ラノベ原作で学園なアニメ映画ランキング 8

あにこれの全ユーザーがアニメ映画のラノベ原作で学園な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月04日の時点で一番のラノベ原作で学園なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

92.3 1 ラノベ原作で学園なアニメランキング1位
涼宮ハルヒの消失(アニメ映画)

2010年2月6日
★★★★★ 4.2 (5208)
23047人が棚に入れました
クリスマスを間近に控え、嬉々としてクリスマスパーティーの準備を進めるハルヒと、彼女に引きずられるキョン。彼が過ごしていたそんな日常は、ある日突然終わりを告げる。クラスメートと話が合わない。教室の様子が昨日までと明らかに違う。なにより、後ろの席にハルヒがいない。それどころか、その席に座っていたのはキョンを殺そうとして長門に消滅させられた朝倉だった。キョンは他のSOS団員を探しに教室を飛び出したが…。

声優・キャラクター
平野綾、杉田智和、茅原実里、後藤邑子、小野大輔、桑谷夏子、松岡由貴、白石稔、松元惠、あおきさやか
ネタバレ

でんでん虫 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

YUKI.N > Ready?_

■1回目の感想
 昨日は元気だったはずの谷口が風邪を引いていた。嬉しそうに喋っていた女との約束も無かったことになったらしい。しょうがないから俺達SOS団の鍋パーティーに誘ってやるか。教室に来てみると風邪が蔓延していた。少し違和感を感じながらも席に着く。あのいつも騒がしい団長様も居ない。アイツが休むなんて珍しいこともあるもんだな。

 昼休みに弁当を食いながら国木田に聞く。
「なんか急に風邪が流行りだしたな」
 しかし国木田が言うには谷口も含め、一週間前にはその兆しがあったという。
!?・・・どういうことだ・・・昨日あいつは体育の時間サッカーをやっていたはずだ。ハルヒも欠席だし、何か悪い事の前兆じゃないだろうな。

 それはまさしく前兆だった。翌日の昼休みに俺の勘が確信に変わる出来事が起きた。
“いるはずのないそいつ”がハルヒの席にカバンをかける。
「そこはお前の席じゃない。ハルヒのだ」
「そんな人知らない」だと?どうやったらあんなやつを忘れられるんだ。驚くべきことに名簿からもあいつの名前が消えている。慌ててSOS団の連中を探しに行く。古泉の野郎もいないし、俺の朝比奈さんも他人行儀だった。もはや向かう先はただ一つ。最後の砦であり、最終絶対防衛ライン。認めたくないが、愛着の湧きつつある俺達SOS団の拠点、文芸部部室。そこに長門がいれば・・・。

 俺はノックを省略し、勢いよくドアを開いた・・・


 キョンが長門とSOS団の認識を改める大事なお話。そしてあの七夕の日の重要さがわかる。ハルヒがどんなアニメか知らない人でもおそらく見れると思うが、できればハルヒ2期を見てからの方がいいだろう。

■2回目の感想(ネタバレ有り){netabare}
 ああ、もうこの作品を何回見ただろうか。7周くらいはしたかなぁ。毎回ボケーっとしながら見ていたので、なにがどう面白いとか整理していなかった。だから今回は結構真面目に見てみた。本当はネタバレ無しで書きたかったんだけど、ごめん。それ無理(ノ´∀`*)  
 以後長門が作った世界を「β世界」そこに出てくる登場人物を「β~」と呼ぶ。

 まず、OPの最後に小さいハルヒがフェードアウト?するのだが、姿を消すというのがタイトルと合っていて良い。小さいところもこだわって作られているのがこの時点で分かる。

【古泉】
 その後、ハルヒが皆にクリスマスの予定を聞くシーンがある。古泉はわざとらしく予定がないことを告げるが、本当は本心なんじゃないかとふと思った。中盤のシーンでβ古泉がこぼしている「うらやましいですね」という言葉も同じような気持ちで言ったんだろうな。β古泉にしてみれば、出会って数分の男があっという間に好きな女の心を鷲掴みにしたわけだから、羨ましく思うのもごく自然なことだ。ファミレスでの古泉の悪ノリは、単に馬鹿らしい話をからかうだけではなく、ハルヒの気を引こうとしてやったことなのかもしれない。
 
 一気に飛んで、終盤の病室のシーン。キョンの身を案じるところではリンゴの皮を剥いている。何個も剥いているあたり、本当にキョンのことを心配してくれているんだろう。しかしハルヒの話になった途端いきなりリンゴを二つに切っている。再び「うらやましく思う」という言葉。リンゴで作ったうさぎは古泉の恋心?あるいはキョン…なんて思ったが、さすがに考えすぎかな。うさぎの頭を自分の方に向けて大事そうに置くのがどこかすごく…切ない。

 古泉が主役って訳でもないし、思い込みかもしれないけど、古泉の言動に注意を払って見て欲しい…彼がそっと置いていった想いを見届けてやってほしい…と、そう、切に願う。ハルヒが起きてキョンの方を向いたときのしぐさがもう…

 関係ないけど原作p.235の古泉の表情が好きだ。無事に終わったか―という気持ちになり何だかぐっとくるものがある。たった一枚の絵だけで…いとうのいぢさんすごい。

【キョン】
●ハルヒへの想い
 私がキョンについて言いたいことは、皆がすでに書いていそうなのでそんなに無いと思うのだけれど、一応書いておく。

 まず最初の動揺っぷり。その時点でキョン自身は気付いていないが、彼の中でハルヒがどれだけ大きな存在だったかがよく分かる。
 
 β長門の家の帰り、ハルヒに会いたがっている自分の気持ちに気付くシーンの表情と、ファミレスのシーンでβハルヒがいつもの片鱗を見せた後のキョンの表情がすごく良い…やるじゃないか京アニ。特にファミレスの方は毎回感動する。私も一緒になってにやけてしまうほどに。
「いつでも、どこでも、お前は変わらないな。ハルヒ」

 飛んで3年前の七夕の日、ハルヒにSOS団を作らせるため吹きこむ。
「世界を大いに盛り上げるためのジョン・スミスをよろしく!」
 ――忘れないでいてくれよ。ここに俺がいたことを。 
 ここでなぜか私はβ長門の顔が浮かぶ。おそらくβ長門の想いも…

●長門への想い
 最初の動揺のシーン、キョンが頼る順番に注目して欲しい。長門→古泉→朝比奈の順で思い出しているのだが、これは普段から頼りにしている度合いにも比例するだろう。その中でも長門への信頼はずば抜けている。なぜならその時のキョンにとって長門とは「何でも屋」だから。それは「長門大明神」と呼んだり、彼女が残した“栞”を“プレゼント”や“状況を打破するヒント”と解釈していることからも分かる。どれだけ長門へ依存していたのかも…。

 無事に鍵もそろい、キョンはプログラムを発動させる直前、最後にメンバーを見渡す。今度は涼宮→古泉→朝比奈→長門の順番。おそらく今回の順番には特に意味は無いが、最後の長門だけは特に名残惜しさを感じている。β長門が勇気を出して渡した入部届けを返すキョン。おそらくもう会えないであろうβ長門へのけじめと想いをそれに託す。

 再び飛んで、長門の家。長門に噛まれた時ちょっとテレるキョン。少しβ長門を思い出したのだろうな。そして部室で待つのかというキョンの問いに対し、
「待っている」
という長門の言葉。これは太字にして波線も引いて強調したいくらい私が大事だと思う言葉だ。おそらくキョンはβ長門の誘いを断ったことを思い出している。私は長門とβ長門の両方が部室の隅に座って寂しそうにしているところを浮かべてしまって、毎回泣かされそうになる。
 終盤、病院で自分の上着を長門に着せている。1人の女の子として扱っているということなんだろう。 

 最終的にキョンは長門の認識を「情報統合思念体の下にいる宇宙人で、何でもできるやつ」から「SOS団の仲間」と改める。また、自分のSOS団における立ち位置を「己の不幸を嘆くだけの傍観者」から「自ら楽しもうとする当事者」になったことを認める。
    ざまーねえな ┐(´∀`)┌ヤレヤレ

【長門】
 うーん。正直長門の表情はオーバーに描かれていると思う。β長門の家で帰ろうとするキョンを引きとめるところとか、病院でのシーンのような表情を私の長門はしない(`・∀・´)!! しかしそのおかげで気づけたことがある。
 β世界から脱出するときにキョンはβ長門を見ていた。その時のβ長門は「左目」でキョンを見る。一方、キョンが3年前の長門に別れを告げ、長門が「待っている」というシーンでは「右目」でキョンを見ている描写がある。この演出の意味を考えてみた。
 
 顔の表情は右脳がつかさどる左側のほうが本音が出やすい。だから表情があり、意思表示をするβ長門は左目にしたのだろう。顔にも口にもださない長門は右目だが、なにも考えていないわけではない。両方とも“長門”だ。たしかにそこにいたし、いるのだ。多分そういうことを表現したかったのだろう。キョンの気持ちに気づけたのはこの演出のおかげだった。

「待っている」の言葉については先述したが、まだ言いたいことがある。長門はこれまでずっと孤独に自分の仕事を全うしてきた。そう、あの例のエンドレスエイトもその一部だ。何千、何万と繰り返す夏休みを長門はずっと何も言わず孤独に観測し続けていた。おそらく他にもキョン達が知らないところで密かに活躍してくれている。だれも褒めてくれるわけでもなく認識すらされずに、だ。そして3年後、ハルヒとキョンが文芸部部室にくるまでおそらくずっと1人でいることになる。
  
   これで寂しくないわけがないじゃないか。
 
 β長門も寂しそうにしていると思うと・・・、どれだけ重い台詞か分かると思う。冒頭のハルヒが教室に入ってくるときのセリフ「待たせたわね!」はこれと対比してるのだろうか。
{/netabare}
■最後に{netabare}
 最初に長門をみてからもうどれくらい経っただろう。まだまだ長門への愛が衰える気配を見せない。ここでお決まりのセリフを言っとくか。
「長門は俺の嫁だ。異論は認めん」
原作も応援してるぜ

 まぁそれは置いといて、まだ書き残せていないことがたくさんある。
それをするのは今から未来の私だ。遠い未来というわけにはいかないが、今すぐってわけでもない。

なぁ世界。少しくらいは待てるだろ?また見るまでちょっとくらい待機してくれてもいいよな。

  せめて――。

 他のアニメをみてからでも、別に遅くはないだろう?
{/netabare}
■追記{netabare}
 長門の目の演出についてだが…ちょっと違うみたいだ。長門の目には毎回キョンが映るが、キョンの自問自答のシーンの後にキョンの目に映っていたのは…ハルヒだった。キョンは「長門」ではなく「ハルヒ」を、「長門が作った世界」ではなく「元の世界」を選らんだことをこの演出で表現していたのか…{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 12
ネタバレ

フリ-クス さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

アンチ涼宮ハルヒの消失

大人気作品なんだけれど、どうにも主人公に感情移入できない。
そういう作品って誰しも一つ二つはあるんじゃないか、
そいうふうに勝手に思っております(もしなかったらごめんなさい)。

僕にとってのそれはSAOのイキリトくんであったり、
リゼロのスバルくんであったり、
あるいはFATEシリーズのシロウくんだったりするわけです。

  あくまでも好き嫌いの話、
  ピ-マン嫌いのがきんちょみたいな話ですから、
  嗜好が違う方、気にしないでおくんなまし。

で、『涼宮ハルヒの憂鬱』のヒロインである涼宮ハルヒも、
僕にとっては長い間、好きになれないキャラクターの一人でした。

エキセントリックなようで実はわがままなだけだし、
人の気持ちあんまり考えないし、
やることなすことジャイアニズムほとばしらせてるし。

その性格の発端となった野球場の話なんか、凡庸過ぎてためいきでちゃいます。

美少女に振り回されたいという方々の思いはわからなくもないけれど、
僕にはそういう願望がないから、パスです。
実体験的に、ひたすらめんどくさいし、腹立ちますもん。


さて、本作『涼宮ハルヒの消失』は、
そんなワタクシの涼宮ハルヒ観に一石を投じてくれた作品です。
テレビシリーズを見てない方は丸ごとおいてけぼりなので、先にそちらをどうぞ。


物語は、テレビシリーズと同じく能天気なSOS団の日常から始まり、
いきなり『SOS団がなく、ハルヒもいない』朝がやってきます。
長門有希も朝比奈さんも、存在はしているものの、キョンのことは覚えていません。
そしてそこからしばらくは、
失われたSOS団を求めさすらうキョンの姿が重苦しく描かれていきます。
{netabare}
消失から長門有希の残してくれたメッセを見つけるまで、なんと35分。
もう、ぐったりするほど絶望的な、光のない展開が続きます。

そして、そこからハルヒに出会えるまで、さらに24分。
ほとんど60分、テレビ尺に直すと丸々三話分ぐらいの尺が、
タイトル通り『涼宮ハルヒが消失した世界』の描写に使われているわけです。

正直、見ていて『しんどい』のですが、
これぐらい長いからこそ、
キョンが『失ったもの』の大きさを観る側が共有できるわけです。がまんしろ。

さらに、その再会から元の時空に戻るまでが、またまた約60分。
ハルヒと出会えたことでようやく歯車が動き出し、
真相の解明と解決にそれだけの尺が用いられていきます。
ここはキョンの冒険譚みたいな流れで、
観る側は手に汗握りながら、衝撃の真実と直面することになります。

本作は160分という長尺作品なのですが、つまるところ
  プロローグ  約20分→能天気・楽しさ(動・快)
  消失世界編  約60分→焦燥・絶望(静・鬱)
  解明・解決編 約60分→冒険・解明(動・興奮)
  エピローグ  約20分→感動・平穏(静・安堵・納得)
というメリハリの利いた起承転結で構成されているわけであります。
{/netabare}

作品の評価としてはAランク、Sでもおかしくありません。
テレビシリーズを見た方であれば、
2時間40分という尺が、あっという間に感じられるのではと愚考いたします。

映像は、さすが京アニ劇場版の一言。
どこをとっても作画の乱れがないどころか、
登場人物の被服の質感までもが、ほぼ完璧に表現されています。

役者さんのお芝居についても、安定の一言。

そして演出も、素晴らしいの一言です。
たくさんあり過ぎてとても語りきれないのですが、
特に感銘を受けたところを二つだけご紹介いたします。
{netabare}
  一つ目は、長門有希がキョンから入部届けを返されるシ-ン、手のアップ。

  ただの紙切れ一枚を受け取るのに『空振り』しちゃうんです。

  この、台詞も劇伴もないSEだけの、
  表情すら描かない演出で、
  長門の受けた衝撃・失望の大きさが痛いほど伝わってきます。

  手が逡巡する演出というのは他にいくらでもあるのですが、
  一度『空振り』するというのは初めて見ました。
  
  ふたつめは、キョンの自問自答シーン……じゃありません。
  (あれはあれで、アーティスティックでよかったけれどね)
  それよりも、キョンを刺した朝倉がナイフを引き抜くシ-ンが強烈でした。

  踊るように、軽やかに、くるっと一回まわる。
  ただそれだけ、わずか一秒足らずの演出が、その直前の笑顔と交錯して
  彼女の『狂気』を瞬時にして観る者に伝えます。

  このシ-ン、サバイバルナイフの柄の抑え方といい、
  体重が一点にかかる身体のぶつけ方といい、
  いやほんと作画の魂入ってます。
  それにしても朝倉さんっていいキャラだわ。
{/netabare}
こういう優れた演出ができるのって、
やっぱり原作上で『人のカタチ』がしっかりできているからなんですね。
だから、脚本家も余分な説明セリフを書かなくていい。
それが共通認識としてコンテに受け継がれ、魂の入った作画に繋がるわけです。
まさに理想的な好循環と呼べるのではないかと。


