人形劇アニメ映画ランキング 3

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の人形劇成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年10月08日の時点で一番の人形劇アニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

68.1 1 人形劇アニメランキング1位
劇場版ユンカースカムヒア(アニメ映画)

1995年3月18日
★★★★☆ 3.8 (36)
164人が棚に入れました
共働きで忙しい両親を持つ小学6年生のひろみ。寂しい彼女を励ますのは、人間の言葉を話す飼い犬のユンカースだった。ある日ひろみは、片思いしている家庭教師の圭介に婚約者がいたことと、両親の離婚話を知ってショックを受ける。そんな彼女にユンカースは、自分は3回だけ奇跡を起こすことができるという。なかなか信じないひとみだったが、奇跡は次々に起こり…。

声優・キャラクター
古本新乃輔、押谷芽衣、木根尚登、紺野美沙子、峰野勝成、玉川砂記子、飯塚雅弓、中島啓江

セメント さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

素晴らしい

ぼくは奇跡を起こすことができるんだよ


次にキャラが発するであろう台詞、次に起こるであろう展開が予想できるときって、アニメ見てるとありますよね。
そういう場合って、演出面に何かしら伏線めいたものが張り巡らされていて、次の台詞、次の展開が予想できるんだと思います。
本作を見ていてそういう場面に多く遭遇したのですが、偏に、演出がより現実に沿った丁寧な運びになっているからじゃないかなーと思います。
会話の間とか、視線の向きとか、非常に考えられて作られているのが見て取れます。
トレンディドラマ風に少し不思議要素の利いた物語で、優秀な映画だと思います。

サトジュン監督、なかむらたかしさん、大平晋也さん、大橋学さんなど大ベテラン達の描くジブリみたいな作品ですね。
というか当時は、あの「耳をすませば」を抑えて栄誉ある毎日映画コンクールで賞を獲ってますからね。
ジブリなんて目じゃないと言わんばかりの作品ではあったとは思うのですが、商業的には成功と言い難かったようで、隠れた名作です。
日常の芝居作画がほんと旨いです、サトジュンも一原描いてるカットもあったり、なかむらさんの人形劇、大橋さんの背景動画、どれも激旨です。

声優はあんま有名な人いないんですけど、下手と感じることもなかったです。

TM NETWORKの木根さんの小説が原作という異色の作品で、そんなこともあって音楽は木根さん自身が担当しています。

ユンカースとひろみ、どっちが主人公なんでしょう。
あと、文江さんの存在感w


隠れた名作とはいえ、ほんとに隠れてしまって、実は長らくビデオ発売がされなかったんですよね。
そんな中、本作のファンが"ユンカース・カム・ヒアを観る会"というのを立ち上げ、小劇場を借りて有志の上映会を行う等の草の根活動が実り、ビデオ発売に至るという、"ファンが作品を動かした"例でもあります。
まさにユンカースの奇跡のような話で凄く面白いです。
上映会の主催者にインタビューを行った記事がありますので、こちらも是非合わせて見てみてください。
http://sprocket.eek.jp/monthsp/month2000July-3.htm

投稿 : 2024/10/05
♥ : 3

ソーカー さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

感動のファンタジードラマ、アニメって素晴らしいと思います

小学6年生の野沢ひろみと人間の言葉をしゃべれる犬ユンカースの友情、笑いと涙と感動をくれるファンタジーアニメ。主人公の野沢ひろみは明るい良い子ではありますが、辛いことがあっても本音を口に出さない子です。ユンカースはそんな主人公のために三つの願い事を叶えてくれるという・・・大学生の家庭教師に寄せる恋心と失恋、離婚の危機に瀕する両親に対する思い、淡い色彩を背景に思春期の少女を願いを丁寧に綴った傑作。知名度は低いですが、個人的には佐藤順一監督の最高傑作です。

どっかの魔法少女アニメに似ていますが、ひろみとユンカースのやりとりが実に面白く、細かな表情や仕草で笑えるというのがこの作品の大きな魅力。クオリティの高い作画が可能にする職人芸的な粋な笑いです。踊り出したり歌い出したりユニークな家政婦のおばちゃんも、これがまた良いんです。全ての登場人物が活き活きとしています。

主人公の野沢ひろみは本音をずっと隠し続けるんだけど、最後の最後で感情が爆発します。これがもう凄く心に染みる。ストーリー自体はありきたりなのに、心情描写が良いとここまで感動出来るのかと。夢の中で空を飛んだりするシーンはもう名シーンですね。これだけの名作が興行的に振るわなかったのは、もう本当に残念というか、もっと色んな人に見てもらわなければならない名作の一つだと思います。

投稿 : 2024/10/05
♥ : 11

ほねっこ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

素晴らしい・・・!

