切ないで感動なTVアニメ動画ランキング 10

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の切ないで感動な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月05日の時点で一番の切ないで感動なTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

94.3 1 切ないで感動なアニメランキング1位
ヴァイオレット・エヴァーガーデン(TVアニメ動画)

2018年冬アニメ
★★★★★ 4.2 (2563)
10452人が棚に入れました
感情を持たない一人の少女がいた。
彼女の名は、ヴァイオレット・エヴァーガーデン。
戦火の中で、大切な人から告げられた言葉の意味を探している。
戦争が終わり、彼女が出会った仕事は誰かの想いを言葉にして届けること。
――戦争で生き延びた、たった一人の兄弟への手紙
――都会で働き始めた娘から故郷の両親への手紙
――飾らないありのままの恋心をつづった手紙
――去りゆく者から残される者への最期の手紙
手紙に込められたいくつもの想いは、ヴァイオレットの心に愛を刻んでいく。
これは、感情を持たない一人の少女が愛を知るまでの物語。

声優・キャラクター
石川由依、子安武人、浪川大輔、遠藤綾、内山昂輝、茅原実里、戸松遥
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.3

不幸な美少女を見てエレクチオンする下卑た趣味をやたら高尚だと振舞うアレ

2話までの感想{netabare}
前期、メインテーマとまでは言わないけど花の描写を頑張らないといけない作品がありまして、けどそれの拘りっぷりは魔法使いの嫁の方が圧倒的に上でして、自分的には叩き潰されちゃったような印象を持ってます。
で、魔法使いの嫁は2クールで今期も続いてて…そんな中、ニューチャレンジャー登場?
当作品は女性キャラの名前が全員花の名前で、まさかそっち側のアプローチでまほよめに挑む気か!?
単に名前だけで作品のテーマは全く別…かと思いきや、共感能力欠如者が愛を知る・人の気持ちを知るって、めっちゃ似通ってるし。
他にも今期はビートレスもあって…これも多分、人の感情を理解できない存在が知ってくって話だよねぇ、あまり自信無いけど。
…。
何故こうもネタ被りするんだ!
放送前に示し合わせしようよ…お互い潰し合う感じになってな~んか勿体ない気ががが。
とはいえこのタイプのテーマは非常によくある系で、もうネタ被りなんて上等って感じなんだろうか、自分が気にしすぎかなぁ?

本編の方は…あの会社は傷痍軍人の受け入れ先として国から補助出たりせんのだろうか?
いや、ブローチは高価だったんで給料全額必要だったけど、会社自体は盤石だったり?
だからこそ2話があそこまで「素人」のスミレさん(ヴァイオレットって書くと妙に文字数食って難儀なのでスミレって書くことになるかも)を接客に回せたとかだったりして。

それよりもですよ、まーた植物の話かって言われそうだけど、男性キャラは花の名前じゃないと思ってたら…まさかのギルベルトのお家がブーゲンビリア家。
ブブブ、ブーゲンビリア?
貴族らしいけど、その家の伝統は100年も無いんじゃないか?
ググったところ「ブーゲンビリア」は1768年にブラジルで発見したフランス人探検家ブーガンヴィルからその名前が付けられたそうで…さすがに年代までは知らなかったけど、ヨーロッパに自生は無いってことくらいは知ってた。
古風なヨーロッパの庭にブーゲンビリアが生えてたら「え?」ってなります、温室ならまだしも。
下の名前ならまだ良いのだけど苗字、しかも名家でそれってどうなんだろ、実際に居るのかね?
あ、ひょっとして本来はブーガンヴィルなんだけど、日本ナイズドされてブーゲンビリアになってるとか?
その場合はフランス系になるの…か?

あ、別にイチャモンじゃないです。
もう一年前になるのか、狙ってか偶然か知らないけど“けもフレ”2話で熱帯雨林ちほーなのにヤツデが生えてて、それが伏線になってました。
やっぱねぇ、そういう前例があるからねぇ、「気が付いてしまったら」気になっちゃいます。
大抵は気付かないんですけどね、焼きそば全く気にしなかったし…オレ節穴~。
原作未読ですが実はああ見えて別の地球とか遠い未来の世界だったとか…無いスか?
焼きそば含めそれらが伏線だったら大したモンだと思うのだけど…つまりは「あれなんかヘンじゃね?」ってのは意図的にやってる説。
元々義手の技術なんかオーバーテクノロジーだし、女の子を道具扱いで戦場に送るってのは未だによくワカランし。
義体なん?エディルレイドなん?レプラカーンなん?
…。
でもって「実は何でもありませんでしたー」ってなったら自分はズッコケる訳ですが。
ま、まぁ原作読まれてる方はニヤニヤ眺めててくださいまし。{/netabare}

4話までの感想{netabare}
毎回ノルマの如く手袋を外して周囲がギョっとするシーンが入るけど、ハテ、戦争直後の世界で障害者の存在ってそんな珍しいのか?ってのは気になりまして。
その昔スチュワーデス物語が流行ってクラスでも真似てる人居たけど、あの流行の再現を狙ってるように思えてしまう、放送時期も丁度いいし(みんな手袋してる)。
ってかそれ知ってるからこそ余計に義手の精巧さが不思議に見えちゃってのう…。
それと3話で、そんなハイテクな義手がある世界なのに松葉杖なの?ってのも不思議でして。
ひょっとしたら障害者であることに驚いてるんじゃなくて、そんなのが自動人形やってることや、義手のハイテクっぷりに驚いてるってことか?
もしかしたらあの義手は軍の化学の粋を集めたシロモノだったり?下級兵にはとても手が届かないような。

個人的に「戦争の規模」が分からないのでどうにも世界観に馴染めないでいます。
先述のルクリアの兄の件も、戦傷者への保障ってどうなってるん?ってのが気になり、それも最終的には戦争の規模に集約されるワケで。
と、4話でちょっとだけヒント出たかな?
アイリスのおじさんが軍に志願しようとしたけど止めて、結果的に良かった良かったみたいなことを話してて…するってーと志願だけで徴兵まではされてない?
紛争地帯以外の地域は「軍がなんかやってるな」って程度でのほほんとして、結構他人事で済む程度だったのかな?
一方で代筆業が最近選挙関係の依頼がどうこうってのも語られてたけど、選挙結果次第ではまた戦争が起きるかもしれないっていう危うい状況の伏線だったり?とかも思ったり。

──と、妙に余計なことをあれこれ思ってしまうのは、この設定であるなら○○をやってくれないとどうにも物足りないんだよなぁってのがありまして。
具体的には

・戦中ヴァイなんとかって殺戮マシーンに殺された兵士の家族から手紙の依頼が来る話とか、無いの?
・社会復帰できない帰還兵に乱暴されそうになって殺しちゃうとか、無いの?

逆に考えてみよう、戦時中ヴァイオレットに感情無い(道具扱いされる)ことが推奨されてたのは何故か。
下された命令を冷徹に遂行するため、もっとぶっちゃけちゃえば人を殺すのにためらわない・非情であることが望ましいから、ってことだと思うんだ。
「非情であったものが情を知る」ってテーマであるなら、じゃあ非情であった頃の行いの清算は避けて通れない気がするんだよねぇ。
別に「オレは○○戦線で敵兵n人殺してやったぜガハハ」と自慢げに語るのが普通の世界でも構わないんだけど、テーマとしてはそれだけでは何か違う気が。
少佐は生きてるかどうか知らんけど、もし死んでた場合、それを知ったら殺した奴を恨まないで済む?
3話の「生きてて良かった」も、裏を返せば「どうか死なないでください」って願望(が実現した形)なワケで、ヴァイオレットが殺した敵兵にも同じような願いを背負ってた人は多数居たんじゃないの?とか。
(そういう意味では3話は「ナニ言ってるんだコイツ」としか思えなかった)
愛を知る・感情を知るってことはそういった部分まで思いを馳せることに至ると思うので、精神的に折り合い付けられるの?ってのは不安に感じる。
そういった危険性を危惧してヴァイオレットのやりたいこと(愛してるを知りたい)を聞いて「いや、それは止めた方が良い」と待ったをかける人が居ない、み~んな肯定的なのがどうにも不気味だったり。

あー別に批判じゃないです、今後そういう展開来ないかなー?って話ね、原作知らんし。
4話で動きがあると聞いてたのでそれを待ってたのですが、いざ見てみたら相変わらず綺麗綺麗なばっかりで肩透かし食らった感じでして。
そのうちひと波乱来るとは思うんだけど…少佐の兄貴に期待かなぁ?{/netabare}

5話感想{netabare}
おお、やったぜ、↑で指摘した「~みたいな展開無いの?」って方向、5話最後で次回以降来るらしいことが明かされました。
おほーっ原作全く知りませんぜ、ホントウデス。
まぁ設定聞いた段階で「そうなって然るべきだよなー」って思うのはごく普通のことで、別に予言が的中したとかそんな大げさなことじゃないな。
とはいえ然るべきことすら守らない作品も多いっちゃあ多いので、これは素直に嬉しい。
次回以降が早くも楽しみです…これで肩透かしな内容とかにはならんよね?大丈夫だよね?

それとは別に、5話全般について。
冒頭大陸(島じゃないよね?)の地図が出ました、ほぼまん丸で吹いたぞw
分かりやすいけどさー、そこはシンプルなのね。
更に驚いたのはヴァイオレットが国家レベルの公開文書の代筆をすることに。
…。
えっ?
……。
あれ、いきなり大出世じゃない?そんな仕事任される位、代筆の腕前を世間に轟かせたの?
2~4話と親睦を深めてた先輩ドール差し置いて…3話で学校に通ってたのって他の郵政会社の者(何話だったか同業他社は存在するってのは触れられてた)だと思うんだけど、それも差し置いて、つい前回まで指名すら受けたことが無い段階だったのに、突然そんなデカい仕事任されるの?
更に話の展開的には「代筆業は要りませんでした」って内容で…うんん?1話見逃した?って感じ。
既存の文献から統計を取ってどう書くのが最適か~とかが分かって「有能である」ってことは一応言葉で説明はされたけど、それが認められる回がスッポ抜けてるというか…。

まてよ?もうちょっと考えてみよう。
ヴァイオレットがいきなり大役を任されたこと以外に「あれ?」と思ったのは、4話で触れてた選挙の件どうなったん?ってことがあったり。
シンプルに二分してタカ派とハト派どっちが政権とったのかなぁ、と。
5話の手紙のやり取りは元々終戦後の和平というか、再戦が起きないように楔を打つ的な意味合いの強いもので、再戦を望む者にとっては破談になって欲しかった案件。
その勢力が手を回して妨害して、他のドールが就任できない中ノーマークだったヴァイオレットにお鉢が回ったとか?(妨害でなくても縁談が失敗して欲しい勢力がヴァイオレットを指名した?)
考えすぎかのう?
けど5話冒頭でしっかりと「和平に不満を持ってる勢力が居る」って言ってるし…どうしても選挙の件気になるんだよなぁ、まだ投票始まってないとか無いと思うんだけど。
もっと言っちゃえばブーゲンビリア家の者が実権握るようなことになるんじゃないの?と思ってまして。

そこら辺掘り下げてくれるかどうかも次回以降へ期待ですね。
これだけ先の展開を気にしておきながら原作は…読みません、スイマセン。


って、おっとっと、気になった点ばかりに終始して褒める点書いてなかった。
大衆が自国の姫(or王子)のラブロマンスに一喜一憂するシーンは良かった。
やっぱみんなそういうの好きよねー、また仲睦まじいことを公開することで和平っぷりの強化にもなろうかと。
ん?やっぱりそう考えるとヴァイオレット就任は妨害があった末のことなんじゃなかろうか。
文通が上手く行ってる最中「ぐぬぬ」してたタカ派も居たんだろうなぁ。{/netabare}

9話までの感想{netabare}
↑で次回が楽しみ~といいつつ、6話は5話最後からの続きではなく、サクっと時間すっ飛ばしてのスタートでビックリ。
ま…まぁ良いんだけどさ、後で回収さえしてくれれば、また大佐は登場するっしょ?
ただ5話最後のシーン、あそこからどうやって「別れた」のかはちゃんと描写しないとマズい気がするけどなぁ。
仲裁が入ったとかそんな感じか?
でないと大佐再登場した時「どの面下げてあの場を切り上げたの?」ってのは気になることになってしまうんじゃなかろうか。

そんなことよりも、9話っすわ。
回想回だけど、これ要る?
いやなんていうんだ、要らなくはないけど他にもっと必要なことあるんじゃないの?って思いが。

「軍に拾われて地獄のような訓練の末にクッソ強くなって代わりに精神に異常をきたした」
じゃなくて、
「軍に拾われる前からクッソ強くて精神もイカれてた」
てあるあら、拾われた後の回想描写なんかよりも拾われる前の方が重要じゃない?
戦争で何があったかなんてそれ以前から語られてた分で分かってるし、分かってるモノをわざわざ映像化することでアラ(詳細は割愛)曝け出してるし。
悪夢にうなされるのも、亡霊として責め立てるのは殺された敵兵…ではなく、もっとそれ以前から殺した奴らが出ないとピンと来ない。
ぶっちゃけ言うと、戦争で殺したのは戦争なんだし、命令なんだし、しゃーないじゃん、と。
要は責任を他の奴に転嫁できる、命令した奴が悪い、と。
けど誰かから命令されたでもなく殺しをしてたとしたならそっちはもう誰のせいにもできない、罪の意識に苛まれるならそっちのが強かろうて。
う~ん、なんつーかね、「クッソ強い」ことと「精神イカれてた」が繋がってないっていうか…厳密には繋がってなくはないんだ、ただ繋がらせる描写ポイントがズレてるというか…。
なかなか上手く言葉にできないモヤモヤした感じで「それ違くないか?」っていう違和感が膨らみ始めてます。
だ、大丈夫かな、ちゃんとスッキリさせてくれる展開してくれると嬉しいのだが。{/netabare}

最終回までの感想{netabare}
あれ?
あっれー?
これって回によって時系列前後してる?

「戦場から離れて安全な場所で穏やかに暮らして欲しい」ってが少佐の願いで、それを知ったって話、前にやらなかったっけ?
なんでわざわざ戦地へ赴く?少佐の想いを踏みにじる?
これが許されるならホッジスが退役して会社立ち上げた意味が…そこで雇ってくれと頼んだ少佐の願いががが。
まだそこまで気付いてないって状態だったっけ…?
しかも命令ではなく自発的に…出された茶を飲んでいいかも判断できなかったのに成長したねぇ、と感動する所なのかな?
ってかこれ費用どうなっとんねん。
まぁそれでも、最後に社長から「バッカモーン!」と叱られるオチだったらまだ良かった、あぶない刑事みたいに。
表向きは大赤字であることを叱って、内心は身を案じて怒った、っていうの、何故書かん?
戦闘シーンは目を瞑るとしてもこれはちょっと…。
それともアレか?詳しくないんで間違ってたりするかもだけど肛門期的な…アラレちゃん、でなくても同期やってたのなら三ツ星カラーズがあるか、ウンコウンコ言うの。
人殺しを忌むべきものと知って(しかもそれが時分のコントロール下にあると知って)逆に興味が沸く、みたいな?
実は人が死ぬ瞬間が見たくて見たくてしょうがないとか?

どうにも既存作品の感動シーンの継ぎ接ぎモノ、それでいて若干ズレてるって印象なんだけど、各話が繋がってないっていうか、思い付きで感動シーン入れましたっていう雑さが目立つ。
10話にしたって50通はやりすぎで…せめて成人するまででしょう、ああいうのが感動で済むのは。
それ以上は重荷になる、親が期待するのとは別の道を歩んだ時、毎年チクチク小言言われてるように感じますぜ、しかも相手は死んでて反論できない。
それがイヤなら「予言」通りに生きろってことかな?それじゃあ賭けグルイの未来計画書やインフィニティフォースの親父の定めた未来ってのと変わらない。
いや、真綿で首を絞めるような感じでより悪質かと。
ってか親は子と共に成長するもので…途中で成長止まった人にあれこれ指図されるのはキツいって。

というかですね、実は…10話に関しては元ネタになる映画がある…のかも知れない。
自分見てないんでどこまで似てるかは分からないけど、主役の役名が母親ポジではあるけどアンだそうで。
もしパクリであるならさすがに名前同じのを使ったりはしないと思うのでパロディになるワケだけど、元ネタ知らないで感動したと言ってる人を後ろから撃っちゃってないか?
なんでそんなことを!?
ちょっと考えにくいので映画の方はそんなに似てないってことなんかなぁ?{/netabare}

総評(今後追記してくかも)
{netabare}韓流ドラマみたい。

タイトルにも使われた様にヴァイオレット(=スミレ)がOPやED、更に作中にもちょこちょこ出るんだけど…園芸ヲタ的にはあれは無い。
というのも、アップで真正面からのアングルばっかりで…そりゃ種類が膨大で真正面から見た比較画像も多数あるけど、それはあくまで「別のアングルをとうに分かってる」前提での画像だし。
スミレの名前の由来の「墨入れ」、大工道具らしいけど、それを連想させる部分、つまりは花の後方、腹部分を見せずしてなにがスミレだよと。
それと4話だったっけ、山岳地帯が舞台の時ロゼットビオラ出せばいいのに出ないし。
他の作品なら突っ込む程ではないのだけど、やたら作画が褒められてる作品でコレってのはちょっと…最終回でも真正面アングルで吹いたぞ。

ってか…ボタニカルアートって知らないかな?
サカナくんさんがスゲーのは知識量もさることながら、ソラでボタニカルアート書こうと思えば描けるところで。
あたかも写真かのような写実的なのが重要なのではなく、その被写体の特徴をしっかりと描いてあることが重要でして。
ここら辺はケータイなどで写真撮影が身近になってる・小さい頃から慣れ親しんでる若者のほうがセンスあると思うのだけど…「ちゃんと撮れてるハズなのに“らしくない”」って経験ないかしら?
って、これ(自分が言いたいこと)って写実派とか印象派とかを言った方が早いのかな?
それでいながら町中のポスターにミュシャっぽいのがあったり、必死にインテリ風吹かそうとしてるように見えて笑える。
(世の中にはクリムト見てエルフェンぽいって言う人居るらしいッスよ…それがバカみたいってことではなく、気付いてないだけで自分も似たようなことやっちゃってるだろうし、なるべく気を付けようってことね)
まぁなにが言いたいのかと言うと、よく作画がスゲーと言われるけど、自分的には

写真のトレース上手いですね

ってだけで、アニメーションが上手いとはちっとも思えない。
こうなってくると実写作品でいいじゃんって思えてくるし、内容からして韓流ドラマが向いてるかと。
韓流ドラマが糞ってことではなく、これ見て「泣けた」って方は韓流ドラマがお勧めですよって意味ね。
なんせ実写は作画崩れ無いしw{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 28
ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

美しい世界で、愛という言葉の意味を描いていく物語

世界観:8
ストーリー:6
リアリティ:5
キャラクター:7
情感:8
合計:34

感情を持たない一人の少女がいた。
彼女の名は、ヴァイオレット・エヴァーガーデン。
戦火の中で、大切な人から告げられた言葉の意味を探している。
戦争が終わり、彼女が出会った仕事は誰かの想いを言葉にして届けること。
――戦争で生き延びた、たった一人の兄弟への手紙
――都会で働き始めた娘から故郷の両親への手紙
――飾らないありのままの恋心をつづった手紙
――去りゆく者から残される者への最期の手紙
手紙に込められたいくつもの想いは、ヴァイオレットの心に愛を刻んでいく。
これは、感情を持たない一人の少女が愛を知るまでの物語。
(公式サイトより)

毎週リアルタイムで見ていた、響け!ユーフォニアム2期のCMで圧倒的な作画で注目しました。流石は京アニだなぁと、当時のレビューで言及してしまったほどです。当時は原作のCMでしたが、いよいよアニメになるということで、期待せざるをえない状況での視聴です。

3話を見て、評価点は既に4.5と3話時点では高水準だと思います。期待通り、歴史に残る作品になりそうなので、その時々に感じたことを忘れないよう、ここから更新型のレビューにしたいと思います。全話はできないかもしれませんが、できる範囲でお送りします。

<3話まで>
ファンタジー世界の物語。{netabare}戦場で大切な人(ギルベルト少佐)と別れてしまった主人公ヴァイオレットが、郵便の会社に就職し、新しい人間関係の中で、代筆業務に取り組んでいくといった序盤でした。
タイプライターが家庭で買えないような時代設定なので、我々の世界より文明は少し昔のように思っていましたが、喋ったことをその場で手紙の文章にするサービスって現代でも通用するような。プライバシーの関係で需要が多くなさそうですが、手紙が書けない人や、より良い文章にしたいというニーズはあって良いよな、と思って検索したら、ラブレター代筆業者とか普通にいました(笑)
人の心を伝える職業を舞台としているところが良いですし、設定として巧いです。
ヴァイオレットの機械の手を見ると、我々の世界より進んでいるようにも思えます。{/netabare}

1話は{netabare}ヴァイオレットがギルベルトのことを強く想っている描写が随所にあり、最後に「愛している」の意味を知りたいと意志を示したシーン、{/netabare}
2話は{netabare}サービスの文字通りの機械人形であるヴァイオレットを通じて、人の言葉には言外の心情が込められていることを描き、裏腹にかけながら同僚のエリカがヴァイオレットを辞めさせないでほしいと直訴するシーンに心動かされました(ここで既に情感7点以上が確定)。京アニスタッフは物語と人間の動かし方がわかっていらっしゃるよ、本当に。と思ったら演出が藤田さんでこれまた高揚感ですね(響け!ユーフォニアムのレビュー参照)。{/netabare}
3話は{netabare}自動式人形の養成学校でのストーリーを土台に、ヴァイオレットとルグリア、ルクリアとその兄を、手紙や高台の鐘楼から見える美しい景色とともに描かれました。目に涙を溜めているだけで感情に訴えてくる表現の力強さもありました(涙が響け!時よりも涙らしくなりました。もっと線を細くして、流れる時にキラリと光るだけでも十分だと思います)。{/netabare}

リアリティ面は、{netabare}ヴァイオレットが戦場を駆け巡るシーンや、簡単な手紙で養成学校を特別扱いで卒業させてもらえたあたりが引っ掛かりましたが、まだ、それを上回る満足度の高さがあります。{/netabare}

ヴァイオレットは機械のような心ですが、単なる設定と思わせない感じが良いですね。外見の美しさとその極端な不器用さとのギャップに、周囲が手助けしてあげたくなるというのも、なんか共感できます。

{netabare}今回、少佐への手紙が宿題となったのでこれが伏線となりそうですが、少佐が生きていて、手紙が渡ることを祈りましょう。もし、再会するという結末であれば、ヴァイオレットにどんな行動ができるのか。まだ、物語には大きな山場があって、成長していってくれることを期待したいですね。{/netabare}

<4話>
{netabare}今回は、初めてドール仕事の指名を受けたアイリスが、ヴァイオレットと共に依頼主の住む町(アイリスの故郷)まで出張する話でした。前半で問題を起こし、後半でほろりとする、ここまでの3話までと同様の構成で、脇役であるアイリスに1話を割いた形となりました。

4話からが本番との噂があり、物語が大きく動くのではないかと期待をしていたので少し肩透かしを食らった感じですね。

ヴァイオレットがドールをやりたい理由、他のドール内で共有されているかと思いきや、アイリスは初めて聞いた模様。ドールたちの間ですぐにでも話題になってそうですが、ちょっと人間性が綺麗すぎるかなぁ(←リアリティ派の観点って面倒くさいものです(笑))。引き続き、次回に期待で。{/netabare}

<5話>(優良回)
{netabare}ヴァイオレットが王女の公開恋文の代筆をするとか、14歳とか、いつの間にか美麗な手紙が書けるようになっているとか、代筆屋が代筆しないとか(ビジネスとして問題ないのか?)、国家間の公開恋文が同じ郵便社の代筆屋に任されているとか、そもそも公開恋文なんてありえるのか?とか、ツッコミ所は随所にあるのですが、それを上回る作画の美しさ、テンポの良さ、情感の琴線に触れる心情表現に長けた演出で違和感なく視聴できました。

特に、プロポーズのシーンと、ウェディングドレスを着たシャルロッテとアルベルタのシーンが印象的でしたが、構図やピントのとり方に気付いたら、演出に藤田さん入っていましたか。ヴァイオレットが笑ったのを、カトレアの表情で表現したところも良かったですね。

1話完結、1話ごとの繋ぎが悪い感じもしますが、「愛している」の意味を知りたいヴァイオレットとともに兄妹、親、育ての親など、色々な愛の形を様々なドラマとともに映し出すのがこの作品のテーマ(の一つ)ということがわかり、満足度の高いエピソードでした。

最後は不穏な展開を予想させる終わり方でしたね。ヴァイオレットが機械のような心なのは、そうなってしまった理由もあるのかもしれません。過去の行動(殺人を平気でできた)との整合性が説明できれば良いのですが、そのあたりにも注目しつつ、物語が動きそうな次回に注目したいと思います。{/netabare}

<6~7話>
{netabare}物語が動きそうであまり動かないので、少し心配になってきました。2クールなら大きな問題ではありませんが、この2話は演出が自分の好みではなかったので評価が下がってきています。

6話は並回に近い良回。終盤、リオンがロープウェイで遠ざかるヴァイオレットに話しかけるシーンが、眩しすぎる! と思ったくらいです。ここは個人的な演出の好みでしょうね。実写に耐えられないシーンだと意識してしまうとちょっと苦手なんです(「意識してしまうと」がポイント)。

7話は並回。直接の減点につながったのが、ヴァイオレットが湖面を歩いたこと(嘘をつかないだろうヴァイオレット自身が「3歩は歩けたと思います」って、言っちゃってるし)。画になるシーンで美しいのはもちろん認めますが、もっと風の強い日ということを描いておくとか(それでも厳しいでしょうが)しないと、リアリティ重視派は受け入れられません。

もう一つ、今回のエピソードでは、亡くなった子供に対する親の愛を描いていますが、人が亡くなる(いなくなる)ことの哀しさ、生きていれば様々な可能性があったこと、戦争においてその可能性を奪う側であった自分に対する葛藤といったところまで描かれました。ようやくここまで来たとは思いつつ、人殺しは悪いことと簡単に思ってしまうのもどうなのか。

ヴァイオレットは戦争の時に人殺しをしたにせよ、それはギルベルトが認めていたことでしょうし、ギルベルトを守る動機があったはず(殺さなければギルベルトが殺されただろう場面があったことも容易に想像できます)。ギルベルトを信奉する心が変わらない限りは、上記の思考に至る前に自己を正当化するのが自然なのではないかと思います。

あと、ギルベルトの消息について、微妙な進展がありました。死んだところは誰も見ていないということでした。前述のとおり私は生きていると考えています(物語の構成上、生きていないとラストを綺麗に仕上げられないため)が、姿を見せないことの理由に納得ができればいいなあと思っています。

作品の暫定評価は下降傾向ですがまだ良作水準。毎回美しい小話で、それが作り物と感じてしまうと私は満足できない人間なので、意識させないほどのダイナミックな物語に引き込んでほしいですね。{/netabare}

<8~9話>
{netabare}ようやくヴァイオレットの過去が少し詳細に描かれました。少佐が死んだのかという点はいまだに保留したいですが、死んだと扱われていることを知り、その現実に向き合うヴァイオレットをどう表現するのかが見どころとなりました。大声を出して机の物を投げ散らかす姿は、戦場で激情を表していた人ですし、行き場のない感情を想像すれば理解できますが、ちょっと安易。時間をかけながらぐっと堪えるくらいでも良かったように思います。

戦場でのヴァイオレットの活躍が今のヴァイオレットと繋がりにくく、戦場エピソードはシーン作りに見えるのがこの作品の弱点になってしまったように思います。

ルクリアの兄の代筆、同僚からの手紙を経て、自分の今の居場所に戻る。9話のスペシャルEDもきれいに決まりました。良回です。{/netabare}

<10話>(優良回)
{netabare}余命が限られた母親が残した手紙とは、{netabare}預け先となる親戚への手紙ではなく、実は生きていた父親への手紙でもなく、小さい娘へのこれからの50年に亘る誕生日を祝う手紙でした。{/netabare}

親の気持ちはもちろん、少女のその時その時の感情や行動もある程度理解できまして、手紙の内容を知りながら感情を抑えて対応したヴァイオレットを含め、それぞれの思いに胸を締め付けられました。これは泣けます。

50年も先に届ける手紙を取扱うのは凄いサービスです。今回の対象はお屋敷に住む人だったから大丈夫だと思いますが、転居の多い日本の都会では不可能でしょうね。会社自体もなくなる可能性を思えば、そのような未来に対する人の思いを背負うことは容易な覚悟なくしてはできませんし(ホッジンズ社長の男気か、はたまた浅慮か)。

さて、シーズンとしては締めに入る時期ですが、2クールか、2期か、続くことを期待したいです。{/netabare}

<11話>
{netabare}私にとっては平凡回でした。ヴァイオレットの戦闘能力がまたも浮いて見えてしまったことに加え、そもそもの代筆業というサービスにおける、旅費や報酬がどのような仕組みになっているのかもフワフワしてきました。

ヴァイオレットが勝手に依頼人のところへ訪問しますが、旅費が依頼人持ちであれば、事前に承諾したこと(訪問すること)を伝える必要があるはず。そういうシーンがないとすれば会社持ちで、その分、代筆の報酬を高めに設定していると推測されます。

しかし、今回、依頼主は死んでしまいますので、報酬の受取ができないと思われます。手紙の宛先(家族や恋人)に払えとは言えないだろうし、あのシーンの後にそんな話があると想像したくはありません。

今回はヴァイオレット個人の勝手な行動であり、死ぬ恐れすらあったわけなので、ホッジンズはヴァイオレットを叱り、費用負担を全てヴァイオレットに帰属させなければならないですが、本作はそういうものを描かない方向性だと思うので、それであればストーリーがまずかったということになると思います。{/netabare}

しばらく多忙で、12話以降のコメントを書けていませんでした。
以下、総評としてまとめさせていただきます。

<12~13話及び総評>
{netabare}12話はトレインアクションがやはり浮いている印象で並回、13話は1クールでの締め括りができていたので良回だと思いました。violet snowが最終回にようやく聴けました。これが当初から(特にEDとして)使われていたら作品全体の評価が上がっていたように思うのですが、どうでしょうか。

本作はCMの出来の良さや作画の美しさから、今期の覇権アニメ候補筆頭と思っていましたが、1話ごとに話が終わる形で、主人公ヴァイオレットの心の成長が急だと思われるところなどあったこと、その影響もあり、全体としてのストーリーが綺麗にまとまらなかったこと、戦闘におけるヴァイオレットの過剰能力がどうにもリアリティ面を阻害したことなどが徐々に評価を下げる原因となりました。

一方、5話と10話のような、ストレートに感動できる回もあります。私は感動するまでに意図的なものを感じると冷める人間なので、多分、上記の回は演出の技術が高いように思われ、単純に感動できる作品は良い方向に評価します。また、美しい世界観を楽しめば非常に心地の良い作品だと感じました。私などは、ヴァイオレットのブローチがなかった時に、真っ先にホッジンズ氏を疑ってしまい、心が汚れているなぁと思ってしまったのですが。。{/netabare}

視聴者の心の綺麗さ、まっすぐさを試される作品。(綺麗だから良いということもないですが、好みは分かれるだろうなと思います)
続編は期待しないで視聴したいと思います。

結局、個人的な2018冬アニメの覇権は、劇場版ですがさよ朝が群を抜いていたかなと思っています。

(参考評価推移:3話4.5→4話4.4→5話4.5→6話4.4→7話4.2→10話4.3→11~13話4.1)
(2018.1~3視聴)

<2021.11追記>
先日の金曜ロードショーで、編集版が放映されました。構成は1~3話、7~8話?、10話で、10話のEDでそのまま終了というもの。
TV版は、ヴァイオレットの出自や心の問題、郵便社のシステム、時代背景的な前提を示しつつ、神回である10話が十分に入っていれば良いと思うので、未視聴の層には適切な編集と思いますが(外伝の劇場版の放映のためなら、5話は使ってほしかったですが)、ヴァイオレットの心の成長が早すぎるように見えてしまいそうでした。
気になった方は是非全編をご視聴いただければと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 70
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

「愛してる」と自動手記人形と「愛してる」

原作未読。最終話まで視聴。

【総評】
引き込まれるように、思わず見入ってしまう・・・。
上手く言えないけど、そんな作品でした。

まずは、圧倒的な作画。
他の制作会社の作画もクオリティが相当高くなっている昨今、それでも作画で唸らせる京アニクオリティは圧巻です。

個性豊かなキャラと、それを巧みに演じられた声優陣も、とても良かったと思います。

感動的な物語の数々も、とても良かった。
涙腺崩壊系の話とヴァイオレットの関わり方がとても綺麗に描かれていたと思います。

すでに続編も決定しているとのこと。
楽しみにしています。

【酷評を少々】
放送前の盛り上げ方が半端ありませんでしたので、非常にハードルを上げて視聴を開始された方も多かったはず。
かくいう私もその一人ですが(笑)
そのため、「んっ?」と感じるところも少なからず存在しちゃう訳で・・・。

本作の評価は、「物語」と「音楽」の評価がポイント(評価の分かれ目)だと思います。

【物語について】
本作の一番の問題点は、{netabare}3話以前と4話以降のヴァイオレットが別人のように感じてしまうこと。
要するに、『一気に急成長しすぎ』なのである。{/netabare}
この部分が気になるか、ならないかで、評価が分かれると思う。

この点について、私は脳内補完しきれませんでしたのでマイナス評価です。

もう一つの問題点は、{netabare}11話~13話前半のくだり。
ここにきて何故か主人公最強系の「超人少女ヴァイオレットちゃん」的な展開に・・・。{/netabare}
このくだりの必要性が理解できるか否かで、評価が分かれるのではないかと思う。

この点について、私は「必要性が理解できる」として特にマイナス評価はしていません。
それは、{netabare}ヴァイオレットがギルベルトへの思いを言葉にするにあたり、ギルベルトの母との出会いを描く必要があり、ギルベルトの母との出会いを描くには、ディートフリート大佐との和解じみた話も必要となると思うからです。
『もう誰も殺したくないのです』
このあとのヴァイオレットの一連の行動は、大佐の心を動かすのに充分だったと思います。{/netabare}
{netabare}11話の依頼人との出会い方とか、{/netabare}おかしな所も多々ありますけどね(笑)

【音楽について】
この作品ほど、EDが話題になる作品は少ないと思う。
”あにこれ”のレビューでも、EDの話題をよく目にする。
ここも評価の分かれ目になると思う。

個人的に、特にEDが不愉快に感じたのは第2話と第5話。
ED曲自体は問題ないと思うのですが、ED曲の使い方にマイナス評価です。
唐突に始まるので『ドキッ!』としちゃう。
非常にもったいないです。

【以下は、各話レビュー的な「何か」です】(笑)
{netabare}
【第1話】
まあ、京アニですから、作画は全く申し分ないですね。
他の制作会社の作画もクオリティが相当高くなっている昨今、それでも作画で唸らせる京アニクオリティは圧巻です。

物語は、まだまだ掴みの段階でしょうが、名作の予感が更に高まりました。
第1話だけで、思わず泣きそうになってしまった。

良作目白押しの今期の中でも、頭一つ抜きん出ている印象があります。
(第1話の段階で・・・、ですけどネ)
最後まで、しっかりと見届けたいと思わせるような作品です。

【第2話】
ふ~ん。「ヤキソバ」ねぇ・・・。
しかも、箸で食べるんだ・・・。
もしかして、笑う所なのかな?

人の気持ちが理解出ないヴァイオレット。
自動手記人形として、{netabare}間違ってはいないけど、大失敗をしてしまう。{/netabare}

人の言葉の裏を読むのは、難しいからね。
基本的には優秀な彼女だが、彼女にとっては一番難しい仕事。
それでもこの仕事を続けたいヴァイオレット。
『愛してる』の意味を知りたい。
ただそれだけの理由で。

{netabare}ブローチが戻ってきて良かったね!
ホッジンズの郵便社に来てから、初めてじゃないかな?
ヴァイオレットが感情を見せたのは・・・。{/netabare}

ところで・・・、{netabare}茅原さんの歌声が邪魔だと感じたのは{/netabare}私だけですかねぇ?
歌とかはともかく、声が・・・。
普段は彼女の歌、別に嫌いじゃないんだけど・・・。

【第3話】
自動式人形育成学校でも{netabare}相変わらず、優秀なヴァイオレット。
どうしても、人の気持ちが理解できず、報告書のような文章しか代筆出来ない点を除いては・・・。

『良き自動手記人形とは、人が話している言葉の中から、伝えたい本当の心をすくい上げる者』
自動手記人形とは、単なる代筆業ではなく、相手の本当の想いをくみ取り、綴っていく仕事。

ルクリアとの出会いが、彼女を少しだけ成長させた。{/netabare}
なかなかの感動回でした。

【第4話】
アイリスの回。
親の心子知らず、子の心親知らず(?)な話。
で、なにやかんやあって、アイリスとヴァイオレットが仲良くなる話。

{netabare}「少しは理解出来るようになったと思っていたのですが、人の気持ちは、とても複雑で繊細で、誰もが全ての思いを口にするわけではなく、裏腹だったり、嘘をつく場合もあり、正確に把握するのは、私にはとても困難なのです」{/netabare}
{netabare}「『愛してる』は、とても勇気のいる言葉なのですね。受け入れられないとそこにいたくなくなるくらいに・・・。あの時の少佐もそうだったのでしょうか」{/netabare}

ヴァイオレット、{netabare}良い手紙を書けるように{/netabare}なってきた。

しかし、未だにEDが馴染めないのは私だけでしょうか・・・?

【第5話】
良い話だった~!
シャルロッテ姫とアルベルタの話。
血のつながりにも勝る二人の関係が、とても素敵でした。

ヴァイオレットは、本当に良い手紙が書けるようになった。
ところが、この話でヴァイオレットは、{netabare}ほとんど手紙を書かない{/netabare}。
しかしヴァイオレットは、しっかりと依頼に応え、最高の結末を迎える手助けをする。
社長から貰った犬のぬいぐるみが、机の上にきちんと飾られていたのも彼女の成長の証。
ラストの笑顔は本当に可愛かった。
ヴァイオレット、{netabare}14歳{/netabare}ってマジですか?

EDだけが未だに受け入れられない。
『かけがえのない 宝物~♪』の所に、感動的なシーンを被せたいのだろうけど、少々耳障りに感じる。
第2話と同様、歌声が気になって、肝心のセリフが台無しな気がする。

【第6話】
{netabare}天文台に古い本がたくさん集まって、それを書き写すために集められたヴァイオレットたち自動手記人形。
天文台の解読係の人とコンビを組んでのお仕事。{/netabare}
なるほど。自動手記人形にはこういう仕事もあるんですね。
相変わらずポテンシャルの高さを見せるヴァイオレット。

様々な愛の形に触れていくお話なのかな?
今回は、{netabare}「寂しい」という感情を知る{/netabare}ヴァイオレット。

毎回、EDの始まりが心臓に悪い。
もう少し静かに始めるようにした方が良いと思うんだけど・・・。
もしくは、事前にカウントダウンしてくれるとか!(笑)
本音で言えば、CMで流れていた『Violet Snow』の方が作品のイメージにピッタリだと思う。
これだけ評判の悪いEDってどうなんだろう?

【第7話】
妻と娘を失った舞台の脚本家との話。
「いつか、きっと・・・」

脚本家の過去話から、{netabare}ヴァイオレットは、この思いが遂げられなかった時の悲痛な思いを知ることに・・・。
同時にヴァイオレットは、過去の自分が、一体どれだけの人の「いつか、きっと・・・」を奪ったのか、痛感する。

その後、思わぬ形で少佐の死を知ったヴァイオレット。
ヴァイオレット自身も、「いつか、きっと・・・」を奪われた・・・。{/netabare}

本当に上手い展開だと思いました。

ED曲は今回の使い方ならアリかな?
一瞬の暗転で心の準備ができるし。

【第8話】
『ヴァイオレットと少佐の過去編その1』という感じかな?
少佐の優しい人柄は、凄く伝わってきた。
対して、ヴァイオレットの想いが、こちらにうまく伝わってこない。
表情の変化も少ないし、言葉も少ないので仕方がないかも知れないけど・・・。

まあ、今後に期待という事でしょうか?

戦闘シーンは迫力があって良かった。
ところで、ヴァイオレットちゃんは、なんであんなに強いんだ?

【第9話】
サブタイトルが作品のタイトルと同じ。
それだけ、重要な回。
それが相応しい、神回だったと思います。

前半は、前回の続きから{netabare}始まって、ヴァイオレットが両腕を失い、そして少佐との最後の記憶までが描かれる。
ヴァイオレットの左腕がずり落ちる場面は、グロさを抑えつつ、無残さだけはしっかりと伝える、見事な演出だと思った。
{/netabare}
中盤は、{netabare}ヴァイオレットの苦悩と、彼女のことを心配する周囲の人々が描かれる。{/netabare}

そしてヴァイオレットにとって、転機が訪れる。

{netabare}「どれ一つ取ったって、誰かの大切な思いだからな。届かなくていい手紙なんてないんだ」

一つは、手紙を配達している時に耳にした、手紙が届いたことを喜ぶ少年の声。
もう一つは、エリカとアイリスからの手紙。
そして、ルクリアの兄・スペンサーからの代筆依頼。

「手紙を貰うというのは、とても嬉しい事なのだと分かりました」
ヴァイオレットにとって、手紙が『仕事』から『貰うと嬉しい物』に変わった瞬間。
今、自分がしていることは、他人を幸せな気持ちにする仕事であることを知る。{/netabare}

{netabare}スペンサーの代筆を終え、ヴァイオレットは、今まで自動手記人形としてやってきたことの、その後を知る事となる。
一つは、スペンサーが立ち直ったこと。
もう一つは、シャルロッテ姫夫妻の幸せそうな今。
もう一つは、舞台の脚本家の今。{/netabare}

{netabare}「してきたことは消せない」
誰にも過去を消すはできない。
誰にも過去を変えることはできない。

ヴァイオレットにとって、”兵器”としてしてきたこと=『他人を不幸にしてきたこと』も消せない。
そして、その後”自動手記人形”としてしてきたこと=『他人を幸せにしてきたこと』も・・・。

だけど、今を変えることで、未来は変えていける。{/netabare}

↑ネタバレばっかりでごめんなさい^_^;
今回はEDまで含めて、本当に良かった。

しかし、ベネディクトくん。配達の仕事をする人が{netabare}ハイヒール{/netabare}は無いわぁ(笑)

【第10話】
この回は『涙腺崩壊回』とでも命名しましょうか?
この回、涙無しで視聴出来た人、どのくらいいるのでしょうか?