人物造形だけでなく、ストーリーもよく練り込まれています。

テレビ版からかなり引っ張っている点が多いので、
僕みたいに三歩あるいたら忘れる人間には難易度高めですが、
ちゃんと繋がったら「おお、なるほど」と。
{netabare}
着地点は長門有希の総どりみたいな感じになっていて、
ああ、これでまた長門キ〇ガイの諸兄が増えてしまうんだろうなと、
納得してみたりげんなりしてみたり。
{/netabare}

ちなみにストーリー上、ハルヒ自身はあまり重要なポジションにありません。
ただ、それでも、この作品で、
僕は涼宮ハルヒというキャラクターを一から考え直すことになりました。

  その起点は台詞とかストーリーではなく、描かれた『目』でした。
{netabare}
物語も中盤になって、ようやくキョンがハルヒを見つけ出します。
光陽園学院の正門前で、不審者のごとく待つこと暫く。
ようやく姿を現したハルヒの『目』は、怒りと倦怠と鬱屈に満ちていました。
(キョン曰く『敵のいない格闘家みたいな目』ですね)

  その目を見た瞬間、僕はこの時空間軸が、
  キョンにとって『SOS団のない世界』であったのと同じように、
  ハルヒにとっても『SOS団のない世界』であったことに気づかされるわけです。

性格が改変された長門を除くと、
キョンも、朝比奈さんも、古泉も、話し方や外観に変化はありません。
ただ一人、ハルヒだけが『SOS団ロス』による変貌をしていたのです。

  そこでまた、僕は気づかされるわけです。
  涼宮ハルヒがSOS団にとって絶対無二の存在だったように、
  SOS団は涼宮ハルヒにとって絶対無二の『受け皿』だったんだなあ、と。

つまるところ、神のごとき力があろうがなかろうが、
涼宮ハルヒという人間は内在するエネルギーなり器なりが『大きすぎる』んです。
だから、普通の人間には理解できない、受け止めきれない。
それを無理に、きちんとした生徒ばっかりの進学校なんて『箱庭』に放り込むと、
そのエネルギーをどこにも放出できず、歪んでしまいます。

ハルヒという人間のエネルギーを受け止めるには相応の『器の大きさ』が必要で、
それが宇宙人、未来人、超能力者であったり、
あるいはキョンみたく『器の大きな』ただの人間であったりするわけなんです。

  SOS団結成前のハルヒを思い起こしてみると、
  確かにキテレツな言動はあったものの、
  誰かをいじめたり無理を言って困らせたりとかはありませんでした。

  ハルヒはハルヒなりに、
  自分を受け止められる相手というものを推し量っていたのだなあ、と。

  だから直感的に、自分が自分であれる相手を選んでSOS団を作った。
  それが嬉しくてたまらず、
  ついつい暴走して何度もキョンのひんしゅくを買うことになった、みたいな。

だからといって朝比奈さんを好きにいじめていいとは思えませんが、
SOS団のない世界でのハルヒの『目』を見ていると、
彼女がいかに深く『受け皿』を求めていたかがビリビリ伝わってきます。

一番すごいのは、
わずか数カットの『目』の描写だけでそれを語り尽くしちゃう京アニさんですけどね。
キョンと会ってから時系列での、ハルヒの『目』の変化、鳥肌ものです。
{/netabare}

そんなわけで、僕はこの作品を見たことによって、
涼宮ハルヒのことを少なくとも『嫌い』ではなくなりました。
好き、とまでは言えないけれど、人間として理解はできるなあ、と。


ちなみに、当時はヲタ芸の代名詞となっていた『ハレハレ』ですが、
あれ、素人さんがやっているの、
いま見てもこっ恥ずかしいですよね。

当時、調子に乗って非ヲタの皆さんの前で披露しちゃった方、
いまや立派な黒歴史となり思い出すたび身悶えされているのではと、
心よりお見舞い申し上げます。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 34
ネタバレ

田中タイキック さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

原作の魅力を余すこと無く描ききった大傑作!

2010年2月6日公開 上映時間162分
テレビアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の続きを描いた劇場作品

視聴する前にTVアニメ版「涼宮ハルヒの憂鬱」の視聴を強く勧めます。特に第8話「笹の葉ラプソディ」は今作の重要なキーになっています。あと第28話「サムデイ イン ザ レイン」の独特な空気感と余韻を残したまま視聴すれば物語にスムーズに入り込めると思います。つまり全話見てからってことですね。エンドレスエイトはお好みでどうぞ。

ストーリーを追いながら感想を書いてます。

{netabare}12月16日 ~改変2日前~

{netabare}恒例のキョンのナレーションから始まる冒頭、英題の『The Disappearance of Haruhi Suzumiya』のフォントはTVシリーズの1話と同様のもの。キョンの目覚めが主観視点から描かれる冒頭部分はこれがキョンの物語なんだと主張しているようです。(日付の変わり目はすべてキョンの主観視点から映像が始まります)
学校のシーンはさすが劇場版、モブの細かい挙動などもしっかり描かれていて「学校の日常」感がよく表現されています。
キョンがSOS団の扉を開けるシーンはフルアニメーション(ぬるぬる動くアレ)で描かれています。本作では重要なシーン、主張したい場面では度々フルアニメーションで動かしているので注目ポイントだと思います。
OPシーン。キョンが女性陣から電気ストーブを取られてPCの排熱で暖を取っているのが可哀想ww TV版では欠かさずあった「超監督 涼宮ハルヒ」「団長 涼宮ハルヒ」などのお遊びテロップは無くなっています。ハルヒの"消失"を暗に明示しているようです。
SOS団でクリスマスパーティーを計画しているハルヒは団員にクリスマスの予定を聞いていくんですが以前の彼女なら団員の予定なんかは無視して強引に計画を進めていたと思います。映画撮影の一件(涼宮ハルヒの溜息)から少しずつ変化していってるシーンです。
TV版と同じように流れていくSOS団の日常。
原作では物語が始まる日は17日からです。話の起点を1日ずらすことで日常シーンをより際立たせ、その後の展開と対比させているようです。{/netabare}

12月17日 ~改変1日前~

{netabare}キョンと谷口の会話シーン、谷口がクリスマスの予定を自慢気に話すときの顔が面白い。声優さんの演技も合わさってウザさ倍増である。
パーティーの準備を進めるSOS団。三角帽子をつけて意気揚々と喋ってるハルヒがなんだか可愛い。楽しそうで何より。
飾り付け用のモールが足りないのでコンビニに買いに行くキョン。ハルヒに連絡する時に写ったアドレス帳には"あの人{netabare}(佐々木さん){/netabare}"がしっかり登録されています。
そして長いプロローグが終わり…{/netabare}

12月18日 ~改変後1日目~

{netabare}知らない間に流行していた風邪、購入したモールがカバンに入っていない、ハルヒの不在、徐々に違和感と不信感を強くしていくキョン、そして朝倉涼子の登場。ハルヒという人物はこのクラスには存在しないとう事実を知った時のキョンの絶望感がすごかった。
他のSOS団員を探すキョンは真っ先に長門を探そうとします。長門への信頼関係と依存心が垣間見えるシーンです。
改変後の長門が文芸部の入部届を差し出す場面。改変前と後では決定的に違う行動でいわばこの入部届は長門の「感情」「想い」の象徴であると思いました。その「想い」をいったんは受け取るキョンだが扱いあぐねる状況に…{/netabare}

12月19日 ~改変後2日目~
{netabare}改変前と後の世界を比較し悩みはじめるキョン。宇宙人も超能力者も未来人もいない世界。本来望んでいた世界がそこにあったはずだったが…
文芸部室で見つけた長門(改変前)からのメッセージで嬉しさのあまり思わず口元を震わすシーンが印象的でした。
キョンと目があって頬を赤らめてしまう長門がくっそ可愛い。その後2人で下校、自宅に誘うっていうラブコメすぎる展開にニヤニヤしっぱなしです。
長門が図書館でキョンと出会ったエピソードを語る場面で貸し出しカードを作ってくれたお礼を顔を赤らめながら言い、そして照れくさそうに急須をいじる仕草がもう愛らしい。この辺りから長門の可愛さがピークに達してしまいますね。
朝倉登場で帰宅しようとするキョンを服のすそをそっとつまんで引き止める長門。ここ本作最大の萌えポイントです!!
帰り際、いろいろ疲れきったキョンが思わずハルヒにたいして言葉をなげかけてしまい本当の自分の気持ちに気付くシーンで星がひとつも見えない夜空に街灯だけがキョンを照らす演出がとてもよかったです。
「なんてこった。俺は、ハルヒに会いたかった・・・」{/netabare}

12月20日 ~改変後3日目~

{netabare}谷口の発言から涼宮ハルヒの手がかりを見つける。ここからのキョンの気持ちの高揚とBGMの盛り上がりがシンクロしていてすごい好きなシーンです。BGMの曲名はずばりそのまま「涼宮ハルヒの手がかり」
この世界でやっとハルヒと出会えたキョン。やはりハルヒにはキョンの記憶はなかったが唯一「3年前の七夕」の記憶だけは共有していた。
笹の葉ラプソディのエピソードがここにきて繋がっていってこの作品の持つSF的面白さが一気に加速していきました。
長門(改変前)が残した鍵を揃えたキョンがどちらの世界で生きるのかの選択を迫られる場面で改変前の世界を選び「想い」が込められた入部届を長門に返します。このシーンの長門がほとんど好きな男の子にフラれた女の子状態で見ていて辛かったです。涙ぐむ顔や動揺して入部届をうまく受け取れない繊細な描写が余計にそう感じさせます。{/netabare}

7月7日 ~修正開始~

{netabare}笹の葉ラプソディから貼っていた伏線や謎が一気に回収されていき点と点が線で繋がっていく感覚が非常に気持ちいい。
そして大人朝比奈さんが登場!大人朝比奈さんはこの物語で唯一、すべての結果がわかっていて俯瞰で語ってくれるキャラクターです。これから起きる苦難や悲劇もすべて知ったうえでキョンに言います。「終わってしまえば、何もかも、あっという間で夢のようにすぎてしまう」
すべてを語れないからこそミステリアスな魅力たっぷりなキャラですね。
{/netabare}

12月18日 ~改変直前~

{netabare}世界を改変したのは長門でした。知らず知らずに溜まっていたエラーデーターが引き起こしたバグのようなものだったがキョンは知っていたのです。そのエラーデーターは「感情」なのだと。
ロボットや人工知能に感情が芽生えるという非常に古典的でシンプル、王道的なSFの物語でしたね。
ここからもう一人のキョンが出てきての自問自答シーンが圧巻でした!声優さんの熱演とタイポグラフィと改札口を使った映像表現と演出がキョンの強い決意をよく表現していました。
{/netabare}

12月21日 ~修正後~

{netabare}キョンは18日に階段から転落して3日間意識不明だった。
3日3晩、寝袋まで持ち込んで側についていたハルヒと目覚めたハルヒによだれを拭けといつもの調子で返すキョン。病室での短いやりとりを見てどうしようもなくお似合いだなぁ…と思ってしまいました。
屋上のシーンは原作では病室に長門がやってくる場面です。
京アニ史上最も美しいシーンだと思います。雪の描写は結晶の形まで細かく描いていて背景との対比がとても芸術的でした。{/netabare}

12月24日 ~エピローグ~

{netabare}キョンのモノローグ。この世界の当事者になったこと、責任をもってこの世界を積極的に守る立場になったことを語っています。
そしてED。すべてアカペラで歌われている「優しい忘却」がじんわりとした余韻を残してました。
長門が図書館で最後に顔(口元)を隠すシーンの解釈。
直前のシーンに出てきた男の子が図書館の貸し出しカードを女の子に作ってやり、それに対して女の子が「ありがとう」と言います。
長門はキョンに同じことをしてもらった際にキョンに対してお礼を言ってないことを思い出し、ふと「ありがとう」と呟きたくなったのかなと思いました。口元を隠したのは単純に照れ隠しであってほしい{/netabare}
{/netabare}


総評

原作の魅力を余すこと無く描ききった大傑作!
160分以上の尺の長さを感じさせない展開・演出・芝居
どれをとっても一級品で非常に隙のない作品になっています。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 27

79.8 2 ラノベ原作で学園なアニメランキング2位
劇場版 とある魔術の禁書目録 エンデュミオンの奇蹟(アニメ映画)

2013年2月23日
★★★★☆ 3.8 (1476)
8743人が棚に入れました
学園都市製宇宙エレベータ『エンデュミオン』。
その完成を目前に控えたある日、上条とインデックスは無能力者(レベル0)の少女・鳴護アリサと出会う。
路上ライブで素晴らしい歌声を披露していた彼女と意気投合し、放課後を楽しんでいたところ、
アリサにオーディション合格の知らせが舞い込む。
エンデュミオン開通キャンペーンのイメージソングに、彼女の曲が大抜擢されたのだ。
そんな幸せもつかの間、魔術師を引き連れたステイルが突如襲いかかってくる。
ターゲットは、アリサ。なぜ科学サイドの人間である彼女が魔術サイドに狙われるのか?
魔術サイドの強襲を受け、学園都市側は女リーダー・シャットアウラ率いる秩序維持部隊『黒鴉部隊』を展開する。
上条とインデックス、そしてアリサを取り巻く状況が混迷を極める中、ステイルは、こう言った。
「そこの彼女は、魔術サイドと科学サイドの間で戦争を引き起こしかねない」と――。

科学と魔術、そして、歌と奇蹟が交差するとき、『エンデュミオン』を舞台に物語がはじまる――!

声優・キャラクター
阿部敦、井口裕香、佐藤利奈、三澤紗千香、日笠陽子、佐倉綾音、新井里美、豊崎愛生、伊藤かな恵、伊藤静、谷山紀章、能登麻美子、勝杏里、岡本信彦、ささきのぞみ、川原慶久、こやまきみこ

田中タイキック さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

ファン的には85点くらいあげたいけどー…

2013年2月23日公開 上映時間90分
アスキー・メディアワークス創立20周年記念作品

とある~シリーズ初の劇場作品であり原作者、鎌池和馬原案のオリジナルストーリー
また、電撃文庫に関わっているイラストレーター(いとうのいぢ、凪良、ゆーげん)が衣装デザインをしていたり
漫画家の星野リリィが一部キャラクターデザインをしていたりと劇場版ならではのコラボも

時系列はとある魔術の禁書目録II(2期)の第7話と第8話の間なんだけど
視聴の際は最低限、とある魔術の禁書目録の1期だけ見てればOK
ついでにとある科学の超電磁砲の1期を知っていればなお良しな感じで
長いシリーズだけどそんなに敷居は高くないよってことは言っておきたいです


加えて劇場用に用意された新キャラクターの主要3人

・鳴護 アリサ(めいご ありさ)
・シャットアウラ=セクウェンツィア
・レディリー=タングルロード

この3人を覚えておけば後は流れでなんとなく見れちゃうよって作品です


鳴護アリサ(CV:三澤紗千香)
本作のヒロイン。レベル0の無能力者であるが歌でみんなを幸せにしたいという夢を持つ
日々、路上ライブやネットでの楽曲配信をしながら夢を追いかける普通の女の子
しかしその歌声には「奇蹟」にも似た不思議な力を発しており
その力のせいで様々な事件に巻き込まれていく…
鳴る=歌うに護ると書いて鳴護と「神のご加護を」という意味のMay God be with youを掛けた
シャレオツな名前をしており、キャラデザもシリーズ1、2を争うほど可愛い(と個人的に思ってる)
パンチラ・お風呂シーンなんかのサービスもあるよ!!


シャットアウラ=セクウェンツィア(CV:日笠陽子)
「黒鴉部隊」という組織の隊長。レベル4の能力者。
光学迷彩を備えたタチコマのような多脚兵器に搭乗し部隊を指揮する少女
物語冒頭のある事件に深く関わっている人物
エロいピチピチスーツを身にまといやたらとケツを強調しているカメラワークが多いよ!!


レディリー=タングルロード(CV:佐倉綾音)
宇宙エレベーターのエンデュミオンを建設した「オービット・ポータル社」の社長
年齢は10歳とされておりゴスロリファッションに身を包んでいる
しかしその正体は魔術サイドの人物で不老不死の体を持ち1000年以上生きている
エンデュミオンを使って何か悪さをしようとしてる
貴重なロリババア枠だよ!!


