三途の川で死後の世界なTVアニメ動画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の三途の川で死後の世界な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年04月07日の時点で一番の三途の川で死後の世界なTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

81.0 1 三途の川で死後の世界なアニメランキング1位
昭和元禄落語心中 助六再び篇(TVアニメ動画)

2017年冬アニメ
★★★★☆ 4.0 (490)
2210人が棚に入れました
八代目八雲に弟子入りして早十年、ひよっこだった与太郎もいよいよ真打に昇進。襲名するのは、八雲の兄弟子であり小夏の父親でもある「助六」の名だった。順風満帆のようにも見えるが、そうもいっていられない。落語はいまや時代に取り残されつつある。父親がいないまま母親となった小夏のことも心配だ。三代目助六となった与太郎は自らがたぐり寄せた縁をしょって立つことができるのか……?

声優・キャラクター
関智一、石田彰、小林ゆう、小松未可子、牛山茂、関俊彦、土師孝也、加瀬康之、須藤翔、遊佐浩二、山寺宏一、林原めぐみ
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

とある落語家の一生と繋いでいく先の物語…人間ドラマのアニメとして傑作

待っていました落語心中。2期は八雲と与太郎改め3代目助六の物語ですね。また、助六と小夏の関係や小夏の子供のこと、昭和元禄の意味など明らかになっていくのでしょうか。本当に楽しみです。

1話…真打昇進でも与太郎は与太郎
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2話…助六のもがき
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3話…はたして誰の子なのか?
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4話…寿限無教団現れる
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5話…そこに見えたのはあっちの世界なのか?
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6話…そして助六は助六の落語を見つける
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7話…真実を墓場まで持っていくとはこの事を言う(神回)
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8話…この師匠にこの弟子あり
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9話…そこに現れたのは…死神だった
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10話…邂逅…その後に待っているもの
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11話…別れは悲しまないように
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12話…大団円!この先も繋いでいく物語
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まずはこれをアニメにした製作陣に大拍手を贈ります。また、命を吹き込んだ声優陣にも大拍手です。中の人たちが一人でも違っていたら、まったく別の作品になったことでしょう。パーフェクトな陣容でした。

ちょっと感動しすぎて、何を書いたらいいのか戸惑っています。内容について書こうとしても、登場人物に書こうとしても、何を書いても陳腐な感じがして、少し間をとって、もう一度1期から見直して、加えようかと思います。

とある落語家の一生と出来事。昭和から平成をまたいだ時代の移り変わりも加わる人間ドラマです。ドラマ好きの人が見て損は感じない作品に仕上がっていますので、多くの人にお勧めしたいアニメです。

投稿 : 2025/04/05
♥ : 41

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

筆舌に尽くしがたい名作

☆物語&感想☆

近年稀に見る素晴らしい作品に出会えた2017年冬アニメの中でも、感想を書くのが遅くなった。
と言うより、最終話を観終えてから暫く書けなかった、というのが正直なところ。
(因みにこの文章を書くまでに、合計4回は通して鑑賞している)
今でもこの作品について、作品に相応しくない浅い文章しか書けない自分の能力では、
この作品の魅力や深みをどうやっても伝え切れない、というのが歯痒くて仕方がない。。
いっそのこと、書くのは辞めておこう...と思っていたのだが、
やはり、一人でも多くの人にこの素晴らしい作品を知ってもらいたいと思って、駄文ながらも思ったことを書いている。
独りよがり的な文章になってしまったが、思いが強すぎる作品ゆえご容赦願いたい。

あれほど素晴らしい1期があっての2期、視聴には本当に大きな期待を寄せていた。
と同時に、果たしてあの1期を越えることが出来るのか?という大きな不安も抱えていた。
しかし、その考えは誤りだった。
1期と2期、分割されてはいるものの、それは便宜上のもので物語としては何も分かれていない。
「あにこれ」でも別々に分けられているが、この作品を評価するにあたっては、
1期、2期という観方では推し量れない。
分割2クール、あくまでも継続した一つの物語、という捉え方をして観ないとまず評価自体が出来ない。

