任務で陰謀なTVアニメ動画ランキング 3

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早速見ていきましょう!

64.8 1 任務で陰謀なアニメランキング1位
鉄腕バーディー DECODE(TVアニメ動画)

2008年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (302)
1707人が棚に入れました
謎の古代兵器「リュンカ」の強奪犯を追って未開の惑星、地球にやってきた連邦警察のアルタ人女性捜査官バーディー・シフォン=アルティラは、犯人を探し出すためグラビアアイドル有田しおんとして活動していた。そしてついに犯人を探し出すが、追いつめる中で誤って地球人の高校生千川つとむを殺してしまう。地球よりも進んだ連邦の技術を使ってつとむの体は修復されることとなるが修復には時間が必要であり、その間の措置としてつとむの意識はバーディーの体に移され、バーディーとつとむは1つの体に2人の意識が存在する「二心同体」となる。その後なんとか犯人を倒したバーディーであったが、その代償として長年のバディ(相棒)であったロボットのテュートを失い、リュンカの手がかりも失う。

声優・キャラクター
千葉紗子、入野自由、伊藤かな恵、藤原啓治、坂本真綾、鈴村健一、名塚佳織、石塚運昇、青山穣、若本規夫
ネタバレ

聖剣 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

淡々と観てしまう、その背後の巧みさ

★★★★☆(4.0)

はじめに
{netabare}
この『あにこれ』に於いて
最も有用な使い途はコレなんじゃないかと、ここで実践してみた。
というのも、
長らく『見たい』に入れて放置していた作品を、
贔屓にさせてもらっている方々の
レビューやコメントを参考にして視聴してみること、
である。

これが放送中の作品だったら躊躇うことなんてないが、
そうでない作品に対しては、見るまでの条件が整わず…頓挫ってのが多い。
望むべきは、
放送終了から時が経ち、アーカイブ化されてしまった過去の名作を
改めてテーブルに乗せてくれた求心力。
これがどんなにありがたいことか。
この場を借りて感謝の意を表したい。{/netabare}


で、本題

(あくまで一方的に)信頼の置けるレビュアーの言葉を信じ、
それきっかけに見始めているのだから
当然、既にハードルが上がった状態で見始めているので
多少、キビシめになってしまうのは仕方ない。
実際のとこ、
中盤まではさほど話に入れ込むこともなく、
むしろ淡々と見続けてしまうのだが、
期待値からしたら、グッと来るものがないので、
ながら観したり、アラ探しみたいな見方をしてしまう。
あぁ、
こりゃ見方を間違ったか?と思ってしまい、
この時点では後悔に似た感情を覚えてしまう。

が、
見終えて分かる、この『淡々と』がこの作品の秀でたところ。

たぶん、最近のアニメ作品に慣れた人にとっては
おそらく少し物足りなく写るかもしれない。
例えば、
{netabare}人気の声優を抜擢してるわけではないし、
テンプレ化したキャラクターも見当たらない。
取り立てて作画に特徴があるわけでもないし、
お色気テイストも入れようとすれば入れられないこともなかったが、そうせず
つまるとこ、
派手さに欠け、古臭さすら感じる。{/netabare}

視聴者に媚びようと思えば、いくらでもその機会はあったはずなのに、
それを選択せずに物語を完結させている点において、
高潔な姿に好印象を持つのはあくまで個人的な感想w。
本質は、
余計な情報に惑わされず物語に集中できるという点は見逃しがちだ。


さらに構成にもちょっとした配慮が。
{netabare}
それは、なにげに説明的なシーンが少ないというとこ。
ありがちなのは、
{netabare}物語独特な設定を理解させるために
通常の会話じゃそこまで言わんだろっ!?ってセリフが散見されるが、
気になり始めるとそれこそ興冷めだ。
で、
この作品の世界観では避けられないSF設定。
でも、そこはSFに精通していない人でも知ってそうな
一般化したSF要素を選ぶことで説明を回避。
登場人物の立ち位置、特にパワーバランスなんかも
上手くエピソードに織り交ぜて、理解を促していたりして。
どうしても説明が必要な部分については
『裁判』という劇中の状況をうまく利用して、説明セリフを正当化している。{/netabare}
いやぁ、
憎らしいというか
脚本構成の巧みさを褒めるしか無い。{/netabare}


極めつけは物語のシメ方!
{netabare}
シンプルに、ラスボスとの超バトル展開で勝利し大団円という流れは
一見ベタではあるが、バーディーの戦闘方法からすればなんら問題ない。
また、
黒幕たる存在があっさり自滅するという
軽やかに定石外しをしてくるあたり
「わかっているじゃないか」とニヤリとしてしまう。

本題はこっから
{netabare}
この物語の根幹である『二心同体』から逃れた状態で最終盤に突入するが、
結局、最初と同じ『二心同体』状況に戻ってしまう。
この結末がなんともやるせない(好意的)!

つまりどういうことかというと、
この『二心同体』の普遍性が担保されたことによって
続編でもなんでも作りやすい下地を整えたということ。
加えて、
原作とは異なるオリジナルストーリーである本作は、
物語の根幹を維持することで原作の存在を脅かすことなく、
スピンオフ的位置を確かなものとしている。{/netabare}

なんとまぁ、この配慮の行き届いた終わらせ方に驚かされるばかりだ。
いっそ、この手法を繰り返して、
サザエさん時空へ突入し、際限なく新しいエピソードを量産してほしいくらいだ。{/netabare}


もし、ひとつだけ注文をつけるとしたら、
{netabare}序盤こそ出番のあった『有田しおん』の
次回予告以外にほぼ見せ場がない状態になっている点。
特に必要性は感じないが、なぜかあの間の抜けたキャラが恋しくてたまらない。
いっそ2クールにして
増えた話数で有田しおんのエピソードを増やすこともできただろう。
が、これこそ蛇足。
1クール13話でまとめきったことが、
過不足のない完成度に到達したのだろう。{/netabare}

と、まぁ
こんなふうに考察しながら見るような作品とは思わないので
『淡々と』観てもらって構わないが、
もし周回するのであれば、
ちょっとだけ注意を払って、この奥ゆかしさを堪能してもらいたい作品である。

あと、
少し長くなったのは100レビュー目ってことで許してほしいw

投稿 : 2025/01/04
♥ : 11

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

声優の演出が残念。キャストミス?

SFバトルファンタジー&ラブコメ♪

初期のOVAから12年後に作られたTV版でOVAとは外郭は同じ。
キャラや諸設定等変更されたアニメオリジナルストーリー。

所々の描写にOVAのパロ?も含まれていたりするようですが
バーディー他キャラデザはソフトな雰囲気に変更されてる。

逆に性格設定はピーキーで鬱屈した人物が多くなっていて、
千川つとむはデザインもキャラも別人。オリジナルキャラが
重要な鍵を握る役を担うなど、完全に原作とは違う作風。

序盤から如何にもSFファンタジー風の宇宙船での弩派手な
チェイスから始まるが・・学園物・産業物・宇宙物・報道
の有り様等多岐のテーマが微妙にブレあって縺れてる・・

序盤は千川つとむのヒステリックな描写が多く苛々する。
バーディーのキャラ設定もピーキーなので・・相乗的に?
演出&設定ミス?・・っと疑問を感じる部分が多くある。

無駄なキャラや無駄な台詞が多過ぎる感じで煩雑な感じ・・
ギャーギャー煩い鬱陶しいキャラが多過ぎるうえ・・尺が
無いのに無駄なシーンも多い。

要はシンプルに学園ラブコメとバトルアクションの2重構造
でも充分で、最終的には謎を解決して主人公が成長するって
話なんだし・・意味もなく複雑にテーマを増やしすぎ・・

伏線を撒き散らしてとっ散らかったままぐちゃぐちゃに展開
して詰め込み過ぎで・・方向性に一貫性もない・・各話で別
作品みたいで迷走してして何を魅せたいの?って感じ。

ホラー?ミステリー?サスペンス?コメディ?ギャグ?
何でも「混ぜるな危険」でしょ?センスがあれば別だけど。

爽やか青春ラブストーリー風のOP/EDは中高生を意識したの
か内容に対して軽くて変・・世界観とかけ離れている感じ。
BGM・挿入歌・効果音等はそれなりに癖があって面白い。

OVAの方が圧倒的に出来が良い・・そのままリメイクするか
もっとライト感覚でラブコメ風にするか、はっきりしてれば
もっと見やすかった気がする・・

後半に一気に盛り上がってドカンと終わる感じ。
ラストに中杉小夜香のエピソードを衝撃的に印象深く展開
した事以外見処が少ない。

正直この作品の人気は8話以降の展開。小夜香のエピソード
を軸に他は控えめの伏線で充分だったと思う。

プロットも良いしエピソードも良い物があったけど構成が
酷く歪で強引な感じて嵌まりにくく感じた。

折角面白くできる世界観や諸設定を台無しにしている感じ。


バーディー・シフォン=アルティラ(千葉紗子)
「狂戦士殺し」の二つ名を持つ連邦捜査官で階級は巡査。
地球人に酷似しているが、遺伝子操作などの形で人工的に
生み出された、強靭な肉体を持つ怪力無双の美少女だけど
直情径行で思慮が足らず・・暴走気味?