今回の映画の特徴として作画や背景がとても美麗
失礼を承知で言っちゃうと本当にあのJ.C.STAFFか!?って感じ
J.C.STAFFの劇場作品といったら灼眼のシャナ以来?
あれは総集編的な内容だったし、それ以上遡ったらウテナとかスレイヤーズの90年台の作品になってしまう
とにかくJ.C.STAFF作品では間違いなく一番いい作画になってます
見所としてはシャットアウラ率いる黒鴉部隊とステイルと弟子たちのカーチェイスシーンかな
イギリス清教ってけっこうシブい車乗るのね


あと音楽面
鳴護アリサはヒロインであると同時に歌姫でもあるので
彼女のために書き下ろされた楽曲が5、6曲あり
そのどれもが結構良かった
BGM担当の井内舞子も作曲に関わっていてI'veサウンド特有の電子的な曲もありつつ
爽やかな4つ打ち系のピアノハウスな曲もあったりで全体的に好印象
劇中歌を収録したミニアルバム「ポラリス」はとあるシリーズ好きや声優さん好きはもちろんだけど
こういう電子音楽好きにも"聴き"な一枚でした


【総評】
たしかな映像美に効果的な演出と音楽を乗せて
劇場版の名を冠するにふさわしい出来栄え
お祭り的にいろんなキャラを出したことでそれぞれの描写が薄味になったことは否めないけど
やっぱりファン心理としては映画という晴れ舞台に出れて嬉しい
(佐天さんやっと魔術に出れたね!やったぜ。)

しかし物語はというと少し小奇麗にまとまりすぎた印象
もともと突っ込みどころ満載なのはシリーズ共通だからいいんだけど
ぶっ飛んだ思考や歪んだ正義を上条さんの説教とそげぶでぶっ飛ばす痛快さが売りだったのに
それが薄かった感じ
宇宙まで広げたスケールの大きい話をしたわりには
敵側の描写不足でイマイチ話を広げられなかったなぁ
最後はとりあえずハッピーエンドで悪い余韻を残す感じじゃなかったけど
ちょっと含みのある終わり方をしていました
じゃあ考察でもしてみるか!っていう感じでもないし
もっと王道な話でもよかったかもしれないです

アクション・アイドル・お色気など受ける要素をふんだんに盛り込みつつ
キャラオールスター出演で確かなとある魔術の映画だったので
ファン満足度はすげー高い作品になってます
鳴護アリサは映画で使い捨てるには惜しいキャラだったなー


ちなみにガチで宇宙エレベーターを作るには
18年の年月と170兆円の予算が必要だそうですよ

宇宙エレベーター協会に聞いてきた
劇場版とある魔術の禁書目録の舞台・エンデュミオンとは
http://ascii.jp/elem/000/000/770/770258/

投稿 : 2024/11/02
♥ : 34
ネタバレ

ほむほむ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

奇蹟も魔術もあるんだよ

とても楽しみですね^^

鎌池さんによるオリジナルストーリーみたいですが、気になるストーリーはと言うと、
{netabare}
学園都市製宇宙エレベーター『エンデュミオン』。その完成を目前に控えたある日、上条とインデックスは『無能力者(レベル0)』の少女、鳴護アリサ(三澤紗千香)と出会う。インデックスとアリサが『旺盛な食欲』という謎の繋がりで意気投合し、三人で放課後を楽しんでいた時、魔術師を引き連れたステイルが突如襲いかかってくる。魔術サイドの強襲を受け、学園都市側は女リーダー・シャットアウラ(日笠陽子)率いる秩序維持部隊『黒鴉部隊』で対抗する。上条とインデックス、アリサを取り巻く状況が混迷を極める中、ステイルはアリサを指し、魔術サイドと科学サイドの間で戦争を引き起こしかねないと告げる。魔術サイド、科学サイドから狙われるアリサの秘密とは……?


PVを見る限りで、作中での時期を適当に予想すると。
黒子が怪我をして車いすに乗っていて、美琴と初春が普通に制服姿なので、9月15日~9月18日(残骸編翌日~大覇星祭前日)ではないでしょうか。
それ以降も考えましたが、大覇星祭初日から上条さんも、美琴もそれぞれ事件に巻き込まれているのでまずないかと思います。
まぁ、そんなことどうでもいいんですけどね(笑
{/netabare}


公式ページに映画関連の情報が来ていますね。

◆劇場来場者特典として「電撃劇場文庫」を10万3000人に無料配布!
『とある魔術の禁書目録 ―ロード トゥ エンデュミオン―』
著/鎌池和馬 イラスト/はいむらきよたか
ページ数:224ページ
発行部数:10万3000 部

すごく欲しいですね!10万3000人とかすぐに無くなちゃいそうだ…


◆劇場版のコミカライズが決定。
2013年3月号(2月12日発売)より連載開始。
原案: 鎌池和馬
原作: PROJECT-INDEX
構成: 西野リュウ
作画: 朝倉亮介
キャラクター原案:はいむらきよたか

流石に全部は無理だろうけど、さわりくらいの予習はできそうですね^^


◆『劇場版 とある魔術の禁書目録 ―エンデュミオンの奇蹟―』の前日譚を描くPSP®用ゲーム「とある魔術と科学の群奏活劇」発売決定!

発売時期:2013年2月21日

映画の前日譚ってことは、映画の2日前に買ってやっておけとそういうことですか!

<gameストーリー>
{netabare}
超能力を研究する、学園都市。230万人の学生が生活を営むこの都市で、今、複数の事件が同時多発の動きを見せようとしていた…。
「学園都市SNS ロンドネット」で開催される、「金星探査プロジェクトレース」。この参加型企画に一喜一憂する上条当麻とそのかたわらのインデックス、御坂美琴。
その頃、「ロンドネット」のクーポンを利用し、街中のスイーツ店を訪れる白井黒子、初春飾利、『佐天涙子』の3人。一方で、秘密裏に行動を開始するステイル、神裂、そして、土御門。
───そしてまだ見ぬ新勢力が、この学園都市の片隅で静かに動き出す。

佐天さんキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
映画では出番あるかどうか不安だけど、ゲームでは登場するみたいですよ!
{/netabare}

◆劇場版エンディングテーマ、楽曲タイトル決定!
楽曲タイトルは「FIXED STAR」で歌うのは川田まみ。
2月20日発売

映画を観る前に是非聞いておきたいですね^^


そのほか、詳しい情報は公式ページにて、
http://www.project-index.net/

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3
ネタバレ

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

オールスターズファンムービー★そして神裂さん最強ヒャッフゥーd(゜∀゜)b

ジャッジメントですの!
かまちーの協力の下、完全オリジナルストーリーでの映画化となった『と禁』の最新作ですの


学園都市を象徴するシンボルとして、劇中の背景内でも鎮座している姿が度々確認出来ていながら特に深く語られることのなかった「宇宙エレベーター エンデュミオン」
この宇宙エレベーターを舞台にし、劇場版らしいビックスケールの物語が展開されるのが目を引く作品となっていますのよ


物語は宇宙エレベーター建造のキッカケとなる過去のスペースプレーン墜落事故から始まり、この事故に浅からぬ因縁を持つレベル0のストリートミュージシャン「鳴護アリサ」
なぜかアリサをつけ狙う「シャットアウラ=セクウェンツィア」
そしてシャットアウラの背後に立つ「レディリー=タングルロード」
と、いったオリジナルキャラクター達を軸にして動いていきますの


とにかく見所はバトルシーンであるのですが、わずか90分の作品にも関わらず片っ端から出て来る『とあるシリーズ』の名キャラクターのオンパレード!


上条さんが!
御琴が!
ステイルが!
神裂さんが!
土御門が!
黄泉川先生が!
初春が!
佐天さんが!
そして黒子が!(というか新井里美さんがw)
ホントもうよく揃えましたわねこのキャストw
よくもまあ出しましたわよこんだけのキャラw


神裂さんの強さはなんかよくわからない┐(´_`)┌オテアゲ{netabare}あの人、成層圏外でも戦えるのですね・・・原作通りらしいですけど;{/netabare}
まさか一方さんまで出すのは無理だろぉ流石に・・・とか残念に思っていたらばラストぉぉぉぉ!!!???


悲しいことに前半のギャグが寒いとかツッコミたいこともイッパイあるのですけどねw


歌がキーポイントになるお話なのにアリサってシンガーソングライター出身にも関わらずライブでは思いっきりアイドルポップ調なのが萎えますわ
地下駐車場で血塗れになった上条さんの頭部が次のカットでは完治?
シャットアウラの乗ってる多脚戦車あれタチコマに似てね?
ステイルの弟子達(?)が出てきますけど「霧雨魔理沙」に似てるぅ(星野リリィ先生の仕業?)・・・とか、まぁ別の一人が言ったステイルのタバコに関するくだりが面白かったのでその辺はチャラってことでw
あと『009』から引き継いだであろうコマ抜きしたキャラCG、アレ単純にショボく見えましたわ(爆


ラストのオチに関しては悪くないと思うのですが、タイミングの悪いことに先週わたくし『スタードライバー』を観てしまいましたの・・・アレに比べたら説得力も演出力も悪いですわよね
もうちょっとキャラデザとかキャスティングを近くしてあげた方が・・・;


レディリーに関しても原作や今後の展開に繋がるのか否か、原作未読者のわたくしには曖昧にされた印象を受けましたわ


まあこまけぇことは無粋かもしれません、とにかく『とあるファン』必視ですわ!


ちなみに背景描写が丁寧になった反面、聖地「立川」のシネマツーで観ると劇場を出た際に強烈なデジャブを感じますわよw
わたくし、アリサの背後のミスド(劇中ではマイクロドーナツ)でさっきまでコーヒー飲んでましたわ

投稿 : 2024/11/02
♥ : 22

88.7 3 ラノベ原作で学園なアニメランキング3位
冴えない彼女の育てかた Fine(アニメ映画)

2019年10月26日
★★★★★ 4.3 (488)
2470人が棚に入れました
ある春の日、安芸倫也は桜舞う坂道で運命的に出会った少女・加藤恵をメインヒロインにした同人ゲームを制作することを思いつく。美術部に所属していながら、同人イラストレーターとして活動する澤村・スペンサー・英梨々と、学年一位の優等生でありながら、ライトノベル作家として活躍している霞ヶ丘詩羽を誘い、blessing software を結成。やっとのことで一作目を発表した――。英梨々と詩羽は大作ゲーム『フィールズ・クロニクル』を開発するために、人気クリエイターの紅坂朱音のもとへ。blessing software 代表の倫也はサークル活動を継続し、副代表の恵とともに新作の開発を開始した。イラストレーターに後輩・波島出海を起用、プロデューサーを出海の兄・伊織へ依頼し、氷堂美智留と彼女のバンド icy tail とともに新作の開発を進めるが……。英梨々と詩羽の大作はどうなるのか? 倫也と恵の関係に異変が? はたして blessing software の新作の行方は?

声優・キャラクター
松岡禎丞、安野希世乃、大西沙織、茅野愛衣、矢作紗友里、赤﨑千夏、柿原徹也
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

冴えまくり彼女に萌えそびれた私

ついにここまでやってきた!

1期2期を経て堂々完結の劇場版。fine(フィーネ)と言ってる以上終わるもんは終わるのです。
完パケしてるためこれからの方はパッケージで視聴検討されたらよいシリーズものかと思います。

 冴えないヒロインは育ったのでしょうか?

完結編で求められるはこの一点。恐らくダブルミーニングで

1.加藤恵の魅力はさらに増すだろうか?
2.渾身のギャルゲーは完成するだろうか?

しっかり育っての大団円だったと思いますが、どうなるかはもちろん自分の目で確かめて下さいね。


“お約束”を登場人物使ってとことんコケにしながらその“お約束”をありったけ投入し
“オタク”をさんざんをこき下ろしながらもその“オタク”へ注ぐ視線がこのうえなく温かい。
そして加藤恵という唯一無二ヒロインが異彩を放っている作品です。一言で言えば尖ってる。

いったんラブコメとラベリングし経過を辿ればこんな感じでもありました。
1期→ラブ2:コメ8
2期→ラブ5:コメ5
これが劇場版では

 劇場版→ラブ8:コメ2

くらいでしょうか。これまでを踏まえた流れに無理はないしきちっとラブはキュン死不可避でしょう。
なのでTVシリーズからのファンは迷う必要ありません。迷わず行けよ!行けばわかるさ!

ちなみに私はさほどこの劇場版では踊れませんでした。尖っておらず只のめちゃくちゃきゅんきゅんするラブストーリーだったことが理由。

自分の過去レビュー読み返してもみました。どうやらこの作品にはラブtheオンリーを期待してなかったみたいです。己の心の姿勢の問題。
過去の私の評価は1期(3.7)2期(4.1)です。面白いかどうかの分岐は4.0。つまらないかどうかの分岐は3.5として、クリエイターの産みの苦しみとラブコメが調和した2期を高く評価しました。なおシリーズ通して加藤恵に萌えてはいません。
唯一無二ヒロインについては『擬似三次元女子』と評し1期レビューにまとめております。平たく言えば現実には存在しないリアリティ無き女子です。存在に現実味がないため“ラブ”が深いところに刺さらない。響かない。
作品の柱ギャルゲ作りも産みの苦しみはどこかに消え作業ゲーになってました。障害はトモヤくんのサボりですもんね。これは比重をラブに置いた結果ですから仕方がありません。


あくまで私の心の姿勢の問題ですからね。シリーズの流れを逸脱しない自然な展開。劇場版ならではのグラフィック。きちっとタイトルを回収しながらの大団円。本来なら減点要素はない。どれも及第点だったけど自分には引っ掛かりの薄い佳作でした。



※ネタバレ所感

■遅らばせながら…

気づいたこともありました。遅せーよ!

{netabare}ストーリー展開がそもそもギャルゲーだったんですね。
加藤恵を模したヒロインでゲーム作ってるのに、お約束やフラグのギミックで遊んでいるって指摘してたのに、すこーんとこの観点が抜けておりました。

振り返ればエリリルートや詩羽先輩ルートを経てからのメインルートが劇場版の位置づけでした。
ギャルゲと思って1期から振り返ることは意義があるように思えます。{/netabare}


■高校生のスケジュール管理

納期より大事なものはあるっ!→いやそんなもんねーよ!
自由すぎるトップに翻弄されてた加藤恵が工程管理表を手にしていたのに驚いた。有能ですねこの子。

{netabare}項目を大中小分類に分けていて、分量(カット/差分)、月での区割り(上旬中旬下旬)のシンプルなやつ。

ええ一時停止してガン見しました。高校生にしてゴールから逆算して考える発想があることに驚き。
それでも人生の先輩ヅラしておせっかいを焼きたくなりましてちょっと失礼…

 {netabare}追加したほうがいい項目 → 担当者、予実、マイルストーンいやクリティカルパスかしら
 修正したほうがいい項目 → 区割りを日単位{/netabare}

自由人を縛れるかはまた別の話っす。{/netabare}


■エモかったとこ

もっとも胸を締めつけられたのはここ

{netabare}エリリが「トモヤがいても描ける」と淋しそうに目線を落としたところ

想い人との関係が深まるのと反比例しイラストが描けなくなってったエリリでした。クリエイター魂を優先し袂を分かった2期のクライマックス。整理すればエリリルートの終焉。
それが今は描ける。ちょっとしたボタンの掛け違いで別れる関係もある。今だったら素直に飛びこめるのに、でも今の自分があるのはあの時の別れがあったから。このジレンマがたまりませんでした。{/netabare}


■紅坂朱音(CV生天目仁美)のお仕事

ほんとにトモヤの…ひいては作品の魅力はこれでした。

{netabare}「クソみてぇなキモヲタの妄想を垂れ流せるのがお前の強みなんじゃねーか」{/netabare}

{netabare}「鳥肌が立って恥ずかしくなって目を背けたくなって…」
「それでも読めちまうのがお前のクソシナリオなんじゃねーか」{/netabare}

{netabare}「真のキモヲタは絶対お前についてくる」
「今は上手くなろうとするな」
「キモいまま突き進め」
「てめぇの妄想をそのまま垂れ流せ」{/netabare}

S.ジョブズの劣化版みたいなキモヲタ主人公のキモイ情熱をもっと見たかったのでした。
でもそれを望むのは酷なのかも。ヒロインと一緒に陰キャの代表選手みたいなキモヲタも人間的に成長したものと思うようにしました。

末永く爆は…いやなんでもありません。



※閑話休題

なんだったんだろう?

