ミュージカルで女子高生なアニメ映画ランキング 3

あにこれの全ユーザーがアニメ映画のミュージカルで女子高生な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月08日の時点で一番のミュージカルで女子高生なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

73.1 1 ミュージカルで女子高生なアニメランキング1位
ラブライブ!サンシャイン!! The School Idol Movie Over the Rainbow(アニメ映画)

2019年1月4日
★★★★☆ 3.9 (154)
592人が棚に入れました
浦の星女学院のスクールアイドルとして参加する最後の「ラブライブ!」で見事優勝を果たしたAqours。新たな学校への編入の準備を進める2年生、1年生の前に、想定外のトラブルが連発!?さらに、卒業旅行へ向かった3年生が行方不明に!?離れ離れになって初めて気づく、お互いの存在の大きさ。新しい一歩を踏み出すために、Aqoursが辿り着いた答えとは——?みんなで目指した輝きのその先へ!未来へはばたく全ての人に贈る、最高のライブエンターテインメント・ムービー!

声優・キャラクター
伊波杏樹、逢田梨香子、諏訪ななか、小宮有紗、斉藤朱夏、小林愛香、高槻かなこ、鈴木愛奈、降幡愛

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

もはや深夜のアイドルアニメというより『ラ・ラ・ランド』や『グレイテスト・ショーマン』の域に入ったとすら感じる音楽映画的傑作にしてアニメ表現の可能性の幅を示した意欲作

『ラブライブ』シリーズの2作目にして2016年夏期の第1期、2017年秋期の第2期テレビシリーズから地続きに繋がる劇場版


ラブライブ全国大会優勝を果たした浦の星女学院スクールアイドル部「Aqours(アクア)」だったが奮闘も虚しく浦の星女学院の廃校は決定した…
3年生メンバー3人の卒業を迎え、残る6人で新たな学校でのスクールアイドル活動を継続するも、部活に特に力を入れる編入先の静真高等学校の父兄からは元浦の星の生徒達は距離を置かれてしまう
沼津を訪れたSaintSnowの2人からも3年生を欠いたAqoursの弱さを指摘されてしまった
そんな最中に突如現れた鞠莉の母から、卒業旅行のイタリアで行方不明になった(笑)という3年生3人の捜索を依頼される


まずオイラはこの『ラブライブサンシャイン』(以下、『サンシャイン』)という作品を大変高く評価してます
とにかく絶賛される前シリーズ(以下、『無印』)の期待を遥か大きく上回っておきつつも、“同じことを繰り返さない”姿勢が大変素晴らしいと思うところです


冒頭、2期の最終話ラストシーケンスから地続きに始まるミュージカル風ライブシーケンス「僕らの走ってきた道は…」で聖地となる沼津や西浦の街並みに大量のモブキャラを含んだ複雑な構成、演出はこの時点でこれまでのどのライブシーケンスよりも難しいことをやっており、出し惜しみしない勢いを初っ端から感じさせ、映画の導入としては大変素晴らしいです
この自然な流れとその感動への引き込み方は深夜アニメのソレというより『ラ・ラ・ランド』とか『グレイテスト・ショーマン』に近いと思います


その後、静真高校との確執やSaintSnowの理亞ちゃんもまたAqoursと同じ悩みに苦しまされている、というシリアスで物語全体を引っ張る問題提起をしつつも、Aqoursのキャラ一人一人の際立った濃さで応酬される心地良いテンポの会話には幾度も幾度も笑わされてしまいます
特に善子ちゃんの空気の読めなさ(笑)に花丸ちゃんや梨子ちゃんが容赦なくツッコンでいくスタイルはμ'sには無いAqours独特の空気感だと思います
Aqoursの面白さって結構明白にメンバー間の格差、とまでは行かないまでも差別化、がされてるところなんですよね
鈴木愛奈、小林愛香、逢田梨香子の3人が“やたらと歌が上手い”ところとかも含めて、おまえらはなんでアイドルをやってるんだよwwwっていうのがね


このキャラの濃さってアニメが始まった頃にキャラを完成に近づけていった『無印』と違って、ある程度話作りやキャラ作りを計算して作り上げた『サンシャイン』の特徴だと思います
どのキャラも拾いこぼし無しに観どころを作った花田十輝先生には流石!と拍手です


その後イタリアのスペイン広場、という一大観光地でゲリラ的に繰り広げられる「Hop? Stop? Nonstop!」という楽曲のライブシーケンスですが、ここでも注目したいのは周辺に観光客がモブとして描かれていることです
https://youtu.be/6MtVoB9qhIs(←公式に無料公開されてるので是非チェックしながらお楽しみ下さい)
ライブシーケンスの作業量を減らす為にも、モブは描かない方が楽に決まっていますが、ゲリラライブってことでちゃんと観光客の姿が描かれているんです
しかも曲の冒頭では唖然としていたモブがサビになるとノリノリになっているのが細かい
それとこの曲は各々の私服でのパフォーマンスということでそれぞれの個性が良く出ているのも素晴らしい
普通はワンピースの女の子と革ジャンの女の子が一緒に踊ってるステージはありませんよねw


「Brightest Melody」という楽曲では曲の盛り上がりと同時に富士山と並んで沼津の象徴とも言える沼津アルプスの稜線から朝日が昇る、という普通に考えて現実では奇跡的な状況を演出します
これはアニメであって実写でもライブでも無いんだから何やっても良いんだよ、という表現方法を逆手に取った演出です
こーゆー演出は『無印』では「僕たちはひとつの光」ぐらいでしかやってませんが『サンシャイン』のライブシーケンスでは積極的に行っています
つまり、ずっと同じようなことをやっている様でも『サンシャイン』のライブシーケンスはだいぶ頭を捻ってよく考え出されているんですよ


そして「Believe again」や「Next SPARKLING!!」という2曲ともなると“もはや物理的にありえない”状況、心象風景などを映像化して演出に取り入れてきます
これは是非本編で確認頂きたいです!
なるほどそーきたか!と思わず唸ってしまいましたw
物理的な壁を取っ払えばクライマックスに相応しい凄まじく派手なステージを作れる…『プリパラ』の演出とかではよくあるんですけど
最初ではなくあえてクライマックスにこーゆー演出をするのが上手いですね
「Believe again」なんかCGに向かってプロジェクションマッピングを照射してますからね、すげぇ難しいことしてます;


それにライブ以外でも各々の衣装や髪型が頻繁に変わるのも可愛らしい
現実の女の子ならともかく、アニメで頻繁に衣装や髪型が変わるって設定の量が増えるので普通やらないんですけどね
それをやるんです!『サンシャイン』は!!
『アイカツスターズ』辺りからサンライズはこーゆーのやり始めましたよね
劇中でルビィちゃんが姉の手を離れ成長した姿を見せる盛り上がりどころがあるのですが、ここで決意を固めたルビィちゃんがいつもの子供らしいツーサイドアップから大人っぽいシニヨンになってたのが説得力を出す演出にも一役買ってました


一から十まで褒め称えたい今作ですが、実は結構課題も残しました;
封切りの1週間前になってやっと完パケしたという前代未聞に切迫した制作状況が室田さんのツイッターでは刻々と語られ、それに怒って暴徒と化したファンが酒井監督のリプ欄に誹謗中傷を投げつける等、とにかく制作状況の混迷さが酷かったようです
実際のところ本編は“普段なら作画で表現してる様なカットがCGのまま”だったりと恐らく今後の円盤化の際には修正が加えられると思しき箇所がいくつか観受けられました
もちろんそれらを踏まえた上で十分な完成度を誇っている、とオイラは評価しているのですがね
そもそも2期の完結から経った1年でこれだけ作業カロリーの高い劇場版を作るのは無理があるのは明白でした
作品を落とすことはとにかく最悪ですが、『ガルパン』や『このせか』が潔く公開を延期した様に、ここまで現場が修羅場になるぐらいならいっそ公開延期も視野に入れた方が良い、と製作者には英断をして欲しいと感じたのがこの作品でした

