ヨーロッパで秘密なTVアニメ動画ランキング 3

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画のヨーロッパで秘密な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年07月07日の時点で一番のヨーロッパで秘密なTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

79.3 1 ヨーロッパで秘密なアニメランキング1位
多田くんは恋をしない(TVアニメ動画)

2018年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (618)
2740人が棚に入れました
カメラを手に、満開の桜の写真を撮りにきていた光良は、異国から日本にやってきたばかりだという少女テレサに出会う。日本に着いて早々に、連れとはぐれてしまい、迷子になっていた彼女を助けることになった光良は、祖父が営んでいる多田珈琲店へとテレサを連れていくのだが…。まだ“恋”を知らない少年と少女を中心に繰り広げられるドタバタラブコメディーが幕を開ける。

声優・キャラクター
中村悠一、石見舞菜香、宮野真守、下地紫野、梅原裕一郎、石上静香、下野紘、水瀬いのり、櫻井孝宏、大塚明夫
ネタバレ

雀犬 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

多田くんは劣化少女漫画

2018年春。大ヒットした「月刊少女野崎君」のスタッフを再結集して制作されたオリジナルアニメ。笑って泣けるドタバタ青春ラブコメディー・・・(自称)である。

来 ま し た 今 期 の 酷 評 枠。

久し振りに2点台をつけてしまうくらい出来が悪かった。本当に一切褒めていないので、このアニメが好きな方は以下のレビューを読まずにスルーすることを勧める。評価できるのはオーイシマサヨシのOP曲くらいなのだから仕方ない。

また、タグ内はネタバレに配慮していませんので、未視聴の方には「面白いラブコメは他にいくらでもあるから他の作品にしておいた方がいいですよ」とだけ言っておきます。

☆☆ 多田くんはギャグがつまらない ☆☆
{netabare}
見てすぐ感じるのはギャグのつまらなさだ。ギャグの面白い・面白くないは好みの要素が強いとはいえ、ここまで外しているとつまらない理由を素人が簡単に指摘できてしまう。本作は伊集院の自撮りナルシスキャラだとか、テレサの時代劇かぶれだとかギャグが各人物の持ちネタで完結してしまっていて、掛け合いの中で笑いを生み出せていない。キャラ同士の会話が面白くないので、画面の中では楽しそうにしていても見ている方はまるで盛り上がらない。伊集院のハイテンションキャラが五月蠅いと散々言われたのは誰も彼に適切な突っ込みを入れないので、集団の中で浮いてしまっているからだ。

そもそも持ちネタも面白いとはいえない。「戦慄のニャンコビッグ!」をみたいなしょーもないネタを毎週毎週見せられてもうんざりする。まるで売れないピン芸人を集めたバラエティー番組にように寒々とした作風が多田恋の特徴といえる。

野崎君は少女漫画脳がつくる可笑しさを実際の漫画のコマで見せる手間ひまかけたネタがウリだったが、多田くんには核となるネタがない。あるのは大して面白くないギャグの天丼だけ。第2話では校庭や廊下をドタバタと走り回って「これが本当のドタバタコメディーだ!」という斬新なギャグを披露するが、死ぬほどつまらないしカメラ持って走り回ったら危ないだろという真面目な感想しか持てない。これでは「素直に野崎君2期やっとけば良かったのに」と言われてもやむなしである。
{/netabare}

☆☆ 多田くんは設定を活かせていない ☆☆
{netabare}
本作にはキャラの設定をまるで活かせていないという特徴がある。それも設定が活かせていないからキャラに魅力がないというだけでなく、ストーリー展開に支障をきたすという二重苦になっている。例をあげていこう。

まずはヒロインのテレサ。彼女はヨーロッパのどこかにある国、ラルセンブルクの王の一人娘であり、ゆくゆくは王位を継承し王女として生きていく定めである。子供の頃見たレインボー将軍という時代劇の絵本を見たことがきっかけで憧れを持ち日本に留学する。時代劇かぶれという設定の古臭さもどうかと思うが、それよりも王女であることを土壇場まで隠していることが問題だ。視聴者にはオープンでありながら、親しくしている人たちには明かさない。多田くんだけが、日本にいるうちにテレサが王族だと気付けば特別な関係性を築けたのではないか。旅先で発覚しショックを受けても今更感が半端ないし、多田くんの叔父さんは知っているならもっと早く教えてやれよ、と思う。そして彼らに礼の一言も言わず突然去っていく。その理由も極めて個人的な感情の問題だ。そのくせ多田とラルセンブルクで再会できたとき、「あの素晴らしい経験のおかげで私はとても成長することができました」と言う。どの辺が成長できたのかさっぱり分からない。こんな不誠実なヒロインに好感を持てる人がどれだけいるだろう?これでは「多田くんの妹さえいればいい」と言われてもやむなしである。

次に多田くん。彼は決して悪い男ではない。クールなイケメンで優しくて人当りがよく、後輩からもお客様からも慕われている。祖父が経営する喫茶店で働く真面目な性格。カメラマンになりたいという将来の夢もある。現実では何の問題もない人物に思えるが、恋愛アニメの主人公としてはキャラが薄くて印象に残らないという致命的な欠陥がある。ハイスペック男子なのに影が薄い理由は前半の出番が少ないこともあるが、先ほど挙げたイケメン要素は、山下犬をはじめてとして他のキャラが彼を適当な言葉でヨイショするだけで見ていてまるで実感できないからである。要するに彼のパーソナリティではなくただの設定の羅列になってしまっている。

カメラマンを目指して頑張っている?具体的に何を?カメラ好きという設定は写真部を舞台にしているせいで全然特徴になっていない。プロを目指しているなら他の部員との違いを見せて欲しい。祖父の店を手伝っていて偉い?妹のゆいも店の手伝いをしているから普通に見えてしまう。第12話で床に落ちている大福を拾って落ちていない大福が載っている皿に戻すという最低の演出がある。庶民と王族の身分差を表現する意図があったのかもしれないが、銀座の由緒ある喫茶店で働いているという彼の設定とそこから生まれるイメージを殺したも同然で、僕には全く理解できない演出だった。どの設定も活かされず焦点が定まらないピンボケ写真のようなキャラ。それが多田くんである。

他のキャラも似たようなもので、伊集院はいい友人であることより騒々しさが悪目立ちして不快なキャラになっている。ピン先輩も喫茶店でグラビア雑誌を広げて読むような非常識さが目立った。唯一シャルルだけは気品と気さくさを兼ね備えた好男子であったが、それがライバルキャラでかつ一番不遇な扱いをされるのが悲しい。彼がテレサを愛しているという設定も最終回をハッピーエンドにしたいのであれば余計で、結末に納得いかない人を増やしてしまった。

総じて、キャラを展開ありきで動かしすぎて魅力を損ねるという本末転倒なことをしているように思う。
{/netabare}

☆☆ 多田くんには過程がない ☆☆
{netabare}
多くの方が指摘しているように、多田恋はストーリー構成に難がある。キャラ紹介が終わった後、第3話から第7話まで主役である多田・テレサを差し置いてサブキャラが中心のストーリーが展開される。第3話はなんとニャンコビッグ回。飼っている猫より存在感の無い主人公など前代未聞だろう。

主役の2人についてキャラがよく掴めないまま第8話以降、多田とテレサがいきなり急接近する。当然のように「なんで二人が恋に落ちたのか分からない」という声が出てくる。そして多田テレがお互いを意識し、恋煩いに陥るようになってもその疑問は解消されず、全く感情移入できないという恋愛物では最悪の事態になる。

これに対して「恋愛なんてそんなものだろ、理由は後付けで気付いたら好きになっているものだ」という反論もある。確かに年頃の男女が毎日顔を合わせれば恋に落ちるのは自然な流れなのだが…現実ではそれで良くても恋愛物のフィクションとしては間違いなく駄目だと言い切れる。

アニメのキャラなんてものは最初は見ている人と完全な赤の他人である。画面の中で動く絵でしかない。それが毎週アニメを見て物語の中でキャラの性格や考え方を理解していくうちに一体感が生まれ、感情移入できるようになるものだ。ところが本作は「こりゃ好きになるよ」と思えるようなエピソードが一つもないまま何やらいいムードになり、壮大な音楽が流れ始め、作り物感満載の恋に落ちる演出を見せられる。一応、直前に気の利いた風の台詞を言う場面があるのだがここに至るまでの印象がとにかく薄いため視聴者の心には全く響かないだろう。

というか、ここのスタッフは自分達で作り上げたキャラを視聴者に魅力的な人物だと思ってもらいたくないのだろうか?普通の監督や脚本家はオリジナル作品を作らせてもらえる機会なんて1回あるかないか。恋愛物はクリエイターなら誰もが一度は挑戦してみたいと思うであろうスタンダードなテーマである。それこそ本当に好きな人が出来たときのように、あの手この手をを使って、相手(視聴者)に自分(のアニメのキャラ)を好きになってもらおうとアピールするものではないのか?

