二次創作おすすめアニメランキング 8

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの二次創作成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年03月22日の時点で一番の二次創作おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

85.3 1 二次創作アニメランキング1位
Re:CREATORS(レクリエイターズ)(TVアニメ動画)

2017年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (1072)
5302人が棚に入れました
自室でアニメ “精霊機想曲フォーゲルシュバリエ” を観ていた水篠颯太の目の前に、画面の向こうに映っていたはずのアニメのキャラクター、セレジア・ユピティリアと、軍服を纏った謎の少女が現れる。
両者の戦いに巻き込まれた颯太は、2人を追って代々木公園へと向かう。そこにPCゲーム “追憶のアヴァルケン” のキャラクターであるメテオラ・エスターライヒまで現れて──

声優・キャラクター
山下大輝、小松未可子、水瀬いのり、日笠陽子、坂本真綾、雨宮天、村川梨衣、鈴村健一、豊崎愛生、小西克幸、金元寿子、杉崎亮、柳田淳一、濱野大輝、寿美菜子、恒松あゆみ

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

「承認力」というパワーワード(笑)とともに記憶されるだろう作品

メディアミックス展開はされましたが、原作無しのオリジナルTVアニメと言って良いと思います。

ストーリーへの賛否は分かれると思いますが、本作以後には「承認力」という言葉がアニメ、漫画、ライトノベルなどの感想や批評に普通に使われるようになることでしょう。

そして本作を通してみたとき、きっとあなたは颯太くんとは別の人物をもう一人の主人公、あるいは「真の主人公」と感じていることでしょう。

たぶん普段から創作について考えている人にとってこそ面白いお話であって、受け手に徹している人にはさほど響かないお話なんだろうと思います。悪い言い方をすると「業界内輪ウケ」という非難もついて回るような気がしますが、私は楽しく視聴できて満足です。

ということで評点についてはおそらく私は他の方のレビューにはない高評価だと思われますので、普段の私の評点とよほど意見の合う方以外は参考になさらないように(笑)。

余談: 食べ物を頬張って喋る、何を喋っているかわからないメテオラがメッチャかわいい。
(以上、2017.9.17全話視聴時記載。)

========= 以下は1話目視聴時点の記載 =========
アヴァンタイトルのあの女性を、作中キャラが探しているってことで良いのかな?
だとしたら、たぶんどちらの世界にも既に悲劇が起きていますね。

主人公以外のメインキャラクターの設定や能力は厨二バトルものっぽいけど、それはシナリオ上の必然で本筋自体はメタなお話っぽいからこれはかなり面白そう。

レビューを改めて書くのは、たぶん視聴終了後になります。
========= 以上が1話目視聴時点の記載 =========

2017.7.2追記:
放送終了後に更新のつもりでしたが、(予定された)総集編だった13話が面白過ぎて、思わず更新してしまいました。

今後の展開で予定されている作中のクロスオーバー企画に備えて各キャラの作中設定が掘り下げられました。

そして総集編のはずが過去映像が改変されていたり、ナレーションのメテオラの台詞がいつもの抑揚のない感じのまま、所々黒かったり、「メテオラ(妄想)」がでてきたり…。

「総集編だから観ない」とかはナシです。この「13話」(ナンバリングも正規)は、超絶面白かったです!

2017.7.24追記:
放送キー局である朝日放送が「テレビ朝日系列」としての番組編成でゴルフ全英オープン(7/22深夜)と世界水泳(7/23早朝)を中継するため、放送時間をずらすなどの対応も無理ということで第15話と第16話の間で1回休み。

他の放送局では水瀬いのり(メテオラ役)、小松未可子(セレジア役)、日笠陽子(アリステリア役)の3人による謎の穴埋め番組が放送されました。

たぶん内容はさておき、この特番を入れるスケジュールは当初から決まっていたと思います。なので公式HPとかで早めにアナウンスしても良かったと思うのですが、「万策尽きた」という誤解が一部に広まっている模様。

まあこういった事情での特番なので、13話と違ってこれを観なくても本編視聴に実害はないはずです。セル版の円盤の映像特典には入るかもしれません(笑)。

投稿 : 2025/03/22
♥ : 63

うにゃ@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

原作ブラクラ

コンセプト面白いなぁって思ってウィキを見たら、原作およびキャラクター原案がブラックラグーンの広江礼威で、なるほどと思った作品
原作ブラックラグーンと話の内容からブラウザークラッシャーを掛けて「原作ブラクラ」とは言いえて妙だなと。
感覚的には英霊が原作キャラでフェイトの2陣営戦な感じ。
セレジアとカロンとか、それぞれのキャラの世界観等原作の世界観をもう少し掘り下げる方が良かったかなぁと思ったりもするが、2クールで纏めるにはこんなものかなと思ったり。
幅広くアニメや漫画を楽しんでる層にとっては、内容も共感得れて面白く見れるが、興味ない世界のキャラ背景等はやっぱり興味ないのだろうなと思う。
なので賛否は別れてしまうのかなと。

最後原作キャラクターが創造主になれたり、真鍳はどうなったんだーとか能力が消えるのはなぜかとか最後少しだけ疑問は残ったが総じて良作。

総集編の総集編にしてはかなり質が良くちゃんと見る1話になっているのもクオリテ―たかい。

100点中90点

投稿 : 2025/03/22
♥ : 8

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「記憶しておこうと思う。僕の身に起きた出来事を。」

この作品はオリジナル作品だったみたいですね。
今回この作品に食い付いた一番最初の理由は、アニメーション制作が「TROYCA」さんだったからです。
アルドノア・ゼロ、櫻子さんの足下には死体が埋まっているなど記憶に新しい作品を手掛けられたこの会社には「緻密かつ大胆」「真面目で正確」という印象を持っています。

一方、物語の内容ですが先に輩出された前2作はどちらもハッピーエンドという結末では無かったと記憶しています。
アルノドア・ゼロ…地球と火星の友好については好転したんだと思います。
でも、そのカードを手繰り寄せるアセイラム姫の決意はあまりに現実的過ぎたとしか思えません。
伊奈帆やスレインは本当に救われたのか…正直今でも疑問です。
櫻子さんに至っては、「俺たちの戦いはこれからだ!」の手前で終わってしまったので、評価し辛いですけれど…

だから、この作品に期待したのは大団円でのハッピーエンドです。
救われる人が多いほど好ましいと思いながら視聴を開始したのですが…

1話目から物語の迫力に圧倒されてしまいました。
特に1話から始まるドンパチの臨場感やキャラの動きが半端ないんです。
否が応でも2話以降の期待が高まる展開だったと思います。

物語の舞台は現代の日本…
この物語の主人公は、アニメやゲームが好きで将来クリエイターになる事を夢見ている高校1年生の水篠 颯太…
彼は自分でオリジナルの作品を手掛けようとしていた事からも、どれほどのめり込んでいたかが分かります。

そして物語は突然異様な形で動き始めるのです。
それはきっと誰もが想像し得なかった出来事…
颯太はアニメを見ていただけ…ただそれだけなのに、次の瞬間見ていたアニメのヒロインが突如目の前に現界したのです。

大好きなアニメのヒロインが…作品の設定通りの正義感や勇気を持ったヒロインがそのままの姿で目の前に現れたら、誰だって歓喜すると思います。
でも颯太にはその状況を楽しんだり、余韻に浸っている時間はただの一秒もありませんでした。
何故ならそのヒロインは軍服の姫君との交戦の真っ最中だったから…
そして次々と様々な作品から様々なキャラ…所謂被造物が現界する事態へと発展するまでそう時間は要しませんでした。

軍服の姫君は世の中の理に対する強い憎しみを抱いていました。
その憎しみの成れの果て…彼女の思考が行き着いた先には、不幸しか待っていませんでした。
世の中を不幸に引きずり落そうとする軍服の姫君と、その進行を食い止め世の中の理を守ろうとするモノ…
被造物は、自らの意志とこれまで背負ってきた運命の赴くまま、2つの陣営に分かれて争う事となり物語が動いていきます。

始まって直ぐに感じのは、誰もが本気であるという事…
軍服の姫君は、アニメやゲームの世界ではなく現実世界を本気で不幸に引きずり落そうとするんです。
本気の相手には、こちらも本気じゃないと止められない…
序盤から熱い展開が画面いっぱいに繰り広げられます。

「物語が作品の枠を超えて融合する」ときっとこの作品の様な感じになるんだと思います。
騎士、魔法使い、ロボット、武闘家、魔法少女、賞金稼ぎに美少女ゲームのヒロインと、様々なジャンルが寄り合っているこの作品…
それぞれのキャラ設定がそのまま被造物の長所であり、また短所でもある…
彼らを支えるのは、自分たちの世界でこれまで死に物狂いで頑張ってきたという自信…

だから誰もが絶対に負けられないんです…
もし負けたら…自分の世界、残してきた仲間、流してきた多くの血と涙が否定される事になるから…
だからといって、自分の信念を曲げる事はできません。
例えそれが絶対的不利な状況で…勝てる見込みが限りなくゼロに近いと分かっていたとしても…
だって、信念を曲げたら多くの人を裏切る事になるのを被造物のみんなは知っていたから…
きっとそれは自らの死より辛い事…

こんな世の中の危機的状況に作品を創作したクリエイターたちが黙って指を咥えているはずはありません。
クリエイターは、被造物と違って魔法も使えなければ、ロボットの操縦も…剣だってまともに扱えません。
被造物には被造物の…クリエイターにはクリエイターの勝負すべき場所があるんです。
だから、最悪の危機を回避すべく自らの在るべき場所で、できる精一杯の勝負を挑み続けるんです。
ある人はペンで…そしてまたある人は思考で…
そしてその直向きさは、世の中を不幸に叩き込もうとする陣営も一緒です。

物語のスタートラインはきっとみんな同じで最初の一歩から始まります。
ですが見解の相違…ボタンの掛け違い…、きっかけはほんの些細な事かもしれないけれど、歩み続けてふと後ろを振り返ってみると、もう元には戻せないほど遠くに行ってしまう事もありますよね…

自分を…自分の作品を見て貰いたいから頑張る…
けれど、評価を素直に受け入れられなかったり、他人を妬ましく思ったり自分の出来の悪さに辟易したり…
思いを込めれば込めるほど自分が嫌な人間になっていくのがはっきり自覚できる…
でも絶対に諦められない…
だって、モノづくりの先に何が待っているかをクリエイターなら知っているから…
それは長い産みの苦しみの先に、それを乗り越えてきた人にしか味わえないとっておきの極上…

クリエイターと被造物の様々な思いが交錯しながら物語は回を重ねていきます。
物語の中でとある作品同士のコラボポスターが飾られていました。
二人のヒロインが向き合ったポスターの、それぞれの台詞に釘付けになりました。
「お願い、笑って…」
「私は、お前のようになりたかったのかもしれない…」
二人がどの様な騎士道を歩んできたのか、どれほど自分に…周りに対して真摯であったか…
例えようもないほどの悔しさを味わったはずなのに、相手を思いやって、そして相手を賛辞する台詞が最初の一言なの…と思うと思わず目頭が熱くなってしまいました。

大団円のハッピーエンド…という訳では無かったと思います。
願ったのは、きっと少なからず代償が必要なことだとは理解していたつもりです…
けれど、流した血と涙は決して少なくありませんでした。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle & Gemieさんの「gravityWall」と「shØut」
エンディングテーマは、綾野ましろさんの「NEWLOOK」と三月のパンタシアさんの「ルビコン」
ポップで優しい感じのするエンディングも好きでしたが、圧倒的存在感を感じたのはオープニング…とりわけ2クール目の「shØut」はめちゃくちゃ格好良かったです。
仁王立ちしたセルジアのマントが風になびいて飛ばされたとき、何かとても凄い事が起こる予兆を感じさせてくれました。そのから先のオープニングもアニメとの融合はバッチリだったと思います。

2クール全22話の物語でした。
放送の途中で特別番組が入りましたが、その時ナレーターのコメントに「これは作品を落としたわけではなく、最初から狙ってやったことです」という感じの事を言っていましたが、まさか22話で終わるとは思っていませんでした。
でも、とても綺麗に物語が纏まっていたと思います。
この作品に登場した被造物…これからもそれぞれの作品の中で生き続けて是非自分と周りが納得する本懐を遂げて欲しい…そんな風に思います。

投稿 : 2025/03/22
♥ : 35

70.1 2 二次創作アニメランキング2位
おそ松さん(TVアニメ動画)

2015年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (941)
4273人が棚に入れました
一世を風靡した伝説の6つ子が、今よみがえる!