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5
ネタバレ

ジャスティン さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

有り得ないようなことは気にしなければいろいろといい感じに見れるかな

●視聴した理由やきっかけ
今回はラブライブ!サンシャイン!!の2期への後日話となるので、直に見たいかなという感じで見ようと思いました。μ'sでの映画もとても良かった印象があり、その時はまだ深夜アニメの存在を知らなかったので今回は是非見たいと思い視聴しました。

●評価ポイント&感想
{netabare}
先ほどもおっしゃいましたが、今回は2期でのラストで浦の星女学院が実質廃校となり終わったから恐らく数日後の話ぐらいのだと思います。そこから映画の時系列が始まります。

ラブライブシリーズといえば、挿入BGMや音楽ですよね。今回もバッチリありました。ちゃっと気に入ったのは、どこの部分の曲か忘れたのですが、カメラワークがμ'sの1期のOPテーマのラストに流れる全体が回転しながらの演出でチームリーダーが走っている演出はグッときました。懐かしい要素でとても印象に残っています。

今回のストーリーの脚本も花田さんということでいつも素晴らしいストーリー構成なのですが、今回少し思ったのはこれは映画で本当にやるべきことだったのか?というところです。別にこれでも良いのですが、簡潔に言えば、これは本編でやってほしい内容でした。では何故か...

それは今回ストーリーの展開が少し早いのではないかというところです。印象に残っているシーンが細かく出来てしまうことで「これも良かった」「あれも良かった」と良いシーンがたくさんありました。それは良いことです。
ですが、この100分を1クールにしてもよろしかったのではないでしょうか?というところです。確かに最初で最後の映画のメンバーだからこそ本気でやりかったのかもしれません。そう思うと映画の内容も難しいところですね。
映画の内容が総集編よりかは全然良いのは分かります。

●総集編について ※作品とは全く関係ない話です
{netabare}
総集編映画として有名なのは京都アニメーションさんのアニメタイトルですよね。確かに見る価値はあると言えばあるかもしれないし、ないと言えばないです。でも絶対に見るべきとまでは言えません。それは簡単なことです。
普通にアニメでやっていた内容をまとめたものだからです。「見る価値ある?」それがまず疑問に浮かぶかと思います。

私も実はそう思っていた時期がありました。それもつい最近まで。しかし、それがそうでもないということに気づきました。それに気づかせてくれた作品が「ガールズ&パンツァー」でした。このアニメでは音響にとても特化しており、劇場版ではないと勿体無いぐらいの素晴らしさがありました。
ですので、京都アニメーションの作品でもその可能性があるのかもしれないと思って、少しずつですが、総集編でも映画を見に行こうと思いました。
{/netabare}

では、そろそろ本編について本格的に話していこうと思います。

●ストーリー構成 ★4.5
最初の写真サービスタイムは衝撃でした。「みんな撮っているしwまじか」
みんな流石すぎるよ。と思えました。
何故かというと、花田さんのこともあって内容は素晴らしい。でもこれは本編ではないのか?という疑問も生まれました。

今回のストーリーですが、1年生組と2年生組どちらもこれからのAqoursのために自分は何をすれば良いのかを探求するような描写が多かったですね。部活動もそうですが、頼りになる先輩たちがいなくなると本当に改めて先輩たちはよくやって来たんだなあと実感してしまいますよね。自分も実は部活の部長になったことがあり、その気持ちが凄く共感しました。また引退してからも私がいなくなったことで後輩たちもそのような気持ちになったそうです。

ここで言いたいのは「頼りになる人は今しかいない」ということを。
また廃校になって、そして分校となる結末が嫌でライブを自分たちで制作したのもとても良い。それは自分たちで変えたいという意識があるからこそ動ける行動だと思います。

ですが、そう簡単には行動が出来なかったのはラブライブで優勝候補とも言われていたSaint Snowのメンバーの理亞ちゃんです。でもその気持ちが分かってあげられるのはルビィちゃんしかいませんでした。

こっちも同じ気持ちになったいたばかりだったので、その気持ちをちゃんとメンバーに言ってAqoursでもやはり元気にはならないと分かっていたのは流石でした。

また3年生組では、鞠莉ちゃんと母親の関係に溝がありました。いつも鞠莉は勝手に自分で行動していたのが、裏目に出てイタリアまできましたが、今回で自分は今何を見て何を感じて何をしたいのかという私たちの世界でもとても重要のテーマを与えてくれた作品でした。

そして、Saint Snowが本当にラストに披露したかった曲が今回流れましたね。一言でいえばとてもカッコイイ衣装と声でそして、曲が始まる前の無音も素晴らしかったです。

ラストにあった【efシリーズ】でも好きな神飛行機ですね。でもこっちの意味は絶対に違うでしょう。でも何かしらの意味があるのではないでしょうか

ストーリーが濃厚だったからこそ0.5クールでも追加してやれば良かったのではと思いました。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

1からその先の未来へ 新生Aqours降臨か?? +++++++

 2019年最初に見たアニメ映画は、『ラブライブ!サンシャイン!! The School Idol Movie Over the Rainbow』に必然的になったです。初日、舞台挨拶付きライブビューイングで見たです。上映前、{netabare}スマホの電源要注意です。ユーフォ、中二病、Freeで毎回あった、京アニ映画によく{/netabare}ある展開になるのです。

 どこからのライブビューイングなのかは、言わずと知れたあの地のどっかの映画館のようだったです。上映が終わった数分後に見たです。{netabare}声優さん浦女制服姿、髪型もキャラに合わせて登場したです。和気あいあいだったです。{/netabare}

 2期の最後のあのシーンは、千歌の見た幻でなかったようです。物語は、そこから鞠莉、果南、ダイヤに託されたあることから進んでいくのです。μ'sとは、やっぱり違う選択をするんだなぁと思ったです。

 鞠莉たちは、卒業旅行と旅立ち、千歌たちの新しい毎日が始まるのです。陽に彼氏???登場その真相はいかに!です。Aqoursで、有終の美を飾って新しい学校生活が始まると思いきや、またもや千歌たちに試練が訪れるのです。何かこれ、いくら何でも展開だったです。

 Saint Snowも交え、海辺で悩める千歌たちの前に現れた人物とは!事態は急展開、舞台はイタリアに!です。
 鞠莉がらみにイタリアの有名そうな場所で、面白おかしくお話が進んだです。{netabare}鞠莉ママの声聞くと、ややかすれた野原しんのすけか?と思ったです。ヨハネアイや別なものに憑依?する善子が面白いです。{/netabare}鞠莉の家庭事情、大変だなぁです。

 この件が済むと最初の試練に対して千歌たちがどうするのか?{netabare}またSaint Snowの理亞は実はどうしているか?の話になってどこかシリアス??これらをどう解決するのかが、終盤に差し掛かるのです。それぞれの姉妹が、妹の姉離れともいうのか?も{/netabare}大きなポイントかもしれないです。

{netabare} その答えは舞台の中で非公開、AqoursとSaint Snowと関係者でのもしものラブライブへとつながり、これはなかなかだったです。千歌たち、理亞はそれから何を見つけ出すのか?注目です。

 最後、新生Aqours見れるのか?は、お楽しみです。私は見てみて結局9人だったようにしか見えなかったです。{/netabare}
 前半最初の作画どこか違和感があったです。それ過ぎてからは、作画良くなるんだけれどもです。

