阿紫カービィ さんの感想・評価
4.7
エリ・エリ・レマ・サバクタニ
9月 某日
ちょっとした お祝いのパーティを
私のお家で 開きました
私には 友人が少ないのですが
誰かが誰かを
連れて来てくれるものですから
この日は 30人以上もの
錚々たる顔ぶれが揃い
「お久しぶり」「初めまして」が飛び交い
各々 好きなことをし お話をし
笑顔が溢れる
夢かしら? そんな空間がありました
私にとって
皆が ただ ただ楽しい時を過ごすこと以上の喜びはないのですから
{netabare}趣味の良いのか 悪いのか解らない
音楽が流れ
大きな手が紡ぐ
ギターが唄い 愛が躍る
ダウナーな映画が映り
(私が所有している映画は…ひとり隠れ観るような作品ばかりばかりですので…)
そんな中で
ヤン・シュヴァンクマイエル氏の
「ルナシー」は好評でした
暫くして
遠くから「pupa」のOPが聴こえた時には
まるで 隠していたポルノが
見つかってしまったような恥ずかしさが襲いまして
急いで
これは…と 制止したのですが
「好きだ」という稀な方がいらしたことと
「観てみたい」という声に押され
赤ら顔 そのままに
その場を離れたのです
よく
「グロい」「訳が解らない」などの
散々を 言われている作品なものですので
少々心配でしたが
私が 別の場所で「お騒ぎ」している間にも
ずっと ずっと
「pupa」の
「音(気配)」がしていたものですから
気に入ってくれたのかしら?
本屋に檸檬 の気持ちでした
すると なんということでしょう!
ピュパ♪ピュパ♪と
唄う人が続出する という
異常事態になっておりました…{/netabare}
さて この作品
登場人物は わりと多いのですが
兄の「現(うつつ)」と
妹の「夢」
ふたりの 両親
この4人だけを注視すれば 興味深いお話に変わる様に思います
主に「現の語り」でお話は進むのですが
誰が「本当」を言っているのだろうか
なにが「真実」なのだろうか が
解りにくく描かれており
謎が 心地よくばらまかれているのです が
「母親の語り」が真実なのだと
私は思うのです
「pupa菌」という謎のウイルスに感染すると
身体に なにかしらの「変化」が起こる…等
いくつかの設定はあれども
設定は 有って無いようなものですので
あまり気にしない方が良いでしょう
序盤に 夢ちゃんが 獣の姿になり
むやみやたらに 人を食すシーンがあるのですが
私は「擬獣化」だと 解釈しています
「擬獣化」することで
「人を食らうは 獣の所業」とでも
伝えているかのように 思えるのです
母親の語りからも
夢ちゃんには 生まれながらに
「食人」の嗜好があった と考える方が 自然ですし
現は
pupa菌の感染者
肉体が破壊されようとも 直ぐに回復し
不死身である という特徴があります
現は
「お兄ちゃんだから 妹を護るのは 当たり前だ」
という理由から
夢ちゃんの 「活き餌」になるのです
人は
自らが タブーだと思う
「行動」や「想い」に 正当な理由をつけたがります
現は その 典型であるかのように
「生い立ちの記憶」を
自分の都合の良いように 改竄し
「義務づけ」し「理由」にして
夢ちゃんへの「愛」を隠している(認めない)のです
現は
「愛する人に頼られる」ことが幸せで
「愛する人に食べられる」ことが悦びと
心では感じているのに
ふたりの「食事」のシーンは
ベッドシーンのように とても官能的です
しかし 流れる音楽が
陽気で 柔らかいので
その 歪さが
不穏で 奇妙で
みるたび 私は引き込まれるのです
彼は
彼女だけを見て
彼女だけの 名前を 何度も何度も呼んでは
すべての「痛み」は快楽だと
彼女は
何処かの 遠くを見
「おいしい」とだけ
そんな 愛の お話
よくある お話 なのですから
理由づけは 不要なのです
そして
夢 も 現 も
境い目は ないのかもしれません
あの日のパーティーは 今も
続いているのですから
文章を 昔風?に
こねくりまわしてみたものの
ダメだー 難しいー!
お目汚し ごめんなさい
頑張ったんですけどね(汗)
読んでくださり ありがとうございました!
追悼のざわめき