そういう観方をしていなかった当初は、2期は1期に比べてかなりシリアス&重くて地味な印象を持っていた。
作品としての面白さや楽しさ、という面でも1期には劣るんじゃないか、とも感じていた。
ある意味それは正しいとも思えるが、作品をしっかりと観ていくと、この作品の本質は2期に有るということが解る。
そして、それは1期を踏まえていないと理解できないものだ。
なので、そもそも1期と2期を比べること自体が間違っていた。

シリアスで重い場面が多くなったのは、1期があんな終わり方をしたのだから、当然といえば当然。
八雲、小夏、与太郎、三者の抱えているものを、観ている側が事前に踏まえて鑑賞に臨まなければいけない。
これから観る方は1期から観直す事ができるなら、それに越したことはないと思う。

物語の内容的に、心躍るような展開は少なくなったが、人間の業と因果、宿命、因縁、運命を描いた1期から、
2期は更に作品としての重みと深みが増しており、視聴者も半端な気持ちで向き合ってはいけないレベルになった。
キャラクターの一言一言に込められた「深すぎる思い」を慮って受け止めなければ、
到底この作品の良さなど理解できない。
そして、本気で向き合った視聴者は、この作品の一話一話の体感が短く感じ、
毎話もうエンド・クレジット?と時間の経過を早く感じたことだろう。

一見2期は地味なように思えるが、実は各話に名台詞、名シーンとも言える見せ場が必ずあり、
毎回のように涙を誘われる。EDへの引きの良さも1期同様に溜息の出る仕上がりだ。
振り返れば最初の1話で、既にこの作品が近年稀に見る傑作になるというのは充分に確信できた。
それほど、1話にはこの作品で原作者が描きたかったこと、落語への思いが込められている事が解る。
更に1期から通して振り返ってみても、2期の最終話まで1話たりとも中だるみせず、
全く無駄のない物語だということが解る。

是非作品を観て実際に感じてもらいたいので、内容には具体的にはあまり触れたくないのだが...
2期では1期の因果、宿命、因縁、運命、人間の業、それに加えて様々な形の「深すぎる愛」が描かれている。
簡単に言ってしまえば、師弟の愛、夫婦の愛、親子の愛、芸への愛、そして原作者自身の落語への愛...
また、その愛情表現が決して直接的な台詞で相手に伝えるのではない、という所が実に奥ゆかしい。
人間誰でも人に言えないこと、言いたくないことなんて生きていれば一つや二つはあるもの。。
この作品では敢えて言わないことが、相手への最大限の優しさであり、愛なのだ。

八雲の小夏への思い、愛情は最後まで面と向かって口に出すことはなくとも、
彼が背負って生きてきたものの重さははかり知れず想像を絶するもので、到底涙無しには観れない。
そして、恨み辛みを超え真に繋がり合えた矢先に八雲は...なんと人生の儚いことか。。

しかしながら八雲が可哀想、不幸な人生を送った、と考えるのは見当違いだ。
終盤11話12話の展開を観れば、「あの日」から落語と心中することを本懐とし生きてきたものの、
実際は捨てきれない未練、葛藤とともに生きてきた「結果」が実に巧く描かれている。
これが本当の人間らしさ、というものだろう。10話で八雲が小夏に対して最後に語った言葉がとても印象的だ。
八雲は落語と心中できたのか?与太郎と交わした3つの約束はどうなったのか?
是非ともその結末を確かめてみて欲しい。

主人公八雲に関して少しだけ触れてみたものの、
助六、小夏、みよ吉、松田さん...登場人物それぞれの思いを書いているとキリがない。
やはり文章では伝えきれないと思う。
移りゆく時代の中での落語という存在、師匠が弟子に繋いでいく名跡など、
キャラ以外の落語そのものの描かれ方だけでも、深すぎて全く書ける自信がない。
結局はとにかく観て感じてもらうしか無い、という事になるので、
ちゃんとしたレビューになっていないのは申し訳ないと思うのだが笑

