二重人格でバトルなアニメ映画ランキング 2

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早速見ていきましょう!

75.7 1 二重人格でバトルなアニメランキング1位
空の境界 第七章 殺人考察(後)(アニメ映画)

2009年8月8日
★★★★★ 4.1 (728)
4355人が棚に入れました
1999年2月。両儀式が黒桐幹也の前から姿を消した。そして、それに合わせる様に再発する連続殺人事件。3年前、自らを人殺しと称した式。信じ続けると誓った幹也。幹也は式の無実を証明するため、殺人事件の捜査を始める。そんな中、幹也はある麻薬事件をきっかけに高校時代の先輩・白純里緒と再会する。

声優・キャラクター
坂本真綾、鈴村健一、本田貴子、藤村歩、中田譲治、保志総一朗
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

空の境界の集大成。式と織の夢の行方は如何に

「空の境界」は奈須きのこによる、同人誌に掲載された長編伝奇小説である。全7章で構成され、本作は第七章「殺人考察(後)」が映像化された。「そらのきょうかい」でも「くうのきょうかい」でもなく、「からのきょうかい」なのでお間違えの無い様に。略称は「らっきょ」。


「空の境界」は奈須きのこの小説だが、奈須きのこと武内崇の所属する同人サークル(現在は有限会社Noteのブランド)「TYPE MOON」の作品に「月姫」、「Fateシリーズ」などがあり、「空の境界」と世界観を共有している。奈須氏によると「微妙にズレた平行世界」とのこと。

劇場版「空の境界」は圧倒的な映像美、迫力満点の戦闘シーンと、難解且つ素晴らしい世界観を、原作小説を忠実に再現し映像化したufotableの力作である。
本作のメインテーマは「境界」である。相反する二つのものに関するメッセージが緻密に組み込まれている。
その各々に対する矛盾もまたテーマの一つだ。
奈須氏の命の重さ、禁忌を主題とした本作の完成度には脱帽するばかりである。
「生」と「死」、「殺人」と「殺戮」などについて考察するわけだが、テーマがこれであるから必然的にグロテスクな描写がある(しかも美しかったり)。
また、難解な言葉(辞書的意味では用いない)や、時系列のシャッフルにより、物語の理解はやや困難である。
しかし、この時系列シャッフルこそが「ミステリ」における叙述トッリクとして作用しているのである。
決して時系列の通りに見てはいけない(2度目からはご自由に)他にも、原作にはなかった「色分け」が行われている点も魅力的だ。式の服の色や、月の色なども見てみると楽しい。
全7章に渡って展開される両義式と黒桐幹也の関係も素晴らしい。
設定はここで説明するとつまらないので、作品を視聴することをお勧めしたい(丸投げであるが(笑))
副題のThe Garden of sinnersは直訳すると「罪人の庭」と言う意味。sinには(宗教・道徳上の)罪という意味があり、guiltの(法律上の)罪とは区別される。
Theの次のGardenが大文字であることから、これはギリシアの人生の目的を心の平静(アタラクシア)に見出した精神快楽主義のエピクロス学派を意味する。よってThe Garden of sinnersは快楽主義に溺れた道徳的罪人という意訳が適切ではないか。

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第七章の本作は「空の境界」の時系列で、全7章のうち7番目にあたる作品だ。本作の視聴で第一章から第六章までの展開や伏線について、九分九厘解明され、当然ながら本作の集大成といえる章である。第二章は殺人考察(前)ということもあって、本章の前日譚であり話の関連性が多く見られる。しかし、二章の他にも本章への伏線は張巡らされているので、注意深く視聴して欲しい。二章から本章まで七章作品があるが、五章で述べた通り、荒耶の野望としての側面は五章までで、六章・七章は彼の残滓・置き土産との戦いである。
本章は置き土産2号との戦い(笑)
そして空の境界の式と幹也のラヴストーリー性が最大に際立っているのが本章である。
式、幹也が各々の方法で4年前からの事件に決着を付けるべく行動する。彼らの葛藤とその意味、事件の真相と結果が見所。
また、本章視聴後、是非、終章空の境界も見て欲しい。こちらを見る事によりより深く、作品を理解することができると思う。
副題の not nothing heartは「空虚な心でない」といった訳だろうか。二章と対照的。
考察←観る前に見ない様に。