古き良き昭和の時代―。
日本中を沸かせた名作ギャグ漫画「おそ松くん」。
そしてその昭和の最後を華々しく飾った前作アニメ。

それから時は流れ、現代。
街並みも、ライフスタイルも変わった今、あの6つ子たちも、
ひそかに成長を遂げて帰ってきた!

あの頃と同じ家に住み、大人になってもマイペースに生きる、おそ松達。
はたして、イヤミやチビ太、トト子にハタ坊、ダヨーン、デカパンなど
個性豊かなキャラクター達の現在の姿は…!?

声優・キャラクター
櫻井孝宏、中村悠一、神谷浩史、福山潤、小野大輔、入野自由、遠藤綾、鈴村健一、國立幸、上田燿司、飛田展男、斎藤桃子

米麹米子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

クソ笑った

一周回って飛び抜けてて
笑ってしまったでござるよ
キヨシ殿

一話だけでいいから見てみて(*´艸`*)
レビュー書き直すかも謎w

と、書いてはみたもののこれじゃあんまりなのでw
いやー、濃厚な30分でした。
赤塚不二夫80周年で作られた作品だけれども
無駄に曲がいいのが腹立つし
スタッフが私得。

やりたい放題でどこの層を狙っているのか不明ですが
1話でお腹いっぱいになるパロの多さ。
ニャル子の比じゃないと思う。
昭和ネタやらなんやらごちゃ混ぜにして闇鍋喰らった感じ。
カオス感が半端ない。

もう1話終了でいいんじゃないかなって思うくらい
堪能しました。
コレ、来週からどーするんだろう。

赤塚先生も「これでいいのだ」って多分…言ってくれると思うよ?

2話以降の心配をしていたのですが面白い。
本来のおそ松くんを知らないので見ていて楽しい。
総集編はボツというかお蔵入りになったものがあるらしく
あのような形になった模様。
副音声も聞きながら観れるというお得感が。

ただね、他の作品がまともに見れない(;´∀`)
声優さんがはっちゃけてるので
ちょwwwって他のアニメ見てると真面目なのに被害が及ぶ
とんでもない爆弾みたいなもんですわ。
ブラック&シュールなのからグフッと声が出るものまで
幅広い層に受けてるのがなんとなく理解できます。
予想外だったのが腐ですね。
イケメンだけかと思いきやおそ松くんでも需要があるようで。

2クールですので残りの後半楽しみたいと思います。

新年早々シコ松に笑ってしまった。
いや、あれね目撃すると本当に気まずい。
2度ほど遭遇したことあるけど
鍵を閉めてこっそりやってほしいものだ。

十四松祭りが地味にツボ
カオス感とシュールさがじわじわ来て
CRただいま!とか十四松パンで吹いた
ラーメンの下で既視感がと思ってたら
八幡兄弟だったでござる



「はなまるぴっぴはよいこだけ」(第1話 - 第5話、第7話 - 第12話)
作詞 - あさき / 作曲・編曲 - 96 / 歌 - A応P

「全力バタンキュー」(第13話 - )
作詞・作曲 - 池波曼寿 / 編曲 - 池波曼寿、有木竜郎 / 歌 - A応P

ED
「SIX SAME FACES 〜今夜は最高!!!!!!〜」(第1話 - 第12話)
作詞・作曲・編曲 - TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND / 歌 - イヤミ feat.おそ松×カラ松×チョロ松×一松×十四松×トド松
「SIX SHAME FACES 〜今夜も最高!!!!!!〜」(第13話 - )

投稿 : 2025/03/22
♥ : 51
ネタバレ

もがっぺ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

パロが面白すぎるww

こんなに笑ったアニメは久々かもしれない!というほど自分のツボなアニメです!
さすがアニメ銀魂と同じ監督さん!雰囲気も少し似てる気がします。

1話からうたぷりやラブライブや弱ペダや進撃のパロが溢れかえっていて、そこらへんの代表的なアニメを見てる人ならわかるネタが多く、誰でも楽しめると思います\(°Д° )/
お気に入りは3話の最初で、{netabare} 洋画のホラー映画でsawというのがあってそれパロなんですけど、つい二ヶ月まえくらいに見たばっかりだったのであっ!このシーンか!ってなって面白かったです。 {/netabare}

声優さんもめちゃくちゃ豪華で、イケボなおそ松さんいただきました笑

投稿 : 2025/03/22
♥ : 7
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

十四松を推してます(笑)

[文量→大盛り・内容→感想系]

【総括】
私は原作(おそ松くん)は未読なので、そこを踏まえたレビューはできません。せいぜい、ちび太のおでんと、イヤミのシェーくらいしか知らず、正直、「おそ松」がどんな奴かも良く分かっていない状態からの視聴開始でした。

1~2話は、六つ子の見分けも出来ず、性格の違いも分からず、「評判のわりには、あんまり面白くないな~」と思っていました。

しかし、六つ子それぞれのキャラクターが掴めてきたら飛躍的におもしろくなりました。また、基本的に1話完結なので、どこから観ても楽しめると思います。

ギャグ系アニメとして、久々に良アニメでした♪

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
マッスル♪マッスル~♪ ハッスル♪ハッスル~♪

特に好きな回は、5話「カラ松事変」「エスパーにゃんこ」、9話「恋する十四松」、15話「面接」、23話「灯油」「ダヨーン族」です。

5話は、フリからオチまでに盛大な時間と労力をかけたところが見事。特に「エスパーにゃんこ」の大オチは、「2つの異なるエピソードで1話構成(という思い込み)」と「視聴者が、六つ子それぞれのキャラクターはつかんでいても、完璧には識別しきれていない話数」という、2つの要素をつかった心理トリックが使われており、ある意味では優秀なミステリーでした♪ てか、カラ松、可愛そうすぎでしょ(笑)

9話の「恋する十四松」は、おそ松さん屈指の感動回。たまにこういうのをはさんでくるからズルいよね(笑) この話で一気に十四松好きになりました♪

15話の「面接」も十四松回ですが、9話とうって変わり、ギャグ面が強調されています。ネプチューンのホリケンさんを100倍くらいブッ飛ばした感じの予測不能の笑いに翻弄されましが、それが気持ち良かったです(笑) また、十四松をサポートする市松も良い味だしてました♪ あのコンビは好きです!

23話は、個人的に「おそ松さんの集大成」と思っています。まず、「灯油」は、

①日常の些細な(クダラナイ)出来事を題材にし、②六つ子の個性の違いによる争いを見せ、③結果、全員がクズ。そして、「ダヨーン族」で、④あり得ないような超展開に発展させ、⑤さりとてただの馬鹿話にはせず、感動要素を入れ、⑥最後は下ネタでしめる、という展開。

「クダラナイ日常」「六つ子の個性」「全員クズ」「超展開」「感動」「下ネタ」これに「パロデ
ィ」を加えると、おそ松さんが出来上がると思い ます。

24話がトト子回、また最終回への流れとなっていきますから、「おそ松さんらしいおそ松さん」は、23話が最終回で、制作もそのつもりで、やりたいこと全部をやってきたのかなって思いました。

疑問に思うのは、このアニメが主に女子に人気、という点です(小中学生に人気と言うのは、なんとなく分かりますが)。ここに関しては、女性のレビュアーさんのレビューを拝見したいですね。どこに女子が萌える要素があったのでしょうか。(ちなみに、うちの県でも「おそ松さん展」とかやってて、小中学生が親子で行ってますが、親御さんは、第2話「ブラック工事」や第3話「銭湯クイズ」、第13話の「シコ松」、最終話などは知らないんでしょうね(苦笑) 子供もホントの事は言わないだろうし。世代的に、おそ松くんは知っていて、ポップな絵柄と音楽に騙されている親と、騙してグッズを買わしている子供を見ると、もうそれ自体がブラックユーモアで、赤塚さんのワールドを感じてしまいますw)

OPは二期共に中毒系で、特に一期は耳に残りました。職場で鼻唄を口ずさみそうになり、ヤバかったですw

もし、原作者の赤塚不二夫さんが御存命で、このアニメを観られたら、何とおっしゃったでしょうか? 「これでいいのだ」って、言ってくれたら、制作の皆さん、きっと泣いちゃいますね(涙)
{/netabare}

投稿 : 2025/03/22
♥ : 33

69.4 3 二次創作アニメランキング3位
メガロボクス(TVアニメ動画)

2018年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (265)
868人が棚に入れました
『あしたのジョー』を原案としたオリジナルストーリー。八百長試合に身を沈めるボクサーが、運命に抗うために、自分の全てをかけてリングで闘う姿を描きます。

声優・キャラクター
細谷佳正、斎藤志郎、安元洋貴、森なな子、村瀬迪与、木下浩之
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

素晴らしいの一言〈ギアについて思ったこと追記〉

2018年春アニメ。
「あしたのジョー」連載開始50周年企画。
「あしたのジョー」を原案とし、世界観を変えたオマージュ作品。原作未読、本作以外のアニメは未視聴です。


第3話まで見た印象としては、物語は王道でキャラクター描写も素晴らしく、世界観もわかりやすく味わい深い。テーマも最初の段階から見えています。
BGMもよく合っていますし、使い所もしっかり選んでいます。
{netabare}
サブタイトルに毎回「死」という単語が入っていたり、イカサマをするたびバイクで崖から飛び降りるジャンクドッグの行動が「命か誇りか」という葛藤であったり…洒落ているけどなかなか狂気じみてもいますね。
メガロニア出場の目的はジョーは誇りのため、贋作は命のため。ジョーに引っ張られて本気出しつつある贋作さんステキですわw
藤巻さんが市民IDを用意してくれたの、結構意外でした。ユーリ乱入で儲けが少なくなっても「ご祝儀」で済ませたあたり、メガロボクスが本当に好きなのか、あるいはジョーのメガロニア出場に賭ける「賭け金」のつもりなのか…だったら洒落てるなあ。これからの3ヶ月間ジョーと贋作は分の悪い賭けに勝ち続けなければなりませんしね。…賭ケグルイの自分のレビュー読み直してこの作品は賭けという要素も重いのかも、と思い始めた。

作画・演出、音楽、声優さんの演技など安定してクオリティも高いです。コンテ・演出に作画負担を軽減する努力が見られますし、このまま崩れず行くかも…。多少崩れたとしてもこれだけ演出が良ければ問題は無いですし。
強弱を付けた線の味わいもタイガーマスクWと比べれば今風に仕上がっているけど、やっぱりなんだか懐かしくて。背景も水彩やポスターカラーで描いていたセル画時代のイメージに近く、レトロな世界観としてバランスを取っていてとても見やすいです。
キャラクターの動きにも作画のこだわりを感じます。ジョーのアウトローで気だるげな雰囲気と根の優しさや誇り高さ、贋作さんの情けなさとトレーナーとしての実力、ユーリの底の見えない強さと鬱屈、子ども達のちょっとスレた可愛らしさ、ゆき子さんの刺のある美しさ…キャラクター描写にも個性が良く出ており、生きた人間だと感じられます。

ギアが今後どう扱われていくのかも気になる所。
「そんなオンボロギア、付ける意味ねえんじゃねえのか?ガラクタのワンちゃんよ」「裸じゃ出来ねえだろ、メガロボクスはよ」のやり取りはルール上付けるもので、「あんなガラクタひとつで駆け引きしちまうんだ、こんなところで燻ぶってなけりゃ…」という胴元の台詞からジャンクドッグのギアがお飾り同然であることがわかる。とはいえギアがあることには作品として意味があると思うのですよね。

NakamuraEmiさんのED好きですね。歌声が力強く、反骨精神剥き出しの歌詞も作風にぴったり。ネオンサインの動物たちはもしかしてメガロニアに今後登場する選手のイメージなのかな?ユーリの最初の対戦相手はスパイダーですし。熱いのに余韻も残るのがとても好きです。{/netabare}
(2018.4.24)


第4話「LET'S DANCE WITH DEATH」 {netabare}
印象としては2話までの賭け試合との差異を描くことで「本物」に踏み込んだことを示す回かな。

