ぺー さんの感想・評価
3.4
ねえ本気で早く人間になりたいん?
往年の名作リメイク
『妖怪人間ベム』といえば?
ベム・ベラ・ベロの三人組
早く人間になりた~い
民放のアニメ特番などで繰り返される表層部分。知ってるはこれくらい。
前作(前々作)を知らないため、ベラがかわいくなってると言われてもピンとこない私です。
政治・経済の中心地“アッパーサイド”と貧民街“アウトサイド”に二分化された“リブラシティ”という街が舞台。頻発する怪事件の裏ではなにかしらが暗躍。
アッパーサイドでポカしちゃった若手の女性刑事ソニアがアウトサイドに左遷されてーの赴任日から物語が始まる、という導入です。
主役の三人。普段は見た目人間の仮の姿で行動し、敵やピンチに遭遇した時だけ見た目醜悪な本当の姿に変身して闘う模様。
この三人がいつか人間になるべく、善行を重ね人間を助けて、でも真の姿を見せちゃうと忌み嫌われて、というジレンマがもの悲しく見えるお話でした。
「早く人間になりた~い」理由も深いものがあります。
で、この『BEM』です。
タイトルをアルファベットに替えるとやりたい放題できるんでしょうか。
その昔、『GOEMON』という石川五右衛門である必要あるんかいな?な戦国物のフリしたSF映画がありました。そちらとの既視感がハンパありません。
オサレ感の演出に余念がなく、「既成概念を跡形もなく破壊する」という公式サイト(『GOEMON』のほうね)の紹介文よろしく好き放題やった結果、原形留めてますかね?的ななにか。
OPは椎名林檎。ED降谷建志が楽曲を提供し両曲ともオサレです。劇伴もジャジーで大人ムード。
物語も実際のところ第一話、第二話は良かったのです。そして巡り巡って終わってみたら尻すぼみという帰着。
前作を知っていればその比較でどうぞどうぞ。
知らなくても作品が伝えたかろうテーマは悪くないです。
■良かったところ1
序盤です。
ネタバレレビューを読む
ネタバレレビューを読む
■良かったところ2
人間になる確実な方法がわからないこと
答えのない道を探すのはやる気の維持も覚束ないものです。事実ベロは及び腰だったりするのがリアル。
ネタバレレビューを読む
後付けで旧作の設定も調べてみて、やはり深みがありそうな気配は感じるのです。
外形を留めてないと述べましたが知る由もないのであくまで想像です。
作中ではその深みみたいなものの説明が不足しておりますが、別のものを作る意図があるのであればそれはそれでけっこう。
別個のものとして、そして先入観なく視聴した結果、物語としても訴えてくるものが少なかったかな~という全体の印象でした。
理由は大小いくつかあれど一点だけ。
■極めて悪かったところ
悪役担当に魅力がありません
容姿は異形ながら心持ちはむしろ下手な人間より高尚だったり綺麗だったりなベムら妖怪人間三人です。
私怨や公憤なんでもいいのですが、主役三人と敵対するキャラに説得力がないと彼ら三人の輝きも限定されてしまいます。
本作で感じたのは、三人を迫害したい描写だけがほしいという雑さでした。
ネタバレレビューを読む
ネタバレレビューを読む
ネタバレレビューを読む
ネタバレレビューを読む
これはB級コレクターさん向け作品です。
視聴時期:2019年7月~9月 リアタイ視聴
-------
2019.10.16 初稿
2020.04.14 タイトル修正/修正