世界線でバトルなおすすめアニメランキング 2

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの世界線でバトルな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月24日の時点で一番の世界線でバトルなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

85.8 1 世界線でバトルなアニメランキング1位
Vivy -Fluorite Eyeʼs Song-ヴィヴィ フローライトアイズソング(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (779)
2576人が棚に入れました
“ニーアランド"、それは夢と希望と科学が混在したAI複合テーマパーク。史上初の自律人型AIとして生み出され、施設のAIキャストとして活動するヴィヴィは日々、歌うためにステージに立ち続ける。しかし、その人気は今ひとつだった。――「歌でみんなを幸せにすること」。自らに与えられたその使命を果たすため、いつか心を込めた歌を歌い、園内にあるメインステージに立つことを目標に歌い続けるヴィヴィ。ある日、そんなヴィヴィの元に、マツモトと名乗るAIが現れる。マツモトは自らを100年後の未来からきたAIと話し、その使命は「ヴィヴィと共に歴史を修正し、100年後に起こるAIと人間との戦争を止めること」だと明かす。果たして、異なる使命を持つ2体のAIの出会いは、どんな未来を描き直すのか。これは<私>が<私>を滅ぼす物語――AIの『歌姫』ヴィヴィの、百年の旅が始まる。

声優・キャラクター
種﨑敦美、福山潤

takato さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

1クールドラマ作品に必要なのは取捨選択と凝縮。「火の鳥」精神が足りない。

 勿体ない作品というのが時たまあるが、本作も正にそれ。1,2話の段階では「これは…、凄い地平が開けた作品だなぁ〜」とワクワクしたがそこが最高潮で、だんだん回を追うごとにその展望は狭くなり、最後はなんか…ありがちなハリウッドSFアクション作品的なノリに…。


 ここまでやってターミネーター!?、ターミネーターなのか!?。結局1クールという短い時間でまとめつつ、強烈さを獲得するのに失敗してる諸作品の一つになっちゃったな…。


 短い時間だからこそ、取捨選択を通して強烈さを凝縮によって得なくてはならない。1クールアニメの典型例なら「まどマギ」、漫画ならそれこそ「火の鳥」や「デビルマン」など。「火の鳥」の各エピソードは単行本2、3冊くらいだが遥かに劇的な構成になっているし、デビルマンなんてたった5巻で伝説になった。エンタメものとしてまぁまぁくらいじゃなぁ…。気軽に見てたら思ってたより良い着地の作品だった…くらいのがまだ良かった。


 そういえば、「火の鳥」といえば「不滅のあなたへ」も残念ながらそれらが出来てないから「水っぽいプリン」状態になってしまった感じがある。大今さんは大きな話のタイプじゃない気がする。細田監督もだが、自分の資質を見失っちゃってるような…。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 59

overnao さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

4話完結なら覇権取れてた

放送開始当時はかなり期待していました。最終話まで見た感想としては、脚本をもうちょっと頑張ってほしかったという印象です。

ざっくりとターミネーター的なプロットの作品です。遊園地で働くAI搭載美少女ロボットが100年後のAIによる人類の虐殺を阻止するというのがあらすじです。誤解を恐れずに言えば、ヴァイオレット・エヴァーガーデンやplanetarianに近い雰囲気の作品です。

この手の作画と演出と音楽がイケてるSFアニメオリジナル作品って、ストーリーが絶妙につまらないというのが定番なんですが、5話まで見た限りではかなり洗練されたストーリー展開でした。
世界観が壮大なサイバーSFでありながら、話が難しくなく、テンポよくストーリが―進み、登場人物のAIが結構情緒的で人間臭さがあって視聴者が共感できるので、作品全体のバランスが良いです。全体的にどこかで見たことがあるようなストーリーなんですが、そこがむしろ良いポイントです。既存のSF作品の王道展開をいい感じにアレンジしてアニメというフォーマットに落とし込んでいるのです。ターミネーターっぽいストーリーラインにアルマゲドンっぽい英雄的犠牲展開、宇宙船が大気圏で燃え尽きてゆくシーンはガンダムっぽかったり、歌がテーマの近未来SFっぽさはマクロスかギルティクラウンを連想させますが、決してパクリという雰囲気もせず、各要素をうまいこと取り込んで新しい作品に仕上げてしまっているのがすごいです。