ジョーはボクサーとしてはこれまで「まがいもの」で、実力で勝利を勝ち取る本当のボクシングをしたのは今回が初めてなのかもしれません。そして地下では八百長を強いてきた贋作とも、ジョーはやっと本当の意味でボクサーとセコンドとなった。
贋作自身もトレーナーとしての辣腕ぶりを(プロデュースという名のハッタリ含め)ジョーを勝たせるために振るうことになります。戦略・戦術を考えるのは贋作の役割ですが、ジョーがリングに上がればもう任せることしか出来ないという点も賭け試合の時とは対照的で、しかも自分の運命を託してさえいる。
サチオはギアが無ければ見せ場がないかと思えばとんでもない。一番大切な役回りでしたね。ジョーの腕にぶら下がってる写真可愛かったw

「今日の敵はそいつじゃない!お前自身だ!」という鮫島のセコンドが言った言葉が、ジョーにも掛かってる脚本も上手い。ジョーが今勝たないといけないのは自分自身の恐怖心で、感情に振り回される鮫島と感情をコントロールするジョーの対比が良かったです。
良い試合をすれば観客も称賛し味方になる、というのも純粋なスポーツの良い面ですし、とても良い回だったと思います。

今回の作画、ジョーも贋作もサチオも表情が繊細でしたね。特にジョーの表情の変化を見て思ったよりも若く、弱さもあるんだなあと。
今回ジョーに対して優しい表情をした場面で、贋作さんがジョーをどう思っているのかやっとはっきりした気がします。サチオに対してジョーが優しいので、なおさら三人がファミリーみたいに見えてきて嬉しい。

非認可地区の様子も少しわかって良かった。虻八さん再登場してほしいなあ。
ジョーと贋作の関係がしっかり構築されたところで贋作の過去がわかりそうな感じですかね。
次回も楽しみです。 {/netabare}(2018.4.30)


第5話「THE MAN FROM DEATH」
第6話「UNTIL THE LAST DOG DIES」 {netabare}
贋作と、ジョーの兄弟子ともいえるアラガキの過去と現在を描いた前後編。
「とどまるか、抗うか—あしたを、選べ」という本作のキャッチコピーが改めて思い起こされるエピソードでした。

贋作とアラガキにとって「明日のために」という言葉はメガロボクスのためのもの。繰り返される「前に5、後ろに5」という言葉はメガロボクスを続ける(とどまる)こと、「前に進む」「前に出るんだ」という言葉は自身の未来のために別の道に踏み出すことであったと思います。
贋作がジョーを棄権させようとしたのは「明日のため」とは言えず、ミヤギさんがアラガキの自由にさせたのはアラガキが「前に進むため」だったのも上手く対比しています。
最後の「俺もお前(ジョー)を信じる」というアラガキの言葉が、ジョーと贋作にメガロニアの夢を託したのだと思えてとても良かったです。

アラガキの引退の理由、その描き方が素晴らしかったです。
現役を続行するか引退するかを決められるのは本人だけですが、未練なく辞められる選手ってそうはいないと思います。
引退を考えるアラガキにとっての一番の心残りは、贋作との約束や二人三脚でやってきたメガロボクスだったのでしょう。実際、戦争のトラウマから自殺しようとしたアラガキを救ったのもその想いでした。
ギアレスジョーのトレーナーが贋作であると知った時、時間は戻らないし贋作との師弟関係を復元することはもうないと悟ったから、最初は引退を受け入れようとしていたのだと思います。
でも再会した贋作は無神経にもアラガキに「昔と何も変わらない」と言ってしまった。彼の顔の大きな傷を見れば、これまでいかに辛酸を舐めてきたかは容易に想像できたはずです。そして、それがアラガキの心を揺さぶってしまった。
アラガキが最初に壊すと言ったのは確かにジョーだったと思いますが、最終的に壊したのは贋作から学んだことを捨て去れなかった自分自身でした。リングの上でアラガキが相対していたのは、贋作の教えを忠実に守っていた過去の自分でもあったのかもしれません。
ですが試合が進むにつれ、ジョーとアラガキのスタイルの違いが明確になっていきます。ただただ目の前の相手に勝つことだけを考えるようになり、最終的にアラガキは大きな未練を振り切る。贋作とアラガキを吹っ切らせたのは、勝ちたいと強く思うジョーの粘りだったと思います。
アラガキとジョーが笑い合うシーン、格好良かったです。

あ、あと個人的にはミヤギさんが格好良すぎてヤバイw
再登場はない、よなあ…;;

今回の試合描写は尺が長く、コンテ・演出にアニメ的な外連味はあまり無かったですね。その分じりじりした試合展開が状況の推移とキャラクター心理の変化をよく捉えていて、私はとても好きでした。蝶が前編では死の象徴として、後編では復活のイメージで演出されていたのも良かったです。
この前後編は同じスタッフさんが絵コンテを切っていますし、物語をコンテ・演出と作画にしっかり反映出来ていたと思います。 {/netabare}(2018.5.14)

※6話について追記{netabare}
公式ツイッターで、試合中のジョーの怪我について言及がありました。試合経過に合わせて怪我の進行もきちんと設定画を作って作画していたようです。
ウワーって思いましたw{/netabare}(2018.5.21)


第7話「THE ROAD TO DEATH」{netabare}
今回は、あしたに進むために現在を戦いながらも過去から逃れられない人たちを描いた回、という印象を受けました。

ジョーに期待する非認可地区と認可地区での評価の乖離が描かれ、メガロボクストップ層に食い込むことの難しさが露呈。白都の確執に巻き込まれ過去をネタに脅迫されたジョーですが、過去を消すことは出来ない以上、何とかするしかないね。贋作さんはもしかしたら予測していたかもしれませんが。
ジョー(ジャンクドッグ)が非認可地区で賭け試合を行っていたことは、少なくともゆき子さんとユーリは承知の上。逆に言うと、ゆき子さんはそれを公表してジョーを追い落とす気は今まで無かったのかな?あるいは最後の切り札として取っておいたのか。

今回はゆき子さんもまた様々なものと戦っていることが解ってきました。社長の座を狙う兄、会社の役員たち、先代の存在の大きさ…過去のしがらみとも言えるかな。ユーリにはメガロニアは私たちの夢と言い、一体型ギアの性能を売り込むことも目的もだろうし、そこに何か熱い想いもありそうです。ユーリを誇らしく見るゆき子さん綺麗!
兄の樹生もまた奪われたものを取り戻すために戦っていますが、ボクサーとしては一歩引いた冷静な人物です。盤外戦術とは良い意味で憎たらしい。

ジョーのトイレシーン最初はちょっと驚いたけど、公式ツイッターで「血尿出して頑張ってます」とあったので調べてみました。
ボクシングで試合中に脇腹にパンチを受けると肝臓が傷付くことがあり、尿に血が混じることがあるみたいです…軽症なら数日で治るそう。ちなみに内臓への衝撃は目などへの衝撃に比べれば大きなトラブルになることは少ないとか。程度によるでしょうけど。
ていうかプロボクサーの年間試合数って多くても6試合(正確には24ラウンドくらい)とかなんだそうです。ノックアウトされれば安全のために二ヶ月以上の試合禁止となる場合もあるようですし、アニメとはいえ三ヶ月で5試合とかジョーはどんだけ無茶やってるのさ…
今回贋作さんに殴られて寝ちゃった所を見ると、流石にダメージは残っていたのでしょうね。このアニメ、アウトローな描写もやりすぎないのが好き。演出意図が理解できるって良いですね。

そして豚汁売ったり危ない特等席見つけたり、今回も子どもたちが可愛いw
次回が楽しみです。{/netabare}(2018.5.21)


第8話「DEADLINE OF THE DREAM」
第9話「A DEAD FLOWER SHALL NEVER BLOOM」{netabare}
3話に渡り繰り広げられた白都の後継者争いとメガロニア出場者争いに決着がつきました。
第9話の絵コンテが川越淳さんでびっくりしちゃったw(バイオレンスなダイナミック作品と子ども向けの映画アンパンマンを交互に手掛けるだけあって、幅広いコンテ・演出のできる方で個人的に好き)
それにしても毎回コンテ・演出が違うスタッフさんなのに全体に共通した演出が見られるのは、やっぱり監督さんの采配でしょうか?虻八さん、アラガキやミヤギさん、胴元、藪沼さんもちゃんと登場しているし、キャラクターも大切にしていて好きだなあ。

今回の樹生の描き方とても良かったです。
樹生が証明したいことは、リングの外と中で二つありました。
リング外では、白都の後継者として自分がふさわしいということ。強すぎる執着心や視野の狭さは問題ですが、樹生の情熱と努力は本物でした。
ただ自意識が強すぎて人の上に立つには向かない性格ですし、まがいものは本物にはなれないという考えでは角が立ちすぎるでしょう。
それからリングの上での様子を見ていて、樹生の本質はボクサーというより研究者だと感じました。自動制御を最後まで解除しなかったのが彼の誇りだったと思う。
試合終了後の「体が勝手に動いただけさ。あんたもそうだろ」というジョーの言葉に、樹生は複雑な表情をしたのみで何も答えませんでした。最後のパンチがどちらの意思だったにせよ、樹生とエースは一心同体にはなれなかったのでしょう。リングの上で樹生が証明したかったのは、ボクサーと人工知能がひとつとなり最強となることだったと思うんです。
だからその夢にけじめをつけ、ギアを残して身一つで去ったのだろうと思います。
いやはや、嫌味と格好良さが絶妙なお兄様でしたねw

樹生とゆき子との最大の違いは、他者との関係の作り方です。他人を信頼できるか、信じられない人間であっても折り合いをつけ采配を取れるか、他人によって自分の思う結果にならなかったとしてもリスクを負う度量があるか。
ゆき子とユーリの間には上下関係はあるものの信頼があります。ユーリは彼女の迷いを傲慢だと指摘でき、ゆき子もそれを素直に受け入れるだけの器がある。まあユーリにとっては窮屈でもあるでしょうから、今後何か変化はあるかもしれませんが。
ゆき子が贋作の提案を拒否していながらジョーの再試合の希望を受け入れたのは、どこかユーリに感化されているようにも思いました。

あと、ジョーの名前が皆に受け入れられているのが嬉しいですね。本人ももうジョーは自分の名前だと思っていますし。
で、そこからまた藤巻さん登場で落とす…3話の回想で「メガロニアまで行ってくれりゃあこっちは何の問題も無いさ」って言ってたね、そういえば…
脚本家の掌の上で転がされつつ次回を待ちますw{/netabare}(2018.6.4)


第10話「THE DIE IS CAST」
第11話「A DEADMARCH」{netabare}
登場選手のPVはそれらしいけどちょっとフフッてなりましたwジョーのPVが簡素なのは、ジョーは撮影になんて付き合ってくれないからかも…w

藤巻は贋作の本質はサソリだから自分を裏切ったりは出来ないと高をくくっていたようですけど、その考えは最初から間違っていたと思います。しかも11話アバンで藤巻自身も「3ラウンドでバロウズがジョーをノックアウト」にベットしている。やっぱりこの人外道ですよ。
ただ自分の考えの甘さを自覚したから、贋作が自分から残った目を差し出したことで手打ちにしたということですよね。状況をコントロールしているつもりで実はできていなかったから、苛立ちと自嘲で「笑わせてくれる」という言葉が出た。理由は解らないけど、藤巻は贋作が「本物」になることに強い抵抗感や苛立ちを抱えていたようでしたね。

贋作はアラガキとの一件もありましたし、教え子の未来を奪うようなことはもう出来なかったでしょう。ハッタリではジョーとサチオを守れない。ゆき子さんも今度ばかりは贋作の本気を感じていたのではないでしょうか。
贋作さんは自分の本質にそぐわない生き方に対する鬱屈からお酒に逃げていたのかなあ、と思わなくもないですね。

10話のジョーとユーリのシーン好きですね。ジョー自身が「本物」になれそうな所まで来ているせいかお互い認め合っていて和やかで、ジョーの精神的な成長を感じる場面でもありました。(…そして犬がめっちゃ可愛いwジョーって子どもだけじゃなく動物も好きなの?本当に優しいキャラクターだなあ。)
二人はなぜ戦うのか…ジョーは自分のため、ユーリはゆき子への恩義のためと答えたけど、二人ともそれだけとは言えない。11話ではお互いに相手の言葉に影響を受けていることが察せられます。
特にジョーは贋作を殺させないために八百長を受け入れていたから、ユーリの言葉では立ち上がれなかった。ジョーを立ち上がらせられるのは贋作さんだけでした。
ギアの演出も良かったですね。ギアを付けた自分は「ジャンクドッグ」であって「ジョー」ではない。「ジャンクドッグ」は既に自分の名前ではなく、サチオの言うように「ギアレスジョーはイカサマなんかやらない」という強い主張でした。
10話で虻八さんの台詞が聴けて良かった!優しい激励でしたね。やっぱり良い人だ。