ネタバレレビューを読む
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この七章は、「空の境界」の集大成である。是非、一章からの物語を反芻して、本作の神髄を味わって欲しい。

本作は考察のし甲斐があり、非常に面白い。また現代人への処方箋のような役割を果たし、私達にカタルシスを与える。

私は全章視聴後原作を購読したが、読み応えがあって大変面白い。アニメを観た人は補足の為にも、お勧めしたい。
未視聴の方は、是非挑戦していただきたい作品である。

投稿 : 2025/02/15
♥ : 35
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

普通と特別 理性と衝動の境界線

1999年2月。時系列的に7番目の第7章。
黒桐幹也の前から式が姿を消したのとほぼ同時期、
4年前と似たような連続猟奇殺人事件が起きる。
式を信じ続けたい幹也は彼女の無実を証明するため、独自に捜査を始めるが
そんな中、高校時代の先輩・白純里緒と再会して・・というお話。

なにげない点と点がやがて、ひとつの線でつながっていくこの第7章、
劇場版としては最終章となり、いろんな意味で結論が出され、
しっかりと区切りがつくように作られていた。
そしてこの章のタイトル「殺人考察(後)」からもわかるように
第2章「殺人考察(前)」での伏線がどんどん回収されていく。
ともすると聞き漏らしてしまっていたかもしれないような誰かのセリフが
実はとても重要だったりして、綿密に計画されたシナリオの深さに
あらためて驚かされたし、音楽、映像、演出すべてにおいて
この章の完成度が一番高かったのではないだろうか。

ヘンデルの「サラバンド」をアレンジしたようなOP、
ネガフィルムをモチーフに記憶というテーマを揶揄した映像も、すごく好み。

4年前、式が遭った事故の真相と殺人鬼の真相。
そして式が失っている2年間の記憶とは。
幹也が信じてきた式という1人の人間像。
式が見てきた幹也という1人の人間との出会いと軌跡。そして絆。
ドラッグを通してその人物の人間性や性格を表現していたのもなかなか良かった。
ネタバレレビューを読む
上映時間120分。時間だけでなく内容的にもとても見応えがあり、
この第7章に一番、登場人物たちの本音が出ていたと思う。
しかし、このあと「終章」が控えている。
まだこの作品を語るに、終われないものがあるのだよね。
終章の感想はまた後日。

投稿 : 2025/02/15
♥ : 44

レイ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

貫き通された意志!!

(ここに一章から全ての総評みたいな感じで書く事になると思いますが、あらかじめご了承下さい。)

さて、何と言っても空の境界は世界観が作り込まれている。
ジャンルで言えば伝奇なのかな?
魔術や超能力、宗教的な考えから精神的な世界までもが物語の設定として緻密に作り込まれている。
まぁ、TYPE-MOONの作品での共通世界観があり、悪く言ってしまえば「使い回し」なんですが(汗)
それはそれで面白い試みだから良いと思います!

小説原作ですが、TVで無く劇場版と言うことで…TVではできない表現、演出で飽きる事なく楽しめる作品です。
原作を知らず一章を見ると「何だコレ?」と良く分からない事がありますが章が進むにつれ、パズルのピースが組み合わさっていくかのように物語が分かっていきます。

キャラは個人的にも気に入ったものが多く、まぁ…「ブリーチの一護?」とか「チャーリーとチョコレート工場のチャーリー?」とか他作品のキャラを彷彿させる者も出てきて、可笑しかったですが(笑)
特に、橙子さんは攻殻機動隊の素子(少佐)に雰囲気似ててかっこよかったです♪
声優も好きな声優さんが何人も出てて、カッコイイキャラ達をより一層引き立ててくれていたと思います。
式が坂本真綾さんだったので、マジ惚れでした(笑)

あとどうでもいいネタですが黒桐の名前が度々、「フランスの詩人みたい」といじられるのは…ジャン・コクトーを皆知っているのかと関心しました(笑)

戦闘シーンは、魔術戦か刃物を用いた銃器無しの白兵戦ばかりですが…独特な鋭いカメラワークは抜群に良く、テンポも比較的早いテンポで非常にかっこよく鳥肌物でした。

恋愛的なとこを言えば、式が後の方の章になって俗に言う「デレる」事がたまーにあり、それは可愛かったです。
関係的なものを言えば黒桐が鈍すぎて式と進展しないと言うパターンで、しかも妹まで出てきて三角関係…ありがちですがなかなか面白かったですよ♪

音楽も個人的には文句無し!
主題歌は全て『Kalafina』が歌っていて、章ごとの雰囲気に合わせて曲も作られていたのでとても良かったです。

最後に…七章の終盤は泣きました!!!