小学6年生のひろみと、彼女の飼い犬で人の言葉を話せるユンカースを中心に紡がれる、心温まる少女の成長と家族の物語
ラストめっちゃ泣いてしまった・・・

両親が共働きで家を空けがちであるため、「良い子」になること(=自分の素直な気持ちを抑え込むこと)に慣れてしまった、主人公の微妙で繊細な心情がとても上手に描かれていて素晴らしかったです!

犬がしゃべりますが、ファンタジー的な要素はそこだけで、とにかくキャラクターの演技もストーリーの展開も自然そのもの。
キャラクターデザイン含め、所謂アニメ的な可愛らしさ・派手さはないのですが、その写実的な描写はとにかく素晴らしい!

一見地味に映るかもしれませんが、もっと広く知ってもらいたい作品ナンバーワンです。

・・・犬を飼うようになったら、ユンカースって名前にしよう!

投稿 : 2024/10/05
♥ : 2

63.8 2 人形劇アニメランキング2位
アップルシード APPLESEED(アニメ映画)

2004年4月17日
★★★★☆ 3.5 (178)
958人が棚に入れました
公安警察組織に所属しているデュナンとブリアレオスの活躍を描いた近未来サイエンスフィクション作品。
22世紀。世界は第五次世界大戦を経て荒廃し、北大西洋(アリゾナ州とカナリアの間)の人工島オリュンポスに設置された総合管理局が台頭、世界をその影響下に置いている。主人公である女性隊員デュナンと戦闘サイボーグであるブリアレオスは総合管理局の内務省部隊、ESWAT(ESpesialy Weapon And Tactics)に所属して対テロ作戦などに加わる。その中で巨大な計画、旧大国の策謀が明らかになっていく。
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

テーマ性や設定はいい。ストーリーはまあまあだけど単調です。

 本作は2004年ですが、原作は1980年代です。テーマである人類の滅びについては、1999年以前は不思議なリアリティがありました。人類の滅亡は何が原因でおこるのか、ということを今よりもみんなが真剣に考えていたのではないでしょうか。もちろんノストラダムスの予言という戦後日本最大のオカルト都市伝説があったからこそです。
 現実には今現在の方がいつ核兵器が飛んできてもおかしくない状況ですけど。

 オカルト、コンピュータ問題、東西問題などいろんな視点で語られ、創作物でも作られていました。その中でもSFはかなり多角的な視点で人類の滅びを描いていました。本作もその一つです。リアルタイムではないですが、2005、6年には見たと思います。

 本作については、戦争による人類の滅亡が予言される中、{netabare} 遺伝子操作…というか遺伝子を組み合わせて作られた新たな人類に世界を明け渡すかどうかが、テーマでした。新たな人類に生殖機能を付与しメンテナンス不要にし、逆に人類の生殖機能を停止させることで安楽死を迎えよう、{/netabare}というのが本作のメインテーマです。
 で、その舞台になるのは戦争で荒廃した世界の中に作られた人工の都市でした。

 このテーマについては、初めは「ん?」と思うのが、新人類を作る必要があるかどうかでしたが、人類が滅びるときに生活出来なきゃ困るし、穏やかに最後を迎えるためには優しい新人類が必要なのでしょう。

 この人間-新人類-ロボット彼氏という3種類の人類の在り方プラスAIという構造が、生殖問題と相まって愛情とか感情についての多様性と可能性を示唆していました。が、示唆どまりだった気もします。

 本作は、滅びや人類の愛情の形問題は解答を必ずしも出しません。考えようによってはバッドエンドです。が、多分ここでの問題提起が攻殻機動隊にもつながり、ネット、情報、魂、集合的無意識などの「人間とは何か」という問題につながってゆくのでしょう。

 ストーリーは、開始24分くらいのドライブのシーンから始まる10分くらいで世界観や設定など丁寧にセリフで説明してくれますし、その後の展開もさらに10分くらいで理解できます。非常にわかりやすく説明されたあと物語が展開します。その後の話もほぼセリフでの説明があるので攻殻機動隊のようなめんどくささは無く、非常にわかりやすいです。

