内戦で漫画原作なTVアニメ動画ランキング 5

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ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月06日の時点で一番の内戦で漫画原作なTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

86.0 1 内戦で漫画原作なアニメランキング1位
進撃の巨人 Season3(TVアニメ動画)

2018年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (798)
4021人が棚に入れました
百年の長きに渡り人類と外の世界を隔ててきた壁。その壁の向こうには見たことのない世界が広がっているという。炎の水、氷の大地、砂の雪原……。本の中に書かれた言葉は、少年の探究心をかき立てるものばかりだった。やがて時が過ぎ、壁が巨人によって壊された現在、人類は一歩ずつ世界の真実へと近づこうとしている。巨人の正体は何なのか? 何故、壁の中に巨人が埋まっていたのか? 巨人化したエレン・イェーガーが持つ「座標」の力とは? そして、ヒストリア・レイスはこの世界の何を知るのか? エレンら104期兵を加え、新たな体制となったリヴァイ班。行動を開始した彼らの前に、最強最悪の敵が立ち塞がる。

声優・キャラクター
梶裕貴、石川由依、井上麻里奈、下野紘、小林ゆう、三上枝織、藤田咲、細谷佳正、橋詰知久、谷山紀章、嶋村侑、津田健次郎、朴璐美、小野大輔、神谷浩史、子安武人
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

安定の内ゲバ

ここの話からは原作を一切読んでいないので、わくわくしながら見た。

話の流れ的にそうだと思ったが、内ゲバ続き。内部が腐ってたらしょうがない。
今回もいっぱい人死ぬの辛い。

ただ、リヴァイの活躍が多めで嬉しい。{netabare}巨人じゃなくて人間相手だが。{/netabare}

ヒストリアが大活躍。{netabare}居座っていた王家は偽者でヒストリアこそが真の王位継承できる。ダイダラボッチなお父さんにとどめを刺したわけだし。{/netabare}
巨人の秘密も段々明かされていく。
{netabare}エレンの父が元々の王家の血を根絶やしにして、人類を救うために巨人になる因子を奪ってエレンに与えた。{/netabare}

アッカーマンにまつわる話も。
{netabare}リヴァイもそうやったんか。ケニーは叔父さんだと!{/netabare}

{netabare}ギャグみたいな最初のほうの訓練も伏線あったとは。教官はエレンの両親と知り合いで調査兵団になってほしくないから、しれっと装置をいじっていたのだな。{/netabare}

貴重な肉ではしゃぐ回は息抜きのギャグ回で良かった。
{netabare}意識を失っても動き続けるサシャと誰も喧嘩を止めてくれないせいで辞め時を失い、しょぼいパンチを繰り出し続けるジャンとエレン。{/netabare}


OP
Red Swan YOSHIKI feat. HYDE
ED
暁の鎮魂歌 Linked Horizon
YOSHIKIとHYDEって豪華すぎる。


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
百年の長きに渡り人類と外の世界を隔ててきた壁。その壁の向こうには見たことのない世界が広がっているという。炎の水、氷の大地、砂の雪原……。本の中に書かれた言葉は、少年の探究心をかき立てるものばかりだった。やがて時が過ぎ、壁が巨人によって壊された現在、人類は一歩ずつ世界の真実へと近づこうとしている。巨人の正体は何なのか?何故、壁の中に巨人が埋まっていたのか?巨人化したエレン・イェーガーが持つ「座標」の力とは?そして、ヒストリア・レイスはこの世界の何を知るのか?エレンら104期兵を加え、新たな体制となったリヴァイ班。行動を開始した彼らの前に、最強最悪の敵が立ち塞がる。


1. 狼煙
エレンたち104期生は新たにリヴァイ班へと編入されることになった。ウォール・マリアに開けられた穴を塞ぐという当初の目標を達成するため、巨人化したエレンの体を自在に硬質化する方法を探る実験を進めるハンジだったが、そこへニック司祭が何者かに殺されたという知らせが入る。ニックの殺害が憲兵団の手によるものと断定したハンジの報告を受けたリヴァイのもとに届く、エルヴィンからの手紙。そこに書かれていた内容とは……?

2. 痛み
エレンとヒストリアを乗せた馬車が襲撃され、そのまま二人が攫われてしまった。追おうとするリヴァイの前に立ち塞がる謎の男。その顔を見て、リヴァイは「ケニー」と叫ぶ。どうやらリヴァイにとって、過去に因縁のある相手らしい。二人の戦いは、まさに相手の命を奪おうとするものだった。巨人対人類ではなく、人類同士が立体機動装置を用いて行う死闘。その信じられない光景を目撃したジャンたちもまた、戦闘に巻き込まれていく。

3. 昔話
攫われたヒストリアが目を覚ますと、そこには彼女の父親を名乗るロッド・レイスという中年の男がいた。ロッドはヒストリアを抱きしめながら、レイス家にまつわる重大な秘密を打ち明ける。一方、ハンジも捕らえた憲兵の口を割らせて、レイス家の秘密を掴んでいた。今後の方針を決定するため、エルヴィンにレイス家の情報を伝えようとするハンジ。その頃、エルヴィンはピクシスと面会し、人類の歴史を動かす決意を表明するのだった。

4. 信頼
憲兵団の策により、民間人を殺害した罪を着せられてしまった調査兵団。彼らが潜伏する森の中に、見回りをしていた男女二人の憲兵、マルロとヒッチが足を踏み入れる。水汲みをしているアルミンを発見するも、逆にリヴァイたちによって拘束された二人。だが、憲兵団のやり方に疑問を感じるマルロは調査兵団への協力を申し出る。リヴァイは二人の身柄をジャンに預けるが、ジャンは彼らのことを信用しておらず、ナイフを向けてしまう。

5. 回答
ついに調査兵団の命運が尽きようとしていた。中央憲兵に追い詰められ、エルヴィンの処刑が執行されようとしていたのだ。王の間にて、最後の裁判を受けるエルヴィン。調査兵団を失うということは、人類の矛を失うことを意味する。――エルヴィンの主張に誰も耳を貸そうとせず、処刑台へと連行されそうになった矢先に、超大型巨人と鎧の巨人がウォール・ローゼを突破したとの情報が入る。はたして、人類の未来を託すべきは誰なのか!?

6. 罪
どれほどの時間が経ったのか。礼拝堂の地下で目を覚ましたエレンの体は鎖で拘束され、目の前にはすべての記憶を取り戻したというヒストリアが、ロッドと並び立っていた。ロッドとヒストリアの手が背中に触れたことで、エレンの脳内に浮かび上がってくる忌まわしき記憶。それは、5年前のある夜にレイス家を襲ったという悲劇の真相だった。あの夜、ロッドから家族を奪ったのはエレンの父、グリシャ・イェーガーだというのだが……。

7. 願い
ロッドが語るレイス家の真実。何代にもわたって受け継がれてきた巨人の力は今、エレンの中にあるという。ヒストリアは叫ぶ、その力を手に入れ世界の歴史を継承し、この世から巨人を駆逐することこそが自分の使命だと。一方、真実を知ったエレンは償いきれない罪を犯してしまったと涙を流し、人類の命運をヒストリアに託す覚悟を決める。そんなエレンの想いを受けたヒストリアは、ロッドのもくろみ通り巨人化してしまうのか?

8. オルブド区外壁
ヒストリアはロッドに逆らい、エレンを連れて礼拝堂から脱出しようとする。すると、床にこぼれた薬品を体内に取り入れたロッドが巨人化してしまった。その衝撃で飛ばされるヒストリアと拘束されたままだったエレンを、駆けつけた調査兵団の仲間たちが救う。そうしている間にもロッド巨人の体は形成されていき、その大きさは超大型巨人をも超えるものとなった。仲間が危機に直面したとき、エレンは再び自分を信じることを選択する。

9. 壁の王
エレンは仲間を守ることができたが、同時にロッド巨人も地上に出てきてしまった。高熱を発し、周囲の木々を焼きながら、ロッド巨人はゆっくりと歩みを進める。その先にはオルブド区があるが、エルヴィンはあえて避難指示を出さずに巨人を迎え撃つ作戦を立てる。被害がウォール・シーナの中心部にまで及ぶことを防ぐためにオルブド区の住民をおとりにしつつ、ひとりも死傷者を出さないという困難な戦いに、調査兵団が立ち向かう。

10. 友人
ロッド巨人は倒され、自らとどめを刺したヒストリアは住民や兵士たちの前で自分が真の王であることを宣言する。その頃、礼拝堂の崩落現場から脱出したケニーは大量の血を流し、息も絶え絶えになりながら横たわっていた。ケニーの脳裏に浮かんでは消える自らの壮絶な生涯-。ふと気がつくと、目の前にはリヴァイが立っていた。ケニーは生きるための最後のあがきをするかのように、巨人化する薬品の入った注射器を取り出すのだった…

11. 傍観者
ヒストリアの戴冠から2か月。牧場で孤児たちの面倒を見るヒストリアは、人々から親しみを込めて「牛飼いの女神様」と呼ばれていた。調査兵団ではエレンが得た硬質化の能力に関する実験が行われ、対巨人兵器の開発に成功する。度重なる実験は体に大きな負担を強いるものだったが、エレンは、巨人を一掃できるなら自分の身が削られることなどいとわない覚悟を見せる。そして、ある人物のことを思い出すのだった。

12. 奪還作戦の夜
調査兵団の悲願であるウォール・マリア奪還作戦は、2日後に決行されることとなった。リヴァイは手負いのエルヴィンに対し出陣を控えるよう進言するが、エルヴィンは固辞。「この世の真実が明らかになる瞬間に立ち会わなければならない」と語るエルヴィンの強い意志に、リヴァイも納得してその場を去るのだった。その夜、兵舎で盛大な宴会が催され、英気を養う兵士たち。エレンたちはここまでの戦いを振り返り、決意を新たにする。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8

ようす さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「その行いが報われる日まで、進み続けるんだ。これは、お前が始めた物語だろう。」

進撃の巨人・3期。

1期(25話)と2期(12話)または、
総集編劇場版映画3作を見てから視聴してください。

2020年秋には4期も放送予定!

今回はなかなかアツい展開続きだったので、
4期が決定しているのは嬉しいです♪

3期は分割2クールで、全22話です。
まとめてレビューします。


● ストーリー
人を食べる巨人から身を守るため、
三重の壁に囲まれた国の中で暮らす人類。

エレン・イェーガー(♂)は、
壁の外へ遠征して調査を行う調査兵団の一員であり、
巨人化の力を持つ少年。

特別な力を持つ存在として、
正体不明の敵から狙われていた。

エレンの父が世界の秘密を隠したという地下室を目指して、
調査兵団はエレンの昔の家を目指す。


これまでは巨人vs人類という構図だったのが、
3期では人vs人とという場面が多くなっていました。

謎だらけのこの世界で、
いろんな立場の人間の思惑や秘密がぶつかり合っていく。

そして徐々に明らかになる世界の謎。

2期までは謎まみれだったのですが、
3期の終わりには大部分の謎が明らかになります。

この世界はなぜ3重の壁に囲まれているのか、
巨人とは一体どこから来るのか、
エレンを狙う敵の目的とは、
エレン達が持つ巨人化の力とは、

などなど、1期や2期での謎はほとんど明かされます。

その分、新たな謎がまたどーんと置かれてしまったのですが。笑
(これは4期へ持ち越し。)

特に3期後半、エレンの家の地下室を目指す戦いは、
かなり絶望的な状況の中で抗う調査兵団の姿がかっこよくて…。

命をかけて、最後の最後まで己の信じるものだけは貫こうとする姿に、
毎回目が離せませんでした。一気に最終話まで駆け抜けたくなりました。


≪ 失う辛さと自分にできること ≫

巨人がうろつく壁外で調査を行う調査兵団には常に危険がつきまとい、
いつ命を落としてもおかしくない。

今回も恐ろしい数の調査兵団員が命を失います。
誰もが、大切な仲間を失っていく。

辛いなあ。辛いよ。
大切な仲間を失う辛さをこの人たちはどれだけ経験してきたのか。

気が付けば、みんな死んでしまった。
気が付けば、自分だけが生き残っていた。

残された自分にできることは、ただ意思を引き継ぎ、進むことのみ。
だから立ち止まることは許されない。

この世界にいると、ゆっくり悲しみに浸る暇なんてなくて、
誰かを失った辛さも悲しみも、激動の世界に押し流されてしまう。

それでも、己の道を信じて進む。
この先に、彼らが夢見た未来があると信じて。
そんな未来は本当に存在するのか?と挫けそうになる心と共に。


≪ 人と世界 ≫

初めは、壁の外の自由を手に入れたいという願いからだった。
人にとっての脅威は巨人だった。

だけど、気が付けば真の脅威は同じ人間であり、世界であった。
私達と同じだった。

結局のところ、世界のすべての人が平和に過ごすことなんて、
不可能なのだろうか。

平和に、自由に暮らしたい。
たったそれだけの願いを、私達はずっと叶えられずにいる。

誰かより幸せになりたい、誰かより豊かでありたい。
そんな願いを持ってしまった時点で、人間は世界に敗れたのだろうか。

エレン達も同じ道にたどり着いた。
そして繰り返そうとしている。

平和で自由な世界を手に入れる。
そのためなら、自分の周りの世界以外はどうなってもいい。
むしろ、これまでされてきたことへの恨みを晴らしてやる。

エレンたちがこの先どのような道を選ぶのかはわからないけれど、
彼らなら別の道を見せてくれるのではという期待もある。

いつか世界のすべてが平和になる日まで。
自分には何ができるのか。

何かできるとしても、行動に起こすことができるのか。
自分には自信がないなあ。

そう考えると、
次々と行動を起こすエレン達は本当にすごいなと思います。


● キャラクター
世界を変えるために立ち向かうキャラクターたちは、
みんな強くてかっこいいです。

望んだものを得るための戦い、
その中で生きることを選んだ人たちばかり。

誰が一番好きかと問われると悩みますが、
やっぱりリヴァイ兵長かなあ。

今回の無双っぷりも半端なかったです。


● 作画
今回も高いクオリティ!