キャラデザと声優の配役だけで気に入ってくれる方ももちろんいるだろうが、それだけで勝負するのは「下手な鉄砲数打ちゃ当たる!駄目なら次!」というナンパ師のようなノリでアタックするのと同じだ。そんな軽い気持ちで作った恋愛物など面白いはずがない。恋愛物は過程が大事というが、それを反面教師として実感できる。これでは"クソ脚本"とこき下ろされてもやむなしである。
{/netabare}

☆☆ 多田くんは劣化少女漫画でしかない ☆☆
{netabare}
多田恋は一見女の子向けで少女漫画風のアニメに見えるが、似て非なるものである。少女漫画にあって多田恋にないもの。それは「頑張るあなたを応援する」という精神だ。少女漫画のヒロインはどこにでもいる普通の子でありながら、恋に・・・勉強に・・・スポーツに・・・吹奏楽に・・・カルタに・・・彼女たちは何に対しても一生懸命で、それが生まれ持った素質で勝るライバル達を跳ね返す魅力、そして主人公感を作っている。よくできた少女漫画の主人公は少年漫画のヒロイン以上に可愛く見えるものだ。

一方本作はどうだろうか?テレサは留学で日本に遊びに来ただけ。好きな人ができたらお世話になった人達に礼も言わずに逃げ帰る意気地なし。そして最終回、国をほっぽり出して感情の赴くままに日本に突然現れる姿には王族としての誇りや責任感などまるで感じられない。恵まれた環境に育ったヨーロッパの王女という設定だけでも馴染みにくいのに、努力もせずニコニコしていれば周りからチヤホヤされ、自分の我だけは突き通すテレサに女性視聴者が自分と重ね合わせて見るとは思えない。一般論として思春期の女の子は「特別になりたい」と思うものだが、最初から特別な人間は彼女たちの気持ちと相反し反感を買う存在なのだ。というか、少女漫画なら負け役ライバルのポジションだろこれ。キャラ設定の段階で誰も疑問に思わなかったのだろうか。

多田くんにしてもテレサとそう変わらない。彼のしたことは苦手な飛行機を我慢して乗り、後は友人に背中を押され、恋敵であるシャルルにお膳立てしてもらった上で告白しただけ。「ローマの休日」で新聞記者のジョーは富も地位も投げ捨ててアン王女への愛を体現してみせたが、多田恋はそれをライバル役のシャルルにやらせるという斬新な脚本を見せる。斬新すぎてシャルルだけでなく主人公らしい見せ場を与えられなかった多田くんにも同情してしまう。

このアニメは主人公2人を徹底的に甘やかす。画面内で目立った活躍をしてないにも関わらず「いい奴だ」「頑張っている」「可愛い」など皆して褒めちぎり、彼らの都合の良い方へ都合の良い方へ、周りの人間が忖度して事を運んでくれる。制作者は「最近の男は草食系男子だからww」「ゆとりだからww」などと今の世代に配慮したつもりなのだろうか。そんなの大きなお世話だと思うよ。最終話、レイチェルの「最後はハッピーエンドがいいわね」という台詞からのやっつけ仕事的なCパートの展開も「今の女の子は切ない恋愛物が苦手だし、これなら納得するでしょ」と現役のJCやJKを馬鹿にしているようにしか思えなかった。

多田恋は他のラブコメ作品や少女漫画を表面的になぞっているだけで、古き良き少女漫画の伝統が息づいていない。何より自分たちで作り出したキャラクターへの愛が希薄で、作り手の思いが見ていても伝わってこない。「仏作って魂入れず」とはまさにこのこと。貴重な女性向けオリジナル作品なのにこの出来では、今後女性向けはホモアニメに席巻されてしまうんじゃないかと余計な心配をしてしまう。
{/netabare}

投稿 : 2024/07/06
♥ : 36
ネタバレ

HmFDB75691 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

最終話&総評 『ローマの休日』が優れた映画だと再認識させたアニメ

タイトルだけではどんな話かわからないけど、ラブコメみたいなので見ると思う。


第1話 オチがあると思って見ていたら……
{netabare}
面白いけど、平凡だなあという印象。ラストにテレサについてオチがあるんだろうと思って見ていた。アレクが出てきたころに気づいた。

たぶん、テレサは王女様。

テレサの服装が『ローマの休日』の王女様とよく似ている。映画では記者がこっそり王女の写真を撮っていたし。そこからヒントを得て、カメラのシーンから始まったんだと思う。
テレサの秘密を知って、恋をしないってことなのか?
{/netabare}

第2話 サブキャラのほうが……
{netabare}
サブキャラのエピソードで2、3話は稼げそう。映画のようになるなら、多田がテレサに恋するんだろう。だけど、サブキャラのほうが恋している感じ。次回、二人が接近しないなら、違う展開を考えてしまう……。
{/netabare}

第3話 まさかのセガール猫
{netabare}
猫視点の時点で想像していたアニメとは違うんじゃないかと思った。
若手声優さんばかりのとこにセガールがいるアフレコ現場はすごいなあ。意外とキーパーソンならぬ、キーキャットになるかも。

テレサが恋する雰囲気になってきた。
多田がなんらかの理由で恋をしなくなって、テレサが「恋は素敵」とか言うのか? 将軍好きが恋愛を勧めるキャラになるとは思えないんだけど……。
{/netabare}

第4話 先延ばし
{netabare}
タイトルと内容がまだ一致しない。ちょっと遅すぎる気がする。秘密にするほどではないと思う。

アニメにおける秘密や謎は、先延ばしにすると視聴者が期待してしまう。その期待に応えるだけの結果にならず、撃沈したオリジナルアニメは多い。持論だが、秘密はキャラの間だけで、視聴者には明らかにしたほうがいい。

日向子=HINAは、アレクが気づかないほうが面白い。さらに、握手のときに杉本が気づき黙っている展開にすれば、今後この二人のキャラがどう行動するか楽しみになる。アレクに気づかせたのは、ラストシーンでテレサに「恋」について語らせるためだろう。
{/netabare}

第5話 このまま終わればタイトル通り?
{netabare}
ラストに出てきたのは、テレサのフィアンセかな。許嫁でテレサに恋愛感情はない。むしろ、アレクのほうがある。だけど、結婚しないとテレサの国にも影響が出るため、抜き差しならない状態。逃げるようにして日本にやってきて偶然会った多田に本気の恋をしてしまう……こんな感じかな。

次回はパーティーから抜け出して二人でいちゃいちゃする展開なんだろう。テレサが髪を切ったり、第1話で撮影した写真を別れるときに渡すとか、普通にありそう。

だけど、多田は恋する雰囲気がない。最終回まで恋しなければ、タイトル通りのアニメになる。
{/netabare}

第6話 留学では名作にならない
{netabare}
『ローマの休日』は短い期間の恋愛だから映画史に残ったのだ。その点をわからずにこのアニメは作られている。

映画では、パーティのあとびしょ濡れになった二人がキスして別れたと思う。だから、終盤でまた雨の日がありそう。キスシーンくらいはあるかな。

あと、将軍好きを秘密にしたほうが面白かった。
{/netabare}

第7話 オリジナリティがあってよかった
{netabare}
これまでと違ってオリジナリティがあって新鮮だった。いっそのこと、ゆいを主人公に変更したほうがいいかも。ファンも多そうだし。

