人工知能で戦闘機なおすすめアニメランキング 5

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの人工知能で戦闘機な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月06日の時点で一番の人工知能で戦闘機なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

65.6 1 人工知能で戦闘機なアニメランキング1位
ガーリー・エアフォース(TVアニメ動画)

2019年冬アニメ
★★★★☆ 3.1 (208)
805人が棚に入れました
突如出現した謎の飛翔体、ザイ。それは、人類の航空戦力を圧倒した。彼らに対抗すべく開発されたのが、既存の機体に改造を施した「ドーター」と呼ばれる兵器。操るのは、「アニマ」という操縦機構。それは——少女の姿をしていた。鳴谷慧が出会ったのは真紅に輝く戦闘機、そしてそれを駆るアニマ・グリペンだった。人類の切り札の少女と、空に焦がれる少年の物語が始まる。

声優・キャラクター
逢坂良太、森嶋優花、大和田仁美、井澤詩織、白石涼子、Lynn

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

アフターバーナー全開で贈る美少女×戦闘機ストーリー!

この作品の原作ノベルは未読です。
そしてこの作品の視聴を決めたのは、「しーちゃん」こと井澤詩織さんとLynnさんが出演されると知ったから…
ですが、本作品の核となるアニマ役として、「Run Girls, Run!」のメンバーの一人である森嶋優花さん、「ネトゲの嫁~」のゲーム内で大活躍(?)したセッテ役の大和田仁美さんも出演されると知り、更に視聴が楽しみになった作品です。

「突如出現した謎の飛翔体、ザイ。それは人類の航空戦力を圧倒した。
彼らに対抗すべく開発されたのが既存の機体に改造を施したドーターと呼ばれる兵器。
操るのは、アニマという操縦機構。
それは…少女の姿をしていた。
鳴谷慧が出会ったのは真紅に輝く戦闘機、そしてそれを駆るアニマ、グリペンだった。
人類の切り札の少女と、空に焦がれる少年の物語が始まる。」

分かりやすく纏まっていたので公式HPのIntroductionを引用させて頂きました。

ザイの存在…ストパンで言うところの「ネウロイ」の様な存在と思えば問題無いと思います。
敵の存在はありきたりですが、人類の切り札であるアニマの存在がこの作品に彩りを添えています。
何故ならアニマはこれまで居そうでいない存在だったから…だと思っています。

改造された機体を操る少女…パッと見は「蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-」のメンタルモデルっぽいんですけど、メンタルモデルは船そのものなので、似て非なる存在という事になります。
飛行機乗りのパイロットは、これまでアニメの中で星の数ほど描かれてきましたが、特別な操縦機構という存在はいなかったと思います。
でも忘れているだけかも…と思い、少し思い出してみました。

飛行機ではありませんが、「アスラクラインの機巧魔神(アスラ・マキーナ)」、「ブブキ・ブランキのブランキ」や「レガリア The Three Sacred Starsのレガリア」なんかは同系統の存在かもしれません。
でも調べているうちに段々思考がズレていっている気がしてなりませんでした。
もしご存知の方がいらっしゃったら教えて頂けると嬉しいです。

…レビューが思い切り脱線してしまいました。

日本軍には3体のアニマが所属していました。
森嶋優花さん演じる「グリペン」、大和田仁美さん演じる「イーグル」、そしてしーちゃん演じる「ファントム」です。
人類の切り札がたった3人の少女…?
思わず聞き返したくなるような設定ですが、事実彼女たち以外の普通の攻撃はまるで敵に当たらないんです。
でも人間は決して諦めていませんでした。
例え無力でも生きるのを放棄したら、本当に人類は居場所を失ってしまう…そんな瀬戸際だから、大人の…軍人の誇りをかけて敵地へ赴くんです。

そんな中、一騎当千の戦力を誇る戦力がアニマ…という訳なのですが、アニマのひとつであるグリペンは挙動が不安定で廃棄が決定していたんです。
ところが、主人公である鳴谷慧の傍でならグリペンは本来の力が発揮できたんです。
挙動が安定する術があることをそ知った日本軍がグリペンをそのまま廃棄処分する筈がありません。
当然、鳴谷慧の身の振り方も決まってきますよね。
実はここからがこの物語が加速度的に面白くなるんです。

アニマとザイとの戦闘は熾烈を極めています。
だから作り手の皆さんには申し訳ありませんが、縦横無尽に飛び回るアニマを見ている時が一番心が躍る瞬間でもありました。
日常パートが面白くない訳ではありません。
ただ、戦闘中の圧倒的な迫力は視聴者を痺れさせるには十分過ぎるパワーを持った作品だったということです。

日常パートで感じた唯一の不満…
それはLynnさん演じる宋 明華(ソン ミンホア)の扱いが雑だったこと…でしょうか。
尺の関係で多くの時間を割けないのは分かっています。
それでも、幼い頃から慧を支え続けてきた大切な人なんです。

ある時は突然連行され、そしてまたある時は慧の挙動不審に翻弄されて…
それでも慧の前で見せる笑顔が眩しくて…
明華はアニマにはなれませんし、代役も務まりません。
ですが慧の居場所はアニマだけ…という了見も無いと思うんです。
この物語がこの後、どの様に展開していくかは分かりませんが、明華には幸せになって欲しいと思います。

それではアニマの中での立ち位置ですが…個人的にはグリペン推しかと思っていましたが、完走して振り返ってみると、やはりしーちゃん演じるファントム推しだったような気がします。
彼女がこれまで背負ってきた期待の重さに潰れる事無く、人類を救済するために気の遠くなるような準備をしてきたこと…
有事の際にはアニマの救済が最優先事項であると、人類存続の可能性を全力で模索・実行する実力を兼ね備えていること…
そしてやっぱりCVがしーちゃんだから…
もちろん、元気一杯のイーグルも可愛らしいですけどね。

原作ではもっと沢山のアニマが登場するようですが、本作品ではアメリカ海軍に所属するライノにスポットが当てられました。
アニマの製造は各国がしのぎを削っている最中…アメリカが唯一成功したアニマがライノだったということです。
ライノもアメリカ中の期待を一身に背負ってきたんでしょう。
アニマのコアは各国が独自に開発・調整しているため千差万別…
考えてみると日本の3体ですら性格がバラバラなんですから当たり前なのかもしれません。

でもこの当たり前が検証できているのは日本だけなんです。
何故なら日本以外の国は複数のアニマを管理していないのですから…
そしてバラバラであることが、これほど重要である事を私たちは思い知らされることになるのですが、その代償はあまりに大き過ぎた気がします。
人類の未来に何が待ち構えているのか…気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、Run Girls, Run!さんの「Break the Blue!!」
エンディングテーマは、グリペン、イーグル、ファントムによる「Colorful☆wing」
どちらも甲乙付け難い曲だったと思います。
楽曲のメロディーはオープニングの方が好みでしたが、エンディングの旋律に昔懐かしユーロビートの香りを感じたので…

1クール全12話の物語でした。
作画も綺麗でしたし、ON/OFFの切り替えもスムーズだったので見応えのある作品だったと思います。
こういう作品はこれからもドンドン視聴したいですね♪

投稿 : 2024/11/02
♥ : 19
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

されど気になる軍事合理性

原作未読


エアフォースカテゴリー。未知なる異能の敵(ザイ)への対抗手段として開発されたのが美少女でしたよ、っと。
どれくらい異能か。対抗馬の美少女については本編かどこかのあらすじをご参照ください。

空戦ものと触れ込みの本作。それとは別に次のお楽しみが待ってます。

 1.快活幼馴染み娘との日常を愛でる
 2.ポンコツ萌え娘を愛でる

少し影のあるグリペンちゃんが正妻枠だと思うのですが、二兎を追って空中分解した印象です。グリペン(CV森嶋優花)でもミンホア(CV Lynn)でもそれ以外の子でも引っ掛かりがあればキャラ萌えで押し切れるかも。なお、私は墜落です。
フォローするとしたら、けっこう雑な作りがむしろ安心材料となり気楽に鑑賞できることくらい。
このヒロインもそうですが主人公の鳴谷慧(CV逢坂良太)も幼馴染みのミンホアちゃんもけっこう重たいものを抱えてます。そしてその重たい設定を全く活かせない展開が続きますので、物語なし!萌えなし!されどキャラ特化型の作品として楽しめるかどうか。
この二人の女の子たち以外の子も順次投入されていきますのでその色は強まっていきます。繰り返しますが、“安心で雑な作り”です。気楽に観れちゃうのです。


■いっそファンタジーオンリーならよかったのに
現実との中途半端なリンクのさせ方をします。

{netabare}・中国は内戦中なのか“東シナ海上海脱出船団”のテロップから始まるアバン
・自衛隊小松基地、第七艦隊など実在する名称が登場
・大陸からの敵に対して「台湾と半島が健在だから」と地政学的な言及あり
・グリペン、イーグル、ファントムⅡ、そしてF-Ⅱと実在機は言わずもがな{/netabare}

中途半端と評したのはそこで描かれたあれやこれやが荒唐無稽なので。

{netabare}・そもそも敵国または政情不安定な国に長期間滞在、かつ同伴者ありで入国した人間を国籍を有しているからといって入隊(厳密にはゲストだが・・・)させる軍隊はありません。
・グリペンの所望でほいほい基地に入れるはいいとして(良くないが・・・)、内通の可能性を否定できないミンホアには監視付けるでしょ?
・グリペンってジャミング(妨害電波)に優位性のある機体だと思ってたが逆にやられてない?まあグリペン側は見破ってたので気にしなくてもいいか。
・人間せいぜい8Gが限界でF-Ⅱでもそれくらいでる。アニマの変態的機動なんて即死レベルでしょ、普通。
・ただし一点、アメリカ軍のお粗末さ。「馬鹿でヘタレでやるときはやる」の前二つ部分について的を得た描写になってるのは良い。{/netabare}

他にも突っ込みどころに事欠きませんが割愛します。それなりに説得力のある描写でした、とはいきませんでした。
本題としたいのはそこに見え隠れするラノベ原作のメリットデメリット。


 作者は取材を一切してないでしょ?