そういえば「そこに立ってるものに触れ」っておまじない、教えたのは贋作さんかな?11話内ではジョーもサチオも贋作も壁に触るシーンがありますから。
ジョーは1話で八百長に臨む前にエントランスの壁を、8話で樹生に嵌められた後(贋作がゆき子さんに再試合を要請していた時)船の壁を触っています。本当に細かい。

もうクライマックスに突入していて、色々考えてしまって感想が纏まりません…;
とにかくジョーが何のしがらみも無く全力で試合できる状況になって良かった…ラスト2話、しっかり楽しみたいと思います。{/netabare}(2018.6.18)


第12話「LEAP OVER THE EDGE OF DEATH」 {netabare}
白都の契約相手は参謀総長だから軍関係なんですよね?白都のギアを普及させることが社会貢献になるとゆき子さんが考えているのはわかるんですが、ちょっと引っかかるかも…。自衛隊のような組織なら別でしょうけど、後一話でそこらへんを入れる尺は無い気がする。

それはともかく、ユーリとゆき子さんの関係がよく解る回でしたね。二人とも一途だなあ。
アラガキやミヤギさん、樹生の再登場もすごく嬉しい!皆和やかで心が洗われました。
特にお兄様!樹生本人の活躍ぶりも見事だったけど、ゆき子さんが弱音や本音を言えるのって確かにお兄様しかいないよなあ…。今回の様子からは多少距離はあるけど普通の兄妹にしか見えない。お兄様の過去話が気になってくるじゃないですかw

ゆき子さんと贋作さんの対比も良かったです。
結局、初めて出会った時からゆき子さんも贋作さんも相棒に心底惚れ込んでいたわけですね。二人はあらゆる点で正反対でありながら、その一点に関しては同じでした。

誰もが本気で戦う中で何かを失い、何かを勝ち取ります。その中で、誰かから何かを奪い、あるいは与えることもあります。
ゆき子はかつてユーリの自由を奪い、生きる意味を与えました。そして今、ユーリを失う代わりにメガロニア主催者としての誇りを獲得し、本物のボクサーたちに最高の舞台を与える。
贋作はかつてジャンクドッグの誇りを奪い、生きる術(メガロボクス)を与えました。そして今、ジョーを「本物」に育て上げ、視力を失う代わりにジョーの誇りと将来を守り通した。
ゆき子も贋作もリングには上がらずとも戦い続け、誇りと呼べるものを手にしたのではないかと思います。


メガロニアとは何なのか、どんな意味を持つ大会なのか、今回描かれたと思います。
「メガロニアのリングでなければ意味が無いんです」というユーリの台詞はゆき子とジョーを繋ぐ言葉でもありました。

1話でジャンクドッグはゆき子とユーリに「何がメガロニアだ。あんなもんただの殴り合いじゃねえか」と言って二人の逆鱗に触れている。ですが、荒んだ地下リングしか知らなかったジャンクドッグはメガロニアのために命懸けの試合をいくつもこなし、今やジョーという名前を手に入れた「本物」です。支払ってきた代償、乗り越えた艱難が大きいからこそ、メガロニアでユーリと戦えることがジョーの誇りとなっている。

ゆき子も今回「どうしてここまでする必要があるの?たかが殴り合いのために」と言っています。ゆき子はずっとギアを重要視していましたし、ボクサーではない彼女がギアの無いメガロボクスに命を懸ける理由がわからないのは仕方がないと思います。
苦しむユーリにゆき子は「もう一度ギアを付けて気高いあなたに戻るのです」と言いましたが、初めて出会った時からゆき子はユーリの気高さを感じています。
オーナーとしてはユーリが勝つことが悲願でしたが、ユーリが自分の元を離れ開催者として中立の立場になった今、ジョーとユーリのどちらが勝ったとしてもメガロニアは彼女の誇りになり得る。
そして今、ユーリというボクサーに対する敬意から、ジョーの戦いをも認めるに至ったのですね。

ジョーの「良いのかよ。倒しちまうぜ、チャンピオンを」という言葉に対してゆき子は少し笑いましたが、何を思ったのかはわかりません。ただゆき子が試合を楽しみにしているのは間違いないのではないでしょうか。

そして次回は最終回。終わってしまうのですね…;;
ジョーは連戦でダメージが蓄積しているし、ユーリもギアを外したばかりの酷い状態だし、二人とも傷だらけで戦うことになるのがちょっと心配。二人とも無事に試合を終えられることを祈ります。 {/netabare}(2018.6.25)


・ユーリの犬について・
「わんこ可愛いよわんこ」って言いたくて…
いえ嘘ですw
{netabare}
気づいてる人も多いだろうけど、犬は一個のキャラクターというよりもユーリの内面を表現するためのギミックである、という話。

11話のラストシーンで明確になったと思いますけど、それ以前から犬の名前が呼ばれないのは気になっていました。登場当初の樹生を激しく威嚇したのも、主人であるユーリを良く思っていない人物だからというのもあるし、ユーリ自身が多分樹生を嫌い…というか、根本的にそりが合わない人物であったから。12話では威嚇しなくなっていて、和解の演出として明確な意図が感じられますね。
それに犬が撫でられるシーン一度も無いんですよ、確か。ユーリ自身が樹生を威嚇する犬を宥めたくらい。ゆき子さんやジョーにも撫でられていないのは、飼いならされた家犬という印象を持たせたくなかったからかな、と。今回ユーリが手術後に酷く苦しんでいても、犬は微動だにしていません。キャラクターとしての犬なら主人の苦しむ姿に取り乱す方が自然ですよね。ユーリの決意と本質は何も変わっていないという安心感がありました。
ユーリの王者の風格を損なわず感情をしっかり見せる心憎い演出ですし、キャラクターを理解する上で大きな手掛かりとなっているので注目していました。

…わんこ可愛いよわんこ(*´∀`){/netabare}(2018.6.25)


第13話「BORN TO DIE」{netabare}
意外と予想したことが外れたね。ゆき子さんが試合を見なかったのは意外。
あと犬は今回一気にキャラクターって感じになりましたね。作中で初めて撫でたのは樹生だった…可愛かったwユーリがギアを外して自由になったから、本心を他の存在に仮託する必要は無くなったのだろうと思います。

最初にあえて不満を言っておくと、試合のシーンはもっとがっつり見たかったです。ずいぶん前からドラマ性を重視していることはわかっていたけれど。
耐えに耐えてチャンスを掴むのがジョーのスタイルなのはずっと変わっていませんから、これまでの印象と近い試合になるだろうということも理解しています。それでもOP無しでもう1分半長く見たかった。演出的にOPを入れることを優先したのかもしれません。


でもそれ以外は本当に素晴らしかったです。
因果関係がしっかりしたハッピーエンドが何よりも嬉しいし、人間ドラマとしては非常に好み。試合描写もアニメ的な外連味は少なく地味でしたが、ドラマとよく噛み合っていて素晴らしかったです。
水滴の演出、OPの演出、キャラクターの瞳に何かが映り込む演出を最終話まで入れていて、本当に集大成でした。贋作さんのサングラスに映り込むジョーの姿にはぐっと来ました。

今回一番印象に残ったのはユーリとゆき子の関係と、番外地ジムの後日談。

前回ユーリとゆき子はそれぞれに一人で戦う道を選びました。
それでもユーリにはリングに上がれば誰かと何かしら関係性がある。4話からずっと描かれてきた観客の応援と熱狂も、ボクサーへの敬意を印象付けるものでした。
ゆき子は決勝戦を観戦することはせず、軍へプレゼンテーションに向かいます。彼女は兄ともユーリとも決別し、自身の夢のために一人で戦い続けることを選びました。兵器ではなく人間の身体機能としてのギアにこだわるということは、軍事関係者との契約もひとつの過程に過ぎないのでしょう。
それでも、一年後の様子からはメガロニアもゆき子にとっては大切な大会であること、たまに番外地ジムに顔を出していることがわかります。

後日談で良いなと思ったのは、皆の関係に壁が無いこと。認可地区も非認可地区も関係ない集まりになってますね。子ども達は元気いっぱいだし、関わった人たち全員登場してるし、ただの仲介役だよって言ってた藪沼さんまで来てますし。
ジョーは人を育てる方に行くのか…。意外だったけど納得もしました。1話を観返すと、いかにジャンクドッグが周囲から断絶された存在かわかります。そこから脱却した今、ジョーが一人っきりで生きる子どもを放っておけないのはとても納得する。もともと子ども好きなのはわかっていましたからね。

ユーリもジョーも試合で完全燃焼し引退、この戦いの中で得たものを次世代へ伝えていく。とても良いラストだったと思います。{/netabare}
(2018.7.2)


【BDBOX1について】 {netabare}
もともと加工を加えたり拡大縮小したりして荒い線にしている作品なので、鉛筆線みたいな細かなニュアンスが鮮明に見られます。でもBDで見て一番驚いたのは画質よりも音声。録画したものとは音質がすごく違う。効果音や音楽の素晴らしさがよく解ります。
作品内容に関する特典が充実しているのも良かった。

森山洋監督はメイキングのインタビューでこの作品を「ジョーの人生で一番輝いた三ヶ月間」と語っています。その言葉を聞いて、他の競技だけど同じような例(おそらくその選手が現役時代において最も輝いた半年間)をリアルで見たことを思い出しました。
私が本作にハマったのは必然でしたねw

・BDBOX1特典新作ショートアニメ“BEFORE THE ROUND ONE”・
イラスト(止め絵)に音声を乗せたピクチャードラマという感じです。
贋作さんが名無しの青年(後のジョー)を拾ってから、あのオンボロギアと「ジャンクドッグ」というリングネームを手に入れるまでの物語。
…短いのであらすじ書いただけで思いっきりネタバレになっちゃうけどw
いやはや、「ジャンクドッグ」が「ジョー」になってくれて良かった…これは後から出した方が良いタイプの前日譚だなって思いました。 {/netabare}
(2018.8.2)

【BDBOX2について】{netabare}
キャラクターデザインと美術のお話。やっぱり監督の采配がしっかりしていたようです。特典冊子に第9話の脚本と絵コンテが載っていて見比べるのが楽しいです。やっぱり9話はキー回ですね。

オーコメは樹生の話が多かったです。
「あしたのジョー」にはなく「メガロボクス」にはある要素。私はそれらをある意味全て背負ったのが樹生であったと思っています。
彼には元となるキャラクターが存在しませんし、試行錯誤する中で作られたのだそうです。本作を本作たらしめているのが樹生だと個人的には思っているので、声優さんにもスタッフにも愛されているのが嬉しかったり。
9話は「ギアレスジョーが完成する話」という発言も聞けました。樹生は白都の名前を捨て、ジャンクドッグはジョーの名前を自分のものにするストーリーでもあったんですね。最初の予定では9話のラストが樹生というキャラクターのクランクアップだったようです。
ユーリ役の安元さんからは樹生が自分を生きたからこそその姿を見てユーリもギアを脱げた、というような言葉も。

・BDBOX2特典新作ショートアニメ“AFTER THE ROUND FINAL”・
車椅子で昔所属していたジムを訪れ、かつて自分を拾ってくれた恩人と過去を語り合うユーリ。師弟関係についてはジョーと正反対で、和やかで良いお話。
ビジュアルイメージが明確で音楽・音響に力を入れてきたこの作品はピクチャードラマがとても良く似合いますね。{/netabare}
(2020.2.16)

【ギアについて】
これは人間ドラマのためのギミックであることは間違いないので、それで納得できない人は一定数いるとは思います。あにこれのレビューではwaon.nさんが鋭い指摘をされていますね。
私も何回か見て整理した内容を個人的に記しておきます。
{netabare}
重要なのは、ジョーの目的が勝敗ではなく「ユーリと最高の試合をしたい」ということ。その点から、ギアは純粋なスポーツに帰っていくドラマを描くギミックなのではないかなと。
純粋なスポーツというのは、この作品では「対等な条件下で最高の試合をし、それを観客が納得して受け入れ歓迎すること」ではなかったかと思っています。