{netabare}題字協力 松岡禎丞 茅野愛衣{/netabare}



視聴時期:2020年10月 

-----

2020.10.28 初稿
2021.08.26 修正

投稿 : 2024/11/02
♥ : 49
ネタバレ

シン☆ジ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

うん。。ヒロインもいいしエピソードも楽しい。ラブコメの名作と言っていいんじゃないかな。

 
終わったと思った『冴えカノ』の続編で劇場版。
fine(フィーネ)はイタリア語でendの意味。
DVDレンタルで視聴。

う~ん、TV版のラストをよく覚えていない・・
ま、いいかw

■エピソード

そっか、blessing softwareのメンバが刷新されたんだっけ。

~{netabare}
出だしは『icy tail』のバンド演奏・・
色んな要素を盛り込んでますね。
ガールズバンドものは好きだからいいけど。
その部分のエピソードが薄いのは仕方ないか。

2期での大ごとである、詩羽と倫也のキス・・
ドラマチックな展開でズルズル引きずるかと思ったら、
居酒屋で加藤がいるの目の前で、露呈。
しかも、あっさりコメディタッチでw
なんかドロドロしなくて個人的にはホッとしました。
ラブコメはこうでなくっちゃw

それなのに倫也にサンドイッチを作る加藤・・
それを食べ残す倫也も、おいおい、と思ったけど、その食べかけのサンドイッチを食う加藤。
せめてもの関節キッスと、詩羽にはできないことを密かにすることで自分の留飲下げる行為ってことかなw

オタクとはいえ倫也のヘタレ加減に辟易。

紅坂の入院によりマルズのゲーム製作が頓挫・・
倫也が交渉・・いいねこの先が読めない裏切り展開。

エリリと詩羽を助ける倫也・・
加藤、そこはスネるんだ。へー。
キスは流した風に見えて、実は不満がたまってたのかな。

加藤が倫也を呼んだセリフが無音・・
どう呼んだのか。「安芸クン」?「倫也クン」?
この口の動きはきっと・・

物語開始から1時間14分・・
blessing softwareに戻る倫也を送り出したエリリと詩羽。
と、突然、画面がブラックアウトしエリリと詩羽が倫也に助けを求めるかどうかを話し合うシーンに逆戻り。
え・・・タイムリープ?別ルート?ラブコメでこれは新鮮w

いや・・
違う・・のか。
これは、触れられなかった二人の会話。
倫也をメインヒロインルートへ戻してやろうという。
手法としては珍しくないけど、ジーンときた。

家の前で加藤と再会する倫也・・
住宅街の路地。憤懣やるかたない加藤。
 倫也:『それに、安芸クンに戻ってない』
・・やっぱそうか。
 加藤:『これだけ怒っているのに、他人行儀な怒り方、できないよ』
・・名ゼリフ。
遂に告白。
 加藤:『合格、だよ』

次は加藤の回想シーン・・
これまでのモヤモヤした気持ちも一気に解消する、
ヒロインの待ち望んだイベント。
 加藤:『違わないよ、倫也クン』・・
    『私の、望んだとおりだよ』
 二人:『いっせーの・・』
うん、ラブコメはこうでなくっちゃw

ええと、残り15分あるのにエンドロール・・・
そこに小田和正の『ラブストーリーは突然に』の文字が。
え?使ったっけ?

エンドロール後にエピソード・・・
なんだこれ・・
加藤は夢を追う倫也が好きだったの?
詩羽と再会・・

きた!『ラブストーリーは突然に』
・・そういうことかww

詩羽ルートは自分も望むところなので劇中での宣伝なのは残念ではある。

エリリや詩羽以外、例えば美智留や出海などの悲哀も、もう少しあっても良かったけど、ドロドロし過ぎず明るい作風とメインヒロイン推しを貫いた姿勢は好感が持てました。

モヤっと書きましたが、{netabare}俺ガイル{/netabare}と比べてしまってますw・・いい悪いではなくて。

それにしても・・
{/netabare}~

うう・・か、加藤、かわええw

展開とかセリフとか、やっぱ一味違う。

終わり方も自分好みで良かったw

やっぱラブコメはこうでなくちゃww
(しつこいですがw)

★エンドロールの後もお見逃しなく ^^


 原作:ラノベ
 キャラデザ:高瀬智章
  FGOも担当。原画や作画監督はTo LOVEる、
  WORKING、SAO、化物語なども。
 制作:CloverWorks
    A-1 Picturesの血統だけあって安定。
 封切:2019年秋
 視聴:2020年秋 レンタル

■キャスト
~{netabare}
松岡禎丞(倫也)
 さすがに演技は安定。
 ちょっとキリト感を感じてしまったけど
 視聴の邪魔になる程ではなかったかな。

安野希世乃(加藤 恵)
 別のレビューやBEST10でも触れていますが、
 かくしごと(ラスナ)も良かったし、今回も
 正統派ヒロインを堪能させていただきました ^^

大西沙織(澤村・スペンサー・英梨々)
 ダンまち(ヴァレンなにがし)とは
 違ったキャラも楽しませていただきました ^^

茅野愛衣(霞ヶ丘 詩羽)
 かやのん、もうホントにマジ天使 ><

矢作紗友里(氷堂 美智留)
 元気っ娘といえば矢作さん、的なw
 ハマリ役かと。

赤﨑千夏(波島 出海)
 段々メインヒロインが増えてきていますねー。
 今回も別ルートがあってもいいキャラかと。
 外伝求ムw

生天目仁美(紅坂 朱音)
 パワフルなキャラはさすが。
 一騎当千(関羽)、俺妹(沙織)、
 このすば(ちょむすけ)、
 宝石の国(スフェン)、
 エグゼロス(ニョタイカ蟲)・・・
 結構お世話になってます ^^;
{/netabare}~

冴えカノも、これにて終幕・・か。

シリーズ通して、名作と言っても過言ではないかと
 

投稿 : 2024/11/02
♥ : 26
ネタバレ

はあつ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

誰もが悶絶するヒロインの描きかた

映画館でこんなに顔が火照った事はない!
萌えて悶え過ぎて顔がゆでダコのようになりました。

ヒロイン「加藤 恵」が可愛すぎる♪♪♪

ここまで徹底したあざとい可愛さは見事と言うしかない!

主人公が力説する「オタクにとっての理想的なヒロイン」

私も含めた2次元オタク男性が萌えて悶えて魅せられる「恋する女の子キャラ」を描き上げる為に構築されたアニメシリーズの最終章であり最高潮の仕上がり。

テレビドラマ2クールで、クリエーターとしての才能と尖った個性を持つヒロイン達を魅力的に描きつつ、唯一目立った才能が無い普通の女の子でありながら、抑えてきた感情のインパクトある露出によって存在感を示したメインヒロイン。
その彼女の清楚で可憐な魅力が劇場の大スクリーンで満開に花開きます。

本シリーズの脚本構成を担当されたのは丸戸史明氏。
恋愛物としては、同じ丸戸シナリオで個人的に傑作だと思う「WHITE ALBUM 2」に比べると、主人公の(CV松岡さんのイメージも手伝って)ハーレム的ご都合感は拭えませんが、ヒロイン達が主人公を好きになる要素は俺Tueee系より断然説得力があり、丸戸氏がゲームシナリオ作家として培ってきたノウハウを活かすゲーム仕立てのプロットで、ヒロイン達の切ない恋の進退をドラマチックに纏め上げてます。
(ちなみに丸戸氏のギャルゲーが原作の「WHITE ALBUM 2」は、楽曲を織り込んだストーリーと演出、中盤の盛り上げや鳥肌物のラストの脚本構成も合わせ1クールの恋愛アニメの中では神懸かった出来映えです!)

加えて、ゲーム作りに纏わる主人公やヒロイン達の言動には、ゲームシナリオ作家として歩んできた丸戸氏のクリエーターとしての情熱が伝わり見応えがあります。
{netabare}(倫也の書いたゲームシナリオを紅坂が豪快に笑い飛ばすとこなんて、青臭い頃の自分を振り返りつつ自分の道程を肯定的に受け止めている様でクリエーターとしての矜持を感じる。){/netabare}

また、登場人物にゲームシナリオを演じさせる様な客観的なセリフは、丸戸氏ならではの視聴者へ寄り添う遊び心があってユニークでした。

《作画》

テレビ版から背景も含め綺麗な作画で、挟まれるパステルチックなカットもお洒落。
そして本シリーズでは何と言っても、アイラインのカラーが特徴の女子キャラの描写に力が入ってます。
弾力感が伝わる肉感的な体のライン、あざと過ぎる可愛い仕草やエロいポーズをふんだんに描く事で萌えに徹してます。
かがんで見せるたわわな胸の谷間、テーブル下で絡み合う脚線美・・フェチなアングルも堪りません。
アニメと無縁の女性に鑑賞させたらセクハラになります♪

《音楽》

春奈るなさんの主題歌を初め、声優さん達の劇中歌も多く、ヒロイン達の恋心を盛り上げてます。
エンドロールの挿入歌に「ラブ・ストーリーは突然に」とあり、いつ流れた?と思ったら・・・オッサン世代へのサービス♪

《特筆声優さん》

今回の劇場版ではメインヒロイン役、安野希世乃さんの透明感のあるクリスタルボイスにキュンキュンさせられました。
安野さんは歌も上手いですね。今作の挿入歌も良かったし先日まで放送の「ソウナンですか?」のEDも好き♪

《キャラ》

よく泣く主人公は、女々しく感じ好きになれませんでした(同じオタクとしての妬みか^^;)が、ヒロイン達には制作スタッフの思惑どおりブヒブヒと鳴かせていただけました。

以下は萌えブタのネタバレ鳴き(見苦しいのでお許しを)
{netabare}
スカイプでの会話で「とっくにフラグは立ってる」(2期終盤の坂道での二人を見てる視聴者への完全表明)にまず、
ブヒー♪

ホームでただの手つなぎから恋人つなぎに!
ブヒブヒブヒー

誕生日デートの約束に「どうなっても、し~らないよ~♪」
ブヒブヒー

名前呼びを指摘されて
「それのどこが悪いの!」
倫也以外にも♭じゃない態度露出で、
ブヒブヒブヒー

2人の初めてのキスシーン
「タイミングがずれただけだよ」
ブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒー
「「いっせーの!」」
ブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒーヒーヒーヒーヒー

「私の事、好きだった~?!!」のエリリにも、ブヒブヒブヒブヒブヒー(泣)
(ちなみに1期では私、エリリ推しでした(^^;) エリリと詩羽先輩の、二人が居たからこその恋の引き際も、切なくも素晴らしい魅せ方でした!)

ラストのエンディング曲中
「あなたが望むメインヒロインになれたかな?」
ブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒ悶絶ー

正直オマケパートは折角の余韻が冷める蛇足だと感じましたが、クールダウンしたのは良かったかも知れません。
あのまま直ぐ映画館を出てたらどんな顔をしてたやら
(*^^*)

「回収しとくね♪」のキスにも
ブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒー♪{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 27

88.0 4 ラノベ原作で学園なアニメランキング4位
青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない(アニメ映画)

2019年6月15日
★★★★★ 4.1 (566)
2955人が棚に入れました
空と海が輝く街“藤沢"に暮らす梓川咲太は高校二年生。先輩で恋人の桜島麻衣と過ごす心躍る日常は、初恋の相手、牧ノ原翔子の出現により一変する。何故か翔子は「中学生」と「大人」がふたり存在しているのだ。やむなく翔子と一緒に住むことになった咲太は「大人翔子」に翻弄され、麻衣との関係がぎくしゃくしてしまう。そんな中、「中学生翔子」が重い病気を患っていることが判明し、咲太の傷跡が疼き始める――。

声優・キャラクター
石川界人、瀬戸麻沙美、水瀬いのり、東山奈央、種﨑敦美、内田真礼、久保ユリカ
ネタバレ

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

初日舞台挨拶にも行ってきました

~・~・~・~・~公開記念舞台挨拶に行ってきました~・~・~・~・~

第一希望の上映後舞台挨拶は落ちて
上映前舞台挨拶に行ってきました

上映前ということはつまり
これから見る人に向けたメッセージですから
原則ネタバレ無しということです

本当はネタバレありで面白い裏話をたくさん聞ける
上映後舞台挨拶の方が好きなのですが
まだ観ていない大多数の方にも
ネタバレなしでトークの内容をお伝えできる点は
いいかもしれませんね

原作は現在読んでいる途中で
まだ劇場版相当部分に辿り着いていませんが
映画の内容は原作の6巻と7巻にあたるようです
TVシリーズは
1巻バニーガール先輩
2巻プチデビル後輩
3巻ロジカルウィッチ
4巻シスコンアイドル
5巻おるすばん妹
までを中心に
最終話で6のエピソードを少し添える形で
青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない
という題名で放送していましたが

今回の劇場版は
6巻ゆめみる少女
7巻ハツコイ少女
の二つを
青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない
というタイトルでアニメ化しています

1~5巻がそれぞれ
麻衣、朋絵、理央、のどか、かえでの話なので
舞台挨拶に行くまではゆめみる少女という題名から
翔子がメインの話だと思っていました
しかし舞台挨拶でこれから見る人たちに向けて監督から出た言葉は
「TVシリーズはそれぞれの女の子達の話でしたが
劇場版は咲太の話です」
というもの
そして実際翔子が重要な役割を担って入るものの
咲太が自身に起きている思春期症候群を解決するため奔走する話であり
TVシリーズで少しずつ蒔いてきた伏線を
がっつり回収する構成になっています

したがってTV版見てないよ!という方は
これを観る前にTV版を見てくるか
原作小説を5巻まで読む必要があります

逆にTV版を観たのであれば
ぜひ劇場版もセットで見るべきだと思います
TV版とは独立したエピソードというよりは
TV版の完結編とでも言うべき作品なので
(原作はそこで完結せずにそのまま続いていますが)
これを見ることでTV版の評価も変わるんじゃないかと思います

一般公開前ということもあり
内容に関してのより突っ込んだ話は控えることにして
一般公開後に原作読了状態で
再び劇場に足を運ぶ予定なので
そのあとでまたレビューしようと思います

おまけ:舞台挨拶雑感(ネタバレ無し)

{netabare}監督:増井壮一

4日前まで今日が何曜日かもわからないような
忙しい生活を続けていた
ふらふらと入ったコンビニで
ちょうど青ブタコラボをやっていて
コラボ商品をぼんやり眺めながら思ったのは
「へぇ・・・青ブタ映画やるんだなぁ」

あんたがボロボロ二なりながら作ってるやつだよ!

梓川咲太役:石川界人

作品の見どころを聞かれて

「人間の限界を越えようと頑張ったけど
実際には全然できてなかった
あれは山寺宏一さんにしかできないやつだと思う」

簡単に説明するとテンションの違う二人の掛け合いを
一人芝居でこなさなきゃいけないシーンがあるんですね
実際には無理だったということなので
おそらく2度に分けて録ったのだと思います

彼は山ちゃんにしか無理と言っていましたが
君嘘フィナーレにおける朗読劇では花江夏樹が
公生と黒猫の一人芝居を見事に生で演じきっていましたよ?(・x・;

桜島麻衣役:瀬戸麻沙美

水瀬「アフレコがだいたい・・・2月くらいだったと思うんですけど」
瀬戸「あれ?3月じゃなかった」
石川「いや4月だったような気も・・・」
瀬戸「それはないよ!4月じゃ昨日じゃん!」

いや・・・昨日ではないと思うよ?
というかそこはそんなに掘り下げ必要かなw?

