2008年度の下北沢TVアニメ動画ランキング 1

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58.2 1 2008年度の下北沢アニメランキング1位
魔法遣いに大切なこと 夏のソラ(TVアニメ動画)

2008年夏アニメ
★★★★☆ 3.4 (110)
680人が棚に入れました
『魔法遣いに大切なこと ~夏のソラ~』は、TVアニメ「魔法遣いに大切なこと」の第2シリーズ。
国家機関である「魔法局」によって任命された、魔法の能力を有する「魔法士」と呼ばれる人々が存在する現代の日本。その魔法士になるために、研修先となる東京へ集う16歳の少年少女たち。
物語は魔法士になるために北海道・美瑛から上京した16歳の少女・鈴木ソラと、彼女とともに研修を経験する緑川豪太たち5人の少年少女、彼女たちに関わる指導員たち――人と人とのふれあい、思春期の輝きを鮮やかに描く、青春ストーリー。

声優・キャラクター
花澤香菜、前野智昭、井上麻里奈、浪川大輔、高橋美佳子、沢海陽子、掟ポルシェ、笹生実久、小山力也、高乃麗
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★☆☆☆☆ 1.0

トライ アンド エラーでは済まされないことも、世の中にはある(苦笑)

[文量→大盛り・内容→酷評系]

【総括】
作品としては、所謂「ローファンタジー」。現実の世界の中に、魔法が1つの技術として溶け込んでいる世界観です。

なんかこう、セミプロ集団による、自主製作のwebアニメを長々と観せられている感じを受けました。

無駄に独特な(芸術的風の)映像表現。甘い設定。なんだか温かみのある作風、なのに泣けない穴だらけの脚本。

いや~、これは久々に、「観て損」ではなく、「観て腹が立つ」レベルでした。

(中盤まではまだ良かったし、無難にまとめなかったチャレンジ精神は買うけれど)。

強いて良さを挙げろと言われれば、OPの「Fly Away」が格好良かったことと、劇中歌がいずれも良かったことです。音楽だけですな、見所は。

絵柄に似合わず、ある意味ではクレイジーな作品なので、未視聴且つ興味がある方は、ネタバレなしで視聴してみて下さい。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
ちなみにこのレビュー、今や書くレビューの2割は酷評レビューになってしまった私が、あにこれで最初(かなり初期)に書いた酷評レビューかもしれません(苦笑)
{netabare}
あの「実写の背景に手描きキャラを重ねたような絵の表現(レタッチ加工)(フィルター加工)」を作為的に考えると、「現実の社会に存在する魔法」=「リアルにファンタジーが重なる世界」と考えられ、本作にはマッチしているのかもしれない。

良い悪いは別にして、作画はそんなに嫌いではなかった。

そんなことより問題なことは山ほどある。

まず腑に落ちないのが、「研修生による実地研修」というシステム。

「金庫の鍵を開ける」「保険証を探す」とかなら、失敗してもリスクがない(師匠がフォローできる)から分かる(が、器物破損してた)。でも、「亡夫の形見の再生」とか、(燃え尽きて消し炭になるところだったし)「昏睡状態の妻を起こす」とか、(下手すれば死ぬし)リスクでかすぎるでしょ。しかも、依頼者の承諾(注文)なしに。

→3話の金庫のクダリで、依頼者のおばさんが、魔法を使うのが原さん(師匠)じゃないことに驚いていたことから、誰が依頼をこなすかは、魔法事務所の方に選択権があることが分かる。

あんなんを向こうの都合で研修生にやられたら困る。「今日の手術なんですが、研修生にやってもらいます」と言われたら、ガチでキレますよ、普通(苦笑)

それとも、「研修生ならタダ(割安)」とかなのかな? だとすれば、「普通の魔法依頼が出来ない貧乏」と納得できるけど、それはそれで世知辛い。

……そして、何より、「主人公の死」という衝撃的なラスト。あれはビビった。

別に主人公を絶対に死なすな、とは言わない。しかし、「死」は現実でもアニメでも重いので、その扱いは慎重になる必要がある。

主人公の「ソラ」は、「実は余命1年で、亡き父親の(娘の花嫁姿が見たい)という願いを魔法で叶えるため、魔法士の資格をとりたくて、研修を行っていた」という設定が終盤で出てくるが、かなり頭のオカシイことを言っている。