ジャンクドッグが臨む地下の賭け試合では、観客は自分の金が絡むので当然下衆な見世物になる。そこに選手の尊厳や観客の賞賛は生まれる余地はありません。
メガロニアではショー的演出があった所を見ると、当然スポンサーがいて、興行の側面もある。ゆき子の一体型ギアを売り込む目的もユーリにとって足枷でした。ゆき子と樹生のギアへの考え方の違いが描かれたのも重要で、ギアの有無だけでなくコンセプトの違いもまた選手の身体能力に影響します。

しかし、ユーリがジョーと対等に戦うためにギアを外してオーナーとの契約も解消したことで、二人ともギアもスポンサーも失い公平な勝負になるわけです。
身一つで戦い勝ちたいという選手の情熱と、素晴らしい試合に熱狂する観客が、メガロニアを最高の舞台にする。勝敗を決するのは肉体と精神と技術だけ、全てのしがらみを越えたスポーツの理想の姿ではないでしょうか。

私はギアの在り方についてはそれで納得しています。
{/netabare}
2期はギアがどう描かれるのかも含めて楽しみですね。1期ももっと色んな人が見てくれたら嬉しいな。
(2021.4.18)

投稿 : 2025/03/22
♥ : 42

waon.n さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

あしたのジョーを久しぶりに感じた。ネタバレしてない…はず

 正直に言います。
 期待していませんでした。
 というか、私の中で少しノスタルジーに駆られて1話観てみようって事でチラ見のつもりでNETFLIXにて視聴してみたのですが、最後まで止まりませんでした。
『あしたのジョー』はまだ小学生の頃に見た記憶だけれど、テレビ版の再放送だったのか、劇場版をテレビでロードショーとして流していたのを見たのかは忘れました。
 でも、今でも鮮明に思い出せるシーンが数多くある。……っと長くなってしまいそうだが、あしたのジョーのレビューじゃないので、割愛。
 まぁそういう昔の美化された思い出ってそれを超えるのは正直無理だろうし、話数的にもメガロボクスは短いので、できることは限られる。
 その限られた時間の中であの濃密なドラマを演出しなければならないというのはこれは監督、シリーズ構成、脚本、演出、どれも難しい仕事になるというのは想像に難くない。
 『あしたのジョー』は、ジョーと力石は重量級の違いもあってなかなか試合をすることができなずにいる。
 ジョーがいくらランキングを上げてもそこには体格の差が立ちはだかる。
 それを可能にするのが減量という、十字架で、これを力石は背負う事になった。
 じゃあ、ジョーは? 彼は貧しいという十字架を背負って勝ち上がる。逆境から勝利へのカタルシスが半端ないし、当時『あしたのジョー』という作品があれだけヒットしたのは、時勢的なものもあったでしょう。
 正当化された暴力、強さへの単純な羨望もあったのかもしれない。
 ともあれ、そんな境遇も階級も違う二人だからあれだけのドラマが生まれたんだと今の私は少し理解できる。

 メガロボクスにおいては、重量級という差を無くす為にギアというプロットデバイスがある。
 んでもってこいつの着想はなかなか面白く、貧富の差が性能の差に現れる。我々の住んでいる現実なら、こういうプロ対プロの試合でマシンを使うのであれば、どちらも同じだけの資金を割と投入できる環境で勝負するのだろうが、この作品では「メガロボクスは誰にでも拓かれている」という言葉どおり市民権があれば誰でも参加資格を得られるらしい。
 一つのデバイスで重量級の差を無くすこと貧富の差を浮き彫りにする事の二つの要素を持たせるこの道具の存在は上手いなと感じる。
 これは結局物語を動かすためだけのプロットデバイスであるので、これを上手に使って相手を倒すとかいったお為ごかしには使われないのが、さらに良い。
 これメガロボクスである意味なくない? とか言う感想を持つ人がいたら聞いてみたい。じゃあどうやって貧富の差と重量級の差というものを解決しつつ13話で面白くしつつ、しかも、サブキャラの背景まで掘り下げるんだい?
 これはそれだけで良かったんだと私は思う。

 演出に関しては、勇利と力石、力石のあの鬼気迫る表情が現代に蘇った。ジョーはちょっとキャラが難しかったのか、あの飄々で無鉄砲で周りを顧みないスタイルになりきれなかったかな? 声優の細谷さんのキャスティングかなー? なんて感じるけれど、見た人はどうなんだろう?
 この世界観のは懐かしさもあり、未来的な感じもあり、AKIRAやブレードランナーのような雰囲気も少しするので好きでした。

 また、音響が痺れる!
 1話目の勇利とジョーが初対峙するシーンなんか色々最高です。ここ観て私は引き込まれました。
ここまで見てもらえれば、あしたのジョーが好きだった人は最後まで見てしまうだろうと思います。
 彼らのドラマがどうなるか、分かっていながら見てしまうんです。その過程が楽しいんです。
 丹下段平が立つんだジョーと叫ぶ。南部贋作が立つんだジョーと叫ぶ。どっちが好きになれる?私は南部贋作が本物にしたジョーに立てと叫ぶその瞬間に感動しましたよ。
ではよしなに。

投稿 : 2025/03/22
♥ : 7

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

実存のゆくえ

【誤記修正】

50周年を迎えた『あしたのジョー』のアニメ化。

原作を再消化し現代によみがえらせたアニメ化だが、感想の前に、少し原作を振り返っておきたい。


原作の『あしたのジョー』については、マンガ批評家の夏目房之助による分析と批評が最も説得力がある。

梶原一騎と ちばてつや というまったく異なる巨大な才能同士が互いに一歩も引かずにぶつかり合った結果、『あしたのジョー』というマンガは、両者の得意とするいずれの領域とも全く異なる、第三の地点へと、作品の像が結ばれることになった。

ぶつかり合う個性が、梶原的な「右翼結社のユートピア」とも、ちば的な「貧民共同体の楽園」とも異なる場所へ作品を押し出したのだが、『あしたのジョー』は「世界に投げ出され、単独で世界と対峙する」青年の実存という、両者のいずれの個性からもかけ離れた物語として奇跡的な像が結ばれたということだろう。

終幕へ進むに従い、登場人物が次第にジョーから離れ、段平すらも存在感をなくしてジョーが孤独化していく印象は、まさに「唯一無二の私が全世界と対峙する」青年の実存が純化してゆく必然だ。

孤独に世界と敵対する青年の実存は、観念の吸引をも必然化する。
生命の危険を無視するようにボクシングへのめり込む展開は、スポ根の「克己心」の表現ではなく、世界の具体性から逸脱して「観念」に憑依されていく現れだ。
終幕にやや唐突に登場する「真っ白な灰になりたい」というセリフは、もはや「チャンピオンになる」といったスポ根的努力への「報酬」という実体性が無意味化して、破滅も辞さず「果てまでゆく」、生命を燃焼させたいという「観念」の呪縛に囚われきったことを示している。

そうして「果てまでゆく」観念に導かれるまま、最終戦では、すべての登場人物は単なる傍観者と化して「試合」の特権的な場から排除され、単独で世界と対峙する「青年」は、真っ白に燃え尽きて実存を生き切るラストを迎える。

20世紀的な青年の実存と観念の必然を描いた原作マンガが、あの時代に熱狂されたのも当然だろうか。


本作において、メガロボクス参戦に先立ってまずIDを偽造しなければならなかった主人公は、IDカード=アイデンティティ・カードを持たない=アイデンティティのない、世界の中に存在の基盤を持たない人物として登場する。
すなわち、「世界」の中に裸のままで単身投げ出されている、一人で全世界と対峙するものとして。

だが、明らかに空疎であるはずの自らの実存を埋める「観念」にしては、しゃにむに「戦い」を求める描写には「呪縛力」が希薄だ。
むしろ、世界と対峙する自覚すらない、空虚の人格化にすら見える。

虚空のかなたの「果てまでゆく」観念の呪縛を感じさせるのは、ライバルのチャンピオン、ユーリのほうだ。
すべての実績も、約束された栄光もスポンサーもパトロンも捨てて主人公との試合に挑むチャンピオンは、他者に誇示する栄光としての「勝利」ではなく、「観念」としての勝利、強さという「観念」に憑かれているのだと示されている。

現代において、「観念」の呪縛を説得的に描き出すには、まずチャンピオンという「勝者」が、持てるものを投げ捨てる描写が必要であったのかもしれない。
何も持たない「野良犬」が、実存の空虚を「観念」で埋めることは、現代では必ずしも必然ではないのだろうか。

しかし、ユーリの「観念」の呪縛を生み出すものは、「野良犬」である、アイデンティティを持たない空虚な主人公との試合だ。

何も持たずに「単独で世界と対峙」して「観念」に憑かれる『矢吹丈』を現代によみがえらせるために、矢吹丈は、主人公とユーリの二人に分離したのだといえるだろう。

そうした意味では、最終戦の結果は、もはや重要ではない。
矢吹丈の分身である両者がグラブを交えた時点で、「矢吹丈」は「一人」に統合され、「真っ白な灰」=観念の浄化はすでに成就しているともいえる。

ラストシーンの、見方によっては拍子抜けする穏やかな描写は、観念の浄化の向こうの現代的な表現なのだろう。
ようするに、その後のことは「どうでもいい」
原作マンガのラストシーンの後に何を付け加えても蛇足であるように、意味のある描写は何をもってきても蛇足なのだから。

それでも敢えてラストシーンが存在するのは、プリズムを通過した光が分光するように、「矢吹丈」が現代という装置を通過して主人公とユーリへと分化した、現代的な偏差のためかもしれない。


こうした本作の感想は、しかし、本作が『あしたのジョー』のアニメ化である、という了解があって生まれたものだ。
それゆえ、冒頭では長々しく原作マンガについて記述した。

別に作品の宣伝文句まで作品の一部として組み込まれているとは思わないが、気に止めてしまった以上、感想は影響を受けてしまう。

この情報がなく、単体で本作を視聴したならば、主人公の動機も試合でのランクアップも、ともすれば単なる上昇志向と承認欲求に駆動されるルサンチマンのように見えかねない。
最終戦を前にしたユーリの振る舞いも、「男の美学」とか「戦士の矜持」のような類型性に陥ってしまうだろう。

そうなれば、主人公の造形が動機が薄っぺらで、チャンピオンの行動が理不尽なご都合主義に受け取られかねない。

それはそれで、異世界もののような、主人公がシンプルな動機で勝利を収め続け、周囲の人間と分かり合って受け入れられるラノベ的感性のアニメ作品として観ることもできるだろう。


しかし、「原作」が心に引っかかってしまった以上、「観念」の「果てまで」行って再び人の輪に回帰してくる展開は、現代で視聴者の「承認」を得るためには、「果て」で燃え尽きる結末はあきらめざるを得なかったのだな、と思わずにいられない。

観念に憑かれることが必然であった20世紀青年の「実存」と、現代の青年の「実存」のありようが変わってしまっている現れのようにも感じられた。

投稿 : 2025/03/22
♥ : 8

55.9 4 二次創作アニメランキング4位
ドージンワーク(TVアニメ動画)

2007年夏アニメ
★★★★☆ 3.1 (75)
441人が棚に入れました
ある日、長菜なじみは友人でクラスメイトの露理に誘われて同人誌即売会の売り子に行くことになる。そこで幼馴染のジャスティスと出会い、カルチャーショックを味わうも、二人に影響されて同人活動を始めるようになる。
同人誌を書き始めたものの、素人のなじみは当然絵も漫画もまるでダメで売り上げは一桁部数どまり。ヒットを目指し頑張る中、ファンや仲間、ライバルの出現など、なじみの楽しい毎日が始まる!