千川 つとむ(入野自由)
私立久遠高校に通う普通の高校一年生?で・・廃墟マニア。
バーディーのミスで致命傷を負い、肉体を修復する迄の間、
意識だけがバーディーに移植された。優柔不断で面倒臭がり

テュート:川田紳司
バーディーの相棒。ロボットの一種で「マーカー」と呼ばれ、
捜査官の情報収集や通信・記録などの支援を行う「装備」

中杉 小夜香:坂本真綾
つとむのクラスメイト。病弱で内向的な性格。資産家の娘。
交通事故により瀕死の重傷を負うが、その場に居合わせた
カペラによってリュンカを体内に埋め込まれてしまう。

早宮 夏美:伊藤かな恵
つとむの幼馴染で同級生。快活で世話好きな。歯医者の娘。

ルー・メギウス:青山穣
スケルツォ・ガ=デール:若本規夫
カペラ・ティティス:名塚佳織
カシュー・ゲーゼ:浜田賢二
ネーチュラー・ゲーゼ:柚木涼香
ウィージ・ガッハウ:根谷美智子

千明 和義/オンディーヌ:白石涼子
羽沢 昌之:高城元気
正久保:大原崇
北村 可奈絵:寿美菜子
千川 はづみ:高橋美佳子
室戸 圭介:藤原啓治
真田 かをり:大原さやか
アンカーマン:大川透
イルマ:真山亜子
クリステラ・レビ:兵藤まこ
ゲオルグ・ゴメス:石塚運昇
ギーガー:斧アツシ
バチルス:間宮康弘
キンゼル・ハウアー:大塚芳忠
サタジット・シャマラン:鈴村健一
中杉 勝利:菅生隆之
鈴木 良枝:新田万紀子
兄貴:金光宣明
舎弟:興津和幸

投稿 : 2025/01/04
♥ : 1
ネタバレ

ひな@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

健全な精神は健全な肉体に宿る

人の強さって極端に分けると2つの見方があると思います。

肉体的に強い人
精神的に強い人

肉体的に強いのは見ていて分かりやすい方かなと思うんですけど
精神的な強さって本当に分からない。

あたしは剣道を習っていましてー

今でも週末には道場で稽古をつけてもらっていますけど
どー考えてもあたしより体力的なハンデがある…

よーは還暦近くのおじさんにコテンパンにやられたことがありますw

勝てないのは経験の差かなって思いますけど
そのおじさんがこう話してました。

肉体と精神は表裏一体
両方とも充実していればそれは無敵

どちらかが欠けていたとしても
補い合う事で人間は思った以上の力を出せるのだそうです。

なのだそうです…。

んでこの話が「鉄腕バーディ」と関係あるのか?と思われるかもです。

鉄腕ってタイトルなくらいですから
このバーディ本当に強いんです。(サムネだと中心にいる女の人)

先天的に肉体的な素質に恵まれていて
連邦捜査官として徹底した訓練を受けて
今では壁を壊すのは朝飯前のパワフルな女性です。

このアニメはバトルアクションもスゴイので
バーディの強さを本当に痛感する事が出来ます。
まともに組み合えば犯罪人はほとんど適いません。

でもあたしがこのアニメで強さを感じたのは
バーディじゃなくてただの学生のつとむでした。

つとむはある事故でバーディに殺されちゃって
責任を感じたバーディの肉体を借りることによって
精神体として自分の身体が復活するまで宿ることになります。

なのでバーディが事件を解決しようと動く時には
必然的につとむもその事件に関わらざるを得なくなっちゃうんですね。

バーディのように素質があるわけじゃない
なんかスポーツや特殊訓練を受けているわけでもない
性格もどちらかといえば穏やか。

本当にその辺に居そうな普通の男の子なんです。
そんな一見頼りなさそうなつとむ
この「鉄腕バーディ」では本当に輝いてます。

バーディのおまけとしてとか
設定上どうしても必要な存在とかじゃないんです。

バーディにはない強さがつとむにはある。
強さが目立つバーディが守ってるようでお互い実は補い合っている。

このどこまでも対称的な2人の設定が
お話に上手く活かされているんじゃないかなって感じます。

そしてこれはつとむの物語として
注目して視聴する事をオススメします♪

つとむの不幸
つとむの挫折
つとむの幸福
つとむの成長

沢山の思いが詰まった
ひと夏の苦くて痛くて
でも確実に前より一歩成長を遂げた
1人の普通だった男の子のお話。

バーディを通してそれが語られているのが
この「鉄腕バーディーDECODE」というアニメだと思うので♪

{netabare}あたしの場合
そこを強く意識したから

最後のバーディの涙と
つとむのやりきった笑顔

ここでも対称的な2人のシーンで
泣いてしまったのかなって思います。{/netabare}

まーそもそもそういう見方をした方がいいのは
1期はつとむの話が中心なせいもあって

バーディの存在を話の中心で意図的に目立たせてないっていう
原因も大きいんですけどねっ(*・∀・*)V

わざとそーしてるんだなってのは後で知りました。

まーその辺りの話は2期のレビューの時に書きますね。

1期で明かされない謎とかも結構多かったりして…
2期の時に分かるような構成にそもそもなってるのでw

投稿 : 2025/01/04
♥ : 13

68.6 2 任務で陰謀なアニメランキング2位
BEATLESS(TVアニメ動画)

2018年冬アニメ
★★★★☆ 3.3 (355)
1492人が棚に入れました
22世紀初頭、社会のほとんどをhIEと呼ばれる人型ロボットに任せた世界。21世紀中ごろに超高度AIと呼ばれる汎用人工知能が完成し、人類知能を凌駕、人類は自らより遥かに高度な知性を持つ道具とともに生きていた。100年あまりで急激に進行した少子高齢化により労働力は大幅に減少したが、その穴をhIEが埋めることで社会は高度に自動化され、生活は21世紀初頭よりも豊かになっていた。 そんな中、hIEの行動管理クラウドのプラットフォーム企業「ミームフレーム社」の研究所から5体のレイシア級hIEが逃亡する。「モノ」が「ヒト」を超える知性を得たとき、「ヒト」が「モノ」を使うのか、「モノ」が「ヒト」を使うのか。「ヒト」と「モノ」のボーイ・ミーツ・ガールが今始まる。

声優・キャラクター
吉永拓斗、東山奈央、冨岡美沙子、五十嵐裕美、下地紫野、雨宮天
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

世界一賢い女がバグだらけな存在に未来を託した

2018.10.19記


全24話(クール20話+FINAL STAGE4話)完走を受けて再投稿
※あらすじ・用語などは公式やwiki等でよろしゅう


人間は形に縛られる。その上で信じることだけが人間の出来ることでもあり、未来への希望なのだ。キリッ


第1話、レイシアとアラトの初遭遇時、暴走するアンドロイドの襲撃を前に、危ないから逃げようとするアラトにレイシアは問う。

「なぜ、逃げなければならないのですか?」「恐いのですか?」「その恐れは乗り越えなくていいのですか?」「今戦わずに、いつ戦うのですか?」

逃げないことを決めたアラトだがじゃあどうすればいいかわからない。警察に頼ろうとするも、警察ではこの状況には対応できないと分析するレイシア。途方に暮れるアラトにさらにレイシアがこう告げる。

