ロケットで戦闘機なおすすめアニメランキング 3

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ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月10日の時点で一番のロケットで戦闘機なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

71.9 1 ロケットで戦闘機なアニメランキング1位
王立宇宙軍オネアミスの翼(アニメ映画)

1987年3月14日
★★★★☆ 3.9 (275)
1127人が棚に入れました
所属が10人に満たず「失敗ばかり」「なにもしない軍隊」と揶揄され、世間に落第軍隊として見下されているオネアミス王立宇宙軍の士官・シロツグ=ラーダットは、欲望の場所でしかない歓楽街で献身的に布教活動を行う少女・リイクニ=ノンデライコとの出会いをきっかけにそれまでのその日暮らしの自堕落な生活を捨て、宇宙戦艦という名目の人類初の有人人工衛星打ち上げ計画に参加し宇宙を目指すことになる。

声優・キャラクター
森本レオ、弥生みつき、内田稔、飯塚昭三、村田彩、曽我部和恭、平野正人、鈴置洋孝、伊沢弘、戸谷公司、安原義人、徳光和夫
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

スペースモンキーズ

山賀博之監督作品、作画庵野秀明。
精鋭クリエイターたちが若さと勢いで、
精巧に作り上げたGAINAXの傑作SF。
音楽総指揮は、坂本龍一。

架空の国オネアミス王国が舞台、
役立たずの王立宇宙軍士官シロツグが、
人類初の宇宙飛行計画に志願し挑む様を描く。

物語は公表されているもので全て、
特別何もなく退屈さを感じるほどだ。
しかし理数系の夢、宇宙飛行士の夢、
アマチュア集団の夢、クリエイターの夢を乗せて、
{netabare}大きな花火が、夜空と真空を彩る、
ラスト10分に全てが集約され報われるのである。{/netabare}

猿から人類への歴史は火の歴史である。
そして火によって災いは数多く生まれるが、
我々は火によって生かされてもいるのだ。
歴史を間抜けな猿が始めたことだとしても、
人類の進む先が暗闇ならば灯を消してはいけない。

打ち上げられた猿には、
神様も見逃した小さな矜持がある。
そうだ、その猿は夢を持っていたのである。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 60

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

アニメの限界に挑戦してみた

<2022/10/17 追記>
続報です。
4Kリマスター版での劇場公開は10/28(金)からだそうですよ

<2022/5/21 追記>
今年の秋に4Kリマスター版で劇場公開されるそう。
10月かな。
映画館で見たら迫力凄いだろな
観に行きたくなってきた。

<2019/12/7 初投稿>
当時、新進気鋭の若手クリエイターたちが
GAINAXに集まって、
自分たちの作りたいものを、
自分たちのやりたいように作ったオリジナルアニメ映画
らしいです。

興行的には大失敗で、この失敗が後の「トップをねらえ!」や「新世紀エヴァンゲリオン」の誕生に繋がっていったのだとか。
1987年作品。

私はこの頃〜2002年ごろまでアニメ見る習慣なくて。
でも何故か本作は1990年代後半にレンタルで借りて観たんですよね。
なんで手に取ったのかよく覚えてないけど。

たぶん、
「異常なくらい細部に拘った丁寧な絵」
「とことん練り込まれた個性的なアナザーワールド」
をパッケージから感じ取ったのかも。

この2点は本作が他と一線を画すものです。
細部に拘った絵は、もうそうとしか言いようがない。
一枚一枚が時間をかけて作成されたイラスト画のよう。

そして、世界観。
テクノロジーは現実世界で言えばおそらく1900年代の半ばぐらい。
でも、文化・風俗は現実の世界とは全く異なります。
衣服や建物のデザインが全く違う。
食器や硬貨など日常触れるあらゆるもの少しずつ現実と変えている。
どの国をモチーフにしたとかそういったことが一切感じられません。

例えば硬貨。
この世界の硬貨は「金属の棒」です。
ちょうど麻雀の点棒サイズくらいの棒。
自販機で切符を買う際はこの「某」を穴に突っ込んでいきます。
超違和感 笑。

