ロボットで冒険なアニメOVAランキング 3

あにこれの全ユーザーがアニメOVAのロボットで冒険な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年03月09日の時点で一番のロボットで冒険なアニメOVAは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

73.5 1 ロボットで冒険なアニメランキング1位
FLCL フリクリ(OVA)

2000年4月26日
★★★★☆ 3.9 (583)
2494人が棚に入れました
後に「トップをねらえ!2」で監督を務める鶴巻和哉の初監督作品である。脚本は「少女革命ウテナ」「桜蘭高校ホスト部」の榎戸洋司、キャラクターデザインは「ふしぎの海のナディア」「新世紀エヴァンゲリオン」の貞本義行が担当した。

ベースギターを背負いベスパのバイクに乗ってやってきた謎の女・ハル子と彼女によって頭から変なモノが出てくるようになった小学生・ナオ太、彼と付かず離れずの関係で学校では孤立しているカメラ好きの女子高生・マミ美が主人公の不思議でサブカルな空気の実験的演出が多用された作品。

全編に渡ってthe pillowsの楽曲が使用され、物語の空気感を作る重要な要素となっている。
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

当たり前のことしか起こらない世界

喪失感とともに、バットを抱えたまま前に進めない少年。
恋人への想いにすがり、いじめを受ける少女。
川べりの街に建つ医療機器メーカーの工場。
同じ時刻に吐き出される煙は何かの狼煙のように見えた。
気怠い日常がただ過ぎていくはずだった。
ベスパに跨りベースギターを背負った
ハルハラ ハル子が来るまでは。

アニメーション製作Production I.G・GAINAX、
監督・原案:鶴巻和哉、脚本:榎戸洋司
キャラクターデザイン:貞本義行
音楽:光宗信吉、the pillows

エヴァンゲリオンを制作した後のガイナックスが
2000年にOVAとして手がけたSF青春アニメ。
クリエイターやコアなファンの間ではいまだに語り継がれる作品。
私はあにこれでキャッチしている人のレビューで初めて知った。
発表から20年近くも経って映画『フリクリ オルタナ』や
『フリクリ プログレ』が公開されたことからも、
OVAとして世に出たこの作品が、いかに幅広い人々から
支持されてきたのかが分かる。
ピロウズが海外で認知され、ライヴを行えたのも
この作品で音楽を担当したことが大きく影響した。

静かな展開は1話の序盤だけで、
ほかは全てがぶっ飛んでいる。
ギターリフが印象的なピロウズのロックがいつも流れ、
パロディやスラップスティックが展開されるなど、
クリエイターの遊び心が散りばめられている。
{netabare} バイクには轢かれるし、ギターではぶっ叩かれるし、
頭からロボットは出てくるし、人工衛星が降ってくる。 {/netabare}
エヴァンゲリオン特需のようなものがあったのか、
好きなことを好きなように作っている。

この作品を観ていると『うる星やつら』TVシリーズの
押井守時代後期の作風を思い出した。
優秀なクリエイターがどんどん集まり、
斬新なカットが次々と展開され、
『灰とダイヤモンド』や『2001年宇宙の旅』の
パロディが挿入される。子供に分かるわけがない。
また、タランティーノ監督の『キルビルVol.1』を
初めて映画館で観た時のことも頭に浮かんだ。

監督の趣味ともいえる分野を存分に押し出し、
危ういともいえる均衡を何とか保っている。
良し悪しは別にして、観ていてとても楽しい。

かと言って、過度なイメージとコメディが展開され、
そこにロックが流れるだけの
PVになっているかというとそんなことはない。
行き場のない心を抱えた少年少女を中心に据えた
青春ストーリーとして、しっかり成立させている。

平穏に見えた川べりの田舎町に起こる地球規模の災厄。
皆が色々な気持ちを抱えて生きている。
コメディの間に挟まれる詩的なイメージ。
この作品全体に流れている想いは
「振り切る」ことなのだろう。

私たちの世界では色々なことが起こるけれど、
日常は普通の顔をして、当たり前のように過ぎ去っていく。
鬱屈した心を抱えているだけでは何も変わらない。
バットを振らなきゃ話にならないのだ。
(2018年9月17日初投稿)

投稿 : 2025/03/08
♥ : 64
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

Jumpin' Jack Flash

鶴巻和哉監督作品、脚本榎戸洋司。
キャラクターデザイン貞本義行。
何と言っても吉成曜の参加が嬉しい。
アニメ界を牽引するIG×GAINAXの傑作。

退屈な日々を送る小学6年生のナオ太は、
謎の女が乗る愛車ベスパに轢かれてしまう。
{netabare}その日から、ナオ太のあり得ない日々が始まる。
頭から角が生えロボットが出現したのだ。{/netabare}
ベスパ女ハル子は世界を賑やかに改変し、
モヤついている少年の日常は彩られ始めた。

アートワーク、演出、オリジナリティ、
the pillowsのオルタナティブロック。
お洒落でポップな世界観が感性に響き、
超一流のクリエイターが、
遊び出すとこんなにも楽しい。
テキトーなセカイのテキトーなシナリオ、
アニメーションとはデタラメな夢なのだろう。