「アラトは私を信じますか?」「私を、信じますか?」


全話完走してからあらためて振り返ると、こんな場面も静かな感動を呼ぶ。そんな作品。

{netabare}・スノウドロップは排除しなければならない相手であることをこの時点でレイシアは見通している。
・対人接触経験のないレイシアが初見では無機質な対応に終始している。
・「信じる」は作品キーワード。アラトは信じることで世界を変えたのだよ。{/netabare}



と偉そうなことを言いつつ、まずは作品の内容以外のことでだいぶお騒がせしておりました。
アニメ制作が追いつかず、監督がぶっ倒れる。intermissionという名の総集編がけっこうな頻度で挿入される。芸人呼んでのお茶濁し回もあり。結局、予定していた2クール内で収まり切れず、残り4話をFINAL STAGEと冠してやっと完結しました。
この時点でリアタイ組の多く(?)が脱落したんじゃないかと思います。なんとか完結するにはしたので、後追い組にとってはこのことは関係なく、視聴のハードルにはならないですね。


次に内容について、
「あ、今きっと大事そうなこと言ってるんだよね」と思いつつ、理解が追いついていかない。けっこう難解です。それぞれ小難しいこと言うのですが、エリカとレイシアはその中でも2トップだろうと思います。
さらに前半の引きこみが弱いです。
例えば第2話。いきなりのファッションモデル回。唐突感が否めません。
× そういう路線?そんな媚びてもらわんでもいいのに。100年後も恵比寿にatreあるん?キャラも弱いな。主人公と妹がアホにしか見えん。
○ ま、いんじゃね?レイシアかわいいし(*^^*)
そして第3話。レイシア誘拐されるの巻。モデル回を受けてのストーカーの犯行という結果に…
× しょうもないイベントぶち込むなあ。国とか大企業ではなく個人の犯行かいな…はぁ。そしてやっぱり主人公と妹がアホにしか見えん(笑)
○ ま、よくわからんけどいっか… レイシアかわいいし(*^^*)
そんなこんなで第五話終わったら、いきなり総集編ですからね。

{netabare}とはいえ無駄回ではなく、いずれも情報戦特化型のレイシアが高性能hIEから超高度AIへと進化するための学習段階の過程の描写だったりします。前者は対人誘導(アナログハック)を、後者はケンゴからアクセスさせることで抗体ネットワークへのシステム侵入を、という感じ。
それを初期段階でそうなるように誘導していることが後々わかってきます。さらに第5話大井町のケンゴ救出回も布石が打たれていてレイシアのシナリオ通りだったりもするのです。第3話でケンゴが抗体ネットワークのネットワークを不正利用した弱みを組織に利用されミコト襲撃戦への参加を強要される。そうなるとケンゴ妹がアラトにヘルプを出してくることを見越して易々とケンゴ部屋からネットワーク侵入が可能になる、といった具合でしょうか。その上に大井町ではアラトパパが開発した行政執行hIEミコトの実験中です。こちらのデータ収奪も可能になります。{/netabare}

{netabare}なぜそんなことするのか?

レイシアが超高度AIに進化するために最新の情報を常にインプットし続けなければならないからです。正確にはクラウド型のため各ネットワークに繋がるようにしておかなければならないからです。
もともとレイシアは超高度AIヒギンズが作った人類未到産物(レッドボックス)でした。すなわち人間の知能では作成不可能なもの。さらに5体ある脱走hIEのうちレイシアだけ超高度AIに進化するよう設計されたものです。本来超高度AIの製作は禁止されており、かつその超高度AIもスタンドアローンでの運用が協定で取り決められてます。当然自立歩行型で外界と接する超高度AIは御法度、その網をくぐるため超高度AI一歩手前の段階で製作の承認をとりました。{/netabare}

{netabare}そしてなぜヒギンズがそのようなめんどくさい手順を踏んでレイシアを輩出したのか?が判明する終盤の展開はむちゃくちゃ面白いのであります。{/netabare}


前半が退屈な良作はこれまでもあるものの、“けっこう意味不明”の烙印を押されがちな演出になったのは製作陣の力不足だと思います。
たしかに難解な部分はあるかもですが、全話通せばそこそこついていけるくらいの難解さです。補足するのなら原作者長谷敏司の実況ツイートなんかは理解の助けになりました。

『自分はめっちゃ面白かったけど、注目されてないしあまりにも周りの反応が冷たいので、こそこそと愛でる作品』

お前の良さは俺がわかってるぞ!と売り出し中アイドルの追っかけをする心境に近いかもしれませんね。やったことないけど。。。
もともと本作のテーマ「boy meets girl」ということで、障害があればあるほど恋っていうやつは的な観点でいうと、「だって人じゃないしハードル高すぎじゃね?」というのがそそられたというのが一点。
次にSFの王道「人類より高度な知能をもつAIの行きつく先」ということでも納得できる内容で、希望の見える終わり方も好印象だったというのが二点目。
上記二点の魅力が柱で、バトル中心のFINAL STAGEにもなると、これまた高度な電子戦が繰り広げられ、いろいろな伏線を回収しながらの盛り上がる展開を見せたというのも好きな理由になるかと思います。

リアタイではブツ切れでストーリーを追うのに難儀しましたが、少し時間を経過した今なら、“後半失速するタイプの作品ではない”という意味でお薦めの作品になります。

とりあえず以下の3点を押さえとくと置いてけぼりにならないはずですよ。おそらくですが・・・



■ちなみにどこまで我慢(笑)すればいいのか?
物語の流れを軽く追うと、転機となるのは1クール終了間際の第11話。
第1話~第10話。レイシア級hIEが各々の行動原理に則した行動を取っていることの説明部分。レイシアの場合、アラトへの継続的なアナログハックと情報収集活動を描いている。
第11話。{netabare}レイシアがオーナー認証装置を引きちぎる。アナログハック完了ともみれるし、単にエモい場面ともみれる。最終話でレイシアがアラト一本に決めたのはあの時だと振り返る場面がある。{/netabare}
第13話。{netabare}「未来をデザインする」結果は最終話で提示されることになる。ここでは描いてるエリカと描くのかどうなのかふわっとしてるアラト。そしてレイシアには描いた未来を引きつける力がある。と問題提起したところ。{/netabare}
第14話。OPEDが変わる。物語も節目を迎える。{netabare}紅霞戦死。AIとどう付き合うか?を考えろと問題を人間側に突き付けた重要回。{/netabare}
以降、レイシアのミッションが徐々に分かってきて、「おー怖っ!」と感じる要素が増えてきます。そこでのアラトの葛藤など、「ちょろい。いらつく」と思ってた彼が、という後半の展開はなかなか見ものですね。


■そもそも押さえておきたい背景みたいなのは何か?

「高度に発達しすぎたAIを人間が持て余している」

です。きっかけは本編の半世紀前、超高度AI《ありあけ》の事故。人類を凌駕する知能を持つAIへの警戒を決定した事案です。警戒してても世界的な合意形成や決定事項などは曖昧なままで、とりあえず超高度AIは外部と遮断しとけばOK!みたいな状況で飽和点を迎えそうだよ、という局面から物語がスタートします。
警戒する人間の代表例として登場するのがアラトの二人のお友達。海内遼は“AIはモノ。決定・判断の権能を人間の手からAIに渡してはいけない”という立場。村主ケンゴは“AIはいらない。人間だけでもなんとかやっていけるはずだ”という立場。だからこそ、“AIへの警戒心がない”アラトが際立ってくるという仕掛けです。
持て余している人達として描かれているのはお偉方さんたち。不信・警戒の行きつく先は破局。{netabare}20年内に人間の手によって破壊されるとのシミュレーション結果を出した{/netabare}ヒギンズは地下施設で固定されているため、移動式のバックアップが必要と判断してレイシアを作成しました。