着る服も、軍人の礼服とかどこかで見たような気もするけどどこも思いつかない個性。
お洒落かどうかは置いておいて、
アニメのデザイナーってファッションデザイナーの才能も必要なの?
と思った記憶があります。

そうした細かいところにこだわり抜いた本作。

ストーリーは、現実とは異なるとある世界の、
新設されたばかりの「宇宙軍」所属の為、階級だけ高い、
やりたいことが見つけられない冴えない若い軍人「シロツグ」が主人公のお話です。

これである意味全て説明が終わってしまう。
そのシンプルさが素敵、という考え方もあります。

ただ一つ難点が。

キャラクターの心情描写です。
可能な限り表情や仕草で表現しようとしている。
まるで実写のように。

本作は純文学のように登場人物の心情がさりげなく、そして赤裸々に綴られていきます。

これ、実写映画だったら、実写でこの映像・演出だったら。
名作の部類だったと思うんです。

でもこれはアニメ。
つまるところ、表情や仕草だけで実写と同じ手順で感情を表すのは無理あると思うんですよ。
一コマの絵で伝えられる情報量が違いすぎるのでは、と。

アニメは実写に比べて「映像」としての情報量が少ない。
裏を返せばそれがアニメの強みのはずなのですが。
その強みを捨てて、ひたすら実写映画のような表現に寄せていく。
しかも純文学。
観てる側としてはまぁ伝わらないことこの上ない。

でもでも。
これはそういう「挑戦」なのかも、とも。

「アニメは実写を超えられるのか?」
という疑問を持った若きクリエイター共の挑戦なのかもしれませんね。

で玉砕。

そして「トップをねらえ!」「新世紀エヴァンゲリオン」へ

こういう挑戦は素敵だと思います。
「素敵がたくさん」by 灯里

本作はそういう風に観る作品なんだと思います。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 53

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

GAINAX(当時)の超本気。(京アニとは別の凄さ)

『ヤマタノオロチの逆襲』(← アニメじゃなく特撮)の上映会で本作の予告編を観たときには、こんなに凄い作品になるとはまったく予想しなかった衝撃作。

あらすじを書いたら一瞬で終わるんですが、まず作画が当時で言えば鬼レベル、今観ても充分に凄い。キャラクターデザインは好みが別れるかもしれないが、「人体が動く」とか「飛行機が飛ぶ」とか「ロケットを打ち上げる」とかを手描きアニメで描いたものとしてはおそらく究極レベル。

今のアニメーターは現在の単金でこんな作画は絶対にしてくれないだろうから、それだけでも観る価値がある。ちなみに一応劇場公開作として制作された本作だが興行的には案の定、予定より公開が延期になった上に爆死したらしい。

とはいえストーリーもあらすじから想像される以上には面白いと思うし、クライマックスシーンでは何度観ても感動する。映像ソフト化されてからは好評で 劇場公開時の汚名は雪(すす)いだと思われる。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 32

67.6 2 ロケットで戦闘機なアニメランキング2位
ザ・コクピット(OVA)

1993年10月22日
★★★★☆ 3.7 (46)
143人が棚に入れました
SFマンガ界の雄・松本零士の手によるもうひとつの代表作『戦場まんがシリーズ』を原作として制作されたOVA。オムニバス形式で3作品が映像化された。第二次大戦下、ドイツ空軍にてエースパイロットと称されたラインダースの栄誉は、一夜にして陥落した。夜間哨戒中に敵襲を受け、被弾前に愛機を捨て脱出したことから卑怯者としての烙印を押されてしまったのだ。そんな彼へ新たに下された任務とは、核爆弾を搭載した機体の護衛であり、それに乗り込むのは、かつて愛した女メルヘンナーだった。彼女は禁じられた兵器の製造に関わってしまった自責の念に囚われており、それを感じ取ったラインダースは敵襲を受けた際にある決断をする。(成層圏気流)「成層圏気流」「音速雷撃隊」「鉄の龍騎兵」からなる3本はそれぞれ異なる著名なアニメ監督が手掛けており、各人の個性が光る仕上がりとなっている。
ネタバレ

おふとん さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「死ななくてもよかった男たちがなぜ死んだのか」・・・敗者たちの物語。