俺が脳内で考えた素敵なプロット・・・止まりなんですよね。あくまで自分がラノベを読まない人なので事実誤認あったらごめんなさい。
時に天才的な作家が現れ傑作を残すこともあるでしょう。その人の経験値が作品に反映されるのなら、読書を通じて咀嚼した疑似体験を筆に込めることだって多いはずなのは理解してます。
ただし、新作を練る時には作品に合わせて経験や知識を再構築/再構成しなければならず、それに合わせて不明点を埋める作業つまり取材をするものです。異世界やファンタジーものなら隠せるかもしれませんが、現実世界の成分多めの作品にするなら最低限の取材をすることは読者への礼儀でしょうね。
それで本作を捉えると、ネットからつまみ食いしたネタを切り貼りしてるかのような横着な印象を受けます。浅さが透けて見えると作品に没入するのは難しい。横着すると往々にして人物描写もたかが知れてくる。これはきっと原作が悪いのではないかと思われます。
下手に実在のオブジェクトを持ってこなかったほうが良かったのでは?


■そうは言っても完走しちゃうぜ
中途半端な現実とのリンクには閉口しましたが、いったんそれを横に置くと、迸るB級の波動を満喫することができます。
{netabare}・幼馴染の扱いがとことんひどかった。
・あのガラスがパキンパキンの最終回がめっちゃ唐突。
・ザイこの後どうすんねん?{/netabare}

「ははは、しょーがないなー」と「ダメだこりゃ」の二択であれば前者になります。
あまりにも変だと不思議と愛着が湧くものなのかもしれません。

リアタイとしては同クールの『コトブキ飛行隊』と女子の戦闘機乗りモノ系列の比較対象があるなど、リアタイ組ならではの楽しみもありました。
クールで誰しもが必ず一つは巡り合う?愛すべきポンコツ枠みたいなもんかしら。オススメはできませんし評点も低いですが、わりと自分が好きなダメさ加減でした。
ダメさを睥睨することに快感を覚える隠れSタイプの方にはお薦めです。



-----
2019.09.10追記


視聴時期:2018年1月~3月 リアタイ視聴


原作小説第1巻 - 第3巻と第8巻の一部を時系列順に再構成した内容となっている。(wiki引用)



2019.04.03 初稿
2019.09.10 追記

投稿 : 2024/11/02
♥ : 49

Dave さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3

中途半端でちっとも面白くない

完走はしましたが、やっぱり最後まで面白くなかったですね。何をテーマにしているかわからないし、未回収の伏線・謎も多く(さりとて別に興味もわかなかったけど)、何もかもが中途半端。いろいろ欠けているものは多いのですが、致命的だったのは「アツさ」が全くないこと。日常系ではなく、まがりなりにも戦闘を描くわけですから、胸が熱くなるシーンがないと、じゃあ何のために命張ってるの?という冷ややかな気持ちになります。

1. 不必要・不十分なキャラ
そもそも、その登場人物必要だった?という登場人物が多い印象です。中国人の幼馴染とか、ギャグなの?って感じのウィークリーすっぽかされキャラだし、F-2も無理矢理登場させる必要はなかった。F-4の嫌な奴キャラが払しょくされたとはいいがたいし、F-15はパッパラパーのまま。F-18もなんだか未消化のまま散ってしまうし、ずいぶんと扱いが雑だなあという印象です。

2. 結局、なんやねん
謎の敵が謎のまま終わる…かつて幼稚園の頃に見た戦隊モノの敵のようですね。その出自も、正体も、目的も、能力もよくわからないけど、とにかく「敵」なんだ、と。ここらへんはせめてもう少し明らかになっていくのかと思っていたら、まさかの最後までほったらかし。

3. 残念ドッグファイト
同時期にやっていた【荒野のコトブキ飛行隊】、こちらも似たような感じで雑なストーリー×ドッグファイトでしたが、あちらはせめて実機への愛着とか、空中戦を描くこだわりとかがありましたが、本作は子供向けのどきゅーん!ちゅばーん!な感じの繰り返しで、リアリティもないし、わざわざ変な塗装と「それっぽい」だけのデザイン改変をしてるので、手抜きな感じ。別に空中戦を見せたかったわけじゃないのかな…じゃあ、見所はゼロじゃん。

4. やはり中国推しが気持ち悪い
もともと中国に住んでいて、中国人のガールフレンド(モブ)がいて、上海奪還とか言っちゃって、一体どうして中国をそんなに推すのか…。ここまでリアリティ放棄したんだからもう架空の国でも何でもよかったはずだし、やはり嘘でも自衛隊機を扱う以上、その相性の悪さはまるで牛乳と納豆のように喉元にまとわりつきました。

5. 作画は最後まで耐えきった
作画(キャラ)だけは、際立って良いとは言えないものの、最後までギリギリの線で踏ん張った感があります。結構危うい感じだったけど、そこは沢山のスタッフさんの努力で崩壊を免れた。もしそこを投げてしまっていたら、正真正銘のクソアニメになっていたところ、耐え抜いたプロ根性には敬意を表します。

---以下は5話時点での中間感想---

なぜグリペン…なぜ中国…
まだ5話までしか見てないので、メモ程度に。
●なぜグリペン…いや、好きだけど…好きっていえばビゲンが…じゃなくて、どうして航空自衛隊でいきなりグリペンなのさ!?(そういえばF-Xの出来レースで当て馬にはされてたっけ)さすがにF2なりF35なりにすべきだろ。
●百歩譲ってドラケンにするなら、せめて中身もスウェーデン人美女にしてくれ。
●実機の特性を活かした擬人化かと思えばそうでもない…では必然性がない。
●人物画は今のところギリギリ大丈夫だけど、常に崩壊しそうな危うさを感じる作画。このまま頑張ってくれ!
●ドッグファイトや航空機の機動に関しては全くリアルじゃない。「これは特殊なアニマという機体だから」という言い訳をしたいんだろうが、苦しい言い訳だ。特に番組にACE COMBAT 7のCMなんか挟まれた日には、本編のショボさが引き立つ。
●特にこういう軍事(自衛隊)モノで中国(人)という名前すら聞きたくない。反吐が出る。仮想的国だぜ?そこは最低限のマナーじゃない?必要性や必然性も今のところ認められず、中国の金が入ってるの?非常に違和感があって邪推したくもなる。
●せっかく実在の戦闘機だすのに、どうしてこんな手抜き塗装なんだ…戦闘機としての良さが台無しじゃないか。幼児向けの玩具かよ…。
●DTホイホイのキモイ展開、どうか勘弁してほしい。裸とかキスとか、鳥肌が立つ。
●まったく自衛隊感がない。だったらいっそ、全て架空の設定にすればいいのに。
●空自といえばやはり「まそたん」。陸自ならGATE。ああいうガチ自衛隊モノが欲しい。

※現時点では評価はせずにおきますが、低評価を付けたくてうずうずするw

投稿 : 2024/11/02
♥ : 12

64.9 2 人工知能で戦闘機なアニメランキング2位
戦闘妖精雪風(OVA)

2003年9月1日
★★★★☆ 3.6 (142)
606人が棚に入れました
『戦闘妖精・雪風』(せんとうようせい・ゆきかぜ)は、神林長平によるSF小説。これを原作としてラジオドラマ・OVA・漫画化された。
南極大陸の一角に突如出現した巨大な霧の柱。それは異星体ジャムの地球侵略用超空間通路だった。地球防衛機構は「通路」の向こう側、惑星フェアリイ上でジャムの侵攻を食い止めるために、フェアリイ空軍を設立し、前哨基地を置いた。30年以上に及ぶ人類とジャムの戦いに、今だ終わりは見えなかった…。
人間を信頼するより機械である戦術戦闘電子偵察機「雪風」を信頼する青年、深井零が愛機に乗り戦闘情報を収集するうちにジャムと接触する。ジャムは零と雪風に興味を示す一方、人間に対してあるゆる手段を使い戦いを挑んでくる。この戦いは何のための戦いなのか。
やがてジャムはフェアリイ空軍に総攻撃を開始する…。
ネタバレ

