり、教師になりたい理由が「イジメた連中の子供がどう成長していくのか見てみたい」だったり。その時の表情はとても冷めた冷酷な顔に描かれています。{/netabare}

佐原みよこ(CV.石川由衣)
{netabare}将也と同じ小学校のころの同級生。高3。小学校のとき、硝子と仲良くなるために手話をしようという先生の提案に手を上げた結果、直花から「いい子ぶって」と罵られ、それが元で不登校に。そのため、硝子と将也がいじめにあっていたことは知らない。将也に硝子が誰か会いたい人はいるかと聞かれ、佐原に会いたいということになり、再会。硝子とはすぐに仲良くなり、物語の一人に加わる。

佐原は気の弱い性格だったのですが、中学生のときにモデル並みのスタイルに成長し、少しずつ強くなっていきました。硝子と友達になり、周りと触れ合い、苦手だった直花とも対等に話せるようになっていきます。もしかすると、物語の中で一番成長した人物かもしれません。{/netabare}

上記の主要人物のほかにも、将也と硝子の母親も物語に大きく影響を与えます。{netabare}将也の母親はとにかく優しい。すべてを包み込むような母親です。でも、将也が自殺することを悟って叱咤したシーンは、やっぱり母親は強いと思わせてくれます。
硝子の母親はキツいです。人を叱ったり、ひっぱたいたりするのに躊躇しません。硝子を「普通の人」として生活させるために虎の子を落とすようなことも平気で行います。なので嫌いだという人も多いのですが、実は硝子を生んだ後に旦那も含め、旦那家族から罵られ、見捨てられるという悲劇を経験しています。そのために硝子に強さを求めたということがわかるようになります。{/netabare}これ以外にも小学校の担任だとか、ほんと、見ていてイラつかせる人物も多いのですが、なぜか「実は…」というシーンを差し込んでくるあたりもこの作品のいいところです。

【グッと来きたシーン】
その1
{netabare}「自殺するの」
将也が自殺を決行しようと母親の枕元に170万円を置いて出て行くのですが、硝子と会い、思いとどまります。家に帰ってきて母親が170万で喜んでいるように見せた瞬間に放った一言です。子供が自殺を図るだなんて、親不孝そのものです。母親にとっては悔しく、つらい出来事だったことでしょう。庄屋を叱責し、思いとどまらせる約束をします。すでに将也は硝子と会って自殺を思いとどまっていたのですが、このシーンは泣けました。{/netabare}

その2
{netabare}「う、き」
予告でも使われているシーンです。硝子は将也と触れ合っていくうちに将也を好きになっていきます。思いを募らせた硝子はとうとう告白をします。髪型を変え、普段は手話で会話している将也に声で伝えようと懸命に言葉を発します。別れ際、大きな声で発した言葉が「いちだくーん、う、き!」なのです。そう、「好き」を伝えたのです。しかし、思いは届かず、将也は「月?」と勘違いをしてしまうのです。硝子が将也を好きなことには気づきませんし、その対象にすらなっていないと思っていることが分かります。
とても切ないけど、硝子が変わっていっていることがよく分かる重要なシーンです。{/netabare}

その3
{netabare}「生きるのを手伝ってほしい」
これも予告で使われていた言葉です。クライマックスの重要なシーンです。
硝子が自殺するため自宅マンションから飛び降りようとした瞬間、将也が間一髪救い出します。その代わり、将也が落ちてしまい、2週間も意識不明に陥ります。毎週火曜日に同じ場所会うようにしていた二人。火曜日、硝子は思いを募らせその場所に向かいます。そのとき、将也が目覚め、将也もまた無意識にその場所へ向かいます。二人は会い、会話します。そして、思い悩んでいた硝子に放った言葉がこれです。涙なしには見ることができないシーンになると思います。{/netabare}

とにかく公開が待ち遠しいです。作品を見終えた後、どんなレビュー書き込むことになるか、楽しみにしています。

【28.5.18初稿】
【28.7.8修正・追加】
【28.7.18修正・加筆】
【28.8.9加筆】

投稿 : 2024/11/02
♥ : 63
ネタバレ

雀犬 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

心を開いて

2016年上映、少年マガジンで連載されていた漫画「聲の形」の劇場アニメ化作品です。
制作はお馴染み京都アニメーション。

聴覚障碍の少女、西宮硝子と小学校時代に彼女をいじめていた少年、石田将也が5年ぶりに再会し、
ぎこちなくも交流していく中で自分の罪や弱さと向き合って行く姿を描く青春ドラマ。
全7巻の内容を2時間の映画に収めているためいくつかのエピソードは削られており、
特に人間関係修復の鍵となる後半の「映画作り」の話を全面カットしているため、
アニメでは存在意義がよく分からないキャラクターもいますが
テーマはしっかりと押さえてあり、非常に濃密で、心に深く響く作品になっています。
声優さんの演技も素晴らしかったですね。

以下は視聴済みの方向け、ネタバレ全開の感想です。

●伝えること
{netabare}
西宮硝子は「言わざる者」です。

先天性聴覚障害の硝子はクラスに溶け込み友達を作ろうと努力するが失敗し、
煙たがられる存在となり、やがていじめを受けるようになります。
その結果、転校し特別支援学校に通うようになるのですがここでの学校生活も
実はそれ程楽しくなかったのではないかと思われます。
同じ難聴の子の友達は原作でも映画でも一切出てきません。

彼女は鯉に餌をやる。川にパンくずを落とすと、鯉が集まってくる。
この行為は人と繋がりたいという思い、そして寂しさを投影しています。
特別な学校に通うことで彼女は守られているともいえるし、
別の見方をすれば隔離されているともいえます。
おそらく彼女の本当の願いは難聴を治し、健聴者と一緒に普通の学園生活を送ることなのでしょう。

そんな彼女も元に、かつていじめの中心人物だった将也が訪れ、
かつて硝子が使い、そして自身で捨てた筆談ノートを手渡す。
ノートにはこう書いてある。
「わたしは皆さんとこのノートを通じて仲良くなりたいと思っています」と。
突然の将也の訪問という出来事は、全てを諦めてかけていた彼女の心に火を灯すことになる。
かくして将也の再起と硝子の再挑戦が始まるのですが、
被害者が簡単に加害者を許してしまい、
それどころか恋に落ちるというのはいかにもご都合主義であり
障碍者を感動の道具にしているという批判も時折見かけます。
しかし彼女は聴覚障碍者である以前に、17歳の年頃の女の子です。
友達とお喋りしたり、 帰りに寄り道したり、オシャレをしたり、そして恋をしたり…
そんな女子高生としての当たり前の生活に彼女は憧れていたのだと思います。
手話を覚えて自分に会いに来る同い年の男の子に恋愛感情を抱いてしまうのは、
果たして間違った行為なのでしょうか。
僕は、批判している人の方が障碍者を色眼鏡で見てしまっているように感じます。

さて、彼女は将也を通じて小学校時代の面々と再会するのですが再び大きな挫折を味わいます。
さらに医師からと難聴が治る見込みがないことを告げられ(右の補聴器を外す理由です)、
優しかった祖母が亡くなる・・・と不幸な出来事が重なり、絶望した西宮は自殺未遂を起こします。

「聲の形」は硝子に厳しい現実を突きつける。
鯉はエサをあげれば集まってくれるますが、人間はそんなに単純ではありません。
高校生ともなれば、義務感だけで彼女に付き合ってはくれない。
硝子は引っ込み思案で、すぐ愛想笑いに逃げるところがあります。それが彼女の短所です。
誰とでも仲良くなりたいのであれば、その短所を克服しなければいけない。
障碍者だという「言い訳」を許さず、一人の人間として成長させるのが本作の大きな特徴だと思います。

西宮硝子に、本当の気持ちを伝える勇気を。
{/netabare}

●見ること
{netabare}
石田将也は「見ざる者」です。

そのことは、クラスメイトや小学校の同級生の顔に「バッテン」が貼られるという形で示されます。
硝子に代わって小中学校といじめのターゲットにされた彼は、
対人恐怖から人とまともに顔を合わせる事ができない。
贖罪のためバイトでお金を貯め、過去を清算した上で自ら命を立とうとする状況でこの話はスタートします。
母親の必死の説得もあり自殺は思い留まったものの、目標を失い、空っぽになってしまった将也。
すがるような気持ちで硝子の元を何度も訪れるが、
加害者がのこのこと会いに来ていいのだろうかと自問自答を繰り返します。

一方、硝子はすんなりと彼を受け入れ、
初めは将也を敵視していた妹の弓弦(ゆずる)も信頼を寄せるようになる。

しかし、当然のとこながら自殺する寸前まで追い込まれた人間がそうそう簡単に立ち直れるはずもなく、
いまだ罪悪感を拭えず、後悔と自己嫌悪に足を縛られている将也と
可憐な見かけによらず感情の揺れが大きく一度走り出したら止まらない性格の硝子は
皮肉な事に親しくなる程にすれ違ってしまう。

それは「好き」という硝子の告白を「月」と聞き間違えて僕たちを苦笑いさせる場面で
分かりやすく表現されているのだけれども、
この時猫カフェでもらったポーチのお礼に渡すプレゼントにも同様の意味があります。
将也は西宮からのプレゼントを何に使うものなのかよく分からないまま受け取ります。
この謎アイテムは最後にプランターの飾り、フラワーピックと呼ばれる物だったことが分かるのですが
男の子にプレゼントするなら説明が必要だし、将也もよく分からないなら尋ねるべきだった。
つまりこのフラワーピックは二人の心の距離を測るモノサシであり
ディスコミュニケーションの象徴なのです。
その後も二人の関係は一向に進展せず、旧友とよりを戻す機会が訪れますが自ら潰してしまいます。

将也の欠点はネガティブな思考でしょう。物事を悪い方へ悪い方へ考えてしまう。
そんな将也を好きになる視聴者は少ないかと思いますが、彼には長所があると思います。
それは素直さと直向きさ。バイトで170万もの弁償代を貯めるなんて、なかなかできることではありません。
彼の直向きさは、最初から備わっていたものではなく自分自身の罪と向き合った結果手にしたものです。
将也に必要なのは今の自分自身を信じることなのだと思います。
彼をどうしても許せないという人もいるのだけど、
話をいじめに限定しなければ誰しもが加害者の立場になる可能性はありますし、
ある程度客観的に彼を見ることでこの作品から得られるのがあるのではないかな。

石田将也に、真実の世界を見る自信を。
{/netabare}

●聞くこと
{netabare}
植野直花は「聞かざる者」です。

間違いなく本作のキーパーソンでしょう。
彼女は人間関係を一変させる触媒として働き、物語を大きく推進させる力を持ちます。
聲の形は彼女の存在によって作品が数段面白くなっているし、また深みのあるものになっていると思います。

植野は思っていることを遠慮なくズケズケ言ってしまう、
アニメではあまり見かけないけど現実にはよくいるタイプの人間ですね。
もちろん彼女は口が悪いだけではない。偽りのない言葉は鋭利でとても強い力を持っている。

この映画で一番の見所はどこかと聞かれると、僕は西宮と二人で観覧車に乗って話すシーケンスだと答えます。
印象的でかつ、作者の鬼才ぶりが一番感じられる場面だと思うのです。
「あんたのせいで私たちの関係が壊れた」と硝子を逆恨みする植野ですが、
実は彼女は硝子を障碍者というフィルターをかけず一人の女性として見ている唯一の人物なのです。
だからこそ、硝子の「人間的欠点」を指摘できる。
別に植野は彼女のために良かれと思って言っているわけではなく、
むしろ悪意を込めてマウントポジションで一方的に言い放っているだけにすぎません。
二人の間で会話は成立していないし、この一言で硝子は深く傷ついたでしょう。
しかし、硝子が植野と再会しなければ自分自身の短所と向き合うこともなく、
内気で友達を作れないままだったというのもまた事実。

一方、植野は将也と島田との仲を修復させようと取り計らいますが、こちらは善意の行為にも拘らず失敗します。
植野の行動は将也の嫌な記憶を呼び起こし不快にさせると同時に、
西宮と友達になろうとした自分の行動とダブり、彼にブーメランとなって跳ね返ってくる。
「西宮も同じように自分を鬱陶しく感じているのではないか」と将也はますます自己嫌悪に陥ります。
容赦のない言葉がプラスに働くこともあれば、良かれと思った事がマイナスに働くこともある。
これが人間関係の面白さであり、難しさなのだと思います。

さて、植野は原作とアニメ版で設定も性格も微妙に異なるキャラであり、これでもアニメ版で丸くなっています。
原作はアニメよりも恋愛要素が強く、植野は「負けヒロイン」という位置づけでしたが
アニメ版の植野は将也への恋愛感情を抱いている描写はなく、
将也と硝子にとって「乗り越えなくてはいけない壁」として描かれています。
それは才色兼備でリーダーシップもある植野が、スクールカーストの最上位にいるからなんですね。
逆に永束が良き友人として将也のために動いても事態を変える力がないのはスクールカーストの底辺にいるからで、
つくづくこの作品は残酷だなと思います…
実際、硝子が一人ずつ会って会話するときも最後は植野だし、将也から見える「バッテン」が最後に外れるのも植野。
つまり平たく言うとこの映画で植野は"ラスボス"なのです。

そのラスボス攻略の決め手となるのは意外にも傘。
硝子が植野に傘を差し出すシーンは将也が弓弦に対して傘を差し出すシーンと完全な対になっています。
なぜこの行為が人の心を動かすのか。
誰であれ良心はあるし、人を邪険に扱う時は少なからず心が痛むもの。
だから人は嫌いな人と相対するとき、「相手も自分を嫌っているはずだ」と思って心のバランスを取ろうとします。
二人が傘を差し出す行為には「私は、あなたを嫌っていないよ」というメッセージが含まれています。
だから意固地になっている相手の気持ちは大きく揺らぐのです。これもひとつの「声の形」なんでしょうね。

そこから学園祭で植野が硝子に手話で「バ、カ」と言うシーンがあるのですが、これはアニメオリジナルです。
実は植野の手話は間違っていて濁点がなく「ハ、カ」になっています。
それに対して硝子が「バ、カ」とやり返す。ここでようやく二人の間に会話が成り立つ。

僕は植野が硝子に言い放ったことは正論だと思っています。
私たちは学校や親から教育を受け、障碍者には親切にしようという気持ちは備わっていますが、
わざわざ自分から積極的に友達になろうとは思わないのがむしろ一般的な感覚ではないか。
植野の主張は私たち健常者が決して口に出さない本音であり、サイレントマジョリティーなのだと思う。
でも実際のところ、聞こえないというハンディはあまりにも大きく完全に対等な関係を求めるのは無茶です。
健常者から歩み寄る思いやりがどうしても必要になる。それもまた現実。

何でも思っていることを口にしてしまう性格の植野。
それは長所でも短所でもあるけれど、人間関係がギクシャクする場面に出会うことも多いと思う。
この原作改変には「少しだけ優しくなれれば、あなたは上手くいく」という
アニメスタッフの思いが込められているように感じます。

植野直花に、他人の声を聞く優しさを。
{/netabare}

●開くこと
{netabare}
原作者の大今さんが度々語っている通り、本作のテーマは"ディスコミニケーション"です。
いじめや障碍はテーマを表現するための要素であってそれ自体がメインではなく、
人と人とが互いに気持ちを伝えることの難しさを描いた物語です。

なぜ、本作のキャラクター達のコミニケーションは上手くいかないのか?
きっと彼らは会話するとき、相手の前に閉ざされた扉があるような心境だったんじゃないだろうか。
相手の顔は見えないし、扉は鍵がかかっていて開かないし、不安ばかりが募る。
でも最後に気付くのです。
『鍵はかけられていたのではなく、自分自身でかけていた』のだと。
それは勇気だったり、自信だったり、優しさだったり。開けるための鍵は人それぞれ。
そのことに気付き、扉を開けてもう一度辺りを見渡した時、やっと世界は本当の姿を見せる。
そして世界はあなたが思うほど酷いものではなく、
自分から心を開けば、意外なほど優しく受け入れてくれるもの。
この話が伝えたいのはきっとそういうことなんじゃないかな。
漫画版の最終回は扉を開くコマで終わるのですが、
それこそがコミュニケーションの本質を示しているように感じます。

人は集団で生活し互恵的な関係を求める社会的ないきものであり、
誰かとつながりたいという思いは人間なら誰しも生まれつき持っている本能的な希求。
「聲の形」は、そんな当たり前で忘れかけていることを教えてくれる作品だと思います。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 50
ネタバレ

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

大ヒット御礼舞台挨拶にも行ってきました

☆☆☆完成披露上映会鑑賞後レビュー☆☆☆

最近あまり漫画を買わなくなりました
週刊の漫画雑誌や漫画の単行本は
読みたくなった時に漫画喫茶で読んだほうが安く上がるし
ただでさえ物があふれている自室に
これ以上余計な物を置くスペースがないので
本当に価値があると思ったもの以外買わなくなりました

しかし、雑誌に掲載された新人の読み切り作品というやつは
単行本に収録されるとは限らないので
雑誌を買い逃せば下手するともう一生読めなくなっちゃう
だから最近はコレダ!と思った読み切りがある号だけは買って
そのまま手元に永久保存してあります
頻度にして年に2~3回くらいですね

この作品の読み切りが週マガに載ったときは衝撃的でした
これはとんでもない作品が出てきたぞ!と
漫画喫茶を出た私はまったく迷うことなく
その足で週マガを買いに行きました
素晴らしい読みきり作品だと思ったと同時に
この作品は連載することは不可能だし
単行本収録もされないだろうという判断です

その作品が週刊連載されると聞いたときは
続きが読めるという喜びを困惑が上回りました
あのクオリティを週刊連載で維持するのは無理だろうし
読み切りの時点で完璧な作品だったので
そこから評価が下がることはあっても上がることはなく
週刊連載ははっきり言って蛇足だろうなぁと

実際予想した通り週刊連載には読み切りにあったほどの密度はありませんでした
特に中盤の映画製作の話のあたりは
作品のおおもとのテーマから大分ずれてきているのを感じましたし
当時作品の人気にも陰りがあったようです
そこから一気に急展開してフィナーレを迎えたわけですが
やっぱり読み切りと週刊連載とでは求められるものが違うことを痛感させられました

しかし、連載は失敗だったか?と聞かれれば間違いなくNOです
完璧だった読み切り版に比べところどころ粗が目立つようになっただけで
連載版で新たに命を吹き込まれたキャラクター達はとても魅力的だったし
連載版も十分に佳作だったと思います
ただ手放しに絶賛できる程ではなかったというだけの話

原作が完結したことでこの作品の展開もこれで終わりだろうと思っていたところに
今度はアニメ化の報が舞い込んできました

連載が決まったとき以上の困惑でした
もうこの作品は十分に頑張ったと思うし
これ以上引きずってもあとはただ
読み切りを初めて手に取ったときの感動が色褪せていく一方なのだろうと
あまりアニメ化を肯定的に受け入れる気分にはなれませんでした
しかし、やはり一度好きになった作品なので
最後の最後まで見届けたいという一心で完成披露上映会へ行ってきました

結論から言えば完璧でした

連載版はやっぱり全体の尺が長すぎたんですかね?
そこから余分なものを削ぎ落としていったら
読み切り版と同等かそれ以上の質と
129分という十分に見ごたえのあるボリュームを
見事に両立させた作品に仕上がりました

ちなみに映画自主製作のあたりはばっさり無くなっています
やっぱりあれ要らなかったよなぁ・・・

尺を切り詰めていくと起こりがちなのが
キャラクター達の描写不足です
主人公&ヒロインの描写に関しては
まぁしっかり描けていて当然だと思いますが
サブのキャラクターたちも短い時間の中で
長所と短所とがはっきりと描かれていて
とてもリアルで魅力的なキャラクターになっていました

生きたキャラクターづくりをするには
欠点の描写が必要不可欠なものですが
それをやりすぎなくらい踏み込んでやっているのが
この作品の特徴でもあります
人間の醜い部分をかなり強調して見せられているのに
キャラクターがより一層魅力的に見えてくるのは
人間だれしも多かれ少なかれ持っているマイナスの部分が
大変リアルにきわめて丁寧に描かれているからでしょうか
まるで自分の心の奥底にしまい込んである仄暗い情念を
無理やり引きずり出して陳列されているような感覚
そこに描かれているものが自分と無縁ではないとを
いやがおうにも自覚させられてしまうから
その根底の部分に共感できるのだとおもいます

劇場版で最も株を上げたのは長束君
原作でもギャグっぽい描写は多くありましたが
ちょっとしたアクセント程度にしか感じなかったのが
映画ではまぁ美味しいところをガンガン持っていきます
彼がメインのシーンでは会場中が笑いに包まれていました
重いテーマの作品の中で彼の果たす役割は非常に大きいですねw

もう一人は結絃
ヒロイン役のはやみんが役の性質上
セリフらしいセリフがあまりないこともあって
一番セリフが多かった女性声優は
結絃役の悠木碧だったんじゃないでしょうか
喜怒哀楽の差が激しい役どころでしたが
その演技は見事の一言に尽きます

作画は安定の京アニクオリティ
細かい表情の描写や小物の描写など
細部にわたって行き届いておりました

音楽のみ満点をつけていませんが劇伴はとてもよかったと思いますし
aikoの主題歌も作品によくマッチしていたと思います
でも、お金を出してサントラやシングルを買いたいか?
と聞かれるとそこまでではないんですよね
年間で十数万はアニソン・サントラを購入してますので
割とCDに関しては財布のひもが緩いほうなんじゃないかと思いますが
それでも特にこの作品の曲を購入したいという気は起りませんでしたので
この評価になりました

全体的に原作を知っている人には自信を持ってお勧めできるクオリティです
そして、原作を知らない人には原作からでもアニメからでもいいので
ぜひ触れてもらいたい作品だと思います

なお、私は上映会から帰ってきてすぐ
西屋太志 自選総作監修正集付き前売券をぽちってしまったので
封切り後にまた見に行くことになりそうです
作品を見てから前売り券を買うのはこれが初めてですw
また観てきたら何かしら追記するかもしれません

☆☆☆大ヒット御礼舞台挨拶鑑賞後レビュー☆☆☆

封切り直後あにこれオフでみんなと見に行って
さらに昨日大ヒット御礼舞台挨拶に行ってきました

2回目の視聴の際は
1回目では見落としがちな細部の描写などに注目
3回目の視聴の際は
オフ会で見た後話題に上がっていた点と
舞台挨拶で話題に上がった点に特に注目してみていました

普段はネタバレありでより密度の濃い
終演後舞台挨拶を中心に見に行ってますが
今回残念ながら終演後は落選
第二希望の開演前舞台挨拶が当たったものの
発券してみたら最後列でした・・・
さらにこの回だけは別に見に行かなくても
オンライン中継されているとか
もうほんと踏んだり蹴ったりだなぁ
と思ったのですが
舞台挨拶で聞いた内容をその場ですぐ確認できたのはよかったです

舞台挨拶を聞いたり繰り返し見たことで
いくつか印象が変わった点などがあるので
ネタバレ込みで置いておきます

手話に関して{netabare}

父がお役所勤めで一時期障碍者にかかわる部署にいて
たまにNHKに有識者として呼ばれたりしてました
おかげで小さい頃から障碍者が身近にいる生活をしており
手話教室の生徒兼ボランティアみたいなこともやってました
もう止めて久しいこともあり簡単な挨拶と50音程度しかわかりませんが
一般の人よりは多少手話に触れたことがあるかんじです

今回山田監督の話では
手話のシーンに関しては
将也と佐原は勉強はしたものの使う機会がなかったので
初心者らしく50音を多めに交えて使わせる
結弦は日常的に使っているので
技でも繰り出すようにかっこよく
硝子はコミュニケーションの中心手段なので
細かい心の動きまで伝えられるように
といったように
使い手の習熟度に合わせて手話の監修を入れてもらったそうです

ということで今回は手話の部分をしっかり観察してみました

硝子が将也にだれかメールをしたい相手がいないか?
と聞かれたときに
一度目は「さ」「原」の動きを示し
一瞬佐原が誰だか頭の中でつながらなかった将也を見て
手話が伝わらなかったと判断したのか
「さ」「は」「ら」と50音でもう一度伝えています
手話で心の動きまで伝わるように
というのはこういう部分のことかもしれませんね

そしてもう一つ印象的だったのは
花火大会の別れ際
以前は自分から別れ際に「またね」
を使っていた硝子が
将也の「またね」
に対して「さようなら」と返しています
つまりはもうその時点で決意を固めていたのでしょう・・・
{/netabare}
川井さんに関して{netabare}

川井役の潘めぐみが
最初に役をもらって原作を読んだときに
どういう風に演じたらいいのかわからなかったとのこと
監督に相談した時に返ってきた
「川井さんは聖母のような女の子なんです」
と言われて自分の印象と真逆で驚いたそうな

聖母の真逆ってことはつまり
彼女が極めて打算的で狡猾に
演技しながら生きているように見えたんでしょうね
私にもそう見えました
硝子いじめにはリスクを避けて直接手は下さず
かついじめる側からも反発の無いよう同調する
事件発覚後は自分は関係ないと主張し
非難されたら泣いてごまかす

少なくとも将也と植野の目には
彼女が裏表のあるブリっ子に映っているので
物語が基本将也の目線で展開されることもあり
物語の読み手にはとても腹黒いように見えてしまうんです

実際はそうではなくて
彼女の態度は演技ではなく
いわば天然なんですね
原作者も彼女に関して
「川井さんは作品内で一切噓をついていない」
と発言しており
つまり彼女は表面を取り繕っているのではなく
本気で自分はいじめ事件の加害者ではないと考えているんです

しかし、彼女が本当に純真無垢なのであれば
打算で行っているよりもよっぽどたちが悪いようにも思います

正当化というのは正常な心の防衛反応です
自分が悪いのではないかという罪悪感がベースにあって
その罪悪感押し殺すために自分は悪くない自分は完璧であると思い込み
重症になってくると自分の中の事実を自分の都合のいいように歪めて
それを自分で信じ込んでしまいます

そんな彼女が泣いて謝罪をするシーンが映画の最後にあります
それは将也への千羽鶴が足りなかったことを詫びて泣いて謝るシーン
これは将也や硝子のしている謝罪とは根本的に性質が違います
彼女は今でも自分のこれまでの言動の全てが正しいと思っていて
自分が過ちを犯したことを謝罪しているのではなく
千羽鶴を集めきれなかった自分の能力不足を詫びているんですね

いじめ事件に関しても
自分はいじめを止めようとしたが
自分の力不足で阻止することができなかった
というのが彼女の中にあるストーリーなのでしょう
そしてそのストーリーを壊されそうになると
泣くことでコミニュケーションの中断を図るのです

そうやって自分の嫌な部分を自分から見えなくしてしまい
自分を「聖母」にしてしまっている彼女は
立派にいじめ事件の加害者であり被害者なのだと思います
{/netabare}
音楽に関して{netabare}

繰り返し鑑賞して思ったのは
劇伴については結構よかったなぁということ
中盤までの劇伴はそこまで印象に残らなかったんですが
後半の喧嘩や飛び降りのシーンの音楽は
非常に印象的な使われ方をしており強く心に残りました
しかしまぁ、サントラを買って聞きたいかと言われるとやっぱりNO
お金を払って聞く価値がないというのではなく
日常的にあんなものを聞いて過ごしていたら
心を病んでしまいそうなのでやっぱり要らないかなという感じです

aikoの曲に関しては聞けば聞くほど違和感が
けみかけさんとも少し話しましたが
恋愛がメインテーマの映画でもないのに
テーマソングが「恋をしたのは」なのはどういうことだろう?と

私の出した結論は
映画としてあの楽曲を使う必要性は全くないけれど
この作品を商業的にプロモーションするために
障碍と恋愛という二つの要素を前面に出す必要があった
ということです

そりゃいじめと自殺未遂の映画ですって言われたら
一般層は裸足で逃げ出しますからね
原作組だけで内々に盛り上がるのではなく
一般層にも受け入れてもらうための作戦として
あの曲とあのPVを使うのは間違っていないかもしれません

しかし、そうやって釣られてきた層が
この映画を見て果たしてどう思うのか?
少なくともカップルで見に来るような恋愛映画ではないです
そういう人たちは君の名は。を見に行った方がいいでしょう
驚かせるのが目的で嘘予告的なものを流すのはアリだと思いますが
この作品はそういうのともちょっと違いますよね・・・

原作のファンでもあるというaikoの起用は悪くなかったと思いますが
もう少し映画の内容にあった曲にしてほしかったところですね
{/netabare}

オフ会も舞台挨拶も前売り使えずで
まだ一枚余っているため最後にもう1回見て
いろいろ思うところをレビューしておこうとおもいます

投稿 : 2024/11/02
♥ : 49

85.9 3 切ないで漫画原作なアニメランキング3位
一週間フレンズ。(TVアニメ動画)

2014年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (2610)
14265人が棚に入れました
「私…トモダチの記憶、一週間で消えちゃうの──。」高校二年生の長谷祐樹は、人と一切関わろうとせずにいつも一人ぼっちでいたクラスメイト・藤宮香織の存在が気になり、彼女と友達になりたいと願う。しかし彼女の口から告げられたのは、大事な友達との記憶のみが一週間で消えてしまい、月曜日にすべてがリセットされてしまうという衝撃的な事実だった。しかし、それでも祐樹は香織と友達になりたいと願う。一週間の記憶を綴って、巡って、二人は友達になっていく。何度も、何度でも──。

声優・キャラクター
山谷祥生、雨宮天、細谷佳正、大久保瑠美、中原麻衣、間島淳司、浅沼晋太郎
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

とても繊細に描かれた、とある友達作りの軌跡

2014年の4月放送。
全12話。


【前置き】

スキマスイッチ初期のシングル「奏(かなで)」。
その曲がエンディングでカバーされると知ったことが、本作を視聴するきっかけでした。

当時から今も大好きな曲でしたので、カバーの雰囲気や作品自体が好みに合わないと、残念で歯痒くなることは間違いありません。
故に、録画するも6話ぐらいまで撮り溜めしてしまうぐらい、視聴する一歩を踏み出せませんでした。

今思えば、全くの杞憂でしたけどね。



【あらすじ】

高校一年生の長谷君が、いつも一人きりでいるクラスメイトの藤宮香織と仲良くなりたいと思い、勇気を出して、

『俺と、友達になって下さい。』

と、声をかけたところから始まります。

しかしその藤宮さんは、友達との記憶だけが一週間しか保たない症状を抱えていました…。



【論じてみる】
{netabare}
この記憶障害についてですが、現実的に考えてありえるかどうか…という見方は、本作においてはフィクションとして早々に受け入れた方が物語に集中出来ますね。
本作は、記憶障害を克服していくというストーリーではなく、その障害にもめげずに?、ただ純粋に相手へ抱いた気持ちを貫くストーリーですから。


高校生の男の子の視点で描かれる恋愛作品となるのですが、その内容は実に少女漫画らしい、いじらしさと甘酸っぱさに満ちていました。

作者の葉月抹茶さんは(2014年現在)23歳のまだ若い女性のようですが、恋に対し未成熟な高校生の男の子を描くのが非常に上手ですね。
作中の長谷君の葛藤は、いつか恋をしていた自分と重なる…という方も多いのではないでしょうか。

ただ…少々重なり過ぎるというか…。。。
気持ちには非常に共感するところもあるのですが、その気持ちが行動に出過ぎて自己中心的に成りがちで、周囲に迷惑をかけている点は好きになれませんでしたね。
男友達の桐生くんは、なんだかんだでそれを友達だからこそ受け入れてくれるわけですが、視聴者側としては少~し苛々する場面も…。
それぐらいの方が、リアリティはあるのかもしれませんけどね。


しかし長谷君の心を掴んだ、この【藤宮さん】の純真無垢さはたまりませんでしたね。
画のタッチも含めて、触れると割れてしまうシャボン玉を連想させるような、心から大切にしたいと思ってしまう女の子でした。

藤宮さんは、長谷君との交流を忘れてもすぐ一週間の記憶を埋められるよう、日記をつけていくことにしました。
やっと出来た友達を、ずっと大切にしたいという想いからですね。
裏表の全く無い藤宮さんの行動の一つ一つは、そういった感情がどれもストレートに描かれているので、見ていると応援したくなっちゃいます。

友達との交流にしても、障害ゆえにどうしても不慣れな面がある為、どこかズレてしまっているところも可愛いですしね。
個人的な卒倒ポイントは、第2話の初めてのカラオケで、いきなりマラカスを持ちだしたシーンですね。

藤宮さん「これって、使うものじゃないの?」

長谷くん「そーだけど、そーなんだけどっ! 今は…だいじょーーぶ…。。。」

藤宮さん「そうなんだ…、残念…。」

ニコニコと両手にマラカスを持ちながら、長谷君の言葉を聞きキョトンとする藤宮さんの表情は、今期の最萌ポイントだったかもしれません。



さて、長谷君の頑張りや周囲の協力もあり、少しずつクラスメイトと打ち解け、記憶のリセットにも少し変化が表れた頃…。
藤宮さんの小学時代の友達♂が登場し、そこで藤宮さんが

「この裏切り者」

と言われたところから、話は予期せぬ方向に進みます。

話の佳境であり、物語をまとめるにあたっても必要な場面展開だとは重々分かるのですが、やっぱり見るのは少々堪えましたね。
そして、長谷君に対し記憶を急に無くしたが故に、再び蔑んだ目を向けてしまう藤宮さんも…。
ホントは、誰よりも大切な相手なのにね…。


原作が連載中な状況で、それでも綺麗な着地点を見れた気はしましたが、それでも2人に大きな変化はありませんでした。
この記憶のリセットは、果たして永遠なのでしょうか…。

本作においては、ありきたりでもなんでも、藤宮さんが幸せになるハッピーエンドであって欲しいですね。
だからこそベタですが、藤宮さんが長谷君のことを、友達以上の存在と認識したことで変化する…、という終わりであると願ってやみません。
{/netabare}



【奏(かなで)について】
{netabare}
スキマスイッチの名曲を、藤宮さんの声を担当した『雨宮 天(あまみや そら)さん』がカバーされました。

若干20歳の若手でもあるので他の歌手のカバーと比べてしまうのは少々酷ですが、それでも作品のエンディングに相応しい綺麗な歌声で、私は何度も聴き込んでしまいました。
歌詞にしても、

「最後に何か君に伝えたくて、「さよなら」に変わる言葉を僕は探していた。」

のところなんて、まさに長谷君の気持ちを代弁しているかのような一節でしたしね。
(ただ、シングルに一緒に入っていた奏(長谷君ver)は、少々いただけなかったかなぁ…。)

