ラブレターで貴族なおすすめアニメランキング 2

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのラブレターで貴族な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月08日の時点で一番のラブレターで貴族なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

65.4 1 ラブレターで貴族なアニメランキング1位
超訳百人一首 うた恋い。(TVアニメ動画)

2012年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (371)
1670人が棚に入れました
はるかな昔から、歌い継がれ、愛されてきた百人一首。 藤原定家が選定した百の和歌には、現代の私たちも共感できる 普遍的な“人の思い”がみごとに詠みこまれている。 とりわけ、「恋」の和歌にこめられた思いは、驚くほど昔も今も変わらない。 そんな百人一首の深い魅力を、恋の歌を中心に、アニメと超訳でわかりやすく お届けします。

声優・キャラクター
梶裕貴、諏訪部順一、早見沙織、遠藤綾、内田夕夜、千葉進歩、下野紘、大原さやか、遠藤大智、小林沙苗、森久保祥太郎、宝木久美、代永翼、佐藤祐四
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

<最終回まで視聴完了> 恋する想いはどれほど時代を経ようとも

<最終回の感想>

百人一首の選者であり、全話を通してパーソナリティ役を務めていた定家が
今回の主人公となり、とてもきれいにまとまった最終回だった。

この作品が一番言いたかったこと。
定家自身もそう想って百人一首を選んでいたのではと
思わせてくれるような説得力があった。

また全話通して、当時の身分の差からくるせつなく哀しい想いや男女のルール、
雅やかな衣装と歌の世界を、現代語を交えた斬新なシナリオで見せ
わかりやすかったし、引き込まれたエピソードも多かった。
結局、どれほど時代が変わっても、やはり恋というものはいつの世も
同じ想いに駆られるものなのだということを、時には面白おかしく
時には親心なども交えて幅広い世代に共感を呼んだのではないだろうか。

キャラデザや作画、演出には好みが分かれるかもしれないし
最新の技術を駆使したスピード感あふれるアニメに慣れた人からは
いくらか退屈な部分があったかもしれないけれど、そのあたりは
平安の世を描いていたからこそ、逆にこれで良かったのかもと思うし
個人的には毎回楽しみにできた大好きな作品の1つになった。

残念ながら1クールだったので当然百首には叶わず、恋を詠んだ歌も
まだまだ他にあるのだけれど、仕方ない。
でも最近また、百人一首の解説本を引っ張り出して読んでいたりして、
そんなきっかけを作ってくれた嬉しい作品だった。

今回の最終回で式子が言った言葉・・・
{netabare}
「不自由さの中、歌だけが自由で、歌の中でだけは自由でいられるのです」
{/netabare}

・・・あまりにも深く共感しすぎてなんだか耳から離れない。
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<12話の感想>

せつない話が続いて今回は身分の違いから結ばれぬ運命にある2人の悲恋。
身分など考えなければ、ワイルドな雰囲気の道雅と
無邪気で明るい当子はお似合いのカップル。
しかも出会いは当子が幼い頃で、きっかけはとある約束ときた。
同じエピソードの流れを前半は道雅視点で、後半は当子視点で描き
どこでどうすれ違っていったのか、よくわかったけれど
この演出法を25分間の間で見せるのはいささか、もったいない気がした。

それに、娘とその恋人の仲を引き裂いておきながら、
娘の恋路に理解を示してやれないとかで世を墓なんで出家を
考える父親ってどうなの??
いくら天皇だからとはいえ、出家するくらいならその勢いで
娘の想いをもう少し汲んであげても良かったのでは・・などと
思ってしまうのは、半分以上現代風にアレンジされた作品だから
なのかもしれない。

さて来週は最終回のようで・・どんなお話でまとめられるのか楽しみ。

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<11話の感想>

これまたせつないお話で。
そのせつなさは、あの時代の女性同士だからこその部分もありつつ、
現代にも通じるものがあるなぁと。
「女のクセに」と言われながら才気を発揮していった香子(のちの紫式部)と
「女のクセに」と言われながらお転婆の限り腕力をふるった藤子。

「男になんか負けない」と目標を持ち、笑いあっていた年月も過ぎ、
その先に立ちはだかるそれぞれの壁。

藤子に「あなたが男だったら良かったのに」と言われ
かつて父親からも「男に生まれてくれたら良かった・・」と言われた香子が
唯一の理解者であった親友・藤子を想う気持ちは、
痛いほど伝わってきた。
そして再会を素直に喜べないまま無視してしまった藤子の想いも
わからなくはなかった。