原作は松本零士氏の戦場漫画シリーズ「ザ・コクピット」。93年制作のOVA。
1話完結のオムニバス形式による戦場漫画は松本氏のライフワークで、
他に「ハードメタル」「ケースハード」「コクピット・レジェンド」等の諸作品があります。

主に第2次大戦時の日本・ドイツの一兵士(架空の人物。実録戦記ではなくフィクションです)を主人公に、兵器にもスポットを当てつつ、彼らが何を想い戦い、如何に敗れていったかが描かれています。

戦場における敗北は死に直結しますので、当然主人公が死んでしまうお話も多いわけですが、
単純に戦場のダンディズムや滅びの美学を讃美するようなものではありません。

OVA化された3作品を観て頂くだけでも、松本氏がシリーズに込めた想いが伝わってくると思います。
無謀な戦争に若者を駆り立て死に追いやる国家や、国家公認の殺し合いの場である戦場の「狂気」への批判を、キャラたちのセリフの端々から感じ取って頂けるのではないかと。
(ただし、3作品全編通して反戦一色の激鬱アニメというわけでもないですよ)

私の印象に残っているセリフを一言づつ。それと各作品の史実における背景を少々。


・「成層圏気流」・・・1944年8月ヨーロッパ戦線。ドイツ上空における夜間航空戦。

{netabare}「イヤな時代だ・・・人間は銃剣で渡り合うぐらいのところで、やめておくべきだったと思うよ」

6月の連合軍によるノルマンディー上陸作戦により、ヨーロッパに西部戦線が形成され、
東部戦線でソ連軍に押され後退を重ねていたドイツは、苦しい二正面作戦を強いられることに。
ナチスの支配体制も揺らぎを見せ始め、ドイツの敗北が既定路線に乗ったと言ってよい時期。{/netabare}


・「音速雷撃隊」・・・1945年8月太平洋戦線。九州・沖縄方面における航空特攻作戦。

{netabare}「オレは、ロケット工学を学んだからよくわかるよ 桜花を設計させられた技師は、とても悲しかったに違いない・・ なのに、造る限りは高性能を目指さねばならない・・ 悲しくて・・・悲しくて・・・・ 何しろ、桜花には人間が乗っていくんだからね 飛び出したら、二度と還れないロケットなんだからね」

前年10月、レイテ海戦の大敗で聯合艦隊は組織的戦闘能力を失い、フィリピン失陥により南方資源
地帯との補給路も断たれ、既に敗戦は確定的。航空戦力による絶望的な反撃が行なわれていた時期。
ハード・ソフト両面で極限の域に達していた米艦隊の防空網を突破して攻撃を行うのは困難を極めた。
史実では本土決戦に備え戦力温存が図られていた8月に、大規模な特攻作戦は行われていない。{/netabare}


・「鉄の竜騎兵」・・・1944年太平洋戦線。フィリピン・レイテ島における地上戦。

{netabare}「馬鹿!我が日本軍は命令がない限り死んでも逃げたりはせんのだ!!百年でも二百年でも頑張るのだ!!!・・・・・・・・えっらい国に生まれたなぁ」

大本営の戦況判断の誤りから、現地軍司令部の反対を押し切って行われたレイテ島地上戦。
ルソン島に集中させていた兵力を、アメリカ軍の大部隊が待ち受けるレイテ島に逐次投入した結果、
投入兵力約84,000人、戦死者約81,000人、戦死率約96%(各数値は諸説あり)という地獄を現出。{/netabare}


好き嫌いが極端に別れるジャンルであり、古い作品でもありますので、これから観ようという方はあまり居ないかと思いますが、「音速雷撃隊」と「鉄の竜騎兵」はぜひ機会があれば観て頂きたい作品ですね。

追記:ED曲「悲しいときはいつも」(松田博幸)は一般に殆ど認知されていない隠れた名曲です。


【投稿履歴】
2013/05/02 初稿
2013/09/20 改稿

投稿 : 2024/11/09
♥ : 10

オパマ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

「音速雷撃隊」のみの評価。

短編3話が収録されているオムニバス形式だが、そのうちの「音速雷撃隊」のみを評価したい。

私はミリタリー好きではあるし、自衛隊の国軍化に賛成のやや右寄り思考だ。
だが、最初から死ぬと解っている自爆攻撃を推奨した当時の帝国日本は大嫌いだ。

私の大叔父は遺書ではお国のためと、立派な事を書き遺していたが、出発前夜には「行きたくない」「死にたくない」と母親にすがって泣いていたそうだ。
その後、帰らぬ人となっている。
もう一人の大叔父は軍艦と一緒に海に沈んだ。