 花丸の眼鏡と洋服姿が、なんだか似合ってて良かったです。いろんなところで、バテるところやずらずら、突っ込みを入れてたのが面白いです。話が進んでいくうちにAqoursの髪型、陽とか変わっている気がしたです。

 Over the Rainbowなだけに{netabare}虹が出てくるです。ラブライブというと女性しか出てこないけど、これには沼津の地元の男性の方たちも声は出さないけど、少しところどころの登場も新鮮味があるです。{/netabare}
 なんだかんだ、μ'sのときのように何回も劇場に足を運ぶのかなぁと思うです。

2019.01.05 00:51


 7回見てきたです。

 一番最初に見た作画の違和感を確認したです。{netabare}最初の浦女体育館での陽、莉子、喜子、果南、ダイヤの顔のアングルの所為かもだけど、やや細い感じがしたです。ここを違和感にとらえてたです。これ過ぎた、明らかに沼津の紹介になった歌の場面からは、TV放送同様に良くなっていたです。

 小さな千歌と陽が、砂浜で紙飛行機を飛ばしたときに合った少女は、誰だかは分かるけど、最初見たときは理亜に似ていると思ったです。

 沼津紹介の場面で、いろいろな店や場所を歌に合わせて見せている中で、アーケードでAqours踊る背景に、一人実在する方なのか?おばさんが一瞬目立ってたです。

 鞠莉ママの名前って、ヘリコプターから名乗っていたけど、マリズマリ??と聞こえるけどそうなのかなぁ?です。

 渡辺 月の存在が、Aqoursをいざなっているようだったです。{/netabare}

 ミュージカル展開の多かった今作、私は好きです。

{netabare} 不思議に思うのは、歌う途中に服が衣装に突然代わる点、いつの間に用意してるのかなぁと思うです。(沼津駅周辺?場面や、、イタリアで3年生が歌う場面、一番最後のライブシーンで3年生が加わる所からなど)

 また音楽はあらゆるの場面で、どこからライブステージもないのに流しているのかなぁと素朴な疑問があるです。(沼津駅周辺?場面や、イタリアで3年生が歌う場面、イタリアの階段広場でAqoursが歌う場面、Saint Snowが洋館の前で歌う場面など)

 キャラの髪型が変わるなかで、印象に残るのは陽リボンを付け替えたり編んだりだたり、千歌の髪飾りが変わっていたりなかったり、ルビィ、ダイヤ、果南が結んだ中でルビィが目立ったと思うです。

 花丸の食事をする姿が、幸せそうだったです。

 パフォーマンスや歌は、{netabare}沼津駅周辺?場面、{/netabare}特に公開前の劇場CNやTVCNで一部流された、イタリアの階段広場、 {netabare}ラブライブ延長戦、ラストのライブステージなど{/netabare}私は良かったです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

73.2 2 ミュージカルで女子高生なアニメランキング2位
ラブライブ!The School Idol Movie(アニメ映画)

2015年6月13日
★★★★★ 4.1 (698)
3558人が棚に入れました
スクールアイドルたちがパフォーマンスを競う大会「ラブライブ!」。
前回優勝者のμ'sは、3年生の卒業をもって活動をおしまいにすると決めていたが、
卒業式の直後、μ'sのもとに飛び込んで来たひとつの知らせを受けて、新たなライブをすることに!
見たことのない世界とふれあい、また少しずつまた成長していく9人。
スクールアイドルとして、最後に何ができるのか——。
限られた時間のなかで、μ'sが見つけた最高に楽しいライブとは——!?

声優・キャラクター
新田恵海、南條愛乃、内田彩、三森すずこ、飯田里穂、Pile、楠田亜衣奈、久保ユリカ、徳井青空
ネタバレ

おぬごん さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ラブライバーへのメッセージ

2013年冬にTVアニメ1期、2014年春にアニメ2期が放送された、ラブライブの劇場版
2期のラストで劇場アニメ化が告知されましたので、およそ1年越しでの公開ですね
普段はTVアニメしかレビューしていないんですが、せっかく公開日に観てきたのでレビューしちゃおうかと思います

(※以下、TVアニメ1期と2期のネタバレを含みます)

さて、映画公開前に誰もが気になっていたのは「どんな映画になるのか」です
何せTVアニメのエンドロールまでは、主人公たちμ'sがやるべき凡そ全てのことが描かれ、3年生の卒業とμ'sの終わりを以て綺麗に閉められましたからね
その後の取って付けたような花陽への連絡からどんなストーリーになるのか、というのが、専らの話題でした
…まあ結論から言うと、先行PVの時点でニューヨークの風景とタイムズスクウェア、セントラルパークでのライブ模様が描かれ、概ねそこから予想できる展開通りだったんですけどねw
まあTVアニメであそこまで綺麗に描ききってしまっては、卒業~新学期までの短い期間くらいしか描きようがないですよね
この辺は、舞台が海外なのも含め、映画「けいおん!」を思わせました

余談ですが、なぜニューヨークが舞台なのかというと、ニューヨークがエンターテインメントのメッカであることや、劇中で語られる理由もあるとは思いますが、
おそらく現実世界でのμ'sの2ndライブ「New Year LoveLive!」が「NYライブ」と略され、ニューヨークでライブをしたのかと勘違いされることがよくあるのを、劇中で実現させたんじゃないか…と勝手に思ってますw


内容としては、視聴者がTVアニメを視聴済みのラブライブファン(=ラブライバー)であることを前提としたものでした
いきなり歌い出してミュージカルを始めたり、キャラネタのギャグが多めに仕込まれていたりと「アニメラブライブはこういうものだ」と分かっている人に向けた描写が多く、およそ初見の人には優しくないと思います
その分、ファンにとっては見所満載でしたけどね!凛ちゃん可愛かった!

TVアニメでも特徴的だった、メタファーをちりばめた演出も健在でした
一例を挙げると、冒頭の穂乃果のジャンプのシーンと、後半に描かれる同じく穂乃果のジャンプのシーン、この2つのシーンの背景の違いなどですかね
またそれに関連し、「飛ぶ」という言葉や「鳥」「羽」などのメタファーにも注目してみると面白いと思います

ラブライブの見所であるライブシーンは3回で、ミュージカル風のシーンが同じく3回
曲はライブシーン1曲目、PVでも流れている「Angelic Angel」が最高に良い曲ですね!
youtubeの公式チャンネルでライブシーンが丸々上げられてますので、是非観てください!
私も昨日から10回くらい観てます
あとは最後の最後に流れる曲「僕たちはひとつの光」にも、嬉しく感動的な仕掛けが為されていて聞き入ってしまいました
また、ミュージカルシーンは全編手描き作画で見応えありです!