牧之原翔子役:水瀬いのり

事前情報の無いサプライズ登壇でした
水瀬「この後でみんながツィッターとかにあげて
私のファンが悔しがるやつですよ(にやにや)」
石川「でも、絶対欠かせない役だし、水瀬さんのイベントスケジュール確認して、サプライズ目当てでここにきてるファンもいるかもしれませんよ?」
水瀬「・・・」
司会「今日水瀬さんが来るのを予想してここに来た人っていますか?」
ぱらぱらと手が上がったのを見て、心の底から嫌そうに
水瀬「怖っ!!」

ファンにそういう態度とってるとまた換金所のババァって言われちゃうよw

思春期症候群の話になって
それぞれどんな思春期を送っていたかという質問になりました

監督:増井壮一

「高校の時は勉強とか全然してなかった
数学の二階建ての公式が覚えられなくて
こんなもの覚えて俺の将来に何の役に立つのか?
と先生に訊いたけど
『とにかく覚えろ!』しか言わないから
それ以来勉強するのをやめた」

まぁ勉強なんかしなくてもほかの手段で食べていけるなら
それはそれでいいと思いますねw

梓川咲太役:石川界人

石川「高校生くらいの頃は・・・周りに誰もいませんでしたね」
司会「それはぼっちというやつでは?」
石川「人の傷をえぐらないでください(悲)」
石川「まぁ・・・人間が嫌いでしたからね・・・」

桜島麻衣役:瀬戸麻沙美

瀬戸「高校に入って知り合いが全然いない環境になったのをきっかけに
いわゆる高校デビューってやつで
クールな一匹狼キャラになろうと思った
そういうのがカッコいいと思ってた
でも入ってすぐにクラスの子に話しかけられて
すぐ仲良くなって部活とかにも入って
全然そういう感じにならなかったw」
石川「( ゚д゚)<・・・」

一匹狼がカッコいいとか言い出した時は
石川君のフォローしてあげるのかな?
とか思ったんですが最終的には
石川君のぼっちぶりが際立つ方向にw

牧之原翔子役:水瀬いのり

水瀬「高校生くらいの頃は
大人のどこがえらいのか?
ちょっと30㎝くらい大きいだけで
なんでそんなに偉そうなのか?
オーデションに行っても
お前ら私を評価するとか何様のつもりだよ!?
って思ってました」
瀬戸「評価してもらうために自分からオーディションにきて
評価されたくないって矛盾してますねw」
水瀬「ほんとその通りですよね
まぁそれでたくさん炎上したりもしました・・・」
瀬戸「自分からほじくり返さないでいいからw」

どうやら炎上の件を多少は気にしている模様w
{/netabare}

~・~・~・~・~公開記念舞台挨拶にも行ってきました~・~・~・~・~

原作をしっかり読んだうえで初日舞台挨拶に行き
その翌日に3回目をあにこれメンバーといってきました

これでもかというくらいぎゅうぎゅうに詰め込んだ作品なので
原作からはいろいろ削られてる部分があったり
地の分の説明が無くなってわかりにくくなっているところがあったり
原作で補完してから見た方がより引き込まれる作品でした

実際初見のときより原作読んでから見た2回目の方が
一人一人の細かい心情まではっきりとわかって倍くらい泣けた
というか上映時間の半分くらい泣いてた気がします(つдT)

おまけ:舞台挨拶雑感(ネタバレ込み)

{netabare}司会(天津向)

どうも!司会のムカイオサムでーす

へー・・・天津の向って下の名前おさむだったんだね
とか思ってたら

梓川咲太役:石川界人

石川「どうも梓川咲太役の向井理です」
向「それさっきダダ滑りだったから!
  傷口に塩塗り込まないで!
  大体やったらバカウケだよって煽ったの君らでしょ!」
石川「いやー・・・面白かったですよね?」

観客に同意を求めるもまばらな拍手

向「義理の拍手すら最低限じゃん!」
瀬戸「そろそろ挨拶してもいいかしら?」
向・石川「…」

初日の映画のヒットの話になって

石川「僕いつもエゴサしてるんですけど・・・」
周りがみんなかわいそうな目で見るのを受けて
石川「エゴサ位したっていいだろぉぉぉ」
周り「・・・」
石川「エゴサして全部のツイート読むようにしてるんですけど
  #青ブタがトレンド入りして
  読んでも読んでも読み切れなくなってる
  嬉しい悲鳴」
水瀬「皆さんこれ終わった後タグ付けてつぶやけば
  もれなく石川さんに読んでもらえますよ!」

たぶん客層的にいのすけに読んでほしいオタクの方が多いと思うんだw

桜島麻衣役:瀬戸麻沙美

「初日舞台挨拶ももう4回目
朝から初日舞台挨拶してきましたが
ようやく初日なんだなぁって実感がわいてきました!」

いやもう夕方だよ!
これ最後の舞台挨拶だよ!
初日の上映終わっちゃうよ!

牧之原翔子役:水瀬いのり

「最初にタイトルを聞いたときに受けたイメージとは全然違ってすごく素敵な話だった
みんなが自分を犠牲にしてでも誰かを救いたいっていう
すごく優しい世界だった」

青ブタは本当にタイトルで損してる作品だと思う・・・

古賀 朋絵役:東山奈央

「キグルミの咲太はどういうつもりで飛び込んだのかすごく気になってます
結果的にはとってもいい結末を迎えたわけだけど
ああいう風になるって事前にはわからなかったわけじゃないですか
私の考えでは咲太はあの時代の咲太を助けて死んで
自分の心臓を翔子ちゃんにあげて
麻衣さん含めた全員を助けるつもりだったんじゃないか?
って思ってます」

なるほど・・・確かにあの結末は結果論で
最悪はねられた方の咲太に収束して
何一つ解決しない可能性もあったわけだなぁ

さすがインテリ声優目の付け所が違う!

双葉理央役:種﨑敦美

(見どころを聞かれて)
「全部が見どころ
見どころが思いつかないんじゃなくて
見どころしかないんです
私もう3回見てるんですけど
見るたびにどんどん序盤の何でもないようなシーンが好きになっていって
後半のいろんなシーンも含めて
全部が見どころだと思ってます」
・・・というようなことを
たどたどしく断片的に
あの独特の話し方でしゃべっていました
しかしそれだけ引っ張っても最後には
「踏切で最後に理央が小声で感情を吐き出すところ」
と無理やり見どころを吐かされていましたw{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 30

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

この映画無くして『青ブタ』は語れない_眠れない_トロイメライ_今作に携わった全ての人達に「ありがとう」「がんばったね」「大好き」を伝えたくて(おまけ追記)

まだ記憶にも新しい2018年秋期に全13話のテレビシリーズが放送された『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』(以下、『青ブタ』)
テレビシリーズの中では紐解かれなかった主人公、梓川咲太の胸の傷の謎と咲太の初恋の相手、牧之原翔子の秘密を軸に描かれるシリーズの完結篇となる89分の劇場作品
「思春期症候群」と呼ばれる不可思議現象を発端に描かれるSF青春ドラマです
基本的にテレビシリーズ全話で張られていた全伏線の全回収でありつつ、尺の都合であらすじ等も全てカットした上で矢継ぎ早に展開が進んでいくのでテレビシリーズを最初から最後まで把握していないとさっぱり着いていけないと思います


3年前、小学4年生の牧之原翔子ちゃんは将来のスケジュールという学校の課題を書けずに思い悩んでいた…
実は翔子ちゃんは心臓移植を受けないと治らない病に侵されており、中学の卒業を待たずしてこの世を去る運命にあるのだという
3年後の12月8日、花楓の人格と記憶が元に戻る騒動が落ち着いた梓川家に来訪者が現れる
それは梓川咲太の初恋の人であり、咲太に心の支えが必要なここぞという時に現れる大人の姿をした牧之原翔子さんだった
無理矢理に梓川家に居候する翔子さんと、それを良しとしない現・彼女の桜島麻衣さんの間で火花が散る
そんな修羅場も落ち着かないまま、咲太は病院で中学生の姿の牧之原翔子ちゃんと出くわす
翔子ちゃんから幼い頃から入退院を繰り返している事や心臓移植に関する話を打ち明けてもらった咲太は、翔子ちゃんと翔子さんが同時に存在するのは翔子ちゃんの未来への不安が起こした「思春期症候群」の一種だとして解決策を模索する
やがて翔子さんは移植手術を成功させた未来からやってきた事、そしてその心臓は咲太の心臓である事が明かされていく
翔子ちゃんを救う為、咲太は自分の命を捧げるべきなのか困惑する…


テレビシリーズのレビュでも書きましたが、このシリーズは【ゼロ年代ヲタク文学の総決算】です
○○の“パクリ”と見下すことは簡単なのですが、その一言では片付けられない高尚な、ヲタク文学への愛とリスペクト、そしてSFへの昇華が込められてる作品だと思うのです
その上で今作では2010年前後に隆盛を極めた作品の要素も補完する方向にシフトしています
具体的にオイラが思い浮かべたのは『Angel Beats!』『CLANNAD』『STEINS;GATE』『アスラクライン』辺りです


また、主題に“生命の選択”や“人は何の為に生きていくのか”という普遍的な内容を孕んでいる為、今後新たに世に出てくるであろう無数の作品達と今作を比較してみるのも面白いと感じました
つい昨日も『響けユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』(「がんばったね」のくだりについて)や『ミュウツーの逆襲』や『トイストーリー4』や『ニノ国』(生命の選択や自己犠牲を美化するか否か)に絡めて『青ブタ』の方が上手く纏められてるのでは?とか、そんな話ばっかをぽ~か~さん達と話してましたw
アニメだと自己犠牲って美談として描かれがちですが、冷静に考えて17歳の少年が自分の命を捧げる、なんて事が良い話なわけがない
クライマックスまで観ていただければお解りの通り、今作は自己犠牲を否定する作品なんです


もちろん本編の全体の出来栄えがとにかく素晴らしい
ざっくり言って“お涙頂戴モノ”ですのでハッキリと苦手な人の方が多い内容だとは思います
でも面白くなかったらオイラだって計11回も劇場に足を運びませんからねw
人生で一番多くリピートした映画になりましたよ
テレビシリーズから順当に考えると今作は“翔子のお当番回”と考えたくなりますが、これまでもヒロイン達を救う為に必死になってきた咲太が、遂には翔子の為に自らの命を捧げなければいけない、とまでに追い詰められます
そしてこの絶体絶命の咲太の助けとなるのがテレビシリーズで咲太に助けられたヒロイン1人1人だというのがアツい
この辺のくだりは涙を誘う展開と熱量を感じる展開が交互に繰り返されて非常に滾るものがあります
そして広い意味で今作をもってしてシリーズ全体の“咲太の物語”に一区切りが着くことに気付くと思います
咲太を演じた石川界人さんは今作を持ってして完結とするのが一番幕引きに相応しいのでは?と、今後続篇があるとは思っていないようです


それにしてもこれほどの内容を89分に纏め上げた横谷さんの脚本力、それをテレビシリーズ終了から僅か5ヶ月弱で実現した増井監督率いるスタッフの手腕、そしてキャストによる渾身の演技、どれも大変素晴らしいです
先日、スタッフトークショーに参加してきましたが89分という尺は予算の都合上の絶対条件だったそうです、本当にお疲れ様でした
逆に濃密に内容が詰まったテンポ感こそ『青ブタ』だと思うのでこの選択は結果的に正解だと思いますb
最近、アニメ映画にタレントキャストは必要なのか?という話題を度々目にしますが、逆に考えればプロ声優の底力を感じる映画こそがこの『青ブタ』なんだとも思いますね
それにテレビシリーズからこんなにも早期に映画化の企画が為されたにも関わらず、キチンとした作品を完成させたことは本当に賞賛されるべきことだと感じます
完成が遅れて延期に次ぐ延期とか、そもそも企画された枠の中に納まらずお蔵入りとか、完成したものが極端に低クオリティ…とかいう作品も蔓延っているのが現代のアニメ業界の現実ですからね


唯一失敗と言える事を強いて挙げるのであれば、テレビシリーズ放送前から映画化が決まってたので作品人気の度合いが計り知れず、ファーストランの上映館が経ったの31館しか稼げなかった事でしょうか
おかげで連日満員、入場特典はおろかパンフすら瞬殺
あんなバズり方をするアニメ映画は至極久々です


ところで『青ブタ』の場合、テレビシリーズから一貫していた内容を短い尺に詰め込むことや、音を減らしてセリフを聴かせる、といった演出類が“映画だから”と奇をてらわずに実行されてるのが褒め称えたい
特にエンドロールでいつも通りのエンディングテーマ『不可思議のカルテ』で締め括るというのが感無量


オイラの一番お気に入りのシーケンスは12月31日の晩、ICUの前で寝てしまう咲太がこれまでの全ての出来事が走馬灯のように振り返えられていくフラッシュバックで時間が巻き戻る様を表現したカットですね
あの場面に合わせて作った、というfox capture planのBGMのピアノリバースがバッチリとハマっているのが気持ち良いです


正直いまは何の映画やアニメを観ても『青ブタ』との対比になってしまうwという我ながらメンドクサイ状態に陥っていますw
それほど今作を心の底から好きになれているのです
とにかくいま言いたいことを要約すると、今作に携わった全ての人達に
「ありがとう」
「がんばったね」
「大好き」
を伝えたい
これに尽きると思います


はなまる頂けましたかな?w


【おまけで追記】
双葉の髪型がポニーテールとナチュラルロングが日によって変わっていることに気付いた方もいると思います
何か法則があるのかと思い、テレビシリーズ含め"双葉の髪型のみ"を注視して鑑賞した結果を報告します
ずばり日付の末尾が奇数か偶数かで交代してることに気付きました!
…なんだそれだけかって?
基本的に日付の末尾が奇数だとナチュラルロング、偶数だとポニーテールになってました
これはテレビシリーズ8話で2人の双葉が融合した後の9月1日以降、両方の双葉がお互いを尊重し合っている、というメタファーなのでは?と受け取ってます
もちろん髪型以外の性格描写には変化は見受けられません
ちなみに映画劇中で咲太が「大人の梅ソーダ」を呑んだ際に一度リセットされ、奇数日がポニーテール、偶数日がナチュラルロングになってます
その後の大晦日から年明けに掛けて再リセットが起こり、ラストシークエンスの1月6日、つまり偶数日にはポニーテールに戻っています
何が言いたいのかって?
どっちも可愛いので両方交互に出て来てお得感凄い!制作スタッフGJ!って話がしたいだけですよw


【備忘録】
新宿バルト9で5回、川崎チネチッタLIVE ZOUNDで1回、川崎チネチッタ5番スクリーンで1回、ユナイテッドシネマアクアシティお台場で2回、EJアニメシアター新宿で2回、下北沢トリウッドで1回、立川シネマシティ シネマツーcスタ極上音響上映で1回
合計13回劇場で観て名実共に最も映画館でリピートしてる映画です
スタッフトークショーの増井監督、キャラデの田村さん、木田Pのサイン色紙持ってます

投稿 : 2024/11/02
♥ : 31
ネタバレ

シン☆ジ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

うん。。感動できれば何だってアリだと思う

 
原作は累計発行部数100名万部を超える人気小説”青春ブタ野郎”シリーズ。

TVシリーズを視聴して1年くらい経つかな。
あんまり内容を覚えていなかった・・

あれ、こんなヤサ男っぽい主人公だっけ・・

■設定
~{netabare}
思春期症候群というナゾ症状で、あり得そうにない出来事があり得るようになっている世界。TV版本編で量子力学とか相対性理恵論とかを持ち出して、あり得る感は出していたけど、煙に巻かれた感はある。でも今日びそこを突っ込んでもしゃーないのでw
{/netabare}~

■エピソード
やはりキーとなるのは翔子。
咲太との関係、咲太の胸の傷・・
そうだったんだ・・

よもやよもや・・

~{netabare}
咲太の心臓が翔子に移植されていたとは・・

ドナーカードを持っていたからって知り合いに優先して臓器を提供するとは限らないのでは・・奇跡的にという言葉は使っていたけれど・・などと突っ込むのはやめときますw

咲太の身代わりに、自分が身を投げ出す麻衣。
これ、やられて生き残った方は、たまったもんじゃない。
一生、それを引きずるでしょや。

でも・・咲太はそれを彼女にしようとしていた。
やられてみて気付くんじゃ?
自分がどれだけ彼女に酷いことをしようとしていたか。

でも・・彼女が望んだ事なら、喜ぶべきなんだろう・・か。
どっちが幸せなのか・・

自分が犠牲になって、後悔を一生背負わせるか、
自分が助かって、それを自分が背負うか・・

自分は・・前者を選びたい。
後悔を背負って生きていくのは辛過ぎるから。
究極のエゴかも知れませんけどね・・

過去をやり直した結果・・・
翔子も、咲太も、麻衣も死なず、
翔子と咲太は思春期症候群を発症しなかった。

でも咲太は翔子と浜辺で出会う夢を見て、峰ケ原高校に入ったんでしょう。
麻衣は、思春期症候群を発症して、バニーガールの格好をして・・

ラストの走馬灯のように流れたシーンは、思い出したのではなく、同じことを経験したということでしょうね。

咲太も翔子も同じ夢を見ているわけだから、お互いの名前を知っていてもおかしくないってことか。
{/netabare}~

ラストは賛否ありそうですが、自分は”どっちかといえば”、否かな・・
なぜならば、その後の出逢いと展開を『夢見させて』欲しかったから。

さて・・
ここでタイトルの考察をば。
~{netabare}
『夢を見ない』という言葉は何を現しているか・・・
夢を見るということは、別の世界線でその経験をしているということ。
つまり、夢を見ないということは・・別の世界線ではなく、この世界線でその経験をしているということ?
となれば・・

「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」
 ⇒ 咲太がバニーガール先輩と出会う世界の話

「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」
 ⇒ 咲太がゆめみない翔子と出会う世界の話?

