ライデンフィルムで東京なおすすめアニメランキング 2

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのライデンフィルムで東京な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年02月06日の時点で一番のライデンフィルムで東京なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

64.4 1 ライデンフィルムで東京なアニメランキング1位
真夜中のオカルト公務員(TVアニメ動画)

2019年春アニメ
★★★★☆ 3.1 (205)
674人が棚に入れました
フツーの公務員になったはずの新宿区役所職員・宮古新が配属されたのは、東京23区すべての区役所に人知れず存在する「夜間地域交流課」だった。そのお仕事は、人ならざる者が関与するオカルト的事象の解決。先輩で課のリーダー榊京一、オカルトマニア姫塚セオに連れられて人の世の理を超越した存在と対峙しに、夜な夜な出勤する。

声優・キャラクター
福山潤、前野智昭、入野自由、遊佐浩二、櫻井孝宏、土岐隼一
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

レッツ!異種間コミュニケーション(笑)

[文量→中盛り・内容→考察系]

【総括】
妖怪、精霊、神々、などを「アナザー」と呼称し、彼らの起こすオカルトな事案を専門に処理する公務員達の物語。

男ばっかり出てきますが、特にBLってことはないし、安心安全の当たり障りのない作風。、、、だって、公務員ですから(笑)

これといって際立った良さはないのですが、なんとなく、普通に最後まで観られるアニメでしたね。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
扱うテーマは、「価値観」。

それぞれの種族にはそれぞれの価値観があり、他種族(人間)には理解できないものだったりする。

そこで、アナザーと言語によるコミュニケーションをとることができる唯一の存在、宮古新 を中心に物語は動いていくのだが、、、

う~ん、飛び抜けた良さがない。

これはしょうがないけど、「アナザーならではの価値観や発想」も、所詮、「サイコパスではない普通に善良人間(作者)」が考えたものだから、視聴者にも納得できる枠内に収まってしまった。理想を言えば、「そんなん思い付きもしませんがな」という、予想のナナメ上をいくような「意味のわからなさ」が欲しかった(そういう意味では、宇宙人との交流を描いた冨樫さんのギャグ漫画「レベルE」は凄い)。

強いて、上記のような「異種間」ならでは軋轢がしっかり描けていたのは、7話のアザゼルに復活させられた少女の苦しみ、叫びくらいかな。あれは聞いてて胸が痛くなった(心に残った)。

キャラクターとしては、やはりウェウェコヨトルがよくできていただろうか。つかみどころのないフワフワしたキャラクターだが、だからこそ、一番の「異種」を感じさせてくれた。8話のお散歩回は、妙なコメディタッチながらも、美しく切ない話。なかなか素敵だった。

ラスト12話に、1話完結の「良い話」をもってくるのは、作品に対する制作の愛情を感じた。ヘタに2期に含みを持たせるよりも、よほどスッキリする。

あぁ、あと、東京各所の風景がわりとちゃんと描かれていたし、新国立競技場が使われたのは、なんだか感慨深かった。リアルタイムで良いなと思った。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
普通は、あのスプレーがヤバい薬品で、幻覚を視ていると思うよな(笑) いや、わりと面白い。新人、神の耳(笑) 超エースになれるじゃん。アナザーと言語コミュニケーションをとれる奴が一人いれば、文字を教えて、種族間のコミュニケーションがとれるだろ。

2話目 ☆3
なんかちゃんとストーリーアニメになってきたな。

3話目 ☆3
妖怪の怖さ。愉快犯。思い、、、出した(笑) 神様か。

4話目 ☆3
神様と酒盛り。ハイエナ、渋い。

5話目 ☆2
言語が理解できても、文化や思考を理解できるとは限らないしね。パンドーラーとは、これまたメジャーどころを。

6話目 ☆2
ストーリーに戻ったね。人間は、圧倒的弱者、なのかな?


7話目 ☆4
なんか、ありがちな動機に、がっかり。もっと、発想の外側の動機が良かったな。なんて迫力のない、逃走劇(苦笑)

ただ、復活を喜ばない、少女の、泣き叫び。あれは良かったな。人間として、何が幸せなのか、アナザーとの価値観の違いが出ていた。

ラストは、まあ平和だけど、目が見えないままにしておくというのも、展開としてはアリだったかな。

8話目 ☆4
後楽園から上野、そして、浅草、押上。歩いて歩けない距離じゃないけど、かなりキツいな(笑)

妙なコメディタッチながらも、美しく切ない話。なかなか素敵な回だった。

9話目 ☆3
踏み潰して、一閃。人間の方が、複雑怪奇。

10話目 ☆3
新国立競技場、ある設定なんだね。繭を作るアナザー。アナザーと神の境目は、格なのか?