映像としては、サビで挿入される藤宮さんの満面の笑みのシーンが、とにかく最高でした。
あれだけで御飯3杯イケます、はい。


あと、本作は奏のイメージが強いですが、オープニング曲「虹のかけら」(昆夏美さん)も、とても良い曲です。
琴浦さんのエンディング「希望の花」でもそうでしたが、作詞作曲をされた川嶋あいさんは、ホント良い歌を作りますね。

どちらも、『一週間フレンズ。』という作品には欠かせない楽曲だったと思います。
{/netabare}



【桐生君と沙希ちゃん】
{netabare}
作中の長谷君の行動には、少々やきもきとさせられることがあったのですが、この友達の桐生君がブッキラボーながら良いヤツで、良い世話役(ケツ叩き役)になっていましたね。
彼が長谷君に対しズバズバと言ってくれるからこそ、私は長谷君の行動にあまり苛々せずに済んだのかもしれません。
(どことなく声と喋り方にデジャヴを感じていましたが、調べたら刀語の鑢七花でしたね。)

当初は、その物事をストレートに言う性格からも藤宮さんとは隔たりがありましたが、日記を大切にしている藤宮さんを笑っていたクラスメイトに対し

「確かにこんなの見て一人で笑ってたら、気持ち悪いって思うかもな。

 だけど影で悪口言って、ゲタゲタ笑っているオマエらの顔もどうかと思うぜ。」

と言い放ったシーンは、格好良かったですね。
藤宮さんが一歩を踏み出す、きっかけにもなりましたし。


そんな世話役の桐生君が、どことなく手を貸してしまいがちの相手がもう一人。
それが藤宮さんの女友達、沙希ちゃんでした。

小柄な彼女は、記憶障害とは関係無く忘れっぽく間の抜けた性格をしていて、だからこそ藤宮さんのリセットも難無く受け入れてくれたのですが、それが原因で小学時代はイジメられていた経験も持っていました。
そんな彼女を実は桐生君は、以前からコッソリ世話を焼いていたんですね。
(当の本人は、桐生君の名前すら憶えていませんでしたが。)


あるきっかけで、その桐生君の手助けに気付いた沙希ちゃんは、桐生君を頼れるから旦那さんに…と言い、彼を怒らせて(照れさせて)しまいます。
ここから終盤にかけて、この2人の関係もメインの2人同様にギクシャクしちゃうのですが、最終話でこの2人が仲直りした時のシーンは、ハッキリ言ってメインの2人のシーンよりも涙腺に多大なダメージを与えられました。

「もし俺が嫌いとかなら…、こっちも今後話しかけないってことも出来るし…。」

なんて言っちゃう(ホントに出来るのか?)桐生君でしたが、そこで沙希ちゃんは涙し…こう言いました。


「違うもん…。嫌いだったら…こんな悩んでなんか…。

 桐生君なら旦那さんになってもらいたいって言った時、本当に怒ってる気がしたし…。

 先におかしくなったの…、桐生君だもん。

 上手く話したり出来なくなっちゃったのも、これ以上嫌われたくないって思ったからなのに…

 話しかけないことも出来るなんて、聞きたくなかったよぉ…。」


いつも呆けている沙希ちゃんのこの涙に、(珍しく)しっかり謝る桐生君でした。

沙希ちゃん「じゃあ、これからも頼りまくってもいいですか?」

桐生君「頼る気満々かよ…。いいけど、甘やかす気はないからな。」

沙希ちゃん「(満面の笑みで)ラジャーー!!」

ちょっと変わった2人のこの関係も、いつか良い方向に進むといいですね。
どちらも大好きなキャラクターでした。
{/netabare}



【総評】

本作は、シナリオ展開というよりは、藤宮さんを始めとした周囲の微笑ましい友達付き合いの描き方が、何より魅力的な作品でした。
加えて、この記憶のリセットが上手く噛み合い、抑揚の無い物語にもなっておらず、全12話中退屈に思ったことも一度もありませんでした。

ただ2期があるとすれば、この日常風景を再び描き続けるわけにもいかないかと思います。
この抑揚を次はどう動かすか…、日常にどう変化をもたらせていくか…。
ここの匙加減が、非常に難しいそうにも思えました。
主題歌にしても、奏を聴いた後にどの曲を持ってくるのかと…、中々のハードルになるかと思いますし。

原作はまだ続いているようなのでその内容次第かと思いますが。私としては難題な注文とは思いつつも、クオリティを下げることのない2期を願ってやみません。

いつか、満面の笑みを浮かべる藤宮さんや、頼り頼られの桐生君と沙希ちゃんに、再び会えますように。
(あと、ちょっぴり成長した長谷くんにもね。)


ではでは、読んでいただきありがとうございました。


………あぁ、そうそう。
一つ本作の難点を上げるとすれば、私のような心が汚い人間には、この藤宮さんの純真無垢な立ち振舞を見ると、更に自身を卑下したくなってしまうかもしれませんので、そこは注意をば。

グヘヘ。


◆一番好きなキャラクター◆
『桐生 将吾』声 - 細谷佳正さん


◇一番可愛いキャラクター◇
(同率1位)
『藤宮 香織』声 - 雨宮天さん
『山岸 沙希』声 - 大久保瑠美さん

投稿 : 2024/11/02
♥ : 66
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

友達は歩いてこない。だから歩いてゆくんだね。1日1歩、3日で3歩。3歩進んで2歩下がる。

[文量→中盛り・内容→考察系]

【総括】
「友達との記憶が、1週間でリセットされる」女の子がヒロインの、純愛ストーリー。まあ、その愛が「恋愛」なのか「友愛」なのかは捉え方次第だけど、「純」であることは間違いありません。

作風に合わせた柔らかな絵柄、美しい音楽。とても素敵です。声優の雨宮天さんの、初めてのメインヒロイン作品としても、ファンならずとも必見だと思います。

後述しますが、実写映画観るよりは、アニメ観た方が良いと思います。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
この作品が、なぜ「純愛」なのかというと、記憶がリセットされる=時間が巻き戻ることによって、「純粋」「純情」が持続されるからだ。

ヒロインの藤宮香織が、いつまでも天使のように振る舞うのに、あざとさや嫌みが出ないのは、この設定による。

それが恋愛であれバトルものであれ、物語である以上、進展や成長は必須である。もし、藤宮さんが記憶が消えないのに、あのような態度を取り続ければ、ただの気を持たせるだけの嫌な女である。

でも、一週間で記憶が消えるから、仕方ないと思うし、この状況に藤宮さん自身が苦しんでいるのだから、誰もそれ以上彼女を責める人間なんていない。

また、その状況を何とかしようとして奮闘する、長谷祐樹が良い。いじらしいよね、長谷くん。

まず、藤宮さんを気にかけるきっかけが、一目惚れっぽいのが、素晴らしい。ごちゃごちゃ理由つけるより、(外見が好きって方が)説得力がある。もちろん、それで終わらず、共に過ごす時間が長くなるにつれ、もっと深い理由で、彼女を愛おしく思っていくので、軽い感じはしない。

この場合、藤宮さんの記憶喪失の理由が、交通事故など、外的な要因だけではなく、ツラい過去のトラウマによる、内的な要因との複合的なことだから、「だったら治るかも」という希望があることがデカい。そうじゃなけりゃ、流石に心が折れる(長谷くんも、視聴者も)。やはり、人間にとって希望って大事だよな。

本作は基本的に、友達以上恋人未満のもどかしさを楽しみ、恋人以上どころか、友達以下になってしまう寂しさを味わうものだけれど、「1週間」「フレンズ(友達)」というのが絶妙だったと思う。

長谷くんが藤宮さんに異性として惚れているのは間違いないとして、それでも「恋人になろう」と言わないのには、2つの可能性があると思う(視聴者からすれば、「はよくっつけや!」なんだけどw)。

まずは、「1週間」という時間の短さがある。長谷くんにとっては出会ってからずいぶん経つけど、藤宮さんにとっては、(いくら日記を見ても、感覚的には)常に出会ってから1週間なのだから、それで恋人関係はムリだろうし、それやったら、藤宮さんの天使感が薄れる。ちょっと尻軽になってしまう。

この場合、長谷くん的には、「恋人に発展する奇跡を前提においた、友達」となる(実際に男女が友達になるとき、むしろこっちの方が多いとは思うけど。少なくとも、こんな可愛い子なら、高校生の男子だったら絶対に淡い期待、下心くらいあるでしょ)。

次に、「友達」に注目すると、「藤宮さんが本当に欲しいのは、彼氏じゃなくて友達」ということを、長谷くんが理解し、自分を抑えているということになる(正に、愛)。こっちの方が、長谷くんっぽいし、なにより物語としては美しい。

まあいずれにせよ、設定が良いということ。これが、「一ヶ月ガールフレンド」なら、それはそれで面白いとは思うけど(そういう作品は他にもあるしね)。

ラストは、原作未完の中で、よくまとめたと思う。いつも長谷くんからの一方通行だった「友達になってください」が、藤宮さんとの双方向の「友達になってください」に変わったのは、この作品らしい、ゆるやかな、でも、確かな「発展」「成長」で、感動的であった。勿論、いつの日かこの2人には、「恋人以上」になってほしい、いや、なるのだろうという視聴者の確信があるから、途中経過となるこのラストを、ニヤニヤと見守れるのだけれど。

と、基本的に絶賛なのだが、☆5にしきれなかったのは、前半に面白さのクライマックスが来て、中盤~後半が少しダレたのが大きい。

と、最後に難癖はつけているものの、良いアニメであることには、間違いない。今でも充分に、オススメできる。

ちなみに私も最近、1ヶ月前に見たアニメの記憶もほとんど残っていないんだけど、だからといって友達になってくれる人はいない(笑)
{/netabare}

【余談1 ~実写映画感想(映画ネタバレ)~】
{netabare}
映画とアニメの違いを一言で言うなら、

「アニメは友情。映画は恋愛」

だろうか。映画でも一応、「友達になってよ」は保っているものの、それはあくまで、「恋人の手前の友達」になってよ、である。

それはそれで、私は好きだった。

一番しっくりこないのが、映画の終わり方。

映画では、①「藤宮さんと長谷くんが友達になる」→②「藤宮さんと長谷くんは恋人直前までいく」→③「九条一登場」→④「藤宮さんは①②を完全に忘れてしまう」→⑤「九条一のことは完全に思いだし、忘れもしない」→⑥「長谷くんは、藤宮さんのことを思い、身を引く」→⑦「藤宮さんと九条一が付き合う」→⑧「2年半が経ち(劇中では省略)卒業式」→⑨「とあることで、藤宮さんが①②を思い出す」→「藤宮さんから、長谷くんに、友達になって下さい」

でEND。

もしこの作品が、「長谷くんは藤宮さんと、本当に友達になりたかっただけ」ならハッピーエンドなんだろうけど、映画では恋愛要素を押し出していただけに、長谷くんにとってはバッドエンドでしかない。

この映画、当時付き合っていた人と見に行ったが、映画を見たあとに上記の話をしたら、「自分もそう思うけど、だからといって長谷くんと付き合うのも違う」と言っていた。

つまり、(ラストシーンを卒業式にしたいがために)⑧を入れた関係で、「長谷くんとは半年の付き合い」「九条一とは2年半の付き合い」になっているから、ここで記憶を取り戻したからといって、九条と別れるのもダメでしょとのこと。

自分は完全に長谷くんに感情移入してたけど、相手は藤宮さんの目線で観ていたことが浮き彫りになって、面白いと思った。

同じ設定を使い、ほぼ同じストーリー、ラストシーンなのに、ちょっとした違いによってこうまで変わるかと、作品を作る難しさを感じた。とにかく、映画はオススメできません(苦笑)
{/netabare}


【余談2 ~このアニメが好きなら、マジで読まないで(苦笑)~】
{netabare}
なんか、アニメや原作好きな人からすげぇ嫌われそうだから、書くかは迷ったんだけど、、、昔、これとほぼ同じ設定のエロ本を読んだことがあります(笑)

以下、内容。

{netabare}
「かみちゅ!」や、今期の「A.I.C.O. Incarnation」のキャラデザをやっている、鳴子ハナハルさんの「明日のわたしにヨロシク」っていう話。

主人公とヒロインは、幼馴染み。でも、幼馴染みの女の子は、交通事故による後遺症で、記憶が1日でリセットされる。覚えているのは、事故以前の記憶だけであり、それ以外は、毎日書いている日記を読むことで記憶を補完する。

主人公と幼馴染みはある日、セッ○スをする。しかし、幼馴染みは、全然痛くないことに不思議がる。実は、主人公と幼馴染みはすでに10回以上している。

しかし、幼馴染みは、そのことをいつも日記には書かない。なぜなら、ようやく大好きな主人公と結ばれたのに、明日になれば忘れる事実が辛すぎて、書けないのだという。

では、なぜ主人公は幼馴染みとそんなにしているかというと、ただの性欲ではなく、「幼馴染みは記憶は毎回失うが、感度やテクは毎回向上しており、身体としては記憶が残っているため、これを繰り返していくことで、いつか頭の記憶も戻るのではないか」という、リハビリ的な観点から。主人公もツラいのである(でも全力でエロいことはするw)。

ある日、幼馴染みは、自分が主人公としていることを知る。それは、「実は、主人公は主人公で、幼馴染みとの日々を日記にしていて、その日記が、やってる最中に間違って幼馴染みのバッグに入ってしまった」から。んでヒロインから笑顔で、「明日のわたしにヨロシク」って言われる。
{/netabare}

っていう話。

この話が発表されたのが、2008年の1月であり、一週間フレンズが読み切り掲載されたのが2011年9月だから、鳴子ハナハルさんが話を寄せたってことはない。

とはいえ、葉月抹茶さんは女性漫画だから、鳴子さんをパクったて可能性も薄いだろうし。

つまりはまあ、「記憶喪失」「日記」なんてのは、古典的でよくある設定ってことで、それをここまで面白い話にしている、葉月抹茶が凄いって話です(無理矢理にまとめてみました笑)
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 19
ネタバレ

青陽 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

くそうくそう!・・・長谷くんを羨んでも仕方ないのだけれど、僕はそっと壁を殴った。

1週間フレンズ。

主人公が女々しいのが気になったけど、ああいう人柄と 真っ直ぐな性格だから藤宮さんと友だちになれたんだよね
 作品の絵柄とアニメでの色づかいの優しさがマッチしてて良いと思います。録画保存決定のいい作品だけど、何度も見返すと本気で藤宮さんに惚れてしまいそうで少し怖い

…久しぶりに、ってか初めてかもしれない。主人公に対してこんなに嫉妬心が芽生えたの。それほどに藤宮さんは可愛い!あにこれでもサムネにしてる方がちらほらいますよね。皆さんも同じく藤宮さんに魅了されたのでしょう。わかります!すごい可愛いもん。おそらく春アニメNo.1ヒロインです。いや、すでに2014年度MVPといってもいいかも?

そりゃね、桐生くんに女々しいって言われるくらい 長谷くんが嫉妬しちゃう気持ちもよくわかりますよ。
藤宮さんは見た目が可愛くて、でも中身はそれ以上に可愛らしくて本当にいい子で、穢れを知らないその純粋さはもう…まさに天使!
独占したくなるのはしょうがないと思います、ええ。
また、演じる雨宮さんの声が透き通るようにとても綺麗で、キャラクターにマッチしてるのも藤宮さんの魅力増大の大きな一因でしょう!
初めに雨宮さんの名前を知ったときは「美人すぎる声優」みたいなキャッチで、またそういう系の売り出しか…と思いましたが、本作を見て 彼女はしっかり実力が伴っているなと思いました。香織の日記とてもよかったし、EDの奏も良かったし。この曲はもともとスキマが歌ってるオリジナルから好きな曲でした。が、そういう場合って聞き慣れているのも含め、オリジナルのほうが断然良く感じることが多くないですか?
でも、藤宮さんver.は初めて聞いた瞬間に気に入ったんです!
アニメの終わりからEDへの入りの良さもあったんだろうけど、雨宮さんの声質とスキマの作る曲が合っているのかな?
 でもバラード系が合うタイプかと思ったら、夏アニメのアカメで歌ってるOPはめちゃカッコいいロックじゃないか!?こちらもCMで流れていたのを聞いて一聞惚れでした!最初聞いたときはLiSAかと思ったけど。
歌はバラードもロックもいける、演技もいい、そして可愛い…個人的期待の新人声優3人のうちのひとりです

いけない、話が逸れちゃった

藤宮さんがNo.1だと思うワケ
 ほかの作品でも、いやその前にこの作品内でも可愛らしいキャラはたくさん登場する。しかし、なにより藤宮さんが作品のヒロインであり、描かれる時間が圧倒的に多い。だからより魅力が伝わって好きになる。
それは 接した時間だけ、重ねた日々だけ、人と人が親密になっていくことと何ら変わりはない。
同じ1クールであっても、ラブライブならキャラそれぞれを描くため9分割されるところが、一週間フレンズはほぼ藤宮さんなのだ。さきちゃんも出るし、さきちゃんの友達もかわいいけど、やっぱり藤宮さんなのだ。見れば見るほど苦しいくらい好きになる、それが藤宮さんなのだ。



以下、それこそ日記のような感想

「新しい友達」{netabare}
さきちゃんと放課後遊ぶ藤宮さんの姿は微笑ましかった。
アニメに男は出てこなくていいとか言ってる人、前は理解不能だったけど5話を観てなんとなくわかった気がする。
そういうタイプの人は百合が好きって訳じゃなくて、めちゃくちゃ可愛いヒロインが主人公とくっついてくのに嫉妬しちゃうんじゃないのかなと。女の子同士で仲良くしてる姿なら微笑ましいだけで終わるから変にモヤモヤしなくていいわけだし。
まあ、それでも長谷くんはさきちゃんに嫉妬してたけど(笑)
 ラストを見て、藤宮さんがクラスの皆にも理解されていけばいいなーと真に願いました。教室で笑顔を見せたシーンは君に届けを思い出しましたよ。爽子といい藤宮さんといい、私はああいう健気で純粋な女の子に弱いみたいです。いや、男なら誰もがそうであるはず…!
風早くんも爽子のことを独占したがってたし
2人とも
おれが守りたい、誰にも渡したくないと思わせるタイプの女の子ですね
でも、あんな笑顔見せられたらみんな藤宮さんを好きになっちゃうって!!ピンチだよ長谷くん、クラスの男子みんな見惚れてたぞ!
そりゃ普段クールすぎておっかない印象のキレイ系女子が
あんなに素敵で可愛い笑顔見せた日にゃ……ねえ?{/netabare}


6話{netabare}
雨宮さんのお母さんが可愛すぎる!あかんでしょ!ファンタジスタドール、ラブライブなんかもそうだけどお母さんが可愛すぎるのはよくないよ、ヒロインの座が危うくなっちゃって。声も中原さんという圧倒的ヒロイン性だったし。藤宮香織でなければ喰われていてもおかしくなかった。
いや、藤宮家のお父さんは超絶勝ち組ですわ。でも、あんな可愛い良い娘がいつかはお嫁に行ってしまうとか…メンタル強くないと耐えられない{/netabare}

夏休み
{netabare} 藤宮さんには白が似合う。夏でも冬でも白が似合う。なぜか?彼女が色白だから?それだけではない。彼女は心も真っ白で純真、だから白が似合うのさ。
 個人的なおすすめポイントはプリクラを撮るところです。
ポーズをとる前のきょとんとした藤宮さんが可愛すぎて可愛すぎて、その場面だけ繰り返し5分くらい見てしまいました。画像があったら待ち受けにしたいレベルです。{/netabare}


チジョウノモツレ、なおみの策略{netabare}
「女って最低だな…」
香月くんがこの過去話を聞いたら間違いなくそう言うでしょう。
春アニメを観て、あらためて思い知らされましたよ…しょうがくせーであれ、中学生であれ女子は!もはや女なのだと...!!

前は
いい年した女が集まって女子会ってなんやねん!とか思ってたけど、けっきょく年や呼び方なんて関係ない…女子と女
そこに大差はないわけですよ、きっと。気分はいつまでもオンナノコ、だけど小さな頃からオンナはオンナ

現実はそんな世界で、囲みとか最低のように感じられるけど むしろよくあることで…だからこそ藤宮さんのような理想を!天使を!!…人は救いとして求めているのでしょう。アニメや漫画で聖人君子に近いような素敵な人が多いそのわけは、人々が心の底でそういう人間を求め、こういう人がいてほしいと願っているから。
そう考えると、清らかな教えを守ろうと努める宗教の信者もなんだか身近に思えてきます。…ン、ナニイッテルンダロウ?オレ {/netabare}

長谷くんの青い選択と藤宮さんの戸惑い{netabare}
 傷つけたくない、壊したくない、でも望まずともいつかそうしてしまうかもしれない、それが怖い、だから近づかないようにする。長谷くんがそうしたくなる気持ち、よくわかる。けど、その傷つけたくないって優しい気持ちが 実は相手を傷つけてしまっていた…そういうことってけっこうありますよね。
何もないときはがむしゃらに向かっていけるけど、一度何かを得てしまうとその何かを失うことが怖くなって足がすくんでしまう・・・。

11話の後半から
バカっ!それは違うだろ、長谷のバカー!!なに藤宮さんに悲しい顔させてんだよ!!と思ってた(ってかTVの前で叫んでた)けど
最後にようやく気づいてくれてね、藤宮さん泣かせちゃって自分の過ちに気づいて本音ぶちまけて。その後の藤宮さんの笑顔見ました?涙まじりだけどとてもとても素敵な笑顔で、私は思わずお外に走りに行きたくなりました。
神社に行く前から、もっと話したい 一緒にいたいって気持ちがお互い見え見えだったし。まだお別れしたくないなあってあの感じが初々しくて・・・ああ、もうホントによかったね!!!いつの間にか自分も
クラスメイトたちのように二人の仲を心配する心境になっていました

最終話はサブタイの「友達になってください。」で展開が想像できて その時点でうるっときたけど、やっぱりラストは感涙必至でした。友達になってくださいで物語が始まり、同じセリフで締める。しかも最後はお互いに言うと・・・素晴らしいじゃないですか!今期視聴したアニメだとごちうさとツートップでセンスある終わり方だったと思います。
{/netabare}

最後に
藤宮さんのような女の子がこの世に存在することを願って・・・

投稿 : 2024/11/02
♥ : 20

80.5 4 切ないで漫画原作なアニメランキング4位
蛍火の杜へ(アニメ映画)

2011年9月17日
★★★★☆ 4.0 (1074)
5217人が棚に入れました
祖父の家へ遊びに来ていた6歳の少女・竹川蛍は、妖怪が住むという山神の森に迷い込み、人の姿をしたこの森に住む者・ギンと出会う。人に触れられると消えてしまうというギンに助けられ、森を出ることができた蛍は、それから毎年夏ごとにギンの元を訪れるようになる。

声優・キャラクター
内山昂輝、佐倉綾音
ネタバレ

★mana★ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

10年分の想いを、今ここに・・(ギン視点で観てみました)

ねえ、蛍。
俺はずっとここに居るよ?
何年、何十年たとうとも。
たとえ、君の瞳に写らない
そんな存在だとしても。

俺が過ごした、途方もない時間。
そんな中で、蛍と過ごした時間は ほんの一瞬だった。
でもね、俺にとってはその一瞬が大切で愛おしくて、仕方がなかった。

蛍は俺に、優しくて、温かい感情をたくさんくれたね。
でも、それは、切なくて、苦しくもあったんだよ?
蛍は気付いてないかもしれないけれど・・
まるで夏の夜に光る、ホタルのヒカリのような、
そんな儚くて脆い、だけど、強くて、美しい。
そんな日々だったね。

蛍は俺に「忘れないで」と言ったよね?
忘れる訳がない。忘れたくない。
でもね、蛍は忘れてしまってもいいんだよ?・・


蛍に出会ったのは、蛍がまだ小さい時だった。

{netabare}

~蝉の詩、笑い声・・~
鳥達の囀り、木々の揺れる音・・
そんな森達の雑談と共に聞こえた、泣き声。
それが蛍だった。
蛍は、俺を見ても少しもこわがらなかったよね。
むしろ、楽しそうに俺に触れようとして来た。
まだ小さい蛍には「消える」という意味さえ理解出来なかったんだろう。
でも、俺には それが素直に嬉しかったよ。
1人の存在として認められているようで。

~夕やけの茜色、帰り道、遠回り~
「何かデートみたいデスネー」「色気のないデートデスネー」
そんな他愛ない会話を繰り返したね。
手をひいてあげる事は出来なかったけれど、
その先から伝わるこの想いは、一体何なんだろう?
何だか、胸の奥が温かくなるような・・

別れる時、蛍は俺の名前を聞いた。
俺の名前は・・無言・・疑問と不安。
そんな時、風が俺の背中を押した気がした。

~約束は「また明日」~
明日も来ると走って行った、蛍。

「ギンだ」

翌日 本当に蛍はやって来た。
そして、約束の場所で、待っていた俺が居た。

~夏はただ、咲き誇り~
冷たい小川に、暑い夏の日差しが差し、キラキラしてる。
全てが美しく、夏が輝いていた。
それは、蛍が側に居るからなんだよ?
蛍と見る全てが、今までとはまるで、違って見えた。

~その命輝かせ~
俺はただ、生かされて、ただそこに存在しているだけだった。
何も意味をもたない、あやふやなモノ。
だけどね、今まで感じた事のない、自分の存在。
俺は自分というものをこんなにも感じる事が出来るんだ。
夏が待ち遠しい、蛍に会える事が、素直に嬉しい。
そう思えた。
そんな夏が何度も何度も訪れた。

ある夏の事だった。
蛍は俺を驚かせようとして、見事に木から落ちて来た。
俺は、そんな蛍を受け止める事が出来なかった。
自分の存在が無くなってしまう事を恐れたのか・・?
そんな気持ちとは裏腹に、蛍は安堵の顔を見せた・・
そして、大粒の涙を流した。
何故泣いてるのかは、分かってた。
涙は止め処なく流れ続ける。
でも、俺は その涙を拭ってあげる事も出来ず、ただ、その泣き顔を見続けた。

出会わなければ、こんな想いをさせなかった?・・
出会わなければ、こんな想いはしなかった?・・

~終わらない、お話のその先に気付いて~
蛍は毎年、会う度に、成長していく。
それは、普通の人間の子なら当たり前の事なのは分かっていた、、つもりだった。
少しづつ、目線が近くなって来る。
それを複雑に感じつつ、俺の感情に違う何かが芽生えはじめた。
いつか感じた想いとは、全く別物。

蛍に・・会いたい。
蛍に・・触れたい。

この胸を締め付ける感覚は・・

~カラス達遠ざかり、どこかへと飛んでゆく~
離れてる時間がこんなにも長く、辛く感じるなんて・・
今まで考えた事も無かったよ。
蛍は今何をして、何を見て、何を考えてる?
いつからか、俺の中は蛍でいっぱになっていた。
いつか、こんな気持ちが届く日が来るのだろうか?

真っ白な雪の上に散る椿が一際紅く見えた。
俺の心の中のように。
真っ白な心の中に、真っ赤に燃える感情が一つ・・
蛍がくれた温もりで、いつもの冬より、身体も心も温かかった。

~夏はただ駆け抜ける、宝物、しまうように~
ある夏、蛍は言った。
春も、秋も、冬も、俺の事を考えていた、
そして、もっと一緒に居たいと。
俺は、自分という存在の全てを打ち明けた。
打ち明けなければならないと思った。
俺は、蛍を幸せにはしてあげられないから、永久に・・
こんな俺の為に犠牲になる事なんてない、もうここには来なくていいよ?
俺はずっとこうして、だだ存在しているだけで、何も変わらない。
“決して忘れられない、かけがえのないモノが一つ増えた事以外は”
だけど、蛍から返って来た言葉は優しく、心が苦しくなった。
そして思った。もう、こんな夏を続けていてはいけないと・・

~いつまでもなつかしい、あの頃は黄金色~
いつか蛍と行きたいと思った、 「妖怪達の夏祭り」。
誘うのは、ちょっと照れ臭かったけど
蛍は喜んで、行きたい!っと言ってくれた。
そして、少し不安な言葉を口にする。
不安な事はないよ、だって蛍は、俺が守るよ?
そう言うと蛍は、少し頬を紅くして
「そういう事を言われると、飛びつきたくなってしまう」と言った。
・・「飛びつけばいい、本望だ」
もし、それで俺が消えても何の後悔もない、今なら全て受け止める事が出来る。

~何気ない毎日の片隅を照らしてる~
手を伸ばせば、届く距離。
一番近くに居るのに、一番遠い存在。
俺は、蛍を抱きしめたかった。
そして、その手に、その髪に、頬に、
一瞬でいい・・その温もりに触れたい。
もう、気持ちが抑えきれなくなっていた。

~夏はまた、やってくる約束を守るように~
祭はいつもの夏と同じようにやって来た。
でも、今年は隣に蛍が居る。
毎年思い描いていた光景。
「デートみたいデスネー」「デートなんデスネー」
10年前、初めて会った日に交わした会話。
10年越しの、始めてのデート。
やはり、あの日のように手はひいてあげられない。
でも、振りなら許されるよね?

息を吹きかけると回る風車。
金魚すくいをする子供は、尻尾を隠しきれてなくて。
偽物の綿あめが空に浮かび上がり、その空に花火が咲き誇る。
蛍はそんな光景に、ずっと笑顔だったね。
その笑顔を見て俺も笑った。

このまま時間が止まってしまえばいい・・。
そんな、叶わぬ願いをそっと胸にしまい込んだ。

楽しい時間は一瞬だった。
蛍と過ごした10年分の夏がそうだったように。
そして、俺は帰り道に全ての想いを蛍に伝えた。
こんな事を言っても困らせてしまう事は分かっていた。
だって2人は決して交わる事はないのだから。
そして、お面越しにくちづけをした。
これが蛍に触れられる精一杯。
蛍に捧げる、精一杯の気持ち。

蛍は今どんな顔をしてる・・?