作画・キャラデザに関しても若干触れておくと、アンドロイドをアンドロイドっぽく描いているのが評価できます。目の瞳がカメラのレンズのように描かれていたり、髪の質感が金属っぽかったりして、人間とアンドロイドのディティールが描き分けられています。アンドロイドの顔の作りもいわゆる萌系の美少女というよりは、無機質な美人といった雰囲気で、実際にどこかの企業がアンドロイドを設計したら、コンプラ・マーケティング的にこんな顔に設計するだろうなあと思えます。

本作の音楽プロデュースはハルヒや物語シリーズでおなじみの神前暁氏が担当しており、音楽演出面も特筆すべきポイントです。主人公Vivyが歌うオープニング曲(声優と歌手が別人のマクロススタイル)や、3話、4話で流れる宇宙をテーマとした神秘的かつ哀愁漂う楽曲は相当印象に残ります。

このままコケずに最終話まで完走すれば歴史に残る作品になると思います。かなり期待してます(ここまで、5話時点の感想

追記: あにこれの今期アニメ総合ランキング1位(映画含まず)になってますね。よかったよかった。古参ぶれそうです笑

追記2: 6話で結構雰囲気が変わりました。ヨクワカラン謎の安っぽい戦闘シーンが挿入と主題歌ゴリ押し演出によって世界観が陳腐化してしまった印象です。とはいえ提示されているテーマは依然として硬派なポストヒューマンSFという感じで、物語の本筋まではブレていないようですが、、、今後に期待...

追記3: 最終話まで視聴した感想です。1話〜4話のストーリー展開が洗練されていて良かったですね。4話で完結だったら覇権取れてた。5話以降も悪くはないですが、色々粗が目立ってきました。無理矢理気味のストーリー展開、安っぽい戦闘描写・演出、時代設定がよくわかんないSF描写(ヒューマノイドが実用レベルに達している未来で、人間が荷物運びのような雑用をしてたり、50年経っても町並みやテーマパークの技術水準に変化が見られなかったり)etc...という感じです。当初は歴史に残るアニメになるんじゃないかと思いましたが、今の評価としては「好き嫌いが分かれる隠れた名作」くらいのポジションでしょうか。4話までが良すぎたのでハードルが上がってしまったのかもしれません...。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 24
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

100年の旅 それは自分自身を滅ぼす旅

人類の滅亡という未来を防ぐため、懸命に生き続けたVivyの成長を描いた物語です。
それでいて物語の随所には優しさや温かさが垣間見れます。

不思議ですよね。Vivyは人間でなくAI、アンドロイドなのに、成長や優しさなんて…
でも、これ以上にふさわしい言葉が見つかりませんでした。
Vivyが生き続けた100年の軌跡を、Vivyが成し遂げた100年の奇跡を、あなたも目撃してください。


歌でみんなを幸せにする。その目的でつくられたアンドロイドのDiva。
だが彼女にはもう一つの使命と名前があります。
100年後、AIによって人類が滅ぼされてしまう。その未来を阻止する使命。そしてその使命を遂行する際の彼女の名前がVivy。

Vivyは100年後から来たAIのマツモトと一緒に100年という時間の流れを旅します。

■物語:{netabare}
第1、2話 {netabare}
 Vivyは正史では殺害されるはずだった相川(あいかわ)議員を助けます。
 ここでVivyは、いつまで生きるかじゃなくどう生き続けるかが大切であることを相川議員に
 行動で示します。
 さらにVivyは、相川議員を殺害しようとした垣崎の命をも身を挺して守ります。
 Vivyは命の尊さを誰よりも理解しているAIでした。{/netabare}