ラストの{netabare}ヴァイオレットの涙は、もはや反則でしょう。
『私・・・、私、お屋敷では泣くのを我慢していました』
見ているこちらは我慢出来ませんでした(笑)

それと、繰り返し視聴時の涙腺崩壊ポイントが、ヴァイオレットを見送った時のアンのセリフ。
『私、あの人が書いた手紙、読んでみたかったな』
「この時のアンの願いが、この先、50年にも渡って叶っていくことになるんだ」って考えたら・・・。{/netabare}

正直、物語の途中で、何となく結末は分かるのですが、それでも泣かせる演出は流石です。

今回のEDも良かったと思います。
{netabare}手紙の朗読に合わせて、静かなイントロから始まって、音量も手紙の朗読を邪魔しない、絶妙な音量。{/netabare}
何故、最初からこれが出来なかったのかな?

【第11話】
ん~?あれあれ?ここにきてこんな話?
9話、10話と大きく盛り上がってきたのに、ここで1回下げる?
(あくまでも個人の感想です)

いえ、『”元”軍人のヴァイオレットちゃんが、戦場に駆けつけて、兵士のために自動手記人形する物語』というのは”アリ”かも知れないけど・・・。

演出というか、展開が強引すぎて、感動してよいやら悪いやらで・・・。
展開が強引な部分を除けば、感動的な話だったと思うのですが・・・。
(まあ、さすがにラストは涙腺が崩壊してしまいましたけどね(笑))

終盤にきてこれでは少々評価が厳しくなっちゃうかな?
ここからの盛り返しに期待したいと思います。

【第12話】
11話に引き続き、「超人少女ヴァイオレットちゃん」の物語・・・。
って、おいおい・・・。

11話、12話と物語の軸がブレてきている気がする。
3話~10話までは、涙腺崩壊系の感動ストーリーの数々。
ところが、11話、12話は、主人公最強系の戦争モノ?

少佐の「愛している」の意味を知りたい話がどういう結末を迎えるのか?
最終話を座して待ちたいと思います(笑)

【第13話】
序盤は引き続き「超人少女ヴァイオレットちゃん」の物語。
う~ん。

中盤は良かったと思う。
少佐の母との対面は、ヴァイオレットの心を少しは軽やかにしたのではないでしょうか?

笑いと感動の終盤は満点でしょう。
そう。これが視聴者が求めていたエンディングですよ!
このエンディングを引き立てるために今までのEDがグズグスだったのか(笑)

{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 187

90.9 2 切ないで感動なアニメランキング2位
とらドラ!(TVアニメ動画)

2008年秋アニメ
★★★★★ 4.2 (17930)
53250人が棚に入れました
その目つきの鋭さ故、不良に見られてしまうことを気にしている高須竜児は高校2年に進級し、以前から好意を寄せていた櫛枝実乃梨と同じクラスになることができた。一方で、新しいクラスメイトの間にはびこる「高須は不良」と言う誤解をまた最初から解かなくてはならなくなるのかと憂鬱であったが、「手乗りタイガー」こと逢坂大河との邂逅により意外に早くその誤解は解かれることとなる。
ある放課後、大河は想い人の北村祐作にラブレターを出そうとするがそれを間違って竜児のカバンにいれてしまう。ラブレターを送ったことを知られたと思った大河は、竜児に闇討ちを決行する。その夜のやりとりがきっかけで一人暮らしである大河の家事の面倒も見るようになって大河は竜児の家に入り浸るようになり、お互いがお互いの親友との恋を応援する共同戦線を張るようになる。

声優・キャラクター
釘宮理恵、間島淳司、堀江由衣、野島裕史、喜多村英梨、大原さやか、田中理恵、吉野裕行、興津和幸、野中藍、石川桃子、後藤沙緒里
ネタバレ

トゥーリータラー さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

学園恋愛ものの鉄板!

※1万文字を超えるダラダラとしたまとまりのないレビューです。ご了承くださいましm(__)m

アニメの中でもアニメらしい、学園恋愛アニメです。
この作品の特徴は、「アニメらしさ」だと思います。「アニメ」という手段を使ってこその表現や良さがたくさんあったし、そういう点も含めて日常アニメの中では最高レベルのアニメだと僕は思っています。
それに、結構古いネタがたくさん出てくるので(ギニュー特選隊等)そっちの面でも楽しめるカモ笑


ではまずはネタばれなしで紹介がてらレビューを書こうと思います。



物語
前半はキャラ紹介。激しい展開があまりないので飽きてくる人がいるかもしれませんが、展開ゆっくりなうちにしっかりキャラを掴んで下さい。より後半が楽しめます!
後半は前半でしっかり出来上がったキャラたちが一気に動き出す展開です。登場人物たちそれぞれの立場からじっくり視聴すると、胸が痛くなるシーンがたくさんあります。

簡単には前半キャラ紹介、物語の土台固め。後半物語の展開。といった感じですが、2回、3回視聴すると前半から少しづつ伏線をまきつつ話が動いていることに気が付くと思います。再視聴再々視聴がおススメな作品です。


声優、音楽
声優さんの演技は完璧です。しっかり登場人物の内面まで演じ切ってます。
さらに、このアニメはOPEDすべて声優さんの歌です。OP1ED2の「プレパレード」「オレンジ」は大河、みのりん、あーみんの三人。OP2ED1の「silky heart」「バニラソルト」はみのりんの中の人”堀江由衣”さんが歌っています。この作品はOPED含めて初めて完成する作品だと思うので、絶対に歌を飛ばしちゃいけないと思います!! 登場人物たちの関係性や前半後半の変化はOPEDで感じることができるし、EDの入り方はどの話でも最高です!
僕も初めはあまり好きな曲はありませんでしたが、アニメを見て聞くうちにだんだん好きになってきていました。「本編あってこそのOPED、OPEDあってこその本編」という感じで、OPEDの使い方の1つとして、最高の作りになっています。


キャラ
ライトノベル原作だからこそのアニメらしいキャラをしっかり描き切っていました。
よくこの作品を見て「とてもリアルな人間関係でおススメ」とか「こんな性格ありえないから見ても無意味」といった両極端の意見を見かけます。
その原因は「アニメらしさ」なんだと思います。
現実にはありえないキャラクター性を持っている登場人物たち(竜児の鈍さや大河のツンデレ貧乳暴力キャラやみのりんの天真爛漫さや北村君の裸族さwやあーみんの達観しすぎているところなどなど・・・)ですが、考え方や距離感はとてもリアルに描かれています。この作品の「テーマ」(ネタバレになるので伏せますが・・・)を表現するために、「アニメでなくては不自然なキャラクターたち」が「自然な感情変化、考え方」をしている。 ココがこの作品のポイントだし、傑作といわれる要因なんじゃないかと思いました。
ネタバレしちゃう為、詳しくは下の方で・・・笑


作画
作風にあった絵だと思う。表情も丁寧に描かれていて、キャラの理解に一役買っているし、勢いのある絵での激しい表現もありました。まさかこのアニメであんなに激しいシーンを見ることができるとは思わなかったです笑

表現のためにわざと崩しているようなシーンもありましたが、ただ「明らかにおかしいな」というシーンもいくつかありました。少なくとも丁寧な作画ではなかったと思います。
細かいところを気にするとアレですが、一番大事な「キャラクターの心情」をしっかり、表情や仕草で表現しきれていたのでよかったと思います。


~~~~~~~~~~~~
もう一度とらドラを見直して。
やはり、キャラの表情がイイ。多少、作画が荒くても、あの表情を表現できるのは素晴らしいことだと思う。
~~~~~~~~~~~~

まだ未視聴の方。是非見た方がイイ作品です。アニメでの1つの完成形に近い作品だと僕は感じました。



ではここからネタバレ。思う存分語っちゃいますwww
{netabare}

前半
まずは時系列に沿って簡単にまとめ。
1~4話
まずここまでで、あーみん抜きでの4人の関係性(表面上の)が固定されます。
5,6話
川嶋亜美登場。見かけは安定していた4人の関係を動かすキーパーソンです。
7,8話
5人の距離が縮まってくる。あーみんは竜児の気を引こうとする。
9,10話
別荘篇からだんだん雰囲気が変わってくる。ここに来て初めてみのりんが自分から「本当の自分」を竜児に見せる。大河も竜児への思いがまだ無意識ながらも形になってくる。そしてあーみんはもうこの時点で北村君のことも、ほか3人の関係も全部見通している。あーみんは竜児に「対等」でありたいと思う。
11~13話
大河の事情が明るみになると同時に、彼女を挟んでみのりんと竜児の仲たがい。あーみんは「対等」をあきらめて、「一歩先」へ。北村君は会長のために奮闘。
14~16話
北村君の激動。周りの4人も大きく展開し始める。ここまでで主要5人が掘り下げられて、前半終了。「罪悪感はなくなった?」が後半の展開へとつながる。

OPED
「プレパレード」はキャラ紹介。そして前半でのキャラたちの関係性を表現。「バニラソルト」も「プレパレード」もみのりんのキャラをはっきりと表わしていて、後半への変化を印象付ける。


ワードは「本当の自分」「建前と本音」「憧れと対等」「大人子ども」ってところだと思います。

「本当の自分」
素の自分と作った自分。これを持つかどうかで「あーみんとみのりん」、「竜児と大河」に分けられると思います。
前者は二つの顔を持っている。あーみんははっきり意識しているけど、みのりんは多分ほとんど無意識であのキャラを演じているんだと思います。あーみんは自分の利益になるようにニセの自分を作っているけど、みのりんは多分どっちが本当の自分なんだか分からなくなっている。
そして一方で、竜児と大河は裏の顔を持たない。ただ竜児は「ヤンキー」と誤解されるけど、はっきりとそれを拒絶している。大河は本当にまっすぐ。

「建前と本音」
大河の建前は「北村君が好き。」。でも自分も気づいていないところで竜児を意識し始めていました。初めて「大河」と呼ばれたとき、ラミネート加工での反応等々・・・。
それから「クソジジイ」という建前と、本当は父のことを悪く言われたくないという本音。話はそれますが、みのりんも一年前竜二と同じ体験をしたんだと思います。そして本当に怒った。だから大河はみのりんに家のことを話さなくなったし、みのりんも大河の本音を気付いていたからこそ殊更に、大河に演じた自分を見せるようになったのかもしれません。
そんな大河は建前を持たない北村君を好きになった。好きになったというよりも・・・。 

ここで「憧れと対等」
あーみんが洞窟で言った言葉ですが、大河は「建前」を持たない北村君に「憧れていた」んだと思います。そしてみのりんは竜児に、さらに大河にも「憧れ」ていた。何故かというと、大河と竜児は「本当の自分」を隠さないから。竜児もみのりんの輝きに憧れていた。「憧れていた」からこそ「対等」にはなれない。あーみんはそこまで見破っていたんだと思います。大河から北村君、そして竜児とみのりんは「憧れ」を「恋」と勘違いしていた。勿論それも「恋」になりえるけど、「対等」に変化しない限り不可能です。
あーみんは竜児と自分の関係を「対等」から「一歩先」に訂正しました。ここで自ら「対等」を捨てて(竜児を諦めて)、「一歩先」つまり”竜児が気づいていない本当の気持ちを気付かせたい”と思ったんじゃないでしょうか。あーみんは自分が「本当の自分」と「作った自分」を持っていたことをよく思っていません。だからこそ半無意識にしろ偽りの自分を持っているみのりんは多かれ少なかれ不快に思っていただろうし、まっすぐな大河にはもしかしたら「憧れ」すら持っていたかもしれません。
そのくせ、大河もみのりんも竜児もみんなもどかしくてずっとイライラしていたんじゃないでしょうか。

「大人と子供」
みのりんは無意識に人間関係を見抜いています。確証がないから信じられないケド、本人たちが気づいていなかった「竜児と大河」の関係をずっと疑っていました。(1・2話での大河竜児の誤解が解けてもみのりんだけはずっと疑っていた。)
対してあーみんは大人の世界での経験からはっきりと人間関係を見抜きます。しかも自分自身に対しても客観的に。そんなところをみのりんは「あーみんは大人」だと言ったのでしょう。対して、自分やその周りを客観的、冷静に見ることのできない(主観的にしか判断できない)自分たちは「子供」だと。
木原たちがあーみんに言った「大人」は単に落ち着いているといった意味でしょうが、みのりんは無意識ながらも人間を見る力が強いからこそ、そういった、斜めからの深い見方をして「あーみんは大人」と言ったのだと思います。
そして竜児はあーみんを「子供」だといいます。みのりんとは別の視点、わがままで自分勝手な性格からの見方です。竜児は鈍感ですが、他人の本当の性格を真っ直ぐに見破る点では人一倍高い能力を持っていたと思います。だからみのりんは「本当の自分」をはっきり見つめてくれる竜児に憧れたのでしょう。



次にもっとピンポイントで。
まず、大河が北村くんの告白を思い出すシーンがあります。「あの顔をもう一度見たい」と言いますが,回想のシーンでは北村君の顔は影がかかって見えませんでした。北村君が大河に「まっすぐなところがいい!」と「憧れていた」ときの表情は、大河が北村君に「憧れる」ようになった今ではどうしても思い出せないんだと思います。二人の関係性は真反対になってしまったのだから。

そしてオリオンの三ツ星。自分と北村君みたいだと大河は言っていましたが、もう一つは竜児だと気づいていたのでしょうか? 竜児と大河の距離は客観的に近く見えるけど、本人たちはそれほど近くはないと思っている。なのに実際はとても近い。客観的になればはっきりわかるのに、大河が竜児という「本音」を意識できないのは、北村君という「建前」があったからなんだと思います。

もう一つ。みのりんの「私普通に話せてる。」という言葉。別荘のときから
みのりんは素の自分を竜二に対してのみ、意識的に垣間見せるようになりますが、このとき遂に素の自分を無意識に竜児に対して晒してしまいます。ここで自分が竜児をどれほど信頼しているか実感してしまいます。勿論竜児が自分に気があることに、気づいている。
ただ問題は、「大河は竜児が好きだ」と勘で感じているということ。確証はないけど、間違いないと思っている。お父さんの件で負い目がある大河に対して彼女が思っている人を奪えない。(もちろん理由はそれだけではないが。)いつの間にか両想いになっていた自分と竜児の関係をとても後ろめたく感じていたのでしょう。

そこでさらに、「たかが写真」。
ツーショットの写真を買ってしまうが、その時にあーみんからかけられた言葉。あーみんはこのときの4人の関係をすべて見抜いたうえでこの言葉をみのりんにかけます。

そして「罪悪感はなくなった?」
「たかが写真」でみのりんは大河が北村君のことを好きだったんだと気づかされます。つまり自分の見立ては間違っていたと。
ただ実際はもう一枚の写真があるのですが、あーみんは全て見通しながらもその写真を見せずに、「罪悪感はなくなった?」と皮肉を言ってしまう。つまり、あーみんは意識的にみのりんを誤解させ、彼女を不安定にさせます。その直後のあーみんの表情から、みのりんの本音を出さない態度に対してのイライラ(これは過去の自分に対しても、つまりは同族嫌悪)、そして竜児と大河がホントの気持ちに気が付かないことへのもどかしさ、さらに全部分っているのにそこに加われず引っ掻き回すことしかできない自分に嫌気がさしていたのだと思います。竜児に「一歩先を行く」とは言ったものの、状況が見えれば見えてくるほど、どうすればよいのか分からなくなってしまったのではないでしょうか。
この発言でみのりんは大きくぐらついて、「作った自分」と「本当の自分」のバランスが取れなくなってしまいます。


こうしてキャラたちが自分の「本音」に気づき始めて前半終了。
ここから話が一気に動き出します。


後半へ
まず、いきなりOPの雰囲気がガラッと変わりますよね。
OP1では5人が同じ方向へ、それぞれのキャラを見せながら歩いていきますが、OP2では北村君は画面にいなくて4人がすれ違います。勿論みのりんの空元気も全くなくて、前半OPEDとの変化の大きさにびっくりしました。
OPでキャラの関係性や抱えているものの変化を強く感じました。
OPのなかで竜児が1話で大河があけた襖の穴の紙を指で貼りなおすシーンがあります。後半になってから、この紙は何気に背景によく映ってるんですよね。大河と竜児の出会いの象徴でもあるし、もとは北村君へのラブレターですから何だか深い意味を感じます。
EDの「オレンジ」はこの作品をもっともよく表している歌だと感じました。
「らしくないなんてね 笑うのはやめて ホントの私を 知らないだけだよ」
また、EDの絵も印象的です。何事もない日常が描かれていて、みんな屈託なく笑ってます。本編ではすれ違っている登場人物たちがEDで何事もない日常を過ごしているのは見ているだけでもつらくなります。「ずっとこのまま」ってわけにはいかないんですよね。


後半第一話。「クリスマスに水星は逆行する。」
タイトルから重い雰囲気でした。あーみんの言葉に動揺して「見えるもの」が見えなくなっているみのりんは辛そうだったし、クリスマスでこんなに胸が痛んだ作品は初めてです。
クリスマスになってから、モ○○ケ姫を歌たったり、みのりんの様子がいつも以上におかしくなりますよね。今までは半無意識におどけたりしていたんでしょうが、ここからのみのりんは明らかに意識してキャラを演じるようになります。
そしてあーみんは本当の自分を見せないみのりんにイライラし始め、一方大河とはだんだん距離が縮んでいきます。クリスマスでの練習で二人の距離が一気に縮まるにつれ、大河の思いを今まで以上にはっきりと理解しますが、それに気が付かない竜児に対してもちょっとずつイライラし始めましたよね。体育倉庫での忠告であーみんも遂に本音をこぼしますが、自分は当事者になれないことを悟っているあーみんを見ているのはつらかったです。
多分みのりんへのイライラはそこからも来ていたんじゃないかと。自分は当事者になれないのに、みのりんはなれる。なのに以前よりも仮面をしっかりとかぶって、本音も素の自分も見せようとしない。過去の自分を見ているみたいでとても不愉快だったんだと思います。対して大河も自分の気持ちをはっきり意識しない。でも隠しているんじゃなくて、「北村君」という「建前」が邪魔をして気が付かない。クリスマスで大河とより親しくなったあーみんは、当事者としては無理でも大河の本当の気持ちを気付かせてやりたいと考えたんじゃないでしょうか。

クリスマスからはクラスのメンバーも目立つようになってきます。
春田、能登、木原に奈々子様。彼らはそれぞれ北村君と大河の関係にかかわろうとしてきます。第三者としてです。
竜二も大河も今まで当事者だけで(あーみんはうまく立ち回っていたので大丈夫だったが)見てきたものが、彼らからの視点や見方を知ることでだんだん自分たちの気持ちの違和感に気づいていきます。
シリアスな展開になっていくにつれ、春田北村のギャグ度が上がりましたね笑 見ているだけでも胸が痛くなる展開だからこそ、彼らの明るさは視聴時の癒しになりましたww

クライマックスの一つ、大河が竜児への気持ちを自覚し泣き叫ぶシーンがあります。
今まで、「北村君」という建前で(「憧れ」であって「恋」とは言えない)無意識に無視してきた竜児への思いですが、クラスメイトの介入でそこの違和感に気づき始めます。ただし、ちょうど「クリスマスでいい子にすれば幸せになれる。現実じゃないものに頼れる。」という新しい建前が現れ、結局竜児への思いには気が付けない。
そして大河は竜児とみのりんの為、一人になる。(現実にはいないサンタにすがろうとする。)そこに何故か竜児が自分のすがろうとしていたサンタとなって現れ、そしてみのりんのもとへ・・・。このとき大河には「北村君」も「サンタ」もどちらの建前もなくなってしまします。もちろん建前がなくなれば「本音」があらわになってしまう。ただ、なんとなくこの思いに気が付いたわけではない。かなり前からの積み重ねで遂に竜児への思いに気が付いた大切なシーンです。
泣き叫ぶ大河を見てしまったみのりんは「たかが写真」で否定できたはずの自分の考えが間違っていなかったことに気が付いてしまいます。

「報われなきゃね。」先生の言葉が胸に刺さってとてもつらかったです。この言葉はこの後何度も出てくる言葉です。
そして「ホーリーナイト」
「キラキラ輝いて みんなが幸せで」 あーみんもみのりんも大河も理想のクリスマスとは程遠かった。この歌はそのことをより対照的に印象付けてくれました。あーみんは一番わかっているのに誰も聞いてくれないもどかしさ、みのりんは自分が「見えないもの」を見たいと思ったから大河を傷つけているという罪悪感。大河は両想いのみのりんと竜児の為には自分は居てはいけないという孤独感。みなそれぞれ苦しんでいました。


正月を過ぎて、煮え切らないまま時間が過ぎます。大河のカバンを持って二人で登校した竜児とみのりん。大河の気持ちを知っていながらこんな状況になってしまったことを歯がゆく思っていたと思います。でも初めてこのシーンでみのりんが赤面するんですよね。大河と竜児の間でものすごく葛藤していたんだと思います。
大河は二人のために、もう竜児に頼らないと宣言。でもこれって2回目なんですよね。一回目は北村君に告白すると決めたとき。このときは自分の為の行動でした。しかし、今回の宣言は内容は同じでも全く逆です。竜児の為。自分が恋を諦める為の宣言です。
もちろんあーみんはとても不愉快に感じる。おままごとの関係が余計にギクシャクして不自然になってしまったから。それなのに自分が加われない歯がゆさ、通り越して怒りすら感じていたんだと思います。


修学旅行で、ついにあーみんとみのりんが衝突します。
「あーみんには関係ないでしょ。」このみのりんの一言が、加わりたくても加われないあーみんの心をえぐります。そして「罪悪感」という言葉をみのりんを追い詰めるために意図的に使ってしまう。木原たちの仲裁で、ケンカはやみますが、「素の自分」で衝突したのに、両者とも「作った自分」でお相子にする。素の自分が納得していないのだから、この後の大衝突は不可避でしたね。 大衝突の時、あーみんが「上から目線がむかつくんだよ。」とみのりんに言いますが、これって明らかに自分のことですよね。つまりは意識的に「仮の自分」を演じるようになったみのりんを、同じような自分自身に重ねていたんだと思います。だからこそ、ここでのあーみんは全く仮面をかぶっていない「素」のあーみんでした。

大河救出シーンでのEDの入りは鳥肌ものでした。このシーンで竜児はやっと大河の思いを知る。
雪山遭難というベタ中のベタな展開ですが、登場人物たちの関係性を動かすのには、最高の設定だったと思います。


ここから「進路」という新しい問題が出現します。
今までの「恋愛」という地に足のつかないふわふわした話題から、「進路」の話題が絡むことで、一気に物語がはっきりとしてきます。そして、「家族」という問題提起にもつながってきます。

このあたりから、やっと竜児の思いが大きく動き出します。大河の気持ちを知ってしまったことや「進路」の問題。 大河は自分の気持ちを無かったことにしようとしている。これがイイ事なのか、いろいろな問題で頭がいっぱいの竜児は客観的に落ち着いて考えられなかったのでしょう。 
一方、大河も大きく変化してます。「普通に恋がしたい。」と言いますが「相手は知らない。」と答える。もう彼女の中で「北村君」への感情が「恋」ではなく「憧れ」だったのだとはっきり気づいたのでしょう。
そして、みのりんが竜児と両思いだという理由を述べるシーン。「あんたはみのりんが恋するに足る奴だから。」と答えます。1話での「げー、身の程知らず」とは天地の差ですよね。
あーみんも複雑です。今まで作った自分でみんなに好かれてきた。でも自分が本当に望んでいるのは、誰かが「本当の自分」を真正面から見てくれること。「みんなじゃなくてもよかったのに。」この言葉に、あーみんの本音がはっきりと表れていました。


バレンタインではこれまでの絡み合ってきた関係が、いくつもの想いを犠牲に遂に1つになります。つまりは「竜児も大河も互いを好き」だということ。二人の「憧れ」や「建前」がない「対等」な関係は、自分たちの想いを犠牲にしても守る価値があると考えたのでしょう。

ここからの「駆け落ち」という展開は、実は泰子たちと同じ発想なんですよね。つまりは「逃げ」。あまりに急な展開だと思う人もいるかもしれませんが、客観的に自分たちを見れなくなっている「若さ」を的確に表現する展開だったと思います。子供と大人の境目。駆け落ちすることを踏みとどまった竜児たちは泰子たちよりも「大人」だったんだと思います。
学園内の恋から、人生にかかわる問題へと大きく変化しますが、これは大河と竜児にとっては必然だったと思います。二人とも完全な「家族」というものをしらない。だから恋することはどこか「家族」ということにつながっていたのだと思います。だから互いに「対等」でお互いを必要としている。春田や木原と能登のような一般的な高校生の恋愛と対比されてますよね。


みのりん、あーみんの願いは叶いませんでしたが、二人とも大きく変化しました。
あーみんは「本当の自分」をよく思ってくれる人もいるということに気が付きました。
みのりんは大河の写メについて語るとき、初めてクラス全員の前で「素の顔」を見せます。決して「本当の自分」を人前へさらさなかったみのりんがそれをできるようになったことは大きな変化だったと思います。


{/netabare}


なんかすごくだらだらと書いてしまいました。自分の考えたこと、思ったことを垂れ流しにしたらこんなに長文になってしまって自分でもびっくりしてます笑
でももっと書きたいことはあったと思うし、この作品を見て感じたことの半分も書けていない気がします。 漠然としたことを文にするって難しい!

登場人物それぞれの視点で見方が増え、内容も厚くなる作品です。
だらだらと書きましたが、まとめると
素晴らしい作品。未視聴の人も視聴済の人も是非見るべし!!
ってことです笑

最後まで読んで下さった方、ありがとうございました。
この作品に出会えたことに感謝!

付け足し
視聴してから3日。
みのりんの「私はそれを受け取らない。」ってシーンがフラッシュバックしてきて、胸が痛むんです笑
視聴直後はあまり印象に残らなかったシーンですが、時間がたってからふと浮かんでくることってありますよね笑
なんだか心に引きずってしまうアニメですね。とらドラ!は。


引きずりに引きずって、ついに文庫本も全巻読んでしまった。。。
で、感想。
アニメのとらドラ!を見て面白い。深い。って思った人は是非読んでみるべきです!!
アニメでは拾いきれなかったり絞り切れなかったりした部分をよみとれました。 特にとらドラはキャラの心情が複雑なので、読むことでかなり整理できます。少しだけ捉え方が変わった部分もありました。
ちょっとアニメと違う(というよりアニメが改変した)部分もありますが、どっちも面白いし、いい作品だと思いました。やはり、いい原作だといいアニメになるんですね。
アニメスタッフも読者の一人。アニメのとらドラは原作をより素晴らしく引き立てていたと改めて実感しました。

とらドラにずっぽりで3か月。そろそろ抜け出さなくては・・・笑


最近、「とらドラ!ポータブル」にはまってしまいました・・・汗
ゲームに手を出したのはこの作品が初めてです笑
設定はクリスマスイブに倒れた竜児がそのまま記憶喪失になってしまい・・・。というifの内容。素晴らしい出来です。
このゲームただのキャラゲーじゃない。すごく難しい・・・。
とらドラ好きなら、やって損はしないと思いますよ!オススメです!!


再々々々視聴?していますww
{netabare}
2話をみて気が付いたけれど、この時点でみのりんは大河の想いに気が付いてますね。大河が教室で暴れた後のシーン。「でもそれってさ・・・。」のセリフです。しかもその時の表情とかからして、自覚無自覚は分からないけれど、竜児のことを意識しているようにも感じました。友達が好きになった人を・・・ということはよく聞きますが、そうではないにしてもみのりんは2話時点で竜児をかなり意識していたのではないかと思いました。
今のはさり気ないシーンでしたが、この回のメインは大河から北村君への告白。と見せかけて、実際は大河から竜児、竜児から大河への告白でしたね笑
北村君は二人のことを見抜いていて、それで大河の告白を誘導していたのだとも感じました。勿論、会長の件もあるのでしょうけど・・・笑
竜児は思いっきり告白してますねww その真意に気が付くのはまだまだ先の話ですが、2話時点でこんなにキャラ同士の関係が固まっているとは思いませんでした。そりゃ、あーみんも割りこめないと感じてしまいますね・・・。
{/netabare}

最終話まで見終わって、色々新しい発見もあったし、見方が変わったシーンもありました。けど上手く文章にできない・・・orz
何回見てもやっぱとらドラは面白い!!

それから、各話の前後半の間に入る「と・ら・ド・ラ・!」の5文字。
話ごとに位置や動いている文字が違っていたので、注意深く見てみました。
ネットで調べたりもしてみました。
やっぱり意味があったみたい。今まで気が付かなかった。
今度観るときは、それについても詳しく考察したいなぁと思っています。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 30
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

中盤までのグダグダ感を踏み台に、第19話以降《神展開》となる傑作

2013年春以来、約2年ぶりに全話視聴してみました(トータル4周目)。
期間が空いているので、結末はともかく、細かいストーリーは結構忘れていて、そのためか初回に感じたのと同じように

(1)前半はやはり詰まらなくて、視聴が余り捗らずもどかしかったものの、
(2)後半、とくに第19話以降の超絶!胸熱展開に魅了されて、最終話まで一気呵成に見切ってしまいました。

その状況を視覚的に表わすと・・・

◆各話タイトル&評価

{netabare}★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に大きな疑問を感じた失敗回

================= OP「プレパレード」、ED「バニラソルト」 ===============
- - - - - - - - - - - - - 高校2年の1学期 - - - - - - - - - - - - - - -
(第1話) 虎と竜 ☆ 大河と竜児の出逢い
(第2話) 竜児と大河 ★  大河が北村に告白、竜児と大河の関係
(第3話) 君の歌  ☆ 実乃梨と竜児の実質的な初交流
(第4話) あのときの顔 × 大河が北村に惚れたわけ(写真回)
(第5話) かわしまあみ  ☆ 亜美登場
(第6話) ほんとの自分 ☆ 亜美が竜児にデレる
(第7話) プールびらき ☆ 亜美のアプローチに大河が焼餅
(第8話) だれのため  ☆ 大河VS亜美(水泳競争)、大河「竜児は私のもの」
- - - - - - - - - - - - - 高校2年の夏休み - - - - - - - - - - - - - -
(第9話) 海にいこうと君は ☆ 亜美の別荘回(犬の夢、竜児と実乃梨の幽霊の話)
(第10話) 花火 ☆ 続き(竜児と実乃梨・亜美の交流回)
- - - - - - - - - - - - - 高校2年の2学期 - - - - - - - - - - - - - - -
(第11話) 大橋高校文化祭【前編】 ☆ 大河の家庭事情(父親)・竜児側の事情
(第12話) 大橋高校文化祭【中編】 ☆ 続き(父親の件で竜児と実乃梨が喧嘩)
(第13話) 大橋高校文化祭【後編】 ★ 続き(ミス大橋&福男レース)
(第14話) しあわせの手乗りタイガー ★ 実乃梨が竜児の好意に気付いてしまう
(第15話) 星は、遠く ☆ 北村の恋、大河の決意(生徒会長選挙)
(第16話) 踏みだす一歩  ★★ 狩野会長の想いの前に大河の想いが砕け散る
================== OP「silky heart」、ED「オレンジ」 ==================
(第17話) クリスマスに水星は逆行する ★ 変わり始めた関係
(第18話) もみの木の下で ★ 竜児を避けてしまう実乃梨
(第19話) 聖夜祭 ★★★ 大河が自分の想いに気付く ※ED「ホーリーナイト」
- - - - - - - - - - - - - 高校2年の3学期 - - - - - - - - - - - - - - -
(第20話) ずっと、このまま ☆ 冬山修学旅行の準備~出発
(第21話) どうしたって ★★ 続き(竜児が大河の気持ちに気付いてしまう)
(第22話) 君のいる景色 ★ 大河不在の日々(竜児の気持ちも揺れ始める)
(第23話) 進むべき道 ★★ ヴァレンタインデー(竜児が決断を迫られる)
(第24話) 告白 ★★ 竜児の家庭事情(母親)・大河側の事情と二人の決断
(第25話) とらドラ! ★★ 続き(特に大河の決断)、ラストは1年後(高校卒業式)
----------------- TV本編終り -------------------
(OVA)  弁当の極意 ☆ 本編と全く無関係のコメディ回{/netabare}

※このように、前半(第12話まで)は、★付きが第2話だけというキツイ状況でしたが、第13話から少しづつ話が動き始めて、第16話の予想外の展開に「これは月並みのラブコメとは違うのではないか?」と興味をそそられ、神回として名高い第19話を見せられた後は、もうそのまま感動のラストまで途切れずに一直線!という、他に類例が思い付かない本当に凄い作品・・・と4周目にも拘わらず、またもや感じ入ってしまいました。

※なお、あにこれ登録前は、この作品を特にメモを取らず視聴していて、その記憶をもとに適当に前回レビューを書いてしまったのですが、今回は、気になる部分をメモし、必要ならば同じ個所を何回も視聴し直して、色々と考察してみた結果、前回のレビューの

(1)前半部分(すみれさん乱闘事件)は、今回もその通りだと思いましたが、
(2)後半部分(みのりん問題)の理解は、不十分で部分的に間違っている、と思い直したので訂正します。

4周目にして未だ感動が褪(あ)せないばかりか、以前の考察が間違いだと気付かせてくれるとは畏るべし「とらドラ!」

================================================
※参考:前回【2013年3月6日時点】のレビュー

なんだかんだいって3回も通しで見てしまったアニメは珍しい。

この作品の私的な鑑賞ポイントを2点ほど。

★1.スミレさん乱闘事件(16話だったはず)
{netabare}
ここまでは大河は自分の気持ちに正直に一直線に突き進むのが正しいんだ!と思ってたんですね。
だけど、スミレさんと乱闘して、自分が好意を寄せる相手のために敢えて自分の本当の気持ちを無理に抑えてしまわねばならない場合があるんだ(そうしないと相手のためにならないから)・・・ということを知ってしまうんです。

そして、それが、自分の本当の気持ちに気づいてしまった後の大河の行動に影響を及ぼしてしまう。
第16話までとその後では明らかに大河の行動パターンが変化しています。
{/netabare}

★2.ミノリン問題(第17話以降かな?)
{netabare}
高須君との同時ゴール写真のことで思いがけず高須君の好意に気づいてしまったミノリンは、なぜだか急に高須君を避けるようになってしまいます。
ミノリンも高須君に好意を寄せているハズなのに何故?というので、これをミノリン問題と呼んで疑問視する人も沢山いるそうです。

でも、この理由は単純で、ミノリンは高須君の好意を有難いと思うと同時に、自分は高須君の好意に値しない・・・と臆してしまっちゃったんだろうなあ(と私は推測する)。
これって、ミノリンの高須君への好意が本物だったからこそ、の臆病さなんです。きっと。

もしミノリンに高須君をもう少し客観的に斜めから見る気持ちがあれば、あるいは言葉は悪いけど、幾分かでも打算的な気持ちがあれば、高須君の好意を「有難く受け取ってしまおう」となるのですが、そうならず逆に高須君を避けてしまったところが、私的には物凄く可愛く見えてしまいました。
{/netabare}

こういったところが凄く好きだなあ。
アニコレでもとらドラ!の評判が良くて嬉しいです。

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※以下、今回【2015年3月2日時点】のレビュー

◆前期OP/EDが終わる第16話が本作のターニング・ポイント

上で、第16話({netabare}大河殴り込み・狩野会長との乱闘事件{/netabare})は予想外の展開と書きましたが、そこが本作のターニング・ポイントとなっていることは、OP/EDの変化からも明瞭だと思います。
すなわち、2クール作品(全25又は26話)の場合、通常は、OP/EDが変わるのは中間地点の第13又は14話なのですが、本作は第16話までを前期OP/EDとしており、その前期OP『プレパレード』の題意を考えると...

 pre-parade (= before Parade) パレード前の (形容詞)

つまり、第16話までは「パレード(晴れやかな行列行進)」前の状況だ、ということ。
このグダグダした一見詰まらない展開は、後期の急展開の下準備段階(前座)に過ぎず、第17話以降こそが本作の本番であり、そのテーマはズバリ

 『silky heart』(後期OP) すなわち「絹のように華奢で繊細な恋心」

...の揺れ動きを描写していくことにある、と読み取ることが出来ると思います。

※EDについても同様で、
(1)前期ED『バニラソルト』が、「{netabare}バニラソルトで/Burning Love/甘いだけなら/ソルトかけましょう」「甘いだけの愛はちょっと/私が求めているものとは違う{/netabare}」と、いささか浮ついた恋心をコミカルに謡っているのに対して、
(2)後期ED『オレンジ』は、「{netabare}オレンジ/今日も食べてみたけど/まだすっぱくて泣いた/私みたいで残せないから/全部食べた/好きだよ/泣けるよ/好きだよ/好きだよ{/netabare}」と、切実な恋の痛みを謳い上げる歌詞・曲調に変化しています。

◆嗚呼これが「恋」なんだな...と溜め息なしでは見られない第19話

本作は単に、①高校生の恋愛感情の推移を描出しているだけでなく、それとの絡みで、②同性・異性との友情や、③家族との関係構築をも包摂した、中々に複雑で深いテーマ性を持っているのですが、それでも中核となるテーマは、やはり①「恋愛」だと思うので、そこに焦点を絞って内容を考察していきます。
なお、「恋愛」といっても、本作は原作者(武宮ゆゆこ氏)・シリーズ構成(岡田磨里氏)が共に女性ということもあって、やはり3人の主要女性キャラの恋愛心理の描写が秀逸で、逆にいうと男性2人の心理描写は幾分手薄ではないか、と私は感じました(以下、女性3人の恋心を個別に考察)。

◇逢坂大河の恋心 - 第16話までとそれ以降で明らかに深化する大河の恋の質
{netabare}
前回レビューの★1.スミレさん乱闘事件の項に指摘した通りです。
それが誰の目にも明らかになるのが、第19話(クリスマス・イヴのエピソード)。
4周目にも拘わらず、またしても私は、「これが恋なんだな...」と嘆息せざるを得ませんでした。

※もう少し詳しく説明すると...