声優・キャラクター
浅野真澄、斎藤桃子、安元洋貴、こやまきみこ、阪田伊都、波多野和俊

ASKA さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

まんがタイムきらら発、同人コメディ。

「アホガール」「マンガ家さんとアシスタントさんと」のヒロユキ先生の作品で、まんがタイムきらら連載の4コマを原作とするアニメです。
同人に興味をもって同人漫画を書き始めた長菜 なじみ(おさな なじみ)という女の子の同人初心者とその周りで起こるドタバタを描いたコメディです。
「バクマン」「マンガ家さんとアシスタントさんと」そしてちょっと前には「こみっくがーるず」といったマンガ家を描いた作品を視聴していたので、同人をテーマにしていてあと「アホガール」「マンガ家さんとアシスタントさんと」の作者の作品、そして「まんがたいむきらら」連載作品ということで視聴しました。
1話10分程度のサクッと観られる視聴時間なのも良かったです。
終始ドタバタコメディという感じで重くならなかったのも良かったです。

投稿 : 2025/03/22
♥ : 8

ウェスタンガール さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

同人賛歌

東京ビッグサイトという“モノリス”に触れ、“コミケ”という祭壇で、“同人”という神託を受けた人々の物語。
同人誌即売会など行ったこともないし、“虎の穴”にも入ったこともないが、
とても面白く、二人の声優が同人誌を作る“実写パート”も含め、あっという間に観終えてしまった。
ちょっと古い感じのキャラたちだが、小っちゃくなったり、変顔になったりせず、ひらりひらりと良く動く。いわゆる漫画アニメなのだ。
声優さんも良い味を出して、非常に好感の持てる作品だ。

主題歌も良かった。OPは“2001年宇宙の旅”をバックに懐かしさただよう曲調だ。
何よりEDが良い。ブルマ愛溢れるアニメに“夢見る乙女”がピタッとハマる。存じ上げないが、水橋舞さんの声が素晴らしい。

投稿 : 2025/03/22
♥ : 4

78.2 5 二次創作アニメランキング5位
ルックバック(アニメ映画)

2024年6月28日
★★★★★ 4.1 (108)
419人が棚に入れました
漫画へのひたむきな思いによって出会った2人の少女の姿と運命を描いた、藤本タツキの同名読み切り漫画を劇場アニメ化。
小学4年生の藤野は、学年新聞で4コマ漫画を連載している。そんなある日、学年新聞に初めて掲載された不登校の同級生、京本の4コマ漫画の画力の高さに衝撃を受ける。ひたすら漫画を描き続けるも、京本との画力差に打ちひしがれた藤野は漫画を描くことを諦めてしまう。しかし小学校卒業の日、京本に卒業証書を届けに行った藤野は、そこで京本から「ずっとファンだった」と告げられる。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

しっかりと狂っている鋭利な漫画創作物

多才で学級新聞の4コマ連載も器用にこなす小学4年生・藤野。
引きこもりでありながら背景画4コマで藤野を凌ぐ絵を出してくる京本。
少女2人の運命が交錯していく半生を描いた藤本 タツキ氏の同名読み切り長編コミック(未読)の劇場アニメ化作品(58分)

【物語 4.5点】
成果=才能✕投入時間

以前どこぞのビジネス系動画で耳に挟んだ公式が思い浮かんでずっと離れない。
余韻を引きずる創作青春物語でした。

舞台モデルとなったのは原作者出身地の秋田県にかほ市。
雪国の田舎町でクラスで1、2番くらい絵が上手かったくらいで、画家になれるわと褒められ舞い上がった少女が、
京本の圧倒的な才能に直面して狂わされる。

天才に追い付こうと藤野は青春全てを漫画に捧げようとする。
友人とお付き合いする時間、武芸に励む時間など、
社交性が高い陽キャ人間属性を全てかなぐり捨ててまで絵に没頭する。
が、引きこもりの京本は、それ以上の時間を投入して、さらに先を行ってしまう。
元々自分より画力がある人間が、学校に行くのをやめたというハンデを生かして、自分以上に絵を描く努力をするのだから当然だ。

漫画家を目指すのもまた、全うな人生のレールから外れる狂気。
持てる才能を、どれだけ人間やめて育めるかの勝負。

幼い頃は絵が上手いともてはやされるけど、成長して、やがて社会に出る現実が迫って来ると、
絵なんていい加減卒業しなきゃと白眼視される。
挙げ句、友人には「オタクだと思われてキモがられちゃうよ」と言われる藤野。
因みにこのセリフ、原作者が実際に言われた言葉とのことで。


こうした作家志望の狂った部分が序盤から容赦なく描かれている。
だから終盤、才能への嫉妬ゆえの(※核心的ネタバレ){netabare} 絵をパクられたと京アニ放火事件さながらに襲撃事件を起こす男の狂気も、{/netabare}
本作の文脈から、作家志望なら嫉妬の処理を一歩間違えばこうなるのかな?くらいには納得でき恐怖しました。

本年は、短尺ながら鑑賞消耗度が高いODS(非映画デジタルコンテンツ)のアニメ作品興行が多い印象ですが、
本作は、その中でも特に心を削って来る内容。

海外サイトではドラマだけではなく、ホラー、サイコスリラーにも分類されている『ルックバック』
これをG(全年齢対象)に区分した映倫。
やっぱり冒頭10分くらいしか審査してないのでは?という私の疑念がますます深まりますw


【作画 4.5点】
アニメーション制作・スタジオドリアン

絵描きたちへの賛歌を志向し、手描き感を残した映像を追求。
押山監督は脚本、キャラデザ、作画監督と兼務を重ね、
監督自身も最後の1週間に原画1000枚を量産するなど、
まぁまぁ人間やめてる少人数制作の狂気で応える。

原画のラフな線を動画に残すため“原動画”なるポジションも設定。
妙に生々しい本作のアニメーションの質感を支える。


創作シーンについても、普通は絵を紙に描き込んでいる様子などが思い浮かびますが、こうした描写は本作では割と少なめ。
むしろ、貧乏ゆすりする藤野の後ろ姿。
その後ろ姿のバックの四季が次々に切り替わる光景。
デッサン鍛錬で積み上がるスケッチブックの山。
など創作の狂気に囚われた人間が、膨大な時間を投入する有り様を強調する表現が際立ちます。

寝食も忘れて創作に没頭する人間って、やっぱりトイレで座ったまま寝ちゃうんだなw
何かにここまで人生を捧げた経験がない私には、
こうした創作アルアル?表現が興味深く、刺激的でした。


{netabare} 藤野が京本に自分の漫画を褒められて舞い上がるシーンの雨天。{/netabare}
{netabare} 中学時代、藤野と京本が応募漫画作品が初めて入選した雪深いコンビニの一夜。{/netabare}
漫画の道が開けていく場面の荒天。
ここも才能と努力で、陽の当たる“普通の”人生から外れていく方向性も想起させられ心に残りました。


【キャラ 4.0点】
主人公・藤野。
“みんな”にキモい、案外、絵が普通だったと手のひら返された自分の4コマ漫画を、
誰よりも、ちゃんと見てくれていた引きこもり超絶背景マンの京本。
{netabare} 自分よりも才能がある奴と思って嫉妬していた人間から自分を認められる。
こんな劇薬ぶっこまれたら、退路を絶って人間やめて漫画家の道を猛進するしかありません。{/netabare}

京本にとっても藤野は憧れの“先生”であり、外の世界の光をもたらしてくれる救世主。
ある種の共依存にも結ばれた名コンビ。
その関係性の変化も本作を痛切にしているスパイスです。


【声優 4.0点】
作画に手描きの生っぽさを求めるならば、演技にも記号化されない天然素材の生っぽさを求める。
こうした方針の元、キャスト陣には、
主演の藤野役に河合 優実さん、京本役に吉田 美月喜(みづき)さんと、
俳優陣をオーディション選出。
一方で記号化されたキャラ作りを求めたい作中4コマシーンには、
森川 智之さん、坂本 真綾さんと声優陣を起用。

筋は通っていますし、実際メインお二方の演技は上々でした。
あと、メインお二人は顔立ちも、どことなく藤野&京本に似ている気がしますしw

河合さんは接する人間によって仮面(ペルソナ)を起用に使い分ける、
藤野の社交性を好表現できていましたし。

吉田さんも引きこもり成分が天然配合された京本のボイスがハマっていました。

音響も良質な天然素材を確保したと慢心せず、
例えば京本の秋田弁訛(なま)りが、藤野に連れられ外の世界を知る内に徐々に訛りが取れて明るくなっていく。
その変遷を表現してもらうため“訛り変化一覧表”を用意するなど、
細部に渡るディレクションで素材を引き出す好采配。


が、昨今のアニメと実写の中間領域で求められがちな“ナチュラルな演技”とやらも、
今のアニメ声優ならば十分できると思っている私の強固な価値観を揺るがすまでは行かず。
ここもベターであってもベストではない。4.0点が上限ということで。


【音楽 4.5点】
劇伴担当は青森出身の音楽家・haruka nakamura氏。

雪国から、ギターの才能の自己実現を求めて上京したという同氏。
同氏のアーティストとしての原点は、秋田などがモデルの本作の世界観と親和性があります。
純度の高いピアノ、ストリングスに時に聖歌隊の歌声もアレンジした歪なくらい美しい楽曲群は、
ここも、さながら才能に殉じて人生を捧げる絵描きたちへの賛美歌の様相。

そして、こうした創作への“殉教精神”は同氏が作編曲したEDの女性ボーカルバラード「Light song」で極致に達します。

投稿 : 2025/03/22
♥ : 21

takato さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

名付けて逆「スラムダンク現象」。『さよなら絵梨』の映像化には期待したい。

 今年は「ハイキュー!!」に「マッドマックス」に本作と並の傑作どころやない、大傑作かも…な期待作が揃っていたのですが…。


 「スラムダンク」を熱愛して山王戦なんか穴が開くほどに読み込んできた私としては、もう一昨年?の新作映画は正直物足りない出来でした。リョーちんの蛇足なエピソードが足されてより短くなった尺に、最高の物語のあらすじ、上っ面をなぞっただけのような薄まった原液を注入した、テンポアップし過ぎな作品。CGによるリアルスポーツのような感覚に挑戦したかったのかもだが…という評価でした。


 何故「スラムダンク」を引き合いに出したかというと、本作は逆なようで同じ事態に陥ってしまったように思えました。あちらはテンポアップし過ぎて薄まった、こちらは膨らませようとしてテンポダウンしてやはり薄まった。どちらも内的要因だけでなく外的要因もあってか。原作を読んでいた時のテンポ感、ドライブ感を踏み外してしまったように思えてなりません。


 「スラムダンク」或いは「ハイキュー!!」の場合は、長い物語を短い一本の映画にしなくちゃならなかった。こちらは短い物語でなんとか映画一本にしなければならなかった(私としてはビックリ二本立てを仕掛けてくるくらいいしても良かったような気もしますが)。


 といってもやはり元々の物語が映像にしてもせいぜい30分、長くても45分くらいのものだから一本の映画としての満足感は薄い…。「デジモン ぼくらのウォーゲーム」や「プリキュア オールスターズメモリーズ」のような短い尺を有効に使い切っ大傑作たちも存在するわけで、尺やサイズに合わせた物語作りは思っていた以上に大切なことなんじゃないでしょうか?。


 私としては、「原作通りにしろ厨」はナンセンスだと思います。映像化する以上は変更はやむを得ない、むしろ+に転じさせることだってできるように思います。しかし、漫画を映像化する場合は、細部ではなくその物語の本質である構成やテンポ感に手を加えるのは危険なように思えます。やはり物語のサイズ感にピッタリな形態を選ぶべきでしょう。商売上の色々はあるのかもですが、商売人でもない私はそこまで忖度してあげる必要は感じません。


 こんなこと言うのはアレかもですが、どちらもこれなら家に帰って原作漫画を読み返した方が良かった…。あとで時間をおいて予告を見直したら変わらずグッときた。やはりもっと短くして、二本立てにするべきだった!。「さよなら絵梨」は映画の話なので、みんな大好き映画についての映画になるから映画化した際の伸びしろに期待。内容も正直本作より濃密ですし。

 

 (後記)


 配信で改めて見たが、こんなに引き伸ばしてたか…と初見のとき以上に感じてしまった。クライマックスなんて原作では3,4カットで畳み掛ける感じなのに、こっちでは体感3分くらいない?ってくらい長い。


 アニメーターの方としては、アニメーションは「動き」だろ!ってのはわかるのだが、やはりアニメはそれだけじゃなくて演出の方が重要に私は思う。予算とかの兼ね合いもあったろうが、出崎さんや庵野さんが枚数使えなくても魅せる演出で効果的なシーンを作っていた例もある。


 本作に限ないが、タツキさんの作風はドライに突き放したところが持ち味で、映画的に翻訳すると細かいカットをパンパンと積み重ねタイプの方が良かったんじゃないかなぁ〜。本作の場合はそれでも根底に強烈にエモがあるから、かえってそれが浮き上がってくる構造になってるし。その点、予告やpvだとそれこそ短いカットがポンポンと切り替わっていくスタイルにならざるをえないから、かえって本作の魅力を拾えてるように改めて思いました。

投稿 : 2025/03/22
♥ : 11

ウェスタンガール さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

Re:クリエーターズ

チェンソーマンはアニメしか知らない…。
でもこの作品は何故か、あのとても軽い単行本で知っていたのである。

あぁ、我はどこまでも鈍感な年寄り…。

確かに、諦めや苛立ち、後悔がないまぜとなって、古傷が鈍く痛む青い感覚、暖かく懐かしい思いと共にページを閉じたはずであった。

ところがどうだ!