やっぱり!!のり塩 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

この男…哲学作品につき★

■評価
テーマ性 :★★☆   2.5
脚本&構成巧み度:★★    2.0
軍事アクション度:★★★★  4.0
音響巧み度   :★★★★☆ 4.5
おススメ度    :★★★☆  3.3

■ストーリー
地球は突如ジャムと呼ばれる異星体に侵略を受け、甚大な被害を受けるが
人類は戦力の全てを結集し、ジャムを異星フェアリーに封じ込めに
成功する。そして人類はフェアリイー封じ込めの要であるFAF(フェアリー
空軍)を結成する。そんなフェアリー最前線で情報収集を主な任務とする
『戦術戦闘航空団特殊戦第五飛行戦隊(なっ長い!!)』略して
ブーメラン戦隊の活躍と苦悩を描くSFアクション作品。

■感想
この作品…あの神林長平氏の長編小説『戦闘妖精 雪風シリーズ』を
原作とし、あんな漬物石になりそうな物語をアニメ化した勇気を
賞賛したいです。

本作は航空and海上自衛隊が製作協力している事もあり、戦闘機アクション
という面ではそれなりの本格派を感じさせる硬派な作品になっていると
思う。それに一番褒めたいのは『音響』で、この手の作品では珍しく
レンタルDVDでも5.1chサラウンドで視聴できるし、サラウンドの派手さや
重低音の迫力等々・・・DVDやアニメとは思えない凄みがある。
特に僕のお気に入りは第1話の戦闘機によるドッグファイトのサラウンド感、
第4話のイージス艦の艦砲射撃、チェーンガンによる迎撃、轟沈など
実写映画に負けない拘りを感じるし、音響敏感肌の自分には十二分に楽しめる。

ただし、音響に拘りすぎたせいかDVDに収録されている『画質』が悪い!!
作画がぁぁ!!っとか騒ぐ以前の問題なので、地上波放送やBlu-ray画質に慣れている方はレンタルDVDには注意が必要なのも記載しておきます。
それにストーリー面では原作小説読んでないと軍事アクションという
要素以外の物語の面白さに中々気付けない。
なんせ原作小説はちょっと哲学的な考察が多く、本作中で起こる
あらゆる出来事(イベント)が全て唐突に感じるし、各出来事の繋がりが
殆ど描かれていないから初見の方には結構辛い。

なので原作小説の内容をもとにして作品の解説だけしておきます。
アニメ版の少しネタバレと原作小説のモロバレを含んでいると思うので
嫌な方は読み飛ばしてくださいましm(_^_)m
(以下読んでからアニメみても良い鴨しれません…)

{netabare}
この作品、ジャムという正体不明の敵との戦いを描いた軍事アクションもの
なのだけど、その実、アクションの皮をかぶった哲学書やら戦術戦略報告書
みたいな内容なのです。

まず語らないといけないのは『敵(ジャム)が何者か?』が
本当にわからない事。
ジャムは戦闘機の様なもので物理的な攻撃はしてくるものの、
その攻撃意図や目的、そして姿形、集合体なのか個体なのかも全て不明。
とにかく得体の知れない不気味な敵。
原作小説ではジャムはいったい何者で、どうやったら対抗できるのかを
考察する事が味噌です。そしてアニメではジャムの正体を異星体としか
説明していませんが、原作小説ではジャムは映画インディペンデンス・デイ
に出てくる様な異星の宇宙人ではなく、異次元の世界から来た概念体
(形のない生命体)と考察し、概念体だからこそ人の目では認識できないと
結論付けられます。だから、この姿なき敵に対してブーメラン戦隊では
人の哲学をもって相手を定義⇒理解⇒行動予測し対抗していく・・・
この深さたるは攻殻にも負けぬ面倒臭い面白さをもった作品なのです。

次に、このジャムの存在を即座に探知するものがいます。
それが超高性能AIを搭載した雪風です。
ここからは僕の妄想も含むんだけど、何故雪風がジャムを探知できるか?
それはAI(人工知能)は人間の思考、思想、哲学のデータを結集した塊だから
だと予想してます。
AIはより人間っぽく思考し、応答し、人間よりも高速に計算できる
何か凄い脳味噌だし、AIは人の言葉、表情、姿形、脈拍などを『データ』
としては認識できるけど、実は『人間の存在』を認識して理解はしていない
のです。スマホとか良い例で、あなたの言葉や顔や指紋は認識するけれど
あなたがあなたである事(存在)を理解していない…根本的な部分でやっぱり
機械なのです。だからこそ、AIを作るには人の言葉の意味、感情、痛み、
倫理などなどナムナム…哲学的に物事の意味や定義をすべて教え込んで
学習(自己学習も含む)させていきます。なのでAIの開発というのは
人間の哲学を結集させた知能データを日々蓄積させる事なのです。
(よくニュースになるGoogleとかのAIが正に・・・これです)
それで雪風は『データ』として叩き込まれた哲学によって、ジャムという
概念体を『データ』として認識・理解することで、その存在を感知できると
考えてます。(原作で語られていたか…忘れてしまいました)

じゃー全て雪風やAIに任せて戦えば良いじゃない…となるのだけど、
そうは烏賊の金玉らしいです。
これは雪風が肉体的にも知能的にも劣る人間(深井零)を搭乗させる理由にも
なるのだけど、それが『人間とジャム(物事)を区別するのに基準が必要』に
なるからです。
地面や台を基準(0cm)として身長を測るのと同じ事で、その基準として雪風は
パイロットの深井零を選択します。これは常に雪風と深井零が対話を
続けてきたことで、深井零=人間だという確信があるからだと考えてます。
この基準がないとどうなるか…アニメの終盤にもありましたが、戦闘機の
操作自体をジャムに乗っ取られるという事です。
人間の存在を理解していないAIは、送られてきた命令コマンドを
そのまま実行するだけなので当然の結果なのかもしれません。
なので人と機械とが一体になって初めてジャムという強大な敵に
対抗できるのです。
人と機械の一体…とか聞くと、攻殻GISの様な人とプログラムが融合して
生まれる新生命体みたいな話だけど、この作品では物質的・ソフト的な
融合ではなく、概念や哲学で人と機械が一体化(相互理解)するという
深い仕組みになってます。
(この時点で僕は難しくて吐きそうです…でも顔は笑ってます)

話は戻りますが、物語の面白さはこれだけではないです。
物語ではジャムの方が先に人間という存在を理解し、新たな攻撃を
仕掛けてくる。それが『ジャム人間』です。
人間という存在(概念)そのものを乗っ取るという恐ろしい戦法です。
これに遅くも気付いたブーメラン戦隊はアニメでも描かれていた通り、
戦闘中の不明者リストからジャム人間を予測し、ジャム人間(ジャム)に
対して最終話の様な罠をはったのです。
そして地球でのFAFやジャムに対する理解があまりにも欠落・楽観視
(平和ボケ)されている事から、ブーメラン戦隊は人類敗北は明確とみて
全軍撤退をするのです。
すでに地球にはジャム人間が・・・進入しているかもしれませんね。
ちょー怖いです。

原作小説では設定一つとっても深いもので、人の心理描写にしても
人間の『組織の腐敗やら茹で蛙状態』も描き方も悲壮感や心労感も
半端ではなかったです。
そういう哲学的な考察や人間群像劇などを楽しむ??作品です。
これ以上やると寿命が縮むので、実録!!妄想!!のり塩レポートは
これにて完遂いたします。
{/netabare}

はっきり書いておきますが、本作は万人に受ける作品ではないですが、
考察して視聴したり、アクションや音響のリファレンスとして見れる
作品なのでそういった嗜好のある方のみ原作小説と合わせて
おススメします。

ご拝読有り難うございました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 6

しゅりー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

戦闘機の好きな方にオススメ

EMOTION20周年作品ということで2002~2005年にGONZOが制作した全5話(合計約3時間)のOVA。
神林長平さん著作の小説の一部エピソードに多少オリジナル要素を加えたというSF戦闘機アニメ。


南極大陸の一角に突如として現れた巨大な雲のような超空間通路。
通路の先から現れる「ジャム」と呼ばれる異星体との戦争が33年続く世界。
地球上での幾度かの戦いの後に人類がジャムを追い込んだ通路の先、
緑色の空の惑星フェアリィを舞台に味方を見捨ててでも必ずジャムとの戦闘情報を
持ち帰ることを任務としている特殊戦第5飛行隊のパイロット深井零(ふかい れい)と
その上官のジェイムズ・ブッカー、そして零の搭乗する戦闘機に搭載されている
戦闘知性体「雪風」を中心に描かれる物語になっています。


個人的には何年も前から戦闘機ヲタの知人に「観ろ。とにかく観ろ。」と
薦められていたのですが、何か拒否感が働いてしまい今回初視聴。
本作の持つ独特のキャラクターデザインやジャムの存在感が受け入れ難かったようです。