あれ、なんか違うかなw
原作読めばわかるのかな ^^;
{/netabare}~


 原作:KADOKAWAの小説
 発行:2014年
 制作:CloverWorks
  そっか、冴えカノと同じだった。
 TV版放送 :2018年10月
 劇場版公開 :2019年6月
 視聴:2020年11月 DVDレンタル

■キャラ/キャスト
主要キャラの命名はサービスエリアから。
~{netabare}
梓川咲太:石川界人
 主人公。普通だと二枚目サブキャラっぽい外見。
 え、なに携帯ないの?と思ったけど
 本編を観なおしたら・・
 妹のためにスマホを海に捨てたんでした。
 石川さんは安定の演技。
 お陰でバリ感情移入できました。

桜島麻衣:瀬戸麻沙美
 ヒロイン。主人公の彼女。
 こんな彼女とこんな交際、うらやま・・
 全く、作太の青春ブタ野郎めww
 青い春をむさぼり過ぎw
 瀬戸さんといえば、ちはやふる。
 さすがのメインヒロインでした。

牧之原翔子:水瀬いのり
 中学生と大人が存在するサブヒロイン。
 水瀬さん・・
 人気だけじゃない実力。
 一人二役も全然違和感ないし良かったです。

双葉理央:種﨑敦美
 冷静沈着な科学部の理系女子。
 主人公を「青春ブタ野郎」と命名した人物。
 種崎さん・・・
 異世界魔王(クルム)、
 モンスター娘のお医者さん(スカディ)、
 魔法使いの嫁(チセ)、
 宝石の国(ネプチュナイト)、
 そして・・
 ユーフォ(鎧塚みぞれ)、
 特にユーフォ外伝は惚れそうでした ^^;

古賀朋絵:東山奈央
 主人公と同じファミレスでバイトする後輩。
 焦ったり興奮したりすると博多弁が出る。
 キャラ的にはかぐや様のチカに近いかな。
 登場人物の中ではイチ推しキャラです。
 東山さん・・特に笑う声が刺さります ^^

豊浜のどか:内田真礼
 ヒロイン麻衣の異母妹でアイドル。
 まれいたそ・・
 出演作紹介はありすぎて断念w
 でも特に、はめふらは印象的でした。

梓川花楓:久保ユリカ
 主人公の妹。
 本編を観直して思い出した・・
 本作では「かえで」ではなく「花楓」のほう。
 なのでキャラ評価はマイナスw
 久保さん・・
 ラブライブ(小泉花陽)、
 モン娘(ティオニシア)、
 あまんちゅ!(ちゃ顧問)、
 ダンまち(ロキ)、
 少女終末旅行(ユーリ)!、
 今後ともお世話になりそう ^^

{/netabare}~

自分の中では、まごうことなき、名作。

本作を観た後、TV版を観直し、また本作を観直しましたw
 

投稿 : 2024/11/02
♥ : 30

64.5 5 ラノベ原作で学園なアニメランキング5位
劇場版 灼眼のシャナ(アニメ映画)

2007年4月21日
★★★★☆ 3.7 (295)
1959人が棚に入れました
平凡な高校生・坂井悠二の日常は、ある日突然消滅した。異界から渡り来た、人の“存在”を灯りに変えて喰らう化け物“紅世の徒(ぐぜのともがら)”が悠二を襲う。逃げることも忘れ呆然と立ちすくむ彼を救ったのは、紅蓮の髪と瞳をもつ謎の少女だった。そして──その少女は、悠二にこう告げた。
「おまえはもう【存在】していないのよ」と。「存在亡き者(トーチ)」であった悠二と、彼に“シャナ”と名付けられた少女は、悠二の中に宿る宝具を監視するため御崎市に留まることに。そして二人は、彼をトーチに変えた元凶、この街に潜む紅世の王“狩人”フリアグネと対峙する……。

声優・キャラクター
釘宮理恵、日野聡、江原正士、川澄綾子、櫻井智、生天目仁美、岩田光央、諏訪部順一、こやまきみこ、野島裕史

niko。 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

劇場版 灼眼のシャナ

灼眼のシャナの劇場版ということで視聴です。

1期の狩人・フリアグネまでの戦いを再編成したものです。
簡単にまとめると釘宮病S型の劇場版です。

個人的にこの作品のテーマを5つ挙げるならば
「ツンデレ」「くぎゅう」「学園」「恋愛」「劇場版」

シャナの劇場版ということで気になり見てみましたが
1期とは違う少し違うストーリーを楽しめました。
1期よりこっちの方が良いんではないかと思う点もありました。
しかし詰め込みすぎでテンポがかなり早く感じたり、
若干話が飛ぶ様に感じることもありました。
世界観がちょっと難しく、用語も多いので
シャナの作品を初めて見る人にとっては
理解するのがかなり困難になるかと思います。
なので個人的に初見離れを防ぐ為に何か工夫が欲しかったです。

シャナの可愛さは相変わらずです。可愛過ぎです。
でも何だか本来の可愛さと何かが違うような感じがしました。
気のせいでしょうか。多分、わかる人にはわかると思います。
まぁ、可愛いから何でも良いんですけどね。

「灼眼のシャナ」という作品を初めて見る方は
用語が理解し難かったり、若干話が飛ぶ部分がありますが
シャナの作品の大筋を捉えるには良い作品かなと思います。
また1期などを見たよって方はちょっと違うお話を楽しんでみてはどうでしょうか。

・主なキャスト
 シャナ:釘宮 理恵
 坂井 悠二:日野 聡
 アラストール:江原 正士
 吉田 一美:川澄 綾子
 マージョリー・ドー:生天目 仁美
 マルコシアス:岩田 光央
 フリアグネ:諏訪部 順一
 マリアンヌ:こやま きみこ

・主題歌
 「天壌を翔る者たち」I've special unit Love Planet Five
             (KOTOKO、川田まみ、島みやえい子、MELL、詩月カオリ)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 4

こたろう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

無難

ファンまたは未見の人向けの映画作品です。
微妙に違うところはありますが、TV版の前半をそのまま踏襲しています。
TV版と比較しても、とりたてて良くもなく悪くもなく。
無理してまで見る必要はありません。
おわり!

・・・・・だと、レビューとして味気ないので、
あえてTV版みた後で本作を見た感想でも。


平井さんを再認識。
シャナ=「平井ゆかり」で慣れてしまいましたが、元祖平井さんを見てちょっぴり切なくなります。


姐さん、いらないじゃん。
特に居なくても進行に支障なかった気がしますが。ただの解説役、戦闘のサポート役じゃ『役不足』です。


不自然なデレ。
なにか進展があったように見せたかったんでしょうが、ラストで急激にデレるシャナに激しく違和感。
別にツンのままでもいいじゃんよ。


と、まぁこんな感じです。
 ・「灼眼のシャナ」ってどんな話か手っ取り早く知りたい人。
 ・シャナのファンで映画もちゃんと見ておきたい人。
 ・重度の釘宮病患者。
これに当て嵌まる人はご覧になればよろしいかと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 6

アスクール さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

劇場版もシャナは熱い♪

そりゃ自分はシャナが大好きなのでもちろん面白かったですよぉ~~^^

内容的には一期の最初の方をアニメ化した感じですね~後半はオリジナル性が高かったです♪原作やアニメ一期とは少し違う完結です♪

まあ自分はシャナを溺愛しているので見てもめっちゃ楽しめましたが別に一期で満足した人やシャナは一回でいいと言う人は別に見なくてもそんなに問題ないと思います。

でも自分はこの劇場版アニメを見て一期を見返したくなりました♪まあそういう人もいるとは思います。

そうですね~初見でもなんとか見れると思いますよぉ。何も知らずに見ても大丈夫だと思います。ただグゼのともがらとかフレイムフェイズやらよくわからないとは思いますがストーリー全体は理解できると思うので。

これを気にアニメの方を見てもらえる人もいるんでしょうか・・。まあいてもらえると嬉しいですね♪

まあ自分は好きなんでちょっと偏ったレビューになったかもですがひいき目なしで楽しめると思います。

シャナが好きな方は視聴しても問題ないと思います♪

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8

76.7 6 ラノベ原作で学園なアニメランキング6位
劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女(アニメ映画)

2017年6月17日
★★★★☆ 3.7 (424)
3046人が棚に入れました
詳細不明

声優・キャラクター
中村悠一、早見沙織、内山夕実、寺島拓篤、佐藤聡美、田丸篤志、雨宮天、巽悠衣子、花澤香菜、井上麻里奈、諏訪部順一、日笠陽子、小原好美

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

そして司波達也は、伝説となる…。

この作品は、原作者書き下ろしの完全新作オリジナルストーリーだったようです。
全身が痺れまくった、はやみんの「お兄様…」を始めて見聞きしてからはや4年…
ようやくこの作品を視聴することができました。

思い返せば4年前…
お兄さんのハイスペックさと、とても高校生とは思えない様な凄い人たちが次から次に出てきたことに圧倒されたのを覚えています。
そして司波達也の奥の深さをまざまざと見せつけられた…という感じでしたが、嫌な気持ちではなく、むしろお兄さんが強さの片鱗を覗かせるたび視聴にも熱が入りました。

そしたら劇場版の公式HPに「<最強>司波達也の活躍に刮目せよ…。」と記載されているんです。
作り手が彼の強さにこだわってこの作品を作っているこれが何よりの証拠…
今回は彼のどんな強さが見られるのか…視聴前から楽しみで仕方ありませんでした。

物語は、物語の核となる伏線が描かれた後、達也たちが高校1年生の春休みに小笠原諸島にある別荘でバカンスを楽しんでいるところから始まります。

4年前に放送された本編を最も効率的に思い出す方法を作り手の皆さま方は良くご存じでした。
南の島でのバカンス…青い海とどこまでも広がる青い空…こんな開放的なシチュエーションの中で、はやみんの「お兄様…」から物語が始まるんです。
達也との弾む会話に時折喜びと恥じらいを露わにする妹の深雪…
それにエリカの剣術や、CVの天ちゃんが可愛らしさをどこまでも助長したほのかが、間髪置かずに物語の仲に溶け込んでいくんです。
きっとこれ以上は考えられないくらいの完璧な導入だったと思います。

そんな平和を満喫する達也たちでしたが、お約束通りそれも束の間でした。
私たちを待っていたのは尺に限りのある劇場版ならではの怒涛の展開です。
きっかけはみんなで訪れたショッピングモールで、一人の少女と出会ったこと…

とある場所から逃がして貰ったということ…
自分がこれまで何をしてきたか分からないこと…
自分自身を失う自覚症状が出始めていたこと…

ポツリポツリと自分のことを話し始めた綿摘未 九亜と名乗るその少女は、陶器の様な真っ白な肌と、吹けば飛んで行ってしまいそうなほど華奢な身体…
これまで凡そ人間としての真っ当な生活を送ってこれなかったことを容易に想像させる、そんな少女のお願いはたった一つだけでした。
「助けて欲しい…」
今にも消え入りそうなか細い声で…
今自分の置かれている状況だって良く分からなくて、助けを乞う相手を間違っているかもしれないというのに…
でも彼女は自分の使命を覚えていて…それをちゃんと全うしました。

ややもすると、とんでもない事態に足を踏み入れることになるのかもしれない…
国家権力並みの組織との対峙を余儀なくされるかもしれない…
自分の家に多大な迷惑をかけるかもしれない…
少女に手を指し伸ばすということは、これほどまでのリスクを背負うということ…
でも、それで少女を見放すほど薄情なみんなではありません。

こうして物語が動き始めるのですが、振り返ってみるとこれもこれから巻き起こる物語の過程にしか過ぎませんでした。
表向きは大義名分…ですが脅威となり得る存在を絶対に見過ごさない相手からも少女が逃げ出してきた場所は目を付けられていて、小笠原諸島のとある島を舞台に、島全土の大きさが持て余すほどの衝突の勃発まで事態は発展していくいんです。

ここから先は作り手…そして登場する主要キャラの真骨頂をひたすら堪能してくことになるのですが、主要キャラの一翼を担う中で一人だけ記憶にない人が存在したんです。
そのキャラは、プライベートでの愛称はリーナと呼ばれているアンジェリーナ…
どうしても思い出せなかったのでwiki先生に聞いてみたところ、アニメ本編には登場せずゲームから登場したキャラだったみたいです。

彼女も常軌を逸する魔法の使い手なのですが、見惚れるほどの迫力の中で際立つのはリーナもですが深雪の魔法もただ事ではありません。
いいえ、一度決めたことを成し遂げようとする仲間の雄姿からは片時も目が離せません。
そして、やっぱり…司波達也はとんでもない16歳でした。

この作品の何がどう凄いのか…
なぜ「星を呼ぶ少女」がタイトルに付加されたのか…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
全てしっかり腑に落ちるよう制作されていますから…

主題歌は、GARNiDELiAさんの「SPEED STAR」
作品の余韻と楽曲の曲調を楽しめる一粒で2度美味しい系の曲でした。

上映時間約90分の作品でした。
この作品シリーズに関するwiki先生の情報はあまりにも膨大…
ということは、TV版、劇場版しか視聴していない私にとってはネタバレの宝庫だと思い内容は殆ど見ていません。
それでも、ポイントとなるキーワードはどうしても目に入ってしまいます。

ただ一つ言えること…それは続編を作るには十分過ぎるくらい原作のストックがありそう、ということです。
だって、知らない学校名や単語がたくさん目に入ってきましたから…
達也、深雪についても殆ど深掘りされていない状況ですから、続きはきっとあると信じています。
その時にはTV版のような長丁場の作品になってくれると嬉しいです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