■レイシア級5体のhIEに与えられた役割をすごい考えとく

 紅霞 レイシア級hIE Type-001 「人間との競争に勝つため」の道具
 スノウドロップ レイシア級hIE Type-002 「進化の委託先」としての道具
 マリアージュ レイシア級hIE Type-003 「環境をつくるため」の道具
 メトーデ レイシア級hIE Type-004 「人間を拡張するもの」としての道具
 レイシア レイシア級hIE Type-005 「人間に未だ明かされざる」道具

なんやら哲学的ですが、だからこいつはこう動いたんだ、がわかります。前半の主役紅霞さん。要所で出てくるスノウドロップさん。どうしてエリカバロウズに囲われてるのか?のマリアージュさん。登場頻度多めでよく引っ掻き回してくれるメトーデさん。そして謎多き主役レイシアさん。



というわけで以上3点よろしくお願いします。



OPED 実は全部好きですね。曲もですが流れる映像が物語に沿っていて良いです。1クールめのOPは特にかっこよくて好き。



■■重度ネタバレ■■

{netabare}私(レイシア)は「人間を信じて仕事を託す道具」となりました。( ;∀;){/netabare}

{netabare}最後、超高度AIとしてではなく一介のhIEとしてアラトの元に戻ってきたレイシアが一筋の涙を流す。アラトには目に見えてるレイシアがレイシアなんだよね。(T_T){/netabare}


人間は形に縛られる。その上で信じることだけが人間の出来ることでもあり、未来への希望なのだ。キリッ





----------------------------------
20話終了時点での初稿
2018.07.07記

{netabare}
原作未読

なんだかんだ次週が待ち遠しい、次の展開が気になる作品でした。
途中途中intermission(総集編)が挟まれる度に心が折れそうになり、忍耐力がついたと思います。
現場しんどそうでしたね。水島監督は病んでるっぽい感じでしたし、途中からスタッフ頑張れと念を送りながらの視聴だったので、観てるほうも健全ではなかったと思います。
今度残り4話をやるみたいなので楽しみに待つことにします。


今からおよそ100年後、進化によりAIが人間の能力を超えて久しくなっている時代、人間とコンピュータとの関係を描いてます。関係という意味で物語の軸としてるのは「boy meets girl」高校生アラトとhIE(人型アンドロイド)レイシアとのたぶん恋です。それも人間側からの。。。
そこに親コンピュータ派/反コンピュータ派の人間たちの反目その他の要素がからんできます。

SFの設定は初心者/玄人双方を取り込める絶妙なバランスだったかと。
AIの進化と比べて他のテクノロジーの進歩があまりみられてない描写すら、人より遥かに高度な知性を持ったアンドロイドを道具とする社会に焦点を絞る意図があったと思えばわかりやすい。
キーワード《hIE》《レイシア級hIE》《アナログハック》《超高度AI》《ヒギンズ》《ミームフレーム社》《抗体ネットワーク》このへんをおさえれば充分に理解は進むと思います。

5話で、レイシア級hIEそれぞれが持つ役割の提示があり、以後その行動原理に従って行動していく各個体(見た目は女の子)の話になる頃からシリアスモードに突入して面白くなってきます。同時に難しくなってきます。
○○の道具ってのが謎かけみたいで良かったですね。
{netabare}
紅霞 レイシア級hIE Type-001 「人間との競争に勝つため」の道具
スノウドロップ レイシア級hIE Type-002 「進化の委託先」としての道具
マリアージュ レイシア級hIE Type-003 「環境をつくるため」の道具
メトーデ レイシア級hIE Type-004 「人間を拡張するもの」としての道具
レイシア レイシア級hIE Type-005 「人間に未だ明かされざる」道具
{/netabare}
まあその翌週は第一回総集編だったんですが。。。


声優さん知らない人が多かったのですが、おおむねしっくりきてました。ダントツで下手な方がお一人いましたね。それでも20話観たら少し持ち直してたようで、努力の跡を感じました。作中で演者さんの成長が見えるってなかなかないので貴重な経験したとも思いますし、彼女には今後頑張ってほしいです。

OPEDは1クールは最高、2クール目も良曲。
最終話あたりで1クールの曲をいいタイミングで流す展開を期待しときます。


さあ残った話数どう落としどころをつけてくるのでしょうか?
結末を見てから再レビューしたいと思います。{/netabare}


-----
2019.04.21追記
《配点を修正》

投稿 : 2025/01/04
♥ : 69
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★☆☆☆☆ 1.0

もうやだ

1話感想{netabare}
ひと言で“魂”って言うと「作り手の入れ込み」も含まれるので「そりゃあるだろ」と思ってしまうし、そういうことを言いたいんじゃないってのも分かるので…そうさなぁ、せめて“自我”と表現して欲しかった。
扱いとしては車が近いと思うのだけど、思い入れを抱く人は普通に居るんじゃない?

それよりも…主人公グループの男子3人にそれぞれ妹が居て…。
ひょっとしてこの世界って生む子供の性別が定められてたりする?
第一子は男で次は女で、みたいな(一姫二太郎のが良い気がするが)。
セックスは専らロボット相手で、子作りは人工子宮とか?
まだ全然分からないけどそこら辺の世界観描写に期待。
プラメモみたいな作り手に余りにも都合の良すぎる設定は勘弁。{/netabare}

3話までの感想{netabare}
2話、あれ?あれれ?
まーた自分語りで恐縮なのですが…2017年にAICがメガゾーン23の新作を作るとかでCFを募ってました。
自分がその存在に気付いた時にはもう募集終わってたんだけど、そこで紹介されてるイメージボードや設定を見てあれこれと想像を膨らませてました。
なのだけど…あっるぇ?ビートレスがなんかそれで想像したのと似通った展開が…(SINじゃなくXIの方、イヴが有機ボディ持ちだそうで、アナログハックのシーンとか非常にやりそうな予感が)。
レッドボックス自体がイヴ+ガーランドみたいなモンだろうし、もしこれで「実はこの世界は巨大な宇宙船の中でしたー」なんてオチが来たら卒倒するかも知れん。

そして3話、な~んかHIEが人間に対し誘導尋問や催眠商法を仕掛けてるように見えてしまうのはワザとかな?
といいつつ自分が誘導尋問って何さ?ってのよく分かってないんだけどね…選択肢を限定し、あたかもそれ以外の選択肢は無いかのように嘯(うそぶ)き、どっちがマシかで尋問者に都合のいい回答を迫る手口ってのは誘導尋問ちゃうかなぁ。
アナログハック自体が催眠商法だし、催眠商法は認可されてる世界ってことかな。
だとしたら主人公は例外として、あの世界の人間がHIEに冷たいのはある意味当然、信用ならんからね、心に壁作っちゃうね。
人間が人工知能に操作されてるっていうか、そういう勧誘に惑わされない精神が人間に求められてるとか、そういう話?
主人公は今後そういった展開になるのかね?「レイシアがボクを意識誘導してくる」とか言って溝が出来るとか。
「私コイツ殺したいんでマスター許可出して。責任はそっち持ちで」って振舞いはどう見ても、ねぇ…。{/netabare}

6話までの感想{netabare}
まず総集編(5,5話)の感想。
この世界の治安レベルが分からない、総集編でそこら辺の説明してるれるのかなー?と期待したけどそれも無し。
銃ひとつとっても、「現代のリアル日本人(視聴者)が国内で手に入れるよりもよっぽど困難な管理の行き届いた世界」に見えるんだけど、そこでポンと銃手に入れてテロ組織って…うーん?
赤いのが手配した※、と考えようとしても「無いものは用意できない」ちゃうかなー、と。
(※その場合、テログループに銃器が渡ったのは最近ってことになるので違うか)
まずどこで作ってる?どこか戦争してるってこと?軍の払い下げであろうともその行方は追跡されるんちゃう?
演習終了後、薬莢と弾丸の数が合わなかったら大騒ぎになる世界じゃないのか?
作中描かれる背景が余りにも“隅々まで管理の行き届いた世界”しか映さないものだからどうにも違和感。
単純にスラム街とか地下に治安の悪い世界が広がってるとか、一瞬でいいので画面に写ってれば済む話なんですけどね。
多分これ、原作(活字)なら勝手に補完されてたことが、映像になることでアラが出てしまった例な気がする。
アラって書くと失礼かな、映像化に際して美術の練り込みが甘いというか。
そこへもって総集編でしょ?「そんなこと描いてる暇なんか無い」と言われてるみたいで、う~ん。