…ただ全体的にシーンとシーンがぶつ切りで、特にライブシーンが浮いている感じもあり、まとまりが悪かった印象もありました

※以下、劇場版のテーマについてのネタバレ含む長い考察
{netabare}
さて、この劇場版では、2期の終盤に描かれたテーマが、再度描かれることになります
μ'sは2期11話「わたしたちが決めたこと」で描かれたように、今の9人以外のμ'sは考えられないと、3年生の卒業を以てμ'sの活動を終了することを決めました
しかし、TVアニメ作中では、このことをメンバー以外には知らせてないんです
11話の直前の2期10話で、μ'sがファンの人たちと共に作られる「みんなで叶える物語」であることを認識したにも関わらず、ですからね
今回描かれるまで気付きませんでしたが、考えてみれば明らかに不自然です

で、この劇場版では、TVアニメで描かれたそういったテーマをさらに一歩先に進め、
人気が絶頂に達し、大きな影響力を持つようになったμ'sを、それでも「わたしたち」の決断で、終わらさせても良いのか、それは「みんなの物語」を裏切ることにならないか、ということが描かれます
これは多くの人が気付いたとは思いますが、明らかに現実のラブライブ、μ'sに重ね合わせていますよね

アニメスタッフとしては、もう出せる物を全部出してアニメを描き切りました
現実の声優ユニットの方のμ'sも、5thライブが終わる頃には、穂乃果役のえみつんが喉を痛め、30歳を超えた絵里役のナンジョルノは膝を痛め、特にナンジョルノはファンミーティングツアーでもライブに参加できない状態となっています
しかし、ファンは増え、ベストアルバムがオリコン1位になるなど人気は加速する一方
現場は止めたいけど、止められない状態になってしまっているんです

さて、劇中ではこの問題に対し「μ'sはあくまでスクールアイドルだから、この先も続けていくことはできない」という答えを出し、最後にスクールアイドルの素晴らしさを世界に伝えることで、μ'sの幕引きとしました

そもそもアイドルというものには、制限時間があります
若さを武器にアイドルとして活動した後、歌手や役者といった次の道へと歩み出すのが世のアイドルの常です
特に年を取っても「格好良さ」を演出できる男性アイドルと違い、「可愛さ」が求められる女性アイドルは尚更です
アイドル自体が、限られた時間の中での「今一瞬の輝き」を与える仕事なんです

TVアニメ1期の頃の劇中歌の歌詞は、どれも「未来に向け頑張る」曲でした
1期OPの「僕らは今のなかで」も「今のなかで輝きを待ってた」わけですから、過去形になっているとはいえ視線は未来にあります
その頑張りが1期終盤~2期にかけて報われていきます
ラストライブで歌われた「僕らは今のなかで」へのアンサーソング「Kira-Kira Sensation」では
「奇跡それは今さここなんだ」「だから本当に今を楽しんで」と、視線は「今この一瞬」に向けられています

部活動テイストにアイドル活動を頑張っていた彼女たちは、いつしかアイドルになっていたんです

この映画の劇中歌でも、「Angelic Angel」では「もしもは欲しくないのさもっとが好き」「明日じゃない大事なときは今なんだ」と、もしもの明日ではなく、今の大事さが歌われています
「僕たちはひとつの光」では「時を巻き戻してみるかい? No,no,no 今が最高」と、過去の楽しかった時間に戻ることさえも否定しています

学生、アイドルという制限時間の中で放つ「今一瞬」こそが大事
これこそが今回の映画での、ファンへの一番のメッセージだと思います

「限られた時間の中で輝けるスクールアイドルが好き」という絵里の言葉は、敢えて今まで語られなかった、スクールアイドルという「二重の制限時間」を含んだ設定の妙に言及する、ストレートすぎるほどのメッセージでした
「ラブライバーの皆さん、アニメのラブライブはここで終わりです。現実のラブライブもいつか終わります。でも、だからこそアイドルは良いんですよ」

…それでも納得がいかないという方に救いがあるとすれば、
ラブライブはアニメが終わっても、コンテンツが続き得ることですね
上で挙げた「けいおん!」は、あくまで日常がメインの作風でしたから、原作、アニメの終了と共に、きっぱりさっぱりコンテンツが幕を閉じてしまいました
その潔さこそが、コンテンツとしての「けいおん!」の素晴らしさだと思いますし、アニメのラブライブについても(この映画で完結するのであれば)そうだと思います
ただ、ラブライブ自体は元々「曲」がメインのコンテンツですから、アニメが終わっても、今後もアニメ化以前のようにシングルを出したりして続けていくことは可能です
まあ先ほど述べたように今は人気の絶頂ですから、簡単には終わらないんじゃないかなあ…とw
今回の映画で、ドームライブの可能性も示唆されましたしね!

※ 2015/12/16追記
2016年3月31日、4月1日のファイナルライブを以て、μ'sの活動終了となることが正式に発表されましたね
NHKに出て、Mステに出て、紅白に出て………やれることをやり切ってからのファイナルライブ
年度の替わる、スクールアイドルがスクールアイドルでなくなる日に行なうファイナルライブ
素晴らしい引き際だと思います
残された時間を握りしめて、本当に今を楽しんで、μ'sを最後まで応援したいですね
ファイナルライブ、当選してくれ!!

※ 2016/4/2追記
ラブライブ!μ's Final LoveLive!〜μ'sic Forever♪♪♪♪♪♪♪♪♪〜
3/31現地完全見切れ席(と言いつつ超良席!)、4/1ライブビューイング(途中から)で参加してきました!
ありがとう、μ’s!! ありがとう、ラブライブ!
今が最高!
{/netabare}


この劇場版自体は、ラブライバーへの最高の贈り物だったと言えるでしょう
ただそれは、人によっては終わりを感じさせる、やや不安と寂しさを含んだ物だったかもしれません
でも、劇中の「Angelic Angel」でも歌われています
「もしもは欲しくないのさ もっとが好き」「大事な時は明日じゃない 今なんだ」
もしもラブライブが終わってしまったら…なんて未来を考える前に、今そこにあるラブライブをもっと楽しむことが、正しいラブライブの(そしてアイドルの)楽しみ方なんじゃないでしょうか

投稿 : 2024/11/02
♥ : 30
ネタバレ

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

スクールアイドルμ’sの物語がついに堂々の完結!

公開初日の朝一で観てきました

2期のラストでは卒業の余韻を映画の引きで見事にぶち壊されて
映画にはあまり期待していなかったというか
期待以上に強い不安を感じていましたが
しっかりとμ’sの物語を完結させてくれたことにホッとしています

観てない方に向けて当たり障りなく書いておくと

事前に流れてたニューヨークでのPV撮影の話を
前半に早々と回収してしまい
後半はμ’sの未来とスクールアイドルの未来をテーマに
全国のスクールアイドルを呼んで
μ’s最後のイベントに挑むお話

μ’s以外のスクールアイドルたちの代表として
A-RISEが本編以上に優遇されていたので
ファンの方は必見ですね

後何を血迷ったのか映画ゲストキャラとして
高山みなみ呼んで歌まで歌わせるっていうサプライズ
TWO-MIX世代としては不意打ち過ぎて感涙モノでした

海未&にこの顔芸も劇場クオリティでキレッキレだし
ギャグパートはこれまでの集大成というか
良い部分がしっかり出せていたと思います

前半ライブパートはNYPVは事前に流れていた映画トレイラーを
そのまま尺長くしたような感じで
まぁ悪くはないけどよくもない感じです
作画と3DCGのクオリティが上がるほどに
継ぎ目に違和感が出ちゃうのはやっぱりどうしようもないのかな?

どちらかというと各学年ごとに一回ずつ
ミュージカルパートがあって
3DCG一切使わずに作画だけでやっていたのですが
こっちの方は細やかな表情描写とダイナミックな躍動感が
見事に両立されておりこれだけでも見に行く価値があると思いました

後半ライブパートは全国のスクールアイドルとのセッションという事で
モブの数が半端ないからこれは3Dで行くしかないよねーという感じで
スクールアイドルの世界の広がりが見事に表現されていました

そしてEDの歌詞!あれは反則です
以前にこりんぱなで同じことやってましたが
今回もきれいにまとまってました

また花田センセーがやらかしてくれるんじゃないか?とか
やめるやめる詐欺でまだまだ搾り取りに来るだろうとか
割とネガティブな予想が多かったのに対して
冒険せずに無難にまとめあげたシナリオって感じです
その上でファンサービスに特化した作りになっているので
ラブライブプロジェクトのイベントの一つとしてではなく
純粋にアニメ映画として観に行ったらあんまり高評価にはできないかもですね

以下観終わった人向け

{netabare}
爆発的な人気上昇
ラブライブ大会運営からの要請
A-RISEのプロ転向
いろいろあって一度は揺らいだ決心だけど
やっぱりμ’sの活動はこれでおしまい
それはμ’sがスクールアイドルであることに意義があるから
限られた期限付きの活動だからこそ放てる一瞬の煌きが
スクールアイドルたちを何倍も魅力的にしているんです
μ’sの活動はこれで終わりですが
ラブライブは、スクールアイドルの物語はまだ終わりません
これからもラブライブとスクールアイドルたちを応援して下さい!

