2023年度の兄妹おすすめアニメランキング 9

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2023年度の兄妹成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月28日の時点で一番の2023年度の兄妹おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

79.0 1 2023年度の兄妹アニメランキング1位
お兄ちゃんはおしまい!(TVアニメ動画)

2023年冬アニメ
★★★★☆ 3.8 (643)
2195人が棚に入れました
引きこもりのダメニートな緒山まひろは、ある日目覚めると“女の子”になっていた!? 鏡に映る美少女が自分だと分からず混乱するまひろのもとに、飛び級で大学に入学した天才科学者である妹・緒山みはりが現れ、飲み物に怪しげな薬を盛られていたことが判明する…! もう2年も外に出ないで いかがわしいゲーム三昧… たまには働いてもらわなきゃ! みはりによる“女の子になる薬”の経過観察として、突如女の子として暮らすことになったまひろにとって、トイレやお風呂、スカートやブラジャーなど“女の子の生活”は知らないことばかり…。 さらに、みはりの中学時代の同級生である穂月かえでやその妹・もみじ達とも知り合い、 まひろの日常はどんどん賑やかさを増していく。苦難の連続に、果たして“元”お兄ちゃんの運命やいかに…!?
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

灰色の青春もおしまい!

私はあまり好みじゃないけど、とても素晴らしい作品でした

美少女になってかわいい女子達と仲良く女子中学生生活を過ごしたいっていう夢を形にした癒し系ゆる百合コメディアニメ
ゆるふわ癒し系百合アニメで、引きこもりの成長物語なところもあっていろいろ楽しめます
可愛らしいふわっとしたキャラデザと温かみのある色使いとぬるぬる動く作画がとても良い
女の子達の日常を見るアニメだから話の面白さはないけど、最終回はとても良かったです!

ダメなところなんてないけど、女子同士の会話のやりとりとか私生活があまり女子っぽくないかな? 
みはりが女子女子したものにあまり興味ない設定にしたことで話は作りやすくなったかもだけど、性転換のテーマ性は薄くなったように思います
そこがちょっと残念で、せっかく性転換させるならもっと深く女子コミュや女の子の生活とのギャップに切り込んで欲しい

あと男が美少女になって生活する作品はいっぱいありそうだけど、女が美少年になる作品ってあまりなさそうだからそっちも見てみたいです
中身が女の美少年とか、女子にモテすぎてやばそう

【最終回】{netabare}
まひろがせっかく男に戻れそうなのに、もみじ達との絆を選んで女の子になる薬を飲む展開が良かったですよねー!

もみじ達は「まひろちゃん」の友達であって「まひろくん」の友達ではない、ウソからできた友達
薬を飲めば友達でいられる時間がのびる、でもいつかはどちらか選ばないといけない時がくる
男に戻っても引きこもってゲームするだけなら、女の子のまま友達と楽しく過ごしたほうが幸せなんじゃないの?って部外者だから思っちゃうけど、
ずっと男として生きてきたから、なかなか割り切れるものじゃないですよね

でも、まひろはもみじ達と一緒にいることを選びました
まひろはこのまま続けたら本当に心まで女の子になって戻れなくなっちゃうかもっていう恐怖はあったでしょう
でも薬を飲んだってことは、それだけみんなとの楽しい日々を失いたくないって気持ちが強かったんだと思う
魔法がとけたら終わりになる「嘘の関係」だとしても・・・

みはりはお兄ちゃんを女の子にしたいわけじゃないと思うので
2期があるなら男を捨てて女の子になる決断をするまひろちゃんと、男に戻って欲しいみはり・・・とかもあるかも?
{/netabare}

【体が女の子だからセーフ?そんなわけない】{netabare}
まひろは身体が女の子で、心もちょっとずつ女子っぽくなっていてもベースがエッチな本やゲームが好きな男性って思うと受け入れづらい
たぶん、身体が女子になったけど心は男のままな人と一緒にお風呂入れる女子はそんなにいないし、女子トイレで隣の個室に入るとかもっと無理でしょ
だってそれ、女の子の身体に男が憑依してるのと一緒ですよね?

完全に心も女の子になってしまったなら元男性でもいいと思うんだけど、男の気持ちが残ってるならお風呂も更衣室もお手洗いも別にしないと
生まれつき女の子の身体だけど、心は男性っていうなら気にする子あまりいないと思うけどね、似てるようで全然違うと思う
{/netabare}

【細かいこととかどうでもいいこと】{netabare}
にゃんさんが感想で書いていたけど、私も同じところが気になりました
3話でまひろがおかゆ作っているシーンではケガなんてしてないのに、直後の看病して疲れて寝てるシーンでは右手の指にたくさん絆創膏が・・・
いつの間にケガしたの?
後から人参かタマネギでも切って投入したんでしょうか?
右利きっぽいのに右手ケガするのも不思議 {/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 26
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

重層的で面白い優れた物語。それを支える隙の無い高度な技術。

 あまりの高水準過ぎる作画・美術でかえってストーリーの印象が記憶に残っていないので、初回から半年ほど経過した23年9月、再視聴しました。

 今回も作画に心を持っていかれそうになりましたが、なんとか頑張って内容を理解しました。

 男であること、優秀な妹に対する劣等感に潰されそうになっていた「兄」が「妹」になることで「がんばらなくていい」立場を手に入れたことで、心を取り戻して行く話です。こう書くと重く感じるし、そういう描写もところどころありますが、しかし、全体的にはライトで緩い感じで、面白かったです。
 逆に言えば、面白いTS日常系としての作りになっていますが、その根底から読み取れるものがある、浅いようで結構奥行がある話だったとも言えます。

 そして「女子になること」よりも「女子であること」を丁寧に描写していました。下着・ファッション・洗髪・洗顔・トイレ・生理・化粧・振舞などの生活習慣から始まり、友達との付き合い方・中学生男子を女子の立場から見る・バレンタイン・学校のルールと化粧など様々な視点を描いていました。
 その生々しいペルソナ作り・排泄としての女性のするべき事が、コミカルな描写であまり嫌悪感やエロを感じさせず、軽妙にエピソードに落とし込めていました。

 男性の目からは、しかしそれがリアルなのかどうかは分かりません。ただ、リアリティはあります。女性と同居していても男性であれば気が付かない、むしろ積極的に男性からは隠しているような部分が丁寧に拾えていた…のではないでしょうか。それすら想像するしかないのが男から見た女だと思います。

 原作者は男性だそうですが、脚本・シリーズ構成に女性を置いているので、エピソードは、多分男が女を知ると言う点で、ある程度信頼してもいいのではないかと思っています。
 また、EDのクレジットで、プロップデザインというのは多分小道具のデザインだと思いますが、これが8名ですか。つまり、女子のアイテムは相当作り込んだのではないかと思います。
 化粧品やアクセサリー、下着にはホックやタグまで丁寧に作画されていました。つまり、女性がこの辺はちゃんと入り込んでいる証拠だと思いますので。

 そして、この作品を支えていたのが作画技術です。ヌルヌルというのもありますが、立体感です。3DCGに手書き修正をしたんだと思いますが、止め絵の横移動だけでなく回転させる手間を惜しんでいません。また、回転にも耐えられる優れた技術・デザインでした。
 髪の毛を立体としてモデリングしているのを逆手にとって、表と裏の色合いを大胆に変える手法。
 構図が凝っていて、俯瞰・あおりを含めて難しい視点で人物を描いています。
 背景美術に常にフィルターというかエフェクト(ひし形、丸、4角・5角の星型等)をいれることで背景と人物をなじませる一方、人物が見やすく浮き上がって見えます。

 その技術の頂点がEDだと思います。目がクラクラするようなヌルヌル感と立体感はすごかったです。OPEDの歌詞はちゃんと作品の意味になっていましたし、隅々まで手を抜いてません。

 これらの結果、ヒロイン?にちゃんと感情移入ができるというか没入感がすごい作品だったと思います。2回目なのに12話、OPED含め隅々まで堪能できました。というか、1話見るのに行きつ戻りつして、40分くらいかけてしまいました。

 ということで、2回目視聴して作品の内容まで入り込むと、単純な日常系の面白さと、男子が見る女子の世界というドキドキ感あるいは未知の世界を覗き見た感動、そして、兄妹感のコンプレックスや男として生きる意味という重い部分がほんのりと含まれている重層性がある優れた作品だったと思います。

 男子を選択する未来がくるのだろうか?という部分が特に考えさせる部分です。

 それが普通に面白いのですから大したものです。評価は…オール5でいいかなあ。名作かと言われると、テーマ性の薄さがいいところではありますので秀作という感じです。ですが、隙が無い優れた作品だったと思います。

  


以下 23年3月に書いた1回目のレビューです。


{netabare}1話 異次元のハイスペックTS。京アニの後継者はここかな?

{netabare} 開始数分であまりの画面のハイスペックに引き込まれます。すごすぎるだろう、と思って会社確認したら「無職転生」のところです。2期つくらないで何やってんの?と思いましたが、ひょっとしたらCG技術の蓄積のための習作でしょうか?

 カメラ(視点)の移動(パン、クローズアップ)は最小限で、構図も単純、人物の動きも少ないなので、そう予算をかけているようには見えません。
 が、とにかく人物の作画と動きが綺麗です。人物の動きというか輪郭線の感じがMMD(ミクミクダンス)の高級版という感じなので、3DCGモデリングだと思うのですが、2Dアニメエフェクトのせいか非常にナチュラルなアニメ絵になっています。
 ぼっちざろっくのライブシーンがずっと続いているような感じといえばいいのでしょうか。

 EDの動きを見ればわかると思いますが、これは人間の原画マンだと無理…というか不自然です。一方でその不思議な動きがコミカルな演出になっているので、独特の効果を生み出しています。

 あと着替えの頻度が尋常じゃないです。何回着替えてるの?これどうやってるの?キャラデザすごすぎでしょう?

 それともう1点。失礼ながらあまり話題になっているとも言えない本作の原作を拾ってきて、アニメ作品に仕上げるのは京アニっぽいですね。このままいけば京アニの後継者はここかな?

 内容はTSもの微エロ日常系という感じです。話に展開があるかどうかは不明です。劣等感についての深掘りとか、男と女の間の葛藤とか気付きがあれば面白いですけど、あまり期待しないでおきます。
 1話目はちょっと画面がすごいというか面白過ぎて話に集中できてませんけど。 {/netabare}


11話と現状までの総評 特に前半の女子体験と覗き見感覚がいいです。

{netabare} 作画というより画面全体のアニメ表現としてのシンプルで伝統的な感じがするけど新しい感じが本当にすばらしい。技術に詳しくないですが、本作のアニメ表現の技術は各社マネをして今後の日常系にもっと取り入れて欲しいです。

 初め構図が単純だと思いましたが、じっくり見ると特に2話ですが、魚眼レンズ的歪みや人間が入り込めない視点から映すことで覗き見的メタ視点などを上手く使っていました。人体のパースのデフォルメも含めて非常に視点を意識しているのが印象的です。

 この作品、主人公がJCの世界を覗き見るような感じです。それを我々は覗き見る。この2重のピーピング感を作画で表現したのは素晴らしかったと思います。
 すずめを多用することで間というか雰囲気を感じさせる演出も面白かったです。パステル調の色彩感覚もいいですね。

 下着のタグとか小物とか非常に細かく作画されていましたが、このこだわりが将に「魂は細部に宿る」ですね。
 また、制服のデザインがスカート長めのちょっとダサイ感じなのもいいですね。リアリティがあります。

 前半は女子というものを体験するようなストーリー展開でした。下着、洗髪や髪の手入れ、生理、化粧に買い物などによって、男性からみた「女子の秘密」を疑似体験できました。この部分がTS設定と覗き見視点と合わさって、興味深く見ることができた要因だと思います。

 後半は友情・日常系で男子が女子の視点になった話になり、男子中学生の行動にも切り込んできました。前半ほどのインパクトはないですが、ちょっとコミカルな日常系という感じでそれなりに楽しめています。

 何度見てもOPEDは素晴らしい作画で特にEDの動きは本当に面白いです。 {/netabare}


 最終話まで。日本のアニメの方向性はこの作品のコンセプトでお願いします。

 作画が異次元なのはもちろんですが、キャラデザが本当に素晴らしかった。2次元と3次元モデルの間にある「不気味の谷」というか「可愛さの谷」を解消する一つの方向性が提示された気がします。

 アニメ・マンガがなぜ優れているのか。それは「可愛いさ」の「記号化」が非常に高度だったからです。美少女キャラと言いますがああいう人間が現実にいたところで不気味なだけです。
 手塚治虫的マンガ記号からあずまひでお的ロリキャラやあだち充的美少女表現を経て、アニメ絵としての完成度を高めついにCGアニメキャラの完成系の一つとしてここに到達したか…という感じです。

 最終話12分くらいのところの超作画もアニメ的可愛さを「磨き上げた」感じで技術の進化に感動すら覚えました。そう…最終は思いっきり技術で悪ふざけをした感じです。料理や背景も謎の湯気もすごかった。奥行きや構図も旧来の日常系では考えられない出来でした。

 そしてジェンダー論やフェミニズムを論じるよりも「女性であるとはどういうことか」を考える一つのきっかけになるテーマ性が内包されていることも良かったです。それが非常に薄ーく入っているので初めは面白くて、少したつと何かを考えさせる一粒で2度おいしい感じです。
 その薄さがエンタメにおいては大事で、視点やエピソードの面白さと深掘りできる奥行きが両立していました。

