ミステリアスで恋愛なおすすめアニメランキング 6

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのミステリアスで恋愛な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年07月07日の時点で一番のミステリアスで恋愛なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

87.1 1 ミステリアスで恋愛なアニメランキング1位
AIR エアー(TVアニメ動画)

2005年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (3348)
16528人が棚に入れました
国崎往人は旅を続ける人形使い。「法術」と呼ばれる不思議な力を用いて、道行く人々に芸を見せることで生きてきた。特にあてがある旅でもないが、彼は密かに探しているものがあった。
幼い頃、母が繰り返し語ってくれた「今も空にいるという翼を持った少女」。ある夏の日、偶然立ち寄ることになった海沿いの街で、彼は1人の少女と出会う。それが全ての始まりだった…。

声優・キャラクター
小野大輔、川上とも子、岡本麻見、柚木涼香、久川綾、冬馬由美、田村ゆかり、今野宏美、西村ちなみ、神奈延年、井上喜久子
ネタバレ

ヒロトシ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

AIR考察論

本レビューは『Kanon』『クラナド』の一部ネタバレを含みます。その点に留意して読んで頂ければと思います。

私の数少ない趣味として、毎年夏の季節にAIRを起動し、プレイするという日課があります。高校生の頃からやっているのでかれこれ10年ぐらい続けていました。残念ながら昨年は何かと身辺が忙しかったので、遂にその不名誉な記録は途絶えてしまったのですが。今年もやりたいんですけど、多分無理だろうなあw アニメで誤魔化すとします。ファン失格ですね。

まず、AIRという作品が世に出る契機となったいきさつを紹介します。正直、今回のレビューに関係はないので、読まなくても構いません。単純に興味があればご拝読頂ければと。

■AIR 考察 ① 麻枝准と久弥直樹、『Kanon』から『AIR』へ

{netabare} この作品を作り出したのは、key所属のシナリオライター・作曲家でもあり、『Angel Beats!』でアニメ脚本家としても活躍した麻枝准です。当時、keyの看板ライターといえば、麻枝氏の他にもう1人『久弥直樹』さんという人がいました。この人は『sola』というアニメを作り出したと言えば分かる人も多いと思います。で、keyの前は麻枝さんはネクストン傘下のTacticsというブランドに所属していて、そこから、久弥直樹を含め、樋上いたる・折戸伸治といった今のkeyの中核を担うメンバーと共に現ビジュアルアーツの馬場代表に誘われて、移籍をしました。そしてkey第1弾として作り上げたのが2度のアニメ化を果たした『Kanon』なのです。この作品は所謂泣きに特化したADVという新たなジャンルを打ち出し、後に鍵っ子と呼ばれる、熱心なファンを生み出すギャルゲー史に名を残す名作となりました。

『kanon』の大成功を受けて、keyは直ちに第二作の企画・制作に入りました。所が制作途中に今までkeyの屋台骨だった久弥直樹が退社する事態に。元々久弥の才能に自分は劣っているという感情を抱いていた麻枝は、これを成功させる事で久弥の影に隠れている自分と決別する覚悟を決めたとも言われているそうです。そういう意味で『AIR』は初めて麻枝氏が自分のスタイルを注ぎ込んだ初めての作品といえるでしょう。 {/netabare}

ここから本題に入ります。

■AIR 考察 ② ONE 輝く季節より『えいえんのせかい』から
国崎住人と神尾観鈴の関係性を紐解いてみる。

{netabare}麻枝作品で共通して語られるテーマに『家族』『絆』『死』がよく挙げられます。これは私もそうだと思います。異論を唱える人もほとんどいないでしょう。『死』もしくは『消滅』によって、『家族』としてそれまで築いた『絆』を再認識すると共に、新たなステージへ旅立っていく―と展開を好みます。kanonではこの部分が若干曖昧な表現になっていますが、『AIR』ではこの部分を更に強調しているのが特徴ですね。更に『絆』という箇所に『前世の記憶・因縁』という味付けをして、作品から伝えたいメッセージとそれにおける説得力を強くもしていると思います。

麻枝氏がTactics時代に企画・制作したADVに『ONE』という作品があります。ここで同氏は『えいえんのせかい』というカテゴリーを用いて、『絆』『死(ONEでは消滅という認識が正しいかも)』を描いています。

