切ないでファンタジーなTVアニメ動画ランキング 8

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90.4 1 切ないでファンタジーなアニメランキング1位
凪のあすから(TVアニメ動画)

2013年秋アニメ
★★★★★ 4.2 (6476)
25645人が棚に入れました
海と地上、そのどちらにも人が暮らす世界。中学が廃校になり、幼なじみと共に地上の学校へ通うことになった海村の少年・先島光が転校初日目撃したのは、大切に守ってきた少女まなかが、地上の少年と特別な出会いをした瞬間だった。

声優・キャラクター
花江夏樹、花澤香菜、茅野愛衣、逢坂良太、石川界人、小松未可子、石原夏織、名塚佳織、天田益男、間島淳司、清川元夢、鳥海浩輔
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

溢れ出る感情の波に幾度も心をかき乱されてしまう、感銘も感動も大きいが視聴に難儀する《名作》

(2019年3月) 制作情報等を追記

◆感情描写の濃度が桁外れに高い作品

私は、恋愛などの感情描写系アニメを視聴するときは、作品中に不意に差し込まれる微妙な心情変化を見逃さないようになるべく集中して視聴するようにしているのですが、本作の場合、多数の登場キャラたちのどんな目線の動きにも手足の仕草にも確りと意味が込められていて、そうした一つひとつの挙動に暗示される各キャラの感情推移を読み取るのに視聴中ずっと頭をフル回転させている状態が続きました。
そのため1話視聴する毎に物凄く疲れて、暫く頭を休ませてから次の話に行く、ということの繰り返しで、これまで本作を余裕を持って視聴できていなかったのですが、3周目を終えた時点で漸(ようや)く、そうした感情を読み取る作業を自分が納得いく程度に終えることができた感じを持てました。
そして念を入れて行った4周目の視聴で、やっと余裕をもって本作全体を楽しめ、かつ自然な感じで感動もできたように思ったので、それに合わせて本作の評価を ★ 4.3 → ★★ 4.7に大幅に引き上げました。
(※1~3周目も視聴中に感動はしていましたが、果たしてその自分の感動が辻褄の合った納得のいくものなのか確証がもてずに警戒しており、本作の総合評価を ★ 4.1~4.3と低めに据え置いていました)
だいぶ苦戦しましたが、頑張って繰り返し視聴して良かったと思いました。

◆起/承/転/結のはっきりしたシナリオ構成

本作は、純粋な日常系の恋愛作品ではなく、①ファンタジー設定と②セカイ系設定を上手く組み込んだ変則的な恋愛感情描写系作品ですが、よく見るとシナリオ構成の基本に忠実に、全26話を以下のように、【起】【承】【転】【結】に上手に振り分けていることが見て取れます(※詳しくは◆各話タイトル&評価へ)。

【起】第1~7話(計7話) {netabare}海村とウロコ様の存在というファンタジー設定が示される{/netabare}
【承】第8~13話(計6話){netabare}地上の異変と海村の冬眠・人の滅びの予告というセカイ系設定が示される{/netabare}
【転】第14~20話(計7話){netabare}5年後の世界に切り替わり海村の3人の冬眠からの目覚めが描かれる{/netabare}
【結】第21~26話(計6話){netabare}登場人物たちの錯綜した恋愛状況が世界の命運と連動しつつ収束していく{/netabare}

◆作品テーマ

ひとことでいえば、{netabare}恋愛感情をもつがゆえの苦悩とその最終的な肯定{/netabare}、を描き尽くすことにあると思います。
この作品テーマは、第5話(あのねウミウシ)での美海と光の会話によく現われます。
{netabare}
美海「もう、あんな悲しいお腹になるのは嫌だ。大好きにならなければ、あんなに苦しくならない。だから、だから美海・・・」
光「大好きにならなければ、好きにならなければ、辛くならない。確かに、そうかも知れねぇな。」
美海「え?」
光「なんか俺も人のこと言えねぇ。好きとか、なんないほうが、やっぱ楽なのかも知れねぇと、思う。だけどよ、誰かを好きになるの駄目だって、無駄だって思いたくねぇ。」{/netabare}

→この会話は最終話で見事に回収されます。

※なお、本作で最終的に肯定される「恋愛感情」とは具体的にどのようなものか?をさらに一歩踏み込んで考察すると本作を一層深く楽しめるようになるのではないか、と思います(※その点、◆本作品に描かれた恋心(恋愛心理)の整理へ)。


◆制作情報
{netabare}
原作         Project-118
監督         篠原俊哉
シリーズ構成     岡田麿里
脚本         岡田麿里(12)、横手美智子(4)、吉野弘幸(4)、和場明子(3)、根元歳三(2)、西村ジュンジ(1)
キャラクターデザイン ブリキ(原案)、石井百合子
音楽         出羽良彰
アニメーション制作  P.A.WORKS{/netabare}