 欠点があるとすると、2つです。1つはもうちょっと女子の世界しかわからない生々しいエピソードがあるといいかなあと思いますが、ストレスレスを目指しているのでしょうか。そこはチューニングなのでやむを得ない気もします。
 それともう1つ。画面が凄すぎて話に集中できませんでした。おかげでなんど戻ったことか。

 ということで、正直「無職転生」よりも作画という点では驚きは大きかったです。そして話も面白いし、キャラはデザインはもちろんキララ的キャラ造形のチューニングも良かったと思います。

 名作ではありませんが、何かの転換点を感じる作品でした。

 なお音楽の評価はEDのアニメも含めてです。本当は作画に10点くらい入れたいです。 {/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 21
ネタバレ

なっぱ‪‪𖧷‪‪𓈒𓂂 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

私が知る中で過去最高レベルの人生やり直しゲー

原作未読。
タイトルと絵の感じからして変態ロリアニメだろうと
勘違いしててあにこれなかったら観てなかったかも!
エロ+ロリ系が好きじゃない人の中には
私と同じ勘違いしてる(た)人きっと少なくないと思うw

そして観てよかった〜楽しい作品ですね(*´˘`*)

{netabare}1度目の性転換に関しては自分の意思とは関係なく
妹のみはりが勝手に薬を仕込んだことで仕方なく
女の子として生活をし始める兄のまひろ。

そのままハッピー環境が続いた状態で終わらせず、
最終話の旅行中に男に戻りそうになった時
"女の子としての生活を続けるか男に戻るか"
という選択肢がまひる自身に与えられ、
2度目の薬は自ら望んで飲んだのが良かったです。{/netabare}

こういうフワフワしたストーリーでも
しっかり主人公に責任を持たせた展開は好印象。

男→女でありがちな問題点や女子あるあるも
存分に盛り込まれていてまひろも可愛いもんだから
リアルに近い感覚で楽しめました。

だからこそ、
表現として非常に気になる点が1つ。

{netabare}まひろに初めて女性の月一のものが来る時の
みはりの反応や教え方が私には納得できませんでした。

みはりの年齢を考慮したとしても、
恥ずかしがったりゴニョニョとなかなか教えないのは
月一のものは人に言いにくいもの聞にくいもの
という印象を与えてしまうシーンなのではないかと。

もっと異性同士の大変な面を知って支え合う
という今の世の流れに水を指している気がしますね。
アニメなのにお固く考えすぎということは
重々承知の上で敢えて書かせてもらいました。

わざわざ取り入れなくても
ストーリーへの影響が出ないようなそのネタを
作品に入れるからにはちゃんとしてほしかったなと。{/netabare}

それ以外の話はフランクに観ることができて
女の子たちの楽しそうな姿が微笑ましかったです。
(だが男だ。という言葉が逐一浮かぶのはシュタゲ病)

主人公まひろの声が
とても特徴的で可愛らしくて癖になる話し方だから
どんな声優さんか気になりまして、、

その高野麻里佳さんはノーマークの声優さんだったので
他に誰の声を〜と調べたらウマ娘のサイレントスズカ!?

お、、恐ろしい、、
もうそれが分かっただけで凄い声優さんだと認識。
今まで意識してなかった事に申し訳なく思いました。


#08でみはりの「晩ご飯できたよ〜」の横顔が
突然チンパンジーにしか見えなくてツボりましたwww
気のせいかと思って戻して見直しちゃった!
全体的にも横顔の作画は気になりがちでしたね。

でもこれはきっと
そういう描き方にしてあるのでしょう。
これは個人の好みの問題ですかね(*´˘`*)

主題歌はOPもEDも癖になるタイプの楽しい曲ですね!
どちらも私のアニソンリスト入りさせました♡

投稿 : 2024/12/28
♥ : 17

85.1 2 2023年度の兄妹アニメランキング2位
【推しの子】(TVアニメ動画)

2023年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (742)
2173人が棚に入れました
「この芸能界(せかい)において嘘は武器だ」 地方都市で働く産婦人科医・ゴロー。 ある日"推し"のアイドル「B小町」のアイが彼の前に現れた。 彼女はある禁断の秘密を抱えており…。 そんな二人の"最悪"の出会いから、運命が動き出していく―。

声優・キャラクター
アイ:高橋李依
アクア:大塚剛央
ルビー:伊駒ゆりえ
ゴロー:伊東健人
さりな:高柳知葉
アクア(幼少期):内山夕実
有馬かな:潘めぐみ
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

アンチアイドルものとして秀逸かも。ただ星野アイが強烈すぎた。

 1回目視聴時は、作品の見方を間違えて脱落しました。時間をおいて冷静になって本作を見てちょっと思った事と何で見方を間違えたのか、です。

 本作の位置付けなんですけどちょっと「まどかマギカ」を思い出しました。つまり同作が魔法少女モノに対するアンチテーゼだったように「推しの子」は「アイドルもの」あるいは「アイドル」というジャンルに対するアンチテーゼなのかな?と。
 その点で出来は良いのですが、まどマギほどのインパクトは残せませんでした。それはやはり星野アイのせいかな、と思います。

 本作のある意味での不幸は1話があまりに強烈でした。星野アイが魅力的、挑戦的、挑発的すぎて、私には星野アイそのものがテーマに見えてしまいました。星野アイについて全編通じてじっくりと描かれて行く話かな、と思ったわけです。その視点で見ると、1話は名作ですが、その後どんどん本題からズレて行っているように見えます。

 まどマギの3話と同じ役割ですが、しかし本作の1話はクオリティが高すぎた気がします。しかも一挙放送ですからインパクトが半端じゃないです。私は8巻くらいまで既読ですが原作もしょっぱなの星野アイパートはあまりに強烈です。絵もいいんですよね。

 ただ、今回冷静にその続きを見ると、アイドルを中心とした芸能界について丁寧に取材し「裏側」つまりは「虚構」「嘘」を描いています。ネットアイドル、実写化、子役、恋愛リアリティショー、アイドルの給料、ダイコン役者…等々要素を1つ1つ描いています。リアリティがありすぎるのか炎上したり、説教臭いと言われましたが、しかし、それだけよく取材しているという事でもあります。

 もちろん嘘がテーマであることは明示されていますので、ちゃんと読めている人には今更何言ってるの?でしょうが、星野アイの生きてきた痕跡を見る物語と思ってしまうのは無理からぬことだと思います。

 アクアとルビーが転生者でアイの何か(嘘と愛?あるいは嘘と魅力?)を引き継いでいる…かの様にみえる目の星も、芸能界あるある、芸能界の裏側という作品のテーマに注目するのには阻害要因になっています。

 そうやって見ると、芸能界のダークサイド、嘘と虚構を丁寧に見せて行く、つまり「偶像としてのアイドル」とか「アイドル物」の解体なのかな、と。そのためにアイの妊娠が必要だったのではないか?と思います。

 ただ、アイの妊娠の相手についてはサスペンスとして残っているのが上手いところで、それがストーリーの中心になりつつ展開しているのでアイについての物語も当然語られるでしょうし、そこは楽しみです。

 OPの「アイドル」の歌詞や小説「45510」を読めば、本作がアイドル=嘘を中心に語っているのが分かります。ただ、どこかで子供たちに残した言葉以外の愛が語られる気もします。
 それは廻りまわって、アイドルへ愛とアイドル肯定の物語になる可能性は感じます…が、現時点ではよくわかりません。今のところ裏側、虚像、アンチになっています。

 そして気になるのはタイトルの魚尾ですね。原稿用紙の真ん中の【 】っぽい記号です。何が言いたいんでしょう?夢オチ?それとも本作そのものが映画の中?とにかく虚構・フィクションの予感はあります。


 評価は4.0にしてましたが、4.2に変更です。ストーリーを3.5から4にあげます。途中で終わっているので完全な評価が出来ないのでちょっと減点があります。
 キャラは…まあ5しかないかなあと思いつつ、やっぱり星野アイが強烈すぎて、作品のバランスを崩したと言う点で4.5のままにしておきます。
 作画はやっぱり背景美術は気に入らないのですが、人物はいいです。3.5を4にします。
 音楽の5はやっぱりOPなんですけど、本作のOPってOPアニメの魅力が支えるところが大きいんですよね。音楽だけならそこまでバズったかわからない気がします。ただ、映像時代の音楽としてアニソンがなぜ売れるか?と言うとやはり映像そして「キャラ」「物語」とセットだから、というのはあると思います。




以下 1回目視聴時のレビューです。

テーマ・ストーリー・設定の構造を取り違えていたかも…

{netabare} 途中で断念しましたが、2期が来るということで結末だけは気になるので多分見ることになると思います。2期発表と同時に一応1期全話確認しました。

 本作については、原作を読んだ時点では、以下のような話だと思っていました。

 ストーリーは、星野アイというスーパーアイドルの殺された原因である恋愛あるいは性交の相手、その情報を犯人に漏らした相手を見つけ出す。
 テーマは「嘘と愛」であり、星野アイがどういう生き方をしてきたか、アクアが芸能界の追体験をすることで理解する。
 話の舞台・話を進めるためのエピソードとして、芸能界の虚構性つまり嘘の部分と、恋愛の部分つまり愛の部分を描く。
 こういう構造かと思っていました。


 ですが、改めて原作ではなくアニメを見て、ひょっとしたらですが見方を間違っていた?と思いました。

 ストーリーは、アクアがアイが生きていた芸能界に染まりつつ嘘と恋愛を知って行く。
 テーマは、各エピソードで芸能界の虚構と現実の部分を赤裸々に描く。
 舞台・設定は、星野アイというスーパーアイドルが殺された世界に転生した熱狂的なファンが星野アイ殺しの裏の事情を探って行く。

 つまり、私は星野アイの20年…あるいはプロファイリングによれば15歳の時に何があったかを追う。星野アイというアイドルの象徴的存在をアクアが知って行く。つまり、星野アイにとっての愛と嘘=アイドルとは何かを描いて行くのがメインの話かと思っていました。
 が、実際にこの作品が描きたいのは芸能界や各種クリエーターの虚構とか裏事情を特に作者は描きたいのかなあと思いました。

 
 当初、これだけ色んな形で子役、実写化、アイドル、ユーチューバー、恋愛ショーという形で、様々な見せ方をされている意味がわかりませんでした。ですので、話が引き延ばされて冗長だなあと感じました。 
 本作原作が段々つまらなくなってゆく…と私が思う原因が、一つは恋愛リアリテショーで星野アイの秘密に何も絡まないじゃん、と思った事が一つ。
 そして2期の冒頭からあるであろう、東京ブレイド多分「刀ラブ」の舞台が本当に演技の話ばっかりになるからです。このパートで私の心は原作から離れました。

 ですが、逆にこういう芸能界・SNS等の様々な形を丁寧に切り取られて見せられると「あれ?こっちがテーマで星野アイが舞台だった?」と思ったわけです。あまりに主義主張が激しいですよね。
 となった時に、私はあくまで物語の謎、星野アイというキャラクターに興味があるのであって、芸能界の裏側には興味はあまりありません。

 そして1話がちょっと色褪せます。あの話はほぼ「パーフェクトブルー」の焼き直しですが、換骨奪胎して一人のスーパーアイドルの人生を追う冒頭としてはものすごい物語だなあと感心していました。が、本当にこの調子で最後までいくならかなりがっかりです。


 で、まあ、それとは別に謎についての仕掛けですが、気になっているところです。

 星野アイが転生している可能性ってないんですかね?あるいは星野アイの相手が転生してないか。
 医者が死ぬ前に、アイは妊娠していたのに転生した矛盾って何かあるんでしょうか?タイムリープとかはないのか?
 星野アイを殺した犯人と医者を殺した犯人って本当に同一人物なの?そこに仕掛けはないの?
 瞳の星の意味は何かありそうですよね。アカネの瞳に宿った以上遺伝だけではなさそうです。

 それとタイトルの「推しの子」の手偏が切れて土偏みたいになっている理由。子のデザインももちろんです。「の」が瞳になっているのは分かります。強調のカッコである【】の意味は?そうではなくて【】の前後に線が入っていますので、カッコではなく原稿用紙の真ん中、魚尾(ぎょび)つまり創作物ということ?推しの子という存在自体が創作だと言うメタ的な仕掛け?