誰もが気になるだろう、一つ大きな謎(信乃助の父親の件)は残されたが、
作家の先生の妄言に小夏が明確に否定しておらず、慎之介の姿が在りし日の菊比古を思わせるのが、
何とも夢のある話だが、観る者の想像(妄想)に任せる、というのは決して悪くないと思う。
(普通に考えるとあり得ないとは思うが、あれほど似ていると妄想してしまいたくもなる笑)
小夏もまた言わずに墓場まで持っていくというのは、彼女の愛に溢れた優しさ、粋な計らいではないか。

☆声優☆

石田彰の演技は1期の時点でも凄かったのに、2期ではより深みを増し、
もはや彼自身が演じた八雲同様に、名人芸とも言えるレベルに達している。
落語の場面だけでも凄すぎるのだが、年老いて枯れてゆく八雲という人物を見事に演じきっていて圧巻。
アニメの歴史上でも間違いなく語り継がれていく名演だろう。

1期では出番の少なかった関智一演じる与太郎改め3代目助六の落語も、
八雲、先代助六両方をリスペクトした素晴らしいものを見せてくれた。
自分の落語を見つけるまでの苦悩の過程、迷走する落語から自分の型を見つけた後まで、よく区別して演じられている。
8話の先代助六をコピーした芝浜には涙。。
そして最終話の八雲への手向けとして演じた死神では、最後にあんなオチまで。

小林ゆうは女性声優としては個性的過ぎる低音ハスキーボイスで、
作品によってはイロモノ的な役回りをこなしているが、それは演じる役どころが幅広いということであり、
むしろこの作品を観て、やはり演技派の声優であることを再認識した。
自身が取り組んでいる落語の実力を見事に発揮してみせた4話はとても感慨深く、
また、年月を経た熟女の演技では更にトーンを落とし懐の深さを示してみせた。
一つの作品の中で、幼女から熟女まで演じるというのは、実力の無い声優が到底演じれるべくもない。

2期で出てきた小松未可子も得意のショタ声を遺憾なく発揮しており、納得の配役。
アニメではなかなか聞くことの出来ない、本物の京都弁を操る遊佐浩二を選んだのもまた心憎い。
また、1期に比べ出番が少なく寂しく思っていた、山寺宏一と林原めぐみも、
11話ではじっくりと堪能させてもらった。
山ちゃんの演技、存在感、台詞の説得力は実力派揃いの声優の中でも、やはり抜きん出ていて惚れ惚れする。

この作品は1話毎にかなりの年月が過ぎていたりするのだが、
声優がその過ぎゆく年月に合わせて声のトーンを実に上手く演じ分けている。(石田彰が特に凄すぎる笑)
落語シーンばかりに目が行きがちだが、主要キャラ以外も含め、
やはり基本的な演技自体が素晴らしく文句の付けようがない。

唯でさえ実力のある声優が、それこそ一生懸命に何度も何度も繰り返し練習したのだろうな、
というのがしみじみと良く判る。
ここまで声優の努力と本気を窺い知れる作品は、今後もそう簡単には出てこないかも知れない。
多くの声優にとってもバイブル的な作品になったのではないだろうか。

☆キャラ☆

1期でも同様のことを書いていると思うが、
キャラクターの価値というものは、声優の演技と台詞の質によって決まってくると思っている。
優れた演技、深みのある台詞が観るものの心を動かすというのは、この作品を観れば明らかだ。
そして、各キャラクターの抱える思い、これが深すぎて駄文しか書けない自分には言葉で言い表すことが出来ない。
原作者の人間描写力と細やかさに、ただただ感嘆するばかりだ。

メインの人物ではないものの、2期で登場する作家の先生(1期で弟子入りを断られた人物)が、
物語上でかなり重要な役割を果たしている。弟子入りの場面だけでなく、みよ吉ともつながっている過去...
本当によく考えられたキャラクターだ。
彼の言葉から、原作者の落語への考えや思いが垣間見える。

☆作画☆

1期と特に変わりなく安心して観られるもので、
とりわけ派手な作画が要求される作品ではないが、キャラクターの細かい表情の変化などはしっかりと描写されている。
うつりゆく時代をノスタルジックに描く、背景のボカシ加減が実に味わい深い。