本作、戦闘描写やコクピット内部の雰囲気などの手の込みようが異様です。
マクロスシリーズのような変態的カメラワークのミサイル描写とかは
それほどありませんが、戦闘機の旋回の様子や機銃発射時のレティクルの動きなどを、
固定アングルや飛行物を中心に捉えた追跡視点の中で重量感を
持って描いているイメージが強いです。

コクピットの静けさや通信の雰囲気もどこかリアルなように感じ、
同じ戦場を飛ぶ特殊戦の戦闘機に乗っている気分になる映像が多いです。
そのあたりはさすが航空自衛隊の協力があったからでしょうか。
そういえばフライトシューティングのリプレイ映像にも近い雰囲気がありますね。


先程も少し触れましたが、多田由美さんのキャラクターデザインは
ちょっと特徴的で観る人を選ぶ印象があります。
このキャラクターデザインと零役の俳優、堺雅人さんの演技、
BGMの少ない本編内で重要なシーンに流れる曲のピアノの音色などが合わさり
零の普段静かながら激情も併せ持つ独特の存在感を醸し出している気がします。

また、雪風が起動音を発する時の無機質な雰囲気は、機械らしさを強く印象に残します。
しかし、私はこれが雪風が本編で行う様々な意志表示、行動との間にギャップを作って
雪風の強烈な個性を表現しているように感じました。
そんな独特の雰囲気を持つ零と雪風も興味深いですが、
私は中田譲治さんの演じるブッカーの人間味溢れる姿が気に入ってます。


SF作品の持つ独特な世界観、メイヴを初め洗練されたデザインの戦闘機が飛行する情景、
先述の戦闘描写などを好きな方はとことんハマれそうな要素を持ったアニメだと思います。

ただ理不尽な言いがかりになりますが、私はちょっと好きになれない部分のあるアニメでした。
キャラクターデザインには慣れましたし、説明不足な話作りも5話で描ききれない情報量の多さから
仕方なしと思いますが、惑星フェアリィの空や建造物内、ジャムの作り出した空間などの
緑色系の配色からだんだんと生理的嫌悪が強くなってしまったのです。
途中で何度か地球側のシーンがあり、地球の空が描かれたせいもあったのか、
5話の光景を目の当たりにし「蒼い空がみたいよぉ…」と呟いてしまうくらい心理的にやられていました。


そんな訳で私にとってはちょっとトラウマになりそうな本作ですが、
最近の戦闘シーンが落ち着かないアニメに辟易している方には一見の価値ありではないでしょうか。
本作を気に入った人の中にはACE COMBATなどのゲームをやりたくなる人もいるのかなと思います。
本作を薦めた知人が以前、OVER Gというゲームで空母にプガチョフ・コブラで着艦する練習を
執拗に繰り返していたのもきっとそんな衝動からなのでしょう。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 14

. さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

雪風が…敵だと言っている・・・  彼女の声を聞いて下さい。

SF小説が原作です。筋金入りのSFもの。
私、自慢ではありませんがロボット物、メカ物はほとんど観ません。ですがこの作品、そんな私から観てもとても楽しめました。も~純粋にメカがカッコ良い! 戦闘機がカッコ良い! 雪風に惚れる!
機械である戦闘機に惚れるというのも変な表現ですが、言葉にするなら正にそんなイメージなのです。


南極に突如出現した超空間通路なる別の惑星(惑星フェアリィ)に繋がる空間。そしてそこから地球に進行してきた謎の異星体ジャム(JAM)。
ジャム(JAM)に対し、人類は逆に彼らの惑星に攻め込み、そこに基地を築きます。その基地に所属するパイロットの深井零少尉と、愛機である完全自律制御のスーパー戦闘機であるスーパーシルフ、コードネーム”雪風”の活躍を描く作品です。


先ず何がすごいかと言うと”戦闘機の描写”! なんだかアニメで描写される戦闘機って、現実ではあり得ない挙動を取ったりして覚めてしまうのですが、本作で描かれる戦闘機はとにかくリアル。戦闘機の挙動、その一挙動×2が現実的で、それでいてスピード感、緊張感というものを全く失っていません。

そしてその機体の美しい事・・・・。特に主人公の乗る”雪風”のカッコ良さは格別! 無駄のないフォルム、まるで女性のようななまめかしいライン。そして時には恐ろしいまでの戦闘能力を発揮する・・・。正に電子の妖精と呼ぶに相応しい機体です。


戦闘の描写も素晴らしいです。自衛隊の協力を得ているそうで、登場する兵器は非常にリアル。計器や武装の描写も素晴らしいです。そして英語で行われる戦闘指示は否が応でも雰囲気を盛り上げてくれます。
戦闘機のドッグファイト(空中戦)は手に汗握ります。特に渓谷の中でのスピード感溢れる戦闘は見応え有り!目にも止まらない高速での戦闘を本当に上手く表現しています。目の前に迫る渓谷。そして後ろから迫り来るミサイル。その緊張感たるや凄まじい物があります。


戦闘やメカにばかり目がいきがちですが、ストーリも目を見張るものがあります。
他人に感心を示さない深井零少尉の唯一の友人であるジェイムズ・ブッカー少佐。友人で有りながらも上官である彼は非情な命令を深井零少尉に下さなければなりません。いつも零少尉を気遣う彼が唯一出来る事は見守ること。「必ず無事に帰還しろ。これは命令だ」。彼らの男の友情をその目で確かめて!


機械の塊である”雪風”にだけは心を開く深井零少尉。そして彼は意志を持たない筈である”雪風”といつしか心を通わせ、”彼女”と1つになっていく・・・。
”雪風”は時折人であるかの様な行動を取ります。ある時はパイロットである深井零少尉を気遣い、そしてある時は戦闘に恐怖する。言葉は話せず、唯一意志を伝える手段は戦闘ディスプレィに表示される味気ないコマンドのみ。しかし深井零少尉は”彼女”の言葉を感じ取ります。彼女の意志を受け止めます。
私は”雪風”がまるで人間の女性の様に思えました。
深井零少尉は”彼女”を求め、そして”雪風”は”彼”を求める。機械と人間、決して交わることの無い線上で彼らは交わっていくのです。2人の恋?とも言えない微妙な心理描写も見所です。


謎の異星体であるジャム(JAM)とは何なのか?そして彼らの目的はなんなのか? 
想像を超える能力を持つジャム(JAM)に対し、人類はどの様な決断を行うのか? そして彼と彼女、深井零少尉と雪風はどうなっていくのか!?


「行こう・・・・・雪風・・・。」 戦闘の妖精が今、飛び立ちます。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 16

71.1 3 人工知能で戦闘機なアニメランキング3位
マクロスプラス(OVA)

1994年8月25日
★★★★☆ 3.9 (246)
1370人が棚に入れました
2040年、人類の移民惑星エデンにあるニューエドワース基地では、統合宇宙軍の次期主力可変戦闘機の採用コンペティション「スーパー・ノヴァ計画」が行われていた。競合メーカー2社のテストパイロットは、かつて親友同士であったイサム・ダイソンとガルド・ゴア・ボーマン。幼馴染の二人は、7年前のある事件をきっかけに袂を分かっていた。そして二人は、偶然にも幼なじみの音楽プロデューサー、ミュン・ファン・ローンと再会し、彼女を巡る三角関係でも火花を散らす。しかしミュンは、絶大な人気を誇る人工知能のヴァーチャル・アイドル、「シャロン・アップル」の秘密に深く関わっていた。
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

マクロスとしては珍しい《青年パイロット2×美女1》の変形△関係もの

『初代マクロス』放送10周年記念として販売されたOVA『マクロスⅡ-LOVERS AGAIN-』(1992年)の売上好調を受けて、「それならば」と意気込んで制作された1994年制作のマクロス・シリーズ続編2作のうち、『初代』とは直接的な登場キャラクターの繋がりのない外伝的OVAの方です。
(※もう一本は『マクロス7』で、そちらは『初代』の重要サブキャラの何人かが、引き続き重要キャラとして登場します。)

で、肝心の内容なのですが・・・

本作の発表された1994年当時としては、戦闘機同士のバトルシーンの格好良さは特筆すべきものがあったのではないか、と想像しますし、そのために本サイトでの評価も高くなっているのではないかと思います。
但し、私の場合は、たまたま本作を視聴する直前に、2002-4年に制作された、同じくマクロス・シリーズの外伝的OVA『マクロス・ゼロ』を視聴してしまったために、本作に関しては、作画面でもシナリオ面でも、取り立てて「凄い」とは思えませんでした。

・・・ということで、『マクロス・ゼロ』の方の個人評点を ★ 4.1 としていることとの釣り合いを考慮して、本作の個人評点を幾分下の ☆ 3.8 とします。
(※作画で-0.1、シナリオで-0.1、あと私個人の好みとして、パイロット1×ヒロイン2の三角関係の『ゼロ』の方が、パイロット2×ヒロイン1の三角関係の本作より好きなことから更に-0.1 して、併せて-0.3)