 本作OPは良いですよね。水星の魔女の1期といい内容を織り込んでいるのに好感がもてます。
 そして、アニメの作画は星野アイを初め、アイドル的な場面の作画は大したものだと思います。が、やっぱり背景美術とか、舞台以外の作画は止め画がかなり多いし、線の感じなども私はあまり好みではではありませんでした。

「断念」から「見終わった」になりますが、ストーリー・テーマは思っていたよりも深くないかも、などと思ってしまいました。改めて家に積んである8巻まで読んで、考えてみます。{/netabare}


 

以下 3話断念時のレビュー

{netabare}  断念です。原作8巻くらいまで読んでいるので、そことの違いがないのと、アニメならではの展開がないのを確認しました。OPもPVが公開されてます。

 断念の判断の理由なんですけど、1つ目がアイドル星野アイとはどういう人間だったか、というアウトラインを後からアクアが知って行くという話が大筋になるのかと思いますが、そこが弱いんですよね。つまり1話がピークでそこから2、3話とダダ下がりです。
 もちろん原作を知っているというのもあるんですけど、原作視点でも同じ感想です。結果的にアイドル恋愛もの…になってしまった気がします。(ひょっとしたらアクアが芸能界で生きて行く、恋愛をする(してみる)というアイの追体験を通じて何かを知る、感じるというのはあるかもしれませんけど)

 また、45510という小説が後付けで発表になったのは、つまりストーリーでそこを丁寧に追わないということでしょう。それは作品としては大きなマイナスポイントです。そここそが作品で一番見たい部分です。これをアクアが犯人を追う過程で知るべきでしょう。正直この小説が出たからアニメも漫画も断念する気になりました。

 2つ目が、原作のキャラデザというか絵の雰囲気が中途半端に再現されているアニメとしては見づらいです。しかも、その人物が完全に浮いてしまうような適当な背景美術をなんとかしてください。いくらなんでも適当すぎでしょう。アニメとして画面に魅力が無さすぎます。これも1話のアイが動くシーン以外はですけど。
「その着せ替え人形は恋をする」でもちょっと感じた感覚です。いわゆる狭義の作画はそんなに悪くない感じなんですけど、絵作りです。

 3つめがこのペースだと原作を追い越して結末まで描く気がないだろうと判断したからです。

 ということで、原作がもともとアイデアはものすごく良かったし1巻(アニメ1話)は最高に良かったのに、その後がついて行けていなかったのが最大の失敗でしょう。
 人気作なのでレビューもいっぱい出てくると思いますので、そちらを後で確認します。それと連載で結末が出たころに一気読みするかもしれません。あるいはアニメが原作に先だって、最後まで描き切るなら見直します。

 なお、OPフルコーラスの歌詞に「マリア」という単語が出てきました。マリアが妊娠するのは世界で一番有名な理由ですよね?ですので、そういう結末な気もします。むろんアイドル=偶像でイコンとしてのマリアかもしれませんが。
 あるいは歌詞から言って愛を知るためだけのお試しだったという気もします。興味が残るのはそれくらいですが、2話以降でそこが中心にならなかったのが残念です。

 評価は1話があるので比較的高いですが、アニメになるとトータルの作品で見たときいろんな部分がアンバランスで、見ていて気持ちが悪くなる作品でした。

 なお、原作未読の方は、そうはいっても途中までは普通に面白いのでアニメで見る意味はあると思います。{/netabare}




以下 1話のレビュー

1話 面白いのは知ってますが、長期連載の弊害もある作品かなあと。

{netabare}  最近ではめずらしく本屋で1巻の表紙でジャケ買い大人買いした作品です。本当に魅力的な表紙です。ですので、中身は当然知っています。

 感想は言い辛いです。現段階では原作でアニメの1話部分をもうちょっとじっくり見せて欲しかったということですね。つまりアイの深掘りですね。テーマ的にもドラマ的にもです。まあ、本当はこんな長期連載の予定ではなかったのだと思います。

 そして人気が出たことがちょっと悪い方に作用した作品かなあという気がしなくはありません。アニメ1話部分は本当に面白くて引き込まれました。人気は当然ですけど、こういう作品は終わりを決めて、7巻とかくらいで終わらせてほしかったなあ。そのほうが密度が濃くて結果的に名作になると思います。まあ、書評ではないので、これくらいにしますけど。

 それにしても、最近作画水準が高いアニメが多いせいか、こう止め画が多いとちょっと画面的に退屈ですね。1話くらいもっと動かしても良かった気がします。舞台のシーンは頑張ってましたけどね。

 横槍メンゴさんのカラー絵は本当に魅力的なので、そこの水準は無理にしても、もうちょっとなんとかしてほしいかなあ。

 感想として何が言いたいかというと、結末を原作者とアニメ制作陣で共有しているなら、ストーリーを圧縮して結末まで描いてほしいなあ、ということです。{/netabare}



追記1話は「パーフェクトブルー」に匹敵する素晴らしい出来でした。

{netabare} 追記 1話の出来の良さについて描くのを忘れていました。1話目は施設育ちで愛を知らない「アイ」が、愛していると嘘をついている。だから、自分の最愛の子供たちに愛していると言えなかった。そしてアイが愛していると言えるのは、どうなった時?という話です。

 現状でも相当素晴らしいのですが、正直言ってこの1話だけをブラッシュアップすれば今敏監督の「パーフェクトブルー」と比肩しうる作品になれたかなあと。特にアイというキャラの深掘りがあればなあという気がします。テーマ性は良いし、舞台設定、謎とストーリー展開もエンタメとして本当によくできていました。

 ファンタジー部分については、アイドルのピークで事件が起きないといけないこと、そして、赤ちゃんとしてアイが接しているうちに事件が起きないと、それを理解する自我が赤ちゃん側にないといけないので、こういう形のドラマを作れなかったと思いますので、必然性をちゃんと感じました。

 という感じで私の印象では1話がピークではありますが、そうはいってもその愛を知らないアイが誰の子供を作ったのか?という最大の謎がありますのでその点は目が離せません。

 で、1話目のEDで流れたYOASOBIの曲ですけど、この1話のテーマそのものを歌っていました。フルバージョンのPB付きがアップされていますが、この曲だけでも作品の1話を奇麗に1つのドラマとして歌いきっており、大変すばらしい曲になっています。
 これを1話だけの使用で2話以降曲を変えられたら、素晴らしい演出力だと思いますが、どうでしょうか?

 それと作画は再視聴すると思っていたよりもマシでした。ただ、アイが出ているパートとそれ以外の出来に差がありすぎる気もしました。{/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 36
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

最初からメディアミックス化を意識していたかのような計算された構成

【レビューNo.122】(初回登録:2024/5/5)
コミック原作で2023年作品。全11話。(初回は90分)
元々YOUTUBEで原作が紹介されていて、原作買うか迷ったんだよな。
(結局マイナー感溢れる「早乙女選手、ひたかくす」にしたんだけどw)
まあいうてる間に、順当にアニメ化されたなっと。
・交流あるフリークスさんのレビューに刺激を受けた
・ちょうどABEMAで一気見放送してて復習できた
を受けて、リアタイ時に残念したレビューを書いてみようかと。

(ストーリー)
田舎の産婦人科医ゴローは、自分に懐いていた患者・少女さりなの影響により
アイドルオタクになっていた。そんな彼の元に、活動休止中の彼の推しアイド
ル・星野アイが双子を妊娠した状態で現れたことで物語が動き出す。

(評 価)
・「星野アイ」と「物語の起点」をしっかり印象づけた初回拡大放送
 {netabare}主人公は高校生になった星野アイの息子・星野愛久愛海(アクア)なのです
 が、物語を進めていく上で
 ・彼にとっての「スーパーアイドル・星野アイ」という存在の位置付け
  (そして双子の妹・瑠美衣(ルビー)にとっても)
 ・彼が芸能界に関わる強い動機付け
 をしっかり印象づける必要がある訳ですが、これを出し惜しみせず初回拡大
 放送で一気にみせ、視聴者のハートを鷲掴みにするという・・・
 これはホント上手い戦略でしたね。
 本作の構成的にも、初回分は完全にプロローグ的な位置付けですからね。
 キリがいいプロローグを一気に片付けて、2話以降から本編を展開していく
 というやり方は、理にかなっているなという印象ですね。
 まあこれも「覇権アニメ候補」という金看板があるから打てる強気な戦略な
 んでしょうが、それが功を奏したように思います。{/netabare} 

・芸能界の表と裏を描写した秀逸なストーリー展開
 {netabare}(アイドルアニメとか基本観ないので、詳しいことは知らないのですが)
 アイドルやマネージャーなど一部の関係者にスポットを当てた作品は数あれ
 ど、こういう大局的な視点から芸能界の表と裏を描いた作品って今まであっ
 たんですかね?!
 ・まず掴みのアイで
  「この芸能界において嘘は武器だ」
  という新しい切り口を提示
 ・次にアクアを
  ・他のアイドル志望者のように芸能界に憧れを抱いておらず
  ・復讐劇のために芸能界に関わっている
  という1歩引いたキャラ付けをした上で、彼の目線を中心に
 ・ルビーで
  ・アイドルに強い憧れをもち、芸能界はキラキラした世界
  という従来のアイドルアニメ要素も残しつつ
  (この2人が二律背反的に描かれているのがホント上手い!)
  また定番的なタレント達の人間ドラマを描きながらも
 ・ここに監督やプロデューサー、ADなど制作陣側の視点なども加えていく
  (これを善や悪というバイアスをかけることなく、それぞれの立場からの
   道理として客観的に描いているのもナイス!) 
 ・更に「ネット炎上」という社会問題をぶっ込み、一般人まで巻き込む
 多角的に芸能界を描いているストーリー展開がホント秀逸です。
 これを(2クールと引っ張らず)11話の1クール作品として濃密に描き、最後
 はアニメ演出が最も映える「アイドルライブ」~「2期のプロローグの引き」
 で完璧に締めるという・・・{/netabare}

・キャラをポイ捨てせず有効活用も上手い
 {netabare}新展開を創るために
 ・新キャラを出してポイ捨て→で、また新展開のために新キャラ登場
 という作品も多いですが、本作はキャラをポイ捨てせずしっかり有効活用
 しているのがニクイですね、
 ・その象徴的なキャラが”有馬かな”ですが
  ・子役として典型的な「天狗になったキャラ」として描かれるも
  ・高校生になり、今度は「挫折を知った『元天才子役』」として再登場
  ・更にまさかのルビーのアイドルユニットに参加
   以降芸能界のよき先輩やアクアのヒロイン候補としてレギュラー入り
 ・また「恋愛リアリティショー編」で共演した2人も
  ・MEMちょ →実は昔アイドル志望で、ルビーのアイドルユニットに参加
  ・黒川あかね →2期の「2.5次元舞台編」で再びアクアと共演決定
          (しかも有馬かなとは子役時代からの因縁つきw)
  いや~、早速使い倒してますねえw
 それに監督やプロデューサーなども長い付き合いになりそうで
 「狭い芸能界=人脈(人の縁)がモノを言う世界」
 というのを体現している部分もあるように感じましたね。
 「使えるキャラをしっかり育てて次に繋いでいく」
 そういうことがきちんと出来ている作品かなっと。{/netabare}
 
芸能界の表と裏を多角的に描く、「新しい芸能界エンタメショー」を展開しつ
つも、アイドル要素はガッツリやり、ライブシーン(劇中歌・振り付け・ファ
ンとの一体感)といったアニメ映え等との親和性やバズりを狙った
「最初からメディアミックス化を意識した計算された構成」
だったのかな、というのは強く感じましたね。
(タレントの人間ドラマなんか実写映えもしそうですし)
もしそうなら、まさに狙い通りなんだろうし。
本作の難点を挙げると、最初に
{netabare}「黒幕を捜して復讐劇」
というミステリーをぶち上げたものの、それがほとんど進まないところですが、
これは長期連載を意識した大人の事情的な部分もありますからねえ。
(これがサクサク進むと連載終っちゃうんでw){/netabare}
さすが「覇権アニメ候補」と前評判が高かっただけのことがある、満足度の高
い作品だったと思います。

OP「アイドル/YOASOBI」
・今更いうまでもなく世界を獲っちゃったし、その功績で「日米首脳会談」に
 も招待されたしねw
ED「メフィスト/女王蜂」
・女王蜂の曲は独自性が強く個人的には苦手なんですが、今回もいい意味でブ
 レていないのかなっと。今回は飛ばさず聴いてましたね(笑)

最後に刺激を下さったフリークスさん、アザ━━━(*゚∀゚*)ゞ━━━ス!!

投稿 : 2024/12/28
♥ : 30
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

「それでも光はあるから」

赤坂アカ氏・原作の連載コミックは未読。

【物語 4.5点】
題材は芸能界の裏側。

初回から90分SPでインパクトを残す。
あとは数話完結エピソードで適度にヤマを作って勢いを持続させる。
最近のバズる1クールアニメの構成として理想的。

その中でアイドルの虚実。
演技力だけで決まらない役者のキャスティング。
リアリティショーを巡るネット、SNS上のエゴサ、炎上。

多くの人が芸能界に対して薄々感じている、こじれた部分を、
踏み込んで言語化して、よく映像化してくれたと共感を得ていく内容。

7話の{netabare} ネットリンチ{/netabare} はここまでエグッて来るのかと戦慄しましたし、
3話にて語られた、良い原作を良い映像作品にしたいという純心だけでは通らないドラマ事情。
それでも現場スタッフはより良い物を作ろうと奮闘してはいるという描写。
私も、今後アニメ化で好きな原作を台無しにされた時も、少しは優しい気持ちで受け止められそう?ですw


主人公少年・愛久愛海(アクアマリン)は{netabare} 母であり推しであるアイ{/netabare} をあんな目に遭わせた芸能界の連中への復讐に燃える闇サイド担当。
妹・瑠美衣(ルビー)は母も輝いたアイドルに憧れを抱く光サイド担当。

両サイドを行き来したり、交錯させたりすることで、
闇は深いけど、人を惹き付けてやまない夢の芸能界を演出。

またアクアの復讐闇堕ちルートを思い留まらせるルビーのアイドル光ルートという構図も、
葛藤の軸として確立されており、制作決定している2期以降も安定して期待できます。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・動画工房

きらびやかなステージのスポットライトにトップアイドルの瞳の煌き。
芸能界のキラキラを表現する極彩色のカラーが強烈。
裏に潜む嘘の存在を否応なしに意識させられる、“価値ある不快感”を提供。

反面、芸能界の本音やトラウマを描く時は、しっかりと色数を落とす。
地味にアクアが業界の裏情報を探るため鏑木と会談するモノクロに近い映像も印象的。
灰色の店内で裏話を交わす2人の男。そして、闇に浮かぶ{netabare} 4万円の寿司w{/netabare}