演出もかっこよくて、
特に立体機動装置でびゅんびゅんする時のカメラワークが動く動く。

BGMのかっこよさと合わさって、
毎回いい演出を見せてもらいました。

かっこよかったです!


● 音楽
【 前半OP「Red Swan」/ YOSHIKI feat. HYDE 】
【 後半OP「憧憬と屍の道」/ Linked Horizon 】

前半OPは1期や2期とは違う雰囲気でした。

でもOP映像の美しさと合わさって、
こちらもいい感じ♪

リンホラOPはやはり初代のインパクトが強すぎるから、
ここで雰囲気変えるのもよかったと思います。

後半OPはリンホラOPに戻ったので、
なんだか懐かしさもありましたw

今までのOPの要素を織り交ぜつつの曲で、
もはや自分には1期~3期のOPの違いを聞き分ける自信がありませんが(笑)、

実際に聴き比べてみるとちゃんと違っていて、
むしろこの3期のOPは今まで以上にかっこよく感じました。

アニメーションもスピード感ありまくりで、超かっこいい!


【 前半ED「暁の鎮魂歌」/ Linked Horizon 】
【 後半ED「Name of Love」/ cinema staff 】

今までOPを担当してきたリンホラが一度ED担当になったのは、
曲の雰囲気も変わってよかったと思います♪

いつもの激しいOPに対して、今回のEDはおとなしいけれど、
雰囲気は抜群でした。

でもそれ以上によかったのが、後半ED。

こちらもしっとりとした曲だけど、
彼らの境遇とぴったりすぎてぐっとくる…。

いつか今の苦しみや悲しさが、
すべて報われる日が来ますように。


● まとめ
作画や演出は見事だし、
ストーリーもわかりやすかったです。

かなり大きく話が進みました。

原作も読んでいるのですが、
そちらは飽きてきていて…^^:

だけど、アニメでまたおもしろいと思えました!
2020年秋からの続編が楽しみです^^

投稿 : 2024/11/02
♥ : 26
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

リヴァイよ、今夜もありがとう

2018.10.17記


原作既読。


初見時TV版1期2期を観てません。3期放送に先立ち下記劇場版のTV放送をおさえた上で参戦しました。

・劇場版 前編〜紅蓮の弓矢〜 / 後編〜自由の翼〜
・劇場版 Season2〜覚醒の咆哮〜


そうですね。いつしか観ようTV版!(※注:その後視聴済)


そしてTV版のおさらい~wikiより~

・第1期:全25話 + OAD5話
・第2期:全12話

第3期は分割2クールのようでいったん1クールめ12話分のレビューとなります(2018年10月時点)。物語の表現上は“第38話~49話”の扱いとのこと。
放送局は天下のN○Kに移り、ほぼ全国同時放送となりました。人気作の続編として期待と不安入り混じる下馬評だったかと思います。


ぱっと見

 “内戦(仮)”


2期までに綴られたであろう巨人VS人類の構図が変わり、壁内の人間同士の争いに焦点を絞り物語が展開します。そしてこれまでの謎が次々と明かされていくことになり目が離せないです。
ニック司祭殺害に端を発し、{netabare}ウォール・マリア奪還作戦手前までと{/netabare}区切りのいいとこまでやって1クール終了です。
原作通りでもあるし、人間VS人間の萌芽は2期までに描かれていた(たぶん)ため驚きの展開というわけではなかったと思います。

冒頭述べたようにTV版未視聴なので、前期・前々期との比較はできませんが、市外戦闘の作画は凄まじかったと思います。
草原など奥行きのある背景でデカブツを相手にするよりも目まぐるしく絵が変わる市外戦は作品通じての見どころになりますね。

それと、全話通してリヴァイ兵長が出演します。録画した回を観る度に兵長の雄姿を拝めるのは眼福でした。さらにはリヴァイの生い立ち含めた過去話に踏み込むのでファン必須でしょう。


バトルもありながら政治重視の様相を呈する展開には、これまでと趣きが変わる分戸惑うかもしれませんが、原作がそうなのでほんとに好き好きということになるかと思います。
これまでOPを担当していたLinked HorizonからYOSHIKI&HYDE組にバトンタッチして、そこにN○K色を感じなくもない今日この頃ですが、結局のところOP画像のミカサの笑顔はいったいいつ拝めるのだろうと願いつつ、人間同士の抗争(正確には権力闘争)に突っ込んでいく3期前半パートとなりました。

{netabare}49話でミカサが「これが終わったらあの頃のように…」的なことをつぶやきます。ほんとそうですね。{/netabare}


2019年4月再開予定の放映も視聴予定のため、そちら含めて完走したらあらためてレビューも纏めたいと思います。いったん「観終わった」にしときます。



【閑話休題】藤井聡教授の見立て
今から7~8年前くらいだったでしょうか。氏のインタビュー映像かなんかで、氏の息子の薦めで漫画版を読んだ時の印象について言及があり、それがなかなか面白かったので紹介しておきます。
ちなみに私が原作を手に取ったのはこの藤井教授に触発されたのがきっかけ。。
※アニメ関係ないので畳みます

{netabare}曰く、この壁の中の人類ってまんま今の日本人のこと指してんじゃん、と。

『壁の中なら安全』壁は未来永劫自分たちを守ってくれると固く信じている
『壁の外は知りません』外界の動向をきちんとウォッチすることを放棄
『上記2つを破るものは制裁』現状維持しようしようと躍起になる勢力がある

こんな主旨だったかと思います。
上記3点はすなわち“欺瞞”ということで、いったん壁破られたらどうなん?を描いたのがアニメ1期ということになります。いましたね、昼から飲んだくれてる憲兵団が。そして既得権力として上記3つを堅持しようとする王政府(偽)が。そして壁破られて右往左往する人類が。

劇中では、外の世界に興味津々のアルミンと触発されたエレン。ならびに外を知らずして人類に未来無し!の調査兵団、という組み合わせでした。
外の世界を知り、その上でしっかりと準備し、外敵が来たら駆逐する、といった当たり前のことを作品を通じて訴えており、そこが琴線に触れたんじゃないか、との氏の見立てです。

だからヒットしたかどうかというのは違うと思いますがね。{/netabare}

{netabare}で、今回は内戦(仮)です。巨人には元々人類だったやつもいるよ、からの3期の展開です。
物語として、巨人VS人類から人間VS人間にシフトして戸惑う部分も多いかもしれない本作ですが、一般論として、外敵と対峙する際に内なる敵を抱えたままだとほぼ勝利を収めることは難しいのが世の常。
そんな事情があったかどうかは露ぞ知らぬところではあるものの、壁の中での争いに物語がシフトしたのはある意味当然なのかもしれません。{/netabare}



視聴時期:2018年7月~9月 地上波リアタイ

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2019.04.09追記

その後、TV版1期2期を視聴済。劇場版のみでもすんなり入れたのは事実なのですが、もう一度3期前半をおさらいしてみると、ライナーのくだりとかTV版を抑えておいたほうが良いように思えました。少しばかり後悔してます。

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2020.01.31
《配点を修正》+0.1



2018.10.17 初稿
2019.04.09 追記
2020.01.31 配点修正
2022.02.27 修正

投稿 : 2024/11/02
♥ : 64

79.3 2 内戦で漫画原作なアニメランキング2位
ゴールデンカムイ(第二期)(TVアニメ動画)

2018年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (455)
2020人が棚に入れました
北の大地・北海道に渦巻く野心!!
アイヌから奪われた金塊を巡る生存競争サバイバル、新章突入ッッ!!

アイヌの埋蔵金を求めて旅を続ける、「不死身の杉元」の異名を持つ日露戦争の英雄・杉元佐一とアイヌの少女・アシリパ。
だが、埋蔵金の在り処を示した刺青を持つ24人の脱獄囚を追う中で、新たな事実が浮かび上がる。
埋蔵金を奪い、アシリパの父を殺した人物とされる「のっぺら坊」こそが、アシリパの父だというのだ。
事の真偽を確かめるには、網走監獄に収監中の彼に会うしかない。
「脱獄王」の白石由竹やキロランケを仲間に加えた二人の旅は、小樽から札幌、夕張へとその歩みを進めていく。

一方、彼らと埋蔵金の争奪戦を繰り広げる第七師団の鶴見中尉や新選組「鬼の副長」土方歳三の勢力も、それぞれの野望を胸に次なる行動に打って出る……。

明治時代後期、北の大地に勃発した一攫千金サバイバルは、さらに苛烈さを増していく!

声優・キャラクター
小林親弘、白石晴香、伊藤健太郎、大塚芳忠、中田譲治、津田健次郎、細谷佳正、乃村健次、菅生隆之、内田雄馬

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

変態度が高まる2期

人間で剥製を作って人間の皮で謎のファッションを披露する変態の登場に。
媚薬(ラッコ?)みたいな効果によって男だけで裸で急にまぐわうシーンまで

インカラマッのこと胡散臭いと思っていたけど、なんだか好きになってきた。

今回は網走の監獄を目指して進む。繋ぎ感が強め。上述の通り、変態度合は高い。作者の性癖?


OP
レイメイ さユり & MY FIRST STORY
ED
時計台の鐘 eastern youth


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
アイヌの埋蔵金を求めて旅を続ける、「不死身の杉元」の異名を持つ日露戦争の英雄・杉元佐一とアイヌの少女・アシ(リ)パ。だが、埋蔵金の在り処を示した刺青を持つ24人の脱獄囚を追う中で、新たな事実が浮かび上がる。埋蔵金を奪い、アシ(リ)パの父を殺した人物とされる「のっぺら坊」こそが、アシ(リ)パの父だというのだ。事の真偽を確かめるには、網走監獄に収監中の彼に会うしかない。「脱獄王」の白石由竹やキロランケを仲間に加えた二人の旅は、小樽から札幌、夕張へとその歩みを進めていく。一方、彼らと埋蔵金の争奪戦を繰り広げる第七師団の鶴見中尉や新撰組「鬼の副長」土方歳三の勢力も、それぞれの野望を胸に次なる行動に打って出る……。 明治時代後期、北の大地に勃発した一攫千金サバイバルは、さらに苛烈さを増していく!

13. 江渡貝くん
杉元たちが夕張に向かっている頃、ひと足先に同地を訪れた鶴見中尉一派は、剥製工房を営む青年・江渡貝弥作に接触していた。その目的は、江渡貝が墓地から盗み出したと思われる脱獄囚の刺青人皮を入手すること。江渡貝が墓泥棒を働いた際に落とした人皮の手袋を突きつけ、巧みな話術で彼の懐に入り込んでいく鶴見中尉。そして、工房の奥にある無数の人間剥製を鶴見中尉が目の当たりにしたとき、江渡貝がその本性を露わにするッ!

14. まがいもの
試行錯誤の末、江渡貝は刺青人皮の偽物を6枚完成させた。だがそのとき、土方の一味に加わった尾形が、鶴見中尉の企みを暴くために工房を襲撃。江渡貝は刺青人皮とその偽物を持って逃げ出し、尾形を迎え撃った月島軍曹もすぐに彼の捜索に向かう。さらに杉元と白石までが姿を見せたため、尾形は二人に月島軍曹の邪魔をさせようと画策。杉元と白石、月島軍曹、尾形が各々の思惑で動く中、江渡貝と彼が持つ刺青人皮の行方は……!?