『えいえんのせかい』とは主人公が無意識的に認識している『異世界』で、主人公とヒロインがお互いに絆を強く確かめ合った瞬間に、主人公が自分が今存在している世界から消滅してしまうという類のものです。主人公の存在自体が消滅してしまうので、残された人間も、絆が弱い順の人から主人公を段々認識出来なくなってしまいます。2人の絆をどれだけ深める事が出来たかで、ヒロインと主人公は再び巡り合う事が可能になりますが、出来なかった場合、主人公は『えいえんのせかい』から帰還する事が出来ず、ヒロインと永遠に会えなくなってしまいます。最終的に救済されるエンドもあるものの、私自身としては、麻枝氏は非常に鬱屈した感情を『えいえんのせかい』にぶつけているような気がしてなりませんでした。

これを『AIR』に当てはめてみると、ONEの主人公=国崎、ONEのヒロイン=観鈴という形が順当になるかと思います。絆を確かめ合った次の日、国崎が居なくなってしまうという展開は先程の『えいえんのせかい』に消えてしまったONEの主人公と同じ運命を辿っているようにも見えます。所が国崎は自身の存在をカラスの『ソラ』に変える事で、意識自体は消滅してしまうものの、存在自体は観鈴の側に残り続け、彼女が最期を迎える時まで見守り続ける事になります。しかし彼が国崎として観鈴に接する・感情を抱くことは最後の最後までありません。明確な描写もありません。最後まで第三者の立場として、観鈴の側にいるという約束だけを守りながら、そこに存在し続けているのです。『えいえんのせかい』=消滅する運命という流れを受け継ぎながらも、それに抗う形で、約束だけを守る事に成功した国崎の抵抗は、麻枝准自身が作り出してしまった、殻を破って、新たなステージへ飛び出すというメッセージではなかったかと思います。国崎がカラスという存在になったのは、ひとえにそういう意図も含んでいたのではないでしょうか。鳥は殻を破って、空に羽ばたく存在ではないでしょうか。そして最後に少女も白い翼を羽ばたかせ、青い空に還っていく。彼らには過酷な日々を、そして僕らには始まりを。このような台詞で締めくくられる物語の終わりは、輪廻する運命の呪縛から逃れる事が出来た2人の未来への祝辞、そして麻枝氏にとっては過去の自分の脱却に繋がるのではないかと、そう思わずにはいられません。ちなみに観鈴の『仲良くなってしまうと、泣いてしまう、そして人と距離を持ってしまう』という特性は、この『えいえんのせかい』の設定を流用したものですね。作品の中ではあくまで過去編から受け継がれてきた観鈴の因縁という形で描写されてはいますが。{/netabare}

■AIR 考察 ③ 麻枝処女作である『MOON』から神尾観鈴と神尾晴子、母と子の関係の描き方の変遷を紐解いてみる。

{netabare}『MOON』という作品をご存知でしょうか?

麻枝氏がアダルトゲーム業界に入って初めて、企画をした作品です。『ONE』よりも前の作品となります。この『MOON』という物語は、若干当時の世相を反映したものになっています。ある『FARGO』という組織と関わって、その後死亡してしまった母親の謎を解明する為に、単身組織の本拠地に乗り込む天沢郁未を軸として描かれるADVです。この作品で初めてkeyの中核を担うスタッフが集結する事から、keyの原点とも言われる作品ですが、その雰囲気は従来の作品とは違い、若干狂気に満ちた内容となっております。麻枝氏のテーマの原点でもあり、『家族』『絆』『死』を猟奇的なカラーで取り扱っています。

ここで描かれるのは天沢郁未の危うさです。母親が失踪して以降彼女は、母親と築いてきた家庭を崩壊させない為に、自身は優秀な子供として生活し、いつか母親が帰ってくるであろう場所をひたすら守り続けます。所が彼女の願いとは裏腹に、母親は家に帰ってきたものの、そのまま直ぐにこの世から去ってしまった。母親との再会を経て、失った時間を取り戻そうと夢見ていた少女への残酷な仕打ち、FARGOに復讐を誓う形で、表面上は非常に冷静に振舞うものの、やはり母親がいない悲しみを独りで背負いきる事に限界を感じていたのが、危うさにつけこまれ、危機的状況に陥るケースもありました。

天沢親子の関係性を神尾親子にそのまま当てはめる事は難しいですが、1つ間違えば、家庭が完全崩壊してしまうという環境を必死に守っている。晴子は観鈴を突き放す事で、そして観鈴も晴子となるべく腹を割っては関わらないようにする。崩壊寸前の家庭を何とか繋ぎ止めているという描写は、後の作品である『クラナド』でも岡崎朋也とその父で使われていますね。朋也が渚に『同じ屋根の下で別々に暮らしてきた、俺と親父はもう家族じゃないんだよ』と半ば自虐めいた台詞を吐く場面がありますが、同じ屋根で住んでいるという現実が、当時の岡崎親子の最後の家族としての拠り所だったのではないかと思います。