カラースクリプトも数多く担当した助監督の猫富 ちゃお氏。
要チェック人物としてマイリストに登録されました。


動画工房の主力・谷口 淳一郎氏ら“作画育成監督”を複数人擁する陣容も特徴的。
この作画育成監督、近年ではCloverWorksの岡 勇一氏も務めるポジション。(※)

過酷な労働環境などを背景にした、技術継承不足が呼ぶ、さらなる人材不足という地盤沈下の悪循環。
アニメ業界も、芸能界と同じく、色々と闇を抱えているようですが。

作中でルビーたちが{netabare} 新生B小町{/netabare} により芸能界に光をもたらすのかと予感させるのと同様に、
日本のアニメ業界も、社内育成体制の整備と内製回帰による基盤強化で、将来に光明を見出していこうという意志を感じます。


【キャラ 4.5点】
“10秒で泣ける天才子役”有馬かな。
子役の旬が過ぎて見向きもされなくなった高校時代にアクアらと再会。
CV.潘 めぐみさんの濁声で、骨身に染みた芸能界の現実を語る解説役としても重宝する。
{netabare} 新生B小町のセンター{/netabare} も決まってましたね♪

また、必要なのは有馬かなという元・子役の名前だけ、良い演技より波風を立てないことを求められる現場で放った、
ドラマ業界騒然の会心の演技。
{netabare} 「それでも光はあるから」{/netabare}
矛盾だらけの芸能界をも照らすメタファーとして私の心にも深く刺さりました。

今後も有馬かなは{netabare} アクアを巡る黒川あかねとの三角関係?{/netabare}
など恋愛面でも活躍が期待できそうです。


人気“高校生ユーチューバー”MEMちょ。{netabare} 新生B小町メンバー。{/netabare}
メディア横断的にバズる導線を引くネット工作能力が貴重。
衝撃の{netabare} 実年齢25歳、7歳サバ読みの{/netabare} カミングアウト。
芸能界の過剰な早熟性欲求へ一石を投じる意味でも有用なキャラです。


【声優 4.0点】
主人公アクア役の大塚 剛央さんは近年ブレイクし始めている若手声優。
ルビー役の伊駒 ゆりえさんに至ってはメインキャストは初の新人。
大塚さんは闇堕ちを危惧させる怪演などで片鱗を見せていますが、
伊駒さんは演じるキャラ同様、芸能界の闇に放り込むのが憚られるピュアさを感じます。

1期目は正直、有馬かな等、強烈なキャラ勢に埋まってる感もあったメインお二人。
シリーズを重ねる中でどう染まるか、化けるのか。
伸び代にかけた意図を感じる新人、若手起用だと思います。


カリスマアイドル・アイ役の高橋 李依さんが、初回の衝撃の掴みを支える。
天才若手女優・黒川 あかね役の石見 舞菜香さんが、8話の起死回生の演技を押さえる。
要所を締める声優の役者魂も光りました。

発声方法が謎なのが“覆面筋トレ系ユーチューバー”で苺プロの稼ぎ頭・ぴえヨン役の村田 太志さんのアヒル声w


【音楽 4.0点】
伝説のグループ・B小町の楽曲群は、やや昔のアイドルリバイバル感を醸した構成。
自己紹介&ヲタ芸煽り曲「サインはB」の作詞・作曲が大石 昌良さんというのがツボにハマります。
『~GRIDMAN』の主題歌同様、大石さんは懐古な心をくすぐるのがお上手です。


OP主題歌はYOASOBI「アイドル」
Ayase氏が原作漫画が好き過ぎて、インスパイアされた楽曲を複数作曲していた所、
タイアップの話が舞い込んで、その中の一曲が世に出た形。
歌詞世界は原作者が書き下ろした短編小説「45510」を元に展開。

「45510」は現在ヤングジャンプHPで期間限定公開されていますが、
私はアイのメガジャケ目当てでポチった「アイドル」CD版の付録で読みました。

2番を聴いて感じていた、1期では描写されなかった{netabare} アイのグループ内人間関係{/netabare} が、
真相に深く関わっているのだと再確認しました。

かわいいを表現しようと挑発的に語尾を上げるikuraさんのボーカル。
キャッチーな音をクドいくらい重ねるアレンジ。
良い意味で耳に障る構成で、アイドルと嘘というテーマを体現した力作。
AMVもYouTube2億回再生も納得の出来栄えです。


ED主題歌は女王蜂「メフィスト」
こちらはアヴちゃんが長年構想していた、人の願いを叶えるためにどこまでやっていくか?
という楽曲テーマが、作品と出会うことで結実し、日の目を見た形。
「メフィスト」はゲーテ『ファウスト』で登場する悪魔。
本曲では願いの悪魔の意が込められたとのこと。

毎回引きを強くするイントロが優秀なEDでもあります。
引きでは、時に囁くようなモノローグだったり、息を飲むカットだったりしますが、
音響が小さな音量のセリフ素材をイントロに負けないよう調整し、印象的な幕引きを演出したとのこと。
楽曲のパワーだけでなく、細かい音響の仕事も作品を支えていました。

尚、EDにも実写MVがありますが、こちらは視聴するのに相当な覚悟が要ります。


【参考文献】※CloverWorks公式ホームページ「STAFF INTERVIEW 岡勇一 クリエイティブ事業部 演出・作画ルーム 作画育成監督 培ってきた技術をすべて後輩に継承していきたい」




【第1話(90分拡大版)先行上映感想】嘘つきはアイドルの始まり

長いので折りたたみ。
{netabare}
アイドルは嘘で人々に夢を与える偶像。
嘘こそアイドルの本質。
こんな捻くれた考えを持った私。

本作の「この芸能界において嘘は武器だ」とのキャッチコピー。
主人公のアイドル・星野アイの“しいたけ目”を越えた“キラ星目”。
嘘臭すぎてかえって惹き付けられる極彩色の強烈なビジュアル。
これはさぞ濃密な芸能界の嘘を暴き出してくれるに違いないと、注目していた期待作。

加えて展開が衝撃的との評判は耳にしていたので、
まずは是非とも映画館で気持ち良く驚いてみようと、
今回の鑑賞まで情報シャットアウトして挑みました。

結果、本当に驚きましたし、取り扱う嘘は胃もたれして吐き気を催すくらい濃厚でした。
基本設定に{netabare} 推しの子供として転生した双子{/netabare} というトンデモがありますが、白けることはなく。
むしろ芸能界を徹底的に相対化できるポジションに視点を置く。
口の固い大人が油断して本音をこぼしてしまうキャラクターを活かす。
芸能界の嘘と現実にまつわるテーマの深掘りも怖いほど快調で引きずりこまれます。

例えば、ネット上で、あの娘の笑顔は作り物っぽくて嫌いとのアイドルアンチを見かけます。
あれも本作にかかれば、作り物も何も、芸能界の笑顔は全て人工物。
結局、人々は各々が、どの嘘が綺麗でしっくりくるか否かで、あれは本物じゃないだの叩いているに過ぎない。

さらには夢を壊されたと荒れるアイドル恋愛問題。
俳優の実力より事務所のパワーバランスによって決まる出番の尺の長さ。
真偽そっちのけで他人の不幸すらコンテンツとして消費する下衆な大衆。
嘘に踊らされる世間の風刺は多岐に渡り、シナリオ展開との合せ技で打ちのめされます。

初回90分で、まだ物語のプロローグに当たる第一章にしてこの密度。
序盤力は近年でも屈指だと感心しました。


アニメーション制作は動画工房。
手描き重視のアイドルライブシーン等で、世間が待望する綺麗な嘘を好表現。
目力の強弱が激しいキャラ素材を活用した心情描写も気合が入っていました。

主人公・星野 アイ役の高橋 李依さん。
作中アイドルソングも歌い、ミリ単位で供給する笑顔を微調整する狂気をフォローし、
嘘が本当になる未来や愛を求めて嘘を重ねる業も表現する。
持てる引き出しを全て開け放ったような見事な演技でした。

今回のラストではOP主題歌のYOASOBI「アイドル」も公開。
楽曲のために原作者が書き下ろしたという小説を元ネタに、
アイドルグループの本音を、韻を踏んでえぐってくる攻めてるアニソンでした。
OPの先攻を受け、後攻の女王蜂がED「メフィスト」でどう応えるのか。今から戦々恐々ですw


嘘を追求した先にあるのは真実か?代償か?
人は愛を取り戻せるのか?

初回から刺し違える覚悟で挑みたい。
2023年・春アニメ、台風の目です。{/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 49

67.6 3 2023年度の兄妹アニメランキング3位
MIX MEISEI STORY 2ND SEASON[ミックス明青ストーリー] ~二度目の夏、空の向こうへ~(TVアニメ動画)

2023年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (50)
133人が棚に入れました
『MIX MEISEI STORY』は、親の再婚によって血の繋がらない兄弟になった立花投馬と立花走一郎が、バッテリーを組み、甲子園を目指す物語。妹の音美、野球部マネージャーの春夏をめぐる恋愛の三角関係も見どころ。 Season2は、高等部1年の夏が終わった時期から物語が再スタート。Season1につづき、青春スポーツラブコメディーに加え、立花兄弟を取り巻く家族のヒューマンストリー
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ちょっと切ない真夏の青春ストーリー

1期から変わらないいい雰囲気と安定したクオリティで面白かったです!

あだち充さんの作品はアニメ版のクロスゲームで好きになって過去作もだいたい原作を読んでいます
今作は「タッチ」はもちろん、これまでのあだち充さん作品の要素をいっぱいMIXするという意味で「MIX」というタイトルになっているそうです

以下、タッチのネタバレも入っています
{netabare}
物語のクライマックスを3年生の夏に持っていきたいのはわかるけど父の死はさすがに後味が悪いかなー?
でもタッチの数十年後の話なので一番ありそうだったのが走一郎が死ぬってことだったんですよね
すごい衝撃も反響も大きいでしょうし、物語としても今まで走一郎のリードでここまでこれたけど走一郎がいなくなった投馬がどう成長するか?って話にもできますし
それか、タッチは弟が死んでヒロインと一緒に甲子園を目指す話だったので、今度はヒロインの音美が死んで弟の走一郎と甲子園を目指す話にしようって考えもありえたのかな?って
だから走一郎や音美がとりあえず死ななくてよかったって気持ちもあって複雑でした

※あだち充さんの作品は、物語の中盤までに必ず主人公の身近な人が死ぬと言われています。
弟、最大のライバル、父、母、メインヒロインの姉(元メインヒロイン)、そして主人公・・・
全部読んでいるわけじゃないですけど、あと死んでないのはメインヒロインと兄と姉と妹?
まだ死んでないメインヒロインであり妹でもある音美が死ぬこともあるのかなー?って思ってビクビクしていました
そんなことになったら暴動が起きそうですね{/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 13

78.2 4 2023年度の兄妹アニメランキング4位
鬼滅の刃 刀鍛冶の里編(TVアニメ動画)

2023年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (389)
1341人が棚に入れました
家族を鬼に殺された少年・竈門炭治郎が、鬼になった妹の禰󠄀豆子を人間に戻すため、《鬼殺隊》へ入隊することから始まる本作は、2019年4月より『テレビアニメ「鬼滅の刃」竈門炭治郎 立志編』の放送を開始、2020年10月には『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を公開、2021年から2022年にかけて、『テレビアニメ「鬼滅の刃」 無限列車編』『テレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編』を放送・配信した。2023年2月からは世界95の国と地域で『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』を公開、そして、4月より『テレビアニメ「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編』の放送が決定。物語は新たなる地へ――――
炭治郎が向かう先は「刀鍛冶の里」。鬼殺隊最強の剣士《柱》である、霞柱・時透無一郎と恋柱・甘露寺蜜璃との再会、忍びよる鬼の影。炭治郎たちの新たな戦いが始まる。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

霞をつかむバトルアニメーション

引き続き原作未読で視聴。

【物語 4.0点】
1クールですぐに結果を求めるトレンドには目もくれず、今回も着実に積み上げた感じ。
上弦の鬼は相変わらずしつこく戦闘は長期化。
ただ、その中でも人の業を思い知らされる重たい回想も挟んでくるため、
視聴後ゲップが出る程度には、シナリオはぶ厚目。

当然、テンポアップを求める声も出るでしょうが、
私は、この作品に関しては、当初から呼吸レベルから地道に修行を重ねて少しずつ強くなる。
昨今では珍しい丹念なスローペースを好感して観続けているので、安心して楽しめました。


鬼殺隊の土台を支える“刀鍛冶の里”を舞台にした一戦。
長きに亘る鬼との戦いのため、武器についても代々技術を継承し続けて今がある。
{netabare} からくり人形“緑壱零式(よりいちぜろしき)”から刀が出てきた{/netabare} 時には先人たちの想いを特に感じました。


初回SPに炭治郎の夢などで、竈門家の血筋と炭治郎の痣(あざ)の由来を示唆するヒントが。
最終回SPでは{netabare} 太陽克服{/netabare} の悲願に執念を燃やす無惨様の野望の一端が明らかにされ、
今後に向けた手応えも十分。

その上で無惨様のパワハラ問題。
パワハラは部下への愛の鞭だと言い訳され発生する事例が多いのですが、
{netabare} 太陽克服{/netabare} したら同類の鬼など不要と確信している無惨様のパワハラには、
愛の欠片もなかったのですねw鬼さんたち早く転職しましょうw

今回、青い彼岸花など忘れた頃に回収された要素があったのも、手応えが手応えで終わらない信頼感があります。
私の場合、ラストは(※核心的ネタバレ){netabare} 太陽克服した禰豆子自身よりも、
炭治郎が鬼の血のサンプルを提供し続けてきた珠世(たまよ)さんが久々に登場して、禰豆子を人間に戻すための研究進捗を語った{/netabare} 件に感動しました。