11話目 ☆3
アナザーと人間の協力、は分かるし、アナザーの支援は嬉しいけど、アナザーの能力はほぼ使わず、人海戦術、か。

12話目 ☆3
ラストに、ちょっと平和な話をもってくるのは、作品に対する制作の愛情を感じる。
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 22

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

妖怪、精霊、神々といった超常的存在との平穏を図りながら、都内でのオカルト事件に対応する夜間公務員の物語。

この作品の原作は未読です。
事前情報一切無しで視聴を始めて、気が付いてみたら完走していた…私にとってそんな作品でした。


フツーの公務員になったはずの
新宿区役所職員・宮古新が配属されたのは、
東京23区すべての区役所に人知れず存在する
「夜間地域交流課」だった。

そのお仕事は、
人ならざる者が関与するオカルト的事象の解決。

先輩で課のリーダー榊京一、
オカルトマニア姫塚セオに連れられて
人の世の理を超越した存在と対峙しに、
夜な夜な出勤する。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。
公務員の中でもオカルト的な相手との接触を生業とするのは、普通に考えると物凄くリスキーです。
同じ給料しか貰えないのなら絶対配属されたくない部署だと思いますが、新が配属されたのはある意味必然でした。

それは、新たにしかない…かどうかは分かりませんが、少なくてもこれまで登場したキャラの中では新だけが「砂の耳」を持っていたから…
妖怪、精霊、神々、これら一般の人間には感知されない超常的存在を、この作品では「アナザー」と呼んでいるのですが、砂の耳の持ち主はアナザーと対話することができるんです。

アナザーが何を言っているかを理解することができ、アナザーにこちらの意思を伝達することができる…
確かに凄い特殊スキルだと思います。
でも、見方を変えて考えると、アナザーが何を言っているかが全く分からない状態で、これまで超常的存在と対峙してきたことの方が遥かに凄いと思います。
下手したら、相手を怒らせてしまうかもしれない…
そうなったら、相手がどんな手を打ってくるのやら…底が知れません。

何故、新が砂の耳を持っていたかは、彼の出生に秘密があるようなのですが、結局のところ、この件については真相に辿り着きませんでした。
そこは完走しても少しモヤっと感が残るかもしれません。

だから…なんでしょうね。
アナザーに近づきすぎるな…と新が先輩たちから警告を受ける場面を何度も見ました。
そりゃそうです…アナザーと呼ぶ位、人間とは在り方から異なっているのですから…

彼らと対話する以上、ある程度寄り添う必要があります。
それは先輩たちからすると、十分過ぎるくらい危険領域に踏み込んだ行為…
でも対話が、解決に向けた一番の近道ですから…

慎重さを無くして良い訳じゃありません。
新の加入をきっかけに、仕事の仕方が変わりました。
例えば人間とアナザーで酒盛りするとか…

お互いの意思疎通が図れなければ、絶対実現できないことです。
人間とアナザーは共生していかなければいけない間柄である以上、交流は欠かせません。

もちろん、新の仕事のやり方を否定する同業者も存在します。
誰もが砂の耳を持っている訳じゃない…
持たざる者には勝てない…?
特にエリートなら真っ向から否定するでしょう。
じゃないと、これまで積み上げてきた自信を、きっと失ってしまうから…

だれもが能力者ではないんです。
選ばれなかった者は、自らに努力を課すことしかできませんから…
私も選ばれなかった側なので、否定する人間の気持ちは良く分かります。
この作品がスルっと完走できたのは、そんな視聴者に寄り添う視点で物語が描かれているからかもしれません。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、福山潤さんの「dis-communicate」
エンディングテーマは、土岐隼一さんの「約束のOverture」

1クール全12話の物語でした。
物語は綺麗に纏まっていたのではないでしょうか。
作画も特に崩れや乱れは感じませんでした。
設定も良かったからでしょう…しっかり堪能させて貰った作品でした。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 18

kororin さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

『発想』は良かった。でもあまりにも『不完全で不十分で不器用』!