神尾親子に話を戻しますと、国崎が居た時は、互いに国崎に甘える形で家庭を維持していたわけです。所が観鈴が倒れ、国崎もいつまでもいてくれるという保障は無い。国崎が居た事で保たれていた家庭を戻すには、今動かないと、色々遅すぎる。今まで観鈴の『親』として逃げていた現実と遂に向き合い、決断しなければいけなくなった。晴子はいずれ国崎が居なくなることを予見して、家庭の崩壊を恐れ、そうした未来を見据えて、観鈴を自分の本当の娘にする、という選択をしたのではないでしょうか。

MOON.の場合は崩壊する家庭を郁未が独りで守っていた。しかしAIRでは最終的には晴子が決断したとはいえ、それまでは親子2人で互いに暗黙の了解を作り、それを守ることで家庭を維持していたという違いがあります、そして郁未が納得のいく形で母親と家庭生活を再開出来なかった事に比べ、神尾親子は過ごした時間は僅かながらも、幸せな家庭を築く事に成功しています。家族といっても『親子』という部分にテーマを置いた場合、どうしても前の2作品、『ONE』『Kanon』は弱い、と感じます。そして『AIR』で『MOON』で提示された親子の絆の答えを麻枝氏は導いたように私は思いますね。そしてこの時に得た答えが後の『クラナド』の家族像、家族という描写に繋がっていったのでははないかと、そう感じるんです。{/netabare}

■AIR 総評

{netabare}今更書くことではないのですが、AIRは『家族』ひいては『親子』のテーマを重視した作品です。ほとんどの登場人物が現在進行形であろうと、なかろうと『家族』に問題を孕んでいるという状況でそれそれ課題を抱えながらも、前に進んでいくという希望を描写している作品だと思います。

家族とは一体何なのか?親子とは一体何なのだろうか?これは人間が生きていく上で、誰しもが一度は頭に思い描く命題であり、事実、創作作品でも、昔から多く取り上げられてきたテーマだと思います。ロバート・レットフォード監督の映画で、家族愛を冷徹なまでの視線で淡々と描いた『普通の人々』という作品がありますが、血を分け合いながらも、その家庭を構成する親子は結局は人間にしか過ぎず、性格が合わないといった要因の前では誰しも簡単に冷酷になれるし、家庭を崩壊させる事が出来るといったテーマの下、ある中流家庭が緩やかに崩壊していく様を描いています。一方、小津監督の名作『東京物語』では、自分が手塩にかけて育てた子供が独立して、それぞれ自分の生活を手に入れたことをきっかけに、自身の親を省みる事をせず、結局一番優しくしてくれたのは、自分の子供ではない『他人』だったという強烈な皮肉を交えています。これを所詮は映画だ、ナンセンスだ!と受け取るのは人それぞれですが、現実世界に目を向けて見ると、親子の関係等、結局は砂上の楼閣にしか過ぎないのでは?と思わず考えさせられる事件を目にすることはないでしょうか。

映画でさえ、家族の描き方について千差万別なのですから、私達が二次元と呼んで、無意識のうちに現実との差別化を計ってしまっている、頭の何処かで非現実的だという視点を持ってしまっている『アニメ』もしくは『ゲーム』で、このテーマを取り上げるのは相当難しい事なのではないでしょうか。仮に出来たとしても、それは制作者、つまり麻枝さんの価値観の集合体にしかすぎません。その価値観を麻枝さんと全く縁のない、私達の様な視聴者が観て、感動してしまう所に、私は時々奇妙な違和感を覚えます。簡単に結論付けてしまえば、この作品で描かれている家族愛が、人間にとって一種の理想論・憧れがあるから、に落ち着くかもしれません。ですが、あまりにも出来杉である、と創作物とは分かっていても、人間こんなに心は綺麗じゃないし、晴子さんだって、いつまでも帰って来ないで、自分の幸せを求めて、邪魔な観鈴を置いていく可能性だってあるんじゃないのか?国崎もゲーム版バッドEDのように、観鈴の心の支えになる前に、見切りをつけて、また当てのない旅を続けるんじゃないか?とか時々私の様な捻くれ者は考えてしまいます。こんな都合の良い理想ばかり並べ立てられた作品で『家族』を描いたつもりなのか?と思ってしまうのです。