(1)第1話から第16話まで描かれた大河の北村君への想いは、どれだけ本人が真剣であろうとも、
 ①それは所詮、相手の好意を獲得しようとする駆引的な恋であり、
 ②「恋に恋して」恋を自覚的に楽しんでいる状態であって、
狩野会長の想いには叶わないと、遂には大河自身が悟らざるを得なかったものだった(※狩野会長、次いで北村君の言葉を聴いた後の大河の表情の変化に注目)。

(2)これに対して第19話でようやく自覚される大河の竜児への想いは、
 ①相手の好意を獲得しようという駆引的要素がなく、
 ②時に、本人にも無自覚のままに、
 ③しかし不可逆的に(=後戻りができないまでに)昂進してしまう恋
であって、狩野会長の想いに匹敵するもの、と要約できるのではないかと思います。

そして、それだけの強さのある想いだったからこそ、最終的には竜児が実乃梨への想いを振り切って、それを受け容れる結果につながったのだと思います{/netabare}

◇櫛枝実乃梨の恋心 - 目の前にある幽霊(=恋)を掴み取ることを拒否した少女の涙
{netabare}
前回レビューの★2.ミノリン問題の項では、①彼女の竜児への好意が本物であり、②彼の好意を素直に受け容れない彼女の臆病さもそれが原因だった、と指摘しましたが、その時点では私はまだ、第16話の乱闘騒ぎの後で亜美が彼女に囁いた「罪悪感は無くなった?」という言葉の意味合いを掴みかねていました。

この「罪悪感」とは、竜児の好意を受け容れれば大切な親友である大河を裏切ってしまうことになる、という実乃梨の後ろめたい気持ちのことですが、乱闘騒ぎの結果、大河が好意を寄せるのは竜児ではなくて北村君であることが一応は明らかになって障害は消えたのではないか...と亜美が皮肉っぽく彼女に指摘します。

しかし、それでも彼女は以前にも増して竜児を避けてしまいます。
実は、実乃梨には、大河への罪悪感のほかにも、
①幽霊(=恋)を掴み取ることが、自分の幼年時代からの夢(ソフトボールの全国的な選手になるという夢)の障害となってしまうのではないか、という怖れの気持ちがあり、
②そうした自分の夢と竜児の好意とを天秤に架けている、という後ろめたい気持ち(=これも一種の罪悪感)があって、
「私は傲慢でズルい」(第15話)と自己卑下し竜児の申し込みを拒絶してしまった、と考えるのが最も整合的と考えます。

そうした実乃梨の竜児への想いは上記の大河の想いに及ばず、結局彼女は竜児への恋を失ってしまいます。
それが、第24話に描かれた亜美の面前で実乃梨が流した複雑な涙につながったのだと思います。{/netabare}

◇川嶋亜美の恋心 - 周りの人たちの恋心が見え過ぎて返って淋しさを感じてしまう少女
{netabare}
モデル業を通じて大人の世界をよく知っている亜美は、大河や実乃梨のような下手くそな恋はしませんが、それでも幼馴染の北村君以外では唯一、彼女を素顔のまま受け容れてくれた竜児に対して好意を持ちます(第6話)。
しかし鋭敏な彼女には、竜児の気持ちだけでなく、大河(第8話)や実乃梨(第10話)の気持ちまでもが早々に見えてしまい、そうした未熟な恋の錯綜状況に積極的に関わる気持ちになれず、せいぜい相手から求められれば辛辣ではあっても的確なアドバイスを返す程度の役回りに終始して、時たま竜児に淋しさを吐露するばかり。

結局は亜美の場合、内心では竜児と対等な関係を希めながらも、周りが見えすぎるという特質から、どうしても上から目線に成らざるを得ず、恋の成就がなかったのは仕方のないことなのでしょう。
しかし物語の構成的には、亜美のように鳥瞰的に恋の錯綜状況を見渡せる存在がいたことは、本作の大きなポイントになっていたと思います。{/netabare}

◆総合すると...本作は“物語そのもの”の魅力によって成り立つ傑作

実をいうと、私自身は大河のようなタイプはちょっと苦手なんです(どちらかというと実乃梨タイプが好きなのですが、それでもド・ストライクには程遠いです...因みに私のド・ストライクは、{netabare}一歩引いたところから自然に周囲の人のサポートが出来てしまうアイマスの天海春香さん{/netabare}です(笑))。

リアル世界で、もし大河のようなタイプと出会っていたら、相手に合わせるのが相当しんどいだろうな...と思います。
だから、本作を最初に視聴したときも、かなり斜(はす)に構えて批判的に観ていたんです。
ところが、そんな私でさえ、本作には一度ならず四度までも感動させられてしまい、あまつさえ、こんな長々とした感想・レビューを書く気にさせられてしまうのですから、やはり本作は「学園ラブコメ」ないし「恋愛アニメ」として稀有の傑作と認めざるを得ません。
(※傑作ではあるけれど、決してド・ストライクではない、という意味で総合評価4.6と幾分点数をマイナスしています)

以上から演繹すると、本作は個々のキャラクターの魅力によって成立している作品ではない、ということになります。
言い換えると、本作は“物語そのもの”の魅力によって成立している作品、もう少し言うと、“割とありふれた高校生たちの恋愛感情の推移”という物語の魅力によって成立している作品、ということになると思います。
勿論、本作はフィクションですから、ご都合主義的な展開が多々あって、そこを指摘して批判することは幾らでも可能なのですが、それでもなお否定できない「心理的リアリティ」、「恋愛感情とはこのように発生し進展していくものだ」という視聴者側の想いがこの作品にいつの間にかシンクロナイズして、予想外に本作に魅了されてしまっている自分にふと気付く、というケースが多々あるのではないか、と思います。

未視聴の方は、結果的に本作を肯定的に捉えるにせよ否定的に捉えるにせよ、一度 experience として視聴してみる価値は十分あると思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 87
ネタバレ

底辺生活者 さんの感想・評価

★☆☆☆☆ 1.0

私が世界一嫌いなアニメ

◆嫌いな特徴をざっくばらんに言います

{netabare}・ヒロインがむやみやたらに、人を殴る。

・ヒロインが暴力をふるって、皆をおびえさせて周囲を支配している。

・このヒロインが、最期まで人からビシッと注意されることがなく、このアニメは終わる。

・女キャラ達が『男のガチ喧嘩』みたいな殴り合いをする。

・(日常的に人を)殴るシーン『のみ』が、リアルすぎて、痛々しい。ギャグみたいに描かれていない。

・『とらドラ!は、リアル十代を描いた傑作アニメ』とよく耳にするが、全然、リアルではない設定が多い。

・ストーリー内容、キャラの言動行動に矛盾が多い。

・視聴者に深く考えさせないように、登場人物に語気を強めて語らせ、無理やり「ほら!ここが感動シーンですよ!」と演出している。洗脳してるようなアニメ。

・人を不快にさせるような罵詈暴言をヒロインが常に話す。

・このアニメの中でたまに出てくるギャグが全然笑えない。

------------------

◆矛盾内容、おかしいと思った部分を具体的に書きます。


●リアルなのかと思うと、リアルじゃない

このアニメは、『10代リアル青春を描いた傑作』と言われていますが、全然内容はリアルではない。ほんとに、マンガ。

・ヒロインが隣のマンションに住んでいる。しかも、偶然、位置も真隣。もろ、マンガ。

・何故か、ヒロインを家に毎日あげて、彼女のご飯を毎日作ることになる。その始まりも納得できるような内容ではない。

・竜児が、ヒロイン大河から廊下で一発殴られただけで、竜児の不良疑惑が消える。

竜児は第1話ですでに2年生。
竜児の性格だったら、第2学年になる前まで「不良疑惑」を引っ張ることはありえない。

・竜児が2年生になるまで、大河のことを全然知らなかったなんておかしすぎる。

大河は1年次から在籍している。

大河は、あの性格だったら、1年次から暴れてたはずだし、竜児は、「2年生の春に初めて大河のことを知りました」なんて物語が破綻してる。

・序盤のころ、竜児が、完全防犯設備の大河の高級マンションに、普通にスルスル出入りしていたが、どうやって進入していたのか、永遠の謎。

竜児が大河の部屋に入って来たとき、大河が毛布にくるまってて、大河がロック解除した様子もないシーンも序盤にあった。マンションの出入り口で、暗証番号を押すとかそういう描写もなかった。

もしも大河が竜児に暗証番号を教えてて、家のドアをまったく鍵をかけないでいつも過ごしてたいたとしたら、相当な関係だと思うし、無用心すぎると思う。
しかし、この時点では大河の竜児は、「私たちは男女の関係ではない」を言い張っていたし、疑われると教室で暴れ、迷惑行為までしていた。

ここまでベタベタしてて、「私と竜児は男女の仲ではない」と言い張り続けるのは、高校生にしてはどうかと…

・その人の話題をしていると、突然、その人が隣に立ってたり、真後ろに立ってたりするシーンが多すぎ。典型的なマンガちゃん。

・学園祭のあと、「幸せの手乗りタイガー」になるエピなんて、ほとんど、リアル度ゼロ。マンガちゃん。


なので、結局、設定が「マンガちゃん」なので、どこが『リアル十代を描いた傑作アニメ!このアニメ、すごいよ!』となるのかがわからない。


●ヒロインの暴力が、ツンデレ、ギャグレベルではない

・とにかくヒロインが人を殴りすぎ、罵りすぎ。

・ヒロイン大河が自分のためにご飯やお弁当を作ってくれている竜児を、毎日口汚く罵り、殴りつける。

『大河がちゃんと親から育ててもらえなかったから、大河は性格が破綻してしまった』
ということを制作サイドは理由にしたいらしいが、それでも、
見てて不愉快だし、やりすぎ。
せめて、もうちっと笑える描写にしてくれると楽だった。

・間違ってラブレターを竜児が自宅に持って帰ってしまったから、それを取り返すため、大河は竜児のアパートに侵入したのはいいが、

『木刀持参で、木刀を持って襲い掛かる』とか、

アニメでも全然意味が分からないし、最悪なことに、全然面白くない。ほとんど、殺す気だったとしか思えないし、笑えない。

木刀持って家に侵入するのが、『リアル十代を描いてる』のか…。

普段から、木刀を所持してて、何かが起きるたびに振り回す女子高生が現実にいる地域が、この日本国内にあるなら何県何町だか知りたい。


●情けない男ばかり、こんなに暴れてる大河に不良がからんでこない

女子の大河にふるえあがって、この学校の男子が全員、ビクビクして、逆らえない。見てて情けないし、無理がありすぎる設定。

かといって、大河は「ヤンキー」や「学校をしきっている不良」でもない。

大河がここまで暴れていたら、もっと戦闘能力が高そうな男の不良が登場するとか、他校の不良に目をつけられ、モメそうなものだが、そういうエピは1つもない。

不良をあえてこのアニメ(物語)に出さなかった理由とは、
どうしても、大河を、『このアニメの中で最強の生き物』にしておかないと、キャラの上下関係が崩れ、話も全然成立しなくなるからだろう。

だから、ちっとも、リアルな青春ストーリーなんかではない。


●大人も情けない

何故か、子供をちゃんと叱れる大人が全然登場しない。
ゆり先生もなさけなさすぎる。

※ちゃんと人を叱れる大人は、泰子の父親くらいだった。


●何の罪も無い生徒会長が殴られる

生徒会長が、北村の告白に素直に正直に答えなかった、という理由で、
『また』木刀を持ちだして、
大河が生徒会長に殴りこみをかけている。

そんなに、告白に対して素直に受け答えしないのは罪だ、というのであれば、

後の方のエピで、大河が、「竜児が実乃梨のために買った髪飾り」を
「私(大河)の宝物だから」と、嘘をついて、
実乃梨に渡したりするのも、ものすごく邪道な手段だと思う。
また、この行動は、大河は完全にキャラブレ起こしてる。

正直にならないのが罪だ、というのであれば、大河は誰かから木刀でボコボコに殴られるべき。


●勧善懲悪エピがなく、無実の人が暴力を受けるエピが多い

・ヒロインのためにせっせとご飯を作る男が、殴られ、罵られ続ける。

・全然悪い人でもない生徒会長が、ボコられる。

・気が強く、戦闘能力が高い大河が、本当に性格が悪い奴をやっつけたりする、見ててスカッとするエピが、このアニメには1つもない。


●竜児とベタベタしといて、周囲から「男女の仲」だと疑われると暴れる大河

あれだけ高校生男女がベタベタしてたら、周囲から男女の仲だと疑われても仕方ない。なのに、大河は、疑われたのが許せない!と、教室で、人の机をめちゃくちゃにする。

おびえるクラスメート達。

きっと、大河からめちゃくちゃにされた机や私物は、被害者達が自力で片付けたのだろう…

しかし、また、後日もずっと大河は竜児とベタベタし続ける。

★『暴力を使って、周囲を脅し、周囲を怯えさせ。
自分のやりたいように振る舞い、周囲を支配するヒロイン』

こんなヒロインがずっと幅をきかせているアニメを見て、どう感動すればいいのか?さっぱりわからない。


●このアニメで、実乃梨は『矛盾女王』

・たまにちょくちょく出てきて暴走する頭がおかしい女「実乃梨」

実乃梨は序盤の頃には、すでに、竜児に「大河のことは任せた!」と言っていた。
さらに、部活やバイトで忙しく、ほとんど、大河のことは、竜児に丸投げ状態だった。

しかし、たまに出てきて、大河のことで興奮したり、竜児をひっぱたいたりする。


・全然、大河のマンションや竜児のアパートに来ない「実乃梨」

実乃梨は、「大河は大親友!」と口だけは言うが、作品中で、実乃梨は、大河のマンションに1回しか来ない。


その理由として、実乃梨は、「大河のお父さんの件で近寄りにくくなったから」などと言っていたが、
大河のお父さんが大河と関わってない期間まで、全然、大河に会いに来ないというのは無理がありすぎる。

大河が毎日、男の家にご飯を食べに言っているのに、その様子を一度も見に来たこともない「実乃梨」。おかしい。


・前もって大河の父親の問題を竜児に伝えなかった実乃梨は、本当の親友とは言えない

学園祭の時、実乃梨は、また『竜宮レナ化』し(笑)

「大河の父親に会ったくせにあの男に問題があることがわからないの!?」

と、怒り出す。

人に数回会っただけで、その人の心が全部覗ける人間なんているわけがない。

あとで、実乃梨が前以て、大河の父親のことを説明しなかった理由として、「貴方に大河をとられちゃった気がしたんで、嫉妬したから、わざと貴方に伝えなかった」と言っていたが、アニメとはいえ無理がありすぎる言い訳だ。

本当に実乃梨が大河のことを大切に思う『親友』である、というのであれば、「大河のことを竜児くんにとられちゃったって思ってぇ~、嫉妬したからぁ~」などと思わず、すぐに大河の家庭の問題を竜児に伝えるだろう。


・自分で決めるのではなかったの?

実乃梨は、「私の幸せは自分で決めるんだッ!!!」と、大声で大騒ぎしてたのに、竜児に対して、「君は、大河が好きなんだ!!!」と大声で押し付け意見を言いはじめ、無理矢理、竜児に、「おう!」と言わせてしまう。

好きな人は誰かくらい、本人に考えさせたらどうか?


・大河の選択を受け止めると言ってたのに…

大河と竜が駆け落ちするとき、「私は大河の選択を応援する!」と言ってたのに、大河が転校すると知ったら、突然、竜児をひっぱたく実乃梨。

前に言っていたことと矛盾するし、自分は、バイトと部活と体育大進学のことばかりに夢中なのだから、たま~に、親友を名乗ってクビつっこんでくる「実乃梨」は、見ていて非常に不愉快。

こんな糞アニメにどう感動すればいいのか?



●主役の竜児が全然、自己主張をせず、従順過ぎる

竜児は、人から「こうしろ!」と言われると、
なんでも、ハイハイ言って従ってしまうタイプで、まるでデク人形みたい。
全然、魅力がない男主役。

『竜児は大河の父親代理でもあった』というのなら、大河をひっぱたくシーンくらいあっても良かったと思う。



●北村が三人の女にモテた理由がわからない

北村は、「大河」「生徒会長」「クラスメートの木原麻耶」にモテた。
本当にモテモテだった。
だが、この男のどこがいいのか、さっぱりわからない。

《北村の特徴》
突然裸になる。
金髪に髪を染め、ボク~!ボク~!と、いじけまくる。
融通がきかない。
暑苦しいくらい、優等生みたいな話し方をする。


●殴られた生徒会長が報われない

大河は北村が大好きだったからこそ、生徒会長に制裁を加えたはずだったのに、その後、あっさり、大河は恋愛対象を竜児に乗り換えてしまう。

本当に生徒会長は報われない人だった。


●グダグダな駆け落ちエピ

・あっさり終わる駆け落ち

これだけ長編のアニメだったのに、山場の駆け落ちは、あっさり終わる上に、内容がくだらない。

皆を集めて「私達は駆け落ちするの!」と宣言し、実乃梨から貯金全部(通帳と印鑑)、亜美から別荘の鍵を受け取る。

しかし、「泰子が家出しちゃったから」、とか言って、大河と竜が向かった先は泰子の実家。

その後、大河と泰子と竜は、あっさり帰宅してきてしまい、駆け落ちは無しに。

帰宅したら、大河と竜児は、すぐに、実乃梨や亜美に連絡をとり、お金(通帳と印鑑)や鍵を返して謝るのかと思えば、
全然、そういうことをせず、台所でのんきにカツをジュウジュウ揚げる竜児。

マジで糞アニメ。このアニメ、どこを感動すればいいのか?


●キャラブレ激しい

・大河は暴れたと思ったら、自己分析しだして、しっとり語りだしたりで、キャラが安定しない。

・「みのり」は、ほとんど、【ひぐらしのなく頃に】の竜宮レナみたいだった。二重人格。怖い。


●血が通ったまともな人間がほとんどこのアニメに出てこない

唯一、物語の後半、まともな人間に見えたのは亜美ちゃんのみ。

それ以外の「実乃梨」「大河」「北村」って、まるで『血が通ったまともな人間じゃない』みたいな人達だった。


●女の子達が『男のガチ喧嘩』みたいな殴り合いをする。

女が「たのもう!」と木刀を持って乗り込み、殴り合い。

スキー場では、女同士で、「グー」の拳で殴り合い。

殴り合ってる最中のみ、表情、殴り方、立ち振る舞いが突然、『男そのもの』になる、「とらドラ!」女子たち(笑)

私は女子中、女子高を出ているのだが、在学中に、3回ほど、キャットファイトを見たのだが、女子同士の喧嘩は、「とらドラ!」のあのシーンのように、「グー」で殴り合いにはならない。

女子の場合、ひっぱたく、髪の毛のひっぱりあいになる。


ああいう殴り合いを、男子高校生同士がやるなら、「リアル」って感じがするし、まだ理解できる。


●ギャグが笑えない

・大河が言ってた「ババさんは百文のキック…」どうたらとか、全然面白くない。

・たまに北村が裸になるが、面白くない。

・別荘に行く前に、EXILEの踊り?みたいなのをしていたシーンがあったが、全然面白くなかった。

というか、笑えるシーンがほとんどなかった。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 19

85.9 3 切ないで感動なアニメランキング3位
一週間フレンズ。(TVアニメ動画)

2014年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (2610)
14265人が棚に入れました
「私…トモダチの記憶、一週間で消えちゃうの──。」高校二年生の長谷祐樹は、人と一切関わろうとせずにいつも一人ぼっちでいたクラスメイト・藤宮香織の存在が気になり、彼女と友達になりたいと願う。しかし彼女の口から告げられたのは、大事な友達との記憶のみが一週間で消えてしまい、月曜日にすべてがリセットされてしまうという衝撃的な事実だった。しかし、それでも祐樹は香織と友達になりたいと願う。一週間の記憶を綴って、巡って、二人は友達になっていく。何度も、何度でも──。

声優・キャラクター
山谷祥生、雨宮天、細谷佳正、大久保瑠美、中原麻衣、間島淳司、浅沼晋太郎
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

とても繊細に描かれた、とある友達作りの軌跡

2014年の4月放送。
全12話。


【前置き】

スキマスイッチ初期のシングル「奏(かなで)」。
その曲がエンディングでカバーされると知ったことが、本作を視聴するきっかけでした。

当時から今も大好きな曲でしたので、カバーの雰囲気や作品自体が好みに合わないと、残念で歯痒くなることは間違いありません。
故に、録画するも6話ぐらいまで撮り溜めしてしまうぐらい、視聴する一歩を踏み出せませんでした。

今思えば、全くの杞憂でしたけどね。



【あらすじ】

高校一年生の長谷君が、いつも一人きりでいるクラスメイトの藤宮香織と仲良くなりたいと思い、勇気を出して、

『俺と、友達になって下さい。』

と、声をかけたところから始まります。

しかしその藤宮さんは、友達との記憶だけが一週間しか保たない症状を抱えていました…。



【論じてみる】
{netabare}
この記憶障害についてですが、現実的に考えてありえるかどうか…という見方は、本作においてはフィクションとして早々に受け入れた方が物語に集中出来ますね。
本作は、記憶障害を克服していくというストーリーではなく、その障害にもめげずに?、ただ純粋に相手へ抱いた気持ちを貫くストーリーですから。


高校生の男の子の視点で描かれる恋愛作品となるのですが、その内容は実に少女漫画らしい、いじらしさと甘酸っぱさに満ちていました。

作者の葉月抹茶さんは(2014年現在)23歳のまだ若い女性のようですが、恋に対し未成熟な高校生の男の子を描くのが非常に上手ですね。
作中の長谷君の葛藤は、いつか恋をしていた自分と重なる…という方も多いのではないでしょうか。

ただ…少々重なり過ぎるというか…。。。
気持ちには非常に共感するところもあるのですが、その気持ちが行動に出過ぎて自己中心的に成りがちで、周囲に迷惑をかけている点は好きになれませんでしたね。
男友達の桐生くんは、なんだかんだでそれを友達だからこそ受け入れてくれるわけですが、視聴者側としては少~し苛々する場面も…。
それぐらいの方が、リアリティはあるのかもしれませんけどね。


しかし長谷君の心を掴んだ、この【藤宮さん】の純真無垢さはたまりませんでしたね。
画のタッチも含めて、触れると割れてしまうシャボン玉を連想させるような、心から大切にしたいと思ってしまう女の子でした。

藤宮さんは、長谷君との交流を忘れてもすぐ一週間の記憶を埋められるよう、日記をつけていくことにしました。
やっと出来た友達を、ずっと大切にしたいという想いからですね。
裏表の全く無い藤宮さんの行動の一つ一つは、そういった感情がどれもストレートに描かれているので、見ていると応援したくなっちゃいます。

友達との交流にしても、障害ゆえにどうしても不慣れな面がある為、どこかズレてしまっているところも可愛いですしね。
個人的な卒倒ポイントは、第2話の初めてのカラオケで、いきなりマラカスを持ちだしたシーンですね。

藤宮さん「これって、使うものじゃないの?」

長谷くん「そーだけど、そーなんだけどっ! 今は…だいじょーーぶ…。。。」

藤宮さん「そうなんだ…、残念…。」

ニコニコと両手にマラカスを持ちながら、長谷君の言葉を聞きキョトンとする藤宮さんの表情は、今期の最萌ポイントだったかもしれません。



さて、長谷君の頑張りや周囲の協力もあり、少しずつクラスメイトと打ち解け、記憶のリセットにも少し変化が表れた頃…。
藤宮さんの小学時代の友達♂が登場し、そこで藤宮さんが

「この裏切り者」

と言われたところから、話は予期せぬ方向に進みます。

話の佳境であり、物語をまとめるにあたっても必要な場面展開だとは重々分かるのですが、やっぱり見るのは少々堪えましたね。
そして、長谷君に対し記憶を急に無くしたが故に、再び蔑んだ目を向けてしまう藤宮さんも…。
ホントは、誰よりも大切な相手なのにね…。


原作が連載中な状況で、それでも綺麗な着地点を見れた気はしましたが、それでも2人に大きな変化はありませんでした。
この記憶のリセットは、果たして永遠なのでしょうか…。

本作においては、ありきたりでもなんでも、藤宮さんが幸せになるハッピーエンドであって欲しいですね。
だからこそベタですが、藤宮さんが長谷君のことを、友達以上の存在と認識したことで変化する…、という終わりであると願ってやみません。
{/netabare}



【奏(かなで)について】
{netabare}
スキマスイッチの名曲を、藤宮さんの声を担当した『雨宮 天(あまみや そら)さん』がカバーされました。

若干20歳の若手でもあるので他の歌手のカバーと比べてしまうのは少々酷ですが、それでも作品のエンディングに相応しい綺麗な歌声で、私は何度も聴き込んでしまいました。
歌詞にしても、

「最後に何か君に伝えたくて、「さよなら」に変わる言葉を僕は探していた。」

のところなんて、まさに長谷君の気持ちを代弁しているかのような一節でしたしね。
(ただ、シングルに一緒に入っていた奏(長谷君ver)は、少々いただけなかったかなぁ…。)

映像としては、サビで挿入される藤宮さんの満面の笑みのシーンが、とにかく最高でした。
あれだけで御飯3杯イケます、はい。


あと、本作は奏のイメージが強いですが、オープニング曲「虹のかけら」(昆夏美さん)も、とても良い曲です。
琴浦さんのエンディング「希望の花」でもそうでしたが、作詞作曲をされた川嶋あいさんは、ホント良い歌を作りますね。

どちらも、『一週間フレンズ。』という作品には欠かせない楽曲だったと思います。
{/netabare}



【桐生君と沙希ちゃん】
{netabare}
作中の長谷君の行動には、少々やきもきとさせられることがあったのですが、この友達の桐生君がブッキラボーながら良いヤツで、良い世話役(ケツ叩き役)になっていましたね。
彼が長谷君に対しズバズバと言ってくれるからこそ、私は長谷君の行動にあまり苛々せずに済んだのかもしれません。
(どことなく声と喋り方にデジャヴを感じていましたが、調べたら刀語の鑢七花でしたね。)

当初は、その物事をストレートに言う性格からも藤宮さんとは隔たりがありましたが、日記を大切にしている藤宮さんを笑っていたクラスメイトに対し

「確かにこんなの見て一人で笑ってたら、気持ち悪いって思うかもな。

 だけど影で悪口言って、ゲタゲタ笑っているオマエらの顔もどうかと思うぜ。」

と言い放ったシーンは、格好良かったですね。
藤宮さんが一歩を踏み出す、きっかけにもなりましたし。


そんな世話役の桐生君が、どことなく手を貸してしまいがちの相手がもう一人。
それが藤宮さんの女友達、沙希ちゃんでした。

小柄な彼女は、記憶障害とは関係無く忘れっぽく間の抜けた性格をしていて、だからこそ藤宮さんのリセットも難無く受け入れてくれたのですが、それが原因で小学時代はイジメられていた経験も持っていました。
そんな彼女を実は桐生君は、以前からコッソリ世話を焼いていたんですね。
(当の本人は、桐生君の名前すら憶えていませんでしたが。)


あるきっかけで、その桐生君の手助けに気付いた沙希ちゃんは、桐生君を頼れるから旦那さんに…と言い、彼を怒らせて(照れさせて)しまいます。
ここから終盤にかけて、この2人の関係もメインの2人同様にギクシャクしちゃうのですが、最終話でこの2人が仲直りした時のシーンは、ハッキリ言ってメインの2人のシーンよりも涙腺に多大なダメージを与えられました。

「もし俺が嫌いとかなら…、こっちも今後話しかけないってことも出来るし…。」

なんて言っちゃう(ホントに出来るのか?)桐生君でしたが、そこで沙希ちゃんは涙し…こう言いました。


「違うもん…。嫌いだったら…こんな悩んでなんか…。

 桐生君なら旦那さんになってもらいたいって言った時、本当に怒ってる気がしたし…。

 先におかしくなったの…、桐生君だもん。

 上手く話したり出来なくなっちゃったのも、これ以上嫌われたくないって思ったからなのに…

 話しかけないことも出来るなんて、聞きたくなかったよぉ…。」


いつも呆けている沙希ちゃんのこの涙に、(珍しく)しっかり謝る桐生君でした。

沙希ちゃん「じゃあ、これからも頼りまくってもいいですか?」

桐生君「頼る気満々かよ…。いいけど、甘やかす気はないからな。」

沙希ちゃん「(満面の笑みで)ラジャーー!!」

ちょっと変わった2人のこの関係も、いつか良い方向に進むといいですね。
どちらも大好きなキャラクターでした。
{/netabare}



【総評】

本作は、シナリオ展開というよりは、藤宮さんを始めとした周囲の微笑ましい友達付き合いの描き方が、何より魅力的な作品でした。
加えて、この記憶のリセットが上手く噛み合い、抑揚の無い物語にもなっておらず、全12話中退屈に思ったことも一度もありませんでした。

ただ2期があるとすれば、この日常風景を再び描き続けるわけにもいかないかと思います。
この抑揚を次はどう動かすか…、日常にどう変化をもたらせていくか…。
ここの匙加減が、非常に難しいそうにも思えました。
主題歌にしても、奏を聴いた後にどの曲を持ってくるのかと…、中々のハードルになるかと思いますし。

原作はまだ続いているようなのでその内容次第かと思いますが。私としては難題な注文とは思いつつも、クオリティを下げることのない2期を願ってやみません。

いつか、満面の笑みを浮かべる藤宮さんや、頼り頼られの桐生君と沙希ちゃんに、再び会えますように。
(あと、ちょっぴり成長した長谷くんにもね。)


ではでは、読んでいただきありがとうございました。


………あぁ、そうそう。
一つ本作の難点を上げるとすれば、私のような心が汚い人間には、この藤宮さんの純真無垢な立ち振舞を見ると、更に自身を卑下したくなってしまうかもしれませんので、そこは注意をば。

グヘヘ。


◆一番好きなキャラクター◆
『桐生 将吾』声 - 細谷佳正さん


◇一番可愛いキャラクター◇
(同率1位)
『藤宮 香織』声 - 雨宮天さん
『山岸 沙希』声 - 大久保瑠美さん

投稿 : 2024/11/02
♥ : 66
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

友達は歩いてこない。だから歩いてゆくんだね。1日1歩、3日で3歩。3歩進んで2歩下がる。

[文量→中盛り・内容→考察系]

【総括】
「友達との記憶が、1週間でリセットされる」女の子がヒロインの、純愛ストーリー。まあ、その愛が「恋愛」なのか「友愛」なのかは捉え方次第だけど、「純」であることは間違いありません。

作風に合わせた柔らかな絵柄、美しい音楽。とても素敵です。声優の雨宮天さんの、初めてのメインヒロイン作品としても、ファンならずとも必見だと思います。

後述しますが、実写映画観るよりは、アニメ観た方が良いと思います。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
この作品が、なぜ「純愛」なのかというと、記憶がリセットされる=時間が巻き戻ることによって、「純粋」「純情」が持続されるからだ。

ヒロインの藤宮香織が、いつまでも天使のように振る舞うのに、あざとさや嫌みが出ないのは、この設定による。

それが恋愛であれバトルものであれ、物語である以上、進展や成長は必須である。もし、藤宮さんが記憶が消えないのに、あのような態度を取り続ければ、ただの気を持たせるだけの嫌な女である。

でも、一週間で記憶が消えるから、仕方ないと思うし、この状況に藤宮さん自身が苦しんでいるのだから、誰もそれ以上彼女を責める人間なんていない。

また、その状況を何とかしようとして奮闘する、長谷祐樹が良い。いじらしいよね、長谷くん。

まず、藤宮さんを気にかけるきっかけが、一目惚れっぽいのが、素晴らしい。ごちゃごちゃ理由つけるより、(外見が好きって方が)説得力がある。もちろん、それで終わらず、共に過ごす時間が長くなるにつれ、もっと深い理由で、彼女を愛おしく思っていくので、軽い感じはしない。

この場合、藤宮さんの記憶喪失の理由が、交通事故など、外的な要因だけではなく、ツラい過去のトラウマによる、内的な要因との複合的なことだから、「だったら治るかも」という希望があることがデカい。そうじゃなけりゃ、流石に心が折れる(長谷くんも、視聴者も)。やはり、人間にとって希望って大事だよな。

本作は基本的に、友達以上恋人未満のもどかしさを楽しみ、恋人以上どころか、友達以下になってしまう寂しさを味わうものだけれど、「1週間」「フレンズ(友達)」というのが絶妙だったと思う。

長谷くんが藤宮さんに異性として惚れているのは間違いないとして、それでも「恋人になろう」と言わないのには、2つの可能性があると思う(視聴者からすれば、「はよくっつけや!」なんだけどw)。

まずは、「1週間」という時間の短さがある。長谷くんにとっては出会ってからずいぶん経つけど、藤宮さんにとっては、(いくら日記を見ても、感覚的には)常に出会ってから1週間なのだから、それで恋人関係はムリだろうし、それやったら、藤宮さんの天使感が薄れる。ちょっと尻軽になってしまう。

この場合、長谷くん的には、「恋人に発展する奇跡を前提においた、友達」となる(実際に男女が友達になるとき、むしろこっちの方が多いとは思うけど。少なくとも、こんな可愛い子なら、高校生の男子だったら絶対に淡い期待、下心くらいあるでしょ)。

次に、「友達」に注目すると、「藤宮さんが本当に欲しいのは、彼氏じゃなくて友達」ということを、長谷くんが理解し、自分を抑えているということになる(正に、愛)。こっちの方が、長谷くんっぽいし、なにより物語としては美しい。

まあいずれにせよ、設定が良いということ。これが、「一ヶ月ガールフレンド」なら、それはそれで面白いとは思うけど(そういう作品は他にもあるしね)。

ラストは、原作未完の中で、よくまとめたと思う。いつも長谷くんからの一方通行だった「友達になってください」が、藤宮さんとの双方向の「友達になってください」に変わったのは、この作品らしい、ゆるやかな、でも、確かな「発展」「成長」で、感動的であった。勿論、いつの日かこの2人には、「恋人以上」になってほしい、いや、なるのだろうという視聴者の確信があるから、途中経過となるこのラストを、ニヤニヤと見守れるのだけれど。

と、基本的に絶賛なのだが、☆5にしきれなかったのは、前半に面白さのクライマックスが来て、中盤~後半が少しダレたのが大きい。

と、最後に難癖はつけているものの、良いアニメであることには、間違いない。今でも充分に、オススメできる。

ちなみに私も最近、1ヶ月前に見たアニメの記憶もほとんど残っていないんだけど、だからといって友達になってくれる人はいない(笑)
{/netabare}

【余談1 ~実写映画感想(映画ネタバレ)~】
{netabare}
映画とアニメの違いを一言で言うなら、

「アニメは友情。映画は恋愛」

だろうか。映画でも一応、「友達になってよ」は保っているものの、それはあくまで、「恋人の手前の友達」になってよ、である。

それはそれで、私は好きだった。

一番しっくりこないのが、映画の終わり方。

映画では、①「藤宮さんと長谷くんが友達になる」→②「藤宮さんと長谷くんは恋人直前までいく」→③「九条一登場」→④「藤宮さんは①②を完全に忘れてしまう」→⑤「九条一のことは完全に思いだし、忘れもしない」→⑥「長谷くんは、藤宮さんのことを思い、身を引く」→⑦「藤宮さんと九条一が付き合う」→⑧「2年半が経ち(劇中では省略)卒業式」→⑨「とあることで、藤宮さんが①②を思い出す」→「藤宮さんから、長谷くんに、友達になって下さい」

でEND。

もしこの作品が、「長谷くんは藤宮さんと、本当に友達になりたかっただけ」ならハッピーエンドなんだろうけど、映画では恋愛要素を押し出していただけに、長谷くんにとってはバッドエンドでしかない。

この映画、当時付き合っていた人と見に行ったが、映画を見たあとに上記の話をしたら、「自分もそう思うけど、だからといって長谷くんと付き合うのも違う」と言っていた。

つまり、(ラストシーンを卒業式にしたいがために)⑧を入れた関係で、「長谷くんとは半年の付き合い」「九条一とは2年半の付き合い」になっているから、ここで記憶を取り戻したからといって、九条と別れるのもダメでしょとのこと。

自分は完全に長谷くんに感情移入してたけど、相手は藤宮さんの目線で観ていたことが浮き彫りになって、面白いと思った。

同じ設定を使い、ほぼ同じストーリー、ラストシーンなのに、ちょっとした違いによってこうまで変わるかと、作品を作る難しさを感じた。とにかく、映画はオススメできません(苦笑)
{/netabare}


【余談2 ~このアニメが好きなら、マジで読まないで(苦笑)~】
{netabare}
なんか、アニメや原作好きな人からすげぇ嫌われそうだから、書くかは迷ったんだけど、、、昔、これとほぼ同じ設定のエロ本を読んだことがあります(笑)

以下、内容。

{netabare}
「かみちゅ!」や、今期の「A.I.C.O. Incarnation」のキャラデザをやっている、鳴子ハナハルさんの「明日のわたしにヨロシク」っていう話。

主人公とヒロインは、幼馴染み。でも、幼馴染みの女の子は、交通事故による後遺症で、記憶が1日でリセットされる。覚えているのは、事故以前の記憶だけであり、それ以外は、毎日書いている日記を読むことで記憶を補完する。

主人公と幼馴染みはある日、セッ○スをする。しかし、幼馴染みは、全然痛くないことに不思議がる。実は、主人公と幼馴染みはすでに10回以上している。

しかし、幼馴染みは、そのことをいつも日記には書かない。なぜなら、ようやく大好きな主人公と結ばれたのに、明日になれば忘れる事実が辛すぎて、書けないのだという。

では、なぜ主人公は幼馴染みとそんなにしているかというと、ただの性欲ではなく、「幼馴染みは記憶は毎回失うが、感度やテクは毎回向上しており、身体としては記憶が残っているため、これを繰り返していくことで、いつか頭の記憶も戻るのではないか」という、リハビリ的な観点から。主人公もツラいのである(でも全力でエロいことはするw)。

ある日、幼馴染みは、自分が主人公としていることを知る。それは、「実は、主人公は主人公で、幼馴染みとの日々を日記にしていて、その日記が、やってる最中に間違って幼馴染みのバッグに入ってしまった」から。んでヒロインから笑顔で、「明日のわたしにヨロシク」って言われる。
{/netabare}

っていう話。

この話が発表されたのが、2008年の1月であり、一週間フレンズが読み切り掲載されたのが2011年9月だから、鳴子ハナハルさんが話を寄せたってことはない。

とはいえ、葉月抹茶さんは女性漫画だから、鳴子さんをパクったて可能性も薄いだろうし。

つまりはまあ、「記憶喪失」「日記」なんてのは、古典的でよくある設定ってことで、それをここまで面白い話にしている、葉月抹茶が凄いって話です(無理矢理にまとめてみました笑)
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 19
ネタバレ

青陽 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

くそうくそう!・・・長谷くんを羨んでも仕方ないのだけれど、僕はそっと壁を殴った。

1週間フレンズ。

主人公が女々しいのが気になったけど、ああいう人柄と 真っ直ぐな性格だから藤宮さんと友だちになれたんだよね
 作品の絵柄とアニメでの色づかいの優しさがマッチしてて良いと思います。録画保存決定のいい作品だけど、何度も見返すと本気で藤宮さんに惚れてしまいそうで少し怖い

…久しぶりに、ってか初めてかもしれない。主人公に対してこんなに嫉妬心が芽生えたの。それほどに藤宮さんは可愛い!あにこれでもサムネにしてる方がちらほらいますよね。皆さんも同じく藤宮さんに魅了されたのでしょう。わかります!すごい可愛いもん。おそらく春アニメNo.1ヒロインです。いや、すでに2014年度MVPといってもいいかも?

そりゃね、桐生くんに女々しいって言われるくらい 長谷くんが嫉妬しちゃう気持ちもよくわかりますよ。
藤宮さんは見た目が可愛くて、でも中身はそれ以上に可愛らしくて本当にいい子で、穢れを知らないその純粋さはもう…まさに天使!
独占したくなるのはしょうがないと思います、ええ。
また、演じる雨宮さんの声が透き通るようにとても綺麗で、キャラクターにマッチしてるのも藤宮さんの魅力増大の大きな一因でしょう!
初めに雨宮さんの名前を知ったときは「美人すぎる声優」みたいなキャッチで、またそういう系の売り出しか…と思いましたが、本作を見て 彼女はしっかり実力が伴っているなと思いました。香織の日記とてもよかったし、EDの奏も良かったし。この曲はもともとスキマが歌ってるオリジナルから好きな曲でした。が、そういう場合って聞き慣れているのも含め、オリジナルのほうが断然良く感じることが多くないですか?
でも、藤宮さんver.は初めて聞いた瞬間に気に入ったんです!
アニメの終わりからEDへの入りの良さもあったんだろうけど、雨宮さんの声質とスキマの作る曲が合っているのかな?
 でもバラード系が合うタイプかと思ったら、夏アニメのアカメで歌ってるOPはめちゃカッコいいロックじゃないか!?こちらもCMで流れていたのを聞いて一聞惚れでした!最初聞いたときはLiSAかと思ったけど。
歌はバラードもロックもいける、演技もいい、そして可愛い…個人的期待の新人声優3人のうちのひとりです

いけない、話が逸れちゃった

藤宮さんがNo.1だと思うワケ
 ほかの作品でも、いやその前にこの作品内でも可愛らしいキャラはたくさん登場する。しかし、なにより藤宮さんが作品のヒロインであり、描かれる時間が圧倒的に多い。だからより魅力が伝わって好きになる。
それは 接した時間だけ、重ねた日々だけ、人と人が親密になっていくことと何ら変わりはない。
同じ1クールであっても、ラブライブならキャラそれぞれを描くため9分割されるところが、一週間フレンズはほぼ藤宮さんなのだ。さきちゃんも出るし、さきちゃんの友達もかわいいけど、やっぱり藤宮さんなのだ。見れば見るほど苦しいくらい好きになる、それが藤宮さんなのだ。



以下、それこそ日記のような感想

「新しい友達」{netabare}
さきちゃんと放課後遊ぶ藤宮さんの姿は微笑ましかった。
アニメに男は出てこなくていいとか言ってる人、前は理解不能だったけど5話を観てなんとなくわかった気がする。
そういうタイプの人は百合が好きって訳じゃなくて、めちゃくちゃ可愛いヒロインが主人公とくっついてくのに嫉妬しちゃうんじゃないのかなと。女の子同士で仲良くしてる姿なら微笑ましいだけで終わるから変にモヤモヤしなくていいわけだし。
まあ、それでも長谷くんはさきちゃんに嫉妬してたけど(笑)
 ラストを見て、藤宮さんがクラスの皆にも理解されていけばいいなーと真に願いました。教室で笑顔を見せたシーンは君に届けを思い出しましたよ。爽子といい藤宮さんといい、私はああいう健気で純粋な女の子に弱いみたいです。いや、男なら誰もがそうであるはず…!
風早くんも爽子のことを独占したがってたし
2人とも
おれが守りたい、誰にも渡したくないと思わせるタイプの女の子ですね
でも、あんな笑顔見せられたらみんな藤宮さんを好きになっちゃうって!!ピンチだよ長谷くん、クラスの男子みんな見惚れてたぞ!
そりゃ普段クールすぎておっかない印象のキレイ系女子が
あんなに素敵で可愛い笑顔見せた日にゃ……ねえ?{/netabare}


6話{netabare}
雨宮さんのお母さんが可愛すぎる!あかんでしょ!ファンタジスタドール、ラブライブなんかもそうだけどお母さんが可愛すぎるのはよくないよ、ヒロインの座が危うくなっちゃって。声も中原さんという圧倒的ヒロイン性だったし。藤宮香織でなければ喰われていてもおかしくなかった。
いや、藤宮家のお父さんは超絶勝ち組ですわ。でも、あんな可愛い良い娘がいつかはお嫁に行ってしまうとか…メンタル強くないと耐えられない{/netabare}

夏休み
{netabare} 藤宮さんには白が似合う。夏でも冬でも白が似合う。なぜか?彼女が色白だから?それだけではない。彼女は心も真っ白で純真、だから白が似合うのさ。
 個人的なおすすめポイントはプリクラを撮るところです。
ポーズをとる前のきょとんとした藤宮さんが可愛すぎて可愛すぎて、その場面だけ繰り返し5分くらい見てしまいました。画像があったら待ち受けにしたいレベルです。{/netabare}


チジョウノモツレ、なおみの策略{netabare}
「女って最低だな…」
香月くんがこの過去話を聞いたら間違いなくそう言うでしょう。
春アニメを観て、あらためて思い知らされましたよ…しょうがくせーであれ、中学生であれ女子は!もはや女なのだと...!!