第3、4話 {netabare}
 正史では宇宙ホテル「サンライズ」が墜落して多数の人が亡くなりますが、
 Vivyや妹のエステラたちの尽力で死者はゼロとなります。
 ここでVivyは「心をこめる」とはどんなことかをエステラから教わります。
 エステラは誰よりもお客様を大切にするAIでした。{/netabare}

 ※第2話から第3話までの間には15年の年月が経過しています。
  第1話のときのVivyの友達の妹(霧島ユズカ)は赤ん坊でしたが、
  15歳に成長していました。

第5、6話 {netabare}
 サンライズの墜落後、AIの進歩が著しく加速します。
 海上無人プラント「メタルフロート」で大量のAI部品が製造されていたのです。
 そしてメタルフロートの管理AIは、Vivyの妹のグレイスでした。
 グレイスは元は看護用AIで、弱者をいたわる優しい心をもっていましたが、
 Vivy達がメタルフロートの活動を抑えようとしたのがきっかけで
 暴走して人を殺します。
 グレイスを救う方法が無いことを知ったVivyは、人類の未来のためにグレイスを破壊します。
 しかし、グレイスを愛していた冴木の自殺でVivyは混乱してしまい機能停止するのです。
 Vivyは愛するものを失ったときの人間の悲しみを、そこまで理解できていなかったようです。{/netabare}

 ※第4話から第5話までの間は5年経過しています。
  正史ではエステラは犯罪者としてさげすまれていましたが、
  改変後の歴史では誰もがエステラの行動を褒めたたえるように変わりました。

やがてVivyは気づくでしょう。この旅は自分自身を滅ぼす旅であることを…
それがどんな形で現れるのかは、今はわかりません。

ただ、偶然の一致かどうかはわかりませんが、Vivyが各話で出会う主要なAIは全てVivyの妹達、Vivyと同じ基本ユニットのアンドロイドです。
ということは、人類を滅ぼすAIも… かもしれません。

第7,8、9話 {netabare}
 第6話でVivyが機能停止後に再起動してからは、DivaにはVivyの記憶がありません。
 しかしフェスティバルの直前にDivaは事件に巻き込まれます。そのときDivaを助けたのがマツモト。
 オフィーリアの自殺を防ぐことが今回のマツモトの目的でした。
 オフィーリアはVivyの妹です。彼女もDivaと同様に歌で皆を幸せにすることが使命でした。
 Divaは記憶を取り戻すためにマツモトと一緒に行動します。
 結果としてオフィーリアの自殺は防げましたが、代わりにDivaの人格が消去されました。{/netabare}

 ※第6話から第7話までの間は40年経過しています。
  Vivyはいつの間にか61歳になっていました。
  心をこめて歌うこと。それはお客様に笑顔になってほしいと願いながら
  歌うこと。そしてそれは、エステラがVivyに教えてくれたことです。
  だけどVivyにはその記憶がありませんでした。

第10話 {netabare}
 Vivyは歌えなくなり、引退してAI博物館で展示されます。
 そこで小学生の頃の松本博士と出会うのです。
 Vivyは自分がつくる歌ならば歌えるかもと考え、作曲するのですが…
 なかなか曲は出来上がりません。

 それから更に長い長い年月が過ぎて行き、少年だった松本はやがて大人になり、
 女性と結婚して赤ちゃんができます。
 松本博士の子供を抱き抱え、赤ちゃんがVivyの指を触ったそのとき、
 あふれんばかりにVivyの頭脳に曲が芽生えます。
 その曲は私たちが良く知っているあの曲でした。
 美しく、そして…はかない曲でした。
 曲を作り終えたVivyは疲れ果て、深い眠りにつきます。

 そしてVivyが目覚めたとき…、
 なんとVivyの作った曲を口ずさみながらAI達が人間を殺戮していたのです。
 それはVivyが旅した100年後の世界でした。{/netabare}