だからこう考えました。

創作物でありながら、その世界での現時点でのベストな方法をまた『夢』として表現した物語。理想論と分かってて、初めからそれを狙って作ったな、と思うとしっくりくるんです。この作品は『Dream』『Summer』『AIR』の3章仕立てで、物語が語られますが、『Dream』では3人のヒロインにとって、極めて理想的な未来が描かれていると思います。その中で観鈴は唯一AIR編にまで話が及びますが、彼女にとって、国崎が最後まで自分の側を離れない事、そして晴子と『本当の家族』になれる事が彼女の残された時間の中で実現できる最高の未来ではないのかと思います。そう考えると、AIRという物語は、その登場人物の現時点で実現できる最高の未来を、国崎が訪れたことによって発生した『夢』であり、その3人の結末を国崎は見届けた事で一端『AIR』は完結する。しかしそれはあくまで最高の未来を夢として具現化したに過ぎない、それを現実に出来るかどうかは、これからの君にかかっているんだよ?と、AIR最後のラストシーン、少年と少女は観鈴にそう伝えたかったのではないでしょうか。そして観鈴はそれに笑顔で手を振って答えるという図式があのシーンなのではないかと思うと、色々しっくりくるなあと思いますね。国崎が観鈴の下をもっと早く訪れていれば、また未来は変わったのかもしれませんけど。過去からの運命はそんな簡単に逃れられるものではないと考えると、『過酷な日々』はどんなに上手くいっている未来でも、防ぎようのない事実なのかもしれません。

クラナドでも『夢』で話を描いていますが、あれは逆パターンになっていますね。悪い夢を見せる事で良い現実を引き戻すというか。奇跡という単語を使ってしまったせいで悪印象に見えますが、そもそもそういう意図があったと考えると、また違った見方が出来ますね。 {/netabare}

ちょっと長くなってしまいましたが、私なりにAIRという物語について考えてみました。只、私のはあくまで推論で、これが真相という訳では勿論ありません。この考え方が、読んでくれた人のAIRを考える上での、もう一度鑑賞する上での、何らかの刺激になってくれれば幸いです。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 34
ネタバレ

Key’s さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

夏になるたびにAIRのことを思い出す・・・

あらすじ

人形を操る不思議な力である法術を
使うことのできる青年・国崎往人は
母から託された言葉の意味を求め
人形を操る芸を駆使して
金を稼ぎつつ旅をしていた

だが海辺の田舎町で金が尽きてしまい
困っていたそんな彼の前に
話しかけてきた一人の少女
神尾観鈴は人懐っこく無邪気に笑う

彼女との出会いをきっかけに
往人はこの町で暮らし始める

夏の情景に包まれて穏やかに流れる日々
そんな中さらに様々な少女に出会い
母に託された言葉の真意に迫り
往人は真実に近づいていく

※wiki引用


感想


夏になるとAIRが見たくなりますよね~
ヒロインの観鈴が自分と同じ
7/23が誕生日ということもあり
思い入れが強いですね~


まず最初にAIRを12話でよくまとめたと感じた
原作をやっているとどうしても24話くらいかかると思っていたので
しかし、その分駆け足気味になり
原作をやってない人にとっては
説明不足になっているとは感じた

アニメしか見てない人のために
2クールにしてゆっくりやった方が
良かったかもな~と思った


作画は京アニということで問題なく良いし
OPの鳥の詩が良いね~
理解した上で聴くと誰の事について歌っているのか
分かってさらに面白いですね

あとやっぱりBGMの夏影が良く
要所要所で物語を盛り上げてくれていた
もう曲を聴いただけで泣いてしもうようになった…
もちろん、他のBGMも良いものばかりである


Key作品だけあってストーリーも抜群に良い
神話っぽくなっていて小難しい話になっているので
やはりアニメしか知らない人は
どこかで解説を読む必要があると思う
(下に私なりの解説書いておいたので良ければ読んでください)

ストーリーはちゃんと理解できれば
ちゃんと良いものだとわかるが
理解できないと浅い物語と勘違いしてしまうと思う


全ての女の子の話が
SUMMER編の話とつながっていて
最初の話は伏線になっているのが凄かったですね


Key作品全部に言えることかもしれないが
良くも悪くも普通の恋愛アニメと違い
ボーっと見ていると展開が早くてついていけないだろう
それに奇跡が起きるのもKey作品のおなじみですね
そこが普通の恋愛アニメとの違いであり
好き嫌いが分かれる所かもしれない