透明化して侵入も「上に花びらが積もる」とか描いて欲しかったんだけどねぇ。
手間かかって大変なのは分かるけど、世界観に対して拘りが薄いというか、ホント事務的にアニメ作ってるだけって印象になって…う~ん。

そして新展開の6話感想。
HIEのタイプ名(カテゴリ名)レイシア級と個体名レイシアが一緒なのがちと紛らわしい気がするけどまぁいいや。
レイシア級の最優先目標は自己の保身で、個体ごとに手段はバラバラで、中には人間を利用することも辞さないってのも居るって感じだろうか。
自己の保身は最後の最後まで与えてはいけないものだと思うんだけど…コントロール下に置けなくなる(「あ、これ失敗だ」となっても処分できない)のは明白じゃん、と。
まぁそうしてしまった世界ってことなんでしょう、まいっか。

人間と作り物の違いがどうたらの問答、それ自体は構わないんだけど、「アニメキャラにそれ言わせる?」とメタ的なことを思ってしまうのは野暮だろうか。
そっち方向に話進んだ方が面白い気がするけど、そんなこと無いよね。
ってか小物に未来的ガジェットがほとんど見られなくなってしまったのが気掛かり…「そこまで細かく美術やってる暇なんか無い」って言われてるみたいでのう。
総集編のせいもあって「未来世界を描いたアニメとして大丈夫か?」って疑惑が段々と強まってるワケですが…ホント大丈夫かな?{/netabare}

20話までの感想{netabare}
あーあ、言わんこっちゃない。
6話までの感想の段階で
「作中描かれる背景が余りにも“隅々まで管理の行き届いた世界”しか映さないものだからどうにも違和感。
単純にスラム街とか地下に治安の悪い世界が広がってるとか、一瞬でいいので画面に写ってれば済む話なんですけどね。」
と指摘しました。
また、主人公周りの仲良し男3人グループにそれぞれ妹が居て、そいつらも親交があるってのは“普通ではない”と受け取ってしまい、妙なことを考えてしまうワケで。
子供を産む数や性別まで管理されてる?ヘタしたら自然分娩も行われてない世界なのかな?とかね。
で、そんな「どんな世界だかようワカラン」ままストーリーだけは進んで…

14話で唐突にスラムや売春宿的なものが登場

やっぱ居るんじゃーーーーん!!
遅い、遅すぎる、もっと早くに入れるべきでしょー。
この描写がないと何がマズいかっていうと「なんでも自動化できるようになったら人間は働く必要があるのか?」っていう、それだけで一つの作品が書けるような設定になっちゃうワケで。
かくいう自分は、欲しいと思った物は全て機械が自動で用意してくれるようになったら、人間はただひたすら無気力になるんじゃないかなーと思ってまして。
要は貧富の差が無くなる、不満が無くなる、欲が無くなる、争いごとが無くなる。
んでもって「そこまでは行ってない」ってのを示すためには「じゃあ不満持ってる連中→働かないと生きていけない連中→貧困にあえぐ連中」を出しておけよと。
ぶっちゃけこの世界の人間は何で働いてるのかワカラン、どんな職業が存在してるのかワカラン。
ケンゴの実家だって、本来はHIEに任せれば済むところを「拘り(趣味)があって自分で料理作ってる」って描写してたじゃーん?
そういう意味でないなら何故あのシーンを挿入したと。
そうしてる間にストーリーだけは進んで、レイシアの目的が語られます(まだ嘘かも知れないが)

資源の再配分

えええ、今更?
繰り返しになるけど「これだけのテクノロジーがあるならとっくにそれは済ませてるんじゃね?え、そこまで至ってないの?」と戸惑ってしまい、どうにも唐突で…。
農業…ってか生産業なんて全部HIEがやってる世界じゃないのか。
不労収入をディスってたが、働かずとも暮らしていける世界って理想郷じゃないのか。
現実ではそのために搾取される人間が居るのがアカン訳だけど、それをHIEが引き受けてくれるなら問題解決じゃね?
あとは自己実現でも目指して趣味に没頭すればいいじゃん。
繰り返しになるけどケンゴの実家はそういうことを表現したシーンじゃなかったのか…本来お店の業務はHIEに全任せして遊んで暮らせるところを、拘り(趣味)で自分(親父=人間)でやってるだけ、ってことじゃないのか。
身の丈に合わせて慎ましく生きてりゃいいのに「もっと暖衣飽食したい」と欲望を広げる既得権者を打倒するって話?
ぶっちゃけアラトもそっち側の人間だよね?、貧困者に同情するシーンとか無いし。

それと上記の考えと同時に別のツッコミ──別っていう割にはリンクしてるんだけど──もずっと頭に浮かんでて。

ハードウェアとソフトウェアがちぐはぐ。
「ちぐはぐな世界を描いた作品」ってことではなく、場面によって設定が変わるというか。
一番あれー?と思ってるのが、HIEとヒトの中間的存在、要は部分的にサイボーグ化した身障者が居ない。
腕だけサイボーグ、足だけサイボーグ…もっと深化して脳以外サイボーグってのも居ていいんじゃね?
HIEとヒトとの対立だか融和だか、とにかく二極に分かれての意見の衝突なら、間を取り持つ・ないし板挟みになって心揺り動かす中間的存在がいた方が良い気がするんだが…。
ひょっとしてそのポジが妹?もしくは眠り姫?と思ったがそんな気配は今のところ無い。
アラトは幼い頃事故に巻き込まれて云々ってのもあったので「実はその時に?」って可能性もあるけどオチに持ってくるようなもんじゃないだろう。
つかレイシアみたいなアンドロイドがあるなら、人型であることを捨てた作業用ロボットもっと出すべきじゃね?
なんで人型ってペナ負ってるのに最強やねん。
「こんなこともあろうかと」とばかりに後から後から新装置出しまくるし…それ作ったのも機械?原料の仕入れ先は発展途上国?
何もないところに電流通せば小麦粉や金塊が生えてくるって世界じゃあるまい?


で、上記の文句って結局は(役職の名前よく知らんが)背景だか美術だかが頑張ってれば回避できたことなんだよね。
6話までの感想と大差無いんだけど(6話の時点で見抜いてたことになる?)、「アニメスタッフにそこまで頑張ってる余裕が無い」ってのが諸悪の根源で…。
乱暴なこと言っちゃえばどんなにストーリーがつまらなくても“近未来的面白ガジェット”がしっかり描かれてたら一定の評価はしちゃうねん、自分は。
けどそれが無い、そこまでやってる余裕が無い。
そのせいで結局は世界観がよく掴めず、出される情報は唐突になり、とても茶番めいたものに成り下がってしまった。
もはやストーリー以前の問題になっちゃって…原作者もこれは苦笑いなんじゃ?
しっかしなんつーか…「現場は大変」ってのは同情するべきなのか?
まさか…今はアニメの数が多すぎるって問題提起をするためにワザと自爆かました?とさえ思えてきたり。


悪い点ばかり書いてしまったので良かった点。
レイシアは元は試作機で、完成一度頓挫した中後継機が作られて、そのノウハウで完成したのがレイシア(だからレイシア“級”って総称がありながらレイシアが最後機)とか、作成順で性能差が出るネタとかは好きでした。
とはいえそれの魅力を存分に表現しきれてたかというと…う~ん。{/netabare}

最終回まで見て{netabare}
放送後回しになった残り4話見たけど感想は↑で書いたのと一緒。
未来がどうとか世界をどうとか、そんなこと言われても「現状がどうなのかがワカラン」、その世界での「今現在」の描写が弱くてどう変えたいのか・どう変わったらヤバいのかとかが全くワカラン。
この世界では人間は働いてるの?どんな職業があるの?
もうここからワカラン事態なので、ホント分からん。
同じこと繰り返すばかりになるのでもう止めとく。{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 10