民明書房の血脈

ご存じない方もおられよう。たぶんもっとも有名なやつ全文引用します。

(引用開始)
ゴルフの発祥はイギリスではなく、
中国の宋家二代 「呉竜府」(ご りゅうふ) が編み出した

「纒欬狙振弾(てんがいそしんだん)」
 
棍法術最強の流派として名高いチャク家流に伝わる最大奥義。

 「この技の創始者 宋家二代 呉 竜府(ご りゅうふ)は
 正確無比の打球で敵をことごとく倒したという。

 この現代でいうゴルフスイングにも酷似した打撃法は
 運動力学的観点からいっても弾の飛距離・威力・正確さを
 得るために最も効果的であることが証明されている。

 ちなみにゴルフは英国発祥というのが定説であったが 
 最近では前出の創始者 呉 竜府の名前でもわかるとおり 
 中国がその起源であるという説が支配的である。」

               民明書房刊「スポーツ起源異聞」より(引用ここまで)


実はこの劣等生シリーズにイマイチ乗り切れてない私にたいしてのとあるレビュアーさんからの至言。

{netabare}「自分これ、ギャグとしてしか見てないっす」{/netabare}

察しました。そこで思い出した昭和後期に煌めいた『民明書房』。魔法を科学するこちらの作風と相通ずるものがあると言い聞かせるとこれ苦手な人も大丈夫かもしれません。自分の拠り所です。
ただしそこまで。兄と妹の関係性はひたすら気持ち悪いです。本作の売れ筋No.1『さすがおにいさま』を消化できてないわりに1期2期そしてこの劇場版と継続してる者の以下感想です。


6年ぶりのTV2期まで視聴済という視聴歴です。たまたま正月地上波でやってるのを録画。
本作のリリース順は1期→劇場版→2期です。
相関を整理してみると、2期の主要キャラのリーナ(CV日笠陽子)が登場してたり、リリース順に観ておいたほうがしっくりくるのではないかと思われます。

そして本編90分。サブタイトルは『星を呼ぶ少女』。
劇場版オリジナルな謎の少女が鍵を握る物語。そこにいつものメンツが絡んでくる映画らしい閉じた設定です。アニメ映画の常道。オールスター集結みたいなところや売れ筋(さすおに)の投入は頻度もタイミングも申し分ありません。魔法発動時のエフェクトはさすが劇場版です。
よってあとは好みではないでしょうか。

冒頭で民明書房について触れて言いたかったのは、楽しみにしていた“小理屈”感が圧倒的に足りなかった、ということです。
無かったわけではない。取ってつけたネタをものすごい熱量でドヤってくれないのが個人的に残念。
{netabare}例)サイコなSTARS隊員なんて派手な作画に合わせるためだけの要員でした。{/netabare}

いいとこはありましたよ。
{netabare}・お兄様のダースベイダーのコスプレ
・相変わらず国家の軍隊より強い高校生{/netabare}


ファンサービスの試供品です。

オイタなドラマ 「さすが」なドラマ ここあが怒れば 嵐を呼ぶぜ♪ 



※おまけ

■そういえば…
最終盤のネタバレ有です。

{netabare}セブンスプレイムを完全に無害化するためにリーナの力で高度140kmまで飛ばしてもらったお兄様。
これだけでなんのこっちゃ感マシマシなわけですが、成層圏の外すなわち宇宙に飛ばされ○△×構築して“ベータトライデント”を発動しいろんなものを救ったのはさすがです。とはいえさすがのお兄様もいろいろ使い切ってぐったり状態。{/netabare}

{netabare}男塾塾長江田島平八も宇宙飛ばされてたような。。。
なぜかふんどし一丁でしかも自力で生還してたような。。。{/netabare}

どうせやるならこれだけまじめに荒唐無稽してほしかったやね。麻痺してるのかしら?自分が…



視聴時期:2021年1月

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2021.03.14 初稿
2021.10.26 修正

投稿 : 2024/11/02
♥ : 28

つむぎ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

劇場版でも、さすがはお兄様です!

原作全巻既読
アニメ全話視聴済み

アニメから入り、そのまま原作全巻買ってしまう程ハマった作品だったので、今回の映画もとても楽しみにしていました。
また、今回の『劇場版 魔法科高校の劣等生-星を呼ぶ少女-』は劇場版の為に書き下ろされたストーリーとのことで、今回はどの様にして主人公である司波達也を始めとしたキャラクター達が事件に巻き込まれ、解決して行くのかも楽しみにしていました。

今回舞台となるのは、小笠原諸島のとある島。
高校生になってから初めての春休みを迎えた達也達は、雫に誘われ島の別荘にバカンスへ行くことになります。
それと時を同じくして、別の島ではとある戦略級魔法の実験が行われていました。
その戦略級魔法が原因で、達也達『一高生』、リーナが総隊長を務める『スターズ』、日本の『国防軍』や『一高卒業生』なども巻き込んだ事件に発展していきます。

今回の話は『戦略級魔法』というものがこの世界においてどの様に認識されているか。
道具として生み出された魔法師の『立場』などに重点を置いて描かれていた様に感じました。
また、今回はアニメ版には登場しなかった『アンジェリーナ・クドウ・シールズ』やアニメでは描かれなかった『ヘビィ・メタル・バースト』も登場し、劇場版の名に恥じぬ大規模な魔法の数々と話のスケールでした。
そして、今回劇場版で初登場した『綿摘未九亜』
映像作品としては初登場の『アンジェリーナ・クドウ・シールズ』もしっかりと話に絡み、特に九亜はこの話において重要な役割を持つキャラクターなので、是非注目して欲しいです。

今回の劇場版では、原作でも登場していない魔法も登場する為、多少魔法の効果などが分かり辛くもありましたが、パンフレットに劇場版で登場した全ての魔法の説明が書かれていたので、魔法の効果などを詳しく知りたい方はパンフレットを購入されると良いかと思います。

作画などに関してはさすが劇場版といった出来で、魔法発動時の起動式や魔法式、魔法発動時のエフェクトや魔法の効果などが分かりやすく描かれており、アニメとの絵の違いも無く、とても見やすかったです。

ですが、今回は劇場版ということもあり、決まった時間で話を完結させなければいけない為、全体的に早足な感じを受けました。
それでも話が理解出来ないという事は無いので、そこまで気にならないかと。
ただ、今回の劇場版は時期が1年の春休みとなっています。
アニメ版ではそこまで話が進んでいない為、アニメしか見ていない方だと
「リーナって誰?」
「スターズとは?」
「何故達也達と知り合いなの?」
といった疑問が生まれると思います。
そういったことに関しての説明は劇場版では一切されないので、詳しく知りたい方は原作の『来訪者編』を読めば理解できますので、気になった方は原作小説も読んでみて下さい。

アニメしか見ていない方には理解出来ない箇所もあるかと思いますが、これを機に原作小説にも手を出してくれる方が増えてくれればなと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 6

79.6 7 ラノベ原作で学園なアニメランキング7位
映画 中二病でも恋がしたい! -Take On Me-(アニメ映画)

2018年1月6日
★★★★☆ 4.0 (367)
2265人が棚に入れました
高校3年生への進学を間近にした春休みを舞台として、勇太たちの新たな物語が描かれる。ある日、立花の姉・十花は、成績のかんばしくない立花を連れてイタリアに移住することを宣言。これを知った丹生谷森夏(にぶたにしんか)から、立花との駆け落ちを提案された勇太は、立花とともに日本全国を駆け巡る逃走劇を繰り広げる。

声優・キャラクター
福山潤、内田真礼、赤﨑千夏、浅倉杏美、上坂すみれ、長妻樹里、保志総一朗、仙台エリ、福原香織、井上喜久子、岩男潤子

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

さぁ! 一緒に旅に出よう

「十八歳。高校最後の年。なのに六花は…まだ中二病だった」
この劇場版は、この様なくだりから物語が始まるのですが、この作品の視聴意欲を一気に高めてくれるのが公式HPに記載されたイントロダクションの内容です。

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かつて、邪王真眼とダークフレイムマスターが邂逅し、暗黒神話が紡がれた。
そしてすべては神々の祝福を以て終焉を迎えた…はずだった。
だがしかし、暗黒神話には続きが存在した。

 それは二人を引き裂く危機(クライシス)
 それは若さゆえの逃亡劇(エクソダス)
 追い求めるのは安息の地・幻想郷(ザナドゥ)

刮目せよ。
語られるは、隠匿されし暗黒神話の最終章(カタストロフィ)…。
----------------------------------------------------------------------
↑(公式HPより)

凄く表現が難しいですが、富樫 勇太と小鳥遊 六花の物語は、第2期「中二病でも恋がしたい!戀」で完結した筈だったのですが、一向に中二病から卒業できない六花に業を煮やした十花さんから、二人を引き離す大英断が下される…

その大英断をアニメ化したのがこの作品です。
やっぱり勇太と六花の仲が進展するのは想像し辛いですから…
それは早々に確認できました。
大学受験も見えてきた高校3年生間近の春休み…
相も変わらず勇太と六花は同じ屋根の下に住んでいるというのに、上位契約も結べていないとの事でしたから…
もちろん、相応の責任も必要なので上位契約は結べば良いというモノではありません。

でも、もし上位契約を結べない理由があるなら…?
確かに、上位契約に至るまでのプロセスはとても大切ですし、間違いなく一歩前進しなければ到達できる場所ではありません。
一歩前進するのに気持ちの上でも整理が必要ですから…
それに一歩進んだら、もう後戻りはできませんから…
この作品では、この部分を深掘りしているのが特徴であり最大の見せ場だと思います。

この物語で何が描かれるか…?
それは公式HPのイントロダクションを見れば、枝葉までは分からなくても幹の部分は凡そ予想が付くと思います。
そう、この作品ではイントロダクションに隠された部分が抜群に素晴らしいんです。

もちろん、二人とも恥ずかしがり屋なので物事が遅々として進まないのは仕方なしだと思いますが、お互い好き同士であるにも関わらず進まないのは、何故なんでしょうね…?

勇太はダークフレイムマスターで、六花が邪王真眼…これが始まりで、二人にとってこれが全部なんですよね。
前に進むという事は成長すること…
成長するということは、自分自身の殻を破る…或いは様々な変化を受け入れるということ…
変化を受け入れる過程では、手放さなければならないモノだって、きっと一つや二つではないでしょう…

どれもこれも自分…で間違いないと思います。
でももし、自分が変わっていったその果てで見る姿…それが自分が自分じゃなくなっていたら…?
ややもすると、これまでの自分を全否定することになるかもしれない…
自分を否定すること…これはきっと受け入れられると思います。
だって、自分の気持ちに折り合いを付ければ良いのだから…
でも変化って、自分自身の折り合いだけじゃ済まない場合って…沢山ありますよね。

もしそれに気付いてしまったら…変化を怖いと思う気持ちは抑えきれないと思います。
どんなに優しい言葉で包んで貰っても、その果てに自分がしっかりと投影できなければ、一歩踏み出すのは難しいのでしょう…。
だって踏み出そうとするたびに、例え様の無い不安に襲われるのですから…
そして二人はそういう日々を積み重ねてきたのだから…

大人になるために変わらなくちゃいけない…
そんな変化の狭間の間際で、彼らは何を思い何を考えるのか…?
そして彼らにとっての一番の大切な何なのか…?
この作品一番の見どころは、眩しいくらいに輝いていたと思います。

オープニング曲は「JOURNEY」
挿入歌は「Please,Take on me♡」
エンディング曲は「こころのなまえ」
全てZAQさん提供の楽曲です。
やっぱりこの作品にはZAQさんの楽曲がピッタリですね♪

上映時間は約100分…
ですがとても濃厚な100分を堪能できると思います。
しっかり堪能させて頂いた作品になりました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 18
ネタバレ

おぬごん さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ああ、『中二病でも恋がしたい!』の映画だ(しみじみ)

テレビアニメ2期と総集編映画まで制作された、「KAエスマ文庫」原作の京アニ作品、現在まで続くその後の京アニの路線を決定付けたと言っても過言ではない『中二病でも恋がしたい!』の完全新作劇場版
見に行くかどうか迷ってたんですが、ちょうど休みとサービスデーの月初め1日が重なったので鑑賞


ストーリーは事前情報のとおり、勇太と六花の陸海空を股にかけた逃避行でしたが、
感想としては記事タイトルのとおり「ああ、『中二病でも恋がしたい!』の映画だ」としみじみ感じましたねw
『中二病』最大の魅力の2人のいちゃいちゃが特盛りでニヤニヤが止まらず、森サマーと凸守のコンビに笑ってニヤニヤできて、登場キャラがみんないい子で作り込みも丁寧でストレスフリー
描かれるテーマもやっぱり以前と同じ {netabare}「中二病を卒業すべきかどうか」{/netabare}でしたが、久々に見る『中二病』ということで、そんないつも通りの展開が心地よくも懐かしいというポジティブな印象を受けました
周囲のお客さんも口々に「めっちゃ懐かしかった!」って言ってましたし
1期は5年ちょっと前、2期も4年前なんですよね~…そりゃ懐かしいわけだ
そういう感じですので、私と同じかつてTVアニメが好きだった人は楽しめる一方で、最近(それこそ今やってるTBSの再放送とかで)作品を知った方とか、この作品を何度も見返しているようなファンにはやや新鮮さの無い内容かもしれません


先述のとおり私自身『中二病』に触れるのは4年ぶりでしたが、それでもすんなり作品に入れたあたり、作品とキャラのシンプルな個性の強さを感じました
導入としての撮影タイム&注意事項確認もお見事でしたし、キャストの演技にも全く違和感がありませんでした
主題歌・劇中歌が全てZAQだったのも好印象ですn
思えば六花のまれーたそ、森サマーの赤崎千夏、凸守のすみぺは3人とも1期当時はまだ売り出し中の新人でしたし、ZAQはこの作品が商業デビューでしたからね、きっと思い入れも人一倍あるんでしょう
またちゃんと作品内での時間軸(1期放送時・2012年の2年後≒2014年)で描かれているのが新聞記事の「ソチ五輪」やバスタ新宿が無いことから分かったり、他の京アニ作品の要素がサービス的に出てきたり、背景の美しさだったり、作り込みの細かさは流石の京アニでした


唯一にして最大最凶の難点なんですが、映画館での視聴に向いていないことですねw
この作品の最大の魅力は何と言っても勇太と六花のイチャイチャですが、公共の場故にその時に芽生える悶えや感情をぶつけることができないんですよ!!
ネット的な言い回しで言えば「殴る壁が無い」ってところでしょうか…私はTVアニメの時は「オッケーイ!」とか「っしゃーおらあ!!」みたいな声にならない声を上げて壁ではなく膝を叩きながら見ていたんですが、それもできず(笑)
見終わる頃にはポップコーンの箱がぐちゃぐちゃになっていましたw


特に目新しいことはありませんでしたが、今までと変わらない『中二病』が描かれていました
TVアニメが好きだった方は見て損は無いと思います


~余談~
平日昼の池袋ということもあり客層は大学生っぽい若者が中心でしたが、意外と女性が多かったんですよね
私見で5:5か、6:4でちょっと男性が多いくらい
女子ばっかりのこの作品はてっきり男性ファンが多いものだと思っていたんですが、勇太も六花も可愛いから女性も入りやすかったんですかね?
もちろん京アニブランドの力と、池袋という土地柄もあると思いますが

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

映画の基本形態として“ロードムービー”と“ラブコメ”がありますが両面から観ても傑作!つまり“NL”も“GL”も楽しめる!(爆)

KAエスマ文庫のライトノベル第1作でありつつ、同レーベルから京都アニメーションがアニメ化した第1作でもあります『中二病でも恋がしたい!』シリーズ
2012年秋に深夜アニメ化され、2013年秋にその総集編映画が公開(←これが本当にクソ映画だったw)、2014年春に第2期が放送
そしておおよそ4年ぶりの完全新作となるのが今作


思春期にありがちなファンタジーやオカルトな妄想に没入するいわゆる“中二病”をテーマとし、元・中二病患者と現在進行形で中二病なキャラクター達のコミカルなやりとりを中心に彼らの青春を描くラブコメシリーズ