前は
いい年した女が集まって女子会ってなんやねん!とか思ってたけど、けっきょく年や呼び方なんて関係ない…女子と女
そこに大差はないわけですよ、きっと。気分はいつまでもオンナノコ、だけど小さな頃からオンナはオンナ

現実はそんな世界で、囲みとか最低のように感じられるけど むしろよくあることで…だからこそ藤宮さんのような理想を!天使を!!…人は救いとして求めているのでしょう。アニメや漫画で聖人君子に近いような素敵な人が多いそのわけは、人々が心の底でそういう人間を求め、こういう人がいてほしいと願っているから。
そう考えると、清らかな教えを守ろうと努める宗教の信者もなんだか身近に思えてきます。…ン、ナニイッテルンダロウ?オレ {/netabare}

長谷くんの青い選択と藤宮さんの戸惑い{netabare}
 傷つけたくない、壊したくない、でも望まずともいつかそうしてしまうかもしれない、それが怖い、だから近づかないようにする。長谷くんがそうしたくなる気持ち、よくわかる。けど、その傷つけたくないって優しい気持ちが 実は相手を傷つけてしまっていた…そういうことってけっこうありますよね。
何もないときはがむしゃらに向かっていけるけど、一度何かを得てしまうとその何かを失うことが怖くなって足がすくんでしまう・・・。

11話の後半から
バカっ!それは違うだろ、長谷のバカー!!なに藤宮さんに悲しい顔させてんだよ!!と思ってた(ってかTVの前で叫んでた)けど
最後にようやく気づいてくれてね、藤宮さん泣かせちゃって自分の過ちに気づいて本音ぶちまけて。その後の藤宮さんの笑顔見ました?涙まじりだけどとてもとても素敵な笑顔で、私は思わずお外に走りに行きたくなりました。
神社に行く前から、もっと話したい 一緒にいたいって気持ちがお互い見え見えだったし。まだお別れしたくないなあってあの感じが初々しくて・・・ああ、もうホントによかったね!!!いつの間にか自分も
クラスメイトたちのように二人の仲を心配する心境になっていました

最終話はサブタイの「友達になってください。」で展開が想像できて その時点でうるっときたけど、やっぱりラストは感涙必至でした。友達になってくださいで物語が始まり、同じセリフで締める。しかも最後はお互いに言うと・・・素晴らしいじゃないですか!今期視聴したアニメだとごちうさとツートップでセンスある終わり方だったと思います。
{/netabare}

最後に
藤宮さんのような女の子がこの世に存在することを願って・・・

投稿 : 2024/11/02
♥ : 20

90.1 4 切ないで感動なアニメランキング4位
夏目友人帳(TVアニメ動画)

2008年夏アニメ
★★★★★ 4.1 (5005)
23710人が棚に入れました
魔妖怪が見える少年、夏目貴志はある日祖母の遺品である「友人帳」を手にする。しかし、その「友人帳」は祖母・レイコが負かし、名を奪った妖怪の名が書いてある契約書だった。
それ以来、名を返してもらおうとする妖怪達から狙われるようになってしまった夏目は、とあるきっかけで用心棒となった妖怪のニャンコ先生と共に、妖怪達に名を返す日々を送りはじめる─。

声優・キャラクター
神谷浩史、井上和彦、小林沙苗、石田彰、堀江一眞、伊藤美紀、沢城みゆき、木村良平、菅沼久義、藤村歩

みかみ(みみかき) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

やさしく、ゆがんだ夢の国

 夏目友人帳について、人と話すのはなんだか、難しい気分がある。
 視聴した後の感覚は、とても良い。いいものを見た、という気分になる。しかし、冷静に考えてこの内容は、どう評価できるのか。わたしはなんだかよくわからない気分になる。
 この作品は、かなり、ゆがんでいるとも思うのだ。

 夏目友人帳、の最大の発明は、いうまでもなく「さみしさを抱えたやさしい存在」として、妖怪や八百万の神々を描いたことにある。
 『ゲゲゲの鬼太郎』にはじまり『ぬらりひょんの孫』『蟲師』『モモノ怪』『かみちゅ』『千と千尋の神隠し』『うしおとトラ』など、妖怪や八百万の神々の蠢く異世界の想像力を描いた話は数多いが、妖怪のほとんどを寂しさを抱えた存在として、描ききるという立場を徹底した夏目友人帳のやはり、きわだった独創性をもっている。
 そして、このポジションをもとに書かれる物語のパターンはこうだ

1.妖怪の「弱さ」を、悪行の原因として描きつつ
2.一方で、その「弱さ」があるからこそ、そこに対する解決として主人公・夏目が優しさを発揮する経路が与えられる
3.そして、夏目の優しさで妖怪を包み込んで一見落着。

 これが、夏目友人帳、の定型的な物語のパターンだ。
 これは、いったい何なのか、ということを思うのだ。

 単に、見終わった感想だけで言えば、とても優しい物語でした、という話になる。

■「都合のいいように解釈する」ことの是非
 
 ある特殊な設定をもとに、ご都合主義的に、心理描写をワンパターンに行っていく作品というのは、けっこうひっかかりを覚えることもすくなくない。アニメ作法のキャラ描写(たとえば、釘宮ツンデレキャラ)が心理描写がザルでもいいが、明確に心理描写をしようと志向しているにもかかわらず、その水準がザルなものは、見るに耐えない。
 しかし、夏目友人帳には、そういう苛立ちをまったくといっていいほど覚えない。これは、不思議なことだ。夏目友人帳の世界観も、わたしは冷静に考えれば、歪んでいる、と思う。冷静に考えれば、ご都合主義だ、とわたしは思う。心理描写はワンパターンだ、とわたしは思う。
 しかしながら、夏目友人帳には、わたしは、イラつかない。

 夏目友人帳の、主人公「夏目」によって眼差される世界は、歪んでいる。ごく都合がよく歪んでいる。世の中には、もっと素朴に嫌な奴もいるし、10代の少年は、そんなに相手のことをきちんと思いやる能力があるわけではない。夏目の世界は、少年であるにもかかわらず、少女漫画の夢の国――すなわち、誰もが誰かを思いやる夢の国――だ。
 だが、それは極めて優しく歪んでいる。
 解消し得ない敵意というものが、夏目の世界には無い。
 夏目は、人の敵意に対して実質的には強者だ。ほとんどの場合、友人帳とにゃんこ先生を用いれば、ドラえもんの道具よろしく、最終的には妖怪の悪意を包み込んでしまうことができる。
 強者ゆえに、保つことのできる、優しく歪んだ世界なのではないか、とも思う。

■博愛主義、は人をそこまで幸せにしてこなかった

 人の悪意や悲しみに対して、距離をとってよくよく眺めてみると、人の敵意を好意的に解釈してやれることは、少なくない。
 「あいつは馬鹿だ」「あんな奴、死んでしまえばいいのに」
 そういう人をきちんと観察してやると、その人の中のいろいろなものが見えてくる。嫉妬。こだわり。守らなければいけないもの。成し遂げたいこと。
 しかし、そういう愛すべき部分が見えてきたとしても、多くの場合、現実のわたしにはその悪意や悲しみを実質的にどうにかしてやることは、ほとんどできない。どうにかしてやろうと、思っても、わたし自身もまた敵意の対象となり、悲しみをより深めてしまうようなこともある。博愛主義的なことを実行に移そうと努力した人であれば、あるほどに、そういった無力と至らなさを噛み締めることは多いだろう。
 たとえば、長年、福祉職をやっている人などは、そういう無力と日々、たたかう中で、その無力をめぐって悲しみを深めていくような人が多い、と思う。

 博愛主義は、そこまで明瞭に人を幸せにしてこなかった。これは明確な事実だ。
 たとえば、素朴な博愛主義者は、限られた資源を有効活用するような経済合理的な思考をうまく展開することに失敗することがよくある。博愛主義よりも、「で、それで儲かるの?」という思考のほうが人を幸福にしてきたことは数知れない。※1
 たとえば、人間の心理洞察能力を低めることがある。素朴な博愛主義的世界観だけで生きている人は、恨みと悲しみに支配された人の世界観を理解することが難しい。「そんなこと言わないでさ^^」とか軽々しく言ってしまう博愛主義者は腐るほどいるが、そういうタイプの博愛主義は、はっきりと言って「相手のことをわかる」ことに失敗しがちだ。

 ぶっちゃけて、いえば、博愛主義者というのは「うざい」ことが多いのだ。
 「アンタの、その、なんでもわかってますよ。ワタシは、あなたのことを助けられますよ、っていうそのおごりが、わたしにとっては、何よりもムカつくんだよ!あんたはワタシのことを、何っにもわかってない!あんたが、わたしに何をできるって言うのよ!!!」
 という、ことを親に向かって叫んだことのある十代の少年少女は、それこそ、数えきれないほどに、この世にいるだろう。この台詞は、親子ドラマでは、テンプレの一つと言ってもいい。

 ほとんどの、博愛主義の試みは、相手に対して与えてやれる資源の少なさや、相手の心情を忖度する能力の欠如によって、失敗を経験する。成功もするが、失敗のほうが多いだろう。
 こういう優しさが、限界含みである、ということを認識したうえで、多くのひとはまた別の道を探っていくものだろうと思う。
※2

■妖怪だからこそ、うつくしい

 そして、夏目友人帳は、やはり、夢の世界のはなしである、とわたしは思う。
 博愛主義が、実行可能な、夢の世界。
 相手の心理観察能力に優れ、相手の求めているものを与えてやれる、という歴史上の博愛主義者たちが、もとめて決してかなわなかった夢の世界。その理想郷を描いている、ということが夏目友人帳の多幸感の源泉なのではないか、という気がする。うがった見方をすれば、これが妖怪ではなく、人間を対象としていたら、こういう表現はそもそも難しかったかもしれない。
 人間同士の心情のスレ違いを描く少女漫画では、たくさんの醜いいざこざがきちんと描かれることがある。そして、それはぜんぜん美しくなんかない。だけれども、夏目友人帳は、妖怪と人間の話だ。だからこそ、人間同士の話を見ているよりも、フィクションの美しさに塗れることができるのではないか。

 夏目友人帳が、「ウザい」はずの博愛主義でありながら、感動を覚えるのは、夏目の心理洞察が、一度も失敗しないからだ。
 あるいは、たとえ、それが失敗したとしても、おせっかいなうざったさに繋がることがないからだ。
 そして、その世界は、現実ときわめて似ているようでいながら、妖怪の話であるゆえに、そのご都合主義が、実に気持ちよくみられてしまう。

 こんな幸せなことが、あればいい、と思う。

 そんなことを思いながら、毎回楽しみにしている。
 こういうご都合主義を、ご都合主義だと知りながら、観ていられるのは幸せなことだと思う。これが、どうしようもなくご都合主義だとしか思えなくなってしまったら…たぶん、それは、つらいことだ。


 




■脚注

※1 と、いいつつ、これと反対のことを放浪息子、のレビューでは書きました。わかりにくい、ことをわかろうとすることの意味も、あるんだよ、と。

※2 ただ、人のこころを忖度すること要請される商売というものもある。
たとえば、コンサルタントや、臨床心理士(カウンセラー)といった職業がそれにあたる。
ただし、結局コンサルも、カウンセラーも人のこころを完璧に忖度することはできない、ということをよく知っている。
よく知った結果として、「傾聴する」能力を高めたり、相手に対して「あなたはどうしたいの?」と決断をせまるといったような方法論を発達させることになる。結局、人のこころを完全に忖度して博愛主義が実行できないということは明らかなわけだ。
では、どうするか。
相手の意図はわからなくても、相手の「意図」とズレが発生しない状況はある程度つくれる。相手にとって納得性がある状況を作ることはある程度できる。そういうところに落ち着いたわけだ。というか、そのような状況を作れるだけでもすごいことだと思う。
ほとんどの場合、相手の意図との調整は失敗することのほうが多いし、わたしの意図を忖度してもらおうとしてもそれが理解されない場合のほうが多い。基本的に、わからんのである。
わからん。

(あと、完全に余談だが、先日、とある有名なコンサルの方とご同席させていただいたのだけれども、クライアントに対して「で、あなたは何がしたいんですか?僕は意味がわからないですよ。はっきりしてください!」みたいな感じで叱りつけるようにして、コンサルティングをなさっていて、なるほど、クライアントの納得を生む商売のやり方というのは、相手に優しくするばかりではないのだな、と学んだ。しかし、叱りつけるようにして、相手の納得を生むやり方がいいのかどうか、というのも、なかなか何なんだろうな、と複雑な気持ちもしつつ、世の中というのはなかなかすごいことになっているな、と思った。)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 31
ネタバレ

素塔 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

夏目とギンコ

ふと思い立って、「蟲師」と「夏目友人帳」を
一話ずつ、交互に視聴している。(現在は第8話あたり。)
先に観はじめた「蟲師」の幽遠な世界に感嘆しながらも、
極度に稠密なストーリーと、重く張り詰めた空気にやや疲れを感じ、
別作品で中和して気分転換を図ろうというわけだ。

「夏目」を選択したのは、同じ和テイストのファンタジーで、
かつ親しみやすい日常系というイメージがあったからだが、
実際、無機的かつ即物的な感触の「蟲師」と比べると
妖たちまでが何とも人間臭く、ほっこりした気分になれる作品である。
以下、両作について思うところを簡単に書きとめておきたい。



{netabare}「友人帳」をきっかけに始まった、主人公夏目と妖との交流の周辺に
人と妖とが描き出していく心模様には、いくつかのパターンがあるようだ。

一方の心の側には淋しさや人恋しさが募っている。
もう片方の側にはそれを包もうとする温かい心が置かれている。
そして、ずっと残されていた"想い"が最後の瞬間に叶えられ、
片方ないしは双方が満ち足りて消えていく、という結末、など。

そうした心の交差を目の当たりに見た時、夏目が感じる切なさ、愛おしさは
孤独だった彼の心に反響し、増幅されるかたちで視聴者に伝わっていく。



ストーリーの核心となっている、夏目の「孤独」。
それは、彼にとって「友人帳」がもつ意味に結びついており、
妖に名前を返すという、危険なだけで何の得もない行為の動機を説明する。

名前を返すたび、レイコの記憶が思念となって流れ込んでくる、という。

「友人帳」によってレイコの過去を追体験しようとする理由は
早世した祖母の孤独な人生への哀慕の気持ちばかりではなく、おそらくは
レイコの過去がそのまま、彼自身の過去でもあるからなのだろう。

原作コミック第五話の「時雨と少女」(アニメ第四話)に重要なセリフがある。
妖にさらわれた生徒たちを置いて帰ろうとする先生とのやり取りの場面だが、
アニメでは端折られているので、原作の方から引用する。

  おまえ、あまり人間(ヒト)が好きではないだろう
  他人(ヒト)など放っておけばいい

これに対する返答は、原作ではこのような強い意志の表明になっている。

  …おれはそこで逃げてはいけないんだ、先生

  「友人帳」には、人に見切りをつけた
  レイコさんの悲しみがいっぱい詰まっている

  (―それに 人の優しさも 可愛さも
   わかってきたんだ 少しずつだけど)

  だからやれることはやりたい だから先生…

夏目がレイコに自分を重ね合わせていることがはっきりと判る。
また、夏目の人間嫌悪が相当根深いものであったことも。

この世ならぬものが見えてしまうことで孤独を強いられ、
ある意味、運命に翻弄されてきた受動的な過去を清算するための
能動的な手段、それが彼にとっての「友人帳」の意味であり、
レイコの過去を引き受けることは、自分の過去にも決着をつけることなのだ。



例えば、こんな想像をしてみよう。
仮に、すべての名前を返し終えて「友人帳」が空っぽになる時が来たとして
その頃の夏目は一体どんな人間になっているのだろうか―。
少なくとも内面的には、以前とは全く別の人間になっているに違いない。

ごく自然にそう予測できるのは、この物語の構造のためである。
未来に定められているこの終点が、予見的に物語に内在しているために、
日常のエピソードのすべてが、夏目が成長してゆくプロセスとなっているのだ。

過去と向かい合い、未来を模索する。そこに夏目の"現在"がある。



考え過ぎなのだろうが、何となく自分は
ここに一つの生き方が例示されているような気がしてしまう。

前だけを向いて迷わずに突き進む、積極的な人生があるなら、
過去を振り返り、迂回しながら、人よりも緩慢に進んでいく人生もあるはずだ。
勿論、彼は意識してそうしているわけではないのだが、
一般に、彼のような内向型の人に共通する心性はそうした生き方に向かわせる。

もしかすると、この作品が強く響く人の中には
こうした部分に無意識に共鳴しているケースがあるのかも知れない。
「夏目」の"癒し"は、案外に奥が深いのではないかと思う。



折角なので、「蟲師」の場合も見てみよう。

「夏目」では正常に定位している過去・現在・未来が、
こちらでは"蟲"の作用によって根本から秩序が揺らぎ、"現在"は失われている。
(時間の流れの外に取り残される第1話。始原の闇に閉ざされる第2話。
 夢で予知された未来が現実の中に流出する第4話。などといった具合。)

だが、それは何も時間に限らない。現実そのものが揺らぎをはらみ、
境界がぼやけて曖昧になっているのが「蟲師」の世界なのだ。
内部と外部。可視と不可視。ミクロとマクロ。生命と無機物。生と死。
"蟲"はこれらのあわいで、対立するものを弁証法的に媒介しているようだ。

「蟲とは、生と死の間にあるものだ。
 人を指すもののようで、物質を指すものでもある。
 死にながら、生きているようなもの、・・・」(第5話)

そう語るのは主人公の蟲師、ギンコだ。
彼はそんな世界に秩序を回復する存在である。
時間の観点から見れば、"蟲"に取りつかれて遊離した"現在"を取り返す存在。
その意味で彼は時間を超越した、絶対的な"現在"だと言ってよい。
(作中で彼一人だけが洋服であるのは、この事実を記号的に表象するようだ。)

同様に、異形の原始生命体である"蟲"もまた、時間を超越して遍在する。
この両者の絶対的な存在性には「神」のイメージすら仮託できるようだ。
それによって人間のドラマは相対化され、どこか影絵のような"現象"に還元される。



「蟲師」が海外でも評価が高い理由は多々あるだろうが、
このような人間の描き方に、日本的な美学が感じられる点も大きいと思う。
"現象"にも似た人間の存在の儚さを掬い取り、抒情的に描く部分にこそ、
おそらくは本作の真骨頂があるのではなかろうか。

(日本的、という言い方はあるいは不十分かも知れない。
「自然」という広大な生命の宇宙の、ごく微細な一部分でしかない人間。
この原感覚は、東洋的な世界観に根差したものであるし、
あるいはこの、いわば汎生命的でありながら同時に"無"("死"ではなく)を内包する
世界像が"蟲"の原イメージであるとすれば、それは東洋的と呼べるものだろう。)

儚げな印象はまた、「夏目」からも濃厚に感じ取られる。
作中に登場する廃線の駅、ダム湖に沈んだ村などは示唆的だ。
忘れられたものたちが束の間、姿を現し、また忘却の彼方に沈んでいく。
そもそも妖怪とは、人々から忘れられ、零落した古えの神々だとされている。

我々の背後に存在し、消えていった無数の、ささやかな時間の堆積。
そこに思いを馳せ、沈思に誘うような、どこか静謐な世界が両作の持ち味だろう。



とは言え、作風の相異もまた歴然としている。
青年漫画と少女漫画という、出自の違いは隠しようもなく明白だ。

「蟲師」という作品の凄味は他に類のないものであって、
非現実の存在である"蟲"の生態と、人間との関りを異常な現実感で描き、
私見では、広義の「幻想的リアリズム」の系譜に位置づけるべき作品だと思う。

単純に比較すれば「夏目」はやはり、"夢みられた優しい世界"に映る。
そこに少女漫画の限界を見る見方も確かに可能だろう。だが、
この作品の"優しさ"が視聴者に求められ、支持されていることは事実であり、
それは魅力でこそあれ、否定される理由には決してならないのである。{/netabare}



作風は大きく異なるが、視聴後の充足感は両作ともに深い。
「夏目」には心を潤され、「蟲師」には魂の深部を揺さぶられる。
こうした手応えは昨今のアニメにはまず求められないものだろう。
自分が旧作メインにならざるを得ない所以である。

「蟲師」については、よく言われるように、
一話一話が一篇の短編小説に匹敵するほどの濃密な内容を含んでいる。
それで得心がいくまで観返してしまい、完走は先伸ばしになっていくのだが、
いずれ単独で取り上げる際には、上記の着眼点を発展させた
"考察"もどきを試みたいと思う。まあ、需要はなさそうだが…。

2022.12.15 投稿

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17
ネタバレ

sekimayori さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

=には、ならないけれど 【78点】

祖母が作った妖怪の友人帳を通じての、主人公・夏目と妖怪たちとの交流を描く、ハートフル妖怪奇談。

【○良い点】 3つ
①=の入らない想いの美しさ
②各話の安定感:この雰囲気の良さは、マンネリではなく様式美と呼びたい。
③ニャンコ先生:飼いたい、手なずけたい、えびフライあげたい。
 声と動きがついて、より魅力的になったと思う。

【△少し残念な点】 1つ
①感動がお手軽な回も存在:1話完結だから感情移入はしづらい。
②タキが出ねえええ:原作の順番も忘れて勝手に期待してた私が一方的に悪い。

【×悪い点】 1つ
①妖怪にまで拡大した性善説とヒューマニズム


正直、ちょっと評価に困る作品です。
得られる感動がインスタントな場合が多いことは、否定できません。
加えて、ひたすら人間的で優しい妖怪との関わり方には、居心地の悪さを感じます。
でも原作も14巻くらいまで読んでるし、好きなんです。
美しいストーリーの連なりと、穏やかな雰囲気を支える音楽・作画・声優といった技術面は、低評価のしようがありません。
何より、込められる想いと返される熱量の残酷な不等号が切なさを呼んで、一瞬の涙腺への攻撃力は凄まじいものがあります。


■妖怪にまで拡大した性善説とヒューマニズム
{netabare}
そもそも論になるけれど、妖怪という概念って、昔の人々が人知を超えた自然の営みや漠然とした恐れを説明しようとして作り上げたものだという説があるようです。
その来歴が真実であれば、妖怪は人とは根源的に異質なものであるはず。
関わり方によっては共存もできるし、望まなくても互いに害を及ぼしあうこともある、突き詰めれば人とは絶対に相容れないものとして観念される存在ではないかと。

事実、従来のスタンダードな妖怪は、怪談においては言い知れぬ恐怖の対象であり、少年漫画では駆除すべき敵でした。
変化形として、共闘が可能な隣人として扱ったり(ex.うしおととら)、その発生の根源を人間心理に求める(ex.モノノ怪)アプローチはある。
それでも人の論理と妖怪の論理には絶対的な亀裂が存在して、両者が幸福な結末に落ち着くとは限らない。
そうした妖怪の他者性を最も端的に描き出したのが、人と蟲の距離を「ただそれぞれあるようにあるだけ」と定義した蟲師だと思います。

翻って夏目友人帳の妖怪って、行動原理が完全に人間のそれなんですよね。
大切なものがあって、でもそれに届かなくて、傷ついたり嘆いたりする。
夏目に対する敵意も、結局はその弱さの発露の一形態。
だから夏目の、ごく人間的で優しいアプローチで、最終的に問題が解決されます。

このメカニズムを支配しているのは、妖怪の心を重んじて人間愛を実践すれば、本質的に善である妖怪を痛みから解放できる、という発想。
要はヒューマニズムと性善説を、そのまま妖怪に適用しちゃってるのです。
その前提には、人間と妖怪は理解しあえるという、従来とは180度異なる妖怪観があります。
余談として、こう考えると、夏目とちょくちょく比較される(からさっき引き合いに出した)蟲師、方向性は真逆だよね。

で、この妖怪観、自然と親しみつつも「畏れ」という距離感を忘れなかった神道的自然観ではなく、自然は全て理解・改変可能なものという西洋近代的な価値観に基づいたものに思えます。
(西洋東洋の二元論とかステレオタイプ過ぎないかと言われればその通りです、学識無くてすみません)
ついに妖怪まで人間的なものに内包、というか限定しちゃったのか……。
夏目的な妖怪の捉え方に、人間中心主義的な傲慢さと自然観の一極化、あと民話的想像力の減退を見てちょっと寂しくなります。
私が「古き良き日本」の幻想にとらわれ過ぎているのかな?
でもやっぱさ、もう(妖怪である必要)ないじゃん……。{/netabare}


■=の入らない想いの美しさ
{netabare}
なんか酷評気味になっちゃってて自分でも驚いてます。
これはフェアじゃないし好きな点を全く語られていないので、褒めたいです。

……褒めたいんだけど、どう褒めたらいいんだろう?
ニャンコ先生が可愛い、藤原夫婦や友人たちが良い人過ぎて泣ける。
急がずゆったり使う「間」の表現と穏やかな作画、吹き渡る風のような音楽の作り上げる雰囲気に癒される。
夏目や妖怪たちの想いが、少女漫画原作ならではの繊細さで描かれている。

うーん、月並みというか、微妙に届けられない。
私が込めたい熱量と、読んでいただいて伝わる想いに差ができてるはず。
でも実は、こうした届けたいモノと届かないモノの差の美しさを、本作は描いてくれているのではとも思います。

露神さまも燕も蛍も、人間に対する想いはとても深いです。
その逆のベクトルとして、人間から妖怪たちへの想いも確かに存在します。
でも、方向の相互性はあっても、人間には妖怪が見えないのだから、その想いの重さには冷酷なまでに差がある。
では、見えていればいいのかというと、実はそうでもなくて。
柊や、レイコさんに振り回された妖怪たちの想いも、主従関係やレイコの死によって一方通行なまま。
結論として、妖怪と人間の想いの間には、決して=が入りません。

それでも。
それでも、妖怪たちは想いを届けようとします。
例え自分が想うほどに相手に想われなくても、ただひたすらに伝えたいから。
そして、ほんのわずかな反照に満ち足りて、あまつさえ消え去ってしまったり。
こっ恥ずかしいことを書くと、これ、片思いの美しさに通じるものがありますよね。
成就しない想いへの共感というか、滅びの美学というか。
とにかく、面の下の微笑みやパタパタと振る着物の袖の美しさ・切なさには、天を仰いで目からこぼれる汗をこらえることを余儀なくされることしばしでした。

以上、己の筆力不足をいいことに我田引水を試みましたが、果たして伝わったかどうか……。
1話ごとの連作短編なので感動がインスタントに陥る回もあり、優等生的なインパクトの弱さは明らかに欠点ですが、ツボにはまるといきなり泣かせに来やがります。

ということで、若干の不満はあれど、万人に勧められる良作としてしまっていいでしょう。
時間があれば2期以降にもチャレンジしたい作品です。
ヒューマニズム全開でともすれば偽善者にも見える夏目が、友人帳と先生という優位の効かない人間の仄暗さに触れて、妖怪と人の間で揺れ動く姿を、丁寧な演出で観たい。
動くタキにもぜひお会いしてペロペロしたいですしね(・ω・)ブヒ
ただ4期は長いんだよなぁ……。
結局途中で止まってる漫画の方を優先しそう。~ {/netabare}


【個人的指標】 78点

投稿 : 2024/11/02
♥ : 27

77.7 5 切ないで感動なアニメランキング5位
WHITE ALBUM2(TVアニメ動画)

2013年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (1113)
5626人が棚に入れました
学園祭まであと一月と迫った秋の日の夕暮れ。

崩壊した軽音楽同好会の最後の一人、北原春希は、
放課後の窓際で学園祭のステージを目指してギターを弾いていた。

それは、二年半ずっと真面目に過ごしてきた優等生が、
卒業までの半年間に成し遂げようとした、ささやかな冒険。

けれど、その拙いギターの音色に、
流れるようなピアノの旋律と、鈴が鳴るような歌声が重なったとき……

一人からふたりへ、ふたりから三人へと重なっていった新生軽音楽同好会の、
夢のような、夢であって欲しかった半年間が始まった。

声優・キャラクター
水島大宙、米澤円、生天目仁美、寺島拓篤、中上育実、杉山紀彰、梶裕貴、夏樹リオ
ネタバレ

ギータ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

久々、いや初めてこんな恋愛アニメに出会いました  これ以上はこの先現れないだろうと思ったら、原作ではまだ序盤なんだよなぁ…

※長文注意報発令

【短い感想】
シナリオに関しては今までの恋愛アニメでダントツのNo.1です。
それだけ感情描写が素晴らしい。
ここまで繋がりがしっかりしていて、キャラの気持ちが伝わって来るアニメはまずありません。

この作品は隅々まで意味のある描写だらけの作品です。
結果だけに注目していたらまずこの作品の魅力は見えてこないです。
まずは主役の3人全員の気持ちを考えてこの作品を見てみてください。


【このアニメのコンセプト】
前作であるWHITE ALBUM(前後編)からそれは変わってないようです。
どうしてもネタバレが嫌な方のために一応隠しますが、私としてはコンセプトを知った上で視聴したほうがいいと思います。
大事なのはそこじゃないから。
なので、未視聴の方も参考程度に是非開いてみてください。

{netabare}このアニメで感じたのは、『大事なのは結果よりも過程』だということです。
このアニメのコンセプトは言ってしまえば“浮気”です。
このアニメが凄いのは、なぜそういう結果になってしまったのか、なぜこのキャラはそういう行動をとってしまったのかしっかり描写があることです。
「なぜこうなったの?」という問に対して「こうだからです」と返せるアニメです。
詳しくは後半の方に載せます。
ある程度浮気前提で物語を見て、「なぜそういう結果になったのか」「このキャラはどんな気持ちで行動したのか」などキャラの気持ちになって考えると、ガラッと印象が変わるはずです。
結果に至るまでの過程がしっかりしているから、思わず感情移入する、それも主役の三人全員にという感じで、見ているこっちまで辛くなってきます。

結果だけに注目していたら、「主人公最低」「クズ野郎」で終わってしまうかもしれません。
確かに、絶対クズではないと言い切れませんが、なるべくならそのキャラの気持ちを考え、気持ちを汲んだ上で感想を持ってみてください。
とても他人事じゃなくなります…
逆に、私が酷評している君のいる町は『過程よりも結果』の作品だと思うんです。
結果ばかりが前に行ってるから、キャラの行動が理解できない、感情移入できない、キャラの本気度が伝わってこない、キャラにブレがあって操られているように見える印象です。

視聴する際は結果だけでなく、結果に至るまでの過程に注目してみてください。{/netabare}


【長い感想(12話まで)】※ネタバレの嵐です。まだ12話まで視聴してない方は開かないでください。
○第7話:最高の、最後の日
{netabare}これを最初に持ってきた理由は、この回が“WHITE ALBUM2の全て”と言ってもいい回だと思うからです。
この回が与えた影響は計り知れないと思います。
他の2回分の話も絡めて、第2音楽室で何があったのか描写しています。
①かずさと春希が二人で会話、かずさが本音を少しだけ漏らす
②雪菜が春希に迫り、キス、付き合うことに
③実はかずさが寝ていた春希にキスしていたことが判明
④さらに実は雪菜は春希とはまだ付き合う予定ではなかったことを明かす
⑤雪菜はかずさがキスしていたところを実は見ていた
⑥現在(春希と雪菜が付き合っている)に至る

本当の地獄(辛い気持ちになる回)はこれからですが、この回が一番重要な回だと思います。
なぜ雪菜が告白したのか、なぜ雪菜が3人でいることを望んでいるのか見えてきます。
ただ友達だから失いたくないとか、そんな能天気な問題ではないはずです。
理由も結構はっきりしていると思うので、後で述べます。

さらにここから歯車が狂い始める意味でも重要な回です。
なぜかずさが雪菜と仲良くやっていけているのか、その間どんな気持ちを味わっていたのか、春希は何を思って3人と過ごしてきたのか、この回が与えた影響は測りしれません。{/netabare}


○小木曽雪菜
{netabare}雪菜はかずさよりも自分の気持ちを相手に伝えられるだけであって、本当は相手のことを考えて一歩下がったりする遠慮してしまう人物だと思います。
春希奪っといて何言ってるんだって?それはこれから説明します。(WHITE ALBUM2はこうやって後々説明したり、答えを持ってくるパターンが多いんですよね)

雪菜が望んだ最高の結末は
「春希がかずさと雪菜どちらと付き合うか腹を決め、雪菜に告白、そしてかずさもそのことを認め、友達としてこれからも3人一緒」
だと私は思います。
だから、あれを見るまでは3人一緒に過ごし、春希に選ばせる時間を、かずさが素直になるまでの時間を設ける予定だったはずです。
しかし見てしまった、かずさが春希にキスする瞬間を。
だから行動に移してしまった。
「それが自分にとって一番の結末にならないから」
雪菜はかずさと春希が付き合うまでもう時間がないと悟った、だから焦って自分から行動してしまった、春希の気持ち、かずさの気持ちを知っていながら。
かずさに関しては以前から春希のギターに合わせてピアノを弾いていたこと、今回のキスでまず納得でしょう。
春希に関してはおそらく文化祭の三曲目、届かない恋の歌詞に何かあると思うんですよね。
それ以外でも、かずさに惹かれていることは雪菜も気づいていたと思います。
そして、雪菜が焦って行動したのも、彼女の性格を表した描写から納得出来ると思います。
1つ目は中学時代のハブにされた経験、2つ目はトラブルセット(トラブルの種となったトラベルセット※ニコ生一挙放送コメントより)、これから雪菜が焦りやすい性格、一緒にいられなくなるのを恐れる性格が分かり、今回の行動と合致すると思います。
ここまでが春希と付き合うまでに起こったことです。

ここからは付き合ってからの3人、主にかずさのことを考えている雪菜について述べます。
付き合うことになったのを屋上にてかずさに報告、そして確認する雪菜。
なぜかずさに確認しているのか、それはかずさが春希を思っていたことを知っているからですよね。
しかし、かずさはそれを誤魔化し続け、そしてあの行動をとります。
名前呼びの承認。
これによって雪菜を納得させ、友達としてこれからも付き合っていくことになりました。
その後も3人でいることを強く望む雪菜、それはかずさと友達でいたい、3人でいることを大事にしたいだけじゃないはずです。
雪菜には後ろめたさがあった。
「春希の気持ちが自分一本に向かう前に、そしてかずさが納得する前に告白してしまったこと」
さらには屋上のシーン「私、割り込んだんだ、二人の間に」
だから、二人にチャンスを残すのと同時に、自分からすればピンチを乗り切る、二人から認められるように頑張ろうとしたと思います。
春希から本物の彼女として、かずさから本物の友達として認められるように、自分の後ろめたさ、罪悪感を消すために。
つまりは、順序が逆になってしまったけど、自分の計画にあったことは飛ばさないようにしようとした、それが二人にできるせめてもの事だと雪菜は思ったと思います。
現に、春希がかずさの事を思っているのに気づいても、「やめて!私だけ見て!」とか言ってなかったと思います。
それどころじゃない、というかこの行動を雪菜の気持ちで考えたらめっちゃ辛くなります…
・誕生日パーティーで二人きりになることを断る
これは完全にかずさのためです。
家族も含めてという嘘までついて春希を説得していただけに、どうしてもという気持ちが伺えます。
普通はですよ、彼氏をとられるかもしれない相手のことを思って決定機を見送るなんてしないですよ。
でも雪菜ならその行動が出来る理由がある。
自分のことだけ考えているわけではなく、かずさのことを思い、自分に罪悪感を抱いているから。
その行動の末、誕生日に家で一人でいた雪菜の気持ちを考えると…

・卒業式にかずさが来ていたことを春希に伝える
理由はほぼ上と同じです。
いや、ここまで来たらもう罪悪感に押しつぶされてしまったのかもしれません。
これ以上春希が悩み苦しむのも、かずさが素直になれないのも見たくない、その上かずさが卒業式に来ていたことを春希に言わなかったら、また罪悪感が増え、それを背負って生きていくわけですからね。
もう、ここの全てを悟った雪菜の顔も…

という感じです。雪菜の焦りや優しい性格、その上での行動が引き起こしてしまった悲劇という感じです。
はっきり言って雪菜のエピソードだけで胃が大変なことになってるのですが、まだ二人分の思いを受け入れていかなくちゃいけないですからね(笑)…
そりゃ胃薬必須アニメだわ。{/netabare}


○冬馬かずさ
{netabare}雪菜よりも、というか誰よりも自分の気持ちを相手に見せないかつ面倒見の良さによって悲劇を招き、悲劇の大きさがどんどん拡大してしまった人物です。
春希が好きで仕方ないのに本人に伝えることもできなければ、伝えようと考えることすらしないかずさ。
そのことを伺えるのが文化祭のキスシーン。
寝ている春希にキスしてしまうくらい好きなのに、思いを伝えられない、その結果雪菜が目撃し、春希に告白してしまった。

もうね…ここからのかずさは見てられないですよ。
1周目はまだいいんですけど、2周目はかずさがどんな気持ちを抱いて過ごしてきたかわかるから、気持ちと行動のギャップが…
まずは雪菜告白後の報告シーン。
雪菜の言っていることは全て事実、かつ雪菜はそれを裏付ける証拠も知っているわけで、質問する口調もかなり強めです。
「それでいいの?」という雪菜の心の声が聞こえてくるかのようです。
それを否定し続けるかずさ、そしてあの名前呼び承認。
これは、雪菜と友達としてやっていくという気持ちも本心から思っていると思いますが、それだけじゃない。
この場合は自分の気持ちを誤魔化すための手段です。
事実、この行動によって雪菜は質問をやめました。
後半にもこういうシーンがあります。
「やっぱり私、かずさと本当の友達になれなかったのかな…」
「そんなことはない、雪菜はたった一人の親友だと思っている」
後から見てもわかるとおり、この時のかずさは悔しさや悲しさという気持ちを抱いています。
でも、かずさからしたら雪菜も大事で、友達でいたいというのも嘘ではありません。
ていうか、これが複雑であり、これによって悲劇がさらに大きくなってるんですよ…
いっそのこと、好きじゃない、友達でいたくないと思えれば少しは楽になれるのに。
好きだから、友達のことを妬みきれない、恨みきれない、結果自分に悲しみが積もるだけ、発散はできない。

「一緒にいないと小木曽が泣くからな」
春希が好きという自分の気持ちに嘘をつき続け、友達のために安心させるために自分の本心を隠し、一緒にいようとするかずさ。
「かずさ変わったよね?明るくなった」
本当は悲しい気持ちが渦巻いていると考えると…
それでも友達を気遣い、悲しい気持ちを前に出さないように気持ちを張って明るく振舞うかずさ、張り詰めていた気持ちが切れてしまったのがあのシーンですよ。
3人の旅行の帰りに車で一人号泣するかずさ…

そして最後は二人から離れようとした。
雪菜のことを思い、そしてもう3人で過ごすのは耐え切れないから、これ以上拷問を受け続けて自分を騙して3人に笑顔を振りまくのは無理だから、そんな印象を受けました。
10話Aパートはアニメ史に残すべき凄まじいシーンだったと思います。
「そんなのはなぁ…親友の彼氏に言われるセリフじゃないんだよ。」
「私の前から先に消えたのはお前だろ!」 
「勝手に手の届かない所に行ったのはお前だろ!」
「手が届かないくせにずっと近くにいろなんて、こんな拷問も思いついたのもお前だろ!」
「なのに何で私が責められなきゃなんないんだ!」 
「毎日毎日目の前で心えぐられてそれが全部私のせいなのかよ!」
「ひどいよ!どうして私の気持ちわかってくれなかったんだよ!」
「私がつまらない男を好きになって何が悪い!」
凄まじい、よくこんなセリフ思いつけるな…
そしてこのセリフをいえるシチュエーションを作ったのも凄い…

雪菜のことを考える優しい性格のために、自分が受けるダメージが増え続け、人に自分の気持ちを伝えれない性格のために、春希が離れていってしまい、春希が3人一緒にいようと提案してしまう、これがかずさです。
雪菜もそうですが、優しくて友達思いであるために、自分の首を締め続けているという印象です。
全然悪いことはしていない、友達にとって最善のことをしているはずなのに、考えの違いによってそれが友達を傷付けることになってしまう、さらには自分も。
WHITE ALBUM2とはこういう作品です。
作中にもありますが、「かずさが男の子だったら…」「私だったら雪菜を渡さない」(うろ覚え)という感じで、性別のことを憎んでる描写があります。
全員が同じ性別だったら、恋愛さえなければどれだけ綺麗な青春ストーリーで終われたことか…{/netabare}


○北原春希
{netabare}最終的には浮気してしまいますが、春希もすごく悩んで、すごく悲しい思いをしてきてるんですよ。
春希の悲劇の始まり、それは雪菜の告白を受けてしまったこと。
もちろん雪菜が気にならないわけじゃない、魅力も感じているけど、文化祭の段階では間違いなく中途半端な気持ちだったはずです。
それでも、あれを受けるなという方が無理な話です。
最初から逃げ場などありませんでした。
普通なら、最初は中途半端でも、少しずつ付き合ってから雪菜のことを思っていけるはずですが、今回は別ですよね。
それはかずさがいる、もっと言えば雪菜よりも気になってたであろう相手の存在が今後の展開を大きく動かしたと思います。

雪菜の三人でいたいという提案(二人にチャンスを設ける)、かずさの三人でいないと雪菜が泣いてしまうという提案によって、春希は三人でいることを大事にしようとします。
その結果、かずさを傷つけることになってしまいました。
さらには、かずさとのやり取りが残ることによって、最終的にはかずさの所へ行きましたが、それまでの春希の思いってかなり複雑だと思うんですよ。
ちょっとまとめてみますが、あくまで私の予想です。
①雪菜と会う前、かずさに惹かれていた
②雪菜とあってからも、かずさの方が気になっていた
③雪菜と付き合ってからは、付き合うという考えはほぼ無くなる、友達として、プラス以前に気になっていた気持ちを残したまま気にかける
④かずさが本当の気持ちを明かしたことによって昔思っていた気持ちが爆発、抱きしめてキス
こういう感情変化だと思います。
かずさのこと諦めているから友達として3人でいようと提案、ただ100%友達としてではなく、どこか引っかかる気持ちが残っているから必要以上に気にかけてしまう、最終的には爆発みたいな。
そして、春希はそういう自分の気持ちに気づいていたと思います。
だから雪菜の誕生日に二人で過ごすことを提案した、自分の気持ちを100%のものにするために。
しかし雪菜はそれを拒否、結果かずさに会いに行き、あの始末です。
あのかずさとのやり取りによって、雪菜を裏切ったのと同時に、気持ちがかずさに流れてしまった、それでもかずさに受け入れられず有耶無耶になり、結局は雪菜に頼ってしまうことに。
用意していたプレゼントも渡せずに。

結果は浮気ですが、春希の気持ち、行動も分かるんですよ。
やっぱりターニングポイントは文化祭ですよね。
あれが全てを変えてしまった、かずさのキスが。{/netabare}



【最終話まで見ての感想】
{netabare}○最終話感想
色々な意見やコメントを見てきましたが、私としては電車での雪菜が一番印象的でした。
雪菜の気持ちは今までの描写から伝わっていたので、私が気になっていたのは、卒業式で置き去りにされた雪菜をどうやって絡めていくのかという点でした。
ということで、改めて気持ちを知ったことよりも、雪菜がどんな気持ちで春希にこれまでの気持ちを話したのか、これを考えると本当にきつかったです。
そして、雪菜の気持ちを知らなかった春希がその事実を知った時の心境を考えると、さらに辛い気持ちになりました。