この作品は陰惨な描写なども多々あり…不愉快に感じる人もいるかもしれませんが、個人的にはとてもメッセージ性の強いものだと思うので多くの人にも見てもらいたいものの一つです。
時間軸的に言えば章の順通りだと激しく前後してるので、見るときは一気見する事をオススメします♪

投稿 : 2025/02/15
♥ : 8

72.2 2 二重人格でバトルなアニメランキング2位
空の境界 第四章 伽藍の洞[ガランノドウ](アニメ映画)

2008年5月24日
★★★★☆ 4.0 (687)
4056人が棚に入れました
1998年6月、約2年の昏睡から両儀式は奇跡的に回復する。しかし、目を開けてすぐに見えたのは「死の線」。それが何なのかを理解してしまった式は、自らの目を潰そうとしてしまう。そんな中、一人の女性が式を訪ねてくる。その女性、蒼崎橙子に式のもう一つの異常、式の別人格である「織」が居なくなっている事を気付かされる。生の実感を喪失した式は抜け殻のように日々を送るが、その式の病室に毎夜彷徨ってくるモノがあった。

声優・キャラクター
坂本真綾、鈴村健一、本田貴子

しゅりー さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

やっとタイトルの意味が納得できた気がします

空の境界の第4章。
第3章の少し前の物語です。
一応4章までが時系列がバラバラな物語で
5章以降は時系列順に並ぶわけです。
(2→4→3→1→5→6→7という感じ)
映画公開時には時系列順のマラソン上映なんかもあったらしいですねw

4章はだいぶ短めな話ですし、冒頭部分からメインの舞台はずっと
式が入院している病院です。
2章以上に冗長な物語かもしれません。

ただ、もう一つの人格を失い、孤独を知った式と
式に発現した異能「直死の魔眼」について詳細に描写されます。
一連の事件についてまた伏線が張られ、
橙子さんの魔術師らしいところも出てきますので、だいぶ見所は多いと思います。
※このシリーズに限って言えばいらないシーンはないのでしょう。

個人的には式と橙子さんの会話の中でようやく空の境界という
タイトルの意味が納得できた章ですね。

投稿 : 2025/02/15
♥ : 8
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

空の境界を理解する上で、欠かせない章である。両儀式の伽藍の洞に這入るのは誰か

「空の境界」は奈須きのこによる、同人誌に掲載された長編伝奇小説である。全7章で構成され、本作は第二章「殺人考察(前)」が映像化された。「そらのきょうかい」でも「くうのきょうかい」でもなく、「からのきょうかい」なのでお間違えの無い様に。
略称は「らっきょ」。

「空の境界」は奈須きのこの小説だが、奈須きのこと武内崇の所属する同人サークル(現在は有限会社Noteのブランド)「TYPE MOON」の作品に「月姫」、「Fateシリーズ」などがあり、「空の境界」と世界観を共有している。奈須氏によると「微妙にズレた平行世界」とのこと。