っていうのがこの映画のメッセージだと
言ってしまうとあまりにも身も蓋もないですが
要するにそういう事ですよね

作り手側からしても予想外の大ヒットオリジナルアニメ
このまま引き伸ばしてもう一稼ぎしようという思惑が
2期のラストのアレにつながっているのだと思います

しかしμ’sの中の人たちも軒並みアラサーで
体力的にも活動継続の限界にきているのはファンの目から見ても明らか
このままドル箱をたたんでしまうのは勿体ないし
世代交代させつつラブライブというコンテンツを
長期的にブランド化していくのが制作陣の思惑でしょう

しかしラブライブ人気は事実上のμ’s人気であり
かつてアイマスが新作を出すごとに激震していたように
世代交代が難航するのは目に見えています

既にμ’sから次のバトンを受け取るスクールアイドルたちが
G's誌上企画ラブライブサンシャインとして開始していますが
よりスムーズに移行するための架け橋として
今回の映画が作られたわけです

前半はファンサービスに終始しμ’の良さを再確認させる
そして後半ではそのμ’sメンバーたち自身の口から
ラブライブの素晴らしさスクールアイドルの素晴らしさを伝えるとともに
μ’s以外のスクールアイドルの代表ともいえるA-RISEや
世代交代の象徴ともいえる新入生雪歩と亜里沙の組んだユニットをはじめとして
全国の沢山のスクールアイドルたちを登場させることで
スクールアイドル=μ’Sという図式をを崩していく

ストーリーが1期2期に比べて無難で落ち着いているのも
世代交代をいかに軟着陸させるかがテーマと考えればうなづけます
ジェットコースターのような起伏で攻める1期2期のようなストーリーは
軟着陸というゴールからかけ離れすぎていますね

ラブライブサンシャインに関してはラブライバーの中でも
賛否両論色々な意見があるようです
私は最初の発表のときはどちらかというと否定的でした
なぜなら新ユニットが結成されれば
μ’sの活動は縮小されるか無くなだろうと思ったためです

しかし5th直後のえみつん休業や
今回のなんちゃんのライブパート不参加
たとえ世代交代をしなくてもμ’sが活動できる期間はそう長くない
というのが薄々わかってきたのもあり
μ’sとともにラブライブが終わるのと
μ’sが引退してもラブライブ自体は続いていくのと
一体どちらが良いのか考えるととても悩ましいところ
だから今はサンシャインに関しては中立というか
出てきたものの出来栄え次第かなぁと思っています

今回の映画はμ’sファンをラブライブファンに塗りかえるための
ある種のプロパガンダ映像としてなかなかよくできていたと思います

でも後輩たちに道を示しつつ表舞台から消えていくことを
納得づくのようにキャラクターとして発言しなきゃいけないμ’sメンバー(中の人の方)は
いったい何を思いながら演じていたんだろう?

2016年冬としか発表されていないNEXTLIVE
これが卒業ライブになる可能性も覚悟しておいたほうが良さそうですね
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 25
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

『ラブライブ!』……未来に導かれた物語

以前μ's(ミューズ)6thシングルOVAのレビューに記した考察の延長みたいな文書になりますが、
ファイナルライブを控え、さらに本作と現実とのリンク具合が高まったのでここで改めて。

結構ストーリーが腑に落ちない鑑賞者も多い映画だと思います。
本作はある出来事が過去からの積み重ねのみで実現するのではなく、
未来からの導きによっても引き起こされる。
という独特の時間感覚によって一連の流れを説明します。

この感覚の伝え方が、表現として、もう一つ洗練されていないこと。

加えて世間一般が時間は過去から未来へと流れる。
今は全て過去からの積み重ね、という常識に囚われている。
もっと言えば、多くの人が未来なんか信じない(苦笑)
こんな世の中では、なかなか心に響かない話なのかもしれませんw

ただ『ラブライブ!』というコンテンツの歩んだ過程も鑑みると、
未来からの導きを訴えたくもなるスタッフの気持ちが私には凄く分かります。

『ラブライブ!』はアニメもヒットし、映画化し、
現実世界のμ'sは紅白出場を果たし、最後は東京ドームでコンサートを行う。

例えばこんな事実を6年前、『ラブライブ!』のファーストPVを観て、
こんなもん絶対、流行るわけがないwと嗤っている私に言っても私は絶対信じないでしょう。
というよりμ's(当時はこの名前すらなかったw)のメンバーや、
スタッフさんに言っても誰一人として信じなかったと思います。

まさに未来のことなんて今は分からなくてもいいから、
素直に生きればいい、とでも声をかけたくなる感じ。

その後、ドゥームだの、紅白だの夢にも思っていないであろう6年前の後のμ'sやスタッフたちは、
努力なり才能なりを積み重ねて今に至るわけですが、
正直、本人達が自分たちの過去の積み重ねだけで、ドームコンサート等の快挙にたどり着いた。
と考えているとは思えません。

きっと自分たちを未来から引っ張り上げる運命的なエネルギーといった、
常識を越える不思議な何かを感じずにはいられないのだと思います。

こうした想いを共有した時、過去、現在、未来は自由につながり、
足枷となっていた未来への不安や疑心暗鬼が外れることにより、
「いつだって飛べる」という感覚が理解できるのだと私は思います。

この想いは例えば『ラブライブ!』初期の苦況など、
輝かしい今を想像すらできない、景色を知れば知る程、身に染みるものだと思います。
そして、本作が伏線として仕込んだネタが、
後に現実世界で具現化することにより、未来の力についての実感はさらに強まっていくのです。

やっぱり……このアニメ、もの凄くファン向けな映画ですね(汗)
けど、本作が今ひとつ理解しがたいと思った人にも、
もう一度、未来の力を信じてみて欲しい。
個人的にはなかなか深イイ話だと思います♪


前回2015年6月レビュー
ラブライバーならば、いま観ておくべきスクールアイドルムービー

長くなるので折りたたみw

{netabare}
2期よりもさらに現実の『ラブライブ!』、
三次元のμ's(ミューズ)の活動内容とリンクした
或いは今後関連しそうな内容の作品だったと思います。

それだけに、本作が『ラブライブ!』の展開にどう関わっていて、
今後どう影響していくのか、色々と考えながら観ることができ、
そうしたヤキモキした気持ちも一緒に思い出にできる…。
本作がこうした〝鮮度"を保つ期間は案外短いと思います。
(せいぜい{netabare} 来冬予定の、本作の内容が反映されるであろう6thライブ{/netabare}辺りまで?)