☆音楽☆

OPは1期に引き続き椎名林檎&林原めぐみが担当しているが、
最初聴いた時はOPにしてはなんちゅう辛気臭い曲だ、と1期に比べてあまり好意的ではなかったのだが、
不穏過ぎるOPアニメーションは、八雲に死神が見せている幻と解釈すると、曲調にも納得がいく。
それに対するED、こちらも1期同様のインスト曲で、
毎回のEDへの引きの良さも相まって、余韻に浸れる味わい深さがあり、
また、不穏なOPとは対照的な晴れやかさで、物語の結末を暗示しているかのような素晴らしいものだった。
そして12話のラスト、1期のEDと作中落語の名シーンが流れる演出&エンドロールには号泣必至。。

作中BGMも1期同様に澁江夏奈さんによるJAZZのエッセンスをベースとした、
様々な楽器が使われた豪華なもので、サントラが欲しくなる出来、実に渋く味わい深い。
自分はBGMの評価をする場合に重視しているのが、サンプリングの音源でパソコンで作れるものか、
生音を実際にレコーディングしているかどうか、という点。
(他の人はどうでも良いと思う所だろうが、一応自分も音楽をかじっている身なので)
昨今のデジタル技術ではちょっと聴いたくらいではなかなか判断できなかったりするものだが、
この作品の音楽を聞く限り、生音に拘った作りであることは明らかで、
相当な拘りと予算を使って制作されているというのが窺える。


この作品は多くの人に観てもらいたいと思うが、
これだけ重く深くシリアスな物語だから、
軽い気持ちでアニメを楽しみたい、という人には到底合わないだろうしオススメしない。
先程も書いた通り、台詞一言一言に集中してそのキャラの思いを慮って観なければ良さは理解できないし、
原作者&制作側の仕掛けた粋な演出や伏線にも気付けないだろう。
当然ながら年齢の低い方には共感できない部分が多いことと思うし、万人向けの作品でないのでそれは仕方がない。
一見取っ付きにくい落語という世界を扱っているので視聴は気が引ける、これも理解できる。
(落語の内容が解るかどうかはそんなに重要ではないし、知りたければググればすぐ出てくるが)

それでも10年20年経って、何かの縁で作品を思い出した時にでも観て欲しい。
この作品で描かれていることは、何十年経ったとしても色褪せることのないものだ。
自分はこの作品を、たとえジジイになっても愛しているだろうと自信を持って言える。
本当に名作と呼べるものは、そういうものではないだろうか。

2期だけでなく1期を通じて一つの物語として評価するに於いて、オリジナリティという面でも傑出しており、
自分がアニメに求めているもので、もはやこれ以上のものは望むべくもない。
原作者並びに製作に関わった方々の尽力には心から感謝したい。

投稿 : 2025/04/05
♥ : 24
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

刺繍だらけの鯔背な哥々

[文量→大盛り・内容→感想系]

【総括】
「粋」な八雲と、「いなせ」な与太郎、「小粋」な千夏。江戸時代の美意識によって生まれたようなキャラクターが魅力的でした。

相変わらずの「落語」の迫力(声優さんに拍手)!

1期のようなドロドロが減り、グッと観やすくなった印象。わりと(大人同士の)恋愛面がよくて、、、ていうか、小夏姉さん可愛いっす♪

序盤こそ停滞気味ですが、中盤以降はグッと惹き付けられますので、視聴を断念しないほうが吉です♪

1期から継続して、これだけガッチリとストーリーを魅せてくれるアニメもなかなかありませんので、絶讚オススメです(ただし、シリアス好きに限る)♪

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
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【余談 ~ 塩原多助一代記 ~】
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【各話感想(自分用メモ)】
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投稿 : 2025/04/05
♥ : 39

71.2 2 三途の川で死後の世界なアニメランキング2位
地獄少女(TVアニメ動画)