2019.07.01
主人公・宮古新(みやこ あらた)22歳。
東京都の公務員採用試験に受かり配属されたのは「新宿区役所夜間地域交流課」。ここは都内の闇に存在するアナザー(妖怪・心霊・神々などのオカルト案件)を監視・調査・被害が発生すれば対処する部署。人間とアナザー、お互いに深く干渉して(傷害)事件性を起こさないように対処するのが目的。
しかし会話や意思疎通が双方ともまったく出来ないので「行動」で推測するのがかなりの難点。そんな折、新人・新は「砂の耳」と言われるアナザーの「声や会話が聞こえる・理解できる」能力に開眼。こうして新は闇世界に関わっていくのだが・・・

【簡易感想と若干の指摘(?)】
●国家事業(?)としての灰色なオカルト対策部署という設定は面白いと思います。惜しむらくは、もっと組織ゆえの複雑すぎてダメなトコロが見たかった。

●人の都合とアナザーの都合。双方思惑が食い違うテーマはイイですね。実際、野猿や野生のシカ等がが里山の畑や民家に入って食い散らかす被害が出ても、人間様の社会生活事情なんて知った事じゃないから食料があれば本能的に漁るのが当たり前でしょうし・・・そこでどのように共存するかが悩みどころ。そういう着眼点は良かった。


しかし!

●アナザーのデザインは、やはり「(創造が)出来ない人」特有の「人間素体」が基準になっているようで『奇抜』さが無かったのが残念。 むしろ、それぞれの「縁や関係性重視」でストーリーを組み立てる主義なのかもしれませんね。

●宮古新が『(砂の耳を)持ってる』のに「ボンクラ」過ぎるのが見ていて腹立たしくもあり、不愉快でもありました。見事に「平和ボケ日本」で育った青年です。(笑)
公務員としての仕事はそつなくこなすものの、配属されたオカルト専門の部署にも関わらず、
・オカルトに関する「造詣・知識無し」。
・オカルトに関する「興味(あまり)無し」。
・なので、すすんでオカルト知識を学ぶ「意欲無」し。
・平和ボケしてるのでアナザーの危険性に対して悲しい程「無警戒(スキだらけ)」。
・「砂の耳」という常人がうらやむ能力が有りながらも「自覚無し」。(凄腕ネゴシエーター=交渉人になりうる素質がありながも凡庸すぎ)
『才能』があるにもかかわらず、まったく伸ばそうとしない「ボンクラ」ぶりに苛々苛々苛々苛々苛々苛々苛々・・・・・・・。
・安倍晴明と縁があると知っても、まったく「自覚無し」。(え?誰ソレ?偉い人?)
など、なんかポヤ~~ンとしすぎ。
良い面としては、
・基本優しい善人
・対話解決主義
なんだけど・・・・・アクティブさが無い分、なんか観ていて苛々させられました。(表情も固かったしネ)

●自由本舗なウェウェコヨトル=琥珀。性別は無いだろうけど、女性のようにしなやかな肢体で優男声。相手をまったく気遣わない自分主義。その結果周りを混乱・争乱させるトリックスター。う~~ん、何か気持ち悪かったです。(笑)


そんなわけで、「オカルト面」に関しては、何かと「ニワカ知識」で浅く、面白味がいまひとつ。
ストーリー・ドラマに関しては、もう3~5工夫すれば面白くなるように思えました。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 9

65.0 2 ライデンフィルムで東京なアニメランキング2位
啄木鳥探偵處(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.2 (99)
351人が棚に入れました
時は、明治の末――金欠に苦しむ天才歌人・石川啄木は、とある殺人事件をきっかけに下宿で探偵稼業を始めることに。その名も、「啄木鳥探偵處」。「浅草十二階の幽霊騒動」「雪降る夜に街を徘徊する人食い人形」……奇怪な事件に次々と首を突っ込む啄木の助手を務めるのは、同郷の先輩・金田一京助。文士仲間の野村胡堂、吉井勇、萩原朔太郎、若山牧水らを巻き込んで、人たらしの天才歌人・石川啄木が文明開化の東京を駆け抜ける!