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得のいかなかった疑問回

======================= 凪のあすから(2013年10月-2014年3月) ====================

~~~~~~~~~~~~~~ OP「lull〜そして僕らは〜」、ED「アクアテラリウム」 ~~~~~~~~~~~~~~
     ※ まなか・ちさき・光・要・紡(中学2年)、美海・さゆ(小学3年)
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 【起】 第1~7話は、{netabare}海村の4人が陸村の中学に転入したことを切っ掛けとして、彼ら内部や彼らと陸村の人たちとの間に発生する心の揺れ動きを描出{/netabare}
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{netabare}第1話 海と大地のまんなかに ★ 海村の4人の転校初日、まなか・紡の出逢い
第2話 ひやっこい薄膜 ☆ 美海・光、さゆ・要の出逢い、あかりの恋愛事情
第3話 海のいいつたえ ☆ 海村の掟、あかりの男の事情、紡と海村の4人が打解ける
第4話 友達なんだから ★ お女子様の破損事件、さゆの要への思慕の始まり
第5話 あのねウミウシ ★★ ちさきの想いを知ってしまう紡・まなか、美海家出・光への思慕の始まり
第6話 巴日のむこう ★ 光・紡の水泳競争、ちさき・まなかの喧嘩~仲直り
第7話 おふねひきゆれて ☆ 海村と陸村の対立、あかり海村から離れ地上へ{/netabare}
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 【承】 第8~13話は、{netabare}地上の異変~海村の冬眠決定を契機とした海村の4人や陸村の人たちの決断・行動を描出{/netabare}
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{netabare}第8話 たゆたう想いのさき ☆ 美海・光・紡・まなか・ちさき町へ(プレゼント探し)
第9話 知らないぬくもり ★ 地上の異変、紡→ちさき「今のあんた嫌いじゃない」、廃校でハグ(光→まなか)
第10話 ぬくみ雪ふるふる ★★ 冬眠の準備、まなかの想いはウミウシへ、要の告白
第11話 変わりゆくとき ☆ お船引き決定~準備、あかりの決断(結婚・お女子様に)、ちさきの決断(光へ)
第12話 優しくなりたい ★★★ 廃校での告白(光→まなか、ちさき→光)、第1話のリフレイン(まなか・紡)
第13話 届かぬゆびさき ★★ 冬眠、お船引き、お女子様(あかり→まなか){/netabare}
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ OP「ebb and flow」、ED「三つ葉の結びめ」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    ※ まなか・光・要・美海・さゆ(中学2年)、ちさき(看護学校1年)、紡(大学1年)
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 【転】 第14~20話は、{netabare}5年後の海村の3人の目覚め、彼らと地上に残された人たちの戸惑いを描出{/netabare}
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{netabare}第14話 約束の日 ★ 5年後の世界(主にちさき・美海の視点から)、光の目覚め
第15話 笑顔の守り人 ★ 光・ちさき再会、美海の光への思慕、紡→ちさきへの希望表明
第16話 遠い波のささやき ★★ 光とのデート(美海・さゆ喧嘩)、美海にエナ、要の目覚め
第17話 ビョーキなふたり ☆ 要・ちさと再会、さゆ・要再会、海村へ(美海・光・要) 
第18話 シオシシオ ☆ 冬眠中の海村の様子、まなか発見~救出
第19話 まいごの迷子の… ★ 大人になった事に気付くちさきと、紡・要の彼女への想い
第20話 ねむりひめ ★ まなかの目覚め(必死に手を尽くす光と揺れる美海の心){/netabare}
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 【結】 第21~26話は、{netabare}海神様とお女子様の伝承をリンクさせつつ、登場人物たちのそれぞれの想いの着地点を描出{/netabare}
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{netabare}第21話 水底よりの使い ☆ OP映像マイナー変更。まなかの異変、ちさきと光たちとの距離・紡との距離
第22話 失くしたもの ★ ウロコ様探し、まなかの失ったもの(人を好きになる心)
第23話 この気持ちは誰のもの ☆ ウミウシの石、紡・光の殴り合い、紡の想いがちさきに伝わる(紡にエナ、海村へ)
第24話 デトリタス ★★★ お船引き再び、ちさきの本心(要へ)、さゆ→要へ告白・完結
第25話 好きは、海と似ている。 ★★ まなかの本心(美海・紡へ)、紡・ちさき完結、美海失恋、お船ひき
第26話 海の色。大地の色。風の色。心の色。君の色。~Earth color of a calm~ ★ 美海の心を知る光・お女子様の心を知る海神様、光・まなか完結、ぬくみ雪やむ{/netabare}
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★★★(神回)2、★★(優秀回)5、★(良回)10、☆(並回)9、×(疑問回)0 ※個人評価 ★★ 4.7


※このように本作は前半のラスト2話(第12-13話)・後半のラスト3話(第24-26話)にそれぞれクライマックスが来るように巧みに構成されていますが、その他の回も万遍なく楽しめる平均点の高い作品となっています。
(前半が詰らなくて後半がグンと面白くなく『とらドラ!』とは好対照)


◆本作品に描かれた恋心(恋愛心理)の整理

私たちがラブストーリーを批評する場合、「きゅんきゅんする」「甘酸っぱい」「純情」というのは常套句ですが、そうした感覚的で曖昧な表現だけでは、恋心(恋愛心理)の分類としては舌足らずであり不明確だと思うし、また本作に描かれた恋を「青臭い」の一言で切り捨てるのはいかにも粗雑な感想だと思います(※もし「青臭い」と断言するならば、どこがどう青臭くて、それとの対比で「青臭くない」恋とはどんなものなのか?が具体的に示されないと説得力に欠けます)。

そこで、ここでは本作に描かれた恋愛模様をより具体的に考察するために、以下の分類を用います。

{netabare}<1> 出逢い方による分類

①幼馴染型 → 海村の4人の場合(光・要×まなか・ちさきの関係)
②ボーイ・ミーツ・ガール型 → 陸村と海村の出身者の間の場合(紡とまなか・ちさきの関係)
③年上への憧れ型 → 陸村の小学生と海村出身の中学生の場合(美海・さゆ×光・要の関係)

<2> 恋の回数による分類

①初恋 → この作品の大部分の恋
②2回目以降の恋 → 無意識のうちに進行してしまうちさきの紡への恋
③その他(既婚者との恋など) → あかりの美海の父への恋

<3> 恋愛感情の内容による分類

①趣味的恋愛感情(※相手の好意の獲得を目的とした駆引き的な恋であり、恋に恋して恋を自覚的に楽しんでいる状態)
②虚栄的恋愛感情(※ブランド品を見せびらかすように恋人を持ちたがること、また人の恋路に嫉妬して燃え上がる恋)
③肉体的恋愛感情
④情熱的恋愛感情(※説明が難しいが、本作で描かれるほぼ全ての恋愛感情はこれに当てはまる){/netabare}

このように本作は、都会から遠いファンタジックな小村(海村も陸村も)で生まれ育ち、世の波風にまだ汚されていない中学2年(13~14歳)の少年少女の初恋という設定に基づき、全26話を通して、①~③の要素をほぼ排除して、④情熱的恋愛感情の描出一本槍で突っ走るという、ラブストーリーとしては些(いささ)か稀な作品となっています。

また、本作で描かれる心理関係のほとんどが、幼馴染の間か、さもなくば年上への憧れとして発生していることも、彼らの④情熱的な恋愛感情に説得力を持たせています。

《一般的な恋愛作品との違い》

これがもし高校生以上の関係で、かつボーイ・ミーツ・ガール型の出逢いだったなら、いきなりの④情熱的恋愛感情の発生には余り説得力がなかったことでしょう。
例えば、あにこれでも高評価の恋愛アニメの代表格『とらドラ!』は、
{netabare}
(1)序盤から中盤にかけて、ヒロイン大河の北村君への恋のときめきや躊躇いを繰り返し描き出していますが、そうした大河の恋心は、実は「駆引きを通して相手の好意を獲得することを目的とする恋」つまり①趣味的な恋愛感情であって、
(2)第16話(すみれさん乱闘事件)を機に大河は自分の恋心の浅はかさを悟らざるを得ず、そして、
(3)第19話で、大河はとうとう自分の本当の恋心は北村君ではなく竜児にあることを自覚するに至り、なおかつ、この自らの恋の成就を目指すのではなく、これを秘匿し押し殺して竜児の恋の成就を密かに支援する側に廻ることを決意する、
{/netabare}
・・・という流れになっていますが、このように大河の恋心が、①趣味的な恋愛感情から、④情熱的な恋愛感情に移行してしまうストーリー展開の巧みさに『とらドラ!』の凄みがあって、それがこの作品が高評価を取っている本当の理由と私は考えています。

この『とらドラ!』の例のように、優れた恋愛作品というのは、アニメ・実写あるいは小説といった表現媒体に関係なく、

(1)①趣味的な恋愛感情、②虚栄的な恋愛感情、あるいは、専ら④肉体的な恋愛感情からスタートした心理的関係が、
(2)いつの間にか、④情熱的な恋愛感情に転換してしまい、本人の意思では簡単に逃れられなくなっている様

・・・を説得力をもって描き出している作品であるのが一般的だと思います。

※因みに、そのような説得力を持ったアニメ作品は、実は結構少ないと私は思っており、例えば、あにこれで「恋愛タグ」に高いポイントがついている作品であっても、その内容をよく見ると、①趣味的恋愛や②虚栄的恋愛の範囲内で終始していて、④情熱恋愛への転換を描くに至っていないものが幾つもあると思います(例えば、『CLANNAD』、『初恋限定』)。

《本作視聴の難儀さの理由と魅力》

そうした一般的な恋愛作品との比較から、本作はやはり、
{netabare}
(1)海村という閉鎖的な環境で自然に芽生えた幼馴染同士の恋という設定、また、
(2)小学3年生の少女の5歳年上の少年への憧れと、少年の5年間の冬眠状態~解除により、本来は恋愛が成立しないはずの関係が“成立し得る関係”に転換してしまう、という現実世界では在り得ない特殊設定
{/netabare}
を巧みに用いて、序盤から終盤まで一貫して、④情熱的な恋愛感情の進行過程の描出だけでストーリーを展開している点で、恋愛作品として特殊であって、

(1)その④情熱恋愛一本槍という特徴から、本作に独特の息詰まるようなナーバスさが発生し(※注釈)、
(2)その結果、私たちは毎話のように視聴に難儀してしまう羽目に陥るのですが、
(3)そのナーバスさ・難儀さは私たちにとって、懐かしくまた切ない感覚を伴ったものでもあって、
(4)結局のところ本作の最大の魅力は、そうした感覚を私たちに思いがけず(かつ繰り返し)惹起させてしまう点にある、

・・・と私は結論づけたいと思います。

(※注釈)もし本作に、①趣味的・②虚栄的・③肉体的な恋愛感情が一定量混在していれば、他作品によくあるように、それらが適度に陽気な冗談や下ネタやおふざけを作品中に呼び込んでいたはずです。

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◆(参考)過去に書いた感想・レビュー

※前述のとおり、私は3周目までは「自分が安易に感動させられてしまうこと」への警戒から本作に対して相当に身構えていて、本作から自分が受ける感動の性質を慎重に見究めようという批判先行の視聴姿勢を取っていました。
以下はその当時の感想・レビューの一部です。

2015.3.10 三回目視聴を完了。
各話評価を追記。総合評価を4.1→4.3に改訂。
1クールに上手く圧縮されていたなら私も本作を名作(総合評価4.5以上)と評価していたと思います。
ですが、2クールはちょっとやり過ぎ感あり(稀に見る美酒も味わい過ぎると食傷気味になってしまう感じ)。
そういう意味では、かなり残念な作品でした。

2014.7.19 二回目視聴を完了。
全体に遊びとかギャグ要素が非常に少なく、重く沈鬱な印象。
この作品は毎話毎話、ほんの一瞬のカットに感情の微妙な変化や発露を盛り込んでくるので、安直な気分で流し見するわけにはいかず、全26話を通しで視聴するのに今回もかなり時間がかかってしまいました。

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※以下は第1回目視聴直後の感想・レビューです。

《岡田シナリオのメタ分析》

{netabare}★岡田シナリオの基本パターン

このアニメのシナリオ構成・脚本を担当した岡田磨理という方のシナリオは、表面的には色々ヴァリエーションを取りながらも、大雑把にいえば、

==========
A子はB男が心底好きだ。
だがB男は、A子の親友のC子の方に恋をしており、A子にはそのことがよくわかる。
A子も親友のC子が大好きで、彼女の美点を沢山知っている。



A子は、自分がB男に恋しているのと同じように、B男もC子に恋をする権利があると考える。
A子は、B男の恋心を捕らえている親友のC子を羨ましく思い、そしてそのようにC子に嫉妬している自分の心に気づいて、自分を浅ましく醜いと思う。
A子は、B男のC子への恋が実ることが、自分が恋をしているB男にとって一番幸福なことだと思い込む。
こうしてA子は、自分の恋心を押し殺して、B男のC子への恋を実らせるために密かに行動を始める。



ところがC子は、ずっと以前から親友のA子がB男に激しく恋していることを知っており、A子のB男への恋を実らせるために、B男に対して無関心を装うどころか、B男ではなく全然関係ないD男に恋している振りまでして、B男の自分への恋心を挫こうとしている。
実はC子も本当はB男を恋しているのだが、親友A子の恋心を犠牲にしてB男の恋心を受け入れようと時折考える自分の心を醜く浅ましく思い、許せないでいる。



一方、B男は・・・
また、D男は・・・
==========

という複数の男女の恋心が錯綜しループして、それぞれの善意と誤解から軋みと混乱と和解とが繰り返され、こうしたカオス的状況の中から次第に着地点が現われてくる、というパターンを、凡そ踏襲しているように見える。

この「凪のあすから」という作品も、これでもかと畳み掛けるような感じで、こうしたパターンが集積して出来上がっているように見える。

さすがにここまでくると、ちょっと食傷気味で、私の個人的評価は低くしてしまいましたが、でも、やっぱり実際視聴してみたら、相変わらず面白いんだよね、これが。

逆に言うと、なぜ岡田磨理さん以外のシナリオライターが、こうしたワンパターンながら安定的に私たちの心を揺さぶるようなシナリオ・脚本を書けないのか?ということの方が疑問なくらいです。

★岡田シナリオとその他の人のシナリオの違いとは何か?

一言でいえば、登場人物たちが、根本的な部分で、自分の恋心の成就を望むか否か、の違いではないか。

上にも書いたとおり、岡田シナリオの登場人物たちは、

①自分は誰かに激しく恋しながらも、
②自分の恋の対象者は、自分と同じくらいの強さで別の誰かを恋する権利を持っており、あるいは、
③自分とは別の誰かも、自分と同じくらい自分の恋の対象者に強く恋する権利を持っている、

ということに何時も気づいて、結局

④自分の恋心を押し殺して、自分の恋の対象者の恋を成就させることが正しい、という結論に達し、
⑤そのために密かな行動に出て、かつその行動を決して誰かに悟られまいとする、

という行動パターンを踏襲する(しかも一方ではなくほぼ全員が)。

要するに、岡田シナリオの登場人物たちは、他の、言ってみれば趣味的な恋愛感情のやり取りをしている作品の登場人物とは全然違って、アニメ作品でありながら、かなりリアルな情熱恋愛的な行動パターンを取っている、ということになり、そこから岡田シナリオの独特の迫力が生まれるのではないかと考えます。
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 161
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

全てにおいて丁寧に描かれた、恋愛アニメの傑作

2013年10月より放送。
全26話。


【前置き】

冒頭部分を見ていた時は、まさか今現在のような高評価を出せる作品に発展するとは思いもしませんでした。
本作は、恐らく視聴した誰もが仰るでしょうが、後半からが本番と言わんばかりの尻上がりの面白さを見せる、大器晩成型のシナリオでしたので。


アニメーション制作は、安定と信頼のP.A.WORKS。
「true tears」から始まり、「Angel Beats!」「花咲くいろは」「Another」「TARI TARI」「有頂天家族」等、今現在では、またオリジナルで「グラスリップ」も放送されていますね。
ただ、特にオリジナルの作品に関しては「true tears」以降、個人的にいつもホームランを打つような感じではなく、どこか惜しい佳作止まりな感じがしていました。

しかし、本作は違いました。
ファンタジーを織り交ぜながらも、ラブコメとは全く違うガチの恋愛作品として、人気作「true tears」を越えたかも…とさえ思わせてくれる出来でした。



【あらすじ】

舞台は、かつて全ての人間達が海の中で普通に呼吸し、生活を営んでいた世界。
ただ、ある時を境に陸に上がって生きる人達が現れはじめ、やがて人は海と陸に分かれ深く関わることを避け生活するようになっていました。

物語は、汐鹿生(しおししお)と呼ばれる海底の村に住む4人の少年少女達が、その村の中学校の廃校をきっかけに地上の小さな港町の中学校に転入するところから始まります。

ただ1つ、その汐鹿生の村には破ってはいけない掟がありました。
それは、海の人間と陸の人間とが…恋をして結ばれること……。



【前半は、後半への壮大な前振り】
{netabare}
あらすじだけ聞くと、よく聞く可愛らしいお伽話のようにも聞こえます。
実際、当初は海中にある村の世界観やオープニングの雰囲気からも、ファンタジー要素を全面に押し出した作品に思えました。

しかし蓋を開ければ、その世界観を丁寧に説明しつつも、7人の少年少女のいじらしい恋愛模様を生々しく描いた作品でした。

冒頭は、話数に余裕があるが故のその丁寧な解説が少々退屈に感じる節もありましたが、今思えばそれは壮大な後半へ繋がる前振り。
今思えば、存分に描いて下さって本当に良かったと思っています。

ただ、オリジナル作品故にどうしても先を予見出来ず、この冒頭で切ってしまった人も放送当時はやっぱり多かったようですね…。
「3話程度では本筋がまだ見えてこない」という点は、本作の難点でもあるでしょう。


私的に、視聴を継続出来た理由として、その丁寧に描かれたシナリオ以上に丁寧に彩られた、安定と信頼のP.A.WORKS(←何度でも言いたい。)の、作画の存在が大きかったですね。

中でも、海底にあるの村の汐鹿生は綺麗でした。
塩が粉雪のように降り積もり細かくキラキラと輝いた町並みは、とても幻想的でした。

水面では泡の一つ一つから、海面では船の揺らぎ方一つ見ても、海の演出は特に目を見張るシーンが多かったです。
作画だけでも見たくなる、安定と信頼のP.A.WORKS。(←はい、だから何度でも言います。)



本作の前半最後の山場。
海の村の人は、いつ覚めるか分からない冬眠に入ってしまいます。

仲違いしていた地上と海の関係が少しずつ緩和され始めていた中の、突然の冬眠勧告。
その冬眠を受け入れられる人もいれば、受け入れられない人もいました。

この冬眠は、いつ覚めるかも全く分からないようでしたので、実際不安に感じるのも当然でしょうね。
特に、自分だけ目が覚めるのが遅かったら…。。
周りだけ成長している中、自分だけ起きた時取り残されていたら…。。


この『冬眠』という要素が放つシナリオの盛り上がり方は、作中でも随一でした。
想像したら、やっぱり恐ろしいですしね。

大好きな人が自分の知らない間に成長していて、自分だけ眠り続け取り残されるかもしれない恐怖。
……いや、そもそも…、もしかしたら一生目覚めないかもしれない。


当初は互いに歩み寄り始めた地上と海の展開から、「これ2クールもして後何するの?」なんて思っていましたが、こういうことだったんですね。

シナリオ構成は、「true tears」「とらドラ!」「あの花」も担当された、岡田麿里さん。
この御方は、やっぱり見せ方が上手ですね。
{/netabare}



【時を進めた者と、そうでない者】
{netabare}
そして、その本番の2クール目。
前半とは打って変わり、かなり切なげな雰囲気のモノローグも入る新オープニングは、まさに本番開始という感じがしました。

5年の歳月が流れた同舞台で、海中で冬眠についた者、地上で5年の時を過ごし成長した者の物語。
主人公を始め、冬眠から目覚めた者が少しずつ地上に姿を表し、再び止まっていた恋愛模様が動き出します。


後半冒頭では、海の人間でありながら冬眠に入ることが出来なかった、「比良平ちさき」のエピソードには胸が苦しくなりましたね。

5年前の、中学生だった自分はもういない。
大好きな相手はその中学生のまま地上に戻ってきたのに、自分は大人になってしまっている。

それでも、やっぱり会えば好きな気持ちは蘇ってきてしまいます。

「あの…私……、変わっちゃってゴメン…。」

そういうちさきに対し、その大好きな人は、見た目にとらわれず

「オマエ、全然変わんなくて安心した!!」

と言ってくれるんですよね。
ちさきは、嬉しくて涙しながら

「アンタに言われたくないわよ!」

っと、くいかかっていましたね。
……うん、コレはごもっとも。

した人は勿論、端から見ている側さえも世界観を大きく変えてしまう「冬眠」の恐ろしさが描写される中で、ここは大好きなシーンでした。


そして、5年前に恋をしていながらも、年齢差があって想いを伝えられなかった、小学生の女の子2人組、「美海(みうな)」と「さゆ」。

彼女達の視点から言えば、当時大好きだった中学生の男の子が突然いなくなってしまったワケでしたが、自分達が同じ年齢の中学生になった今、当時の年齢のまま戻ってきたというワケですね。

前半は、ハッキリ言って

「この小学生達の恋愛模様、こんな念入りにいる?」

と思ってしまい、蛇足や尺稼ぎにすら思え、少々退屈だとさえ感じていました。
(いや勿論、小学生は最高だぜよ?)

しかし、こういうエピソードに発展する為の伏線だったんですね。
これまた上手いですね、やられました。


この後半は、毎回少しずつ冬眠から目覚めてくるキャラが出て恋愛模様が入り乱れていくので、全く退屈しないどころか非常に毎話盛り上がって楽しめました。
小出しにされる焦れったさは多少感じましたが、決して尺稼ぎ感はなく、それぞれ進展する恋愛模様を丁寧に描いてくれていました。
これもまた、全26話のという話数の強みですね。

小学生から中学生になった2人。
中学生から大学生になった2人。
そして、中学生のままの3人。

それぞれの視点から描かれる5年を経ての恋愛模様は、それぞれの昔のエピソードが序盤で丁寧に描かれていたからこそ、感情移入しちゃうんですよね。
正直な話、要所要所で私は泣かされっぱなしでした。
{/netabare}



【要君から見る、凪のあすから】
{netabare}
さてここからは、後半から個人的に一番好きになって注目していた、海の人間の中でも物静かで空気の読める大人っぽさが魅力の

『伊佐木 要(いさき かなめ)』

を通して、作中の魅力的なシーンを、熱く語っていきたいと思います。


当初から同じ海の人間の ちさきが大好きで、でも彼女の気持ちが自分に向いていないことに昔から勘付いているので、中学生ながら基本的に傍観者でいた男の子。

しかし冬眠前に、その先行きの不安もあり、ちさきの家族にも公表するカタチで堂々と、

『ボク、ちさきのことが好きなんだよね、かなり前から。』

と、いつもの笑顔で告白。
しかしちさきが地上に残ってしまった中…自分だけが冬眠に入ってしまい、目覚めたらその大好きな ちさきは大人になっていたワケですね。


世界が変わっても

「変わらないものもある。

 変わるわけ……ない。」

と、自身の ちさきへの想いを再確認する要。

ただ、これまでは同じ年齢同士なので、その達観した物言いや立ち振る舞いにも余裕があった(ように見えた)のですが、流石に本物の大人相手にはその余裕も通用しないんですよね。
しかもその恋敵は、ちさきと5年を共に過ごした…非の打ち所なしのこれまた超絶イケメン紡(つむぐ)なのですから。

「大人だね…、ちさきは…。」

そう言いながらも、精一杯に顔色を変えず立ち去り、「クソッ!」と襖越しに言うしかない要。

今までにない余裕の無さ、それ故の焦りがリアルに描写され人間味が出てきて、私は後半からグンと好感が湧いてきました。

「ちさきが光とうまくいかなくても、次は僕じゃなく紡だってわかってたから。」

と、昔からの友達とはいえ、大人を相手に精一杯達観して喋るその仕草は、もぅたまらないぐらい いじらしかったです。



結局、本人の言う通り勝ち目のない恋だったのかもしれません。

でも、そんな要のことをずっと好きでいてくれた…、自分と同じく5年経っても変わらない想いをブツけてくれた女の子、さゆがいたんですね。

前半では、小学生が憧れのお兄さんへ抱く淡い恋のように描かれていた、さゆの恋。
それが、遂に一つの形となり本人の元へ、『不器用ながらも』思いっきりブツけられたのでした。


『ずっと…ずっと見てたよ……。

 私、アンタのことずっと見てた、ずっと待ってたんだからっ!!

 アンタがいるから、だから頑張ろうって…。

 アンタに釣り合いが取れるように、アンタに子供扱いされないように、

 アンタにちゃんと…、女の子として見てもらえるようにっ!!

 アンタがいない間も、アンタはここ(心)にいた。
 
 ちゃんと…、この真ん中にいたっ!!!』


この告白で、これまでずっと大人ぶっていた要が、冬眠から覚めても家族がいなくて寂しかった本音を、初めて吐露しました。
誰も自分を待ってくれていなかったんじゃないか…、と。

ただ、ずっと想って待っていてくれた さゆの気持ちを知り、救われたかのような嬉し涙を見せるのでした。


要「これからちゃんと見てみる。ちっちゃな女の子じゃなくて、同じ年の一人の女の子として。」


さゆ「上から目線だよね。」


こういう憎まれ口も、さゆらしくて良いですね。
振り返れば、告白中も「アンタ」って7回も言ってるしww


「あの頃はさ、遠くから見てるだけだった。一緒にいるけど、すっごく遠くて……。」

5年前を振り返りそう言っていた さゆが、中学生になって見せた要への5年越しのド直球アタック。
ココは個人的に、作中でもクライマックス以上に大好きなシーンとなりました。



話はそれますが、さゆを演じた石原夏織さんは「あの夏で待ってる」の谷川柑菜や「変態王子と笑わない猫。」小豆梓などを始め、恋愛的に報われない負け確定ヒロインを演じることが多く、今回もそうなんだろうな…と勝手に思っていました。
いやはや思いの他、大健闘でしたね。

今作では、いつも以上に良い演技も見せてくれましたし。
上記のシーンの他にも、第22話で光とブツかった時の、あの可愛らしくもドスの利いた

「おいタコスケ!!、ゥルェディイ(レディー)を突き飛ばしといてそのままかよ!!!」

も、とても印象的でした…、あぁ…中学生ってコワイ…。。。
やっぱり、小学生は最k(ry

2014年は、あまりアニメ担当数はふるいませんが、好きな声なので今後の活躍に期待したいです。



最後は、全員が見事なカップリングとは行かずとも、良い着地点を見せてくれたかなと思います。
変に話をぼかしたり、続編を匂わす描写が無いのも良いですね。

ただ、7人というのは奇数なワケで……、やっぱりそういうことになりますからね…。
(ちょぉっとは救いの目も見えましたケド。)
最後にもう一捻り欲しかった気もしましたが、これは大好きな作品故の小さなクレームです。