2005年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (814)
5098人が棚に入れました
最近、巷に或る都市伝説めいた噂が流れていた…。
深夜0時にだけアクセスできる「地獄通信」に怨みを書き込めば、どこからともなく「地獄少女」が現れて、憎い相手を地獄に堕としてくれる。晴らせぬ怨みや世に不条理はつきもの。納得できない理由や状況に抗えぬままに悲惨な運命を辿る者は多い。
地獄少女=「閻魔あい」は彼らの悲痛な叫びを聞きとげ、依頼主に契約の証である藁人形を渡し、「地獄流し」へ至る方法を語る。ただし、「その代償として自分自身も死後は地獄で永遠に苦しむことになる」とも言う。
地獄少女は全てを見通すかの様な涼やかな瞳を相手に向け、ただ一言告げる。「あとは、あなたが決める事よ」と…。

声優・キャラクター
能登麻美子、松風雅也、本田貴子、菅生隆之
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

人の世は諸行無常

本作はスタジオディーンが3期に亙って手掛けた「地獄送り」をテーマとした作品の1期目である。
序盤6話までは同じような話で進展が全く無いが、パターンアニメではないことを留意して欲しい。6話からは話が進展してゆく。


基本的なコンセプトは『必殺シリーズ』を元に「法で裁けぬ、晴らせぬ怨みを依頼者から引き受け成敗する」というものである。
依頼方法は『ゲゲゲの鬼太郎』を彷彿させるもので、ネット上に深夜0時に怨みを持ったもののみアクセス出来る「地獄通信」に依頼者がアクセスし、
怨んでいる相手の名前を入力すると、即座に地獄少女が現れ、首に赤い糸が結ばれた「藁人形」を渡し、地獄送りの手順を説明するというものである。
本作はただ怨みを晴らして(相手を地獄送りにして)お仕舞いという安易なものでなく、
「依頼人自身も命に匹敵する代償を支払う」という本作独自の設定がある。
そうした作風について、制作側は「“人を呪わば穴二つ”の言葉の様に、依頼者の人の命を奪うという願いには、それ相応のリスクが必要である」と語っている。地獄流しに出来る相手は1人のみで、一生に一回しか使えない。

地獄流しの手順

①怨みを持つ依頼人が地獄通信へアクセス、名前を入力
②地獄少女が現れ「首に赤い糸が結ばれた黒い藁人形」を渡す
③相手は即座に地獄送りにされるが、依頼者も死後地獄へ行く旨を依頼者に伝え、依頼者の判断に任せる
④依頼者が糸を引いた場合、場合により対象者は三藁にパラレルワールドで仕打ちを受け、罪を認めるように促す。
(認めても認めなくても地獄には流される)
⑤対象者は舟で三途の川を越え、地獄へ流される

本作は観ていて不快になる回が非常に多く、怨み(他からの仕打ちを不満に思い、憤り憎むこと)ではなく憎しみ(自分に不利益をもたらすものを嫌うこと)や僻み(歪んだ考えをすること)、妬み(他人が自分より優れた状態を羨み憎むこと)による依頼も進んで引き受けている。また特筆すべきは依頼人に18歳未満が多く(15/22)、判断力に乏しい中、刹那的感情から依頼したり、安易な気持ちで依頼するケースが多く、これは必要悪の限度を越えた由々しきシステムである。
他にも、三藁によるパラレルワールドでの仕打ちが大甘なのが非常に残念。もっと厳しくやって恐怖のどん底に叩き落して欲しい。水木しげるを好んで読む私としては例えば1話のしゃれこうべは眼球の垂れた生首くらいにして欲しい。
また、怨みを晴らされた側も現世で罪を償わせるべき。
こんな事ばかり言ってもそういう作品なので仕方が無いが。
只、8話から本格的に登場し始めた柴田親子により作品に対する考えが若干変わった。地獄少女は自分の正義により依頼を受けているわけでなく(依頼の拒否は出来る)、誰でも良いから地獄送りにしているようで、それに対し柴田親子が間違いを正すべく活躍するという話に傾倒していった。この点は非常に評価できる。

怨みは怨みの連鎖を呼び、留まることを知らない。人の世が続く限り怨みは消えない。只、人を怨むことは楽しいことではないので、進んで行うことはない。よって余程の事が無い限り人を怨むことは無いのだ。本作は遊び感覚で地獄通信にアクセスする描写があるがこれはとんでもないことだ。
例え怨みを晴らしたとしても、傷ついた心が癒えることや、無くなったものがかえってくることは無い。そのことが分かっていながらも溜飲を下げるために、遣る瀬無い気持ちを鎮めるために、人は人を怨むのである。