視聴しているこちら側としては、双方の心の揺れも昂ぶりも
しっかり観れているから納得するけれども、
当の本人達は電話もメールもない時代で、心を打ち明けるとしたら
それはもう文しかないわけで。

紫式部の「めぐりあひて 見しやそれともわかぬまに
雲隠れにし 夜半の月かな」というあの歌が
焦がれ親しんだかつての友を想うものだったとは、知らなかった。
とはいえ、これは百合的に描かれたまま観るべきものではなく、
幼馴染で育ったという環境が背景にあって、なおかつ
逆境の中でお互いの才能の唯一の理解者だったということが深い友情を
生んだのだし、そこを履き違えてはいけない気がした。
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<10話の感想>

今回は百人一首の中になぜ、定子様の歌が選ばれなかったのか、そして
「枕草子」に清少納言が託した想いとは・・という2つの話だった。
一方、行成とのその後、実方のその後も描かれ、せつなかった。

また、悲運に見舞われた定子の、死の直前に詠まれた歌は
あまりにも悲しいもので。
でも枕草子には、定子との楽しかった日々のみが書かれており、
それを見た藤原定家が何を感じ取ったかは、すごく共感できた。

楽しかった思い出は前向きに今を頑張るためにある。
という言葉がとても印象に残った。

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<9話の感想>

ともに親が有名な歌人であるがゆえに和歌が苦手と言うことで
意気投合した藤原行成と清少納言のお話。
気が合う部分が多くても、すぐに恋愛に発展するわけではなく
苦手な和歌で無理やり、やりとりをするより、手紙の往復。
その文章にしても、会った時の会話にしても、なかなかスパイシー(笑)
一筋縄ではいかない関係に、周囲も無関心になっていき。。
だからなのか、すごく余裕を感じさせるし、面白かった。
でもあんな皮肉ばかり言ってる会話は、実際疲れそうだし
長い期間そんなことしてると本当に友達のままになってしまうよね(苦笑)
次回はそんな2人のゆくえも描かれるようで、すごく楽しみ。

この作品の今までの話を振り返ってみて、小野小町のエピも良かったけれど、
清少納言にまつわるエピは重なる部分や共感する部分が多いからか、
さらに心を揺さぶられてしまう・・

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<8話の感想>

前半は、後の清少納言となる諾子の兄の、遠距離恋愛の話。
信じるものが何も無い人生は死に等しい・・確かにそうかも。
けれど、信じ続ける、想い続けるのは難しく、人の心は移ろうもの。
前半の話にもけっこう共感できたけれど、少し幼い感じがして、
それゆえにか後半の話がとても大人の恋に思え、感動した。

のちの清少納言となる諾子と藤原実方との恋の行方。
彼女の才能を何よりも愛した彼の決断と、その本音。
自分の出世より彼を愛する想いを優先させたい彼女の気持ち。

記憶と重なるセリフや想いに、観ていて思わず
心揺さぶられてしまった。
そして今回、実方の表情が特に繊細に描かれていて素晴らしかった。
気づいたらボロ泣き。
それに今回、前半と後半の2つの話の組み合わせ方が秀逸。

{netabare}
在原業平と同様、光源氏のモデルとも言われた彼、藤原実方。
意地悪な見方をすれば、プレイボーイらしい別れ方なのかもしれないが、
自分が見込んだ彼女の才能が開花した華々しい姿を見届けるために
あえて一緒にならない道を選ぶことや、予想通り羽ばたいている彼女の
成功をみつめながら冗談を交わすそのひそかな愛情は、とても切なく、
そんな身の焦がし方は大人の恋ならではと感じた。

想うままに自分の傍に引き寄せることばかりが愛じゃなく、
あえて突き放したあと、男女の友情を成り立たせてしまう。
実際はそのほうが長続きする関係も多い。
さすがだわ実方様(笑) 鮮やか過ぎて何も言えへん~
{/netabare}

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<7話の感想>

リアルタイムで観た時、ちょっと酔っていてうろ覚え。
2回目観て共感しながら後半爆睡。
3回目観ながら和歌を堪能、もう一度確認したくて4回目視聴。
なぜかこの7話だけ4回も観てしまった(笑)