 その分、ストーリーそのものについては、面白みに欠けるのも事実です。ヒロインに感情移入することで、サラッと見る分には十分面白いんですけど、奥行きがある映画かといえば、そうでもないです。

 それと冒頭の20分くらいがかなり冗長なバトルシーン等で占められていました。この冒頭のシーンの冗長感でかなり損している感じもあります。

 キャラについては、ヒロインもいいんですけど、初めモブの案内役かと思ってたヒトミやメカニックの男がかなり重要でしたし、なかなか新人類の性質をキャラに落とし込んで良くできたキャラだったと思います。ただ、ロボット彼氏がちょっと内面が残念だった気がします。

 本作の結末近くのパスワードの場面については、まあネタバレになりますので描きませんが、ヒトミの役割というか正体についてはちょっと考えますね。単純にその役割だけということかもしれませんけど、なんか乗っかってないと浅い感じですし、その余白は十分ありそうですけど。

 テーマや設定、キャラは良かったんですけど、ストーリーがちょっと単調だった気もします。原作は1980年代ですが本作は2004年ですから、その辺はちょっと古臭さを感じました。

 で、本作で外せないのが、3D表現ですけど、無機物(メカ、建物など)は非常に迫力がありました。これは素晴らしかったと思います。ただ、キャラですね。「3DCGとしては」カッコ付きのすごさでしかありません。本作の人物を2D作画したほうが10倍いい絵になったと思います。

 ただ、ヒロインの戦闘時、顔から立体感を無くしたのっぺりしたレンダリングの時はかなり良かったと思います。つまり、アニメっぽくしたときは、コスチュームの硬質感は3DCGとマッチしていたのだと思います。ただ、通常の衣服の時はやっぱり残念でしたけど。そもそも色っぽくないですね。各キャラが。

 メカニカルデザインは後…というか映画的にはこれ以前の攻殻機動隊とほぼ同じデザインコンセプトですね。ただ、世界観を共有しているかというとどうなんでしょう?ちょっとAIや世界観の方向性は違う気がしますので、世界観の統一性は感じませんでした。

 ちょっとエイリアン2のような映画の影響が感じられました。拾っていけばハリウッド映像の影響が大きいと思います。それが既視感につながって新鮮味が無かった気がします。


 ということで総評すると、コンセプトは素晴らしいと思います。テーマ性は2022年現在の状況を表したようなテーマで普遍性があるテーマだと思いますし、結論を見せるのではなくオープンエンディングにして考える余韻があるのもいいでしょう。

 ストーリーとしてはちょっと単調だった気もします。中だるみというよりも前弛みですね。
 ただ、分かりやすくテーマが織り込んであり、1時間40分の中で主義主張についてはかなり深い話だったと思います。物語が軽いですけど。セリフの説明が多いですけどね。

 映像はバトルシーン多目で迫力があります。が、既視感もあります。人物の3DCGはやはり3Dとしてはがんばったんでしょうけど、2Dのような魅力がないのは残念です。

 ということで、人類の行く末については1999年以前の世紀末感が今は薄れているので、若干ピンとこないかもしれませんが、逆にほぼ第3次世界大戦の真っただ中の状態の今、改めて見る価値があるかもしれません。

 ただなあ…なんか単調で飽きるんですよね。全体的に…構成かなあ。

投稿 : 2024/10/05
♥ : 6

HIRO さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

荒牧伸志さんの監督デビュー作品。

2004年劇場映画アニメ

原作は士郎正宗さんのマンガ作品です。
アップルシード APPLESEEDは荒牧伸志さん監督デビュー作品です。
フル3Dライブアニメという表現手法によって映像化された作品です。

(フル3Dライブアニメ:3DCGをセルアニメのような画風に変換するトゥーンシェーダーと、登場人物のリアルな動きを可能とするモーションキャプチャ技術を融合させた手法を示す造語である。セルアニメに近い画風でありながら、従来のアニメーションと比べ、自由なカメラワークやよりリアルな動きが表現できる。)

まず驚いたのは2004年作品での画像クォリティーの高さ。2014年にアップルシード アルファを発表していますが、さらに進化しています。

難を言えば、3DCG作品全般に見られる機械の描き方や動きの速さに人の顔の表情がついてこれず主人公、ヒロインが人形のように感じてしまうところです。
そうはいえど2014年製作のアップルシード アルファにおいてはアバターやタイタニックの監督のジェームズ・キャメロン氏が「もはや新次元の領域だ」と言わしめているように次の時代を担っている荒牧伸志監督デビュー作は観ておいて損はないと思います。