多田とテレサはいい雰囲気になっている……。テレサは、まあいいとして、多田はいつ恋をしたんだって思う。考察すると面白いかも。
一日デートとかありそう。真実の口に該当する場所はどこだろ。まさか、銀座のライオン像か?
{/netabare}

第8話 さすがにラストまで同じにはしないだろう
{netabare}
テレサのバレリーナ断念は、オードリー・ヘプバーンからの拝借。たぶん、パクリを意図的に見せて、それを楽しんでもらう狙いなのだろう。

名作の力を借りているために、ラストも同じにしないと締まらない。さすがにそこまでやらないだろうし、同じように描いても映画以上のラストシーンにはならない。

テレサに『ローマの休日』のような体験をさせるのが目的だったとすれば、パクリがうまく働くと思う。最初の出会いは偶然だろうけど、多田の家の隣だったのは、何者かの作為を感じないでもない。

あと、アレクとは両想いかなって思ったりした。
{/netabare}

第9話 アニメにありそうなベタな展開
{netabare}
テレサは外国人なのだから、日本のアニメにありそうなベタな展開は似合わない。日本人には理解できない行動とかほしい。寝ている人にキスするのはそれっぽいけど、いまの日本ではセクハラで訴えられるぞ。

涙を流す切ないシーンはよかったけど、涙を流すほど恋をした場面がどこにあったのだろうか。恋とはそういうものかもしれないが、これはアニメなので、絶対恋をしたと視聴者に思わせるインパクトのあるシーンを描かないといけない。

あと、テレサの心理を表すように、音楽にも工夫をしてほしい。
{/netabare}

第10話 そこは青だろ
{netabare}
高い所が苦手とか、飛行機が苦手とか、前フリしすぎだろ。テレサを追って、飛行機に乗る以外の展開が思いつかない。

青いリボン、青いネックレス、青いスカート……テレサが青好きをアピールしているのに、緑を渡す鈍い多田。
青と交換するために、苦手な飛行機に乗り、テレサの国に行く。それを告白の代わりにすれば、いい終わり方だけど、『ローマの休日』と同じになってしまう。

「何色が好きですか」と質問されて、テレサが「虹色……青です」って答えるのかな。二人にしかわからない色があったらよかった。例えば、水色だったら雨をイメージできていい感じになった。
{/netabare}

【考察・予想】多田くんは告白をしない
{netabare}
青を身に着けていたのは、テレサ=青を印象付けるためだと思う。
多田は無意識のうちにテレサの好きな色を持っていたとも解釈できる?(それにしては扱いがぞんざいだけど)

好きな色の質問は出ると思う。だけど、テレサでなく多田に対してだろう。
戴冠式で青いドレスを着たテレサから「虹の色を一つ言ってみて」と言われて、多田が「青」と答える。遠回しの告白に気づいて、「虹の色は虹色だよ」と涙を流しながらテレサが笑ってエンディング。
言葉にせず、好きだと伝える展開にはなると思う。
{/netabare}

第11話 ムコ探しで再来日か?
{netabare}
第1話の冒頭で今回の話を少し入れて、第10話まで回想にすれば、多田が恋する印象が強まった。ちょっと唐突な感じもしたから。

注目したのは、多田の服の色。青は伏線だと思うんだけど、最終回までわからない。

ゆる~いアニメなので、結末もゆるい気がする。
予想はこんな感じ。

多田が告白(好きとは言わない)したあと、多田に感化されて、シャルルがアレクに告白。
前にも書いたけど、シャルルが好きなのはアレクだと思う。
テレサは女王にはなるけどシャルルとは婚約解消。ムコ探しのために再来日して、また隣に住む。

でも、『この恋を、一生忘れない』とは合わなくなるから、やっぱり別れる結末かなあ……。
{/netabare}

第12話 告白シーンは楽しみ
{netabare}
5分で済みそうな内容だった。12話完結にして、戴冠式か結婚式に多田がいきなり現れるほうが面白かった。
そもそも女王になるほどなのに、テレサの情報がまったく伝わらないのはネットの時代では違和感がある。

このままいけば、シリアスな結末になりそう。どういう告白(好きとは言わない)になるのか、楽しみではある。

テレサの服装が青だったのは、これだけアピールすれば、なにかあるとさすがに視聴者も気づくだろうという配慮か? ネットの感想を読む限りでは、気にする人はいないけど……。

手紙の内容は気になるけど、多田が帰国するまでわからない。まさか、告白せずに帰国する展開はないよな。ただ単に多田についてきただけではないんだろ。
{/netabare}

最終話&総評 『ローマの休日』が優れた映画だと再認識させたアニメ
{netabare}
アニメらしいハッピーエンドだったが、テレサを再来日させたら、『この恋を、一生忘れない』と合わない。

色々違いはあるが、『ローマの休日』の告白シーンを変えたにすぎない。映画のif、二人が「好き」と告白したら、というコンセプトで作られたんだと思う。そう考えると、面白い試みだと言える。ただし、映画のいい点を真似できていない。

・長い告白シーン
映画はひと言で告白になり、タイトルにも結びついている。このアニメもそれを狙ったのか、"恋"を出してきたが長くなってしまった。もっとシンプルに「テレサに恋した」でよかった。

・タイトルに"恋"は必要ない
恋愛ものは恋に注目させないほうがいい。『ローマの休日』を見習ってほしかった。


総評としては、日向子、ゆいのオリジナルストーリーはあったが、ネットでいいシーンと言われるのはたいてい映画からの引用だった。「いいアニメだったか?」と訊かれたら、「ローマの休日はいい映画だから」と返答するしかない。
{/netabare}

投稿 : 2024/07/06
♥ : 13
ネタバレ

TAMA さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

一度後悔した事は二度と繰り返さない様にすれば良いんじゃないかな?それが後悔した意味なのかも…。だから今回は…絶対に!

2018:8/31の感想。
{netabare}

多田くんは『恋をしない』って事ですね。
恋はしてない、多田くんは『愛した』のだ…とか、恋をしたと気付いた時には愛していた…とか、単純に(貴女以外に)恋をしない…とか色々自分の中で想像しながらこの作品を楽しみました。
ま、『恋』と『愛』は違いますしね。


原作・オリジナルアニメなので無し。
スピンオフ・未読。
ドラマCD・未拝聴。
ラジオ・9回まで拝聴。
アニメ・全話視聴。(全13話。30分アニメ)


ちょっと最初はラジオの話からさせて下さい。
…ラジオ1回目!悪ノリか!男子高校生が内輪でむっちゃ楽しんどるみたいやん!(笑)
特に宮野真守さん!貴方が居るとうるさ…面白い!
中村悠一さん、梅原裕一郎さんと楽しく…ん?後誰かもう一人居たな…誰だっけ?
ま、いっか。
…すみません、オチの下野です(笑)
あ、失礼。下野紘さんです。
とりあえずこの作品を観るもう一つのスパイスや舞台裏の話としてウェブラジオはオススメします。
個人的にオススメ回は1〜3回目。と、(公開録音の)8回目です。
動画サイトとかにもあるので気になる方は是非!
(ラジオは全9回…だが梅原さんが復活したら特別編ラジオをやるかも?という話があると言ってました。)


さて、感想を書きます。

ざっくり書くとラルセンブルクからやってきたお忍びの『テレサ』と『アレク』。日本に来た『テレサ』は『アレク』と逸れてしまってどうしようか迷ってた時に近くにあったお城が気になってフラフラとそちらに…
そこで風景写真などを撮っていた『多田光良』と出会う。写真を撮ってもらったり、雨に濡れてる所を助けてもらったり、引越し先の道に迷ってるとこを助けてもらったり…。
その後『多田光良』が通う学校に海外からの転校生として『テレサ』と『アレク』は通うようになり物語が始まる。
…かなり簡易版ですが。