対照的な男性2人だけれど、どちらもなかなか魅力的。
前半の源保光の娘の素直なしとやかさも良かったけれど
後半の高階貴子の結婚に対しての固定観念がなかなかリアルで
興味深かった。
どっちの結婚が幸せかなんて野暮なことは考えないけれど
観終えた後でじわじわ、いろいろ考えてしまう回だった。

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<6話の感想>

いやはや、番組間違えて録画してしまったかと思ったよw
今回は完全なるパロディ回。
G1だったり、徹子の部屋や新婚さんいらっしゃいだったり、
ホストクラブやカジノも登場~で、設定はしっかりしてるのがミソ。
なかなか盛りだくさんな構成でいながら、よくまとまってたし
最初から最後まで笑い通しだったせいもあり、あっという間に終わったw

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<5話までの感想>

百人一首の中でも、主に恋にちなんだ短歌をテーマにした
コメディ・タッチのストーリー。

平安時代の歌の世界観や人物たちの会話の中、「オタク」や「コスプレ」
「聖地巡礼」や「スルー」などといった流行語や現代語を交えた言葉や
現代訳が登場するので、古典を本格的に楽しみたい方からは賛否両論
あるかもしれないが、間違った解釈はしていないし、現代人にはとても
わかりやすく共感しやすくなっている分、親しみも感じやすい。

OPやEDの音楽も、百人一首の世界を意識した歌詞でありながら、
あえて現代の先端をいくような音楽にしていることに意味があるというか。
短歌という限られた文字数の中に想いを含ませ、恋する気持ちや
自分の本音をしたためた平安時代も、根底に流れている想いは現代と同じ。
時代がどれほど変わっても、恋する想い、愛する気持ちは変わらない
ってことが言いたいのだろう。

恋をすると誰しも、詩人になったりするしね。
また、今の世に名と作品を残している平安時代の歌人もまた、
現代の詩人や作詞家と同じように、歌を自分の居場所とし
形あるものとして残していくことに、自分の存在意義を感じていたのだなと
そんなことを思えると嬉しくなる。

なので史実に基づいた忠実な再現ドラマにするのではなく、
ある程度は資料を基にした関係や事実だとしても、今風に置き換え、
最終的には百人一首を深く理解していれば良いのだと思う。

構成も見やすく、毎話・・その回に登場する詠み人を主人公に
それぞれエピソードを展開ながら想いや交流を描いている。

監督は『ハチミツとクローバー』や『のだめカンタービレ』などで
おなじみのカサヰケンイチ氏
シリーズ構成は『うたプリ』などの金春智子さん。
キャラクターデザインは『君と僕。』『ちはやふる』
『銀河へキックオフ!』のつなきあき氏。
ってことで、スタッフ見ただけでも観る気満々だったが
キャストのほうも、以下の通り豪華な顔ぶれ。
もともと古典は好きだし、もう観ないわけないやんって感じで
今現在、第5話まで視聴済み。

個人的には2話の「貞明と桜子 陽成院」に、ちょっと泣けてしまったり
3話の「宗貞と吉子 僧正遍昭」の、幼馴染であった吉子(小野小町)と宗貞の
兄妹のような関係にせつなくなってしまったり、
5話「東下り 小野小町」での老いてしまった小野小町の想いに
つい共感してしまったりと、毎回飽きることなく楽しめている。

というわけで最終話まで何度か、感想を更新しながら編集していく予定。
なので☆評価はそれまでの間、暫定です。

藤原定家 - 梶裕貴
在原業平 - 諏訪部順一
藤原高子 - 早見沙織
小野小町 - 遠藤綾
良岑宗貞 - 内田夕夜
文屋康秀 - 千葉進歩
宇都宮頼綱 - 下野紘
式子内親王 - 大原さやか
在原行平 - 遠藤大智
弘子 - 小林沙苗
陽成院 - 森久保祥太郎
綏子内親王 - 宝木久美
紀貫之 - 代永翼
喜撰法師 - 佐藤祐四
藤原義孝 - 石田彰
高内侍 - 平田絵里子
藤原道隆 - 楠大典
清少納言 - 茅原実里
藤原実方 - 子安武人
藤原行成 - 寺島拓篤
藤原斉信 - 曽世海司
藤原公任 - 岸尾だいすけ
清原元輔 - 中博史
清原致信 - 豊永利行
末の松山 - 南里侑香
源保光の娘 - 潘めぐみ
中宮定子 - 折笠富美子