エンディングでは、エンドテロップとともに最初のファンタジー色の強いオープニング「lull~そして僕らは~」の別バージョンを存分に流し、キャラクター達の最後が海と地上でぞれぞれ、最後まで丁寧に描かれておりました。
この世界観と主要キャラ皆に好感が湧いたからこそ、120%楽しめたエンディングでしたね。

見終えた時「とても良い作品を見たなぁ…。」と非常に後味も良かったので、今でもとても好感触な印象で記憶に残り続けているのでしょうね。
{/netabare}



【総評】

序盤で切ってしまうには非っ常に惜しい、是非とも後半の盛り上がりを見て判断して欲しい作品です。


短気ながらド直球な男らしさが光る、ひー君。

無邪気で屈託ない笑顔を見せてくれる、まなか。

団地妻のような妖艶な色気を見せる、ちさき。(昼下がりの、じゃないよ。)

大人びたクールガイながらイクところはイク、要。

「海」という一言で全てを伝えることが出来る水陸両用イケメン、紡。

一番女の子らしく いじらしい気持ちが描かれる、美海。

ちんちくりんだった小学生から一転し、最後は女を見せた。さゆ。


世界観も、このキャラクター達も、シナリオ展開も、そしてそれを彩る作画も含めて。
私は半年間(特に後半3ヶ月)、大いに楽しませてもらいました。

『海と大地のあいだで揺れる 青の御伽話(ファンタジー)』と題されていた本作。

それは、想像していたよりもずっと重く、そしてなにより全てが丁寧に描かれた傑作だと、私は感じました。

またひとつ、大好きな作品に出会えました。


長々と読んでいただき、ありがとうございました。


◆一番好きなキャラクター◆
『伊佐木 要』声 - 逢坂良太さん


◇一番可愛いキャラクター◇
『潮留 美海』声 - 小松未可子さん

※※※
以降は、視聴済の方向けに書かれた、ただの私の妄想なので〆ます。
{netabare}
さて、本作のように世界観や物語が魅力的な作品に出会うと誰しも、

「一度でいいから作品の中に入ってみたいっ!!」

と、妄想してしまいますよね?


………ねっ!!!


というわけで、もし

【「私」が、この世界の8人目として、同じ年齢で恋愛模様に加わっていた場合】

を想定して、この綺麗な物語の展開を、更に味付けしてみました。



■第0話■
ひー君達が後に転入するクラスの隅に、「私」登場。



■第1話■
ひー君達、汐鹿生の4人が転入。
「私」まなかの屈託の無い笑みを見て、「この子は俺に惚れている!!」と勘違いする。



■第9話■
クラス皆で、おじょし様を作っている際に「私」、小学生の美海を見かけ何かに目覚める。

以降、「俺には、まなか がいるのに…」という、不必要な葛藤が毎晩続く。



■第13話■
葛藤で睡眠不足ののまま迎えた、おふねひき当日。
「私」荒れた海の中、人知れず海に落ちる。
(当然、エナが発動することはない。)

汐鹿生の村人が冬眠に入る中、一人永眠に入る。



■第13話と第14話の間■
偶然にも、紡が海へ出していた定置網に、最早原型を留めていない「私」が引っかかる。

紡、顔色一つ変えず無言で、手荒に海に返す。



………というわけで。。


どう想像しても「私」は、後半に駒を進めることが出来ませんでした。

私がいれば、男4女4で綺麗に恋愛模様もまとまっていた(に違いない!!)でしょうに…。

ゴメンよ美海……。。。


こんな綺麗な世界に『どざえもん』を出してしまうことになり、誠に申し訳ありませんでした。
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 76
ネタバレ

アリス★彡 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

懐かしい匂いがした

最初はただの絵本を手にする気分でした。
かなりファンタジーチックで最初は淡い恋愛感情を描く恋愛物だと思っており、そこまで期待はしてませんでした。
ですが、確かに絵本のようなおとぎ話だったものの、今まで読んできた絵本よりもとんでもなく素晴らしい絵本でした。

淡い恋愛物のふりをしたドロドロの恋愛物です。

人間が海の中に住んでいるというファンタジーな世界観。
この世界観を存分に活かした展開が本作品の魅力です。

キャラクターデザインは、
『僕は友達が少ない』や『電波女の青春男』の挿絵や表紙を手掛けたブリキさん。

シリーズ構成は、花咲いろはやとらドラの岡田麿里さん。

前半は淡い子供の恋愛物語、三角関係、海の人間と陸の人間の関係、などを中心にお話が進んでいきます。
ドロドロした人間関係を描いたお話で、とても岡田麿里さんらしいドラマチックな脚本でした。

前半は正直キャラクターの精神年齢が子供だったりするので、キャラクターに共感出来ずに、だるくてつまらない印象を受けるかもしれません。
暴言や喧嘩、恋愛の考え方もかなり子供っぽいです。
前半も良い感じのラブコメで楽しめたという人もいるので、前半は評価が分かれます。

この作品は前半で張った伏線を一気に回収する中盤から見所で、後半に進むにつれ一気に面白くなります。
また、大人が共感出来るようなシーン{netabare}(例えばちさとと紡が大人になったり) {/netabare}もあるため、ここから一気に大衆向けの作品に化けます。

また子供っぽいと思ったキャラクターも徐々に成長していき、大人になっていきます。
これが本作の魅力です。キャラクターの子供の時代を描くことにより成長した時、さらに感情移入が出来るようにしています。

この後半の展開は前半に張った伏線が無ければ、描写が足りずに感情移入が出来にくかったでしょう。
前半の甘いラブコメがあるからこそ、後半の壮大な世界観を描けるのです。

終盤になるにつれて、世界観の壮大さが強調されていきます。前半は、小さな恋愛物語を使って若年層の共感を呼び、そのあと徐々に前半に張った伏線を回収しながら設定を活かした壮大な話を描く。

本当に計算されている作品だと思います。
説明しなくても分かるシーンは、視覚のみ情報で理解できます。また陸と海との関係で、感情的になるところは、対立は中々終わらないということの、少し説得力が増えて良かったかなぁっと思いました。
ネタバレ有りのところでも書きますが、勢い任せの展開は、視聴者の感情を高揚させるためのテクニックであり、テクニックに現実世界のような心理を求めるのは、的外れもいいところです。この作品は、とてもそれに優れていて、とにかく感情を高ぶる良いシーンが多いです。
なので、私は視聴者の感情を高揚させることが本当に計算されているな、と感じました。(どういう風に感じたかはネタバレ有りのレビューで語ります)


深いテーマ性も物語を楽しむ上での醍醐味なので、ぜひぜひ考えてください。


↓以下ネタバレの長文。かなり書いてます。。。すいません。


{netabare}

■まなかが紡のことを好きだと思わせるミスリード
前半は、まなかが紡のことを好きだと思わせる徹底的なミスリードが行われています。
まなかが紡に釣り上げられるシーン、まなかが赤面して教室から出て行くシーンや、紡がまなかを助けるシーンなどなど。
例を上げればキリがありません。

1話目で、
紡「綺麗だ」
まなか「え、あ、なんだ魚のことか・・・」
紡「あんたも」

なんて台詞を入れているんですから、まなかは紡と結ばれるのかな、と思っちゃったりしました(笑)
完全に製作者の意図に騙されましたね(笑)

最終的にまなかは紡ではなくて光が好きだということは分かります。
その展開を視聴者に読ませないために、わざわざあんなフラグを作ったんですね。


■海の人間と陸の人間の対立
学校のシーンやおふねひきの件で揉める件で強調されています。

学校のシーンでは、通ってきた中学が廃校になったため転校してきた光たちに対して、陸の子供たちは、からかったり馬鹿にしたりしました。
海の人間と陸の人間の関係について数話を使って、上手く描写していたなと感じます。

また中盤のシーンでもその対立は描かれています。
おふねひきの件で、光のお父さんを含んだ海の人間と陸の人間が口論から喧嘩に発展するシーン。

結局、どちらが悪いのか分からないですけど、とりあえず凄く対立しているんだな、ということが分かりました。


その対立も、海の人たちが冬眠することで、陸の人たちが海の人たちに支えられていることに気づいて、また海の人たちも冬眠する前はなんだか寂しげな表情をしていました。

お互い憎んでいたけれど、お互い支えあっていたり、お互いいなければ分からないことがあったと気づきました。

■要
告白するというのは自分を納得させるため。
要は、冬眠の前に、ちさきに告白したり、光に、まなかに告白するように迫ったり、突然理解できないような行動を取ります。

しかし、全て告白するというのは自分を納得させるためだ、という要の自論に基づく行動なら納得がいきます。


相手に気持ちを伝えないということは、自分の気持ちに嘘をついたまま過ごすということ。
例え、相手の事を大好きでも、自分の気持ちに嘘ついてしまっては、なんだか心の仲が落ち着かない感じになってしまうかもしれません。
だから自分を満足させるために告白するんだ、というのが要の自論です。


その考えは告白すると人間関係にひびが入るかもしれないから嫌だ、というちさきやまなかに否定されてしまうのですが...

まぁこのあたりの価値観の押し付け合いは、子供っぽいなぁと思わせるシーンでした。

■変わらないもの

冬眠から覚めた光は、変わった街を目にして、変わらない自分と比較してなんだか途方に暮れます。

「自分はつい前まで、おふねひきをしていたのに、いきなり街が変わって、美海も大きくなって、もう何がなんだか分からない。
これ以上、変わったものを見てしまったら、俺は耐えられないかもしれない。
だからちさきには会いたくない。
もっと変わったものを見ちまったら、もうおかしくなりそうで見たくない。」

そう思っていた矢先にたまたま成長したちさきに会います。


「あぁなんだ
変わらないものもあるんだ」


5年間という空白は大きかった。
けど、5年間立っても変わらないものはある。
どれだけ変わろうとも、変わらないものは絶対存在するんだ。

そういうことを思わせるシーンでした。


■変わるもの

光達が冬眠している間に、ちさきと紡は二人で三人が目覚めるまでゆっくり時間を過ごします。

ちさきは、もしも光達が帰ってきたら、自分が光を好きでなければ、光達がなんだか遠い存在になるような気がするので、光のことを想い続けます。
自分が光の気持ちを無くしてしまえば、戻ってきたみんなは自分の変化に気づき、複雑な心境になるからでしょうね。


光達が戻ってきてから、ちさきは徐々に自分の好きという気持ちが紡に移っている事に気づきます。

分かっていてても認めたくないちさき。
そう、それを認めてしまったら、みんなを複雑な心境にさせてしまうかもしれない。

だから、認めたくない。


元々、ちさきは変わるのが嫌だから、告白して自分自身を満足させている要の考えには同調していませんでした。
今の関係が壊れるのが嫌だから、光に告白しませんでしたし、要が告白したほうが良いと勧めても、拒否しました。

そういった考えだから五年立っても人間関係が壊れるのが嫌で、光の事を想い続けたままでいます。



要はそんなちさきを見て、おふねひきの事を思い出します。

あの時、自分が紡を救わなければ、自分はちさきと一緒に入れたのではないか。
そうしていれば、ちさきが今好きな相手は紡ではなく自分だったのかもしれない。

でも、自分が紡を救わなかったら、確実に紡が死んでいた。


けど、最初からちさきは紡の事を気になっていた。
自分が紡を救わなくて、誰かが紡が救っていたとしても、結局、ちさきは紡の事を好きになっていただろう。


だって 人の気持ちは変わるものだから


どれだけ変わらない事があっても人間関係は何年もすれば変わるもの。
人の気持ちは移り変わるもの。



ちさきは紡の事を好きだって認めたくない。


けど、人の気持ちが変わるという事を知る。


だから気持ちが変わるという事を受け入れて、紡のことを受け入れる。



やっぱり時間が変われば人間関係が変化するんものなのだなぁっというのを感じたシーンでした。






■美海
今思い返すと、光と美海を5歳差にしていたり、美海が光に助けられたシーンを描いたりしたのは、全てはラストのためだったんだなぁ、と感じます。

まなかさんも好きだけど、自分も光が好きだから、まなかさんとは恋敵になってしまう。
そういう複雑な状況になり、精神的に追い詰められます。

さらに、光と同い年になった事で、いつも遠くから見ていた光と傍で一緒に学校に行けるという事に喜びます。

ですが、その考えも光の「これ以上、変わったものを見たくない」という発言を受け、「私馬鹿だった」と自らの考えを否定しています。

良いことがあった、と思ったら、すぐ嫌なことがある。
美海の人間関係は複雑で嫌な感じですね(笑)

そんな美海の出した答えとは?


■好きになってもいいんだよ
これを伝えたかったのかな?
これだけドロドロした恋愛物語を見せられてきて、「好きにならなければいい」、と一瞬でも思えるシーンがありました。
しかし、それらのシーンは全てこのテーマを伝えるためだったのですかね。

美海の出した答えでもあります。


製作者の主観的なメッセージ。
もしも、相手を好きになったら、それなりに苦しいことや辛いことが待っています。
場合によっては相手と結ばれるのは、難しい場合もあります。
けれど、好きという気持ちを無くしてしまえば、そもそも好きから生まれる味わい深い感情を得られないので、多少損していることになります。
そういう寂しい人生は嫌だな、そういう好きを感じない人生は嫌だな、という少し子供っぽくもとれるメッセージ。

それを14歳の美海を使って、最終話で伝えています。
誰かを好きになるというのは、海神様とおじょしさまのエピソードのようにとても素晴らしいことなんだよ。
好きにならなきゃこういう感情を味わえないんだよ。
だから私は嫌だな。
誰かを好きになった気持ちを忘れたくはないな。
例え叶わない恋でも、この感情がただの感情になるのは嫌だな。
だから、好きになっていいんだよ。
光も海神様も。
もっと素直になっていいんだよ。

ということを、主観的なメッセージであるもののしっかり伝えています。






子供っぽくても、子供っぽいからこそ、枯れた心には良いメッセージになりました。

好きという感情がどれだけ味わい深い感情かを再認識させてくれる。

とても良い作品でした。


あ、あともう一つだけ。
好きな気持ちは人間を変えてしまうことがあります。


例えば、作中の中で、
光はまなかを救うために、何回も海の中に潜りましたし、
美海は光を庇いましたし、
人間を突然本気にさせたり感情的にさせたりします。


光は美海を別のベクトルでしたが好きでしたが、ベクトルは違えど、最後のシーンで必死で助け出そうとしました。






どういうことかというと、


人の強い想いは時にとんでもない奇跡を起こすことがある。




これだと思うんですよね。


好きだということは相手を強く思うこと。
強く思うというのは人間のやる気が湧く要因になるということ。
やる気というのは、人間が行動するというためのエネルギーになる。

行動するというのは、時にその行動する量により周りに影響を与えることがある。
周りに影響を与えるということは、大いなる流れを変える可能性がある。



一つの大きな想いが、大きな行動を生み出して、大きな流れを変える可能性があるということです。


明治維新であれ、フランス革命であれ、大きな想いが無ければ大きな行動は生み出せませんでした。


何か大きな行動を起こそうと思うとそれなりのやる気が必要です。

やる気の源になるのは感情です。強く思う事です。


好きだと強く願えば、その好きのエネルギーが世界を変える原動力になるかもしれません。
その好きがやる気になって、世界を動かすやる気の一つになるかもしれません。


可能性が低くてもゼロではありません。


だから私は好きな気持ちは、時として人間を変えてしまうということがあり、その時に生まれた強い感情が世界を変えてしまうこともあるのだと考えます。


例え小さな変化だったとしても、その小さな変化が大きな流れを変えてしまうことがあるのだと考えます。








『海神様、まっこと面白いですなぁ人間と言うものは』


『傷ついて答えはなくても、それでもひたすら足掻き夢を見て』



『その想いが大いなる流れを変えるやもしれん』






『ぬくみ雪が止みましたな』


byうろこ様



{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 50

87.6 2 切ないでファンタジーなアニメランキング2位
終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?(TVアニメ動画)

2017年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (1300)
6415人が棚に入れました
《人間》は規格外の《獣》に蹂躙され、滅びた。たったひとり、数百年の眠りから覚めた青年ヴィレムを除いて。《人間》に代わり《獣》を倒しうるのは、《聖剣》(カリヨン)と、それを扱う妖精兵のみ。戦いののち、《聖剣》は再利用されるが、力を使い果たした妖精兵たちは死んでゆく──。死にゆく定めの少女妖精たちと青年教官の、儚くも輝ける日々。

声優・キャラクター
新井良平、田所あずさ、Machico、上原あかり、荒浪和沙、水瀬いのり、水間友美、久保ユリカ、石見舞菜香、木野日菜、小日向茜、井上喜久子、千葉繁、小杉十郎太、佐藤聡美、井上ほの花、佐藤利奈、麦人
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

終末ヒロインの幸せとは何なのかを探し求めた結末…儚さと切なさを感じる作品

このタイトルを見た瞬間、訳がわからない感情がわき、ひかれました。タイトルで視聴を決めてしまいました。

1話…「私のこと忘れてくれると嬉しいな」
{netabare}ある島で出会う青年と少女。島の外れで遠くの島を眺める。少女はこれが最後みたいなことをいう。
青年は知り合いのゴブリンから軍の仕事を斡旋される。武器倉庫の管理だった。倉庫に向かうと、幼女に襲われる。が、そこに現れたのは島で会った少女だった。少女に導かれた先は大きな屋敷で、青年の知り合いのとおぼしき女性(トロル)と会話する。
青年の名前はヴィレム。なにかしら軍に関係した人物のようだ。そして、明るいのに影がある少女の名前はクトリ。青年にひかれているようだった。
この世界はすでに滅んだあとの世界で、青年は最後の戦いを経験した生き残りらしかった。

冒頭でいきなりクライマックスのシーンが出てきて、最後は…とかなり悲しい始まりでした。兵器=人間ということなのでしょうね。この二人がいい感じで、でも最後は辛い別れが待っている…考えただけで切ない。
作画の感じも良いし、展開も笑いあり、グッと来るようなシーンもあるし、これは毎週待ち遠しいです。{/netabare}

2話…幼女たちに信頼されるには
{netabare}武器倉庫とはいったものの、幼い子供たちの施設になっている状況にいまひとつピンと来ないヴィレム。子供たちは大人の男性に慣れていないため、接し方が分からない。そこでヴィレムはプリンを作って子供たちに食べさせる。その結果、ヴィレムはあっという間に人気者に。
ヴィレムが気になるクトリ。アイセア、ネフレンとの会話で「あと10日」というキーワードが嫌な感じ。
ある日、ボール遊びに夢中になっていた子供の一人が崖から転落。大ケガをしているにも拘らず、平然としていることに戸惑うヴィレム。
ナイグラートに武器庫に案内され、真実を知るヴィレム。子供たちは人間の武器が扱える妖精で、世界の驚異となっている獣たちと戦えること。飾られている聖剣は強力で、自らの命と引き換えに大爆発を起こせるということ。つまり、子供たちは命を落とすことが前提で生きていて、死を恐れていないのだった。しかし、ヴィレムには聖剣に見覚えがあった。聖剣は人間族の真の勇者だけが扱えるもので、ヴィレムにも関わりがあったのだった。
クトリとアイセアが数日消えた。獣たちと戦っていたのだった。迎えたヴィレムは疲れ果てていたクトリを介抱する。クトリは心の準備(死への)ができていたが、なにか違う感情が芽生えていた。

2話で「あと5日の命」という展開…。はじめから死しか選択の余地がない子供たちは…切ない。
クトリと同年代のアイセアとネフレンを置いたのは物語的に締まっていいように感じます。性格もバラバラだし、クトリ一人では重すぎだったので。
ヴィレムにも重い過去があって、ちょっとずつ明らかにしていく感じです。{/netabare}

3話…フラグ立てるな
{netabare}ヴィレムはネフレンに手伝ってもらい妖精たちの戦いの記録を調べた。翌朝、クトリが目を覚ますと、ヴィレムがネフレンと寝ていることに嫉妬(ジト目で)。ヴィレムがクトリに朝の運動と称して戦うことに。聖剣の使い方を伝える。クトリは戸惑うばかり。
戦い終え、ヴィレムが倒れる。ナイグラートに処置してもらい、落ち着く。そしてナイグラートは子供たちにヴィレムのことを話す。ヴィレムは人間族の唯一の生き残りだと。子供たちは驚くどころか、ヴィレムに益々興味を持つのだった。一方で、クトリはヴィレムから受けた戦いかたに混乱していた。空を飛び回り、ライムスキンと会話する。そこでクトリは本音を言い、ライムスキンはクトリに自爆せずに生き残ることも選択と伝える。
帰ってきたクトリにヴィレムは聖剣とは何かを話し、クトリは生き残ることもあることを話し、帰ってきたときの約束をする。そして戦場へ…。

濃い回でした。少しずつ明らかになるヴィレムの過去。そしてクトリの変化する心がなんとも言えません。三人娘が戦場に向かいますが、全員生き残ってほしい…。{/netabare}

4話…待つ者
{netabare}クトリたちが出陣してから半月、その結果は伝わってこない。心配するなか、ティアットが夢を見たという。ナイグラート曰く、一人前の妖精兵になる兆しだという。そこで診療所のある島に向かい、検査を受けるため、ヴィレムに一緒に行ってほしいと頼む。これはヴィレムに気晴らしをさせたいナイグラートの気遣いでもあった。
診療所に向かうヴィレムとティアット。飛行挺の中でヴィレムは夢を見る、それは悲しい夢だった。初めて島を出たティアットは検査を受けるためだと思いながらもウキウキ。ティアットが夢中になっている蜥蜴映画の聖地を巡り、あちこち引っ張り回されて検査に向かう。この検査、実は妖精兵になるための調整だった。これについてはティアットも心得ていて、立派な妖精兵になると言うものの、ヴィレムは「本当に良いのか」と問う。
翌日、雨降るなか、建物の雨漏りを見ていると外が慌ただしい。作戦は失敗したとかなんとか言っている。夢の中の描写と一緒になったヴィレムは焦る。そして情報を聞き出し、本当に失敗だったことを知る。愕然として膝から崩れるヴィレム…。そのとき、聞き覚えのある女の子たちの声が聞こえてきた。振り返るヴィレム、そこには三人娘がいた。ヴィレムは能力で瞬時に三人のもとへ飛び、そしてクトリを抱き締める。

先ずは無事に帰ってきて良かったよ…。ヴィレムがところ構わず抱き締めてしまうシーンはグッときたけど、表情がいまいちな気が…。それと、けっこう大雑把な流れになった気がします。もうちょっと丁寧に、じっくりためてからでも良い気がしました。とはいっても、この流れの話は好きなんですけどね。
今回の作戦が失敗だったということはどうなるんだろう? このあたりは次回明らかになるのかな? あと気になったのは噴水の像。確かOPに出ていたような気がするんだが…。{/netabare}

5話…ヴィレムはなんだかんだで
{netabare}三人娘の戦いの様子が語られる。敵は精神攻撃、予測を超えていた。そのための撤退だった。クトリは調子がいまいちである。
フィラのお願いにライムスキンは応えない。それどころか、ヴィレムに押し付けてしまった。かたくなに断るヴィレムだったが、その考え方は正論だった。フィラといつの間にか観光になっていた。しかし、それを狙う輩が。フィラの父親は市長で、反対派が反乱を起こそうとしていたのだ。そのために娘のフィラを誘拐しようと狙っていた。
ヴィレムはわざと狭い場所へ連れ込み、その一団をのしてしまう。なんだかんだ言いながら優しいのである。
島へ帰る直前、軍の一人に呼び止められる。ヴィレムはその名前を聞いて残らざるを得ないと考え、三人娘とティアットを見送った。

クトリに変化が生じてきた感じです。ヴィレムと離れてしまうことにかなり不安なんですけど…。
ヴィレムが残る理由は次週へ持ち越しですが、ヴィレムの過去が明らかになるのでしょうか。どうも転換点に差し掛かっているようで、目が離せません。{/netabare}

6話…良い最終回…じゃないのね
{netabare}ヴィレムが残った先には大賢者が待っていた。賢者はヴィレムの500年前の知り合い、スウォンだった。スウォンはヴィレムが石化した後も戦い続け、一度死んだが呪いをかけ不老不死になっていた。
ヴィレムはさらに意外な人物と接触する。頭蓋骨姿になっていたヴィレムが倒したイーボンキャンドルだった。スウォンとイーボンキャンドルからヴィレムが空白になっていた500年の話と妖精の話が若干される。二人はさらに核心を隠していた。
一方、クトリは苦しんでいた。何者かに精神が乗っ取られようとしていたのだ。これは生き残った妖精の宿命らしかった。ヴィレムが島へ戻って、クトリの状態を知る。ナイグラートと語らう。そのとき、クトリが目覚ます。クトリは先を考えず、ただただヴィレムに会いたい一心で帰ってきたのだ。

やっととというか、世界観が見えてきたような回でした。淡々と進むけど、もう中盤なんだ…。ヴィレムとスウォンの会話の珍妙なこと…。あの声で少年のような話しぶりは違和感より笑ってしまいましたが。
最後、単純な手法なのに、クトリの一声で涙止まらなくなってしまいました。弱いんだな、こういう展開…。これが最終回でもいいよと思うくらいです。{/netabare}

7話…続くのですね…
{netabare}クトリが目を覚まして数日。クトリには微妙な変化が生まれていた。ナイグラートに調べてもらったところ、反応が変わっているという。聖剣に近づかない方がいいと言われる。
ヴィレムは約束のケーキを作っていた。子供たちも大喜びだが、それはクトリとの約束だったケーキだ。クトリはそれを食べ、帰ってきたことの思いをヴィレムに伝えた。
一方、妖精兵はクトリたちの他にもいたのだ。ラーンとノフト、二人は地上の探索隊に加わっていた。そこに獣が襲ってくるが、ノフトが斬ってしまう。

ラーン、見た目がイカちゃん…。獣は某新マンのツインテールだし、ちょっと気になりました。二人のキャラがどう絡んでいくのでしょうか。ED、あれ?っと思って見比べたら、ちゃんと今回からラーンとノフトが加わっていたのにビックリです。細かい。ということは、一応、この回から後半突入ということになるんでしょうね。
クトリが約束だったケーキを食べることができて本当によかった。此のフラグは折ってほしかっただけに。でも、1話冒頭で赤い髪がクトリであることはバレているし、最後は…なんだろうけど、こういうシーン積み重ねていくと、最後は本当につらそうです。{/netabare}

8話…日常からの
{netabare}上官(とても嫌みな)との会話で地上の偵察隊について話を聞くヴィレム。見せてもらった写真はヴィレムのふるさとで、しかも自分がすんでいた家の跡地だった。
ヴィレムについてきたクトリ。もはやデートである。ヴィレムが地上に降りる話を聞き、クトリも一緒に行くことに言ってきかない。上官はなぜか簡単にOKが。どうやらクトリはヴィレムの愛人と思ったらしい。
夜、流星を見る子供たち。そのうちの一人が転落し、クトリが力を使って助ける。そして、クトリは異常が進行し始めた。

クトリとヴィレムの幸せそうな展開で、そのまま進む…分けがないのがこの作品ですね。最後だけでなく、途中にも先を案じる場面が織り込まれて、不穏でしたし。回数考えると、どんどん鬱展開に入っていきそうです…{/netabare}

9話…終わりの始まり
{netabare}クトリの変化に気づいたアイセア。クトリにアイセアの真実を話す。アイセアから励まされたクトリ、日常を明るく生きる。
ヴィレムはクトリの変化に気づいていた。それでもクトリは前を向くことを決意した。
冬の日の夜、壮行会を兼ねた降雪際パーティー。幸せな時間が過ぎる。そして、ヴィレム、クトリ、ネフレンは地上に向けて出発する。

クトリの一人語りが切なく、重いです。もう戻れないであろう、いるべき場所との別れ。最終回終わって見直すとじわじわ来るような作りなのかもしれません。
時折見せていたアイセアの違和感。その伏線の真実にビックリでした。その発想はなかったです。