ファンの方々は『ラブライブ!』とμ'sと同じ時代に生きている、
幸せを噛みしめて観ることができる、
いまのうちに観ておいた方が賢明かと思います♪

逆に新規の方が本作から『ラブライブ!』の世界に入り込むのは流石に厳しいと思いますw
TVアニメで予習してから観るのが賢明かと思います♪

{netabare}現実のμ'sを今後どう終わらせるべきか、それとも終わらせないべきか?
二期でμ'sを続けるか否かが描かれた辺りから、
ファンの間で語られることの多い話題でした。

区切りは必要なのだろうけど、これだけ人気が出てしまったら引っ込められないだろう。
大体は堂々巡りで平行線をたどることが多かったと思います。

本作はまさに一躍スターになってしまったμ'sが、
卒業と同時に終わらせるとの決意を揺るがされ、
それに対して改めて答えを出していくストーリーでした。

そして、概ね現実のμ'sが今後、活動に一区切りを付けることに対する、
心の準備をファンにさせるための映画だったようにも私は感じました。

次の6thライブを例えばTOKYO DOME(※DOOM(ドゥーム)ではないw)辺りでやって、
現在電撃G`sマガジンで進行中の『ラブライブ!サンシャイン!!』辺りにバトンタッチして、
解散するのか、大きなところでのライブはこれでお終いにして、
ドラマCD付シングルや、ゲームの追加イベントのアフレコなど
規模を縮小してやっていくのか…。

そんなことをしみじみと考えさせられました。
というより、本作で限られた時間の中で輝くのがスクールアイドルと断言して、
例えば本作のEDテーマを6thライブの終盤に歌っておいて、
もうあと五、六年、現実のμ'sが同じ規模の活動を続けたら、
相当に締りがないwと私は思います。

いずれにせよ、この辺りは、今後、現実のμ'sの活動を見てみないとなんとも言えません。
よって星★の数は『ラブライブ!』のプロジェクト展開に左右される暫定値になると思います。{/netabare}


蛇足…劇場版開演前のμ's版マナー注意喚起映像を観て思った、
どうでもいいが地味に衝撃的だったことw

{netabare}穂乃果ちゃんって…未だにミナリンスキーの正体に気づいとらんかったんかーーーいww(笑) {/netabare}{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 40

74.5 3 ミュージカルで女子高生なアニメランキング3位
アイの歌声を聴かせて(アニメ映画)

2021年10月1日
★★★★☆ 3.9 (117)
379人が棚に入れました
長編オリジナルアニメーション映画『アイの歌声を聴かせて』
ネタバレ

テナ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

幸せ

かなり楽しみにしていたアニメ映画です。
私はこの作品を知りませんが、Sunny boyだったかな?
アニメを見終わって必ずCMが流れてて、AIとか歌とか私の好きな題材のキーポイントが多くて凄く期待したってのが、この作品を見ようと決めたポイントです!

さて、物語は試験中のポンコツAIのシオンが転校してきてから始まります。
5日間の短く長い物語の始まり。

1日目

AIと言えば完璧なイメージがありますが何故AIの彼女はポンコツなのか……

1つは極秘実験なのに力加減を一切しない。

{netabare} プールに潜れば永遠に水面に上がらないし、片手でバスケットボールを受け止めて片手で凄い力とスピードで投げ返したり、完全に自分の正体を隠そうとしなかったりw{/netabare}

2つ目は転校初日にシオンはミサトに「幸せ?」と聞く。
彼女はAIで「幸せ」とは何か解らないけど幸せ?と聞いてくる。
彼女には幸せはわからず、自分で調べた幸せを実行していく。
ミサトに幸せになって貰いたくて。

{netabare} 友達を作らせようとしたり、AIロボを暴走させピンチになれば白馬の王子様が登場すると思い暴走する様にAIにお願いしたりw
王子様を確認しようと、人気の男子ごっちゃんにキスをしようとしてみたりw {/netabare}

実は実験の責任者はサトミの母なので密かに行われた実験でシオンがAIだとバレてはダメなのですが……

{netabare} 初日でバレた……4人のクラスメイトの目の前で、間違えて緊急停止ボタンを押してしまい……お腹から何か飛び出して…… {/netabare}

ミサトは母がどれだけAIに力を入れてきたか知っているから、密かに知ったこの実験を成功させてあげたくて……
そうして、5人の秘密がはじまる。

2日目

ごっちゃんとアヤのすれ違い。
2人は恋人同士なのですが、いつしかすれ違っていた。
この理由がまた学生らしくて、あるよなぁ〜ってなりますww
思春期だから悩みも不安も沢山ある、相手の何でもない言葉や態度に不安になり、どうすればいいのか解らなくなる……

でも。
{netabare} シオンの「ごっちゃんはアヤの者じゃないよ」って言葉で、アヤもやっと自分の気持ちに勇気を振り絞る事が出来た。
「もっと素敵な人がいる」失恋した人にはNGな事をシオンが言っちゃたりもしてたけどw
シオンのおかげで2人は仲直りが出来た{/netabare}


3日目

サンダーの試合の話
試合本番に弱くて負けてばかりのサンダー
{netabare} でも、シオンが練習に付き合ってくれてw
AIでも女の子の素体だからかサンダーは練習しにくそうでww
それに比べて本番は男子相手だからやりやすかったのか初勝利を決める事になりました。{/netabare}


4日目

サンダーの初勝利パーティーとし学校を抜け出す6人
しかし、このパーティーが結果的に……

シオンは新しい幸せの形を見つける。
{netabare} 誰かの幸せは誰かを幸せにする。
シオンが気付いたのです。
トウマがミサトが好きで、ミサトもまたトウマが好きだと言う事実を。
そこで、ミサトを幸せにする為に告白の舞台がまた素敵なのです!

ソーラーパネルの向きを変えて月や夜空を反射させた地面に光のイルミネーションに空に打ち上がる花火にシオンの応援ソング{/netabare}
告白の舞台としては最高です⸜(๑⃙⃘'ᗜ'๑⃙⃘)⸝

そんな告白の最中、シオンを初め全員捉えられてしまう。
{netabare} それはシオンの制作会社の星間エレクトロニクスの大人達だった。
いきなりアンカーみたいなのを撃ち込まれて残酷なシーンでした(*꒪꒫꒪) {/netabare}

5日目

{netabare} シオンは自分の実験結果を改ざんしていたものを送っていたのでした。{/netabare}

彼女にとって実験なんて関係なくてミサトに幸せになってもらいたくて勝手に考え行動した。

{netabare} 確かに、AIが自立して何かを起こすとエラーやバグとして処理されるし、AIが映画みたいに反逆行為を起こして人間を襲うかもしれない。
そうなると取り返しがつかなくかる……だから、処分される結果になる。{/netabare}
危険を考えたらそれは仕方ないかもしれない…………って思うけど……

それは違うって思います。
{netabare} 大人達からみたらAIが自分達の監視外で動いていた。
結果だけみたら怖いですよね。

でも、ミサト達からみたらシオンは沢山の幸せを教えてくれたAIなんです!
すれ違いの恋心を修復してくれたり、初勝利出来る様に練習に付き合ってくれたり、幸せになって欲しい女の子に告白される舞台を整えたりシオンは幸せになって欲しいって気持ちだけなんです! {/netabare}

確かに彼女は間違えた事もありました。
{netabare} ロボの三太夫を暴走させたりもありましたが、あれだって誰も傷付けてないし止めようと組み合ったサンダーも怪我はしてません。{/netabare}

だから、きっと彼女はその辺も解っていた。

彼女達の中でシオンはAIではなく友達なんです!