投稿 : 2024/11/02
♥ : 47

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

和歌の素晴らしさ、日本語の美しさ。ぜひ触れてみてください…^^

藤原定家(ふじわらの ていか)が集めた、百人一首。

百人一首に収められた歌が詠まれた経緯や背景を物語にしています。

なんだか受験時代の古典を思い出したよ。

私は古文、読むのは好きなほうでした。
(原文を読んで意味を理解するのは苦手だったから、テストは嫌いだった^^:)

だからかな、この作品、とてもよかったです。気に入りました。

古文嫌いな受験生にも、おすすめだよ!笑

全13話です。


●ストーリー
100人の歌人から1首ずつ選んで作られた百人一首。

そのうち、43首が恋の歌。

この物語では、恋の歌に焦点を当て、その歌が詠まれた経緯や、詠み手の恋の話が描かれています。

「あ、この歌聞いたことある!」というような有名な歌や、「あ、この人知ってる!」というような有名な歌人。

その背景を詳しく知るのは、とてもおもしろかったです。

ただ紹介されるだけじゃなくて、物語は”超訳”の名の通り、

とても親しみやすく、わかりやすくアレンジされています。

1つ1つの和歌にその人の人生、気持ちのワンショットが刻まれていて、

意味や背景を知るたびに「ほう。」と、美しものに触れた心地よさがありました。

登場人物の言葉づかいもきれいで。

美しい言葉は聞いていて気持ちがいいね。


私が高校古文の教師なら、この作品は絶対おすすめするね。

テストに出るとか古文が得意になるとか、そういうのじゃないけど、

古典の世界に親しみが持てると思うよ。

「あ、今も昔も、人間は同じなんだな。」って^^

今の時代と想いの伝え方などは違っても、

相手のことを考えると胸が張り裂けそうな気持ちは変わらない。


●音楽
音楽だけは、好きになれなかったなー^^;

あまり本編の雰囲気と合っていないように思ったよ。

映像で多少ごまかされてはいたけど…。


●キャラクター
登場人物は多いし、名前は似てるしで、覚えるのがちょっと大変でした。

でも、自分が期待していた以上にキャラがよかった!!

着物がいい!!

着物ってなまめかしいよねー。大人の色気があるよ。

<男性キャラ>

狙った女の人にぐいぐい迫るの、どきどきしちゃった(笑)

この作品で初めて、貴族萌えを覚えてしまいましたww

<女性キャラ>

自由のない時代だけど、それでもしたたかに生きる女性の凛とした強さ。

そういう生き方や魂の持ち方、憧れます。私もそういう心の強さを磨きたい。


●まとめ
視聴前の期待を良い意味で裏切る、素敵な作品でした。

今と同じように昔の人もいろんなことに悩んで、もがいていた。

そしてその気持ちを歌に込めた。

そんな歌や物語が現代まで読み継がれている。素晴らしいことですね!

古典文学にもっと触れたくなったよ^^

投稿 : 2024/11/02
♥ : 25

こたろう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

惚れた腫れたは時代を超える

視聴層はおそらく女性向け。
百人一首に名を連ねる歌人達の恋物語を、その歌の内容から想像して創造しているお話です。
歌や文を交わして親交を深める平安貴族の風雅で優美な色恋を綴った素敵な世界。
現実ににそうであったか史実はさておき、メロメロな愛のドラマが盛り沢山な作品となっています。


ストーリーテラーとして、百人一首を編纂した藤原定家が進行を勤めますが、特定の主人公はなく、歌人達の群像劇となっています。
あたりまえですが、各話が百人一首に読まれた歌、またはその詠み人にちなんだお話。
基本的には一話完結形式ですがが、それぞれのキャラクターには繋がりがあって、数話を繋げて1人の歌人の生き様を表現していたりで案外と凝った構成。
小野小町、清少納言、紫式部などなど、誰もが知る有名な歌人、特に女性の扱いが大きいです。

平安の時代、お堅いイメージがありますが、性に関しては結構フリーダムな時代。
加えて貴族ですから、後宮にあがったり寵姫に仕官したりの立場の方が多くて、そっち系にナマナマしいです(〃'▽'〃)
こういうお話は大人の淑女達が好むところですね。
優美で切なさも入り混じった物語となっています。