とうとう地上に降りました。もう残り話数を考えると地上での話を繋いで1話冒頭の場面に行き着くのでしょうね。{/netabare}

10話…地上の日常
{netabare}地上に降りたヴィレム一向。ラーン、ノフトと出会う。地上の探索隊員から蔑みた目で見られたクトリ。クトリは自分のすべきことを行動で示し、隊員たちから信頼されるようになる。
クトリの脳裏に浮かぶ赤い髪の少女。その少女に立ち向かうこれまた赤い髪の少女。
ヴィレムはクトリのための聖剣を探し出す。そしてノフトの聖剣を手入れしている時に真実にたどり着き、愕然とする。

最後へ向かっての序章という回でした。真実を知ったヴィレム、クトリがクトリでなくなる寸前の状況、二人の着地点はどこにあるのでしょうか…。{/netabare}

11話…クトリの魂
{netabare}ヴィレムの求婚に応えたクトリ。二人は照れあい、普段通りとはいかない。ヴィレムの思い出の家に着いた時、地下から衝撃が。そして落下。
地下は空洞になっていたが、クトリの様子がおかしい。クトリが向かった先には氷付けになっていた子供がいた。セニオリスの呪詛によって閉じ込められたのだった。気を失うクトリ。
そのころ、飛行艇の周りは獣たちに襲われ大ピンチ。ラーンとノフトが抑えているが、二人は覚悟を決めた。気を失っているクトリ。クトリは意識のなかで赤い髪の少女と会話する。その子供は神で、過去に勇者のリーリァの一撃によってこの状態になっていたのだ。そして、クトリの存在が何であるかを知る。
飛行艇を襲いはじめた獣。ネフレンが必死に抑える。そしてヴィレムも戦う。

いよいよラストだな…という感じの回でした。重い、重いなぁ…。
せっかく幸せなろうとしたときに起こるピンチ。まぁ、1話冒頭で分かっていたこととはいえ、あれに繋がるのか…。みんな助かって欲しいけど、どう見ても悲しい感じだもんなぁ…。来週はハンカチ用意しておこう。
いままで謎だったクトリの真相、リーリァのこと、赤い髪の理由、とにかく詰め込んだので一回では掴みきれず、結局三回見てようやく納得。もう少し丁寧に描いてほしかったです。1クールだから仕方ないのかな。{/netabare}

12話…クトリの幸せとは
{netabare}飛行艇が獣たちに襲われる。ラーンもノフトもネフレンも限界に近い。ヴィレムは勇者になりきれなかった勇者。聖剣を使わなくても倒してしまうが、体がもたない。ラーンに自分の過去を話す。
限界を越えようとしていたネフレン。飛行艇から落ちそうになる。ヴィレムは救おうと手を伸ばすが、ネフレンは自ら落ちていく。追って落ちていくヴィレム地上に落ちる瞬間、クトリが救う。クトリはヴィレムを救うために自らを犠牲にしようとしていた。ヴィレムとのこれまでが幸せだったとこを強く思い戦う。そして消えた。
日が経つ。ヴィレムとネフレンの消息は分からない。クトリは消えた。そして青い髪の毛の少女が誕生し、大賢者の探査装置には波紋が二つ広がっていた。

1話冒頭で結末分かってはいたが、辛い結末でした。クトリの「誰がなんと言おうと、世界一幸せな女の子なんだ」はいかん…堪えきれません。その前のネフレン落下シーンですでに堪えきれなかったんですけどね。スカボローフェアはキツいなぁ…無理、堪えるのは無理。アイセアがぼろぼろ泣くシーンは泣き返しです。{/netabare}

今期もっとも期待した作品ではありましたが、一番とはいかなかったかなという感じです。それでも十二分に見ごたえあったと思いますし、良い作品でした。
ラストにきて次々と明らかにされていく真実や世界、頭追い付くのが精一杯で、2、3回見直していました。腑に落ちない点があったので、原作のあらすじを確認しましたが、なるほど、あと3話くらいあっても良い感じだったのですね。
ヴィレムが氷付けになる前の話し、リーリァとの繋がり、そういったものがもうちょっと掘り下げてくれたならもっと面白かったでしょうしょうね。

クトリというヒロイン、本当に良くできたヒロイン像だったと思います。ヴィレムとの出会いから信頼を寄せるまで、好きになっていく過程、自分の真実を知り、それでも前を向いて幸せになろうと進むところも良いです。最後のクトリとヴィレムの掛け合い、さすがにツラかった…。

OPの田所さんの曲、今期一番のお気に入りです。すごく心情に迫る感じがとてもよかったです。EDのTRUEさんはあんていしています。歌詞が書き込まれていたのは今どき珍しい。

二期があるとすると、別のヒロインの物語になるとのこと。クトリの物語が良くできていただけに、どんな話になるんだろう。やっぱり原作は読んだ方が良いのかな。

儚く散ってしまう少女の生きた過程を題材としています。こういった切なくなる話が好きだなという人にお勧めします。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 51
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

HE once was a true love of mine

【2016/06/30 誤記訂正】


原作については何も知らないが、いい加減に、マーケティング会議で凡庸なブレーンストーミングの果てに多数決で決めたようなタイトル付けはやめるわけにはいかないのだろうか。
アニメの第一話を見た限りでは、十分にテーマ性も世界観も詰め込まれた物語に見えるのに、出版する側が創作性より市場を優先して目配りしているようでは作者が浮かばれないだろう。


一話の冒頭から、重苦しい展開を予想させるような描写で幕を開けるが、続く『スカボロー フェアー』でオッサンは完全にやられた。

同世代の視聴者であれば、文句なくサイモン&ガーファンクル版の『スカボロー フェアー』を思い浮かべるだろうが、別離を想像させる切ない歌詞が、「彼女」を想うものから「彼」を想うものへ変えられているのは、歌い手の性別だけではなく、先の物語の流れに合わせたのだろうか。
それに加えて、サイモン&ガーファンクル版の、あの不穏な輪唱の歌詞まで想起させて、より物語の行く末を(勝手に)想像させて来る。

名曲と共に登場した物語は、どのように流れていったのだろうか。


{netabare}ラストで再び流れる『スカボロー フェアー』は、やはり、この曲が物語を象徴していたと思わせる。

彼は私の大切なひと「だった」、と語る歌詞は、過去を「振り返って」あの時が「幸せ」だったのだと告げるものだ。
物語を通じて次第に明らかになる希望の無さは、ヒロインから「記憶」が剥落していく描写と並行して、「未来」から希望が次第に「消えてゆく」事態を表現している。

あの、物語の冒頭こそが「幸せ」の頂点であり、そこから滑落していく過程を象徴するものとして、この曲はある。

だが、「運命」に翻弄される悲劇だと一面化しきれないのは、サイモン&ガーファンクル版の、あの輪唱の記憶のせいだ。

>由来も遥かに忘却された いくさ に

>戦え、殺せ、と

>将軍たちは、兵士を駆り立てる

サイモン&ガーファンクル世代の視聴者としては、この詠唱(私的な意訳)を作品外から幻聴してしまう視聴を止めることが出来ない。
製作者の意図を度外視して、この詠唱を二重化する効果を含めて『スカボロー フェアー』を採用したという視聴を、あえて選びたいと思う。

そうであってこそ、ラストの、主人公とヒロインの「死」と「幸せ」が奇跡的に融合されるあの特権的な瞬間が、誕生するだろう。
与えられる「運命」としての「悲劇」であれば、それを「肯定」する事にも深みは生じない。
二人が「将軍」が「兵士」に死を命じるような「やりきれなさ」を受け入れてしまうことが、ラストの割り切れないやりきれなさを生む。


将軍と兵士の「やりきれなさ」は、「世界」の構造として表現されている。

本作の「世界」は、ひどく「堅い」印象があるのだが、これは設定の各要素が、互いに支え合うように配置されていることによる。

破滅的な超兵器によって半ば地獄と化した地上だが、そこから逃れて人々の生存を可能にする「島」は、「超兵器」と同根の「技術」によって「人工的」に維持されている「大地」だ。
人工的な維持機構なしで「大地」=生存は不可能で、やはり「超兵器」と同根である技術によって「生産」される「妖精」の「使い捨て」も、これもまた維持機構の一部であり、島の「生存」の為には不可欠のものとして構造化されている。
「人工島」を成立させるシステムの一切は、「獣」の支配する地上を生み出した技術と同根で、原理的に「システム」は「地上」の脅威を凌駕して浄化することはできない。
浄化できない限界性によって、「人工島」のシステムの停止=妖精の解放もまた、あり得ない。

こうして、「出口」を塞ぐように互いに絡み合う設定が作り出す窒息しそうな「世界」が、それでも作為性が希薄であるのは、この「世界」を構成するパーツが、視聴者には見慣れたものであるからかもしれない。


人工的な「大地」の維持システムの一部として、それ無しではシステムが崩壊してしまうものとして取り込まれている「妖精兵器」は、資本主義システムが必然化する、それ無しで存続が不可能である「相対的過剰人口」と相即的だ。

不景気には真っ先にクビを切られ、好景気でも最後まで安定雇用はされない、貧困との境界上に押し込められる不安定雇用の「相対的過剰人口」は、十分に好況であれば消滅するものではなく、資本主義システムの必然かつ必須のものとして、システム自体に構造化されて一体化している。
決して安定雇用を得られない「層」は、システム維持の「人柱」として、構成員の入れ替わりはあるにせよ「層」としては排除できない。
まさしく、「人工島」の維持システムとして、逃れられない「死」を押し付けられて何処にも行けない「妖精兵器」との相似を見るのは容易だろう。
どちらも、システム自体の崩壊や変質を伴わずに、脱出することが出来ない。

そしてまた、「地上」の敵を一掃し、環境や生態を一変させて「獣」の徘徊する廃墟に変えた「超兵器」と、「獣」を殺戮するために「妖精」の命を要求する「聖剣」が同じ技術から生じていることも、核兵器=原子力の関係を連想させる。

原子力発電所が、核兵器プラントから廃棄される排熱を発電機に接続しただけの、本質的に同じ設備であるのは周知のことだが、その維持がしばしば非正規労働者である現場作業員の(コントロールされているとはいえ)被曝と引き換えであるように、「超兵器」と本質的に等しい「聖剣」が妖精の生命や人格の喪失と引き換えであるのは、これも相似的だ。

別に「現実」を寓意するために、このような「世界」が構想されたとは思わない。

「世界」を、「堅い」強固なものとして構築しようとする意図が、自然に現実的な要素を引き寄せたのだ、ということだろう。


この「堅い」世界を、決して肯定的に描いているわけではないのに、抵抗や破壊に向けては物語は進まない。
破壊は、ある意味で「未来」を指向する。
しかし物語の視線は、一貫して「過去」に向いているようだ。

通常、若者向けの物語では、「過去」は脊髄反射的に劣位に置かれ、「未来」は無批判に優位におかれる。
だが、優劣を疑わない視点からは、「未来」を輝いたものとして希望する「私」は、「過去」によってしか存在し得ないことを自覚することが無い。

本作で、「記憶」の脱落によって深い絶望と恐怖にさらされるヒロインは、アイデンティティ=自己同一性は、「記憶」の連続性によって担保されているということを的確に表現している。
「私が私である」という自己同一性は、昨日の私がここにいたという記憶、1年前の私がここにいたという記憶、3年前の記憶、10年前の……という「連続性」の確信の上に成立する。

記憶の連続性が疑わしくなるとき、「私」の自己「同一性」は揺らぐ。
記憶が全て消滅すれば、「私」も消滅するだろう。私という自意識の消滅は、「私」の「死」だ。

「私」が消え去る「死」への坂を滑り落ちながら、あの時たしかに幸せ「だった」という特権的な「記憶」に支えられるヒロインを追う物語が、過去へ向けた視線に支配されるのも当然だろう。
無批判に「未来」志向の視線を「前向き」だと捉える能天気な気分は、未来を見つめる筈の「主体」=この私についての思考停止を表明しているに過ぎない。

「私」の不安定性に無自覚で「未来」の優位を漠然と信じる「前向きな」視聴からは、ラストの決戦は捉えにくいかもしれない。

あのとき幸せ「だった」、と「過去」を見つめて「未来」を指向しないラストの主人公とヒロインは、「後ろ向き」であるわけではない。

あのとき幸せ「だった」という記憶を持っている「私」は幸せ「である」のだ、と、この「現在」の「私」の一瞬に生きたのだ。

「この一瞬」にすべてが溶解するような作劇は、「絶望」とも「希望」ともレッテル貼りを拒絶する。
視聴者に向けて、レッテルを貼ってパッケージ化して差し出すことをしない製作者の「語り」は、この「堅い」世界を「生きた」キャラクターへの誠実を感じさせるものだ。


キャラクターへの誠実は、その描き方にも表れているようだ。

主人公とヒロインの恋が終幕に至るまで前景化してこないのは、そこに製作者か作者の自制を見たくなる。

保護者的な大人と未成年の恋は、典型的には「教師と生徒」の恋に象徴化できるだろうが、マンガやアニメではありふれている。

大抵は「二人が好きあっていればよい」と肯定的に描かれるが、普通の大人からは抵抗感を感じられる。
「教師と生徒」の大人と子供の関係には、抜きがたく力の上下関係が存在するからだが、「生徒」に近い読者層からは、「教師」という大人と、ある意味で「対等」になれるという力関係の逆転の満足を得たいという欲望から肯定されるのだろう。

しかし大人にとっては、力関係を背景とした恋愛は、一種のマイルドなパワハラかセクハラであって、未成年との「合意」という言い訳では、正当化するに十分であるとは感じられない。
現実に「教師と生徒」の恋を結んでしまった大人が非難されるのは、こうした大人のバランス感覚の欠如が問題視されるからだが、本作の主人公が、ヒロインの恋心を知っても距離を保っている描写は、アニメ的にやせ我慢をしているというよりも、「大人」を表現しているように受け取れる。(なにしろ主人公は500歳を超えている社会人だ)

トカゲ人間の将軍やサルベージ屋の大将が、「妖精兵器」に対してきわめて「まっとう」な公平性をもって接する描写も、ベテラン声優を配した効果を発揮して、いかにも「大人」であるバランス感を表現し得ているようだ。

こうした描き方が、終幕でヒロインの「死」を目前にして社会的な大人の配慮を捨てる二人の恋の成就を、アニメ的展開のご都合に見せない、「世界」を「生きる」キャラクターへの製作者の誠実を示している。


このような、あちこちで一般的な「受け」に逆らうような表現やストーリーラインは、「泣ける」「笑える」といったタグを掲げる大ヒットの手法を無視しているようだ。

しかし、非情で動かしがたい世界に置かれた実存が世界を肯定しようとするならば、「スカッとさせる」展開があるはずはないだろう。

「縫い目のないシャツを縫う」ような不可能な「奇跡」が、もしも起きるのならば彼は恋人に「なるだろう」という「未来」を歌う『スカボロー フェアー』が象徴しているのは、非情な世界では「未来」は「奇跡」を要求するという困難性であり、肯定しようとする実存の困難だ。

ラストシーンで誕生した新たな「妖精」が、転生による希望という「奇跡」であるのか、煉獄に送り込まれた「兵器」が一人増えたという「繰り返し」の絶望であるのか。
説明のない混沌は、視聴者のそれぞれの実存を問うものとして、レッテルなしで投げ出されている。


最後に、これだけの物語を、マーケ屋のでっち上げたタイトル付けで市場に送り出した出版社の安直は、どれだけ非難されても十分ではないと強調しておきたい。



P.S.
ヒロインの人格が浸蝕される悪夢のようなフラッシュバックの描写で、小文字でlilya(リーリア? リリア?)というキャラ名(?)が断片的に表示される。
一瞬、ilya〈イリヤ〉と錯覚させるかのような表示だが、自分の人格が消えて見知らぬ人格が立ち現われる場面で、存在者が消えてなお立ち現われる存在、は、できすぎた気がする。
作者か製作者がレヴィナスを読んでいたのかは分らないが、偶然としても、世界に投げ出された実存の物語にはふさわしいかもしれない。{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 13
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

ごった煮にして薄っぺらくした感じ

4話までの感想
{netabare}まず1話で思い切り興味を引いたのは、町をさ迷うシーンでカメラ固定(背景そのまま)でキャラがパッパッとテレポートする…実際にテレポートしてるんじゃなくて途中の時間をカットする演出があるのだけど、
テレポートするたびに微妙にカメラ(つまり背景)がズレる。
実写だったらそうなりがちではあるけど、アニメだとむしろ手間がかかってるワケで、そんなのをワザワザやってることに驚き。
(気付かないだけでそのようなズレる演出は他のアニメでも普通にやってるのかも知れないけど)
スカボローフェアもさることながら、ひょっとしてアニメってより実写映画を意識してるんじゃなかろうか?と思うように。
そして話が進んでいくと…1話での先入観も手伝ってアレを思い出しました。
怪獣映画と謳っておきながら怪獣を一切映さない映画…「大怪獣東京に現わる」。
怪獣が本当に現れたらどのように報道されて、人々はどう行動するだろうかってのを描いた作品、面白いっすよ。
ひょっとして終末は~ってソレ系?
原作未読なので今後の展開は知らないけど、もし最後まで地底?地上?のバケモノとの戦闘を「描かなかったら」かなりの良作になるんじゃなかろうか。
一方で描いちゃったらよくあるラノベ系で終わってしまいそう。
…しかしそんなことやるのかね?派手なアクションのないアニメって評価下がりそうだし。
クライマックスくらいは戦闘あっても、ま、まぁ大丈夫とは思うけど…。

それにしてもタイトルで損してる気がしないでもない。{/netabare}

5話感想
{netabare}あっれー?なんか変な方向に向かってないか??
序盤戦闘シーンがあったことは↑で書いた期待してたモノとはズレるけどそれは別に構わない、こっちが勝手に期待してた部分だしね。
ってか「こうなったらメガンテを使わざるを得ない」って状況までは追い込まれてないので、↑の示す「戦闘シーン」にはまだ至ってないのでセーフセーフ。
問題はそこじゃない。
新型の敵が現れて、対処方法が見付からず、浮島を一つ放棄した、ってことだよね?
う~ん…そんな状況って軍的には戦々恐々で物凄くピリピリしてるものだと思うのだけど、なーんか妙にノンビリしてない?
別部隊がコト(データ集積や検証)に当たっててヒロイン達は休養したまえってことなのかも知れないが、それにしたってなんか変。
ハドソン夫人がトカゲ男に頼み込むシーンにしても、ヴィレムの居る目の前でこれこれこんな事態なのでどうにかしてくれって言った後で「この話はできればおじさま以外の方には…」って…正気か?
あれれ?
でもって過激派がホイホイと軍にケンカ売るとな?制服で軍って分かってるんだよね?
んでもって内政がどうたら正義がなんたら…う~ん、暢気だなぁ。
なんかトータルイクリプス見てる気分になったのだけど、「お前らそれどころじゃないんじゃないの?」感が果てしない。
マンガなんかでたま~に見る「掲載誌が変わった」ってことで雰囲気が一変することはあるけど、ラノベでもそういうことってあるのかな?
いや、これ原作がどうであれアニメとしても脚本ヒドいと思うんだが…。
内政には不干渉だと軍規で決まってるなら向こうから手を出してくれないことにはどうにもならないワケで、囮に使ったことで怒られたり詐欺師呼ばわりされるのは不愉快(じゃあどうすれば軍規背かずに干渉できるのさ、と)。
ラストもウサギを殴ったんだと思うけどそれも意味フ。

とりあえず今回は捨て回と思った方が良さそう。
次回以降マトモに戻ってくれることを切に願う。{/netabare}

全話見ての感想
{netabare}終わってみれば「ありゃー?」って感じに。
今思えばハドソン夫人が出た回辺りからあれれ?だったかと、ってかそこで気付くべきだったか。
↑でも書いたけど、浮島1個沈んだことでじゃあ残った島はどうリアクションする?ってのは描かれない。
軍の活動も具体的に出てきたけど、同時にアラがやたら浮き出る形に。
活動資金は税金なのか接収なのか有志による募金なのか、とかね。

かつての自分の不甲斐なさを悔いて辛い生活に身を置く→わかる
かつて英雄としてスゲー存在だったけど今は知る者は居ない→わかる
この世界を統治する賢者に存在を知られてもそれまでの生活をそのまま→ん?

剣の調整ができるのはヴィレムだけで、もうこれだけでvip待遇待ったなしだと思うんだが…。
妖精が人扱いされないメガンテ要員だとしてもその立場は決戦兵器なワケで、扱いが雑になることはありえないような?
決戦兵器なれど消耗品な妖精の損耗率を下げられるって、ちょっとした革命クラスだと思うんだがかなぁ。
なんか、戦力増強が見込めるハズなのに放置してたり、妖精以外の対抗策全く考えてないっぽかったり、本気で化け物を倒す気は無さそうというか…危機感がなーんも無い。
これでは化け物の正体どうこうも、ふーんって感じにしかならない。

クトリの前世?侵食?もどうでもいいというか。
対決した化け物が侵食能力を持ってたってことではなく、一定以上HPを削ると侵食が始まるってことでいいのかな?
で、アイセアのケースから鑑みるに、前世の候補に挙がるのはヴィレムに縁のある連中(500年前にやらかした奴ら)ばかりってことではないっぽい?
あれ?じゃあクトリの前世が赤髪の少女だったのはただの偶然?
要は前世とやらは、生まれた時から決まってるのか後天的に植えつけられるのかようワカラン。
前者であるならクトリの前世に赤髪の少女が当たったのが都合よすぎ、後者であるなら最終回のオチが台無し。
じわじわと侵食されてく不気味さの描写もイマイチ、というか落第レベルだし(予算か?予算なのか?)。
…。
原作読めって?やだよお(苦笑い)

ところでここ(あにこれ)ではない何処かでプラメモと類似してるという指摘を目にしたことがあります。
う~ん、それはちょっと違う気がする。
プラメモは後半対応を変えたとはいえ、途中まで「そんなことをしても後で辛くなるだけだ」として主人公とヒロインが親睦を深めることに反対するキャラが居ました。
決して悪意があったってことではなく、「優しさ」由来の行動にバリエーションがあったというか。
対するこちらは二人を祝福するばっかりで、キャラに変化が無い。
ぶっちゃけ世界観を掘り下げる気が無いならラーントルクとノフトは要らんかったような…。
そうそう、ラーントルクで思い出したけど、生物兵器と生体兵器はちゃんと分かって使い分けてたのかな?
誤用してるなら誤用してるで構わないのだけど「バケモノの正体は一体何ぞ?」ってところで出た言葉なので、ハッキリさせてくれないと結局ボケボケにしかならないというか。
(敢えてどっちか分からない素振りで得体の知れない感を演出したのかも知れないが)

というかねぇ、同期に放送してたアニメでグラブルってのがありましてん。
浮島世界を舞台にしたファンタジーって共通点があって、どうしてもそれと比較してしまい安っぽく感じてしまう。
(グラブルの話も大概だが)島ごとに特産品があったりで、世界旅行をしてる気分になれた、多少なりとも。
終末も一応映画村とかあったけど…いやいやそうじゃなくて一次産業どうなってんのさ、ってのが説得力に繋がる部分だと思うのだが。
牧歌的な話を描きたいのなら人が社会生活するうえで最も根幹な部分である一次産業(農林水産業)を描くのが一番手っ取り早いと思うんだがのう。{/netabare}


総評
{netabare}浮島世界を楽しみたいならグラブル見た方が良い。
じわじわと侵食される恐怖を見たいならファフナー見た方が良い。
不幸ヒロインのラブコメが見たいならプラメモ(プラスチックメモリーズ)を見た方が良い。
転生ヲチがどれだけガッカリなのかを知りたいならケイオスドラゴンを見ればいい。
あ、大戦の生き残りネタ?う~んそれならガイアース(の1巻だけ)を見れば良いんじゃないかな、古いけど。
(ってか一時期流行ったんですよね、半ポストアポカリプスを舞台に大戦時の残党がどうこうするって話…ナウシカの影響か?)
それらをごった煮にして薄っぺらくしたのを見たければ…この作品!って感じでしょうか。{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 8

90.1 3 切ないでファンタジーなアニメランキング3位
夏目友人帳(TVアニメ動画)

2008年夏アニメ
★★★★★ 4.1 (5011)
23730人が棚に入れました
魔妖怪が見える少年、夏目貴志はある日祖母の遺品である「友人帳」を手にする。しかし、その「友人帳」は祖母・レイコが負かし、名を奪った妖怪の名が書いてある契約書だった。
それ以来、名を返してもらおうとする妖怪達から狙われるようになってしまった夏目は、とあるきっかけで用心棒となった妖怪のニャンコ先生と共に、妖怪達に名を返す日々を送りはじめる─。

声優・キャラクター
神谷浩史、井上和彦、小林沙苗、石田彰、堀江一眞、伊藤美紀、沢城みゆき、木村良平、菅沼久義、藤村歩

みかみ(みみかき) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

やさしく、ゆがんだ夢の国

 夏目友人帳について、人と話すのはなんだか、難しい気分がある。
 視聴した後の感覚は、とても良い。いいものを見た、という気分になる。しかし、冷静に考えてこの内容は、どう評価できるのか。わたしはなんだかよくわからない気分になる。
 この作品は、かなり、ゆがんでいるとも思うのだ。

 夏目友人帳、の最大の発明は、いうまでもなく「さみしさを抱えたやさしい存在」として、妖怪や八百万の神々を描いたことにある。
 『ゲゲゲの鬼太郎』にはじまり『ぬらりひょんの孫』『蟲師』『モモノ怪』『かみちゅ』『千と千尋の神隠し』『うしおとトラ』など、妖怪や八百万の神々の蠢く異世界の想像力を描いた話は数多いが、妖怪のほとんどを寂しさを抱えた存在として、描ききるという立場を徹底した夏目友人帳のやはり、きわだった独創性をもっている。
 そして、このポジションをもとに書かれる物語のパターンはこうだ

1.妖怪の「弱さ」を、悪行の原因として描きつつ
2.一方で、その「弱さ」があるからこそ、そこに対する解決として主人公・夏目が優しさを発揮する経路が与えられる
3.そして、夏目の優しさで妖怪を包み込んで一見落着。

 これが、夏目友人帳、の定型的な物語のパターンだ。
 これは、いったい何なのか、ということを思うのだ。

 単に、見終わった感想だけで言えば、とても優しい物語でした、という話になる。

■「都合のいいように解釈する」ことの是非
 
 ある特殊な設定をもとに、ご都合主義的に、心理描写をワンパターンに行っていく作品というのは、けっこうひっかかりを覚えることもすくなくない。アニメ作法のキャラ描写(たとえば、釘宮ツンデレキャラ)が心理描写がザルでもいいが、明確に心理描写をしようと志向しているにもかかわらず、その水準がザルなものは、見るに耐えない。
 しかし、夏目友人帳には、そういう苛立ちをまったくといっていいほど覚えない。これは、不思議なことだ。夏目友人帳の世界観も、わたしは冷静に考えれば、歪んでいる、と思う。冷静に考えれば、ご都合主義だ、とわたしは思う。心理描写はワンパターンだ、とわたしは思う。
 しかしながら、夏目友人帳には、わたしは、イラつかない。

 夏目友人帳の、主人公「夏目」によって眼差される世界は、歪んでいる。ごく都合がよく歪んでいる。世の中には、もっと素朴に嫌な奴もいるし、10代の少年は、そんなに相手のことをきちんと思いやる能力があるわけではない。夏目の世界は、少年であるにもかかわらず、少女漫画の夢の国――すなわち、誰もが誰かを思いやる夢の国――だ。
 だが、それは極めて優しく歪んでいる。
 解消し得ない敵意というものが、夏目の世界には無い。
 夏目は、人の敵意に対して実質的には強者だ。ほとんどの場合、友人帳とにゃんこ先生を用いれば、ドラえもんの道具よろしく、最終的には妖怪の悪意を包み込んでしまうことができる。
 強者ゆえに、保つことのできる、優しく歪んだ世界なのではないか、とも思う。

■博愛主義、は人をそこまで幸せにしてこなかった

 人の悪意や悲しみに対して、距離をとってよくよく眺めてみると、人の敵意を好意的に解釈してやれることは、少なくない。
 「あいつは馬鹿だ」「あんな奴、死んでしまえばいいのに」
 そういう人をきちんと観察してやると、その人の中のいろいろなものが見えてくる。嫉妬。こだわり。守らなければいけないもの。成し遂げたいこと。