そんな時、小さな子供が飛び出して転びそうになった。
俺は咄嗟にその腕をつかんだ。

・・刹那、指先から光を放つように消え始めた。
「あの子は、人の子だったのか・・」

もう、何もこわくはなかった。
ただ、願いは一つ。

「来い、蛍!やっとお前に触れられる」


ねぇ?蛍、覚えてる?
初めて会った日の事を。
笑いあった夏の日々を。
俺は忘れた事なんてなかったよ。
春も、秋も、冬も、会えない日々
ずっと蛍の事を考えていた。
蛍としたい事でいっぱいだった。
蛍とみたい物でいっぱいだった。
蛍と感じたい事でいっぱいだった。

でも、もうさよならなんだね。

蛍、こんな俺に気付いてくれてありがとう。
こんな俺を受け入れてくれてありがとう。

蛍の温もりを感じながら、最後に伝えたい事があった。




「好きだよ」



~夏はただ咲き誇り、その命輝かせ・・~






※~〇〇~
ED・おおたか静流『夏を見ていた』

{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 58
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

切なく儚い夏の物語

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。


 初見でした。自業自得ですが、短編と知らずに見てしまったため、少々の後悔が残ってしまいました。短編と気付いたのは終盤になってからです。短編と知っていれば、見方も少し変わったと思うのですが、残念です。作風はゆっくりしているのですが、テンポは速く感じました。賛否はあるかもしれませんが、もう少しキレを悪くした方が余韻が残ったかも、とも思います。シナリオ自体はかなり良いものです。セリフ回しに感情の機微が表れてますので、逃さないようにしましょう。短編ですので時間がないときでも見やすいです。


ジャンル:
 ジャンルは、妖怪との恋愛ものです。
テーマ:{netabare}
 テーマとして、子供時代との決別を描いていると思われます。主人公の蛍は、中学生で凧揚げ、高校生で釣りと、およそ年齢に相応しくない遊びをしています。ギンの近くにいるためには、子供でなければならなかったのです。蛍が大人に近づき、ギンとの間で愛情が生まれると同時に、ギンとの生活も終わりを迎えます。蛍の子供時代は遅まきながらも終わりを迎え、大人として歩んでいくことになります。 {/netabare}


エンディングへのフラグ:{netabare}
 この作品は、エンディングに至るために、特殊なフラグ管理を行っています。
 エンディングへのフラグは、大きく分けて二つ立てられます。一つ目は、ギンが蛍を助けるために触れてしまう、というものです。これを補完する水辺のシーンが複数あります。二つ目は、時間が二人を分かつまで一緒にいようという蛍の願い、つまり、蛍が死ぬまで一緒にいるというものです。蛍は作中で、卒業後にギンのいる街で就職すると述べています。触れたいと願いながらもこの二つ目のフラグを期待していました。ですが、いずれのフラグもエンディングとは異なるものでした。
 エンディングは、つまづいた少年を助けるためにギンが少年に触れてしまうというものでした。突然の事故であり、それもかなり小さいものです。視聴者をかなり驚かせます。
 作品におけるどんでん返しとは、構造自体を変えてしまうことが普通です。Aだと思っていたものが、実はBだったという手法です。例は控えますが、多くの作品に使われています。
 しかし、この作品では、構造自体がフラグになっているのです。転んだ少年は、お面の少女を追っています。いずれも年のころは幼少期の蛍に重なります。これは、男女を逆転させてはいますが、お面を受け取る前の蛍とギンの関係性と同じです。転んだ少年は蛍を象徴するキャラクターであり、ギンは蛍に触れたに等しいのです。つまり、蛍とギンという構造自体がフラグとしてエンディングを導いているのです。
 ギンも蛍に触れたいと願います。死別というフラグの否定です。しかし、触れる選択肢はありませんでした。触れるという結末は、ギンのせい・蛍のせい・合意の3種類が考えられますが、いずれにしても蛍が大きく傷付くことをギンは理解していました。だから、蛍との離別を選んだのです。実際には上述の事故が発生し、蛍を模した第三者(蛍のせいではない)をきっかけとして触れ合うことで、蛍の傷は小さいもので済みました。

 ちなみに、蛍が心に傷を負っていたことは確実です。物語の冒頭、蛍はおじいちゃんの家へ「毎年行っていた」と言っています。「毎年行っている」という継続表現ではないことから、1年以上の間が空いていることは明らかです。履歴書をもって出かけていることから、時系列としては、「ギンと分かれた高1の夏」「行けなかった高2・3の夏」「就活のために行く卒業後の夏」となっているのではないでしょうか。
{/netabare}

手つなぎ、木の棒、布:{netabare}
 エンディングと並ぶ見どころの一つです。
 ギンと初めて会ったシーンでは、木の棒を二人で「握り」ます。木の棒越しに伝わるギンをよっぽど気に入ったのでしょう、蛍は山を下りる際に木の枝で草を撫でながら鼻歌まじりに歩き、ギンの存在を手に反芻します。そしておじいちゃんと手をつなぎます。
 二日目には、ギンは木の棒を携えて登場しますが、その木の棒は持っていきません。代わりに蛍からアイスを受け取っています。もう木の棒は必要なくなりました。
 蛍が中学生になると、学友と手をつなぐシーンがあります。しかし、蛍には思春期特有のドキドキ感がありません。ただ「引っ張ってもらっている」だけという描写になっています。
 夏祭りでは布で蛍とギンの手首を「つなぎ」ます。重要なのは、布を「握っている」のではなく、手首で「つながっている」ことです。赤い糸も「握っている」とは言わず「つながっている」といいます。二人の思いが通じ合っていることが表現されています。子供が間を駆け抜けてもほどけることはありませんでした。もう手を「つなぐ」必要はなくなりました。
 その後、ギンに「来い」と言われ、蛍は飛び込むようにギンに抱き付きます。抱き合うのではなく、抱き付くという描写も、初対面の時に繰り返しチャレンジした願望を成就させたものです。
 なお、紐ではなく布であったのは、蛍が送ったマフラーへのギンなりの返答だからでしょう。
{/netabare}

蝶とホタル、天井:{netabare}
 蝶はギンを、ホタルは蛍を象徴していたようですが、使われ方は少し雑に感じました。要所で、すなわち心情が動くシーンで出ていたようですが、その前後であったりと統一感に欠けていたように思われます。理由付けをすることは出来ますが、ややごり押し感があるためここで述べるのは控えます。エンディングでは、蛍の周りがホタルから蝶へと変わり、乗り越えた感は感じられます。
 一方で、3回出てくる天井は分かりやすい表現となっていました。蛍が山に行けなかっただけでなく、おじいちゃんの家にも行けなかったのは、天井の木目にギンを見てしまうからでしょう。就職が決まったら、ギンのいるあの部屋で生活するのかもしれません。
{/netabare}

 短編ですが、エッセンスは十分に盛り込まれていたと思います。唐突に来るエンディングも、切なさと儚さを上手く演出していました。対象年齢としては思春期以上が望ましいでしょう。特に女性に好まれる作品ではないでしょうか。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8

半兵衛♪ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

【ネタバレ有】『最後に残る最高の“余韻”―。 一つの“掟”に縛られた、切なさ全開の恋物語―。』

 
   
 原作の“緑川ゆき”に加え、“大森貴弘(おおもりたかひろ)”監督をはじめとする「夏目友人帳」のスタッフが製作を手がけた劇場版アニメ作品―。

 上映時間40分余りの、いわゆる“中編作品”なのだが―、そこら辺にある凡百の中編作品とは桁違いの魅力が、この作品には詰まっている―。

 一目見ただけでそれと分かる、「夏目」らしさを感じる“優しい空気感や世界観”―。彼女たちにしか描けないその“澄んだ雰囲気”と“心温まるストーリー”は、「夏目友人帳」ファンなら(いやそうでなくても)必見の一作である―。



 (簡単なあらすじとしては―)、妖怪が住むという“山神(やまがみ)の森”に迷い込んだ人間の少女“蛍(ほたる)”が―、「人に触れられると消えてしまう」という、この森に住む妖怪の青年(正確には人間でも妖怪でもない)“ギン”に助けられ―、それから毎年夏の間だけ、ギンの住むこの森を訪れるようになる…という物語―。


 物語の最初に、最も重要な「人に触れられると消える」というテーマを見せる事で、この作品の“(悲しい)終着点”が垣間見え―、同時に、そこに至るまでの二人の会話ややり取りの中に、(そのテーマが)終始、“触れられないもどかしさ”となって付きまとう―。


 蛍が出逢ったのは6歳で、最後の場面では18歳―。

 40分余りの上映時間であるが故に、粗雑(そざつ)にも感じる作中の時間経過(の早さ)が―、逆に、二人の間には、互いが一緒に過ごせる“夏の一時(ひととき)”しか無い事を余計に感じさせ―、だからこそ、かけがえの無いその時間を楽しそうに過ごす二人の姿が、観ていて余計に切なくなる―。



 たとえどんなに心が通じ合っていても、二人の間には、決して看過出来ない“時の流れ”が存在する―。だからこそギンは、自分の気持ちに向き合い、全てを投げ打つ“覚悟”を持って、蛍を夏祭りに誘ったのだろう―。

 そうして迎える最後の場面―。

 ―― (蛍) 「デートみたいですね~」――

 ――(ギン)「デートなんですね~」――

 出逢った日の事を連想させる蛍のセリフ―。けれども、返ってきたのは以前と“真逆”のギンの言葉―。あの時は、子供をあやすかのような反応だったからこそ、全く同じ軽い調子で、全く逆の事を言うあのシーンには、ギンの、蛍への想いや…覚悟や…寂しさが…全て込められていて―、余計に涙腺を刺激する―。


 いつもと違うギンの態度が、ずっとお互いの事を考えて過ごして来た蛍には、口にしなくても伝わり―、(本当はずっと一緒にいたくても)、彼の覚悟を何も言わずに受け入れる―。

 ギンの気持ちを察し、蛍自身も覚悟したからこそ―、夏祭りの帰り道、偶然、人の子に触れて消えゆく事になったギンとの“突然の別れ”にも、その瞬間、ただ真っ直ぐに、“お互いの本当の気持ちを伝えることだけ”を考える事が出来たのだと思う―。

 ――(ギン)「来い、蛍―。やっとお前に触れられる―」――

 最後の瞬間になるはずなのに、二人は“最高の笑顔”をしていた―。それは、二人が本当にしたかった事はこれだったから…。その後の別れの不安など消え去るほどに、ずっとずっと二人はお互いに触れたかった…。あの一瞬の抱擁で、きっとギンは人間の…“蛍の温かさ”を感じることが出来ただろう―。



 (その後の妖怪たちの優しいセリフも良かったが…)、とにかく終始、涙が止まらず、何度見ても泣いてしまう…。「人に触れられると消えてしまう―」。たった一つのそのテーマで、ここまで心に響かせられる―。

 最後の最高の“切なさ”が来る瞬間を徐々に感じながら、その“一瞬の儚さ”を感じて観終わり―、そうして“圧倒的な余韻”だけが最後に残る―。


 時折、「時間が少し短過ぎる」とか「せめてEDの後にもう少し何かが欲しかった」などという感想を目にするが―、もしもこの作品が、2時間の長編映画だったなら、本作に感じた淡さや儚さは“色褪(あ)せる”だろうし、(最高レベルの)あの余韻を感じる事も無かっただろう―。

 お互いの気持ちやその後の出来事など、描く必要は全くない―。観終わった人達それぞれが、各々で感じる“余地”を残すことで―、この作品の“淡さ”や“儚さ”を、“余韻”として感じられるのである―。


 最近観た劇場版作品の中では、最も感動し泣けた、切なさ全開の“傑作”であった―。



 最後に―、山神さま…もう少し“緩い”掟でも良かったんじゃないですか…(涙)。


  (終)

 

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

87.3 5 切ないで漫画原作なアニメランキング5位
ハイスコアガール(TVアニメ動画)

2018年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (798)
3327人が棚に入れました
「ポリゴン」って何?食えんの?そんな2D全盛期だった古き良き格ゲーブーム到来の1991年。
ヤンキーとオタクとリーマンが蔓延る場末のゲーセンに、彼女は凛として座していた──。
主人公ハルオを通して描かれる’90年代アーケードラブコメディー!

声優・キャラクター
天﨑滉平、広瀬ゆうき、興津和幸、山下大輝、御堂ダリア、新井里美、伊藤静、チョー、赤﨑千夏、杉田智和、植田佳奈、武虎、大塚芳忠
ネタバレ

はあつ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

1話だけ観て勘違いしないでね!

1話だけ観れば、90年代の懐かしのゲーム画面がリアルに再現され、当時、数々の登場ゲームにハマった中高年が主に楽しめる作品?と思うかもしれません。
確かにそこも楽しめますが、この作品の真の見どころは、コメディタッチではあるものの結構本格的な恋物語にあります。
ゲームで繋がる登場人物たちですが、恋愛ドラマのポイントであるキャラの魅力と好きになっていく過程や理由がしっかりと描かれ、恋愛物がお好きなら年配者から若い方までしっかりと見応えを感じれると思います。

既読の原作で一番秀逸なのは、まるで無声映画に出てくるような言葉を発さないサイレントヒロイン「大野アキラ」の描写。
アニメ1話では暴力的で高慢チキな天才ゲーマーに見えるお嬢様ですが実は・・・
しゃべれない訳ではなさそうな彼女の心の声は、主人公「矢口ハルオ」の字幕がわりの代弁と彼女の表情仕草で読者に伝えるんですが、それが何ともいじらしく映るんです。このユニークなヒロイン描写だけでも一見の価値があります。

また主人公ハルオも、最初はただのゲームバカの小学生に見えますが、自分自身とヒロイン達と向き合う事で着実に成長していく姿が描かれ好感が持てます。

あとから登場のもう1人のヒロイン「日高コハル」。アキラとは対照的な庶民派の娘ですが、これまた一途でいじらしい!

この3人で繰り広げるゲームより熱く切ない恋のバトルが見ものです!

灰汁の強い絵柄で受け付けられないのは仕方ないですが、暴力的なところはこの作品のギャグテイストなので軽く受け流してくださいね。観てるうちにハルオへの愛情表現に見えてきますから♪(毎度のじいやの車轢きもね♪)

既に4年以上前にアニメ化発表までされた原作漫画ですが、発表直後のゲーム会社からの著作権侵害訴訟により一時は原作の出版差し止め、連載再開の目処もたたない状況が続き、和解まで2年ほどかかりました。
この件は出版社だけでなく作者の押切蓮介氏も著作権に関する認識の甘さがあったのかもしれませんが、氏の心のダメージはハンパなく相当落ち込まれたようです(同氏の単刊「HaHa」参照)。
氏の執筆意欲喪失を危ぶみましたが、よくぞ奮起し続きを再描してくれたものです。
原作のファンである自分はそれだけでも嬉しかったのですがアニメ化まで叶いました。
アニメ1話を観て、原作の持つ独特な絵柄とレトロな世界観の再現率の高さに驚きつつ期待大になりました。
おそらくアニメの制作スタッフも、過去の不幸を払拭すべく並々ならぬ意欲を注いでるものと感じた次第です。
原作漫画、アニメ共に最後まで完成度の高さを願っています。
以上2018/7/17記

《最終話視聴後の感想》

うわ~、えらいところで終わりましたね~(汗)
原作既読者としては、アニメのペース配分からこのクールの閉め方は途中である程度予想出来ましたが、アニメしかご覧になってない方には、物凄い寸止め感でストレスが溜まるかも・・・
しかしながら今クールのアニメとしての出来映えは素晴らしかった!!
アニメ制作スタッフの原作への愛情を感じ、原作ファンとして大満足です。
原作continue版(休載前の初版漫画を僅かだけ改変しオマケエピソードが付録追加されてます)のシナリオに忠実に沿いながらも、各話の構成や演出が見事で、先のストーリーを知ってても毎週続きが楽しみで仕方ありませんでした。

《ストーリー》
{netabare}
原作漫画全10巻(最終巻は来年3月刊行予定)のうち4巻までのエピソードを丁寧に再現しており、アニメの脚本は手を加える必要がなかったのではと思えるほどです。
ゲーム好きの原作者押切先生の妄執と呼べるような「ゲーム好きの可愛い女の子」との交流は、多くのゲーム好き少年の憧れのシチュエーション。
懐かしいゲームを巧妙に絡めながら登場人物達の出会いから恋への進展をコミカルかつドラマチックにテンポよく見せてくれました。

《作画》

ゲームセンター内のゲーム機とゲーム画面を再現するために採用した全編3D映像。
技術的な事は詳しくありませんがメイキング動画を見ると、かなり手間が掛かっているそうで作画の効率化にはなっていないとの事。
人物は、動きこそ3D特有のぎこちなさを感じますが、原作よりマイルドなキャラ画は初見の方も受け入れやすく、細やかな表情や仕草はしっかりと感情表現ができていて、特に大野アキラの心情は原作より分かりやすく伝えてくれました。
(でも原作のヒロイン画は繊細な目元のタッチと肉感のあるラインが独特で魅力的です!)

背景は、ゲームセンターや駄菓子屋内の実写と変わらないリアルでレトロな雰囲気を再現し、ドット画のゲームキャラが登場人物に寄り添うさまはアニメならではの親和性で違和感無く馴染み、淡い夕景や夜景も情感たっぷりで登場人物と視聴者双方をヒートアップしてくれました。

視聴者の体感した現実とアニメという虚構を絶妙に融合させる事でレトロなノスタルジーに浸れる見事な映像化だったと思います。

《キャラ》

二人のヒロインを全く違う手法で描く事で魅力を引き出し合う相乗効果は原作者の妙案ですが、アニメではそれが際立っていました。

「矢口ハルオ」

ゲームバカなのに二人のヒロインから想いを寄せられる羨ましさですが、ママの育て方がイイのか優しい気配りができて納得の好感度。
アニメでは細かな気の利く所作を加え、さらにイケメンに見えました。
(2話のメンチカツや7話のミルクティのシーンなど。)
そう言ったヒロイン達の前でさりげなく見せる優しさは、好かれようと意識してやってないのがいいんですよね。
しかしイケメンぶりを自ら発揮するのはアキラに対してだけです。
原作者がファンブックの中で「アキラがいるから(コハルと)無意識に距離を置いている。ハルオは女たらしではないから。コハルの事はどこか突き放している。」と述べられてるとおり、基本、アキラにゾッコンでまったくブレない。
同級生女子のゲームプレイに魅せられた以上に、学校での劣等感を忘れさせて欲しい自分と家庭で抑圧され逃げ場を求めているアキラが、互いにゲームだけを心の拠り所としている共通点に強烈なシンパシーを感じてしまう。
だから、アキラの為だけに自ら行動を起こし、アキラの為だけに自分を変える努力をする。
この優柔不断のなさがハーレム主人公とは違う魅力を出してるんです。

「大野アキラ」

天才ゲーマー、才色兼備、財閥御令嬢とフィクションならではファンタジー設定は少年漫画らしいヒロイン 。

親から才能を嘱望され過密な英才教育を受けるアキラは寡黙ゆえにストレスを溜め込みやすい。
そんな中、見つけた唯一の息抜きがゲームセンターのアーケードゲーム。
帰宅前のわずかな時間だけが、周囲からの押し付けられた自分を壊して、望む自分になれる彼女にとっての放課後ディストラクション。
その時間さえも危うくなり増える重圧に押し潰されそうになってしまう。
そんな時に逃げ場所になってやると言ってくれたのがハルオ。
その時から彼女にとってゲーム以上にハルオが救いの王子様になります。
ペロペロキャンディをよくほおばるのは彼から初めてもらったお菓子だからであり、初めてもらったプレゼントのオモチャの指輪を肌身離さず持つ事でつらさを我慢します。
この一連のリアクションはアキラのハルオへの一途さをよく表し、川原でのケンカ時やベッドの中で指輪を握りしめるアニメのオリジナル描写は小粋な演出でした!

また、しゃべらない彼女からの意思表示をゲームプレイで表現させるのは作品ならではの面白さで、ハルオとのファイナルファイトでは嬉しさや苛立ちが、コハルと初対面時のバスケやガンシューティングでは動揺と熱意がコミカルに伝わります。
そして無口な分、直接感情を露出した時のインパクトが凄い。
1話からの普段の暴力チックな感情表現はコメディタッチにする事でアキラを重く見せないようにしてるんですが、3話の空港でのハルオの見送りに号泣するアキラの感情爆発は、原作でも最初に心を掴まれる屈指の名シーン。
アニメで初めて聞く彼女のハッキリとした声は原作以上に痛切に私の心に響きました!
また9話で、自分と同じ高校を目指してくれると知った時のハルオの手を握りしめるシーンも、押さえきれない嬉しさがしみじみと伝わり、しとやかな情緒を醸す見事な描写でした!

「日高コハル」

話しかけもモノローグも多く、
「それでもこの気持ちは曲げたくない。」
「勝ち続ける事で私に関心を持ってくれるのであれば、私は絶対に負けない!」
ハルオへの募る想いが痛いほど伝わる描き方はまさに少女漫画の主人公。

狭い視野で漫然と生きてきた自分に、殻から飛び出し自由な空気を感じる醍醐味を伝えてくれるハルオにたちまち虜になってしまう。
受動的だった女の子が恋をすることで能動的になり見た目も垢抜けていく。
アキラと違い明らかな成長が見えるのもコハルの魅力です。
ハルオとアキラが惹かれ合っている事に気付いても、二人のはっきりしない態度に諦めきれないのは仕方ない。
そんな二人への遠慮がちな接し方もいじらしく、アキラを貶めるような事をせず自分を磨く事でハルオを振り向かせようとする真っ直ぐなひた向きさは、嫌味を全く感じさせない誠実なイイ娘です。
でもハルオは微塵もブレず全くコハルに見向きもしてくれない・・・
コハルにとってハルオを落とすのは、攻略ルート皆無の無理ゲーなんですよね。
そんな勝ち目のない恋のゲームに果敢に挑む姿が健気で、観てるコッチは不憫で不憫で仕方ない~( ´△`)
こんな設定にした原作者は何て罪作りなんだ~~(`Δ´)
私は、アキラの笑顔も見たいけど最後までコハルも応援しちゃいます!

《声優さん》

主演の3人の方は私、存じ上げない方ばかりでしたがそつなく演じられてたと思います。
中でも広瀬ゆうきさんの声は原作のコハルの魅力を数倍増しにしてたのでは?
ラストの涙まじりの告白は熱かった!
(ひきかえ、アキラ役の鈴代紗弓さんは折角射止めたメインヒロイン役なのに演技をあまり披露できないのがコハルより不憫~)

サブではハルオのママ役の新井里見さんが個性の光る名演技でした!

《音楽》

8ビット音でしょうか?ゲームらしい音を取り入れたOP曲は作品にマッチしてました。
(でも曲より背景画が毎度気になってました~コハルが不憫で・・)

やくしまるえつこさんのEDは毎話の引きとの合わせ方が絶妙で切ない余韻が堪りません。
(特に11話は上手い!)

劇判曲もバッチリで非の打ち所はありません。

《最後に》

先日、最終話が掲載された原作漫画ですが、コハルの告白以降テンポはやや減速感を感じるものの、切ないシーンはまだまだ訪れます。
アニメの続きは配信とOVAってのは個人的にビミョーですが、制作してくれるのは嬉しい限り。
このクオリティならお布施も厭いません~(^^;{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 42
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

そんな私はロースコアボーイ

2018.10.06記

原作未読

当初ノーマークだったが、同僚の薦めで視聴決定。
どうやら、昔懐かしのゲームを扱った回顧ものくらいの前情報で視聴スタートです。

さっそく結論。

 懐かしくて涙出るわ~

これはオモテ。並行して、

 なんじゃこのラブコメ泣けるわ~

一作で二度美味しい作品になってます。懐かしのゲーム見たろ、ぐらいでかまえて思わぬカウンターパンチを食らっちゃいました、といったところでしょうか。

主人公の矢口春雄が1979年生まれ。本作の時代設定が1991年(小学六年生)から1995年(高校一年生)までとなります。
これはリサーチの勝利と言って構わないと思いますが、誇張されることない等身大の90年代が描かれているため、おおむね1970年~1985年生まれの方は取り扱っているゲームや時代の空気感の再現具合に感嘆するんじゃないでしょうか。

{netabare}・緑の電話ボックスにピンクチラシが貼ってる
・当たり前のように灰皿が置いてあるゲーム台
・パネルでめくられる新幹線ホームの発着案内板(現在は電光掲示板)
・溝の口(川崎)駅降りたとこ南武線沿い小道の汚い飲み屋街の古本屋 ※住んでた私が保証しよう
・取り扱うアーケードゲームと家庭用ゲーム機のラインナップ
といった見た目のあるあると

・対戦でのお作法(ハメ技かけると喧嘩になる等)
・教室でソニックブームを繰り出すこの解放感
・もういいわよ。録画してた「家なき子」観るから♪
・ミスチルを聴きなさい!ミスチルを!
・取り扱うアーケードゲームと家庭用ゲーム機にその当時みんなが感じてたこと
といった空気感{/netabare}

単なるゲーム回顧録ではない、時代の空気の見事な切り取りっぷりに切なさを感じるほどです。ワクワクするつもりがきゅんきゅんしてしまうのです。

若い皆さんにとっては、このピンポイントで切り取られた時代の追体験が可能ですので、ぜひ面白がって観てほしいですね。
ついでに、だいたいアラフォーの男性が大なり小なり通ってきてる道でもありますから、雑談のネタとしてビジネスにも活用できるかもしれません。

自分はハルオよりちょい上くらいのドストライク世代にあたります。回顧トークしたくなるところですが、脱線が止まらなさそうなのでここでは泣く泣くあきらめますよ。ただ一点、同年代非オタの知人にハイスコアガールを勧めたら、ちゃっかり視聴してました。その後酒の席でのあるあるトークに華を咲かせましたよ、ということは申し添えておきます。



そして、ゲームと並行しての恋愛の世界。
ゲームで繋がる恋愛ってなんのこっちゃ? そもそもこのキャラデザインは、恋愛仕様のそれではないような。。。
{netabare}とナメてたら3話で不意打ちを食らうことになります。{/netabare}

2話からラブコメの波動が感じられ、12話終わる頃にはきゅんきゅんしてることでしょう、たぶん。

大野晶と日高小春のダブルヒロインというのは、ぱっと見で王道の配置です。

大野晶:ゲームは社会との接点を持つためのもの/純粋にゲーム好き/{netabare}ハルオが好きそう{/netabare}
日高小春:ゲームはハルオとの接点を持つためのもの/ゲーム好きは二次的なもの/{netabare}ハルオが好き{/netabare}
ハルオ:馬鹿で優しくてあったかいやつ。すがすがしいほどにゲームのことで頭の中がいっぱい。

そんなベクトルは物語の進行に合わせてゆっくりと変化していき、最終12話{netabare}(小春の告白という大きな転換点を迎えること){/netabare}で本作の恋愛の波動がピークに達します。
きゅんきゅんする理由、、、二人ともホントいい子だから(語彙力)。
そしてハルオもなんだかんだいいやつだから(もっと語彙力)。
二人ともきっかけは違えど、徐々にハルオに惹かれていく様子がもどかしくも純な感じがして擦れた大人にはまぶしく映りました。
ヒロインにとってはゲームバカが恋愛対象のため、コミュニケーションがゲームを通じてということも多いです。対戦プレイや協力プレイのシーンに潜む恋のやり取りを見過ごしてはいけません。{netabare}晶と小春ですらゲーム機を通しての会話と、わりと徹底してます。{/netabare}なんかもう「拳で語り合う」世界観ですね。

これほど無口なヒロインで物語が成立するんだ、と面白がって観てたわけですが、結局セリフがゼロでしたね。大野晶役の鈴代紗弓さん、「あ」「う」「ぐふぅ」に感情を込める難役お疲れ様でした。
小春の鼻腔を抜ける呼気の音すら聴こえそうなささやき声は役に合ってたかどうかを超えて心地よかったですね。広瀬ゆうきさんですか?また別の作品でお会いしましょう。

{netabare}晶にとって、もともとは大野家とは違う世界への扉であり、さらにその世界を広げてくれたハルオへの好意。ハルオは激つよの晶を目標と捉えてました。
小春にとって、唯一自分に目を向けてくれる瞬間がゲームで対峙する時だったというハルオへの好意。ハルオはフルボッコ負けを機に小春をライバルみたいに捉え始めました。
後半は、

 “目標を降りたかった晶と目標になり替わりたかった小春”

ミスマッチがなんとも切ない物語でした。{/netabare}



ノスタルジーにあてられて不器用な恋の行方にせつなさを感じたのか、
良質なラブコメにほだされて在りし日の思い出がきれいに見えたのか、

恐らく両方。きゅんきゅん×きゅんきゅんは単に2倍ではなく、2乗と感じる稀有な経験なのでした。
続き3話はOVAで!と商売臭わかりやすいラストに賛否両論出そうですが、そこはご愛敬(;^ω^)
薦めてくれた同僚よ、ありがとう!



以下、その他の四方山話。


■作画
まずは、権利処理に奔走してくれた裏方さんには賛辞を送りたいと思います。感謝!
3DCGということでしたがかなり普通のアニメっぽい自然にみられる処理をしてました。私の目利きが甘いかもですがあまりCGっぽさを感じません。そして核となるゲーム画面の再限度が極めて高い印象です。元画像をはめ込めばよかろう、というものではけっしてなく、ブラウン管と現在のデジタル規格との突合作業、コマ数の調整、エフェクトの修正、その他視聴者からみれば『そのまんまゲーム画面』に見えた本作の絵は相当の処理を施して再現されたものだそうです。
私が普段は気にしない技術的な面にも良い意味で関心を起こさせる製作陣の仕事でした。


■華を添える愛すべきイカレキャラ達
わりと主人公たち以外は行動・言動が変なのが多いのですが、第一話で矢継ぎ早3枚のカードを切ってきて視聴者の引き込みに成功しました。
・癇癪カップル:声は松岡&日笠と無駄に豪華
・小学担任:「卑劣」と書いてお前のことだ、と主人公に容赦ないが悪意もない。
・じいや:黒塗り高級車で主人公を轢いても歯牙にもかけず。
目立たぬファインプレーだったように思えます。


■10カウントで消えるはずだった世界が色づく
OPEDともに作品に寄り添った良曲。ED「放課後ディストラクション」はお気に入りでDLしてます。
{netabare}プレステとサターンの発売により自分はアーケードから距離を置きました。当時は鉄拳派(プレステ)とヴァーチャファイター派(サターン)と棲み分けがされてた気がします。
それはさておき、10話Aパートでサターンにうつつを抜かしアーケードから遠ざかってたハルオが小春にフルボッコされたのを機にゲーセンに戻ってくる描写があります。
逡巡しているハルオのバックにはストⅡゲームオーバー時のコンティニュー画面。ガイルさん(CV安元洋貴ww)がハルオを焚きつける中無情に10カウント刻まれていってました。
アーケードゲームが家庭でできるインパクトは強く、この時期から徐々にゲーセンから足が遠のいていったのは私だけではないでしょう。対照的にコンティニューして戻っていったハルオには個人的に感動しました。(えっ!そこ?)

どれくらいのインパクトか? JUDY AND MARYの楽曲に「まるでヴァーチャファイターのゾーン2」という歌詞が出てくるくらい。男ならともかくあまりゲームをしない女の子でも家にプレステとか普通に置いてありましたよ。{/netabare}


■余談
我が家では作中登場したニューファミコンが現役です。タイトルは70本以上。スーマリ、ドラクエシリーズ(要ふっかつのじゅもん)、じゃじゃ丸くんといった有名どころから、シティコネ、影伝、燃えプロその他家族でたまにゲーム大会を開催。
スターフォースでラリオスを撃破したり、ボンバーマンでリモコン無し状態からのリカバーをしたり、グラディウスで↑↑↓↓←→←→BAを披歴したりと父親の威厳を保つのに一役買ってたりします。
この前、ウチの子供たちが伝家の宝刀『カセットに息をフー』してるの見て爆笑しました。曰く「つば飛んじゃダメなんだよ」と。
なんかしらんが、受け継がれる伝承みたいなもんでしょうか。25年前も今も楽しいものを前にした子供の気持ちってそうそう変わるものではないんです。



視聴時期:2018年7月~9月 リアタイ視聴 ※EXTRA3話は2019年3月視聴

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2019.04.03追記 ★EXTRA STAGE(ROUND13~15)追加視聴★


Netflixの配信にて。TV放送(ROUND1~12)の続きの3話分が解禁です。

{netabare}変わらぬOPとEDにふいにキュンとしてしまった。なんだこの破壊力。
内容には触れません。本編にも増して、ハルオ母が素敵で、晶と小春に身悶えし、ハルオはしっかり男の子してました。{/netabare}

ファンの皆様におかれましては、視聴は義務と言って差し支えない出来映えです。

※視聴日:2019.03.30



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2019.10.23追記


2019年秋期に2期放送。先だって、EXTRA3話を地上波で放送しました。
濃厚な3話だったのでこれを放送する決断をしてくれたスタッフの皆さまには感謝です。

{netabare}さて、そのEXTRAのクライマックスといえる花火シーンは二子玉川河川敷の花火大会です。ハルオたちが乗ってる電車は田園都市線。

こたびの台風でまさに氾濫したピンポイントの場所でした。{/netabare}

春先には普通に感動しただけでしたが、あらためて半年後に再視聴して別の思いが生じます。迅速な復旧をお祈り申し上げます。



2018.10.06 初稿
2019.04.03 EXTRA視聴後追記
2019.10.23 追記
2020.07.28 修正

投稿 : 2024/11/02
♥ : 100
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

自分で生き方を選ばなければ、自分が想像できないところに行き着くことができる。 byマツコ・デラックス

[文量→大盛り・内容→雑談系]

【総括】
遅ればせながら視聴。当時はスルーしたんだけど、あにこれで高評価の嵐。いつか観たいと思っていたが、

あー、これ、当時を知るおっさん(40代)にはたまらんわな、高評価には頷ける。

本作の魅力は、90年代の小学生の雰囲気を忠実に再現しつつも、ラブコメの波動をきちんと感じさせること。懐ゲーのネタに共感し、挟み込まれるギャグに笑い、可愛らしい恋愛にニヤリとする良作。

古くも新しい作品。

私はこのアニメの世界より、やや下の世代なので、懐かしいような、少し、憧れのような。

レビューでは、実体験を踏まえながら、本作で感じた、今の若者に伝えたいことを。やや懐古レビューですが。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
実は私は、スト2にはそこまでハマっていない。一応、スーファミとソフトは家にあってやってはいたが。

私がまずハマったのは、「餓狼伝説」だ。テリーとアンディ、ジョーを使っていた。一番得意なのはジョーだったかな。

次いで、「龍虎の拳」。最初はキングを使っていたのだが、例の「ブラジャー見せ」で女と分かり、使うのをやめた。なんか、小学生当時の私は、男が女性キャラを使うのを恥ずかしいと思ってたんだよね(笑)

ただ、龍虎にはそんなに長期間ハマらなかった。すぐに「サムライスピリッツ」にハマったからだ。当時、剣道に一生懸命だったこともあり、サムスピはかなりやった。特に千両狂死郎。後先忘れたが、幽々白書の飛影とか、ああいうキャラ好きなんだよね(笑)

そして、その後永きに渡ってハマり続ける、「ザ・キング・オブ・ファイターズ(KOF)」が登場。あれは衝撃だったな~。だって、これまで自分が好きで使ってたキャラクター達が、ゲームの枠を超えて対戦、共闘できるなんて、胸熱でしかなかった。

使っていたキャラは「キム・カッファン」「ラルフ・ジョーンズ」「レオナ」「八神庵」「草薙京」等、他にも多数。当時、KOFはノベライズ版がよく出ていて、私の場合「小説好き」「設定好き」なので、「強い、弱い」以上に、キャラの背景から「好き」なキャラを選んでいた気がする。特に、ブラジルチームが好きで、ハイデルンがたまに見せる親バカっぽさと、レオナの塩対応、ラルフとクラークのフォローが絶妙で。投げキャラ苦手だから使いこなせなかったけど、技やキャラの格好よさなら、七枷社が好きだった。

さて、ここまでの感想で、多少ゲームを知っていれば、私が、「カプコン」ではなく「ネオジオ(SNK)」のゲームばかりやっていることにお気づきと思います。それはなぜか?