絵が合わないと敬遠すること多いのも
Key作品には多いと思うが
それを補って余りあるほどストーリーが良いと思う

また、一話一話の引きが良かった
そのおかげで次が気になりどんどん引き込まれた
特に後半の演出は盛り上がり
そして、11話と最終回は後半ずっと号泣してたな

素晴らしい作品だったと思う
めちゃくちゃ泣かされた
Key作品を代表する作品だと思う
Key作品の中でもかなり好きな作品です



考察



ここからはネタバレとなるので
まだ見てない人は見ないでください
見たけどAirのことが理解出来なかった
という人のために自分なりの解釈を
追加して書きたいと思う

あくまで自分の解釈なので
絶対合ってるわけではないから
参考程度に見てください

{netabare}



観鈴は、1000年前の呪いと
翼人の転生時の記憶の継承の肉体にかかる負担により
あの様に苦しんでしまいやがて死んでしまいます。
〔観鈴が見ている夢とは翼人(神奈)の記憶です。
彼女が誰かと友達になろうとすると
観鈴が体調を崩したり、
周りの人間の体調がおかしくなるのは
1000年前の呪いの為です。〕


国崎往人は、法術を使い観鈴を救おうとします。
翼人の記憶の継承に耐えられるよう強化させ、
観鈴の命を少しだけ伸ばすことに成功します。
(その短い時間が、観鈴にとって晴子との絆を結ぶ
大切な時間となります。)

しかし、そのために力を使い果たした、
国崎往人は、その存在を維持できなくなり、
消滅しましたが観鈴を見守りたいので
カラスの『そら』として過去に転生し
観鈴の側に戻ってきます。
(往人の法術は、もともと神奈の生まれ変わりを
 救うために受け継がれてきた力です。)


その後、観鈴と晴子は、本当の親子の絆で結ばれ、
観鈴は翼人の記憶を受け継ぐことに成功します。
観鈴がすべての記憶を受け継ぎ、晴子に見守られ、
満足して人生を終えたことにより
1000年前の呪いは解除されました。


観鈴は、「神奈備命」からの転生を成功させ、
最後は、普通の人間、女の子として息を引き取ったので、
観鈴の魂の継承者は、転生の際に、苦しむことが無くなります。

観鈴が満足して人生を終えたことを見届けた、
そら(往人)は、観鈴の魂を迎えに、空に上がります。


そして過去に転生、エピローグの少年と少女になります。
少年と少女には、もう呪いはかかっていません。

少年の方にはおそらく「そら」の魂が、
少女の方には「そら」が「連れ帰った」観鈴の魂が転生したもの
と考えられます。

1000年間続いた呪いは、ここに終わったのでした。
そして、法術の影響か少年は、往人の記憶を引きついでいました。
砂浜にいる往人と観鈴がどんな運命をたどるのか知っています。

だから、
「彼らには,過酷な日々を
 そして,僕らには始まりを」
という台詞になるのです。


彼らというのは往人と観鈴のことで
僕らというのは往人と観鈴が転生した少年と少女のことだと思います。

つまり、ここで翼人に関する物語が終わったということです。
「そら」は願い通り観鈴の魂を再び地上に連れて帰り、
新しい人生を「共に」歩きだしたのではないかと思っています。

(AIRの転生は法術の影響か
 なぜか、過去に向かって行われ、時間がループ状になっています。
 往人の魂は、一度目は、往人として
 二度目は、カラスのそらとして
 三度目は、少年としてラストシーンの状況を
 見ていることになります。)


最初見た人は
二人とも生きてはいないためBADENDじゃないかと
思う人もいたかも知れませんが
そうではなく、HAPPYENDというわけでもないのですが
GOODENDという感じでしょうか

呪いは終わったので
良かったという感じです



質問で、全ての女の子の話が
SUMMER編とどう繋がっているのか分からないとあったので
解説しておきます

この女の子達の話は、原作ではDREAM編と
呼ばれているのですが
結論から言うとこの女の子達は神奈の見ている『夢』です

観鈴は転生してるから別として
佳乃や、みちるは
神奈の羽を通じて空に囚われている
神奈が経験をしているのではないかと思う

羽と関わっている、佳乃、みちる、観鈴は神奈
聖、美凪、晴子は裏葉と同じ立場になっているとも思います。
また、佳乃、みちるが経験した幸せの記憶が
神奈も羽を通して経験したことで
最終回の呪いを解く助けになったと考えられる


佳乃の様子がおかしくなるのは
羽の記憶のせいですが
では、なぜ最初に触った聖には何もないのか?
それは、羽の記憶は八雲の記憶であり
何も出来ずに母が死んでしまった記憶である