作画は独特。
線が太く、和柄の貼りつけなどが使用されており、メリハリはありますが、動きはあまりありません。
キャラデザ的にはイケメンや美女をとされるキャラを書いていますが、取り立てて綺麗という事もなくモッサリとした感じ。
嫌悪感はありませんが、決して良質とは言い難い映像です。
歌を詠むシーンなどは気合の作画を見せて欲しかったですが、そういう部分に尽力する作風でもなさそうなので、そこを期待するのも酷な気がします。
アニメというより、動きのある絵巻といった印象でしょうか。

絵で魅せるタイプではないので、キャラの語りと演技が重要。
この点ではベテラン声優さんが頑張っていました。
感情を荒げるような事は少ないですが、恋にまつわる悲喜交々を、気品があって情熱的なキャラとして演じきっているのはさすがです。
雅な雰囲気は決して崩さずに、それでいてコミカルな部分では肩の力が抜けた歌人達。キャラ立ちはどれも良くできていて魅力的です。


ちょっと独特な味を持ったアニメでした。
歴史ものになるので堅苦しいイメージがありましたが、百人一首や登場する歌人は我々に馴染みが深く、とっつきにくさありませんでした。
特に、第一話で詠まれた歌は、古今集より在原業平(ありわらのなりひら)の歌。
↓つまり、これ。

ちはやぶる 
 神代も聞かず竜田川
  たつたがは韓紅に
   水くくるとは

グーゼン?
いや、意識してチョイスしてますよねぇ?^^;

投稿 : 2024/11/02
♥ : 27

77.7 2 ラブレターで貴族なアニメランキング2位
ヴァイオレット・エヴァーガーデン Extra Episode(その他)

2018年7月4日
★★★★★ 4.1 (203)
1312人が棚に入れました
ヴァイオレット・エヴァーガーデン BD&DVD第4巻に収録。

第4話と第5話の間の、数か月間に起きた物語。
ヴァイオレットのもとに舞い込んだとある歌姫からの代筆依頼を描く、特別番外編を収録!

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

Times heals all sorrows_Get over, no worries_Cause nothing is more precious than love_Nobel, faithful, she is as pure as the driven snow_Oh dear heart, so sweet

好きだ好きだと言いながら円盤を買っていませんでした
奇しくも2019年7月18日の木曜日、京アニ第1スタジオで痛ましい事件が発生してしまい、何か僕に出来ることは無いのか?と模索した結果、「やはり僕には何も出来ない」という結論に至り、とりあえず好きだと公言している作品の円盤ぐらいは揃えておこう、とその日のうちに通販で円盤を取り寄せました
2018年冬期に全13話が放送、今観返しても京アニ最高傑作だな!と豪語できる名作中の名作ですが、テレビシリーズについてはそちらの方でレビュを書かせていただいたのでこちらは円盤の最終巻に1本だけ収録されてるOVAについて


第4話でアイリスの付き添いで初めて代筆の出張をこなしたヴァイオレット
第5話ではそれから数ヶ月経って、いくつかの大きな仕事をこなした後、婚約した姫と王子の国際結婚を手助けする大役を務めます
この第5話のラストでヴァイオレットは初めて劇中で笑顔を顔に出すのですが、いくらなんでも4話と5話の仕事の内容に差がありすぎる;
ってことで4話と5話の間にヴァイオレットが急成長、彼女のドールとしての人気も鰻登りするキッカケとなったエピソードが今作というわけです


ドール育成学校の師範、ローダンセ教官の推薦でヴァイオレットに初めて指名の依頼が訪れる
オペラ座の歌姫、イルマ・フェリーチェが恋文の内容を依頼したいという
しかしイルマの依頼は酷く抽象的で、全ての人が共感出来る恋文にする必要がある、と無理難題を押し付けるのだった
度重なる駄目出しに息詰まって弱音を吐いてしまうヴァイオレット
やがてその恋文の内容とは新作オペラのクライマックスを飾る歌曲の歌詞だと知る
愛を知らないヴァイオレットが、愛の歌など書けるはずも無い
愛について書かれた本を読み漁ったり、C・H郵便社の仲間達の協力もあり、ソレらしい言葉を選ぶことを覚えていくヴァイオレット
しかしイルマが本当に納得の出来る歌詞を書くためには、イルマがその新作オペラに強く拘る真意を知る必要があると悟るのだった…