 しかし、そういう愛すべき部分が見えてきたとしても、多くの場合、現実のわたしにはその悪意や悲しみを実質的にどうにかしてやることは、ほとんどできない。どうにかしてやろうと、思っても、わたし自身もまた敵意の対象となり、悲しみをより深めてしまうようなこともある。博愛主義的なことを実行に移そうと努力した人であれば、あるほどに、そういった無力と至らなさを噛み締めることは多いだろう。
 たとえば、長年、福祉職をやっている人などは、そういう無力と日々、たたかう中で、その無力をめぐって悲しみを深めていくような人が多い、と思う。

 博愛主義は、そこまで明瞭に人を幸せにしてこなかった。これは明確な事実だ。
 たとえば、素朴な博愛主義者は、限られた資源を有効活用するような経済合理的な思考をうまく展開することに失敗することがよくある。博愛主義よりも、「で、それで儲かるの?」という思考のほうが人を幸福にしてきたことは数知れない。※1
 たとえば、人間の心理洞察能力を低めることがある。素朴な博愛主義的世界観だけで生きている人は、恨みと悲しみに支配された人の世界観を理解することが難しい。「そんなこと言わないでさ^^」とか軽々しく言ってしまう博愛主義者は腐るほどいるが、そういうタイプの博愛主義は、はっきりと言って「相手のことをわかる」ことに失敗しがちだ。

 ぶっちゃけて、いえば、博愛主義者というのは「うざい」ことが多いのだ。
 「アンタの、その、なんでもわかってますよ。ワタシは、あなたのことを助けられますよ、っていうそのおごりが、わたしにとっては、何よりもムカつくんだよ!あんたはワタシのことを、何っにもわかってない!あんたが、わたしに何をできるって言うのよ!!!」
 という、ことを親に向かって叫んだことのある十代の少年少女は、それこそ、数えきれないほどに、この世にいるだろう。この台詞は、親子ドラマでは、テンプレの一つと言ってもいい。

 ほとんどの、博愛主義の試みは、相手に対して与えてやれる資源の少なさや、相手の心情を忖度する能力の欠如によって、失敗を経験する。成功もするが、失敗のほうが多いだろう。
 こういう優しさが、限界含みである、ということを認識したうえで、多くのひとはまた別の道を探っていくものだろうと思う。
※2

■妖怪だからこそ、うつくしい

 そして、夏目友人帳は、やはり、夢の世界のはなしである、とわたしは思う。
 博愛主義が、実行可能な、夢の世界。
 相手の心理観察能力に優れ、相手の求めているものを与えてやれる、という歴史上の博愛主義者たちが、もとめて決してかなわなかった夢の世界。その理想郷を描いている、ということが夏目友人帳の多幸感の源泉なのではないか、という気がする。うがった見方をすれば、これが妖怪ではなく、人間を対象としていたら、こういう表現はそもそも難しかったかもしれない。
 人間同士の心情のスレ違いを描く少女漫画では、たくさんの醜いいざこざがきちんと描かれることがある。そして、それはぜんぜん美しくなんかない。だけれども、夏目友人帳は、妖怪と人間の話だ。だからこそ、人間同士の話を見ているよりも、フィクションの美しさに塗れることができるのではないか。

 夏目友人帳が、「ウザい」はずの博愛主義でありながら、感動を覚えるのは、夏目の心理洞察が、一度も失敗しないからだ。
 あるいは、たとえ、それが失敗したとしても、おせっかいなうざったさに繋がることがないからだ。
 そして、その世界は、現実ときわめて似ているようでいながら、妖怪の話であるゆえに、そのご都合主義が、実に気持ちよくみられてしまう。

 こんな幸せなことが、あればいい、と思う。

 そんなことを思いながら、毎回楽しみにしている。
 こういうご都合主義を、ご都合主義だと知りながら、観ていられるのは幸せなことだと思う。これが、どうしようもなくご都合主義だとしか思えなくなってしまったら…たぶん、それは、つらいことだ。


 




■脚注

※1 と、いいつつ、これと反対のことを放浪息子、のレビューでは書きました。わかりにくい、ことをわかろうとすることの意味も、あるんだよ、と。

※2 ただ、人のこころを忖度すること要請される商売というものもある。
たとえば、コンサルタントや、臨床心理士(カウンセラー)といった職業がそれにあたる。
ただし、結局コンサルも、カウンセラーも人のこころを完璧に忖度することはできない、ということをよく知っている。
よく知った結果として、「傾聴する」能力を高めたり、相手に対して「あなたはどうしたいの?」と決断をせまるといったような方法論を発達させることになる。結局、人のこころを完全に忖度して博愛主義が実行できないということは明らかなわけだ。
では、どうするか。
相手の意図はわからなくても、相手の「意図」とズレが発生しない状況はある程度つくれる。相手にとって納得性がある状況を作ることはある程度できる。そういうところに落ち着いたわけだ。というか、そのような状況を作れるだけでもすごいことだと思う。
ほとんどの場合、相手の意図との調整は失敗することのほうが多いし、わたしの意図を忖度してもらおうとしてもそれが理解されない場合のほうが多い。基本的に、わからんのである。
わからん。

(あと、完全に余談だが、先日、とある有名なコンサルの方とご同席させていただいたのだけれども、クライアントに対して「で、あなたは何がしたいんですか?僕は意味がわからないですよ。はっきりしてください!」みたいな感じで叱りつけるようにして、コンサルティングをなさっていて、なるほど、クライアントの納得を生む商売のやり方というのは、相手に優しくするばかりではないのだな、と学んだ。しかし、叱りつけるようにして、相手の納得を生むやり方がいいのかどうか、というのも、なかなか何なんだろうな、と複雑な気持ちもしつつ、世の中というのはなかなかすごいことになっているな、と思った。)

投稿 : 2025/02/01
♥ : 32
ネタバレ

素塔 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

夏目とギンコ

ふと思い立って、「蟲師」と「夏目友人帳」を
一話ずつ、交互に視聴している。(現在は第8話あたり。)
先に観はじめた「蟲師」の幽遠な世界に感嘆しながらも、
極度に稠密なストーリーと、重く張り詰めた空気にやや疲れを感じ、
別作品で中和して気分転換を図ろうというわけだ。

「夏目」を選択したのは、同じ和テイストのファンタジーで、
かつ親しみやすい日常系というイメージがあったからだが、
実際、無機的かつ即物的な感触の「蟲師」と比べると
妖たちまでが何とも人間臭く、ほっこりした気分になれる作品である。
以下、両作について思うところを簡単に書きとめておきたい。



{netabare}「友人帳」をきっかけに始まった、主人公夏目と妖との交流の周辺に
人と妖とが描き出していく心模様には、いくつかのパターンがあるようだ。

一方の心の側には淋しさや人恋しさが募っている。
もう片方の側にはそれを包もうとする温かい心が置かれている。
そして、ずっと残されていた"想い"が最後の瞬間に叶えられ、
片方ないしは双方が満ち足りて消えていく、という結末、など。

そうした心の交差を目の当たりに見た時、夏目が感じる切なさ、愛おしさは
孤独だった彼の心に反響し、増幅されるかたちで視聴者に伝わっていく。



ストーリーの核心となっている、夏目の「孤独」。
それは、彼にとって「友人帳」がもつ意味に結びついており、
妖に名前を返すという、危険なだけで何の得もない行為の動機を説明する。

名前を返すたび、レイコの記憶が思念となって流れ込んでくる、という。

「友人帳」によってレイコの過去を追体験しようとする理由は
早世した祖母の孤独な人生への哀慕の気持ちばかりではなく、おそらくは
レイコの過去がそのまま、彼自身の過去でもあるからなのだろう。

原作コミック第五話の「時雨と少女」(アニメ第四話)に重要なセリフがある。
妖にさらわれた生徒たちを置いて帰ろうとする先生とのやり取りの場面だが、
アニメでは端折られているので、原作の方から引用する。

  おまえ、あまり人間(ヒト)が好きではないだろう
  他人(ヒト)など放っておけばいい

これに対する返答は、原作ではこのような強い意志の表明になっている。

  …おれはそこで逃げてはいけないんだ、先生

  「友人帳」には、人に見切りをつけた
  レイコさんの悲しみがいっぱい詰まっている

  (―それに 人の優しさも 可愛さも
   わかってきたんだ 少しずつだけど)

  だからやれることはやりたい だから先生…

夏目がレイコに自分を重ね合わせていることがはっきりと判る。
また、夏目の人間嫌悪が相当根深いものであったことも。

この世ならぬものが見えてしまうことで孤独を強いられ、
ある意味、運命に翻弄されてきた受動的な過去を清算するための
能動的な手段、それが彼にとっての「友人帳」の意味であり、
レイコの過去を引き受けることは、自分の過去にも決着をつけることなのだ。



例えば、こんな想像をしてみよう。
仮に、すべての名前を返し終えて「友人帳」が空っぽになる時が来たとして
その頃の夏目は一体どんな人間になっているのだろうか―。
少なくとも内面的には、以前とは全く別の人間になっているに違いない。

ごく自然にそう予測できるのは、この物語の構造のためである。
未来に定められているこの終点が、予見的に物語に内在しているために、
日常のエピソードのすべてが、夏目が成長してゆくプロセスとなっているのだ。

過去と向かい合い、未来を模索する。そこに夏目の"現在"がある。



考え過ぎなのだろうが、何となく自分は
ここに一つの生き方が例示されているような気がしてしまう。

前だけを向いて迷わずに突き進む、積極的な人生があるなら、
過去を振り返り、迂回しながら、人よりも緩慢に進んでいく人生もあるはずだ。
勿論、彼は意識してそうしているわけではないのだが、
一般に、彼のような内向型の人に共通する心性はそうした生き方に向かわせる。

もしかすると、この作品が強く響く人の中には
こうした部分に無意識に共鳴しているケースがあるのかも知れない。
「夏目」の"癒し"は、案外に奥が深いのではないかと思う。



折角なので、「蟲師」の場合も見てみよう。

「夏目」では正常に定位している過去・現在・未来が、
こちらでは"蟲"の作用によって根本から秩序が揺らぎ、"現在"は失われている。
(時間の流れの外に取り残される第1話。始原の闇に閉ざされる第2話。
 夢で予知された未来が現実の中に流出する第4話。などといった具合。)

だが、それは何も時間に限らない。現実そのものが揺らぎをはらみ、
境界がぼやけて曖昧になっているのが「蟲師」の世界なのだ。
内部と外部。可視と不可視。ミクロとマクロ。生命と無機物。生と死。
"蟲"はこれらのあわいで、対立するものを弁証法的に媒介しているようだ。

「蟲とは、生と死の間にあるものだ。
 人を指すもののようで、物質を指すものでもある。
 死にながら、生きているようなもの、・・・」(第5話)

そう語るのは主人公の蟲師、ギンコだ。
彼はそんな世界に秩序を回復する存在である。
時間の観点から見れば、"蟲"に取りつかれて遊離した"現在"を取り返す存在。
その意味で彼は時間を超越した、絶対的な"現在"だと言ってよい。
(作中で彼一人だけが洋服であるのは、この事実を記号的に表象するようだ。)

同様に、異形の原始生命体である"蟲"もまた、時間を超越して遍在する。
この両者の絶対的な存在性には「神」のイメージすら仮託できるようだ。
それによって人間のドラマは相対化され、どこか影絵のような"現象"に還元される。



「蟲師」が海外でも評価が高い理由は多々あるだろうが、
このような人間の描き方に、日本的な美学が感じられる点も大きいと思う。
"現象"にも似た人間の存在の儚さを掬い取り、抒情的に描く部分にこそ、
おそらくは本作の真骨頂があるのではなかろうか。

(日本的、という言い方はあるいは不十分かも知れない。
「自然」という広大な生命の宇宙の、ごく微細な一部分でしかない人間。
この原感覚は、東洋的な世界観に根差したものであるし、
あるいはこの、いわば汎生命的でありながら同時に"無"("死"ではなく)を内包する
世界像が"蟲"の原イメージであるとすれば、それは東洋的と呼べるものだろう。)

儚げな印象はまた、「夏目」からも濃厚に感じ取られる。
作中に登場する廃線の駅、ダム湖に沈んだ村などは示唆的だ。
忘れられたものたちが束の間、姿を現し、また忘却の彼方に沈んでいく。
そもそも妖怪とは、人々から忘れられ、零落した古えの神々だとされている。

我々の背後に存在し、消えていった無数の、ささやかな時間の堆積。
そこに思いを馳せ、沈思に誘うような、どこか静謐な世界が両作の持ち味だろう。



とは言え、作風の相異もまた歴然としている。
青年漫画と少女漫画という、出自の違いは隠しようもなく明白だ。

「蟲師」という作品の凄味は他に類のないものであって、
非現実の存在である"蟲"の生態と、人間との関りを異常な現実感で描き、
私見では、広義の「幻想的リアリズム」の系譜に位置づけるべき作品だと思う。

単純に比較すれば「夏目」はやはり、"夢みられた優しい世界"に映る。
そこに少女漫画の限界を見る見方も確かに可能だろう。だが、
この作品の"優しさ"が視聴者に求められ、支持されていることは事実であり、
それは魅力でこそあれ、否定される理由には決してならないのである。{/netabare}



作風は大きく異なるが、視聴後の充足感は両作ともに深い。
「夏目」には心を潤され、「蟲師」には魂の深部を揺さぶられる。
こうした手応えは昨今のアニメにはまず求められないものだろう。
自分が旧作メインにならざるを得ない所以である。

「蟲師」については、よく言われるように、
一話一話が一篇の短編小説に匹敵するほどの濃密な内容を含んでいる。
それで得心がいくまで観返してしまい、完走は先伸ばしになっていくのだが、
いずれ単独で取り上げる際には、上記の着眼点を発展させた
"考察"もどきを試みたいと思う。まあ、需要はなさそうだが…。

2022.12.15 投稿

投稿 : 2025/02/01
♥ : 17
ネタバレ

sekimayori さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

=には、ならないけれど 【78点】

祖母が作った妖怪の友人帳を通じての、主人公・夏目と妖怪たちとの交流を描く、ハートフル妖怪奇談。

【○良い点】 3つ
①=の入らない想いの美しさ
②各話の安定感:この雰囲気の良さは、マンネリではなく様式美と呼びたい。
③ニャンコ先生:飼いたい、手なずけたい、えびフライあげたい。
 声と動きがついて、より魅力的になったと思う。

【△少し残念な点】 1つ
①感動がお手軽な回も存在:1話完結だから感情移入はしづらい。
②タキが出ねえええ:原作の順番も忘れて勝手に期待してた私が一方的に悪い。

【×悪い点】 1つ
①妖怪にまで拡大した性善説とヒューマニズム


正直、ちょっと評価に困る作品です。
得られる感動がインスタントな場合が多いことは、否定できません。
加えて、ひたすら人間的で優しい妖怪との関わり方には、居心地の悪さを感じます。
でも原作も14巻くらいまで読んでるし、好きなんです。
美しいストーリーの連なりと、穏やかな雰囲気を支える音楽・作画・声優といった技術面は、低評価のしようがありません。
何より、込められる想いと返される熱量の残酷な不等号が切なさを呼んで、一瞬の涙腺への攻撃力は凄まじいものがあります。


■妖怪にまで拡大した性善説とヒューマニズム
{netabare}
そもそも論になるけれど、妖怪という概念って、昔の人々が人知を超えた自然の営みや漠然とした恐れを説明しようとして作り上げたものだという説があるようです。
その来歴が真実であれば、妖怪は人とは根源的に異質なものであるはず。
関わり方によっては共存もできるし、望まなくても互いに害を及ぼしあうこともある、突き詰めれば人とは絶対に相容れないものとして観念される存在ではないかと。

事実、従来のスタンダードな妖怪は、怪談においては言い知れぬ恐怖の対象であり、少年漫画では駆除すべき敵でした。
変化形として、共闘が可能な隣人として扱ったり(ex.うしおととら)、その発生の根源を人間心理に求める(ex.モノノ怪)アプローチはある。
それでも人の論理と妖怪の論理には絶対的な亀裂が存在して、両者が幸福な結末に落ち着くとは限らない。
そうした妖怪の他者性を最も端的に描き出したのが、人と蟲の距離を「ただそれぞれあるようにあるだけ」と定義した蟲師だと思います。

翻って夏目友人帳の妖怪って、行動原理が完全に人間のそれなんですよね。
大切なものがあって、でもそれに届かなくて、傷ついたり嘆いたりする。
夏目に対する敵意も、結局はその弱さの発露の一形態。
だから夏目の、ごく人間的で優しいアプローチで、最終的に問題が解決されます。

このメカニズムを支配しているのは、妖怪の心を重んじて人間愛を実践すれば、本質的に善である妖怪を痛みから解放できる、という発想。
要はヒューマニズムと性善説を、そのまま妖怪に適用しちゃってるのです。
その前提には、人間と妖怪は理解しあえるという、従来とは180度異なる妖怪観があります。
余談として、こう考えると、夏目とちょくちょく比較される(からさっき引き合いに出した)蟲師、方向性は真逆だよね。

で、この妖怪観、自然と親しみつつも「畏れ」という距離感を忘れなかった神道的自然観ではなく、自然は全て理解・改変可能なものという西洋近代的な価値観に基づいたものに思えます。
(西洋東洋の二元論とかステレオタイプ過ぎないかと言われればその通りです、学識無くてすみません)
ついに妖怪まで人間的なものに内包、というか限定しちゃったのか……。
夏目的な妖怪の捉え方に、人間中心主義的な傲慢さと自然観の一極化、あと民話的想像力の減退を見てちょっと寂しくなります。
私が「古き良き日本」の幻想にとらわれ過ぎているのかな?
でもやっぱさ、もう(妖怪である必要)ないじゃん……。{/netabare}


■=の入らない想いの美しさ
{netabare}
なんか酷評気味になっちゃってて自分でも驚いてます。
これはフェアじゃないし好きな点を全く語られていないので、褒めたいです。

……褒めたいんだけど、どう褒めたらいいんだろう?
ニャンコ先生が可愛い、藤原夫婦や友人たちが良い人過ぎて泣ける。
急がずゆったり使う「間」の表現と穏やかな作画、吹き渡る風のような音楽の作り上げる雰囲気に癒される。
夏目や妖怪たちの想いが、少女漫画原作ならではの繊細さで描かれている。

うーん、月並みというか、微妙に届けられない。
私が込めたい熱量と、読んでいただいて伝わる想いに差ができてるはず。
でも実は、こうした届けたいモノと届かないモノの差の美しさを、本作は描いてくれているのではとも思います。

露神さまも燕も蛍も、人間に対する想いはとても深いです。
その逆のベクトルとして、人間から妖怪たちへの想いも確かに存在します。
でも、方向の相互性はあっても、人間には妖怪が見えないのだから、その想いの重さには冷酷なまでに差がある。
では、見えていればいいのかというと、実はそうでもなくて。
柊や、レイコさんに振り回された妖怪たちの想いも、主従関係やレイコの死によって一方通行なまま。
結論として、妖怪と人間の想いの間には、決して=が入りません。

それでも。
それでも、妖怪たちは想いを届けようとします。
例え自分が想うほどに相手に想われなくても、ただひたすらに伝えたいから。
そして、ほんのわずかな反照に満ち足りて、あまつさえ消え去ってしまったり。
こっ恥ずかしいことを書くと、これ、片思いの美しさに通じるものがありますよね。
成就しない想いへの共感というか、滅びの美学というか。
とにかく、面の下の微笑みやパタパタと振る着物の袖の美しさ・切なさには、天を仰いで目からこぼれる汗をこらえることを余儀なくされることしばしでした。

以上、己の筆力不足をいいことに我田引水を試みましたが、果たして伝わったかどうか……。
1話ごとの連作短編なので感動がインスタントに陥る回もあり、優等生的なインパクトの弱さは明らかに欠点ですが、ツボにはまるといきなり泣かせに来やがります。

ということで、若干の不満はあれど、万人に勧められる良作としてしまっていいでしょう。
時間があれば2期以降にもチャレンジしたい作品です。
ヒューマニズム全開でともすれば偽善者にも見える夏目が、友人帳と先生という優位の効かない人間の仄暗さに触れて、妖怪と人の間で揺れ動く姿を、丁寧な演出で観たい。
動くタキにもぜひお会いしてペロペロしたいですしね(・ω・)ブヒ
ただ4期は長いんだよなぁ……。
結局途中で止まってる漫画の方を優先しそう。~ {/netabare}


【個人的指標】 78点

投稿 : 2025/02/01
♥ : 27

82.4 4 切ないでファンタジーなアニメランキング4位
有頂天家族(TVアニメ動画)

2013年夏アニメ
★★★★☆ 3.9 (1685)
8090人が棚に入れました
京都には人間と狸と天狗が住んでいる。下鴨神社・糺(ただす)ノ森に暮らす下鴨家。狸界の頭領であった父・総一郎は、ある日何の前触れもなく狸鍋にされたのだが、その経緯は今も謎に包まれていた。残された四兄弟のなかでも偉大な父の「阿呆の血」を色濃く継いだ三男・矢三郎は「面白きことは良きことなり」をモットーに、生真面目だが土壇場に弱い長兄・矢一郎、蛙の姿で井戸にこもっている次兄・矢二郎、臆病ですぐに尻尾を出してしまう末弟・矢四郎、そしてタカラヅカ命の母に囲まれて暮らしていた。隠居中の大天狗・赤玉先生の世話を焼いたり、神通力を得た人間の美女・弁天に振り回されたり、はたまた五山送り火の夜空で宿敵・夷川家と空中決戦を繰り広げる日々の果てに、突如下鴨家を襲う絶体絶命の危機! 父が鍋にされた真相が明らかになるなか、固い絆で結ばれた一家の運命はいかに!

声優・キャラクター
櫻井孝宏、諏訪部順一、吉野裕行、中原麻衣、能登麻美子、井上喜久子、石原凡、佐倉綾音、梅津秀行、飛田展男、西地修哉、畠山航輔、樋口武彦
ネタバレ

Ballantine さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

今期一番まとめが完璧だった!(最終話まで

全13話。原作小説未読。

京都を舞台に、狸と天狗と人間が入り乱れて繰り広げる波瀾万丈のハイセンスコメディドラマ!


●関連URL
・番組公式サイト:http://uchoten-anime.com/
・番組公式Twitter:http://twitter.com/UchotenAnime


※相関図
http://p.twpl.jp/show/orig/wjOMs


最初はたぬき合戦ぽんぽこ的なジブリ風のアニメになるのかなぁと想像していたんですが、まさかの四畳半風味!
なんか主人公のセリフ回しが凄く四畳半っぽい。
四畳半凄い好きだったので期待値8/10。
絶対最後まで見る。


原作未読の人向け、ネタバレ無し補足説明

・主人公・矢三郎はタヌキ
 天下の大ダヌキ・下鴨総一郎の息子四兄弟の三男

・赤玉先生は天狗
 4兄弟のもと先生。赤玉ポートワインが好物。弁天にベタ惚れ。昔は名を馳せていた凄い天狗だった

・弁天(鈴木聡美)
 天狗の赤玉先生にさらわれてきた、もと人間
 修行の末、ほぼ天狗になった
 大人になったのか、もともとの性格なのか、先生をほったらかしで遊び回っている

・金曜倶楽部
 京都の重鎮たちのよりあい。月イチで宴会をする。メンバーを七福神の名で呼び合う
 忘年会で毎年タヌキ鍋を食うのがなわらし


○総評
いやぁ実に良いアニメだった。
弁天キャラが全然好きになれなかったので途中で見るのを放置していたが実に良いアニメだった。
この辺で断念した人もいるのではなかろうか?惚れた理由は結局明かされなかったって言うか最初のあれでって事なのかな。
最後まで魅力は感じなかったが。
しかしこのアニメ弁天の話が中心ではない。人間と天狗と狸の三つ巴の話なのである。
主軸は要するに勢力争い見たいな話。なのでちょっと話がややこしいので一気見とかの方がお勧めかも?
キャラの名前や誰が何処の勢力かとか覚えてないと分かり辛い話かもしれない。
簡単に言うと大人版たぬき合戦ぽんぽこ?ジブリ?みたいな感じw
萌え路線のアニメにうんざりした人やジブリ好きにはお勧めの作品です。
あと化物語っぽい会話劇も特徴かな。じっくり話聞いてないとわからなくなる感じがあるかも。


各話感想
{netabare}2話
ママンの話かな。なんで主人公はいつも女装してるんだろう。
アニキはカエルに化けてるのね。
招き猫はさっきの双子が化けたのかな?
何故口が動かないんだ。手抜きなのか化けてるから動かないのか。
虎でけぇ!なんか妖怪大戦争みたいになってきたw
何処噛んでるんだよw
結局オカッパ双子も狸だったのね。
兄さん絶望先生っぽいなwさすが同じ作者のデザイン。
母上なんで狸になっているんだろう。
母上また人間に化けたか。
父上は弁天に食われたのか?金曜クラブに食われたのか?
うーんそのうち鍋にされて食われちゃいそうな予感がしてきた。
弁天はやっぱ敵なんだな。何故惚れたし。


3話
うーーん弁天が本当に良くわからない。なんで惚れたんだ?
なんか漂うビッチ臭が気に入らない。
しかし相変わらず背景の映像が綺麗だなぁ。良くも悪くもジブリっぽい。
クジラのしっぽが引っ張ってみたいとか意味がわからない。

弁天にイラっとしてから見てなかったが再開。


4話
母上はなんでいつも宝塚の格好なんだろう。
先生入り口で何してんだwなんともへそ曲がりなじいさんだw
弁天キャンセル多いなw
ちらし寿司食べたくなってきた。なんとも便利な茶釜エンジン。
たんぽぽくらいの毛玉って随分ちっちゃいんだな。
蔵馬天狗vsヤクシボウ&父上って事か。偽如意ヶ嶽事件。
なんかホント弁天イラっとするキャラだなぁ。
なんという花火戦争w
風神の扇子かなんかなのかな?
貴重な燃料ワインを飲むなw
風神雷神の扇無くしちゃったのか。
逃げの弥三郎w


5話
金曜クラブのトップは弁天なのかな?
お茶飲んでる相手は誰なんだ。今日も牛丼かw
なんで慌てているのか。ダルマに変身したか。
箪笥の引き出しに入ってるのは金角と銀閣の妹だったのか。
あぁそういやあの空飛ぶ家壊したらって約束してたっけ。
ってか胸が口元と一緒に動いてるw
すき焼きうまそうだ。ホテイさんと肉の取り合いw
この集まりは人間の集まりなのか。
この弁天の上から目線な感じがうざいなぁ。
ホテイさん見とれすぎだろw
狸は雑食なのかな?雷を怖がるってもしかして母上か?
食べちゃいたいほど好きなのだ。なんだこの人もかw
弁天ホント嫌なキャラだなぁ。わがまますぎる。まるでバブル女だな。


6話
連れ去っちゃったのかよw師匠となった赤球を蹴り落としたとか何がどうなってんだw
ホテイさん無理し過ぎだろw
父上が食われた夜にホテイさんは惚れたのか。
ん?弁天泣いてるのか?
葉巻のポイ捨てかよ。まぁフィルター無いから問題無いか。
なんで握り飯と酒持ってんだよw
焼きおにぎりはうまいよなぁ。味噌焼きオニギリが好きだ。
一風変わったと言うより一昔前のバブル女じゃないか。
毒の入ったものでも食うもんなぁ人間は。発酵食品だの腐ったもんでも食うしな。
なんか銀の匙みたいになってきた。
狸に食われるのが良いだと?ホテイさん上級者すぎて付いて行けない。
昔そう言った狸がいたって父上か。やっぱりか。
立派な狸だからおいしいって理論はおかしいだろ。
やっぱり母上を救った人だったのね。
キスしただけで惚れたとかって理由なら実に下らないな。まぁよくある話でもあるけど。
弁天はなぜ泣くのだろう?


7話
酒は飲めるうちに飲んでおくことだ。良い事言ったように見せかけてそうでもない罠。
弟可愛いな。先生天狗風を吹かすって天狗じゃないのかw
香水ってファブリーズ?w先生力が無くなってるww
なんともうまい流れを作ったもんだ。ちゃんと風呂行くきっかけを作ったわけか。まるで秘書とか官僚みたいだ。
それでも先生なかなか入る気無いのかww子供か!w
どうしようもないエロじじいだなぁまったくw
おい股の手ぬぐいで殴るなきったねぇww
今度は風呂に使ったら出ないのかよwwまったくどうしようもない大人の子供はこれだからたちが悪いw
何気に弥三郎を気にかけてるのな。
なんだなんだここは両国の風呂なのか?夷川親衛隊とはなんだ?タダ飲みの愚連隊なのか。
まーた金角と銀閣か。相変わらず弱いこの小物感が実に良いキャラしてるw
誇大広告って四文字熟語じゃねぇw前の樋口一代もあれだったがw鉄のパンツってなんだよw
いやいや兄上おまえが風呂に放り込んだんだろwアッー水風呂はやめたげてw
捕まった日誰かとぐでんぐでんになるまで飲んでいたのか。一体誰と…弁天か?
なんとカエル兄貴と飲んでたのか。
もしかしてカエルから戻らないのも責任を感じてとかかな?
酔っ払った父上をほったらかしにしたのか。やっぱりそれで責任を感じて井戸から出ずにカエルから戻らずにいるのか。
生きている限り必ず別れはやってくるからな。ある程度一線置いて事前に受け入れておかないと辛いものになってしまうんだよね。