そこで、自分が生まれる事で
母が死んでしまったと思って負い目を感じていた
佳乃の方とシンクロしてしまい取り付かれたのだと思う

佳乃は神奈と同じで空にいくことで
住人や聖など大事な人を救おうとしてます
ですが、佳乃は神奈とは違い空から帰ってきて
住人達や町の人と暮らそうとする

これは神奈が選ぶ事のできなかった未来
これにより、叶わなかった神奈の夢が叶えられ
結果として神奈の願いが果たされるということです

また、白穂のエピソードは
負い目や罪の意識を佳乃に克服させるためのものである
佳乃は母親の愛を知り自分を責めるのをやめて
空から帰ってくるというわけです


次に、美凪の方ですが
美凪は裏葉の立場として考えると
みちるは空に行きいなくなってしまった神奈
そして、美凪母は裏葉達の子供、子孫ということでしょうか

現実で、裏葉は神奈を救うため
自分達が神奈のことを忘れて
幸せになる道もありましたが
それを捨てて、子孫に希望を託しました

しかし、これは子孫にも
自分達と同じ苦しみを背負わせる事と
同義です

かといって、裏葉にも
迷いが無かったわけではないと思います
子供にも幸せになってほしいという思いもあったと思います
住人の母さんも住人が幸せになるような道を
用意していましたので…


神奈は最後自分のことは忘れ
二人には幸せになって欲しいと
願っていました

美凪はみちると母のどちらと過ごすのか
葛藤していましたが
最終的に母と過ごしましたね

つまり、これは裏葉が
神奈を忘れて家族と幸せに過ごした
無かった未来なのです

また、美凪や住人と遊んだことも
神奈には出来なかった
幸せな記憶なのでしょう

これらにより、神奈の願いが
またしても叶ったというわけです


以上の説明で
DREAM編がSUMMERと繋がっていることが分かったでしょうか?
他の女の子の話は必要なかったと思っている人がいますが
この二人を幸せにしたことで
神奈も『夢』の中ですが救われ
結果として観鈴も救われるということです


{/netabare}
長くなりましたがこういうことです
これで理解してくれると良いのですがw

これで理解して見直すと
もっとAirが面白く感じるかもしれませんね!

投稿 : 2024/07/06
♥ : 170
ネタバレ

アリス★彡 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

その思いは、あの日から変わらず... いつまでも同じ夢を見る。

【更新履歴】
■文章訂正 7/20
■文章訂正 8/11 【紹介文とキャラクターデザインの文章を訂正】

-----------------------------------------

原作は美少女ゲームらしいです。

淡い感動物。
ファンタジー的な壮大な世界観が特徴的な作品です。

CLANNADが好きなので、「AIR」に興味を持ち、視聴してみました。
「key作品」特有の詩的な雰囲気を上手に醸し出せており、観ているだけで幻想的な気分になりました。どこかの絵本....いえ、絵画でしょうか....。そういう芸術的な物を観ているような気分になりました。

空を見上げる少女の虚ろな瞳は、とても可憐で、か弱く、そして本の少しだけ麗らかな印象を与えています。私はその少女を遠くから見守っているのでしょうか....。この作品を観ている感覚はそれに近いんですよね。

前半は、描写不足の部分が多く、キャラクターに感情移入出来なかったことから、あまり面白く感じませんでした。
しかし、後半から(第7話)盛り上がり、胸が一杯になる感動を覚え、そのまま絵本の中に吸い込まれるように、物語に引き込まれました。

ただ何人か描写不足のキャラがいて、少しだけ感情移入出来ない部分がありました。

しかしながら、住人や観鈴の掘り下げはできており、この二人を中心にした物語として見るなら、描写不足の点はあまり気にならないかもしれません。

後半と前半は繋がっており、後半で明らかになった物語は、前半で重要な部分です。そのため、後半を見ないと前半が理解しにくいです。

キャラデザは大きな目が特徴的ですが、この目はAIRの世界がファンタジーであることを示すためのものです。

人によって好みは分かれるとは思いますが、あのキャラデザあってのAIRです。
万が一、実写で描かれたとしたなら、ファンタジーなのか、リアルの世界なのか、かなり分かりにくくなったでしょう。
視聴者が、アニメ世界だと認識できるようにAIRのキャラクターの目は大きいのです。

この作品は、こういった世界観のシンボライズが上手く、キャラクターや物、台詞、歌、などを使って、ファンタジーであることを徹底的に表現しています。

テーマは家族の再生。キャラクターデザインとは違い、かなり重い内容に驚きました。
前半で描かれたエピソードは描写不足であまり感動できませんでしたが、後半は涙が溢れなそうほど、感動しました。
夏の太陽に照らされた儚げな花を観るような感覚。その花は凄く可憐で、心を寸鉄で裂かれるような感覚に襲われました。