うちの(クソ田舎)町の、近所に1台(1対)だけあったアーケードゲーム機が、ネオジオだっただけのこと(笑)

さて、本作で感じたことの1つが「制限下で楽しめない奴は、自由下では本質的に楽しめていない」ということだ。

私がKOFにハマったのは、内的動機付けがあったからではなく、外的要因が大きい。もし、カプコンのゲームを、もっといえば、ゲーム以外のありとあらゆることを楽しめる環境にあったら、きっとKOFをこんなに好きになれなかっただろうと思うと、「不自由」に感謝したい気持ちにもなる。

先日、「マツコ会議」で、マツコ・デラックスさんが、若くして成功したYouTuberさん達に、こんなことを言っていた。

「皆さんは、自分の意思で、自分のやりたいことをきちんと突き詰めて成功されていて、とっても素晴らしいと思うの。でも、私はどちらかというと、自分のやりたいことが出来ないで、周りに流されてきた弱い人間だからね、また別のことを感じていて。それは、周りに流されて、興味も全然ないようなことをやっていると、当たり前に生きていては絶対に見られない景色を見られるということもあるということ。だって、自分が好きなことばかりやっていると、自分が好きな世界しか見られないじゃない。だからね、今の若い子にはね、自分がやりたいことをできなかったら、自分らしい人生を生きられなかった、それで人生終わりとか全部ダメなんだとは思ってほしくないのね。逆側にはね、それはそれでちゃんと面白い世界もあると思うのね。」

今回、レビュータイトルに使わせてもらった言葉だ。なるほど、良い言葉だと思った。

以下、オジサンによる懐古的な呟きです(笑)

私達の世代は、ゲームにしても音楽にしてもアニメにしても、選べるパイが少なかった故に、わりと共通言語として同じものにハマっていた。また、変化が少なく、1つのゲームを長期間遊ぶ習慣もあった。

今の子を観ていると、まず、経済的な制限がない(と思い込んでいる)。スマホゲームの大半は、無課金でそこそこ遊べる仕様になっている(とはいえ、スマホの基本料金やWi-Fiの料金含めれば、自分達が小中学生の時の小遣いを軽く超えているけどね)。

それに、新しいゲームはいくらでもあり、飽きたら違うゲームをやれば良い。

自分達の時(スーファミとか)は、ゲームソフトを買ってもらえるのは、誕生日とクリスマスの年2回。あとは、小遣いを貯めて、数ヵ月に1つ。当然、何を買うかは吟味するし、買った以上は遊び尽くす。たまに、「早くクリアしたくないから、あえて1日1時間」とかにしてたしね(笑) 

それに、当時はネットなんてなかったから、どんなゲームが面白いかという情報は圧倒的に不足していた。立ち読みでファミ通読んで必死に覚えたけど、それでもクソゲーをつかむことはあって、大事な小遣いを失った悲しみと言ったら(でも、買ったからには一応最後までやって、なんだかんだ、クソゲーなりに愛着わいちゃたりねw)

このような煩わしさのない、現在のスマホゲームの環境下において、じゃあどんなゲームを選ぶかと言われれば、そりゃ、「好きなゲーム」「良いゲーム」ばかりになるだろう。自分に合わなければ、即座にアンインストールだ。

でも、それじゃあ、いつまでも自分は、自分のままで、自分以上、あるいは、自分以外にはなれない。

以前、林先生が、高学歴ニートに説教する番組があった。その中で、早稲田卒業のあるニートが、「好きなこと以外仕事にしたくない」と言うのに対し、「まず、好きというのは、外的要因が大きい。もし君は、ゲームが開発されてない世界に生きていたら、ゲームが好きになれたかな? 結局人間は、自分が出会ったモノから好きなものを選んでいるに過ぎない。だから、今はまだ出会っていないモノも、突き詰めることで好きになれるかもしれない」と言っていた(この人は個人的に好きになれないが、たまに良いことは言う)。

マツコさんと林先生が言っているのはつまり、「自分の可能性に蓋をするな」ということだろう。

私達の世代は、選択肢が少ないからこそ、新しいものにだったら何でも飛び付く習性、つまり、「餓え」があった。現在は、自分の好きなものだけ味わっても食べきれないほど、選択肢に溢れている時代。人はバイキングでは好きなものしか手に取らない。YouTubeを観れば勝手にオススメ動画をあげてきやがる。

60、70になっても好きなモノは増えるのに、「個性」という聞こえの良い言葉に惑わされ、「私はこういう人間だ」と決め付けてほしくない。特に若い人には。

本作のノスタルジーに当てられ、若者から嫌われそうなことばかり書いてしまったが、昔だって、昔なりに良い時代だったんだよという、負け惜しみです(笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
ゲーセンの情景描写、少年の心情描写、よく出来ている。待ちガイル、懐かしい(笑)

2話目 ☆4
FF4(笑) 氷枕(笑) お母さんの隙間覗き、久々に声だして笑ったわw ホラーだろ(笑) PCエンジン、桃太郎RPGやったな~。あと、ビーボールとか(笑) ジャーマンからコブラ(笑) 都市伝説。ノスタルジーで、ラブコメ。

3話目 ☆4
デート。ラブコメの波動。パチンコ中毒(笑) そうそう、ゲーム知らない女子はキャラの見た目に突っ込むんだよね(笑)

4話目 ☆3
ラブコメ全振りはなんか違うと思うが、まあ、負けヒロインだろうね(笑)

5話目 ☆4
分かる(笑) 私もソニックブームは、「カニプーン」に聞こえていた(笑) サムスピ、懐かしいな~。陰険(笑)

6話目 ☆4
ガイルに必殺技追加なし(笑) ただだだ性格が悪い(笑) ネットがない世界だからな。大野さんの嫉妬心(笑) 

7話目 ☆4
貸してくれ(笑) ファイターズヒストリーダイナマイト、ワールドヒーローズ、懐かしいな(笑) 目の上のたんこぶ(笑) 

8話目 ☆5
ここでテストに結びつけるのはよい。マウント取られながら、ボコられる男子(笑) ラブコメとして、かなり優秀だし、お風呂セットからペアルックの伏線回収が素晴らしい。

9話目 ☆4
サターン派、、、負け組確定じゃないか(笑) ヴァンパイアは確かに、衝撃だったよな。まあ、この作品なら不合格はありえるよな。

10話目 ☆4
にしても、ユルいわりに展開早いよな。そして、KOFは、ユリがリョウを倒すだけか。まあ、「出藍の誉れ」の比喩かな。

11話目 ☆4
ロードの長さ(笑)  そこでサラッと負け、サラッと飯に誘うのが、イケメンだな~(笑)

12話目 ☆4
ちょっと新婚(笑) 二期は、三角関係かな。初代PSのスタート画面、懐かしいな。キング、俺も使っていたな~。サターンでフルスイングは、効くよな(笑) 
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 29

81.7 6 切ないで漫画原作なアニメランキング6位
がっこうぐらし!(TVアニメ動画)

2015年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (1938)
9639人が棚に入れました
学校に寝泊まりしちゃおうという学園生活部。シャベルを愛する(?)くるみ、皆をまとめるりーさん、おっとりした顧問のめぐ姉らに囲まれた丈槍ゆきの瞳に映る幸せな“日常”はしかし……!? 千葉サドル×海法紀光(ニトロプラス)の強力タッグが贈る注目作。

声優・キャラクター
水瀬いのり、小澤亜李、M・A・O、高橋李依、茅野愛衣

nk225 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

【アニメキャラの魅力】言葉ではなく行動で伝える頭脳派柴犬「太郎丸」の魅力とは?

シャベルを愛する(?)くるみ、皆をまとめるりーさん、しっかり者の後輩みーくん、おっとりした顧問のめぐねえらに囲まれた丈槍ゆきの瞳に映る幸せな“日常”はしかし……!?

#1はじまり
ゆきとくるみ、りーさん、みーくんの4人は、「学園生活部」の仲良しカルテット。
この部活の目的は「授業だけでは触れられない学園のさまざまな部署に親しむ」こと! 
今日も、おいしいパスタに舌鼓を打ったり、園芸部の屋上庭園でプチトマトの収穫に励んだり、あるいは授業で居眠りしたり。
なんだかんだと賑やかに、毎日を楽しんでいる。
そんなある日、学園生活部のマスコット的存在、柴犬の太郎丸が行方不明に。
学校中を探してまわるゆきたちだったが……?

水瀬いのりさん、サバイバルの味をかみ締める?キャスト5人が、衝撃の第1話アフレコ後に語ったのは……
ついにTVアニメ『がっこうぐらし!』(芳文社「まんがタイムきららフォワード」にて好評連載中)が、7月9日より放送スタート! ほのぼの日常系アニメかと思いきや、衝撃の展開に驚いた人も多いのではないでしょうか?

今回は、キャスト5名(水瀬いのりさん、小澤亜李さん、M・A・Oさん、高橋李依さん、茅野愛衣さん)から。第1話アフレコ後の公式コメントが到着したので、そちらをご紹介しましょう♪

──原作はご存知でしたか?

丈槍由紀 役・水瀬いのり(以下、水瀬):やっぱり『がっこうぐらし!』というタイトルで——「学校」がひらがな表記だったので、最初は柔らかい、ほわほわした癒し系な作品なのかな、と想像していたんです。ふわふわした女の子たちの日常というか、「学校から帰りたくない!」と思うくらいみんな仲が良くて、一緒に楽しい毎日を過ごす……みたいな作品なのかな、って。

──ところがしかし(笑)。

水瀬:そうですね、原作を読んだときの衝撃は大きかったです。絵柄は可愛らしいんだけど、ちょっとぞっとするシーンが描かれていて。そのギャップに、まずはヤラれました。

恵飛須沢胡桃・役・小澤亜李さん(以下、小澤):『がっこうぐらし!』のタイトルと由紀のイラストはあらかじめ見て、知っていたんです。「可愛い雰囲気だな」と思ってたんですけど、わりと着てる服がボロボロだったりして、いったい学校でどんな遊びをしてるんだろう? みたいな(笑)。

──なるほど(笑)。

小澤:それでオーディションを受けたんですけど……。由紀はわりとずっとほんわかした感じなんですけど、ほかのキャラクターは険しい表情をする場面も多くて。最初のイメージと中身がまったく違ったので、そこは驚きました。

若狭悠里 役:M・A・Oさん(以下、M・A・O):私もやっぱり、みなさんと同じように日常系のふわふわした4コママンガ風の作品なのかなと思っていました。オーディションのときに原作を拝見して、「あれっ、これは私の知ってる日常じゃない!?」って。

──(一同笑)

M・A・O:『がっこうぐらし!』の「くらし」って、こういう意味だったんだ、と思いましたね。

直樹美紀 役・高橋李依さん(以下、高橋):私はオーディション原稿を読む前に、原作を読んだんです。なので、まずは表紙を見て。ピンクの髪の毛の女の子が出てきて、『がっこうぐらし!』っていうくらいだから、「これはポップな可愛らしいお話なんだろうな」と。しかもページをめくると、由紀ちゃんがスースー寝てて「あぁ、癒される~!」と思っていたら、だんだんと不穏な雰囲気が(笑)。

──やはり(笑)。

高橋:最初のときは、何が起きているのかわからなくて、また頭から読み直してしまいました。何回もページを戻った記憶がありますね。

佐倉慈 役・茅野愛衣さん(以下、茅野):私はお話をいただいたときに、まず公式ホームページを拝見したんです。で、「おっ、可愛い女子が笑顔で楽しそうにしてる。こういう作品の先生役なんだ、楽しそうだな」って気軽に考えていたんですけど(笑)。その後、オーディションの資料を見ると、少しシリアスなシーンがあって、ただのフワッとしてる先生じゃないような気がするな、と。

──予感はあったわけですね(笑)。

茅野:それで、まずは原作を読んでみようと思ったんですけど……。なんというか、中身とカバーがまったく違うというか(笑)。想像していた以上にサバイバルな感じが強くて、見た目に騙されてはいけないな、と思い知りました。

──なるほど(笑)。で、さっそく第1話が放映されたわけですが、気になった場面はありましたか?

高橋:あっ、みーくんが太郎丸に嫌われてました!(笑)。そこは原作に描かれていなかった部分なので、まさか嫌われてるとは思っていなくて……。しかも太郎丸役を、先輩の加藤英美里さんが演じられているんですけど、「プイッ!」としてるのになんかもう可愛くて(笑)。そこは今回のアニメの発見でしたね。

茅野:第1話では結構、太郎丸が活躍してるんですよね。しかもリアクションとか表情がいちいち可愛い(笑)。あとはやっぱり最後だよね。あれは、何も知らないで観た方はどう受け止められたんだろう、という。私も、原作を読まずに演じていたら、たぶん相当な衝撃だったと思うので。

水瀬:音だけ聞いていると、ごく普通の日常——いなくなったワンちゃんを追いかけて、見つける……みたいな話なんですけど、目から入ってくる情報がまったく違ってて。由紀が見ている世界と、みんなが見てる世界が違う。そのことが最後にパッとわかる瞬間は、こう、やっぱりぞっとしますね。可愛さのなかにある恐怖というか、ジリジリと迫ってくる感じがある。

茅野:「怖い」というより「ぞっとする」みたいな感覚。しかもこの先、どうなるんだろう? ってすごく気になる。

小澤:指の隙間から覗いて「やっぱり見たい!」みたいな。

茅野:由紀ちゃんに対するイメージが、かなり変わるんじゃないですかね。大丈夫かな? って心配になっちゃいますね。

高橋:しかも笑顔で窓を閉めるし……。あそこが一番怖い(笑)。

茅野:加えて、あのあと風が吹くでしょう。「窓、ちゃんと閉まってないよ!」と思っちゃう。

M・A・O:原作を読んでわかっていても、あの最後のシーンが来ると、「とうとうここまで来てしまった……」と思いますよね。あと、そこまでの間でも、風景にちょっとヘンなところがあるんですよ。ピンボケでよく見えないんですけど、ガラス窓が割れていたりとか。気付いたあとにもう1回観ると「あーっ、あそこ!」って(笑)。

──そういう意味では、最後まで観たあとで、もう一度観返したくなりますよね。

小澤:わたしはりーさんが気になるんですよね。劇中でもあまり語らないから、りーさんが本当は何を考えてるのか。どんな悩みがあって、どういうふうに受け止めてるのか、気になるなって思いました。

茅野:一番、闇を抱えていそうだよね(笑)。まわりに相談をしないので。

小澤:そうなんですよ! 話をしないし、みんなをいつも見守ってる人こそ、ひとりになったときに一番ヤバいんじゃないかな、って。

M・A・O:たぶん大切なことは大事にしまってるんですよ(笑)。

茅野:わたしはやっぱり、由紀ちゃんかなあ。主人公だし、あの笑顔がツラい。あと、あるシーンでそれぞれのキャラクターがどういうふうに感じていたのか、ちゃんと聞いてみたいなって気はしますね。映像特典とかで、それぞれのひとり語りを聞いてみたい。

高橋:彼女たちの日常がベースにある作品ということで、みんなが同じ目標に向かって進んではいるんですけど、起きた出来事に対する捉え方がそれぞれ違う。そういう部分まで、しっかり見てもらえると嬉しいですね。

#2おもいで
今日も、朝から元気にカレー! 
いつもと変わらぬ朝を迎えた「学園生活部」の4人。
食事を済ませたゆきは、めぐねえの指導のもと、国語の補習授業を受けることになるのだった。
しかし、窓の外はすっかり夏の気配。
海に行って花火を遊んで、スイカ割りを楽しんで……。
これから始まる夏休みに胸をワクワクさせるゆき。
そして、夏といえばやっぱりキモ試し! 
部室に戻ってきたゆきはさっそくほかの3人に、今夜、キモ試しをやろうと持ち掛けるのだが……。

水瀬いのりさんと小澤亜李さん第2話アフレコ後に2人だけでトーク! 世界の在り様が少しずつわかって……
現在、絶賛放送中のTVアニメ『がっこうぐらし!』。ほのぼの日常アニメかとおもいきや、衝撃的な世界が明らかになり、大反響! そしてこのたび第2話「おもいで」より、アフレコ終了後のキャストインタビューが到着しました!

参加してくれたのは、水瀬いのりさん(丈槍由紀 役)と小澤亜李さん(恵飛須沢胡桃 役)。くるみにスポットをあてた第2話を、お2人ががっつりと語ります。早速ご紹介しましょう♪

──第2話の放映が終わったわけですが、今回はくるみがナレーションを務めるなど、彼女にスポットをあてたエピソードでしたね。

恵飛須沢胡桃 役・小澤亜李さん(以下、小澤):そうですね。くるみの過去が描かれていたり……。第1話のときは、わりと元気に走りまわっていたりしたんですけど、今回の第2話を観ると、じつは気丈に振る舞ってるんだなということがわかる、そういうシーンがいっぱいありましたね。

──一方、水瀬さんが演じるゆきは……。

丈槍由紀 役・水瀬いのり(以下、水瀬):ゆきとしてはあまり変わりなく(笑)。ただ亜李ちゃんが話したみたいに、くるみが見てきたあの現実を踏まえたうえで第1話を観直すと、みんなすごく大人なんだなって感じますね。……こう、なんだろう、本心を隠すのが上手いというか。「じつはこの笑顔の裏には、なにかあるんじゃないかな?」みたいな感じがあって、またちょっとくるみに対する見方が変わる。よりいっそう彼女のことが好きになるエピソードになっているな、と思いました。

──収録をしていて、一番驚いたところはどこでしょうか?

小澤:驚いたというわけではないですが、印象的だったのは花瓶。「学園生活部」の部室に花瓶が置いてあるんですけど、そこで咲いている花言葉がト書きに書かれていたんです。「蕾のままでいて」だったかな? すごく意味深な花言葉で。

水瀬:あそこは気になって、みんなで「どういう意味が込められているんだろう?」って話し合いました。

──確かに、そういう細部が気になる作品ですよね。

小澤:今の段階では、まだ学校の中しか描かれていないんですけど、みんなで「こういう事態になっているのは、はたしてこの地域だけなんだろうか?」みたいな話をしたりとか。そのあたりはすごく気になります。

では少し話題を変えて、第2話では日常の楽しい場面もいくつかありましたが、ひとつだけお気に入りを選ぶとしたら、どこでしょうか?

水瀬:みーくんが、ゆきを起こしに来る場面かな。オタマをガンガン叩いて起こそうとするんですけど、それに対してゆきが「オタマはそうやって使うんじゃないよ」みたいなことを言うんです(笑)。そこがなんか、いかにもゆきらしいというか……。私は、ゆきとみーくんの関係性が好きなんですよね。みーくんみたいな妹とか後輩がいたら、私もゆきみたくなっちゃいそうだな、って。高橋さんのお芝居を聞いていると、しっかりした年下の子って魅力的だなあ! って思います。

小澤:私がキュンとしたのは、ゆきと太郎丸の歌のシーンですね。もう、掛け合いがたまらないくらい可愛くて……。あれはサントラで出たら、絶対に買います(笑)。

水瀬:全員の名前を言うんだよね。

小澤:メンバーを紹介してくれる(笑)。

水瀬:あそこは台本が空欄になっていて、自由にやってみてください、って流れだったんですよ。

──なるほど、アドリブだったんですね。

水瀬:だったら、メンバー紹介でもしようかな、っていう(笑)。

小澤:そのアドリブに対して、太郎丸も「ワンワン!」って――出てくる名前ごとに、元気があったりなかったり。私はくるみ役なので、「おいっ!」と思ったんですけど(笑)、それにしてもたまらなかったです。

ここまでの2話を踏まえて、これからの展開に期待していることを、最後にお伺いできますか?

小澤:アニメはマンガとはまた違う見せ方をしているところがあって――例えば、最初の段階からみーくんが一緒にいたりとか。なので、原作を知ってても楽しめる展開になっていると思うので、そのあたりが今後、どんなふうに描かれるのか。楽しみにしています。

水瀬:第2話はくるみにスポットが当たって、少しだけ彼女たちの過去が明らかになったんですけど、まだまだすべてじゃないんですよね。あくまで断片的に、鍵になるポイントだけ抜粋して、みなさんに観ていただいたことになると思うんですが、これからそういう断片がだんだん組み合わさっていくんだろうな、と思いました。で、それが最後まで組み上がったときに、ゆきだったり、ほかのキャラクターの新しい表情が見えるのかな? と。なのでぜひ寝落ちせずに(笑)、リアルタイムで楽しんで見てみてください。

#3あのとき
今日は、全校停電の日。
料理を作ることも、シャワーを浴びることもできず、なんとなく暗い雰囲気の4人だが、ゆきが「キャンプをやろう!」と言い出したことをきっかけに、いつもの元気を取り戻す。
部室にテントを張り、夜遅くまでおしゃべりで盛り上がる4人は、いつもとはちょっと違う時間を過ごす……。
一方、学園生活部の顧問を務めるめぐねえは、「あの日」のことを思い出していた。
いつも通りの毎日が当たり前じゃないと気付かされた、「あの日」のことを。

■ゆるふわ学園日常系アニメ……じゃない!?
放送直後から大きく話題となった『がっこうぐらし!』。本作は、学校に寝泊まりする部活・学園生活部に所属するゆき、くるみ、りーさん、みーくんの楽しい学園生活を描いていく作品……ではなく、ゾンビの蔓延によって、学校に立て籠もらなくてはならなくなった少女たちを描いたサバイバル作品となっている。

可愛らしいキャラクターたちが、ほんわかとした物語を展開する学園日常系アニメ。そんな幻想は第1話からぶち壊される。ほんわかしていたように見えた1話序盤。実はいたるところに後半を想像させるようなシーンが挟まれていた。例えば、授業中のゆきの元へみーくんがやってきたシーン。先生の背にあった黒板の英語を和訳すると「みんなとの楽しかった勉強。もう一度一緒に勉強しよう。だが、それはもう叶わない。すべては過去の暗闇の中。お願いだから見捨てないで、助けて」という意味に。

その他にも、校庭が移ったシーンで、体育の授業中にしてはまばらに散って統率性のない動きをする生徒(?)たち、屋上菜園にチラッと見えたリボンの巻かれたお墓など、1話を1回視聴し、後半の意味が分かってからもう一度見ると、違和感を感じるシーンがいたるところに隠されている。

本作の主人公・ゆきを含めた、学園生活部の4人はいろんな意味で深い闇を抱えている。4人が抱えている心の闇が、どうやって解消できるのか、果たして解消されるのか。少女たちは生きて学校を出ることができるのか。そのあたりが今後の見どころになってくるだろう。

#4えんそく
まだみーくんと出会う前の、ある日のこと。
朝からご機嫌なゆきは、前の日の夜、とっておきのアイデアを思いついていた。
そのアイデアとは、学校の外へ「遠足」に出かけること!
「学校行事なら外に出たことにはならない」と主張するゆきに押し切られる形で、くるみとりーさんも遠足に同行することになってしまう。
目的地は、郊外にあるショッピングモール。
入念に計画を立て、めぐねえの車を借りて、学校の門を出ようとするが……。

実際に観てから決めた!アニメファンが選ぶ「次週以降も観続けたい2015年夏アニメ作品」
2015年夏アニメの放送が始まってからおよそ一ヶ月。アニメファンにとって、実際に内容を観た上で「これからも観続けよう」と思える作品は一体どれくらい残っているのだろうか?

第1位には、ゾンビの出現によって崩壊した社会で、学校に立て籠もって寝泊まりする女子高生たちを描いた『がっこうぐらし!』が選ばれた。「元々原作を読んでいたのですが原作とは異なっている点も多いので新鮮です」と、原作からのファンもまた新たな視点で楽しんでいる様子。実は放送前の夏アニメ期待度ランキングでは、20位圏外だった同作だけに、ファンにとっては嬉しい予想外といえるのではないか?

#5であい
「遠足」に出かけたゆきたち。
彼女たちが向かったのは、郊外にあるショッピングモール、リバーシティ・トロン。
そこで地下の食料品売り場に下りたくるみは、一匹の犬と出会う。
それは、のちに「学園生活部」のマスコットとなる太郎丸だった。
さらに太郎丸と一緒に探索を進める彼女たちは、モールの5階でひとりの少女と出会う。
その少女とはほかでもない、このモールで籠城生活を続けていたみーくんだった。

夏アニメ原作コミック売上ランキング
続く猛暑で、夏を満喫する余裕なんてなくなりつつある昨今。そんな暑い日は、外出は控えて涼しい部屋で「アニメ三昧!」「漫画三昧!」と、今期のアニメ『干物妹!うまるちゃん』のうまるのようにだらだらするのもいいだろう。そこで、「多すぎて選べない」「どの作品が人気なの?」という人のために、今期アニメの原作コミック売上ランキング(日販調べ)を紹介しよう。アニメも原作もどちらもチェックすることで、より作品の魅力を知ることができる。今回は、実際に原作を読んでいる人に話を聞きつつ、ランキングを見ていこうと思う。

【3位】可愛いイラストに騙される、衝撃の鬱展開!
『がっこうぐらし! 』(原作:海法紀光(ニトロプラス)、 作画:千葉サドル/芳文社)

可愛い日常系かと思いきや、衝撃の鬱展開が待ち受けていた『がっこうぐらし!』が3位にランクイン。人間がゾンビ化した世界で学校内に立てこもり、「学園生活部」として生活しながら助けを待つ4人の女の子と1人の先生。……というのがTVアニメ1話の段階での種明かしだが、それだけでは終わらないのがこの『がっこうぐらし!』。「アニメとコミックではストーリーやキャラクターの登場、種明かしの順番が違う」「アニメを観ていて、いつ何がくるのかとすごくドキドキしています」と原作ファン。『まどか☆マギカ』などで有名なニトロプラスが手掛けていることもあり、今後も容赦ない展開が待ち受けていると思われる。

#6ようこそ
「学園生活部」に新しい仲間がやってきた! 
ショッピングモールでひとり、籠城生活をしていたみーくんが合流し、さらには柴犬の太郎丸も仲間に加わった「学園生活部」。
ゆきはめぐねえとともに、みーくんに学校のなかを案内することにする。
ようやく日常に戻ることができたのかもしれないと思い、胸をホッと撫でおろすみーくん……。
そしてゆきは、新しくできた「後輩」のみーくんを加えた4人で「体育祭」をやろうと提案するのだった。

茅野愛衣さん、ついに“めぐねえ”の重大な秘密を語る!? 第6話アフレコ後の公式インタビュー到着!
第6話は、茅野愛衣さん演じる“めぐねえ”の重大な秘密が明かされた回。やっとこの秘密について語れる茅野さん、どんなお話をしててくれるのか? 早速早速ご紹介しましょう♪

◆第6話アフレコ終了後、めぐねえ役・茅野愛衣さんインタビュー公開!

──この第6話ではついに、茅野さん演じるめぐねえがすでに存在していなかったことが明らかになりました。

茅野:やっと明らかになってスッキリした……といっていいんでしょうか(笑)。アフレコ中はもう、みんなでずっと「怖い!」って言ってました。

──《かれら》の怖さとは、また別の怖さがありますね。

茅野:これまでも頭では理解していたんですけど、今回初めて、ゆきちゃんは話しかけてるんだけど、映像にはめぐねえが映っていないという場面を目にして、みんなで「ひぃぃぃ!」って(笑)。原作を未読だった方はきっと、ビックリしたんじゃないですかね。私自身も、ゆきちゃんに話しかけられるとつい答えたくなっちゃうんですけど、答えてはいけない場面がついに来てしまったのか、と思いました。

──しかも、これまでのめぐねえの出演シーンを改めて観直してみると……。

茅野:そうなんですよ! これまではすごく自然に、学園生活部のみんなと話しているふうに見えてたと思うんですけど、よく聞いてみると、じつはゆきちゃんとしか会話が成立していなかったっていう。たぶん、背筋がゾッとしたという人も多いんじゃないかなと思います。

──茅野さんから見て、ゆきはどんなキャラクターだと思っていらっしゃるんでしょうか?

茅野:絵を見ると小動物みたいというか、キャラクターとしての「かわいらしさ」を持っている女の子だと思うんですけど、その一方で、じつは一番「人間らしい」のは、彼女なんじゃないかなとも思うんです。絵を見ると、すごく「キャラクター」っぽい印象を受けてしまうんですけど、その一方ですごく生々しい。実際にこういう事態に巻き込まれたり、どうしようもない状態に追い詰められたら、きっと誰しも、ゆきちゃんみたいな防衛本能が出てしまうんじゃないかな、って思うんですよね。自分が自分でいられるように保つためにはどうすればいいかと思ってしまったら、きっとゆきちゃんみたいな反応を示すんだろうな、って。

──もうひとつ、この第6話のポイントとしては、みーくんが入ってきた当初の、学園生活部の様子が描かれましたよね。彼女が入ってきたことで、キャラクター同士の関係性も変わってきたように思います。

茅野:少しギスギスしてたというか……。りーさんの拳が震えてて、「ちょっと待って、りーさん!?」みたいな(笑)。一番ケンカっ早そうなくるみちゃんが「ちょっと落ち着けよ」って言ったりとか、キャラごとのイメージが先行してる人には、たしかに驚く場面も多かった気がしますね。

──そういう意味でも、後半の展開につながる描写が多いエピソードだったかなと思いますね。

茅野:そうですね。りーさんが一番冷静に見えるんですけど、じつは……みたいな(笑)。この作品はやっぱり、「あのとき本当はどういう気持ちでいたのか」って、ちょっと深読みしたくなってしまうところがあるんですよ。だから今回のエピソードを見て、きっと第1話から観直したくなった人も多いだろうな、と。みーくんが(めぐねえがいないことがわかりつつ)周りに合わせてたんだ、ということも、第1話から観直すとわかると思いますし。

──今回の第6話を通して、茅野さんが個人的に一番印象的だった場面はどこでしょうか?

茅野:私は、さっきもちらっと話題に出しましたけど、りーさんの拳がプルプル震えてたところ(笑)。あとは、めぐねえが「みんなを巻き込まないように」って、鍵を内側から締める場面ですね。

──《かれら》に襲われてしまって、という。

茅野:そうそう。あそこもまさか、エンディングテーマを歌っている黒崎(真音)さんに襲われるとは思っていなかったので……(注:第6話には黒崎真音さんが“女子生徒”役で出演)。思わず、黒崎さんに「光栄です」ってお伝えしてしまいました(笑)。「黒崎さんにやられるなら、本望です」って。

──では最後に、いよいよ物語も折り返し地点を過ぎましたが、今後、期待しているところはどこでしょうか?

茅野:私はあまり原作を読みすぎないようにしてるので、これから先の展開をほとんど知らないんです。そもそも、みーくんの描かれ方が原作と違っていたりしますし……。「あんまり読み込んじゃダメだ」と思って、途中までで止めてるんですよね。

──じゃあ、台本をもらうたびに驚く、という。

茅野:そうですね。驚きつつも「ツラい展開になったらイヤだな」と思うので、もう台本を見たくない、みたいな気持ちもちょっと(笑)。

──いやいや(笑)。

茅野:ツラいこともいっぱい起きる作品ではありますけど、やっぱりゆきちゃんの明るさに助けられているなって思うんですよね。なので、これから先も毎回、ひとつくらいでいいので、ゆきちゃんの明るさにほっこりできる場面があればいいなと。

──それが救いになっている感じはありますね。

茅野:あとはできれば、ゆきちゃんとめぐねえの掛け合いがあるといいな……。これまで次回予告は、ゆきちゃんと2人でやらせていただいていたんですけど、
6話ではめぐねえがいなくなってしまうので……。

──今後また掛け合いがあるといいですね。

茅野:この作品は何が起こるか、本当にわからないので。そのうち声も姿もなくなって、存在も消えちゃいそうな気がして。でも、ゆきちゃんの記憶のなかにいるめぐねえが笑っていてくれたら嬉しいですね。

#7おてがみ
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にはあらず……」。
古典が苦手なゆきは、今日もひとりで授業の居残り。
そんなゆきにみーくんは、勉強のお手伝いを申し出る。
『方丈記』の一文を読みながら、古典が「昔の人から送られた手紙だ!」と気付いたゆきは、興奮を隠せなかった。
そんなある日、部室を整理中に一同は、レターセットを発見。
ゆきの発案で学園生活部の4人は、学校の外にいるかもしれない誰かに向けて「手紙」を書くことにするのだった。

“かれら”アフレコ体験会! 編集者たちが身体を張って“かれら”を体験してきた
かわいいキャラクターにそぐわぬ衝撃的な展開が話題のTVアニメ『がっこうぐらし!』。当作品の製作を担当するNBCユニバーサル・エンターテイメントから、「アフレコ体験会」を行なうとの連絡をいただいたのでアニメイトTVも参加してきた。

アフレコ体験会とは、文字通り「アフレコの体験」を行なうというもの。基本的にアニメの音声はすべてプロの声優が担当するが、なんと報道関係者の声を収録し、実際にアニメで使ってしまおうというユニークな企画だ。アニメイトTVでは編集者AとライターBのふたりが参加してきた。もちろんふたりとも声優の勉強をいっさいしたことはない。NBCユニバーサルさん、ホントにいいんですか?

