京都で戦いなアニメOVAランキング 1

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66.9 1 京都で戦いなアニメランキング1位
吸血姫 美夕(OVAシリーズ)(OVA)

1988年7月1日
★★★★☆ 3.7 (45)
197人が棚に入れました
美夕は永遠の14歳の監視者として、全国の学校を度々転校しては神魔を見つけ出し、闇の世界に戻していた。神魔もまた、監視者を倒すことで仲間の間での名声を高めようとして美夕に攻撃を仕掛けるなど、美夕の戦いの日々は決して終わることがなかった。\\n\\nある日、時輪女子学園に転校した美夕は千里という少女に声を掛けられ、彼女のグループと一緒に休日の街の散策に付き合わされる。「美夕は一人ぼっちそうだったから声をかけた」と話す千里に、美夕も好意を持つ。二人は友情のイコンを買って、永遠の友情を誓い合う。

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

全ては人の心の中にある

妖怪、鬼、怨霊の類いを討伐する伝奇作品は多い。
あやかしを悪とする勧善懲悪のエンターテイメント作品から、
あやかし側の論理まで斟酌して価値観を揺さぶる作品まで様々ですが、
退治する対象を“神魔”と仮称したこの88年OVA作品はどちらかと言うと後者の部類。


さらに本作はあやかしに対する人間の認識論にまで踏み込んでいるのが特徴的。
よくお化けやUFOが実在するか否かの論争にて、しばしば科学サイドからは、
そんな物は人間の脳が作り出した錯覚、幻に過ぎないとの主張が投げ込まれ、場が荒れますがw

本作は人間の認識があやかしの実像を、己の願望も交えて、歪めて捉えたりもする。
認識と実在の狭間をも伝奇世界の不思議として描く懐の深さを見せます。


“神魔”という呼称には、太古の昔は神として崇められることもあった存在が、
仏教、キリスト教等の世界宗教の流入等で邪なものに解釈し直された。
こうした宗教観、歴史観が滲み出ています。

神魔を討伐する“吸血姫”という存在も、
一般的に語り継がれているヴァンパイアの在り方とはズレがあります。

主人公“吸血姫・美夕”についても、美夕を追う女霊媒師の視点で捉える、
狂言回しを用いた手法で描かれ、美夕の存在すらも固定的ではありません。


こうして古都・京都、鎌倉という舞台が持つ神秘性もスパイスしつつ、
視聴者の認識に繰り返し問いかけることで、思索の迷路に誘い込む。
妖しい魅力を持った作品でした。


BGMは川井憲次さんが担当。
音楽の力を過信した昨今の例に漏れず、
最近は川井さんのBGMもフロントセンターに進出して感動を煽ることを余儀なくされていますがw
本作は正しくバックグラウンドミュージックに徹する良い仕事しています。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 14
ネタバレ

ビアンキ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

80年代OVAの名作のひとつ

DVD「吸血姫美夕 完全収録版」を購入して視聴。
1988年に発売されたOVA 全4話


この吸血姫美夕という作品
私は4年ほど前から作品のタイトル、そして名作と評されていることを知っていた。

ただこの作品
発売時期が近く、名作と評されている他のOVA
例えば
「トップをねらえ!」とか「機動警察パトレイバー」なんかと比較すると数段知名度が落ちる印象があるのと
どうもレンタルDVDが存在しないという、
おもに上記2つの理由で、長いこと自分から積極的に見ようという気にはなれない作品だった。

でも去年ついに
「ずっとモヤモヤしてるのは良くない、見よう、買ってみよう」
そう決心してAmazonで買った。

Amazonの画像のサイズから予想はしていたのだが、届いたDVDのケースがCD(ジュエル)ケースだったのがちょっとだけ残念。
しかしそんなことは大した問題ではない。

やっと「吸血姫美夕」を手に入れた、そして見た!