15. 昔の話をしよう
夕張に留まり、江渡貝の工房で刺青人皮の偽物を見分けるための手がかりを探す土方たち。そこに突然火炎瓶が投げ込まれ、建物内に火の手が上がる。鶴見中尉に証拠隠滅を命じられた第七師団の兵士が、工房を包囲して攻撃を仕掛けてきたのだ。これに応戦する土方と尾形だが、徐々に追い詰められ、ついに中への侵入を許してしまう。第七師団の兵士たちが攻勢をかける中、二階堂が土方に、さらに兵士のひとりが尾形に襲いかかるッ!

16. 旭川第七師団潜入大作戦!!
アシ(リ)パの目撃情報を頼りに谷垣たちが旭川を目指している頃、杉元とアシ(リ)パたちは芦別に到着。無事に永倉と合流を果たすが、白石が第七師団に連行されたことを知る。一方、ひと足先に白石の救出に向かった土方とキロランケは、アイヌが「カムイコタン(神の領域)」と呼ぶ事故の多い渓谷で奪還作戦を決行。白石を護送中の第七師団が渓谷に架かる吊り橋に差し掛かったとき、橋のたもとに立ちはだかった土方が刀を抜くッ!

17. 腹の中
第七師団の本部に潜入した杉元と犬童典獄に変装した鈴川は、淀川中佐との面会を果たす。淀川中佐の前に出世につながる手柄をちらつかせ、白石を渡すように迫る鈴川。だが、そこに鶴見中尉の命を受けた鯉登少尉が現れ、本物の犬童典獄が流暢に使いこなす薩摩弁で揺さぶりをかける。対する鈴川も見事な受け答えで天才詐欺師の面目躍如たるところを見せるが、そこに綻びが生じた瞬間、鯉登少尉が二人に向けて拳銃の引き金を引くッ!

18. 阿仁根っ子
杉元たちが大雪山を下山している頃、谷垣の一行はとある町で電報を受け取る。フチが死装束を用意していると知り、アシ(リ)パを連れ帰る役目をあらためて心に刻む谷垣。そのとき、彼の脳裏に役目を欲していた過去の自分がよぎり、鶴見中尉に身の上を語った夜の記憶が蘇る。マタギだった頃の谷垣には、賢吉という同じマタギの親友がいた。妹のフミが彼のもとに嫁ぎ、そのことを喜ぶ谷垣。だが、その幸せは唐突な終わりを迎えるーー。

19. カムイホプニレ
谷垣の一行と合流後、杉元たちは近くにあるアイヌコタン(村)に立ち寄る。谷垣からフチのことを聞かされ、その身を案じるアシ(リ)パ。彼女を気遣い、杉元は一度故郷に帰ってはどうかと提案する。だが、強い覚悟でこの旅に臨んでいるアシ(リ)パにとって、もはや引き返すという選択肢はなかった。自分の未来のために前に進もうとする彼女の決意を受け止めた杉元たちは、のっぺら坊のいる網走監獄に向けて再び出発するッ!

20. 青い眼
釧路の海岸で食料を調達していた杉元たちは、突如バッタの大群に襲われる。避難した番屋の中でしばらく過ごすことにした男性陣は、その間、ラッコ鍋を食べることに。ところが、ラッコの肉が煮えるにつれてなぜかムラムラしてきてしまい、しまいにはそこに現れたキロランケも交えて相撲で気分を発散しはじめるのだった。一方その頃、舟で沖に避難していたアシ(リ)パは、一緒になったインカラマッから衝撃の事実を明かされるッ!

21. 奇襲の音
屈斜路湖の湖畔にあるコタンを訪れた杉元たちは、村人から盲目の盗賊団が付近一帯で暴れているとの情報を得る。白石によれば、その親分は脱獄囚の都丹庵士で間違いないという。新たな刺青人皮を手に入れるべく、情報を求めて近くの温泉宿へと足を運んだ杉元たち。だが、相手の居場所を突き止めるよりも先に、夜の暗闇に乗じて盗賊団が襲撃。露天風呂に入っていた杉元たちは動けず、武器を持った敵に囲まれてしまうッ!

22. 新月の夜に
網走監獄が近づくにつれ、のっぺら坊が本当に父かもしれないことに不安を募らせるアシ(リ)パ。そんな彼女を勇気づけたのは、小樽から苦楽を共にしてきた杉元の存在だった。ついに網走へと到着した杉元たちは、白石の発案でトンネルを掘って監獄内への侵入を目指す。アイヌの漁師を装って作業を進めること数日、トンネルは土方が指定した地点まで到達。だが、杉元たちが出口から顔を出すと、そこには看守部長の門倉の姿が……。

23. 蹂躙
アシ(リ)パが連れ去られたのは、門倉から独房にいるのっぺら坊が偽物だと知らされていた土方の画策だった。その狙いは本物ののっぺら坊とアシ(リ)パを引き合わせ、金塊の在り処を聞き出すこと。舎房に乗り込んできた鶴見中尉の一派と杉元たちがにらみ合いを続ける中、土方はアシ(リ)パを連れて本物ののっぺら坊がいる場所へと急ぐ。一方、監獄内の攻防は、門倉がすべての囚人を解き放ったことでさらに激化の一途をたどるッ!

24. 呼応
杉元にアシ(リ)パのマキリを見せられたのっぺら坊は、それが娘のものだと気づく。彼は金塊の在り処を教える条件として、アシ(リ)パを連れてくることを要求する。一方、監獄内の争いは最終局面を迎え、土方が犬童典獄との決闘を制し、鶴見中尉の一派も囚人たちを制圧。そんな中、インカラマッが杉元と一緒にいるのっぺら坊を見つけ、アシ(リ)パは彼が本物の父だと確信する。だが、直後に何者かの銃弾が杉元とのっぺら坊を襲うッ!

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

さまざまな角度から表現される「純粋な生」の形

アニメーション製作:ジェノスタジオ、
監督:難波日登志、シリーズ構成:高木登、
キャラクターデザイン:大貫健一、
原作:野田サトル

あまりにも中途半端な終わり方だった1期目。
期待した2期は、いきなりグロテスクなネタからの始まり。
江戸貝弥作を観ていて頭に浮かんだのは、
アルフレッド・ヒッチコック監督の『サイコ』、
トビー・フーパー監督の『悪魔のいけにえ』、
ジョナサン・デミ監督の『羊たちの沈黙』という
ホラー・サスペンス映画だった。
この映画の共通点は、アメリカの有名殺人犯、
エド・ゲインをモデルにしていること。
江戸貝弥作の人物像は、明らかにエド・ゲインそのままと言っていい。
私としては、アンソニー・パーキンスの不気味な演技や、
チェーンソーを振り回すレザーフェイスを想起しただけに
少し拍子抜けしてしまったが、衝撃的といえる回だった。

このことに気づいて色々調べてみると、
ゴールデンカムイの登場人物の多くは、
実在の人物をモデルにしていることを今更ながら知った。
舩坂弘軍曹は分かるが、家永カノの殺人ホテルや尾形百之助、
白石由竹まで参考にしている人物がいたことには驚いた。
荒唐無稽なようで、かなり現実に即した設定になっている。

2期の見どころは、網走刑務所でのシーンになるが、
個人的に好きだったのは、谷垣源次郎と尾形百之助の過去の話だった。
谷垣は1期で東北マタギをやめて、軍隊に入ったことが明かされるが、
その理由について語られることはなかった。
それが明らかになる18話では、アイヌの終活についての話から始まる。
アシリパの祖母が死装束を作っているという。
アイヌでは若い者に送ってもらわないと死後の世界に行けないと
考えられている。だから自分の子供のいない人でも、子供を必死で育てる。
谷垣はアシㇼパの祖母に食べさせてもらった恩から、
自分も子供のひとりで、アシㇼパを無事に村へ帰すことが
役目だと思っている。
谷垣は自分の役目をずっと探していたのだった。
そのときに、過去にあったことを思い出す。

東北マタギだった谷垣にとって、狩猟は命懸けの仕事。
想定外のことが起こったときのために、
非常用携行食のカネモチを持参するのが常だった。
カネモチは米粉に水を加え、味噌か塩を混ぜて捏ね、
葉で包んでいろりの火で蒸し焼きにする。
谷垣は自分用として、クルミを混ぜたものを作っていた。
そんな作り方は邪道なのだが、谷垣のこだわりの一品だった。
{netabare} このカネモチを小道具にした、谷垣と妹の夫、賢吉に対する
憎しみと赦しの物語は見ごたえがあった。
賢吉は自分の役目のために命を懸けて行動した。
その姿を見た谷垣は、自分の生まれた役目について、
誰かのために生きることを考え続けている。

谷垣と対照的なのが尾形だ。
妾の子供だった尾形は幼少時に母親が苦しみながら
生きてきたさまを間近で見続けてきた。
夫に家に帰って来て欲しいと願い、毎日あんこう鍋を作る。
そんな母が嫌だった尾形は、銃で鳥を撃つようになる。
鳥鍋を勧めても母はあんこう鍋ばかりを作り続けるのだった。
やがて尾形は、心を失った殺人者になっていく。 {/netabare}

この物語を観ていると、どれだけ心が歪んでいても
「純粋な生」の形を見せられているような気になる。
過去がしっかり描かれ、ひとりの人間の形が
浮かび上がってくるのがいい。
明治初期の時代背景からすると、このような生き方は、
それほど特別なものではなかったのかもしれないとまで思えてしまう。
アシㇼパの父が娘に対して望んでいたことも明らかになり、
さまざまな人々の想いが交錯していく。

アイヌの金塊の行方。
登場人物たちは何を悟り、何を選び取っていくのか。
原作ファンからは評判が芳しくないようだが、
アニメだけを観てきた者からすると、
1期と2期でとても上手くまとめられていたと思う。
網走刑務所まで描いてくれたことで、物語は一区切りついた。
今後は原作を追っていくつもりだ。
(2019年1月8日初投稿)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 76

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ヤバい奴らの金塊争奪サバイバル、新章突入ッ!!!

言わずもがなですが、本作品は「ゴールデンカムイ」の2期目に相当する作品です。
物語の内容に繋がりがあるので、前期未視聴の方はそちらからの視聴をお勧めします。

1期では日露戦争の終結…そしてアイヌが秘蔵している金塊が北海道のどこかに眠っており、その在り処は網走監獄の脱獄囚らの身体に刻まれた入れ墨だけが知っていることを突き止めます。
日露戦争の生き残りである「不死身の杉本」はアイヌの少女であるアシㇼパと行動を共にすることになるのですが、北海道制服や蝦夷共和国を再興するなど、あっと驚くような謀略が水面下で蠢いており、金塊を巡る様々な衝突が北海道で引き起こされるようになりました。

確かに、金塊を巡る物語がこの作品の本分なので本筋の展開は確かに面白いのですが、この作品の最大の魅力は、アイヌの様々な風習に触れられる点とアシㇼパの変顔だと個人的には思っています。
普段のアシㇼパは、凜とした芯の強さを感じる女の子…
でもアシㇼパの変顔は、この作品の初見の人なら絶対に気が付かないほど、ものの見事に変化するんです。
最初は見て笑うだけでしたが、最近はアシㇼパならではの才能なんじゃないかと思うようになりました。

そして2期…
物語の舞台は、網走監獄並びにそこまでの道中…
登場人物は、これまで以上に濃厚なキャラが登場します。
1期でも十分濃厚だと思っていましたが、2期で登場するキャラは…何というか「キモイ感じ」のキャラが多いんです。
金塊を巡る命懸けのサバイバルに首を突っ込んでいるんです。
頭のネジが1本や2本外れていてもおかしくないのかもしれません。
むしろ、そうじゃないと自我が保てないのかも…とも思いました。

アイヌの金塊を巡り渦中の人となっているのは、網走監獄に収監されている通称「のっぺら坊」
そして大多数の人が網走監獄に向かう理由は、のっぺら坊に金塊の在り処を聞き出すため…
そう、大多数の人の目的であり、向かった全ての人の理由ではないんです。

しかし、これまで金塊の在り処を秘匿し続けてきたのっぺら坊です…
そう簡単に金塊の在り処を口にする筈はありません。
それならば…のっぺら坊が口にしたくなる状況を作ってしまえばいい…
2重3重の策略が張り巡らされています。
そういえば、1期で女占い師・インカㇻマッが「アシㇼパの連れ3人のうちの1人が裏切る」と予言していましたっけ…。

