Witch さんの感想・評価
4.1
「浅いイチャラブ作品?!」→頂上まで登ってみるとそこから見える景色は別世界だったみたいな
【レビューNo.142】(初回登録:2024/9/15)
コミック原作で
・第1期:2021年作品。全12話。
・第2期:2023年作品。全12話。
・第3期:2024年作品。全12話。
(ストーリー)
あなたは想像できるだろうか?
思いを寄せた相手に指一本触れることすらできないという人生を。
触ったものの命を奪ってしまう・・・それが魔女が彼にかけた呪いだった――
貴族の坊ちゃんはこの呪いで周りから拒絶されてしまうため、森の奥にある大
きな別邸で過ごしている。
そして坊ちゃんを支えるメイド・アリスがいるが、坊ちゃんを慕うアリスは日
常的に逆セクハラを仕掛けてくるのであった。
危ない距離感で誘惑するアリス。
そんな彼女に翻弄されながらも坊ちゃんは、少しづつ広がっていく人や魔女た
ちとの縁を紡いで、「魔女の呪い」を解くために歩み始めるのだった。
(評 価)
・右肩上がりに面白くなっていく作品
はじめは「アダルト版・からかい上手な高木さん?!」って感じで
・(触れると命を落とすギリギリの状況ながら)逆セクハラを楽しむアリス
→ 坊ちゃん”2つの意味”でドキドキw
そんな2人のイチャラブがメインって感じで少しマッタリめ
・他のキャラも順次登場してくるが、まだキャラの紹介レベル
1期はあまりテンポもよくなく、個人的にはさほど評価していなかったんで
すよね。
でも(惰性ながらも)視聴していくと・・・
魔女(この世界は男性キャラでも魔女呼称)のザインとカフがレギュラー化
してくるので、その辺りから流れが変わってきます。
特にザインは
・普段はスケベで軽薄なキャラだが
・カフ思いで魔法の才に溢れ、やる時にはやる男
って感じで、かなり使い勝手のいいキャラなんですよね。
ザインの出番が増えることで、コメディ展開はテンポがよくなりかなり面白
くなってきます。
そして1期ではあまり良好な関係にみえなかった弟のウォルターや魔女ダレス
も出番が増えることで愛すべきキャラへと昇華されてきますし、「魔女の呪い」
の方も次第に謎が解明されていき物語が加速していきます。
そして3期では
・「魔女の呪い」の真相
・ラスボス・シャーデーとの対決
・坊ちゃんとアリスの愛の行方
を余すことなく、丁寧に描いて終わってくれます。
そんな感じで、
・キャラ同士の関係性が深まりシナジーが生まれてくる
・過去と現在が繋がっていく時間軸の構成の妙
・(後述するが)その中で繰り広げられる過去や現在進行形の愛の物語
回が進むごとに面白さが増していく作品であります。
・その中で繰り広げられる過去や現在進行形の愛の物語
本作では「坊ちゃん×アリス」の他にも様々な恋愛模様が描かれています。
{netabare} ・「ザイン×カフ」の幼馴染ラブ
・「人間・ウォルター×魔女・ダレス」種族を超えた(初々しい)ラブ
・「座長×アメリア」の大人なラブ
・「魔女の呪い」の起点となるシャーデーの悲しきラブ
(後はネタ的な「執事ロブ×おしゃまなヴィオラ」の”枯れ専”ラブw)
それに
・「坊ちゃん×母親」
・「アリス×母親」
といった「親子愛」についても描かれていきます。
そして「坊ちゃん×アリス」についても「魔女の呪い」が解けても
・貴族の跡継ぎとメイドという身分差
という壁が立ちはだかるわけで、坊ちゃんとアリスは重大な決断を迫られる
ことになります。 {/netabare}
そんな感じで
・作品のあちこちに愛の物語を散りばめながら、視聴者を飽きさせず
・クライマックスもしっかり用意して
・最後は大団円で視聴者が幸せな気持ちになれるという
かなりしっかりした構成に仕上がっていると思います。
・童話やミュージカルを意識した演出
・「貴族の坊ちゃん×魔女の呪い」
・人目を避け、森の奥にある大きな別邸で過ごしている
舞台設定はなんだかグリム童話っぽさを感じますね。
それを活かすようにアバンのナレーションやその作画には、童話っぽい演出
を盛り込んでいます。
それに作品の雰囲気も”優しく柔らかな”印象を受けるので、その辺りでも
童話的要素を意識しているのかなっと。
(また坊ちゃんがピアノを特技としていることもあり)オリジナルの挿入歌
でミュージカル的な演出を入れてきます。
これも上述の童話的要素との相性が抜群でしたね。
そして作画は「トゥーンレンダリング」という3DCGで描かれているのですが
(3DCGの技術を使いながらも従来のアニメの印象に近い(2D的な手描きに似
せた)表現のこと)
3DCGによるアニメ表現の可能性にも挑戦しているようですね。
個人的には上述の通り”優しく柔らかな”印象を受けたので、(一目では)
違和感なく仕上がっているように感じました。
(確かに注意深くみたら3DCGだなってところはありますが)
はじめは「また浅いイチャラブ作品が始まったのか?!」という辟易した気持
ちになりましたが、終ってみるといつの間にかハマってましたね(笑)
3期全36話と長い道のりになりますが、頂上まで登ってみるとそこから見える景
色は別世界だったみたいな。
そんな感じで、「1期で切らずに完走してよかった」と思える作品でしたね。
3基OP「シネマティックパレード/坊ちゃん&アリス」
・「あなたになら~食べられてもいいの~♪」
1期から2人のデュエットソングですが、3期だとここまで攻めてくるんだよなあw