あらすじ
世界大戦後の廃墟で生き延びていた女性兵士デュナンは、人類への奉仕者として肉体・感情を制御されたクローン人間バイオロイドの管理する理想都市オリュンポスに連行され、そこで全身サイボーグ化していた恋人ブリアレオスと再会する。彼の所属する元老院ESWATの一員となったデュナンは、やがてバイオロイドの開発とオリュンポス計画に自分の両親が関わっていた事実を知り、自身もバイオロイドの軛を解き放つ鍵「アップルシード」をめぐる陰謀に巻き込まれていく。

・スタッフ
監督 : 荒牧伸志
脚本:半田はるか、上代務
絵コンテ-:秋山勝仁、九市、吉田英俊、荒巻伸志
製作 - アップルシード・パートナーズ(ミコット・エンド・バサラ、TBS、ジェネオン・エンタテインメント、やまと、東宝、TYO、デジタル・フロンティア、MBS)

キャスト
デュナン : 小林愛
ブリアレオス :小杉十郎太
ヒトミ :松岡由貴
ウラノス将軍 :藤本譲
ハデス :子安武人
アテナ :小山茉美
ニケ :山田美穂
義経 :森川智之
ほか

投稿 : 2024/10/05
♥ : 13

h02dvvd さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

作画が気にならなければアリ

【萌え】★☆☆☆☆ 【シリアス】★★★★★
【ヒューマンドラマ】★★☆☆☆ 【アカデミック】★★★★☆
【ギャグ】☆☆☆☆☆ 【演出】★★★☆☆

・目がでかい
 全編フル3DCG(フル3Dライブアニメっていうらしいです)でお送りしているこの作品。かなりリアルです。でまあリアルな分には問題ないのですが、キャラクターだけはアニメ絵です。そのため目の大きさがアニメキャラのそれに近い。「どこぞの少女漫画なみにでかい」ということはないのですが、周りの風景がリアルなだけに違和感バリバリ。最初のシーンでデュナンがゴーグルを外した時に「凛々しい!」と感じるか「ん!?」と感じるかでその後楽しめるかどうかが変わってきそう。ただ慣れるに越したことないです。ファイト。

・他は素晴らしい
 上に書いたキャラクター造形など「いかにも作り物」みたいなCGに抵抗がなければ、もしくは慣れてしまえばとても面白い作品。テーマは「人間とアンドロイド」(作中にバイオロイドという言葉が出てきますが要するにアンドロイドのことです)という古典的なものですが生殖機能の有無を中心に絡めてくるのは「ほほー」といったところ。そして特筆すべきはやはりアクション。モーションキャプチャーを使用しているということで動く動く。キャラクターが大きく映っていなければ3Dであることを忘れるほどです。

・アクションSFロボ映画
 基本的なつくりは「いかにしていいタイミングでアクションシーンを持ってくるか」というハリウッド映画のようなものなので、同じシロマサさん原作の攻殻機動隊(特にSAC)を期待して観るのはやめましょう。きれいにまとまっている良作です。ロボットがたくさん出てくるのでロボ好きはぜひ。

投稿 : 2024/10/05
♥ : 4

68.2 3 人形劇アニメランキング3位
映画 ハピネスチャージプリキュア! 人形の国のバレリーナ(アニメ映画)

2014年10月11日
★★★★★ 4.1 (21)
116人が棚に入れました
めぐみたちが保育園で人形劇を披露していたときのこと。突然その中にあったバレリーナの人形がしゃべりだし、「王国を救ってほしい」と告げる。つむぎというその人形の少女に連れられて、めぐみたちは人形たちが住むドール王国へと向かい、そこにいた王子のジークに招待され、城での舞踏会を楽しむことになる。そうしたなか、めぐみはつむぎの様子がおかしいことに気づき、何があったのか聞こうとする。一方ジークに一目惚れしたひめは、ジークとの恋の予感を感じていたのだが、その最中にサイアークが襲撃、謎の男・ブラックファングによってつむぎは囚われの身となってしまう。そして王国に隠された悲しい秘密を知っためぐみたちプリキュアはつむぎを、王国を救うためブラックファングに立ち向かう。
ネタバレ