声優・キャラクター
浅沼晋太郎、櫻井孝宏、津田健次郎、小野賢章、斉藤壮馬、梅原裕一郎、古川慎、林幸矢
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

岩手県民にとって必携アニメ…かも

原作小説未読


石川啄木を探偵に、同郷の先輩金田一京助を助手に。1996年発表の小説が元ネタのようです。
クズな逸話に事欠かない啄木をどこか憎めない人間に仕上げてて面白いのですが、そもそもピックアップしたのが啄木とはマイナーじゃないですかね?教科書の副読本『文学史』にちらっと出てくる人じゃなかったかしら。知名度は漱石や芥川にはもちろんのこと歌人としても与謝野晶子や正岡子規には言うに及ばずで、おおむね二葉亭四迷だったり河東碧梧桐程度のシャドウストライカーみたいな位置付けだった気がします。

と言いながら当方の視聴動機は石川啄木です。岩手出身の身としては断る理由がありません。他県の方への訴求力のあるお名前かは心配。

もう一つの心配事。こういった文豪ものは先駆者がいてたりで、それがまた美形男子逐次投入と腐向けの臭いがするため嫌気されがちです。私も先駆者作品は只の一度も観たことありませんし興味もありません。太宰の深淵も知らずにとりあえずアンニュイにしてみました、みたいなことして見繕っているんでしょ?くらいの小馬鹿にした先入観を持ってます。


 {netabare}視聴前ハードル高杉{/netabare}


県民以外に誰得なんよ?なツカミと思いきやなかなかどうして…味のあるお話でした。わりと私好きです。それに腐向けではないと断言できますな。厳密にはどうか知らんけど表向きは皆無なのでその点はご安心頂ければと。啄木なんかもそうですが文豪たちの人となりや人間関係なんか現実のそれを踏襲してたんじゃないかしらと思われます。
ハードルと事前に想定してた要素はさほど気になりませんでした。


だがしかし諸手を挙げてお薦めは出来ません。『きつつきたんていどころ』その名の通り探偵謎解きものです。それなのにミステリーの解に膝を打つような気持ち良さがあるかというとまるでない。
主人公の啄木もなかなかのクズっぷりで金を借りて遊ぶわ返す気配なしで悪びれることもないわなかなか共感を得にくい人物です。才能と人格は同居しないとはいえ支持される性格とは程遠い主人公。
コナン君や金田一少年がゲスな性格をしていて謎解きも普通な感じ、と誰得な気配濃厚であります。


自分は郷里アドバンテージなのか、いまいちミステリやゲスの極み主人公はさほど気にならず。
いや観ているうちに「気にならなくなった」が正しいですかね。完走してみるとわりと謎解きは副次的要素に追いやられて金田一との友情話が主旨だとわかります。
そもそも石川啄木が夭折した明治期の歌人であります。


 {netabare}命短シ恋セヨ乙女{/netabare}


きちんと初回からメッセージを発してます。短い生涯を精いっぱい謳歌するという点で啄木自身も実践していたように思えますし、金田一の視点も限りなく優しい。
それに現実の啄木が詠んだ歌だって故郷を追われるようにして出てきて郷里を懐かしむ歌が多い。二度と戻れぬ時間や場所への追憶が創作の原点ならば、きちんと懐古上等な物語に仕上がっております。


振り返って“悪くはなかった”としたのは事実ですし、なんだかんだ序盤からけっこうジワる小ネタで刺激されたこともあり完走するにあたって特に苦労は無かったですよ。

・{netabare}第1話から複数回名前が挙がってた軍医森林太郎。屋号の“鴎外”をおくびにも出さないところ{/netabare}
・ライデンフィルムも天災で『はねバド!』1話分飛ばしてたのに今回のコロナ禍では貫徹。感謝!
 ※{netabare}そして同作品の羽咲綾乃役だった大和田仁美さんが登場。お久しぶりです{/netabare}
・石川啄木/金田一京助に続いて野村胡堂(CV津田健次郎)も岩手出身。しかも同世代
・石川啄木(CV浅沼晋太郎)。浅沼さん出身盛岡だし。ますます岩手県民必見な気がする
・金田一京助(CV櫻井孝宏)。挙動不審な櫻井さんの演技は初かもしれない
・名義貸しで名探偵に仕立てられ挙句には「名をかけて」じっちゃんにされた言語学者が探偵ものに
・{netabare}書生が活躍!?の人情話第3話。書生の名は平井太郎。小道具に銅貨出てきたのがなかなか渋い
 ※{netabare}江戸川乱歩の処女作が『二銭銅貨』ってなかなかの伏線です{/netabare}{/netabare}