あれなんか深い話になってきたかな?


8話
おや兄さんえらくゴキゲンの悪い声だ。
元気そうだね阿良々木君、何かいいことでもあったのかい?を思い出した。
京都で一番やる気のない狸とは誰の事だ?カエルの兄様か。
弥三郎の許嫁に恋しちゃったのか。えびす川カイセイ…
父上になんでも相談してたんだな。人間ならそうそう無いだろうなこういうの。父親と仲良くやっている友人を見た事が無い(男限定だが)。
うーむしかし酔っ払っている風ではなかったよなぁホテイさんの話だと。
勝手に勘違いして責任感じちゃってる感じかな。なる程ねぇ。
しかし間々で入ってくる絶望先生風?のMOBがシュールw
乳ではなく父だろw何がそんなにおっぱいに魅力があるのかわからない。おっぱいよりケツだろ!
父上に最後にあったのは先生だったのか?化けられる身ではないとはいかに?
え?死んだ後の話なのか?それとも先生の妄想なのか?それとも死ぬ事を覚悟しての発言なのか?
母上だったのかこの人。変身するとわけわからんな。
カイセイが好きだった事を言っちゃうのか。なんだ母上は知ってたのか。
弥一郎(´;ω;`)ブワッ
「1つの大きなさよならが残された者達をつなぐこともある」名言(/_;)


9話
なんかややこしくなってきた。カイセイの名は父が考えたのか。
ちょwホテイさんバームクーヘンどんだけ重ねてるんだよw
なんという大食いw一口で飽きるわこんなのw
後三週間で狸狩りが始まるのか。
あぁなるほど双子の妹ちゃんがカイセイだったのか。未だ姿を見せないから覚えられない。
弁天の前だと化けれないってどういう事?魅了されちゃってって事なのかな?
さてどちらが後釜になるのやら。師匠に託しちゃうんかいw
女の子はオシリを冷やすと子宮に影響があるからなっておいお前は男だろw
先生相変わらず動かないのなwきっかけ作るんだろうなまたwなんともツンデレであるw言い換えれば不器用ってとこか。
実にうまく交渉したもんだな。
だからなんでそんなシリを温めたいのよwカイセイの声!?いい加減姿を表したらどうなんだ…
なる程女湯から話してたのかw割りと可愛かったw
妹ちゃん兄貴をバカアニキと言いつつも慕ってるんだな。
生天狗か。まぁ狸の天敵だもんな。
元許嫁だったのかよ。今は違うのか。あれ?そういやどっかでそんな話あったような…
謝罪のコメントはなんだったんだろうか。


10話
偽えもんを決める日がやってきたか。
父上に憧れていたのか兄貴。夷川が何か企んでるのか。
父の死んだ日だったのか。兄貴気をつけろよってなんか死亡フラグな気がしてくる…
弟ちゃんまた騙されてるのかよ。やっぱり閉じ込められたか。
ヤジロウはほっとけばいいって完全にフラグだよな。
フライドチキンを食べるカエルってなんかシュールだな。歯が無いのにw
父上の最後の言葉…
何か大変嫌な事が起こりそうなのか。雷神が来たのか。
風神雷神の扇拾った奴は誰なのか。
恐らく金曜クラブに拐われたか…?
鍋にされるのかやっぱ。おじさまを鍋にしたのは私の父だと!?妹ちゃん姿現すの初めてじゃないか。
なる程妹ちゃん変身したまま話聞いてたのか。弁天…
なんで兄弟を売ったんだ。そしてまたこいつの策略か。


11話
弁天は味方になるのか。弁天うぜぇ…
都合よく天狗だの人間だの言いやがって。ツンデレかよ。
淀川教授なんで変身して店員になったんだ。母上まで捕まってたのかよ。
なる程薬を混ぜるためだったのか…って金閣銀閣だったのかよ。
あーあ皆捕まっちまったか。完全に悪代官w
なんだよその鉄のおむつw
そういやカエルの兄さんだけか捕まってないの。
なんだ妹に弱いのかよw
卑怯極まりないな夷川。まるで天狗や人間のする事…
ドナドナドーナードオナー…
おっ妹ちゃん赤色灯に気付いたか。見つかるの早っ!何故巴投げw力つええw


12話
カエルの兄ちゃんまた変身出来るようになるのかな?電気ブランで燃料投下か!?
キタ━(゚∀゚)━!
なんつう酔っぱらい運転w逆に捕まえたかwなんだこいつらが扇持ってたのか。
「おもしろきことはよきことなりー」
自転車は押して歩きましょう。ってのがシュールw
電車の外の背景が永遠ループしてるんだが…やっぱりか。
なっいつの間に電話をしてたんだ!おいおいET並に空飛んでるなw空飛べるのかよwww
そーっと所じゃねぇwwwぶっ飛んだぞw
檻を開ける作画省きやがった。
母上の事か…潜入捜査かよwなんだ弁天さっきの耳打ちで告げ口したのかと思ったら違うのか?それとも…
選挙のほうがせまってきているのか。先生ナイスタイミングwwしかも泥酔状態w間に合ったか。
うわっ金曜クラブも来たのか同じ所に…何か大変なことになりそうだな。
うおー凄い盛り上がり方が良い!遂に次回最終回!


13話
人間と狸と天狗の三つ巴。さてどう結末が着くのだろうか。
むしろ弁天が何を企んでるんだ…
あっそうだ!ホテイさんそういえば母上助けたんだったっけ…鳥肌立った。
遂に鉢合わせたかw
ん?なんでそこまで夷川が母上に固執するんだっけ?
さすがホテイさん!w待ってました!いいぞもっとやれ!w
まぁ矛盾があるのが人間だよな。さぁて弁天どう動く?
っと思ったら師匠www何してんのww浮気の現場wうまいなw
アッー!全部ふっとんだーw先生激おこプンプン丸w
師匠相変わらずちょろいなww
あれそういやカエルの兄さんもう変身戻れるのにw
ヤジロウ兄さんとお母さんの会話でなんか泣けた(´Д⊂ヽ
ホテイさんと話してる時の後ろで弟の仕草が可愛いw
カイセイちゃんマジヒロイン!
最終的にこのセリフに落ち着くな。「おもしろきことはよきことなり」
いやぁ今期最高にうまいまとめだったのではなかろうか?実に良いアニメだった。
本当に面白かった。{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 63
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

一つの大きなサヨナラが、遺された者達を繋ぐこともある。

2013年7月放送。
全13話。


【前置き】

原作者は、メディア芸術祭アニメーション部門大賞のアニメ「四畳半神話大系」も書かれた『森見登美彦さん』。
(本作は、森見作品の中では「毛深い子」という愛称で呼ばれていたりするそうですww)
そして制作は、安定と信頼の作画で定評ある『P.A.WORKS』。

『森見登美彦』に『P.A.WORKS』
どちらも、私にとっては名前を聞くだけで条件反射してしまう単語です。
事実、本作の放送が始める少し前、来期のアニメ一覧を眺めていた中で本作『有頂天家族』を見つけた時も、私の…今思えば「阿呆」の血が無性に騒いだのを覚えています。

『うむ。これは、見ないわけにはいくまい。

 これも、阿呆の血のしからしむるところだ。』

なんて台詞、本作を見る前は出る筈も無かったわけですけどね。



【あらすじ】

千年の都・京都。
ここでは古来より、人に化けた「狸」と「天狗」が、人間に紛れ暮らしておりました。

狸一家『下鴨(しもがも)家』の三男であり、偉大な亡き父から「阿呆」という一点の血を受け継いだ主人公『矢三郎(やさぶろう)』も、その中の一人。
狸界では「名家」であることも顧みず、彼は日々をただ面白可笑しく過ごしていました。

しかし周囲では、その偉大な亡き父の遺志を継ぐ、次期頭領を決める「偽右衛門(にせえもん)選挙」で、躍起立つ者(狸)が出始めておりました…。



【論じてみる】
{netabare}
正直、序盤の数話は
「本当にこれから、四畳半の時のようにドンドンと面白くなるのかな?」
と、半信半疑でした。
理由として、キャラの立ち位置や関係性が分かりにくく、どういう風に話が進んでいくのかも明確でないので、続きが全く気になる感じになれなかったのです。
上記のあらすじにしても、第1話の時点ではよく見えてこなかったですし。

第4話「大文字納涼船合戦」にしても、内が見えないキャラクター達がドンチャン騒ぎをしていても一緒に楽しめるワケもなく、ただただ温度差を感じました。
「四畳半神話大系」の実績が無ければ、まず間違いなく切っていたことでしょう。


ただ、P.A.WORKSの作画は流石の一言。
久米田康治さんが描く、角張った特徴的なキャラクターデザインをアニメ的に上手く表現しながらも、緻密に描き込まれた舞台背景は、見ているだけで心地良かったです。

京都という舞台上どうしても人通りが多いわけですが、そのモブも事細かに動きますので、スタッフの職人魂を感じましたね。
退屈な序盤を視聴継続出来た要因としては、この作画は非常に大きかったと思います。


そして中盤より、やっとこさ

「偉大なる父親狸が、狸鍋にされ人間に食べられてしまった。」

というエピソードを元に、徐々にそこに関わっていたキャラクター達が浮き彫りになっていき、少しずつ物語にも魅入るようになっていきました。

ストーリーとキャラの立ち位置が明確になってくると、序盤とは打って変わりの面白さ。
もぅ毎週、楽しみで仕方無くなっていました。

特に第8話「父の発つ日」にある、次男であり蛙でもある「矢次郎(やじろう)」の回想語りは、胸に響きましたね。


『その当時の俺は、厄介な問題を抱えていた…。

 俺は大いに悩み、その想いを父に打ち明け…判断を仰いでいた。


 俺は…、カタのつけようのない恋をしていた…。』


作中ずぅぅっと引っ張ってきた次男坊の本心。
そして、それを軸に語られる偉大な父の死の真相。

あくまで自分の中でですが、数多あるアニメ作品の中でも間違いなく、私にとって数少ない『神回』と言える一話でした。


ラストに関しても、とんでもないドンデン返しはありませんが、良い意味で予想通り気持ち良く楽しく終わっていたので、本作としては丁度良い塩梅でした。
予想が出来てしまい、そのまま予想通りでも、その絵が見たくて楽しみで仕方無い。
そんな気持ちで、ラスト3話は見ていた気がします。
{/netabare}



【偽右衛門 下鴨総一郎】
{netabare}
さて…「毛深い」だけでなく中々「味のある」キャラクターの多い本作。
その中でも、特に魅力的で味わい深いキャラクター、偉大な父親狸『下鴨 総一郎(しもがも そういちろう)』について、じっくり語りたいと思います。

この父親は、まさに「カッコイイとはこういうことさ」と言わんばかりの立ち振舞いでしたね。


山に化けることが出来る程の、非凡の化け力を持っていた父。
しかし突然、狸を食べる会「金曜倶楽部」に捕まった父親は、その人間達に鍋にされ食べられてしまっていました。

中盤、その父を食べた張本人の一人、大学教授の「淀川 長太郎(よどがわ ちょうたろう)」と矢三郎は奇しくも出会うのですが、そこで語られた父の最期は、想像していたものとは随分と違っていたのです。

その淀川は、人間であるから狸を食うのは当然と言いながらも、「食べることは愛すること」とも言い、狸に対し深い愛情を抱いていました。
そんな淀川に対し父は、狸界のタブーを破り…こう言葉を交わしていたのです。


「俺はコレまでにやりたいことは全てやり、子供達も大きくなった。

 末はまだ小さいけれども、兄たちが居るから…あとは助け合って立派にやっていくであろう。

 俺は種をまき、そこそこ育てた。

 一匹の狸としての役目は全うしたんだ。

 残された日々は天恵である。つまりは儲け物である。

 したがって…、まあ…ここであなた方に食われたところで一向に構わない。

 食いたければ食うが良い。」


狸が喋ったことに驚く淀川にも井を返さず、


「貴方ならば喋っても構わんかな…と、ふと思ったのだ。

 我が生涯最後のイタズラと言うべきか、阿呆の血のしからしむるところだ…。」


と、落ち着きながらも…「狸らしい」個性そのままに、それから食べられるまでの時間を、父は淀川と語り合っていたのでした。

父親の最後となったこのエピソードは、はたから見た残酷さとは裏腹に、まるで長年信頼しきった間柄のような会話を見せており、良い意味での違和感を生む演出がなされていました。
しかしまぁなんと潔い狸(おとこ)でしょうね、惚れ惚れいちゃいましたよ。


そんな父を想い返し、矢三郎は終盤前(第8話の最後)に、こう語っておりましたね。


『この世にサヨナラするにあたり、我らの父は、偉大なるその血を律儀にも四つに分けた。

 長兄は、責任感だけを受け継ぎ、

 次兄は、暢気な性格だけを受け継ぎ、

 弟は、純真さだけを受け継ぎ、

 私は……、阿呆ぶりだけを受け継いだ。

 てんでバラバラの兄弟をつなぎとめているのは、海よりも深い母の愛と、偉大なる父とのサヨラナである。

 一つの大きなサヨナラが、遺された者達をつなぐこともある。』


私はこの2つのシーンが作中でも大のお気に入りで、特にこの矢三郎の台詞の一連シーンでは、演出や音楽の挿入も抜群に良かったのも重なり、不覚にもボロ泣きしてしまいました。
正直、今もこの台詞を読み返すだけで、目頭が熱くなってしまう程です…。


下鴨家を始め、本作を彩るキャラクター達は皆どこかで、この父と繋がっていて、良くも……そして悪くも触発されていました。
それほど、この父親狸『下鴨総一郎』は、大きな存在だったんですね。

今もサントラで、このシーンの曲を聴いています。
曲のタイトルは、『一つの大きなサヨナラ』です。

アカン、泣けてきてしまった……。。。
{/netabare}



【総評】

初見では、序盤で人物設定や世界観が掴み辛く、馴染みづらい点は大きなマイナス。
原作ファンや前知識を持つ人でなければ、ここで切ってしまう人も多かったのではないでしょうか。

ですが後半は、そのマイナスを補って十二分に余りのある、大変面白く心動かされる「馬鹿馬鹿しい狸活劇」となっておりました。

しかし、いやはや序盤の悪印象から、まさかボロ泣きに発展するとは……。
これだから、物語は追ってみないと分かりません。
勿論、数多ある原作の中からアニメ化された作品なので、誰が見ても面白くない内容だなんてことはありえない、と思って一応追ってはおりましたが。
(と言いつつも、やっぱり自分には合わないケースがよくありますので、こういう風に覆るケースは珍しかったです。)


私は、ラノベ作品によくあるような、いわゆる萌え系のアニメも喜んで鑑賞します。
付け加えるなら、本作と同時期に放送されていたアニメを見て、「小学生は最高だぜ!」とも言っていた、本当どうしようもない阿呆の萌え糞豚です。

それでも、このような大人の鑑賞にも十分耐えうる、でもそれでいてカッコ付けて高尚ぶらずに面白いものを描く、こういう作品も大好きです。

この作者が描く「阿呆」に、私はたまらなく魅力を感じてしまうんですよね。
それが面白い出来事に繋がり、それが面白い周囲を呼び込んできてくれるのですから。

そして、まさに『四畳半神話大系』がそうであったように、それが周囲を巻き込んだ「良きこと」にも繋がっていくのですから…☆彡


まさに「面白きことは、良きことなり。」でした。

読んでいただき、ありがとうございました。


◆一番好きなキャラクター◆
『下鴨 総一郎』声 - 石原凡さん


◇一番可愛いキャラクター◇
『夷川 海星』声 - 佐倉綾音さん



以降、獣に当てた駄文なので〆ておきます。
{netabare}
さて…、これまで美少女にのみ、その欲情を露わにしていた私ですが…。


本作を見てからというもの、私は

『美少女』

ならぬ

『美少狸』

にまで、欲情の目を向けてしまいかねないようになってしまいました。

これに限っては、オスだろうが問答無用で手を出しかねない勢いである。


野生の狸は危険? 気性が荒い? 疫病も持っている?

ノープロブレム。

本能の赴くままに行動している時の私の気性の荒さは、野生の狸を凌ぎます。

爪も使います。

歯も使います。

舌も出します。

何より、私もこの通りの病気持ちです。


以降、私が京都に赴いた際は、町に隠れ住む『美少狸』は、決して私に近づいてはいけないと警告しておきます。


もし私に発情期があるとするならば、狸とだけは同時期でないことを願ってやみません。
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 43
ネタバレ

しんばくん さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

たぬき・天狗・人間 さて、どんな話でしょう。

物語:4.3 作画:4.7 声優:4.3 音楽:4.2 キャラ:4.6 【平均:4.4】                           (82.4)

ジャンル        :コメディ、群像劇
話数          :全13話
原作          :森見登美彦(小説)
アニメーション製作 :P.A.WORKS
監督          :吉原正行
シリーズ構成     :菅正太郎
脚本          :菅正太郎、檜垣亮
キャラデザイン    :久米田康治(原案)、川面恒介
音楽          :藤澤慶昌
主人公声優      :櫻井孝宏
OP           :「有頂天人生」作詞・歌 - milktub / 作曲・編曲 - 宮崎京一
ED           :「ケセラセラ」作詞 - 林英樹 / 作曲 - 佐藤純一 / 編曲・歌 - fhana

参照元        :Wikipedia「有頂天家族」

【あらすじ】
 千年の都・京都。ここでは古来より、人に化けた狸と天狗が、人間に紛れて暮らしていた。糺ノ森に住む狸の名門・下鴨家の父であり、狸界の頭領「偽右衛門」でもあった総一郎はある年の瀬、人間たちに狸鍋にされ、帰らぬ狸となってしまった。遺された息子たち「下鴨四兄弟」の三男で「面白く生きる」がモットーの矢三郎と、それを取りまく狸と天狗と人間たちの奇妙で多彩なキャラクターが繰り広げる奇想天外なコメディドラマ。 Wikipedia 有頂天家族「物語」より

【特徴】
①独特のセリフ回し
②コメディだけどシリアス
③家族、兄弟
④事件の真相
⑤好事家

【長所】
①謎多きキャラの行動が意味深
②微笑ましい家族模様が描かれている
③狸、天狗、人間の関係が面白い
④独特のセリフ回しが見所

【短所】
①日常会話で使われる事の無い語句を多用するため、煩わしく感じる事もある
②一見すると何について描いた物語か分かり辛い

【理由】
{netabare}[ 長所 ]
①作中にしっかりヒントが隠されていました。この謎は物語の引きの強さに寄与していると感じました。
②物語の温か味を感じられる部分です。また、感動する部分は家族関係の話になります。
③3つの種族が狸界の下鴨家と夷川家の争いに深く関わる物語です。この3種族の事情は各個にあり、物語の構成を面白くしていると思いました。 
④本作の目立つ特徴のうちの一つ。特に主人公である矢三郎のセリフが個性的。

[ 短所 ]
①要するに、人によっては何を言っているのか分からないという事になるかもしれません。よって、独特のセリフ回しは長所にも短所にもなると考えます。
②作品のジャンルがはっきりしません。楽しめる事が出来れば大した問題ではありませんが、結局何を描いた物語だったのかが分かり難く感じる事もあると思います。{/netabare}

【総括】
 様々な要旨を題材とした作品です。どの様な作品かという事をはっきり断言出来ませんが、【特徴】【長所】に挙げたような事を描いた作品でした。そして物語は最終話でしっかり締まります。また、上記には挙げませんでしたが作画、音楽共に綺麗で、キャラに至っては扱いも丁寧です。更に、キャラデザインはクセが少なくとても見易いです。尚、笑いを取るタイプのコメディ作品ではありませんが総じてクセが少なく見易いので、万人にお勧め出来る作品だと思いました。



【思った事・蛇足】

●どんな内容?
群像劇、家族愛、その他諸々描かれていましたが
私が思うに本筋は何かと言うと

『下鴨家、夷川家、両狸一族における頭領の座を掛けた争い』

だと思います。
その争いの中で家族愛だったり、種族ごとの群像劇が描かれていました。



●見所が多いと思ったキャラクター

1.矢三郎
  群像劇というよりこの矢三郎メインで進行する物語でした。
  主人公で下鴨家の三男。

2.矢二郎
  カエルから元に戻れなくなった下鴨家の次男。

3.弁天様(鈴木聡美)
  うーん・・・ ちょっと変わってました。
  天狗の妙技を赤玉様に伝授された人間。
  金曜倶楽部メンバー

4.布袋(淀川長太郎)
  大分変わった人でした。
  大学の農学部教授。
  金曜倶楽部メンバー



●好事家
この表現で正しいのか分かりませんが
人生を面白おかしく生きるキャラクター達が多数登場します。

観終えると
人生を面白おかしく生きる方法を模索したくなる!
…かもしれませんw



●阿呆の血のしからしむるところ

意味:アホの血統がそのような愚行を行わせているのだ。

私「あほうのちからしむところ…??」(汗)


----------------------------------------------------------


視聴前はタイトルやサムネ画像から作品の雰囲気を想像出来ず
積極的に観たいと思える作品ではありませんでした。
それにジャンルはコメディとwikiに書かれており
笑いのツボに入らなかったら楽しめないかもしれないと
そんな風に思ってました。


しかし
いざ観てみると違いました。


コメディはコメディでも
「笑いを取るタイプのコメディ」ではありませんでした!
コレ重要です!
更には話が進むにつれてシリアス度が上がります。


こんな具合に書くと「堅苦しい雰囲気なのか?」と思うかもしれませんが
そういう訳ではありません。


あらすじにも書かれていますが
ある日、主人公を含む狸一家(下鴨家)の父が人間に食べられてしまうのです。
そして物語は
偉大な父が人間に捕まってしまうという経緯に
徐々に隠された真実が明らかになって行くといった構成になります。
(※勿論明らかになった後も物語は続きます。)
なので
真実に迫るにつれてしんみりする場面や
家族の温もりを感じる場面などがあり
笑いとは程遠い内容だと思いました。


ですが!
描かれるキャラクター達は
わがままな天狗のおじいちゃんだったり
おかっぱ頭の四字熟語を使いたがる双子の狸だったり
はたまたやる気のないカエルだったり。
他にも個性的なキャラクターが登場し
これらのキャラクター達のおかげで堅苦しい雰囲気にならず
最後まで気楽に見ることが出来ました。




総括に書きましたが
兎に角クセが無く見易いので
万人にお勧め出来るのではないかと思います。



●グラフ[物語の転機が分かってしまう可能性あり※閲覧注意]
http://shinbakuns.blog.fc2.com/blog-entry-31.html

投稿 : 2025/02/01
♥ : 14

85.7 5 切ないでファンタジーなアニメランキング5位
Fate/stay night[フェイト/ステイナイト][スタジオディーン版](TVアニメ動画)

2006年冬アニメ
★★★★☆ 3.8 (3135)
15786人が棚に入れました
日本のとある地方都市「冬木市」に数十年に一度現れるとされる、持ち主のあらゆる願いを叶える「聖杯」。7人の魔術師(マスター)は7騎の使い魔(サーヴァント)と契約し、聖杯を巡る戦争に臨む。聖杯を手にできるのはただ一組、ゆえに彼らは最後の一組となるまで互いに殺し合う。魔術を習うもその才能を見いだせず、半人前の魔術師として生きていた主人公・衛宮士郎。彼は偶然にもサーヴァントの一人・セイバーと契約したことから、聖杯戦争に巻き込まれてゆく……。

声優・キャラクター
杉山紀彰、川澄綾子、植田佳奈、下屋則子、伊藤美紀、諏訪部順一、中田譲治、門脇舞以、浅川悠、神奈延年、田中敦子、神谷浩史、小山力也、真殿光昭、中田和宏、西前忠久、水沢史絵、三木眞一郎、関智一
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

最初にアニメ化されたセイバールート

セイバールートなわけだが、僕はこれが最も好きである。{netabare}ライダーとしっかり真正面からぶつかって戦ってくれるし、正面からぶつかる戦いが多かったように感じる。セイバーと士郎のキスシーンはなんだかドキドキしてしまった。{/netabare}

最後は{netabare}聖杯を壊して、切ないけれど、お互いの道を進むために別れる。一応、すっきり完結。{/netabare}

OPはタイナカサチでdisillusionときらめく涙は星に。この方の声は心地よい。
EDはあなたがいた森。14話はヒカリ。どちらも樹海が歌う。あなたがいた森が流れつつ、風に揺れるセイバー好きだった。ヒカリが流れた回はアーチャーが{netabare}激闘の末、バーサーカーに負けてしまう。なんとも言えない切なさだった。{/netabare}最終話のみタイナカサチで君との明日。


TYPE-MOONの人気ゲームを原作にしたTVアニメ。大災害で孤児となり、魔術師・衛宮切嗣の養子となった士郎。そして十年後、あらゆる願いを叶えると言われる聖杯を巡る「聖杯戦争」に巻き込まれた士郎は、魔術師として最強の使い魔(サーヴァント)“セイバー”と共に戦いに身を投じることとなる。

1. 始まりの日
海と山に囲まれた冬木市に暮らす高校生の衛宮士郎は、普段と変わらぬ穏やかな生活を送っていた。しかし、そんな日常の裏で、街では頻発するガス漏れ事故や辻斬りめいた強盗殺人事件など暗く奇妙な事件が続いていた。それは、この地を舞台に連綿との間で続いてきた聖杯を巡る戦い「聖杯戦争」の序章だった…。

2. 運命の夜
魔術師の一人である遠坂凛は、使い魔(サーヴァント)“アーチャー”と共に「聖杯戦争」に関わる敵の捜索を始めていた。その中で遭遇した敵のサーヴァント“ランサー”と戦いになる凛。学校の用事で帰りが遅くなっていたためにその戦いを目撃してしまった士郎は、ランサーに襲われ突き殺されてしまうが…。

3. 開幕
美しい少女の姿をしたサーヴァント“セイバー”に命を救われた士郎。そんなセイバーと対峙していたのは、同じ学校に通っている凛だった。驚く士郎だったが、凛から「聖杯戦争」のあらましを聞き、さらに「聖杯戦争」の監査役という神父の言峰綺礼から、戦いへの決断を問われて…。

4. 最強の敵
言峰から「聖杯戦争」について聞かされた士郎は、戦いを決意した。そんな士郎の前に、数日前の夜にすれ違った不思議な少女のイリヤと彼女のサーヴァント“バーサーカー”が立ちはだかる。襲いくるバーサーカーと戦うセイバーだったが、ランサーとの戦いで傷ついていたためにバーサーカーの攻撃の前に圧倒されていき…。

5. 魔術師二人<前編>
セイバーの存在を友人の妹である間桐桜や、担任の藤村大河に知らせるわけにはいかないと、彼女たちの目に触れないようにセイバーを自分の部屋に隠していた士郎。だが、その状況に後ろめたさを感じた士郎は、結局、桜たちにセイバーを紹介してしまう。納得できない大河は、セイバーと道場で立ち合いをすることにして…。

6. 魔術師二人<後編>
「聖杯戦争」を戦っている自覚のない士郎に怒りを感じた凛から襲われた士郎は、その圧倒的な実力差で彼女に追いつめられていた。だが決着が着こうとしたその時、校内に悲鳴が響く。二人が駆けつけた先には、魔力の源である生命力を抜かれた女生徒が倒れていた。すぐに介抱する凛だが、そこへ何者かが攻撃を加えてきて…。

7. 蠢動
士郎と凛は、学校に潜むもう一人のマスターを倒すまで協力関係を結ぶことになった。そんな中、そのマスターのサーヴァント“ライダー”が学校に張った結界はあと二、三日で発動するまでに強まっていた。大惨事を防ぐため、士郎と凛は結界を構成する呪刻を一つずつ探し出し、解除することで発動を遅らせようとするが…。

8. 不協の旋律(おと)
ライダーのマスターは、士郎の友人で桜の兄である慎二だった。そんな慎二からの情報で柳洞寺にさらなるサーヴァントが潜んでいることを知るが、柳洞寺にこちらから攻め込まないとセイバーにいう士郎。だが、そんな士郎に対してセイバーは戦うべきだと対立してしまう。その夜、セイバーは単独で柳洞寺に向かってしまい…。

9. 月下流麗
単独で柳洞寺に向かったセイバーの前に、サーヴァント“アサシン”が立ち塞がった。一方、セイバーたちの戦いの間隙をついて柳洞寺への潜入を試みたライダーは、サーヴァント“キャスター”と対峙していた。剣技を尽くして戦うセイバーとアサシン。だが、このままではアサシンを倒せないと悟ったセイバーは…。

10. 穏やかな幕間
実戦の前に一度でも多くの戦いを経験するため、士郎は学校を休んでセイバーと剣の稽古をすることになった。セイバーに全く歯が立たない士郎だが、果敢に打ち込み続けていた。そんな中、買出しに出かけた士郎は商店街でイリヤに話しかけられる。かつて戦った時とは別人で、兄のように慕ってくるイリヤに士郎は戸惑うが…。

11. 鮮血神殿