人を呪わば穴二つ
一つ目の穴は「自責の念」。人を殺したという強い認識は死ぬまで付きまとい身を蝕んでゆく。怨みの元と成った傷が癒えることがあっても、この認識が消えることはない。
二つ目の穴は「怨んだ者の周囲の念」。自分が怨んだ相手が、誰に対しても腐れ外道であることはほぼ無く、相手にも家族が居て、信頼している仲間がいるのだ。その人たちの怨みも消えることは無い。

因みに本当の語源は依頼者と対象者二人とも地獄(穴)行きという意味。

本作はしかも怨みを晴らすことを他人まかせにし、自分では一切手を出さないという汚い手で怨みを晴らす。代償として死後地獄に送られるが、これでは安いものだ。他力本願は時に罪なことである(私は浄土真宗(笑))。
特に本作の場合
①自ら怨む相手を殺害することにより殺人の実感を得る。
(他人に依頼する場合、金銭で埋め合わせが必要。)
②殺人の罪に問われるまでは、逮捕に怯えること、
捕まってからは罪刑法定主義に則った裁きを受ける(刑事面の裁き)
③殺人者の家族、親類は必ずと言って良いほど世間で差別・迫害され、縁者への迷惑など社会的責任を負う(民事面の裁き)
④殺人者は死後、極楽浄土(キリシタンの場合、天国)へ行けず、地獄へ落ちる。

これらの①~④の項目の内、地獄少女に依頼する事により、①~③から免れることが出来るのである。しかも、地獄少女への依頼は、「積年の怨み」のような重い怨嗟でなく、「気に入らない」「嫌い」「邪魔」などの軽い憎悪でも簡単に行うことが出来ることも安易な依頼へ拍車をかけている。


終盤の地獄少女の過去に纏わる話は面白かった。
中盤から柴田一家は完全に地獄少女に目を付けられ、終盤では酷いことになっている。柴田一とつぐみの親子の絆も感じられた。恐らく、柴田一家が登場しなければ視聴を中断していただろう。

・地獄少女の過去について
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本作は観ていて余りに不快だった為、各話毎に私の主観によるコメントと評価を付けた。
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観ていると不快になること間違いなし。しかし何処か引き込まれている自分が居る。鬱アニメと言うが私は鬱要素は全然無いと考える。胸糞悪いだけ。良くも悪くも人間は元来業の深い生き物だということだ。複雑な思いが交錯し、綺麗事で終わっていないのが救いである。愛情と怨嗟は表裏一体。
四苦八苦の内、愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦が象徴的に現れていた。
2期、3期もあるので是非観てみようと思う。

投稿 : 2025/04/05
♥ : 27
ネタバレ

くあれ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

一度は聞いたことがあるあのセリフ…「いっぺん○んでみる?」でお馴染みのミステリーホラー作品

あらすじはあにこれを参照。

一話一話メインとなるキャラが変わるので自由な展開が出来ていて退屈しなかった。内容のほとんどは不条理で胸糞悪いと思った。作画や音楽に関しては普通。

【第一話 夕闇の彼方より】
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【第二話 魅入られた少女】
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【第三話 汚れたマウンド】
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【第四話 聞こえぬ叫び声】
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【第五話 高い塔の女】
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【第六話 昼下がりの窓】
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【第七話 ひびわれた仮面】
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【第八話 静寂の交わり】
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【第九話 甘い罠】
あんまり覚えてないので、機会があったら観直す。
【第十話 トモダチ】
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【第十一話 ちぎれた糸】
あんまり覚えてないので、機会があったら観直す。
【第十二話 零れたカケラ達】
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【第十三話 煉獄少女】
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【第十四話 袋小路の向こう】
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【第十五話 島の女】
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【第十六話 旅芸人の夜】
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【第十七話 硝子ノ風景】
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【第十八話 縛られた少女】
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【第十九話 花嫁人形】
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【第二十話 地獄少女 対 地獄少年】
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【第二十一話 優しい隣人】
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【第二十二話 懺根の雨】
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【第二十三話 病棟の光】
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【第二十四話 夕暮れの里】
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【第二十五話 地獄少女】
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【第二十六話 かりぬい】
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投稿 : 2025/04/05
♥ : 3
ネタバレ