音楽は、かなり幻想的で、心に訴えかけるものが強い歌詞でした。
特に鳥の詩の歌詞が素晴らしく、アニメの無いようにマッチしているだけでなく、その歌詞だけで感情が揺さぶられるほど、歌詞の表現の仕方が上手いです。
キャラは、変わった子が多いなぁと感じましたが、少しづつ慣れていきました。人によって苦手意識を持つ場合もあるので、幼く子供っぽいキャラクターが苦手な人はやめた方が良いでしょうね。




■家族の再生
{netabare}
観鈴と晴子の関係が徐々に普通の親子の関係になっていく。
この過程で描かれているのが、『家族の再生』です。
最初は、観鈴に対して距離をとっていた晴子が、住人が観鈴と出会ってから、徐々に観鈴と向き合うようになります。
最終的に、晴子は観鈴を自分の子供としてちゃんと受け入れようという覚悟を決めます。
また、11話で記憶を無くした観鈴が、お父さんに連れられて行くときに、記憶を思い出して、『お母さん』と晴子のことを呼ぶシーンで、『家族の再生』が強く描かれています。
イメージするなら、絵画で描き忘れられた人物を描き足すようなそんなイメージです。失われた何かを取り戻すようなとても感情が揺さぶられるテーマでした。

{/netabare}



■プレイヤーは父親になれない
{netabare}
ゲームのAIRになります。
元々ギャルゲーというのは、プレイヤーが父親になる、そのヒロインの彼氏になるというのが趣旨の内容です。
しかしながら、AIRでは、プレイヤーは父親になれません。
AIRでは、メインヒロインの観鈴のことを強く思うものの、壊れていく観鈴の事を見守っていくしかことしかできないのです。
これは、『君たちは父親にはなれない』というメッセージにもとれ、ギャルゲーというジャンルを根本的に否定するような内容に受け取れます。
それほどAIRというのは、ギリギリギャルゲーに収まるか収まらないかという境界線に位置する作品なのです。

{/netabare}

■翼人という壮大な設定(あくまで私の解釈です)
{netabare}
作中で登場する翼人というのは、かなりファンタジーチックな設定で、何代にも渡って、自分の経験した記憶を受け継いでいく翼の生えた人間と考えれば、分かりやすいです。

①親から子へ、記憶を受け継がせる
②そのうち、記憶が人間には収まらない量になっていく
③神奈と観鈴の関係

まぁ翼人設定に関しては、これだけ覚えとけば大丈夫です。

羽はその受け継がれた記憶で出来ており、もちろん、その記憶によって、自我が無くなる影響もありません。
自分自身が個人だということをしっかり認識できます。

作品を理解する上で

観鈴は翼人。
夢とは神奈の夢(悪夢)のこと。
住人は柳也の子孫。

↑これは基本的なことです。覚えてください。

神奈は観鈴ではありませんが 神奈が空にいて、観鈴がその記憶を受け取ってる存在と考える。

観鈴は神奈が転生した存在であるが、神奈の記憶は空に残り、観鈴は神奈の魂の上に新しい記憶が上書きされていると考えます。それで、翼人の記憶を受け取るために、観鈴は毎日睡眠時間中に記憶を受け取っています。

SUMMER編で、明らかになりましたが、神奈が僧達にかけられた呪いにより、柳也を失うという悪夢を見続けます。
それが観鈴の中に流れ込むたびに、観鈴は悪夢を見て、苦しむというわけです。

作中で言及されていた「翼人は人という器に収まらない」というのは、翼人の記憶が人の頭に収まらないという意味で、神奈が転生したとしても、転生した後は、翼人の記憶を全て受け取れずい大人になる前に必ず死んでしまいます。
羽から記憶が漏れ出し、それが頭の方へ行き、記憶が漏れ出し悲鳴を上げる...。
その為、観鈴が神奈の記憶を受け取る(夢を見る)度に、体が苦しくなったり、調子が悪くなったりします。
それに悪夢の記憶まであるのですから、尚更苦しいわけです。
そして、7話でもう記憶を受け取れない状態になり、観鈴の調子が急激に悪くなります。

7話で観鈴が救われたのは、柳也の代から住人の代まで受け継がれてきた人形が救われた理由の鍵を握っています。
柳也の子孫は、住人の代まで、神奈が転生した少女に会っていると考えます。
そうして、毎回救えなかったことを悔み、自分の魂を人形に埋め込むということをしてきました。
人形にこめられていた沢山の魂が、観鈴が受け取れる記憶の量を多くした。
それによって、観鈴は生き延びることが出来ました。

第11話で記憶が漏れ出したのは、予想にしか過ぎませんが、一気に記憶を受け取った為に対応しきれなかったのでしょう。
それで対応できるようになり、記憶が戻りました。
翼人の記憶を全て受け取れるようなった観鈴(神奈)は転生するために
「もうゴールしていいよね」と言い、死にました。