大前提として、亡き父親が観たかったのは「娘の花嫁姿」ではなく、「娘が愛する人と結ばれ、幸せに生きる姿」だったのではないだろうか? (まだ娘が幼い時に、まさか自分と同じ病気で夭逝するとは思わないだろうから、あの依頼は「ソラが死ぬ前にせめて花嫁衣装を着てくれ」ではなく、「長生きして、幸せになってくれ」だということは、容易に想像がつく)。

それは、魔法でどうにかなる話ではない。逆に、単に白無垢姿になりゃー良いなら、魔法の必要なし。着物屋ででもネットででもなんででも買えば良い。

そもそもここから、一番大事な設定が破綻している。

それに、「魔法士の資格をとる」って、必要なこと? 別に自由に魔法使ってたやん、資格なんかなくても。それとも、専門的に勉強しなければ使えないほど難しい魔法なのか? よくわからん。どうせ死んじゃうって諦めているなら、法律違反だとしても問題ないし。

そんな小さなメリットのために、母親や親友と過ごせる大切な最後の1ヶ月を放棄する必要があったのだろうか? 甚だ疑問だ(東京に行って良かった、豪太と出会えた、は、結果論であり、ソラが研修に行こうと決意を固めたこととは、時系列的に因果関係はない)。

だったら普通に、「ソラの夢は父と同じ魔法士になることで、残された人生の中でどうしても叶えたい夢だった」「その中で好きな人もできた。最期に少しだけでも幸せだった」だけで良かったと思う、全然。

あるいは、「もっとガッチリとソラと豪太の恋愛にスポットを当て、最期にちゃんと結婚する→死」という悲恋の流れか。

ただ、そうなると、「ソラが焦って結婚相手を探している」って感じにもなりそうなので、父親からの依頼を明かすタイミングが難しそうだ(というか、研修が1ヶ月だから難しい。3ヶ月くらいあって、2クール分の尺をかけられれば、ラストシーンで視聴者を泣かせることもできたかもしれない)。

豪太もよく分からんし。

5年も経って、ソラを忘れられず、「彼女」と言って会いに行くくらいなら、最期の時も一緒にいてやれよ、と思う。「それぞれが夢に向かう」「ソラが死んでも忘れない存在」を描きたかったのだろうが、やっぱり、「サーフィンなんかしてる場合か?」と思ってしまった。

最悪、何らかの奇跡が起きて病気が治るとか、修行を続けた豪太が5年後にソラを生き返らせるとか、そんなチープな展開ですら、本作よりはマトモに思えてしまう。

アニメ「くまみこ」では、(他作品ネタバレ){netabare}日常癒し系から、まさかの洗脳というサイコパスなラスト{/netabare}の展開に衝撃を受けたが、(ストーリーは全然違うけど)同じような衝撃を本作でも受けた。

まあとにかく、何をしたかったか、中途半端且つ意味不明で不快な作品だった。

「恋愛」と「家族愛」を「死」でくるんで「感動」を表現しようとしたが、設定と伏線がガバガバなんで、「不愉快」しか残らなかった。

こんな雑な脚本の中で死んだソラが可哀想だ(⬅これを一番言いたい)。

悲劇を感動的に魅せる力がないのなら、黙ってハッピーエンドにしていれば良いものを。

(ちなみに剣道部は、死を雑に扱うアニメに対して、厳しくなる傾向があります)

あと、別に間違いではないんだろうけど、「トライ・アンド・エラー」よりも「トライアル・アンド・エラー」の方が一般的な気がする。分かりやすくしたかったのかな?
{/netabare}

【余談(原作ネタバレ)】
{netabare}(私は原作未読なので)原作を読んでいる方のレビューを拝読いたしましたが、原作ではどうやら、はじめからソラの死の予感を匂わせ、その中でも明るく振る舞う健気なソラの姿に心打たれたそうです。また、ソラの魔法も、アニメのように初めから上手ではなく、父の依頼を果たすために一生懸命努力し、成長が観られたということで。だからこそ、ラストシーンに感動があった、と。