身内に戦争で亡くなった人がいる自分としては、胸が締め付けられる思いでこのエピソードを視聴した。

この作品は一つのアニメとして質が高いが、反戦作品の一つとして捉え、観て欲しい。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 6
ネタバレ

メルヘン◆エッヘン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

今でも覚えているのは、一話目 成層圏気流

成層圏気流は、考えてみればなかなか衝撃的なお話だった。
{netabare}
大量破壊兵器を葬るために愛する人を撃ち殺すわけで、
筋立てとしては
{/netabare}なかなかよくできている話。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 5

57.8 3 ロケットで戦闘機なアニメランキング3位
Project BLUE 地球SOS -プロジェクト・ブルー(TVアニメ動画)

2006年夏アニメ
★★★★☆ 3.3 (34)
148人が棚に入れました
西暦2000年、人類は公害を出す事の無い究極のエネルギー発生装置・G反応機関を利用した爆発的な技術進歩と調和の時代を迎えていた。そんな折、地球首都・メトロポリタンとニューヨークをわずか1時間半で繋ぐ超弾丸列車・イナズマ号が開通式当日にナゾの光に包まれ、文字通り“消失”するという奇怪な事件が発生した。偶然消失の場に居合わせた2人の天才少年 ― ビリー・キムラ、ペニー・カーター ―は事件を調査するうちに、世界各地で同じような事件が続発しているという事実を知る。

おみや さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

昭和と平成のミックス作品。(違和感は否めないが、、、)

バンダイチャンネルにて視聴。

もともとは小松崎茂さんという昭和のイラストレーター(主にメカ系
を得意としてました。)が1948年に発表した作品です。

ですので作中の都市やメカ(宇宙戦艦、戦闘機、敵の円盤、等)は
当時のレトロな感じで表現されています。
昭和生まれの方なら見れば「ああ、そういうことね。」って感じです。

それに対しキャラは思いっきり平成の作画で描かれています。
このミックス感がなんとも、、、不思議に思えました。

ストーリーはバリバリの昭和テイストで、簡単にいえば地球侵略に来た
バグア遊星人(このネーミングも今じゃ浮きますね。)を2人の天才少年
が中心になってやっつける内容です。

どちらかというと、低年齢層向け(小学生あたりか)の作品かなぁと
思います。

ただ特筆すべきは1948年の作品ということ。
終戦が1945年ですから、わずか3年後にこれだけの空想を巡らせた
という事はとてもすごいことじゃないかなぁ、、、。
人間が月に到達するのがその21年後ですからねぇ。

まあそんなことで、普段観ている作品とは離して作品自体の時代背景を
頭に入れた上で視聴していただければ少しは楽しめるんじゃないかな。

おまけ
OPはなかなかカッコイイです。(おしゃれな感じ)

投稿 : 2024/11/09
♥ : 16

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

他の追随を許さない"不死身の男"ジェームズとスカイナイトの活躍に刮目せよ

サンダーバードとかのプラモのボックスアートで有名な小松崎茂先生による※1絵物語「地球SOS」が原作のSFアニメ。

物語の主人公はペニーとビリー二人の天才少年。人類と異性人の熾烈な戦いを、切磋琢磨して成長する少年達の姿と共に描きます。

いきなり酷評ですが、この作品、SF作品でありながら原作が古い所為なのか、脚本にかなりの強引さを感じます。たった二人で敵要塞を破壊するとか、制御パネルを壊してドアにロックを掛けたり、素手でロボをやっつけたりとか‥、味方の弾は当たって敵の弾は当たらないというシーンは、古い漫画とかでは特に良く見られるお決まりの描写ですが、絵柄や演出が刷新された新しいアニメ作品にそれらをそのまま転用すると違和感を禁じ得ず、ご都合主義とSFという組み合わせの相性の悪さを感じました。