物語の国の【ラルセンブルク】は現在の【ルクセンブルク】かな。多分。近くにベルギーやフランスとかあるヨーロッパ圏ですね。
…後さ、『れいん坊将軍』。色々理不尽だよね、アレ(笑)

話が逸れました。
他作品、『月○少女野崎くん』のスタッフが集結し作られた作品。私は観た後に知りました。キャッチコピーは『この恋を、一生忘れない』って聞いた時は「え?」とは思いました。だって題名とキャッチコピーがねぇ…。
(…もしや野崎くんが描いた原作かも!?って思ったり。ま、違うんだけど。)


設定は若干無理があるのは承知でしたが中々楽しめました。キャノンやパナソニック等の協力もあり、出てくるカメラもリアルをそのまま。
残念だったのは病気療養の為にCV『梅原裕一郎さん』が途中降板なされたこと。仕方ないですが。
(その後の【杉本一】は『杉田智和さん』に交代。)

内容は王道青春ラブコメですね。
サブキャラのエピソードもあり1クールでよく仕上がってるとは思いますが2クールでも良かったかな?と個人的には思いました。
ニャンコビッグがCV『小澤亜李さん』だけど心の声がCV『大塚明夫さん』だったのは思わずカッコ良さとギャップに笑わせて頂きました。
「8秒目が合えば〜…」って初めて知ったよ、ニャンコビッグ☆

全て面白い回ってのはほぼ不可能なのでこれで丁度良いと思います。ラジオ聴いた方はご存知かもしれませんが、声優さんのアドリブが本編に使われてます。特に宮野さん!
(例・サイフを忘れたシーンの「YOU〜!」の返しの「MEeee??」ってのとか、「へっクション!バロチクショイ!」のクシャミ後の口パク追加されたなど結構あります。)
ただ、宮野さんが演じた『伊集院』。

ぞ、続編がもし出来たらもしかするかもよ!だから頑張って!とても良いキャラなのに…宮野くんの「恋したい」のつぶやきは面白かった。


OPのオーイシマサヨシさんの曲も作品を盛り上げていて、EDを歌う『石見舞菜香さん』も非常に合ってました。凄くキーが高いと感じました。
EDの曲は『サンボマスターさん』のカバーだそうです。11話の『中村悠一さん』の挿入歌も『サンボマスターさん』の曲です。11話の回想+多田くんの心境にとてもピッタリだったと思います。


『多田光良』や『テレサ』の心境の変化や今まで気付かなかった事に気づいてしまった時の描写(8話!)、運動神経はあるのに命中率が悪い『多田光良』、自由奔放で明るく素直な娘の『テレサ』、この2人の恋愛模様を観るのも勿論楽しめたんですがもう一組お気に入りが居ます。
それは『多田ゆい』と『山下研太朗』です。
『ゆい』は『山下』を見てるけど『山下』は…
そして『山下』が言った言葉に『ゆい』の吐露した言葉が凄く切なくなりました。
しかも涙を見せまいとする『ゆい』のあの姿勢は胸を打たれました。
しかしもっと良かったのがその後の『ゆい』の行動ですね。なんか大人になったんだなと微笑ましくなりました。最終話の『ゆい』を観た時は余計にそう思います。
最終話だけを少し語るなら『テレサ』はすっごい行動を起こしたなと思います。相当な覚悟…でしょうね。


王道青春ラブコメがお好きな方には是非オススメしたい作品ですね。多少設定に無理があるところがありますがそこに目を潰れるなら多分大丈夫だと思います。作品自体が綺麗な作りなので学生さんとかにも大丈夫かと。ボーイミーツガール、って感じです。
逆に設定重視やラブコメ嫌いの方、恋愛はこんな綺麗なもんじゃねぇんだよ!って方にはオススメしません。特に設定重視の方には多分気になると思うので。


ラストにウェブラジオネタでも書きます。
ま、私の駄文よりラジオを聴いた方が楽しいと思いますが…読んでくれたら嬉しいです。

もうね、第1回が強力過ぎる!
メインMCがゲストに食われとる…というかどっちがメインMCだよ!ってツッコミたくなりました(笑)
下野くんが喋るとコーヒーを啜るノイズが…。
紹介する前にお菓子広げたり食べたり…本当、下野くん遊ばれてました!良いキャラだ!

ま、でも1番パンチが強かったのは公開録音の第8回。『多田くんは恋をしない』のイベントなのに『デュ○ララ』の『ごめんね、宮野くん(多田恋Ver)』を聴けるとは思わなかった。『中村悠一さん』も言ってたけど歌詞はすっごいクソでした(笑)
お金で解決て。
聖地巡礼の話も途中から『龍○如く』になっとるしカオスですね。
毎回ラジオではコーヒーと銀座にあるお店の軽食が出るんですが、この公開録音の時も出ました。
『千疋屋のフルーツサンド』!!
むっちゃ羨ましい…。
ラジオでは想像するしかないですが、その現場では宮野くんの『勝手にフードファイト』が開催されました。口にパンカスが付かない為に1口でって。
しかも番組締めるとこで残りを全部口に…
あれ?宮野くんって芸人さんだっけ?おかしいな、声優さんだと思ってたのに(笑)
『テレサ』役の『石見さん』、あの公開録音大変だったろうなぁ…。宮野くんがマネージャーになってた。
ここまで語っておいてなんだけどラジオで知れて面白かったのは、OPを歌う『オーイシマサヨシさん』が声優の『櫻井孝宏さん』に似ている…てか、「ほぼ櫻井さんだよね」って『中村悠一さん』が言ってました(笑)
後、声優『小澤亜李さん』の豪快な笑い姿を見たいが為に『宮野くん』がいろんな行動をして周りに2次災害を引き起こした事とか…
た、楽しい職場だな!



ここまでこの作品にハマるとは思いませんでした。10月のイベントに行けたら良いんだけど…行きたいなぁ。
…スピンオフでも良いから『伊集院は恋がしたい!(切実)』とかやってくれないかな。(このネタはラジオ第9回)

伏線や他キャラの事もあるので続きがあったら観たいなと、多田くんとテレサの綺麗なストーリーが観れたと、凄く贅沢な時間を過ごせました。

この長い文を読んで頂き、ありがとうございました。
{/netabare}

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2018:9/26更新
{netabare}

☆祝☆『杉本一』役、CV梅原さん復帰☆

ブルーレイやDVD等では録り直した『杉本一』が聴けるように!さらに2018:9/20には『多田くんは恋をしない』のラジオ特別版を放送!(動画サイト等にありますので気になる方はどうぞ)
そして2018:10/14のイベントにも参加されるようです。

スタッフさんが舞台となった『ラルセンブルク』の元となる『ルクセンブルク』の大使館にお呼ばれされたみたいです。(2018:9/21に)
そこまでおもてなしされたからには…2期か劇場版期待…したいなぁ。

ラジオでは戻って来た梅原さんと下野さんの軽快なやり取り、打ち上げの時の話等が聴けて作品の良さや演者の仲の良さが聴けてニヤニヤ出来ました。
この作品がお好きな方は楽しめると思います。

…イベントチケット…買えなかった…(泣)
{/netabare}

投稿 : 2024/07/06
♥ : 9

67.3 2 ヨーロッパで秘密なアニメランキング2位
NOIR -ノワール(TVアニメ動画)

2001年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (231)
1758人が棚に入れました
パリで裏の仕事を営むミレイユ・ブーケは、ある日、夕叢霧香と名乗る日本の女子高生から不思議なメールを受け取る。そのメールから流れてくるオルゴールの曲を耳にして、ミレイユは驚愕した。その音楽こそ、かつて家族が惨殺された日、現場で流れていた曲だったからである。
ミレイユは霧香にオルゴールの曲について尋ねるために日本へと飛ぶが、霧香は過去の記憶を失っていた。そして、とある事件がきっかけで二人はコンビを組み、裏社会の仕事人として仕事を始めることになる。ユニットの名は「NOIR(ノワ-ル)」。
様々な依頼をこなすうちに2人は真のパートナーとしての絆に目覚めていくが、そんな彼女達の前に秘密組織ソルダの影が忍び寄る。
ソルダとは一体何なのか?その正体は?そして「ノワ-ル」の名が持つ真の意味とは…?