そして網走刑務所に全ての役者が集結し…これまで温められてきた各々の作戦が激突します。
戦いは激しさを増し、築かれていくのは死体の山…
自分の…もしかしたら一人よがりかもしれない目的のために、そこまで人を殺せるの…?
と思えるほど壮絶な雰囲気が網走刑務所全体を覆い尽くすことになるんです。

それぞれの思いはどれだけ成し遂げられたのでしょうか。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

しかし、アシㇼパ役の白石晴香さん、インカㇻマッ役の能登さん…流石としか言いようがありません。
紅一点的な存在である事も相まって、存在感が半端ありませんね。
ただでさえ濃厚な男性キャラが多い中、決して存在が薄まることはありませんでしたから…

オープニングテーマは、さユり & MY FIRSTさんの「レイメイ」
エンディングテーマは、eastern youthさんの「時計台の鐘」
さユりさん、今回もやってくれました…
誰かと組んで歌うのを見るのは初めてだと思いますが、今回の「レイメイ」も全身に鳥肌が立つほど格好良い曲です。

1クール全12話の物語でした。
金塊の謎は未だ闇の中です。
きっと3期の放送してくれることでしょう。
ここで終わったら尻切れトンボですから…
原作ストックが無くなったのなら溜まるまで待ちますので、このクオリティのまま最後まで突っ走って欲しいと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 24

74.8 3 内戦で漫画原作なアニメランキング3位
マスターキートン(TVアニメ動画)

1998年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (256)
1538人が棚に入れました
元SASのキートンがさまざまな難事件を鮮やかに解決していく推理サスペンス。原作=勝鹿北星、作画=浦沢直樹の人気同名マンガが原作。かつてイギリス陸軍特殊空挺部隊SASに所属していた平賀・キートン・太一は、現在は保険の調査員をしている。本当は考古学者をめざしており、考古学だけで食べていきたいのだが望みはかないそうにない。そんな太一は、保険の調査の仕事のほか、SASの要請や考古学の研究などで世界各地を飛び回り、数々のやっかいな事件に巻き込まれる。それらを太一はSASや考古学の研究で培った技術や知識、持ち前の機転で解決していく…。

声優・キャラクター
井上倫宏、桑島法子、永井一郎、菅原正志、辻親八、キートン山田
ネタバレ

とまときんぎょ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

一話完結の仕事人

普段は柔和で実は…「能ある鷹は爪を隠す」キートンさん。かっこよすぎです。
離婚して未練タラタラなくらいがバランス取れてていいんでしょうか。

携帯電話などなくポケベルもあったかどうかの時代。
今の時代だと「この日本人すご過ぎww」などとすぐSNSに乗っかっちゃって顔が割れてしまうんでしょうか。

台詞で必要なことは語ってくれるので、作業しながらの「ながら観」にも最適でした。
(かわいい女の子も出てこないので画面に目が釘付けにはならないしね)
かと言って、大切な締めの部分では言葉で多くを補い過ぎず…という大人な引きの良さもありました。
味わい深くもアッサリとした一話完結式なので、そこをもっと掘り下げて長く観たいのに物足りない‼、という感覚を残す話もありました。



〜好きだった話〜

{netabare}4話・爺さん回
この老いぼれ、実は…のパターンで、婆さん回もあった。

5話・屋根の下の巴里
「人はどんな時でも学べる」というストレートな勤勉メッセージ。

7話・チャーリー
幼馴染との邂逅。最後、どんな風に受け止めていたのか。
嫉妬とか尊敬とか、…?多くを語らないで、ママへの一言が印象に残る。

12話・御婦人たちの事件
イギリスが舞台だから、ミス・マープルみたいなおばあちゃんも登場。

13話・穏やかな死
テロリストの使用する爆弾を造り続けてきた男の、ある日の気づきとは。手に汗握るスリリングさと、チョコレートの甘さと。もっと早く気づけやと言いたい。

15話・長く暑い日
キートン vs 孟犬。もうちょっと続きどうなったのか(とくに、犬のその後!)観たかった。
若き日の覇気あるキートンお父さんが、かっこよい。

18話・フェイカーの誤算
「一流の仕事人は…」が口癖の詐欺師。なんかおかしい。キートンが対決するのと思いきや、「一流」のこだわりにより二転三転。
ちょっとうまいこと行き過ぎだけど、正直者がバカを見ない話でホッとする。

19話・空へ…
めんどくさい鬱屈少年の話。
「こんなにいい天気なのに学校なんてもったいない」と言えちゃう娘はいいなあ。
平賀家が息子でなく娘なのが、何となく家風が分かるような気がする。

20話・臆病者の島
爺さんかっこいい!回。動きのキレがね。

21話・アザミの紋章
歴史上の逸話から探る人物像。見てきたかのような、個人的記憶のような演出の切り替わり、とても見応えがあった。アニメ独自の演出なのか、原作からなのか知りたいところ。巻物が動く演出はアニメだからな、面白さかな。

22話・シャトー・ラジョンシュ1944
「だんなさまのお考えになる事は、だんなさまが生まれる前から、わかっております。」
忠誠心ですよ…おとっつぁん(誰)!!(T_T)
戦火の中で採りごろの実を採りに行くとか、ほんのちょっとだけ、その気持ち分かる…。たぶん私の中のソレはみみっちいけど

25話・砂漠のカーリマン
キートン賢くかっこよすぎ。
砂漠の過酷なサバイバル。
砂漠に行く前に原作もぜひ熟読しておきたいです。でも砂漠にとても行きたくないです。

26話・家族
かつての金メダリストが夢から目覚める…冒頭のシーンが絶妙に切ない。
26話、27話、28話は面白いけどちょっと似てるかな。ヨーロッパの内紛や分断を下敷きにしていて深みが感じられるぶん、え、深刻な内容なのにもう終わり?ってなる。

33話・背中の裏町
女の求める父の姿。あえて真実を突きつけないキートンはんに惚れてまうで…

34話・瑪瑙色の時間
大人の情けなさやふがいなさを見ている子供達。たぶん私も見られてる。
「俺はもう一度立ち上がろうと思う。自分を憐れんでいる時間なんか、ないんだ。」うむ。

…しかし「瑪瑙」のグリーンて結構、人工染色されてるような…

35話・五月の恋
婆さんかっこいい回。
ここだけミセス向け恋愛漫画みたいなムードだけども。キートンの娘さんステロタイプなお節介やきだけども。

38・39話・狩人の季節
キートンと上官の邂逅。器用貧乏なんだねキートンさん。
あー、見終わっちゃった…という寂しさが募ります。
もっと長く見せて欲しいと度々感じていたものが最後に2話連続になると?時の流れは余裕をもって感じますが、そんなに内容のボリュームアップはしないものですね。むしろこれまでの一話完結の簡潔な強さを感じました。まことに勝手な話ですが。 {/netabare}


原作は、原案やら原作者やらの表記について一悶着あったらしく、長らく再版されなかったらしいですね。
とても面白かったので読んでみたいです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 38
ネタバレ

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

浦沢作品では一番好き

<2019/5/26 初投稿>
原作既読。

主人公の平賀・キートン・太一さんは名前からわかる通りハーフで母が英国人、父が日本人。

さらに多様な経歴、極めて高い経験値とスペックの持ち主です。

ところが容姿はどーみてもコテコテの和風で、お人好しでうだつの上がらないおにいさん。
今は冴えない考古学の大学講師という謎キャラです 笑。


キートンの経歴をもう少し書くと・・・

ネタバレというほどでもないけど一応閉じておきます。
{netabare}
オックスフォード大を考古学専攻で卒業(中退だったかな?)

在学中に大学で出会った英国人女性と結婚、一女をもうけるも離婚。

で離婚のショックでなぜか英国陸軍・特殊空挺部隊(SAS)に入隊、そこで伝説級の活躍。
実績と特にサバイバル技術が高く評価されSASの教官まで務めます。
(SASは米国のデルタフォースみたいなもんらしいです。)

でもなんか違うと思ってSASを辞職(除隊)。{/netabare}

そして今は日本に住み普段は大学講師をやりながら、たまに娘に世話を焼かれたりしながら、考古学の発掘調査に勤しむ毎日。

しかし大学講師だけでは食えないキートンはイギリスの保険会社ロイズ(※)のオプ(調査員)もやってます。

なので日本と欧州を行ったり来たり。
飛行機代だけで足が出そう 笑

そんなキートンが保険事故の調査や発掘調査などでさまざまな事件や出来事に遭遇、
時に事件を解決し、
時に出会った人々と暖かく柔らかい交流があったり、
せつないやるせない思いをしたり、
とかそんな話。

(※)正確にはロイズは保険会社や保険引受人の組合組織で、特定の保険会社ではありません。ちなみにロイズは世界最古の保険を取り扱った組織とも言われ、保険会社だけではなく個人、つまりお金持ちが保険の引受人として取引できるようになってます。日本の保険の常識とはかなり異なった組織・制度です。
キートンは個人の保険引受人からの依頼で調査を行うこともあり、物語に厚みを加えています。


原作は浦沢直樹さんの漫画なのですが、浦沢作品の中では一番好きです。

他にはMOSTERやPLUTO、パイナップルARMYも好きですが、本作はパイナップルARMYにやや近い印象。


浦沢作品の特徴は登場人物の表情。
無言のシーンでもどんな感情なのかが一目でわかる画力は流石です。
キャラクターの書き分けも完璧。
日本人と欧米人がパッとみで区別つくキャラクターデザインって案外少ないと思うんですよね。

前述の通り欧州が舞台となることも多いのですが、その背景や会話、出てくる料理なども本当に自分がその国にいるような気分になれてしまいます。

基本1話完結のお話も、変な外連味はなく地味ですが、1話1話心に染み入る深みと温かみがあります。

いずれも高品質な短編の良作・佳作を何十本も積み重ねたような。


そんな原作をアニメでは丁寧に忠実に再現しています。

この「マスターキートン」
私は超有名作だと思ってたのですが、時間というのは情け容赦ないですね。

隠れた、というより時代に埋もれた名作だと思います。

今時のアニメとはかなり趣が異なりますが、「最近のアニメに少し食傷気味」「ストーリーのしっかりした物語を楽しみたい」という方にオススメしたい作品です。。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 39

四畳半愛好家 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

人間はなぜ学ぶのか?

浦沢直樹原作の名作漫画のアニメ化作品。
基本的に1話完結×全39話。
推理、救出、人探し…等々、各話ごとに大きく話が変わるため飽きさせない構成。

主人公である平賀・キートン・太一は、イギリス人と日本人のハーフで、オックスフォード大学に進学したエリート。

考古学者でありながら優秀な保険調査員。(ただし、就職口の大学を目下探し中)

複数の言語を使いこなすマルチリンガルであり、特殊部隊「SAS」でも数々の戦果を上げた異色の経歴を持つ。当然戦闘力もかなりのもの。戦闘やサバイバルの際には、軍の知識だけでなく、考古学の知識を活かすことで、危機的状況を脱する…。
 
そんな超人にもかかわらず、性格に嫌味な部分がなく、世界中の多様な考えを持つ人物たちとも直ぐに打ち解けられる魅力的な人物。(抜けてる部分もある点が彼の魅力の一つになっている)

顔も声も髪型も地味だけど…正直格好いい!!


主人公が超人なので「俺TSUEE!」系の作品の一つではあるかもしれない…。
しかし、物語が現実的なので、そういう「臭さ」はない。
同時に「爽快感」も薄い。

俺TSUEE!系作品が好きな人が観ても楽しめるかは謎。

とりあえず「地味な作品」「大人向け作品」も楽しめる人にオススメ。
1話1話が濃いため、一気見はキツい。
1話1話丁寧に観ていきたい作品。(ビールとか飲みながら)

●個人的に特別好きな回3つ

①5話:「屋根の下の巴里」

 人間はなぜ学ぶのか? そんな問いにキートンなりの回答をしてくれます。
 教授がまた最高の人物でね…この回が個人的にはベストです!!
 「学ぶこと」の楽しさを知っている人に是非観てもらいたい!
 勉強は辛い面もあるけど、それ以上に楽しいものだと思うんです…!
 (研究室生活に戻りたいとは思わないけど…)

②25話:「砂漠のカーリマン」
 あにこれのサムネ画像はこの回ですね!
 とにかく格好いい回!痺れる回!
 この作品って面白い知識が詰まっていて、そこも魅力的ですね!
 しかし砂漠でスーツは本当に正しいのかな…?