中でもレビュータイトルにもある、神出鬼没であまりにも頼りになる"不死身の男"ジェームズの存在は極め付けで、科学力でも数でも勝る、並み居るUFO軍団をたった一機の戦闘機で壊滅させたり、少年達のピンチに絶妙なタイミングでバイクで駆けつけたり、何でも出来てしまう所がとても痛快なのですが、この人が一枚噛めば必ず事態が好転してしまう為、物語の緊迫感をかなり減退させている印象がありました。このジェームズという人、完全無欠なナイスガイの上、誇張無しにスーパーマンなので、ある種、水戸黄門の印籠的な存在としか評価出来ない場面も多々ありました(笑)

会話パートについて、両者とも若年の天才であるゆえの孤独を抱えている、冷めたペニーと傲慢なビリーのライバル関係、ぎこちない会話を重ね、お互いの才能を認め合ってゆく姿、次第に深まっていく友情ドラマついてはとても好感が持てました。

一方、地球軍の実質的な司令官に当たるブレスト博士とジェームズの問答を始めとし、幾度も繰り返される「危険過ぎる」に続く「やらなければいずれ人類は侵略される」という台詞回しについては古典的な三文芝居の一場面を見る様で脚本の無駄を感じました。結末が最初から決定している不毛な会話なので、全て取り除くか、もうちょっと決断に説得力を加える様な合理的な説明が欲しかった気がします。

科学描写について、SFらしく表層をかためているものの、結局はG反応炉とか、天使の髪とか、エレメントXとか、重要な部分の多くを便利なファンタジーの産物に頼り切っていたり、敵であるバグア遊星人の描写にばらつきがあったり、徹底さに欠ける印象が残りました。

SF小説なら、例えば無尽蔵のエネルギーだったら、反物質とかレーザーによるエネルギー送信とかでの正体を説明してくれたり、生物の正体も~の遺伝子、酵素に由来するとかで説明してくれたり、既存の科学、あるいはその延長上にあるかも知れない未来の科学で説明してくれるので、知的好奇心を書き立てられるのですが、説明不能なファンタジーとなると、そういった知る楽しみが得られず、どうしてもSF物語としての面白さに欠けてしまいます。(G反応炉の説明ではありませんが、後半には一応"対消滅エンジン"という語を含む台詞はありました。)

またキルリアンエネルギーという言葉、この作品で初めて知ったのですが、そんな得体の知れないものを持ち出すよりも、ただのサーモグラフィーで十分だったのでは?と思える場面もあり、この様なわざと似非科学っぽい方向へ持っていこうとする試みを見ると、製作者の目的がSFを描く事にあるのではなく、単に懐古にあるのではないかと疑いたくなってしまいます。

スカイナイト、ヘルメットワーム、スーパーモール、ピンクのスーパーカーなど、登場するメカについては、どれもカッコ良く描かれていますが、やはりテクノロジー描写の方は割とかなりイイ加減で、デザインも「謎の円盤UFO」「宇宙戦争」「サンダーバード」などの古典特撮のメカからの流用が殆どなので、斬新さに欠け、リファインバージョンの枠を出ないという印象でした。後半に登場するインビンシブル号についても、ファイナルファンタジーとか実在の空母ではなく、恐らくスタニフワフ・レムの「砂漠の惑星」からの引用という徹底の模倣振り‥。キャラについても一部ハリウッド映画から飛び出た様な、役柄も風貌をそのままに近い人が何人も登場していて、パロディ色をより一層強めてしまっていた様に思います。

上記の様に説明不十分な科学描写やパロディがあるのに「他の追随を絶対に許さない」とか「圧倒的スケール」とか、終幕時のナレーションで言い切ってしまうので、的外れの自画自賛の印象を抱いてしまい、これも心から楽しめない一因になりました。

超高性能戦闘機の"トリックスター"及び"スカイナイト"の航空アクションについてはスピード感が際立っていて、飛び抜けて素晴らしい映像だったと思います。ただ、敵側の主力兵器であるヘルメットワームの動きが単調なので、ドッグファイトとかがほぼ無く、ただのジェームズ無双の様に見えなくも無いのは残念でしたが‥。