劇場版「空の境界」は圧倒的な映像美、迫力満点の戦闘シーンと、難解且つ素晴らしい世界観を、原作小説を忠実に再現し映像化したufotableの力作である。
本作のメインテーマは「境界」である。相反する二つのものに関するメッセージが緻密に組み込まれている。
その各々に対する矛盾もまたテーマの一つだ。
奈須氏の命の重さ、禁忌を主題とした本作の完成度には脱帽するばかりである。
「生」と「死」、「殺人」と「殺戮」などについて考察するわけだが、テーマがこれであるから必然的にグロテスクな描写がある(しかも美しかったり)。
また、難解な言葉(辞書的意味では用いない)や、時系列のシャッフルにより、物語の理解はやや困難である。
しかし、この時系列シャッフルこそが「ミステリ」における叙述トッリクとして作用しているのである。
決して時系列の通りに見てはいけない(2度目からはご自由に)他にも、原作にはなかった「色分け」が行われている点も魅力的だ。式の服の色や、月の色なども見てみると楽しい。
全7章に渡って展開される両義式と黒桐幹也の関係も素晴らしい。
設定はここで説明するとつまらないので、作品を視聴することをお勧めしたい(丸投げであるが(笑))
副題のThe Garden of sinnersは直訳すると「罪人の庭」と言う意味。sinには(宗教・道徳上の)罪という意味があり、guiltの(法律上の)罪とは区別される。
Theの次のGardenが大文字であることから、これはギリシアの人生の目的を心の平静(アタラクシア)に見出した精神快楽主義のエピクロス学派を意味する。よってThe Garden of sinnersは快楽主義に溺れた道徳的罪人という意訳が適切ではないか。



第四章の本作は「空の境界」の時系列で、全7章のうち4番目にあたる作品だ。本作の視聴により、一から四章までの時系列シャッフルは完了し、五章矛盾螺旋からは時系列通りに物語が進行する。世界観の認知と登場人物の把握を十分に行い、「空の境界」の作品中最難関であり、且つ最も面白い五章の視聴に堪えるだけの認識を会得して欲しい。
本章で今まで謎だった式の特殊能力の真相、事故以前と以後を結ぶ境界、式・幹也と橙子の邂逅が明かされる。一章・二章の難解さに比較すれば、この四章は三章程度のハードルであり、一章・二章が理解出来ていれば、理解に難くない。
逆に、一章・二章が理解できなかった場合は、本章の視聴により補完出来ると考える。
副題の garan-no-douは日本語表記で主題「伽藍の洞」と同一である。
重複しているからには「伽藍の洞」には深い意味があると考えられる。
また、橙子の事務所の名称が「伽藍の堂」であるので、こちらを指しているのかもしれない。

考察←観る前に見ない様に。
ネタバレレビューを読む



この四章は、一から三章までの時系列シャッフルの総括、五章矛盾螺旋への纏めという重大な役割を担う章だ。式・幹也の学生時代の話である二章と、一章を基準とした「現在」により近い三章を繋ぐ作品である。また、式の事故以前と以後の違いの理由、一章,三章で不明だった式の「直死の魔眼」の説明や式・幹也と蒼崎橙子の邂逅が描かれている。
本作は「両儀式」にスポットを当て、彼女が「死」とどう向き合うか、今後どう生きていくかを主に描く。五章矛盾螺旋への準備は全て整った。「空の境界」という作品は、五章で取り敢えず一段落するので、五章が最終話と見ても、差し支えない。


本作は考察のし甲斐があり、非常に面白い。また現代人への処方箋のような役割を果たし、私達にカタルシスを与える。

私は全章視聴後原作を購読したが、読み応えがあって大変面白い。アニメを観た人は補足の為にも、お勧めしたい。
未視聴の方は、是非挑戦していただきたい作品である。

投稿 : 2025/02/15
♥ : 33
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

生と死の境界線

原作未読。
全8章からなる物語の4章目。約45分。

「空の境界」全章に共通する項目は、第1章のレビューをご覧ください。
→ http://www.anikore.jp/review/450724/

2章の直後から、1章に繋がるまでの話。

2年の間だ意識を失っていた両儀式。
「伽藍の堂」に訪れた黒桐幹也と蒼崎橙子の出会い。
そして、蒼崎橙子と両儀式の出会い。

どのようにして式の力が目覚めたかが描かれています。

病院のシーンはリアリティがありますね。
しっかりとした取材のあとがみられます。

映像面での見所は、
・「死」を描いた抽象的な世界での光の使い方やエフェクト
・式の目から見た世界の描写
・式と橙子、二人のバトル描写

特にバトル描写は至る展開は鳥肌モノです。

髪の長い式が見られるのもこの回だけ。
長髪すっごく似合いますね、惚れますよ!

EDテーマは「ARIA」。
ARIAはイタリア語で「空気」を表します。


【4章「伽藍の洞」の考察】
ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/02/15
♥ : 38
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