{netabare}個人的にはこの3話がミソ。遊女の悲恋といいますか、金田一を恨みながらも真相を知らせない啄木の優しさ。言ってどうなるものでもないしね。{/netabare}



※ネタバレ所感

■元服って…

齢十五歳で昔は大人扱いだったとか。

『不来方のお城の草に寝転びて空に吸はれし十五の心』

“こずかた”と読みます。不来方は盛岡の雅称。東京にて当時を思い出し詠んだ歌と言われてます。無限の可能性がありそうな若かりし頃ってやつ。

{netabare}加世の年齢を聞いた時から予感はあって、さすがに最終回で岩手山の遠景から石垣の見える草むらに寝ころぶ加世(CV大和田仁美)を見てこの歌を詠まれるだろうとその通りでした。加世は十五歳です。{/netabare}
{netabare}少し前の回の同じ場所で今度は身を投げようとして金田一に止められた二十代半ばの啄木の姿がありました。その加世との対比が物悲しい。{/netabare}

 命短シ

花の命は短いって意も当然あり。しかしあらためて、兄弟五人も入れば一人くらい乳幼児死亡や死産など当たり前でこれらが平均寿命を40歳代くらいに下げてた明治時代。70歳を超えて生きてれば長老もいいところ。平均寿命が上がったのはたかだかここ50年くらいの話です。文字通り命短し。
人生の折り返し地点だったり、今でいうところの『終活』を考える年代が現代より早かったわけで、短い人生なら己の好きなようにという力学が働くのはその通りで、「どうせあの世に持っていけないし」と生活が回る銭があればって感覚も理解できなくはない。啄木に限らず蓄財より使ってナンボみたいな当時のエピソードには事欠きません。

{netabare}もちろん金田一京助以外の友人たちは啄木への異議申し立てをしっかりしてますので彼がクズなのは前提なんです。ただし微妙にお金の捉え方が現代に生きる我々とずれている気がします。啄木の無心に付き合う京助の金の使い方に対しても友人たちはあまり口出ししません。たぶんそういうところ。{/netabare}

{netabare}人生が短いのであれば十五歳といっても現代の十五歳とは背負うものが違う。そんなことが透けて見えていたのが加世でした。同じく夭折の天才歌人も似たようなもんだったかと。{/netabare}



いたずらに昔を懐かしみたいわけではありませんよ。

『教室の窓より遁(に)げてただ一人かの城址(しろあと)に寝に行きしかな』

心を空に吸われる前段階で、授業をサボって教室を飛び出し、一人になれる場所に向かってます。
あーこの感覚は変わらないのでしょうね。何十年後かの夜に自由を求め続けて盗んだバイクで走りだしてる十五歳と心根は一緒だと思います。今の十五歳にもぜひ悶々としててほしいものですね。



■啄木と私
 ※アニメ関係ないので畳みます

{netabare}『ふるさとの 山に向ひて 言ふことなし ふるさとの山は ありがたきかな』
『石をもて 追はるがごとく ふるさとを 出でしかなしみ 消ゆる時なし』


離れて暮らす故郷を想って詠んだ歌が心に響く歌人という位置付けです。
{netabare}だからこそ東京で絶望した本作の登場人物らが、ある者は自ら命を絶ち、またある者は故郷へ帰っていくこの物語に意味を与えます。{/netabare}


故郷を離れて壁にぶつかるなり抱えるものが増えたりするなりしてくると響いてくる短歌でしょう。
家内からの指摘で、新幹線駅を降りて自宅へ向かう途中に北上川にかかる全長500Mくらいの橋を渡るんですけどその景色が岩手に来たぞって感覚らしいのです。

『やはらかに柳あをめる北上の岸辺目に見ゆ泣けとごとくに』

北上=北上川のこと。指摘されて初めて気づく感覚でした。それと、第1話ボソッと呟いてたこの歌。

『ふるさとの 訛なつかし 停車場の 人ごみの中に そを聴きにゆく』

ずうずう弁聞きたいがために上野駅に向かうという設定だったかと思います。そんなん実家戻れば勝手にそうなるしわざわざ花の都大東京で地元訛りを聞く感覚とはなんぞや?と思ってました。
{netabare}不幸なことに東日本大震災の時に痛烈に掻き立てられました。“停車場”から“TV”へとモノは変わってますが、遠く離れた地で聞く身体の奥底に根付いた言語。それを話す人たちが苦境に立っているのに帰るに帰れない。多くは語りませんが故郷への想いが強くなるとともに思い出したのが地元の歌人のこの歌でした。{/netabare}