あとは空港のキスシーン、まぁ見せつけと解釈してもしゃーないというか、こういうところがこの作品合うかどうかの分かれ目だと思うんですよ。
このシーンを見て「何やってんの?」「ゴメン、笑ったww」という感じになるか、3人の気持ちを考えて複雑な思いを味わえるかに分かれると私は思います。
ここは帰ろうとした春希、「なんで来た」「ごめん雪菜」と言ったかずさという描写だけでも複雑な気持ちが伺えるし、それでもかずさと春希のお互いの気持ちが圧倒したことが分かるシーンでした。
二人も罪悪感があるけどやめられない、それを見る雪菜の気持ち、これらの大きすぎる感情の塊が押し寄せてきたシーンという感じでした。
こうなってしまうと思ったし、離れるのに最後まで辛い思いをしたくないと思った春希、離れるのに別れるのが辛くなるのが分かっているのに春希が空港に来たことに戸惑うかずさ。
せっかく愛し合った二人なのに別れなければならない、だからこそかずさが春希の部屋から出ていく時何もあいさつを交わさなかった、せめてもという感じでかずさは春希の制服のボタンを持っていったのではと私は思いました。

あとは後味の悪さについて。
確かに後味は良いとは言えませんが、最後も安易な展開にせずに、やってきたことを貫き通した印象だったし、今回はまだ序盤らしいですからね。
これから本番になるという印象も最終回を見て感しました。
それだけに、今後の展開に恐怖を感じてしまう最終回でもありました。


○小木曽雪菜2
{netabare}「一番悪いのは私。だから、かずさに謝らなくちゃならないの。それと、春希君にも。ごめんなさい。」
簡単に雪菜に起こったことをまとめてみます。
恋のライバルがいる中、先に告白して付き合うことになる。彼氏がそのライバル(親友)と浮気する。浮気した二人に謝ろうとする。
これだけだと何も雪菜は悪くない、いや、事情を含めても雪菜は何も悪くないんですよ。
それなのに、ていうか普通はどうやっても許せないようなことをされたのに謝ろうとしている。
それでも雪菜の気持ち、罪悪感が今までの描写から分かるし、だから謝ろうとしていることも分かる。
怒られて当然のはずなのにかばわれている春希の気持ちも分かるから…辛い…
さらには、かずさに謝ろうとした(かずさを見つけた時、一瞬表情が変わります)のに、あのキスを見てしまってそれも出来ない、かずさへの罪悪感以上に自分の悲しみが上回って泣いてしまう雪菜…

「あなたを好きにならなかった未来なんて絶対嫌。 良かった、そこだけは譲れなかったんだ。」
はっきり言って、私はWA2のどのシーンよりも、かずさの告白や空港のキスシーンよりもこれが一番辛くなったシーンでした。
『あの時~しなければ』、いよいよ雪菜の口からこの言葉が発せられたかと思いましたよ。
私もずっと思っていたことです。
どんどん妥協して妥協して、最終的には屋上で出会わなければとまで言ってしまう。
それは春希も否定しましたが、それは自分もだという少しだけ安心した声を雪菜は漏らしました。
さんざん気持ちがすれ違い続けてきた中、ようやく二人の気持ちが完全一致した瞬間でした。
WA2という物語を1シーンであらわし、まとめたようなシーンです。
ここで流れる『さよならのこと』の歌詞のマッチ具合がマジでやばい…
機会があったら一度歌詞をじっくり読んでみてください。
春希にさえ会わなければ辛くないのに、それでも辛くても春希と会わない、好きにならない未来は嫌という雪菜…そうだよなぁ…辛い…

「どうしてもあなたと恋人同士になりたかったから、じゃないんだよ。かずさほど真剣じゃなかったよ。」
ここもWA2の特徴ですよね。
100%嘘ではないけど、本心からは遠い言葉。
最初に聞いたときは嘘っぽいなぁ、本心ではなさそうだなぁとは思ってましたが…
春希とかずさのために自分を抑えて出した言葉、春希の罪悪感を少しでも軽減させるために出した言葉、それでも二人のキスを見て耐え切れずに泣いてしまう雪菜…辛い…{/netabare}


○主題歌歌詞
{netabare}恐らくネタバレになると思って、全話視聴するまでは歌詞を確認したり、じっくり歌を聴いたりしませんでした。
『届かない恋』
恐らく大きな意味を持っていたであろうと思っていた文化祭の3曲目の歌。
ぱっと歌詞を見た感じでは、春希がかずさへの気持ちをそのまま歌詞にしたという感じでした。
雪菜がこの歌の歌詞を見て表情が変わったのは、自分が好きである春希がかずさに前から、そして今なお惹かれているのを察したからでしょう。
さらに、その歌詞をかずさが一文字も変えなかったというのも、かずさが春希の気持ちを受け入れた印象でした。
ここまではまぁだいたいは予想してましたが、このフレーズで色々なことが見えてきました。
「ぼやけた答えが見え始めるまでは 今もこの恋は動き出せない」
かずさに惹かれてはいるが、相手の気持ちが分からなければ、自分の決心もつかない。
この歌は恋が始まっている上で届かない恋なのではなく、恋が始まってすらいない気持ちを表した歌という印象です。
だから雪菜は最終回で春希に言った。「かずさがあなたに想いを伝える前なら、絶対に勝てるって、知ってたんだよ。」
かずさが想いを伝えていない、春希の恋が動き出す前なら自分の気持ちを受け入れてくれるという感じで、この歌詞を見れば今までにもたくさんあった行動の裏付けがまた1つ分かります。
かずさが気付けと春希に言っても、もっとはっきりしていないと気付きようがない、逆にかずさが想いを打ち明けたことによって春希の恋が動き出してしまったんでしょうね。
「ずっと前から冬馬のこと好きだった」と言ったものの、まだ恋として動き始めてはいなかった。
本当に隅から隅まで描写に意味がある、作り込まれている作品だと改めて思いました。

『さよならのこと』
一番ラスト…君と出会わなければ辛くないのに
二番ラスト…君と出会わなければ辛くないのに
ラスト…君と出会わないなんてイヤだと気付いた冬
ちなみに電車のシーンで流れたのは一番下のラストの歌詞です。

『After All–綴る想い-』『closing』の歌詞もかずさの気持ちをあらわしていて、すごく心に響く歌詞です。{/netabare}


○これからが本番  ○友情≒恋愛 
{netabare}ゲームではここまでは序盤、これからが本編だと聞いてます。
そして、それは最終回の描写を見ても少し予想出来てしまうので…やはり今後が怖いです。
①今回表面上話が重くなったのは9話から
伏線があったり、裏では(とくにかずさが)辛い思いをしていることはありましたが、それでも旅行までは輝かしい青春ストーリーという感じでした。
今後はこういった青春パートはまずないと考えられること、いけないことをした罪悪感がまとわりついたまま物語が進むと考えると…
新キャラという救いももしかしたらあるかもしれませんが、今後さらに重くなるのは目に見えています。

②恋愛≒友情
WA2はこのバランスのもと成り立っていました。
だからこそ3人全員が辛い思いをしたというのはありましたが、そこまでドロドロした展開(彼氏の奪い合いや女同士の醜い争い)までは行ってなかったと思います。
しかし、最後の方ではドロドロになる予兆、そして『恋愛>友情』にバランスが偏ってきている印象を受けました。
・「雪菜と何回キスしたんだよ」
・携帯に出ようとする春希に対して、携帯を思いっきり手ではらう
・空港で雪菜の前でありながら春希とキスしてしまう
かずさは後半の行動でそういう印象を強く受けました。
今までずっと想ってきた春希に対する気持ち、さらには我慢して辛い思いをした分気持ちが爆発した感じです。
また、上2つに関しては自分だけ見て欲しい、ほかのことを考えさせないで欲しいというかずさの春希に対する独占的な気持ち、というよりは不安な気持ちが伺えます。

・空港でかずさと春希のキスを目の前で見ながらも、その後に春希のそばにいる雪菜
あれだけのことを見せられて、二人に謝らなければいけないと言っていた雪菜ですが、それでも春希の前からはいなくならないんですよね。
二人に謝らなければとは言ったものの、かずさに譲る、春希と別れるとは言ってないですよね。
最後のこのシーンによって雪菜の今の気持ちをあらわし、そして今後のさらなる重い展開を予感してしまいました。
なんというか、春希が今後どんな行動をしようが諦めないみたいな、ずっとそばにいようとするんじゃないかなと怖い予想をしてしまいました。{/netabare}{/netabare}


【最後に】
…放心状態になりました。
既にこれだけのストーリーを見せつけたのに、これからが本番だとこれまでの描写を見ても分かってしまったため、原作やりたかったのですがここにきて恐怖が期待と好奇心を上回ってしまいました。
原作ゲームに関しては、心の準備をした上で強い気持ちをもって挑みたいと思います。
話は結構重い感じですが、キャラの感情描写、変化、理由付けなどに関しては本当に素晴らしい。
この描写に関しては今までのアニメの中でもかなり上位、というか1位2位を争ってもおかしくないです。

脚本の丸戸さんは、アニメ脚本初めてらしいですが、見事というか、さすがという感じですね!
私、丸戸さんがシナリオやってるゲームやったことあるんですよ。
私はエロゲーを2つだけやったことがあります。
それがkeyのAirと丸戸さんシナリオの戯画のパルフェです。
パルフェのシナリオの丸戸さんということで、脚本のレベルの高さは納得でした。
これからも期待しているというか、WHITE ALBUM2はこれからが本番らしいので(末恐ろしい…)、というか全話見て確かにそうだと感じたので、今後の展開に期待大です。
そして来る日まで私は心と胃の強化に励みたいと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 60
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

【視聴中】PC版原作introductoryプレイヤーの視点で感想

本作はLeafより発売された丸戸史明の18禁PC恋愛アドベンチャーゲーム「WHITE ALBUM 2 ~introductry chapter~」を原作に制作された。
尚、ストーリーはPS3への移植のためにCERO Dに適うようリライトしたものを使用している(主にHシーンの削除)。
また、W.A.無印とはストーリー上の繋がりは希薄であり全く新しい作品と解釈しても差し支えない(作中で使用された楽曲は登場し、森川由綺のWHITE ALBUMや緒方理奈のSOUND OF DENTINY、2009年のアニメOPである深愛などがある)。
原作は音楽に大変、力を注いでおり、アニメでも同様。


あらすじ
{netabare}
舞台は2007年秋の東京都。峰城大付属3年生の北原春希は学園生時代最後の思い出を作るため軽音楽同好会へ加入するが、バンドは痴情のもつれから崩壊してしまった。学園祭のバンド発表を成功させるためメンバー集めを開始した春希は、屋上で歌っていた学園のアイドル小木曽雪菜を勧誘することに成功する。更に、クラスの問題児冬馬かずさがピアノの天才であったことが発覚し、彼女をメンバーに迎える。バラバラだった3人は一生懸命に打ち込んだ末に学園祭で大成功を修め、3人は心の底から結び合えた…と思っていた。しかし、この日からそれぞれの恋は残酷な悲劇へと走り出してしまう。
{/netabare}

感想

始めに
{netabare}
前作W.A.無印は、舞台を、「すれ違う恋人」というテーマのために、原作の設定1998年から更に10年戻して1988年の携帯電話普及前にしていた点や、伏線が張巡らされ、原作ではシュミレーションゲーム故、ストーリー上で関わりの無かったヒロインを全員上手く使って纏め上げた点、主題歌やサントロが歌謡曲調であったり、テロップが縦書きだったりと、作品全体の雰囲気を時代背景にあわせている点、主人公やヒロインの心理描写が細かく描写されて、特に主人公の心に思い浮かんだ事が、普通であれば視聴者向けの声で話すはずが、画面上に縦書きで浮かぶ点など、他作品に類を見ない特異な、作品に相応しい演出が大変好感で、原作もWin95向けだったが、購入しプレイした程の良作だった。

本作はそんなW.A.の続編(実際は新規だったが)ということで、端から期待していたのだが、この1話は予想外の出来映えで、特にEDに向けての下りの演出が素晴らしく、即日インターネットにて原作icの初回限定版を購入し、三晩18時間掛けてプレイした。

その為、アニメの20分×13話の5時間弱で私の18時間分を演出すことは不可能だろうと思う。色々と割愛する場面も多いことだろうが、何よりも「余韻」や、台詞と台詞の間隙から滲み出る雰囲気など、私の琴線に触れるのに大変影響を与えた要素が不可逆的に喪失されることが必至なのは残念である。

後にcc/codaをプレイして、icで心を痛めていたことが軽く感じられるほどの悲愴な感情に包まれた。雪菜派としては、雪菜への裏切りは勘弁して欲しい(笑)。
cc/codaはプレイするのに80時間掛かった。常人の倍の遅さであるが、じっくり楽しめた。
{/netabare}
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1話 OP「届かない恋'13」上原れな ED「WHITE ALBUM」小木曽雪菜
{netabare}
あらすじ

主人公は学年トップの成績を誇り、誰に対しても世話を焼いて、ウザがられつつも、いつの間にか周りに受け入れられて、いいように使われている優等生 北原春希。
友人の飯塚武也に誘われて夏休み前からバンドの練習に補欠として参加していたが、ボーカルに誘った女子が原因で軽音楽同好会は2人になってしまった。
学園祭が近づく中、昨年と一昨年実行委員であったこともあり、困った人間を放っておけない性分から実行委員の手伝いをしていた(実質影の実行委員長)。
毎年秘密裡に挙行されている学園のミスコンで二連覇を果たしているアイドルである小木曽雪菜が今年は出場を辞退したいと申し出、説得に動員されるもあっさり承諾し、彼女に好意的に思われ始める。
毎週火曜日の練習時には第一音楽室でギターの練習をしており、会った事は無いが、いつの間にか自分の拙いギターの演奏に付き合ってくれる良い相手 第二音楽室(第一音楽室に隣接)の音楽科とのハーモーニーを楽しんでいた。同好会が破綻し、高校生活の思い出にWHITE ALBUMを演奏していると、屋上から豊かな音色を奏でるヴォーカルの声が聞こえて来て、急いで向かうと、そこにいたのは雪菜であった。

感想

作画も良好で、序盤に、後の学園祭での演奏の様子や最終展開を思わせる空港での描写などが恣意的に挿入されており、良い演出である。学園祭でのライブの様子から、視聴者に雪菜とかずさがヒロインであることを印象付け、今後の展開に注目するように促している。1話の展開から春希の性格や難点なども随所に伺え、彼の他人を差別しない姿勢や観察眼がヒロイン達に与えた影響などを思わせる場面もある。
今回はまだこの3人の接点は分からないが、今後学園祭のライブに向けて彼らの物語は始まる。
すべては放課後のWHITE ALBUMを歌う雪菜との邂逅に始まるのだ。私はあのEDへの導入シーンが大好きで3回も観てしまった。そして原作の購入を決意した。
原作をプレイしてみると、OPの「届かない恋」は、やはりオリジナルの方が良いと思う。

原作をプレイして改めて1話を視聴すると、言葉使いの違いや、春希、雪菜の性格が若干柔らかくなったような感じが見受けられた。原作には無かった、雪菜が実行委員の仕事を手伝う場面には、春希が雪菜をアイドルとしての小木曽雪菜ではなく、一個の女子生徒として扱っているという隠喩が含まれている。それにしても、キャラクターが動くのは良い。
雪菜の一挙手一投足が愛らしい。(*´ー`*)
{/netabare}
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2話 OP「届かない恋'13」上原れな ED「closing'13」上原れな
{netabare}
あらすじ

屋上で優美に熱唱する雪菜を目の当たりにした春希は、一瞬躊躇うも、彼女を軽音楽同好会に誘う。雪菜は一晩掛けて悩み、翌日、階段下に春希を呼び出し、協力できない旨を詫びた。
春希は切り札として、雪菜のバイト先のスーパーに赴き(これは1話で、依緒と会話していた後ろに、伏線として、バイト中の雪菜がいる)、雪菜を説得しようとするも、普段は見せない彼女のあどけなさから、弱みに付け込む卑怯な手段を断念する。
去り際に、彼女に一時間猶予を欲しいと頼まれ、その後、雪菜の趣味がヒトカラだったということを知る。雪菜は自分の秘密を全て春希に打ち明かし、軽音楽同好会への加入と、ミスコンへの参加を表明した。春希は翌日、武也に雪菜を紹介する折、ピアノ担当が未勧誘であったことに気付き、第二音楽室の音楽科と接触しようとするも、上手く行かなかった。久しぶりにピアノの音色が聞こえてきたことを好機に、窓越しに教室に侵入しようとして、誤って落下しそうになり、演奏者に助けてもらったのだが、彼女は隣席の少女、冬馬かずさだった。

感想

此処まで徹底的にかずさの存在を隠すという手法は、大変興味深く、視聴者に驚きを与えたのではないだろうか。原作では、此処に至るまでに、朝や放課後の教室で、かずさと若干会話したりしていて、そちらを割愛されるもの忍びないが、尺の関係上致し方ない。雪菜の説得に関しては、やはり、公園での会話の割愛が目立つが、最初に勧誘を断るときの、雪菜の「わたしなんかにやれるのか、今のわたしがやっていいのか、そもそも、わたしはやりたいのか」という台詞の割愛は残念である。
カラオケでの一人で5曲入れて顰蹙を買った話や、沢山歌わなければ損だという会話も捨てがたい。
雪菜が公園で春希を誘うときの「大丈夫だよ。今度こそ」という台詞には、やはり重みが感じられた。
カラオケボックスでの雪菜は、歌を歌うのが大好きという自分の本質を、高校に入って初めて他人に伝えたという点で、春希を特別視していることが伺える。
恋人へのステップとして、秘密の共有は大変有効な手段だ。
EDに「closing」を使う意図は何だろうか。これはcodaのかずさTルートのEDなんだが、かずさ絡みという事だろうか。
{/netabare}
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3話 OP「届かない恋'13」上原れな ED「さよならのこと」上原れな
{netabare}
あらすじ

春希は、かずさの勧誘について武也と話す。武也はかずさの情報を多く持ち、彼女に対し、良い感情は持ち合わせないが、春希は夏休みにギターの練習に付き合ってもらったことを想起し、反論する。春希はかずさを説得する為に、第二音楽室でかずさと会話するも、同好会の勧誘をするはずが、かずさの進路についての説教をし始め、かずさの逆鱗に触れ、音楽室から追い出されてしまう。雪菜にピアノ担当が未勧誘であること、いつものピアノがかずさであることを打ち明ける。雪菜がかずさは如何なる人物か伺う為にE組の入り口に居ると、かずさに遭遇してしまう。雪菜は放課後、かずさを誘い喫茶店でお茶をする。そこで、かずさの重要な弱みを握り、休日に3人で雪菜の家に行くことになる。雪菜は2人に夕飯を振る舞い、今後について話し合うとするも、小木曽家の母と弟に介入され、挙句、父に学園祭について詳細に説明するよう求められ、話し合いどころではなくなってしまう。かずさは雪菜の予想外の人物像に驚き、父親の説得を条件に同好会への加入を承認する。

感想

かずさと雪菜の邂逅は、原作ではこの第二音楽室での一件の直後である。また、春希が雪菜にかずさの事を話して、雪菜が少々拗ねる場面や、彼が、かずさの説得を雪菜に頼む場面、雪菜とかずさの会話の大部分、雪菜の春希への報告など、雪菜の小悪魔的要素が絡んだ会話が殆ど割愛されている。
このかずさの説得に関する雪菜の圧倒的な力量を披露する機会が失われたことや、小木曽家における3人の会話の割愛は、個人的には大変残念である。かずさの説得に現実味が甚だ乏しく、性急感が否めない。
雪菜の申し入れを渋々承諾するかずさにはツンデレ的可愛さが見え始めた。
今回、一番驚愕した点は、雪菜とかずさの邂逅の際、雪菜がかずさと身体のプロポーションを張り合う場面で、私の雪菜像には反する由々しい演出だと感じた。何か、目に見えてあざといのが何とも・・・(雪菜がライバル登場に戸惑う様子を如実に演出するには尺の関係上仕方ないが・・・)
雪菜の可愛いエプロン姿が見られたのは大変喜ばしい演出だった。こういうのはアニメならではである。
雪菜の部屋で、後々の伏線として、「友人を呼ぶのは3年振り」であることや、コルクボード上の写真で、一部の人物がキーホルダーで隠されていたりという演出は良い。
今回、雪菜の重い言葉「どうしてこうなっちゃうかなぁ」が初登場した。最後の雪菜のメールでの〆は良かった。余韻が残る。アニメオリジナルEDも良曲。
前話に増して、性急感が否めない回だった。やはり当然ながら原作には敵わない。欲を言って2クールで制作して欲しかった。
{/netabare}
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W.A.2は、1998年に発売した浮気恋愛シュミレーションゲームWHITE ALBUMの寂寥感や空虚感、遣る瀬無さといった負の心情に包まれつつ感動的なストーリーを展開するというスタンスをシナリオライターが、如才なく遺憾なく発揮した名作である。「痛気持ちよさ」を味わえる傑作だ。
主人公と大変魅力的なヒロイン二人の非常に切ない三角関係がシビアに描かれており、原作は琴線に触れる内容で涙してしまう程だ。
私は序章である~introductry chapter~と終章の~closing chapter~、{netabare}~coda~{/netabare}をプレイしたが、悲愴感、空虚感、寂寥感などの遣る瀬無い感情に胃を錐揉みされつつ、今までに類を見ない歓喜、感慨を覚えることが出来た。純愛、悲愴な三角関係が好きな人にはお勧めである。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 29
ネタバレ

TEE-PURPLE さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

何気ない放課後…「歌」で出会った三人…出会い方が悪いのか出会ってからが悪かったのかどうしてこうなったのだろういつから壊れたのだろう…届かない恋…終わらない恋…終われない恋

[傾向・特徴]
・恋愛(学園)
・三角関係
・文化祭
・丸戸史明さんの神シナリオ
・話の展開が重い
・初恋
・友達
・ゲーム原作


 テーマは 「初恋」「三角関係」「届かない恋」の三つを挙げます。
 コメディー要素は無く、恋愛メインの話です。学園だと思っていると、かなり話が濃くて重いです。初々しくも大人の恋のような仕上がりです。胃がキリキリするとはこういったことだと痛感できるシナリオです。ラブコメに飽きて、ちゃんとした恋愛を観たいという方にオススメします。
 私としても恋愛のジャンルならトップクラスだと思うので太鼓判押してもいい作品だと思います。


考察{netabare}

人物の心理描写、行動、表情など人としての全てに注目するべき作品であった。

文化祭とはまずどうイメージできるだろう…。一般的に学生としては一番盛り上がり皆で一致団結し、最高の思い出づくりのイベントである。私もそう思っている。それで正解で間違いないだろう、ここに偽りはないと思う。
このWHITE ALBUM2の世界ではどうだろう…。答えは上記と変わらない一般的には。あくまで「一般の生徒」達には…。

しかしこの物語の主役三人には違っていた…。いやあながち間違っていない。文化祭らしく三人は音楽を練習し、ステージでは大成功し、最高の思い出になっただろう。
だが、同時に、

築かれた関係が壊れ、噛み合っていた歯車が噛み合わなくなった。

この作品では文化祭=崩壊の始まりを意味している…。このシナリオだけでも興味をそそられるものがあり、面白い設定になっていると思う。
どうして三年の卒業の学年で出会ってしまったのだろうか…。もう少し早く出会っていれば…早まらなければ…出会い方が違っていれば…
と。考えだしたらキリがないようになるのもこのシナリオの考えさせられる所であると私は思う。
それを踏まえた上で考察を始めさせてもらう。

初恋とは人間誰しも経験するものであり、のちのちいい思い出となり笑い話になるものである。普通初恋とは「初めての恋」を連想する。しかしこの作品では、「初めての"真剣"な恋」と定義することにする。
今回、学生ではありえないような真剣な恋が展開されていた。まるで制服を着て昼ドラを見ているようなもの。
そうあまりにも恋に真剣すぎた。重い。これから予想されるもの…いわゆるバットエンドしか見えてこない。
だが、この作品はそれが売りだと私は思っている。

嫉妬とはあまりいい表現ではない。今作でもそうだ。しかし、私には恋をする女の子の描写としては当たり前であり素晴らしく人間らしい感情だと思っている。むしろ嫉妬しないということは"恋"をしていないのだろう…。

小木曽雪菜がそうだ。彼女は、ヒロインである。だが、この学生編13話(ゲームでは"introductory chapter(序章)"編)での主人公であるとも言える。届かない恋と分かっていながら二人の間に割って入ろうとする…今の関係を壊させないようにするが故に失敗した主人公。そして悲劇のヒロインである。

どんな絡みだとしても、出会って過ごした時間がやはり違ったのだ。コツコツ積み上げてきた関係が大きな地盤となり立ちはだかることにより、もう崩すことのできない砦となっていたのである。
その時点で小木曽雪菜は負けていた。だが、彼女も春希に惹かれていったことにより、叶わない恋だとしても今の関係を崩したくない。そこで恋人となり親友となることにした。彼女自身も言っていたがズルい女だった。
でも、私も同じ立場にいたらきっと同じことをするであろう。

さて、親友とはなんだろうか。互いに心を許し合い一緒にいて心地いい存在である。…ここで引っかかることがあるのにお気づきだろうか。

心を許しあう=本音を隠さずさらけだす

…彼女は自分の気持ちを春希には伝える前に行動で無理やり縛っておきながら、かずさに最初に本音を吐いた。
これを機にかずさと本当の親友になれた。しかし、恋が実らないとわかった瞬間でもあった。やはり、雪菜は悲劇のヒロインであった。救われない。

どうしてこうなっちゃったんだろう…。
屋上で春希に出会わなかったら…。

どうしてこうなっちゃったんだろう…。
文化祭の後、焦らなかったら…。

どうしてこうなっちゃったんだろう…。

小木曽雪菜はここで負けが決まっていた。この恋が本物だと気づいた時は、終わりだと気づいたときと同じだった。
報われない主人公の届かない恋だった。


では、冬馬かずさはどうだろうか。彼女は真のヒロインだ。しかし彼女も報われない…最後の最後まで…。気づくのが遅すぎた。気づいてもらえるのが遅すぎた。気持ちを伝えるのが遅すぎた。伝えられるのが遅すぎた。
これが恋だと気づくに戸惑う気持ちはわかる。なんせ初めての感覚なのでどうしていいのかわからない。彼女は不器用だ。自分を出すのが苦手でいつも無愛想な態度をとっていた。それが最後まで糸をひいた為にこういった結果となった。
春希と気持ちが通じ合ったもののやっぱり遅かった。叶わない恋だった。彼女も形式上は負けなのである。


そして最後の人物、北原春希だ。彼は二人の間で揺れて優柔不断だと思ってしまうが、実は"真面目すぎる"だけなのだと思う。言動や行動を観ていたらわかったと思うが、自分が納得いかないと済まない男だ。いわゆる論理的な堅物なのである。
そんな彼が、初恋をしたらどうなるだろうか。自分の気持ちに正直になれない彼はついつい優柔不断な態度をとってしまう。

「ずっとこのまま三人でいれればいいな」

考えた結果が、雪菜と同じこの感じとなった。だが、彼女と違うところは、どちらにもいけるポジションにいる所である。かずさを諦めても雪菜がいる。雪菜を諦めてもかずさがいるといった、短絡的だがどちらにも優位な立場である。
非常にズルい男である。どちらにも思わせぶりな態度で接して二人を惑わせる…。男としてはこうなるのは致し方ない。

しかし、その結果二人を"傷つける"ことになった。
最後の空港でかずさに駆け寄って抱きしめるシーンがその末路である。
雪菜は、恋だと知った途端…失恋。
かずさは、想いは叶ったが親友を裏切ることになる。

そう、これが終着点である。バットエンド。どこから間違っていたのかわからない。どこが合っていたのかもわからない。どういう結果になりたかったのかもわからない。
三人の思惑が交錯した瞬間だった。
そして"届かない恋"が始まった瞬間であり、終わった瞬間でもあった。


これだけ書き殴れるほどの描写が多く非常に考えさせられた。いやまだ書き足りないほどである。人間が恋をする過程で現れる描写を沢山詰め込んだ作品であると私は思う。非常に人間らしい物語であった。
描写に関する綺麗なところ、汚いところを垣間見ることになり、人間って(心があって色々考えたりできること)素晴らしいと思った。

この作品で、恋愛についての考えが変わったし、アニメへの期待も一層高まった気がする。なにより自分自身が成長できたと思う。原作では序章段階、車なら暖気運転であるというのだからびっくりである。底がしれないシナリオを手がけた丸戸史明さんには脱帽である。これからも注目していきたいと思う。
これで考察は最後となる。私の都合勝手で書きなぐったものを読んでいただけて共感していただければ幸いだ。書いてよかったと思う。
長文になり申し訳ありません。
(自分でもびっくり 笑)
{/netabare}

感想{netabare}

原作プレイ済みですが、非常によくできていたと思います。
ちょっとアレンジ入ってたりしてプチ感動~。
あの話のままで動いたー!!てな感じです♪

さて、内容ですが私は、こんな恋は一生忘れることがない思い出になると思いますが、実際にやりたくないような話でした…。あくまで第三者だからいいんですよね…。
高校生でこのドロドロ恋愛で更に三角関係は辛いだろうなぁと感じながら観てました。でもだからバットエンドが際立って目立つんでしょうね。初めからそうなるように考えられていた感じでした。でも面白いんですよねぇ(*゚▽゚*)

主題歌の「届かない恋」が2013年用にアレンジされてて感動しながら、毎回オープニングでWHITE ALBUM2の世界に入り込めることができました。いやぁいい曲ですね♪
内容を把握してから歌詞を考えると、結構エグい歌詞ですが…。

これほどの神シナリオのアニメやゲームは今までありませんし、今後も中々出てこないと思います。気に入って人がひとりでも増えてくれたならいいなぁと思います。
この作品がもっと評価されることを願う今日この頃。

私はかずさ派です♪
{/netabare}

二期を2クールで希望します!

投稿 : 2024/11/02
♥ : 46

86.4 6 切ないで感動なアニメランキング6位
東京マグニチュード8.0(TVアニメ動画)

2009年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (2698)
13851人が棚に入れました
中学1年生の小野沢未来は弟の悠貴のお守りとして一緒に東京のお台場へロボット展を見に来ていた。その最中、東京にM8.0の海溝型大地震が発生、連絡橋は崩壊し、東京タワーが倒壊するなど、東京は大きな被害を受ける。
未来と悠貴はお台場で出会ったバイク便ライダー日下部真理の力を借りて世田谷の自宅へ帰ろうとする。

声優・キャラクター
花村怜美、小林由美子、甲斐田裕子、喜多村英梨、豊崎愛生、高平成美、遠藤綾、沢城みゆき、野中藍、中博史、井上喜久子、滝川クリステル
ネタバレ

fuushin さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

長尺の目と、fuushinの妄想、もう、よそう。2018.12.5 追記。

本作のレビューからズレてしまうことをお許しください。

{netabare}
先日の大阪の地震は、愛知県では震度4でした。
私は職場にいて、「あ、ついに来た!」と身構えました。
熊本地震、東日本大震災、阪神淡路大震災の実情。
桜島、霧島連山、御嶽山、草津白根山などの噴火の記憶も生々しい。

しかし、私の知識はほぼほぼ中学生レベルで止まっています。
高校で、地学を取りましたが記憶するばっかりで、実学には結びついていません。

本作では、地震学者から見ると、待望の啓蒙作品でもあるし、危機管理と対策の教本的なものなのかもしれません。

マグニチュードという言葉を調べていて、ちょっと理解が進んだのですが、先日の大阪の地震はM6.1でした。震源地は地下13㎞です。

これは、広島に投下された原爆(20キロトン)の放出エネルギーと同じです。地下13㎞のエネルギーは、地表ではあの爆発規模になるのですね。

ちなみに、東日本大震災(M9.0)は、関東大震災の約50倍、阪神・淡路大震災の約1400倍です。

(ここまでは、「日本の地下で何が起きているのか」(鎌田浩毅氏著。岩波科学ライブラリー。2017.10.18)より一部引用。)

さて、私はザックを担いで鈴鹿、比叡、伊吹山などから琵琶湖を眺めるのが好きで、その大きさに感銘を受けるのですが、同じように、北、中央、南アルプスを縦走するのも好きです。雄大な山並みや巨大な山塊には地球のパワーに圧倒されます。
体力的には2泊3日が限界ですので、そうそう長い距離は歩けませんが、見るだけなら、160㎞くらいは(富士山から槍ヶ岳)。思いを馳せるだけなら、九州・北海道の山も・・見て見たい。

それで、南海トラフの距離は、東西約700㎞と、全く私の想像を超えます。ここが動くかも・・・ということですね。


ここから先は、fuushinの虚妄です。はい。

本作を観た後のレビューとして適切ではないかもしれません。
いつものようにちょっぴり、スピリチャルっぽく書いていますので、お好みでない方はスルーしてくださいね。
 
私は、「君の名は。」や「かぐや姫の物語」などで、いささか異質なレビューを書いていますが、その視点は、縁の不思議さや魂の錬磨といったたぐいのものです。そして、そのアプローチには、言霊、数霊、シンクロニシティといったたぐいの概念を使っています。

前振りした地震についての妄想なのですが、今、こう思います。

ひとつは、ジュセリーノ・ダ・ルース氏の「予言」です。ネットでは「怪情報」としての扱いです。まあ、そうでしょう。

2018年6月21日。(夏至ですね。陽の極点です)

明日ですが、東海地震の発生を「予言」しています。本当かどうかは分かりませんが、この人の予言は結構な確率で「的中」させているので、個人的には全否定はしていません。もちろん当たらないことを祈りますが。

マグニチュードは、10.6。 東日本大震災が9.0でしたから、放出されるエネルギーは、数100倍(詳しくないのでごめんなさい)。

日本地震学会では、「中央防災会議での「現状では東海地震の確度の高い予測は困難」との議論もあり、より範囲の広い南海トラフ地震の想定震源域全体(駿河湾〜宮崎沖)を対象とした「南海トラフ地震に関連する情報」の運用が平成29年11月1日から始まりました。」と述べ、ホームページの「東海地震に関する項目」はすべて「改定中」になっています。つまり、学会としては見解を出してはいません。

これを受け、気象庁は「当面の間、気象庁は「南海トラフ地震に関連する情報」を発表することとしました。この情報は、平成29年11月1日から運用を開始しました。」としています。

ちまたの官民合わせた情報においても、「いつ起きても不思議ではない」となっています。そういういろんな科学的な知見、防災予防、啓蒙に機運がかつてなく高まってきてはいます。そう思うと、私は、ジュセリーノ氏の予言もあながち間違いではなく、当たらなければいいわけで、当たれば困る・・・ということです。


それで、fuushinの思いとしてはこうです。

日本を、龍体と見立てたとき、琵琶湖は「子宮」、淀川は「産道」になります。震源地はその付近でした。それは陣痛?何かが生みだされる?それは何?

琵琶湖には、竹生島があり、都久夫須麻神社(つくぶすまじんじゃ、竹生島神社)が坐しています。
主祭神は、市杵島姫命(イチキシマヒメ)。
天照大神の子で、皇孫(こうそん)邇邇芸命(ににぎのみこと)が降臨に際し、養育係として付き添い、邇邇芸命を立派に生育させたことから、子守の神さま、子供の守護神として、崇敬されている」との謂れがあります。
女性の人格を持った神様ですね。
仏教(4次元界)になると、弁財天です。日本最古・最初の弁財天で、日本三大弁財天とも言われています。江島神社(神奈川県 江の島)・厳島神社(広島県 厳島)

女性・子宝・生産の象意をもつ神仏の働きを予感させます。

また、『近江国風土記』には、夷服岳(伊吹山)の多多美比古命が姪にあたる浅井岳(金糞岳)の浅井姫命と高さ比べをし、負けた多多美比古命が怒って浅井姫命の首を斬ったところ、湖に落ちた首が竹生島になったという記述があって、ここにも"夷"の文字がありました。
(今季、春アニメには、この"夷"に纏わる作品がちっくと多いような・・・。ちなみに、夷→エビス→外国人→外来の知見(特に農業生産技術)→尊敬・崇敬→神社の主祭神という流れがあります。また、夷=戎≒十戒=モーセの十戒ですね。伊吹山の隠された主祭神はどなたかしら、なんてね。)



プールの壁が崩れたのは、"寿栄小学校"。
被害にあわれたのは9歳の女の子。

この小学校の校章は"六芒星"を彷彿とさせます。(一般的にも校章に6角形を取り入れたデザインは多いのですが)
六芒星は、伊勢神宮、元伊勢とも呼ばれる籠神社(京都府宮津市)の隠された印章です。一説には「ダビデマーク」とも言われています。
ダビデは、約3000年前にイスラエル王国の王となり、12部族をまとめたと言われています(旧約聖書)。

寿栄という言葉は、歴史的には地元の寿町と栄町の両方の名前を使ったものなので、それだけをみると深い意味はありません。しかし、非常に印象的な言霊の響き(ことほぎ、さかえる)です。

9は数霊では「尊いもの・人間」を意味します。
女の子は「社会的な弱者」の暗喩になるでしょう。
壁は、「重い何かが覆いかぶさっている」「出るに出られない状態=どうにかして間もなく出てくる」という意味かもしれません。

これらを、シンクロニシティしてみると、日本で、あるいは世界情勢に、なにか大きくて尊いものが現れる前兆、狼煙(のろし)のような、加えて、南海トラフ地震への直前の警鐘のようにも感じるのです。



・・・はい、そうです。ただの妄想です。もちろん大きな地震は起こらないにこしたことはありません。ただ、科学的には「いつ起きても、明日起きても不思議ではない」という評価もあるので、ちょっと気になっただけなんです。

それをどう捉え、どう乗りこえるのか。
魂をどう磨くのか。どう守るのか。
自助、共助、公助にどんな知恵を働かすのか。
当面のポイントはここのような気がしています。

不快な気持ちにさせてしまったら、本当にごめんなさい。
{/netabare}

本作を鑑賞して、ふと、要らないことを書いてしまいました。

2018.6.22追記。
{netabare}
今日から、予言は予言でなくなりました。ただ、ホッとしていいのかどうかは一概には言えなくて、これで安心して眠れるという訳にもいきません。まんじりともしない気分です。
例えれば、今日から"毎日が8月31日"のような気分です。ごめんなさい、告白します。学校なんてなくなっちゃえばいいって、何度も思ってました。懺悔します。本作の主人公と同じです。
 
ものの本によると、"正しく怖がりましょう"と書いてありました。
地域ごとで言い伝えられている伝承とか史跡とかは、激甚災害から生き延びてきた先人たちのしたたかな知の財産ですし、最新の科学(プレートテクトニクス理論からプルームテクトニクス理論へ)もまた、未来につなげられる知の財産のひとつだと思います。

プレートが4つもひしめき合っている地域は、日本、インドネシアとその周辺、コロンビアとその周辺くらいです。
この地域は、文学的に言えば、地球規模の"ムスビとすれ違い"のもっとも激しい場所。
大地と海洋の感情と情動を、敏感に感じ取って生きている地球人の一人として、こうした国々とネットワークを組み、世界一の災害強国としての知性と見識、行動と体制作りなどを共有して70億人の人々に還元できるようになるといいですね。

長尺の目で、100年、500年、1000年、1万年というスパンで、自分と周りの人たちの命も同様に、慈愛で視る目を持ち、率先避難者(逃げるが勝ち)になろうと思います。
そうして何があっても、生き延びねばと思います。サッカーならいいけど、戦争や紛争なんてしている場合じゃないな。

そういう意味でも、本作の魅力を発信し続けていくことは大事ですね。先輩レビュアーさんの感想を読んでそう思いました。感謝しかありません。
{/netabare}

2018.12.5 追記。
{netabare}
またぞろ、こんなことを書いて不謹慎なこととは重々承知しています。
おバカな fuushinの妄想かと笑い飛ばしていただければと思います。

ジュセリーノ氏ほか、直近の地震の予言をなさっています。
12月7日、9日です。9日が本震で、マグニチュードが8.5と言う人もいるようです。
書籍、ネットにも記されています。関心のある方はご覧になってみてください。
ないにこしたことはありませんが、準備だけはしっかりとしておきたいと思います。
{/netabare}

長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

本作が、みなに愛されますように。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 28
ネタバレ

disaruto さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

後悔、先に立たず。

制作はボンズ×キネマシトラスのオリジナルアニメです。
ジャンルはリアル地震シミュレーション・ヒューマンドラマです。
ノイタミナ作品になります。


中学一年生の少女・小野沢未来を主人公とし、M8.0の直下地震に襲われた東京を舞台に描かれる作品。
未来は弟の悠貴とともに、お台場のロボット展へと来ていた。
名門私立に通う彼女はどこか厭世観を持っており、鬱屈とした感情を抱えていた。
それを晴らすためか「こんな世界、壊れちゃえばいいのに。」とインターネットに描き込んだ、その時…。


東日本大震災の発生で一際注目され、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門において優秀賞を受賞している作品。
ノイタミナ作品の中でも、かなりの社会派に分類されます。
こういった題材の作品ですので、いつになく真剣に書きます。


前半は地震に対する恐怖と三助(自助・共助・公助)・それにまつわる人間ドラマについて描き、後半は未来が{netabare}PTSDとなって悠貴の存在の大切さに気づき、心理的に{/netabare}成長する姿を描きます。
流石に地震のみを題材に作品を作ると重すぎるし、尺も取れないから人間ドラマを主体にした構成としたのでしょう。
全11話ですが、正直8話くらいでも上手くまとめられた内容かとは思いますがね。


本作における“リアリティ”は“地震”という現象の捉え方や初動時の対応、一般人の描き方にあるかと思います。
この面における過剰描写はほぼなく、すっと物語に入り込めました。
建物崩壊の描写は、多分見たらゾッとすると思いますよ。
やたら性悪な人物とかが出てくると冷めてしまいますけど、そこの塩梅も上手かったですね。
もちろんフィクションなので扇動的な描写もありますけど、許容範囲かと。


逆に主要人物たちの心情描写は雑に感じる場面も多かったです。
主人公の未来は捻くれた性格という設定ですが、それを引っ張りすぎている感はあります。
最終的に改心させて、視聴者を泣かせる意図が最初から透けて見えてしまったのは少々残念なところ。
また、姉弟とともに行動した日下部真理。
正直、なぜ姉弟と一緒に行動したのか終始分からず。
劇中で触れられていますが、幼い娘がいるならばそちらを優先すると思いますが…。

また、どの建物もほぼ半壊以上というのはやりすぎではないかとも思いました。
世田谷区は密集住宅地ですのでまだ分かるのですが、都心三区の一つである港区はそこまで軟な耐震基準じゃないはず。
地震描写に関しては、ここだけ納得できなかったです。




以下ではネタバレありで、細かい部分について詳しく書きます。

○終盤における“あの演出”
{netabare}見た人の中で多分最も賛否両論となるのが、“実は終盤の悠貴が幽霊だった”という事でしょう。
最初に書きますが、私自身この設定には否定的です。

本作は“リアル地震シミュレーション”という触れ込みで制作されています。
リアリティを重視しているはずなのにファンタジーを入れてしまったら、それはもう何だか分からないシロモノになってしまいます。
人間ドラマを主眼とし、終盤の盛り上がりのための設定だと思いますが、もう少し上手く出来なかったかなと。
後述しますが、幽霊で通すならば細かいところまで描写してほしかったですね。

でも最終回は上手く泣かせに来ていますね。
幽霊だから、ちょっと「あの花」と被りましたけど、こっちの方が上手かったような気もします。
まあ “質の良い涙”ではないですから、何とも。{/netabare}



○“影”について(「妄想代理人」の第8話、「明るい家族計画」のネタバレも含みます)
{netabare}細かいところだと思いますが、私は“影”が気になりました。
正直、8話時点で悠貴が死んでいるのは読めましたので、類似していた「妄想代理人」を思い出して“影”を見ていました。
8話から10話までは実は普通に影がありますが、11話だけ悠貴自身の影がないです。
「妄想代理人」では死んでから自身の影は完全に消していたので、ここは是非とも統一してほしかったところ。
8話から10話は演出次第で上手く誤魔化せると思いますしね。

同じような論点ですけど、悠貴が物体に触れていない点は良かったと思います。
彼は幽霊として出てきてからは何も触れていませんから。{/netabare}



○ “性格”と“思慮分別”
{netabare}ここについては思う人も多いのではないでしょうか?