③35話:「五月の恋」
 この回はキートンの娘、百合子が主人公な回です。
 百合子の優しさと温かさに涙。
 父譲りの優しさに加え、若さゆえの真っすぐさやパワーが彼女の大きな魅力です。
 
以上の3つが特に好きだったのですが、きっとファンごとに違う意見を持っちゃう作品なので、あまり参考にならないかな…。

それぐらいレベルの高い話が揃っている名作です!
(ただ「学ぶ」のが好きな方は、5話だけでも観てみてほしいな…なんて。)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 15

68.2 4 内戦で漫画原作なアニメランキング4位
魔法少女特殊戦あすか(TVアニメ動画)

2019年冬アニメ
★★★★☆ 3.3 (229)
932人が棚に入れました
21世紀。人類は遂に他の知的生命体との接触を果たす。しかし、その出会いは幸福なものではなかった。地冥界より侵攻する化け物は、現用兵器の多くを無効化し、人類の運命は風前の灯火と思われた。だが同じく地冥界に苦しめられていた、精霊環境条約機構の助けにより、人類は起死回生の一手を手にする。魔法少女である。強大な魔力を手にした少女たちは、心身に多くの傷を負いながらも、人類を勝利に導き、ついに大戦を終結させる。しかし、それさえも、新たな戦いの始まりに過ぎなかった。国際犯罪、無差別テロ、内戦、紛争……。魔法少女の戦いは終わらない――

声優・キャラクター
洲崎綾、関根明良、松井恵理子、竹達彩奈、高橋李依、橋本ちなみ、M・A・O、日笠陽子、乃村健次、菊池こころ
ネタバレ

雀犬 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

マジカル☆バイオレンスアニメ

 3年前。地冥界(ディスアス)の化け物たちの侵略により人類の運命は風前の灯火と思われた。だが地冥界と敵対関係にあった精霊たちは人類に手助けする。精霊の力によって魔法少女が誕生し、強大な魔力を手にした少女たちは心身に多くの傷を負いながら冥獣王を倒し、大戦を終結させる。しかしそれさえも、新たな戦いの始まりに過ぎなかった。国際犯罪、無差別テロ、内戦、紛争……。魔法少女の戦いは終わらない――

 「魔法少女特殊戦あすか」はかつて世界を救った伝説の魔法少女の生き残り、「マジカルファイブ」の少女が各国の特殊部隊メンバーとして戦場に舞い戻り、グローバルテロ組織「バベル旅団」と激突するというお話です。ベトナム戦争後、「ランボー」が代表されるように帰還兵を主人公にした映画がアメリカで大量に制作されたそうですが、邪道魔法少女ものの枠組みで同じような退役軍人が主人公の作品を作ったような感じです。

 最初に断っておくと、本作は容赦ない暴力表現が特徴です。毎回のように血しぶきが飛ぶシーンがあり、部位欠損も満載。過激な拷問シーンまで搭載。原作者のどうしようもないリョナ好きが遺憾なく反映されていて、ゴア度は高し。この手のアニメのお約束通り、不条理な設定で少女たちが可哀想な目に合います。原作コミックの帯で虚淵先生から「魔法少女にこんな残酷な運命を背負わせるなんてひどいよ! あんまりだよ!」というお褒めの言葉を頂いたくらいですからね。苦手な人はまず耐えられないと思うので、手を出さない方が良いでしょう。

 さて、タイトルに「魔法少女」と冠するアニメなのですが「邪道魔法少女もの」というよりも「戦闘美少女もの」というカテゴリーに入れる方がしっくりくる作品ですね。魔法は身体能力を高めるエネルギーであり、魔法少女たちはマジカル・カランビット(※ただの暗器にしか見えない)などの魔法武器を使った物理攻撃で敵と戦います。また魔力の消耗を抑えるため、彼女たちは銃の扱いや軍隊格闘術に習熟しており通常戦闘の能力も極めて高い。それゆえにテロリストとの戦闘の場面は激しいものになる。肉弾戦になることすらあります。魔法少女がトレーニングルームで汗を流す場面はなかなかシュール。視聴していても魔法少女ものを観ている感覚はあまりなくて、力と力のぶつかり合いが描かれる格闘漫画に近い作風になっています。

 荒唐無稽な設定のB級娯楽アニメらしく、エンタメ要素はやたら充実していて僕は楽しく観ることができました。特にこのアニメのマジカル〇〇ネタは面白い。美少女×ミリタリーは深夜アニメで人気の組み合わせですが、そもそもの組み合わせが歪であるためどうしてもシチュエーション的に無理のある場面が出てきます。「魔法少女特殊戦あすか」の上手い所は、ミスマッチな感じをあえて強調し、ネタとして笑いを取っている所ですね。魔法少女たちの武器にしろ必殺技にしろアイテムにしろ、設定上は魔力で強化されているということですがどう見たって魔法少女らしくない。それを「マジカル自白剤!」だの「マジカルスパンキング!」だの何でもマジカルをつけるバカバカしい演出で「それただの自白剤じゃん!スパンキングじゃん!こんなの絶対おかしいよ!」と観ている方の突っ込みを誘ってくる。これはなかなか楽しい。

 「マジカルファイブ」のリーダー、大鳥居あすかは良い主人公でした。あすかは過去の戦いで仲間(もともとはマジカルイレブンで6人が戦死した)と肉親を失い、PTSDを患っていて取り乱すこともあるのだけど、メンタルが弱いという魔法少女としての欠点であると同時に、人との繋がりを大切にする優しさがあるからこそ仲間たちから慕われ信頼もされている、という長所の両面からきちんと描けていました。それ程作画が良いアニメではないのですが、たまにマジカル作画カロリーロールアップ!が起こり要所要所であすかが凄くいい表情をしていたと思う。普段はクールでやや表情が硬いキャラなので、顔つきが変わる場面は印象に残りました。他の3人の魔法少女(アニメ化された範囲でペイペイはほとんど出番がありませんでしたが)もエロ格好よくてナイス。

 そして魔法少女といえば使い魔がつきもの。本作はサッチュウという黒いネズミ型の妖精が登場します。こいつがまたナイスなキャラなんですよね。魔法少女のサポート専用に生み出された妖精なだけあって極めて有能。基本は魔法少女の戦闘補助が役割なのだけど、小型の冥獣なら、どこから拾ってきたのかよく分からない武器を使い、自分でやっつけてドヤ顔をするくらい殺る気まんまん。サッチュウは殺チュウだったのだ!突然始まる「魔法少女まめちしき」コーナーも楽しかったし、ブサ可愛い見た目もお気に入り。笑いが取れるキャラはやはり魅力的ですよね。

 脚本に関しても、僕は悪いとは思わない。あすかが復帰するまでの流れは丁寧だったし、その心境を第9話で{netabare}「人は誰もが、自分だけの仕事を背負って生まれてくる。私は運よく…あるいは不運にも、それと巡り合ってここにいるんだ。他のみんなもな」{/netabare}とミアに代弁させたのはうまい。他にも例をあげると、{netabare}第5話であすかは敵の魔法少女アビゲイルに「指を落とされたくらいですごい顔するんだな」と煽り文句を放つのですが、後の第11話で片腕を失ってからも痛みに耐えながら戦う場面で有言実行してみせたり、同11話で「君は少女と思えないほど悲しい目をするんだな」という台詞と「あなた…本当に悲しい顔をするのね」という台詞のリフレインであすかとちさと、守るべきものがある者と無い者の差を表現するなど{/netabare}台詞を効果的に使って魔法少女の格好良さを引き出せていたと思います。

 あと地味なことだけど本作はモブの描き方が良い。軍人は魔法少女たちの絶大な力を認め畏敬の念を抱きながらも、年端もいかない少女を最前線に立たせることへ罪悪感を感じ、魔法少女に頼り切りになるまいと魔法戦への対処能力を上げようと努力をしている。そういった描写をすることで無茶苦茶な設定のフィクションにある程度のリアリティを与え、安っぽくなりすぎないように工夫していた点は評価できます。

 俗っぽいエログロバイオレンスアニメで正直言うと欠点も多いのですが、原作を最新刊まで読むくらいにはハマってしまいました。ただ暴力的な表現の数々はどうしても人を選んでしまう。ポリコレにやかましい最近の風潮に辟易している方も多いだろうけど、公安や自衛隊が捕虜に拷問を加えるなど、さすがに擁護できない場面もあって残念ながら他人にはお勧めできないかな。好きな人だけでこっそり楽しめばいい作品でしょうね。

・・・間違ってもコレを自衛官募集ポスターに使ってはいけませんよ!マジカル炎上なんてネタはもういいですから!

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

魔法少女の戦いは終わらない…

この作品の原作漫画は未読です。
この作品の視聴を決めたのは、声優さんもさることながら監督が山本秀世さんだったから…
これまで様々な作品を手掛けてこられた監督ですが、私が一番印象に残っていて今でも大好きな「ストライク・ザ・ブラッド」の監督だったからです。

そして視聴したのは大当たり…良い意味でストブラ臭がプンプンするではありませんか…
きっとこれから山本監督の名前を見たら無条件で食い付いてしまいそうですけれど…^^;


伝説。神話。魔法…。科学の発展とともに忘れられた、もう一つの世界と、人類はついに邂逅を果たす。
だがその再開は幸福なものではなかった。
地冥界より侵攻する化け物は、現用兵器の多くを無効化し、人類の運命は風前の灯火と思われた。
だが同じく地冥界に苦しめられていた、精霊環境条約機構の助けにより、人類は起死回生の一手を手にする。
魔法少女である。
強大な魔力を手にした少女たちは、心身に多くの傷を負いながらも、人類を勝利に導き、ついに大戦を終結させる。
しかし、それさえも、新たな戦いの始まりに過ぎなかった。国際犯罪、無差別テロ、内戦、紛争…
魔法少女の戦いは終わらない…


公式HPのintroductionを引用させて頂きました。
この作品の設定が好きです。
普通なら大戦で奮闘する少女を取り上げるのが常套だと思うんですけど、この作品は大戦の終わりが物語の始まりなんです。
恋愛作品で例えると、お互いが好き同士になり付き合い始めが物語のゴールが常套なら、付き合い始めてからがこの作品と同じ立ち位置になります。
一段落付いたから物語はそれでお終い…あとは平和な世の中に、なんてならないのが世の常…

この作品で活躍する魔法少女はマジカル・ファイブと呼ばれる5人の魔法少女たち…
けれど、本当は魔法少女って大戦前はもっと大勢いたんです。
大戦でボロボロになって5人に未来を託した魔法少女たちの上に、物語の世界が成り立っていると言っても過言ではありません。

作品でも触れられていましたが、かつての大戦は相当酷かったようなので…
だから、彼女たちに託されたこの世界を汚す奴は絶対に許せない…
この様に思考が巡るのも理解できますし、正義の味方の考えそうなことだと思います。

この物語の主人公は、大鳥居 あすか…大戦終結時のマジカル・ファイブのリーダーでしたが、物語が始まった時、彼女は魔法少女を引退していました。

彼女は「ラプチャー☆あすか」という近接戦闘においては他の追随を許さない程極めて高い戦闘能力の持ち主だったんです。
でも、それが魔法少女で有り続けなければいけない理由にはなりません。
魔法少女である前に一人の高校生の女の子なんですから…

どんなに戦闘に強くても心まで強い訳じゃないから…
きっと心だって普通の女の子よりは相当強いはず…
じゃないとかの大戦を生き延びることなんて出来なかったから…
でも、彼女に降りかかった厄災は、心をポッキリ折るには十分過ぎました。
もし自分が魔法少女じゃなかったら、きっと厄災なんて無関係だった…
自分が魔法少女に選ばれたから…

でも自分でいくら魔法少女を引退したとしても、彼女の潜在能力が無くなった訳ではありません。
ですから、彼女を煙たいと思う人間は少なからず存在するんです。
そういう輩が考えそうなこと…
彼女をどこまでも追い詰め、彼女の周りから切り崩していく事…

自分が魔法少女だから…
友達を巻き込みたくないから…
こうしてあすかは再び魔法少女として立ち上がり…物語が動いていきます。

まず、山本監督の仕事が凄いです…
強くて格好良い女の子の描き方を熟知されているのでしょう…
魔法少女の戦いは圧巻の一言でした。
作画も展開に合わせてしっかり付いてくるのでこちらも文句なしです。

キャラデザには若干のクセはありますが直ぐに慣れます。
ストブラと違い、どの魔法少女も未だ幼さが抜けきっていません。
最初はそこにクセを感じましたが、完走して振り返ってみると年端のいかない少女たちが世界を守るためにボロボロになりながらも戦っている感がとても出ていたと思います。
そう考えると、このキャラデザにも納得です。