それが本当なら、完全に原作改悪ですね。

「このラストにしたい」なら、序盤から、もっとソラの死、時間制限を示唆しておくべきだと思っていました。アニメの作り方が下手くそです。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
背景は実写のようであり、人物は手描き感がある独特の作画ですね。遠山君、黒髪の繊細な美少年をイメージしてたのに、違ったw 声優さんの演技が、微妙? 方言が浮いてる感じもする。

2話目
下北沢か~。東京でも好きな街のひとつだな~。あの「ごちゃっと感」は良いよね~♪

3話目
ソラちゃん、かなり踏み込むね。結果オーライだったけど、クビでも仕方ないよね。器物破損だし。依頼人のおばさんのデレ具合に、なんか不自然さを感じました。

4話目
緑川の父をあんな不細工にする意味が分からない(あれで笑いがおきても、世界観ぶれる)し、あの程度で出ていく妻って、どうなんだろう。

5話目
いや、昏睡状態の妻に研修生が魔法をかけ、起きたものの記憶がないって、訴訟ものじゃ?

6話目
小さな女の子探しか。女子中高生がやるから良いが、私たちオッサンがやってたら通報されるかも(笑)

7話目
「黒田、学校やめるってよ」w 魔法使いの悩みというより、サービス業の悩みというか、営業の悩みというか。

8話目
魔法使いじゃなければ出来ないこと、ではなかったね。

9話目
微妙な恋愛模様。ひより&ほのみ の電話のやり取りは良かった。つか、ソラと豪太がここまで急に彼氏彼女してるのに、違和感が。

10話目
所々に伏線はあったが、衝撃の展開。でも、余命幾ばくもない人間をつかまえて、本人なりに「なんとか」死を受け止め(ようとし)ているのに、「生きたいんだろ!」と当たり前で残酷な真実を突きつけることは、果たして正しいのだろうか?

11話目
たった1ヶ月の研修でここまで泣ける自信が、自分にはないな(苦笑)

12話目
いや、豪太、美瑛に行けよ。いや、普通に死ぬんかい(汗) つか、あと1日遅かったら、母親に会えなかったじゃん。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 17

大和撫子 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

心を込めてかけた魔法、みんなに伝わりましたか?

私的にはこの作品は隠れた名作・・・かもしれない作品でした。

◆この作品の内容は・・・
序盤は北海道の美瑛町から始まります。
この町に住む一人の女の子が一人前の魔法遣いになる為、東京の下北沢に魔法研修に上京し、いろいろな人とふれあい、同じ研修生の友達と絆を深め合っていく青春アニメ。

◆1期と比べて・・・
ストーリーの流れは1期と同じです。
しかし1期とは別物の作品といっても過言ではありません。
制作会社が変わり、作画が大幅変更。
魔法局の設定も1期は完全に管理された近代社会という感じでしたが、この2期では普通の学校という感じでした。
1期よりもだいぶゆったりとした雰囲気ですが、それもそのばず、なぜなら制作会社は「ARIA」を制作した会社なのですから。
登場人物達は1期のメンバーと全く関係ないので、この2期を視聴する時に1期を見ていなくてもさしつかえはありません。
あらゆる点で1期よりもこの2期の方が良くできた内容になっていると感じました。

◆作画について・・・
現時点、300タイトル以上アニメを見た私ですが、こんな作品は初めてでした。
なぜならこの作中での背景がほとんど実写で描かれています。
登場人物・動物・動いている車・登場人物達が手にする小物・建物の室内などはアニメで描かれていますが、屋外の風景は完全実写です。
実写+アニメーションの融合は良い出来だと思いますが、一部モブキャラ達の静止画が実写背景の中で浮いてしまっていてこの辺には違和感を感じてしまうかも知れないですね。

◆見どころは・・・
やはりこの実写での映像美ですね!
序盤の北海道美瑛町といい、下北沢の町といい、作中で訪れる江の島など、実際に自分自身がその場所に訪れているような錯覚に見舞われました。

◆ストーリーの見どころは・・・
魔法遣いの研修として、依頼された仕事を魔法でこなす研修生達。
しかし中には、依頼内容にはそぐわない事を求めてくる依頼者、魔法がうまく使えない人、依頼は達成してもその達成は幸せとは言えない結果に終わる・・・など、研修生達はいろいろ悩まされます。
でも仲間達で絆を深め、成長していく姿は青春を感じて良かったです。
正直なところ「映像美>ストーリー」の図式でこの作品を視聴しているような気持にもなるかもしれません。
しかし終盤思いもよらない展開が待っており、そこには切ないけどとても心に残る感動がありました。
最終回はすごく良いお話でした!