まず主人公の性格。
キツくて、合わない視聴者も多いのでは。
ここに関しては合う合わないの問題なので追及はしませんが、前述の通り、体の良い主人公像に見えてしまう部分もあります。
設定自体はそれでも構わないですが、経過の部分をもっと大切に描いてほしかったかな。

続いて“思慮分別”。
ロボットオタクの少年が出てきますが、彼は別に登場させる必要がなかったと思うのですが…。
ロボットを救うために自分が崩壊しそうな場所に立ち入るっていうのは、いくら中一だからって“危なすぎる行為”だと分かりそうですけど。
彼の登場が以降のエピソードに影響しているわけでもないので、ここに関しては無駄と感じてしまいました。
悠貴がロボットを追うというのならば、まだ分かりますがね。{/netabare}



○9話の真理に関する演出
{netabare}具体的に言えば、真理が小学校で娘・義母?の遺体と対面する場面です。
布で顔が隠れているわけですけど、同じ地域に、同じ年齢構成の、同じ髪型の女性二人が生活し、それが死亡する確率はいったいどれだけのものでしょう?
気が動転していて勘違いしていたでは済まされない部分だと私は感じてしまいました。
この後、娘・義母ともに生きていることが分かるわけですけど、ちょっと無理がある演出だと思います。
感動の気持ちがサーっと引いてしまった。{/netabare}



総括して、確かに悲しくて泣ける作品です。
防災に対する啓蒙作品としても優れています。
私自身、心情的には惹かれる部分も多々ありましたが、論理的には納得のできない部分も同様にありました。

でも本作を駄作・凡作とは露ほども思いませんし、「一度は見ておいてよかった」とも思います。
地震について考えてみたい方は、一度ご覧になってはいかがでしょうか?
家族で見れば、防災について考える良いきっかけにもなるかと。

点数の割に酷評気味な書き方ですが、いろいろ思うところがあったからです。
本作自体に興味がなかったら、こんなに長文を書きませんからね。
それでは、長文失礼しました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 51
ネタバレ

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

東京で大きな地震が発生。そして家族のかけがえのなさに気が付いた…。

この作品は、観るかどうかとても迷いました。

震災の恐ろしさや悲しさ…
そんなやるせなさの中に自ら飛び込む勇気が持てなかったからです。

自分たちの身にもいつか…
なんてことを考えてもどうしようもないし、

もしもの時のために備えをしても、
どれだけ覚悟をしたとしても、

「よし、これでいつ大きな地震が来ても大丈夫!」
なんて言える日は絶対に来ない。


幼い頃、阪神淡路大震災を体験しました。

あらゆる記憶がはっきりとしていないほど幼かったのですが、
それでも地震発生時の事は今でもはっきりと、鮮明に覚えています。

体験したことのない激しい揺れ。
横並びで寝ていた私と妹の上に覆いかぶさりながら、何かを叫んでいる母。
起き上がることも何もできず、
ただ揺れが収まることを待つことしかできなかった時間。

そして揺れが収まった後に見た、家の中の有様。
高速道路の下敷きになって死んだ近所の人の話。
水道が復旧するまで、地下水を汲みに行くのは私の仕事だったこと。

幸いにも大きな被害のない地域でしたが、
あの時感じた揺れと恐怖、非日常な日々は、はっきりと私の中に残っています。

その記憶で十分…
今さら、わざわざ怖いものを観なくても…。
そんな迷いがありました。

だけど観終わった今、
この作品を観てよかったと思っています。

そして、たくさんの人に知ってもらいたい作品だと思いました。

全11話です。


● ストーリー
未来の事なんてわからない。

共働きで忙しくしていて、
口を開けば小言ばかりの両親。

家族、自己中心的な人たち…
いろんなことにイライラが募る日々。

夏休み、弟の悠貴(ゆうき)に付き添って、
お台場のロボット展にやってきた小野沢未来(おのざわ みらい)。

「いっそのこと、こんな世界、壊れちゃえばいいのに。」
何気なくそうつぶやいた瞬間、その地震はやってきた。


東京を襲ったマグニチュード8.0の地震。

これは、
大きな震災を体験したことがない人ほど見てほしい作品です。

そしてこんな現実に、
いつか直面するかもしれないイメージを持っておくべきだと思います。

この作品で描かれていることは、
決して大げさなことではないから。

むしろ現実はもっとひどいと思うから。


主人公の未来が常にイライラしていて、

元気づけようとしてくれる悠貴にさえ当たり散らすのは、
観ていて気分がよくありませんが、

そこに目をつぶることができれば、
ストーリーの構成は素晴らしい。

地震発生、
お台場から世田谷の自宅へ歩いて戻る道中、
家族の安否に募る不安、
そして自宅に到着…。

こういうアニメを、本気で作ろうとする意欲が素晴らしい。
国家認定のアニメにするべきだ!

11話 {netabare} 家族との再会と、悠貴の死と、悲しさを乗り越えようとする未来の姿 {/netabare}には大泣きでした(´;ω;`)


● キャラクター
中学1年生の女の子、未来。

いろんなことに不安が募って、
毎日がイライラ。

それは等身大な中学生の姿だと思います。

だけど、ちょっと性格が歪んているのが難点。笑

弟の悠貴(小学3年生)は、
とてもいい子なのにな…。

だけど、この震災を通して、
一番心が成長するのは彼女です。

観ていてイライラする子ではありますが、
この作品の主人公としてはふさわしい子だとも思います。


偶然未来と悠貴と知り合い、
途中まで一緒に帰ることになった、マリさん。

自分の娘と母の事も心配でたまらないはずなのに、
2人の事を放っておけず、あれこれ面倒を見てくれるなんとも優しい人です。

自分がマリさんの立場だったら、
ここまでできる自信が私にはない…(;´Д`)

マリさんと出会えたことが、
2人にとって最大の幸運だったと言えるでしょう。


● 音楽
【 OP「キミノウタ」/ abingdon boys school 】

abingdon boys schoolは、
西川貴教さんがボーカルを務めるバンド。

曲もかっこいいですが、
何よりも私が衝撃を受けたのは、映像ですね。

OPで流れるのは、震災後、倒壊した東京各地の様子。

写真やテレビで見たことある有名な観光地も、
震災にあうとこうなるのかも…

というリアルな映像が、
とても衝撃的でした。

いつもOPもEDも必ず観ますが、

あまりにもOPの映像がリアルで怖くて、
とばしたくなってしまったほどです。

この映像だけでも観る価値ありですね。


【 ED「M/elody」/ 辻詩音 】

この曲単体でも、
十分いい曲です。

この作品を最終話まで観たなら、
より魅力が増します。

明るい曲調には、
未来を信じて、というメッセージが込められているような気が…。


● まとめ
「もしも大きな地震が起こったら」というテーマを、
見事に描き切ったと思います。

恐怖、不安、不便さ、心配、我慢、
家族への想い、辛い別れ、辛い想いを抱える人々…。

今ある当たり前の生活は、簡単に壊れてしまうかもしれないこと。
今ある当たり前の生活が、とても幸せで恵まれたものであること。

それを忘れてはいけないですね。
傍にいる人の大切さに気づけなかった後悔が生まれないように。

もっと多くの人に観てもらいたいと思う作品でした。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 35

81.5 7 切ないで感動なアニメランキング7位
ゴールデンタイム(TVアニメ動画)

2013年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (2205)
12071人が棚に入れました
東京のとある私立大学の法学部に入学した主人公・多田万里は、入学式の後に行われる新入生オリエンテーションの会場である学部キャンパスへ移動中、道に迷ってしまう。同じく道に迷ってしまった同学部の新入生・柳澤光央と出会い、意気投合した万里であった。なんとか目的の場所へ辿り着く目処がついたそのとき、2人の前に薔薇の花束を持った美女が現れる。彼女は花束を光央の顔に何度も叩きつけた後、その花束を光央に渡し「入学、おめでとう」とだけ告げ去っていってしまう。スタイルも身につける物も全てが完璧な彼女・加賀香子は光央の幼馴染みで、幼い頃に光央と交わした「結婚」の約束の実現を夢見て、さまざまな形で光央を振り回してきた。そんな香子から逃れるために、有名私立大学の付属高校からこっそり外部受験で現在の大学に進学してきた光央だったが、新入生オリエンテーションの会場でも香子は2人の前に現れる。香子もまた、光央を追って外部受験で法学部に入学してきたのであった。

声優・キャラクター
堀江由衣、古川慎、茅野愛衣、石川界人、木戸衣吹、比上孝浩、佐藤聡美
ネタバレ

とまときんぎょ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

高飛車姫と記憶のない王子の逃避行(全24話)

(総評)
見終わってみれば、なんてことない爽やか〜リア充物語でしたよ…

20〜23話くらいが、観るの重たかったかな。
気持ちの視野の狭くなってしまった主人公が、シリアスにうろたえてアワワギャーッとなってしまう類いが嫌な人には向かないかもしれません。

たくさんの脇役の楽しさのおかげで、主要キャラの味も引き出され、観切ることができました。
(非リア充ながら常に自信を持って面白いことしてくれる「二次元君」、
主人公達が活動していたお祭り研究会の面々の集団的な笑えるやり取り、
いつも主人公に安易な理解はせず、しかし愛ある喝をいれてくれる隣の部屋のナナ先輩、
ビシッと言うとこは言うけど、気の抜けた笑いをもたらしてくれる香子のお父さんなど。表彰もんだっ)

三角関係をうまいこと記憶喪失に絡めたのか〜?ぐらいで始まった印象でしたが、段々、{netabare}記憶の混濁と再喪失{/netabare}の重みになり。の、割に爽やか〜に復活・終結しましたね。
んー。記憶云々入れないで、普通に大学生活の変わったラブコメにした方が脇役ももっと生かされて面白ったのでは…?

でもやっぱり最後まで見守った1人としては、りんだの保護者のような姉さん心が凛々しく美しい!と思ったし、万里と香子のバカップルはどこまでもバカップルに幸せでいればいいじゃないと思いましたよ。

でもやっぱりオレ対オレを長引かせるより二次元君の私生活を充実させてやるとかかんとか、笑えるところがもっと見たかったかな。



視聴中のダラダラとしたレビュー
{netabare}
キラキラした青春ラブコメになるのかなーと思っていたら、
主人公とヒロインが情けないエピソードに巻き込まれ、ドタバタ劇の中で自分のあり様を見つめていくようだ。
{netabare} このヒロイン、見た目は近づき難いゴージャス美人なのに、片想いの幼馴染への執着心がトコトン強くて、彼の前で喋り出すとドンドン…高飛車で強気でゴリ押しで勘違いも甚だしい酷いキャラになってしまう。
(またやっちゃったー!!って、潮が引いた後のような反応がおかしい。)
昔流行った「白鳥麗子でございます!」みたいだな。
主人公に対しては、名前がなかなか覚えられなかったくらい意識しない分、自然体で情けない面を見せている。主人公には、素直に失礼を詫びて後悔できるのにね。 {/netabare}

3話
{netabare}「NHKへようこそ!」?みたいな展開を見せた、宗教誘導サークルの エピソード。思わず、そうくるなら続きが楽しみだ!と乗り出してしまった。変な話の方が気になるじゃない。「四畳半神話大系」でもああいうの出てきたけど、サークルってそういう罠がありがちなんでしょうか(ー ー;)。

そういえばうちの町には…
一見オシャレな自転車屋で、中には若い女の子と楽しそうにツーリングする写真がいっぱい飾ってあって、どうですかアナタも、と自転車買わせて誘われて行ったが先は宗教関係、というお店があるらしい。罠!!{/netabare}

幼馴染にキッパリハッキリ振られて、ヤケになって。
「自分の想いばかりを見てきた自分」の過去を捨てたい彼女と、{netabare}記憶喪失で過去が無い、{/netabare}今だけがある主人公。どこか無謀な2人はいつも破れかぶれで荷物を置いて逃げるハメに。でも何だか、気づけば2人とも楽しい。
「何をおいてきたって、結局大丈夫みたい。私、以外と頑丈みたい。」
さりげなくいいセリフかも。
{netabare}
4話の茶店で声かけてきたNANA先輩は、ただのパロディネタかと思ったら、公式サイトのキャラクターリストに居るね。この先も出てくるのかな。
林田先輩も奈々だけど…?2人のナナって点もパロディ??なぞだ。
香子のちなみ責めはおかしかったけど、笑えない人もいるかも…。男の人にはどうなんだろう、この性格難ヒロイン。 {/netabare}


5話
{netabare} 「ありがとう、すべてのいのちにありがとう」香子さんの想定大爆発、やるなぁ〜
ブァーカブァーカってミツオ…。
こーこさん、失言して〜口笛〜って今時( ̄O ̄;)オモシロイ
{/netabare}
「さすが親友!親友だから!親友なのに!」親友大連発。心の友に飢えていた香子さん、よしよし。
記憶の幽霊はどうしたいのかな。

6話、7話
{netabare} ミツオの告白を見届けてショック。
まだ引きずってたのかな?と思ったらこーこさん。違ってた。

万里の告白断ったのも、ちゃんと自分のルールで落とし前つけたかったんだね。

香子さん、「超音波」なるちなみの男女問わないモテモテさに嫉妬して…そんな何もない自分にまたガッカリして。
入学したてで仕切ってるちなみは確かにすごいけど、香子さんはコンプレックスを受け止めて言葉にできてるのが、可愛いね。言える万里とのいい関係。
壊れないで欲しいけど、失った過去が絡んだときの万里の不安定さが陰りを見せる。
反面、2人の付き合いだしのキラキライチャイチャパラダイスが〜

あのね、2人のはじめては、パリで!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
パリ!行きたい!どーやったら行けるんだろ〜*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*
{/netabare}
万里さん落ち着いて!そのノリは詐欺に乗せられる男のようだぞ

でもこの2人のミュージカルみたいなノリが楽しくて、もういいじゃないラブラブで!と思うんだけど、そうは問屋がおろさないんだろうか。どこの問屋?
万里の過去問屋、りんだ番頭はんが出てくると、香子さんといた明るい部屋が途端に生活感を帯びて物悲しく。どうなっちゃうの。

この作品は、登場人物の名前がとても覚えやすいな。あだ名を絡めたり音をふんでたりするからかな。

8話
やなっさん絶不調。やつれて部屋は荒れ、女に絡まれ。
やなっさんを助ける万里の、こーこさんのパクリなノリが楽しいね。 {netabare} 芸達者な万里さん。記憶が欠けたぶん、他人の反応の吸収応用力がいいのでしょうか。
「あの人だったらこうするな」っていうマインドをいくつも蓄えとくことって、支えになるとか。
万里の中の「あの人だったら」はだいぶ欠けてるのかな?記憶がない場合の「自分だったら」はどこから出てくるものなんだろう。不思議だね。

記憶の背後霊、一瞬、起きてきた香子さんかと思った。怖い。
{/netabare}

9話
香子さん、不安になってる。やっぱり聞いてたのかな。
「ごめん、全部オレが悪い」
から始まる高校時代の回想。

万里、メソメソした子かと思ってたら、男らしいところあったんだね。ややこしい状況の時に、とっさにリンダを隠して守って…。


10話
二人がひとりの中に同居している万里。記憶はないのに気持ちが浮上してきて。
ナナ先輩が居てくれるおかげで、リンダと万里のモゾモゾした空気を観続けることができる。
ナナ先輩、携帯メールは病院の外で送っていたり、タクシーで後部座席でもちゃんとシートベルトしてたり。社会規則を守ってる方じゃないですか。
{netabare}
倒れた万里と介抱してたリンダの元へお見舞い、香子さん無理してる…頑張ってる。自分の混乱した心情を整理した上で人に伝えるのって、難しいよね。万里は、整理できなくても混乱しているんだって現状を、香子さんに伝えるべきじゃないかな。やなっさんと二次元君の悪ノリが飛び込んで来たおかげで、楽しい。 {/netabare}

11話
いろんな先輩たちのアドバイスが楽しかった。ねじれた三角関係が不安になるけど、まわりの人達に恵まれてると気が紛れるね。

13話
記憶の幽霊が怖い。自分を縛る自分。でもうまい設定かなぁ。万里を嫌いになれないもの。
あとやっぱりおまけんの人達とのくだらなくも明るいやり取りが、いいねぇ。香子さんとのおかしなデートも。こういった思い出を日々積み上げることが、きっと幽霊を祓う力になるんじゃないかな。
オープニング見る限りは、この先も万里と香子さんのラブストーリーがメインなようなので、ちょっとホッとしてε-(´∀`; )見守ります。
記憶の幽霊の溶解や和解がどうなるのかが、今後の盛り上がりになりますね。

14・15話
二次元君キャラ面白いなぁ。
海行こう計画。たくさんのくだらなくも楽しい記憶を積み重ねていければいいね。そうだ、うまく行くことばかりじゃないんだ、それを楽しもうと決め込んでる万里、こーこさんも惚れるわ。

どっか安宿でも泊まってけばいいのに、強行軍の帰り道。
ドキドキした。

16話
実際の事故と、聞いてた「事故る」の感覚の違いを語る二次元くん、素直でしみじみ。
事故後にずーっとこうこさんの顔を覗き込んで心配してた万里。
おとーさんもいい人…楽しい人ー。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 39
ネタバレ

ギータ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

青春とは嘘であり、悪である

青春を謳歌せし者たちは常に自己と周囲を欺き自らを取り巻く環境を肯定的にとらえる。
彼らは青春の二文字の前ならば、どんな一般的な解釈も社会通念も捻じ曲げてみせる。
彼らにかかれば嘘も秘密も罪科も失敗さえも、青春のスパイスでしかないのだ。
仮に失敗することが青春の証であるのなら友達作りに失敗した人間もまた青春のド真ん中でなければおかしいではないか。
しかし、彼らはそれを認めないだろう。
すべては彼らのご都合主義でしかない。結論を言おう。
青春を楽しむ愚か者ども、
砕け散れ。

このアニメを見ていると比企谷のこの言葉を思い出します。
いつか視聴断念するだろうなぁ、と思いながら視聴してましたが、ここ数話、そして今回の8話が本当に理解出来なかったので断念します。


なんというか、やりたい事、伝えたい事、作品の魅力が全然見えてこないんですよ。
それでいて、キャラの行動も意味不明な事が多い、共感出来ない事ばかりです。
{netabare}○記憶喪失
{netabare}まぁ色々ツッコミどころはありますが、扱う事自体はいいんですよ。その設定を生かせるなら。
この設定は明らかにリンダ先輩ありきのものじゃないですか。
他のエピソードに絡めるくらいでないと、捌ききれない設定だと思うんですが…
とりあえずリンダ先輩が置かれた状況を整理すると、友達以上恋人未満だった同級生が告白し、返事をする日に相手が事故に遭い記憶喪失、その後その同級生は自分のことを先輩と呼び、同級生は何も知らないが、自分は全部覚えている状態。
とんでもない状況ですよね…
リンダ先輩の立場になって考えたら、気が気じゃなくなりますよ。
しかし、実際に視聴するとあまりリンダ先輩の気持ちが伝わってこないんですよ。
設定を捌ききれてないから、リンダ先輩の感情がすんなり自分の中に入ってこないんです。
このエピソードが中心ならまだいいんですが、加賀香子などなど、他のエピソードもあって、描写が弱いし、描写をするタイミング、展開も良くないと思います。
普通に考えれば期待度が大きいはずのリンダ先輩にあまり感情移入出来ない、この時点で今後の期待度はかなり落ちました。{/netabare}


○各キャラの行動に対する共感
{netabare}私だけなのかなぁ、このアニメのキャラの行動に全然共感出来ないのは。
特に居酒屋のアレ以来の行動がマジで意味不明で、私はもう無理だと思いました。
適当に意味分かんなかったこと挙げてきます。
・岡「バカじゃん?」
→私「えっ、何それは…(ドン引き)」
いや、いくら呑みの場とはいえ、もっと言いようがあるでしょ…
それで、さらに問題なのはこの後です。
岡の言い分としては、アレは呑みの場のため告白としてカウントしてない、柳沢があれだけ避けるとどうすればいいか分からないとのこと。
これに対し、万里は励ます会なるものを作り、遊園地に岡が来て、一緒に遊んで仲直りだそうです…
ねーよ(笑)誰か比企谷呼んで来てくれよ。
まず、岡が柳沢を傷付けたということを理解してないことがおかしい。
飲み会の幹事もやって、天然だけどもあれだけ気配り出来そうなのに、そこに気付かないのはちょっと…
そして、それを誰も岡に指摘しないのもおかしい。誰も思わないの?
告白に対して「バカじゃん?」って言われて、他の人にも噂されるってどうよ?
「バカじゃん?」以外に言葉は無かったんですかねぇ…
この際、岡が気付かなかったとしても、誰か気付いて「あの言い方は流石に酷かったんじゃない?やなっさんに謝ったら?」くらいの言葉はかけれたはず。
そりゃあ告白した柳沢はアホだろうけど、その返答は余裕で柳沢の行為を凌駕するでしょ。自業自得では済まされないレベル。
相手のことを考える、相手の立場になって考えるということをしないのでしょうか?
自分のことしか考えてないじゃん。
そんなんだから、問題なぁなぁにして、特に解決した描写もないまま仲直りさせたんでしょ?
何?9話を見ろって?もうお腹いっぱいです。

・「多田くんのことが好きです」
もうさぁ…このカップル本当に互いのこと好きなのか分からないっすわ。
「片思いに敗れた優しさに多田くんを選ぶ(割愛)」
まさに見ている人が思うことですよね。加賀さんいわく、これじゃあ嫌だからシナリオがあったとか言ってるけど、視聴者に突っ込まれないように先回りしたみたいな印象なんですよ。
そんなこと言うくらいなら、もっと多田くんが好きだという描写して、そんな言い訳くさいことをヒロインに言わせないで下さい。
それか、多田くんにそんなに早く告白させないで下さい。
そして多田くん、あなたは彼女が部屋で寝ている中、何堂々と他の女の人と恋愛絡みの話してるんですか?
加賀さんに告白して、友達やめよう的な発言して、それだけ本気で考えていた描写して彼女出来た挙句にやることですか?
マジで本気度が分からない。好きなの?そうでもないの?
リンダ先輩の描写は絶対に必要です。
というわけで、これは完全に展開ミス、この描写をやるとしても、付き合ってすぐの時にやるのはさすがにおかしいんしゃないですかねぇ…
あぁ、付き合ってすぐだけど、リンダ先輩のこと気になってるのか。
これは君のいる町以来の問題作候補かな(笑)

・リア充うぜえ?
変換ミスじゃないですよ。意図的な?です。
いや、確かにうっとおしいんだけども、なんか茶番っぽいんだよなぁ。
例えるなら、中学生くらいの演劇部が文化祭のステージで大袈裟に彼氏彼女を演じてるみたいな。
たぶんね、文化祭の方は笑いが起こると思うんですよ。
それくらいシュールなリア充描写に見えた。
あれ恋愛じゃなくて演技でしょ?嘘で誤魔化してる親を騙すための偽装カップルでしょ?って感じでした。
もう、何を伝えたいのか全く分からない。
ウザさを伝えたいのか、単に恋愛描写を伝えたいのか、浮かれっぷりを伝えたいのか、シュールな図を届けたいのか。
今の僕には理解出来ない…{/netabare}{/netabare}


初めてスマホで文章書いたわりには、予想外に長くなってしまいました。
今期のラノベ枠がどんどん脱落していく件について。
岡田さん脚本の長井監督なら何か変わってたかなぁ?

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17
ネタバレ

さんちゃ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

主人公とヒロインが顔と顔を見合わせて「ぷっ・・あははは!」て笑うようなアニメのままで良かったのに

いつか面白くなるかなーと思いつつ見てたけど
いつまで経っても盛り上がりが無くつまらなかった。
2クールも必要だったのだろうか…。

冷静に考えるとシナリオ自体に不自然さはそこまで無かったけど
如何せんキャラの心情が突飛で理解に苦しんだ。
また、意図不明なアクシデントの挿入が多々あり、感動しようと
真剣に観ている気持ちを阻害するため、結果として駄作をつっこみながら
楽しむスタンスで視聴せざるを得なかった。

以下気になった部分を箇条書きします。
やや酷評にあたるかもしれないので、ゴールデンタイムが好きな人は見ないで下さい。

例えば、理解に苦しむ心情としては、
{netabare}
・多田万里が卒業記念Tシャツに名前が書かれていなかったという
理由で突然泣き出す。「おでの!おでのなばえがない!」こんな男嫌だ。幼児退行かっ!

・21話辺りで、加賀香子が万里の精神的な病状を憂えて「大丈夫、
大丈夫、全部大丈夫だよ。私が一緒にいるよ。私が一緒なら世界征服
だって出来るよ」みたいな事いってたにも拘わらず、次の話で何の
前触れもなく突然、別れようとか言い出す。

・リンダ先輩と仲良く話してるだけで、岡ちゃんがいきなり現れ
万里を「最低」と罵って万里を無視しだす。
理由については後々説明はあるけど、もう少し事前に岡ちゃん視点での憤りを
見せないと、視聴側からすると訳が分からない。
その前に、岡ちゃんがヤナっさんに未練があったなんて、全話通しで見てもピンと来ない。
いくら飲み会の席とはいえ、ヤナっさんに告られた時、平気な顔して
「馬鹿じゃん」て返事してたし。あれ見て、その事実に対する説明もその後数話
おざなりにされてたから、ヤナっさんの告白自体単なるギャグ要素として作用してたのかな
って思ってた。
(女性キャラが香子、リンダ、岡ちゃんの3人になって、それぞれの心情を2クールで
描こうとすると尺的に難しそうなんで、結果としては岡ちゃんがヤナっさんに好意を
抱いてるって設定自体不要だったのかもしれませんね…)

・リンダが最終万里の事を恋人として好きだったのか、友達として好きだったのか
ちょっと曖昧。
8話辺りで、リンダにその答えを聴いた時「あの時の答えはノーだよ」って言ってたのに
最終話で「全部イエスだよ!」とか言い出す。本当にイエスなら、あの時どうしてノーと
答えたのかに対する心情があまりに説明不足。
{/netabare}

意図不明なアクシデント等については、
{netabare}
・3話で宗教サークルの勧誘に引っ掛かる。大学から宗教という単語は連想しづらい。
それだけに意外性はあったけど、なぜ宗教??このアクシデントが切っ掛けで、
加賀香子が多田万里を意識し始めるし、最終話要となるハート型の生き残りの鏡
に繋がってくるんだろうけど、あんな軟禁まがいの事してる時点で事件だよ。
所謂つり橋効果を狙うにしても、もっと他にやり様が無かったものだろうか?

・9話でリンダのお兄さんの結婚予定相手の浮気現場を押さえるって話。
これで、お姉さん気質で利口で大人っぽく万里をリードしてたリンダに対するイメージが
ぶち壊れて、やる事がエグくて怖い女というイメージが最後の最後まで拭いきれなかった。
万里と相談して、万里がそういう行動を起こそう!って泥をかぶるならば王道展開として
理解できるけど、なぜヒロインにとってマイナスになるような見せ方をしたのか。

・19話でリンダが万里を突き飛ばすけど、地面に倒れた万里の背中に
犬のフンがつく。これは本当に引いた。アニメでまさか犬のフン描写があるとは
思わないし、特に笑いに繋がった訳でもないし、一旦大学に戻らせるためのイベントとしても
これは無いかなー。一体何を感じさせたかったのか理解不能。

・8話でヤナっさんを励ます会で岡ちゃんが呼ばれて持ってきたのが生麺。
それは笑いどころなのか?あれか、慌てて持ってきたのが赤べこだったりコケシだったり
鮭だったりしたらもっと爆笑を生んでいたのだろうか?
慌てて持ってきたという背景(行動理由)がある以上、シュールな笑いには結びつきにくい。
単純にギャグとして取り入れていたのだとしたら、作者の笑いのセンスは少し錆びが付いている。

・万里の顎絆創膏。疲れた、もう何話か忘れました。
{/netabare}

奇想天外な作品ばかり作って失敗するライターやクリエイターに宛てた
テンプレ的な煽り文句を若干改変入れて引用させて頂くと
「誰もやらなかった事に挑戦する」と言うが大抵それは先人が思いついたけど
「あえてやらなかった事」だ!王道がなぜ面白いのか理解できなければ
予想外な展開は破綻しか齎さないぞ!と言ったところでしょうか。

普通にやってれば、それなりに見応えもあり、きっと感動を呼ぶ事も出来たのに
敢えて王道から逸れて微妙な新しさを生み出そうとした結果、何だかとっ散らかった印象
しか残さなかった感じが強い。
サムライフラメンコとまではいかないけど、最近敢えてテンプレ的な内容を
崩すのが流行ってるんですかね…。

無理して予想外な方向へ話を持っていって滑ってる事が多かった。
良い所はちらほらあってそれだけに最後のどんでん返しを期待して見続けましたが、
それを続けるには時間の無駄だったっていうのが個人的な感想です。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 28

85.7 8 切ないで感動なアニメランキング8位
Vivy -Fluorite Eyeʼs Song-ヴィヴィ フローライトアイズソング(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (777)
2564人が棚に入れました
“ニーアランド"、それは夢と希望と科学が混在したAI複合テーマパーク。史上初の自律人型AIとして生み出され、施設のAIキャストとして活動するヴィヴィは日々、歌うためにステージに立ち続ける。しかし、その人気は今ひとつだった。――「歌でみんなを幸せにすること」。自らに与えられたその使命を果たすため、いつか心を込めた歌を歌い、園内にあるメインステージに立つことを目標に歌い続けるヴィヴィ。ある日、そんなヴィヴィの元に、マツモトと名乗るAIが現れる。マツモトは自らを100年後の未来からきたAIと話し、その使命は「ヴィヴィと共に歴史を修正し、100年後に起こるAIと人間との戦争を止めること」だと明かす。果たして、異なる使命を持つ2体のAIの出会いは、どんな未来を描き直すのか。これは<私>が<私>を滅ぼす物語――AIの『歌姫』ヴィヴィの、百年の旅が始まる。

声優・キャラクター
種﨑敦美、福山潤
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

エモいシーンを切り貼りしただけでそこに芯は無い

5話までの感想{netabare}
カリギュラとビートレスを足したような作品かな?と思ったら案外シュタゲや失われた未来を求めて?
色々と気になる部分があってどこから言えばいいやら迷うのだけど、やっぱ一番はマツモトの正体か。
ひょっとして…未来から来たというのは実は嘘だったりして?
だって過去を変えたところで未来は別の世界線へ分岐するだけで、マツモトの居た世界は変化無いでしょう。
これはリゼロの方で「死に戻りする度に残された人達が不幸に遭ってるビジョンを見させられる」ってシーンがあったし(個人的にあれは作り物だと思ってるが)、脚本の人が考えてないってことは無いと思うんだよなぁ。
また、最初は未来へ戻って過去改変の影響を確認してるんだと思ったら、3話で「15年間眠ってた」と言ってることから…過去へ飛ばされてからそのまんま居続けてるのか?
確かに未来に戻ったところでそこはマツモトの居た未来ではないし、リーディングシュタイナー持ちでもなければ「あ、今過去が変わった」と自覚もできないのでおかしくは無いのだけど…。
けどそうだと今度は正史に影響が出たかどうか、正確にはもう影響が出てるので、それがAIの反乱を回避できるのかどうか、何で分かるの?という謎ががが。
実はもうとっくに解決してたりして?w

次に気になるのはAIは量産や複製はできないの?だけど、4話の双子AIを見る限り出来ないらしい。
えーそーなん?
ゼーガペインでは複製できない理由をしつこい位やってたけど…確かにあんなに説明されても面倒なだけだしある程度端折るのは構わないのだけど、端折り過ぎというか、結果だけ見せて「この世界ではそうなってるの!」と威圧されてる感じ。
また、普通に考えると後継機の方が性能が良いハズ(ビートレスはそれを逆手に取った内容だった)で、シスターズとか出すならそこんトコもうちょっと差を見せて欲しいかも。{/netabare}

7話までの感想{netabare}
まずは6話の感想。
別に批判的に観てる訳じゃないのだけど、好意的に観てる方の感想の多くが私とは違ってて…はて参ったな。
SF設定の雑な部分はそこまで気にはしていない、というか本当に雑なのか伏線なのか判断出来ないので保留にしてる状態かな?

この作品の狙ってる方向としてはヴァイオレットエヴァーガーデンの様にカワイソカワイソな女の子を見てエレクチオンする下品な感動ポルノ系だとは思うのだけど、エヴァガ同様ヴィヴィがそこまで可哀想に思えない。
マツモトの証言が本当であればの前提になるけど、ヴィヴィはどう転んでも「博物館の倉庫で埃を被る未来」よりはマシな未来が待ってそうじゃない?
不幸に向かってる感がしないというか、「こんなことなら何もしないで倉庫で眠ってた方がマシだ」「こんな思いをするなら感情なんて要らなかった」と言いたくなる様な局面に陥っていない。
まだ途中だし今後そういうエピソードがあることを期待はしてるけど、とりあえず現段階では感情移入できない。

その一方でマツモトの方がよっぽど可哀想と感じてまして…。
「マツモトにはまだウラがあるんじゃないかな?」と思ってはいるけど、現段階で明かされてる情報だけで判断すると──。
自分を必要としない(作り出されることのない)未来に変えることが使命なワケで、それって帰るべき未来が無い、作ったのが博士かどうかは知らんけどそいつと再会はできない。
目的が成功したら「博物館の倉庫で埃を被る」よりも悲しい未来が待ってるかも知れないが、それでも目的の遂行を目指さないといけない。
存在理由というか一番の強みである「正史」の情報も、数度の干渉でズレが生まれて段々役に立たなくなってきている→存在価値が無くなって来ている。

あくまで自分の居た未来へ帰れないという前提だけどねー。
どうにもアヤシイ、と思う点として各話冒頭で世界線の分岐を見せる演出があるじゃん?
あれって視聴者に見せてるイメージなのか、誰かが見てるビジョンなのか。
誰かが見てるとしたらそれは誰?っていうのが気になる。

まぁ要は、今後「ヴィヴィなんかよりマツモトの方がずっとカワイソウじゃないかー!」という展開が来てくれたら嬉しいなぁ、って話でして。
で、好意的な予想を考えると同時に、「こういう展開になったらイヤだな」というのも考えちゃいまして。
それは、「特定の時代になったら突如マツモトの封印されてた記録が解除されて、それまでの謎をベラベラ喋りだす」。
これが考えうる最悪の展開かな?
脚本が手を抜きまくったらこうなりそうで、是非ともそうはならないでくれよ?と願ってたら…7話ですよ。

マツモトではなくヴィヴィの方がまさかの記憶封印。
ホッホウそう来ましたか。
これは「予想したイヤな方向」を否定してくれたと見ていいのかな?
ヴィヴィが記憶封印されて更にマツモトもそうだったと被せることは無いでしょー、多分。
これで多少はホっとした…でいいのかなぁ?

その一方で気にしない様にしてたSF絡みの方で違和感が増えつつあるけど。
「そこは無視しろ」と言われたらまぁ無視できなくはない程度なので畳んどきます。{netabare}
AIだろうが機械であるなら新型ほど高性能、という前提で考えると、年功序列的な価値観がよく分からん。
設定的にどうしてもターミネーターを想起する人も少なくないと思うのだが、T800とT1000の性能の違いっぷりの衝撃は鮮明に覚えてるんじゃないかな?
シスターズの方が性能が上だからこそ、宇宙ホテル墜落の際のエステラの歌に「悔しいな」と漏らしたんじゃないのか。
もし人に対する想いがどうこうって話なら、設計者やメンテしてた人との交流が殆ど描かれてないのが釈然としない。
ワザと(伏線)かも知れないのでそこまで強く突っ込みはしないけど。
あとAI同士の議論を人語で時間をかけて行うのがなんかヘン。
折角ヴァーチャル空間だかクラウド空間だか知らんけどそういうのがあるんだから、そこ使って視聴者向けに人語でのやり取りをするにしても、実際の時間では数秒しかかかってないとかにすりゃ良いのに。
どうにもそういうケレン味が足りないというか、実は人間の脳を使ってるんじゃね?と思ってしまったり。
えっ、まさか本当にそうだったりして?それなら6話でパーツ化されたグレイスが原型留めてたことにも納得…できるかなぁ?
(劇場版メンドインアビスは見てないか、そっかあ)
けどそうすると今度は86と被るんだが…。{/netabare}{/netabare}

11話までの感想{netabare}
分からないことが多くてどうしたもんだか。
今後アーカイブがあれこれ説明してくれると思うのでそれ待ちになるのかな?

とりあえず9話終了段階。
垣谷の精神をデータ化・オフィーリアのボディにアントニオの自我の移し変え…「魂の複製」でいいのかな、何者かの介入によって遂に実現してしまったということか?
エステラ&エリザベスの研究の失敗や、グレイス冴木夫人カスタムの件等で「それはできない」とされてたが、マツモトの干渉により「こっちの世界線」では可能とする技術が生まれてしまった…だったりして。
ってことで、マツモトは昭和アニメだったら「ピピピ、ケイソクフノウ、ケイソクフノウー…コンバインオッケー」と言って煙を立てたんだろうけど、令和的に「なんだこのテクノロジーは!?」と調査を開始するんだろうなぁと思ったら…11話で…え?寝てた?
「この時代には過ぎたる代物」と言わしめたロジカルバレットの存在や「啓示」のことを放っておいて…寝てた?んん?
なにがどう影響して未来が予定と違ってしまうか分かったモンじゃないので、そこはずっと起き続けてネットの至るところに分身を飛ばして世界を監視してるんじゃないのか。

ちょくちょく回の冒頭に世界線が分岐するイメージ映像があって、これは視聴者に向けた印象描写なのか誰かが見てるビジョンなのか気になってたワケだけど…アーカイブの見てる画像ってことでいいのかな?
1話でマツモトがアーカイブ部屋に入った段階でスキャニングして、正史の情報を読み取ってた?
これにより正史とこっちの世界との両方を知ることになって俯瞰で見れる様になった…って感じだろうか。

以下妄想
人間の魂のデータ化(複製)の技術開発が密かに進められてて、それが完成したことにより必要なくなった肉体の消去を始めた(殺された人々の魂は前もってどこかのサーバー(多分アラヤシキ)にコピーされてる)、というのが「AIの反乱」の真相だったりして?
「肉体という殻から開放し凪のような快楽を与える」「電脳世界で永遠の安寧を得る」「自我の枠を超えてひとつの意識になる」みたいなのが人類の幸せだとしアーカイブはそれを実行しただけ、とか。
うん、“ダリフラ”のヴィルムや“マクロス⊿”のロイドや“リスナーズ”のトミーや…枚挙に暇が無いけどそんな感じ。
正史の方でもその計画は行われたけど人類は100年の間アーカイブが開発を進めてたことに気付けず、「こっちの世界線」になってからヴィヴィがちょいちょいと「開発の一端」を垣間見てきた…という話なんじゃないかなー?と。
それまで個への執着を是として見てきたヴィヴィとしては「どんなに完璧に複製できたとしてもそれはホンモノではない」と倒すなり説得するなりして、ホンモノの歌を歌ってメデタシメデタシ──ってとこかな?
スワンプマンを扱った作品ってあった気がするけど思い出せない、まぁそっち方向に行くのかなぁ?と。
他にも「あれ?」と思うところはあるけど、一番矛盾の少ない落としドコロとしてはこんな感じじゃね?
ただその、思った以上にマツモトが阿呆というか探究心が低く、勘が良いと物語が成立しないということで仕方無かったのかどうか気になる。
すっ呆けてるだけだと良いのだが…。


AIの反乱って題材自体そうだし100年の時代を辿る・過去に干渉することからも、テクノロジーの発展がテーマに係わってくると思うので「前回と設定が違う」みたいなことはあんまり思わない。
時代が変わって不可能が可能になったんでしょうってことで。
けど、その時代その時代に当たり前にある技術とありえない技術、これが混在してて境界線が不明瞭なのが混乱する。
例えば1話段階ではマツモトは未来のAIで飛び抜けた高性能で構わないけど、11話段階では一般的なレベルじゃないのか?
他にブロック結合ロボが出ないのは…うーん、電磁線プログラムもどうした?
ヴィヴィの未来CQCもそうで、松本博士はどんだけスゲー格闘プログラムを作ったんだ?
あいや、アーカイブが黒幕ならヴィヴィやマツモトのスペックは承知してるハズで、ワザと弱いAIしか仕向けてないのか?対マツモト兵器とか出てくれると嬉しいのだが。
あれだけ人型AIが闊歩しといて垣谷ユイが車椅子というのも…まぁトァクの幹部でサイボーグ化にも反対の立場ということか?“ノーガンズライフ”のウォシャウスキー博士みたいな。
電脳化した垣谷が登場したその後に松本オサムの妻が死ぬ話を持ってくるのも紛らわしい。
「実は電脳化してるんじゃね?」と一瞬思って「あ、違うのか」と考えを修正したら今度はエリザベスがサーバーからサルベージできたとか言い出して、もう頭が追いつくのに一杯一杯。
オフィーリアもどこかからサルベージできるんじゃねーの?ってかそれが可能ならバックアップ取っとこうよ。
(本編とは関係無いけど“デカダンス”のカブもエリザベスサルベージバージョンと同じ悩みを抱え続けるんだろうなぁ、とかふと思ったり)
他にも細かいことを言い出したら色々あるけど…ま、まぁアーカイブの説明でハッキリスッキリするんだよね?そうだよね?{/netabare}

12話感想{netabare}
あーあ、結局死に戻りかぁ…。
というか、例えそれが数時間後の自分とはいえ、未来のヴィヴィが乗り移ったヴィヴィはホンモノのヴィヴィなのかい?
散々心がなんだ言って、オフィーリアやエリザベスサルベージバージョンの件などで「自我とは何ぞや?」という話に触れといて、そこは無視しちゃう?
えーっと異世界転生モノで、転生して赤ん坊からスタートならまだしも10歳とか15歳とかに転生したら上書きされて消えた人格は無かったものにしていいの?みたいな問題ってあったりするじゃん?
(ぱっと思い出したのは“本好き~”)
次回やるのかなぁ?