『鬼滅』に関しては以前から鬼と言えば古代のイメージなのに何で大正?という疑問もありましたが、
やはり鬼と人の戦いが平安から続く因縁であること。
日本が医学・細菌学で世界的な成果も出す大正時代が特異点となり得ること。

刀鍛冶の里と合わせて少しずつ受け継がれて進歩していく人の営みの力強さを感じるエピソードでした。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・ufotable

音、風、重力など、人間が鍛えてもかわしようがない攻撃が多かった本作の上弦の鬼。
そもそも表現することさえも難しい要素をバトルアニメで再現できているだけで非凡。

助太刀する霞柱・時透無一郎の攻撃も雲をつかむようなエフェクト。
恋柱・甘露寺蜜璃の刀も動きがクネクネで変態的だしw

トリッキーな動きを補佐するようにCGは玉壺が発射する大量の毒針など物量もカバー。
ただ、玉壺が使役する大群の巨大金魚のCG。テカテカして気持ち悪かったですw


【キャラ 4.0点】
上弦の伍・玉壺(ぎょっこ)
{netabare} 半殺しの刀鍛冶たちをオブジェに仕立てて断末魔を愉しむ{/netabare} 残虐非道を芸術と強弁する。
ヘイトを煽る悪役らしい悪役。

上弦の肆・半天狗
外面は怯えた声で弱々しい感じの悪役らしくない悪役。
ですが私がより憎たらしいと思ったのは玉壺よりも半天狗でした。
不祥事から逃げる責任者が俄に情に訴えて責任回避を正当化する。
この鬼の本性には心当りがあり過ぎて虫酸が走りましたw


霞柱・時透無一郎。
高慢な玉壺の挑発を、口数少なめで淡々と煙に巻く無一郎。
煽ってる玉壺の方がだんだんイライラしていく様が可笑しかったですw

玉壺は{netabare} 自分を無視して刀を研ぎ続ける鋼鐵塚蛍 (はがねづかほたる){/netabare} にもカリカリしちゃって。
ストレスで壺に穴開けないようにねw

人間の強い信念を前に鬼の煽りなど無力。
無一郎の「無」の真意には胸を打たれました。


恋柱・甘露寺蜜璃
絶望的な窮地でも彼女が現れるとパッと明るくなる巨乳剣士。
明るいのは良いのですが、ちょっと顔面の圧力が強すぎると思うこともw
それにしても、ピンク&緑の髪色が{netabare} 桜餅の食べ過ぎによるもの{/netabare} との説には絶句しましたw


炭治郎の鬼殺隊同期・不死(しなず)川玄弥が活躍したのが予想外でした。
ハラスメント含みで昇進を焦る同期にも事情があったのですね。

一方で伊之助&善逸は、ほとんど見せ場なし。
しまいには次回予告にて登場がない窮状を訴える始末w
これは鬼滅版“MOREDEBAN”村建設の予兆なのでしょうかw


【声優 4.0点】
霞柱・時透無一郎役の河西 健吾さん。
無口な現在の無一郎だけでなく、饒舌だった幼少期の無一郎、
さらには{netabare} 人格形成の礎となった兄・有一郎まで兼任。{/netabare}
状況に応じたセリフ量と一言当りの心情密度の匙加減。
繊細さを感じる好演でした。

恋柱・甘露寺蜜璃役の花澤 香菜さん。
こちらは騒々しく場を照らす豪快な演技。
ただここも回想では、傷つきやすい乙女心を丁寧に表現。

上弦の肆・半天狗。“分裂鬼”の異名もあり。
本体のCV.古川 登志夫さん以下、喜怒哀楽、
各々の感情を司る分身ごとに高ランク声優を当てる。
挙げ句、{netabare} 憎珀天には山寺 宏一さん{/netabare} まで起用。
半天狗の声優たちだけで並のアニメ作品のギャラ払えるんじゃないか?ってくらい豪華ですね。
この鬼、銭喰い鬼なので成敗に情けは無用ですw


上弦の伍・玉壺役には鳥海 浩輔さん。
私の中で鳥海さんと言えばゲーム『テイルズオブヴェスペリア』主人公・ユーリ役など、
少しダークだけど熱い正義漢のイメージが強くて。
それだけにこの真っ黒なナルシストボイスで残虐なゲージツを語る怪演。
こんな壺に成り果てちゃってって感じで笑撃的でしたw

因みに鳥海さんは壺から飛び出した気色悪い金魚共の声もカバー。
半天狗の声優陣から1人くらいヘルプさせれば良いのにw


【音楽 4.5点】
劇伴は椎名 豪氏&梶浦 由記氏のタッグが継続。
今回は両氏の適材適所がより鮮明になった印象。
特に梶浦氏は恋柱の華の演出に重用。
月に照らされた恋柱を彩る“梶浦語”の女性コーラス。風流でした♪

OP主題歌・MAN WITH A MISSION✕milet「絆ノ奇跡」
ED主題歌・milet✕MAN WITH A MISSION「コイコガレ」

EDが梶浦氏の作詞作曲による恋柱ソングだったので、
OPはコラボの“攻守”を入れ替えた霞柱ソングなのだろうと構えていましたが、
終わってみればOPは本編を総括した歌詞世界。
ラストで曲タイトルも回収された感が得られ納得。

あとは本日配信リリースの挿入歌{netabare} 「竈門禰豆子のうた」{/netabare} で奇跡の余韻に浸りたいと思います。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 30

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

なんとなくダラダラと観てしまう…。

そして、今回の「刀鍛冶の里編」の最終回放送後には、さらなる続編の製作が決定したとの発表もありました。

作ったら売れるんですかね、しらんけど。

ストーリーとしては一本調子で、強敵 → 修行 → 強敵 → 修行(以下、繰り返し)ではあるので特にけなす点もないのですが、優れているわけでもありませんよね。

わりと「普段アニメ観とるんやったら『鬼滅』くらい観とるやろ」というノリで観る作品だとは思うので、放送されれば観るのですが特に私が誰かに勧めなくても観る人は観るんでしょうし、語るべきことも多くはないので特に観ることを強くお勧めする作品でもないです。

ただ、個人的には「『鬼滅』は観ない」という選択をする人がいても頷けるアニメだとは思います。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 26
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

霞柱が強いッ!!

原作では微妙なエピソードなので期待してなかったです
この編はいつものように引き延ばさずに大事なところだけ見せたらさっさと次に行った方が良かったように思います、そんな長々と戦うほど魅力のある相手じゃないですし・・・
どうやっても微妙になるので、ねづこのシーンと無一郎や玄弥の掘り下げをしっかりできればそれでいいんじゃないかなと思います

無一郎カッコいい!玄弥いいキャラ!
みつりとねづ子の2ショットがかわいくて好き!
ねづ子は{netabare}消滅しなくてよかったー{/netabare}
この編の感想はこれだけでいいかなー?


原作でこの編が盛り上がらないのは
{netabare}
自分に力がないから煉獄さんを死なせてしまった・・・
自分に力がないから宇随さんを引退させてしまった・・・
だから今度はもっと強くなって絶対誰も犠牲者を出さない!!という炭次郎の決意は共感できますよね

それなら今度は苦戦して死にそうにはなったけど、なんとかギリギリ誰も犠牲にならずに勝てた!やっと上弦の鬼に届いた!!
くらいが炭次郎の成長物語としてちょうどいい具合だと思うんです

でもこの編は無一郎が強くて敵の鬼がこれまでの上弦と比べて小者っぽいし弱くて下弦の鬼と何が違うの?って感じがします
最後のとどめもねづ子の太陽克服に持っていかれちゃっていますし
太陽のシーンは重要だしいいエピソードですが、この太陽のシーンのせいでただでさえ微妙な今回の鬼がもっと微妙に見えて、
そんなにあっさり倒せてしまう上弦の鬼相手に死んだ煉獄さんや戦闘不能になった宇随さんが相対的に弱いように見えてしまうんです、今までの死闘はなんだったの?って
(私は煉獄さんや宇随さんの活躍を穢したくないので、今回の上弦が弱いだけだと思いたいです)
そこが微妙と言われる理由だと私は思います

この編の見どころはとにかく無一郎やみつり、玄弥の活躍とねづ子が太陽を克服して人間にちょっと近づくシーンでそこがしっかりしているから良かったですし、これまで苦しんで苦しんで、勝っても後味悪いことばっかりだったから、たまには「良かったね」で終われるのもいいんじゃないでしょうか!

{/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 37

74.2 5 2023年度の兄妹アニメランキング5位
青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない(アニメ映画)

2023年6月23日
★★★★☆ 3.9 (94)
493人が棚に入れました
高校二年生の三学期を迎えた梓川咲太。
三年生の先輩であり恋人の桜島麻衣と、峰ヶ原高校で一緒に過ごせる学生生活も残り僅かとなった。
そんななか、長年おうち大好きだった妹の花楓は、誰にも明かしたことのない胸の内を咲太に打ち明ける。
「お兄ちゃんが行ってる高校に行きたい」
それは花楓にとって大きな決意。
極めて難しい選択と知りながらも、咲太は優しく花楓の背中を押すことを決める。
『かえで』から『花楓』へ託された想い。
二人で踏み出す未来への物語。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

自己同一性を取り戻すための花楓のお受験

引き続き原作未読で劇場鑑賞。

【物語 4.0点】
ゆったり。

元々60分の短尺予定の所、最終的に73分に。
前作『ゆめみる~』は90分弱に要素を厳選して押し込み、
私など刺さる人にはカタルシスをもたらす傑作に。

一方、本作はジックリと妹・花楓の進路を見守る感じ。
前作みたいに集中力を上げて急展開に付いていこうとイレ込むと、
思わぬスローペースに面喰らうかもしれません。

花楓の“思春期症候群”は{netabare} 2年間入れ替わった別人格のかえでに記憶を取って代わられる。
その背景にはイジメからの不登校という高ストレスがあった。{/netabare}
花楓は未だ他者からの視線に過剰反応する症状を引きずっている。
その上、欠損した過去の記憶の空白とも折り合いを付けようと苦慮している。

そんな花楓が懸命に人生を選択し高校受験に挑んでいる姿を見たら、
私はテンポはゆっくりで良いからとしか言い様がありません。


偏差値や内申点の厳しさを度返ししてでも、兄・咲太や“みんな”と同じ公立高か?
妥協して花楓の学力レベルに合った、内申点評価の少ない私立か?
“普通”の学校での人間関係が花楓にとって苦痛ならば、通信制などの選択肢もある?

特に通信制については“ちゃんとしていない”イメージ払拭のため、
説明会に留まらず、当事者の生の声を聞きに行くという展開を挟むことで、
花楓自身は本当はどうしたいのか?熟慮を深める。
過去の自分とのポジティブな折り合いの付け方について示唆を与えた“取材”には、
普遍的なメッセージ性がありました。


一点“リアリティの無さ”に好感したのが、子供の進路にお金の話を持ち込まなかった事。
親の経済的負担という“ノイズ”を挟まなかったことで、
焦点を、花楓の心の問題に絞れていたと思います。
(不純な私は、あれだけサポート充実した通信制高校は、お値段も中々なんだろうなとの雑念に囚われていましたがw)

兄・咲太もまた冒頭から{netabare} ランドセル背負ったロリ麻衣先輩が見える{/netabare} という症状に見舞われ、
冬公開の次作への伏線に。

咲太の問題には家庭事情も絡んでいると思われますが、
少なくとも妹の学費の心配をおくびにも出さなかったあの親父さんは、
良い父親だと感じたので、咲太の行く末も私はあまり悲観していません。


【作画 4.0点】
アニメーション制作はTVアニメ版以来のCloverWorks。

繊細な表情描写で花楓の心の揺れ動きを捉える。
それ以上に私の脳裏に焼き付いたのは咲太。
特に{netabare} 保健室にて妹を見舞う際に話しかけられた先生に見せた鬼の形相。
それを見た先生の、深入りして刺激しないようにとの神妙な面持ちw{/netabare}

尺に余裕もあったので、物思いに耽るシーンも多々あった本作。
江の島を始め、至る所にたそがれることができる海岸が点在する藤沢市周辺。
パワーありすぎです。

目をみはったのが、のどか所属のアイドルグループ・スイートバレットのライブシーン。
咲太が花楓の視野を広げる話の取っ掛かりに使われたライブですが、
手描き重視で結構力が入っていて、この場面だけは妹の話そっちのけで身を乗り出しそうになりましたw


【キャラ 4.5点】
咲太は相変わらず“絶口調”
年上のお姉さんに対しても減らず口は叩くものの、
ギリギリ怒りを買わずに、君面白いこと言うねという感じで可愛がられる、絶妙な塩梅で毒を入れてくるw
今年、映画館で一番笑いましたw

咲太とヒロインズの掛け合いを眺めていて思ったのは、
やはりユーモアを交えるだけの余裕のある男はモテるなと。

私も大概、ハレーム主人公の爆発やブタ箱行きを願ったりするしょーもない男ですがw
そのクセ、いざ美少女を眼前にして刺激的なトークができるかというと全く自信がありません。
私だったら、古賀ちゃんと同じ職場というだけで平常心を無くしちゃいますしw