シオンの本当の正体には涙がボロボロでました。
シオンの試験内容に「誰かを幸せにする」なんて課題もなければ、何故、ミサトと母の1日が始まる前の掛け声を知っていたりした秘密も明かされましたし、シオンが昔からミサトを知っていた様なセリフがありましたが、それも明かされました。

シオンのミサトが大好きな気持ちに私は映画館でボロボロ涙が出てきて鼻水まで出そうになるし、鼻をジュルジュル言わせたら隣の人に「コイツ泣いてんな〜」って思われそうだったので、我慢しました‪(͒ ⸝⸝•̥𖥦•̥⸝⸝)‬
それほどにシオンのミサトへの想いや気持ちの強さが心にグッときました。

シオンの正体を知ったミサト達は……

{netabare} 敵陣本社に乗り込みます!
そこで、寝たきりのシオンに再開する。
必至に呼び掛け目覚めるシオンに呼び掛けると目を覚ました。

でも、大人達にバレてしまいシオンを逃がそうと友達達も時間を稼ぐ為に頑張ってくれたけど……シオンもバッテリーが少なくて稼働時間も時間の問題。
最後の力を振り絞り他のAI達に協力して大人達の足止めしてもらう。

会社を封鎖された中でシオンを逃がす彼らの作成それは……シオンはAIだから器は必要ない。
シオンの心を別の場所に逃がす為に屋上へと出る……
シオンとはもう触れ合う事は出来ないけど……

彼女を宇宙空間の衛生へと移す作業が始まる。{/netabare}

シオンは嬉し涙は知らなくて、最後も嬉し涙を流すミサトの涙の意味はわからなかった。

だって、悲しいから涙がでるって認識なんだもん‪(͒ ⸝⸝•̥𖥦•̥⸝⸝)‬
{netabare} それでも、ミサトは笑顔で笑って感謝を告げる。
そして、ミサトと過した5日間を思い返したシオンも最初の頃とは違い「幸せの意味が解らない」と言っていたけど最後は「私は幸せだったんだね」って幸せの意味を知ることが出来た。{/netabare}

シオンは沢山の幸せを皆に与えたけど、シオンも知らずのうちに幸せを貰っていた事に気が付いた(⸝⸝⸝´꒳`⸝⸝⸝)

{netabare} シオンの居なくなった学校で彼らは集まって、告白もしたトウマとミサトはまだ少しウダウダしてて、それを衛生からみたシオンが2人に声を掛ける。
彼女は、ずっと見守ってくれるのでしょうね。{/netabare}

さて、最後の三太夫の顔に貼られて居た物が凄かったですねw
劇場では笑いが漏れてたけど私は感極まって涙を拭うのが必死でしたw

サンダーは愛は重いなぁ〜
愛を拗らせるタイプですねww
{netabare}一応、サンダーの告白が成功してたけど柔道の練習相手としてOK貰えたなんて思ってないんだろなぁww

でも、サンダーの恋の形って素敵だと思います。
恋って誰が誰を好きになってもいいものだし例え相手がAIでも好きって気持ちに代わりはないと思いますし、それを否定する事は誰にも出来なくて否定しちゃダメだと思うからです。
だから、サンダーの片思いって面白いなぁ〜って思います。{/netabare}
恋の形って人の数あって全然違う形をしてる気がしますꉂ(ˊᗜˋ*)ヶラヶラ

全体的な感想としては……

物語に無駄がなくテンポも凄く良かったと思います。
歌も演出が少しミュージカル風な感じで、普通に飽きることなく楽しめました。
凄く面白い作品ですし時間ある人は是非見てもらいたい作品です(ˊo̴̶̷̤ ̫ o̴̶̷̤ˋ)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21
ネタバレ

TAKARU1996 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

あの素晴らしい「愛」をもう一度

2021年11月16日記載

まずは最初に、僕が予告編を初めて観た時、端的に思い浮かんだ印象を、此処に述べておくと致しましょう。

『ポンコツAIと苦労人少女の百合アニメ』

正直『そういうジャンル』に全く興味が湧かない僕としては「別に観なくてもいいかなあ……?」程度の印象に留めて、思考を終わらせてしまっていました。
しかし、その認識自体が実はとんでもない錯誤であるのに気付いた上映時の事。
そんな程度の低いイチャイチャ次元物語では全然無かった事を痛感してからは、思わず当時の自身を殴りたくなった次第。そんな自分が本作に満足出来たのは、最早言うまでもありません。

この映画はミュージカル映画です。しかしそこらの有名作品よりも「歌う理由」と言うのがしっかり物語の中で構築されており、突然出てきた歌唄いAIの登場に周囲のキャラクターが戸惑う序盤から、段々移ろっていく心境の変移がとても滑らかで堪りません。
また、この物語は受け取る側の志向によって、どんな印象にも移り変わります。
色々な見方を与えてくれると言うのは、ただそれだけで価値を齎す『傑作』の特徴ですが、本作はその盤上に見事乗っかっていた次第。ある人は素晴らしい青春SF群像劇と思うだろうし、ある人は恐ろしいSFホラーだと思うかもしれない。これはAIに触れていく過程を、登場人物と共に追体験していく展開であれば当然の事象でしょうが、ただ1つ揺るがないのは「サトミはこれで救われた」と言う事です。不変の想いが形を変えて、最高に素晴らしき友情と純愛を齎した……この物語はそれで充分『幸せな終わり』なんだと、僕は強く思っています。


{netabare}
さて、僕は本作を『[AI]と[I]と[愛]が見事に上手く絡み合った、友情と純愛のロマンティックSF群像劇』と解釈した次第。
ええ、これは最高の友情映画であり、最高の純愛映画なんですよ。「AI」が物語に絡んでくる中で「愛」の形を知っていき、それぞれが「I」を込めて歌う事で、自らの想いを届けていく。その過程が確かな『幸せ』となりて息衝いていく様を、見事な展開で魅せ付けられました。
その心は、決して後悔しない為。好きだと思える大切な人に、大事な想いを吐露する行為。
その素直さを教えられたのはシオンの起こした行動が全てであり。そんな彼女が教えられた行動経緯の起因には、本作の最重要人物、トウマがいます。
少年の頃から抱いていた、たった1人の少女に対する彼の願いが。今でも心の中では思いつつ、形に出せなかった無垢なる想いが。シオンと言う体現者に「愛の形」を託した上で、その不変を色濃く示した訳で。
それはシオン本来の「疑問」でありつつ、トウマ本来の「願い」でもあり。その軌跡全てが「サトミを幸せにした」んです。トウマの為に独りぼっちとなったサトミを「もう1度幸せにした」んですよ。


この『AI』を通した関係の中で紡がれる『人間の想い』の両立が余りに綺麗で眩しくて、どうしようもなく愛おしくて。どうにも胸がいっぱいになって、抑え切れなくなってしまいました。
ただ正直な所、シオンに明確な自立精神があったかどうか。命令に囚われないで得た心があったかどうか。作中では堅実な確証で以って断言する事は出来ません。
彼女自身がしていた事は、全てトウマの願いに従って起こした従属なのは確かな事。
「シオンは今、幸せ?」と言う疑問に肯定出来たのも「人間を幸せにする」AIの原理に従った結果に過ぎないかもしれません。
しかし、シオンもこれまでの過程で多種多様なそれぞれの『幸せ』と『愛』の形を学習し、記憶し、応用し、確かに関わった時間があります。だからこそ、最後のトウマの台詞が心に強く響くのです。

「シオンにも、心はあったんじゃないかと思うんだ」

そう、結局は「受け取る者次第」
『人間』として『AI』に対する想いとどう接していくか。人間のみが持つその機微が、大切な関係と成り得るのです。
それ故本作は、青少年達の変わり行く心理の行方を描いた友情映画でもあるし、幼少期より抱いてきた想いが見事形を変えて体現した最高の純愛映画でもある。
そしてアンドロイドのシオンが加わった事で、新たな関係で再度彩られた、良質なSF映画と断言出来ます。
だから僕はこの作品が好きなんでしょう。色々な見方を与えてくれて、観る度に気付かなかった発見を魅せてくれる。このアニメ映画が好きなんでしょう。