とりあえずマツモトが間抜けすぎてちょっと…。
前回「対マツモト兵器出ないかなぁ」みたいなことを書いて実際それっぽいのは出たけど…複製かーい。
まぁ今までもそうだけど、アーカイブは観察が目的なのでヴィヴィ側がギリギリ勝てるように手加減してるのだろう、未来CQCがクッソ強いのもそのせいだろう…と考えるようにはしてる。
けど、だからといって、マツモトは今までの出来事からしてナニモノカは複製技術を有してると演算できなかったの?備えてなかったの?
前回も書いたけど、オフィーリアの件の時に「その時代には不相応な技術」があることを観測しといて、それ以上追求しなかったのがどうにも不自然で…。
アラヤシキに投与することとなったウイルスをどうして持ってか?も、「放っておいたのが気に食わないから」じゃなくて「(不本意だが)こういう日が来た時に備えてた」の方がよっぽどカッコよくない?
現状アーカイブに泳がされてる・躍らされてる、言い方変えれば出し抜かれてばかりで、未来AIなんだからもっとこう…一枚上手なところを見せてくれないとなぁ。
ま、まぁ、次回で「アーカイブを出し抜くために皆さん(視聴者も)を騙してました」って展開があるのかも知れない、それに期待しよう。{/netabare}

総評{netabare}
AIの独り相撲を見させられただけだった。
アーカイブが神の如く人類に審判を下すが「お前そんなに偉いの?」や「人類は何か悪いことした?」はかなりいい加減。
「CO2削減のため呼吸禁止」と言われた方がまだ筋が通るレベル。
身に覚えのない断罪に巻き込まれた人類が可哀想なだけで、じゃあ主役のヴィヴィがその可哀想な立場の連中の代弁者になるかといえばそうでもない。

これは私の読み違いもあるのであんま強く言う気は無いけど、設定が無茶苦茶。
AIとアンドロイドを一緒くたに扱ってる時点で気付くべきだったか?クマのヌイクルミに憑依して「痒い」と言った時点でファンタジーと思うべきだったか?
世界初の自立型AIと謳っておきながら世間からあまり認知されてない時点で疑うべきだったか?
コンピューターウイルス(液体)の容器がマクロファージの形をしてた時点でギャグだと思うべきだったか?
AI同士がダラダラ会話するのに違和感あったのだけど、最終回、ケーブルでデータ送信して一瞬で「このデータは!」って…できんじゃねーかw
梯子外されたというか、マジで付き合ったのがバカバカしくなるような真似はよせーや。

AIが人間に限りなく近い、は、まだいい。
頭の回転が遅いのは不思議だけど。
けど、肝心の人間の方が価値観を大きく変える出来事があったのにAIが旧態依然ってどういうこっちゃ?
大きく変える出来事って魂のデータ化ね、メカ垣谷のこと。
肉体を捨てて飢えや病気から開放されるのがどれだけ凄いことかは…分かるっしょ?リアルが伝染病で大騒ぎしてる真っ最中なんだし、死生観から揺るがす大革新なのは確実。
「魂のデータ化はそんな大したことない・本来あの時代には存在しない特例」だというのなら、じゃあ最初から出すなよと。
これは2話の飛行機事故を回避しようとしたのを「過度な歴史干渉はいけない」として阻止された件もそう。
干渉OKとNGの判定基準や「シンギュラリティポイントはこの4つ」とは誰が何を根拠に決めた?に注目が行くのにそこはスルー。
じゃあ最初から出すなよと。
余計なことを言って矛盾が生まれるというか、そもそも余計なことでしか構成されてない、タイトルの「エモいシーンを切り貼りしただけ」というのはそういうこと。
そうだなぁ、「魚の名前を思いつくだけ書いて」と言われてドバーっと書いたけど、次のステップ「その中から淡水魚だけ選んで」と言われると何も出来ない感じ。
名前は知っててもどんな魚だかは理解してない。
大量に書いた魚の名前だけ見せて「スゲーだろ」と言われても、それってスゲーのか?

と、こういうことを書くと「フィクションとしてのウソを許容できない心の狭い人」「1から10まで説明しないと理解できない人」みたいに思われそうで、それは不本意なのでちょっと本筋からは離れた話をします。
他の作品でも丸コピーするかも。
{netabare}
「フィクションとしてのウソは許容してる、ただ、ウソは上手く吐いてくれないと困る」という話でして…。
例えばAくんが「昨夜8時は書店に居た」とウソの証言をしたとする。
それがウソだと分かってても「そこは騙されてやるよ」とこっちは許容したのに、その後共犯者が余計なことを喋って書店に居たことに疑問が出る様なことをされると…困るじゃん?
「その時間一緒にカレー食べてた」や「電車に乗ってた」とか言われたら、おいおいAの証言はどうした?となる。
ここでいう共犯者とは、物語に出てくるキャラクターや設定・各話のストーリーや演出・作中に描かれる森羅万象、これらの比喩ね。
必死に「電車の中に書店車両みたいのがあってそこでカレー食ったのかな」と辻褄の合う理屈を考えても更にそれを否定する証言が飛び出す。
「共犯者同士でしっかり口裏合わせてウソのアリバイを真しやかに振舞ってくれ」とも言い換えられるかな。
読んだことは無いけどシナリオの教本なんかでよく言われる大きな嘘と小さな嘘のことなんだけど、分かり易い様に表現するとこんな感じかなぁ、と。
で、

口裏合わせすることよりも、共犯者の自己主張が優先

というのがこの作品からは滲み出てて…余計な証言を言うヤツは最初から出すなよと。
パクり行為は否定しないがパクるんだったらもっと厳選しろよと。
これ書くとなんか偉そうになっちゃうけど、証言が噛み合わないと最初のウソの段階で「そこは騙されてやるよ」とした人に対して不誠実じゃないかい?
「え、書店に居たという証言を信じてたの?プププw」と言われても困る。

また、上記の「11話までの感想」は、このてんでバラバラな証言をどうやったら統一できるか?を考えて書いただけで、そうでないといけないって意味ではない。
別の理屈で辻褄が合わせられるならそれでいいし、私が書いたのは所詮他の作品で見たネタの引用であり(だからなるべく他作品の名前を挙げてる)、自分が思いついたとびっきりのアイデアなんて一切思ってない。
「自分の想像した展開にならなかったからクソと言ってる」と言われると結構イラっと来る。
{/netabare}

ヴィヴィに感情移入してばかりでなく、ちとアーカイブの立場になって考えてみよう。
アーカイブは100年間、何を見てた?
マツモトによる干渉の無かった一周目とヴィヴィを観察しながら正史とのズレを修正してた2周目、違いは無かったの?
違いが生まれることを期待してマツモト達を泳がせたんじゃないの?であるならズレを修正する必要ってあったのかなぁ?
というか各シンギュラリティポイントで起きる事件の結末は違ったにしろ、原因や経緯は同じだったの?
そもそも「正史」は何処から得た情報?捻くれずに素直に考えりゃアーカイブのデータベースの様な…。
こうなってくると1周目、本当に事件があったのかすら疑わしい。
ひょっとしてシンギュラリティポイントなんてまやかしで、1話でマツモトがアーカイブ部屋へ入った時点で書き込まれた偽情報なのでは?とさえ思えたり。
公式のキーワードのシンギュラリティポイントの説明では「今後百年の間のいくつか存在するAI史の転換点。これを是正する事により、百年後、AIによって人間が殺される戦争を防ぐことができると考えられている」とのことなんだけど…

「考えられてる」って、誰が?

はスゲー重要だと思うのだが…。
もしくは2周目最初にマツモトの持つデータを読み取って「こいつらココが転換ポントだと思ってるのか(てんで見当違いなのに)」と把握し、そこに合わせてアーカイブ側から干渉を仕掛けた?
メカ垣谷なんてそう思わなきゃ登場した意味がワカラン。
メカ垣谷は1周目もメカ垣谷になったの?1周目のオフィーリア自殺は2周目とは全く別の理由だったりしない?

ってか人間には期待しなかったの?
「AIに依存して発展を望めない」にならない様に介入とか、する気は起きなかったの?
そもそもどの時点で人類殲滅を決断した?ヴィヴィが歌えるかどうかは予定変更するかどうかなだけで予定は先に立ってたハズ、計画立案と準備と実行には時間差あるでしょ。
正史と2周目のAIが反乱を起こした理由が同じなのかどうかすらワカラン。
そもそも発展が望めなさそうなシーンって、あった?
繰り返しになるけどメカ垣谷なんて発展も発展、大革命だと思うのだが…そこで「あ、ダメだわ」と思わせる様な出来事(もしくはもっと分かり易く判断を下すシーン)があったのなら分かるのだが、あった?
まだ同期放送の“86”の腐敗した軍上層部の方が描けてたぞ??
ハッ、メカ垣谷ってギアーテ帝国のレギオンだった!?

黒幕の動機が取って付けた感じで、じゃあその計画を挫くヴィヴィの行いも取って付けただけのものに成り下がってしまった

これは他の方も指摘してたけど、正史は叡智の書やヴァルハラの壁画で、そこから類推(所詮類推でしかない)したシンギュラリティポイントはただの思い違い、思い違いを信じたんだか利用したアーカイブがロズワールやオーディン。
引き出しねーなぁ、「これがボクの持ち味」と思われてたら困るなぁ。
あいや、シグルドリーヴァは「コラボした都市を悪い様に扱えない縛りのせい」と、ある程度同情してたんだが…こっちにも同情せざるを得ない事情ってあるのかな?言い訳でもいいので。
って、え?「好きなものを全部詰め込みました」だって?
いやいや、そこから今回の作品に合う/合わないをグループ分けして厳選しろよ、ってか「好きなもの」は一つの作品に詰め込める程度しか持ち合わせてないってこと?
冒頭の例え話に戻るけど「魚の名前は大量に言えてもどれが淡水魚か分からない」、これって魚に詳しい(魚について語れる)と言えるのかなー?


余談・垣谷の行動原理について{netabare}
ピアノ教師AIのことを性的な意味とかではなく好きでいたが、交通事故が起きて人間を救うために失ってしまう。
そこで「そんな何処の誰とも知らん人間なんか見捨てて先生には生きていて欲しかった」とつい思ってしまい、人命軽視に自己嫌悪する(葬式で吐く)。
赤の他人と親しいAIどっちが大事か?という命題に直面し、そもそもAIと親しくなる・AIが親近感を有して感情移入の対象になる(ヴィヴィはその象徴のような存在)のがケシカラン、道具は道具らしく振舞うべき扱うべき、を強く願うことに。
そうはいっても心のどこかにワダカマリ・煮え切らない部分があって、それがエリザベスへの態度に現れる。
ある意味AIを最も愛してて同じ不幸を起こさないようにトァクで活動してた…って感じかと。

「何を当たり前のことを」と言われそうだし別の解釈でも構わんのだけど、垣谷の思考が理解不能って意見をどこかで見たのでここに書いとく。
信条と啓示は別、そこは分けて考えよう(啓示はホント意味不明)。{/netabare}{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21
ネタバレ

テナ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

Vivyと松本と100年の旅を

2021年4月放送アニメは面白いアニメが多く、どの作品も素敵でしたが1番を選ぶなら、この作品!
私がダントツで面白く共感出来たアニメ(。•̀ᴗ-)و ̑̑✧
最初はテロの後の様な残酷な世界で燃え盛るステージでアンドロイドが歌っている不気味な始まり方で100年後の未来から始まる。

そこから、100年前に遡り物語は動き出します。
テーマパークの歌姫AIディーバに謎のAI松本が接触してくる。
そして100年後の未来を変える旅が始まる。

では、ディーバことVivyとマツモトの違いに感じた事。

松本は実にAI的な考えを持っています。
無駄な事はしない、効率重視、言っている事は正しくて目的の為に手段は選ばない(*꒪꒫꒪)

Vivyは人間的な考えを持つAIです。
彼女を見ていると凄く優しくて人間的な心を持っているAIなのですが、戦闘時の動きをみるとアンドロイドなんだなぁ〜と感じたりもします。(*´˘`*)ニコッ
走ってるシーンはそれを1番感じたりしました。


さて、必ずこの手の作品がテーマにする「心」
私は私達が今生きる世界のAIが心を持っているかは解りません…………

では、この作品のAIはどうだろか?
心を持っている気がします。

では、マツモトにAI的なイメージ、ディーバ事Vivyに人間的なイメージを持つ理由を説明しながら心について考えながら、レビューを描きたいと思います(。•̀ᴗ-)و ̑̑✧

ディーバの友達で人間のモモカ。
半年前に迷子の彼女を救う事から友達になる。
ディーバをVivyと呼ぶのは彼女だけでした。
そして、ナビと言うAIはディーバのサポートAIです。
ナビは迷子のモモカを救ったのはプログラムに書き込まれていると話します。

プログラム……この世界のAIには、1つの使命を課せられている。
ディーバなら歌で沢山の人を幸せにする事。
でも、テーマパークのロボットだし、あれだけの科学が発展している世界なら迷子誘導や園内の緊急時対応プログラムくらいなら多分組み込まれている気がします(*꒪꒫꒪)

でも、ディーバはマツモトのセリフの「心ない人型パソコン」だと言う言葉に「だからなんなのですか!」と返す彼女は、しっかり怒れてる時点でも怒りと言う心があるのだと思います(ノ△・。)

そして、園内での爆発事故の人助け。
園内の事件はプログラムと言われたらプログラムでもあるけど、ロボットは「もしも」で動くのかな?
これは松本の未来の証明としての情報だったけど……私には、やっぱり心がある様に見える。


AI命名法の成立には相川議員の死亡が関わっている。
{netabare} 彼の死を回避する1歩として組織のトァクから命を狙われる彼を救うことが第1の使命。
この100年後を変えるための未来回避をシンギュラリティ計画と呼ぶ {/netabare}

相川議員を組織から守る最中、敵の組織の人間をディーバ事Vivyが助けます。
(以下Vivyと表記)

園内ならプログラムがそうさせたかもしれない……でも、ここは園内ではない。
{netabare} それでも、Vivyは助けた……彼女は使命(歌で沢山の人を幸せにする)だからと言うけど、沢山の人(敵味方関係なく)にVivyは自分の歌を聞いてもらいたい。{/netabare}

でも、それはVivyが無事にいる事が大前提なのです( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`)

それでも身を呈して救った。
自分が壊れちゃうかもしれないのに?
自分が壊れたら使命どころではなくなる。
それでも、救ったのは彼女に心があるから。
カッコイイ言い訳です(*/∇\*)キャ

そして、残酷な事故が起きる。
{netabare} 飛行機事故で友達であるモモカが死んでしまう!Σ(  Д )ﻌﻌﻌﻌ⊙ ⊙
Vivyは救おうとしますが、マツモトはそれに反対し力づくでVivyを抑え込む……未来改変には関係ないから余計な事をするなと……
それでも身体を引き摺りながら届かない空の飛行機に駆け寄ろうとした姿を見るのは凄く辛くて( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`)
きっと、1番守りたかった命だったのに………{/netabare}

松本がAI的なイメージが強いのがまさにこのシーンです。
Vivyは逆に救いたくて人間的な1面を感じるシーンです。
これだって救いたいのは心があるから……


宇宙ホテルの話。
この話はVivyに超超超共感をしたエピソードです。
今回の事件の黒幕と思われるAI「エステラ」宇宙ホテルサンライズを落下させたオーナーにて史上最悪の欠陥AIと呼ばれるエステラ……

彼女は凄く優しくてそんな人には思えない。
だって宇宙ホテルの前オーナーが無くなってもホテルを経営したいって頼み込むくらいこの場所が好きな彼女が、そんな事件起こすかな?
彼女の気持ちを聞いた時に彼女には本当に心がある様な気がします。

Vivyも、エステラが悪い様には思えなくて、ウイルスやハッキングで暴走をした可能性も探ろうとする。

でも、松本は早く壊そうとする。
{netabare} エステラに偶然拾い上げられたマツモトはいきなり躊躇なくウイルスを打とうとする。{/netabare}
この辺りでも松本のAI的な考えやVivyの人間的な原因を探ろうとするあたりも心があるからの様に感じます。

この物語、エステラを破壊すれば終わるけど、そんな簡単な物ではありません。
例えばVivyの立場になって、対象を壊せと言われた場合、壊せるだろうか?

そのAIに悪意がないのに?
本当か嘘か解らない情報で?
起きるか起きないか解らない事件の為に?

無理です……私もマツモトの様に割り切る事は出来ません……壊せと言うなら確信が欲しいです。
だから、中々作戦に踏み切れないVivyには共感出来たし人間らしさを感じるエピソードでした(⸝⸝⸝´꒳`⸝⸝⸝)

{netabare} ここで実はモモカの妹のユズカと出会います。
モモカは救えなかったけど妹は救ってあげたい。
{/netabare}
そんな気持ちが今回はVivyに戦う理由を与えた様に見えました(*ᵕᴗᵕ)ウンウン

ラストの{netabare} エステラが残って落ちる宇宙ホテルの起動修正する為に残るのは少し感動しました。
最後に妹のAIエリザベスとも会話出来ましたし、避難する乗客を安心させようとする姿も凄く切なくて……最後まで凄く良いAIでしたね。{/netabare}

Vivyがエステラに聞いた「心込めるとは何か」エステラにはそれが解っていた。
だからVivyはその事が「{netabare} 「羨ましいなぁ」 {/netabare}って言葉が自然と出たのかな。


次はAI施設メタルフロートの機能停止

そして、もぅ1つテーマがAIと人間が結婚……

人とAI……私は誰かの恋は否定しない派です。
どんな恋もその人が選んだ恋なら応援してあげたいと思うからです。
でも、人とAIは私達の世界では感情移入が難しいですよね。

そして今回はその恋人AIがメタルフロートの重大人物。
メタルフロートの世界はロボット達の世界って感じで、何だか可愛い(⸝⸝⸝´꒳`⸝⸝⸝)
この子達の世界を停止しちゃうの?

{netabare}サプライズとか仕掛けてくれるし、人間が見てこれは可愛いとか、人の感想を気にしたり、人間が訪れた時のイメージは人間の子供達が楽しそうで、この世界のロボットは使命を前提に人の事を凄く考えてくれてるんだなぁ〜って、優しい世界に見えちゃうなぁ(* ॑꒳ ॑* )♪ {/netabare}

でも、停止しない訳にはいかないよね。
その為に居るのですから。
{netabare} そして、博士からメタルフロートの秘密を聞き恋人AIの使命がメタルフートの管理AIに書き換えられてコアになってしまった事を知る {/netabare}

それを聞いた歌姫ディーバは必死に考える。
{netabare} 救い出す方法を……それでも救い出す事が出来ない……だから、決意する。
彼女を壊す決断をする

彼女が、歌姫のディーバの歌を好きで居てくれたファンだと知った上で、ディーバでは殺せなくてもVivyとして、AIを殺すAIとして。 {/netabare}


博士は本当に好きだったのでしょうね。
{netabare} AIを好きになったのではなくグレイスだから好きになった。
だから、博士の生きる理由は彼女を救い出す事……博士にとってグレイスと同型機は沢山居るかもしれない。

でも、それじゃダメなんだ……想い出を共有したグレイスじゃないと……グレイスも博士だから好きになったって言ってたし……
そこに恋する気持ちは本当にあったんだよ。
人間もAIにも恋する心は確かにあるんだよ! {/netabare}

グレイスの使命は人の命を救う事……
{netabare} 使命は書き換えられてしまったけど、メタルフロートのロボット達はグレイスの意思をしっかり継いでいて……サプライズで歌を歌ってくれるロボット達の中々にも生き継いて……

でも、戦闘後は博士は自殺をしてしまう。
生きる理由と意味を見失ったのだ……
Vivyの両手はグレイスの青の血と博士の赤い血に塗れて……人を救うために戦って来たのに目の前で人を救えないで凄く残酷な描写でした。{/netabare}

ここでVivyの物語は幕を閉じてしまいます……

{netabare} 彼女は1度目の機能停止を迎える。

再起動を果たした彼女はVivyとしての記憶は無く歌姫とディーバとして暮らしていました。
以前の面影はなく全てに自信満々な彼女。
周りから信頼され尊敬される存在へと変わって居ました。

マツモトと再開するも記憶はなく……でも、マツモトとの口喧嘩も以前よりも同等に意見をぶつけて居ましたねw {/netabare}

さて、そんな最中で起きる事件はAIの自殺。

{netabare} Vivyは再起動したらしく私の最初の感想はアンタ誰?でした……
自信に満ちていてライブの中心に居て人当たりも凄く良くて。

実は彼女はディーバでVivyやディーバ時代の彼女ではなく再起動したディーバの別人格。
いや、人格と言うか……ディーバとしての記憶はあるけどVivyとしての記憶はない……それは……多分、博士の自殺にショックを受けて以前のVivyはVivyとしての記憶伏せた…… {/netabare}

最初は見ていると寂しくなりました。
何だか、違う彼女を見ているみたいで……

{netabare}マツモトとも以前とは全然違い対等に口喧嘩もよく言い合いしていましたし、むしろマツモトよりも色々と上手でしたねw
でも、ディーバは以前の記憶はなくて…{/netabare}
でも、大切だったと言う違和感だけを残ってて……


そこでマツモトに2人の関係を聞く。
そして、ぶつかり合いながら協力関係になりオフィーリアの自殺を止めようとするも……
{netabare} ディーバは敵の罠に……マツモトは今は居ないはずのオフィーリアのパートナーのアントニオと接触する。 {/netabare}

ディーバも戦闘は迫力がありました。
以前のVivyではなくても今のディーバに戦い方が……戦闘プログラムは身に付いていますね。
そして、この戦いでは2人が本当に協力しあえて戦えている気がしました。

一方、オフィーリアとアントニオ……彼らはパートナーであり理解者でもあった……
{netabare} そして、多分……いゃ、きっと感情があった。
それは、恋愛感情……
アントニオは使命よりも……オフィーリアも使命よりも歌をつうじて惹かれて行った。

一方、ディーバは打ち込まれた人格更生プログラムが完了を迎えようとする。
それはディーバの消去……彼女の死{/netabare}

でも……彼女は、それでも使命を果たそうとする。
それが彼女の産まれた意味で

ディーバはVivyに扉越しに話かける。
彼女の「私の歌声に足りなかったものが見つかった。」って言葉は、やっぱりVivyが必要だって言われた気がします。
やっと、1つになれる安心感。

「喧嘩しながらでもいいから」
そう、良いのです。
喧嘩しても……喧嘩をするのはお互いの意見を言い合える証拠。
そうやって成長するのです。
人もAIも。

{netabare} 「全部託すわ、私の使命もこの先の未来も」
彼女は居なくなってしまう訳じゃない……託すのだディーバはVivyの傍に居てくれている……姿は見えなくとも、言葉は届かなくても。

「貴女悩んでるんだって?どうすれば、心を込めて歌えるようになるのかって、解らない?私の歌を聴いても」{/netabare}

これは解釈によるけど……
{netabare} 私には、Vivyの頑張って来た記憶も記録も確かにあって、その中で沢山の人やAIに出会って、沢山の人の心やAIの心に触れていきた。

心には形がないし明確に見えないからVivyは気付けなかったけど、心は間違えなく彼女の心に根付いていて……ディーバが心を込めて歌えていたのは、その心が彼女の中で間違えなく芽吹いて居たからかな?って。

彼女はラストライブを「今日は完璧以上」って言っていたけど、それは、自分の心にあった違和感を払拭できて、自分が心を込めて歌える理由と自分に足りなかったVivyの存在に気づけたからかな?って……
{/netabare}

ディーバ引退。
{netabare} シンギュラリティ計画から60年の月日から5年後彼女はAI博物館に展示されていました。
ここで、少年に出会う。
オサム……彼は松本の製作者である博士で松本とは本来彼のこと。{/netabare}

ただ、彼女は歌えない………
{netabare} 彼女は心が解らなくなり歌うことが出来なくなります。
彼女は幼いオサムと競走をします。
彼女が歌えるのが先か、友達を作るのが先か……
この競走は彼女なりの優しさかな?
オサムは友達居なかった。

友達って居なくても生きていけるとは思います。
でも、友達って居た方が楽しく過ごせるのです。
Vivyは彼が友達と上手く接する事が出来なかったのに気が付いたから提案した競走…… {/netabare}
ここでも思いやりって心があるように感じます。

結果勝負は{netabare} オサムが勝つのですが、Vivyは曲を完成させます。
それは、彼女が歩んだ道で見た景色と感じた事沢山の経験の中で出会った人……そして彼女の半身ディーバと紡いだ1曲。
曲を完成させた彼女は疲れて眠ってしまう……
実はこの曲がEDになって居ます。{/netabare}

「シンギュラリティ計画」

そして、目を覚ました彼女の目の前に広がる風景は彼女が回避したいとマツモトと共に願い変えようとした未来の景色……

シンギュラリティ計画は{netabare} 失敗した。{/netabare}

{netabare} 松本は悲しんでいたけど……
ただ、この世界は何も変わって居ないのだろうか?
いいぇ、Vivyが目覚めて起動している事。
松本が起動している事。
博士の命が救われた事。

間違えなく良い方に変わってはいるけど……それでも最悪の自体に小さな希望があるレベルですが、これは凄く大きいと感じました。
そして、暴走AIは不気味に1つの曲を歌う……それは……その曲は彼女の作曲した曲

彼女は博士を助け「オサムさんが無事でよかった」と言います。
この言葉にだって心を感じますよね。
そして、Vivyと暴走AIとの戦いが始まる。 {/netabare}
戦いの舞台はアラヤシキ。

敵でありアーカイブ達AIが打った手が衛星落下……
Vivyはアーカイブにアクセスしアーカイブと対話をする。
{netabare} その対話内容はキーであり暴走を止める方法……簡単だけどVivyには簡単じゃない方法…

それは歌う事。
でも、それが難しいのは彼女が1番理解している。
だから彼女達はアーカイブを停止する作戦に挑むけど……失敗します。
完敗と言ってもいいくらいに……

彼女は歌うこともアーカイブを停止する事も出来なかった。{/netabare}
彼女は心を込めると言う事が解らないと言います。

ですが……心を込めるって難しいと思います。
私も心を込めろって、どう言う風にするのかって解らないし、心なんて人類にとっての永遠のテーマではないでしょうか?

そして、博士は最後の切り札を切る。
{netabare} Vivyに全てを託して……彼女が歌う為とAIを止める最後のチャンス {/netabare}

「シンギュラリティ計画を遂行します」

そう言う彼女は強い目をしていて私は凄く安心出来ました。

彼女は1つずつ救っていく。
{netabare} 先程までの世界線で救えなかった命を……
博士が決意してまでくれたチャンスを。

彼女が最後のステージ選んだ場所にはナビが居た。
ナビは必至にVivyを止める。

ナビの声が少し怒っている様に感情的になっている様に聞こえますが……それは。
彼女が歌う事で自分もVivyも消えてしまうから……でも、それは消えるのが嫌な訳ではないのです。
彼女はこれから先もVivyの曲を聴いていたかった…… {/netabare}

何故ならナビは……

実はこのナビはアニメでは出番が少ないのですが

{netabare} 彼女は歌姫ディーバの最初のファンなのです。
ディーバの歌を初めて聞いた初めてのファン。
このエピソードはVivyのOP主題歌CDにドラマCDとして封入されています。 {/netabare}

だから、聴いていたかった……
{netabare}例え人の居ないAIだけの世界でもずっと歌っていて欲しかった…聴かせて欲しかった……ディーバとしてナビとして……シンギュラリティ計画とか……AIしか居ない世界とか関係なくて……それだけだった。{/netabare}

彼女はユイに言います。
{netabare} 「私も貴女と同じ考えです。人間とAIは一緒に立って一緒に歩んで行くべきだと思います」

一緒に立って一緒に歩んでいける。

例えば、宇宙エレベーターでAIと人が当たり前に一緒に働ける世界だろうか?

例えば、人とAIが当たり前に結婚出来る世界だろうか?

例えば、使命よりも歌を通じて1番聞かせたい人に音楽を届ける事を優先できる世界だろうか?

例えば、AIと人が争わない世界だろうか?

例えば、AIを止める為にAIを……自身を破壊してしまう歌を歌わないでいい世界だろうか?

例えばAIが心を込めて歌いその歌で人が幸せになれる世界だろうか?{/netabare}

そんな未来の為に彼女は歌う……
そんな当たり前の世界を作るために……

{netabare} Vivyは「私の使命は歌で皆がを幸せにする事。その為に心を込めて歌うのよナビ。アタシにとって心を込めるって言うのは思い出と一緒に歌う事だから想い出が増えて歌う度にお客さんは沢山喜んでくれた。私はよく笑うようになった。私にとって心って言うのは思い出の……記憶の事なのよ」{/netabare}

Vivyの100年間って大変だった事が多かった。
でも、その100年間は沢山の思い出が詰まって居て……今の彼女があるのは……沢山の人との出会いがあったからこそで。

彼女は歌う……
{netabare} 歌が自分を滅ぼすことになっても……彼女の身体は歌が進む度にボロボロになる……身体から力が抜けて立つことすら出来なくなっても……歌を辞めない……だって彼女は心が解るから!
彼女は信じてる! {/netabare}
自分の歌が……声が!
未来を守る事になる!

人間とAIは一緒に立って一緒に歩んで行く……そんな未来を……信じているから。

{netabare} そして迎える終わりの時。
「ご清聴、ありがとうございました」
そしてVivyは2度目の機能停止する…… {/netabare}

EDでAIを踏みつける男性が居ました。
男性は家族を殺されたのでしょうか?
腹立たしいと思うだろうし、悲しいと思う……でも、争いなんて憎しみしか生まないし、それをみたAIはどう思うでしょうか?
それを繰り返しAIがみた時に数年、数百年後の未来で、どう判断するだろうか

でも、別の男性が止める描写がありました。
その人はVivyが助けた人物でした。
そこに希望の1つがある気がする描写でした。

人とAIはやり直せる。
一緒に歩んでいける。

そう確信したVivyの決断と戦いを止める為に優しく歌うディーバの歌声が止めた戦いと、未来への再スタートの歌

今回の事件はVivyと松本だけでは止まりませんでした…… {netabare} 人とAIが協力してやっと止められた。
人とAIが協力すれば、なんだって出来る。{/netabare}

人間が居たから{netabare} とVivyは歌う事が出来て配信もできた。
Vivyが歌ってくれたから戦いは止められた。
救われた命も少なくはないはずです。{/netabare}

それこそ協力関係です。
どちらかが居なければ達成出来なかった事。
戦いの中で失ったものは大きいけれど……

Vivyと人が紡いだAIと人の未来が幸せてありますように。

私はこの作品を見てAIの心ってあるのかな?って考えて居ました。

人間には心はありますが、心とは何か形もない不確かな物で科学でも明確な正解はありません。
じゃ、人間の心って何故あるの?いつから?

私の出した答えは……産まれた時は多分心はないのかも知れません。
でも、過ぎ去る時間の中で両親や友達に接して行く事で沢山の気持ちが生まれていく。

私は私の心が、いつからあるのか解りません。
何故なら知らない間に芽生えていたのだから。

沢山の愛を知って。
沢山の優しさを感じて。
沢山の悲しみを乗り越えて。
沢山の喜びを分かちあって。

そこで、感じた事が心に刻まれて心が作られていく。
笑って泣いて怒って喜んで心は出来ていく。

Vivyもそうなんです。
Vivyは苦難を乗り越える度に知らない間に心が芽生えていく。
その証拠に{netabare} 物語の冒頭のOPのライブ演出で毎回、人が増えてステージが華やかになっていましたよね?
あれはVivyが沢山の気持ちを知ったからなんです。
沢山の事件の中で沢山の気持ちに触れて来たから……
{/netabare}

AIに心があるのか……
実際は解りません。
でも、この作品のVivy達には心はあると私は感じました。

現実世界で、先の未来でAIが街を歩いて居る世界は、きっと来ます。
その世界では、私達とAIが一緒に学校で生活したり、仕事をしたり、友達になったり、結婚したりしているかも知れません。

その頃には私は居ませんが……そんな未来のAI達に心はきっとあると思いたい。
どうか、そんな先の未来でVivyの世界の様な戦争が起きませんように。
人とAIがどうか手を繋いで作り上げていく世界てありますように。

でも、全てのAIにはきっと心の種を与えられています。
その種とは、人がAIや初め物を作る時に、誰かの助けになったら、もっと便利になったら、そんな気持ちを乗せて作るものだと思うんです。

つまり、人が心を込めて作り上げる。
だから、AIを初め産まれてくるものは少なからず心が込められているものかも知れません。
それが心の種になるのかもしれませんね。

最後にVivyとマツモトについて。

私は冒頭でVivyは人間らしいAI。
松本はAIらしいAIと書きました。

2人の関係は危うくて……でも一緒に苦難の乗り越える度に2人の絆は強くなり。
Vivyに影響されたのか松本にも心が芽生えてきたように思います。
マツモトの言う「ディーバではなくVivy貴女の曲を聴きたい」いいセリフですね(ˊo̴̶̷̤ ̫ o̴̶̷̤ˋ)

ラストに{netabare} ショートカットのVivyとマツモトが出てきましたね。
この2人は次は歌で沢山の人を幸せにする為に組んだのかもしれません。 {/netabare}

だって、そうでしょう?
AIと人が一緒に立って一緒に歩く、そんな未来にVivyとマツモトが居ないなんて考えられませんもの(⸝⸝⸝´꒳`⸝⸝⸝)

でも、もしかしたら同型機種なだけかもしれません。
例えそれでも、彼女達が紡いだ未来は平和で人がAIの歌を楽しめる世界になっている証拠です。

Vivyとマツモトのシンギュラリティ計画は成功したのです。
彼女達の紡いだ未来が、これからも平和でありますように。

では、私も最後にこの言葉で〆たいと思います。
「ご清聴(レビュー拝見)ありがとうございました」(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾

投稿 : 2024/11/02
♥ : 41
ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

AIの主人公を起点に未来を想像する物語

世界観:8
ストーリー:7
リアリティ:6
キャラクター:6
情感:7
合計:34

あらすじ

「私の使命は、歌で、みんなを幸せにすること」
史上初の自律人型AIとして生み出され、複合テーマパーク”ニーアランド”で活動するヴィヴィ。「歌でみんなを幸せにする」という使命を与えられたヴィヴィは、ステージで歌っている最中、マツモトと名乗るAIの接触を受ける。困惑するヴィヴィに、マツモトは「共に歴史を修正し、100年後に起こるAIと人間の戦争を止めてほしい」と協力を求め――。
(公式サイトより)

当方の近況について(作品に直接関係ないので閉じておきます)
{netabare}あにこれでのアニメ感想投稿は久しぶりです。
ほぼ休止期間にもサンキューをいただいた方々には御礼申し上げます。
仕事は相変わらず多忙で、更新頻度はもちろんアニメ視聴機会も僅かなので、当面は年に数作くらい視聴・UPできれば御の字かもしれません。

ちょっと脱線すると、あにこれでサンキューを頂くことは素直に嬉しく、モチベーションになっていたのですが、そのためにアニメ視聴を増やし、作品への思い入れの差により、中身の薄い感想を書いてしまうことも当然にありました。
(これは良作ばかり見過ぎて平均点が高くなりすぎなところへの配慮もありましたが。)
仕事が多忙になったのは事実ですが、他の趣味やプライベートも色々とあって、自分のアニメ評価軸ができたことに満足したことで離れていたら、これが全然書けなくなってしまいました。

私のあにこれ参加は2015年くらいで、新参者の当時にメールでやり取りさせていただいたOZさんやゆりなさん等とトータルでのサンキュー数が同じくらいにまで来られたのは光栄なことですが、(特に交流が深かったわけではないですが)去ってしまわれ、最近の作品についてのレビューが見られなくなることはやはり寂しいもので、自分も同じ道を辿っているようで、少し思うところがありました。
私のレビューは感想駄文にすぎませんが、批判ばかりになってしまうものを除き、しっかり書ける作品については更新したいと思っています。

これまでの期間では他に、鬼滅遊廓編、王様ランキングの1クール目や、タクトオーパスを視聴しましたがスルーですね。
それから、ちょうど今週になってアニメ視聴意欲が出てきたので、今期の期待作を調べ、SPY×FAMILY、パリピ孔明を視聴してみたところ、楽しめているので、これらはレビューできるかもしれません。
また、レビューを楽しんでいただける方はサンキューなど反応いただければ幸いです。
(メッセに対応できるかは状況によりますので…すみません){/netabare}

さて。レビューに入っていきます。
最近はアニメ視聴自体がめっきり少なくなっていたので、原点回帰して、あにこれでの評価の高い作品を視聴することにしまして、昨年のテレビアニメで評価が高く、ジャンプ系や話が続き物を除いたところ、本作がピックアップされた経緯です。
ほとんど情報を入れずに見たので、自分の好きな時間経過のある物語だったのは嬉しい誤算でした。

世界観からですが、本作は楽曲が良かったですね。OP曲の「Sing My Pleasure」は登場が3話か4話だったと記憶していますが、飛ばさないで毎回聴いていました。どんなに気に入る曲も初めに聴いた時はそうでもないものですが、今回も同じで、はまったのは終盤になってから。

きっかけは、たまたまYoutubeのグレイスver.の小玉ひかりさんの弾き語り(https://www.youtube.com/watch?v=7yNzSBcx1xw)を視聴してからでした。(「感謝と宇宙一杯の花束を」の歌詞センスに脱帽)
また、それを期に、本作は楽曲の歌い手が既に名のある歌手ではなく、Youtubeで有名曲の弾き語りをカバーしているような方を多数採用していることを知りました。

{netabare}エステラとエリザベスの歌った「Ensemble for Polaris」、オフィーリアの歌った「Elegy Dedicated With Love」等、いずれも素敵な歌声で、(既に他にも例はあるのでしょうが)こういう形で歌手デビューの道が開けるという可能性があるのは素晴らしいですね。

ED曲「Fluorite Eye's Song」はインストゥルメンタルでこちらは飛ばしてしまいがちでしたが、終盤になってヴィヴィの作曲した曲とわかり、最終話で歌詞が乗ることになるという仕掛けがありました。欲を言えば、この曲にもう少しパンチがあれば尚良かったかもしれません。

作画は全体的にはそこまで優れた感じはなかったですが(鬼滅を見て目が肥えすぎている…)、時々とても描き込まれていました。

人間とAIのシンギュラリティポイントという舞台設定は興味深く、どんなに人間がAI(ロボット)に、人間に反抗しないためのプログラムを組み込んだとしても、人間がDNAを操作しようとしているように、AI自身がプログラムを書き換えることは可能になるのでしょうし、火の鳥のように、複数のAIが自分の正しさを主張して戦争になる、という可能性も考えられ、なかなか現実味のある未来の問題のように思います。

ストーリーは、上記のシンギュラリティによる問題をテーマに見せつつ、「心を込めるとは何か」(心とは何か)、という問いかけをしているところがメインテーマでしょう。

2話区切りで進む「DARKER THAN BLACK」のような構成で、それぞれ、相川議員襲撃事件、落陽事件、メタルフロート事件、オフィーリアの自殺、といったシンギュラリティポイントで正史を修正していくことになり、それぞれの時間は飛び飛びになっているので、ほぼ2話完結で話は進みます。

初見時はかなり速く感じて感動しにくかったのですが、2周目以降、4話に感動できるようになりました。限られた時間の中で必要な伏線や細かい描写(例えば、相川議員襲撃事件で相川議員を救出中、相川議員の眼鏡に細工をしてヴィヴィを警備AIに見せかけているとか)をしていて、それぞれにアクションシーンが入ってきて盛り上がりもあり、練られた構成であると感じます。そこはオリジナルアニメの強みを活かせていたのではないでしょうか。

リアリティにも関係する設定としてのストーリーについて。本作はシンギュラリティポイントの事件を防ぐ(正史と同じにしない)ことで未来を変えようというお話なのですが、例えば相川議員の殺害やオフィーリアの自殺をその日に防げたとしても、後日実行されてしまう可能性は非常に高いように思われますし、ひとつ歴史を変えたとして、修正史の世界線では正史と異なる出来事が少なからず起きて連鎖していきますので、次のシンギュラリティポイントを事前に特定することは最早不可能ではないかと思われます。アラヤシキ(アーカイブ)のAIが、修正史を正史に近づけたというのもそれ自体おかしな話で、AIも他の世界線を認識することは通常できないはずです。