うず高く積まれたマルマンのスケッチブックを、
4コマがポータルとなって開くマルチバースを、
何より、頬を紅潮させ絞り出すように叫ぶ京本を見た刹那、錆びつき、固着した感情の蓋が開く瞬間に驚く自分がそこにいた。

クリエーターたち其々の想いを胸にルックバック!

もう一度読み返さねば…。

投稿 : 2025/03/22
♥ : 18

71.8 6 二次創作アニメランキング6位
鋼の錬金術師 シャンバラを征く者[ハガレン](アニメ映画)

2005年7月23日
★★★★☆ 3.9 (579)
3800人が棚に入れました
舞台は1923年のドイツ(ワイマール共和国)にあるミュンヘン。この頃のドイツでは、第一次世界大戦敗戦後の、インフレに伴う貧困に喘ぎながら、それでも人々は懸命に生きていた。

アニメ最終話で錬金術世界から現実世界へと飛ばされたエドワードは18歳になり、元の世界に戻る為にロケット工学を研究していたが、先の見えない現実に焦燥していた。その頃、エドの同居人で「自らの手でロケットを作りたい」と夢見るアルフォンス・ハイデリヒは、パトロンを得て念願のロケット製作に着手する。しかしその裏には謎の組織・トゥーレ協会の陰謀が隠されていた。

声優・キャラクター
朴璐美、釘宮理恵、豊口めぐみ、大川透、内海賢二、根谷美智子、麻生美代子、津嘉山正種、小栗旬、小栗了、沢井美優、かとうかずこ
ネタバレ

Yulily さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

TVシリーズから劇場版へ1期の完結編!!

鋼の錬金術師のオリジナルストーリー(テレビ版1期)の完結編を映画化

・劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者
・鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星

劇場版は2作ありますが、こちらは1作目の作品です。

ストーリーは1期TVシリーズから繋がる設定で、荒川 弘原作の『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』や漫画を網羅している鋼ファンであっても1期視聴(全51話)は必須となっています。
1期で完結した鋼のキャラの「その後」に会えるハガレンファンのための作品です。
{netabare}
TVシリーズ1期のおさらいですが、エドはアルを助けるため命を懸けた人体錬成を成功させます。しかし代償として錬金術の世界から現実側の世界(ドイツ)へと飛ばされてしまいます。

お互いの生存すら確認できずバラバラになってしまいます。この劇場版は兄弟が再び出会うための冒険ストーリーなんです。

あの人体錬成から時は経過し、それぞれが背負った境遇で自らを奮い立たせています。

エドワード・エルリック
現実世界に飛ばされてしまったエドも18歳になり背も伸びて大人の雰囲気に。過ぎた年月が内面の成長と外見に現れています。残念なことに1期の頃の無邪気な表情は影を潜めています。帰還する手段が見つからず諦めの境地にいるようで、どこか冷めています。

アルフォンス・エルリック
エドと旅をした期間の記憶を失っています。再会を夢見ていて強い意志が感じられます。兄と同じ赤いマントで金髪を結んでいて1期のエドを彷彿とさせています。

ロイ・マスタング
1期で大総統の戦いに勝利するも、左目を失っています。彼もまた様々なものを背負い辺境の地で地位を捨て警備の任務に就いていました。暗い表情で強気な態度は影を潜めています。

ウィンリィ・ロックベル
18歳になり顔の造りや表情も少女から大人の女性へと成長しています。エドの無事を信じ彼の体に合う新しいオートメイルを製作し帰りを待っています。

ノーア
映画オリジナルキャラ。現実世界の住人で千里眼を持つ少女、相手の気持ちを読みとる不思議な能力を持っています。彼女はエドと同様この世界に居場所がないと思っています。他人に無関心だったエドも共通点があるノーアとの出逢いをきっかけとして自分を取り戻していきます。

現実世界と錬金術世界は同一時間軸になっています。平行世界の存在を示すために登場しているヒューズ、グレイシア、キングブラッドレイはお馴染みの面々です。しかし外見は同じですが違うキャラクターとして登場しています。
{/netabare}
映像は「鋼」のカラーやヨーロッパ調の世界観が1期同様うまく表現されていました。1923年のドイツを再現しているようで製作スタッフが実際のミュンヘンの地図を見て勉強したようです。ストーリーの表現する舞台のデザインが素晴らしく表れています。

現実世界と錬金術世界の双方を描いた壮大なスケールで展開するストーリー。エルリック兄弟の絆を感じさせられたり仲間との絆や親子の愛情、皆の心の動きも繊細に描かれています。
盛り沢山でこの枠では足りない位です。
原作とは違う結末を迎えるエドとアル2人の兄弟を最後まで見届けて下さい。観る価値がある劇場版でした。

投稿 : 2025/03/22
♥ : 55
ネタバレ

キムキム さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

今、生きている世界は夢なのか現実なのか

鋼の錬金術師の映画一作目。
TVアニメ「鋼の錬金術師」(無印のほう)の続きになっています。劇場版ということで、少々説明は入ってますが、ハガレンの無印を最後まで見ていないとわかりづらいです。


ストーリーとしてはハッパーエンドとは言えないおセンチな感じで、結構好みでした。ですが、話がわかりづらかったり、各キャラクターの扱いが薄かったり。キャラは「とりあえず出しときました」感が強かったです。重要そうに見えて全然ストーリーに加わってこなかったりします。アームストロング大佐とかほんとに飾り程度。(その点、ミロスのほうが丁寧な脚本だったように思えます。)「ハガレン」のキャラが魅力的だから「ハガレン」が好きだ。って人には物足りなさがあるかも。

少ないながらも、格闘シーンは緊張感が出ていてとてもよかったです。(ミロスは戦闘シーンの派手さでは勝ってましたが、シャンバラのほうが好みでした。)表情もその人の感情がよく出ていてよかったです。

曲はOP、EDともにラルクでいい曲だったんですけど、ラルク1曲で良かったんじゃね?ってのが本心。



{netabare}この話では最後に「この世界がオレ達の現実なんだから、この世界でしっかり生きていこうぜ」的なことを最後にエドが言っていたんですけど、それまでエドは今いる世界を夢、もう一つの世界を本物だと区別してきてましたが、結局、人間っていま目の前の現実を現実として受け入れて生きていくしかないわけです。「胡蝶の夢」っていう話にあるように我々には今生きている現実が夢なのかどうかっていうのは確かめる手段がない。なんで、「現実というのは、今現在自分が見てる夢である」っていう定義付もできるわけで。つきつめると「シミュレーテッドリアリティ」とかあるわけだけど。つまりはこんな駄文ばっか書いてないで、「現実」を受け入れて宿題をしなくちゃな・・・{/netabare}

投稿 : 2025/03/22
♥ : 10

Nereus さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

ハガレンのテーマ・本分を全面的に押し出した作品

*先に言っておきますが原作以外認められない方、戦闘のみ期待している方には正直向いていないと思います。また、本作は2003~4年にかけて放送されたアニメ1期の完結編という形で上映されたため、まずはそちらを観ないと話が繋がりません。


アニメ本編もそうでしたが、本作は原作以上に「鋼の錬金術師」のテーマ、[等価交換]及び[全は一、一は全]に重きを置いたストーリー構成となっております。特にアニメ本編は人々やホムンクルス達を通して[等価交換]を押し出していたのに対し、本作は引き裂かれた兄弟と世界の動きから[全は一、一は全]を描いています。ネタバレ無しなので詳しくは書きませんが、他の作品より現実的な意味で「人間らしさ」が醸し出されています。人々は皆、違う事を考え望み、お互いを否定肯定しあいながら、目の前の事にもがき苦しみ、皆未来を見据えているようで、結果的に足元しか見えていない。一つ一つは小さくも、やがてそれは大きく世界をうねらせ、人々を巻き込んで行く。それは望まれたものではない。でも確かに存在する。それを凌ごうと人々はまたもがいてゆく…。ハッピーエンドではない。望んだもととも違う。でもそれは"僕ら"が生み出したもの。そして"僕ら"が片付けるべきもの。それが[等価交換]であり[全は一、一は全]なのだから。
長くなりましたが本作はこういった[人一人ひとりと世界の関わり]について強く焦点を当てた作品です。それ故、戦闘シーンより人々の心情や関わり合いの時間が非常に長いです。ですがそれだけ、何かしら考えさせられるものがあります。ある意味、今の他のアニメとは違う方向で、「アニメだからできたもの」なのかもしれません。アニメ、及び原作を見た事がある人は是非とも一度観て、考えて下さい。

投稿 : 2025/03/22
♥ : 3

66.7 7 二次創作アニメランキング7位
ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインⅡ(TVアニメ動画)

2024年秋アニメ
★★★★☆ 3.3 (129)
453人が棚に入れました
突如アナウンスされた新たなチーム対抗デスマッチ大会に、レン、エム、フカ次郎、ピトフーイの最強チーム《LPFM》が参戦する。 優勝候補筆頭と目される彼らを待ち受けるのは、“時間経過とともに海へ沈むフィールド“ “MAP中央に潜む【UNKNOWN】エリア“ “無名チームの結託” という過酷な状況だった。 さらに、全プレイヤーに驚愕の特別ルールが告げられる――

声優・キャラクター
レン:楠木ともり
ピトフーイ:日笠陽子
エム:興津和幸
フカ次郎:赤﨑千夏

猫好き さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

作画良し、ぴとさんの狂い具合良し

この作品、ソードアートオンラインのスピンオフ。SAOシリーズを何となく全部見てるのでその関連で見始めた。

私はガンマニアでもミリオタでも無い。そのためその系列の物を好んで見るわけでは無い。特に武器自体にうんちくが多い作品は苦手なんだけど、GGOはその点はライトでいい。

それで、セカンドシーズンのキモはぴとさんのヤバ女子具合。いい感じで狂ってる。ぴとさんにつられてれんちゃんもいい感じで壊れていく。声優さんの仕事にはあまりピンとこない方なんだけど、この演技はいいと思った。

作画もA-1Picturesだし丁寧に作ってあるんだけど、日本と海外ともに評価は今一つっぽい。確かにお話は前回の続きで目新しいところはどこにもなく女の子が銃を持って走り回ってるだけなんだけど、個人的にはぴとさんの狂い具合だけで許せた。

ただ、万人向けでは無いのは確か。でも私は気に入ったので押します~

投稿 : 2025/03/22
♥ : 2

74.2 8 二次創作アニメランキング8位
機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(アニメ映画)

2024年1月26日
★★★★★ 4.1 (83)
301人が棚に入れました
C.E.75、戦いはまだ続いていた。
独立運動、ブルーコスモスによる侵攻……
事態を沈静化するべく、ラクスを初代総裁とする
世界平和監視機構・コンパスが創設され、
キラたちはその一員として各地の戦闘に介入する。
そんな折、新興国ファウンデーションから、
ブルーコスモス本拠地への合同作戦を提案される。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

とても楽しい劇場版『クロスアンジュ』?でしたw(※錯乱してますがw褒め言葉です)

【物語 4.0点】
諸々、輪廻する宿命を愛とネタ方面に突き抜けて自由を掴みに行く快(怪)作

前作『~DESTINY』の二年後の世界を舞台にした新作劇場版。

内容は著しくファン向け。
かつて宇宙世紀の『ガンダム』サーガを締めくくった『逆シャア』同様、
事前の振り返り説明等も一切無く、いきなり状況が開始され、
予習復習は推奨ではなく大前提。

その上で、複雑な政治的駆け引きも含めて、一見しただけでは完全理解が困難な程の情報量を詰め込む。
さらには、やっぱり不可能を可能にするあの男のディフェンスや、
“100発100外し”の艦隊が演出する匿っていたわけじゃないアピールをするオーブの政治茶番劇など、
前作から20年待ったファン向けに小ネタも多数仕込み、回収のための周回鑑賞へと誘う。
(以上のことから劇場版『ガンダム』の興行収入記録更新はかなり濃厚だと思います。初日、劇場もほぼ満席でしたし。)


サブタイトル『~FREEDOM』には、2つの意味が内包されていると思われます。

一つは主人公キラ・ヤマトらが背負った果てしない戦いの輪廻という宿命からの脱却。
前作で、戦争で疲弊した世界を統治する案としては正論だったデュランダル議長のデスティニープランを、
勢いで打ち捨てた是非への葛藤は今シナリオでも軸となります。