ユニバーサルスタイル さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

愛の恵みで幸せ紡ぐ

プリキュアの映画、はじめて観ました。面白かったです。
                                                                 おわり



・・・位で終わらせようかと思っていたのですがとんでもない!!
とっても面白かったです。ということでなが~く書きます(笑)


今回の映画は「人形」の持つポジティブなイメージとネガティブなイメージ両方が明示されていて、さながらトイストーリーのようにも感じられました。

人形は長年愛を注ぐことで命が宿る、なんて言われる通り持ち主の愛情の深さを表すと思います。

また逆に人形は無機質な印象、無気力な印象も与えます。操り人形なんかはこちらのイメージが強いように思います。

考えようによっては「人間的」にも「無機的」にも捉えられる人形。
分かりやすいようで、深いです。

人形を題材にしたのは上手いと思いました。話の構成を基盤としてしっかり支えていて、安定感がありました。



しかし!それだけじゃなくて、プリキュアとして、ハピネスチャージプリキュアとしてのテーマも追求されているのが素晴らしい。

『プリキュアは本当に誰にでも笑顔を取り戻す事ができるのか』

見ていくと、ハピネスチャージプリキュアはアンパンマンに近い存在なのではないかと思いましたね。


今回ヒロインのつむぎちゃん。

お姫様のような出で立ちでてっきりひめ(キュアプリンセス)と対になる存在かと思えば、めぐみ(キュアラブリー)との関係の方が深いです。

つむぎちゃんが現れたことで、めぐみは心を揺さぶられます。
{netabare}
幸不幸、そしてプリキュアにできることできないこと・・・。
{/netabare}

初めて出会う存在にめぐみはどうするのか?

・・・と、若干百合百合っぽく表現してますが、本編の描写から察するとこれは最早友情を超えたものであると確信してます(笑)

(ネタバレ注意)
{netabare}
めぐみ達が幼稚園で行っている人形劇。
めぐみは不器用なため王子様とお姫様の大事なキスシーンで糸を絡ませてしまう。
そこで強引に糸を断ち切ってご満悦のめぐみ。キスシーンが台無し!と怒るひめ。

これがそのままその後の関係に直結してます。

それは、ひめがジークとキスをしようとしたらサイアークに邪魔されたシーン?そうではありません。
お姫様=ひめ 王子様=ジークというのは見せ掛け。

実際は終盤、不幸の糸に絡め取られて身動きの取れないつむぎを、ラブリーが糸を断ち切り救出するシーン!
お姫様=つむぎ 王子様=めぐみなのですよ。

そして最後の抱擁がキスの代わり、というかもうキスと変わらないですよね!

これは・・・ラブリーな二人のパワーを感じますわ!!
{/netabare}


話を戻して、本編での彼女について。

つむぎちゃんの踊りは、その発する言葉と流れる音楽と相まって壮観でした。
作画的に踊りが凄いとかそんなことはないのですが、それでも目が離せない。
つむぎちゃん絡みのBGMは本当に秀逸です。

台詞ひとつ取ってもすごく感情が込められてるんです。
声優が堀江由衣さんだということ、中盤でやっと分かりました。いつもの演技のつもりで聴いていたら気付かなかったです。