5話で初めて笑う、と先述した通りこの話のヴァイオレットはまだ感情表現が希薄で、依頼主の真意を汲み取る力も拙い
その辺りが前半だいぶコミカルに描かれつつも、イルマがオペラに託す真意というのがあまりにも壮大で情緒的な為、後半では一気に真剣みが溢れだすスケールの大きなお話になっています
とても円盤のオマケというレベルではなく、クライマックスのオペラのシーン等も作画に要求されるクオリティがべらぼうに高い
もはや劇場版に相当する内容です!といっても過言ではないOVAとなっています
また、イルマ役のキャスティングに日笠陽子
イルマが歌う歌曲をわざわざTRUEに歌わせていることからも今作の“本気度”が伝わるかと思います


このエピソードのAパートのコンテ、演出はシリーズ演出も務めた藤田春香さんが行っています
ちょうど明日、藤田春香“監督”の処女作となる『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝』を劇場に観に行くので期待が高まっているところであります


今作自体はネトフリでも配信されてるようですが個人的に円盤を揃えて欲しい理由は今作以外にももう1つあります
テレビシリーズ放送中に新宿ピカデリーにて数話分をまとめて再編集し、音声を5.1ch化した劇場公開版が各巻の特典ディスクについてるんです
これが結構テレビシリーズと違ってて、もちろん本編カットの数を増やしたり減らしたりしてるわけでは無いのですが、OPやEDの入りが全然違ったりと一気観するのに特化した繋ぎの良い編集になっているんです
OPが無いところにあったり、EDがあるところに無かったりとかね
一話一話に浸るのも良いのですが、改めて一気観してみても味わい深い作品であることが感じ取れる編集になってますので映画感覚で観るのにはコチラの編集が断然オススメです
ですから買ってくださいw揃えてくださいw円盤をね


今作でイルマがオペラに託した思いは、結果的に後々のヴァイオレットの感情を育んでいく事、すなわち娯楽文化が人の感情を育てるって事に繋がっているんです
京アニがアニメを作り続けているのも同じで、誰かの感情を育んだり、傷ついた人を救う事に繋がっているんだと思います


時間が解決出来ない事もありますが、逆に言えば時間が解決出来る事もあるんですよ
作品は生き続けますからね
今はただ、僕に出来ることを

投稿 : 2024/11/02
♥ : 18

筒井筒 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

無料配信なのでツッコミ弱めですが・・・

依頼の仕方にアイディアがあるのだが、本人のプライド如何でなく、うまいといわせる表現が必要だと思いました。イルマの機知に踏み込まずにいる分、ただでさえ地味な展開が、さらに地味になっている気がするのです。要は、躍動感がないのです。
いろいろ、考えてみましたが、単純な話だけに、起伏がなければ、それまでの評価。歌詞の依頼と聴いて、郵便局のメンバーで貸しを出し合うシーンなどは、評価すべき点ですが、男性の意見のみ公開。これでは、期待が裏切られてしまいます。
あとは、ラストのシーンで使う恋文の歌詞が、聞き取りにくいところがよくない。譜面に歌詞が乗っているのですが、なぜか、歌詞が訴えてこない。主役個人の恋文を読み上げているだけなのですから、それでよいのでしょうが、・・・まあ、僕が2度3度見れば解決する問題ですが・・・万人の心を打つとかいう肩書きはどこに行ってしまったのか? 若干疑問が残りましたが、今回思ったのは、せっかくの話なんだから、時間の流れと画の光沢に統一感を持たすべきと思いました。暗めな色が多く使われていた気がしたので、凸ってる部分が気になりました。
作品としては、ストーリーが流れるだけ。僕のかいたコンクール作品の欠点および特長と一致するので、そう見えたのかもしれませんが、インパクトが足りないのは、共通の課題のようです。よしとするには、もう少し書き込みが必要だなと思いました。画になると、文字を追うような快感ではなく、も/2019っとなにか違うものを探ってみる必要はありそうです。個人的には、自分の作品がどう読まれて、どう、人に見られるのかのいい模範になりました。
展開が読めるわけでもないけど、サプライズもなしでは、やはり物足りませんね。