●メインキャスト6人+ド素人の報道陣が収録
○月×日、都内某所のスタジオに入ると、ちょうど『がっこうぐらし!』の本編の収録を行っていた。スタジオにはメインキャストの声優・水瀬いのりさん(丈槍由紀役)と小澤亜李さん(恵飛須沢胡桃役)、M・A・Oさん(若狭悠里役)、高橋李依さん(直樹美紀役)、茅野愛衣さん(佐倉慈役)、加藤英美里さん(太郎丸役)が、真剣に収録を行っている。ほどよい緊張感とアットホームな雰囲気がビシビシと伝わってくる。

待合室のモニターで収録の様子を見ながら、「なるほど! こんな展開になるのか!!」などと感心していると、本編の収録がすべて終わり、スタジオのドアがガチャンと開いた。いよいよ我々の出番だ。スタッフの説明によると、アフレコ体験者は“かれら”の声を担当するとのこと。普段から“かれら”のような生活を送っている編集者AとライターBに最適な配役である。胸を張って演じることにした。

スタジオの準備が整うと、アフレコ体験会に参加する報道陣は担当者に誘導されてマイク前に移動した。メインキャストの声優さんたちは、なぜかマイクの後方。プロの声優さんたちの前に立つのはとても気が引けるのだが、音響監督さんの指示なので仕方がない。腹をくくって精一杯“かれら”になりきることを決心した。

マイク前のモニターに絵コンテの映像が映し出されるといよいよ収録スタート。絵コンテの“かれら”が発しそうな「“かれら”声」を腹の底から出してみた。数カット分の“かれら”を収録したのだが、すべて一発オーケー! といっても「あ~」とか「うぅ~」とかしゃべっただけ。こんな感じで大丈夫だったのでしょうか!? ちなみに、最後には本作の監督、安藤正臣さんが「くるみちゃん…かわいいよ……」という隠し切れない本音(?)がうめき声に混じって聞こえてきたのは、ここだけの話。

●『がっこうぐらし!』の現場はいつも6人!?
収録後にNBCユニバーサルの担当さんにお話を伺うと、『がっこうぐらし!』の現場は他の作品とちょっと違うと言う。一般的なアニメはメインキャストに加えて脇役が数名いることが多いが、『がっこうぐらし!』は基本的にメインキャスト6人だけしかスタジオにいないそうだ。なので“かれら”の声をどうしようか……ということになり、今回の企画が生まれたそうだ。

果たして当日収録した声が本当に使われるかどうかは定かではないが、“かれら”の登場シーンに是非注目してくださいませ……! どこかでアニメ媒体数社の“リアルかれら”たちの声が使われているかもしれません。

#8しょうらい
太郎丸が緑色の藻にまみれて帰ってきた! 
なんと太郎丸は、屋上にある池で泳ぎまわっていたらしい。
太郎丸をシャワーで洗うついでに、洗濯を済ませてしまうことにするゆきたち。
晴れ上がった屋上で肩を並べ、風に揺れる洗濯物を眺めながら、4人は学校を「卒業」した後の、自分たちの将来について語り合う……。
そしてその夜、寝付けないみーくんが部室を訪れると、そこにはりーさんの姿が。
彼女の手には、めぐねえが残していった鍵が握られていた。

#9きゅうじつ
「みんな、お掃除しよう!」。
部室に飛び込んできたゆきが、手にしていたのはデッキブラシ。
彼女の発案で、4人は屋上の池を掃除することになる。
貯水槽の魚たちを網ですくい上げた後、泥だらけの底をブラシでゴシゴシ。
そうしてキレイになった池のなかで、ゆきたちは水遊び! 
ビーチボールに水鉄砲、そして水風船にフリスビー……。
4人は時間を忘れて思いっきりはしゃぐのだった。

#10あめのひ
外は雨。
いつものように部室に顔を揃えた4人だが、そこには太郎丸の姿がなかった。
食事にも戻ってこない太郎丸を心配して、校内を探索することになるくるみとゆき、そしてみーくん。
太郎丸が残した足あとを追っていったくるみは、バリケードを乗り越え、学校の1階へと足を踏み入れるのであった。

観るだけじゃなく自由に動かしたい!?アニメファンが選ぶ「もっともゲーム化して欲しいアニメ・漫画作品」
第1位には、ゾンビの出現によって崩壊した社会で、学校に立て籠もって寝泊まりする女子高生たちを描いた『がっこうぐらし!』が選ばれた。「バイオハザード的な怖さが体験できそう」「日常の生活やバトルを体験したいから」「緊迫感ある日常を体験できそう」など、先日キャラペディアにて発表された『次週以降も観続けたい2015年夏アニメ作品ランキング』でも堂々の1位を獲得した人気作だけに、ゲーム化を期待するファンも多いようだ。

#11きずあと
突然の豪雨を避けるように《かれら》が殺到すると同時に、停電で真っ暗になってしまった校舎。
学園生活部が拠点にしていた3階にも、ついに《かれら》の群れが押し寄せ始める。
《かれら》に噛まれ、意識を失ったくるみを前に、りーさんは来るべきときを覚悟する。
一方、地下の避難区画に薬を取りにいこうとしたみーくんだったが、太郎丸が《かれら》と化してしまった事実にそれまで張りつめていた気持ちが折れ、思わず座り込んでしまう。
ゆきはそんな彼女を引きずるようにして、なんとか部室へと逃げ込むのだが……。

急上昇5作品、そしてやはり『がっこうぐらし!』コミック・コンテンツ偏差値ランキング
木曜日、アニメが遂に最終回を迎える『がっこうぐらし!』がコミックでも1位。-9.19ポイントと、下げ幅はかなり大きいがそれでも1位を堅持。相変わらずアニメの影響が極めて大きいことがわかる。一説によると、アニメの放送が始まったあとはコミックの売上が10倍になったなどとも言われているらしいが、このランキングを見続けてきた記者としては然もありなんと素直に信じられる。ヒューマンドラマ、萌え、ホラー、SFなど、さまざまな分野の作家や評論家たちの間でも批評が活発に行われ、ファンたちも作品の中に仕込まれたトリックを確認するために繰り返し観て分析しながら感想を言い合うなど、まさに台風の目のようになっている。

#12そつぎょう
押し寄せる《かれら》の群れに、絶体絶命のピンチに陥る学園生活部のメンバーたち。
教室に籠城するみーくんは、親友の圭を思い浮かべ、一方、衰弱するくるみを前にしたりーさんは、手にした包丁を強く握りしめる……。
その頃、ゆきはめぐねえの幻に背中を押されるように、放送室を目指していた。
《かれら》の群れを振り切り、ついに放送室へとたどり着くゆき。
マイクのスイッチを入れたゆきが語りかけた言葉は……。

【アニメキャラの魅力】言葉ではなく行動で伝える頭脳派柴犬「太郎丸」の魅力とは?
「太郎丸」は学校内で衣食住をする“学園生活部”で飼われている柴犬で、ヒロイン達と共に行動します。犬とは思えないほどの知能の高さを発揮し、学園生活部のメンバーを救うことも数多くあります。今回は、普段は元気にはしゃぎ、意外なところでに頼りになる「太郎丸」の魅力についてご紹介させて頂きます。

■犬でも立派な学園生活部の一員
学園生活部には、4人の部員と1人の顧問の先生がいます。人懐っこい「太郎丸」ですが、唯一の後輩「直樹美紀」には冷たい態度をとります。これには理由があるのですが、親友にひどい態度を取ってしまった「直樹美紀」に、考えを改めさせるための姿勢とも考えられます。知能が高く、それでいて優しい「太郎丸」だからこその対応といえるでしょう。

しかし、「太郎丸」は学園生活部のメンバーが大好きで、学園生活部のメンバーもまた「太郎丸」が大好きです。そんな「太郎丸」の行動は、愛らしくゆるい表情を見せたり、みんなと一緒に食事をしたり、校内を駆け巡り部長である「若狭悠里」に叱られ、しょぼんとしたり。そんな姿は、どこかほのぼのとした感情を引き出されてしまいます。学園生活部には欠かせない存在、それが「太郎丸」です。

■思いもよらない活躍をする柴犬
学園生活部は、時に活動内容に行き詰まってしまうことがあります。そんな時には「丈槍由紀」が次の案を提示するのですが、時には「太郎丸」がその発想の元となる場合も。例えば、屋上に「太郎丸」が入り込んでしまい、藻が溜まっている貯水池に入った後、校内に戻り廊下を汚してしまう・・・という行動を起こしますが、ここに「丈槍由紀」が気付き、貯水池の掃除を提案するのです。

一見、学園生活部メンバーには迷惑をかけているようにも見えますが、結果的に「太郎丸」がやってきたことはプラスになる事が多いのです。直接的な援護だけではなく、間接的な協力も惜しまない、そんなところもまた、彼の魅力の一つなのでしょう。

■弱ってもなお皆を助け、感動を与える
「太郎丸」は物語終盤、ウイルスに感染してゾンビ化してしまいます。その後、それを発見した「恵飛須沢胡桃」に襲い掛かり、彼女をもウイルスに感染させ、学園生活部を窮地に追い込みます・・・。

しかし、その窮地に追いやった学園生活部を助けたのもまた「太郎丸」なのです。放送室に向かう「丈槍由紀」を、感染してもなお“かれら”から守る「太郎丸」に、驚きを隠せなかった人も少なくないはず。そして、「太郎丸」は、学園生活部の手によって助けられたものの、既に衰弱しており、学園生活部全員が見守る中、息を引き取ることとなります・・・。彼が最期に見せた微笑みを忘れることはないでしょう。

『がっこうぐらし!』を語るに欠かせない存在「太郎丸」。普段は犬らしく可愛らしい動作をしますが、実はしっかり皆のことを考えているのです。学園生活部のメンバーだけではなく、改めて「太郎丸」の活躍にも目を凝らしてみてはいかがでしょうか。きっと、得るものは少なくないはずです。

「騙された」「まどマギ以上に鬱」…アニメ『がっこうぐらし!』の衝撃展開にネット騒然
今月9日より放送開始となったテレビアニメ『がっこうぐらし!』。学校に寝泊まりしちゃおうという学園生活部を舞台にした、なんともユルそうなアニメだが、第1話を観た人からは「怖すぎる……」との声が多数上がり、話題となっている。

原作マンガは「まんがタイムきららフォワード」(芳文社)で連載中。アニメ『ガンスリンガー ストラトス』のシリーズ構成や小説「式神の城」シリーズ(KADOKAWA エンターブレイン)の執筆などを担当する海法紀光氏(ニトロプラス)と、マンガ『アイドルマスター シンデレラガールズ あんさんぶる!』(スクウェア・エニックス)の漫画担当・千葉サドル氏による学園マンガで、来月11日には最新刊6巻が発売予定だ。

『がっこうぐらし!』は、学校に寝泊りする“学園生活部”の物語。ムードメーカーのゆき、シャベルを愛する(?)くるみ、まとめ役のりーさん、しっかり者の後輩・みーくんという4人の学園生活部に加え、顧問のめぐねえ、犬の太郎丸などが登場する。第1話では、最初は日常系のユル~いストーリーが展開されていたものの、終盤、物語は一転する……。視聴者からは「怖すぎるだろ」「ホラーすぎて呼吸困難になった」など、想像を逸した恐怖の展開に、慄きの声が上がることとなった。

何がどうなるかは実際に観ていただきたいが、「騙された!」「ただの日常系萌えアニメかと思ったのに」「流し観してただけに驚愕」といった声や、「まどか2世?」「まどマギ以上に鬱だわ」との声が上がる。本作は原作や脚本プロデュースにニトロプラスが関わっていることもあってか、同社の脚本家・虚淵玄を迎え、第3話で衝撃的な展開を見せた大ヒットアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』を引き合いに出す声も多く、今期深夜アニメの中でも注目度は抜群。その証拠に、本編の配信を行っている「ニコニコ動画」では、第1話が早々に100万再生を記録したことでも取りざたされた。

夏の季節にピッタリともいえそうなアニメ『がっこうぐらし!』。今後も良い意味で予想を裏切る展開をゾクゾクと観せてほしいところだ。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 31
ネタバレ

ポール星人/小っさ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

個人的には駄作とは思ってないものの、欲しかったものとも違う残念感

最終話観終えました。色々伏線張ってましたが、二期有るんでしょうか。

{netabare}
残念ながら日本版DAWN of the DEADにはなれなかったすね。
勿論、ロメロ版の方ね。新しい方のはゾンビ走るから嫌いw
お膳立てとして日本らしいゾンビ作品になりそうでホント期待してました。
もっとも、若い世代の方はバイオハザードの方を重ねて観ていたんでしょうけどね。私的には映画版バイオはモンスターパニック物にしか見えないもんで。

この作品からイメージするラストと考えれば、校内放送で帰宅を促してって流れ悪くないと思います。作り手も恐らくコレで美しく締めたかったんだろうなと。死して尚"がっこうぐらし"を忘れない徘徊する者達への同情と言うか。私、嫌いじゃないです。
徘徊する者達が去った中での卒業、避難先への希望と不安。
1クールのアニメでゾンビ物の風味は充分出てたと思います。
ホラーらしくない日常部分の能天気さがムムムとはなりましたけど、私はそんなにコレ嫌いじゃないです。
衝撃の一話で観てる側のハードルが上がっちゃった故の失望感と言う側面有るんでしょうし、最終的な評価が低迷しちゃうのは宿命だったのかも。









 んで、ここからはロメロLOVEの私の極私的な感想です。聞き流してねw
この作品でのゾンビの出来る事を1クール見続けてると、放送聞いて帰宅しようという生活習慣以前の単純動作が出来て無い訳で。
放送室の扉開けっ放しでの太郎丸との対話、ロメロのゾンビならドワワとなだれ込んできてアレされちゃうの確定でゴザイマス。
 かと思うと、マスコットバットでか細い女の子では脳の破壊に失敗するなんて、なかなか憎い表現もしてたり。このシーンは好き。

 最終話ではゾンビがお食事してたシーンも若干ありましたが、という事はこの作品のゾンビは徘徊出来なくなったお仲間共食いする?
だから食い散らかしが無い??ロメロ好きとしては抵抗感がw
そもそも徘徊してる奴らが殆ど五体満足なのが・・・食べ残し無しとは行儀のいいゾンビ。
あとお約束の白い布で包まれた死体の山ね。コレはゾンビ物としては欲しいっしょ。出来ればモゾモゾしてると尚良いなと。映画で言うとマンションの地下のあのシーンすよ。
校内で居場所を確保するため少なからず屠ってきた筈。どう処理したのかな~とか気になっちゃう。校庭に放り出して食わせたのかな?
あと、虫ね。ロメロはあまり虫は涌かせない絵作りだったけど。
その点屍鬼は1話で堂々と書いててGJでした。

古いゾンビ映画好きとして観るてと、なんか綺麗過ぎるんですよね。フルチみたいな悪趣味なグロテスクさは要らないとは思いますが、なんかゾンビ物として物足りない(汗)

直接的なグロ表現も足りないですけど、登場人物たちの絶望感もどうも薄味というか。作品自体がこの状況下で希望を捨てず明るく生き延びて行く希望の作品ですし、まぁ食い物も水も電気も有る状況でしたからショウガナイんでしょうけどね。
やっぱゾンビ好きとしては逃避行中に妊娠に気づくヒロインのフランと頼りにしてた相棒の死で希望を捨てたピーターが、燃料僅かのヘリで先の当ても無く飛び立ってくあの感じをこの作品でも味わいたかった。
H.O.T.Dには欠けてたものがこの作品では実現しそうと期待してたんですが、やはりゴアな物はアニメでは限界があるんでしょうし絵柄的にも世界の寂寥感・悲壮感との両立は無理があったかもですね。

好き勝手書きましたが、私の希望が表現されたアニメだったらR18になっちゃいますねw
{/netabare}

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この期に及んで水着回ですか(汗)
 私的には中盤以降は静かな圧倒的絶望の状況の中での諦めと生き抜く決意の同居した心情メインの話を地味にでもしんみり見せる作品として締めるのであれば、それはそれでいいかなと思ってたんですけど。
いや、アニメでそんな作品作ってもウケる訳ないのは判ってますけどねw
{netabare}
ロメロのゾンビはゴア映画でありながら、そこを表現してたから今でも愛されてる作品な訳で。
バイオハザード世代と私らオッサンの世代だと、この作品に対して期待してたものが意外に違うんだなと思ったりします。
{/netabare}

そのどちらも裏切る作品になりそうだけど(汗)
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7話観ました。
この作品って{netabare}ゾンビ物としては珍しく、
・軍人と一般人等、生き残り集団の中でのパワーバランスの危うさの要素がほぼ無い
・そのパワーバランスを崩す要因として良く使われる銃が、アメリカが舞台な作品と違って非常に入手困難な日本の話。
・女の子だけのサバイバル。
・彼女たちの生活環境が他者から妬まれるほど恵まれている訳でもない。
(太陽光発電は魅力的かもですね)
・流石に最後にヘリで無人島に脱出なんて展開は無さそうw
てな感じで、所謂ゾンビ物のテンプレから外れた作品なんで日本的な今までと違った切り口のいい作品になったらいいのに と現時点でも思ってます。 {/netabare}

そんな昔の核戦争物映画の中でのテスタメントみたいな作品誰も求めてねぇよと言われれば、まぁ私位なもんなのかもですがw

 ですが、やっぱこの絵柄と日常部分の雰囲気がどうにも作品に入り込ませてくれないんですよね。
私は目の肥えたレビュアーの方達ほどストーリーや展開に拘って観てないので、せめてそういう私みたいなヌルい視聴者位は落胆させないで作品締めてくれればいいなと思いながら観てます。

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4話まで観ました。
ちょっと観てる側を混乱させ過ぎでないすかね。{netabare}遠足の結果の美樹との出会いということですよね? {/netabare}

 いい作品だといいなと期待して楽しみに観てはいるので、現時点でも原作は読みはしていません。
絵柄だけ確認したいなと思いwebで画像観ましたけども。
4話も皆が出会った経緯の話となっており私的にはその展開自体には不満は無いんですが、この期に及んでも絶望的状況を見る側にイメージで刷り込めない(刷り込まない?)絵作りがちょっと疑問です。
原作絵ってキャラは可愛らしいけどこの状況の恐ろしさ伝えるのをスポイルするほどデフォルメされた絵じゃないと思うんですが、アニメの絵と彩色でこのまま進むと明らかに物語から浮いちゃう気がするんですよね。
このアニメ絵だからこその第一話のインパクトだったとは思いますが、この作品が"一流のスゲェ作品"として纏まる為にはかえって障害になっちゃうと思います。まどマギみたいなの絵作りの凄味がコレには感じられないんすよね。
{netabare}
 事態発生からの経過が日時で具体的表現に表現されて無いのも判り辛いというか場面の状況と心情をリンクしずらいというか。水道が機能していて学校の購買部の在庫品程度で食いつなげている状況なので、さほど日数は経っていないのでしょうがそれにしては4話の出立時の街並みの破損具合も不自然に観えちゃう気がします。火災と街の騒乱と精々小火器での破壊にしては・・・
4話の圭が美樹の元を離れていくシーンは、絶望的状況にこのまま身を置き続ける事への二人の気持ちの乖離のシーンな訳ですし時間の経過の表現次第でもっと心を打つシーン足り得たと思うんですよね。どうやら原作では二人きりになった経緯がきちんと書かれている様子ですし、そういうプロセスの表現が時間の経過をもっと判りやすくする効果も有ったんじゃないかと。
日記とかカレンダーで日付とかの表現位は入れた方がいい様な気がしました。それで見てる側がシラケるとは思わないんですよね。

 私はオッサンですからゾンビ物というとバイオでは無くロメロのゾンビ3部作と言う世代ですので、それらの作品に比べるとこの異常な状況に対するキャラクターの生への執着と諦めの同居した心情表現とか絶望的な状況を観てる側に訴えかける為の舞台装置がそろそろプアに感じて来ました。全くダメとは思いませんが見せ方をもっと丁寧にという意味です。
HOTDの洋物ゾンビ映画の舞台を日本の街並みに置き換えただけって代物では無く、普通の子供たちがこの状況をどう生き残っていくのかという純日本的なゾンビ物として個人的には楽しみに観てます。
{/netabare}
 まだ4話ですので、話題鳥に成功しただけの凡作とならない事を期待してます。
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10分見て内容的に自分に合わないなと思ったんですが、観た方のレビュー・反応見る限り何か有るんだろなと我慢して観てたら。

あぁなるほどねとw

社会不適応の子達の更生の為の"がっこうぐらし"と想像してた自らの甘さ。

そんな自分に腹が立つ/中条長官

今後、いろんな意味でどう纏めるのか気になるので勿論視聴続けます。
この見せ方、話題性抜群でしょうね。商売巧いな~(汗)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 24
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

1話がトラウマになるかと思った

作品は2020年1月に完結したようだ。原作では大学に進学したみたいだけど、こんな状態で大学行けるんすね。

可愛いキャラクターがきゃっきゃうふふしている作品と見せかけてのゾンビに囲まれて戦っているという作品。
クラスメイトとの楽しい日常から始まるんだなと期待して見ていたら実は全部由紀の妄想とかいうオチ。ゾンビがうろついていて、誰もいない机に話かけるシーンがおぞましい。トラウマもの。現実逃避が過ぎる。話合わせるの大変やな。

妄想してたけど、{netabare}遠足はナイスな提案やったね。みーくんを救出できたわけだし。{/netabare}

一番は{netabare}ゾンビになってしまった慈を殺さないといけないのは本当に辛かった。あの方の存在は大きかった。{/netabare}


OP
ふ・れ・ん・ど・し・た・い 歌 学園生活部[丈槍由紀(水瀬いのり)、恵飛須沢胡桃(小澤亜李)、若狭悠里(M・A・O)、直樹美紀(高橋李依)]
ED
ハーモナイズ・クローバー 歌 黒崎真音
We took each other's hand 歌 澤田かおり
アフターグロウ 歌 黒崎真音
OPのし・た・いは死体とダブルミーニングって本当ですか?怖い。


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
シャベルを愛する(?)くるみ、皆をまとめるりーさん、しっかり者の後輩みーくん、おっとりした顧問のめぐねえらに囲まれた丈槍ゆきの瞳に映る幸せな“日常”はしかし…!?

1. はじまり
ゆきとくるみ、りーさん、みーくんの4人は、「学園生活部」の仲良しカルテット。この部活の目的は「授業だけでは触れられない学園のさまざまな部署に親しむ」こと! 今日も、おいしいパスタに舌鼓を打ったり、園芸部の屋上庭園でプチトマトの収穫に励んだり、あるいは授業で居眠りしたり。なんだかんだと賑やかに、毎日を楽しんでいる。そんなある日、学園生活部のマスコット的存在、柴犬の太郎丸が行方不明に。学校中を探してまわるゆきたちだったが…?

2. おもいで
今日も、朝から元気にカレー! いつもと変わらぬ朝を迎えた「学園生活部」の4人。食事を済ませたゆきは、めぐねえの指導のもと、国語の補習授業を受けることになるのだった。しかし、窓の外はすっかり夏の気配。海に行って花火を遊んで、スイカ割りを楽しんで…。これから始まる夏休みに胸をワクワクさせるゆき。そして、夏といえばやっぱりキモ試し! 部室に戻ってきたゆきはさっそくほかの3人に、今夜、キモ試しをやろうと持ち掛けるのだが…。

3. あのとき
今日は、全校停電の日。料理を作ることも、シャワーを浴びることもできず、なんとなく暗い雰囲気の4人だが、ゆきが「キャンプをやろう!」と言い出したことをきっかけに、いつもの元気を取り戻す。部室にテントを張り、夜遅くまでおしゃべりで盛り上がる4人は、いつもとはちょっと違う時間を過ごす…。一方、学園生活部の顧問を務めるめぐねえは、「あの日」のことを思い出していた。いつも通りの毎日が当たり前じゃないと気付かされた、「あの日」のことを。

4. えんそく
まだみーくんと出会う前の、ある日のこと。朝からご機嫌なゆきは、前の日の夜、とっておきのアイデアを思いついていた。そのアイデアとは、学校の外へ「遠足」に出かけること! 「学校行事なら外に出たことにはならない」と主張するゆきに押し切られる形で、くるみとりーさんも遠足に同行することになってしまう。目的地は、郊外にあるショッピングモール。入念に計画を立て、めぐねえの車を借りて、学校の門を出ようとするが…。

5. であい
「遠足」に出かけたゆきたち。彼女たちが向かったのは、郊外にあるショッピングモール、リバーシティ・トロン。そこで地下の食料品売り場に下りたくるみは、一匹の犬と出会う。それは、のちに「学園生活部」のマスコットとなる太郎丸だった。さらに太郎丸と一緒に探索を進める彼女たちは、モールの5階でひとりの少女と出会う。その少女とはほかでもない、このモールで籠城生活を続けていたみーくんだった。

6. ようこそ
「学園生活部」に新しい仲間がやってきた! ショッピングモールでひとり、籠城生活をしていたみーくんが合流し、さらには柴犬の太郎丸も仲間に加わった「学園生活部」。ゆきはめぐねえとともに、みーくんに学校のなかを案内することにする。ようやく日常に戻ることができたのかもしれないと思い、胸をホッと撫でおろすみーくん…。そしてゆきは、新しくできた「後輩」のみーくんを加えた4人で「体育祭」をやろうと提案するのだった。

7. おてがみ
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にはあらず…」。古典が苦手なゆきは、今日もひとりで授業の居残り。そんなゆきにみーくんは、勉強のお手伝いを申し出る。『方丈記』の一文を読みながら、古典が「昔の人から送られた手紙だ!」と気付いたゆきは、興奮を隠せなかった。そんなある日、部室を整理中に一同は、レターセットを発見。ゆきの発案で学園生活部の4人は、学校の外にいるかもしれない誰かに向けて「手紙」を書くことにするのだった。

8. しょうらい
太郎丸が緑色の藻にまみれて帰ってきた! なんと太郎丸は、屋上にある池で泳ぎまわっていたらしい。太郎丸をシャワーで洗うついでに、洗濯を済ませてしまうことにするゆきたち。晴れ上がった屋上で肩を並べ、風に揺れる洗濯物を眺めながら、4人は学校を「卒業」した後の、自分たちの将来について語り合う…。そしてその夜、寝付けないみーくんが部室を訪れると、そこにはりーさんの姿が。彼女の手には、めぐねえが残していった鍵が握られていた。

9. きゅうじつ
「みんな、お掃除しよう!」。部室に飛び込んできたゆきが、手にしていたのはデッキブラシ。彼女の発案で、4人は屋上の池を掃除することになる。貯水槽の魚たちを網ですくい上げた後、泥だらけの底をブラシでゴシゴシ。そうしてキレイになった池のなかで、ゆきたちは水遊び! ビーチボールに水鉄砲、そして水風船にフリスビー…。4人は時間を忘れて思いっきりはしゃぐのだった。

10. あめのひ
外は雨。いつものように部室に顔を揃えた4人だが、そこには太郎丸の姿がなかった。食事にも戻ってこない太郎丸を心配して、校内を探索することになるくるみとゆき、そしてみーくん。太郎丸が残した足あとを追っていったくるみは、バリケードを乗り越え、学校の1階へと足を踏み入れるのであった。

11. きずあと
突然の豪雨を避けるように《かれら》が殺到すると同時に、停電で真っ暗になってしまった校舎。学園生活部が拠点にしていた3階にも、ついに《かれら》の群れが押し寄せ始める。《かれら》に噛まれ、意識を失ったくるみを前に、りーさんは来るべきときを覚悟する。一方、地下の避難区画に薬を取りにいこうとしたみーくんだったが、太郎丸が《かれら》と化してしまった事実にそれまで張りつめていた気持ちが折れ、思わず座り込んでしまう。ゆきはそんな彼女を引きずるようにして、なんとか部室へと逃げ込むのだが…。

12. そつぎょう
押し寄せる《かれら》の群れに、絶体絶命のピンチに陥る学園生活部のメンバーたち。教室に籠城するみーくんは、親友の圭を思い浮かべ、一方、衰弱するくるみを前にしたりーさんは、手にした包丁を強く握りしめる…。その頃、ゆきはめぐねえの幻に背中を押されるように、放送室を目指していた。《かれら》の群れを振り切り、ついに放送室へとたどり着くゆき。マイクのスイッチを入れたゆきが語りかけた言葉は…。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 14

85.6 7 切ないで漫画原作なアニメランキング7位
神のみぞ知るセカイ 女神篇(TVアニメ動画)

2013年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (1735)
10454人が棚に入れました
“落とし神”再び──。過去攻略した少女たちの中から天界の女神─“ユピテルの姉妹”を探し出せ! 桂木桂馬とエルシィが過去攻略した14人の少女たち。その中から、幼なじみの少女・天理に宿る女神“ディアナ“の姉妹、残る5人の女神を探し出すため、今度はハクアをバディーに再び少女たちを攻略する。その期限は一週間……。ある少女を、そして人間界を救うため、再び桂馬が立ち上がる!

声優・キャラクター
下野紘、伊藤かな恵、早見沙織、名塚佳織、東山奈央、竹達彩奈、阿澄佳奈、花澤香菜、井口裕香、高垣彩陽、戸松遥
ネタバレ

Weldar さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

原作ファン様 向け?

一部の予想通り、通常の駆け魂狩りの攻略は見事に、ほんとに見事に、すっ飛ばされました…w
(ダイジェスト的に)
月夜や結のCV.公開されていたので、しっかり攻略するのかと思ったら、流石 女神篇。 再攻略での出演が主っぽいです…
良くも悪くも 神のみ らしい3期 女神篇のスタートを切りました!
ほんと待ち望みまくってたうちの原作ファンの一人ですから。

OPはよかった、今まで通り
ちょっと新鮮味がありました
EDは1話では流れませんでしたが、それも今まで通り ヒロイン声優でしょう

ほんと 話の流れが早く、こんな感じじゃ1クールであの長い 女神篇を終わらせてしまいそうな感じです…
前みたいに 分割にして 4期、やってください!

【第1話】
{netabare}まぁまず、1,2期を知らない人のために神のみの大まかな解説と進行具合を桂馬が語りながらっ…!水泳少女・幽霊少女・ラーメン少女・将棋少女・楠姉(順不同)他諸々、攻略されていたって感じで流されて…
月を眺めて 月夜攻略回想、ゲーム内 男の娘で 結攻略回想… ほんとこれは原作ファンしか詳しくわからないっ!
灯もさりげなく過ごされました…w
あ、でも灯と先生とかの地獄関連の内容 原作でまだやってないですよね?! その分 原作続きそうでよかったぁw
それと天理、OVA見てください。感があふれでてる~w

アニメだけだと、いきなりヴァイスつってもわからないかと…w

それと、かのんが出ると 楽曲満載ですねっ!w
そして 第1話で かのん 刺されましたねっ!
あれ、刺したのリューネだったんでしたっけ
髪がちらり見えて そんな感じしました

次回予告やEDでも 本編系が流れてるんで
やっぱ 急いでるんでしょうか
(1,2期みたいに (何て言うんでしたっけ)EDで絵師さんが描いたのが毎度出てくる感じでなく、普通のアニメみたいに次回の内容ちらりムービー? になってます){/netabare}

… ま、まぁ 神のみ自体が大好きなんで
動いてくれればそれでいいです♪


【第2話】
{netabare}今回も?桂馬は真剣な面持ち。さてはてどうなるやら…と思っていたら、今回はコメディ要素強い回でしたw そこも神のみの大きな見所ですよねっ♪
なんかOP よくきくと3期も普通に良い曲だと思いました。

あらすじで言うと、かのんの状態がもって1週間、その間に残りの女神をさがし出す。の1,2日目。
女神候補を絞って、再攻略ということです。
自然ながら違和感まるだしの告白めぐり、いちいち面白かったですw
ちひろとの布石電話も、電話の切り方が…w

そしてそしてっ…!
栞ちゃんキタァーーー!ついついテレビvol.あげちゃいました(*^^*)
栞、神のみヒロインのなかで一番好きですっ!
栞(図書委員)に対して平然と「このギャルゲーがすごい」を借りにいく桂馬、素晴らしい…w
けれどまぁ、なにより “図書館では静にしろい”の相変わらずの栞節がきけたので満足です♪

2話からはED流れました。
こちらもOPと同じように1,2期の流れをまもれてるみたいなので、嬉しいです。
「キズナノユクエ」かのんver.でしたが、はやく女神全員のをききたいです!
このED観ていると なんか3年前が凄く懐かしく思えて本当に何度も言っちゃいますが 神のみ3期やってくれて、良かったぁ~{/netabare}

【第3話】
{netabare}今回は、5人一斉下校イベントでした。結構桂馬の強引さと必死さが出てました。

ちひろのギターの試し弾きのときの“初めて恋をした記憶”は舞高際(やるのかな…)の最後を知っていると感慨深いものがあります。
栞ちゃんの小説?の書き合いは本当羨ましい…
リアルじゃあんなことないね。

ノーラさんがいきなり?登場しました。OVA時から白髪?には違和感を感じていたものです。(原作では当たり前ですが、カラー絵でしかみれなかったので)

天理(CV.名塚佳織)のキズナノユクエは可愛らしかったです。
{/netabare}

【第4話】
{netabare}
女神捜索、もとい再攻略4日目。
内容としては、栞再攻略中→月夜(ウルカヌス)再攻略完了→かのんに刺さった剣がディアナ・ウルカヌスにより抜かれる→アポロ(かのん)の水化術をとくためにメルクリウスを探さねば→メルクリウスは誰に宿っているのか?
という具合になります。
相変わらずのまぁ良さげなテンポの女神篇ですが、(フィオーレの件を除いた)原作14~15巻のまる1巻分くらいを1話でやりました。単純に2倍ちょいのスピードです。
けれども1,2期よりも原作に結構忠実?にアニメで再現されてます。セリフはそうですが、とくにアングルがそのままだったりします。

女神捜索の方は、栞{netabare}(ミネルヴァ){/netabare}ばかり取り上げられてますが(栞好きの私からしたら ずっとやっててもらいたい…w)、次回予告にある通り 先に結{netabare}(マルス){/netabare}が女神として力を取り戻します。

キズナノユクエは月夜(CV.井口裕香)。
はじめは違和感ありましたが、サビからは良く聞こえましたw
3期のEDはコイノヨカンくらい大好きです♪

EDをみていると、毎回あの2期の最終回の時に感じた悲哀と期待感を 3期最終回でも感じなければならないのか、と考えるとかなしくなります…
{/netabare}

箇条書きみたいで 文構成あれ に加えて長文
読んで下さりありがとです^^

投稿 : 2024/11/02
♥ : 14
ネタバレ

助手さ~ん さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

楽しみにしていた女神編→楽しめた女神編

レビュータイトル通り楽しみにしてはいましたが1クールで尺は足りるのか? 1期、2期で登場していないキャラの説明はどうするの?など不安が多かった女神編。
実際1期、2期やOVAを見ていても原作既読していないと難しいところもありますが上手くまとめてくれたという印象の方が個人的には強いです。


今回の女神編で1期、2期と大きく違うところは攻略+ギャグ+キャラ萌えにストーリー性が追加されていることです。
何のために攻略をするのか、目的意識がしっかりしているので展開を追いかけながら視聴出来るところが面白いと思います。
攻略に重みが出ています。
1期、2期では攻略して次のキャラって感じで、キャラごとに区切られている感がありましたが、女神編は一つの物語として繋がっていて終わりがあります。
終わりがあるから面白いのだと思います。

視聴前は2クールのほうが良いだろうと思っていましたがこれで良かったと思います。
ダラダラと長くしても全体的に薄くなっていたかと。
駆け魂や地獄の設定については、やや説明不足だったと思いますがこの辺を2クールにして説明してもあまり嬉しくは無いかと。
説明ほど退屈なものはありませんし女神編でもメインはやはり攻略なので。
新キャラの月夜と結のエピソードはやって欲しかったけど仕方ないですねw


1期&2期に出てきたキャラの魅力も上がっていると思います。
自分はハクアが好きなので映像化されて嬉しかったですw
ハクア好きですけど見所としてはやはりあのキャラかと。
記憶が消えてない一部キャラの再攻略という形なので誰が出てくるのかはお楽しみに。

残念なのはカットされたキャラと新キャラの結、月夜の扱い。
結と月夜のエピソードはダイジェストという形だったので原作を読んでいても他のキャラに比べてキャラの印象が薄くなってしまった。
原作でも人気のある女神編をアニメ化するとなると本来は5期くらいになってしまうので仕方がない気もしますが。原作では出ていたキャラの物語はカットとなっていますが所々で映像には写っています。 読んでいる人は探してあげてください。

声優陣は相変わらず豪華です。新キャラ役では井口裕香さん、高垣彩陽さん、戸松遥さんと出ています。
安定感のある演技ありがとうございました。


【アニメ見た人向けネタバレ】
{netabare}女神編の見せ場はやっぱりちひろ回ですよね。
原作では泣きましたけどアニメでもウルっと来てしまいました。
初めて恋をした記憶は、やはり最終回で使われましたね。
ちひろの中には女神はいなかったけどライブでは一番輝いていたと思う。
ちひろは多分桂馬にとっては一番印象に残ったヒロインじゃないかと思います。
12話のちひろと桂馬の会話は切なかった。時間がゆっくりと経過する演出、良かったです。
ばいばい・・・切ない。。こういう演出に弱いですw
桂馬の涙とライブシーンのちひろの周りのキャラが翼を出すところが印象に残りました。
1人だけ落とされたとかじゃ無くて本気で恋をしていたんですよね。確かに桂馬が振ったところは何とも言えない気持ちになりましたが、女神編で桂馬が機械のような人間じゃ無いという事、相変わらずギャルゲー脳で攻略をしますけどヒロインとして攻略したキャラの事はやっぱり気にかけているということが伝わってきました。(あくまで個人的な解釈ですが
最終回についてはアニメならではの良さが詰まっていたと思う。
ここだけ見ることが出来ただけでも自分は満足でした。
「コイノシルシ」も良い曲ですね~ {/netabare}



【曲の紹介】
・「God only knows -Secrets of the Goddess- 」歌 - Oratorio The World God Only Knows
この作品のopです。早見沙織さんが歌っています。この曲のfullはアニメの約Aパート分(12分48秒)の長さがあります。長いですが是非聞いて欲しいですね~聞き入ります。はやみんの凄さを感じる曲ですね。自分たち素人はこの曲は事故るのでとても歌えませんw 収録は2回に分けてやったそうです。お疲れ様でした。

・「キズナノユクエ」
第2~6話、9話、11話で使われたed。それぞれ各キャラが歌っています。歌っている声優さんによって少し違った曲にも聞こえます。自分はfeat. 五位堂結が好きかな。


・「瞳からスノー」歌 - 中川かのん starring 東山奈央 (第8話ed)
・「With…you…」歌 - ハクア starring 早見沙織 (第10話ed)
・「初めて恋をした記憶」歌 - 2B PENCILS & 中川かのん (第12話ed)
どれもキャラソンというレベルでは無いくらい良い曲。
「初めて恋をした記憶」はアニメを見たあとだと歌詞が非常によく分かるので切なくなります。
「With…you…」は寝る前とかに聞いていますw 癒されるバラード曲です。


【最後に】
神のみシリーズの中で3期が一番好きです。楽しみにしていた女神編がそのまま楽しめたのは大きかったですね~思わずお気に入りの棚に入れてしまいましたw
女神編はアニメ化して良かったと思いました。
1期、2期、OVAを見た人は是非見て欲しいです。
興味がわいた人は原作も読んでみると分かりやすいと思います。
久々のレビュー読んでくれてどうもでした。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 48
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

個人的には1,2期はよかったが、3期で失速感を覚えた(話をすっ飛ばした?!)