※なお、本OVAの発表後に、そのシナリオを再構成し一部改変、そして新規シーンも一部追加された劇場版の方は ★ 4.0 とします。

《まとめ》
上記のとおり、1994年という本作の発表当時に直に視聴した層からの評価が非常に高く、それが本サイトでの本作の高評価につながっていると推測しますが、マクロス・シリーズのOVA作品では、『マクロス・ゼロ』の方が『初代』や『F』との直接的なキャラクターや設定の繋がりが多く、また「板野サーカス」と称される戦闘機同士の格闘シーンも『ゼロ』の方が制作時期が新しい分、公平にみてずっと迫力があると私個人は判定します。
従って、マクロス・シリーズ初心者の方は、本作より先に『ゼロ』を視聴し、それが気に入ったならば、その次に本作に挑戦、という順番で良いと思います。

※なお、上にも書きましたが、本作はマクロス・シリーズ恒例の

「パイロットの少年×ヒロイン2人」という三角関係が、
「パイロットの青年2人×ヒロイン」という三角関係に変形している

・・・ので、もしかしたら男性よりも女性視聴者の方に受けが良い作品なのかも知れません。


◆制作情報
{netabare}
原作         スタジオぬえ、河森正治
監督         河森正治(総監督)、渡辺信一郎(監督)
脚本         信本敬子
キャラクターデザイン 摩砂雪
メカニックデザイン  河森正治
音楽         菅野よう子
アニメーション制作  トライアングルスタッフ{/netabare}


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

=============== マクロスプラス (1994年8月-1995年6月) =============
{netabare}
第1話 ★ 西暦2040年、惑星エデンの次期VF開発競争、AI仮想アイドル(シャロン)、星の丘(ミュンとの再会)、YF-19(イサム搭乗)vs.YF-21(ガルド搭乗)、墜落とダウンフォース ※約39分
第2話 ☆ シャロン惑星エデン公演、不審な予告電話と火災(ガルドのミュン救出)、格闘戦演習(イサム重態) ※約39分
第3話 ☆ イサム回復、二人の喧嘩とシャロンの本心吐露、AI完成、シャロン地球公演へ、プロジェクト中止、YF-19&21地球へ、シャロンの自律意思・暴走開始 ※脚本やや雑×、約41分
第4話 ★ 地球マクロスシティ公演(シャロンのMC乗っ取り)、ガルド記憶回復・戦死、シャロンの誘惑、AI筐体破壊 ※同上、約37分{/netabare}
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)2、☆(並回)2、×(疑問回)0 ※個人評価 ☆ 3.8

※全4話で計156分=2時間36分=約6.5話分


============ マクロスプラス MOVIE EDITION (1995年10月) ===========

全1話 ★ 4.0 ※1時間54分、OVAの一部映像をカットし再構成・改変

主題歌 「VOICES」
ED 「After, in the dark」

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

ヴァーチャルアイドル

今作では地球外からの敵による攻撃に対抗することはない。マクロスの肝心の歌はVOICESとEDのAfter,in the dark。どちらも菅野よう子が携わっている。特にVOICESが重要な場面でよく流れ、鍵を握る曲である。歌の力に関しては一貫している。

近年よく見かけるヴァーチャルアイドルが登場するが、{netabare}そいつがこの作品の敵である。{/netabare}

一応、マクロスシリーズだが、単体で見ても分かりにくいということはないと思われる。ほどほどに楽しめた。

マクロスは女性2人、男性1人の三角関係が多いが、この作品では逆の三角関係である。初めは{netabare}ミュンとガルドのカップリングだったけど、最終的にはイサムとのカップリングに至ったかな。{/netabare}

以下は備忘録
{netabare}
地球とゼントラーディによる宇宙戦争「第一次星間大戦」の終結から30年後の2040年、人類初の移民惑星エデンにあるニューエドワース基地では、統合宇宙軍の次期主力可変戦闘機の採用コンペティション「スーパー・ノヴァ計画」が行われていた。競合メーカー2社が開発した試作可変戦闘機YF-19とYF-21のテストパイロットは、かつて親友同士であったイサム・ダイソンとガルド・ゴア・ボーマン。幼馴染の二人は、7年前のある事件をきっかけに袂を分かっていた。そして二人は、偶然にも幼なじみの音楽プロデューサー、ミュン・ファン・ローンと再会し、彼女を巡る三角関係でも火花を散らす。しかしミュンは、絶大な人気を有する人工知能のヴァーチャル・アイドル、「シャロン・アップル」の秘密に深く関わっていた。かつて歌手を目指しながらも夢を諦め、不完全な人工知能のシャロンを裏で操る役目を担っていた。
シャロンの公演が終わり、ミュンは新たな興行のため大戦終結30周年記念式典が行われる地球のマクロス・シティへと向かう。一方、上層部の意向により、統合軍は有人可変戦闘機に代わる無人戦闘機の制式採用を決定し、スーパー・ノヴァ計画は中止となる。これに不満を持ったイサムは無断でYF-19を持ちだし、新型戦闘機の採用発表が行われる地球へと突入する。ガルドがこれを追撃し、二人は大気圏内で激しいドッグファイトを繰り広げる。その末にガルドは自ら封じていた7年前の記憶を思い出し、非が自身にあったことを認め、イサムと和解。そこに、人工知能を偏愛するエンジニアの手によって自我に目覚め、マクロス・シティを支配したシャロンが操る無人戦闘機ゴーストX-9が襲いかかる。ガルドはゴーストの相手を引き受け、イサムはシャロンに捕らわれたミュンの救出に向かう。ガルドとゴーストは激闘の末に相打ちとなり、イサムはシャロンの歌に取り込まれかけながらもミュンの歌で意識を取り戻し、シャロンの制御コンピュータを破壊してミュンとの再会を果たす。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

テーマと世界観は素晴らしい。面白さは?キャラ暗すぎです。

 三角関係と歌が話の中心ということでマクロスフォーマットは踏襲しているとは思います。主要キャラの年齢層が高めなのは、物語の内容からいっても無理がない設定かと思います。

 世界観・設定はテーマとあいまっていいです。脳と機械の直接リンクやAI歌姫の学習と暴走。無人機と有人機の問題など、1994年の作品ですが、2023年の今まさに我々が直面しようとした問題です。

 ストーリーは、ガルド…ですよね。彼に正義があまりにも見出せません。そしてミュンにしてもちょっと感情的になりすぎています。この2人がAIというか脳科学の犠牲者…と見ることもできます。が、年齢の設定もあいまってあまりに子供過ぎる気がします。むしろ、ハチャメチャな生活に堕ちてしまったイサムに同情しますし、その点では金髪の彼女の言い分が一番正しい気がします。
 短い枠ですので、深みも出し切れなかったのはストーリーとしては不満足が残りました。

 で、本作をメジャーにした戦闘シーンなんですけど、確かにすごいのかもしれませんが、いわゆる板野サーカス…苦手なんですよね。「愛おぼえてますか」くらいのレベルなら素直にすごいなあ、と思いましたが、ちょっと過剰です。例えばマクロスゼロの雰囲気に比べると下品です。
 むしろ、キャラデザのリアリティが凄くてそっちに関心しました。まあ、ハリウッドの模倣ではあるんでしょうけど、人物は非常によく描けていたと思います。

 ということで。テーマ性はいいですし、バーチャルアイドルという存在をAiと絡めてよく考察してこういう物語にしたなあ、と感心します。それはガルドやドローンも同じです。
 ただ、積極的にすごい面白かったというエンタメが足りなかった気がします。

 エンタメといえば歌…ですね。ミンメイを越えられないですね。彼女は唯一無二なんでしょうか。

 作画は満点でしょう。ただ、キャラも設定は感心しますが愛着がわくキャラがいないのがマイナスポイントですね。ストーリーはあまり評価できませんが、世界観とテーマは評価します。音楽は…普通…よりはいいかな。でもあまり極端な高評価にはできません。





 

投稿 : 2024/11/02
♥ : 4

66.5 4 人工知能で戦闘機なアニメランキング4位
ルパン三世 グッバイ・パートナー(TVアニメ動画)

2019年冬アニメ
★★★★☆ 3.5 (24)
174人が棚に入れました
今回ルパンが狙うのは、海底に隠された“タイムクリスタル"。全世界を混乱に陥れるスーパー量子コンピューター。起動の“鍵"を手に入れたルパンの前に、最強の敵・次元大介が立ちはだかる。仲間であるはずの次元の裏切り…。そしてルパンと共謀した罪で逮捕された銭形警部の運命は!?

声優・キャラクター
栗田貫一、小林清志、浪川大輔、沢城みゆき、山寺宏一、諏訪部順一、寿美菜子、塩田朋子、小山剛志、上田燿司、内田莉紗、内田夕夜、佐々木省三、内野恵理子
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

最先端とロマンの激突

アニメ『ルパン三世』のテレビスペシャルシリーズ第26作。2019年1月25日に放送。
好きなアニメ監督が手掛けておられたので視聴しました。

TVスペシャルだけあって全体的なクオリティが高く見やすい作品です。
物語は多数の題材を扱っているため詰め込み感はあるかも。そうした理由が見つけられるとお気に入りになると感じました。
全体的に穏やかで優しい雰囲気なので、アダルトな雰囲気のルパンが好きな人は物足りないかな?