因みにMOREDEBAN気味な古賀も含めて各ヒロインズにも、
当初予定から伸びた尺を使って出番は確保されています。

そんな咲太が、妹の窮地となると、余裕も自分もかなぐり捨てて飛んでいく。
次作に向けて咲太のかっこ良さを再認識させられました。


その他、スクールカウンセラーのお姉さんや、通信制に在学する子の母親など、
脇の大人たちも進学について多角的に捉える好材料となる。


【声優 4.5点】
花楓役の久保 ユリカさん。
思えばラブライバーにタスケを求めていた時から、
高音に感情を込めるボイスには光る物がありましたが、
本作ではその特性が遺憾なく発揮されていました。


咲太役の石川 界人さん&麻衣先輩役の瀬戸 麻沙美さん。
麻衣に毒づきつつ、最高に可愛い彼女だと高々と持ち上げる。
怯まず“口撃”する麻衣さん。
スパイシーなのろけトークで余人が立ち入れない聖域(サンクチュアリ)を構築。

お二人の掛け合い演技があまりにも円熟し過ぎていたせいか、
スタッフから「老夫婦みたいになってるからもう少し若さが欲しいな」と注文される笑撃エピソードもw

麻衣は花楓を物心両面で支える絡みも多く、
瀬戸さんの演技からは早くも頼れる“義姉”の風味が醸し出されていました。


今回、出番が多かったのが{netabare} スイートバレットのセンター広川卯月役の雨宮 天さん。
通信制を知る先輩として、花楓に人生経験を伝える重要な役回り。
正直、自称パンツはかないアイドル役に何で天ちゃん?と訝しんでいた私ですが、
本作のための起用なら納得です。{/netabare}


【音楽 4.0点】
劇伴担当はTV版以来のfox capture plan
前作劇場版からのフィルムスコアリングを継続し心情に寄り添う。
今回は音楽も作品リズムに合わせた穏やかなピアノ曲等が目立った印象。
ですがここぞの場面では、険しい音で揺さぶって来ます。

ED主題歌はお馴染みの「不可思議のカルテ」
歌唱は{netabare} 梓川かえで&梓川花楓のデュエットで未来へ向けてアイデンティティが確立。{/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 24

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

【お兄ちゃん、私“も”頑張るから】本当に描かれなければいけなかった物語の続きを満願の想いを込めて映像化する素晴らしさを紐解きます

2018年秋期に『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』のタイトルで全13話のテレビシリーズが放送され、2019年にはテレビシリーズに張り巡らせられた伏線を回収する映画『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』が公開された通称『青ブタ』
巷で「思春期症候群」と噂される不可思議現象を発症したヒロイン達との交流や青春模様を描くライトノベル原作の青春SFです
本作はその直接的続編であり、主人公の梓川咲太(あずさがわさくた)の妹である梓川花楓(あずさがわかえで)をヒロインとした物語が描かれる73分の映画



『ゆめみる少女』で最愛の恋人、桜島麻衣(さくらじままい)の事故死や初恋の人、牧之原翔子(まきのはらしょうこ)の病死、さらには自身の事故死といった未来の事象を全て回避する方法として【今見えている現実が全て夢だったと思春期症候群を発祥した翔子に認知させる】事を選んだ咲太
結果的に時間は遡り、初めから翔子には出会わなかったものの、翔子に関する事意外の全ての出会いや事象をもう一度繰り返して麻衣やヒロイン達との関係をやり直し、さらには病気を克服した翔子と再会した際に翔子に関する記憶までもを取り戻した
程なくして受験シーズンが訪れ、いじめによる不登校から立ち直った中学3年生の妹、花楓にも進路選択の期限が迫る
花楓は心の痛みが身体の傷となって具現化する思春期症候群を発症した後、「かえで」というもう1人の人格と入れ替わってしまった過去がある
「かえで」の成長を見届けた咲太だったが「かえで」の人格は思い半ばで消滅し、本来の「花楓」が戻ってきた
「かえで」の消滅に思わず虚しさを隠せなかった咲太だったが「花楓」が戻ってきたことは祝福したい
そんな咲太や麻衣らは「花楓」の受験を応援するのだが彼女の進路は前途多難な道のりである事は明らかだった・・・



テレビシリーズや『ゆめみる』からメインスタッフが続投している点が何よりありがたいですね
昨今、鉄は熱いうちに叩けの理論でスタッフやキャストを変更して続編やリメイクを作るアニメも多いのにです
『ゆめみる』までのClover Worksのプロデューサー、木田和哉氏は2019年12月のアニスタで「これからはファンとして原作の行く末を見届けたい」と発言されてたので、てっきりClover Worksは『青ブタ』から手を引くんだな、と思ってました
ですが、あの発言は木田PがClover Worksを退社されてavexに移籍する、という意味だったみたいですね
そしてスタッフ舞台挨拶で『ゆめみる』の制作中には本作の制作の話が出ていて、その時点で増井壮一監督は本作の監督を快諾してた様です

その一方で増井監督には『天地創造デザイン部』や『アキバ冥途戦争』が、シリーズ構成の横谷昌宏先生には『トロピカル~ジュプリキュア』や『はたらく魔王さま』が控えていた事から察するに、(間にコロナ禍を挟んだ事を踏まえても)メインスタッフの手が空くのをわざわざ待っていたという事が分かります
昨今これほどスタッフやキャストの配置に拘るシリーズは珍しいと思います
ありがたいことです


またエンディング主題歌が5年間変わらずに「不可思議のカルテ」なところにも注目したいです
こんなに1つのエンディング主題歌に拘っている作品は『ガルパン』と『青ブタ』ぐらいなもんですw
そんな「不可思議のカルテ」ですが予告編では「花楓ver.」が流れています
ですが実際の本編を観るとこのver.は一切流れないことに気付くかと思います
そう、つまり嘘予告ですw
予告の主題歌が嘘だったアニメ映画というと同じ角川ラノベのSFアニメ『涼宮ハルヒの消失』を思い出しましたw
嘘予告ではありませんが似た様なパターンでは『呪術廻戦0』の「逆夢」もあります
凄いwこんなことをやるアニメ映画はかなり珍しいんですw


さてトークショー等ではあまり語られていませんが本作では「花楓」が食事を取るシークエンスが2回登場します
実はこの2回とも「花楓」を演じる久保ユリカさんはパク音(いわゆる「モグモグ」と口で言うアドリブ)を出してるんですね
それがどうした?と思う人もいるでしょうが実は『青ブタ』では演出上、「かえで」以外はパク音を禁止しています
コレはテレビシリーズのオーディオコメンタリーで言及されていて、【『青ブタ』はリアリティー重視なのでモグモグと言って食べるヒロインは存在しない、ただ1人初めから虚構の存在である「かえで」を除いては】と岩浪美和音響監督が解説されています
それは『ゆめみる』でも徹底されていました
では何故『おでかけシスター』では突然「花楓」はモグモグと言い出したのでしょうか?

これはつまり「花楓」が「かえで」の日記を読んで「かえで(理想の妹)」に成り代わろうとしていると受け取れます
コレが分かると一見して幸せそうな食事シークエンスも凄く物悲しく見えてくるんですね

『青ブタ』という作品が如何に計算され、真摯に、丁寧に作られているのかよく解る演出の1つだと思います


あと以前のレビュで双葉理央(ふたばりお)の髪型が日付が奇数ならナチュラルロング、偶数ならポニーテールだという法則を発見したと解説しました
本作で双葉が登場するのは1月20日なのでポニーテール、つまり私の発見した法則の通りというわけです


それとまあ、ミトンしか持っていないはずの花楓が入試当日は5本指の手袋をしているのは一体誰が用意してくれたものなのか?といった想像出来る余地も残されているのがニクい
ミトンだと入学願書を鞄から出すのですら苦戦しましたからね;


さて本作は『ゆめみる』という壮大な物語の為に後回しにされてしまった本来描かれるべきだった「花楓」というキャラを改めて描く、とても前向きな物語です
その一方で高校生編の完結作となる次回作『ランドセルガール』への伏線でもあります
いよいよ公開が迫る、『ランドセルガール』を心して待ちたいと思います


【備忘録】
川崎チネチッタ2回、立川シネマシティcスタ極音1回、eスタ1回、jスタ1回、バルト9 6回(7番スクリーンだと左右に画面切れあり)、TOHO新宿1回、109湘南1回(5番スクリーン色温度高過ぎ、真っ青)、池袋シネリーブル1回
計14回鑑賞

投稿 : 2024/12/28
♥ : 11

lumy さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

劇場でちゃんと観ました。

原作未読、テレビ版・劇場版1作目視聴済み。

劇場版1作目は、映画館で観なくて後悔したので、
本作はどんな酷評レビューがあっても
観に行こうと思っていました。

事前に上映時間が短いのが少し気になっていましたが、
青ブタファンなら、続編を制作してくれただけで十分で、
結局時間は全く気になりませんでした。

むしろ、話は冗長にならずに済むし、
作画のクオリティは高く、表情も繊細だし、
不可思議のカルテが素晴らしい高音質で聴けたし、
何も言い残すことはありません。

それにしても、咲太はホントいいやつですね。
青ブタは女性キャラがもちろん魅力的ですが、
咲太という人物は、数ある作品の主人公の中でも
自分もこうありたいと憧れてしまういいやつです。
本作は、そんな咲太が家族である楓のために
頑張るお話なので、そりゃいい話になるに決まっています。

劇場版3作品目、心待ちにしています。

※すごくどうでもいいのですが、映画を観ているときに
 黒い点がスクリーンの上を行ったり来たりして、
 どうやら虫が映り込んでいたようです。
 (最初、自分がいきなり飛蚊症になったのかと思いましたw)
 お詫びに劇場から、本作をもう一度見れる特典をもらえたので、
 書きおろし色紙が(ダブらなければ)もう一枚手に入りそうですw

投稿 : 2024/12/28
♥ : 16

67.0 6 2023年度の兄妹アニメランキング6位
白聖女と黒牧師(TVアニメ動画)

2023年夏アニメ
★★★★☆ 3.4 (128)
459人が棚に入れました
とある教会。そこには可愛いけどだらけグセのある聖女さまと、真面目で過保護で料理上手な牧師さまが住んでいました。 穏やかな日々の中で、密かに恋する聖女と鈍感な牧師が繰り広げる、"無自覚いちゃラブコメ"。 もどかしい二人の関係が行きつく先は――!?

たナか さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

nuclear self

きららライクでやさしいせかいなゆるふわほっこりほんわかメルヘン。
恋愛モノというより擬似家族モノの比重が強めな少女漫画。

もともとTwitter4コマ漫画らしいがなかなかうまく再構成されてる。

はわわロリがはわわするやつ。健全なお花畑仕様でお子様にも安心。役職上からの絡みで距離感にも嫌味がないうえ、同居のサクサク展開でタイパに優れ、背景CGのさりげなさもグレイト。OPはクラリスのゆるふわ感が最高にマッチ。EDはキャラソンにして欲しかった。

キャラデザは原作より萌え度ダウン。ヘーゼリッタは2ランクダウンな印象でセシリアを立てる役回りへ。きららっぽい見た目に反してそこまで内輪に閉じてるでもなく程々に外部が絡むことでTwitter漫画らしからぬ奥行きが出ててなかなかお見事な仕事。各キャラの役割分担はきららレベルにわかりやすい配置だが、ブッコミ要員小僧のエリックや明言装置姐さん占い師ミルなどもあまりしゃしゃり過ぎない塩梅が絶妙でいいバランス。

12
なるほどこういう落とし所ですか。原作未完だしな。

アニオリで無理矢理白黒つけないところに原作愛を感じる実にいい仕事。最終回でのミル姉さんとエリックの会話はこの作品に向けられる的外れな難癖に対する皮肉のようで微笑ましい。触れ合いによる機微を細やかに描き各々のささやかにみえてたくましくもある成長加減にほっこりする少女漫画らしい繊細な味わい。ハードコアを好むジロリアンには薄味過ぎるかもだが、たまにはこういう箸休め的なやさしい味も悪くない。Twitter漫画原作のアニメとして見れば完成度は高いと思われる。

ラブコメアニメ=メンヘラバトルは今や昔。時代は変わったのでしょう。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 6

タイガー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

『ちまよったんッスかぁ〜』

恋する聖女様と鈍感な牧師様の優しいラブコメ

キャラデザ◎可愛いしかっこいいし。
声優さんも◎優しい声質で溢れて口角上がる
op.edも作品らしいし◎

でもこれ聖女と牧師である必要性あったか?w
牧師以外の前でゎキラキラした聖女様って設定どこいった?ってくらいずっとオドオドしてたw

牧師様鈍感通り越してもうきっと男でゎない。w
女に興味なさすぎるし、聖女様をウサギさんの人形とでもおもってんのか!!と思ってしまうレベル。

イベントも少なめでキュンシーンも少なめで優しい感じで、終わりもぽいな。って感じでw

ツッコミどころ多いけど穏やかに視聴した作品

投稿 : 2024/12/28
♥ : 2

うぐいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

動画工房得意のほのぼの日常系優しさマックス癒し系ラブコメ

働き者の牧師と一緒に暮らしている聖女のお話。

ストーリーが特別面白いかというとそうでもないが、それぞれのキャラの個性とその関わり方に癒される。

キャラ絵は動画工房らしく丸みのある可愛い絵。

実は暗い過去を背負ったりしているキャラもいるのだが、ネガティブさが全面に出ないように作られており、見ていて安心。

牧師の方が超が付くほど鈍感だが、わざとらしさもないので温かく見守りながらの視聴。
もう一度は見るかもしれないが、何度も見るって感じではない。
それでも良いアニメだった。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 2