ここで少し魔法少女を紹介しておきます。
まず、魔法少女には2通りの存在が確認されています。

精霊条約機構の正当な力を手にしたマジカル・ファイブの様な魔法少女と、非合法で魔法少女になった少女です。
お互い相反する存在ですが、どちらも悲しい運命を背負っていることには変わりません。

どうして魔力を手に入れられるのが少女ばかりなんだろう…と考えたこともありました。
もっと屈強な男でもいいじゃん…と考えたこともありますが、そうしたら魔法少女物語が軒並み「魔法少女 俺」物語になってしまう事を考えると、商業的に成功しないのが理由なんじゃないか…と思う様になりました。
個人的にも屈強な男バージョンは敬遠したいかも…^^;

魔法少女を翻弄する戦いは熾烈を極めていました。
個々の戦闘能力は高いものの、数で攻められたらジリ貧ですから…
それでも彼女たちの前に立ちはだかるのは、暴力としか思えない程の圧倒的な戦力差なんですけどね…
そんな状況の中、人類の未来のために彼女たちがどの様に立ち振る舞うのか…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、nonocさんの「KODO」
エンディングテーマは、GARNiDELiAさんの「REBEL FLAG」
どちらの曲も痺れるほど格好良かったと思います。
勿論、どちらも即買いして今も通勤中に聞いています。

1クール全12話の物語でした。
てっきり2クールの作品だとばかり思っていました。
途中から絶対物語が集結しない確信がありましたから…
でも、最終回の纏め方は続編を意識させる構成だったと思います。
新たな布石もいくつか打たれましたし、何より回収されていない伏線が残っていますから…

続編はストブラの様にOVAではなく、テレビ放送を希望したいところですが、この作品の持つ残酷さや猟奇的な一面を表現しようとすると、OVAも止む無しなのかもしれません。
だからこの作品においてはどちらでも構わないので、続編が制作されることだけを願っています。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 20
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

このままでは、魔法少女は、子供がなりたくない職業1位になるぞ(苦笑)

[文量→小盛り・内容→余談が本論系]

【総括】
グロ、鬱ありの、新しい時代の魔法少女モノの定番。

全体としては悪くなく、平均すれば☆3くらいには楽しめた感じもするんだけど、、、どうにも私とは相容れないモノがあるというか。。。胸くそ悪い、いくつかのシーンで大きく評価を下げさせて頂きました。

ただ、クオリティ的にはそんなに悪くはないので、こういう作風が好きな方だったら、まずまず楽しめるアニメかと。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
9話や10話(沖縄防衛戦)のように、きちんとバトルしている時は、標準以上に楽しめた。

「魔法少女の辛さや、背負った業」を表現するために、グロが必要というのも分からなくはないので、最低評価はしません。が、やはり「焼けたトングに皮膚がはりつく」とか「脳に直接注射して感覚を強め、お胸をモミモミ」とか、贔屓目に見てもやり過ぎな描写が多く、手放しには誉められない。

う~む、評価が難しい。
{/netabare}

【余談~私にとっての味噌ラーメンと魔法少女~】
{netabare}
これは、極々個人的な話なのですが、私にとっての味噌ラーメンって、「白味噌 卵麺 野菜たっぷり」の甘いラーメンなんすよ。北東北は、それがスタンダートだと思います(少なくともウチの地域はそうでした)。

例えば仙台に行って、初めて「辛味噌ラーメン」なるものを食べた時、「これも味噌ラーメンなのか!?」という衝撃を受けました。でも、メチャクチャ美味しくて、今でも時々食べたくなる味です。

とはいえ、やはり(私にとっては)味噌ラーメンといえば、白味噌であり、野菜の甘味が感じられるやさしいものであり、他は、亜流に過ぎません。もし、店のメニューに「辛味噌」や「赤味噌」と表記がなく、ただ「味噌ラーメン」と書いてあるのに、辛い味噌ラーメンが出てきたら、ちょっとガッカリします(まあでも、美味しく完食しますがw)。

でも、東京に行って分かったのは、「白味噌 卵麺 野菜たっぷり」の甘い味噌ラーメンって、むしろ少数派なんですよね。なんか、寂しかったです。

魔法少女モノもそうです。

私にとっての魔法少女モノとは、「魔法使いサリー」を出発点にし、「美少女戦士セーラームーン」や「魔法騎士レイアース」を経由し、「カードキャプターさくら」くらいまでを指します。さくら なんかは少し現代に近づいていますが、基本的には、「勧善懲悪」で「ヒーロー的な」、優しく強い存在でした。

それが、初めて「魔法少女まどか☆マギカ」を観たとき、「これも魔法少女なのか!?」という衝撃を受けました。でもメチャクチャ面白くて、今でも記憶に残っている作品です。

ただ、それがスタンダートかと言われれば、やっぱりなんか違う気はする。

本作なんかも、ガッツリ激辛の、蒙古タンメン系味噌ラーメン的な魔法少女モノです。正直、やや食傷気味です。

本作や、マギカ以降の魔法少女モノもあって良いんですが、やはりベースは、人々を幸せにし、自らも幸せなる、魔法少女モノを観たい。そんな気持ちを込めたのが、このレビュータイトルです。

セーラームーンに憧れる少女はいても、あすか に憧れる少女はいないんじゃないかと思うわけですよ(まあ、そっち方面はプリキュアがカバーしてるから大丈夫という説もありますが)。

ただ、勿論出身地が違えばベースになる味噌ラーメンも違うわけで、本作のような魔法少女モノこそ本流で、他は亜流だという方もいて当然だと思います。

あくまで、「私は」という話です。(って書いてたら、深夜にラーメン食いたくなった)w
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
大戦後の魔法少女。これ、グロに流れていくなら、ノゾミやらサヤコやら、死んじゃうかもな~、惨たらしく。いや、出血多量で死ぬだろう。ストーリーを売りにするなら観られるし、グロを売りにするなら、途中離脱かな。

2話目 ☆3
ノゾミの父、拷問官か。女キャラ全員、半端ない巨乳だな。ナース、正論だな。

3話目 ☆3
ナースも、病んでるの、か。わりと平和な日常系見せたか。作風的に、次は更なるグロ、かな。。。

4話目 ☆1
焼肉トングに、皮膚の張り付き。BPO、大丈夫か?

5話目 ☆2
魔術斧は回収して使おうよ、特殊部隊の良い武器になるよ。記憶消去で解決ね。まあ、1週間くらいなら、良しとしないと。

6話目 ☆2
まあ、死んだと思われた魔術少女の誰かだろうけど。あんな都合よく、ピンポイントで落ちるか?

7話目 ☆2
とりあえず、腕を切り落としがち。

8話目 ☆3
マジでクソだな、あの親父。宜野湾、、、内村さま~ずのイメージ(笑) ゴーナース、汚れ仕事担当なのか。マジカルスパンキング、は、ギャグなのか? 無駄なサービスシーンに、ドン引き。スゲェ、魔法少女試験だな。

9話目 ☆4
タマラ、お前も変なのか(笑) なんかちゃんと組織戦をしてるな、相手も味方も。

10話目 ☆4
まあ、足が折れてても走るよな、普通は。ミアは、ハロウィン3体くらいでやられるの? これは、タビラ将軍が弱いのか、敵が強いのか。

11話目 ☆3
どした?? ああ、やっぱり斧は回収してたのね。

12話目 ☆2
拷問シーンはやはり胸くそ。ただ、後半の説教は、良い話、、、なのかな? よくワカラン。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 30

63.9 5 内戦で漫画原作なアニメランキング5位
かつて神だった獣たちへ(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 3.1 (236)
839人が棚に入れました
パトリア大陸に生まれた民主主義国家【パトリア】。経済的不一致から【北部パトリアユニオン】と【南部パトリア連合】に分裂したこの国では、長きに渡る内戦が続いていた。劣勢に追い込まれた北部は、南部打倒のため、遂に禁忌の技術を用いてしまう。人間を異形の兵士へと造りかえるその術は、人の姿と引き換えに、神にも喩えられる力を得るというもの。その力により長き戦乱は、和平へと導かれる事となった。【擬神兵】、それは【神】と称えられた救国の英雄。時は経ち、戦争が過去へと移り変わる今。人の姿と引き換えに【擬神兵】となった者たちは、その過ぎたる力故、人々からただ【獣】と称ばれ、恐れ蔑まれる存在へと変わっていた。元擬神兵部隊の隊長・【ハンク】は、【獣】に身を堕としたかつての戦友でもある【擬神兵】を殺す者【獣狩り】として旅を続けていた。擬神兵だった父の仇を探す少女【シャール】はハンクと出会い、父の死の意味を知る為、共に旅することを決意する。やがて知る、戦い続けなければならない本当の理由。そしてハンクが探す【獣を解き放った男】の存在。仲間殺しの罪を一身に背負い続けていく【ハンク】の旅路の行き着く先とは?

声優・キャラクター
小西克幸、加隈亜衣、中村悠一、石川界人、日笠陽子、能登麻美子、市ノ瀬加那、坂本真綾
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

観終わった

1話感想{netabare}
「今期のフェアリーゴン枠?」と思ったらこっちは原作があって初出はフェアリーゴーンよりも前なんだそうな。
じゃあこっちが元ネタ?…といっても何処かで見た感じがする作品ではあるけど。
フェアリーゴンは第一印象を「あすかっぽい」と感じたのだけど、こっちはあすかっぽさは感じない。
変わりに感じたのは…“ガングレイヴ”?
あれの1クール目を1話に詰め込んだ印象、今後ガングレの2クール目みたいな展開になる?

ってか評判悪いのかな?
その気持ちも分かるんだけど、こう考えりゃいいんじゃね?ってことで…批判じゃないです。
バンバン喜んで人殺しは、そりゃ戦争ですもん「オレは××戦線で敵兵○○人殺してやったぜガハハ」と酒の席で自慢話するような世界なんじゃない?
擬神兵投入される前の無駄な兵力の損耗→指揮権違ったっぽいのは語られてたハズ、その大将がロクでなしな描写も。ひょっとしたらその大将は擬神兵は信用してなかったのかも?
擬神兵の存在そのものが脅威・威嚇になる→だから最後首都攻め入る前に終戦迎えた(多分)んじゃないかな。
話がポンポン進みすぎて、擬神兵なるものがあの世界でどう印象持たれてたか・またその印象がどう変化したかの説明が浅いので仕方ないんだけどね。
そこら辺は今後掘り下げてくれ…たらいいなぁ。
ああ、あと英雄が晩年悲惨な目に遭うのは神話の頃からある、これは「英雄の方が支持率得て為政者から煙たがられる」のが根底にあると思うのだけど、まぁよくある。
ということで上記の部分は自分は「あんまり」気にならない、フォロー描写は欲しいけど。

でもって「これは擁護しきれん」(ウラがあってタネ明かししてくれるならそれでいい)ってのでは、技術流出は、ないのん?
擬神兵そのものが捕虜…ってか鹵獲されて研究されちゃうことは無いのん?
擬神兵は本当にあの部隊だけ?エレイン博士以外に研究者ナシ?
エレイン何者だよ…特殊な儀式が行える古代人の末裔?
敵側が「こりゃ敵わん」と思ったら次に狙うのは博士だと思うのだが、前線に出しちゃって良いの?拉致されたらどうすんの?
ひょっとして、擬神兵化する材料なり儀式行う場所なりが北軍側の領地内にあって動かせない存在だったり?
その場所には他にも研究者が居たりして??
無理心中図ったのは機密保持のための口封じだったりして。
…。
擬神兵を作り出す方法(同時に解除のヒントもあるかも?)を記した「黒の妖精書」を巡る話に展開したら爆笑。

まぁツッコミというよりは妄想ですね、そこら辺明かしてく展開になってくれたいいなぁという。
単に順番にかつての同胞を殺してくだけで、「なんて悲しいんだー」を推すだけだったら、ちょっと…う~ん。
ってかその可能性高そうで評判悪いんだろうね。
げ、原作は読まないぞ。{/netabare}

2話感想{netabare}
ちょwこれギャグアニメだったのかww
戦争行った父ちゃんがドラゴンになって戻ってきて…子供たち受け入れはええw
御伽噺的な…日本昔話的なノリで、リアリティとは真逆を行ってて(1話のノリと違いすぎて)笑っちゃったw
「父のカタキー」で追い回すのかと思ったら「理由知りたいから同行する」だって。
そりゃまぁよくある展開ではあるんだけど、話進むのが早くて説明が足りてないというか、薄っぺらい。
「そういう展開にしたいのでそういうことにした」が丸見えというか…いやでもどうなんだろう。
そこまで話を急いで、この先どうしても見せたいエピソードがあるってことだろうか?