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

「あなたと私の過去への巡礼…」

この作品は2001年春から放送された「銃と少女」をコンセプトとした2クールのオリジナルアニメ作品です。
作品に関する事前情報といえば、音楽を梶浦由紀さんが担当されている事くらい…

梶浦さんといえば、魔法少女まどか☆マギカやソードアート・オンラインといった超人気作の音楽を担当されていますが、コゼットの肖像やPandoraHeartsなど、少しマイナーでも梶浦サウンドを思い切り堪能できる作品が存在します。
そういった事から考えても梶原さん目当てで作品を視聴しても大きく外れる事は無いと思っていましたが、今回も予想通り外れクジではありませんでした。

この物語の主人公は、高校生の夕叢霧香(ゆうむらきりか)…パッと見は普通の女子高生…ですが、彼女には自分の過去に関する一切の記憶がありませんでした。
目覚めた時に彼女の持っていたモノの全ては「ノアール」という単語の記憶と飾りの入った懐中時計だけ…

そんな彼女の前に現れたのは銃を持った刺客の数々…
もちろん目覚めたばかりの彼女は銃を持った屈強な男たちに追われる理由なんか分かりません。
ただ一つ分かっている事といえば「自分が殺らなきゃ殺られてしまう」事だけ…
でも不思議と彼女には対処すべき技が身体に染み付いていて、次々と襲い来る刺客を次々と返り討ちにしていくんです。

「自分の過去を取り戻したい…」
こう考えるのはごく自然の摂理だと言えるでしょう…
彼女はパリで暗殺代行業を営むミレイユ・ブーケに一通のメールを発信するのです。

メールを受け取ったミレイユは、頭を金槌で殴られた様な衝撃を受けました。
メールから流れてくるオルゴールの音色はかつて両親の持っていた懐中時計のメロディーと同じだったから…
ミレイユの両親は、ミレイユがまだ幼い頃に何物かによって暗殺されていたのでした。
だからミレイユの頭の片隅には「両親の敵討ち」が離れる事はありませんでした。

日本に渡り霧香と接触したミレイユでしたが、霧香の持っていた懐中時計以外、彼女の敵討ちを進展させる情報を得る事はできませんでした。
「自分の過去を取り戻したい」霧香と、「両親の敵討ちしたい」ミレイユはお互いの利害関係が一致することから、パリで共同戦線…暗殺ユニット「ノアール」を立ち上げ物語が動いていきます。

銃自体の扱いに長けたミレイユと、全身とありとあらゆるモノを殺傷道具にしてしまう霧香とのコンビは最初はチグハグでした。
この作品の見どころの一つは、この暗殺ユニットの成長していく様だと思います。

ミレイユはこれまでずっと一人でした。
相手の事を考えながら生死を掛けた殺し合いなんてできる筈がない…
だってもしもの時の足枷になる…

確かにミレイユの考え方もある意味では正しいと思います。
有事の際のリスクを最小限にするという事においては…
でも「ノアール」での活動を通してミレイユはリスク以上のモノを手に入れたと思います。

活動の幅とバリエーションが広がり、戦闘時におけるリスクを分け合うことができるから…
誰とでも…という訳にはいかないと思います。きっと霧香とミレイユだからこそ、色んなモノを分かち合えたんだと思います。
お互いがお互いの背中を預けるに足るスキルを身につけている…これってやっぱりどんな場面でも大切な事なんですね…

二人が自分たちを「ノアール」と名付けたのは、かつての偉大な暗殺者の伝説にあやかったからでした。
でもこの世には「真のノアール」が存在する…という事実が明らかになった以降、物語の転がり方がこれまでと比べてだいぶ異質に変化したと思います。

これまでは二人の仲を育んできました。
でも、二人の間に様々な横やりが入る様になったんです。
それは物語の核心に近づいているから…

霧香とミレイユへの下に執拗に繰り返し送り込まれた刺客の数々…
全ての免罪符の様な「真のノアール」の存在…
それぞれに意味があり、それらは1本の糸で繋がっていました。
全ての手札が揃い、そして大鉈が振り下ろされる…
物事の真実と二人がどう向き合うのか…気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、ALI PROJECTさんの「コッペリアの柩」
エンディングテーマは、新居昭乃さんの「きれいな感情」
オープニングの旋律はかなり独特で一度聴いたらフレーズが頭から離れない系の曲でした。

2クール全26話の物語でした。
しっかりと物語が完結している事が素直に嬉しく思えます。
アニメの持つ販促性の高さも理解できますが、やっぱり腰を据えて制作頂いた作品は確実に見応えが増すと思います。
過去作の視聴も細々ですが、これからも継続していきたいと思います。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 14

雀犬 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

黒百合物語

【概要】
 2001年春-夏に放送された全26話のオリジナルアニメ。dアニメストアで視聴しました。ノワールとは「黒」を意味するフランス語。

 パリに住み裏社会で名を馳せる殺し屋ミレイユ・ブーケ、記憶を失い本名すら忘れてしまったが超人的な殺人術を身に付けている夕叢霧香(ゆうむら きりか)。2人が出会い、暗殺ユニット「ノワール」を結成し「過去への巡礼」を始める美少女ピカレスク・ロマン。

【感想】
 序盤は1話完結形式で、2人の過去にまつわる話はじわりじわりと進行する。話が動くのは後半からですね。今のアニメに比べると台詞が少なめでスピード感に乏しく、同じシーンの繰り返しも多いので一気見はしんどいかもしれない。

 見所はやはりガンアクションでしょうか。色々凝った演出で楽しませてくれます。ただ後半はやや単調になります。ガンアクションの宿命か、当たると致命傷になってしまうので、当然のことながら主人公の2人はなかなか弾が当たらないんですよね。黒服に何人囲まれようが、弾を平然と交わしていきます(笑) 引き金を引くのを躊躇って取り逃がす場面が敵も味方も多すぎるんですが、これもピンチの場面ではそうせざるをえないガンアクションのお約束というものか。あと、放送当時は表現規制が厳しかったのか撃たれても流血することがなく、やや違和感あり。

 メインストーリー(真相)は引っ張ったわりにやや平凡な印象を受けた。マスターキートンにようにヨーロッパの文化・風習・歴史あるいはミリタリ蘊蓄を盛り込んで話に厚みを持たせた方がよかったかもしれない。

【作画】
 背景は良く書き込まれており、ヨーロッパの街並み・景観・自然はデジタル作画にはない絵画的な味わいがあって素晴らしい。

 キャラデザインはちょっと古い感じがします。あと目の大きいキャラと小さいキャラの差がありすぎるようにも思う。終盤に霧香が覚醒して目つきが鋭くなるのだけど、ややギャグっぽくなってしまった感があります。あと、アイキャッチが超ださい。

【音楽】
・オープニングテーマはALI PROJECT「コッペリアの柩(ひつぎ)」
・エンディングテーマは新居昭乃「きれいな感情」

 とにかくOP曲が耳に残ります。気が付くと「♪コッペリアの柩~♪」が脳内で無限再生されるので注意が必要。「ロッテリアのひつじ」に空耳するという声もある。ED曲はあまり印象に残らず。

 そして梶浦由記さんの音楽が最高に良いですね。ムードたっぷりで曲数も豊富。中でも戦闘時にかかる「salva nos」は必聴。

【百合】
 「ノワール」は深夜アニメにおける百合の古典としても知られています。暗殺者コンビ、ミレイユと霧香が紡ぎ上げる奇妙な絆に注目して見るべき作品です。

 すでにヨーロッパの暗黒街を舞台に「裏の仕事」を引き受け名も上げていたミレイユが霧香をパリまで連れていき一緒に生活し世話をするという保護者的な関係で始まる。
 
 2人で仕事をこなし死線をくぐるうちに強い信頼関係が生まれ、霧香はミレイユに対して親愛の情を深めていくのですが、実は戦闘能力にかけては霧香の方が数段上で、実際にミレイユはピンチを霧香に助けられる場面も多く次第に霧香に対してコンプレックスを抱くようになるのです。