69.9 7 2023年度の兄妹アニメランキング7位
MFゴースト(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (125)
364人が棚に入れました
『頭文字D』より未来、西暦202X年。車の自動運転が普及した日本。そんな時代に、公道の自動車レースが開催されていた。世界中で人気を集めるレースの名はMFG。ポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニなど最速を誇るマシンが次々に参戦していた。一方、イギリスのレーシングスクールを卒業したドライバー、カナタ・リヴィントンは、ある目的を果たすため日本に帰国するのであったー。
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

レースアニメではなくて自動車スノビズムアニメが見たかった。

 車が速さを競う時代から快適性、安全性、燃費になり今やEVの時代です。本作は、ある意味ガソリンエンジンに対するノスタルジーです。頭文字Dの時代にはこんな世界が来るとは思ってませんでした。

 ガソリンエンジンの速さの追求ということ自体がもうフィクションですが、その精神を引き継ぎ、富士山の火山活動を上手く設定に取り込んで作品に仕上げたなと言う印象です。

 ですが、作品の質はそれほど高いとは思えません。WHYの部分をもったいぶりすぎです。藤原拓海あるいは高橋涼介の名前に作品を頼りすぎています。
 そしてキャラが絞れていないし、エンゼルちゃんに意味もなく注目しすぎです。頭文字Dの時はそちらはそちらでちゃんとドラマがありましたけど、今作はお尻要員で終わってます。キャラで言えば主人公をハーフで日本語片言にしたので内面が見えないのも大きなマイナスです。

 アニメ化によってレースシーンが素晴らしいものになったので、かなり原作より見やすく面白くなっていると思います。
 が、本作で知りたいのは女子でもないし、他のドライバーでもないし、突き詰めればレースそのものでもないです。車の速さに関するスノビズムつまり「教養をひけらかす俗物根性」のマンガで「知識を得た気分」を堪能したいわけです。それがどれほど正確かはどうでもいいです。「自動車の速さを追及するとは?」をそれらしく見せて欲しかった。その点をDでは親父や高橋涼介をはじめとしたサブキャラが担ってました。本作はサブキャラが「いる」だけです。

 つまり頭文字Dはレースマンガではなく、自動車マンガだったということです。本作は今のところパワーウエイトレシオ云々で始まったのに、レースマンガになってしまっています。そこが面白くなりきれない理由でしょう。

 2期も決まったとの事ですが、展開が今と同じなら途中で飽きるかも。ですが、1期は最後まで毎週ある程度は楽しみに視られたのでそれなりに高い評価をします。レースシーンは良かったです。




以下 視聴時のレビューです。


1話 人気的には車でも描きたいのはJK。苦肉の策という感じ。

{netabare} たしか12、3巻くらいまで既読です。しげの秀一氏は「頭文字D」の最後ほうはモチベーションを失っていたので、その続編というのが不思議な感じです。
 「高嶺の花」「セーラーエース」などを連載しているところを見ると、この人は多分もともとは車、特に86が好きだったんでしょうけど、本当のところは女性を描きたいんだろうなあ、という気がします。「ドッピーカン」というのもありました。

 ただ、です。不幸なことにこの人圧倒的に女性を描くのが下手なんですよね。内面がないというか設定だけというか…頭文字Dの「茂木なつき」も拓海に感情移入したストーリーには乗れるんですけど、なつき本人に奥行がありません。単なる作者のNTR好きというか…軽井沢のコンビなども女かきたいから描いたという感じでキャラ描写は弱いです。

 ですから、女性主人公ものは皆短期で連載が終わっているみたいです。正直ほとんど読んでないです。

 本作はその折り合いをつけたんでしょうね。エンジェル7番ちゃんに視点を置いて、エロい恰好をさせてルッキズムとか絡めて何とかモチベーションにつなげたんでしょう。JKとの恋愛ものが描きたかったんでしょう。
 ただ、残念ながら長期休載をしていますので、その内心はどうなっているんでしょう?正直10巻を越えてくると絵がかなり荒れています。顔の輪郭や線、デフォルメ表情の比率がかなり高くなって、絵描くのも面倒なんでしょう。そしてなんかつまらなくなる感じです。

 過去作の名前借りというのもちょっと描くものに苦労した感じです。あだち充氏のMIXもそうですけど、熱が伝わってこないですよね。

 まあ、テーマとしてはガソリン車へのノスタルジー、あるいは未来のカーレースの在り方なんでしょうけど…頭文字Dでドライバーについてはやり切った感があります。やるとしたらテクノロジーとの融合…でしょうか?いや、この人はそっちにはいかないでしょうねえ。車と女と過去の人気作。晩節を汚さないで綺麗に終わらせられるのでしょうか?

 アニメ版でどうしてくるか。映像というのは強みですから、見守りたいと思います。 {/netabare}


2話 あーやっぱりレースものはアニメの映像がいいですねえ。排気音と音楽。そして尻。

{netabare} 続編だよりだとか、JKだよりだとか、いろんな批判を1話でしましたが、やっぱり排気音とエイベックス的音楽とがあって、レースシーンはアニメで魅せられると格別ですね。

 あの角刈りの男がうるせえとか、高橋涼介ってわかってんだからもったいぶらなくていいとか、いろいろありますけどね。
 そして、性癖を隠さない潔い尻がいいですねえ。レーシングカーに水着女性(正しくはレオタード?死語?)は今やご法度になってしまいましたが、やはりメカに水着美少女は画になります。現実でできないならアニメくらいは、と思ってしまいました。

 なお、グリップウェイトレシオって、今の解説だとパワーウエイトレシオが高い方が上りで有利ということで外車がいいということ?かなあ。マンガよんでるんですけど、そういう解説すっ飛ばして読んでました。
 素人考えですけどブレーキの効きと耐久性、サスペンションの問題、車体の剛性があるのでそれでも軽量化の意味はあると思うのですが…それがドライバーのテクを引きだす?

 ちょっと興味でてきました。アニメだとマンガよりかなり面白く感じます。ドローンのアイデアもいいですし。富士山の噴火も面白いですねえ。レース中のうるさい男だけいなければ最高です。{/netabare}


3話 レースは良いけど結果の理由が欲しい。JKラブポエムが恥ずかしい。

{netabare} レースは面白いし、結果もまあ、それがいいでしょう。長い作品なら負けから這い上がって行くパターンもありますが、天才肌の主人公ですし展開はいいです。
 ただ、なぜそういう結果なのか?の理由とか理屈が欲しいなあ…溝落としとか、グループAのエンジンとか。イニシャルDの時はそういう屁理屈が非常に魅力的でした。決勝までの流れで何か説明があるといいのですが。

 で、その代わりがJKのラブポエムですかあ…うーん。そうあって欲しい気持ちはわからなくはないですけど…まあ、いいでしょう。それが創作物です。かなり恥ずかしいですけど、それがマンガの良いところです。

 ということで、イニシャルDのような名作になる感じはあまりしませんが。テンポと盛り上がりが素晴らしいです。ドローンの最高時速とか押さえるべき設定はちゃんとおさえてました。

 アニメの背景は実写おこしのような感じですが、中にいるのが車という無機物なので調和が取れてます。そこは上手い処理でした。 {/netabare}


4話 技術的な視点と世界観の作り方が上手いんでしょうねえ。

{netabare} トラクションコントロールとかタイヤマネージメントとかそれっぽい話になってきました。やはり前作同様にドライバーの技量こそレースの本質と言う話になるのでしょう。こういうメカ的な解説はやはり男心をくすぐります。

 なぜ「頭文字D」とか本作は面白いのかと考えると、世界観かなあと思います。公道レース…本当にグンマ―のそれぞれの山にチームがいて夜な夜な走り屋たちがバトルを繰り広げているかどうか知りませんが、その世界観がストーリーを支えました。しかも、下りのスペシャリスト、ドリフト最強という発想。

 本作においてもEV化の中で、噴火が起きて無人になったらしい箱根・小田原の行動をレース場に見立て環境上等の大排気量のガソリン車が走る。近未来感がある設定は本当に上手い。ドローンを活用してレースを世界中で楽しむのもいいです。
 首都高でもレース場でもないところが他に類を見ません。そして「トヨタGR86」はやはり「頭文字D」の藤原とうふ店のパンダトレノがあったからこその人気で復活した名車だと思います。それが更に新しいマンガに登場するという実車と創作の相互関係も面白いです。
 今時のうるさいコンプラ警察にも対応した上手い設定だなあと思います。

 メカと半裸美少女ということで、女性からどう見られるかわかりませんが、やはり男心をくすぐります。

 まあ、この後の展開を読んでいるのに覚えていないということは、あまりストーリー性がないのかもしれませんが、しかし、アニメで見るとかなり面白いです。今後に期待できます。

(なお、環境上等と書きましたが、レースによって効率のいいエンジンやタイヤその他の部品は開発されます。環境負荷など考えるとEVよりも効率がいいガソリン車の方が優れている気もします){/netabare}


5話 Gの表現が凄い。面白い要素満載。尻。久しぶりにアニメで手に汗にぎりました。

{netabare} アニメのレース場面で車というのは一見固い塊です。だから、迫力を出すために音楽や効果線、実況をヒートアップさせます。でも大事なのはそれだけではありません。「G」つまり「加重」です。

 5話のレースシーンはそこが本当に素晴らしかった。左右のGだけでなく、ブレーキングや加速の時のサスペンションの動きの表現がとてつもないリアリティを持って迫ってきます。
 宮崎駿の…うーん例えば「カリオストロの城」のカーチェイスの加重も有名ですが、あれはアニメ的な動きとして優れていても、リアリティがありません。本作はその点で、車が生きているように表現されていました。

 マンガは止め画なのでその点でアニメで見る意味が多いにあります。

 また、外国車スーパーカーへの憧れ、非力な人間・車が上位勢に互して戦う。ワクワクする要素です。「判官びいき」は日本の伝統です。

 身バレですね。「一見非力っぽいけど、あ、あの…伝説の…」をやってくれました。このストーリーが非常に上手い。「頭文字D」と同じといえば同じですが、その「伝説」を逆手に取った続編の作りとして、王道ではありますが「実はスゲー奴ですけど何か?」的な異世界転生ものの主人公の設定を丁寧にやったような爽快さとカタルシスがあります。

 レースの他のメンバーの映し方。外の車が単なるモブではなく水準の高さが分かります。その高度なレースの中で主人公が活躍するという部分が自然に描けています。そして「じらし」です。早く主人公の抜くところを見せろ、というのが手に汗につながります。
 それぞれの考え方やスタンス、技量を見せる事でテーマを浮き彫りにしつつ、人間が競い合っているレースを表現していました。
 しかも、兄妹で通信することでいかに主人公が凄いのか、ぎりぎりの世界なのかまで表現していました。

 そして、やはり軽量とテクニックがタイヤマネジメントの問題につながりそうな感じです。トラクションコントロールを切るのと関係があるんでしょうね。
 これが技術的なスノッブ感です。マンガを読んでその分野がわかった様になる。この錯覚が大切です。
 そのアニメ・マンガ・小説が扱っている題材に対して、最近の作品はこの知識的なスノビズムのストーリーへの織り込みが足りないです。つまり、取材・知識不足です。この作品はそこが優れています。

 で、尻ですねえ。まあ、これはいいでしょう。

 5話は面白い要素が満載の上に、車のGの表現で優れたアニメ表現を見せてくれました。久しぶりにTVアニメで手に汗握りました。面白い。最高です。


追記 更に、こういう理屈をこねて頭を使わなくてもストーリーを見ているだけで、感覚的に感情を刺激してくるのが、上手いです。ひょっとしたら原作を過小評価していたかも。


再追記 なお、同時期のレースアニメ「オーバテイク」のレース場面ですが、難しいですよね。フォーミュラカーは性能が良すぎ、形状の関係でGがあまり外見ではわかりません。
 正直実写のF1レース場面でもスピード感が感じられませんし、止まっている様に見えることがあるくらいです。固定カメラで目の前を通り過ぎれば過ごいスピードなんでしょうけど、それだと影しか見せません。
 アニメCGで「優れた描写」をやってしまったから、かえって迫力がないという矛盾がある気がします。実写ではだからこそのオンボードカメラなんでしょう。その辺の表現はアニメならではを出すしかないでしょう。{/netabare}


6話 内容はちょっと小休止回。パンツのズレは生々しすぎてやりすぎかも。

{netabare} ちょっと疑問なんですがヤジキタ兄妹を抜く理由って何かあった?結局ヤジキタ兄妹は最速ラインで走っていて、途中86に抜かれた分のロスは少しはありますよね?
 で、カマボコストレートというところでカナタがスリップストリームに少し入りますが、ストレートは絶望的な86ですからヤジキタ兄妹が引っ張ってもらう意味もなく、一瞬で出てしまいます。

 この流れだと、抜くところからカマボコストレートまで兄妹に自由に走らせていた方が、タイヤにも優しいし良いのでは?というのは見方が間違ってるのかな???