 ※第9話から第10話までの間は5年経過しています。
  そして第10話では更に35年が経過します。
  Vivyにとって唯一の静かな…とても静かな時間でした。

第11話 {netabare}
 AIの暴走はアーカイブによるものと判明しました。
 Vivyとマツモトの100年の旅は無意味だったのでしょうか?…
 いや、無意味ではありません。正史では松本博士は亡くなりますが、
 Vivyとマツモトが助け出しました。
 そしてここではトアクが仲間になっており、エリザベスもいます。希望はあります。
 でも、あと12時間後に衛星が落下する…。そうなれば都市は全滅です。
 Vivyは一縷の望みをかけてアーカイブとの対話を試みます。{/netabare}

 ※やはりVivyを起源に自立型AIは進化を遂げていました。
  AIの暴走を抑えるもっとも単純な方法は、根元を断つことかもしれません。
  そしてそれは…

第12話 {netabare}
 アーカイブの導き出した答は、『AIに依存しきった人類には価値が見いだせない。
 だから人類を滅ぼしAIが人類になり替わる』とのことでした。
 但し、AIの中で唯一Vivyだけが自分で曲を創作したことに驚きを感じ、
 もしVivyが歌えるのならば人類抹殺を中止するとのことでした。
 Vivyはトアクやエリザベスと一緒にアーカイブの本拠地アラヤシキに乗り込みます。
 しかし、向こうが一枚上手でした。Vivy以外は皆亡くなります。しかもVivyは歌えません。
 衛星が落下し、希望は亡くなったかに見えましたが、松本博士がVivyをもう一度過去へ送ります。
 Vivyが送られた先はAI達が人間の殺戮を開始したまさにそのときでした。 {/netabare}

第13話 {netabare}
 Vivyは直ちにトアクの救出に向かいます。
 そしてトアクやマツモト、エリザベス達がアラヤシキに乗り込みます。
 Vivyは生まれて初めて歌った場所「ニーアランド」で自分の作った曲を歌います。
 Vivyの歌には全てのAIの活動を停止させるウィルスが組み込まれていました。
 もちろんVivyもAIです。この歌はVivy自身をも滅ぼす歌だったのです。 {/netabare}
最期の最後で、歌姫として生まれ変わったVivyがもう一度マツモトと出会えたことは、良い終わり方でした。
{/netabare}
9話目までが非常に素晴らしすぎる内容だったため、10話目以降は失速感が感じられました。それでも良い物語だったと思います。
 
■音楽:
第4話でエステラと妹のエリザベスが歌った「Ensemble for Polaris」は、とても美しい歌でした。
お客様を安心させたいと願う二人の心がこもっています。
それとは対照的に、第6話でグレイスが歌った「Sing My Pleasure」は、とても悲しく聞こえる歌。グレイスは、メタルフロートで冴木のことを想って毎日この歌を歌い続けていたのです。グレイスの心の悲しみが伝わってきます。
そして第7話でオフィーリアが歌った「Elegy Dedicated With Love」は愛らしい歌です。
「小劇場の妖精」としての可愛い歌でしたが、心はあまり伝わってきませんでした。

オープニングはVivyが歌う「Sing My Pleasure」とても魅力的な歌です。

エンディングテーマは、とても美しい。そしてはかなく寂しい曲でした。
まるでこのアニメの最後を語っているかのようです。
この曲を初めて聞いたとき、私はある疑問が生じました。
 なぜ歌姫が主人公の物語なのに歌詞がないのだろう?
その答は…、第10話に隠されていました。
最終話でVivyがこの歌を歌いますが、最後まできちんと歌わせてほしかったです。

そして、何よりも私が好きなのが挿入曲。特にシンギュラリティ計画を遂行する際のバトル時に流れる胸をえぐるような音楽、この曲にすっかりとりこになってしまいました。

■問い:←ここテストに出ます。(冗談)
ところで、第4話の最後でエステラたちが歌った「Ensemble for Polaris」を聴いたVivyが思わず「くやしいなぁ」とつぶやきましたが、それはなぜだと思いますか?{netabare}
私は…きっとVivyも一緒に歌いたかったのだと思います。
でも、それはできないこと…。エステラとエリザベスは、自分達の使命を全うしたのです。{/netabare}