 そこに「真のノワール」を名乗る第三の女、キリエが加わりますます混沌としてくる。やがて真実を知った後、非情な試練が2人待ち受ける…

 仕事のパートナー以上の存在でありながら、親友でもなく、姉妹でもなく、恋人でもなく、「ノワール」という固有の名称でしか表現できない関係性。殺し屋として罪を重ね続け、他の道を選べぬ呪われた少女にとっての唯一つのよすが。うーん、これこそが至高の百合なのかもしれないな。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 16
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

絡まった2つの謎と2人の殺し屋の乙女。脚本と音楽が素晴らしい良作です。

 2001年時点で暗殺者がヒロインになるアニメは極めて珍しかったと思います。マンガでは「あずみ」がありました。アニメは女性のバディものガンアクションで「ガンスミスキャッツ」があるくらいでしょうか。この後「ガンスリンガーガール」などが登場します。

 本作は、毎話「ノワール、其は古よりの定めの名、死を司る二人の乙女、黒き御手は嬰児の、安らかなるを守り給う」という詩の朗読があります。これがなかなか良くてOPから含めて作品に入り込んでゆきます。

 1話。時計そして音楽をモチーフに記憶を無くしたJKとフランスの美人殺し屋ということが一気に説明され、あっという間に引き入れられます。

 2話以降、この記憶をなくしたJKと美人フランス人殺し屋のバディものとして、2クールで話が展開します。時に本筋と関係ない話も入りますが、1話の脚本として内面描写や郷愁を感じさせる出来で、引き延ばし感や中だるみ感は感じませんでした。

 アクションシーン、特にピンチの場面の描写に若干時間的間延びがあり、ツッコミを入れたくなりますが、これは古いアニメの演出なので極めて短い時間を詳細に描写しているものとして受け入れましょう。

 2クールものですし、内容がシリアス寄りですので一気見には向きません。「刺激」や「緊張感」は麻痺が来るので、段々退屈すると思います。1日1、2話。多くても3話くらいで余裕があるときに見た方がいいと思います。

 で、後継の「マドラックス」と極めて雰囲気は似ています。作画、演出、アクション、音楽性、展開、キャラ配置など。ですが、本作にマドラックスのような難解さ、オカルトはあまり感じません。
 その割には、ガンアクションものとしてもそうですけど神秘感や、死と隣り合わせのアンニュイな雰囲気が出ていました。

 脚本が秀逸で展開、謎解きについて物語、構成がよく練られていました。初めの詩や時計・音楽、そしてパリの雰囲気が上手く活きていたと思います。

 謎部分は見てのお楽しみですが、要するに宗教原理主義、歴史の裏、暗殺者として生い立ち、少女と女性は最後どうなるのかを見極める話です。
 クールそうに見えて、実は2人とも友情や家族愛に隙があるのがキャラに感情移入できる要因になっている気がします。

 で、最後の謎部分です。
{netabare} 最後の最後で、傷ついた霧香に肩を貸すミレイユは「パリに帰って熱いお茶が飲みたいわ」といいます。この時、ミレイユは光ったような霞がかかったような雰囲気になります。
 そして銃声が2発轟きますが、違う音です。最後は壊れた時計とは2人の時間が止まると言う意味と、ソルダではなくなるという意味でしょう。その前の灯りを自分でともすというミレイユの言葉や、霧香の怪我、組織があえて見逃したことから言っても、2人が自決あるいは撃ち合った=運命に翻弄された人生を初めて自分で選択する、ということだと受け止めました。 {/netabare}
 作品の根底に流れる無常観、アルテナ・ソルダの両方に対する自分たちの解答、殺人行為の清算と言う意味でもそういう結論がしっくりくると思います。

 アクション要素の他、絡まった2人の謎解きとどうやって2人の殺し屋の乙女が生きてきたかという運命について考えてしまう作品でした。テーマ性は重視せず、運命についてのモヤモヤを咀嚼するのがいいと思いました。そこがラストの解釈になってくると思います。
 エンタメ性を保ちつつ、殺伐とした世界観と詩情を融合させて、最後には感動と言うよりも、切ないながらも納得の行く作品になったと思います。素晴らしい脚本でした。

 音楽はOP、EDもいいですけど、BGMも聞かせました。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 7

64.1 3 ヨーロッパで秘密なアニメランキング3位
シュヴァルツェスマーケン(TVアニメ動画)

2016年冬アニメ
★★★★☆ 3.4 (326)
1677人が棚に入れました
アージュの人気ゲーム『マブラヴ オルタネイティヴ』のスピンオフ作品。

1983年のヨーロッパを舞台に、東ドイツ軍の戦術機部隊“第666戦術機中隊”(通称:黒の宣告(シュヴァルツェスマーケン))に所属する青年・テオドールの物語が描かれる。

声優・キャラクター
鈴村健一、田中美海、山本希望、南條愛乃、安野希世乃、安済知佳、加藤英美里、村瀬迪与、三宅健太、田村ゆかり、成田剣、沼倉愛美

浩平 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

前作トータル・イクリプスから17年前の世界を描いた作品、世界は絶望の色に染められていく。はたして人類の敵とは・・・

(評価は保留のため3)


-あらすじ-
第二次大戦後ドイツは東西に分断され両国民はお互いを敵として生きることになった。
1967年、人類は月面で異星起源種「BETA」と接触。戦争が勃発。6年後BETAは中央アジア・カシュガルに落着した。
BETAとは人類に敵対的な地球外起源種のことで、人類は冷戦の只中BETAとの生存を賭けた戦いに突入することになった。
そして10年後、その最前線となっているのがドイツ民主共和国・東ドイツだ。
BETAのヨーロッパ進行により窮地に追い込まれた東ドイツは国家保安省・シュタージによる国民の監視体制を敷き戦力の維持を図った。
人々は国家への恐怖からお互いを監視する社会。戦場で死ぬか、粛清されるか、機械のように生きるか・・・。俺達に選べるのはそれしかなかった。


第1話の公式のあらすじ
1983年のヨーロッパ。東ドイツ陸軍に所属する戦術機部隊『第666戦術機中隊"黒の宣告"(シュヴァルツェスマーケン)』は、東ドイツ軍最多のBETA撃墜数を誇っていることから、東ドイツ最強の戦術機中隊と謳われていた。
中隊に所属するテオドール・エーベルバッハ少尉は、過去のトラウマから自分以外の何者をも信用せず、ただ己の生存の為だけに戦い、国家保安省の影に怯える日々を過ごしていた。
そんなある日、テオドールが中隊長のアイリスディーナ・ベルンハルト大尉と共に、戦場で孤立していた西ドイツ軍の少女、カティア・ヴァルトハイムを救出した事から物語は始まる。

いきなり血みどろなグロテスクなシーンから始まる。前作トータル・イクリプスと比較して、よりシリアスそうな印象を持った。

隣の人間でさえ信用できない東ドイツ。事態は混迷の色を見せる。
BETAだけでも脅威なのに、さらに人間まで敵。この非常時にそんなことしてる場合じゃないと思うんだけどね(´・ω・`)


第2話の公式のあらすじ
救出した少女、カティア・ヴァルトハイムに東ドイツの現実を突きつけるテオドール。カティアはそんな彼に、ある目的があって東ドイツにきたと告げる。理解し難いカティアの行動に戸惑うテオドール。
さらに中隊長アイリスディーナからカティアを監督するように命令される。そんな中、カティアを捕らえるため、国家保安省のハインツ・アクスマンがベーバーゼー基地に現れ・・・。

第2話放送早々に女の子のおもらしをばらすアニメ( *´艸`)
はずかしがっててかわいい(≧◇≦)
そして、女子たちの話に入って行けずに舌打ちをするテオドールさん(笑)

『私達の敵はBETAのはず。全ての人間がお互いを信じ力を合わせないとBETAには勝て・・・』
敵の敵は味方にはならないのか・・・?
シュタージは対BETA戦でも敵になるのか?BETAが来てるときぐらいは協力体制を取るかと思っていたが、そうではないらしい・・・。


第3話の公式のあらすじ
カティアを信頼できないまま出撃したテオドール。結果として、カティアと副隊長ファムがノイェンハーゲン要塞陣地に取り残されてしまう。生き残るために、己の行動は間違っていないと自分に言い聞かせるテオドール。一方、カティアは要塞陣地で戦場の現実を目のあたりにするのだった。

落ちちゃいけない基地大爆発でこれからベルリンがやばい。
一方、テオドールがもう舌打ちしない主人公キャラになっていた(笑)
かつて守れなかった妹の登場で物語はどう動くのだろうか?
妹・・・あやしさしかないが、はたして・・・?