個人的に気に入ったのはコンテ・演出の巧さも理由です。導入からOPがとってもいいですよ!
嫌味な感じもなくてオススメな作品でした。

【総評】
グッバイパートナー、最先端とロマン・レトロの激突ってのが面白いですよね。
様々な題材をこれでもかと詰め込んだ理由はここにある気がします。
{netabare}
ロイにとっては古い形のあるものは全てガラクタ。実物の腕時計をロマンと言った不二子とは対照的に描いている。アリサや音楽家にとって歴史的価値のあるものに対してもロイは興味がない。

面白いのはロイの部下・加藤の最先端AIへの恋はむしろロマンである点ですね。
AIエミルカはショパンの夭逝した妹をモデルにしていて、心でも持ったかのように振る舞い最後にはボディを獲得する。ショパンコンクールファイナルの観客席に加藤と共に座っているのですよね。
美しいと感じたアリサのピアノを聞くことが、AIエミルカが最初に抱いた願いだったのかと思うと、AIエミルカも存在自体がロマンです。

そして西部劇さながらのシチュエーションで次元が早撃ちでロイを葬るシーンもロマン。不可能を技で可能にする五右衛門は言うに及ばず。
ルパンも不二子も最先端を上手に扱い目的を果たしており、作品内で最先端が悪いとかいう描写ではないんですよ。でもその対立のお陰で、次元とロイの両極端な姿が浮かび上がるのは世界観構築の妙と言えるかなと。

ルパンⅢ世という歴史ある作品には通底するテーマなのかもしれません。現実における技術の発展を作品世界に巧く織り込んだ作品だったのではないかと思ます。
濃くて面白かったです。{/netabare}


【ツイッター感想】
{netabare}
バディものとしてルパンと次元が対立→相棒に戻るのがメインの流れ。次に印象強い二人組が不二子とアリサ。ラストでアリサの演奏を聞く加藤とエミルカかなあ。

冒頭のルパンの盗みのシーンから演出良いし、音楽が流石だなと。劇伴は勿論ピアノ楽曲とEDも。音楽のことはさっぱりだけど凝ってるのはわかる。
キャラデザがかなり好み。不二子が良い女タイプの悪女なので、さっぱりした感じよく合ってたと思う。人種の描き分けしっかりしてるのも好きだなあ。

不二子のロイ評が良い。不二子とロイは相手を利用してるのはお互い様なのが楽しい。

浮き輪がビックリドッキリメカみたいなのが面白い。他にも船とか戦闘機とか要塞とか遠距離砲とか誰の発案なんだ…?って思ってしまった(笑)
反面レトロ車への愛情もハンパない。手描き車は愛嬌あって良いよね。

五右衛門がちょっと和みになってるの良いよね。
ルパンって作品ごとに性格が少しずつ違う感じがあるけど、川越監督作品だと全体的に優しいキャラになってる…?

次元の昔の恋人のお話、語りすぎずこの位で納めるのが粋ですな。
カリオストロオマージュで次元が手品を失敗するのも朴訥さがにじみ出ていて良い。

旧ドイツ軍の列車砲ドーラに対して、ルパンの「バカだねえ~!!」が素敵な演技だなあと。
レトロとロマンは使い様・創意工夫と経験による応用で化ける。積み上げられてきた文化と遺物への敬意。

ロイの小物感、野望は大きいけど終わり方はさらっとしているのは狙っているんだろうな。

「影武者とは古風な」と五右衛門が言った時皆が彼の方を見る。(古風なのはお前だろ…)と言わんばかり。最後に馬に乗って帰るのも(笑)。ロマン・レトロの愛おしくなるような滑稽さ、五右衛門の剣技に内包された底の見えなさと奥深さ。

ED曲のカランコエ良かった。{/netabare}
(2022.1.1)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3

まだ初心者 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

面白い

AIとか量子コンピューターとか今っぽいテーマで面白かったです。
テレビで見逃した方はレンタルかgyaoとかの配信で観てください。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 1

67.6 5 人工知能で戦闘機なアニメランキング5位
蒼き流星SPTレイズナー(TVアニメ動画)

1985年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (65)
303人が棚に入れました
1996年、人類は地球を飛び出し火星へ進出したが、アメリカとソ連の冷戦もまた火星にまで拡大していた。同年10月3日、国連主催のコズミック・カルチャー・クラブ(宇宙体験教室)に選ばれた少年少女達は、火星に到着して間もなく、突如現われた謎の機動兵器・SPTによる攻撃に晒される。窮地に陥った彼らを救ったのは、蒼いSPTを駆る少年アルバトロ・ナル・エイジ・アスカであった。彼はグラドス星によって地球が狙われていること、そして自分が地球とグラドスの混血であることを告げる。コズミック・カルチャー・クラブの少年少女達は、エイジに不信の眼差しを向けながらも、戦いの中で徐々に絆を深めていく。そして共に地球へ帰るため、彼らは火星を脱出し苦しい旅に出発した。

声優・キャラクター
井上和彦、江森浩子、梅津秀行、鹿股裕司、鳥海勝美、平野文、戸田恵子、塩沢兼人、広瀬正志、横尾まり
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

時は流れてYouはShock!

全38話。2部構成となっており、前半25話まではハードSFの様相を呈していて、後半は‥‥!

太陽系外から突如として現れた異星文明グラドスの襲撃を受け壊滅した火星観測基地。コズミック・カルチャークラブ"火星体験教室"でそこ居合わせていた少年少女達は辛くも生き残った仲間達、引率の先生、本作の主人公でもある、地球人と異星人(グラドス人)のハーフ!である少年エイジとの絆を深め合いながら、共に地球への帰還を計ります。

キャラについて、強力な戦闘マシンに乗りながら、死地にいてなお人殺しを頑なに拒絶する心優しいエイジの印象は、当時のロボットアニメの中では異彩を放ちますが、初回から人格が完成されている感があるので、成長を追う楽しみはあまり見出せず、同じく真面目過ぎるアンナ、シモーヌ、エリザベス先生の印象もやや薄め。むしろデビッド、ロアン、アーサーという、どちらかと言うと脇に追いやられがちな華の無いキャラたちに魅力を感じました。直情型、知性派、お調子者と性格付けがしっかりとされているので、この三人の存在が物語に適度なスパイス、精彩さ与えている印象があります。男性陣の中では唯一ロボットに乗らないお留守番キャラ、表情豊かで時に臆病者なムードメーカーのアーサーが特にイイ味出してました。

メカについて、主人公機のレイズナーのデザインはガンダムモドキっぽくもあり、「翠星のガルガンティア」のチェインバーっぽくもあり、何となく中途半端なデザインで、あまり見栄えはしないのですが、要は中身、人工知能が搭載されている所に大きな特徴があります。単にパイロットの命令を復唱したり、状況分析したりするだけのステロタイプのAI描写とは違って、主人であるエイジとの対立、自分自身との葛藤が描かれている点は、当時としては斬新な試みであったと想像されます。頭部のドーム上のフォルムも何となく似ているし、もしかしたらチェインバーの元ネタはこのレイズナーなのかも知れません。

レイズナーを始めとする※1SPTの主力武器は自由電子レーザー砲「レーザードライフル」とSFチック。まぁ、実質的にはガンダムのビームライフルとあまり変わらないんですが(汗)接近戦ではビームサーベルとかじゃなくて(実は後半で似た兵器が出るけど)電磁破砕装置「ナックル・ショット」を用いて戦います。こちらも何となくSF的なスマートさがあり、高橋良輔監督らしい機能性重視の嗜好が見て取れる様に感ぜられました。

上記に加え、変り種として、ジェット戦闘機の※2チャフみたいなLCMパウダーを利用したトリッキーな戦術なども見られ、戦闘描写には随所に工夫が見られます。

SPTの動きに関してはそれら地味な武器に反して派手。他のロボットアニメとの差別化を図る為か、宇宙空間での方向転換時に頭部を中心にして機体をグルグル高速回転させる動きとか、アクロバティックな攻撃の避け方とかがけれん味のある印象を残します。パイロット、大丈夫か‥?