石川頼経 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

素直に名作と言える作品群です。

*別のところにも書いた文章ですが、なんだか、地獄少女を最近、四期の影響で見始めた人たちに「長い」とかいう批判が出てきたので反論と考察を長文でつらつらと書きます。

10年近く前のアニメたる地獄少女は三期までは一期につき「2クール×2=26話」が三期(計78話)続いたわけですが、それを今更、自分たちの基準で文句を言うのはどうかと思います。
この作品に限った事ではなく、最近のアニメ全体についてですが、「最近、アニメに対してせっかちな人が多すぎる」と思います。
最近のアニメは季節ごとの1クール作品主流ですが、たかだかそんな短い話しでも「展開が遅い」だの「中だるみする」だの文句を言う人が多すぎます。
そして2クール作品だと「長すぎる、1クールにまとめるべき」みたいな意見が出ます。
昔のアニメは基本的には4クール(一年)でしたし、ヒット作品や原作が長い作品だと二年以上(100話以上)やるなんてザラでした。
最近のアニメ視聴はたかだか一話や二話。たわいない話しや息抜き回があったくらいで騒ぎになり批判の嵐で「切る」とか言い出す人がいますよね?

なんだか、最近は「1クールアニメが基本」になってる人も多いようで、それを前提に批評している人も多すぎですね。
私は好きなキャラや作品が少しでも長く続くのは好きなので、長期アニメ肯定派です。
それに長期アニメなら多少、出来の駄作・凡作回、遊び回があっても、それはそれで「まあ、こんな回があっても良いか」と許容できる利点もありますしね。

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さて、作品の論評です。

個人的にはテレビシリーズのアニメとしては最高峰ともいえますし、
一部の作品は何度でも繰り返して見られます。
能登麻美子をはじめとした声優さんたちの怪演も良かったです。

強いて難を挙げると全ての回が傑作というわけではなく
「イマイチな回」が幾分あったというのが欠点ですか

まあ、それも2クール×3期という長丁場なので
イマイチ回があるのは仕方ないと言えない事もないです。

一期で個人的ベストは「硝子の風景」ですね。ただしいつもの地獄少女の構成を崩した異色回です。そういうのに良い話しがあるってのは実は結構よくある事だったりします。
他に「高い塔の女」「トモダチ」「袋小路の向こう」「縛られた少女」「病棟の光」なども好きです。
逆に一番、つまらないと思った話しは「優しい隣人」です。今更の盛り上がらない話しでしたね。

個人的には四期以降も作って欲しいですが、
それは難しいですね。と思ったら2017年7月から新シリーズが放映されるようです。

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特報です。
>「アニメ小冊子つき 地獄少女 傑作選 ~花鳥風月~
2017年7月より『地獄少女』新アニメシリーズが放送スタート!この新アニ>メの設定資料が入った小冊子を付け、『地獄少女』コミカライズシリーズの>人気ストーリーを集めたオムニバスを刊行。」

いやー、実に八年ぶりに新シリーズ実現とは・・・・
能登さんの声も大分変っただろうけど(悪く言えば劣化(?))、
幸い、閻魔あいはキャビキャピしたキャラではないので
能登さんが40になろうと50になろうと比較的。問題は少ないかもです

公式サイトでも発表されました。
http://www.jigokushoujo.com/

ただし、我々が期待していたようなものとはちょっと違っていて、
既成作の総集編六話+新作六話の一クールという事で、新作部分はわずか六話の短編ですね・・・
うーん、これでは早くも五期期待ですね。
とはいえ、これを応援しないと「本格的な地獄少女シリーズ」も始まらないので応援したいです。

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蛇足の考察
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余談
普通、声優のキャスティングはオーディションで決めますが、閻魔あい役に関しては原案者のわたなべひろしさんが「この役は能登麻美子さん以外、考えられない」とオファーを出したそうです」

投稿 : 2025/04/05
♥ : 23
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