第4話の公式のあらすじ
悪夢のようなノイェンハーゲン要塞防衛戦から帰投した第666戦術機中隊に補充衛士が送られてくる。それはテオドールの行方不明となっていた義妹リィズ・ホーエンシュタインだった。

突然の衛士補充。疑惑の目を向けられるリィズ・・・。
アイリスディーナは妹リィズが国家人民軍に送り込んだスパイではないかと疑う。
そこでテオドールへリィズの真意を見極めるよう密命を受ける。

妹は敵のスパイなんかじゃない。そう信じるテオドールであったが・・・。


第5話の公式のあらすじ
義妹リィズへの疑念を抱いたまま、海王星作戦に参加したテオドール。だが本来は敵同士である東西両陣営を結集した作戦は混迷を極めていた。
お互いを信じられぬまま悪化していく戦場。第666中隊は味方の協力を得られぬまま、決死のレーザーヤークトを開始するのだが・・・。

西と東、人が協力してBETAを倒して、作戦も成功して次回に続く!・・・なんてことにはなりません。
中隊メンバー全員が代わる代わる映るカットでリィズが不穏な感じに・・・?


第6話の公式のあらすじ
海王星作戦で得たものは大きく、そして失ったものも大きい。だが、テオドールはカティアとアイリスディーナの夢の欠片を確かに目撃したのだった。
帰途についた第666戦術機中隊に、再び国家保安省の魔手が伸びる。テオドールは監視を振り切り、政治将校グレーテルと共にベルリンへと赴くのだが・・・。

中隊の仲間から疑惑の目を向けられるリィズ。
スパイなのは十中八九間違いない。・・・だが確証はない。

敵のスパイになってるっぽい義理の妹が、
突然すっぽんぽんになって、
露骨すぎるハニートラップを仕掛けてきた!
「お兄ちゃん、抱いて」
妹から急にこんな一言を告げられ、お兄ちゃんとしてどうするのか?
次回はどこから始まるのか気になるところですね!


第7話の公式のあらすじ
東ドイツ戦史上、最大級のBETA侵攻が始まった。重レーザー級の出現によって防衛線は切り刻まれていく。
窮地に追い込まれる国家人民軍。第666中隊は奮闘するものの・・・。

おいぃ、前回の続きはどうなったんだー!抱く抱かないの問題はどうなったんだー!!!
前回のラストはエロゲ展開だったのに・・・。

重レーザー級の殲滅をはかるため、第666中隊は決死の覚悟で重レーザー級に対してレーザーヤークトを行う決断をする。
はたして、無事、作戦を成功させ生還する者は・・・。


第8話の公式のあらすじ
国家保安省による東ドイツ支配が進んでいく。長官エーリッヒ・シュミットは東ドイツ総帥の地位を手に入れる。
すべてを失ったテオドールはカティアと共に山中を彷徨う。後悔という泥濘に脚を取られ、前に進むことができなくなったテオドール。
その横顔を見つめるカティアの心に火が灯る。

シュタージの手に落ちたアイリスディーナ・・・無念の撤退を余儀なくされるテオドールとカティア。
シュタージの策略の前に万策尽きたかと思われたが・・・。


第9話の公式のあらすじ
西方総軍と合流したテオドールとカティアの前に、権力争いに敗れた国家保安省ベルリン派のアクスマンが姿を現す。
テオドールは仇敵アクスマンと協力して反攻作戦を開始する。奪われたものは必ず取り返す――血気に逸るテオドールの前に最狂の敵が立ち塞がった。

今後、リィズを超えるヤンデレの妹は現れないだろうな・・・。
リィズは本当に可哀想な娘です。一線踏み越えてしまった彼女に救いはあったのかな・・・?


第10話にて、とある人物の死をむかえたことで物語は一旦の区切りを見せる。
そして、物語は終末へと動き出す・・・。


最後に一言「総員、傾注!∠(`・ω・´)」

投稿 : 2024/07/06
♥ : 9
ネタバレ

MbsHL22207 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

5話以降、一気に化けました

トータルイクリプス(以下:TE)に続く、マブラヴオルタネティブのスピンオフ作品2作目。9話まで視聴済み。

一言で説明すると、「宇宙人と戦って人がばたばた死ぬアニメ」です。
ブルージェンダー、ガンパレードマーチ、進撃の巨人 この類のアニメです。十分ご注意下さい。

序盤(5話まで)は作品の地盤固めに全力投球。延々と地盤固めの工事が敢行されるのを傍からただ見ているだけの状態が続く。
ただし、これ以降別作品なのかと思う程一気に緊迫感が高まりおもしろくなる。

理解を得られるか分からないが、ジャッキーチェン辺りが出ている香港アクション映画とストーリー展開のさせ方が似ているんですが、コメディ部分を鬱にひっくり返したようなアニメです。
自分で書いておいてなんですが、ちょっと想像難しいですね。



1話を見終わって
{netabare}
シナリオは1話にも関わらず山場と言えるような山場は無い。完全に状況とキャラの説明に徹している。
TE1~2話ではもっと上手く見せていたがそこまで求めるのも酷か、と自分で納得する必要がある程度には全体的に安っぽい。
また作画崩壊するのかなぁと今から楽しみである。
{/netabare}

2話を見終わって
{netabare}
相変わらず山場は無い。
戦闘があって少しストーリーが進むだけ。

TEの時も思ったのだが、なぜこんなにつまらないのかは「明確な終わり」か「終わりそうな糸口」が見えないアニメだからだと思う。
アルドノア・ゼロ辺りを見習って、人類側にもチート級の何かを用意するくらいは許されても良い。
ダイジェストで済ませてもなんら問題無い内容を延々と見せられると流石に来るものがあります。

やはり人を選ぶアニメのように思う。

{/netabare}

3話を見終わって
{netabare}
相変わらず山場は無い。
戦闘があって少しストーリーが進むだけ。

そして最後に妹参上。
芽生えかけていた主人公とロリっこヒロインの関係はどうなるのか!?
みたいな終わり方だけど、たぶん視聴者はそんなのどうでも良いと思いますよ・・・。

この3話で切るのでつらつら書きます。

オマージュ(パクリ?)の順番として私が思っているのは

・・・→ブルージェンダー → ガンパレード・マーチ → マブラヴオルタ → 進撃の巨人

の順番です。

どれもこれも話を盛り上げる為の”バランサー”として人類側にチートが用意されております。

ブルージェンダー→{netabare} B細胞覚醒主人公{/netabare}
ガンパレード・マーチ→{netabare} 速水・新井木{/netabare}
進撃の巨人→{netabare} エレン{/netabare}

アニメを娯楽として楽しむ場合、このバランサーとも呼べる仕組みは必要不可欠です。
一方的に点差が開いていくサッカーや野球なんて見ていてツマラナイのと同じです。選手交代で強力な選手を導入すれば「なんとかしてくれるのでは?」という期待から娯楽性が高まります。

その点マブラヴオルタはそんなものは無く、良く言えばリアル志向と言えるのかもしれませんがさすがに楽しみ方の幅が狭すぎて原作未プレイ組みが楽しめるとは言い辛い仕上がりになる(実際にそうなっていると思う)わけです。

更にリアル志向の戦争物の中で人間ドラマをメインに沿えるとは正気の沙汰とは思えません。

そこまでして視聴者をふるいに掛け、厳選し、一体何がしたいのでしょうか。
少なくとも原作未プレイの私はその魅力に気付けず、また原作に興味を持つことはできませんでした。

原作は非常に評価が高いので見せ方・脚本をどうにかして焦点を当てる場所・はしょるべきところを見極めテンポ良くしないと改善は難しいでしょうね。
{/netabare}

5話まで見終わって
{netabare}

3話で切る予定でしたが惰性で観てました。
そして戦闘シーンが多かった為か意外にも5話はおもしろかったです。

ただ、チラチラ見え隠れする「微妙に熱くなりきれてない熱いノリ」がむず痒くてちょっとイライラしてしまいます。
やるならしっかりやって貰いたいです。中途半端な男は嫌われますよ?