戦いに備えて今日もセイバーと剣の稽古、そして凛から魔術を教わっていた士郎。そんなある日、士郎は慎二から「どうしても話したいことがある」と学校に呼び出される。そして、士郎が単身学校に赴くと、慎二は校内に張り巡らせていた結界を発動させ、校内にいる全ての人間もろとも士郎を倒そうとして…。

12. 空を裂く
これ以上慎二に無関係な人たちを傷つけさせるわけにはいかないと、街を捜索していた士郎とセイバー。そして夜の新都にやってきた二人の前にライダーが現れ、セイバーを高層ビルの屋上に誘い込む。そこで天馬とそれを操る宝具を使い、セイバーを圧倒するライダー。その強力な攻撃を防ぎ、勝機を待つセイバーだったが…。

13. 冬の城
ライダーとの戦いで魔力を使い果たしたセイバーは、意識を失ってしまった。このままではセイバーが自分の体を維持することができずに消滅してしまうが、士郎にはそんな彼女へ魔力を供給することができなかった。力なく横たわるセイバーを見て、自分の無力さを思い知り公園で一人悩む士郎の前にイリヤが現れるが…。

14. 理想の果て
イリヤにさらわれた士郎を救出するためにアインツベルン城へ潜入したセイバーたちは、首尾よく士郎と再会した。セイバーたちはそのまま脱出をはかるが、その行動はすべてイリヤによってとらえられていた。立ち塞がるバーサーカーを前にこのままでは全滅は免れないと、凛はアーチャーを足止めに残すことを決断して…。

15. 十二の試練
アーチャーによって、アインツベルグ城から逃れた士郎たち。だが、セイバーの限界を感じた彼らは、森の廃屋に身を隠す。このままではセイバーが消滅し、追撃してくるバーサーカーにも対抗できなくなってしまう。そこで凛は、セイバーに魔力を供給するために士郎の魔術回路を直接セイバーに移植することを提案するが…。

16. 約束された勝利の剣
バーサーカーへの奇襲に成功した凛。しかし、宝具「十二の試練(ゴッド・ハンド)」によって倒したはずのバーサーカーが蘇り、凛はその腕にとらえられてしまう。バーサーカーをあと七回殺さねば倒せないという絶望的な状況に、ついにセイバーは聖剣「約束された勝利の剣(エクスカリバー)」を使おうとするが…。

17. 魔女の烙印
士郎たちはバーサーカーとの死闘を乗り越え、しばしの平穏を取り戻した。だが、バーサーカーを失ったイリヤが衛宮家に同居することになり、士郎とセイバーはお互いを意識してぎこちなくなっていた。一方、新都では昏睡事件の被害が拡大し続けていた。その原因が柳洞寺に潜むキャスターだと、イリヤは一同に告げて…。

18. 決戦
聖杯の生贄としてさらわれてしまった桜を救うべく、士郎たちは柳洞寺に向かった。だが、参道の脇に隠された入り口を抜けてキャスターが魔力で作り上げた巨大な神殿を進む士郎たちの前に、竜牙兵やアサシン、そしてマスターである葛木が立ち塞がる。セイバーと士郎がそれぞれ戦う中、凛はついに桜の元へ辿り着くが…。

19. 黄金の王
キャスターは桜を助けるために傷ついた凛を聖杯の生贄にしようとしていた。その一方で葛木に苦戦する士郎。セイバーは何とかアサシンを撃退したが、宝具を封じられていたためにキャスターを倒す術はなかった。その状況に勝利を確信したキャスターは、セイバーに自分のしもべとなれば士郎は助けてもいいと問いかけるが…。

20. 遠い夢跡
突如現れて絶体絶命だった士郎たちを助けた謎の八人目のサーヴァント。その正体は、前回の「聖杯戦争」の時に召喚されてそのまま現世に留まったサーヴァントだった。そして聖杯の力を使えばセイバーもまた二度目の生を受けられると知った士郎は、セイバーにこの世界で自分のために生きて幸せになって欲しいと願うが…。

21. 天地乖離す開闢の星
お互いの存在を認め合ったセイバーと士郎の前に、再びあの黄金サーヴァントが現れた。セイバーを我がものにしようとする黄金サーヴァントに二人は立ち向かうが、その攻撃力の前に圧倒されてしまう。実は一人の英霊では持つことのできない無数の宝具を駆使するその正体は、人類最古の王であるギルガメッシュだったのだ…。

22. 願いの果て
士郎が一人で言峰教会に行ったことを知り、不穏なものを感じたセイバーは急ぎ教会へと駆けつけた。だが、時すでに遅くランサーの槍に貫かれた士郎が瀕死の状態で横たわっていた。士郎の元に駆け寄ろうとするが、眼前にランサーが立ちはだかり斬り合いになるセイバー。そこに言峰が現れ、士郎にあることを問いかけて…。

23. 聖杯
言峰教会から脱出したセイバーと士郎が衛宮邸に戻ると、そこには血だらけで倒れている凛の姿があった。言峰に不意をつかれ、聖杯の器とするイリヤを連れ去られてしまったのだ。災厄の元凶である聖杯を破壊すると誓ったセイバーと士郎は、降霊の地となる柳洞寺に向かい、ギルガメッシュや言峰との最後の戦いに臨む!

24. 全て遠き理想郷
聖杯より溢れ出す呪い「この世全ての悪(アンリ・マユ)」にとらわれ、苦悶する士郎。その頃、セイバーはギルガメッシュに苦戦していた。容赦なく放たれるギルガメッシュの宝具「天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)」にセイバーが絶体絶命の危機をむかえた時、聖剣の鞘「全て遠き理想郷(アヴァロン)」が現れて…。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 10
ネタバレ

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

「これより我が剣は貴方と共にあり、貴方の運命は私と共にある。」

Fateシリーズはたくさんあるので
どれから観ようか迷いましたが、

とりあえず順番通りに観ることにしました。

2004年発売のゲームが
元となっている作品です。

原作は3つのルートが存在する超大作のようですが、
今回はそのうち「セイバールート」だけをアニメ化したようです。

そのためか、設定がつかみにくいところもあったので、
ネタバレに気を付けながらwikiさんに助けてもらっていました。

全24話です。


● ストーリー
7人の魔術師がマスターとして選ばれ、
それぞれ7人のサーヴァント(英霊)がパートナーとしてつく。

戦いに勝利すると、
どんな願いも叶えてくれるという“聖杯(せいはい)”が手に入る。

魔術師の1人として選ばれたのは、
10年前に起きた大災害の生き残り・衛宮士郎(えみや しろう)。

彼の前に「セイバー」と名乗るサーヴァントが現れる。

聖杯のために無関係な人間が巻き込まれることを嫌った士郎は、
聖杯戦争への参加を決意する。


普通の世界の中にひっそりと潜んでいる魔術師たち。

士郎は魔術師として素人同然のため、
同級生の遠坂凜(とおさか りん)の助言を受けます。

それが観ている私達への状況説明になっていて、いい^^

徐々に明らかになる設定は興味深く、
先の読めない展開にはドキドキしました。


しかしドキドキしたのは設定をつかむまで。

ストーリーは数話で大きな流れを作っている構成なので、
ゆったりとした展開に徐々に飽きも大きくなっていきました^^;

全体を振り返ると悪くないストーリー構成だったと思いますが、

全体的に淡々とストーリーを流していった印象で、
あまり手に汗握るような展開にはならなかったなあ。


設定については説明されなかったところも多々あり。
(凜と桜の関係や、士郎とイリヤの関係など。
 私が聞き逃しているだけかもしれませんが…。)

原作をプレイした後で観たほうが楽しめるのかも?
もしくは、続編で詳しく描かれるのかしら。


● キャラクター
個人的に見せ場を期待していたキャラの出番が
あっさりと終わったのがとても残念!

主人公である士郎やセイバーが目立つのはいいけど、
それ以外のキャラの見せ場にも期待していたのに…。
({netabare} アーチャー {/netabare}とか{netabare} ランサー {/netabare}とか。)

まあ、セイバーたちについても
充分深く語られたわけではないのですが^^;

キャラを深く描くことで作品にも深みが出るはず。
なので、それをしなかった分、ストーリーも淡泊な印象を受けたのかも。


ちなみに、私のお気に入りはセイバーでした^^

剣の腕は強く、凛とした美しい姿には思わず魅入っちゃう♪


● 音楽
OPは前半と後半の2曲、
EDはメインとなるのが1曲、特別EDが2曲でした。

OPよりEDの3曲が印象深いです。

【 ED「あなたがいた森」/ 樹海 】
【 14話ED「ヒカリ」/ 樹海 】
【 最終話ED「君との明日」/ タイナカサチ 】

どれもしっとり心に沁みる曲たちです。

特別なEDも気まぐれではなく、
ちゃんと雰囲気に合った曲が選ばれているのが素晴らしい。

メインEDは神曲で間違いないですが、
残りの2曲も1回しか使われないなんてもったいないほど、いい曲です!


● まとめ
全体を振り返ると悪くないストーリーだったと思います。

もっと話数があれば
深く描けたのかな、ぐらいで。

しかし途中からはドキドキしたり、
続きが気になることもありませんでした。

観て後悔はないけれど、大満足でもない。
それなりには楽しめた、というぐらいでしょうか。

なんだろうな、何があればもっと好きになれたんだろうな。

アツい戦闘?大きな盛り上がり?成長?
見せ方の問題なのか、地味な戦いが多かったもんな…。

ああ士郎達勝ったね、ぐらいで、
個々の戦闘シーンはあまり思い出せません(笑)

人気のシリーズなので
続編に期待してみようと思います。
次はFate/Zeroかな?

投稿 : 2025/02/01
♥ : 29
ネタバレ

まがじゃ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

設定は大事なのだ

アニヲタやゲームヲタ
僕の回りにいるリアルのクレイジーな奴らが
得意気にfateについて語る姿が
なんか鼻につき、イラついたので
見てやろうと思ったんです(生意気にもw)

fate/ステイナイトとは…2006年に放送されたPCゲーム原作のアニメ。あにコレでも上位の作品ですね
聖杯によって選ばれた七人のマスターが、サーヴァントと呼ばれる特殊な使い魔を従い戦い、聖杯を奪い合うバトルロワイヤルなやつですね。聖杯を勝ち取った勝者は願い事がかなえられるとかそんな話

リアルのアニヲタに勧められよくわからないまま
fate/zeroから見ました。今となってはわかりましたが
fate/zeroはfate/stay nightの10年前を描いた作品です
(ゼロは2011年の作品)
しかしゼロ1話で早速睡魔が襲うw
切嗣さんよ あなたたちの昔話 私は知らんのだよ(-`ω-)

サーバントと聞いて真っ先に凸森を思い出すニワカな僕…

でもちょっとずつこの作品に入り込んでいくと
サーバント同志の掛け合いや
とんでもないバトルシーンとか妙な世界観に引き込まれる 
これは面白いんじゃないか? と期待に胸が膨らみます
特にライダーがクール過ぎるwヤバい

でも全くと言って良いほど設定がわからないので
いまいち作品に入り込めてない
そんなこんなゼロをファーストシーズンで一時中断し
ステイナイトを見はじめることにしました

ステイナイトを見初めてすぐ理解しましたが
そもそも見る順番が間違ってますね
主人公の士郎は自ら望んでマスターになったわけではなさそうなので聖杯戦争のルールとか凛ちゃんが教えてくれますね。凛ちゃん親切に説明お疲れ様です(´▽`*)
あっ…イリヤが出てる しかも怖ええ

ステイナイトの魅力は…
まだ8話終わった所なので輪郭すら捉えられていませんが
バトルものにしては敵同士なのに協力関係になったりとか戦略的な要素が多くて楽しめます
ステイナイトもゼロと一緒で全面的にシリアスだと思ってたら全然そんなことないんね ギャグもあるしハーレム臭も感じます。ゲーム原作のアニメですからね

とりあえずステイナイトをまず全部見て
ゼロの世界を堪能しようとおもいます

見終わった後の感想{netabare}
結局何故聖杯戦争が始まったかは解らず(どっかで語られてますかね?)
ゼロ→ステイナイトと見てしまったのでどうしても戦闘シーンは見劣りしてしまいました

士郎について
ヘンテコ眉毛で血と髪の毛の色が一緒じゃないのw
偏った正義感に最初はアレルギーを感じました
背景を知ってくにつれ彼の思いにも少しばかり理解できましたがいくら致命傷を負っても死なないこいつの無双ぶりに呆れてきました。あともっと中二な主人公であれば楽しめたかも

セイバーについて
セイバーの生前の思いに胸が熱くなるものがありましたが
いかんせん表情がクール過ぎるのだよ(´・ω・`)
デレにしてもこの時代の描写なのか少し控えめでイマイチ伝わりにくかったな
ゲーム経験者に聞けばこのストーリーはセイバールートだそうですね
道理でラッキースケベやらデートイベントやらある訳だw

個人的にキャスターのしおらしさに惹かれました
ギルガメさんも安定の「この雑種が!」ですね♪

ゼロから見てしまった事で変な期待を抱いてしまったのかあんまり入り込めませんでした
でも最後に聖杯を壊して生前の自分を認めるセイバーの安堵の思いは伝わりました

最初のシーンはゼロの結末になるんでしょう?まだ見てませんけど♪
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 16

65.6 6 切ないでファンタジーなアニメランキング6位
07-GHOST[セブンゴースト](TVアニメ動画)

2009年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (346)
2088人が棚に入れました
ラグス戦争終結から十数年後、バルスブルグ帝国の第1区で軍に入隊するためエリート生として過ごしていたテイトは、ある日、失われた記憶の一部を取り戻し、自分がラグス国王の息子であることを思い出す。
記憶を取り戻したテイトは軍を脱走し、第7区のバルスブルグ教会の司教たちに助けられた。しかし、彼の運命はすでに動き始めていた。

斎 美織 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

是非原作を!

アニメ07-GOHST全25話完結です。
キャラクター作画声優さん申し分ないです。
物語もあれはあれでいいのですが
原作を知っている者からすると
アニメはまだまだ物語の始まりで
これからがたのしいところです!
是非是非アニメの続き見ていただきたいです。

原作完結いたしましたが
私的には最初のわくわくから考えると
うーん…と思ってしまう部分もある終わり方でしたが
やはり原作は読んでほしいです。

内容キャラなどから見て
女性向けなアニメだと思います。
ほんのり腐向けなので苦手な人は注意!

内容はダーク?ファンタジーです。
主人公は過去の記憶を持たない少年なのですが
ひょんなことからその記憶を思いだし
幼い自らの前で父を仲間を殺した人物を思い出します。
その人物への復讐を果たそうと行動を起こすが失敗。
以降主人公は追われる身となってしまいます。
そんな主人公を拾ったのは教会の神父たち。
けれど彼らには秘密が有って…
そんな彼らと過ごすうち主人公は過去に起きた世界の危機
それを起こしたフェアローレンという死神、
其れを封じた7人の死神(07-GHOST)を知り
深く関わっていくことになります。

謎も多く次の展開、最後はどんな風に…?と
常にわくわく期待できる内容でした!
ギャグ部分は面白くシリアス部分は感動できて
何より愛情友情に泣かされます。
見て損はないかと!

アニメでも十分感動できますが
原作ではさらに踏み込んで感動できます!
アニメ原作共に泣きました←

余談ですが私の推しメンは
コナツ=ウォーレンです!
声優さんが岸尾さんなのもイメージぴったりですし!
何より容姿性格共に可愛い!
ヒュウガとの絡みは微笑ましいです(笑)
ドラマCDではぶっ飛んだ部分も明かされ
もうホントに可愛いです←

主人公テイトくんの斎賀さんボイスも
素敵に似合っていましたし
フラウの俺様何様諏訪部様具合も
とてもイメージに合っていました!
アヤナミ様の速水さんボイス!!!!!
協会側も帝国軍側も
みんな豪華すぎる声優陣を持て余すことなく
イメージとぴったりで素敵でした。
クロユリ様の声優さんが
私的に少し残念ですが
あれはあれで可愛いかも知れないです。

そして何より私は
アニメでもっとも感謝したのは
ランセのかなりのイケメン度です(笑)
あの特徴的な髪形をあそこまでイケメンに…!

投稿 : 2025/02/01
♥ : 10

柚稀 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

俺は、失ってばかりだった…けれど…。

全25話。
キャラ、イケメンわんさか(*゚▽゚)ノ   
描かれる、熱い友情☆
シスターに死神☆司教、カストル様!(ナイスメガネ☆)ラブラドールくん(可愛い♪)
そんでバトル、またバトル!!
これは、きっとおもしろい!!((o(>▽<)o))

…………………………!?!?!?Σ(゚д゚;)

ってあれ??www
こ、こんなはずでは…(´・ω・`)が25話観た感想。。。。。


スクラー(戦闘用奴隷という意味らしい)から、
軍隊へと入隊したテイトには生まれながらに課せられたおっきな運命があって、
紐解かれる記憶と復讐の思い、
そして親友であるミカゲの想い、を胸に戦う。
のですが…

…ですが。
前半というかはじめの数話の展開は、テンポよく、
いい感じにバタバタとしていて、観ていて気分良かったのだけれど、
それ以降のスロー、超スローな展開にはちょっと残念。。。。。

いつ攻め込んでくるんだ?どうなんだ?
と結構楽しみにしていた、テイトを追う軍側、アヤナミが率いる敵さん部隊の登場も少なめで、
5,6人いる敵さん達の名前もいまいち覚えられずw

能力もそれぞれ、使用する武器もそれぞれ、なので、
敵さん達の戦闘シーンも期待していたのですが、
思ったほど、さほど描かれることはなく。

僕の期待とは裏腹に物語は進んでいきましたとさwwwww

そんで25話終了後、気付いたのは…
これは今後の物語へ続く、プロローグにしか過ぎない。
ということでしたwww

…まだ、あるんすか?
あんたけスローだったんだから、何とか25話に収まらなかったのですか…??

モヤモヤとした問いかけだけが残りました(〃゚д゚;A

ただ、声フェチとしての目線wでいいましたら、
イケメンキャラ揃いだけに“いい声”がたくさんしました(*´∇`*)

福山潤・浪川大輔・入野自由・諏訪部順一・宮田幸季・岸尾だいすけ・朴璐美・斎賀みつきなどなど♪

特にテイトの声、斎賀みつきさんは“カナリヤ”という曲を聴いてから、男性ばりにかっこよすぎる歌声に惚れましたd(>_・ )グッ!ww

投稿 : 2025/02/01
♥ : 16

nani-kore さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

あまりのマンネリ展開に、ちょうど真ん中あたりで断念;

15話目で断念;
だって、あんまりマンネリ過ぎて。。。

出だしはすごく良くって、ワクワクしたのになぁ~3
主人公、テイト・クラインが教会に逃げ込んでからは、もう、超マンネリ展開でつま~んない;;

あまりのマンネリさに疲れ切って、14話目で一休さん。
数週間後、久しぶりに観たら、こりゃもうダメだ~3
ストーリー設定がムダに凝っているから、ついてけないのである。
最初はちょっと影のある、クールな美少年だったテイトも、どんどん惰弱でセンシティブなBL少年と化しているし。。戦争奴隷だった暗い過去はどうなったんだよ??

あともう少しで観終わるから、がんばろーと思ったけど、アニメ大国ニッポンでは、インド映画に勝るほど様々なアニメが量産されているし、過去の良作だって山ほど埋もれているのである。
そんな宝の山をあきらめて、こんなつまらない超マンネリBL指定アニメ(だから観たケド)を、我慢して観続けるなんて、バカバカし過ぎるではないか。。

んなワケで、ちょうど折り返し地点で残念だが、断念;
導入部分では本当にワクワクさせられたし、ストーリー設定も凝っている作品なので、中盤の耐えがたいマンネリ感がムカムカするほど残念だ。
。。どーにかならなかったのか?どーにもならなかったのか??

画はキレイだし、イケメンもいっぱい。
それだけあれば十分な方は、ぜひお試しあれ。。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 11

75.0 7 切ないでファンタジーなアニメランキング7位
暁のヨナ(TVアニメ動画)

2014年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (902)
4789人が棚に入れました
建国神話・四龍伝説が伝わる高華王国。
緋龍城では当時、王の他には世継ぎの王子も、世継ぎを産むお妃も無く
ただ齢十五の王女・ヨナが、大切に大切に育てられていた――。
そして迎えた十六歳の誕生日。
武器を厭う心優しい父王・イル、幼馴染で護衛のハクや、ヨナが想いを寄せていた従兄のスウォンと共に、幸せな一日を過ごす…はずだった。
宴の夜、スウォンとの婚姻を反対するイルに、ヨナは自分の気持ちを伝えに行く。
しかし、イルの部屋で彼女が遭遇したのは思いもよらぬ過酷な現実で…!?
ヨナと四龍、それぞれの運命が絡みあう、激動の大河ファンタジー・ロマン――!

声優・キャラクター
斎藤千和、前野智昭、小林裕介、森田成一、岡本信彦、諏訪部順一、下野紘、皆川純子
ネタバレ

小歌 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

各話の感想

 ■第1~10話■
{netabare}第1話 王女ヨナ
 {netabare} 高華王国の王女・ヨナは、いとこのスウォンに想いを寄せていた。しかし16歳の誕生日の夜、そのスウォンに大好きな父王が殺される。OPもBGMもやたら壮大。ハクの、幼馴染で護衛ってポジションには超絶萌えますな。今のところ甘ちゃん王女のヨナだけど、今後素敵に成長していくのかなーと期待。 {/netabare}

第2話 ちぎれた絆
 {netabare} 国王イルを殺害したのは、自身の父を彼に殺されたためだと明かすスウォン。口封じのためにヨナも殺されそうになるが、ハクによって辛くも王宮の裏山へ逃げのびる。放心状態のヨナが可哀想だけど、それに対して姫様姫様ぁ!とならずに、わりと淡々とキャラが行動していくのが花ゆめらしくて良かった。 {/netabare}

第3話 遠い空
 {netabare} 幼少時のヨナ、ハク、スウォンの回想エピソードが大半。ちびヨナかわいい。そして後半、今の放心状態のヨナに対するハクの献身っぷりに泣ける。ヨナがスウォンから贈られた髪飾りを手離せないことに憤りを感じつつも、それで彼女を現実に繋ぎとめられるなら構わないと思うハクが本当に甲斐甲斐しい…。 {/netabare}

第4話 風の部族
 {netabare} ヨナたちはハクの故郷である風牙の都に辿り着く。ハクの弟・テヨンをはじめ、マイペースで心温かい風の部族の人々。しかし、ハクの祖父・ムンドク長老がスウォンの王位承認を拒むと、スウォン派の火の部族から悪質な工作を受けてしまう。風の部族長としてのハクも、威厳があってすごく格好良かった。 {/netabare}

第5話 咆哮
 {netabare} これ以上風牙の都に危害が及ぶのを避けるため、ハクはソンの姓も将軍の座も捨て、ヨナとともに都を出る。まずは風の地のどこかに住む神官を探すことにするが、火の部族長の息子・テジュンが率いる兵たちに見つかり追い詰められる。ヨナ姫が気高く美しかった。「お前(ハク)が欲しいもの!」にキュン。 {/netabare}

第6話 紅い髪
 {netabare} 追い詰められたヨナとハクは谷底へ落ち、テジュンはスウォンに2人が死んだと憔悴しきった様子で報告する。一方、ヨナたちは谷底で倒れているのをユンという少年に発見され、介抱を受けていた。OPとEDに姿だけは登場していた、旅の仲間になると思われるキャラが登場。6話目にしてようやくだよ…! {/netabare}

第7話 天命
 {netabare} ユンの保護者を名乗る青年・イクスは、ヨナたちが探していた神官その人だった。ハクを死なせず、自身も生きたいというヨナの願いを聞いたイクスは、それはもはや天命だと言う。そして建国神話に登場する伝説の四龍を探すよう告げる。ますますもって面白くなってきた。ハクの片想いっぷりが切ない…。 {/netabare}

第8話 選んだ扉
 {netabare} ユンを一緒に旅へ連れて行ってくれないかとヨナに頼むイクス。それを聞いたユンは最初反発するが、イクスから離れて外の世界を知るため、ヨナたちと共に旅へ出ることを決意する。8話でようやく仲間が入ったよー。どうやらユンくんは本を1度読めばその内容を覚えてしまうほどの天才美少年設定の模様。 {/netabare}

第9話 ふるえる覚悟
 {netabare} 四龍の血をひく者が、火の部族と王都の近くを横切ったところにある山の上に住んでいるとイクスから助言を受け、まずはそこを目指すヨナ達。その道すがら、ヨナはハクから弓矢の稽古を受ける。生きるため・守るために、奪い奪われる命のやりとりをする覚悟を決めるヨナ姫。彼女の精神的成長が著しいな。 {/netabare}

第10話 待望
 {netabare} 白龍の血をひく一族が住まう里に辿り着いたヨナたち。そこにいたのは、白龍の力を受け継いだ証である龍の右手を持ち、主が現れるのを待ち望んでいた青年・キジャだった。1人目の四龍があっさり仲間に。銀髪美青年とは王道ですな。早速ハクとバトってたし、これからは逆ハー要素も楽しめるわけかー。 {/netabare}{/netabare}

 ■第11~20話■
{netabare}第11話 龍の爪
 {netabare} 初めて里を離れてする慣れぬ旅にうろたえるキジャ。しかし龍の爪の力は強力で、清廉な容姿には似合わぬほどの力技で敵をなぎ倒す。キジャが感じる四龍の気配を頼りに進む一行は、青龍が住まうと思われる岩山に辿り着く。ハクとキジャのヨナを巡るバトルが楽しくてニヤニヤ。ユンくんは完全にオカン。 {/netabare}

第12話 目隠しの龍
 {netabare} 青龍がいると思われる村に足を踏み入れたヨナ達だが、村人達はそんな者はいないと言う。迷路のように入り組んだ洞窟の村を探るうちにハク達とはぐれたヨナは、お面をつけた青髪の青年に助けられる。青龍の幼少時の回想シーンが切なかった…。キジャとは正反対で、龍の力を恐れられながら育ったのかー。 {/netabare}

第13話 反響する恐怖
 {netabare} 龍の力を“呪い”と里の人間から恐れられ、隔離させられてきた青龍。ハクを見張りとして残し、ヨナ達は青龍と話をしに再び迷路のような岩穴へ。仲間に誘うが断られ、さらに突然の地震で壁が崩れ進路が塞がってしまう。青龍もハクもシリアスで切ないシーンが続く中、1人だけ元気なキジャがおば可愛い。 {/netabare}

第14話 光
 {netabare} 無事岩穴から抜け出し、青龍も旅の仲間に加わることに。名を持たない青龍に、ヨナは“月の光”という意味のシンアという名を与える。ユンとシンアがヨナを名前で呼ぶようになったけど、ハクに対してだけは「姫って呼んで」と言ったシーンで、その理由も含めて泣きそうになった。主従モノの醍醐味だね。 {/netabare}

第15話 新たな地へ
 {netabare} とある荒れ果てた村に辿り着いたヨナたち。そこの村人が語った先王イルへの不満と新王スウォンへの期待に、ヨナは思わず涙する。一方その頃、スウォンは地の部族長であるイ・グンテを訪ね、地心の都へ訪れていた。緑龍見つける前にスウォンのターンなのかな。イル陛下の評判悪すぎてヨナが少し気の毒。 {/netabare}

第16話 戦ごっこ
 {netabare} のほほんとしたスウォンに猜疑心を抱くグンテ。お祭りと称してスウォンが主催した戦ごっこで、グンテに心酔する兵士たちを上手く操りながら戦況を優位に進める王の姿に何かを感じる。穏やかそうに見えて実はかなりの切れ者なスウォンのターン。ヨナ達の出番は一切なし。スウォンの二面性が少し苦手…。 {/netabare}

第17話 阿波の海賊
 {netabare} 緑龍の気配を追って、地の部族・阿波の都に辿り着いたヨナ達。食料調達のため1人で街へ向かったハクは、自由を愛する謎の青年・ジェハと出会う。彼の正体は緑龍で、阿波の港に停泊する海賊の一員でもあった。緑龍はナルシストキャラかー。前話になかったハク×ヨナのときめきも戻ってきて楽しかった。 {/netabare}

第18話 縁
 {netabare} 阿波の都を牛耳るヤン・クムジやその臣下の横暴っぷりに怒りが湧くヨナ。緑龍ジェハとついに対面し、仲間になることはスッパリと断られるが、クムジ討伐のため海賊と協力したいと申し出る。ジェハの計らいでギガン船長と面会をするヨナ達だが…。ジェハが登場してからテンポが良いね。がんばれヨナ姫。 {/netabare}