こうみると意外と覚えてるもんです。{/netabare}



全くもってミステリがどうでもよくなった事情はこれまで書いてきたようなことでした。
この作品の一番の謎は、原作者の方はもうお亡くなりになられて久しくあまりプロモーションの必要性も感じないのになんでアニメ化したのかしら?ってことでしょうか。

あとEDは最初から最後までアカペラで貫徹したらよかったのに、と思ってます。
{netabare}大正時代のヒット曲が原曲です。明治時代の物語で大正浪漫かよ!と思いかけましたが、物語が繰り広げられた明治後期を金田一京助が振り返る頃合いが大正時代なのだと理解して納得してます。{/netabare}


あまりお勧めではないけど自分は評点高めにしとくタイプの作品。
ふるさとっていいもんですね。


視聴時期:2020年4月~6月 

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2020.07.14 初稿
2021.03.07 タイトル修正

投稿 : 2025/02/01
♥ : 34
ネタバレ

♡Sallie♡☆彡 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

歌人啄木,謎を詠む。

タイトルからしてミステリーなんだろうなと想像できたものの,まさか文豪たちが登場する話だとは思いませんでした。
正直,実在の人物を使ったフィクションはあまり好きじゃないのですが,それ以上に明治や大正の雰囲気が好きなわたしは観続けることにしました。
これを観ているとき,その少し前から「tactics」も観ていて,どちらも偶然にも明治を舞台にした物語ということで無意識にそういう気分だったのだと思います。

「tactics」の方が妖怪が関わる事件を解決するファンタジーな一方で,こちらはファンタジーは一切無いちゃんとしたミステリーになっています。
1話ごとに事件を解決していくスタイルは同じですね。
こちらは原作は推理小説だそう。
上記の通り,メインの登場人物は誰でも名前を聞いたことがあるような文豪たちです。
主人公は石川啄木。彼が探偵役ですね。
そしてその相棒の金田一京助。
他にも仲良くしているお仲間がいます。
啄木の先輩,野村胡堂。
小説家志望の書生,平井太郎。彼は何を隠そう江戸川乱歩です。
啄木のライバル歌人,吉井勇。
そして後に近代詩の父と呼ばれる男,萩原朔太郎。
その他にも,若山牧水,芥川龍之介,森鴎外,夏目漱石が登場します。
なんかそうそうたる面々すぎて笑っちゃいますね。

キャラデザはそんなに好きでもなかったんですが,見ているうちに気にならなくなりました。
それより,やっぱり明治時代の文化や当時の家並みなどの背景が素敵だなぁと思って観ていました。
わたしが明治・大正の雰囲気が好きな理由としては,欧化政策や文明開化で西洋の様式が色んな形で取り入れられたくせに急に無理矢理取り入れたものだから和と洋が混然一体となって不思議な雰囲気を醸し出している感じに惹かれるからです。
作中でも多くの人は和服を着ているけれど,ハイカラな人は洋装ですよね。
わたしは書生風のスタンドカラーのシャツに着物を合わせている着こなしとか女学生の袴姿にグラニーブーツを合わせているのとか素敵だなと常々思っていて,このアニメでも平井くんがそういう和洋折衷な着こなしで好きでした。
彼は大物になりますよ。(←みんな知ってる。)
特に好きだったのは石川くん,金田一さん,平井くんが下宿する蓋平館。
大きな建物に見えますが一部屋は3畳ほどです。
今でいうところのルームシェアに近い感覚かなぁ。
そして1番素敵だと思ったのは凌雲閣,通称浅草十二階です。
こちらは原作の表紙の装画にもなっていますね。
わたしは当時のことに明るくないのでこういう建築物があったことを知りませんでした。
調べてみると,関東大震災で壊れて撤去されちゃったそう。
ヨーロッパなんかは何百年も前の建物を当たり前のように今も使っていたりするのに,地震大国の日本はこういう建物を残しておけないんだなぁと悲しくなりました。
彼らが“十二階”と呼ぶこの建物は1890年竣工で1923年には解体していることから,建っている風景を見られたのはわずか33年ほどということになりますね。
この物語はそんな凌雲閣が建っていたほんの一時の時代のお話で,話の中で時代がかった言葉や風習が沢山出てきます。
まず気になったのは「牛乳新聞縦覧菊乳舎」とのれんのあるお店。
ここは啄木たちの溜まり場になっています。
ここに行けば取り敢えず仲間に会えるかもって感じなのかもですが,わたしは「新聞!?牛乳!?ここは何なの(・・?」でした。
彼らがミルクホールと呼ぶそこはアメリカの影響で「牛乳飲みましょう!!」ってことで始まった,今でいう喫茶店みたいなところで,軽食も出してくれるし新聞縦覧所も兼ねていることが多かったらしくあぁいうのれんになっていたみたい。
まだ新聞配達が一般的じゃなかったこの頃は人間の方から新聞があるところに出向いて新聞を読んでたらしく,そういう場所を新聞縦覧所と言ったそう。
あと物価が今とは違い過ぎるので40円とか5000円とか出てきても価値が全然分かりませんでした(笑)。
まぁこんな感じで当時の風俗や大衆文化に触れられて楽しめました。