しかし、毎回ノルマの如く人を殺すアニメですね。
声優さんのお仕事が奪われてしまうみたいで心苦しいので今後は控えてもらいたいものです。
{/netabare}

9話まで見終わって
おかしい・・・普通におもしろいぞ・・・?
{netabare}
5話以降、何かが変わった気がします。
ただ何が変わったのかが具体的には分かりません(テンポが良くなったような気もしますし、5話にしてやっと物語初めの地盤固めが終わったようにも感じます。もしくは私がこのアニメに調教されちゃったのでしょうか?)
ただただ素直な気持ちで毎週楽しみに観ている自分がいます。

「男子三日会わざれば刮目して見よ」とは言いますが、一体スタッフに何があったのでしょうか。
計算ずくで序盤は致し方なくだった、と言われれば納得できちゃうほどに5話以降加速度的に良くなってます。

第666中隊がこれまでは至って平穏に部隊として機能できていたんですが、シュタージュ(主人公の実妹含む)により部隊員は拉致され拷問されるという展開。更にシュタージュはクーデターをほぼ成功させて政府機能も乗っ取っちゃったよさぁ大変!
とってもハラハラしてしまいますね。

んでもって妹の振る舞いにショックを受けた主人公が廃人→復活というちょっと熱い展開もGoodです。
んまぁ実妹抱いてるんですけどね。

それにしてもこの妹、完全に壊れてますね。
今更救えるとは思えないので主人公が殺す流れだろうなぁとこの流れから安直に思いついてしまいますが、その辺りを壮大に裏切って欲しいものです。

でも無理だろうなぁとも思います。
原作を未プレイなので断言はできませんが、このストーリーを作ってる人はとても真面目な気がします。要所や基本は押さえてるんですが奇抜さがなく、唐突な展開も予想の範疇を出てはくれないんですよね。

理解が追いつかない程奇抜なことをされると一気に安っぽくなるのでやらないのかなぁと思いますが、作品を大事にしすぎてチャレンジ精神を忘れているのではないか、とも思います。

{/netabare}

投稿 : 2024/07/06
♥ : 9

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

「総員傾注。これよりBETA梯団光線級群へのレーザーヤークトを敢行する。光線級を掃討するぞ! 第666中隊、シュヴァルツェスマーケン出撃!」

この作品の原作は未読ですが、この作品自体が「マブラヴ オルタネイティヴ」のスピンオフとしての位置付けになっており、「マブラヴ オルタネイティヴ」が2012年に「トータル・イクリプス」という名称でアニメ化された作品の方は視聴済です。

この作品は、「トータル・イクリプス」から18年前の1983年のヨーロッパ・・・それも東西に分断されたドイツにおけるドイツ民主共和国(東ドイツ)側の視点で描かれた作品です。
「トータル・イクリプス」ではBETAは1997年に韓国から日本列島に侵攻してきました。
その間約14年もの間、ユーラシア大陸ではBETAとの激しい攻防が続いていたと考えると感慨深いモノがあります。

この物語における人類共通の敵はBETAと呼ばれる未知の人外生物なのですが、極めてやっかいな敵なんです。
BETAには「「レーザー級」「グップラー級」「デストロイヤー級」など異なる形態がお互いの弱点を補い合うかの様に徒党を組んで膨大な数で押し寄せてくるんです。
単体での能力では間違いなく人類側に分があると思います。
でも、一人の人間が一度に相手にできる数には限界があります。
BETAはその限界を上回る数で押し寄せ、人類から抵抗力を少しずつ削ぎ落としていくのですから、どうあがいても疲弊は免れません。

そして不幸は連鎖します・・・ヨーロッパ諸国の援助は得られたのですが、その代償となったのは東ドイツの国そのもの・・・東ドイツがBETA戦線の盾となる形になってしまったんです。
愛する祖国が戦場になる・・・何より東ドイツを愛してやまない国民を犠牲になんてできない・・・

でも彼らにも希望の光は途絶えていませんでした。
BETAとの激戦区であるが故、東ドイツ軍の中から最多の撃墜数を誇る部隊が誕生したんです。
その東ドイツ最強の戦術機部隊名は、アイリスディーナ・ベルンハルト大尉が率いる「第666戦術機中隊"黒の宣告"(シュヴァルツェスマーケン)」
この作品は彼らシュヴァルツェスマーケンの戦いの軌跡を描いた物語です。

「トータル・イクリプス」における敵は、国ごとに多少のイザコザはありましたがあくまでBETAです。
そのため物語的には勧善懲悪モノとして分かり易い展開でした。
ところが、この作品では東ドイツ国内におけるレジスタンスが並行して進められる事から、敵はBETAだけではないんです。
BETAによる東ドイツ存亡の危機なのに派遣争い・・・つくづく人間の持つ業にへ辟易してしまいますが、現実においてもきっとこれが実態なのだと思います。

でもレジスタンスに至る思考には激しく納得です。現行の東ドイツではお互いがお互いを監視し密告する・・・例えそれが身内であってもです。
そして一度捕まったら激しい拷問・・・中には生きて帰れない人もいる・・・
これが常態化した世の中・・・生きることに対する充足感なんて得られないと思います。
只でさえBETAは目の前まで来ているというのに・・・

そして現体制とレジスタンスの狭間で揺れる人達に対しても焦点が当てられましたが・・・正直辛いの一言です。
疑われたのは、666中隊に転属してきたたった一人の肉親・・・
幼い頃、一家総出で西ドイツへの亡命を試んで失敗し両親は死亡・・・行方不明だった妹が目の前に現れてくれた・・・兄としてこれほど嬉しいことはありません。
妹も・・・大好きなお兄ちゃんの傍に居たかった・・・ただそれだけなのに・・・

亡命する時・・・妹の手を離さなければこんな事にはならなかったのに・・・
でも軍という組織の規律が許してくれなくて・・・
この悲しい事の顛末は是非本編でご確認下さい。
私は涙無しには見れませんでした^^;

そして物語の終盤で壊滅しかけたレジスタンスに最後の希望が舞い降りて・・・
物語にドライブがかかったように激しく動いていきます。

完走して思ったのは、登場人物の死に対して容赦が全く無い事・・・
「トータル・イクリプス」もそうでしたが、いなくなって欲しくないキャラの生命をあっさりと奪っていくんです・・・
先に書いた兄妹もそうでしたが・・・物語のラストで訪れた死は半端なく辛かったです。
どこまでも実直で仲間を信じ、自分を貫き通したその雄姿・・・堪りませんでした。

オープニングテーマは、fripSideさんの「white forces」
エンディングテーマは、Zahreさんの「哀しみが時代を駆ける」
fripSideさんらしさが出ているオープニングと、メロディアスなエンディング・・・どちらも甲乙付け難い格好良い曲でした。

1クール12話の作品でした。BETA侵攻を軸だと捉えると物語は半ばとなりますが、レジスタンスや666中隊の人間模様と捉えると、12話でしっかりと纏まっていたと思います。
「トータル・イクリプス」が2クールだったので、こちらも2クールを期待しましたが・・・
もし2クールだったら、ラストの展開に至るまでの道筋にあるたくさんのドラマについても描けたのではないか・・・と思ってしまいますが、こればっかりは仕方ないのでしょう。

次に続く・・・という意味では「トータル・イクリプス」も次に繋がる展開の前で終わっちゃいましたし・・・
このBETAとの戦いの結末は見る事ができるんでしょうか・・・^^;?

投稿 : 2024/07/06
♥ : 19
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