【レビューNo.112】(初回登録:2024/3/17)
コミック原作で
・神のみぞ知るセカイ(第1期)2010年作品。全12話。
・神のみぞ知るセカイII(第2期)2011年作品。全12話。
・神のみぞ知るセカイ 女神篇(第3期)2013年作品。全12話。
この辺りはアニメにハマりだして、「学園ラブコメモノ」を漁っていた時期が
あり、その時に視聴してましたね。
ABEMAで一気見配信があったので、3期分まとめてレビューでもしてみようかと。

(ストーリー)
主人公・桂木桂馬は「ギャルゲー」が好きな高校生。その腕前から「落とし神」
と呼ばれる彼は、ギャルゲーの登場人物である2D女子をこよなく愛し、「現実
はクソゲー」と言い放ち、3D女子には全く興味を示さない重度なオタク。
そんな彼の元に「攻略してほしい女がいる」というメールが届く。
メールの送り主はエルシィで、「駆け魂」の捕獲を目的として地獄からやって
きた悪魔の少女だった。
(「駆け魂」とは地獄から抜け出した古悪魔の魂とのことらしい)
「駆け魂」は取り憑かれた人間を恋に落とし、心のスキマを埋めることで回収
できるので、エルシィは「落とし神」の異名を持つ桂馬を頼り、3D女子を恋に
落とすよう依頼してきたのだった。
3D女子に興味のない桂馬は当然断るのだが、誤って悪魔と契約してしまったの
で、渋々エルシィに協力することに・・・
こうしてギャルゲー界の「落とし神」桂木桂馬の3D女子攻略が始まった!!

(評 価)
・ギャルゲー原作ではなく、プレイヤー側に焦点を当てたアイデアが面白い
 ・本作は「落とし神」と呼ばれる「ギャルゲーを極めし者」桂木桂馬がこれ
  まで培ってきたノウハウを武器に、いろいろなタイプの3D女子を、あの手
  この手で攻略していく過程をテンポよくみせる「学園ラブコメモノ」にな
  ります。
 ・「たかがギャルゲー、されどギャルゲー」って感じで
  ・フラグ立てやイベントの仕掛けなど、「ギャルゲーってこんなに奥が深
   いのか!!」と感心するほどにアイデアが豊富。
  ・また「極めし者」の桂馬のキャラ造形もよく、彼なりのこだわり等もし
   っかり描写されている。
   (彼の決めゼリフは{netabare}「エンディングが見えた!」{/netabare})
  その辺りが面白いです。
 ・また攻略対象となるヒロインも多種多様に用意されていて、彼女たちのキ
  ャラデザ・キャラ造形もよく、桂馬との「タイプ別:恋の駆け引き」が魅
  力的に描かれています。
 ・そして単に「3D女子攻略」だけでは行動原理が弱くなるところを「駆け魂」
  で悪魔要素を足すことで補っている点も、上手い仕掛けだと思います。
  悪魔のエルシィやハクアも可愛く、キャラ立ちもしっかりしてますし。

・個人的には1,2期はよかったが、3期で失速感を覚えた
 そんな感じで
 ・1期では同級生
 ・2期では同級生だけでなく先輩や先生までと幅広く
 桂馬が手練手管の限り尽くし攻略していく様が描かれていき、安定した面白
 さがあります。
 {netabare}特に2期では、1期でモブキャラだった「小阪ちひろ」が攻略対象となったの
 で、急に美少女化して「詐欺呼ばわり」されるというwww{/netabare}
 ただ3期は「女神篇」ということで少し毛色が違ってきます。
 ここのレビューを拝読すると「3期が一番面白い」という意見が結構多いの
 ですが、個人的にはむしろ失速したように感じました。
 ・今まで攻略してきたキャラの中に「女神がいる」ということで、
  ・キャラの再攻略になる。(それ自体はそんなに悪くないのだが・・・)
  ・「女神要素」に魅力を感じなかった。
 ・1-2期は原作準拠らしいのですが、2-3期の間はかなり話をすっ飛ばし強引
  に「女神篇」に繋げたようで、いろいろと唐突感があった。
  (一部はOVA化された模様)
 ・後半に桂馬の人間的成長が描かれる部分があるのですが、それが弱く中途
  半端に感じた。原作のネタバレを書くと
  {netabare}・最後に桂馬が初めて3D女子に恋して「告白」するも玉砕
  (まあ実はその後・・・って展開にはなるらしいのですが)
  ってことで、今までは3D女子なんてゲームの延長線でしか見ていなかった
  桂馬が変わっていくきっかけとなったのが、この辺りなのかなあって感じ
  がするのですが、そういう意味ではここの描写だけがアニメだとちょっと
  浮いて見えるんですよね。{/netabare}
  逆にこの辺りの描写が3期のテーマになっていれば、神作になってたのか
  もという感じですね。

3期については原作既読の知識があるか否かで評価が分かれるっぽいですが、
「落とし神」というアイデアからここまで展開を広げている本作は、独自の
面白さをもつテンポのいいラブコメだと思います。
2期までは割とサクサク視聴できるんじゃないですかね。

ただ「バンド要素」はもうひとつ好きになれなかったなあ。
「Angel Beats!」や「涼宮ハルヒ」の大ブレイクに便乗したみたいで。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 14

81.5 8 切ないで漫画原作なアニメランキング8位
恋は雨上がりのように(TVアニメ動画)

2018年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (717)
3187人が棚に入れました
ある事件がきっかけで走ることを諦めた元陸上部エースの女子高生・橘あきらと、彼女のバイト先のファミレス店長であるさえない45歳男性・近藤正己の恋物語が描かれる。

声優・キャラクター
渡部紗弓、平田広明、宮島えみ、福原遥
ネタバレ

ostrich さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

恋はことの始まり

「女子高生が中年男性に恋心を抱く」という程度のあらすじだけ流し読みしてから視聴した。

■近藤店長の造形

あらすじを読んだ際、もっとも気になったのは中年(近藤店長)のキャラクターデザインだった。こういう物語は中年がイケメンじゃ絶対にだめだが、最低限、「女性に惚れられる可能性はある」程度の容姿でもなければならない。どういうバランスなのかという関心を持って臨んだのだけど、なるほど後藤隊長(機動警察パトレイバー)か。

もちろん、たまたま本作とデザインが似通った可能性も否定できないが、原作者の年齢的にパトレイバーはギリ引っかかる。加えて後藤隊長は近藤店長とデザインだけでなく、職場での立ち位置や二面性を持ったキャラクター像も似通っているので、ほぼほぼ、元ネタだと思う。

話は若干それるが、私は小学生のころ、パトレイバーに熱中していて、後藤隊長は一番好きなキャラクターだった。私は後藤隊長と同性(つまり男性)なので、彼のキャラクター像は自分が大人になった時の理想像のようなものになったのだが(そして、ある面においてはその通りになってしまったのだが)、異性(女性)からみた場合、恋愛の対象になるのかもしれない。なお、ご存知の方も多いと思うが、原作者は女性だ。

私が小学生のころはパトレイバーを観ている女子なんて周囲にいなかったが、どこかにはいたのだろうし、今でもいるだろう。原作者もそういう女子の一人で、私とは違うベクトルだが、同じキャラクターに魅力を感じていたんじゃないかと想像し、視聴のかなり早い段階から親近感を覚えた。

■自分との約束

パトレイバーあたりを引き合いに出せば、最早、明白なことだが、私自身は近藤店長に親近感を覚える年齢で、それゆえ、彼の諦観や閉塞感は息苦しいほど身近に感じる。特に、「寝かせたままの自分との約束」という言葉は非常に重かった。私にもそういうものは確かにある。

だから、 {netabare}本作が物語の進行とともにそちらのテーマに向かっていったのは、私としては非常にありがたかった。ていうか、すべての「寝かせた約束」を持つ中年を代表して言わせてもらえば、こんなことを描いた挙句、そこに決着をつけずに女子高生とイチャイチャして終わらせ{/netabare}たら、マジ許さん。

われわれ(前述の特定の中年)は生きていくために{netabare}「約束を寝かせている」わけだが、時間の経過とともに自力で「約束を起こす」ことが困難になるし、だからと言って、そこを他人に触れられるのも困る、{/netabare}という状態にある。
だが、本作は{netabare}「約束」に触れてくる。そういう意味では主人公あきらは作品そのものだ。グイグイ来られるのは困るが、だからと言って、拒むこともまた難しい。
私には作中、近藤店長があきらを拒めない理由がよくわかる。それは彼女が女子高生で美人だからとかそんな理由では断じてない。彼の中で「約束」が死んでいないからだ。彼女に触れると「約束」が蠢くからだ。{/netabare}

本作は、正直なところ、原作ものの宿命か、すべてのキャラクターが掘り下げられて、決着がつくシナリオにはなっていない。
でも、少なくとも私にとってもっとも肝要なテーマはきっちり描いて決着をつけてくれた。おじさんは安心したよ。{netabare}私の「約束」が蠢いてちょっと困ってもいるが。{/netabare}

■恋愛

映画評論家の町山智浩さんが「本当に恋愛映画と呼べるのは『恋愛について』の映画だ」というようなことを言っていた。加えて、イケメン男女がイチャイチャするだけの映画は「恋愛ポルノ」だ、とも言っている。

で、本作がどちらに該当するかといえば間違いなく「恋愛映画」だろう。もちろん、映画じゃないから「恋愛アニメ」ということになるが、呼び方はどうでもいい。「恋愛について」の作品であることが肝心なことだ。

本作は当然、恋愛的な状況を何度か描くけれど、かなり控えめ、かつ、店長とあきらには一定の距離感があって、多少の間合いの変化はあるが、{netabare}最後まで消えることはない。何しろ、店長からあきらに何かを持ちかけることはほとんどないのだ。{/netabare}

しかし、主人公2人の中では大きな変化が起きている。この変化が性別と年齢差を超えて相似しており、{netabare}2人とも恋愛を通じて「寝かせていた約束」が蠢き、結果、店長は小説、あきらは陸上に向き合いなおすことになる。
そして、2人は同じ変化を共有した強い「点」で結びつくことになるが、おそらく物理的には離れていくことが{/netabare}暗示されて物語が終わる。

この点の関係を何と呼べばいいのかよくわからないが、私の感覚でいえば、「戦友」が最も近い。語義的にはおかしい部分もあるとは思うが、いわゆる「友達」では括れない、人生の大きな変化や特異な状況を共有したが、今は離れている存在という意味で当たらずとも遠からずかな、とも思う。そういう人は私にも何人かいる。

さて、2人は恋愛を通じて{netabare}変化して、最後は「戦友」{/netabare}になった。

これは恋愛の一つの側面を端的に描いている。恋愛は人を動かし、変化をもたらすものなのだ。たとえば、その帰結として、恋人になり、結婚して家庭を持ったりすることもあるだろう。いわゆる「成就」と呼ばれるものだが、しかし、それらは恋愛がもたらす結果のいくつかに過ぎない。本作のように{netabare}「成就」せずとも、「寝かせていた約束」と向き合うことになったり、「戦友」を得ることもある。{/netabare}
そして、それらの結果よりも肝心なのは、先に書いたとおり、恋愛により衝動と衝突が生まれ、動きが生まれることだ。

主人公2人が出会う前、{netabare}彼らは閉塞的な状況にあった。あきらは怪我により陸上を奪われ淡々とした学校生活を送っていたし、店長は小説家になる夢のために家庭を失い、長く小説をまともに書くことができずにいた。

それがファミレスでの出会いで生じたあきらの恋心によって動き出す。
出会いのシーンの手品が象徴している。恋はマジック。
動かないと思っていたものが、あら不思議、動き出す。
あるいは、雨上がりの晴天のように人を内から外へ突き動かす。{/netabare}

もちろん、恋愛の結果としてひどく傷つくこともあるし、作中のあきらのように{netabare}胸が苦しい{/netabare}こともある。でも、どんな結果になろうとも、動くこと、動けること、それ自体がとても貴重なことなのだ。私は店長寄りなのでよくわかるが、どうしたって、年齢を重ねるごとに動機や衝動を失っていく。
{netabare}そこに衝動を持ったあきらがぶつかって、店長も動き出す。{/netabare}
私自身は正直なところ、恋愛とかもう面倒だなあ、と思ってはいるのだが、それでも、店長の状況はちょっとうらやましいとも思った。
これまた、相手が女子高生だからでも美人だからでもない。自分を突き動かしてくれる、変化をもたらしてくれる存在がいることがうらやましい、ということだ。
もっとも、そういう相手は恋愛じゃなくても存在しうるとは思うけど、恋愛のマジックは強力だから。

もしかしたら、人がいくつになっても、程度の差こそあれ、恋愛を(あるいは恋愛をしていた時代を)忘れないのは、それが何かが動き出す始点だってことを知っているからかもしれない。

本作はこういったことを考えさせてくれる作品で、「ポルノ」じゃない。「恋愛について」の作品だ。


■年齢差

あらすじを読んだときに、ちょっとコメディタッチなのかな、と思った。
年齢に限らないけれど、立場や性別など様々な「差」を使ったコメディは多い。

実際は、たしかに多少、コメディっぽい部分もあるけれど、そこは添え物みたいなもので、年齢差は上記の「恋愛について」の諸々をより明示的に描くために活かされていたと思う。

本作を端的にいえば、{netabare}時間の重みで動けなくなったおじさんと、怪我によって動けない(走れない)女子高生が出会うことで、2人が動き、変化していく{/netabare}物語ということになるのだけれど、実はこの話は「おじさんとおばさん」でも、高校生同士でも全然成立する。
ていうか、恋愛物は一言で言ってしまえば「誰かと誰かが出会って恋をして変化する」フォーマットになるので、それだけに登場人物の設定と関係性にいかに特色を出すかが肝になる。

本作は年齢差を設けることで、{netabare}年齢とは反対に女子高生がけん引役になったり、年齢通り子弟的な関係になったりする状況を生み出していて、もちろん、これらは大きな魅力になってはいるけれど、最終的に2人は「約束を果たす」ことを誓い合った「戦友」として、同列になっている。少し乱暴かもしれないが、「恋愛(と、それがもたらすもの)には年齢差はない」{/netabare}という着地だ。
ちなみに、これは「だから、どんな相手でも恋愛しようぜ」みたいなことではない(もちろん、そう思う人がいてもいいけれど)。
実際、物語の終盤になると{netabare}恋愛色はどんどん薄まって、主人公2人は各々、自分の「約束」のために動き出して、恋愛は{/netabare}ことの始まりに過ぎなくなっている。
つまり、先の言葉をより正確に言うなら、「恋愛がことの始まり」であることに年齢差はないということになる。

年齢差によって様々なシチュエーションを生み出しつつ、最終的には{netabare}それを超えた普遍に至る構成には、ラストで2人が「戦友」となったこととも相まって、{/netabare}とても清々しい印象を持った。
これもひとつの成就のかたちだと思う。

※蛇足

本レビューを書いているうちに思い出した恋愛ものの作品を挙げてみました。
関心があれば、ぜひ、ご覧くださいませ。

・年齢差恋愛

「ハロルドとモード」
アメリカ映画。親子どころではなく、祖母と孫ほどの年齢差の恋愛もの。
本作との共通点はあまりない。というか、部分的には正反対のベクトル。

・「おじさんとおばさん」の恋愛

「恋愛ものはおじさんとおばさんでも成立する」みたいなことを書いているときに思い出した作品。若い人には想像が難しいかもしれないが、自分がおじさんになると、きっちり、おばさんが恋愛対象になってくるから不思議。

「コキーユ」
日本映画。おじさんとおばさんの恋愛もの、かつ、不倫ものでもある。
と書くと嫌悪感を抱く人もいるのかな。
私はそれなりに若い時に当時の彼女と観た。彼女は「浮気、ダメ絶対」な人だったが(まあ、普通はそうだと思うが)、号泣していた。
少なくともそういう作品ではある。とても切ない純愛もの。

「レスラー」
アメリカ映画。落ちぶれたプロレスラーが再起をかける話で、恋愛が中心ではないが、恋愛要素はある。もちろん、おじさんとおばさんの恋愛。
おじさんとはもちろん、再起をかけたプロレスラーなのだが、メンタル的には近藤店長(と後藤隊長と、認めたくはないが私)と共通したものを持っている。
「恋雨」とも「コキーユ」とも違うのはおばさんもまた、似たようなメンタルを持っていることで、そんな2人が出会うとどうなるかが見所といえば見所。想像できると思うが亀よりも遅い発展速度。残念ながら個人的には本レビューに挙げた作品の中でもっともリアリティがあった。
最後にこんなことを言うのもなんだが、あきらのようにグイグイ来てくれるのは、男としては楽だよな、とちょっと思う。こういう場合に「嬉しい」よりも「楽」が先に立つのが(一部の、だが、それなりの数の)おじさんのメンタルである。女子のみなさまは覚えておくといつか役に立つかもしれない。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5
ネタバレ

るるかん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

夢への扉を開く鍵

 女子高生とおっさんがどういう恋愛を展開していくのだろう・・・?という興味からこの作品を見始めたわけですが、最終話に近くなるにつれて、これってそういう話じゃないのか・・・?{netabare}と感じてきたのです。・・・で結局付き合うとか、そういう結末には至ってないと思うのですが・・・。だめだね~俺のような下衆なおじさんはモテないわけですねw
 
 『あきらめかけていた夢の扉』をもう一度開けるための鍵みたいな存在としてアキラと店長の恋(?)が描かれていました。だから当然、恋人同士というわけじゃない終わり方でしたが、二人にとって『夢』の扉を開いてくれた大切な存在として、潜在的な恋が成就したとみるべきなのでしょう。悪くない話でした。{/netabare}
 もちろん、続きがあるのでしょう。原作ファンの方はこの終わり方をどのように捉えているのか、みなさんのレビューを拝見したいと思います。
 
=================================

11話~12話{netabare}
11話のお話を見た後に、これって・・・恋の話が決着する話じゃないのかな?・・・という疑問が湧いて、11話を見た後に最終話を見てからレビューをまとめようと思いました。12話を見て、アキラの恋を通じて、店長とアキラ双方があきらめかけていた自分の夢を追いかける決心をする。お互いの距離が詰まっていくのは、自分がやり遂げたと感じた後になるようですね。その決心をするのに、親友の大切さを11話に加えて、揺らいでいた気持ちに区切りをつけ、12話でお互いの道を進んでいこうと励まし合って終了。原作は続きがあるのでしょう。ここで終わりだったらあまりにも中途半端ですからね!!・・・ってことで、なんともしっくりしないまま終わってしまいましたが、恋が進展したのはユイと吉澤君でしたねw あきらめかけていた夢への扉を開くような恋ってことですね~。悪くない話です。{/netabare}
10話{netabare}
あきらと店長の共通項が、『道半ばで夢をあきらめざるえなかった』ということみたいですね。自分の夢の為に家庭を壊してしまった店長のトラウマをあきらが払拭できるかどうか・・・。
二人は今、同じ土壌に立ち、無意識にお互いの言って欲しい言葉のやり取りを繰り返す。『こんな俺の・・・』に対し、『そんな店長だから・・・』で返す言葉のやりとりは強烈に店長の胸に響いたでしょう。よく分かります。恋が成就するには必要な心理的高揚を促す言葉のやりとりで、とてもいいシナリオでした。これなら店長もあきらのことを好きになるかな・・・って思えるシナリオがやっときたって感じです。いい話でした!!
はるかとの関係はどうするんだろう・・・?このままだと友情より恋の方が重要ってことですが・・・それでも構わないんだけど・・・。今のままだと中途半端すぎると思うのです。{/netabare}
9話{netabare}
退屈でありきたりな『いい話』でした。この回の必然性が今一つ分からないが、最後の店長の一言であきらの気持ちが軽くなり・・・店長ありがとう~大好きよ~的な余韻を残すということなのかな?九条ちひろって男の同級生だったのね。原作読んでないから、てっきり奥さんだと思ってた・・・w話の辻褄は合ってるし、必要っちゃ~必要な話なのかもしれないけど、それほど大切なエピソードには思えなかった。{/netabare}
8話{netabare}
店長とお友達関係になってメアドもゲットしウキウキな感じでしたが、内容としては一頓挫って感じで、恋の進展は一休みって感じでした。
アキラにとって大切な友人はるかを夏祭りに誘い、離れかけていた友情関係を引き戻そうとした行動はアキラのはるかに対する優しさと謝罪の表れでしょう。それほどの内容ではなかった回でした。でもやっぱり、EDはいいよね!{/netabare}
7話{netabare}
『・・・・この感情に名前をつけるのはあまりに軽薄だ。それでも今彼女が抱えている不安を取り払って救ってやりたい。たとえ自分にそんな資格があるとは思えなくても・・・この感情を・・・この感情を・・・この感情を恋と呼ぶにはあまりにも軽薄だ。・・・・・』純文学が好きな店長らしい思いの丈で素敵でした。相手が女子高生だから、『この感情を恋と呼ぶにはあまりに軽薄だ・・・』と思いたい店長の気持ちも分かる。しかし、店長はもう恋だと意識していることの証しともとれる。ハグの場面と店長の感情を表す心のつぶやきは、なかなかいい場面でした。さて、これからどうなるのか楽しみです。{/netabare}
6話{netabare}
今回の話は後半への繋ぎかな・・・。何らかの意図を感じるストーリーで次回以降にどう繋がりを持たせるのか楽しみです。{/netabare}
5話 {netabare}
好きという気持ちだけで突進してくる女子高生を、離婚して子供と離れて一人暮らしをしている店長がどう受け入れて、自分を納得させていくのか、その辺の心理描写があるかどうかが私の期待する所です。今後のシナリオ・展開がこの作品の質に関わる部分だと思うので楽しみにしたいと思います。{/netabare}
4話{netabare}
加瀬みたいな男は反吐が出るくらい嫌いだ。ぶん殴るくらいして良かったと思うが・・・。店長の『俺が傷付きたくないだけだ・・・』という気持ちは分かるね。デートといっても実感は湧かない感じが出ていてお互いの想いの強さの違いが鮮明に出ていた。あまり見所のない回だった。{/netabare}
3話{netabare}
あきらの告白は直球だが、年齢差を考えると『真剣さ』を伝えるには直球しかないだろう。強引なくらいの押しやリードもあきらくらいじゃないと店長は動かなかっただろう。でもまぁ、あきらにとっては、第1段階突破ってとこですかね?真剣さが伝わればあとは店長次第だし・・・。これからお付き合いが始まるのかな?次回も楽しみです!!{/netabare}
2話{netabare}
女子高生に『好き』って言われたら、店長の年齢なら恋愛ごととは思わないよな。単刀直入に『好きです』って言ってしまうあたりが若さと勢いって感じで初々しくていいと思う。店長を好きになった理由は1話が全てなんでしょうか?まぁ、今後どんどんその想いが膨らんでいくのでしょうね。ただ、この年齢差で女子高生がおっさんを好きになる理由としては1話だけでは重みが無い感じがします。あきらがしっかりして落ち着いた女の子だから尚更不可解に感じます。面白そうなシナリオだし、そこだけちょっと残念ですけど、あまりこだわらず続きを楽しみたいと思います。店長はいつマジになるんだろう・・・。ED曲はいい曲ですね。買いたくなっちゃいます!!{/netabare}
1話{netabare}
あきらの雰囲気は割と好きだな~。女子高生らしい可愛らしさは表現されていると思う。だけど、シャツの匂いまで嗅ぐかな?そのあたりの描写は謎です。女性陣のレビューに書いてもらいたいところですw
バツ1子持ちの店長の哀愁の中にある優しさに惹かれるのでしょうかね?謎です。あきらがどうして店長に惹かれたのか、もう少し説得力のある理由がないとシックリこないなぁ・・・。これから分かることなのかな?
1話目は微妙な感じですが、気になるので見ていこうと思います。謎が多くて逆に面白かったしねw{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 34
ネタバレ

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

演出&構成の妙、ただひたすらに美しい 

☆物語&感想☆

女子高生が45歳の冴えない中年男性に恋をする、ジャンルとしては恋愛になるんでしょうが、
この作品は純粋な恋愛モノかと言われれば、そうとも言えるし少し違うとも言えるかもしれません。
よくある恋愛作品では、その多くが告白をクライマックスに持ってくるものが多いものの、
本作ではそこまでの過程はあまり描かれず、むしろ告白してからの物語。
恋が成就する、しない、と言った結果に重きを置いて本作を観るなら肩透かしを食らうかもしれません。

設定として店長と従業員、女子高生と45歳でバツイチ、子供有りという立場上、
その想いにどう向き合っていくのか、グイグイと来る橘さんに対する店長の行動は、
常に思慮深く理性的でしたが、揺れ動く心情はとても繊細に描かれていて、
本作の象徴的なシーンとして、7話台風の日の場面は最大の魅せ場だったと思います。
まぁ自分だったら絶対抱いてしまうでしょう、犯罪やけど笑

店長に想いを寄せる橘さんの恋、という序盤からの流れでは、
{netabare}7話の店長が橘さんをハグして「友達」として、と伝えたところで一旦落ち着いて、
それ以降橘さんもある程度それを受け入れたのかな、とも思えました。{/netabare}
で、お互いの関わり合いの中で自分の中に仕舞っていた、忘れていた思いを呼び覚まし、
一歩歩き出す。。ラストは少々唐突かなとも感じましたが、
将来的な可能性に含みを持たせた想像の余地を残す終わり方で、タイトルも回収、綺麗でした。
この物語は毎話と言っていいほど雨の描写が有りましたが、
店長と橘さんの関係、二人の胸に押し留めていた想いは、
言ってみれば降り続く雨の中の雨宿りだったんでしょう。

後半の店長と旧友の友情、描かれ方もノスタルジックで味わい深く、
また橘さんとハルカの関係も瑞々しく青臭い青春を感じさせる、こちらも同様に上手く描かれていたので、
純粋な恋愛だけじゃない、もう一つのアナザーストーリーとしても楽しめ、
結果的に上手くまとまっており良かったと思います。

☆声優☆

この作品が成功するかどうかは、ぶっちゃけ店長のキャスティングと演技に掛かっている、
と言えるぐらい重要だったと思いますが、平田広明氏は見事期待に応えてくれましたね。
冴えない間抜けな中年男性の一面と、逆に含みを持たせじっくりと聞かせる演技は圧巻。
最近観た「B:THE BEGINING」では圧倒的な凄みと渋さでしたが、
今回は演じ分けが凄い、またしても名優の演技を堪能させてもらいました。

橘さん役の方もイメージ通りで良かったですが、
それ以上に意外な発見として驚いたのは、西田さん役の福原遥さん。
初めて久野美咲さんの声を聴いた時くらいの、特徴的な萌えボイスが衝撃的でした笑
ノイタミナによくある芸能人のゴリ押しキャスティングながら、
普段女優メインでも子役からやっていて声優経験もあるだけあって演技も全く違和感なく良かったです。
あの声は今の声優界でもなかなかの逸材だと思うので、今後声優としても是非活動してもらいたいですね。

☆キャラ☆

店長の台詞がとにかく平田広明氏の演技によって抜群の説得力を持って響いてきました。
作者は女性ながらヒロインの橘さん以上に、中年男性の店長の描写が優れていたのは驚きました。
橘さんとハルカは店長とは対照的に自身の独白は殆どありませんでしたが、
キャラの思いを汲ませるには充分。
橘さんの店長への想いが一点の曇り無く真っ直ぐで純粋で美しい...ほんま店長裏山過ぎる。。
脇役ながら西田さんが癒しの存在で好印象、彼女の涙には思わずもらい泣き。

☆作画☆

まずキャラデザインが今風のアニメにありがちな感じじゃなく、
どことなく昭和っぽいところに惹かれましたね~橘さん何頭身?...スタイル良すぎ。
WIT STUDIOの安定感は最後まで保たれ、1カット1カットの見せ方が印象的なシーンが随所に見られました。
橘さん、ハルカ、西田さんの表情、横顔が何とも美しかった。

☆音楽☆

OPはそんなに好みでもなかったですが、
底抜けに明るくファンシーかつポップなアニメーションとの相性は良かったと思います。
対照的にしっとりと聴かせるAimerのEDが抜群で毎話素晴らしい余韻を与えてくれました。
そして何と言っても作中BGMが良い仕事してましたね、曲数はそこまで多くはなかったようにも思いますが、
とても印象的で胸に響く良い曲だったと思います。


最後に...物語の展開や出来事だけを見ていくと、
恋愛作品としては単純に劇的さや面白さはそこまで無いかもしれませんが、
この作品は各キャラクターの心の機微の描き方や演出面が見事で美しかった。
雨の背景、表情の見せ方、間の取り方、聴かせるBGM、
そこに重なる平田広明氏の圧倒的な演技と含蓄のある台詞の数々...
情感の豊かさ、趣きは芸術性すら感じさせる、大人の感性に訴えかけるノイタミナらしい秀作だったと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21

80.3 9 切ないで漫画原作なアニメランキング9位
「ReLIFE」“完結編”(OVA)

2018年3月21日
★★★★☆ 3.9 (464)
2134人が棚に入れました
「ReLIFE」は社会で挫折を味わった27歳の主人公・海崎新太が、とある研究の被験者になり高校生活をやり直す姿を描いた作品。テレビアニメは2016年7月より放送され、完結編ではテレビアニメ全13話の続きとして海崎のリライフ実験が終了するところまでが描かれている。

声優・キャラクター
小野賢章、茅野愛衣、木村良平、戸松遥、内田雄馬、上田麗奈、茜屋日海夏、杉山紀彰、浪川大輔、沢城みゆき、羽多野渉、白石涼子
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

青春のやり直し…その結末

あの続きを見ることができる、本当にありがたい。すでに全話が出ていますが、AT-Xで1話ずつ放映してくれるので、そこまで待っていました。続きなので、前回に重ねていこうと思います。

14話…そして気づいた
{netabare}相変わらず千鶴はかわいい。というより、可愛くなったと言って良いのでしょうね。表情も変わる、笑顔も出る、友達とも気軽に会話できる。本当にこの子は大丈夫か?という最初の頃が懐かしい。
千鶴が新太を被験者と疑いはじめたけど、それは新太を意識しているからこそ。まぁ、新太も千鶴も考え方や行動が大人だから分かりやすいんだけどね…。了から杏へのバトンタッチ、杏も相変わらずよい。
文化祭実行委員に選ばれた新太と自薦の千鶴。本当に似合いはじめている。そして、自分の気持ちに正直になった新太。「日代さんが好きだ…。」おぉ、おぉ!その言葉を待っていたぞ!
そういや、学園もので文化祭をまともに話に入れる作品て、最近少ないような気がする。けっこう楽しみ。{/netabare}

15話…他人の記憶には残らなくても
{netabare}文化祭、新太たちのクラスはカフェ。執事&メイドで賑やかに。
千鶴はもやもやの気持ちを確認するかのように新太に対して積極的に。嗜める新太だけど、逆に思いが深くなる。クラスメイトととの交流で、このまま成長できないかと思うようになるが、了から色好い返事はないが、新太の変化がとても良い方向だという。
卒業の記念写真。新太も千鶴もこの写真から消えることになっている。それでも撮影は行われる。離れた二人が見つめ合いながら。

千鶴が積極的だ。好きな子にあんなにグイグイ来られて嬉しくないはずはない。けど、新太のどうしようにもない気持ちがとても切ない。見ている方ももやもやだよ…。{/netabare}

16話…デートします(by戦場ヶ原ひたぎ)
{netabare}押してもダメなら引いてみなと試す千鶴。玲奈に促され、千鶴は新太をクリスマスデートに誘う。二人で楽しいひとときを過ごす。二人を見守る杏と了。でも、見守る方も切ない…。プレゼント交換する二人。新太も千鶴も先が見えているだけに気持ちが揺れる。が、互いに気持ちが同じだったことを理解する。ようやく通じあった二人だった。

やばい、ラストのシーンから涙止まらなくなった…。EDの入れ方の絶妙さ、そして二人を描いた絵の美しさ。これまで見守ってきた二人の関係がここで通じあったことへの思いも重なって、本当に涙なくしては見れなかったです。でも、もう最後が待っているんだな…切なくて切なくて…。

デートシーンの動かし方、上手かったな。予算が少ないなかで精一杯描いた感じが交換持てました。あのプレゼント、きっと最終回の重要アイテムになるんだろうな。あぁ、もう終わりか…。{/netabare}

17話…思い出とともに去りぬ…けど、思いはきっと通じる
{netabare}卒業が迫る。新太のリライフ実験は成功と判断された。千鶴と新太の関係は心が繋がったまま終えることになる。
卒業式。仲間たちとの別れ、それは仲間たちから新太と千鶴の記憶が消えていくことを意味していた。そして、新太と千鶴も別れのとき…。「忘れたくない」「忘れない」本当のことを伝えないまま、そのときは訪れた。
実験の終了。新太、千鶴ともに薬を飲んで実験を終えた。千鶴がそっと手に書いた文字を見て涙が止まらない杏だった。
ちょっとだけ時が過ぎる。新太はリライフ研究所に就職していた。その飲み会の席で偶然にも千鶴と出会う。千鶴もリライフ研究所に就職していた。しかし、二人が過ごしたことだけは思い出せないため、初対面の感じである。その帰り際、二人はまた合う。被験者を隠さないでいた新太に千鶴は自分も被験者であったことを告げる。その思い出を語るなか、二人は互いのことを思い出す…。

もう、卒業、杏の号泣、ラストのシーン涙止まらなかった。切ないやらほっとしたやらで。最後はこうなるだろうと、なってほしいと願った通りの終わり方だったなと思います。千鶴のリライフ就職は了と杏の置き土産だったんだな。そりゃ、二人のことを了も杏も何とかしてやりたいけど何もできないもどかしさが強かったしね。いい繋ぎ方だ。それと、新太の訪れた先が大神というのもね、そういや、兄貴のことで悩んでたっけ。
これにてリライフの物語は終了。良い物語でした。{/netabare}

良いラブストーリーでした。って、本来は青春群像劇だったんだけど…。まぁ、4話に綴じ込めようと思ったら、新太と千鶴の二人の物語にしないとまとまらないです。ほのかと二人のこと、リライフ研究所の中身と本当の目的、了と杏のこと、そのほか、たくさん積み残したまま終えてしまいました。二期は無理だと思っていただけに、二人の結末を見ることができただけでもありがたいことではあります。

千鶴と杏の二人、茅野さんと上田さんが本当に良かったと思います。最終回のデキは秀逸。絵はきれいなんだけど、ちょっと違和感がある場面もあったかな。モブが単なる影の表現は寂しいですけど、時間がないなか、予算が限られるなかでの手段だったのだろうと思い、それはスルーしておきます。

青春のやり直し、あの頃に戻ってやり直したいな、そう感じるちょっと疲れた大人に見てもらいたい、そんな青春ものです。興味を持った方は一期から通してみることをお勧めします。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 31

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

とっくに通り過ぎた青春時代をもう一度体験してみて、その結果得たものは…。

ReLIFE(リライフ)のOVA。

アニメ「ReLIFE」の続編で、
この4話で作品は完結します。

TV版もよかったけど、
この完結編はたった4話でTV版に匹敵する満足度が(*´ω`*)

TV版だけで終わっているともったいないです!
完結編まで見届けて初めてこの作品の良さが味わえました^^

OVAは全4話です。


● ストーリー
27歳の海崎新太(かいざき あらた)は、
仕事をやめてニート生活。就職活動も難航。

そんな時にリライフ研究所の夜明了(よあけ りょう)に声をかけられ、
一年間高校生として過ごすという実験に参加することに。

夏休みも終わり、2学期。

進路相談など、高校生活の終わりが見えてくると同時に、
その先のみんなの中に自分はいないことを考えてしまう。

そして日代(ひしろ)さんへの気持ちも加速していき…。


たった4話しかないので、
時間の経過がものすごく早いです。笑

文化祭して、クリスマスがあって、あっという間に卒業式…。

周りに恵まれ、楽しい高校生活が送れて、
幸せですね^^

いつでもみんなとのにぎやかな日々があって、
それを噛みしめるたびに終わりの時を寂しく思う新太。

卒業したらみんなの中から自分は消えるとわかっていて、
だからこそ日代さんへの気持ちも押し殺そうとする。

TV版では悩みや葛藤に苦しむ登場人物たちが描かれ、
新太はサポート的な立ち位置にいましたが、

OVAではみんなが楽しそうな描写で、
悩んだり葛藤しているのは新太や日代さんです。

自分のこの気持ち(ズバリ恋心)にどう向き合うか。

ハッピーエンドになってほしいけど、
都合の良い展開では満足できないぞーと思っていましたが、

設定に矛盾の生じない、かつ、個人的に納得のいく終わり方で、
私はとても満足です^^


≪ 新しい自分へ ≫

人生に行き詰まったとき、
ゲームのように簡単にリセットはできない。

だけどもし、リセットすることができたら、
新しい自分になって、また進み始めることができるかもしれない。

人の心の問題は、
人の中でしか癒されない。

人との関わりの中でしか、
本当の自分も、新しい自分も見つけることはできない。

生きていくことの基本は、
やっぱり人と関わることなのだなあ。

関わりなしで有意義な人生を送ることはできないし、
輝く自分を見つけられない。

自分がここにいる喜びを感じることはできないし、
自分をまっすぐ見つめることはできない。

この作品が直接的に、
説教的にそう語っているわけではないけれど、

新太たちの姿を見ていると、自然と考えさせられます。
人との関わりはいいものだと。かけがえのないものだと。

リライフして、手に入れた新しい人生と新しい自分。

きっと今までよりも自信を持って、
自分のことが好きになって踏み出せますね^^


● キャラクター
TVシリーズからの変更はありません。

強いて言うなら、登場人物以外のモブがほとんど、
影でしか描かれてないのがホラーでしたw

OVAだし、そこまで手がかけられなかったのかな?