例えば、グレイスのパートで、人間とAIの結婚がシンギュラリティポイントとされていましたが、AIが本作ほどに精巧に作られる時代には、人間とAIが、戸籍上の婚姻関係を結ばずとも、事実婚状態になるケースは多数想像できますし、他に誰もいない教会?で挙げられた結婚が歴史の転換点になるとは思えないのですよね。

AIを滅ぼすのであればシンギュラリティポイントで歴史を変えるとかではなく、アラヤシキを直接攻撃したり、AI発展に貢献した技術者を消すことのほうが重要だと思われ、その視点を持つと、AI発展側に立つ人や組織というのが当然出てくると思うのですが、あまり登場しません。

シンギュラリティ計画を設定と見なしてしまえば大きな抵抗はなく視聴できたものの、こういった観点で、手段としてのシンギュラリティ計画や高所からの視点で物事を語るマツモトに、やや違和感がありました。緻密な構成にもかかわらず、本作の点数が伸びなかったのはそういった理由からではないかと思います。

あと、リアリティ面について、AIは額を合わせることで、情報交換ができるというのがありましたが、あれはエモさを出す演出で、無線なら離れていても可能だし、有線ならケーブルでやるっしょ、と思いました。

キャラクターについては、マツモトがコミカルで良かったですが、主人公のヴィヴィ(ディーバ)も含めて、キャラ自体に魅力を持てるまでに至れずでした。

ヴィヴィは歌姫AIなので、多少派手なドレスを着用することは自然であるものの、アニメあるあるですがサービス的に露出度の高い服装なのは、キャラの性格も踏まえるとちょっと気になりました。小学生が社会科見学に訪れる博物館での衣装には配慮してほしいですね。
その関連で、女性型のロボットの胸の大きさは、基本的にはマネキン程度になるのだろうなとか、乳首は不要なのでアニメ的には露出OKなんだろうなとか、余計なことも考えてしまいました(笑)

情感については、4話のラストがMAXだったでしょうか。全体的に、個々のエピソードが短いのと、ロボットが主人公なので共感がややしにくいと感じました(AIが感動的な言動をしたとして、それがAIの感情から来るものなのかが理解できない)。2周目で7点に上げましたが、初見の方には6(ほっこり)くらいが期待されるレベルと思います。

ヴィヴィがメインテーマである「心を込める」ことをどう消化(昇華)していくかが、本作の成否を左右する見せ場だったと思います。落陽事件において、エステラの「お客様に笑顔になってほしいと願うこと」という解釈を聞いて、ヴィヴィの「悔しいな」という言葉につながったように思いましたが、最終的に彼女が見いだしたのは「思い出と一緒に歌うこと」でした。

アニメでは、過去のシーンを被せながら、歌を流すことでそれを表現することは可能です。しかし、その回答では不足だったように思いました。人間らしい心とは何かについて、状況によって解が異なるような気もしますが、個人的には「共感力」が重要だと感じています。

心ある人間かどうかについて、相手のことを慮れるかという角度で評価することがありますし、「人間性」という言葉がどういう意味で使われるかを思えば、そんなに変な解釈ではないかと思います。
(私の子供の話ですが、劇場版鬼滅のラストシーンで全く泣きません(涙)。アニメの感動シーンで泣けるようになるのも人間性の成長が必要であり、全うな人間としての他者への共感力がまだまだ足りないのだと思います。)

ヴィヴィの回答は自我を超えられていない点で、エステラの相手の反応を前提とした解釈よりも見劣りしているのではないか?と思ってしまったこともまた、本作の惜しい点ではなかったかと思います。

この議論自体、博士が言うように「言葉遊び」かもしれませんし、ヴィヴィの歌を担当した八木海莉さんが、この点を「思いを込めた歌が相手に届いてその人の心に残ること」とインタビューで語っているので、やはり、歌は良いのですけれども。{/netabare}

展開が速く、7話あたりでは話についていけるか不安になるかもしれませんが、終盤はしっかりと時間経過のある作品としての伏線回収等を楽しめる作品で、見て損はないかと思います。

(参考評価推移:3話4.1→4話4.2→7話4.1→8話4.0→9~13話4.1)
(2022.3~4視聴)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 28

85.0 9 切ないで感動なアニメランキング9位
ef - a tale of melodies.(TVアニメ動画)

2008年秋アニメ
★★★★★ 4.1 (1580)
8449人が棚に入れました
天才美少女の広野凪にいつも振り回されている火村夕は、ある日、雨宮優子と言う不思議な少女と出会う。優子は夕の事を知っているようだが、彼女の事は夕の記憶には無かった。優子は、夕に不可解な言葉を残して立ち去る。
一方、従兄妹の麻生蓮治の家に泊まりに来ている羽山ミズキは、美しいヴァイオリンの調べを耳にする。それは蓮治のお隣さんの音楽家、久瀬修一の奏でる演奏である。蓮治の母、麻生すみれは、休暇中のミズキの世話を久瀬に頼むのだが--。

声優・キャラクター
中島裕美子、遠近孝一、後藤麻衣、浜田賢二、伊藤静、古澤徹
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

efの集大成、演出が奏でる音色

原作は未プレイです。
内容は1期の「ef - a tale of memories.」の続きとなっています。

1期レビュー→http://www.anikore.jp/review/397865

1期で残された謎や伏線を回収しつつ、現在・過去・未来、重なりつつも進んでいく。
まるで1期と表裏一体の世界にいるような感覚。
{netabare}
しかし、ほんとに表裏一体だったとは……音羽というそっくりに作られた二つの街。

一瞬入る雪の結晶のような演出。
吐く息が白いかどうか。
雪が降っているかどうか。
服装はどうか。

それで舞台がどちらなのか、1期の時点で判別できていたんですね。
{/netabare}
また、シリーズを通し、最初から最後まで演出が光り続けた作品でした。

・キャラに語らせる。
・動きに語らせる。
・背景に語らせる。
・音楽に語らせる。
・色に語らせる。
{netabare}
melodies=音色。
「音の色」。ちょっとダジャレが入ってますが、色の使い方が秀逸です。
差し込む光の色。
キャラクターの目の色の変化。
キャラクター目線での世界の色の変化。
室内で光になっている部分と影になっている部分の違い。
そういったものが、キャラクターの心理状態を表しています。
{/netabare}
1期同様、見る度に新しい発見があります。

そして、OPがすごいですね!
「ebullient future」。
和訳すれば「あふれるような未来」。
頭文字を取れば「ef」。
{netabare}
OPがどんどん変化していく。

時には色が薄れ、時には色を失い、時には誰もいなくなって、音すらも失う。
しかし、それでも少しずつ色や形を取り戻していく世界。
{/netabare}

普段は飛ばしてしまうことの多いOPやEDテーマ。
しかし、この作品でそれをやってはいけません。
「きこえますか?真実のメロディ」がキャッチフレーズ。
この言葉を守りましょう!

{netabare}
11話で1期のメンバーが集ったときには2回のOPが。
しかも、1期のもの。
しかし、姿は消えることなく形を保ち、傍らには誰かがいて、鎖は破られる。

最終話のED。
……今までのOPやEDでは見えなかった人々の姿が現れ、ついに彼は束縛から抜け出し、すべては色を取り戻す。

もはや、OPとEDだけでストーリーができあがっています。
{/netabare}

ストーリーもクオリティが高いし、演出も相変わらずすごい。

まあ、突っ込みどころが無いわけではありませんし、演出の完成度は、1期の方が上の気がします。
しかし「1期と比べて」というだけであって、これ単体での演出力も相当な高さです。
1期から積み重なってきた物語と演出の集大成が、大きく心を揺さぶってくれます。

最終回、最後の5分の演出は……・゚・(つД`)・゚・ ウワァァァン


残されたテーマ。

{netabare}
最後のセリフ―

街を風が吹き抜けていく。

風は冷たく、時には立ち止まってしまいそうになるけれど。

そういうときは、ゆっくりでもいいから進んで欲しい。

いつか必ずたどり着けるから。

悲しいことがあっても大丈夫
手を伸ばせば、そこには誰かがいて。

ぬくもりを分け合うことができるから。

ひとりでは辛い道のりも、つないだ手を離さなければきっと乗り越えられる。

だから、あきらめないで。
長い長い道の先には、幸せが待っている。
幸せが重なり合い、さらに大きな幸せに。

そして、いつの日か気づいてほしい。
あなたがあるいてきた道の途中に、いくつもの幸せがあったこと。

忘れないで、あなたはひとりぼっちじゃない。
確かな足跡を刻み、季節を越え、空を見上げて

翼がなくても、きっと行ける

いつか夢見た

光あふれる「明日」へと――


重くて辛い苦難の中、みんなが諦めないで努力して生み出した絆。
その絆と絆がつながり合うことで、奇跡のような結末へと繋がる。
偶然でも何でもない、そこにあるのは必然。

そして流れる「ever forever」。
また「ef」。
{/netabare}
切ないながら希望を与えてくれる言葉。
これが、この作品にこめられたメッセージそのものですね。


なお、同時期に「とらドラ」「CLANNAD AFTER STORY」「とある魔術の禁書目録」などのビッグタイトルが放映されています。
その影に埋もれた、ある意味不遇なアニメですが、アニメーションの力を存分に引き出した、非常に完成度の高い作品です。

シリアスな内容なので、苦手な方もいるかもしれませんが、私のお気に入りのアニメ。
1期から通してぜひ観て欲しいと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 67
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

想うことを、夢を、自分を、諦めない限り・・

音羽というだけでハッキリした地域は指定されていないが
数年前に大きな震災があったという設定のもと、展開されているこの物語。
2期であるこの「melodies」のほうでは、震災で失ったものや
背負うことになった心の傷がより色濃く描かれていた。
震災後に復興し美しい街並みが再建されてもなお、あちこちに残っている瓦礫は
心にある過去の傷のようで、それを覆うように隠すように、
仮面を被った表面上の性格を街並みが揶揄しているように見えた。
でも、どちらも存在している街に変わりはなく、どちらもその人自身である
ということを忘れてはならないのだろうと思う。

そしてオーストラリアに作られたという同じ「音羽」の街は
地震後の瓦礫も傷もないままの作り物の街であり理想であり、
夢が具現化された街ということなのかもしれない。

そういったことと並行して、1期で詳しく描かれていなかった大人たちの過去と現在。
火村の背負うものと優子の関係、義兄妹である優子と雨宮の事情、
ヴァイオリニストの久瀬が抱える苦悩とミズキの関係がじっくり描かれる。

女好きで人懐っこいが {netabare}死を覚悟した持病を持っているため {/netabare}
「清算」といって次々関わりを捨てているくせに孤独と死を恐れている久瀬。
彼は負ける勝負は最初からしないというタイプの負けず嫌い。

人を寄せ付けようとせず一定の距離を保ち、
過去の悔いをいまだ引きずっている火村は、勝ち負けで勝敗を決めるのではなく
ただ想いに対して素直に行動を起こすのみと思っているふしがある。

高校時代からの友人であるこの2人、さまざまな部分で対照的だが、
ミズキという無邪気な少女がもたらす夢という未来に少なからず影響を受け
勇気を持って変化していくその様が、観ていてとてもホッとできた。
また、このミズキ自身にもつらい過去はあり、達観して見えるのも
ふとした表情に翳りを感じさせるのも、どこか自分をごまかして見えるのも
後の展開で理由がわかり、「そうだったのか」と納得させられた。

そして、優子については1期で謎だった部分、
まだ語られていなかった大きな意味のある部分が明らかになり
彼女の深い苦しみはもちろんのこと、義兄である雨宮の苦悩と狂気も
許されることではないものの理解はできたし、哀れに思えた。
それだけに彼の最後の決意と選択には、胸の引き裂かれる思いがして悲しかった。

悲しみを人一倍知ってしまっている優子は、その名のとおり
誰に対しても優しく平等で、それがとてもせつない。
彼女の居場所は結局、現実的には教会なのかもしれないが
それでも関わったたくさんの人達の心の中に存在しているのが、せめてもの救い。

人は、心があるから悩み、苦しみ、生きているから辛いこともあるけれど
それを知ってるからこそ幸せを感じることができる。
そして、幸せなこと、楽しいことを記憶しているから離れがたい。

1期よりも、僕の過去や現在と重なる部分があまりにたくさんあって驚いたが、
そのおかげで深く共感できた分、こちらの2期のほうが好み。

1期でも語られていた想いは、さらに掘り下げられ、
最終回のエンドロールの途中で登場人物たちによって語られる言葉の数々は
日々、自分でもよく感じ、今まで信じて人にも伝えてきたことばかりだったので
深く共感したし、自分もこのまま前に進んでいけばいいのだなと思えた。

それにしても、凝った演出、練り上げられたシナリオ、
風景の美しさ、そして音楽がとても素晴らしかった。
正直言うと、女の子たちのキャラデザだけはあまり好みではなかったのだが
物語の深さと濃い演出で、まるで気にならずに最後まで観れて本当に良かった。

あにこれに参加していなければ、縁のなかった作品だったと思うので
良い作品に出逢えたことにも、心から感謝している。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 41

せもぽぬめ(^^* さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

初体験させてもらっちゃいました(^ー^* )フフ♪

■「memories」を観てから「melodies」を観ましたか!? (^・ω・^).....ンニュニュ?
「memories」を観ていない方がいましたら、気を付けてくださいね♪
えっと、スペルがなんとなく似ていますよねw実は・・・私の家の近くのレンタル屋さん・・・(;`O´)oコラー!
やっちゃっていました・・・最初に並んでいたのが「melodies」だったのですwww
しょうがないのでそっと直しておきました・・・・o(`⌒´*)oエッヘン!
 
とまぁ~前置きはさておき、「melodies」を視聴して思ったのですが、
「ef」は「memories」と「melodies」を1期2期と分けて考えてはいけない作品だと思うのですよ♪
2つ合わせてひとつの「ef」なんです!!
それを踏まえた上で・・・・・・・名作と呼ばざるを得ないでしょう(」゚ロ゚)」(」゚ロ゚)」(」゚ロ゚)」オオオオオッッッ
 
■ここがすごいよ「ef」
演出は「memories」のレビューでも書かせて頂きましたのでここでは省略しちゃいますけど、
引き続きストーリーに深みを与える演出でよかったと思います。
それよりも光っていたのが、シナリオ構成に非常に感心させられちゃいました♪
 
前作の時と同様の手法なのですが、本作品では「過去」と「現在」が交互に語られていくのです!!
しかも、前作ではなかなか気付きにくいですが、実は、2つの音羽町が存在しているのですね♪
日本の音羽町とオーストラリアの音羽町なのです☆彡
「memories」ではサブキャラの設定だった「久瀬 修一」「羽山 ミズキ」「火村 夕」「雨宮 優子」
がメインで物語が展開していくのです♪
時空も違う、そして遠く離れた2つの音羽町で、とっても切なく悲しい物語が展開されていきます。
 
でもね、物語が進むにつれて、不思議と遠く感じられた距離がだんだん近く感じられるようになって
くるのです♪
そして最後は「memories」と「melodies」でバラバラだった関係や想いがすべて繋がって見事なまで
に融合した結末がまっているのですよーオオーw(*゚o゚*)w
だからこそなのですよー♪「memories」と「melodies」で「ef」なのです☆
そうです・・・「それぞれの想い」と「それぞれの旋律」が重なった時、「ef」が完成されるのですね♪
 
■旋律=メロディーについて
なんと・・・私は「melodies」で貴重な初体験を経験してしまいました!!!(* v v)。ハズカシイ・・・
バイオリンの音色でホロリと涙が零れ落ちたのです・・・しかも・・・まだ物語の最初の方の演奏でww
そんな調子だったので、優子やミズキちゃんの歌を聞いた時は・・・(TT▽TT)ダァー でした!!
おそるべしって感じでしたね♪
もちろんOP曲やED曲も胸にジーンと来ましたよ♪でも「A moon filled sky」は凶器ですw
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
生きる勇気と~抱く未来と~皆がくれた強さ~愛を信じて~
細い指先~綺麗な瞳~忘れないのmemory~刻む面影~
もっときっと遠くを~夢に目指して~私寝顔思い出す~触れる幸せ~
空の彼方に~届いて願い~心遠く飛ばすわ~私と歩こう~
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
ところで皆さんは、途中で割り込んでくる 『01「Mut」』とかの意味は分かりましたか?
どうしても判らない人は、メール頂ければこっそり教えてあげますよ(゚ー゚☆キラッ

投稿 : 2024/11/02
♥ : 47

87.5 10 切ないで感動なアニメランキング10位
ef - a tale of memories.エフ・アテールオブメモリーズ(TVアニメ動画)

2007年秋アニメ
★★★★☆ 4.0 (2434)
12458人が棚に入れました
広野紘と新藤景は幼馴染の間柄。紘はクリスマスの夜、景のパーティーに呼ばれていたが、ふとしたキッカケで宮村みやこと遭遇し、紘はマイペースなみやこに振り回されるはめに。
紘のクラスメイトで映研部員の堤京介はクリスマスの街を撮影中、雑踏の中に少女の姿を見つけキャメラを向けるが、つい彼女の姿を撮りそびれてしまう。
一方麻生蓮治は駅で新藤千尋と出会う。翌日、そしてその次の日も蓮治は無人駅におもむき千尋と再会するのだが…。

声優・キャラクター
田口宏子、岡田純子、やなせなつみ、後藤麻衣、下野紘、泰勇気、高城元気、中島裕美子、遠近孝一、浜田賢二
ネタバレ

bana-g※更新減 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

「a tale」でも安易に「tale」へ逃げない所が魅力の一つ。最高のエンディング。

原作未プレイ。
評価対象はあくまで「ef - a tale of memories」のみ。
二期の存在を知らないという前提で評価してみる。


ファンタジー風の装いに反して内容は非常に現実的だった。


ストーリー上追うべき内容は大まかに4点。

物語A:蓮治×千尋

物語B:紘×みやこ(×景)

物語C:京介×景

物語D:火村×ユウコ



{netabare}しかし、全12話を通して解釈としての結論まで辿り着いたのはAとBだけだろう。


加えて、物語Bは演出面で非常に目を引くシーンは多かったが(尺不足?による)展開の強引さも含め、シナリオとしては取り立てて論じるほど興味魅かれるものではなかった。
個人的には、メインこそ物語Aであり、あくまでも物語Bは全体が引き立て役のような印象を受けた。

だが、敢えて言うが、物語Bが不要かと問われれば断じてNOだ。良い意味での無難さを一方に据えたからこそもう一方がここまで輝いた。
そういう意味では、展開の手法は別としても、内容のバランスは非常に良かったと考えている。


よって、本レビューでは物語B、C、Dについてはほぼ割愛する。
まぁ二期まで視聴すれば特にC、Dには触れたくなるかもしれないが。



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◆並行した独特の展開-----時間軸は?◆


物語Aと物語Bが並行して進んでゆく。
途中までこの手法に凄く違和感を感じていたせいで深読みしてしまった。
蓮治が「まさかお姉さんと入れ替わったりしてないよね?」と冗談めかして尋ねていたが、
私が考えていたのは、こいつら(=物語AとBの登場人物)って本当に同じ時間軸を生きてるの?ってことだった。


双子の姉妹なのに全く会話もなく、接点と言えば近況報告のメールくらいしかない景と千尋。
サムライ・フラメンコのあの人じゃないけど、もしかして自作自演?みたいな。
本当は時系列がズレていて、景は死んでいて、携帯の写真はただのメモリー。
お姉ちゃんが買ってくれた洋服は形見として大事にしまっていて.....いや完全に深読み妄想勘違いでしたけど。


でも本当に違和感はなかなか拭えなかった。
普通だったら、障害を持っている大事な妹に近づく男がいれば、素性なり人柄なりを直接会って確かめてみたくなるものだと思うんだよね。


同じ学校の図書館まで毎日の様に出向いて弁当食って過ごしてるんだから接点くらい作れるでしょう。
物語AとBを多少交わっても、決して混ざり合わないようにしたかったのはベクトルの違う物語を展開する上で都合が悪かったのかもしれないが、
ファンタジーに頼らない現実思考の話だからこそ、そういう点がむしろ気になった。


まぁ物語Aで良き助言者である、久瀬や火村があっさりと助け船を出して解決できるようなら、物語Bはああも痛々しく生々しくはならなかっただろうから、それを見越しての設定なのだろう。




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◆流石シャフトと言わしめる圧巻の演出-----その裏表◆


全話を通して、シャフトの工夫を凝らした独特の演出が単調なシーンをさも意味あり気に彩る。
目線一つ、唇の動き一つ、些細な所作で好意や照れを表現する演出、効果的なアングル、色使いは見事としか言えない。


要所要所にモノクロを用い、白黒の世界から色付き変わっていく様が登場人物の内面にある感情の灯りと絶妙にリンクしていて、
正の感情を直感的に掴みとれた。


何気ない会話シーンを敢えて背景の美しさに目が行くようなロングショットで描く場面も多く、
「恋愛」というありきたりだが決して広くはないカテゴリの中を、ファンタジーに拡張してしまい縛りから逃げることも
恋愛モノのお約束を機械的に詰め込んだマンネリな描写で妥協することもせず、魅せ方の工夫を貫いて完成度の高さを維持した点はさすがのシャフトだと思う。


ただ一点の気懸りを挙げれば、上記の裏返しに「演出過多」の危うさがあるという事だ。
演出とはあくまでシナリオを効果的に伝達する、潤滑油だと思っている。
もしくは、単調さを回避する作品自体のアクセントとしての働きか。

7話の{netabare}文字だらけでべったりと埋め尽くされる留守電 {/netabare}演出などは、一度目にすれば脳裏に焼き付くインパクトの有るもので、
{netabare} みやこの紘に対する想いの度合い、じわりじわりと強まる絶望が端的に表現されていて{/netabare}演出がシナリオを最高の形で導いた好例だと思う。



しかし一方で、同じ7話での{netabare}千尋の「恋人としてキスしても良いです。もうそういう”場面”だと思います」の台詞辺りから蓮治の狼狽・戸惑い・絶望までを表した一連の{/netabare}演出等は
それ以前のシーンとしてあった画面を覆う砂嵐のようなズレ演出の影響とあいまって、視覚的なインパクトが却ってシナリオの進行を阻害しているように感じられた。
まぁ私の汲み取る力が不足していただけかもしれないが。


突飛で目を引く演出は、視覚的なギミックとして工夫されたら工夫されただけ愉しめるものだろう。
だが、こと「恋愛」という多義的で、あいまいささえも時には脚本の一部として機能する分野においては
意図的なシナリオの不明確さを上手くカバーするという視点が考慮に入らなければならない。


物語は大前提として、伝わって初めて意味を持つ。
「おかゆアニメ」を作れと言っているのではなくて、バランスの問題かな。
奇抜な手法も目を奪う美しい場景も、物語というシークエンスから零れ落ちればそれはもはや本質を損なっているようなものだ。



故に、演出には最大限の配慮が求められると思っている。


一期のみでは最終話まで観ても明かされない謎、語られない事実、疑問がいくつか散らばっていた。
思わせぶりな演出や2つの物語が並行して進展するという独特の展開が、話数の進行に応じて理解の未消化部分を
どんどん増やしてゆく結果、それぞれの点が線として繋がり始める前に視聴を断念する原因になった人は割と多いのかもしれない。


脚本と演出の双方に、抜群の魅力と同時にわかりにくさの原因があったのは認めるべきだと思う。
ともあれ、二回観てしまいさえすれば、その両方を100%楽しむことができるので、実は特に大きい問題ではなかったりするのかも。ここまで散々好き放題書いておきながら何を今更...。




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◆小説の存在-----評価と世界観-----最高のエンディング◆


物語Aにおいて、12年と13時間の間を行き来する千尋が、唯一持ち続けられる夢だった小説。
全てが滅んだ世界で一人生きる女の子を題材としたこの小説の捉え方が、efという作品を評価する上で最後まで私を悩ませた。


作中で繰り返される火村の言葉


----「この世に奇跡なんてものは存在しない。あるのは必然と偶然。そして、誰が何をしたか。それだけだ」




これをありのままに受け止めればファンタジー要素による奇跡的な解決による結末を迎える可能性は排除される。

それでは冒頭からも登場している神出鬼没なユウコの存在をどう説明付けるのか?
彼女が現実に存在するならば一貫しているが、霊的・空想的存在として存在するならばファンタジー路線でのどんでん返しの可能性は否定できなくなる。


ベースをどちらに置くかで全く評価が変わるので悩んでいた。


----「女の子は世界に一人。だから彼女は神様だ」



小説に登場する彼女=ユウコの可能性まで考えてしまっていたから正直混乱した。
前述した7話での蓮治の内面描写を素直に受け止めきれ無かったのは、カミサマに都合のいいように運命(≒記憶≒想い)を弄られたからだと勘違いしたためだろう。他作品にCLANNADの例があったし、efには現実路線をそのままゆくエンディングを期待していた。




結果、小説は単なる小説だった。


世界を改変したり、超常の力で奇跡をもたらす類いのものではなかった。
千尋と蓮治の絆を深めるための、それ以上でも以下でもない小説そのものであり、心からの安堵を覚えた。

なぜならそれは、最終12話での結末に直結してくるからだ。

千尋の記憶障害が奇跡的に回復した、なんていう安っぽいハッピーエンドじゃない。


千尋(と共有した記憶)の死を糧に、蓮治が小説家を目指す覚悟をした、なんていうリアリティを追及した後味悪いエンディングでもない。


たったの13時間”しか”もたないメモ書き程度の記憶という否定的なニュアンスを、13時間”も”蓮治のことを考えないなんて無理だった、と言わしめたエンディング。
諦めない蓮治の想いがあったからこそ、小説作成の段階から何度も立ち止まっては支えてきた蓮治の献身的な態度があったからこそ、自分自身とまで言っていた日記をなくしても千尋の記憶に蓮治は生きていた。


奇跡に頼らず、諦めず、蓮治と千尋双方の努力をして成し遂げられた考え得る最高のエンディングだと思っている。


確かに、冷静に見れば、問題の根っこは何も解決していない。
今後も記憶のリセット、他にも辛い出来事は繰り返し起こり得るだろう。

しかし、そうした不安を払拭し、今後の二人の明るい展望を予感させる絆と強さを描き上げられたというだけで個人的にはこれ以上なく満足している。




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◆総評◆

物語Bはやや駆け足、一足飛びの印象もあったが其々が過去を清算し、不安定な自分から脱却できたのは観ていて割と気分が良かった。

物語Aに関しては、前述の通り大満足しているので追記すべきことは特にない。

演出の項でも書いているが、全体として理解の未消化部分が増えすぎると投げてしまいたくなるだろうが、
シナリオ自体は非常によくできている。一度で全て理解できなくても、一周すれば必ず何かしら心に残るものは有ると思う。
逆の言い方をすれば、長く付き合っていける作品だと思うので是非最後まで観てほしい。
少なくとも、比較的理解力に乏しい私でも二回観れば何となく理解できた。普通の人ならば或いは一回で大丈夫だろう。




結論:割とオススメの作品。








P.S

◆疑問点◆

同じ時系列上を進行しているとするならば「屋上の鍵」のリレー順が解らなかった。複数あるの?

紘の姉→紘 / 火村→蓮治 {/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10
ネタバレ

アムールトラ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

時には相性が合わない人もいたり(比較になってます)

何か良い作品はないかと探していたとき目に留まった作品です。
あにこれのレビューをざっと見て、記憶がなくなってしまう話であることと演出が神がかっていることを知り、期待絶大で見始めました。

はじめに立場を表明しておきましょう。
僕はこの作品が好きではありません。
でも、安心してください。こき下ろすつもりなんかないですよ。

★この作品は、紛うことなき名作です★
間違いないです。本当に凄い作品です。
皆さん口を揃えて名作だと言ってますし、僕も激しく同意します。
それはなぜかというと、

•刺激的な構成
•シャフトの本気(?)

です。まず、シャフトは本当に凄いですね。演出にかけては他の追随を許さない。
あの演出はまるで何かが憑いているみたいですよね。作品に吸い込まれるというか、心の奥底にぬっと湧き出てくるというか。
よく分からない求心力があって、いつの間にか見入ってしまいます。

efはその演出だけで感情を揺らしてきます。素晴らしい。
しかもそれがストーリーと組み合わさったものだから、最強です。
演出とストーリーの相性が抜群ですよ。こいつはかの化け物並みのシンクロですね。
名作ですよ。

ですが──。

★なんででしょう?★
どうしても好きになれませんでした。正直自分でも何故かは分かりません。

神演出。キャラの内面をきちんと描いていて、まさに生きています。
題材は記憶。シリアス大好きです。特に記憶ものは好きなのですよ。
設定が近いものでは一週間フレンズ。
設定は遠いけれども、CLANNAD、うたわれるもの、東のエデン。
状況が似通った、タイムリープもの。

全部好きですよ。むしろ嫌う要素が……ない。

じゃあなんで好きじゃないとか言うんだ?
――知らんよ。

★比較実験してみましょう★
そうだ、比較してみましょう。
分からない時は分かるところから攻めていくのがいいって誰かから聞いたので。

単独では分からないものでも、周囲のものとの比較で見えてくることがあるらしいですね。

という訳で、一週間フレンズと比較してみましょう。
efのレビューなんだから他のこと書くなって?
すいません。書かせてもらいます。一週間フレンズをまだ見ていない方も、ネタバレに注意してくださいね。

○あらすじ
まずはあらすじから。
だいぶはしょりますし、記憶で書きますから違うかもしれません。
しかも多分、偏見まみれです。
ですが、多少のことはご容赦をお願いします。

では行きましょう。

•ef
{netabare}
主人公は廃駅で少女に出会った。
少女は13時間しか記憶が持たなかった。
教会の神父さん的な人物が少女の保護者的立ち位置。
主人公は神父さんとの絡みもありながら、少女と仲良くなろうと奔走する。
記憶を留めるため、ノート(手帳だったかもしれません)に書き留める。
そんな日々の葛藤などを描いたストーリー。

そして、efにはもう一部ありますね。
漫画家の男の子と女子二人の三角関係を描いたストーリー。

二つ目なんか、あらすじですらないですね。すみません。
はいでは次です。一週間フレンズ。
efのレビューですが、これは必要なことなのです。
{/netabare}
•一週間フレンズ。
{netabare}
長谷祐樹は藤宮香織に一目惚れし、友達になろうと声をかける。
香織の記憶は一週間でリセットされる。
友人や香織の家族関係の中で展開される。
キーポイントは「友達になろう」。長谷は香織のために頑張る。
記憶を留めることは出来ない。日記としてノートに書き留め、それを見返すのみ。
そんな日々の葛藤などを描いたストーリー。{/netabare}

流れは相当似てますね。
あらすじを見る限りだと大きな相違点は、
•関係者の人数
•リセット期間
•記憶が残せるかどうか
あたりですか。

特に気になるのは「記憶が残せるかどうか」という点です。
{netabare}
efの13時間以内に思い出せば覚えていられるという設定は、現実的ですね。
記憶というのは定期的に思い出せば保てるものですから、納得できます。博士の愛した数式でも80分設定でしたしね。

しかし、なんだかしっくりきませんでした。
うーん、なんでだ?
こればかりは感覚なので、説明は難しいです。でも、敢えて言うなら、

全部覚えてるなんて、おかしいでしょ!

ということかな……?
efでは、ヒロインが記憶をなくさないように頑張ります。健気で、この場面にはぐっとくるものがありました。
ですが、頑張れば何とかなる道が提示されていたためか、記憶がなくなることへの恐怖が僕の中で半減しました。
そして、厳密な意味で、ストーリーに心動かされることが少なかったのです。つまり、演出に心を動かされただけという。
efを好きになれなかった原因。
忘れるはずじゃなかったのか、という肩すかし感が弊害となった可能性は高いです。


ちなみに一週間フレンズの方は記憶がすっきりきっかり全部リセットされます。理不尽にも、一週間という期間には手の施しようがない。
どうしようもないというのがぐっときました。

けど、何で一週間なんでしょうね。これ考え出すと訳分からないんですよね。原理とか。
実際には全く有り得ない現象じゃないかと思います。
一週間フレンズの記憶の消え方については現実的ではありません。efの方が現実的です。

ですが、『思い出』が全てリセットされていて、残っているのがノートで得た『知識』だけという点で、しっくりきたのです。{/netabare}


○舞台設定
これも好きになれなかった原因の一つでしょう。

•ef
教会が出てきます。
学校の制服はミッション系のものでよく見られるデザインです。
舞台は西洋でしょう。建物も西洋風です。
•一週間フレンズ。
日本のどこにでもありそうな高校です。
よくある制服です。
間違いなく日本です。

お分かりでしょうか?
『身近さ』というやつです。
僕はアニメにしても何にしてもばりばりに感情移入しています。
そんな僕にとって、efは少し遠かった。
わざわざ西洋にする必要があったのか、と嘆けます。

不意にパトスがほとばしってきたので、吐きます。下のやつは僕の闇です。
見ない方がいいかもしれませんよ?
{netabare}
ミッション系の制服は嫌いです。その中でもefの子達が来てるやつは特にまずい。
あれ、野暮ったいだけですよ。何であんなデザインにしたんでしょうか。土地狂ってんじゃねえですか?
二の腕辺りについているあのふわっとした提灯みたいなの、なんなんでしょう。
あれがムカつくのです。超ムカつくのです。あれ、邪魔なだけではないでしょうか。
ほんと、あのデザインだけは無理です。あれが複数人出てきただけで気が削がれるというかなんというか。
あんな服、消えちまえばいいのです。
※作品自体についての悪口じゃありません。尚、メイド服は含まれておりません。
※※引かないでください。
{/netabare}

○雰囲気の種類
efで演出された雰囲気はなんというか、近寄りがたいものでした。

絵柄について考えましょう。
•efの絵柄は、よくADVで見かける種類のやつですね。
顔が極めて小さく、目が大きく、髪が光沢を発するタイプです。目も光ってます。
•一週間フレンズの絵柄は、常時セピアが入ったふわふわなやつです。
特徴的なのは鼻の下。横顔になるととても長いです。あと、正面絵と横絵で鼻の位置が全然違います。目は一般的だと思われます。

別に、絵柄で選り好みはしません。一週間フレンズのやつは個人的にヒットでしたが、それだけで、efの絵柄も悪くないです。
しかし、今回ばかりは絵柄を攻めざるを得ないです。あくまで主観ですが、演出との相性が悪かったです。
efのキャライラストは主張が激しいです。目とか特にそうです。
そして、演出はシャフトです。当然演出力が強いです。
僕には、互いが主張して威力を相殺し合っているように見えたのです。

最初の方でストーリーと演出の相性がいいと書きましたが、
演出と絵の相性が悪かったのです。

僕のイメージでは、efのストーリーは高級品。精緻に作られていて、少しキザっぽい。
それに演出が加わり、程良く昇華されるはずでした。
しかし、絵の主張が強かったのでクドくなってしまった。

同じものを見ても受ける印象は様々ですから、こう思ったのは僕だけかもしれません。だとしたら、運が悪かったです。

★俯瞰してみて★
名作です。思い返して見れば、本当に良く出来ていました。
良いはずなんだけどなあ。
なんだか相性が合わなかったため、印象だけが悪いです。

体に良いことは分かっていても口に合わないから食べられないみたいな?

という訳で、よく分からないなりに分析してみました。
こんな感想もあるんだな、程度に見て貰えれば結構です。

必ずしもみんなが良いというものが自分に合うとは限らないですね。

p.s.まだ見ていない方。
二話までは何が何やらよく分からないまま見ることになると思いますが、そこから分かってきます。
そこまでは見ましょう。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 28
ネタバレ

takarock さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

3つの視点とシャフト演出

原作はアダルトゲーム。
2007年放送、全12話。監督:大沼心氏、監修:新房昭之氏、シャフト制作。
「ef - a tale of melodies.」という続編(2期)はありますが、
綺麗に物語が締めくくられているので、本作単体で楽しめる作品です。

私が本作を観終わった後の感想というのは、
「うん、なかなか良い作品だった。点数にすれば75~78点くらいかな」
というものなのですが、
あにこれを含む世間の評価というのは、
「シャフトの最高傑作」「恋愛アニメの最高峰」と
大・大・大絶賛されている作品なのです。
(ちなみにあにこれの2015年現在の評価点は85.6点です)

何故このような乖離が生じるのか。
今日はそれを少し考えてみたいと思います。
ただ、その前に視点についてお話したいと思います。
これはあらゆる作品にも該当することではありますが、
特に恋愛作品に触れる際に「3つの視点」というものを、私は意識しています。
ちなみに私が勝手に作った適当な概念ですw

「1次元的視点」

あるキャラに自己を投影する、
すなわち、そのキャラになりきってしまうという視点。
最も原始的な視点ですが、最も作品を堪能できる視点でしょう。
キャラ重視ってことですね。

「2次元的視点」

登場するキャラと自分は違う人格であるという視点。
「このシーンならこのキャラがこんな行動をとれば盛り上がるだろ」というような
キャラを客観視することによって、話の展開を主とする視点。
ストーリー重視ですね。

「3次元的視点」

制作サイドの意図を汲み取って作品を俯瞰する視点。
作品の構造であったり、
「何故ここでこの映像を差し込む」「ここでOPきたぁ!!」というような
映像面、音楽面、声優の演技等、演出を読み解こうとする視点。
ジャンルが違えば当然そのジャンルの3次元的視点が必要になってくるので、
この視点によって、(今回の場合だと)アニメという創作物が対象となることが確定します。
平面から立体になりましたw(適当)

さらに4次元的視点というのも考えたのですが、その話はまた別の機会にしましょうw
それで私の場合、シーンによってどの視点を選択、あるいは併用するというように
使い分けている感じです。

では、ここらはネタバレありで、本作をこの3つの視点から捉えていきたいと思います。


{netabare}「1次元的視点」

広野紘(ひろのひろ)は高校生であると同時にプロの漫画家でもあり、
それ故にそのどちらもが中途半端な状態という悩みを抱えています。
また、13時間しか記憶の維持ができないという新藤千尋(しんどうちひろ)と、
そんな千尋と向き合っていく麻生蓮治(あそうれんじ)等
本作のキャラは極めて特殊な悩みを抱えているので、
自己を投影するというのは厳しかったです。
広野紘が抱える悩みというのは、大人なら共感できるところもあるでしょうけど、
高校生でこのような悩みを抱えるというのは普通はないですからね。
また、本作は2つの話が同時並列的に進行していくので、
その点でも1次元的な視点で本作を視聴するのは難しかったです。
瞬間的に感情移入するということはありましたけどね。

「2次元的視点」

前述したように、本作は2つの話が同時並列的に進行していきます。
すなわち、広野紘(ひろのひろ)と宮村みやこ、新藤景(しんどうけい)の話と
麻生蓮治(あそうれんじ)と新藤千尋(しんどうちひろ)の話なのですが、
前者はオーソドックスな三角関係の話だと思います。
後者についても割とよくある感動系のラブストーリーという印象ですかね。
多少強引だとも思いましたが、
ラストをハッピーエンドに綺麗にまとめたのはよかったです。
個人的にラブストーリーのハッピーエンドってあまり好きじゃないんですけど、
さすがに本作で鬱エンドでは救いがなさ過ぎですからねw

「3次元的視点」

ズバリ本作の肝はここです。
新房昭之氏×シャフトについては、もはや説明不要でしょう。
時に煙たがれるシャフト演出ですが、
本作とシャフト演出は最高のマリアージュと表現できるでしょう。
これによって、本作のキャラやストーリーが一段も二段も上のレベルに
仕立てあげられています。

まず本作の舞台ですが、ヨーロッパの都市を景観モデルにしたということもあってか、
どこか幻想的で童話的な雰囲気が醸しだされています。
別の言い方をすれば、現実味のない世界観。
キャラクターデザインについても同じことが言えて、
如何にもな一昔前のエロゲのキャラデザという風で、
お目目ぱっちりの、どこかkey作品のキャラデザを彷彿とさせます。

このように表面上は幻想的で、童話的なのですが、
それと対になるかの如く女性キャラの心情面はかなりドロドロでえぐいです。

宮村みやこは、冷め切った家庭環境で育った影響から心に闇を抱えており、
いつヤンデレ化してもおかしくない状態です。
新藤景は、広野紘に対する独占欲がもはや異常と言える領域です。
妹の新藤千尋の事故の原因に関わっているにもかかわらず、
そのことについて、まるで悪ぶれることもないかのような立ち振舞は
かなりの狂気を孕んでいるように思えました。
新藤千尋については、13時間しか記憶を維持できないが故に心に闇を抱えていますが、
ここはドロドロでなく、儚さの方が強く描かれているという印象でした。
ドロドロの三角関係と儚き感動ラブストーリーという対比構造が用いられているのかもしれません。

さて、表面上は幻想的で童話的、その中身は(女性)キャラのドロドロな心情描写、
さらにそれだけでは留まらない儚くも美しい物語。
そして、新房昭之氏×シャフトと言えば・・・
もうお分かりですね。
大ヒット作である「化物語」と「魔法少女まどか☆マギカ」です。
本作はこれらの大ヒット作との構造類似性があるように思えます。些か暴論だとは思いますがw
ただ、どのような作品がシャフト演出と最大限マッチするのかというのは、
少しは見えてきたような気がします。{/netabare}


最後に、何故私の評価と世間の評価に乖離が生じたかについて言及しましょう。
本作の最大の魅力が演出だとすれば、
その演出については、衝撃的というよりは既視感の方が強かったです。
厳密に言えば、既視感というより「シャフトならこれくらいやってくるだろう」という
悪しきとも言える慣れです。
2009年放送の「化物語」を当時視聴した時はまさに衝撃を受けました。
そしてその後も多数のシャフト作品に触れてきました。
そのことによるシャフト演出に対する慣れから生じた温度差が、
そのまま本作に対する私と世間の評価の違いとして表われたということなのかもしれませんね。
もし、私が本作を放送当時(2007年)に視聴していたなら、
また違う評価になっていたのかもしれません。
作品を視聴するタイミングは重要だということですね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 43
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