9/1 追記
改めてみてみると、「あれ?的外れなこと書いたかな?」と思いレビューを見て、思ったよりまともでよかったと思いました。
改めて感じるのは、オペラがオペラたらしめた時代のがオペラであって、現代劇には、現代劇的な方法(作中)と現代的な解釈(現在)の両方への共感がないと立体感が浮かび上がらないのではないか? と、仮説ですが。壮大であればよいわけでなく、現代の人が共感するものを、過去の縛りで作ってできるわけがない。やはり、エヴァガのよさは、イレギュラーではなく、・・・エキストラ回だった。汗・・・ヴァイオレットのひたむきな成長なのである。結果、「愛してる」を理解するのに、この回で一度にやられてもね。なのである。それにしても、軍人にシュッとした顔の男はいないのか? 男は食わなきゃ武器をもてないのか? などという、(おえらいさんに付き合いがあるのかな。貴族は戦せずなのか?)軍に光は似合わぬのかね?暁佳奈。と、ギルベルトがもう少し男前なら、再会もあったのに。と、少し思った。作品の完成度と、社会的な評価は別というのも、少し理解をしたほうが、数字も大事です。今回の作品が悪いとは言わないけどね。

2019/4/28 追記
長々言っても始まらない。
つまりは、人の心を打ったのは、今回の依頼の手紙が、役者としての彼女の表現、つまり、同時代を生きた人間に共通する心の、最もきれいなところが、一般人との垣根のない、彼女のすべての心を表現するところに、オペラとしての大きな価値があったのかな、などと今は考えています。女優さんの社会への視線が、女優というか一人の人間としての素養が、感動の原点である。ということは間違いなさそうです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10
ネタバレ

ふぁんた さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

陽だまりの中にあるようなボーナスエピソード

4と5の間の話ですね。
こんな一話完結物語をたくさん紡いで欲しかったです。


やはり戦争で引き裂かれる若い人々の想いというのはそれだけで心にくるものがあります。
このお話はさらにストーリーを上手いことヴァイオレットちゃんの仕事に絡めながらクライアントの、そしてヴァイオレットちゃん本人、さらには観客全ての人に戦争は終わりそれぞれの戦後を歩んでいこう、その先は陽だまりのように暖かな未来があるから、、、
というメッセージになっているような物語だと感じます。


もう、、{netabare}最後のヴァイオレットちゃんが作詞した歌のシーンは本当に嗚咽が出るくらい泣いてしまいました。丁寧に歌詞をわかりやすく歌ってくれていたのでヴァイオレットちゃんが、イルマの恋人に対する想い、そしてその想いを乗り越えて人々に希望を与えなければという想いに、最終的にに寄り添うことができた成長が詰まったシーンでした。{/netabare}

平和で恋人、家族、友人と普通に笑ってお話しして時間を過ごせる喜び。そんな普通だと思っていたような幸せを失ってしまった人々の、または奪ってしまう戦争、、、
そんな悲劇は本当に二度と起こってほしくないですね。



4から5話の急激な成長ー


合理的な無駄のない軍人としての思考から、{netabare}イルマとの修行を通して新旧さまざまな愛物語にふれ、目を見張るようなスピードで知識を蓄えるヴァイオレットちゃん。
この描写が後の貴族の教育係をできるくらいの教養を身に付けることができたのだと理解できます。

しかし、それだけでは本当にそれぞれの物語をもつ個人に届くような手紙は書けません。

知識を蓄えそれをただ美辞麗句として並べるだけではなく、イルマ本人の想いに触れ、さらに行方知れずの人々の愛に触れ、そして自分の想いを感じ、、
人の気持ちを解さなかったヴァイオレットちゃんがたくさんの人々の心に寄り添い、とうとうその想いをのせた今を生きる人々への詩を書けたことは、今までの感情を持たない道具としてのヴァイオレットちゃんを見てきているだけに涙が止まりません。{/netabare}

こんなこの時期のヴァイオレットちゃんの成長エピソードはもう少し見たかったです。


イルマの声優さんは、演技もさることながら、戦後の傷ついた人々を先導する女神のような力強い歌声で、苦難の時には人々を勇気付ける傑出した人物が出るものだなと、物語ながら感じてしまう演技でした。


もちろん今まで通り作画はため息が出るほど美しく、人物それぞれの表情も繊細に表現されています。光の表現も劇場という舞台設定があるため、もしくは陽だまりと対比するためか昼と夜、夜の闇の中での照らす光(それは戦争の傷)、曇り空、夕日、素晴らしくシーンと人物の感情を表していました。


個人的に駅にあったロウソクが並んでいる風景は、ミラノの教会で見た鎮魂のロウソクとオーバーラップしました。
心に打たれるものがありました。



行き詰って本棚の角でうなだれるヴァイオレットちゃんにはとにかく正直萌えます。笑

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3
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