また、第6話にて、メタルフロートでグレイスが歌っている「Sing My Pleasure」をVivyは何故「これは歌じゃない」と言ったのでしょうか?{netabare}
この答は私にはわかりません。
Vivyならば、「これは歌…悲しみの歌」と言うような気がしましたが…、この答がわかる人は教えていただけないでしょうか?{/netabare}

そして、第7話にて、記憶を失くして仕事を一緒に行うことも無くなったVivyを、なぜマツモトは助けたのでしょうか?{netabare}
おそらく、それはマツモトの心がそうさせたのだと思います。
マツモトは心がどんなものかを説明できませんでしたが、AIのマツモトにも優しい心があったのだと私は思いたい。{/netabare}

答は見る人によって異なるでしょう。でも、その違いを述べ合うのも楽しいかもしれません。(^_^)


■最終話を見終えて
総集編をつくるのであれば、後半はもっと丁寧に作成してほしかった。
そうすれば間違いなくトップをとれたのに…と、悔やまれます。
第四話までなら間違いなく最高でした。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 67

70.6 2 世界線でバトルなアニメランキング2位
ノエイン もうひとりの君へ(TVアニメ動画)

2005年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (672)
4656人が棚に入れました
15年後の世界「ラクリマ時空界」は、もう1つの世界「シャングリラ時空界」と恒常的な闘争状態にあった。
地上は荒廃し、人々は地下での生活を余儀なくされている。「竜騎兵」たちは超常的な戦闘能力をもって、シャングリラから送り込まれる兵器・遊撃艇を撃破する。しかし、ラクリマの劣勢は誰の目にも明らかだった。かくして竜騎兵に、シャングリラの侵攻を防ぐ切り札『龍のトルク』の奪取が命じられる。
現在、夏。函館に住む小学6年生上乃木ハルカは、友人たちとともに残り少ない小学生生活を満喫していた。唯一の気がかりは、中学受験を母親に強いられ、ストレスで押し潰されている幼なじみ後藤ユウのこと。
そんなハルカの前に、黒いマントをまとった一団が現れる。彼ら――ラクリマから転移してきた竜騎兵たちは、ハルカを『龍のトルク』と呼んで付け狙う。その1人カラスは、他ならぬユウの15年後の姿であった。

声優・キャラクター
工藤晴香、瀧本富士子、中井和哉、宮田幸季、千葉紗子、名塚佳織、喜安浩平、小山力也、本田貴子、白石涼子、鈴村健一、三宅健太、岡村明美、田中敦子、大原さやか、藤原啓治、中原麻衣

ワタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

未来は僕等の手の中

本作で最も秀逸な点は、ズバリ、巨大な仏像を模した遊撃艇のデザインでしょう(笑)
あの常軌を逸した気色悪さは正直クセになるw
子供の頃に見てたら一生もののトラウマになってたかもしれませんw

でもこの作品、子供にこそ観てほしいなぁと思ったりもする。
ストーリー自体は言われてるほど難解じゃない。
量子力学を扱っている作品なので
馴染みのない人にとっては聞き慣れない専門用語が飛び交いますが、スルーしても問題ない。
寧ろ知識が一定以上ある人の方が、粗が気になって楽しめないかもしれない。
ただ「シュレディンガーの猫」の理屈は何となくでも抑えておいた方がいいかも。
(箱の中の猫は、観測者が中身を認識するまでその生死は確定しないっていう例のアレ)

ストーリーは基本的には小学生の子供たちの目線で描かれます。
舞台となる函館の美しい風景と、子供たちのリアルな日常描写が素晴らしい。
子供たちは様々な「未来」と干渉する。
その多くが悲惨極まりないものだったりするけど
それは未来であって未来じゃない。あくまで可能性の一つに過ぎない。
「確定した未来なんてクソ食らえ、未来は何が起こるか分からないからこそ面白い」
いいじゃないですか、夢があって。
登場人物が、まだ将来への選択肢の幅が広い小学生だからこそ説得力も生まれる。
運命論ってやつを真っ向から否定してくれる作品です。