◆音楽について・・・
作中流れる挿入歌はいわゆるストリートミュージックでございます。
毎話ごとに曲が変わり、とてもこの作品の雰囲気と良く合った心にジーンとくる曲ばかりでした。

◆声優陣は・・・
鈴木ソラ  :花澤香菜(Isのシャルロット・デュノア)
緑川豪太  :前野智昭(アマガミSSの橘純一)
浅葱ほのみ:井上麻里奈(みなみけの南夏奈)
山吹ひより :高橋美佳子(緋弾のアリアの星伽白雪)
黒田浩二  :浪川大輔(君に届けの風早翔太)
原誠一郎  :小山力也(24のジャック・バウアー)

◆最後に一言・・・
私、美瑛町には行ったことがありますが、もう一度行ってみたくなりましたよ。
あの哲学の木の場所へ・・・。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 15
ネタバレ

るぅるぅ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

何が違った魔法コードの失敗?

魔法が認知された社会で魔法局の研修を終え魔法士になる為、北海道美瑛町で育った主人公・鈴木ソラが東京下北沢を舞台に繰り広げる1ヵ月の出来事。

タイトルからもわかるように魔法使いではなく、魔法遣いです。つかう・つかわす と意味から。少しもじっているニュアンスの興味から視聴しましたが・・・内容は、良くも悪くない及第点という気持ちですね。

ソラが研修先で出会った少年少女達の人柄・性格を観ていると、どこかで観たような感覚に捕らわれ物語を楽しめない私がいましたね。 
【視聴を考えている人は読まない方がいいです】以下にキャラについてのネタバレ及び不満点を綴らせて頂きます。

{netabare}緑川豪太
ソラと同じ研修先であり下宿する男の子。研修直前に魔法遣いの血筋と知り家庭崩壊するが、捻くれずぶっきら棒な優しさあり好感をもてます。 
むしろ彼目線でストーリーをする方が面白かったと言える程、設定が良いだけに残念です。
魔法を使えない彼の焦点の疎かですね。家庭もアッサリと修復と拍子抜けです・・・ソラと恋への発展させる為のキャラとしての設定となっており同情したくなりますね。

黒田浩二
優等生であり魔法を行使する上で、おごりが強くプライドが高い。その為、依頼者とのいさかいで研修を辞め様とするが・・・それをフォローするソラ達に反し好意を抱いていた浅葱ほのみ の渇により立ち直る。伝えたいことはわかるが、1度の失敗でも人なんだから失敗しないことはない ともう少し捻りが欲しいと想ってしまいますね;

浅葱ほのみ・・・黒田浩二と違いおごりを持たず、たくましく口調が強い女の子。 黒田エピーソードの引き立て役。

山吹ひより・・・豪太の優しさに惹かれ恋するが、何も語らず何も発展しない。個性が押し潰されていると感じられ、置き去りにされたように思えました。{/netabare}

最後の結末についての感想
ソラの超展開{netabare} (魔法士特有の病気による死) {/netabare}で、強引に全て結びつけ感動させようという意図が露骨すぎますね。
{netabare}魔法というSF要素を用いて、 魔法を遣う者として、誰かの為になそうとする心が大事。思いやり、言葉ではわかりやすいですが、それを伝えるアニメとして展開で動かされているキャラでは響かないですね。 {/netabare}

原先生の過去や豪太を中心に進行したら、もっと違った評価ができましたね。

この世界観においての矛盾。
{netabare}魔法遣いは、DNAによってその家系から生まれ社会的にも認知されているにも関わらず、過去の豪太は魔法遣いと知ると豹変する友人・・・『社会的に認知されていない』描写は可笑しい過ぎますよ; {/netabare}

作画に実写映像を組み合わせた風景とキャラ。
北海道の美瑛の雄大な景色・哲学の木。下北沢の風情が漂っており絵として良かったですが、キャラのデザインが浮いている印象が強く好きではなかったです。
絵の統一性が無いと想うか、斬新で良いと評価するかの分かれ目ですね。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 9
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