第19話 千樹草の試し
 {netabare} ギガンの信用を得るためヨナに課された試練は、断崖絶壁に生えた千樹草という薬草を1人で採ってくること。震える足で進もうとするヨナの姿に、ジェハは心を揺さぶられる。えろかった…ヨナの手につけすぎた蜂蜜を舐めとるハク…やばかった…。なんだかすごく乙女ゲームっぽいシーンが目立つ回だった。 {/netabare}

第20話 勇気の連鎖
 {netabare} 若い女を人身売買しているクムジ。3日後にその取引をするという情報を掴んだギガン率いる海賊団は、その日を襲撃日とする。女達が乗る船をいち早く見極め避難させるため、ヨナは自ら内部に潜入し合図の花火を上げる作戦を申し出て…。ユンくん女優やな。他の皆もどんだけ自分の女装姿に自信あるのよ。 {/netabare}{/netabare}

第21話 火花
 {netabare} 人身売買用の女たちの中に紛れ込むことに成功したヨナとユン。クムジに姫だとバレそうになったり、甲板に出る前に捕まって万事休すの状況に追い込まれたりするも、なんとか合図の花火を打ち上げる。ハラハラドキドキ。ヨナ姫は非力だけど、とりあえず眼力だけで相手が気圧されちゃうから都合いいよね。 {/netabare}

第22話 歴史は夜作られる
 {netabare} ヨナが射った矢がクムジの心臓に突き刺さり、戦いは終わりを告げる。阿波の街で勝利の宴会が催されるなか、ひとり歩くヨナが偶然出会ったのは…。ここでスウォンと再会とか!もう次週が楽しみすぎる。止めを刺したヨナ姫は凛々しかったけど、初めての殺生を経験したってことを思うとクるものがあるね。 {/netabare}

第23話 誓いの朝
 {netabare} 思いがけない再会をしたヨナとスウォン。束の間の邂逅のあと動揺を隠せないヨナであったが、明日には阿波を発つことを決める。翌日阿波の海賊や住人に見送られ、ヨナたちは旅へ出発。そして密かにつけて来ていたジェハを仲間に迎え入れる。スウォンが抱く志はヨナの存在があっても揺るがないのね…。 {/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 9
ネタバレ

buon さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

正統派伝記もの+

おもしろい。

というか正直、評価に困るw
本当、単純に、単純ながらこの物語がおもしろい。

当初は国盗り合戦みたいなものだと思っていたが、
{netabare}世直し{/netabare}の話だ。

これは朝鮮半島あたりの話だけど、
日本やギリシャ神話、異世界のファンタジーであってもすんなり落ちそうな内容。

{netabare}王族の主人公の親が暗殺され、命からがら国を逃げる。
共に国を出た仲間と共に協力者を探し、
当初は復讐を考えていたのだろう。

親の庇護下でぬくぬく育ってきた主人公は世間知らずで、
世に蔓延する穢れや苦しみを知らなかった。
臆病と言われながらも信じていた親が統治していた国、
豊かで平和だと思っていた、いやそんなことすら考えたことがなかった。

無意識の理想とは違った。

重税、病、資源の枯渇、差別、閉ざされた地域での圧政、
目にした現実に幸せなどなかった。

それを見て、どうしたか、どうするのか。
そういう物語である。


これ、ぶっちゃけファンタジー要素皆無でも問題ない。

武器、知力、腕力、視力、脚力、体力に優れた仲間。
そのものを探す旅の途中で磨かれる精神と肉体。

行く先は憎むべき親の仇と同じ道。


この物語の主人公はヨナとスウォンだと思う。
ヨナがこれまで、これから気付き、やってきたこと、やろうとしていることは、
スウォンと同じ。

違いは親の仇かそうじゃないか。

スウォンは親の仇であるヨナの父親を暗殺したが、
遅かれ早かれヨナの父親は殺されていただろう。
仮にスウォンがそうしなかったとしても、
そうしようと思っていたものは他に5人ぐらいはいたのではないか。

王位に着けるもの、あるいは王位に着けるものに近しいもの、動かせるもの、
そういうヤツらがそうしていただろう。
スウォンの脇にいる黒髪ロンゲなんて、スウォンを動かした人間だろう。

そして多分、スウォンはそれを分かった上で行動に移した、とあってほしい。



さてさて、だらっと物語について述べましたが、
こんなシンプルな話だと中高年層にウケても、
購買力のある歳がアラサーまでの人たちの手を引っ張るには至らないだろう。

足りない要素は
無双っぷり、実は天才、
美女、おっぱい、
イケメン、ほもー、

というより、いくらでも色付けができる内容だ。

今回は、主人公を美女にしイケメンパラダイス、
逆ハーレムにした。

ハーレムものにイラッ☆とする女子の気持ちがほんのわずかだけ分かりましたが、
残念ながらそれがメインの物語ではない、それはおまけだ。
{netabare}はちみつプレイは素晴らしかった。
なるほど、棘が刺さったら蜂蜜か。
ハクはイケメンでまじめだから患部だけにかけ、ついでに舐めていたが、
どうせならそのまま○○にかけモッタイナイので舐めました的にもってくか、
うひょひょひょひょ♪{/netabare}
とあらぬ角度で勉強にはなりましたww

けど、
「キモ」
「イケメンだから許されるんだ」
「オレもやりたい」
と思ったことはそれぐらいで、
自分としては程よい味付け。

むしろ、もーほーのストーリーになんなくて良かったwwwww
{netabare}漫画の大奥じゃないけど、
男が男で満たされる、的なことは往々にしてあったからね。・・・過去形にしたい。
日本で坊さんやら将軍やらそんな感じがあったってことは、
やんごとなき地位にいらっしゃる男は、もう本当。
そうできない人は仕方なくないけど、
美女を選べて、そっちにも手を出すとか、どんだけお盛んなんだよ的、みたいな~。
ぶっちゃけ主人公が中性的美少年とかでもストーリー作れたからね。
むしろ「美」が付かないくてもできたか!?
いや本当、そんなの見たくない。
ヨナちゃんが天パー赤髪美少女で良かった。
本当は美少女性分が不足がちなんだけど、
ヤン・クムジ編でいたし、
この物語にそういうの求めてないから。
別に、ヨナ姫だけいればいいし、本当そう思うよ。
もう一人や二人、いても罰当たらないなんて、そんなこと思ってもいないよ。

・・・と今回はネタバレタグの使い方間違っているなw{/netabare}

黄龍、なんかあるな~

この作品、まだ連載続いてるんだっけ?
その世界でのハッピーエンドはあり得ないけど、
二人の関係、三人の関係での終止符は打てるからそれは見届けたいな。

ということで、みんな買ってね♪
買わないと、矢で眼か股間を射抜くわよ☆


・・・悪ふざけが過ぎたけど、
普通におもしろい物語だった。演出も良かった。
6話ぐらいまでだるかったけど、それも含めていい作品。

{netabare}一応、ヤン・クムジを殺した後の気持ちにも触れてたし。
ゴミはゴミ箱へ的な感じかな。よく分からんかった。
もうちょい苦しんでても良かったんだけど、
物語としては重要じゃない。興味本位として掘り下げてほしかったが。

そういえば、ヤン・クムジが支配者についての名言を言っていたな。
どんな汚い手を使っても、恥を恐れず、自らを生き永らえさせる、
やっぱ本物はこうじゃなくちゃな♪{/netabare}


物語としての音楽は最高に良かった♪
BGMとか効果音とか良かったな☆
テーマ曲は、1クール目OPと2クール目EDがめっちゃ好き☆☆☆☆☆で、
1クール目EDはあんまり聞いてなかったけど嫌いじゃなくて、
2クール目OPの曲もアニメーションのやっつけ具合も微妙だった。
特殊EDはカッコよすぎ!!!!!

あと所々、戦闘や決めるところの描写がカッコよすぎ!!!!!
作画は全般的に良かったけど、本当、良かった♪

{netabare}物語としては、あの土の国?だっけ。
あーいう平和そうで全然平和じゃない、やることやってる話好き☆
まあ、他も好きだから最初の6話ぐらいまでのダルいとこ以外好きなんだけど、
けどそれも必要で・・・うんぬんかんぬん{/netabare}


この文章の長さが好きとか嫌いとか通り越した、この作品への思いと思ってください。{/netabare}



☆1話感想→{netabare}

『アハハ、ウフフ、ほらイケ綿のお花畑よ~・・・えっ (1話感想)』
2014.10.08 00:59 ★★★☆☆ 3.7
物語 : 3.5  作画 : 4.0  声優 : 3.5  音楽 : 4.0  キャラ : 3.5


あらすじ見てたから戦国時代的なのだと思ってたけど、そうきたかw
ぶっちゃけこういう話って誰が悪いとか良いとかない話。
何か理由があるとか、そういうのいいよ。

それはそれ。
これはこれ。
今のところ、かわええ女の子はヨナだけ。

問題は、華に群がる好青年どもをまとめて楽しめるか否か。

だけでもないか。
やっぱり国と国の小競り合いだから、国の行く末、
そして主人公たちの行く道、
ってのは気になるわな。

「タイトルがなんかカッケー」見よう♪
→「イケメンパラダイスだよー」やっぱやめた
→「少女マンガだから純愛っぽいかもー」観よう♪

という経緯wがあって見た。

いいよね、新ジャンルに挑戦しても。
と言っても、ハーレムとは違うのかな。

というわけで、そういえば大人になってからは見てない国取物語、
しかも歴史に関係なさそうな少女マンガの作品を見てみます。

よく分からんけど、チュッチュラブラブ以外の少女マンガも見てきて、実際面白かったから、
実は少年漫画とかそういう垣根と面白さってあんま関係ないのかな。
主人公の男女比が違うだけで。

・・・そう言えば「私ツエー」的なのって見たことないな。誰か作れば流行りそうなのにw{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 21
ネタバレ

♡Sallie♡☆彡 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

2クールじゃ全然足りないよぉo(>_<)o

「花とゆめ」で連載の少女漫画が原作のアニメです。
原作は読んだことないんですが,中華風ファンタジーとか和風ファンタジー大好きなので観てみることに…☆
―っていうか,これは韓国風なのかな!?
世界観はめっちゃ中国だけど,名前だけ韓国っぽいんだよねぇ。
まぁ,韓国も大陸だし,あの三角の帽子に数珠がついてる衣装の時代(韓国ドラマでよく見る)ばかりじゃないんでしょうけど…。

まず,キャラデザは…
良くもなく悪くもなく…といった感じです。
あたしが少女漫画歴が「りぼん」とか「なかよし」の少女向けのものでSTOPしてるのは,中高生以上向けの漫画のキャラデザがあんまり好きじゃないってのも大きいんですよね。
原作読んでないから知らないんですが,漫画がこんな感じなんですよね,きっと。
あ,でもヨナが好きじゃないだけかもです。
天パの設定なんですよね?
個人的に女の子は前髪アリのストレートロングのキャラが好きなので,天パなだけでなく,髪短くなっちゃうから更に…。
ハク,ジェハ&ゼノはキャラデザも好きだし,キャラ自体も好きです!!
特にゼノのキャラデザ可愛い♡

放送序盤でちらっとネットで感想読んだんですが…
{netabare}スウォンがイル陛下殺しちゃうのめっちゃびっくりしませんでした!?{/netabare}
なんか,あるあるっていうか,王道っていうか,先が読みやすい的に書かれてて,びっくりしたのあたしだけか(* ̄□ ̄*;って思いましたよぉ。
あたし的にもう少し緋龍城でのお話が続いてヨナとハクとスウォンの三角関係が描かれるのかなって思ってたのでショックでした。
最終的にヨナとハクがくっつくのは目に見えてるので,やっぱ序盤はヨナの想いが届いてスウォンとくっついたり,イイ感じになってほしかったなぁ。
やっぱハクが1番かっこいいけれど,スウォンのキャラも好きなのです。
{netabare}あと,「スウォン自ら手を汚さなくても…」とか「殺さなくてもヨナを籠絡すれば難なく国王になれたんじゃ…」的な意見もあって「確かに!!」と激しく同意してしまいました(笑)。{/netabare}

“四龍の戦士を探す旅に出る”なんてところはRPG感ありますねー。
「ふしぎ遊戯」(アニメは観てない)を思い出しちゃいました。
四龍の戦士それぞれに力があるってとこもそうだし,それぞれのお話が描かれてからの仲間になるっていう流れとか…。
なんかいろいろダブりますね。
やっぱ「ふしぎ遊戯」には及ばないですけど★
あと,同じく「花とゆめ」連載の「それでも世界は美しい」のレビューで比較すると書いてしまったのでくらべてみました♪←ちょっと後悔してる(笑)。
あと,最近3巻まで読んだ「女王の花」(中華風ファンタジー)という漫画もついでに…。
(あくまで個人の見解ですのでご参考までに…。)

恋愛感
それでも世界は美しい≧ふしぎ遊戯>暁のヨナ≧女王の花

ファンタジー感
それでも世界は美しい≒ふしぎ遊戯≧暁のヨナ>女王の花

歴史感
女王の花>暁のヨナ>ふしぎ遊戯≧それでも世界は美しい

コメディ感
ふしぎ遊戯>それでも世界は美しい≒暁のヨナ>女王の花

アクション(戦い・バトル)感
女王の花>ふしぎ遊戯>暁のヨナ>それでも世界は美しい

―って感じです。
こうみると「それでも世界は美しい」はロマンス(恋愛×ファンタジー)!!っていうのに対して「暁のヨナ」はそこまでロマンスっぽくなかったです。
アニメはまだハクとの恋が進展してないからラブっぽさはほとんどなく,どちらかというと歴史×ファンタジーの色合いが強い印象です。
少女漫画原作だからもっときゅんきゅんを期待してたのでちょっと拍子抜けだけれど,このくらいが丁度良いかも!!
原作の方は話も進んでもっとラブな感じなのかなぁ?
あ,でもハクが常にヨナに敬語を使い続けているところが態度とのギャップできゅんきゅんしますね。
「女王の花」もそんな感じできゅんきゅんしたので,こういう萌えがあるということを知りました。←
あと,ヨナやハクはスウォンのことをどう考えてるのか凄く気になりました。
アニメの中であまり描かれなくて…。
{netabare}特にヨナにしてみたら大好きだった人なのにお父さんの敵なんですよ!!
めちゃくちゃ憎いはずなのに簪捨てられてないですよね。。
再会した時もただ呆然としていてセリフ全然なかったし…。{/netabare}
あとスウォンもヨナやハクのことをどう思っているんだろう。
スウォンにあぁいう一面があったけど,今まで見せてたキャラが全て仮面という訳じゃなくて,あのおっとりしてるのもそれはそれでスウォンなんですよね。
複雑なんでしょうけど,だからこそ彼らの気持ちが気になってしまいました。
最終話でちょこっと描かれていたけど満足できない(>_<)

そもそものストーリーが壮大なので,2クールやってもなお全然足りない!!
だってゼノ出てきたばっかだよ!!しかもさらりと…。
キャラつかめないうちに終わっちゃったよ。。
むしろこれからでしょ!!っていう時に終わってしまったので,もちろん2期求む!!ですよ。

因みに,OP&EDはアニメーションをもう少し頑張ってほしかったという印象です。
なんか次々に絵を見せられてる感じ…。
EDはどちらもスローなのでそこまでじゃないんですが,OPは気になってしまいました。
しかも2クール目のにちょっと使いまわしてるし…(^-^;
EDの「夜」はめっちゃ好きになってしまいました♪
vistlipって知らなかったけど,まさかヴィジュアル系とは…(笑)。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 10

79.2 8 切ないでファンタジーなアニメランキング8位
夏目友人帳 陸(TVアニメ動画)

2017年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (519)
2757人が棚に入れました
小さい頃から妖怪を見ることができた少年・夏目貴志は、祖母レイコの遺産「友人帳」を受け継ぎ、自称用心棒のニャンコ先生と共に、そこに名を縛られた妖怪たちに名を返す日々を送る。
妖と、そこに関わる人との触れ合いを通して、自分の進むべき道を模索し始めた夏目は、想いを共有できる友人たちにも助けられながら、大切な日々を守るすべを見つけていこうとする。

心優しき友人たちとの、大切な日々──
美しく儚き、人と妖の物語。

待望の第六期が2017年4月より放送開始!

ある日、川沿いを歩いていた夏目は、何かがぶつかり合うような音を聞き、壷を被った妖怪が橋桁に頭を打ちつける姿を目にする。深入りしないように立ち去ろうとする夏目だったが、壷を外して欲しいと妖怪に頼まれつい手助けしてしまう。すると、助けてくれたお礼として、妖怪「つきひぐい」の力で夏目は子どもに戻ってしまう。どうやら記憶も失ってしまっているようで…

声優・キャラクター
神谷浩史、井上和彦、小林沙苗、石田彰、堀江一眞、木村良平、菅沼久義、沢城みゆき、佐藤利奈、伊藤美紀、伊藤栄次、諏訪部順一
ネタバレ

ようす さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

「ああ、俺は、一人ではなくなったんだな。一緒に見たいとか、喜ばせたいとか、きっと、これが…。」

夏目友人帳・6期。

これからも続いてほしい大好きなシリーズです♪

1話完結の話がメインなので、
シリーズの途中からの視聴でも問題ありませんが、

夏目が過ごしてきた温かな日々を感じることも、
この作品の大きな魅力なので、

1期からの視聴をおすすめします!

6期は全11話です。


● ストーリー
幼いころから妖が見えた少年・夏目貴志(なつめ たかし)。

祖母レイコの残した友人帳には、
彼女が集めた妖の名が収集されていた。

妖に名を返すことができるのは、
孫の夏目だけ。

用心棒・ニャンコ先生と共に、
妖や周りの人たちと交わる日々。

それは、夏目にとってかけがえのない日々。


6期になりましたが、
話がマンネリとしたり、飽きたりなんてことは全然ありません。

キャラに対する変わらない安心感もありながら、
シリーズ全体を長い目で見ると変化もあり、
先の展開が楽しみにもなります。

6期だと、
{netabare}
・名取に友人帳の存在が知られる
・祖母のレイコではなく、祖父らしき存在が妖から語られる
{/netabare}
あたりが新展開でしたね。

特にネタバレ内の2つ目の項目については、
今後の展開が今から楽しみです。

どの話も見所があって楽しめました^^

・夏目と妖
・夏目の周囲の人の優しさや、にぎやかさ
・妖同士の温かな関係
・妖を祓う仕事をする人たち
・祖母レイコの過去
・妖と、妖が見える人間の交流

この辺りがエピソードの主軸でしょうか。
エピソードが幅広いので、飽きないのも納得^^

そしてどれがハズレというのもなく、
どれも温かくて感動できるというのがすごい。

悲しいお話は得意じゃないけれど、
夏目で流す涙は温かいから好きです(´;ω;`)

もちろん、笑える所もあります。
まあ、お笑いを担当するのは基本的にニャンコ先生のプリチーさですがw


● キャラクター
とにかく登場する人がみんな優しい。

そして優しいだけじゃなく、
しなやかな強さを持っている。

そんな登場人物たちが好きなのですけれども、
やっぱり特に好きなのは、夏目なのですよねえ。

夏目の自然体な優しさが好きで、
毎回心がほぐされます。

そしてそんな夏目以上に、
夏目を引き取り育てている藤原夫妻が最強。笑

今回は藤原夫妻がメインとなるお話はなく、
ちょっとした登場ばかりでしたが、

それでも塔子(とうこ)さんのレジェンド感半端ない…。
この神オーラには勝てる気がしないわ。笑


あとはやっぱりニャンコ先生がかわいい♪プリチー♪

あの丸いお尻と、丸いしっぽがたまらないのよねえ…(*´Д`)ハァハァ

ぼてぼてしてるのも、
夏目の頭の上に着地してフィットしてるのも、
この二人は本当にナイスコンビだわ♪

そしてそのニャンコ先生に興奮する多軌(たき)も可愛すぎ!
1話から多軌さんの可愛さに悶えてました。笑


そんな感じで、
どのキャラも優しくて、温かくて、大好きです。

夏目は妖と絡んでいるのがしっくりきますが(笑)、

男友達と絡んでいるのも絵になってなんかもう、
ごちそうさまな気分になります(*´Д`)ハァハァ

夏目と田沼から漂う友情には、なんだかそそられますw
その友情をずっとながめていたいわ…(*´Д`)

…ああ、夏目が引いて青ざめる姿が浮かぶ。笑


● 音楽
【 OP「フローリア」/ 佐香智久 】

このOP大好きです♪
映像も気合入ってますね♪

夏目がイケメン過ぎて辛い…(*´Д`)笑

映像のようにどこか繊細な美しさや優しさも感じられ、
この作品にぴったりな曲だと思います♪


【 ED「きみのうた」/ 安田レイ 】

今回も感動する曲です(´;ω;`)

ちなみに、この曲のMV、
夏目と全然関係ないけど号泣しました(´;ω;`)

大切な人と同じ時を歩めることの幸せを忘れてはいけない。
それは当たり前なようで、いつまでも続くことではないのだから…。

そんながっつりな感動ソングがこれほど似合う作品は、
そうないんじゃないでしょうか。


● まとめ
誰かと話し、誰かと笑い。
日常の、なんともあたりまえな風景。

そこに夏目がいることが、泣けるのです。

たくさんひとりで苦しんだ日々を越えて、
今は大切な者たちと笑顔な自分でいられる穏やかで幸せな日々。

自分の居場所を見つけた幸せ。
そういう幸せをちゃんと感じて、ちゃんと噛みしめて、大切にする。

そういう夏目が私は大好きです。
そしてこの作品が大好きです。

また夏目たちに再会できることを願って。
7期待ちます!

投稿 : 2025/02/01
♥ : 27

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

安定の6期目

月刊『LaLa』掲載マンガ「夏目友人帳」を原作とするアニメ化作品です。
「陸」は「六」の意(いわゆる「大字」という奴)で、本作品は6期目となります。

あえて「連載」と書かないのは、掲載ペースが遅くて毎月載っているとは限らない気がするためです。

シリーズ「参」くらいからは下記の事情がわかっていればたぶん話が理解できると思います。これをネタバレと思う方はここまで読んだらお帰り下さい(笑)。
(逆に言えば、無印と「続」くらいまで見ていれば「参」以降はマンネリ…?)

1. 夏目貴志(なつめ たかし)は妖怪が見え、話ができる。
夏目は祖母の夏目レイコ譲りの強い霊力を持っており、幼少時から普通の人には見ることができない妖怪が見えたり、その妖怪と話をすることができます。

2. 夏目はレイコから「友人帳」を受け継いでいる。
レイコは多くの妖怪と勝負をし、レイコとの勝負に負けた妖怪の名前を友人帳に記載して名前を縛りました。名前を縛られた妖怪は友人帳の持ち主の支配下にあるということになってしまいます。

3. 夏目自身は祓い屋としては素人。
妖怪を退治したり封印したりする職能集団は作中で「祓い屋」と呼ばれますが、夏目自身は霊力が強いだけで祓い屋ではありません。

4. 現在は実子のいない藤原夫妻に引き取られている。
夏目は両親を亡くして身寄りがなく、妖怪が見えることによる言動で親族に気味悪がられたらい回しにされた果てに、夏目を快く引き取ってくれた藤原夫妻の下で暮らしています。藤原夫妻は夏目の霊力については何も知りません。

5. 現在は夏目の事情を知る友人がいる。
現在は多少の霊力を持つ田沼、妖怪が見えるようにする陣を使ったことがある多岐、祓い屋の名取などの友人がおり、そういった友人たちは夏目の霊力や妖怪を見ることができる能力について知っています。ただし友人帳について知っているのは妖怪だけで、人間には友人帳の秘密は明かしていない。

6. 夏目の霊力を狙う人間がいる。
祓い屋の的場など、友人ではないけれども夏目の霊力について知っている人間がおり、自分の陣営に取り込もうと画策したり能力を利用しようとしたりします。

初期のエピソードにより夏目の用心棒をすることになったニャンコ先生(正体は大妖怪: 斑(まだら))や夏目を慕う妖怪たち(通称:「犬の会」)、あるいは事情を知る友人たちの助けを借りながら時には妖怪からの襲撃に対応し、時には妖怪の悩みや問題を解決しながらの日常を送っています。

シリーズが進むことによるストーリーの進展は夏目自身の成長、藤原夫妻や友人たちのとの人間関係、レイコと妖怪たちとの思い出にまつわる話、夏目出生に関する謎、祓い屋たちとの関係などでしょうか。

2017.6.22追記:
全話視聴完了。最終エピソード<前後編>は、原作だと18巻収録の内容でした。これを今期の最終エピソードに持ってくるために、エピソード順の入れ替えがありましたね。

まあ、この最終エピソードで追加された「新たな謎」については原作でほとんど進展はない(最新巻は21巻)のでこのエピソード順変更は正解かも。

この終わり方は、「漆」を作る気満々とみました。連載完結したら全話アニメ化するつもりなんですかね?
(まあ、ファンにとってはその方がありがたいですけどね。)

そういえば最近、名前を返すエピソードがほとんどないですよね。昔はそれ用のバンクすら作られて使われていたのに。まあ、それはいいや…。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 44

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

繊細な物語を優しい歌で包んだら…朱夏の夏目になりました。

気が付いてみると、このシリーズも第6期まで放送されていました。
夏目と妖が織り成す心温まる物語…
序盤と今とのハッキリとした違いは、夏目を取り巻く人間関係に厚みと深みが生まれている事…なのではないでしょうか。

夏目がお世話になっている藤原家の人たち…
気が付いてみると学校にも夏目の事を理解してくれる友達が増えて、毎日の学校生活も充実そのもの…
そして夏目の能力を適正の評価してくれる祓い屋や使い魔たち…
そして相も変わらないニャンコ先生を始めとする妖たち…

この作品は、夏目の祖母にあたるレイコの作った友人帳に名前を記載された妖に返していく…
そういう内容の作品であった筈でしたが、最近妖に名前を返すケースがめっきり減ってしまったように思います。
そしてそれと同時に感じ始めているのは友人帳の持つ「違う価値」です。

原作を読んでいないのであくまで個人的予想ですが、この友人帳を巡ってこれまでとは異質な何か…そう、妖以外との摩擦が生まれそうな気がします。
例えば相手が人間だったり…
祓い屋だったら友人帳の様なモノを新たに作り出せたりするのかな…とか、夏目の友人帳が危機に晒されることも可能性としてはあるのかな…なんて思ったりしています。

毎週楽しみだった今期もあっという間に最終回の11話…
今回も物語の数の分だけ出会いと別れが紡がれた訳ですが、個人的にイチオシだったのは第8話の「いつかくる日」です。

ずっと思い続けて…その思いが届かなかったら諦める…?
それで諦められるなら、諦めても良いのだと思います。
でもそんな簡単に整理できないのが人の心…
だから人は奇跡を起こす方法を考えて一生懸命それに縋ろうとする…
だってほんの僅かな可能性はその一本にしかないのだから…
だからどんなに無様でもその一本にしがみ付くんだ…
そしてもし触れる事ができたのなら…今度は絶対離さない…
例えどんなに悲しい事が待っていても…です。

「俺もいつか、別れに怯えることより一緒にいられることを思えるようになるだろうか…」
空を見上げながら呟いた夏目のこの心の声に勇気と優しさを感じていたのですが、ここでピアノのメロディーが聞こえてくるんですよね…
決して出しゃばり過ぎず…でも心にじんわり広がっていくエンディングの旋律に、何度心が締め付けられたことか…

5期のAimerさんが歌っていた「茜さす」も破壊力抜群でしたが、今期の安田レイさんの「きみのうた」も十分魅力的な歌でした。
本編で魅せてエンディングで墜とす…この2段階攻撃って最近の流行りなんでしょうか。
「あの花」なんかは典型的なこのタイプでしたけれど…
私の様なチョロインには、この構成って結構心にグサグサ来るんですよね…
もう、2度死ぬのは007で十分ですのに…

今回新たな伏線が垣間見えました。
全ては7期への布石だと思いますが、今度はいつ放送されるのでしょうか…
続報が楽しみです。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 22
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