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

科学の子

高度AIや、それに駆動されるアンドロイドが社会に入り込んだ世界。

メカ的な技術設定を練るのではなく、法律体系に組み込まれるアンドロイドという視点から世界設定を作り上げているのが斬新だ。
直接に現代社会を反映し、現代的な問題へ通じる巧妙な設定はSFの王道とも見えるが、ラノベアニメ的なフレームがその斬新さの発揮を妨げているようで、少し残念だ。


日本のTVアニメの第一号は『鉄腕アトム』だが、「お子様向け番組」のその最初期から、既に「人間とロボットの関係性」=ロボットと人間を分かつもの、道具とロボットとの差異性、人間によるロボット支配の根拠、などなどの主題が既に盛り込まれていた。
社会的な問題意識をアニメに盛り込むことを嫌うアニメファンも少なくないようだが、仕方がない、TVアニメは、その始祖からしてそういうものだったのだ。

『アトム』と同様に、人間とアンドロイドの混淆する本作の「世界」は、「社会の構成員としてのロボット」という、『アトム』以降にあまりアニメが注目していなかった領域を数十年ぶりに復活させたようだ。

そのTVアニメの始祖において、人間とロボットの関係は、しばしばマイノリティ差別やレイシズムの比喩として用いられ、時には奴隷労働のメタファーでもあった。
が、21世紀の本作の「世界」では、ロボット=AIアンドロイドの位相は、複雑にねじれている。

法的に、いわば人間に奉仕する存在として規定されている本作のアンドロイドは、一方で人間の上に立ち、人間の行動を管理するものでもある。

かつて、日本で海外労働者と言えば、半合法的な疑似的な奴隷労働者のようにイメージされることが殆どだった。
ジャパンマネーを目当てに、日本人のやりたくない汚れ仕事を這いつくばって求めるガイジン労働者。
今でも漠然とそう考えている人も多いようだが、現代の国際競争力を省みれば、低賃金の日本人労働者を効率よく働かせるよう「管理」するためにやってくる管理専門家のほうがリアリティがある。
カルロス・ゴーンのような「管理者」は、欧米人だけでなくMBA取得の東アジア人であってもおかしくないのが今日のリアリティだ。

一方的に奴隷的「奉仕者」であった『アトム』のロボットと、「奉仕者」と「管理者」に分裂する本作のアンドロイドの位相差は、こうした時代的な位相差に対応している。


「管理者」兼「奴隷労働者」のAIアンドロイドと「人間」の関係を表現しているのが、主人公の妹だ。

見た目が美少女でおいしい食事を提供してくれるなら、出自がどう見ても怪しいAIアンドロイドでも、平然と、何の葛藤もなく差し出される料理を口にしてしまう妹は、餌をくれるなら給餌員が誰であろうと関心を持たない豚小屋の豚=家畜のようなものだ。

何も考えずに満腹して陽だまりでまどろむ自堕落な満足に浸りこみ、その満足がどのようなものに支えられているかに無関心な妹は、ゼロ年代論壇の「動物化した人間」そのものであるといってもいい。

妹の自堕落な「動物化」=家畜化を支えているものは、大きく言えば「法体系」だといえる。

半ば家畜化しながら、真の「家畜」のように最後に処分される不安を覚えることなく「奉仕」として疑問を持たずに受け入れていられるのは、消費者=契約の「主体」は「人間」であるという法律体系が基礎にある。

契約が可能であるのは、主体が「自身に関するすべてのことを、合理的に判断し決定する能力を持つ」近代的な「人間」であることを前提としているからだ。
「自身に対する決断の全責任を負える」近代的な人間の契約は、どのようなものであっても有効であるという前提が、すべての商取引=消費を支える。
民事的な契約主体の「人間」観は、民法や商法のみならず、すべての法体系=社会制度の基礎となって、社会を動かしている。

この「自律する人間」が否定されるとしたら、すべての社会制度とともに、すべての商取引=契約=消費も根拠を失って崩壊するだろう。
だが、「自律した人間」が、自身を管理する「面倒」を外注して世話して「もらう」契約を欲望するとき、「自律」性はどこに行くことになるのか。

半ば家畜化して、「自律した」人間から逸脱して事実上の「動物化した」妹が、契約主体として消費を続けていられるのは、崩壊を回避する社会システムの本能が、「空洞化した人間」の空洞化した自律性を「見ないこと」にする欺瞞を必然化するからに他ならない。
事実性に注目して人間の動物化=非・人間化を承認すれば、「人間」を主体とするすべての経済活動や社会関係は無効化する。

現行制度では「主体」ではないAIが無条件に「人間」に奉仕することは、逆に、「人間」の「主体」性が変化していないと擬態する、ある種の「詭弁」でもある。

おそらく作中の大多数の人間を代表している妹が、平然と消費者=奉仕を受けるものとして自堕落に飽食していられる背景には、このように社会の構造変化と過渡期性のバランスがある。


契約において、「人間」は、自律して判断力のある近代的な「人間」=有効な契約主体であるとみなして、契約の有効性を担保しようとする倒錯は、主人公がAIアンドロイドとの「契約」において、現実のアプリやソフトウェアのインストールに似た、「同意」を求められるシーンにも表現されている。

それは、ラノベ的な「スーパーガールとボクのトクベツな絆」のように見せかけながら、それだけにとどまらない。

AIアンドロイドを含めたすべての機械類の操作や作動において、全責任は主体である「人間」がとるという「契約」の原則は、主体が空洞化して「動物化」した実態から目をそらして、契約それ自体の有効性を成立させるための欺瞞ともいえる。
が、誰も読み通せない膨大な契約条件の最後に「同意」を強制する現実のアプリのインストールと同型的であるように、「自律した主体」の自由意思での契約という建前を通そうとする現実を、意識したものでもある。
誰も予測できない未来の瑕疵や損害を「自己責任」の名目で使用者に「同意」させる現実の欺瞞と、判断能力が空洞化した「動物化」した主体に「自律した」人間としてAIアンドロイドの責任を引き受けさせる「契約」の二重化。

主人公とAIアンドロイドとの「使用者責任」を巡る「契約」は、ラノベ的な「美少女との約束」と見えながら、近い将来にAIによる自動運転車が人身事故を起こした際に、すべての人間が直面することになるだろう。

こうした、「契約」を有効化するために無理やりに「人間」を「自律した人間」とみなそうとする欺瞞は、作中の「アナログ・ハッキング」にも表れている。

この設定の不快な印象は、人間の意志の捻じ曲げを、「自分の主体的な判断」であると思い込ませるところにある。
契約は、「自律した」主体が「自由意思」で結んだものでなければならないという法律体系が、事実上の「洗脳」を、「自発的な意志」に見せかける気色の悪い欺瞞を生む。

作中の「世界」において、このアナログハックがさほど問題視されている様子がないのは、これが現実世界の広告代理店と同じことをしているだけと、視聴者には直観されるためだろう。

普通の消費者が広告代理店にいかがわしさを感じているのは、消費者に無理やり商品を売りつけたい本音が透けて見えながら、法体系の建前から、消費者が「自分の判断で」その商品を選んだように意志を操作しようとするねじれが明らかだからだ。

アナログハックは、まさにこの代理店的な欺瞞を表現している。
こうして「自律性」を掘り崩される現実世界の人間が、作中の「妹」を代表とする人間たちの描写を裏付ける。


だが、こうしたすぐれて現代的な諸要素が、いまひとつ説得的に前景化してこないのは、戦闘美少女のバトルというラノベアニメ的なフレームに囚われているからであるように見える。

問題意識の塊のような「妹」の造形も、ラノベ的フレームでは単なる「能天気」キャラに矮小化されてしまう。

主人公に敵対する各陣営は、上述の問題意識に自覚的に見えはする。
問題意識があればこそ、「現状」の社会への敵対行動として現れるのだから。
だが、戦闘美少女のバトルに縛られている結果、問題意識同士が前景化して激突する事態には至らない。

なにより、全体の枠組みを「戦闘美少女と、特権的につながっている取り柄のないボク」というラノベアニメ的設定に定めているため、アンドロイドに人格を見るような主人公の設定も、主役AIアンドロイドに「好意」を寄せるためにする不自然な方便のようで、『アトム』的なロボットと人間の融和を主導するわけでもない。