エンディングテーマ「風の産声」に続く、次回予告の関西弁による漫才(主にビリーとベニーの)については、シリアスな作風に水を差す以外の意味を見出す事が出来ず、むしろ聞くと興が削がれてしまうので毎回飛ばす様にしてしまいました(汗)

手塚治虫先生や石ノ森章太郎先生の時代のSF漫画でさえ、既存の科学に即した描写が多く見られたのに、今から10年前の作品である本作はまだしも、最近のアニメ(極一部を除いて)では、それを無視しても良いとする気風があるのは奇妙な傾向です。何となくアニメの乱造と関係がある様に思えてなりません。

難しいテクノロジーでも、かいつまんででも説明してくれれば、SFとしての説得力に深みが出ますし、それが物語の整合性を際立たせる演出にもなるのでしょうが、あんまり難解な説明だとかえって鈍重な印象になったり‥バランスが重要なのだと思います。

全てのSFアニメに「攻殻機動隊」とかで描かれる様な精密な描写を求める訳にはいきませんが(その基準だと殆どはじかれてしまいそうなので)仮にもファンタジーでなくSF、あるいは空想"科学"とするならば、せめてそれよりもやさしい「サイコパス」とか「紅殻のパンドラ」くらいの合理的説明が必要なのではと思ってしまうブリキ男なのでした。‥説明が難しくても、専門用語とか飛び出しても、後でwiki見て調べるので(笑)

以上全体的に酷評となってしまいましたが、色々と見所はある作品だと思います。古典SFや特撮もの好きの方には軽い気持ちでお勧めしたいアニメです。


※1:漫画雑誌「冒険活劇文庫」で1948年から連載していた作品だそうです。打ち切りで終わってしまったらしい‥。

※:レビュータイトルの「~に刮目せよ」は作中ナレーションからの引用です。失礼な言い回しでスミマセン(汗)

投稿 : 2024/11/09
♥ : 9
ネタバレ

PeachFly さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.4

残念! レトロの焦点がちょっとずれてる

2006年のアニメで、レトロな雰囲気を出そうとしたけれど、いまひとつ的を得ていないような作品でした。

レトロって何でしょう? ストーリーが昔風なのはわかります。では、レトロの真髄は? 勧善懲悪、完結大団円、主人公がヒーロー、派手なアクション …いろいろ考えられますが… 

私が感じるところは、レトロ(懐古)アニメはストーリー、脚色はとってもシンプルなんだけど、その中に人々の思いが複雑に絡んでいて、またストーリーの展開は、各話はばらばらでも、全話を通じた共通の目的意識みたいなものがあってと… レトロ作品の中で良い作品というのは、そこが上手く表現できている…と思っています。

では、この作品はというと…
{netabare}
画風は古いです。わざと古さを表現したような感じで、「昔風をわざと装った」という感じが拭えません。 タイトル、OP、次回予告のキャッチ…と、すべてにおいて古臭さ全開なので、ちょっとやりすぎの感があります。

登場人物のキャラクター、台詞は、…これも「レトロを上手く表現した」のではなく、「古いアニメを真似たけれど、真髄のコピーにはいたらなかった…」というところでしょう。
聞いていて歯が浮くような台詞が各所に出てきますが、どうにもその場面とマッチしていないようです。

登場人物の関係が薄いのは、今のアニメでもあることですが、主人公二人の立ち位置がどうもわかりません。 各所にそれらを説明するようなイベントを設けているけれど、それらが上手く伝わってきません。

ストーリーの設定で、いわゆるお気楽設定の「時空の超越」、「敵は実は地球を脱出した人造人間の末裔だった」、「たかだか30年前に今後100年かかっても成し遂げられないような発明がたった一人の科学者でされている」、「最強・最先端の空中要塞が完成・発進したが、後話になって、実はその要塞を遥かに凌ぐ戦艦をそれ以前に作っていた…」等、いささかギャグめいたストーリー展開であり、レトロとは観点がずれた作品となっています。
{/netabare}
最後に、声優に大原さやかさんの名前があったので見てみましたが、キャラクター設定が特に大原さんじゃなくても良かったのでは…ということで「残念!!」でした。

また観ることはないですね~。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 3
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