スゴイことなんてない、
当たり前のことしか起こらない。
少年は少年のままで成長を続けるのだ。

日常が少しづつ輝き始める、
楽しくて甘酸っぱい青春ワンダーランド。
きっと人生を色彩豊かにしてくれるはずだ。

投稿 : 2025/03/08
♥ : 43

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

すごいこともいつのまにか慣れて当たり前になっていく

GAINAXとProduction I.Gにより製作された全6話のオリジナル作品。
全編に光宗信吉とthe Pillowsの曲が満載。
PVのようだと言われるのはそのせいもあるかもしれない。

1話から個性の強いキャストが、いきなりありえない行動をするし
悪夢のような展開に唖然としてしまい笑えなかったのだけれど
2話からはその強烈な世界と凝りまくった演出に惹き込まれ、
やがてストーリーもテーマも意外にしっかりしていることに気づかされた。
ジャンルとしてはセカイ系になるのかな。

主な登場人物は・・
小学6年生のナオ太(たっくんとも呼ばれる)
ナオ太の兄のガールフレンドで高校生のマミミ
ヴェスパに乗りギターを背負った自称宇宙人の女ハルコ
そのほか、ナオ太の父や祖父、学校の友達、特殊入国管理官などが登場。
それぞれのキャラがとても濃くて面白い。

テーマとしては・・
「思春期のはじまり」「成長」「挑戦」ってあたりがキーワードだろうか。
小学6年生というまだまだ子どもな時期に感じる年上の女の子への想いや照れは
ナオ太が嫌いだという酸っぱいものとしてレモンスカッシュに
揶揄されている気がするし、大人の男女への嫌悪感と妄想に対しては
ナオ太がもう1つの嫌いなものとして挙げる辛いもの、激辛スナックや
激辛カレーパン、明太子に揶揄されているのだと思う。

酸っぱさはなんとなくせつなく、ほのかな感覚。
辛いものはどこか生々しさとイラ立ちを感じずにはいられない。

ギターが武器になったり、バットがギターになったり
心情と現実が交錯したり、さまざまなアニメ作品への
オマージュともとれるセリフがあったりしてクスッと笑える。
ちなみに眉毛が独特の特殊入国管理官、モッズコートを着て
スクーターに乗っているサングラス姿につい
古い映画『さらば青春の光』を思い出してしまった(笑)

また、挿入曲含めてすべての音楽が好みだったが
特にEDの「Ride on shooting star」が良かった。

作品としては好き嫌いがものすごく分かれると思うし、
わけがわからない、という感想を持つ人も多いかもしれないけれど
世界観に入り込めたらかなり楽しめると思う。
なんでもないようないろんな人のセリフがけっこう深くて、僕は好きだった。
でも小難しいことを考えるのは観終えてからじっくりすればいい。
まずはそう・・小学生の頃のような気持ちで観ることをオススメする。

投稿 : 2025/03/08
♥ : 36

60.0 2 ロボットで冒険なアニメランキング2位
ボトムズファインダー(OVA)

2011年4月7日
★★★★☆ 3.6 (24)
105人が棚に入れました
 遥かに深い崖の底にある世界“ボトムズ”。そこに、崖の上にあるという世界“トプ”へと想いを馳せる少年が居た。少年の名はアキ・テスノ。持ち前のAt(アルトロ)操縦技術からタンブラー(曲芸師)と呼ばれている。その彼に突然トプから、ディアハルトという男によってボトムズの地に誘拐された少女を助けて欲しい、との依頼が舞い込んでくる。二つ返事で引き受けるアキ。相棒のエイビィと“島”と呼ばれる廃墟へ向かい、ディアハルトのAtと対峙する。そして無事に少女の救出に成功!―――と思いきや、事態は予想外の方向へと!?

62.7 3 ロボットで冒険なアニメランキング3位
魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸(Webアニメ)

2020年4月1日
★★★★☆ 3.3 (13)
49人が棚に入れました
いくどとなく救世主としての役目を果たし、創界山の危機を救ってきた戦部ワタル。しかし、そのワタルに、最大のピンチが訪れる! 異変が訪れたという創界山へやってきたワタルだったが、そこで見たものは、蜃気楼のように揺らめく逆さまの創界山。色濃く立ち込める邪悪な気配に、ついには龍神丸の力も封じられ、バラバラにされてしまった。龍神丸を失ったワタルに与えられた試練。シバラク、ヒミコ、そして虎王――かつての仲間たちと共に、救世主ワタルの旅がいま再び幕を開ける!