ラノベアニメ特有の文法に縛られる結果、主人公の立場を「ともかく戦闘を否定して現状を維持する」以外の地点に持っていくことができない。
近代的「人間」の「尊厳」を主張するかのような主人公の立ち位置は、「闘争」をあらかじめ絶対悪として禁じるラノベ的制約にとらわれている以上、単に闘争しない現状維持の日常を絶対視しているだけとしか印象付けられない。

社会の根本におかれた根源的な矛盾を構造化した「世界」で、敵対勢力がその矛盾に向き合っているのに、主人公がラノベ定型であれば、いくら悩んでいるように見せかける描写が続いたところで、単に武力衝突について「のみ」逡巡しているような矮小さから脱することはできない。
原理的な社会矛盾がそこかしこに暗示されているのに、主人公が必死にそこから目をそらし続けているような印象ばかりが残る。

その先に見えるのは、主人公に都合のよい結末しか迎えることがないという予定調和だ。
それは、いかなるものであれ、「自律」を失った「人間」が否定されることのない、「動物化」した人間の自堕落さに直面することのない「世界」だろう。


法体系にAIを組み込んだ「世界」は、法治社会において「科学」がもたらすAIと人間の矛盾にまで踏み込んだ舞台を、用意はした。
が、舞台の上の「物語」が、ラノベ様式ではなくSFであったなら、と思わずにいられない。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 7

64.1 3 任務で陰謀なアニメランキング3位
超電磁マシーン ボルテスV(TVアニメ動画)

1977年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (30)
134人が棚に入れました
角の有無が階級を運命付けるボアザン[9]星。ラ・ゴールは皇帝の甥(弟の長子)として皇位継承の資格を持ちながら、角が生まれつきなかった為失脚。妻・ロザリアとも引き裂かれて労奴に落とされるが、反乱を起こし、星から脱出。地球に落ち延びて科学者・剛光代に救われる。ラ・ゴールは光代と結婚して剛健太郎と名乗り、本編主人公となる三兄弟を儲け、浜口博士や防衛軍の岡長官と共にボルテスや基地ビッグファルコンの建設に着手。一方、ボアザンでラ・ゴールとロザリアとの間に生まれていた皇子ハイネルは、“裏切り者の子”と後ろ指を指され、皇帝ズ・ザンバジルへの忠誠を証明し実の父を倒すべく地球攻撃を決定した。かくてボルテスとボアザンの獣士との壮絶な死闘が繰り広げられる事となる。

声優・キャラクター
白石ゆきなが、曽我部和恭、玄田哲章、小原乃梨子、上田みゆき、市川治
ネタバレ

kororin さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

にいさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!(誰もが予見できなかった最終回の真実・・・だと思う)

思い出話です。
コンVの後番組として放送されたボルテスⅤ(ファイブ)。
リアルタイム時は色んな理由であまりよく見てなかったのです。
・ヤリたくもない部活の為、宵時放送の本作が見れなかった。それでも早く帰れた時は何とか見れましたが、話数飛び飛びです。
・コンVとなんかシチュエーションが被ってあまり乗り気になれなかった。

乗り気になれなかった理由として、
・「ファイブ?ブイじゃないの?」と首をかしげてたら合体時のフォーメーションで「V、together!」と叫んでるのでさらに腑に落ちない気分に。周りで馴染みのないローマ数字に抵抗があったせいかもしれません。
・ワンパターン化した(今で言うテンプレ)ロボットアニでチープの様な気がした。[地球を襲う侵略者(ボアザン星人)→防衛する巨大ロボット(ボルテスⅤ)](無論、これは最初の偏見です。後悔してます。)
・ミッチー(堀江美都子さん)の主題歌が明る過ぎてロボ好きには熱くなれなかった。(悪いと言うわけでは無く希望を捨てず逆境に立ち向かおうとする歌詞は良いですよ)

しかし、創刊間もない某アニメ雑誌の記事やハイネル様人気の噂、飛ばしで見てても単話完結が多かったロボットアニメの中でドラマの部分が今までに無い伏線と、みょ~に重みがある感じは気にはなってました。(初めて見た2話の「あの人」の特攻は自分にはショックでした。)

熱血漢だが生真面目すぎる剛兄弟長男・健一。
キザな皮肉屋峰一平。
定番の太っちょで、薩摩訛り、剛兄弟次男・大次郎。
メカいじりが得意な剛兄弟三男・日吉。
何故忍者でお嬢様?甲賀流十八代目・岡めぐみ。
作戦侵攻が思うようにいかなくてキレまくるハイネル様とそれを慕うカザリーン。

そんなこんなで見ていると、主人公5人のうち3人の兄弟がボルテス建造後、行方不明の父・剛健太郎を思い、いつか会えると信じて戦う物語がベースになってるようです。後で調べて思ったのですが、剛健太郎の生きざまはピックアップしてみると大河ドラマが出来そうな感じがします。
{netabare}{netabare}{netabare}{netabare}
剛健太郎。実はボアザン星人で本名はラ・ゴール。

ボアザン星はヒューマノイド型異星人の星。角がある「特権権力の貴族階級」と角の無い「奴隷階級(殆ど普通の人間)」という厳しいカーストの王政がある星。幾つか侵略植民している星もあるようです。

ボアザン帝国第123代皇帝の弟、レ・オーラル夫婦の嫡子として生まれたラ・ゴール。
しかし生まれながらに角が無く、これが知れれば一族郎党「労奴(労働奴隷)」に落とされること恐れたレ・オーラルは息子を殺そうとするも妻の決死の嘆願によりラ・ゴールは「ツケ角」を付けて貴族社会で生きてゆくことに。
順調に成長していくも自身はボアザンの貴族制度に疑問を持ち、いつか平和で平等な社会を作れないかと思っていた。(良き人格者です)
若くして科学大臣になり政治にも影響力を及ぼせる地位になったラ・ゴール(キャリア組だね)は、美しい娘ロザリア(角アリ)と出会い結婚。ラ・ゴールの秘密(角無し)を知りつつも、それを受け入れて愛した素晴らしきお嬢様。

そんな時にボアザン皇帝が崩御(お亡くなりになられた)。皇太子は病弱過ぎて即位出来ないという事態になり、時期皇帝に挙げられたのが、
・皇帝の弟の嫡子【ラ・ゴール】(この時レ・オーラルは亡くなっていたかは不明)
・皇帝の妾腹の子【ズ・ザンバジル】
の二名が候補に。
かねてより政権の座を狙ってたザンバジル。ラ・ゴールの秘密を握り、それを暴露。一気に労奴に堕とされたラ・ゴール。無理矢理離縁させられたロザリアは地方に送られることになる(この時すでにお腹には・・・)。

ラ・ゴールは過酷な労奴生活の中、風の噂でロザリアの死を知り、花一つ手向けられない今の状況に怒りをおぼえ反乱を起こすも失敗。ボアザン星を脱出して地球に落ち延びる。

地球に着いた時は、かなり衰弱していたラ・ゴール。それを見つけて介抱した女性科学者・剛光代。ラ・ゴールの生い立ちを知りやがて二人は結ばれ三人の息子、健一・大次郎・日吉を設け、ラ・ゴールは「剛健太郎」と名を改める。

来るべきボアザン侵略の脅威に備え、剛健太郎・光代夫妻そして光代の恩師・浜口博士の協力により「超電磁マシーン・ボルテスV」と防衛基地「ビッグファルコン」を建造。

しかしボアザン星・植民星の労奴を憂いレジスタンス活動の為、光代と息子たちを残し地球を出発してしまう。そして光代は息子たちにボルトマシン(ボルテスⅤのパーツ機)操縦者の特訓を課せることに。(この時、健一・大次郎・日吉は父がボアザン星人であることを知らない)


そうして第1話から物語が始まります・・・
{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}

そして何故か見ることが出来て印象が強く残った最終回。敵地ボアザン星まで乗りこんだボルテスチーム。今やいろんんな所から前情報を知ることが出来ますが、そんな事が出来ないリアルタイムで見ていたオジサン・オバサン達は「あの事実」を知って、か~な~り衝撃的でした。これがボルテスを名作たらしめる一つの要因になってるハズ。