 6話は話も進まず、レースもそう言うわけでポルシェその他の外野のバトルもあまり迫力はなかったですね。

 で、その代わり尻なわけですけど…うーん…うーん…ヒロインだけでいいんじゃね?と思わなくはないです。そっちをそんなに見たいアニメじゃないんで。あとアニメで生々しいパンツのズレとかあんまり見たいわけじゃないです。そっち関連は美しいアニメ表現か、記号化された爽やかなエロか、本格的なアダルトならいいですけど。やっぱり原作者がどうしても女の子描きたいのかなあ? {/netabare}


7話 テンポの悪さ、話の焦点が絞れてないのがここに来てネックになっている気がします。あだち充氏の「MIX」と同じ老いが感じられます。

{netabare} 原作を途中で止めた理由が分かった気がします。レースの駆け引きや車重、タイヤマネジメント、ドライバー、グリップウエイトレシオ等々を説明するために、いろんなドライバーに視線を移し過ぎですね。
 レース前半の盛り上がったところでそれを入れるのは、臨場感という意味では良かったんだと思いますが、しかし、主人公が気になってるのにちょっと焦れますね。

 それとヒロインは初めに尻だけちょっと映せばいいでしょう。途中の娘とのやり取りはいらないかなあ。レース場外は今まで説明のない17歳フェチだけでいいんじゃないかな、と思います。そのシーンも無駄に長いし。

 つまり、話のテンポがここに来て停滞気味なのと、何を見せたいかの絞り方が中途半端な気がします。

 となった時に、あだち充氏の「MIX」との類似性、その見せ方の氏とは思えない展開・テンポの悪さと重なってくるかなあ。大胆な時間的省略、話の取捨選択が持ち味だったのに、冗長になってきています。それは新しい話を産み出せない老いなのかなあ、という気がします。

 6話で停滞感があったのに、7話もこのテンポですからねえ…6,7話をまとめてもいいくらいでした。{/netabare}


8話 こういうのが見たいんだよ、ですね。

{netabare} 6,7話の停滞感が8話のカタルシスの為だったのかなあ、と思わなくはないですが、要するにレースアニメとして8話のようなのが見たかったということですね。

 今週原作を改めて読みましたが、圧倒的にアニメが見やすいし面白いです。原作は6~8話の対象部分は内容はほぼそのままなのですが、肝心の車の絵が荒れていて見てられませんでした。女子ばっかだった理由がわかるきがします。
 要するに7話が女子だらけだったのは、構成とか内容ではなく女子が描きたかっただけかもしれません。

 ということで、このレースの結末はその時知ったので内容については書きませんが、アニメ化が良かった意味は8話のような場面で強く感じました。

 変な言い方ですけど、水着の女子が最高の公道レースをやるマンガを描けばいいのでは?と思わなくはないです。しげの氏は女子のレーサーって負けキャラっぽいのしか描きませんよね?そこだけは男の世界っていうポリシーかな?{/netabare}


9話 レースシーンは素晴らしかったです。ただ、内容で言えば頭文字Dのドラマ性とか能書きとか緊張感とかワクワク感とか女子とかいろいろ落ちると思います。スピンオフという感じかな。

{netabare} 表題の通りです。レースシーンのCGは素晴らしいと思います。女子もそれなり以上に可愛く描けているし。ですが、画面のクオリティ以外では少々ドラマが退屈です。

 最終話まで見ると思いますが、原作も読んでしまったし、レビューはここまで。最終話でちょっとコメントをいれます。

 評価は作画は5でいいでしょう。ストーリーは3でキャラは3.5。音楽は3.5、声優は3.5かな。要するにオール3より少しいい面はありますが、作画以外はまあまあという作品だと思います。{/netabare}



10話 本来は今週のおっさんたちの話みたいのがもっと欲しかった。

 今週のオッサン2人が車の前で話しているようなのを、もっと入れて欲しかった。プラス車が実際に分解されていたりパーツを具体的に見せてくれればもっと良かった。ドライビングテクニックの方の説明が「藤原拓海」の名前に頼っているので、どういう技術が胆になってくるかの説明がそろそろ欲しいです。

 というわけで、1クールだとするともう終盤ですけど、ほとんど導入という雰囲気で終わってしまいましたね。実際は原作の巻数で言えば進んでいるみたいですので、原作が如何にかったるいかがわかると思います。

 アニメ作品としては面白いよりの普通、10段階評価で7か6か迷うかなという内容です。レースの迫力は評価します。

 という感じです。今期でいえば4番目か5番目かくらいの作品です。年間でベスト10は無理だけど20には入るかなあ…完走は余裕ですが、心には残らないし再視聴もしないかなあ…という感じです。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 21

「ひろ。」 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

2話で惹き込まれました^^。(5話まで視聴して)

原作未読です。
「頭文字D」は原作既読です。「頭文字D」アニメ版はつまみ食い程度でほとんど視聴できておらず><。

>2話まで視聴して
1話視聴時点では、正直あまり興味湧いてませんでしたが
2話で、一気に惹き込まれました!!。

まあ正直、個人的トリガーとなったのは
レースシーンがしっかり描かれたことと
「頭文字D」のレジェンドキャラ達が、ちらほら見え隠れし始めてからですね!。
・・自分チョロすぎですみませんw。

視聴に乗り気になったので、ついでに改めて1話再視聴してみたら
ナレーションの”いい声”は三木さんっぽいな~と思って確認したら三木さんでした!!(大歓喜^^)。

ヒロインの声が何となく内田真礼さんかな~と思って確認したら、佐倉さんでしたね!(どっちになっても大歓喜^^)。
内田真礼さんは、たしか新劇場版でヒロインされてたので、さすがに本作も!・・ってことはないですよね。
でもでも、弟さんが本作の主人公だったのですね!。
あまり意識して聞いたことなかったのですが、弟さんも結構いい声されてますね。
本作にもあってるんじゃないかな?って、原作知らない自分は思ってます。

子安さんの声も、第一声ですぐにわかったし、いいキャスティングですね~、本作♪。
wiki調べてみたら、他にも作品全般的に、豪華声優陣ズラリで、今から登場が楽しみで仕方ありません^^。

作品のテーマも、面白そうですね。
リアルな現在の世界では、各種環境破壊の実態把握から、化石燃料の使用をやめ
クルマではEV車等への移行が喫緊の課題となっているかと思いますが
もう化石燃料を使ったクルマのレースとかも、今後は淘汰されていくんですかねえ・・。
再生可能エネルギーを使ったレースのみが生き残る世界になっていくのかな??。
本作で、どういう方向性が示されるのか、興味あります。

あと、ヒロインのバイトのコスチューム。
エ○すぎませんかw?。
第三者として目に入る分には、喜ばしいのですが
親目線や彼氏目線で想像してみると、複雑になってしまいそうですw。

あ、音楽も、往年のユーロビート感が効いていていい感じですね。
クド過ぎず、さらっとさりげない感じでまとまってるように思います♪。


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>5話まで視聴して
本作も毎週楽しみで仕方ありません!!。

原作読んでないので展開がわからない・・ってのが、やっぱ面白さを増幅させてくれます。
某感想動画様みてたら、ちょこちょこ原作と構成変えてきてるようですが
うまくハマって昇華されてるっぽいですね♪。

今更ですが、OP曲歌われている芹澤優さんはヘブバンのカレンちゃんだったのですねw。
MFゴーストのOP曲、最高ですわ♪。
「ヤジキタ兄妹」も、存在感あっていい感じです。

前回の感想で、何も知らずに三木さん、子安さんに歓喜してましたが
「頭文字D」TV版で、それぞれあの方々を演じられてたんですねw。

せっかくなので、「頭文字D」TV版の再視聴を試みましたが
やっぱ展開がわかってしまってるのと、
自分が契約してるサブスクソースでは画質がイマイチで、なんかハマりきれません・・。
むしろ、先の展開を知らない本作の方が、断然ワクワクしながら視聴できてます♪。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 15

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

The ghost named 86

車のことは全然わからないのでみんなの会話が呪文みたいでついていけないけど、走ってる車の絵や音がリアルでカッコいい、主題歌もGOOD!
レースシーンもドライバーたちの熾烈な争いと駆け引きが見ごたえあって面白いですね、同期のオーバーテイクはドキュメンタリーみたいな感じだけどこちらはレース中心、どっちもオススメ!
走りやすいサーキットじゃなく一般道を走ることで、凄いスピードが出ていることやコーナリングの凄さがわかりやすいですね

欠点は、いろんなところにおじさんくさい下品さが出ているところかな?
キャラデザもなんか昭和感あるし

時々挟まれるエンジェルスのシーンはレースには必要な役割だと思うし、激しいレースの緊張感の中、息抜きになっていいと思うんだけど
カメラワークがすごくいやらしいし、エンジェルスを見ている観客のヤジが下品でおじさんくさいし、衣装は露出が多いだけでダサいし、女の子達の顔も個性的・・・
エンジェルス同士のやりとりもなんか20台?っぽくなくて、華やかさがない
わざと水着っぽい衣装のパンツの部分をお尻に食い込ませて釣りにいってるエンジェルスの子いたけど、生放送でだらしない姿が流されて一生残るのに、恥ずかしい人・・・とにかく全体的におじさんくささが出てるのが惜しいと思った

でもとても面白かったので、続き楽しみにしています!

投稿 : 2024/12/28
♥ : 19

60.9 8 2023年度の兄妹アニメランキング8位
僕らの雨いろプロトコル(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★☆☆ 3.0 (80)
259人が棚に入れました
母と妹との3人で暮らす高校2年生・時野谷 瞬。 事故による父の死と、妹の怪我をきっかけに、熱中していたゲームを辞めて、 今はeスポーツカフェ 「FOX ONE」で働いている。 幼なじみのゲーム友達と付き合いながら、バイトと勉強に明け暮れる瞬だが、 突如、「FOX ONE」に膨大な額の借金があることが発覚する。 借金返済のため「ザクセリオン・チャンピオンシップ」で優勝し、 賞金獲得を目指す瞬たち一同。 後ろめたい気持ちを抱えながら、 オンラインゲームの世界に再び飛び込んだ瞬の前に現れたのは、 かつて一緒にゲームをプレイしていた「ばくれつ君」だった。 未だ見ぬ出会いと経験、そして激闘… 瞬は時に悩みながらも、仲間たちと歩みを進めていく。 ゲームを通じて動きはじめる彼らの世界。 少年と家族。そして、仲間たちの物語──。

57.4 9 2023年度の兄妹アニメランキング9位
魔法少女マジカルデストロイヤーズ(TVアニメ動画)

2023年春アニメ
★★★☆☆ 2.8 (106)
255人が棚に入れました
2008年――謎の勢力の出現により、アニメ、ゲーム、マンガ、音楽、鉄道、コスプレなどあらゆるオタク文化が排除された日本。 グッズは収容され、保護の名のもとにオタクが弾圧されても、人々は自我を喪ったかのように疑問を持たない。 秩序維持を担う組織「SSC」に蹂躙され、オタクは滅びたかに思われた―― だが、封鎖されたアキバを奪還し、反旗を翻す者たちが現れる。 若き革命者「オタクヒーロー」――何よりもオタク文化を愛し、誰よりもアキバを愛する男。 そして彼を慕う3人の魔法少女たち――「アナーキー」「ブルー」「ピンク」。 2011年の日本を舞台に、自由の旗のもとに集ったオタクたち――アキバ革命軍は、SSC首領「SHOBON」との壮絶な戦いに挑む。 好きなものを好きなだけ好きといえる世界のために。 自由の旗のもとに集ったオタクたちよ、奪われた文化を取り戻すべく OTAKU COUNTER CULTURE を巻き起こせ!

猫好き さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

個人的には今季ベストアニメなのよ~~(´・ω・`)

あにこれで意外と人気無いこのアニメ。実は大好きなだけあって、私はかなりしょぼーん(´・ω・`)

それで、嫌われている理由を読んでみたところ、おたくだって色々な人が居るのに、それを全部ひとまとめにされて、世間一般のネガティブなオタクイメージで語られるのは不愉快だって気持ちからかな。いやはや、それは正当で当然な反応だと思う

でも個人的にはやっぱりこのアニメ大好き

それは、昔見たFLCLとかキルラキルみたいな、ハチャメチャな話と血圧高そうな狂って壊れてるキャラ達、そして何よりスピード感がいいのよ。尖った音楽とか、オタク相手のくせにオタクに向かってけんか売る態度。イイわ。これは、いいモノなのよ!!!

そういえば、FLCLだって当時日本ではまったく受けなかったから、この分野のアニメは、好きな人と嫌いな人が分かれてしまうんだと思う、だから評価が芳しくなくとも、気にするな

それで、このアニメ。ここまでやるんだからFLCLを超えて欲しいと思う

実際、いい線は行ってると思う。キャラ絵にもうちょっと華が欲しいって点を除けば、作画は悪くない。OP/EPともシュールなリアルさが私好み。シリアスシュールな世界と素敵な音楽の融合は純粋にかっこいいと思える。それにアナーキーを除くと魔法処女たちが本気で壊れた変態ばっかりで、狂った馬鹿騒動はいい感じ

もちろん不満が無いわけではない

特に魔法少女が出てくるのにそのシステムやはじまりの説明が無い点。三話目のオープニングシーンで一人で一周年を祝っていたおたくヒーローの元に、少女三人が箱に詰められて届けられてるけど、これが出会いだったのかな?

魔法少女が実際にどこか別の世界からの手助けなのか、SSCやその背景世界と関係があるのか、あの気の抜けたマスコットとの関係は、などなど謎ばかり。そこらへんはおいおい判明することを期待したいけど、四話目まででこの程度の開示はちょっとペースが遅いかも。もう少し色々分かってきてもいいはず

まぁ、いずれまだまだ期待してるわ。頑張ってもっと狂った話にしてほしい。がんばれ!

第四話 --
「魔法少女が現実に存在するならそれは、、、、無粋である!」

な、なにを言ってるのかまったく分からないけど、す、素晴らしい!!!
どこかツボにはまったこの言葉www

五話目 --
全般的にかなり低レベルな回。ギャグも面白くないし、狂い度もかなり低い。中ダレ回

投稿 : 2024/12/28
♥ : 5
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