本作に登場する子供達は、AIとこれから密接に関わっていく事が増えるかもしれない世界の中で、物語が導き出した理想像です。
この『物語』をどのように捉えるかは人それぞれでしょうが、少なくとも僕は本作を観た後、確かな「愛と希望と未来の笑顔」を信じたくなってしまいました。
シオン(AI)と関わった子供達の未来が『幸せ』で溢れますように。
「手を繋ぐ事の出来た」2人の未来が、もっと『幸せ』で溢れますように。
『アイの歌声を聴かせて』はそんな願いを観客にも抱かせてくれる、正しく『愛の物語』でした。
{/netabare}

最高の友情と純愛を魅せ付けてくれた本作に、大きな愛の感謝を込めて。
サンダー、ゴッちゃん、アヤ、シオン、そしてサトミとトウマの皆が大好きです。
この幸福の輪が更に広がっていく事へ『人間』としての願いを込めて。締めの運びと致しましょう。

ああ、最高に幸せだ。


P.S.
本作が気に入った人は、ロバート・F・ヤングの時を越えしロマンSFや山本弘のアンドロイドSF小説『アイの物語』が気に入るでしょう。
特に後者は、吉浦康裕監督も確実に意識していると思いますので、鑑賞前でも鑑賞後でも、読んでみる事を薦めます。リスペクトオマージュ盛り盛りで、中々面白いですよ。


2021年11月18日追記
{netabare}
-----------------------------------------
吉浦康裕
@yoshiura_rikka

#アイの歌声を聴かせて
サトミとトウマのフルネームはそれぞれ、天野悟美(あまのさとみ)、素崎十真(すざきとうま)です。この二人の名前はペアで考えました。どういった意味合いでペアになっているのか、分かった人は相当マニアックです。

午後0:00 · 2021年10月31日·Twitter Web App
-----------------------------------------

ついさっき、この名前の由来に気付きました。裏設定でこんなに感動したのは、久し振りの事だと思います。
素崎十「真」と天野「悟」美。取り敢えず分からない人は、もう1つのアイの物語『わたしは真悟』を読んで下さい。

そうか、シオンは真悟でもあったのか……鳥肌止まらないですよこれは。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

AIものとして低レベル。心理描写も弱い。歌は…うーん。

 本作については、AIものとしてのレベルは相当低いと言わざるを得ません。  
 まず、誰がどう見てもシオンが自然な人間の振舞をしているとは思えません。そして、その実証をしないで学校に送り込むというのが科学者として不自然です。

 まあ、トウマが作ったプログラムが自己進化の末にシオンの機体に実験日にインストールされたのかもしれませんが、途中経過を観察するときに気付くでしょう。そもそもシオンの機体はスタンドアローンじゃなかったの?ネットワークに外部的なデータリンクとしてつながるにしても、根幹のプログラムをいじれるのはおかしいでしょう。
 そして、ばれないための実験なのに、機体停止時の挙動がお腹から機械が飛び出す仕様にするとか極めて不自然です。

 設定上はシオンが自らそこを隠蔽していたということだと思いますが…うーん。その能力ってどっから来たんでしょう。そのレベルのAIがそんな不自然な動きをするって…シオンが人前ではもっと落ち着いていればまだ良かったんですけどね。

 野良プログラムがAI進化して、トウマのサトミに対する愛情がプログラムの一部になっていて、プラスサトミの好きなアニメが行動原理になっていた、かな?うーん。これで納得感がありますかね?子供が作った単純なプログラムの話だよなあ…うーん。
 だとすればまだオカルトの方が納得感があります。父親か母親、昔の友達との死別した魂とか。

 この作品の対象年齢層がわかりませんが、今AI事情がこれだけ出回っている2020年代にやる話ではありませんでした。

 では、AIシオンを取り巻く登場人物の恋愛・友情物語としてはどうか。シオンのアイデンティティが単純にサトミの幸せを願うというだけで、なんというかその気持ちに核が無いんですよね。シオンの内面というか感情が描けていないので、単純な条件付けにしか見えません。結果的にシオンがドタバタやって偶然各人がくっついて行きますが、歌が歌えるAI実験機の意味が極めて薄かったように感じます。

 ここが最大のテーマでもありストーリーの核でした。伏線も演出もすべてここに収斂しているので、ここに乗れるかどうかでしょうね。私は乗れませんでした。

 つまり、SF設定、AI設定はおいて置いて、シオンというAIに何かの感情移入ができるか?といえばまったくできませんでした。そして設定が不自然すぎて、サトミ、トウマ、母…だれかに感情移入できたでしょうか?

 サトミってどういう性格かって言われても、うーん、としか言いようがありません。なにか彼女のアイデンティティがみえてくるような描写ってありましたっけ?まあ、真面目なんでしょうけど、一方で一番肝心なシオンの危険性について隠ぺいしようとするし。で、友達も隠ぺいに巻き込もうとするし。つまり身勝手だということ?
 サトミの内面を見せる演出が少なすぎたのが良くなかったのかもしれません。

 それと母の努力って意味がなかったということ?そして、最後はラスボスの承認でおしまい?あのAIを野に放った危険性についてはみんな周囲の言う通りかと思います。

 ヒューマンドラマとしても、あの嫌な女が急にしおらしくなって告白しちゃったり、サトミの周囲に突然人が集まったり、非常に不自然でつぎはぎでした。
 AIものとしても駄目、青春群像劇としても心理がまったく響きませんでした。


 正直言うと、まず、細かい話ですが、冒頭の炊事の場面からちょっと変だなとは思いました。料理で一番大変なのは、下ごしらえと後片付けです。火が自動的につくのが自動化のような描写でした。ここでああ、SF的なセンスがちょっとなあ、という感じです。
 今風の家庭と自動化という発想なんでしょうけど、そこに深い考察があるように見えなかったです。

 それとグレーぎりぎりでの実験だ、という冒頭の会話からあまりシオンそのものに正義がみえなかったですね。だから、子供たちがシオンの危険性を隠蔽しようとしているのが滑稽に見えたり、母が間抜けに見えたりしたのも良くなかったです。

 いろいろ書きましたが、要するに心がざわつくような、何か印象に残るようなものがなかったですね。SF的なセンスオブワンダーもないし、人間ドラマとしての事件、ストレス、因縁、苦悩…なんでもいいんですけど、後で引っ掛かって考えたくなるような何かが何もなかったです。

 ということで、最後の感動シーンを描きたいから描いたような映画かな?正直いえばAIものは一番好きなジャンルなだけに、しかもまだ550円の購入コンテンツです。
 評価的には本作はダメダメですね。私は映画は金をとる(サブスクですけど有料コンテンツだった)、時間をとることを考慮して厳しく評価します。ということを割り引いてもあまりいい出来とは思えませんでした。

 映画としては100点満点で20点くらいですね。ストーリーとキャラ造形には点は上げられません。特にシオンの不自然さに何かはあるだろうとは思っていましたがカタルシスが無かったです。点数がつくのはおもに最後の方のエフェクトと作画です。正直集中してみるのがしんどかったです。期待してたのに残念でした。

 サカサマのパテマと同じ人が作ったとは思えません。AIものとしては、イブの時間もヒューマンドラマや差別問題としては見るところはありましたが、AI設定が良くなかったですからね。AIもののセンスがちょっと無い感じがします。

 そうそう、肝心の歌ですが、まあ歌がモチーフなのにそのレベル?という曲と歌唱力でした。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7
ページの先頭へ