しかし本作のロボットアニメとしての最大の魅力といえば、やはり主人公機レイズナーの切り札、その代名詞と言っても過言では無い「V-MAX」でしょう。

「レイ、V-MAX発動!」エイジの指示に呼応して「レディ」とOSの音声が発せられれば、荘厳なBGMと共にレイズナーの真の力が解放されます。機体の速度が通常の三倍(笑)となり、赤い彗星、否、蒼き流星となって並み居る敵をばったばったとなぎ倒すのです。強力な防御フィールドを身に纏ってレーザーを弾き返し、体当たりでSPTをも粉砕出来る無双モードに‥。ただし発動限界時間は長くなく、終了すると必ず冷却モードへ以降するというリスク付き。でもこれが直接ピンチに結びつく様な展開は全編を通して1回くらいしか無かった様な‥(汗)


第26話「時は流れた!」からは衝撃の展開が待っています。
{netabare}
3年の時を経て‥

前半のハードSF的な世界観から雰囲気はがらりと変わり、洋画「※aマッドマックス」、というよりは「北斗の拳」的な世紀末バイオレンスアクションな作風に‥‥「誰か! 説明してくれ!!」

敵役として登場するル・カイン閣下などは外見的な特徴も含め、※b南斗聖拳の達人と見紛う姿。白鳥を思わせる豪奢なコスチュームを身に纏い、額にサークレット、両肩にプロテクター、片手には乗馬用鞭という出で立ち‥。演ずるは同年同時期に放映されていた「北斗の拳」のレイ役の故・塩沢兼人さん。ファンの方ならば華麗なる閣下の振る舞いに酔いしれる事でしょう‥。

一方主人公のエイジの変わり様もスゴい‥。前半ではパイロットスーツの姿しか殆ど拝めませんでしたが、時流れれば赤シャツにGパン、Gジャンルック、そして当然の如く膝パッド。両袖には鋼鉄製トンファーを隠し持ち、武装警察、発狂サイボーグを相手に回し、我流拳法で縦横無尽の大暴れ。顔もちょっとケンシロウ化している‥。一体どうなっちゃったんだ‥このアニメ? と思うも束の間、グラドスによる地球統治、レジスタンス、聖女、敵味方に分かれてしまった旧友との再会、確執など、矢継ぎ早に提示される謎、訳の分からない状況や言葉が画面上から次々と飛び出すものだから、見ないわけにはいかない気持ちに‥。

この混沌とした世界の中で、悪鬼と形容してもお釣りが来そうなアニメ史上最も救い難い悪役達かも知れない、破壊と殺戮を好む一触即発チーム"死鬼隊"も登場します。サイボーグのゴステロをリーダーとするならず者戦闘部隊。どいつもこいつも見ているだけで気分が悪くなる様な面々ですが、性格の破綻振りが突出しているゴステロの生き様には一見の価値があるかも知れません。敵であろうと味方であろうと、全て利己的な理由から分け隔てなく殺害し、横恋慕した相手に殺戮の喜びを語り、拒絶されれば逆恨み。他者の善意も自らの悪意の原動力に‥。後半のエピソード「ああ、ゴステロ」で退場?するまで"死んだと思っていたら実は生きていて"を繰り返し、物語の要所要所に顔を覗かせては暴虐の限りを尽くします。序盤グラドス軍での階級が大尉なのが今もって謎。この男、メインキャラを完全に喰ったキャラの立ちぶりから、一部のファンから「ゴステロ様」とか「ゴステロ大先生」とか呼び習わされ、親しまれているそうです。なんてこった‥(汗)怪役を完璧に演じ切った広瀬正志さんには尊敬の念を抱かざるを得ません‥。

後半では登場ロボットも様変わり。リアルロボット系からスーパーロボット系への転身というべきか‥特に上述の死鬼隊の乗り込むロボがとんでもない事になってます‥。武装の名称を挙げればその禍々しさが自ずと分かるかも知れません‥。ブロークン・ネイルにレーザー・バズソー、ハード・コーンにスクイーズ・アーム、そしてスネークドリルに火炎放射器。住む世界間違ってるんじゃなかろーか? 人もロボも(笑)

※a:核戦争後の荒廃した世界を舞台にしたアクション映画。悪役として仮面の男とかモヒカン男とかが登場する。

※b:「北斗の拳」の主人公ケンシロウの使う北斗神拳の対極にある、陰と陽で言うと陽に当たる派手な技の目立つ拳法。
{/netabare}
物語について、前半では米ソ冷戦の延長上の世界を想定した地球人同士の対立、、後半ではグラドス人創世の秘密、異種族間の抗争と融和への道など、壮大なテーマが描かれますが、どれも大味感が否めなく、むしろそれよりも印象に残ったのは、前半の宇宙逃亡劇のスリリングさ、全編を通して描かれた愛憎劇であった様に思います。でもオゾン層破壊ビームとか、ドリルとか、宿敵打倒トレーニングとか、インディジョーンズとか、ゴステロとか(笑)変なものがそれらにごった煮にされているので、特に後半はそっちの要素ばっかり楽しんでいた様な‥。結局の所、アクションシーンとキャラで魅せる娯楽作品という評価に落とし込むしかありませんでした。

残念なのはこのアニメ、※3打ち切り作品なので、37話~38話までの繋ぎの展開が全く描かれていません。いつの間にか最終局面に‥初見の方はさぞがっかりする事でしょう。でも御安心あれ。お話は総集編OVA「蒼き流星SPTレイズナーACT-III 刻印2000」にて一応補完されています。視聴後、気になった方はそちらで真の最終回をご確認下され。

音楽について、劇中音楽については全て故・乾裕樹氏によるもの。名作「装甲騎兵ボトムズ」シリーズの全ての楽曲を担当された方としても有名。ジャズ~フュージョン、クラシックなどバリエーション豊かな曲調が耳を楽しませてくれます。V-MAXのBGMはわたしの様に※4スパロボからこの作品に入った者としては特に感慨深いものがありました。やはりオリジナルはカッコイイ!

80年代の某男性アイドルグループの歌声を髣髴させる「そ~ら~に~あおいりゅう~せ~い~♪」の導入で有名?な主題歌「メロスのように -LONELY WAY-」の流れるOPムービーも注目どころの一つ。歌の途中に本編のハイライトシーンが挿入される演出が妙に楽しいのです(笑)OP、EDとも歌詞が軽薄だな~と思えば目にした名前は秋元康。まぁ、こちらには目を瞑っておきましょう‥(汗

前半と後半で全く異なる作風、一粒で二度美味しい? 作中人物の「脳が痛ぇ」とかの台詞による精神汚染の危険もあるけれど、強烈な印象を残すロボットアニメ(主に悪役のおかげで)を御所望なら「蒼き流星SPTレイズナー」勇気を出して観てみるのも一興かも‥?

「レディ?」


※1:人型戦闘兵器。全高10メートル前後。頭部がコクピットになっている。

※2:空中に散布することで、レーダーによる探知を妨害する金属片など。電波誘導のミサイルなどを回避する際に用いられる。

※3:提供の不祥事とか、プラモの売り上げの伸び悩みとかが原因らしい‥製作の責任では無いと思う。

※4:ゲーム「スーパーロボット大戦」の略称。ゲッターロボ、マジンガーZ、ガンダムなど、様々なアニメからロボットやキャラが登場する戦略シュミレーションゲームというか生粋のキャラゲー。SDながら再現度の高いロボ描写とか声優さんの熱演が楽しい。

※:レビュータイトルの"YouはShock!"は「北斗の拳」の主題歌「愛をとりもどせ!!」の第一声。文法的に変だけど細かい事を気にしてはいけない(笑)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 14
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

OP「メロスのように -LONELY WAY-」は名曲だと思います。

いずれも高橋良輔監督作品の『装甲騎兵ボトムズ』、『太陽の牙ダグラム』、『ガサラキ』が、それぞれ想定外に面白かったので、ついでに見てみた本作。
本来は4クール1年間の放送予定で制作されていた前半部分はそこそこ面白かったものの、後半に入ってからの展開が色々とお粗末だったような・・・

とくに、第35話および最終第38話は、本作打ち切りに伴う駆け足展開で、それぞれ前話(第34話および第37話)と話が全然繋がっておらず、見ていて頭の中が??状態でした。
(※一応、TVシリーズ終了後に制作されたOVA第3作で補完されている、とのことですが。)

・・・それでも、全編とおして流れるOP「メロスのように -LONELY WAY-」は、親しみやすい名曲という印象が強く残ったこと、主人公エイジとヒロイン・アンナが割と好印象だったこと、からアニメ自体も、評点は低いながら意外と好印象が残りました。

自分の場合、本作は全く初めて見たのですが、このOPは街角のあちらこちらで多分、これまでも知らず知らずに繰り返し聴いてきたメロディなのでしょう、きっと。
それだけ、色々な人に愛されてきた良曲なのでしょうね。


◆視聴メモ
{netabare}
・第13話視聴終了時点
全体的に設定が甘すぎる(異星人と姿形が全く同じなのは良いとして、会話が自由に通じたり、精神生活も共通していたり、あまつさえ恋愛・通婚さえ何の障害もなく行われている点etc.)
・第24話視聴終了時点
シモーヌ&アンナそれぞれのエイジへ贈る言葉が巧く差別化されている点は見事。{/netabare}


◆制作情報
{netabare}
原作          伊東恒久、高橋良輔
監督          高橋良輔
脚本          星山博之、五武冬史、平野靖士、伊東恒久、遠藤明吾、高橋良輔
キャラクターデザイン  谷口守泰
メカニックデザイン   大河原邦男
音楽          乾裕樹
アニメーション制作   日本サンライズ{/netabare}


◆作品別評価

(1) TVシリーズ × 3.4 
  <1> 第1-25話   ☆ 3.7
  <2> 第16-38話  × 3.2
(2) OVA3部作  ☆ 3.6
---------------------------
  総合      ☆ 3.5