特にこの台詞、聴いた瞬間鳥肌が・・・・。
{netabare}
「みんな幸せハピネスにするんでしょ?だったら私の人形になって。」

幸福な相手を貶めようとする冷たさと、救いを求める悲痛さが籠った名台詞。
{/netabare}

つむぎちゃんの心の叫びが痛いくらいに響いてきて、堀江さんいやほっちゃんすげえなあと改めて思いました。
プリキュアを務める若手勢に貫録を見せるような迫力でした。


ただ一つ、本来のターゲット層である子供にああいう苦悩や痛みが理解できるのか、とは思いました。

なんとなくプリキュアと妖怪ウォッチ好きは同じくらいの年齢層に思えるのですが、中学生くらいが見た方が共感できるような気がするのです。

となると、話を理解してもらうより絵で魅せる方が賢明です。

子供の頃見たアニメは内容自体は忘れてしまっても、印象的なシーンはいつまでも覚えているものだと思います。

おそらくこの辺りは印象的だったと思います。
{netabare}
・誠司、リボンとぐらさんが人形にされてしまう。ブルーもその後人形の姿で登場する。

・つむぎがめぐみを、ジークがひめを裏切り攻撃してくる。

・自信を喪失したラブリーをプリンセスが激励する。「私の知ってるラブリーはそんなじゃない!」

・糸に呑み込まれ身動きの取れなくなるつむぎ。

・ブラックファングに単身立ち向かうジーク。あえなくやられ、消滅する。

・サイアーク、ブラックファングに特攻し消滅していく人形たち。

・つむぎの増幅させた不幸を源に世界中に不幸を拡散させるブラックファング。

・巨大化するブラックファング、それに立ち向かうラブリー達。

・圧倒的な力で敵を消滅させるラブリー。

・人形の国が消滅する直前に、ラブリーを抱きしめて感謝するつむぎ。
{/netabare}

眺めているだけでも凄いと思える絵ばかりでした。特に後半は見所だらけ。
おそらくそれが作り手の狙いなのでしょうね。



見終わった後でごちゃごちゃしてしまったのでまた書き直そうかと思います。
いや、とにかく良い映画でした。恥ずかしさを忍んで観に行った甲斐ありました。こういうアニメに弱い!
そういえば、子供より大人が泣いている姿がチラホラ見られました。それがとても脳裏に焼き付いてます。


蛇足
{netabare}
ふなっしーが人形じゃなくて着ぐるみで本当に良かったです。
人形の国にまで来られたらムードぶち壊しですから(笑)
でも好きですふなっしー。不思議と嫌いになれません。
{/netabare}

投稿 : 2024/10/05
♥ : 10

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

【おまえ自身の手でこの国を守るんだ】これは幸せを勝ち取る映画です。一人じゃない、それこそが幸せへの鍵。【何も出来ない癖に簡単に助けるなんて言わないで!】

バレリーナ人形のつむぎに誘われて、人形の国『ドール王国』にやってきたハピネスチャージプリキュア達
しかしドール王国にも幻影帝国のサイアークが現れ、プリキュア達は戦闘を余儀なくされる
いつものコンビネーションでサイアークを追い詰めるが浄化寸前のところでサイアークが消滅
ただ事ならぬ事態に疑問を抱くも暫しドール王国の歓迎ムードに浸る一行
しかしドール王国の歓迎はプリキュアを倒すための罠であり、つむぎの正体は足が不自由になり二度とバレエを踊れない体になってしまった人間の少女だった
そしてつむぎの裏切りと彼女の身に起こった悲しみを知り困惑するキュアラブリー
さらにドール王国の影にはつむぎの悲しみを利用して幻影帝国の転覆と地球の支配を同時に企む、ブラックファングが暗躍していたのだった・・・


これまで『プリキュア』の映画と言えばシリーズ古参のベテラン監督か有望な新人演出家の登竜門として基本的にメインスタッフは東映アニメーション社内で構成されているのがお約束でした


ですが今回初めて『ひぐらしのなく頃に』シリーズや『ゴールデンタイム』の監督して著名な今千秋を起用
さらにキャラクターデザイン&作画監督には『ぱにぽにだっしゅ!』や『夏のあらし』のキャラデザ、またテレビシリーズでは“キュアハニーの変身バンク”を担当したことでプリキュアとも縁の深い大田和寛が担当
つまり東映のお家芸であったはずのプリキュアの映画において、メインスタッフが外部から雇われたフリーランスで構成されるという初の挑戦がなされているんです
こういった試みは近年ディズニーも取り入れています


外部スタッフとは言えど映画とテレビシリーズでキャラクターの性格が違う・・・などと言う所謂“足並みの不一致”は一切ありませんのでご安心を


ただし大田さんの作画をよく観てきた方なら判る通り、大田さんの作風の個性である“極太のアウトライン”“キラキラした瞳”“立体的な髪の毛”“長いまつ毛”が多用されるかなり個性的、そしてケレン味の強い作画なっております
(キュアフォーチュンもイケメンに?w)
ハッキリ言ってテレビシリーズとは全然違う、似ても似つかない作画なんですがここはオイラとしては【絶賛】せざるを得ない(笑)
実際に芝居、アクション、エフェクト、表情とまあどれを取ってもハイクオリティ



キャスティングにはほっちゃん、小野D、帝王森川さんがゲストに登場
つむぎちゃんのキャスティングはほっちゃんであることが前提としてあったらしく、それに合わせて可愛くキャラデザされたらしいっす