中二病=“脳内がファンタジー”という狭義的な使い方を世間一般に刷り込んでしまった問題作だとオイラは思っています…


今作では極度の中二病患者なヒロイン小鳥遊立花と、彼女に愛の告白を果たしたものの微妙な距離感を保ったままの元・中二病患者の主人公富樫勇太がとある事情からいわゆる“かけおち”行為に出ます


当然ながら立花の姉で、立花を中二病から無理矢理にでも卒業させたい十花がこの蛮行を許すはずも無く、二人の逃避行を追跡するよう丹生谷森夏と凸守早苗を恐喝しこれをけしかけます


かくして作中の舞台である滋賀県を飛び出したキャラ達は日本列島を縦断する大逃走劇を繰り広げるのが今作ポイントです


面白いのが追う者と追われる者、両方を並行して描くのが逃走劇の基本ではありますが、
勇太と立花のサイドでは煮えきれない二人の微妙な距離感でのイチャイチャラブコメが展開するのに対して、
丹生谷と凸守のサイドではいつも喧嘩が絶えない二人に少しずつ友情(以上?w)が芽生えていくのを両面から楽しめるということでしょう
どの派閥の客層にも応えたシナリオを書いた花田先生には拍手しかありませんw


そして最終的なテーマというか、スタッフも恐らく今作を『中二恋』シリーズの完結篇と捉えている事がよくわかるのが、旅の中で徐々に立花が“中二病”からの卒業を考え始めている、のが直接的でなくメタファーとして感じ取れる部分でしょう
しかしこれまでのシリーズでは散々“中二病”を肯定的に捉えたにも関わらず、ここで簡単に卒業なんてさせないのが今作の面白いところで、立花にとって中二病を卒業することが、イコールで自身のアイデンティティを喪失することになる、という苦悩で葛藤する様が実に哲学的かつ青春ドラマしてます


そんなところが演出面、作画面、声の芝居の面など多方面から丁寧に描かれていました
シナリオだけが魅力ではないということです
勇太からプレゼントされた“「痛いw」デザインの指輪”を見つめる立花のシークエンスで、彼女の表情には複雑な想いが詰まっていることが感じ取れますね
また、自問自答する立花がメタモルフォーゼして最後は消えていく演出はエヴァンゲリオンの最終回のオマージュの様にも感じ取れました


ロードムービーということでロケハンも丁寧、聖地巡礼のし甲斐がありそうですねw
至極個人的ですが某フェリーターミナルが描写されたので一人旅をした時のことを思い出し懐かしくなりました…


中二病、ラブコメ…字面だけ読むと大変痛々しい作品ではありますがwそれらをひっくるめて愛してしまったのが今作なんだと思います
「痛い痛いw」と言い続けていたら1周回ってまた中二病に戻ってくるのが人間なのかもしれません
もちろんオイラもその1人、ですが

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21

64.7 8 ラノベ原作で学園なアニメランキング8位
文学少女 劇場版(アニメ映画)

2010年5月1日
★★★★☆ 3.7 (274)
1390人が棚に入れました
文字どおり食べてしまうほど文学が好きなヒロイン・天野遠子と、彼女によって無理やり文芸部に入部させられた男子高校生・井上心葉が様々な事件の解決に乗り出す学園生活の模様を綴った野村美月の人気ライトノベル・シリーズを映画化した劇場版アニメ。『銀河鉄道の夜』がモチーフとなっている原作の第5巻『“文学少女”と慟哭の巡礼者【パルミエーレ】』をベースに、心葉と彼のトラウマとなっている少女・朝倉美羽との運命の再会がもたらす切なくも愛憎入り交じる人間模様を描く。

声優・キャラクター
花澤香菜、入野自由、水樹奈々、宮野真守、小野大輔、豊崎愛生、下田麻美、平野綾
ネタバレ

N0TT0N さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

視聴ルートと個人的適性。

【わたしのタイプと視聴ルート。】

前もって言っておくと、私にとってチャレンジ色の濃い視聴でした。

・普段見ないタイプの作品(恋愛強め)
・キャラデが好きな方ではない(少女漫画風?)
・普段は比較的情報を入れずに視聴するタイプだけど、今回沢山のレビューをじっくり(ネタバレ抜きで)読ませていただいてからの視聴。

3つ目は、どうやら劇場版とOVAが補完関係になっているらしいという構成を知って視聴順を決めるためやむなく‥というのが大きな理由。
先ず、そういうタイプのわたしが書いたレビューなのを前もって言っておきます。原作未読。

で、わたしが選んだ視聴ルートはというと、
OVA(3作品)→劇場版でした。情報比較の甲斐もあり、個人的にはこのルートで正解だったと思うのですが、さらに完璧を期すためには、「プレリュード(OVA)」→「劇場版中盤まで」→「レクイエム(OVA)」→「劇場版クライマックッス」、で、デザートに「OVAのラプソディー」。
これがN0TT0Nお薦めの視聴ルートですw
お試しあれ。



【軽く内容などについて。】

山とガールが、肉食と女子が、ゲスの極みと乙女が出会う遥か以前からまるで四文字熟語か慣用句かのように融合している『文学』と『少女』。
この飛行機雲のようにまっすぐなタイトルから、爽やかで、なにか清廉なイメージを勝手に持ってしまうのですが(キャラデも含めて)、結構、闇な部分を描いた作品だったと言えます。
宮沢賢治の文学作品をモチーフにしている点など文学関連のフィルターを通した表現が多いのですが、この作品の主題は「トラウマ×恋愛」だと思うので、爽やかとか癒される系の物語を、心掻き乱されることなく視たい人にはお薦めできません。要注意です。

ただ、文学少女こと天野遠子先輩の登場している時間帯、特に文芸部の部室シーンは別。逆光などの作画クオリティも手伝ってか、とてもいい感じの空間に仕上がってます。

ですが彼女、ほとんど物語に関わってこない。
この部分は上記の視聴ルートで多少改善されますが、物語を食べる彼女、そもそもこの物語の中での立ち位置も、この特異な設定と同じように読者であったのかもしれません。
ファンタジックな着地も読者目線と捉えればなんとなく合点がいきます。
てか、OVAプレリュードを視聴すると、このはと遠子先輩との出会いの意味が180度変わるエピソードが仕込まれています。
実はこの物語、遠子先輩の思惑がかなり‥‥ry

そして物語の主題「トラウマ」に関しても劇場版だけでは消化不良だったと思います。わたしが朝倉美羽というちょっとアレなキャラに高いリアリティを感じたのはOVAレクイエムのおかげだったと思ってます。

全体としては、リアルな葛藤に対してファンタジーな爽やかさを被せてくる演出がう~~ん‥でした。
空気感としては良い「転」→「結」だったと思うけど、この辺がカッチリ融合して説得力をもっていればもう少し楽しめたかと思います。

ということで、わたしの未知のジャンルの適性チャレンジは"保留"という感じになりました。小さな一歩は踏み出しましたが、恋愛度強の作品を堪能できる素養はまだ確認できてません。

作品については、正直劇場版単体ではあまり物語を評価できませんが、OVA込で視るんであれば、それなりに楽しめるかと。突っ込みどころも完備してますしね。

※以下OVAの話込みのネタバレ。

{netabare}

正直言うと劇場版とOVAの連続性が欲しかった。
大人の事情が多大に影響していたのでしょうが。。

キャラデは意外といけたし、髪揺れや光表現などの作画クオリティも高く視やすかった。ちあの身長が完全に1m切ってたシーンあったけど流石に吹いたwだまし絵かとww

内容的にはOVAも含めると美羽のキャラは説得力あったと思う。思うのだけどトラウマ克服の展開が安易なのは否定できない。一言で救われることが絶対に無いとは言わないけど、遠子先輩と初対面なのも含め、積み重ねが無さ過ぎて説得力が‥。

そもそも抱えてる問題はリアルに描いてるのに解決方法が唐突で、しかもファンタジー‥というのがちょっと興ざめでした。
しかも美羽が克服したとみるや遠子先輩に一目散なこのはw
なんたるフットワーク、切り替えの速さ。バロンドール候補に推薦したいレベル。

その遠子先輩は魅力的に描かれてて良かった。魅力的でいて物語に殆ど関わらないという立ち位置がある意味斬新だけど、OVA込みならまあまあ理解できる感じ。物語を食べる設定もOVAで結構お腹いっぱいにはなるんだけど、返す返すも劇場版と連続性を持たせて頂きたかった。

以上です(`_´)ゞ

{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

ファンタジーだからこそ心の動きが自然でした。

 dアニメのトップにあったので、あまりのなつかしさに視聴しました。本作を見て思うのは、感動とかいい作品って、決してリアリティじゃないですね。

 どんな荒唐無稽な設定の中でも人の心の動きをしっかりと描き切っていれば、一見バカみたいな設定、ちょっと不自然な物語の展開が、かえって感情を強調してくれて深く感動できます。それが、日本のマンガやアニメそしてラノベのいいところだと思います。そしてその代表が「文学少女」なのかもしれません。

 出てくる女がみんな不快になる要素を持っています。ヒロイン遠子も含めてです。彼女は無垢でもありますが、我儘です。でも、深く深く主人公を尊敬し理解しています。しかも、主人公が井上ミウだということを知らなかったのにです。そして、その事実を知ったからED前のあの2人の美しい場面につながってゆきます。

 {netabare} 誰よりも好きで理解していて尊敬しているから一緒にはいられない、{/netabare}という決断って古典的ではあります。が、これを自然に描こうとするのはストーリーに力がないと間抜けになります。遠子の決断に至る心の動きの説得力は、文学を味わうという「文学少女」の不思議なファンタジーな設定だからこそ活きてきます。

 で、本作のメインキャラ、ミウがいるわけです。まあ、この子についてのエピソードは正直不快なだけですが、主人公が小説家になるきっかけとか、遠子との対比という意味で重要です。ミウは主人公にきっかけを与えましたが、結果として彼の小説家としての未来を危うくしてしまいます。でも、遠子は主人公を少しずつ癒し、最後は{netabare}自分の気持ちと引き換えに背中を押します。{/netabare}主人公に対する執着と理解、心を壊したか癒したかが描かれていました。だから、最後の10分くらいの感動につながりました。
 号泣は言い過ぎですが、結構涙が自然にあふれてきました。

 それにしても平野綾さんは、うまいですね。いろいろあって活躍が中途半端なのは残念ですが、声の演技という点では非常に才能がある方でした。素晴らしかったと思います。

 非常に面白いし、懐かしくてさっき原作全巻買い直してしまいました。本作は不思議なことにこの映画の前段となるシリーズがTV等でアニメ化されてないんですよね。で、いきなり映画ってすごいですね。是非TV化希望といいたいですが、今のラノベと比べて作風が古いですし、当時としても異色だったと思います。多分もう無理でしょうね。

 予備知識が無くても、本作だけでも楽しめます。人の設定もストーリー展開上知識無くても読み取れる部分は多いです。
 ただ、やっぱり登場人物とかの関係で入り込むなら原作読んだほうが良いかもしれません。竹田という女の子。原作はかなり強烈でしたが、本作ではあんまり感じませんでした。

 なお、エンドロール後のあれはそういう事です。良かったですね。

追記 皆さんのレビューで知りましたがovaあるんですね。さっそく探してみます。


雑記です。

 宮沢賢治についてはビブリオ古書店でも取り上げられていますし、ピングドラムでは主題でした。銀河鉄道999はまあモチーフにしただけですが。作品そのものは銀河鉄道の夜以外に沢山アニメ化されています。アニメ見るなら一度宮沢賢治はじっくり読んでおいた方がよいかもしれません。

 覆面美少女作家というと、北村薫を思い出しますね。多分作風からいって本作の原作者も読んでいるのではないでしょうか。
 北村薫は意図したわけではないですが、おっさんで学校の先生で身分を隠したら女子大生と勘違いされたみたいですね。この人は人が死なない推理小説の元祖とも言われています。氷菓とかハルチカとか好きな方にお勧めです。

 追記 なお北村薫はリセット、ターン、スキップの3部作で時間跳躍というSF要素を一般推理小説に導入した功績もあります。一般人?が見る普通のTVドラマ化もされているのでその意味では日本のクリエータに多大な影響を与えた人です。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

野菜炒め帝国950円 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

(他人の)愛憎劇。それは最高のご馳走。

アニメ見ると感想書く習慣がついたせいで最近よくやる(エロ)同人RPG
クリア後の感想書かないとなんかモヤモヤする体にされてしまった。

ドロドロ検索シリーズ。
今回はこの文学少女。110分かそんくらい。
原作はあるらしいのだけど知らなくても特に問題無し。勿論私も知りません。

タイトルがドロドロ劇に似つかわしくないので視聴前は半信半疑ではあったけど考えてみればあのスクイズだってタイトルは学校の日々という割りとさわやかなタイトルでした。

結論から言えばそれなりに良作。多分マイナーなんだろうけど掘り出し物だったと言ってもいいレベルだったようには思います。

今回のヒロインズは3人。ttと同じですね。
主人公はいつものドロドロ劇専用主人公だと思って頂いて大体構わないかと。

この作品。ヒロインのキャラは比較的立ってたと思います。
この手のお話の肝はヒロイン達がどれだけ魅力があるかに掛かってると思うのです。

では3人のヒロインを簡単に見てみましょう。

タイトルにもなってる文学少女。これが主人公の1個上の先輩にして文芸部の部長?
見た目はいかにも文学少女って感じの地味ながらも可愛い感じですね。
地味故に個性を持たせるつもりだったのかこの子は本が好きな余りに本を食べてしまう妙な癖?があります。
ああ、いや本を食べるはさすがに人外すぎでしたね。正確にはページをちぎって食べる・・・ですね。
お前は山羊の生まれ変わりかよと突っ込みたくもなりますがこのおかげかインパクトは強いです。

続いて美羽。
所謂ヤンデレに近い存在で本作品のドロドロ劇の8~9割程度は彼女が担ってると言っても過言ではないでしょう。
先輩が光だとすれば完全にこちらは闇ですね。
実際にいれば関わりたくないお方ですがこういう物語だと彼女のような存在は実に映えます。
お前石仮面被っただろと言いたくなるくらいタフネスなのはさすがに変な笑いが出てしまいますが。

んで3人目。
こういう話の3人目のヒロインてのは何故か扱いが軽いことが多いですが彼女には見せ場もあり比較的恵まれたポジションだったのではないでしょうか。少なくとも私は好きでした。

3者3様の魅力はあるんですが悲しい共通点として全員が身内にカイジ君いますか?と問いたくなるような立派な顎をお持ちな点が多少気になると言えば気になるかもですね。
1度気にするとね。どうしてもそこに目が行くのは人間の悲しい性なんでしょうかね。

序盤は穏やかな普通の物語してますが暗雲立ち込めるのは大体中盤辺り以降でしょうか。

先輩が妙に魅力あるせいかこのままドロドロ抜きのさわやか恋愛でもいいかなぁと不覚にも思ってしまった時期もありましたが物語が荒れてくるとやはりそれはそれで心躍るものがあるのです。

それと一応タイトルが文学少女となってますので宮沢賢治とかは頻繁に出てきますが特別詳しくなくても多分支障はないかと思います。

全体的に見ても上手く纏めてある印象が強いのですが出来れば12~13話くらいでもう少し深くしたものも見たかったかなぁというのは本音ですかね。


ネタばれ無しじゃ詳しく聞けないのだけどラストの先輩の決断がなぁ・・。

どうしてこんなことなったのか、私にはわかりません。
これをあなたが読んだなら、その時、私は死んでいるでしょう。
…死体があるか、ないかの違いはあるでしょうが。

これを読んだあなた。どうか真相を暴いてください。それだけが私の望みです。 byひぐらし

いや死んではないけどまさにこんな気分。
なんとなく察しはつくもののなんだかなぁて感じです。

まぁ終わってみれば良作だったと思います。少なくとも見て損することは無いのではないでしょうか。
劇場版ということを考えれば程よい愛憎劇具合で御座いました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 20
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