舞台は1988年の?京都
ある理由により妖怪、いや「神魔」を葬り去る使命を課せられた吸血鬼の少女:美夕とその僕:ラヴァ
そして実質的に主人公的な立ち位置に居る霊媒師:一三子の物語。

…なんか説明し辛い、詳しいあらすじはwikipediaなどで見て下され。


では感想。

見ていてまず思ったのは
基本的に何においてもたっぷり間を取って丁寧に描写されているということ。

京都の街並み
木々の揺れや日差し
キャラクター1人ひとりのしぐさ
そして時にはキャラクターの心情までも、じっくり時間をかけて見せている。

昼間は明るく、十分現代的ながらそれでも和の風格溢れる美しい京都の街並みや、そこにいる人々が丁寧に描かれ、
夜になれば暗く妖しい、なにかが蠢いていそうな世界観を見事に表現し、演出できていると思う。

もちろんその世界観の美しさや演出は、高い作画技術があって初めて成り立つものであろうが、問題ない。
作画クオリティは全話を通して高水準である。


その丁寧に表現された世界観の中に、拍子木とか鼓とか、いかにも「和」で、幻想的な音や音楽が入る。

この音や音楽がさらに和風で妖しい世界観を増幅させている。


目の動きがある時というか、顔のアップのカットでキャラの表情が変わる時に、
高確率で(必ず?)「カカン!」とか「ポーン」とか音が入るのも何かこだわりがあってのことなんだろうけど…
なんだろう?

なんか能とか歌舞伎に詳しい人だったら何か分かるのかな?
それともただ、キャラのその時その時の感情だったり、あるいは目線の先を印象づけるための演出なのか…

ちょっと考えすぎかな。
多分感情表現&印象づけるためだな、うん。


シナリオに関しては
人々を助けるために依頼を受けて除霊などをする霊媒師一三子と
人々の健康等を脅かす原因のひとつとなっている神魔を葬り去ろうとする美夕が出会い、
神出鬼没、自由な性格の美夕に翻弄されつつお互い知り合いっぽい関係になり、そして最終回で
{netabare}美夕と一三子、二人の主人公の過去を描いて終わり。{/netabare}

アレ、終わっちゃった。(全4話、約2時間)


ちょっと気になるのは
特に美夕の発言が説明不足気味で分かりづらいところ。
何があって、何が起こったかに関しても
一三子のセリフと絵的な描写を見て何となく分かる程度。

でも和風で妖しい雰囲気を見せるアニメ、
と考えれば「何となく分かる程度」でも良いんじゃないかなと。


それと
この物語に関して「結局何も解決してない」 って言う人ちょいちょいいるんだけど、私はそれは違うと思うんだよね。

いや、確かに「解決してない」 っていえばそうなんだが、 そもそも分かりやすくて明確な終わりというか
「解決」が必要な物語なのかと最後まで見てちょっと感じたので。

{netabare}最終回で
美夕と一三子が初めて出会ったのは一三子が幼い頃で、さらに言うとおそらく美夕に血を吸われていた。
{/netabare}
っていうのが判明した時点で、吸血姫美夕という物語は
「美夕が神魔をすべて葬り去るまでの物語」
でも
「一三子の霊媒師としての活躍を描いた物語」
でもなくて、
なんかこう…となりのトトロ的な?
いやトトロとも違うか、何て言ったらいいんだろう。

必然の出会いと、これからの宿命を予感させる物語…
漠然とだが私はそんな風に受け取った。
言葉にするとなんか厨二っぽいな。

まあ色んな解釈が出来そう、というところも含めて良い終わり方だったと思います。


まとめ
やっと見れた、80年代OVAの名作のひとつ。
私としては楽しめたし、確かに良い作品だったとも思う。
ただシナリオが凄く面白いというよりかは、雰囲気やその作り方が優れているって感じ。
決してつまらない訳じゃないけどね?

ただ「トップをねらえ!」とか「機動警察パトレイバー」あたりほど有名じゃない、いまいち有名になれない理由も何となくだけど分かった気がする。

和風で妖しい雰囲気の世界観を覗いてみたい方、名作とされているOVAは一通り見ておきたい、という方は是非。

下手くそな文章お読みいただき、誠にありがとうございます。

初投稿日:2016年1月16日

投稿 : 2024/11/09
♥ : 12

イブわんわん さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

とても25年前とは思えない魅力的な作品

30分4話

吸血鬼(ヴァンパイア)と言うと、西洋を連想しますが、設定からキャラまで和の世界で作画やBGMが綺麗でとてもいい。

詳細は省略しますが、小悪魔的な美夕のキャラはTV版とは違った魅力がありました。
また、物言わぬ美夕の僕ラヴァもよかったです。
美夕の逃れられない運命、母と娘の・・・のシーンはずっと涙腺刺激してました。

実はTV版を見てからだったので、なおさらそう感じたのかもしれません。
当時としては、かなりハイレベルなアニメではないでしょうか。

それを踏まえ、評価はこのようになりました。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 8
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