それにしても、あのドラゴン埋葬するの大変だったろうなぁ。{/netabare}

3話感想{netabare}
普段からコート着込んでるから寒冷な気候なのかと思ったら寝る時半裸になっててワケワカランw
案外暖かいの?
でもって戦争終わってから何年経ったんだっけ?
罠かかったらそのまんまもアレだけど、白骨化って…。
砦はずっと拡張し続けてたみたいだから、中心に進むほど亡骸は古いものになってくとかいう演出は欲しかったかも。
あと、ハンクが昏睡中の二ヶ月の間に何があったのか元同僚に尋ねないのね、もうそれは知ってるってことなんだろうか。
それも含め擬神兵が世間からどう認識されてるのか不明でイマイチ入り込めないでいたのだけど(いかんせん悪い噂立ってそうだよね)、次回そこら辺やってくれるのかな?
作画の影響もあるんだろうけど、今んとこ「導けオシエちゃん」の無いキリングバイツ。{/netabare}

4話感想{netabare}
あれ?前回の最後、擬神兵狩りの隊が結成されて「出陣じゃー」みたいな感じで終わったんじゃなかったっけ?一応吸血鬼?も出たけどさ。
今回それの続きかと思ったら関係の無い話に。
そして最後でやっと吸血鬼の方が出て…こ、今度こそちゃんと次回で拾ってくれるんだよね?
「3話感想」でも書いた様に、隊長が昏睡状態の時にナニが起きたのか──他の方も突っ込んでるけど拘束・秘匿されないの?実験動物にされないの?監視居ないの?等──そういった問題に対し何か取り引きをしたので現状のような「お天道様の下そのままの姿で手ぶらで故郷へ帰る」が実現したと思うのだけど、それが分からんことにはどうにもこの作品世界に入っていけない。
鉄道会社の人も、立場上インフラを死守するのは当然のことで、あんまり悪い人の様に描写されるのはちょっと…報連相を怠ったハンクの方が悪くないか?アレ。{/netabare}

6話までの感想{netabare}
5話は口うるさい風紀委員長の話。
それよりも6話ですわ。
「あれー?この展開最近どこかで見たような…」と思ったらアレだ、“ブラッククローバー”だ。
あっちもラスボス的ポジがそれまで信奉して従ってた配下に対し「今までよく働いてくれた、だがもう用済みだ」と始末しにかかる(実際殺すまでは至ってないけど)展開を先週やったばっかりで。
そんな珍しい展開でもないので被るのはまだしも、1週間以内に同じネタとは…しかもブラクロは以前“賢者の孫”とも同じ週にネタ被りしたことがあって「え、また!?」とビックリ。
自分そんなアニメ見てないけど放送されてるアニメ全部見てたらこういうことって結構あるのかね?(更にドラマや特撮見てたら尚更)、クールの変わり目ならまだしもさ。

ということで、ケインは恐らく「和平に不満を持つ富豪達」をスポンサーにしてたけど、もう用済みだとして粛清してくださいました。
これは政府(和平推進派)からしたら願ったり叶ったりだったりして。
ひょっとしてコレを狙ってワザとギシン兵に自由が与えられてたってことは…ないかな?
ようやくギシン兵討伐軍が登場したけど、あんまり「国を挙げて」って感じがしない。
ここはもうちょっとハンクとは別ベクトルの、人の身のままギシン兵を狩るためのエキスパートっぽさを見せて欲しかった。

というか、ハンクとクロードにはこれといった因縁は無いよね?
今後明かされる??
それとシャールを心配するライザのタイミングがおかしいような…。{/netabare}

7話感想{netabare}
原作読んでないぞ?すっとぼけてるワケではないぞ?
2話のドラゴンの死骸はどうやって埋葬したんだろう→地元の住民が埋めたん“だろう”→あら大変ねぇ
ってことで2話感想で書いたワケだけど、えっ?軍が埋葬したの!?
特別な説明描写が無いのなら、軍が関わってるのなら死体は研究用に持ち帰る“だろう”と思うのが普通の判断じゃない?
あっるえ?ギシン兵研究は完全に破棄されたってこと?そんなことある?
南北和平調停の時にそれが条件だったとか?
なーんかね、「国の偉い人がそんな判断する?」ってのがずーっと引っかかってるワケで、ひょっとしたらウラがあるのかも?ってことで見てるワケだけど、なんかずっと違和感が果てしない。
クロードが大統領の息子ってことで、もしかしたらその線で「国の偉い人の思惑」に踏み込んでくれるのかも知れないが、いい加減そこら辺出てきてくれないと違和感が不快感になるのも遠くない。{/netabare}

9話までの感想{netabare}
8話、歌を聴いて欲しいのに途中で眠られてしまって、それに怒って顔にラクガキをする話…ウッソデース。
てかよう、ほんとによう、戦後ギシン兵は監視付けずに放逐したのか、それは確定でいいのか。
9話、う~ん、「人間とバケモノとの間で揺れ動く気持ち」みたいなのを書きたいのは分かるんだど、前期の“どろろ”や同期の“BEM”に比べると弱いというか、感情移入しづらい。
何度も何度も書いてて多分総評でも書くハメになりそうだけど、世界観が釈然としない。
そしてハンクはいつの間にか「手から血が、血が落ちねぇンだよおお」って精神状態に。
ん?「自分がいつ正気を失うか分からない不安に慄く」と「手にかけた人の亡霊に悩まされる」は別じゃね?
自分が正気を失くした時に殺した人間の亡霊に悩まされるのなら分かるけど…あれ?{/netabare}

11話までの感想{netabare}
ヤバイ!意味が分からないw
11話冒頭クロードがハンクを拷問にかけてギシン兵の詳細を吐かせようとしたが…えええ、そんな情報は終戦直後、「放逐」する前に取ってあるんじゃないのか!?
終戦後に新たにギシン兵が生み出されてるって設定ならまだしも、今ん所処刑した連中どいつもこいつも戦争中の思い出話してるじゃん。
終戦時にギシン兵が逃げ出したって設定ならまだしも、1話見る限り軍がわざわざ故郷へ送迎してやってるじゃん、送迎前に調書取らなかったの?
あっれー?
ハンクを責め立てた所で、今更何を聞くんだ?と不思議で仕方ない。{/netabare}

最終回感想・総評(上の各話感想と重複した文もあるのでこれだけ見れば良いかも){netabare}
うわぁ、最終回でやっちゃったなぁ。
2話の頃かからずっと戦後のギシン兵に対する政府・社会の扱いが不可解で、そのせいでこの作品世界に入り込むことが困難でした。
ギシン兵は拘束・秘匿されないの?実験動物にされないの?監視居ないの?等。
エレイン博士の予測が正しいのかも不明だし、他にギシン兵の研究者が居なさそうなのも不思議。
戦争終結&第一人者の博士死亡でギシン兵の研究が凍結って、ある?
要は1話でハンクが撃たれて昏睡してる間に、政府間で「ギシン兵はこれこれこういう処遇とする」という取り決めを“どの様に決定したら、作中のような状況が実現するだろう?”の部分が見えてこない、推察もできない。
それで、何かウラがあるのかも?後で明かされるかも?と見続けた訳だけど、最終回で見事悪い方に予感が当たってしまいました。
「腐食の毒霧」の登場…ギシン兵由来の毒をギシン兵ではなく普通の人間でも使えるようにした兵器なのだけど、「そういうモノを研究するために戦後ギシン兵に自由が与えられることは無いんじゃないの?」という“突っ込み(違和感)”を強化する展開に…ナニソレー!?
総評だし目立つようにもう一回書いておこう。

最終回「腐食の毒霧」の件により、「そういうモノを研究するために戦後ギシン兵に自由が与えられることは無いんじゃないの?」という初期の頃から抱いてた違和感が強化される展開に

「ねぇ、これおかしくない?」と尋ねたら「ああそうだとも!」と殴り返された気分w
だったらもう「戦後実験動物扱いされてたギシン兵が自由を求めて政府と戦う話」ではダメだったのか。
「ケインの暗躍で一旦は自由を得たけど、その肉体を研究したがってる継戦派やテロリストに狙われる話」ではダメだったのか。
「実は南側に死亡扱いとして北に返還してないギシン兵の捕虜が居る」ではダメだったのか。

恐らく「人間同士の戦争」と「バケモノに改造された兵士の悲哀」を描きたかったんだろうけど、組み合わせが悪かったのか混ぜ方を誤ったのか…とにかくバランスが悪い。
または「同胞のモンスター同士の哀しい殺し合いの絵」が先にあってそこから肉付けしたのかも知れないけど、それだったらもっと作画コンテ演出を頑張ってくれないと…う~ん。
ハンク自体が政府公認なのか追われる身なのか、もうそこから分からないし。
そもそも目的が最初から「ウラがあるのかも?」と疑って見てたため、○○は納得できない××は共感できる、みたいなことすら起きない。
また「肉体はどうであれ魂は人間だ」というテーマだと仮定すると、同期にやってる“BEM”や“グランベルム”より何歩も劣るかと。
それと無駄なお色気シーンが意味不明。
オチというか引きについても、単に「なんかありそう」と濁しただけで、別に続編を作る予定は無いんじゃないかな。
というか、もし続きがあったとしても上記の違和感の部分を解消できる納得のいく展開は期待できそうにない気が…。

ただ収穫?としては変な話だけど、自分は“ヴァイオレットエヴァーガーデン”(TV版、映画は見てない)は批判的な意見だったけど、これ見たら「エヴァガって随分マシだったんだなぁ」と考え直すことに。
あっちも終戦直後が舞台で主役が戦時中は生体兵器みたいな扱いで、時には自分が殺めた人の亡霊に悩まされる等、似てるかどうかは置いといて共通してる部分は結構多いかと。
(義手のテクノロジーが禁忌で、それのケリをつけるために同じサイボーグ戦士と殺し合う展開にしたら“かつ神”になりそうじゃない?)
えええ、まさかこんな形で京アニ支援ってワケでも無かろう、いやぁ参ったねハハハ。

もう一つ収穫?としては、やっぱり似た感じの作品“フェアリーゴーン”の分割2クールのインターバル最中にこの作品が放送されました。
少なくともゴーンの1クール目はなかなかにアレな出来で、果たして2クール目をやって「かつ神よりマシ」となるか「かつ神より酷い」となるかは結構楽しみだったり。
そういう意味では楽しんでることになるのか?性格悪いけど。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 15
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5

被害者面という欺瞞

何を描きたい物語なのだろう。


かつて「神」と称えられた人間兵器が、改造技術の不備から人間性を喪失した「獣」と化して社会から抹殺されようとする。

{netabare}まず確認しておきたいのは、「擬神兵」の誕生は、民主国を代表する「為政者」が開戦を決断して実行させた「戦争」という「人為的行為」において、「人工的」な技術によって徴兵された市民を「改造」することで生じている、という事だ。

技術の不備で「獣」に堕してしまうことも含め、徹頭徹尾、人間の意志から生じる人為的な活動の連鎖によって生まれた「擬神兵」=「獣」には、全ての責任を負うべき「責任者」たちが存在する。

どんな物語を描きたいのか混乱する第一の原因は、こうした「獣」の辿るエピソードが、あたかも避けがたく降りかかる「運命」に翻弄される悲劇であるかのような語り口のトーンにある。

アニメ・マンガ・ラノベの「戦争」は、降りかかる「状況」か「現象」のように描かれることが殆どで、「責任者」などどこにも存在しないかのように不可視化されることが多いが、作者や製作者が、そうした「責任者」の起こす「人為」であるという視点を持てない「気分」を示しているのかもしれない。

本作では、まぎれもなく「人為」が設定されていながら、この「気分」に無批判に流されて、「獣」の悲惨が、「人為」の犠牲であるのか、「運命」が理不尽に下す悲劇であるのかを曖昧にして、視聴者を混乱させる。

人為であれば、あくまで「獣」を人間に回復させる闘争が必然化されるだろうし、運命であれば、前近代の荒神に捧げる犠牲の人身御供のように、その「死」を受忍せざるを得ないだろう。

が、全編を通じて「獣」への対処は「抹殺」の一択で、殺す以外の選択肢が全く考慮されないのは、設定にもかかわらず、これに矛盾する「運命の悲劇」という視点を選択していることを示している。
視聴していて困惑感が付き纏うのも当然だろう。