でもやっぱり登場人物たちは安定しています。

私が好きなのは変わらず大神(おおが)くんです。

狩生さんの話で照れて赤面する大神くん可愛すぎてやばい(*´Д`)
ピュア大神最高(*´Д`)

新太もかっこよかった♪
優しい新太は、いい旦那さんになりそうです^^

日代さんを思う切ない新太を演じる小野賢章さんの声がよかったです。
きゅんとした(*´Д`)


● 音楽
【 OP「ボタン」/ PENGUIN RESEARCH 】

TV版と変わらないOPです。

でもこの曲大好きだから、問題ないです♪


EDはTV版同様、“新太が高校時代に聴いていたMDに入っている曲”というコンセプトの選曲。

選曲もいいし、今回はアニメーションとの相性もよかったです^^


● まとめ
リライフ生活は、
リセットされた環境での一からのスタート。

今いる自分を殺さずに生まれ変わらせるって、
真面目に考えてみると、結構実用的な実験だよね。

実際にこれからあってもおかしくなさそう。笑

いい青春物語でした。

OVAは話数が短いけど、
ちゃんと完結まで描いてくれて嬉しかったです♪

TV版も良かったけど、
このOVAはさらに良かった。

見てよかったと思いました^^

投稿 : 2024/11/02
♥ : 31

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

海崎新太(27・無色)のやり直し青春ライフ、ついに完結…。

2016年の夏アニメで放送されてから約2年…
まさかこの作品の完結編が出るとは知らなかったので、私にとっては嬉しいサプライズでした。

アニメ本編では、海崎が3年生に入学するところから始まり1学期と夏休みまでの出来事が描かれていました。
この完結編では、思い出の詰まった夏休みが終わり2学期を迎えたところから物語が始まります。
もちろん、物語の内容は本編から繋がっているので、本編未視聴の方はそちらからの視聴をお勧めします。

この完結編の見どころは…私は「気付き」だと思います。
高校生になって個性的なクラスメイトと知り合って友情を育んでいく…
そこには高校生ならではの葛藤や悩みが溢れていて、27歳の海崎にとっては良い刺激だったのではないでしょうか。
社会人が道を決めて踏み出す一歩と、高校生の一歩は重みが違います。
そりゃ、背負っている荷物の大きさが違うから当然といえば当然です。

でも、この作品を見て思ったのは学生時代に踏み出した一歩によって自分に跳ね返ってくる責任・感情・事象…
これらは社会人として一歩を踏み出すための貴重な経験だった…ということです。
だから重さではなく踏み出すことが大切なのだと、この作品を見て思いました。

彼らは一歩ずつ歩んでいきます。
そして誰もその歩みを止められない…
その道は順風満帆で良い事ばかり…ということは決してありません。
悔し涙を流したり、死ぬほど後悔したり…
全ては人として成長する過程であり、これは誰もが通る道だと思います。
きっとこれが学生の本分なのかもしれませんね。

この物語は、学生の本分を噛み締める一方で、もう一つの気付きを与えてくれます。
ゼロからのスタートで最初は何でもなかった…
でもある日ふと気付くと視線が…きっとこれも誰もが通った道だと思います。

自分の意のままに行動する…もちろん縛りはありますが、これは学生に与えられた特権の一つです。
周りは当然の様にその特権を行使します。
でも、自分自身の枷がその特権に歯止めをかけるんです…
だって学生であって学生じゃないから…

だからこの葛藤も気付きが与えてくれた恩恵なんだと思います。
進みたい思いを必死にこらえて…でもまた直ぐ壁に直面して、そんな堂々巡りの繰り返し…
でも仕方無いんです…これが自分の選んだ道なんだから…

だから課せられた運命は受け入れる必要がありました。
それが最初の約束でもあったから…
でも、気付きから生まれてこれまで大切にしてきた気持ちが、運命を受け入れつつも抗わずにはいられなかった…
正直こんな展開は予想だにしていませんでした。
だって、全然抗うこと自体想像できなかったから…
だからそれがどれほどの効力があるかは分からない…
それは自らの記憶に刻むため…そして未来の自分の可能性に賭けた最後の足掻き…
私も小野屋と一緒にボロ泣きでしたよ…

この完結編における「気付き」とは何なのか…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
そしてラストの同調連鎖からの気付きはもう堪りませんでした。

オープニングテーマは本編と同じ…
エンディングテーマも本編同様、懐かしい歌が目白押し…
でも、16話のエンディングが久保田利伸 with ナオミ・キャンベルさんの
「LA・LA・LA LOVE SONG」で良かったと本気で思いました。
ここぞっ、という絶妙のタイミングで流れてきましたから…

サプライズって、嬉しい事ばかりじゃないのは分かっています。
それでも、この完結編は私にとって間違いなく「嬉しいサプライズ」でした。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 24

65.6 10 切ないで漫画原作なアニメランキング10位
07-GHOST[セブンゴースト](TVアニメ動画)

2009年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (346)
2086人が棚に入れました
ラグス戦争終結から十数年後、バルスブルグ帝国の第1区で軍に入隊するためエリート生として過ごしていたテイトは、ある日、失われた記憶の一部を取り戻し、自分がラグス国王の息子であることを思い出す。
記憶を取り戻したテイトは軍を脱走し、第7区のバルスブルグ教会の司教たちに助けられた。しかし、彼の運命はすでに動き始めていた。

斎 美織 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

是非原作を!

アニメ07-GOHST全25話完結です。
キャラクター作画声優さん申し分ないです。
物語もあれはあれでいいのですが
原作を知っている者からすると
アニメはまだまだ物語の始まりで
これからがたのしいところです!
是非是非アニメの続き見ていただきたいです。

原作完結いたしましたが
私的には最初のわくわくから考えると
うーん…と思ってしまう部分もある終わり方でしたが
やはり原作は読んでほしいです。

内容キャラなどから見て
女性向けなアニメだと思います。
ほんのり腐向けなので苦手な人は注意!

内容はダーク?ファンタジーです。
主人公は過去の記憶を持たない少年なのですが
ひょんなことからその記憶を思いだし
幼い自らの前で父を仲間を殺した人物を思い出します。
その人物への復讐を果たそうと行動を起こすが失敗。
以降主人公は追われる身となってしまいます。
そんな主人公を拾ったのは教会の神父たち。
けれど彼らには秘密が有って…
そんな彼らと過ごすうち主人公は過去に起きた世界の危機
それを起こしたフェアローレンという死神、
其れを封じた7人の死神(07-GHOST)を知り
深く関わっていくことになります。

謎も多く次の展開、最後はどんな風に…?と
常にわくわく期待できる内容でした!
ギャグ部分は面白くシリアス部分は感動できて
何より愛情友情に泣かされます。
見て損はないかと!

アニメでも十分感動できますが
原作ではさらに踏み込んで感動できます!
アニメ原作共に泣きました←

余談ですが私の推しメンは
コナツ=ウォーレンです!
声優さんが岸尾さんなのもイメージぴったりですし!
何より容姿性格共に可愛い!
ヒュウガとの絡みは微笑ましいです(笑)
ドラマCDではぶっ飛んだ部分も明かされ
もうホントに可愛いです←

主人公テイトくんの斎賀さんボイスも
素敵に似合っていましたし
フラウの俺様何様諏訪部様具合も
とてもイメージに合っていました!
アヤナミ様の速水さんボイス!!!!!
協会側も帝国軍側も
みんな豪華すぎる声優陣を持て余すことなく
イメージとぴったりで素敵でした。
クロユリ様の声優さんが
私的に少し残念ですが
あれはあれで可愛いかも知れないです。

そして何より私は
アニメでもっとも感謝したのは
ランセのかなりのイケメン度です(笑)
あの特徴的な髪形をあそこまでイケメンに…!

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10

柚稀 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

俺は、失ってばかりだった…けれど…。

全25話。
キャラ、イケメンわんさか(*゚▽゚)ノ   
描かれる、熱い友情☆
シスターに死神☆司教、カストル様!(ナイスメガネ☆)ラブラドールくん(可愛い♪)
そんでバトル、またバトル!!
これは、きっとおもしろい!!((o(>▽<)o))

…………………………!?!?!?Σ(゚д゚;)

ってあれ??www
こ、こんなはずでは…(´・ω・`)が25話観た感想。。。。。


スクラー(戦闘用奴隷という意味らしい)から、
軍隊へと入隊したテイトには生まれながらに課せられたおっきな運命があって、
紐解かれる記憶と復讐の思い、
そして親友であるミカゲの想い、を胸に戦う。
のですが…

…ですが。
前半というかはじめの数話の展開は、テンポよく、
いい感じにバタバタとしていて、観ていて気分良かったのだけれど、
それ以降のスロー、超スローな展開にはちょっと残念。。。。。

いつ攻め込んでくるんだ?どうなんだ?
と結構楽しみにしていた、テイトを追う軍側、アヤナミが率いる敵さん部隊の登場も少なめで、
5,6人いる敵さん達の名前もいまいち覚えられずw

能力もそれぞれ、使用する武器もそれぞれ、なので、
敵さん達の戦闘シーンも期待していたのですが、
思ったほど、さほど描かれることはなく。

僕の期待とは裏腹に物語は進んでいきましたとさwwwww

そんで25話終了後、気付いたのは…
これは今後の物語へ続く、プロローグにしか過ぎない。
ということでしたwww

…まだ、あるんすか?
あんたけスローだったんだから、何とか25話に収まらなかったのですか…??

モヤモヤとした問いかけだけが残りました(〃゚д゚;A

ただ、声フェチとしての目線wでいいましたら、
イケメンキャラ揃いだけに“いい声”がたくさんしました(*´∇`*)

福山潤・浪川大輔・入野自由・諏訪部順一・宮田幸季・岸尾だいすけ・朴璐美・斎賀みつきなどなど♪

特にテイトの声、斎賀みつきさんは“カナリヤ”という曲を聴いてから、男性ばりにかっこよすぎる歌声に惚れましたd(>_・ )グッ!ww

投稿 : 2024/11/02
♥ : 16

nani-kore さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

あまりのマンネリ展開に、ちょうど真ん中あたりで断念;

15話目で断念;
だって、あんまりマンネリ過ぎて。。。

出だしはすごく良くって、ワクワクしたのになぁ~3
主人公、テイト・クラインが教会に逃げ込んでからは、もう、超マンネリ展開でつま~んない;;

あまりのマンネリさに疲れ切って、14話目で一休さん。
数週間後、久しぶりに観たら、こりゃもうダメだ~3
ストーリー設定がムダに凝っているから、ついてけないのである。
最初はちょっと影のある、クールな美少年だったテイトも、どんどん惰弱でセンシティブなBL少年と化しているし。。戦争奴隷だった暗い過去はどうなったんだよ??

あともう少しで観終わるから、がんばろーと思ったけど、アニメ大国ニッポンでは、インド映画に勝るほど様々なアニメが量産されているし、過去の良作だって山ほど埋もれているのである。
そんな宝の山をあきらめて、こんなつまらない超マンネリBL指定アニメ(だから観たケド)を、我慢して観続けるなんて、バカバカし過ぎるではないか。。

んなワケで、ちょうど折り返し地点で残念だが、断念;
導入部分では本当にワクワクさせられたし、ストーリー設定も凝っている作品なので、中盤の耐えがたいマンネリ感がムカムカするほど残念だ。
。。どーにかならなかったのか?どーにもならなかったのか??

画はキレイだし、イケメンもいっぱい。
それだけあれば十分な方は、ぜひお試しあれ。。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11

81.2 11 切ないで漫画原作なアニメランキング11位
昭和元禄落語心中(TVアニメ動画)

2016年冬アニメ
★★★★☆ 4.0 (904)
4160人が棚に入れました
昭和の落語界を舞台にした噺家の愛おしき素顔と業を描いた作品

師匠と交わした約束を 胸にしまって芸を磨き ついに与太郎、真打に。 射止めた名跡は三代目助六。 八雲師匠の為め、助六の血を継ぐ小夏の為め、 焦がれて手にしたはずなのに、 おのれの落語が揺るぎだす――。 八雲と小夏、二人の中の助六を変える為めの 与太郎の落語とは――!?

声優・キャラクター
関智一、石田彰、山寺宏一、小林ゆう、林原めぐみ、家中宏、牛山茂、山口勝平、加瀬康之、須藤翔、茶風林、遊佐浩二、林家しん平
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

芸道修行と愛憎トライアングル - BLコミック出身作家、畏(おそ)るべし -

「落語」「人情噺」「ホモ/BL(※因みにこれは誤情報です)」といったタグがついている本作を視聴する予定は、元々全くなかったのですが、2016年放送・上映アニメの個人的BEST10を作ろうとして、同年の本サイト作品ランキングを確認したところ、本作が第14位(2017/1/31時点)に入っており、かつ、総合 4.0 (物語も 4.0)という高い評価を取っていたので、これを見ないでBEST10を作るのは拙(まず)いだろう・・・と考え直して、さらっと流すつもりで視聴を始めました。

そうしたら、これが第1話(※実質2話分のスペシャル回)から退屈する暇なしの面白さで、ラスト手前(第12話)の山場+謎の回収もピッタリ決まり、最終第13話は投げっぱなしだった第1話ラストに確り話を繋げて、かつ今後の新展開をも期待させる上手い締めくくり方で、見終わった直後から「これはもう一回、最初から確り見直さなければ・・・」という思いに駆られて、そのまま2周目に突入してしまいました。

そうやって、

(1) 1周目は、全体シナリオの整合性が確り保たれている作品なのか?にとくに留意して完走し(=シナリオ・チェック型視聴)、
(2) 2周目は、今度はシナリオは頭に入っているので、それを踏まえて個々の登場キャラクターが、各々のシーンでどのような心の動きをしているのか?そして、そうした心情が果たして映像として過不足なく描き出されている作品なのか?を見極めることに留意して完走し(=感情描写チェック型視聴)、
(3) さらに念を入れての3周目は、OP/EDや、作品中に登場する小ネタ(落語の演目内容や登場キャラクターたちがふと口にする言葉など)に、何か隠された/見落としている含意がないか?等を慎重に見極めつつ、もう一度、シナリオ&感情描写の両方を総合的に確認していく気持ちで完走して(=総まとめ的視聴)、

・・・結局、見始める前は考えもしなかった3周完走となってしまいました。
こうした3周コンプは、2016年放送のTVアニメでは、『Re:ゼロから始める異世界生活』(※個人評価 ★★ 4.6)、『響け!ユーフォニアム2』(※個人評価 ★★ 4.8)に続いて3作品目で、本作に関しては、

①全体シナリオの整合性が確り取れており、
②個々の登場キャラクターの感情描写も的確で、
③なおかつ、OP/EDや個々の会話に秘められた謎解き・含意も楽しめる、

・・・三拍子揃った《優秀作》と認定して、個人評価を『Re:ゼロ』と同点の ★★ 4.6 とすることにしました。


◆作品内容

本作の原作者(雲田はるこ氏)はBLコミック作家として商業デビューした方とのことですが、本作自体は、決して《ホモ/BL作品》ではありません。

本作の内容を強(し)いて挙げるなら、
{netabare}
①同日に落語名人の師匠に弟子入りし、兄弟分として育った落語家の青年同士の、厳しい《芸道修行》と、
②師匠の妾(めかけ)として彼らに出会った年上女性と彼らとの間に生じる《恋情と執着》の進行過程、
③そして迎える《悲劇的な結末》、を描き切った《濃密トライアングル愛憎劇》
{/netabare}
・・・といったところでしょう。


◆制作スタッフ
{netabare}
原作コミック     雲田はるこ
監督         畠山守
シリーズ構成     熊谷純
キャラクターデザイン 細居美恵子
音楽         澁江夏奈
アニメーション制作  スタジオディーン{/netabare}


◆各作品タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

============ 昭和元禄落語心中 (2016年1-3月) ============

- - - - - - 与太郎放浪篇 (昭和50年代) - - - - - -
{netabare}
第1話 ★★ 強次の出所、弟子入り、寄席(出来心、初天神)、失態、八雲師匠の長話 ※約48分(2話分){/netabare}

- - - - 八雲と助六篇 (昭和初期~30年代) - - - -
{netabare}
第2話 ★★ 坊(ぼん)と信さんの弟子入り、初高座(菊比古、初太郎)、二人の実力差
第3話 ☆ お千代との逢瀬、満州皇軍慰問と疎開、終戦、寄席の復活、師匠・信さん帰国、二つ目昇格、みよ吉登場 
第4話 ★ 信さん助六に改名、菊と助六の共同生活、菊とみよ吉の馴れ初め(踊り・小唄の稽古)
第5話 ★★ 助六・菊それぞれの嫉妬、菊とみよ吉の逢瀬、美鈴座(鹿芝居、女形(弁天小僧))
第6話 ★★ 何のための落語、菊の開眼(艶笑噺(えんしょうばなし)・廓噺(くるわばなし)・・・品川心中)
第7話 ★ 助六人気と増長・反感、師匠の巡業同行要請、菊・みよ吉の心のすれ違い
第8話 ★★ 上方巡業、鬼灯(ほおずき)市の宵(助六の懸想、菊・みよ吉破局)、落語の将来、先代助六、名跡の重み
第9話 ★★ 真打昇進披露、別れ話と恨み、助六破門、傷心同士の同棲・転落、助六の本心吐露
第10話 ★★ 入門志願(樋口少年)、師匠の過去話(初代助六との因縁)・葬儀、祖谷(いや)温泉(小夏との出遭い)
第11話 ★★ 助六との再会、芸の肥やし、助六の借金返済、子夏の髪切り・野ざらし
第12話 ★ 有楽亭二人会、助六の人情もの(芝浜)、みよ吉との再会、違え心中 ※脚本は良いが演出が残念×
第13話 ★ 小夏引き取り、八雲襲名・落語心中の断、因果、与太郎の真打昇進内定、三代目助六 ※後半は昭和末期~平成初期{/netabare}
--------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)8、★(良回)6、☆(並回)1、×(疑問回)0 個人評価 ★★ 4.6

OP 「薄ら氷心中」(第3-8話、10話、13話) ※第1話のみEDとして使用(背景は文字のみ)
ED 「かは、たれどき」(第2-9話、11話、13話)


※本作(アニメ第1期)は、原作マンガの第1巻~第5巻途中までの内容を収録。
※2017年1月より放送が始まっている続編(アニメ第2期)は、原作マンガの続き~最終第10巻までの内容を、おそらく幾分改変しつつ収録するものと考えます。


◆視聴メモ

{netabare}・昭和16年(1941年)の時点で、信さん・菊比古とも18歳(1923年頃の生まれ)、そして、みよ吉はその5歳年上なので23歳(1918年頃の生まれ)
・第9話で、みよ吉が、まもなく「赤線(※売春防止法施行以前に公娼認可のあった区画)」が廃止されるので置屋(※芸者を置いていた店)から出なくてはいけない、と言っているので、この時点で昭和32年(1957年)頃(→助六&菊比古34歳、みよ吉39歳)
・第10-11話で登場する小夏は、かなりの才覚があるにも関わらず未だ小学校に通っていない様子なので、この時点での彼女の年齢を6歳と仮定すると、昭和38年(1963年)頃(→助六&菊比古40歳、みよ吉45歳)
・第1話で、助六没後20周年特集の落語雑誌が出て来るので、この時点で昭和58年(1983年)頃(→八代目八雲師匠(=もと菊比古)60歳、小夏26歳、与太郎21歳くらいか?)
・第13話後半は、第1話からさらに10年近く経った後の話なので、平成5年(1993年)頃(→八代目八雲師匠70歳、小夏36歳、与太郎31歳くらいか?)
{/netabare}


◆本作のモチーフ考察 : 歌舞伎の《助六心中》の落語家バージョンを狙った?

落語家といえば、《滑稽噺(こっけいばなし)》を次から次へと繰り出して、ひたすら寄席の客を爆笑させる人、という楽しいイメージが強くて、たまにシンミリとする《人情噺》や、冷やっとする《怪談噺》を語りだすことがあっても、さほど深刻な内容にはならずに適当なところで切り上げてしまうもの、という先入観があって、本作についても、見始めたばかりの頃は、《落語》を題材にした作品ということで、幾らかシリアスな展開があるとしても一定の限度があるのだろう、とばかり思ってました。

ところが、第3話で初めて映像付きで流されるOP「薄ら氷心中(うすらひしんじゅう)」を見て、その曲調や歌詞の醸し出す雰囲気が、自分のそれまで持っていた本作のイメージと大きくズレていて、ことにその映像中の女性の描かれ方が、「心中」を示唆する歌詞とともに半端ない違和感を喚起して、本作の主要キャラクターの一人が、「助六」という落語よりは歌舞伎由来の名前であることと併せて、視聴を進めながら不穏な気持ちになってしまいました。

そして、物語に大きな動き({netabare}※助六が師匠から破門され、みよ吉は菊さんから捨てられてしまう{/netabare})があった第9話の真ん中ほどで、{netabare}失意のまま桜咲く河原を一人歩く助六に、同じく傷心のみよ吉が初めて自分から声をかけるシーン{/netabare}が来て・・・

{netabare}「ねえ、お花見は花川戸に限るわね。・・・・花川戸の助六さんね。」
「あたし、菊さんに振られちゃった。」
「何かあったの?話、聞いてあげる。」{/netabare}

ここにでてくる「花川戸(はなかわど)」は東京都台東区の浅草寺境内と隅田川の間に今もある地名で、とくに花川戸公園は桜のちょっとした名所になっているそうです。
だけど、ここで注目すべきは、{netabare}みよ吉が、わざわざ「花川戸の助六さん」と声をかけたこと{/netabare}で、引用が長くなりますが・・・

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◎助六(wikipedia)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%A9%E5%85%AD

『助六』(すけろく)は、歌舞伎の演目の一つの通称。
本外題は主役の助六を務める役者によって変わる。
江戸の古典歌舞伎を代表する演目のひとつ。
「粋」を具現化した洗練された江戸文化の極致として後々まで日本文化に決定的な影響を与えた。
歌舞伎宗家市川團十郎家のお家芸である歌舞伎十八番の一つで、その中でも特に上演回数が多く、また上演すれば必ず大入りになるという人気演目である。
(※以下、省略)

◎すけろく【助六】(旺文社古語辞典)

〔人名〕「助六劇」の主人公。
江戸中期、京都で男伊達(おとこだて)万屋(よろずや)助六と島原の遊女揚巻(あげまき)が心中した事件は、上方(かみがた)では「京介六心中」「助六心中紙子(かみこ)姿」など、歌舞伎(かぶき)・浄瑠璃(じょうるり)の「助六心中物」に仕立てられた。
これが江戸に移され「助六所縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)」などの「助六劇」として定着した。
江戸では主人公は花川戸助六という侠客(きょうかく)(実は曾我五郎(そがごろう))とされ、江戸っ子の代表として理想化された。

◎すけろく-しんじゅう【助六心中】(精選版日本国語大辞典)

(1) 宝永年間(1704-11)初年に大阪であった万屋助六と島原の遊女揚巻との心中事件。
(2) (1)を脚色した浄瑠璃「紙子仕立両面鑑(かみこじたてりょうめんかがみ)」、歌舞伎脚本「助六心中紙子姿」、一中節(※浄瑠璃節の一流派)「万屋助六道行」などの通称。

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・・・ここまで来て、ようやくOP「薄ら氷心中」のおどろおどろしい曲調・歌詞・映像に合点がいきました。
この後、{netabare}傷心の二人は同棲を始めて、もろともに転落していく{/netabare}のですが、その結末は既にここで暗示されていますね。

以上から、本作は《落語家》の世界を作品舞台としながらも、実際には、《落語》の「滑稽噺」「人情噺」「怪談噺」ではなく、《歌舞伎》の「心中もの」をモチーフとするストーリーを展開させている、という構成になっており、それによって、

(1) 表面上は、「滑稽さ」「人情噺っぽさ」を上手く醸し出しつつも、
(2) その基底部分に、どうにも逃れられない「悲劇性」を潜ませる。

という、両様の魅力を作品に与えることに成功しているように私には感じられました。


現在放送中の第2期にも大いに期待したいと思います。

※2018.8.22 第2期のレビュー投稿。
事前に期待していたほどの出来ではなかったけど、第1期の後日譚としてまずまず楽しめる内容でした(個人評価 ★ 4.1)。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 36

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

大人が酔える本物の味わい深さ

第17回「文化庁メディア芸術祭」マンガ部門優­秀賞受賞。
第38回「講談社漫画賞」一般部門受賞。

と、原作漫画が高く評価されているアニメ化作品だが、
これはアニメ化大成功、と言える素晴らしい作品になったと思う。

どうしても、漫画では落語そのものの臨場感や空気感を伝えるのには限界があると思われるが、
(読み手の想像力次第で悪い方向へは行かないと思う)
アニメ化して中途半端なものを作ってしまうと、世界観をぶっ壊してしまう恐れもあるなか、
製作陣の気合いの入りよう、原作へのリスペクトが伝わってくる見事な仕上がりで、
大人だからこそ楽しめる、このような作品が世に出てきたことは非常に喜ばしい。

物語が楽しめるかどうかは、観る人間の年齢や好みによって異なるかもしれないが、
純粋にアニメとしてのクオリティは、全ての要素が高い次元で纏まっているし、
また全13話、1話たりとも退屈しなかった。
これは年に何本もある秀作レベルではなく、素直に傑作と言ってしまっても差し支えない作品だと思う。

自分はこの作品を40代や50代の一般人にも自信を持って薦めることができるが、
大人が観て本当に満足できる「質」と「深み」「味わい」を備えた作品は、
ここ数年の「深夜アニメ」では「蟲師」(続章)以来かも知れないと感じた。
2期で物語が完結するだろうということを考慮すると早計かもしれないが、
いずれにせよ、恐らく原作同様「文化庁メディア芸術祭」のアニメ部門でも認められるだろうと確信している。


☆物語☆

タイトル通り、内容は「落語」そのものも見どころの一つだが、
たとえ落語に興味が無くても(正直自分は落語そのものには大して興味はない)
登場人物たちの深い人間ドラマには非常に引き込まれる。

尺を拡大して放送された1話は現在を描いているものの、
(1話の掴みは今期の作品の中でもベストだと思うし、最終話観てからまた観直すとより感動的)
終盤まで主に八雲の過去の回想がメインに描かれている。

菊比古(八雲)と助六、みよ吉との関係は一言では語れない、様々な感情が渦巻いており、
3人共に人間らしい過ちを犯していて、またそれぞれに同情も出来るものであり、
本当に深く絡み合った人間模様が描かれていると思う。

また一方で、八雲と小夏の間にある因縁、八雲(師匠)と助六、
八雲と与太郎の数奇な運命の巡り合わせ、とは...
これは是非本編をご覧頂きたい。

また、各キャラがここぞという場面で、
非常に含蓄のある言葉を語っているので、そこにも注目して貰いたい。

この作品に関しては、あまりネタバレで、あーだこーだと書いてしまうと無粋な気がするので、
(最初は色々書いてたんだけど)
とにかく登場人物達と落語を巡る「想い」「運命」「宿命」「因縁」を観て、
それぞれの立場と心情を慮ってもらいたいと思う。

物語が完結してないし、点数は4.75、ってのがあると良いんだけど、
まぁそんなに出し惜しみしてもしゃぁないし、物語の作り方、設定にはほぼ不満がないので、5点。


☆声優☆

MBSで放送していた「アニマゲ」の中で、この作品を特集していたのを観たが、
一風変わったオーディションで選ばれた声優さんたちは、結果的に落語に造詣のある面々で、
声優としての実力も折り紙つきの精鋭が揃っていて、演技自体も当然素晴らしい。
そして、驚くべきことに、落語の部分も通常のアフレコで録ってるらしい。。

正直ここまで純粋に声優陣の「技量そのもの」が試された作品というのは、
近年でも、というか、アニメ史上でも稀なんじゃないだろうか。
「質」を求めるアニメファンなら声優陣の演技だけでも、
この作品を観る価値は充分にあると思う。

1話の与太郎、後半10話の菊比古、11話の菊比古と助六のコラボ、
12話の助六の想いの込もった熱演には感銘を受けた。
また、2週目繰り返して観てみると、弟子入りした当初のパッとしない落語から、
上達し味が出てくる落語の変化も巧みに演じ分けられていることに気付く。

初見ではあまり何とも思わなかった回の落語も、2回目の視聴では惹きこまれて観ることが出来た、
というのも不思議な感覚だった。。
落語の部分の演技ばかりに注目しがちだが、5話の芝居の場面の演技も実に艶があり見事。

また、みよ吉演じる林原めぐみさんの、円熟味を感じさせる「女」の演技も実に巧い。
これは声のトーンや表現力も含めて、若手の声優には到底演じれない役回りでしょうね。

一聴して判る小林ゆうさんの低音ハスキーボイスは幼女役でも炸裂しており、
正直こんな声の子供居るかよ笑、と思いつつも実に可愛らしく演じられていた。

脇役的な役どころの八雲(師匠)と松田さんの演技も、実に渋く味わいがある。

点数は文句なしに5点、というか今後なかなか5点を付けにくくなった。。


☆キャラ☆

各キャラクターの心情が非常に丁寧かつ繊細に描かれていて引き込まれる。

八雲(菊比古)と助六の対照的な落語への動機、性格が印象的で、
2人の関係性など、きめ細やかな描かれ方は女性作家ならではだなと感じた。
(BL臭が全くしないと言えば嘘になるが、腐女子を引き込むほどのものではないだろう)

最初に出てきた小夏の出番が少なくもの足りないなと思っていたら、
後半に幼女で登場、これが何とも愛らしい。

また、みよ吉のようなキャラは昨今のアニメでは極めて珍しいが、
ラノベ作家なんかが描くリアリティの欠片もない女性キャラとは違い、
(それはそれで良い面もあるんだが)
女性作家だからこそ描ける、「生身の女性らしさ」、愛憎渦巻く内面が非常に良く伝わってくる。

一見すればどうしようもないアバズレだが、
彼女の置かれた境遇、あの時代の女性の立場を考えると、
過ちを犯していることや性格に問題があるとはいえ、自分は彼女にも同情することが出来る。

また八雲(師匠)の背負った名跡の重圧、助六を巡る因縁や後悔、
昔気質な性格も非常に上手く描かれていると思う。

全てのキャラに言えることだが、やはり声優の演技あってのキャラ、
と言うのはこのアニメに限ったことではないが、本作を観て改めて思い知らされた感がある。

点数は5点。自分はキャラの性格が好きか嫌いか、は点数の判断基準には無くて、
そのキャラの掘り下げ具合、心理面がどれだけきっちりと描かれているか、を見ている。
本作でのキャラの描かれ方は非常に丁寧で、観ているこちら側にまで伝わってくる。


☆作画☆

最近の作品は技術の進歩もあり、
デジタルでも非常に凝った手描きのような質感を持った背景描写のものが増えてきた感があるが、
本作でも昭和の空気感や雰囲気をよく伝えるものとなっており、趣があり味わい深い。