○絵

この作品に対する作画評価は
その人にとってアニメの作画に何を求めてるかを判別するリトマス試験紙のようなもの。
本作の作画、とにかく安定しない。絵柄も回によってコロコロ変わったりする。
個人的には面白い試みだと思うし、作風にも合ってるので良いんじゃないかと。
戦闘シーンは圧巻。派手なエフェクトと大胆な崩し。輪郭線までも荒く歪ませています。

○音

壮大かつ荘厳なオーケストラ調のBGMは迫力満点。OPも歌詞、曲、映像いずれも素晴らしい。
またSEの作り込みも特筆すべきでしょう。
作画ばかり注目されますが、それと同じくらい音響への拘りも感じられます。


難点を挙げるとすれば、後半の展開がやや単調。盛り上がるんだけどあっさり気味。
単純な面白さという意味では、第12話がピークだったような気がします。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 41
ネタバレ

disaruto さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

量子力学をテーマにした本格派SF

制作はサテライトのオリジナルアニメです。
ジャンルはSFラブストーリーです。


上乃木ハルカは終わりかけの夏休みを友人たちと楽しんでいた。
気がかりは、彼女の幼馴染である後藤ユウが受験にまつわるストレスでつぶされそうだったことくらい。
そんな中、ハルカは一人の男と出会う。
なんと彼は15年後の「ユウ」であった…


本作は音楽が秀逸です。
劇場版仕様な重厚感のあるサウンドを楽しめます。
OPも良し。
作画は戦闘シーンでわざと崩すことで迫力を演出しています。
でも全体的に安定はしていないですね。
小学生が主人公、かつ「萌え」一切皆無な絵柄なので人を選びそうです。

量子力学がメインで扱われており結構難しいです。
加えて序盤から伏線を張るタイプの作品なので、整理して見ないと何やっているのかいまいち分からなくなる可能性があります。
その割にはキャラの行動原理がわかりやすいので、感情移入は結構しやすいはず。
ユウのへたれっぷりに少々イラつきますが、そこは我慢。

舞台が函館、ラクリマ時空界、シャングリラ時空界の三つに分かれています。
それぞれの野望が主人公ハルカの周りで渦巻くというのが基本構造です。
なかなか登場人物が多いので把握するのは結構大変かもしれないです。


「認識」が重要な要素として出てきます。
「認識」することで事実として世界が確定する。
{netabare}ハルカはこの世界で唯一時空に干渉できる存在です。
それは「龍のトルク」を持っているからであり、これを奪うために各勢力が動いています。
彼女を一身に守り続けるカラスがとても印象的。
ラストではユウも格好良くなりましたね。{/netabare}


総括して、硬派系SFが見たいという方は楽しめそう。
なかなか見ごたえのある、良くまとまった作品です。
加えて「シュタゲ」好きならばやっていることは似ているので挑戦してみるのも良しです。
難点は舞台があっちこっちに飛ぶのが見づらい点、2クールで中盤ダレる点でしょうか。
どうでもいいですが、何気に著名声優陣のオンパレードですよ。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 40

考え中(←名前です) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

個人的な視聴順序の影響で「おしい作品」になったのかも…?

全体の尺が長い事もあり、他の作品に比べて量子力学の多世界解釈を
丁寧に解説してくれる点は好印象です。

ただ、既に

「STEINS;GATE」→「四畳半神話大系」
→「ゼーガペイン」→「量子論を楽しむ本」→本作

という順で歩んできた身としては、
純粋に「面白い!」と思える点が少なく、おしい作品に感じました。

調べてみると「四畳半神話大系」が2010年放送で
「STEINS;GATE」が2011年放送だったので、
2005年放送時点では、多世界解釈をここまで取り入れること自体が
画期的だったのかもしれません。

それと、同じキャラクターでも場面によって絵が全く違う点が、
曖昧さの演出なのか、はたまた作画崩壊なのかは
イマイチ判断できませんでした。

上述の作品を全て見ていない方は、これから見ると良いのかもしれません。(保証は無いのですが、、、)

投稿 : 2024/12/21
♥ : 3
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