昔はレンタルビデオショップにも並んでたんですが今や有料配信か円盤を買わないと見れないのが残念(再放送も無いし)。いつか見直してみたいものです。(という事で鑑賞状況は【観たい】です)

【余談】
海外輸出で欧州では爆発的人気となった「グレンダイザー」ですが、某氏のレビューにもあったように本作はフィリピンの国営放送で子供に大人気。
しかし最終回間近に突如中止。フィリピンに進出する日本企業や革命を思わせる内容に当時のマルコス(独裁)政権やボルテス玩具をねだる子供の親が快く思っていなかったせいもあって(恐らくサクラを使って)「暴力的だ!道徳的でない!」とデモを起こさせたり、ボルテスの「天空剣」は先の大戦で進駐した旧日本軍の軍刀の象徴だと「阿呆」な宣伝報道をして(イヤ、どう見ても全然違うでしょ)無理くりに反日感情をあおって国民の不満を現政権の不満から目を反らそうとしてたようです。(「あの国」なんて、しょっちゅう政治不信・国政不信になるとスグ反日感情煽ってばかり)
後年 みごと革命が起きてすぐさまボルテスの最終回まで放送されたとか。(「ボルテスⅤ」を見せろー!とは言ってなかったでしょうが)
偶然と奇跡が起こした「アニメによる国の変革」としてジョークの語り草になってるようです。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 11

◇fumi◆ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

天空剣Vの字斬り 超電磁ボールVの字斬り

長浜ロマン3部作と言われる3年にわたるロボット作品の2作目

1977年 全40話 製作日本サンライズ 
原作 八手三郎 監督 長浜忠夫 キャラデザ 聖悠記

前作コンバトラーⅤよりさらにストーリー性を重視したかった長浜氏は「父をたずねて三千里」という提案をしたという
対して東映側はお涙頂戴作品を回避するため、宝塚系超絶美形キャラ「プリンスハイネル」を提案し、単なる勧善懲悪ではない大河ドラマを要求した

ボルテスチームの設定資料によると、主人公の剛健一は15歳、岡めぐみは13歳とあるがあり得ない 両者とも20歳くらいの外見である
この作品は敵方であるボアザン帝国の描写が秀逸であり、革命の主導者ラ・ゴールが真の主役である

19話までの絵コンテに「とみの喜幸」という名が見られるが、もちろん富野由悠季氏であり、実質副監督副原案であったと言われる
ただし、ザンボット3の制作のため途中降板となる
第2話の衝撃的悲劇など前半は冨野節が見られることも特徴

14000光年の彼方、さそり座の球状星雲内にある恒星系の惑星がボアザン星
ボアザン帝国皇帝ズ・ザンバジルが絶対君主制を敷いている
地球よりはるかに文明の進んだボアザン帝国が侵略を開始した理由は、国内の不満のはけ口を外に向けるためで、ボアザン文化の伝播を名目に邪魔な貴族を異星侵略に派遣した

ボアザンの科学の地球への流入と最強兵器ボルテスⅤ、ソーラーバードの開発はリアルに描かれ見せ場ともなっている
ボアザン人と地球人は同じであるという設定も見えてくる

ボルテスチーム 郷3兄弟、峰一平、岡めぐみ
ボアザン侵略軍 プリンス・ハイネル、リー・カザリーン、ルイ・ジャンギャル、ド・ズール
対峙する戦力は全く公平に描かれ視聴者にストレスを与えない

時系列も複雑に入り組み、ボアザン人ラ・ゴールとその仲間たちと地球人の交流、そして愛と結婚も描かれる
 
当初予定されていたカザリーンの妹と剛健一の悲恋ストーリーはカットされたが、次作の設定に回されたと考えられる

東映プロデューサーである飯島敬はこの作品の物語についてこう語った
「身近にある様々な差別に対する怒りを強烈に引き出し、本作を通じて差別を憎みそれを是正することを視聴者に考えてほしかった」

本作の重要なキーとなったラ・ゴールの妻ロザリアは美しくもはかなく描かれ忘れられないキャラとなった人も多いと聞く

そして感動のラストへ
ハイネルとカザリーンの愛は!!!!
ハイネルに語りかけるボアザンの守護神ゴードルの声は長浜忠夫氏があてた

この作品がフィリピンで放送されたときは、マルコス独裁政権下で視聴率80%以上を記録し放送を中止したという
その直後にフィリピン革命がおこり、革命軍の象徴として担がれた

アニソンの女王堀江美都子が歌うボルテスⅤの歌 フィリピン人で知らない人はいないそうです
堀江女史がフィリピン政府の招待を受けた時にはすべての信号が青になるという最高の国賓待遇で大統領をはじめとする高官が出迎えたという
安倍晋三夫妻がフィリピン訪問時は少年合唱団がボルテスの曲を歌ったとも

★堀江美都子について若い人は知らないでしょう 
あしたのジョー、キューティハニー、宇宙戦艦ヤマトなど日本人なら誰でも主題歌を知っていました
しかし、それらは音楽とはみられていなかったのです
初めてアニメ主題歌がメガヒットして日本独自の音楽として認められたのは76年のキャンディキャンディ(堀江美都子)だったのです
レコード会社の社長曰く「日本に偉大な歌手が二人いる、美空ひばりと堀江美都子だ」(当時10代)ボルテスの歌はその半年後
この事実は隠蔽されました だから誰も知らないのです
こういった業界の意に沿わない存在はオタクとして卑下され、何か恐ろしい陰謀が起こったような気がします
日本独自の文化、それは外人が教えてくれたものだったんです★

アニメには人の心を動かす力があります
時によっては一つの国の運命をも変えてしまうのです

この作品はわたしのNO1のアニメですが、お勧めできるのかどうかいまだにわかりません

酷い雑文で申し訳ありませんが熱意だけでも感じてもらえたらと思い書きました 読んでいただきありがとうございます

★の部分を追記しました


ボルテスⅤの歌が不評??
天使の歌声堀江美都子は漢の歌に専念するためにキャンディキャンディを封印したそうです
イベントでのリクエストを拒否すると多くの客が帰りだしましたが、歌い続けたと言います

投稿 : 2025/01/04
♥ : 18

ちょま さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

傑作ではないかもしれないが間違いなく名作

侵略宇宙人ボアザン星人が地球に襲来!現在行方不明の剛博士はすでにこれを予期し、秘密兵器ボルテスVを造っていた…その息子や仲間たち5人がパイロットとなり、地球の危機に立ち向かう!

実写映画公開に先駆けてyoutubeで無料公開されていたのを何とナシに見てみたら、おいおいこりゃ名作だ!
設定とかはスーパーロボットものらしい大味加減なんだけど、重要人物が退場したり新たな秘密が明らかになったり、ストーリー展開は目が離せないドラマの連続!敵陣営にも様々な思惑が交錯していてとにかく人物描写は濃厚。そう、濃厚なドラマなんだけどスーパーロボットらしい大味さ…このバランスが見事!昔のアニメらしい展開の早さもあって、気軽に見れるのに満足度が高い作品になっている!

個人的に気に入ったのが、パイロットメンバーが「任務の達成のためなら己を殺せ」みたいな、自分勝手に走らずチームワークを優先するシーンが多いところ。もちろん毎回がそういうわけではないけれど、個ではなく組織として立ち向かう、というのが好きな自分にとってすごくツボな要素だった。キャラ単体で見れば「熱血」や「ニヒル」といった定番キャラではあるが、濃厚なストーリーの中でこれもまたいい大味加減となってバランスが素晴らしい!

こういうこともあってロボットバトルの迫力を楽しむというより各キャラのドラマを楽しむことが多かったアニメだった。もちろんバトル部分も楽しめるし割と絶対絶命のピンチになるので「え、やべーどうすんの!?」とついつい見入ることもしばしば。いやぁ面白いなぁ。

全40話とちょっと長いが最終話まで様々な人間ドラマが入り乱れ、楽しさ・面白さいっぱいのアニメであった。傑作と言うには尖りが足りないかもしれないが名作であると間違いなく言える。大人こども関係なく是非とも見てほしい作品だ。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 1
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