またキャラに関しては、落語を演じている場面や、それ以外でも細やかな表情の変化やしぐさなど、
かなり丁寧に描かれていて、作画力があるからこそ、キャラの内面や落語の魅力が伝わってくるのが実感できる。

派手な動きやCGなどは殆ど無く、純粋な作画枚数的にはそこまで多くはないと思うが、
キャラが全話通して巧く描かれているので、自分は全く不満は感じない。

普段付けてる点数から言うと4.25くらいにしたいところだけど、無いのでおまけで4.5。

※やっぱり付けすぎかな、と思ったので4点に直しました。


☆音楽☆

椎名林檎作編曲、林原めぐみが歌うOPは本作の大人な雰囲気にピッタリで、
ハイセンスで個性溢れる楽曲はいかにも「らしさ」がよく出ていて、改めて凄い才能だなと実感した。。

また、歌詞に着目すると、これはみよ吉の菊比古を想う心の内をこれ以上ない、
と言うほど見事に表現しており(もはや狂気を感じる、女の怖さや情念に心を打たれる)、
これは単なるタイアップ曲を越えたアニソンとして、非常に高く評価されるべきものだろう。

それに対するEDはノスタルジーとロマンを感じる、
まるで映画一本観終わった後のような、味わい深さと余韻に浸れる見事なインスト曲でこちらも絶品。

作中BGMは「生音」への拘りが半端なく感じられ、楽器そのものの魅力が存分に伝わってくるもので、
バリエーション自体も非常に多彩で、クオリティの高さに疑いの余地はない。
これは通常のTVアニメと比べると、かなりの予算が掛かっているだろう。

点数は文句なしに5点。


最終話は回想から時間が現在に戻り(1話より時間は進んでいるが)、
終わり方がちょっとこれで終わるには勿体無いな、と思ったところ、
本編後の最後に2期制作決定が明らかになり、既に続編を作り始めているように見受けられたので、
今後には大いに期待したいと思うし、楽しみが増えた。
(予め2期、というか分割はある程度は既定路線だったのかもしれない)

本作はアニメーター自身が観て楽しめる、
本当に自分達が純粋に作りたいものを作った、そんな情熱と新たな挑戦、拘りが実感できる作品だと思うが、
このような作風のものは、今の時代そうそう売れるものじゃない。

商業的な理由で特定の円盤購入層に受けるような、似たようなアニメばかりが量産される昨今、
敢えて大人が観て楽しめる、この作品を「深夜枠」でアニメ化したスタジオディーンには本当に感謝したいと思う。
(NHK辺りが率先して予算を出し制作してもおかしくない内容だと思う)

同時期にディーン制作の「霊剣山」「このすば」と比較すると、どれに力を入れて作っているか、
は火を見るよりも明らかだが、「霊剣山」が中国でのネット配信権で利益をもたらし、
「このすば」が低予算で円盤売上好調、結果的には本作が円盤売れなくても制作費回収できて2期決定、
という流れだとすれば、これは大いに歓迎すべきことではあるが、
同時にかなりの皮肉だといえるかもしれない。。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21
ネタバレ

アレク さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

落語って、笑いって

時は昭和50年頃八代目有楽亭八雲に弟子入り志願のムショ上がり与太郎から物語は始まり落語とそれに関わる
人達が織りなす漫画原作作品。

一時期寝る前に落語を聞くことが習慣になってたくらいで(飽きてすぐやめちゃいましたが)
落語の知識はほとんど、いや全くないんですがそんなまっさらな状態だからこそ
落語の魅力というのが変な先入観なしで見れたような気がして無知が逆に功を奏することもあるようですね(^^;)

それに加えてこのアニメからは抽象的物言いで恐縮ですが日本的、和的良さというか価値観が
全編から漂ってくる感じで同じ日本人の自分としても見ている間心地いい時間でした。

{netabare}
落語は舞台で座布団に座りながら務めるため所作が限定される、そのうえ漫才のように掛け合いで
空白の時間をつぶすこともできない、しかしそんな制約が逆に工夫する余地となり扇子や手の動き
果ては目つきに至るまで様々な人物を自分に憑依させ掛け合いができない不利も「間」として有効活用し
一幕の劇を創り上げる、そんな自分なりに感じた落語の魅力というものが落語の演目の最中に
登場人物ごとに変わるカット割りやBGMなどの演出的工夫から感じたし
さらに演目を何度も練習していく中でにじみ出るその人独自の芸
同じ演目でもやる人によって独自の魅力が醸し出される再現芸術の醍醐味みたいなのが
何気ない会話に織り込まれていてうなずきながら共感しながら
1話からガッツリ引き込まれていきました。

そんな1話で一番印象に残ったのは与太郎の落語のシーン、題目は「出来心」
さっき書いた演出に加えて舞台前の緊張が、首筋に流れる汗が
無意識に身を乗り出す与太郎の懸命さがノリノリの演出と合わさって
そんな細工って落語好きの方から言わせると邪道なのかもですが
落語ってこんな面白いんだぜといわんばかりの演出は見ていてとても楽しかったです。
さらにそんな与太郎の噺を何度も稽古する姿を見たであろう小夏が気が気でなく見守る様子
下らねぇなんてて軽蔑していたが思わず笑っちまう兄貴
同じ演目でも見る人によって感じ方が違う
与太郎に関わりがある2人ならなおさらですが
観る人の心境によっても同じ演目でも感じ方に個人差がある
ここでも再現芸術の面白み、不思議さが出ていてそれをちょっとした
言動に織り込まれ匂わせてくれる演出の粋さ
このアニメの世界観、好きだなぁ。

そこから話は変わり菊比古の回想になるわけですが
辛苦をなめた満州の慰問を経て他人のために落語をやると決めた助六、
おまえはどうなんだと菊比古に問うが
彼は演目の最中自分のために落語をやっていたと自覚する。

お客とともに盛り上がりライブ感を前面に押し出す助六と完成された領域に客を招き
酔わせる菊との芸の違いがそのまま二人の生き方を分ける、稽古を重ね演目を
自家薬籠中していく過程でその人の個性と不可分に結びつきその人だけの芸となる
ここでも落語というか再現芸術全般の面白さがさりげなく描写されてますが
それよりも強く感じたのは2人の道の分け方が実に自然といいますかどちらを
肯定するわけでも否定するわけでもなく共存している、そんな曖昧さというか自然さを素直に
抵抗なく受け入れてる自分も日本人なんだなぁとしみじみ自覚してしまうわけで・・・

そしてそんなことを思わせてくれる押しつけがましくないが
さりげない言い回しや行動で感じる義理人情の世界観を演出するスタッフの手腕
いやはや脱帽です。ただ舞台が戦前、戦後で落語が主題だから、道具や食べ物が和風のものだから
日本的に感じるというわけでなくそれもあるが古き良き義理人情、白黒つけない曖昧さが美徳の
価値観がこのアニメ全篇から感じられるようでそんなところから和的麗しさを感じるわけで。

師匠の愛人をやっておきながら弟子に色目を使うみよ吉の身勝手さもこの作品にかかれば
この上なく洒脱で粋、普通こういった恋の駆け引きって自分はこざかしさを感じてしまうんですが
声優さんの演技に裏打ちされた嬌態たっぷりに科を作る姿態は何とも妖艶。

特に印象に残ったのは別れ話のシーン
黄昏時、秋風が吹きみよ吉に気付いていながら
素通りしようとする菊比古から始まり互いに決定的な言葉は口にしないが
察しておくれといわんばかりの菊、いやよとみよ吉、
本人たちにとってはそれどころじゃないと思うし物見遊山気分で恐縮ですが
散り際に感じる日本的美意識が魅せる一瞬の抒情は例えようもなく婉美。


菊比古の心理をひるがえって考えればいよいよ師匠にも認められてこれからだというとき
結局色恋より仕事、芸を取ったという事で
森鴎外の小説にありそうな結構ドライな話なんですがこのアニメのフィルターを通すと
ため息が出るほど耽美的、その後のみよ吉が助六に愚痴る身の上話から顔を覗かせる
一抹の寂寥感、これも恋愛ゲームの駆け引きの一部なのか、いや、それすら心地いい
日本古来の萌たっぷり堪能させていただきましたm(__)m

しかしそんな曖昧さ、粋さを美徳とする世界でも必ずしもいいところばかりではなく
みよ吉や助六さらには幼少期の菊比古もそんなしがらみや暗黙の了解に割を食った代表であるわけで
みよ吉や助六は自業自得な部分がないわけではないが思わず同情しちまうのがこのアニメの世界観
声優の演技力に圧巻の助六決意の芝浜もみよ吉には届かず
2人の事故にも似た心中(いや逆か)で回想は幕を閉じるんですが見終わった後は
与太郎の言葉を借りると只々いい気分だったんですが冷静に振り返ると
いい出来事ばかりではなかったし結末もハッピーエンドとは行かなかったと思います。

ですが見終わった後の気分は不思議と心地いい、その理由を自分なり考えてみると
このアニメを見終わった後興味が出ていくつか古典落語を
ググってみたりしたわけでそんなことをやってたりこのアニメの作中で披露される演目を
振り返ってみて気付いたんですが登場人物が全員善人というわけでは
決してなくむしろあさましい欲望とかちょっとした出来心から
端を発しそこから展開する話が多く人間には善人の部分と悪人の部分がある
そんな清濁併せ持つしょうがない性分を持ち寄りながらなんとか日々寄り添いながら生きていく
そんな日々の生活を面白おかしく描写できた深い観察眼と心意気、それが人々の心を打ち
共感を呼び落語は時代を超え愛され続け今日まで伝統として残ってきたのかなーと
そしてそんな人々が織りなす人間模様がこの作品からもまざまざと感じられて
自分がこの作品に引き込まれた理由もそこら辺にあるのかなーと
思えば最初のほうは義理人情が前面に押し出されすぎ
与太郎がすぐ口座に上がれたりちょっと甘いんじゃないの、と思ったりしたのですが
弟子の雑務や辛いところをあえて映さない武士は食わねど高楊枝の精神だったのかもですね。
笑いの中に哀しみがある、いや哀しみを笑いに変える
チャップリンや松本人志さんを引き合いに出すまでもなく笑いの本質って案外そこら辺にあるのかなぁ
なんて自分がどや顔で指摘するまでもなく落語好き、お笑い好きの方にとっては
自明の理かもしれませんが、とにかくそんな自分にとって新しい発見をさせてくれるほどに
夢中になり引き込まれそして心地いい
作品でした。

最後に助六の名を継ぎたいと申し出た与太郎に見せた菊比古の狼狽の表情は
日陰に追いやられた3代にわたる怨念が過去から有楽亭八雲である自分に
追いついてきた恐怖かそれとも・・・

それでもそんな思いすら飲み込みながら今日も人の歴史は紡がれていく
ってこんなところで終わられちゃ続きが気になるに決まってるでしょう!
全然御後よろしくないよっ!ってことで二期はよ(/・ω・)/
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 43

77.2 12 切ないで漫画原作なアニメランキング12位
不滅のあなたへ(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (438)
1621人が棚に入れました
フシは最初、地上に投げ込まれた“球"だった。持っていたのは「刺激を受けた物の姿へ変化できる能力」と「死んでも再生できる能力」。球から小石、オオカミ、そして少年へと姿を変化させていくが、赤子のように何も知らぬままさまよう。やがて出会う人々に生きる術を教えられ温かい感情を知り、人間を模して成長していくフシ。宿命の敵・ノッカーとの壮絶な闘い、大切な人との別れ…痛みに耐えながら自分の生き方を選びとり、力強く生きるフシの永遠の旅を描く。

声優・キャラクター
川島零士、引坂理絵、内田彩、愛河里花子、斎賀みつき、津田健次郎
ネタバレ

CiRk さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

出会いと別れの物語

恐らく海外では今期で一番評価が高い作品
だけどそこまで面白くはないかな。
まあまあ面白いなーぐらいの作品。

↓1クール目時点感想
{netabare}
フシという最初は狼の姿をしたキャラクターが周りと触れ合って成長していく話。
そのフシにはいくつか特徴があって、1つは不死身ということ、そして、好きなものを自由に作れるという能力を持っていること、でもう一つ、思い入れの深い人が死んだら(?)その人の姿になれること。
不死身と言ってもノッカーという敵にやられるとまずい。

上の話はそんなに出てこなくて、基本主人公が言語を習得していったりそんな過程が丁寧に描かれます。
1話は辺境に住む少年、2~4話はマーチ、6話~12話はグーグーというキャラの話(11~12話は四年後)。

2話~4話に関しては、世界観の作りこみが雑に感じたのと、謎のご都合主義などが入ったりで微妙でした。

6~12話に関してはかなり面白かった。
リーンやグーグーといったキャラも魅力がありましたし、リーンとグーグーが仲良くなっていくのも良かったです。
12話よりも断然11話のラストのほうが良かったかな。
過去に犯してしまったことをリーンに正直に話すけど、それでも二人が愛し合って、いい感じになるシーン。
まあ12話でそんな恋愛フラグも消え去るけど。
結構場面場面でいいシーンがあった印象。
2~4話では人間の姿をした獣だった主人公が成長して人間として生活できてたのも良かった。急に4年が経過してその間の描写は一切ないから、成長過程は全然感じられなかったのは残念ではあるものの、まあ成長したんだなあって風に感じられて良かった。
最後に自分がいたら迷惑がかかるかもしれない、と人間の思考をしてグーグーたちの家から旅立っていくシーン、そしてグーグーの姿に変身して暗示的にリーンに別れを告げるシーンも良かった。

戦闘シーンも面白かった。
グーグーが火吹いたりするのは笑ってしまったけど、フシと協力してノッカーを撃退するシーンは熱かった。
グーグーが人間を卒業してたw

ただ、このアニメ微妙なところも多い。
まず、建築物や生活状況に一貫性がなく、時代設定が分からない。
1話~4話ぐらいは日本で言う縄文時代ぐらいの話かと思ってたけど、町は江戸時代並みに発展してるし。
倫理観もこの時代ではなく現代のもののようでそこも微妙だった。
グーグーが体に謎の改造を施されてたり、「えっ」となるような設定も多い。

上でも書いたけど、主人公の成長物語じゃなくなったのもどうなのかなと思った。
もう完全に成長しきってるから、今後対ノッカーになるんだろうけど、序盤と軸がブレてないかって思う。

あと、これは完全に好みだけど、個人的に人を殺してのお涙頂戴はあまり好きじゃないから、感動シーンで感動できなかった。
感動できる人ならこの作品の評価もうちょっと高くつけてると思う。
ところで、この作品今後も誰かと出会ってその人が死んでってのを繰り返すのかな。
もしそうなったら展開が見え見えで全く面白くないから評価かなり下げると思う。
次に誰かと会っても、どうせこの人も死ぬんだろうなという冷めた目で見てしまうだろうし、予想を裏切ってほしい。

一話毎メモ↓
{netabare}
1話
15年前とかにやってそうな雰囲気のアニメ。
地球のどっか遠いところで暮らして家族の帰りを待ってる少年の話?
舞台設定は普通の現代なんだろうか?冒険系?
どういう展開になるかわからない。

2話宇多田ヒカル!?
縄文時代ぐらいの世界観?雰囲気アニメかな。
今のところはあんまりだけどまあこれからか。

3話
儀式の主催者たちガバガバすぎw
狼VS熊は面白かった。

4話
狼の喋りが気持ち悪いw 
随分時代にそぐわない建築だな
牢屋窓空きっぱなしかよ 
雰囲気作りが微妙。
こんな世界観でなんかラノベみたいな展開もあるし。

5話
簡単に脱獄するマーチ達。
動物を殺すことに反対してるけど、こんな世界観なら狩りとか普通の行動だろ。
しかももう死にかけてる動物で儀式での犠牲が今後なくなるというメリットもあるのにもかかわらず。
この世界からは考えられない倫理観でキャラが動く。
細かいところに引っかかるなぁ。
粗探しになってるかもしれないけど。
なんでマーチたちを今更殺そうとしてるの?
殺すなら初めから殺しとけばよかったのでは。
結局最初と状況全く同じだし、狼を手名付けるために殺さなかったのだとしたら、狼が脱走した今こそ殺しちゃだめでは。
マーチここで退場するのか。
今後の展開どうなるんだろう。
フシがいろんな人と出会って成長していく物語かな?

6話
フシは思い入れの不快死人の姿に自由に変われるのか。
別世界の文字が日本語からの写像になってるのってよく見るけど適当さを感じる。
言葉喋れるようになるの意外と早いなぁ。完全に喋れるようになってて草
これナレーターも登場人物オチ?
器が全部奪われたらフシは死ぬのかな? 
急に世界観が明かされていった。津田健がフシの作成者?
てかEDのラスト死んでいく順番に影が写されてる?このグーグーというキャラも死ぬのかな。
色々わかってきて面白かった。

7話
リーン可愛い。
ここまでの固い雰囲気ぶち壊したけど。

8話
めっちゃ喋るじゃんw
不死身だからと言って包丁で急に刺したり炎で燃やしたりするやべー奴。
じいさんもぶっ飛んでるw やばい家庭
顔が描かれないのが却って怖いな。

9話
何で町の人脅かしてるんだ...。
主人公万能。唐突な下ネタ。
またなんか変な敵が来たし、面白くなってきた。
次回ぐーぐー死にそうだな

10話 酒の設定もう何が何だか。
てか家めっちゃ現代風建築...。
体内で酒作るとかきたねえw
人があんな火吹くとかギャグアニメかな?。
川の出来事は結局隠したままか。
急に年数経過した。先の展開怖いなぁ。

11話
普通に喋れるようになってる...。
まあ4年たってるしね。けどめっちゃ違和感ある。
ラストめっちゃ良かった。

12話
姿戻るのか。戻すなら成長した姿出さんくても良かったのに。
グーグーが人間離れしてるw 
やっぱこれ合う人全員死んでいくストーリーなのかな。
キャラ死んでお涙頂戴のワンパターンになりそう。
作画が奥の方が結構省略されてたりで手抜き感を感じたかな。
{/netabare}

深夜にまったり見るのがおすすめのアニメ。
{/netabare}

↓全話視聴後感想
{netabare}
2クール目の序盤はここまでで一番面白かったが、最後は失速していった。
面白いとこと面白くないとこの差が激しかったかな。
面白かったのはグーグー編、トナリ編前半
つまらなかったのはマーチ編、トナリ編後半

トナリ編の前半の面白さの一つは戦闘。
ノッカーはフシにしかまともに戦えない相手と思ってたけど、あの島の住人が無駄に強くてグーグー編であれだけ苦戦したノッカーを被害なしで瞬殺するというw
普通に戦闘として見て面白かった。
戦闘も良かったけど、2クール目で一番良かったのはフシがだんだんと人間の感性に近付いていく感じが上手く表現できてたことかな。
声優が良かったのもあって、だんだんと喋り方に感情がついてきているように思えた。
そういう、心情描写や葛藤の描写が丁寧でフシというキャラが好きになれた。
展開も先が気になる作りで退屈することなく見れたのも良かったかな、テンポもかなり良かったし。
キャラもトナリはあんまり好きじゃなかったけど、トナリ以外のキャラは割と好きだった。

ただ、後半が残念。
やっぱりお涙頂戴展開が滑ってる。
人死んでのお涙頂戴が苦手なのもあるけど、人の殺し方が強引すぎて全く感動できない。
あいつら死ぬためだけに戻ってきたようなものだし。
キャラのIQが下がってる気もした。
船に乗せる人選びも優性思想を描きたかったんだろうけど、身内優遇が酷すぎてなんだあれって感想。
それに、マーチ編の狂人をわざわざ出してきたのはいいものの、結局改心みたいな展開もなくそのまま置き去りにして殺すというw
しかも闘技場ではフシ相手に謎無双。
ラストのピオラン編(?)も痴呆展開いるのかなぁと思ってしまった。

ただ、ピオラン編のラストの海のシーンは良かったと思う。
フシが手紙を書くところや、遺言を読むところみたいにいいところも結構あった。

全体的にはやはり、まあまあ面白いアニメという評価は変わらなかった。そこそこの良作。

↓一話毎感想、評価
{netabare}
13話 10/10
OPは映像だけ変更かな。主人公がもう完全に自我をもって、葛藤してる描写が良かった。演技上手いな主人公の。主人公の心境の変化の表現が上手い。
ピオランついてくるのか。器も奪われたままか
紙に書いとけば...。
胡散臭い島 この人ら味方なのかな?

14話 9/10
殺し合いかよw
ここも悪人ばかりではないのか?
オーストラリアみたいなもんか。
あれってマーチ殺したやつか?なつかしい。。
思いっ切り人の前で変身するのかw 
最後の葛藤良かった

15話 9/10
弓と矢の関係って要するにトナリは命令するだけでフシは動けってことか?
ほんと最低な奴。
結局ピオランは罪人なのかよ。
フシ普通に最強じゃん。
なんで横やりあんなにいっぱい飛んでくるんだよw
ほんとトナリとかいうクズ。
そういやツダケンはぐーぐーのこと知ってるだろうにフシには教えない辺り、完全な味方ではないのか? 
住民つよい。 ここの住民最強かよ。

16話 9/10
グーグーの火炎放射w フシが自分の夢を探すためにもっと旅をしたいって言うところ良かった。
めっちゃ現代風建築あるんだけど。
ほんとに面白くなってきたなこのアニメ。
予想通りの展開だけど引きも上手い。
けどこの胸糞キャラ再登場させる意味はあるのかなぁ。こいつ何でこんな強いんだよ。

17話 2/10
こんな状況なら毎回優勝した人殺されてそうだな。
やべーやつになってるヤノメの人
ポケモンみたいに鳥操れるの草。
抜け殻とか作れんのかよ。
7歳以下って厳しいな。もっと上でもいいのに。
てか、母もつれていってやれよw
えぇ...身内優遇ばっかりじゃん。
酷いなこれは、さすがに。
なんでリガード無事なんだよw
人数余裕じゃん。ほんと、他の人も乗せられただろ。

18話 6/10
フシまた喋り方上手くなってる気がする。
こういうの表現できる声優がすごい。
優性思想の描き方は下手だなぁ。
なんでみんな帰ってきてんだよw
これで死んでも感動なんてできねえよ。
ほんとこのアニメキャラ死ぬシーンだけ全く面白くないわ。

19話 2/10
こいつ何で死なないんだよ。火炎放射笑うからやめてくれ。
勝手に船から戻ってきて死ぬって自業自得でしょ。
ヤノメの奴も完全に狂人になってて不快だわ。
何で許可取る必要があるんだ、勝手に殺せよ。
トナリ以外は死ぬ展開のためだけに戻ってきたようなもんじゃん。
こんな一言で平和になるわけ。
ほんとこいつつまんないキャラだな。
なんだあの退場のさせ方。

20話 6/10
教えてもらった文字で手紙を書く展開は良かった。
絵がひでえ。この時代に90歳ってすごいなw
この痴呆展開誰得だよ。
リアルを追求と言えばそうだが、結局最後はフィクションのように症状が消えて感動の言葉で終わるんだよね。
まあ最後の海辺のシーンは良かった。
締めはいい、と思ったが最後はどういうことだ?
主人公狂ったか?
{/netabare}
{/netabare}
曲10点満点評価(完全に好み)
OP「PINK BLOOD」7.5/10 ED「Mediator」4/10

投稿 : 2024/11/02
♥ : 4
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ツンドラの白夜の森から

イワ…ンじゃなかった石からでしたね
原作未読


アニメを観るようになって再評価したものの一つがNHK。
定評ある残酷描写が柔らかくなるかもと危惧してた『進撃の巨人』はごりごりだったし、進撃だけが聖域というわけでもなく『ヴィンランド・サガ』もごりんごりん。
『ツルネ』は京アニ大賞特別賞かなんかで鳴り物入り感があったし、大作『ピアノの森』ではガチ世界的ピアニストからの音源でした。内容評価はともかく力の入れっぷりには信用を置いてます。

 不滅のあなたへ

ここでいう“あなた”は主人公。
ざっくり概要だと、死なない主人公が人間を見送っていく物語です。と同時に見送られる側は去り際に何かを残していくという意味でこのタイトルかもしれないたっぷり全20話。

NHKアニメ班にもガイドラインあると思うんですけど、生と死をわりかし真面目に扱ってる印象です。本作もその系統。
真面目に扱ってるが故か某民放を出汁にして感動ポルノ批判をしてたりもする最近のNHK。とある民放の24時間某番組で頑張る障碍者やってる裏番組で聾唖少女の厳しい現実を活写した『聾の形』ノーカット放送をぶつけたりするぐらい不真面目を許さない社風(適当)。
その『聾の形』作者大今良時氏の原作です。ナレーションにはこれまた朝ドラナレーション士の資格を持つ津田健次郎さんが担当します。ずぶずぶやんとツッコミがないのが不思議なくらいです。


そのNHKの次に関心をひいたのが宇多田ヒカルが唄う主題歌『PINK BLOOD』。ビッグネームなのはもちろんですが、作品と歩調を合わせた主題歌は好感度高しです。

 ♪ 自分の価値も解らないまま子供でいられない ♪

歌詞より一部抜粋しとります。そんなお話になってます。

主人公について
ツダケンさんが観測をすると決めて投げ入れた“球体”の特質“刺激を受けて変化する”が唯一のルールです。そう何もないところから。それが主人公だという冒頭。どう転ぶかわかりません。
球体はそのうち自我みたいなのが芽生えたり言葉を覚えたりとアップグレードしていきます。そこに適宜ツダケンさんが球体にアドバイスらしき助け舟を渡す描写が続くことから、なんとなく親子関係に近しい間柄を基軸にした成長物語に見えなくもないのですけどあくまで

 刺激を受けて変化する“それ”の観測

であります。刺激となりうるものは何か?とどのような変化がもたらされたか?との視点を外さなければ迷子にはならないでしょう。
どうも観念的な話ですみません。
一個人の成長物語としての見方を否定したいわけではなく、環境因子がもたらす進化の物語とやや壮大な仕掛けを堪能するがごとき全20話というのを言いたい私です。
人類の起源はアフリカとなってますがそれと対極にある酷寒の地からこれまた異なる進化の過程を追ってみるのも一興。

もちろん娯楽作品であるためドラマティックなエピソードもままありますよ。 



※ネタバレ所感

■フシとゆかいな仲間たち

フシ役の川島零士さんは初主演とのことですが好演されてましたね。どんどこアップデートされてく主人公に合わせて声優として成長してったというわけではなく第1話からして引き込まれる演技をされてたと思います。

この作品のユニークなところはフシが主人公ムーブ起こしまくらずむしろ控えめで周りを囲む人たちが話を進めているところでしょうか。フシは観察者(CV津田健次郎)の観察対象でありながら、我々視聴者にとってはゆかいな仲間たちに触れるための触媒役を担ってくれてました。
例えるならネイチャーサイエンス系番組で森の中に定点カメラ置いて場合によっては数か月単位で計測してレア動物の生態を探る的なアレです。

そこを通り過ぎる人たち↓
{netabare}・ニナンナとヤノメ
 マーチ:生贄にされそうだった幼女
 パロナ:マーチを気にかけてた戦闘力高めな少女
 ハヤセ:大国からの使者で後にフシをストーキング
 ビオラン:婆さん
・タクナハ
 グーグー:仮面被った不遇の少年
・ジャナンダ島
 トナリ:褐色の不遇の少女{/netabare}

{netabare}最終回まできて初めてフシが寿命による人間の死を知ることとなるのがなによりの驚き。殺されない=死なない…ってフシは思いこんでましたね。
フシに変化をもたらす“刺激”とやらがこれまで不幸一辺倒だっただけに

 「お前の夢は何だ?フシ。ワシみたいにやりたいことをやれ!」

未来を見据えたメッセージを最後にもってくるとこがよかったです。2期決定の報もあり新たな角度からフシの変化の旅に随伴できることが楽しみです。{/netabare}

今よりも自身を大切にできるのかどうなのか含みを持たせたヒッキーの歌詞も響きます。

{netabare}「私の価値がわからないような人に大事にされても無駄」
「自分のためにならないような努力はやめた方がいいわ」
「誰にも見せなくてもキレイなものはキレイ」{/netabare}


■不死を巡る思惑たち

不死身や不老不死に向き合うにあたってちょっと不思議に思ったことがありました。

{netabare}誰もこのチートスキルを自分のものとしようとしないのよね。ハヤセだって自らを不老不死にしようとしてなかったと思える。この後どうなるかはわからんけど今のところそうである。
不老不死を個性の一つくらいの感覚で受け入れてる世界観。これこそ真の多様性の受容かと思います。
始皇帝や徐福みたいにエターナルパワー獲得が目的じゃないところが極めて日本らしい。
島では「とりあえず不死身だからお前行っとけ」とならずに子供が身を挺す。
なんなら貨幣をささっと作り出すこともできるだろうにそれもしない。

ある意味それを突破しそうなのがハヤセだっただけに2期の注目点ですね。{netabare}※最終回にちらっとご存命カットあったような…{/netabare}
彼女もともと生贄制度も鼻で笑ってるなど信仰心に乏しく、それが尋常ならざるフシと出会ってしまってそこにある種の“神”を見出しちゃったんでしょうね。カルトにハマる過程と酷似してますがいかんせん教祖はいない。ピュアな信仰心で抱く“畏怖の念”と“帰依(執着)”の感情を自分なりに消化しようとしてこじれてあんな風になったのだと理解しております。

思いのほかハヤセへの言及が長くなりましたが、物言わぬノッカーの存在も示唆に富むと思いますよ。
不老不死/不死身なんてこの地球見回してもあまりにも異質。この星の白血球やキラーT細胞みたいな設定だったとしても驚きはしません。{/netabare}



視聴時期:2021年4月~8月 リアタイ視聴

-------


2021.09.05 初稿

投稿 : 2024/11/02
♥ : 40
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

フシの出会いと別れの物語

[2021.8.31]
1期見終わりました。
通してみると、やっぱりグーグー編が一番好きですね。
でも最終話もなかなか良い締め方だったと思います♪
2022年秋に2期の告知がありました。
1期はちょうど原作6巻までだったので、同じペースだと2期は原作12巻まで
で、ちょうど第1部の終わりまでになりそうです。
ここまできたら、第2部も見てみたいですねー。3期とかになるかもだけどw
最終話の感想は一番下に書きました。

[2021.4.14初投稿]
原作は、「聲の形」の大今良時さんということで読みました。現在は第二部連載中です。
手塚治虫の「火の鳥」を想起させるスケールの大きさを感じる物語で、これがマガジンで週刊連載で描かれていることに作者の凄さを感じました。

ただ、アニメ化して面白くなるかな、とちょっと不安なところもあって。
作品のテーマがぱっと見、掴みづらいので、他にも作品が沢山あって、飽きやすいアニメ視聴者にはなんだかよくわからない作品だなーと投げられちゃう可能性もあるのかなと。
好きな話はグーグー編です。

NHKでアニメ放映ということで、それなりのクォリティの作品になるのかなと思ってましたけど、期待通りの出来みたいでとりあえず嬉しいです♪
全20話みたいです。
第一部の最後までやってくれると嬉しいけど、話数的に大丈夫かちょっと不安。

お話が進んだらまた感想など追記したいと思います☆

【第1話 最後のひとり】
{netabare}レッシオオカミのジョアンがなぜあんなに離れたところで死んでしまったのかを考えてみました。
私の妄想ですけどジョアンは少年のために楽園の場所を探していたのではないかと。
その途中で足にケガをしてしまい・・と考えるとちょっとせつないですね。
「僕のこと、ずっと覚えていて」がずっしりときます。
結局あの少年の名前って不明なんだよね。{/netabare}

【第2話 おとなしくない少女】
{netabare}マーチ編が始まった。
アニメは丁寧に進めてるみたいで進行はゆっくり目っぽい。
これだと第一部の途中で終わりそう。
「それ」はマーチと出会って幸運だったと思う。
最初に自分に愛情を注いでくれる相手と出会えたんだから・{/netabare}・

【第3話 小さな進化】
{netabare}ラストのアリガトオの声、インパクトあって良かったです。{/netabare}

【第4話 大きな器】
{netabare}この作品、ひとつ残念に思うところはオッケーとかハッピーとかスケジュールとか言ってるところ。
現代が舞台ならいいんだけど、こういう世界観を大切にしてほしい作品でやられちゃうと萎えます。。
作品が軽くなっちゃう気がする。
連れてこられたヤノメから脱出するマーチたち。
そして次回・・・! {/netabare}

【第5話 共にゆく人】
{netabare}フシは「刺激」を受けて、「器」を獲得する。
そして今回も新たな「器」を獲得するんだけど、こういうのなんだかやりきれないです・・
でも、フシは出会った人や動物たちをずっと覚えててくれるんですよね。
フシの中で彼らは永遠に生き続けるのでしょう。
次回、いよいよ「敵」が現れます。
このあたりからわけわかんないって思われそうでちょっと心配。{/netabare}

【第6話 私たちの目的】
{netabare}ヤノメから一緒に逃げた老婆ピオランとの再会。
彼女はフシに言葉や知識を教える。
前半はそんな二人のやりとりやフシが成長していく様子が微笑ましいです。
後半はいよいよ「敵」が現れて物語の雰囲気も変わります。
これは賛否あるでしょうね。何このバトル?って。
次回はいよいよグーグー編が始まります!
原作読んでた時から好きな話だったので、とても楽しみです♡{/netabare}

【第7話 変わりたい少年】
{netabare}グーグーいいキャラしてますね。やっぱりグーグー編は面白いです。
グーグーもリーンも原作よりもコミカルな感じになったかな。
ピオランのアップの作画が気合入っててちょっと笑った。。
グーグーはフシの兄貴分として、フシにとって大切な存在になっていきます。
次回も楽しみです♡{/netabare}

【第11話 過去からの贈り物】
{netabare}今回の話は原作の時から好きで、アニメもうまく演出してたと思います。
夢桔梗の花から、グーグーとリーンのあの日につながっていくところ、じわっときます。
グーグー、フシ、リーン、ピオラン、酒爺。
彼らの平穏な日々がずっと続けばいいのに。
これを言ってもどうしようもないのだけど、ノッカーいらない。{/netabare}

【第20話 残響】
かなり久々の感想になりました。
というのも私ジャナンダ島編(トナリ編)があまり好きじゃなくて。。
今回のピオランの話、とても良かったですね。
フシと再開したときのピオランのとても嬉しそうな笑顔。
老いていくピオランの面倒を見続けるフシ。
二人の関係には愛情が感じられて、{netabare}最期のフシの号泣に{/netabare}ちょっとうるっときちゃいました。
1話の頃と比べると、フシの成長がとても感じられたラストでした。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 44
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