物語自体は石川啄木の死後十数年経ってから金田一さんが下宿「蓋平館」を訪れるところから始まります。
こういう始まりは「風と木の詩」と同じだな。
切ない気持ちになりますね。
で,本筋のミステリーですが,ミステリー好きではないのでそこはあまりピンと来なかったかな。
人の名前を覚えるのが苦手なこともあってアニメだと短時間にテンポよく進んでいくので「ん!?どういうこと!?!?」ってなって見返さなきゃ理解できないこともしばしばでした。
特に1話観てから2話以降を観るまでけっこう時間があいたので話数が進んでから荒川銅山とか小栗とか言われてももう覚えてなくて…(^▽^;)
1話完結のようですが,ちょいちょい繋がっていたんですね。
うちもときせん(って何??船の会社!?)の女中殺しとかも作中でさらっと出てきただけなのに,その後取り上げられるからよく覚えてなくて「何だっけ??」となりました。

―にも関わらず,物語の評価を★4にしたのは第十首。
{netabare}金田一さんは自暴自棄になって姿を消した石川くんを見つけ出します。
「君は何故僕にかまうんです?碌な小説も書けなくて,好きだった人の敵も討てなくて,あなたが引き止めるから,だから死ぬことも…。」
「花街に通おうが,僕の本を勝手に質に入れようが,そんなことは構わない。お金が要るのなら僕がいくらでも用立てる。けど,死ぬのだけは許さない!!」{/netabare}
このシーンはほんとにうるっときました。
この金田一さんの友達のためだったらみたいな気概というのか心意気というのか―こういうのは現代人にはないもののような気がします。
当時の人らしいメンタルのように感じました。
これを友達というのであれば,わたしは誰の友達にもなれないなぁ。
すごいなぁって思います。
このシーンに感動したので物語の評価は高めです。

それにしても主人公の石川啄木という人はどうしようもないですね。
史実での彼がどのような人生を送ったのか知らなかったので軽く調べましたが,読むだけで疲れるような波乱万丈な人生だなと思いました。
結核で亡くなってしまうという結末は石川啄木という人を知っていれば分かることですし,このアニメでも冒頭で分かっていることなのでネタバレの範囲外かと思いますが,わたしは彼がこんなに早く夭逝しているとは知りませんでした。
彼が蓋平館に住んでいたのは独身の頃ではなく,故郷に妻や子どもを置いてきているんですね。
アニメでは奥さんの存在は描かれていませんでした。
独身という設定だったのかな??
原作ではちゃんと奥さんがいる設定みたいなのと物語自体も少し違うみたいなので機会があったら原作も読んでみたいです。

声優さんは啄木の声がめっちゃあっていると思いました。
調べてみたら「四畳半神話大系」の“私”と同じ声優さんだそうでびっくりしました。
全然声が違うので信じられません(@_@;)
あとは平井くんの声が良かったかな。

主題歌はやっぱりエンディングの「ゴンドラの唄」が印象的でした。
作中にも登場する吉井勇が作詞しています。
とても古い曲ですが,わたしの好きな小説「夜は短し歩けよ乙女」のタイトルがこちらの「いのち短し恋せよ乙女」からとられていることもあって知っていました。
NOW ON AIRというユニットは存じ上げなかったので調べてみたら,メンバーの1人が亡くなってるんですね。
残念です。。