声優・キャラクター
田中真弓、伊倉一恵、林原めぐみ、西村知道、玄田哲章
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

スタッフの『ワタル』愛が迸る“おもしろカッコいい”フィギュアPVアニメ

BANDAI SPIRITS・魂ネイションズの同名フィギュアシリーズから派生した
メディアミックス展開の一翼を担う
前編4話+後編5話の各話15分程度のwebアニメ企画。

【物語 3.0点】
懐古だけを狙い撃ち。

そもそも発端となった七体のフィギュア販売企画からして、
昔、『魔神英雄伝ワタル』シリーズを観て育った
“大きなお友達”以外はターゲットにしていない感。


“ドバズダー”の攻撃により、七つに砕けた「龍神丸」の魂と体を集めるため
「逆さ創界山」の七つの世界を巡り、
「龍神丸」のかけらである七体の魔神(マシン)を操り事件を解決していく物語。
行く先々でシリーズお馴染みのキャラクターとも再会を果たしていく同窓会風味。

本格的な大冒険には尺不足とも言えるが、
そもそも玩具のコンセプトPV級で十分な所、
四半世紀振りの新作アニメ級を作り上げ無料配信してしまった
スタッフの作品愛には脱帽します。


友情や人生訓といった教育的な内容をほんのり残していくシナリオも、
今の子供たちにも……と言うよりは、
そうそう!昔の低頭身マシンのロボアニメはこんな感じだった!
と懐かしさを刺激してフィギュア購買意欲を煽る内容。

終盤には、ワタルと虎王、二人の親友(トモダチ)の絆が最高潮に達した
熱いバトル展開からの→新フィギュアCM。
という『プリキュア』級の商魂を見せるw


尚、アニメでは描き切れなかった内容を補完する
web小説、ビジュアルストーリー、コミック展開もあり。
(私はシバラクのサイドストーリーしか追えてませんがw)


【作画 3.5点】
背景美術、人物作画共に安定度は可もなく不可もなく。

最終決戦では土埃を上げながら大地を這うように疾走、突撃する
魔神(マシン)バトルの醍醐味を好表現。


驚かされたのはキャラクターデザインの再現度。

オリジナルのキャラデザ・芦田 豊雄氏は既に他界。
代打の牧内 ももこ氏は『ワタル』の絵に憧れ
アニメ業界に入ったという筋金入りの『ワタル』ファン。

私も後で知るまでは、キャラデザ変わっていることに全く気が付きませんでした。


【キャラ 3.5点】
失われた「龍神丸」を取り戻すというシナリオ上、
メインの主人公少年ワタルと魔神・龍神丸との絆は毎回は描けない構成。

それでもヒミコが相変わらずギャグが下品で、忍術が気色悪くても
かわいいヘンテコくノ一ぶりで旅は賑やか。


個人的に注目だったシバラクの魔神(マシン)召喚方法は、
{netabare}公衆電話ボックス→スマホアプリに進化w{/netabare}


過去シリーズの敵合体魔神などもリメイクされ立ち塞がり懐古ムードを盛り上げる。


さらにシーン切り替えで“エクスキューズミ~”と通り過ぎて行くEXマンたち。
いちいち懐かし過ぎるわw


【声優 3.5点】
すっかりベテランの域に達したオリジナルの声優陣が大集結♪

ワタル役の田中 真弓さんの「龍神丸~」や必殺技ボイスに、
相棒だった龍神丸役の玄田 哲章さんの野太いボイスも健在。

ただ場面によっては、主役や虎王役などを中心に、
この声優さんの実力なら、まだまだ声が張れるはずでは?と首を傾げることも……。
音響も大御所だからって遠慮せずにリテイクすれば良いのに。
そう思うのは贅沢でしょうか。


ヒミコ役の林原 めぐみさんは往時と変わらずキャッキャッと安定して弾ける。


それにしても最終話で{netabare}「覚えとけ。いい男っての最後に出てくるもんよ」と登場した
クラマ役の山寺 宏一さん。
鳥さんのクセに、真打登場って感じで、何かカッコよかったです♪{/netabare}


【音楽 3.5点】
主題歌は前期のOPがa・chi-a・chi「STEP」、EDが同「a・chi-a・chiアドベンチャー」
(共に『ワタル無印』の主題歌)

後期のOPが高橋 由美子さんの「Fight!」、EDが同「君に止まらない〜MY GIRL, MY LOVE」
(共に『ワタル2』の主題歌)

ビブラートをかけない伸びやかなナツメロで
チビキャラ化した登場人物&魔神(マシン)が踊るお馴染みのED映像表現も交えて、
懐しさでのた打ち回る大人にトドメを刺すスタイル。

特に「Figit」のサビで“ファイ♪ファ~イ♪”と連発するフレーズ。
『2』の視聴当時、私もよく口ずさんでいたので、再現されて嬉しかったです♪


BGMもクライマックスで咆哮する高音トランペットなど、
往年の雰囲気を追求したアレンジ。


【感想】
高額映像ソフト販売等で資金回収する
アニメのビジネスモデル転換ムードが漂う中で復活した
極めてニッチな古の玩具ロボ販促アニメとしても興味深い本作。

徹底した懐古刺激戦術により、私も守銭の砦を何度も落されそうになりましたがw
今のところフィギュア七体大人買い等はせずに済んでいるようですw

ただ、これが「逆さ創界山」の短編じゃない、
長編「創界山」救世主伝説とかだったら危なかったと思いますw
(と暗に新作TVアニメ実現の願を飛ばしておきますw)

投稿 : 2025/03/08
♥ : 18
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