出来合いのアニメ・マンガ・ラノベの「気分」に流されていることは、現状への不満勢力を統合して体制転覆を謀る組織が、道具として「獣」に手を差し伸べる描写と展開にも表れている。
「現状の政権を批判して対抗行動をとる」ことは「迷惑」=無条件に「悪」=テロ、といった、ひたすら現状肯定が「善」といった「気分」が、「反体制」の「テロ」に同調する「獣」は「悪」=抹殺は正当として、「獣は殺すしかない」という選択肢を、唯一のものとして補強する。


作中には、「政府」、主人公、「一般市民」という、3つの「獣」に対向する勢力が登場する。
が、上述した通り、「獣」への対処は「殺す」の一択で、ほかの選択肢はない。

「殺す」ことは決定事項で、異なるのは殺そうとする理由に過ぎない。

もっとも無責任なのが「政府」だ。

利用価値のある「神」であるうちは都合よく活用していながら、「獣」として手に負えなくなると抹殺して済まそうとする。
そもそも開戦と戦争遂行、「擬神兵」への改造と、全ての「責任」がありながら、「獣」の「人間化」への研究を組織するわけでもなければ、社会復帰の特殊プログラムの作成や、傷病手当や遺族年金の増額をすらしていた形跡もない。

あるいは、作者や製作者に、「戦争」には「責任者」が存在して責任をとらなければならない「人為」だという視点がないという反映であるのかもしれない。
単なる無責任の発露である「抹殺」を、「困難な義務」であるかのように描写する作劇が、こうした責任意識の欠如を物語っている。

そして、もっとも卑劣なのが主人公だ。

「人間」でなくなる前に「死」という救いを与えようという「苦渋の」決断は、「自分も好きで殺しているわけではない」という、要するに自己弁護だ。
かつては自身も「仲間」であったからこそ引き受けなければならない義務だという自己了解は、形を変えた自己憐憫で、政府の機関と並行して「獣」を殺す立場を正当化する自己欺瞞に過ぎない。

政府の命令をなぞるように「心ならずも」と言いながら殺すことは、結局のところ「獣」が邪魔だから殺すことを承認しているわけで、いくら被害者面をして涙を流そうが「獣」から見れば身勝手な自己憐憫に過ぎないだろう。
真に「獣」の立場に身を寄せるならば、「獣」に武器を向ける代わりに、暴力を行使してでも「獣」を「人間」に戻す研究をさせるよう軍や政府を脅迫するはずだ。

最後に、もっとも愚かなのが、「一般市民」だ。

自分たちの「生活」に邪魔なものだから死んで欲しいという理屈は、上述のアニメ的「気分」と同調するもので、視聴者には違和感がないかもしれない。

が、作中に入り込んでみれば、「獣」のほとんどは「徴兵」で、要するに一般市民だ。
たまたま「改造」されなかった一般市民が、たまたま改造された一般市民を「神」と称え、次いで「獣」とを蔑んで殺そうとする。
そこには、自身もまた「獣」として抹殺されるかもしれないという視点が欠けている。

役に立つ間は「神」と呼ばれ、邪魔になれば「獣」として殺される事態は、必ずしも「擬神兵」として改造されることに限った問題ではない。
問題は、役に立つか不要なのかという即物的に近視眼的な価値観に合致しないものは「排除」するという「受けいれ基準」だ。
誰でも病気や怪我をすれば、「役立たず」になり得る。役に立たなくなったものを「獣」と排除するならば、病人もまた役立たず=「獣」の一種として排除されうる。

運よく健康を保っても、「獣」化は避けられない。
人は誰でも老いる運命からは逃れられないからだ。
社会の役に立たない=邪魔者を「獣」化して排除するならば、いずれ全ての一般市民は邪魔者=「獣」となることを避けられない。

生活の邪魔だから無条件で「獣」を排除してもよいと無自覚に信じる「一般市民」は、やがて自らが「獣」として追われるとき愚かさに気づくのだろうか。

いや、視聴者もまた老いる運命にある以上、一般市民の抹殺の論理に同調したり、嘲笑して済ませたりすることはできないだろう。


視聴者の視点の代理人物として、殺された「獣」の娘が、3つの勢力の間でそれぞれの立場を見聞する。
様々な立場を知り、自分の考えを見定めようとするが、「獣」の抹殺が決定事項である以上、どの理屈が一番良心を傷めずに済むかという、受け入れ易い「言い訳」を選ぶだけの意味しかない。

老いる運命にある潜在的な「獣」である視聴者は、いくら抹殺者の悲しみや涙を見せられたところで、納得や満足などするわけがない。


アニメ的「気分」で、「運命の悲劇」として「獣」を見る限り、「獣」に救いはない。
そこには、抹殺者の気持ちを楽にするという意味での「救い」しかない。

「人為」の「無責任」が「獣」を生んだという視点こそが、「獣」を救うだろう。
が、「現状肯定こそが善」というアニメ的「気分」を突破しない限り、「責任者」への抵抗運動は、即ち「獣」の救済は、あり得ない。

「獣」自身の救いが示されない限り、何を伝えたいか不明の物語、という感想は覆らないに違いない。



結局のところ、予断は覆ることなく、「獣」の娘は、主人公の自己憐憫を共有することで「抹殺」に伴う良心の痛みをごまかす姑息な結論を迎えた。

「獣」を「記憶し続ける」心の痛みを引き受けているという被害者面で、「抹殺」を支持する言い訳に換えようという娘の自己欺瞞だが、賭けてもいいが、「獣の想い出」を記憶=記録することはあろうとも、戦争責任者について記録することは無いに違いない。

直接に「擬神兵」化を行った医師は名指しされているものの、彼女に擬神兵化を命じた「責任者」、また擬神兵の「製造」を作戦案として提出した「責任者」、擬神兵を前提とした戦略を承認して実行を命じた「責任者」、そうした一切の戦争遂行に対して意志決定を下した「責任者」

これら戦争責任者の群れは、作中で完全に匿名化=不可視化されている以上、娘の記憶=「記録」に残るわけがない。

「獣」の辿った道筋だけを見つめるのなら、そこに現れるのは「擬神兵」に降りかかった理不尽な「悲劇」だけだろう。
いずれ「獣」が一掃され、「平和」な市民生活が復活する日が来たとしても、残されたものが「悲劇」だけであるなら、「獣」の死は、「尊い犠牲」として称賛されるだけだ。

市民生活の平和の礎となった「尊い命」を無駄にしないよう生きよう、といった責任者を不可視化した妄言は、八月が来るたびに繰り返される現実だけで十分にうんざりさせられている。この上フィクションのアニメでまで聞かせてもらう必要はない。


あるいは何か描きたいものがあったのかもしれない。
が、語りたいもののために設定を突き詰める代わりに、アニメ的「気分」を無批判に導入して済ませてしまったために、「気分」のいい加減さ、無思慮さが作品世界全体を拘束して、何が言いたいか分からない物語となってしまったようだ。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

テーマは良かった。見せ方次第で大分違ったかも。

[文量→大盛り・内容→酷評系]

【総括】
ダークファンタジーであり、バトルアニメ。グロあり。

テーマや世界観は(中二病くさくも)悪くはないと思うので、もちっと上手く出来なかったのかなぁ。原作は、多分、アニメより面白いんだろうなというのは、なんとなく感じました。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
構成の悪さを、強く強く感じました。勿体ない作品ですね。

この作品はつまり、1話目の内容をどこまでしっかりやりきれるか、なんですよ、多分(まあ、原作がそうじゃないんだろうから、無茶は承知で)。

極論を言えば、0~1話まで(神と呼ばれるまで)を1クール、12話かけてしっかり描いて、各キャラ(擬神兵)にファンをつける。そして、13話目が、本作の1話目になり、分割2クールまで期待を煽る。

そこまで下処理をちゃんとやってから、2クール目に今回の内容(獣と呼ばれてから)を描けば、かなりの問題作になれたはず。ようは、「ベルセルク」。

本作は仲間殺し。

殺される仲間に対して、こちら(視聴者)側の思い入れが強くなるほど、悲しみも苦しみも大きくなる。それが、魅力にもなっていく。勿論、(人気キャラを殺すわけだから)それ以上の批判を覚悟しながらにはなるけれど。

ところが本作は、「お前、誰やねん」というキャラを殺していくだけ。

殺す直前になり、回想場面を流していくのも、分かりやすすぎてつまらない。とってつけたような感動話に食いつくほど、今のアニメファンも甘くない。

まあ、1クールは言い過ぎでも、少なくとも3話くらいまでは、獣になる前の仲間の掘り下げをしても良かったんじゃないかと。他のエピソードの回想場面をまとめれば、やれたでしょ?

また、仲間を殺す動機も微妙。

いや、理由は分かる。せめて人のうちに。つまりは、「尊厳死」なんだろうけど、それって、あくまで本人の意思じゃん? まあ、「獣になって意志もへったくれもない」から、「強制的な尊厳死」に持ち込むんだけど、それはつまり、相手に人権を認めていないわけで、擬神兵を一番人間扱いしてないのは主人公じゃん? と思ってみたり。

主人公の行動にいくばくかの正当性が生まれるとしたら、「擬神兵は100%人間に戻らない」と断定され、市民に被害が出る場合だろうけど、そこがなぁ。まあ、ハンクからすれば、「擬神兵研究の第一人者である、エレインが戻らないと言っているんだから、100%戻らない」という理屈なんだろうけど、そんな理屈で殺される擬神兵からすればたまったもんじゃない。科学や技術は日進月歩。まだ見ぬ可能性を信じ、例えば、「体をはって擬神兵を捕らえ、死ぬほど頑丈な牢屋や地下施設に閉じ込めておく」とかは、ムリだったのかな? そういう努力を全てやりつくした上での、「殺人」という選択だったのかな? それとも、単に愛する人の遺志を継ぐという、個人的な理由なのかな。そこがモヤモヤしました。

あと、中間的な立ち位置で物語の重心を決めるはずのナンシーがね、どうも。ハンクにデレるの早すぎじゃない? もっと憎もうぜ、親の仇だぞ?

殺す側、殺される側、傍観者。どこのサイドにも共感できない話になっている。正直、心情的には新パトリアの気持ちが一番共感できる。俺が擬神兵でも、おとなしく死のうとは思わない。足掻くよ。

しかも、結論は投げっぱなしジャーマン。

あと、バトル作画の悪さは致命的。もとが、中二感満載なだけに、作画がしょぼいと一気に安っぽくなる。バトル自体もただのゴリ押しで、能力使ってないしね。つまらなかった。

てか、ラスト、ハンクはなんでスーパーサイヤ人になったん?(笑) あと、散々シリアスなテーマ引っ張ってきて、まさか、ケインの最大の動機は、実はBLなのか???(違うことを祈ります)。

ラスト1話で、☆を1つ下げました。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
戦争の描写は結構、エグい。味方からすれば神、敵からすれば獣、か。なるほど、次第に獣になっていくのね。素晴らしい、結婚発表だな。この良い仲間をきちんと描くからこそ、次が生きるな。

2話目 ☆3
ドラゴン。なんだ、回想か。獣化していない人の話かと思ったわ。姿は戻らずも、心は保つパターンもあるのか? いや、やはり時間の問題なのか。安易に悲劇を起こさず、未然に防ぐか。安っぽくならないな。撃ったしな。う~ん、そこでいきなりついていくって選択はな~。

3話目 ☆3
ミノタウロス。連れていくのが、なんで? だったが、わりと痒いところに手が届いてるな。

4話目 ☆3
ベヒモス。メチャ強いな。多少は理性を残した中で。次第に心を許していく。

5話目 ☆3
ガーゴイル。絶対正義は絶対悪に近くなる。一番強い思いが増幅されて、残る。

6話目 ☆3
なんか、立体機動装置みたいなのが(笑) まあ、擬神兵側の主張も分からなくはない。このアニメ、わりとちゃんと撃つもんな。

7話目 ☆2
だったら、ナンシーをデレさせてちゃ、ダメでしょ。もっと、ハンクのことを、憎ませてないと。

8話目 ☆3
セイレーン。1話完結。どの話もそうだが、とってつけたような感動なんだよな~。

9話目 ☆2
バトルアニメでここまで作画がしょぼいというのもな。

10話目 ☆3
だからさ、ちょいちょい回想を挟むより、ガッツリ過去編をやった方が良いでしょ。

11話目 ☆3
撃ち続けろや、倒れても。まあ、軍医というのは、ツラい立場だよな。

12話目 ☆1
首の飛び方よ(苦笑) そこまで、ハンクにこだわる理由が、イマイチ伝わってこないな。ホモか? なんか、スーパーサイヤ人になった(笑) はよとどめさせや。しかも、結論は投げっぱなしジャーマンか。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 25
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