このアニメは観終わった後の余韻がなかなか消えないので,ミステリー好きさんはもちろん友情モノが好きな方におススメしたいです。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 4
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

金田一京介も石川啄木も、我が郷里岩手の代表的県人だが、だからといってアニメの評価では贔屓しない(笑)

[文量→中盛り・内容→酷評系]

【総括】
金田一京介、石川啄木が探偵として事件を解決するという探偵モノ。

また、文豪達がなんかワチャワチャと楽しそうに絡んでいました。

う~ん、不愉快な感じもなかったけど、特に面白いと思えるところもなかったかな。

《以下ネタバレ》

【視聴断念(7話まで)】
{netabare}
ど~~にも、推理が面白くなかったな。

例えば、遊女の殺人の謎解きが、「利き手が逆」って、手垢つきすぎて逆に驚いた。

そんな感じで、どの推理を観ても、面白さがなかった。

この場合の「面白さ」とは、「謎解きの知的な面白さ」と「解決のエンタメ的な面白さ」があるが、その両方が面白くなかった感じ。

というか、私の中で一番打率低いのが、ミステリーな気がしてきた。面白いミステリーアニメって、あんまり記憶にない。

また、「文豪がイケメンになって仲良くしてる」みたいなのも、なんか苦手だと思えてきた。

というこで、何においても楽しめませんでした。あ、7話は多少面白かったです。稼いだ500円を、ドッキリに全部使っちゃうってのは、なかなかよかったです。
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【余談~ あの啄木の日記、有名なやつですねw ~】
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2話に出てきた啄木の日記には、有名なエピソードがありますねw

啄木は、自分の生活を、ローマ字を使って日記に書いていました。彼は病床に伏し、妻に言います。

「この日記には、私の歌のアイディアが書いてある。誰かに盗まれないように、あえてローマ字で書いている。もし、私がこのまま死んでしまったら、これは燃やすように」

果たして彼は、若くして亡くなってしまいました。

しかし妻は、「愛する夫が遺した日記。とても燃やせません。私にはローマ字は読めないけれど、親友のあの方にだったら」

と、金田一京介にその日記を渡します。

果たしてそこにあったのは、詩のアイディアなどではなく、啄木の「風俗日記」「浮気日記」でした。

それがまさか、後の世に公開され、本にまでなるなんて、流石の啄木も想像しなかったでしょう(笑)

余談の余談ですが、啄木の妻、節子は、本当はローマ字が読めたという説もありますよね。外国人から英語を習い、教師もやっていた才女なので。

よって件の日記は、「散々に振り回された、節子のリベンジ」という話もあるんですよね(その風俗に行く金を貸し、一緒に風俗遊びをしていたのが、金田一京介ですから)。真相は、「藪の中」ですが(笑)

ちなみに、私は啄木をカスだと思っていますが、啄木の作品をカスだとは思ってなくて、芸術作品というのは、作者の人間性と切り離して評価するものだと思ってなくているので。

てゆうか、「普通の人間には、普通の物語しか書けない」「異常な人間だから、異常な物語を書ける」という考え方もあるわけですしね。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆2
岩手県人二人だな(笑) 啄木の歌が散見。鴎外まで。別に捜査は面白くない(笑)

2話目 ☆2
まあ、実際は京介も啄木と一緒に遊女のところに行ってヤってるけどな。啄木の、女遊び日記だね(笑) まあ、嘘をつかず、京介を助けるためだよな。クレジットで分かったけど、朔太郎かよ(笑)

3話目 ☆2
朔太郎の推理、やべぇな(笑) 童貞には甲斐性がない(笑) 今度は芥川。藪の中ネタか。今度は、乱歩。いよいよ本物じゃねぇか(笑) 右利き、左利きという、めちゃんこ古典的な推理。

4話目 ☆


5話目 ☆


6話目 ☆2
牧水は結構好きだな~。なんだろう。全く面白くないな(笑)

7話目 ☆3
友情の話。稼いだ500円を、ドッキリに全部使っちゃうってのは、なかなかよかった。伏線が効いていたし、初めてちょっと面白かったかな。

8話目 ☆


9話目 ☆


10話目 ☆


11話目 ☆


12話目 ☆

{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
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