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

=========== 蒼き流星SPTレイズナー (1985年10月-1986年6月) ==========

 - - OP「メロスのように -LONELY WAY-」、ED「5分だけのわがまま」 - -
{netabare}
第1話 あかい星にて ★ 1996年10月3日、国連火星観測基地(コズミック・カルチャー・クラブ研修、謎の敵来襲)
第2話 彼の名はエイジ ☆ 惑星グラドスからの来訪者(エイジ、アーマス・ゲイル(グラドス軍中尉))
第3話 その瞳を信じて ☆ X計画、エイジ尋問、ゴステロ隊来襲、国連基地一部施設自爆
第4話 心のこしての脱出 ★ 火星アメリカ基地への避難開始、ゴステロ再来襲・部下の反逆
第5話 まもられても、なお… ★ デビッドのエイジへの敵意、アメリカ基地壊滅(核ミサイル攻撃)
第6話 とり残されて ★ 米ソ相撃ち、核シェルター到着、再び部下の反逆、ゴステロ撃退
第7話 血はあかかった ☆ グラドスの目的、ゲイル討伐隊長再任、無人観測基地へ、殴り合い、敵襲
第8話 彼の叫びに応えて ★ ゲイル負傷、エイジの頼み、ゴステロ撃滅
第9話 生きる道を求めて ★ カルラ来襲、地球人たちのSPT初乗り・出撃(デビッド&ロアン)
第10話 エイジ!?と呼んだ ★ 地球への報告書、料理とパーティ、カルラ再来襲 
第11話 地球の艦(ふね)が来た! ★ 米軍シャトル接近、グラドスSPTとの交戦、カルラ隊帰投、ダニー少佐到着、エイジへの信頼
第12話 さよならの赤い星 ★ グラドスSPT群の本格攻勢、米軍シャトル轟沈、火星離脱
第13話 宇宙(そら)にむなしく ★ 米宇宙軍との交信、米宇宙軍全滅、ソ連宇宙艦へ、エイジ拘束、ダニー少佐の犠牲(エイジら脱出)
第14話 異星人に囚われて × ゲイルの投降勧告、脱出 ※シナリオが茶番(こんな簡単に脱出できるのなら囚われた意味がない)
第15話 蒼き流星となって ★ 地球艦隊との交信、グラドスの本気(地球艦隊全滅)、エイジvs.ゲイル一騎討ち、レイズナーの異変、ゲイル戦死
第16話 月よ!こたえて ★ 月面到着(壊滅していた基地)、米軍生き残り・子供たちとの遭遇戦、クレイトンとエリザベスの再会
第17話 群がる殺人機(マシーン) ☆ グラドス無人機との戦闘、シャトル移乗
第18話 そして地球へ ★ ジュリア(エイジ姉)登場、レイズナーの秘密見届け、月脱出
第19話 とどかぬ想い ★ J.ギリバート博士とのコンタクト、米軍のシャトル回収、米国到着
第20話 レイズナーの怒り ★ エイジ捕囚、レイズナー暴発、」シモーヌの気持ち 
第21話 我が名はフォロン ★ 米国の戒厳令布告、もう一つのレイズナーAI、グラドス創世の秘密、降伏勧告と攻撃、一時退却、地球侵攻艦隊司令グレスコとの交信 ※意外な展開で面白いが、脚本自体は拙劣×
第22話 フォロンとの対決 × ジュリアの本心、フォロンの譲歩、戦略ゲラン衛星接近、V-MAX発動、ジュリア来襲 ※駄目な脚本の典型
第23話 奇跡を求めて × 大気圏降下、グラドスのオゾン層破壊作戦、米ソ宇宙軍全滅、米大統領からの出撃要請、出撃 ※同上
第24話 光になったエイジ ★ 敵艦突撃
第25話 駆けぬけた宇宙(そら) × ※総集編(新規シーンほぼなく見なくてよい回){/netabare}

 - - - - - - - - OP(変わらず)、ED「LA ROSE ROUGE」 - - - - - - - -
{netabare}
第26話 時は流れた! ☆ 1999年10月、グラドス支配下の旧ニューヨーク、裏切り者ロアン、レイジのアンナ&デビッド救出
第27話 華麗なるル・カイン ☆ レジスタンス、グラドス地球占領軍司令官ル・カイン赴任、文化破壊の進行
第28話 クスコの聖女 ★ 人心を誑(たぶら)かす聖女の素顔、ゴステロvs.エイジ、姉弟の再会
第29話 再会・謎の招待状 ☆ 仲間たちの密会、裏切り者ロアンの急襲
第30話 ベイブル奪回作戦(ゲーム) ★ グラドス基地侵入、奪還作戦の虚実、デビット&シモーヌのsky dive
第31話 仕組まれた聖戦 ☆ グレスコ准将とジュリアの面会、スタジアムの公開バトル
第32話 ああ、ゴステロ × ゴステロのジュリア誘拐、エイジの姉救出 ※ゴステロ脱獄の話が無駄に長い
第33話 死鬼隊の挑戦 ☆ 死鬼隊のレイズナー攻略法研究、ゴステロの妨害
第34話 狙われたアンナ ☆ レジスタンスの新たなシンボル(アンナ)、死鬼隊のアンナ襲撃
第35話 グラドスの刻印 ★ 南米遺跡に閉じ込められた3人(エイジ、アンナ、カルラ)、アンナ告白
第36話 敵V-MAX発動 ☆ マンジェロ(死鬼隊生き残り)爆死
第37話 エイジ対ル・カイン ☆ ジュリア幽閉、ル・カインの問いかけ(レイズナーの秘密・地球とグラドスの関係)
第38話 歪む宇宙(そら) ★ 1999年12月30日、南米クスコ遺跡・地球を守る切り札(グラドスの刻印)を守る戦い、エイジとアンナの別れ、ロアンの真意、古代グラドスの遺産発動(ジュリア){/netabare} 
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)21、☆(並回)12、×(疑問回)5 ※個人評価 × 3.4



============ (OVA) 蒼き流星SPTレイズナー (1986年8-10月) ===========

ACT-I 「エイジ1996」   ☆  {netabare}※第1-24話の総集編{/netabare}、56分
ACT-II 「ル・カイン1999」 ☆  {netabare}※第26-37話の総集編{/netabare}、55分
ACT-III 「刻印2000」   ★ {netabare}※第38話の一部+新規エピソード{/netabare}、56分
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)1、☆(並回)2、×(疑問回)0 ※個人評価 ☆ 3.6

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9

ポール星人/小っさ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

絶対本家V-max意識してたでしょ?

ヤマハのV-maxが発売されたのが確か'85年すもんね。
1200ccのV4ですから、バンクの間に2連のCVキャブ×2個が収まりますので2機のキャブで高回転時に1つのシリンダーに混合器送り込んじゃおうと言うのがVブーストです。
無駄にカッコイイんすよね~私も欲しかったw
初期の赤タンクに黒ダクトの奴ね。中古も高かったんすよね。
タンク下のダクトがダミーだったり給油がメンドくさいレイアウトで実際に乗ってた方からそんないい代物でもないよと言われましたけども。

まぁそういうヤマハの海外向けの単車が当時話題だった頃のアニメがレイズナーでして(汗)
前半が少年たちの火星からの脱出行、後半が北斗の拳というのは有名な話で御座います。そして唐突の打ち切り(汗)
本当は後半は変形するレイズナーMk2が出て、敵の本星であり主人公エイジの生まれ故郷であるグラドスに戻る話だったらしいですが、プラモが売れないと言う現実には勝てずTV放送は無残なブツ切り。
当時は今のようにアニメの放送予定なんて情報は転がってた訳じゃないですが、月刊誌には各局の放送予定と粗筋は載ってたんですよね。
ですから、当時アニメ雑誌買ってたヲタ予備軍(私もですけど)は事前に打ち切り情報は知ってました。
レイズナー以降の新型SPTにはV-MAXは標準装備且つレッドパワーでレイズナー以上の性能とか、刻印の秘密をル・カインが知っちゃうって事で話が盛り上がってきたなと思ったらの最終話でしたしね。
ホント、当時はガッカリしましたよ。OVAの刻印2000が有るから多少は報われましたけど、当時はバ〇ダイ恨みましたw
当時はプラモデルは1/72と1/100のキットが発売されてまして主力は1/72だったんですが、これがプロポーション最悪の上に何故か銃がダイキャスト製で重いもんだから完成して持たせると倒れちゃうんですよ(汗)
別メーカーのサザンクロスのキットも足がダイキャストだった気がしますが、アレは重心考えての事だったので納得も出来ますがレイズナーのコレは最悪でしたね。

全くアニメのレビューになってないですが、レイズナー自体はほんと惜しいアニメだったと思います。アンナがエイジへの長年の思いを成就させるなんて恋愛要素は、当時のロボット物では珍しい展開だったと思うし。
前半の出来の良さ思うと、後半も完全な形で観たかったなと思います。
私は好きな作品でした。
若い方がもし興味持って観たいと言われたら、私は止めますけどね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7
ページの先頭へ