もう一つは『SEED』シリーズが“21世紀のファーストガンダム”として背負った『ガンダム』シリーズ再生産・再消費の宿命からの解放。
前作『~DESTINY』でもザクが配備され、グフだのジェットストリームアタックだのが復活。
加えて今回はギャンだのゲルググだの。
挙げ句、{netabare} アスラン専用の赤いズゴック(しかも{netabare} 宇宙戦対応w{/netabare} ){/netabare} だの宇宙世紀のMSが多数リバイバル。
富野御大がどれほど嘆こうとも「人は忘れる、そして繰り返す」『ガンダム』も繰り返すw


これらの宿命に従うならば主人公・キラ・ヤマトの運命も『逆シャア』と同じ道を辿る。
すなわち、{netabare} 変わらない人類への諦観を囁くCV.池田 秀一さんに引き寄せられて、
現世から虹の彼方にでも旅立つ他ない。{/netabare}

ただキラにはララァを引きずっていたアムロ・レイらとは異なり、愛しのラクスがまだいる。

この点からも、ラクスに関する過去と設定追加と、彼女の強い意志の発現によるヒロイン覚醒から、
絡まった輪廻の打破を図るのは必然だったと私は捉えています。


が、にしても本作のラブは想定以上にドロドロw
クライマックスのバトルで花開いたネタは百花繚乱でハチャメチャでしたw

でも、そう言えば『SEED』ってえげつない戦争と平和に関する思索の材料だけでなく、
ラブやネタも多数提供して楽しませてくれたシリーズでした。

大体、キラみたいに眉間にシワを寄せて、根詰めて世界の行く末について苦悩したって、
初代『ガンダム』以来の鬱シナリオの引力からは逃れられないでしょうし。

よって非合理なロマンスや笑いありで、合理的に世界変革を叫ぶ黒幕をいなす本シナリオ。
私は是としたいです。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・サンライズ

『SEED』本編シリーズ初。終始、崩れる心配がない作画が実現。

多種多様な武装が乱舞するモビルスーツ&艦隊戦で作画カロリーを大量消費しても、
日常場面のソースが枯渇することはなく、
二人の時間が中々作れないキラやラクスなどキャラ心情も好表現。

ド派手なモビルスーツ戦よりも熱かったのが、
{netabare} ラクスを寝取られた!?といじけるキラと、そんなキラ“修正”してやると殴りかかるアスランとの肉弾戦{/netabare}
という点からして人間ドラマへの作画の寄与度は上々でした。

ラクス様が愛情込めて作った手料理も飯テロレベルで再現。
キラも仕事ばっかりしてないで早く帰りなさいと言ってやりたくなりますw


20年を経てさらに加速した表現萎縮も意に介さず?
大量破壊兵器により虫けらのようにジェノサイドされる人体破壊描写など、
グロの踏み込みも相変わらず。

裸のヒロインのイメージが心の支えになる演出や、
{netabare} ヒルダ姐さんに無自覚にラッキースケベを働いてしまうシン{/netabare} など、
エロ方面でも時代の空気を読まない姿勢は嬉しかったですw


【キャラ 4.0点】
キラとラクスの愛が突破口。
となれば立ちはだかる黒幕には恋のライバルも担ってもらうのが必然?
というわけでラスボスの新興国・ファウンデーション宰相・オルフェは、
(※核心的ネタバレ){netabare} ラクスと対となって人類を導くよう生成されたコーディネーターを超える種“アコード”{/netabare} 云々などという、
宿命の寝取り属性を装備してキラの前に立ちはだかる。

彼の言動と、欲しても手に入らない愛を渇望して足掻く末路を見ていて私は、
『SEED』シリーズの福田 己津央監督が2014年にクリエイティブプロデューサーなどとして関わった、
B級アニメ『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』のエンブリヲ様を思い出して笑い堪えるのに必死でしたw

『クロアン』観てる当時は私も、福田監督もこんなフリーダムもどきの機体も出て来る“汚いプリキュア”で道草食ってないで、
早く劇場版『SEED』作って下さいよ~と愚痴りつつ、いいぞもっとやれ(笑)と笑って楽しんでましたがw

今にして思えば福田氏も『クロアン』で汚いとは言え、愛とロボットに関与してひと叩きしたことが、
『~FREEDOM』にも生かされたのでは?と邪推します。

本作のラブとネタを見た『ガンダム』ファンの方々の中には、
もっと真面目にやりなさいと反感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。
ですが『クロアン』の洗礼受けた私にとっては許容範囲。
むしろ『クロアン』観てなかったら私も本作と折り合えたかどうか自信ありませんw

{netabare} ぴっちり白スーツで出撃した{/netabare} ラクスの尻に欲情したあなたや、
寝取り型ラスボスの無様な芸当に興味を持ったあなたや、
『Z』のエマVSレコア戦も彷彿とさせるルナマリアVSアグネスの恋愛男性観も交えた激闘を目撃して女って怖くて面白いと色めきだったあなた。
『クロアン』もご覧になっては如何でしょうかw


敢闘賞をあげたいのはシン・アスカ。
前作の主人公交代劇の屈辱そのままに本作でも序盤は、
相変わらず何も分かってないガキンチョぶりでルナマリアにも呆れられていましたがw
終盤では何も考えていない、それでいて闇も深いからこそ、
{netabare} 精神に干渉するブラックナイトの攻撃を無効化する{/netabare} 最凶メンタル戦士として汚名返上の大活躍♪
{netabare} ルナマリアに死ぬ程ぶたれたってw{/netabare} シンはヒーローです。

同じく『~DESTINY』では散々な目に遭ったアスランも面目躍如。
全体に弱さを曝け出して株を下げたキラを挽回した周囲が支えるキャラ相関でした。


【声優 4.0点】
カガリ役の進藤 尚美さんから森 なな子さんへのキャスト変更。
本シリーズはこれまでもニコル、アイシャ、ラスティなど本編から総集編で声優が変わった事例はありましたが、
メインどころの変更は初めてで私も衝撃を受けました。

「物事には裏と表があるんだ」と修羅場をくぐって来たカガリを深く理解していないと雰囲気が出せないセリフに関しても、後継した森さんはしっかりと対応できていたと思います。


ファウンデーション王国の首魁・アウラ役には田村 ゆかりさん。
幼女の皮を被った化け物を演じさせたら彼女の右に出る者はいませんねw
例えファウンデーションは滅びても王国は永久に不滅です。
実はこのキャスティングも福田監督と『クロスアンジュ』のヒルダ役での信頼からだったそうで。
深い因縁を感じますw


ラクス・クライン役の田中 理恵さんは、これまでのシリーズでも、
戦争や平和について人々に語りかけるセリフが多かったのですが、
本作ではスクリーンを越えて我々に愛についてナレーション同等に語りかけて来ます。
{netabare} 愛の反対は憎悪ではなく無関心。{/netabare}
同意できてもできなくても課題として傾聴したい所です。


【音楽 4.0点】
主題歌を一任された西川 貴教さんが楽曲提供を依頼したのは小室 哲哉氏。
かつてTMNの一員として『逆シャア』のEDを締めた小室氏がというのも宿命を感じます。

完成した主題歌「FREEDOM」は時代に逆行したコテコテの小室節。
いきなりサビでキャッチーな短尺の曲をリスナーの耳に流し込むトレンドには目もくれず、
1分間ジックリとイントロで助走を付けて、テクノサウンドとギターソロの融合、
アンチにいくら叩かれてもやめなかった小室氏自身による男声コーラスなど、
旧世紀に消費し尽くされたTKサウンドを時代の空気を読まずに投げつけて来る。

私はTKサウンド、特に売れていた時代よりも時代と折り合いを欠いてもがいていた頃のサウンドが大好物なので、本曲はどストライクでしたが、
好き嫌いはハッキリと分かれると思います。

ただ、この時代と齟齬(そご)をきたしている曲風は、
冒頭、同じく理想通り行かない時代との間で苦闘するキラのカットにはマッチしていたと感じました。


その他、EDには梶浦 由記氏✕石川智晶氏のユニット・See-Sawが19年ぶりに復活しラブバラード「去り際のロマンティックス」を提供。
会いたい気持ちが昂ぶる場面では中島 美嘉さん歌唱のバラード曲も挿入される。
引き続き劇伴を担当した佐橋 俊彦氏は優雅なピアノやストリングスも交えて修羅場にも対応しつつ、
随所に過去作のテーマ曲のイントロも散りばめる。

そして何よりぶち上がるのがクライマックスで帰って来た{netabare} T.M.Revolution「Meteor -ミーティア-」{/netabare}
総じて音楽も20年待ってくれたファンへのご褒美が嬉しい楽曲構成。

投稿 : 2025/03/22
♥ : 21

フェイルン さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

世界に絶対的な敵は居ない、相対的な敵が居るだけである

『機動戦士ガンダムSEED』シリーズ最新作にして完結編にあたる劇場アニメ作品。
ガンダムという大きなシリーズの中の、ガンダムSEEDシリーズのナンバリングタイトルでいうところの3番目。シリーズ物の中のシリーズ物としてはまずまず評価出来る内容だ。

①ガンダムSEED
②ガンダムSEED DESTINY
③ガンダムSEED FREEDOM(本作)

という流れだが、戦争が相変わらず起こっているところから始まる。



以下、ネタバレあり

分かりやすいSEEDファン向けですね。今後のガンダムコンテンツが続くであろうなモビルスーツ辺りに追加要素てんこ盛りな内容。
画面の解像度は上がっているので、あまり観たくないものも見せられて胸草悪くなる部分もあるので中盤あたりまでややフラストレーション溜まります。

反戦を唄っているように思えるが、力を使ってしまう。
結局の所、愛の有無の違いはあるものの、理解出来ない相手は絶対的な敵で無くとも滅ぼすという解決策は変わらない。

「世界に絶対的な敵は居ない、相対的な敵が居るだけである。」
「絶対的かつ統一された正義の観念が存在しない為、人は異なる正義を持って争ってしまう。」

まあ、これだ。人類という生き物は愚かで、増える程に縄張り争いをする生き物なのだろう。他人の恋路を邪魔する者は2度とせんように殺しておくとか容赦ないね。NTRの恨みって恐いですね。

本作はエンターテイメントとしては浮き沈みがあり面白みがある。その一方、既存のシリーズのアップデートとも取れるような展開であり、良くも悪くも本作は「SEEDシリーズ」だ。今までやや日陰寄りだったキャラクターもアップデートされていてその辺りは楽しめた。

個人的に、アスランは格好良かったかな。キラはたまには殴られて良いと思うよ。
既存との唇の違いは年月の経過による成長の証だと思いますね。

当然の事ながら種割れもあるのだが、もはやその辺にギャグを混ぜてくるあがり笑ってしまった。まあ、自分はそういうのもたまには好きだけど、人それぞれだしバランスが難しいかもね。

スポンサーやユーザーを喜ばせるようなモビルスーツのアップデートやら追加要素はてんこ盛り。
加えて、キャラクターの心情の浮き沈みやら揺らぎは、同人関連で新たな妄想のエサである。

次は頼みますから、生きてるうちに「閃光のハサウェイ」を劇場で観られるように完結させてください。
頼んます。

★視聴履歴
2024/1/26(金) TOHOシネマズららぽーと船橋 スクリーン4(TCX+Dolby ATMOS)ベストポジションで鑑賞済み。

投稿 : 2025/03/22
♥ : 4
ネタバレ

みゃー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

ファンが見たかったものを100…いや、200%魅せてくれた劇場版

[作品の評価]☆4.0
シードはこれでいい、むしろこれじゃなかったら納得しなかった気さえする。アスランの使い方もさすがでしたw

[キャラの評価]☆5.0
やはりキャラで見る作品だったんだなって

[作画の評価]☆4.5
PVを見た時はなんでこんなおばさんみたいな唇塗っちゃったのー!?と思ったけどいざ見始めたらそんなに違和感無かった。

[声優の評価]☆4.5
20年振りでこの違和感の無さはすごい

[主題歌]☆3.5


最後に、{netabare}シンのラッキースケベはラッキーじゃなくて確信犯だったっていうのが確認できただけで私は満足でしたw
あと桑島さん4なないで本当に良かったねw {/netabare}

投稿 : 2025/03/22
♥ : 5
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