肝心のお話は『スマプリ 絵本の国』を観た方ならアレに近いものを感じるかもしれません


ただスマプリが笑顔をテーマにしていたのに対し、今作は【幸せ】をテーマにしてます
みんなを幸せにする、というハピプリの謳い文句へ
「プリキュアはみんなを幸せにするんでしよ?だったら私の足を直して!」
と、見事論破してくる辺りは心がえぐられる様な想いになりますね
こればかりはプリキュアにどうすることも出来ない、それを突き付けられるキュアラブリー


それに今作の黒幕であるブラックファングが力押し一手の幻影帝国の幹部とは思えんほどの策略家、精神攻撃の使い手、最強のマッチポンプ野郎、近年稀に見る大悪党として描かれておりプリキュア達をかつて無いほどに追い詰めます
(流石は元ゴーヤーン様やw)


さらにいたいけな少女、つむぎちゃんの悲痛な心の叫びに耐え切れずオイラはずっと号泣;;
つむぎちゃんの【不幸】があまりにも具体的なので正直中盤は悲惨過ぎる
悲しげな劇伴とか挿入歌のタイミングもすげぇ
あまりに暗い内容なので(毎年のことですが)劇場の子供の半分くらいが泣き出す
そしてけみかけも男泣きの大人泣きですよ


そして【不幸】しか見えなかったつむぎちゃんに対し、キュアラブリーが出す【幸せを見つける為の鍵】の答え
注目していただきたいですねb


ふなっしーも流石本人役としての出演だけあっていい仕事するし、それに良く動く(笑)
『絵本の国』から4作連続で素晴らしい映画が続いたので、流石にもう力尽きる頃かと思っていたのが正直なところでしたが、どうやら取り越し苦労だったようです
普段プリキュアとか観ない人も是非に!
そのために揃えたスタッフとキャストだと思います

投稿 : 2024/10/05
♥ : 11
ネタバレ

ねここ時計 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

ハピネスパワーで救ってみせる

プリキュアは初期から(ふたりはプリキュアから)みているのと、
人形が大好きなので、この映画はとても期待して観に行きました。
おもしろかったです。

今回のプリキュアは、キャラデザ評価が低いようですが私はすきです。
特にこの映画では、少女らしいおちゃめな表情がとてもかわゆいです。
真剣な本気モードの表情も、とても良かったです。


人形をモチーフにしているので、感情移入しやすいです。
女の子なら、幼い頃に大好きなお人形さんがいたのではないかな?^^
表情は変わらないのに、自分が操ることで笑顔にみえたり、悲しくみえたり。
そんな人形をモチーフしたこの作品、とても深いものに仕上がっていました。

ヒロインつむぎちゃん
彼女の悲しい真実。
{netabare}
この世界でなら踊り続けることができる
誰も壊さないで 
誰にも 壊させない


この深い悲しみ。同時に助けて!とも聞こえました。
プリキュアがどうやって救うのだろうかと、ハラハラみていましたが
直球でしたね。{/netabare}

つむぎちゃん、人形たち、プリキュアたち
みんな真っ直ぐでピュアなんです。

心のド真ん中に直球でバンバン投げ込まれ
やさぐれまくっていた心が解けて、まっさらにされました。
そんな私の心に、登場人物たちの純粋な想いが入ってきて
感動してしまい涙しました。


女の子の「可愛い♪」と乙女心がたっぷり詰まった宝石箱みたいな映像たち。
繰り出される映像に、うわぁぁってなりました。

人形たちが動いておしゃべりしたり、
白馬の王子様と、かわいいフワフワドレス着てお姫様みたいにお城で踊ったり。

かなり夢見がちだけど、どんな女の子でも一度は「そんな風になりたいなぁ」
と思ったことがあるはず。
変身シーンもとてもかわいらしくて。お化粧するんです。


ひとりで行ったので、観にいくのに少しだけ勇気が入りました 笑
観に来ていた幼い女の子たちも
みんなプリキュアと同じくらいかわいらしくって、キラキラでした☆


ドレスライトをもって(映画館でもらえるのです)
みんなで光を灯してくれ {netabare}なっしー!w{/netabare}
言われたので {netabare}(まさかの場面でふなっしー登場){/netabare}
がんばれ、プリキュアー!って
一緒にピンクのライトを振ってしまうほど、物語に入り込んでしまいました。

こういう作品好きです。
心にどんどん入ってきて、知らないうちに感動してるっていう。
是非みなさんも観てほしいな。

投稿 : 2024/10/05
♥ : 14
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