これで完全に転生出来るようになった観鈴(神奈)は、住人とともに、少し前に転生。
そうして、最後の二人の少年少女戻り、「彼らには過酷な日々を、そして、僕らには始まりを。」と言い、二人はどこかへ旅立っていった。



かなり壮大な設定です(笑)

AIRの批判される点としては、1クールだけのアニメでは、これを全て理解するのは難しいという点です。
そういう意味では1クールでは足りなかったでしょう。
{/netabare}

■総評

『CLANND』よりオタクに対して批判的な内容でしたが、明確に「ファンタジー作品」だということを示してくれているので、『CLANND』よりは「ファンタジー作品」だということが分かりやすいかったでしょう。
(例えばSUMMER編で翼人のことに触れられていたりだとか)
そういった意味では、AIRの方が優れています。
しかし、どう考えても1クールで収まりきれる内容ではなかったので、原作と比べる少し劣っています。
それに、前半のエピソードが描写不足で、薄っぺらく感じるので、そこはマイナス要素です。

観鈴と住人や『家族の再生』だけ見てみると綺麗に描けているので、そこだけを見るならば、かなり高評価です。
前半のエピソードも、感動させるのが目的でなく、翼人についての伏線を張ったり、観鈴や住人を掘り下げるためだったとしたら、描写不足が多いところも目を瞑れるかもしれません。
それでも、前半のチープだと思われた展開があるので、マイナスをつけておきます。

『家族の再生』についてはかなり感動できたので、世間一般の評価と折り合いをつけてこの評価です。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 22

69.8 2 ミステリアスで恋愛なアニメランキング2位
謎の彼女X(TVアニメ動画)

2012年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (1015)
4295人が棚に入れました
普通の高校生・椿明(つばきあきら)は放課後に、クラスに転校してきた謎の美少女・卜部美琴(うらべみこと)が机に残した「よだれ」を舐めてしまう。翌日から原因不明の高熱を出し5日間寝込んでしまう椿。5日後に突然椿の部屋に見舞いに来た卜部が自分のよだれを舐めさせると、高熱が嘘のように下がってしまった。高熱の原因を訝しがる椿に、卜部は一言「恋の病」だと告げる・・・・。

声優・キャラクター
吉谷彩子、入野自由、広橋涼、梶裕貴、福圓美里

ソーカー さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

甘い涎は絆の証、魔性の怪作、二期熱烈希望!

趣味はハサミ、不意に笑い出す、ヨダレ垂れ流す・・・そんな謎多き彼女と付き合うことになる主人公。彼女のヨダレには不思議な力があるみたい。時代設定がよく分からん非現実的でフェティシズムなラブコメです。早急に原作も読んでみる予定です。

・キャラとか色々
指に付けたヨダレをクチュっと舐め合ってお互いの気持ちが分かるというようなシュールな設定の恋愛アニメですが、単なる色物として片づけるには勿体ない。独特な演出でキャラの表情を見せてくれるので見ていて本当に飽きないです。怪しげな雰囲気を際出させていて尚かつ丁寧なカットが多く落ち着いて見れたというのが一番大きかった。煩悩の塊のようでありながら一途な椿、ミステリアスの中に可愛らしさを魅せる卜部、表情細やかなキャラ描写には一定の現実感があって且つ非現実的な魅力がタップリ伝わってくる。そこにシュールな面白さが生まれています。リアクションにヨダレが・・・いや笑いが止まりません。異常に爽やかなOPソングもやや棒っぽい声優さんも同じ人みたいですが、これがまた超素敵だ。恋のオーケストラはエンドレスで聴いていたくなる魔力がある。ヒロインの卜部はなんとなく鬼太郎に見えるけど半端無く可愛い。異論は認めない。というか聞かない。聞こえない。

・フェティシズム
内容は思ったよりライトだと初めは思いましたが、ツボを悉くおさえてて毎回笑わせてくれました。ノーパン、うなじ、太もも、耳、髪などなど様々なフェチに焦点をあてつつも、直接的なエロ描写はあまりないという絶妙なバランス。これぞ美徳だ。そして意外とハートウォーミング。徐々に距離が縮まっていく男女の様子を見れる真っ当な(?)恋愛ものです。シュールな雰囲気な邦画が好きな人にはどストライクな作品かも知れないですね・・・。きっと好きな人はとことん好きになれるんじゃないでしょうか。

・甘美な世界観
生理的に受け付けないという人も多数いると思われますが、それは全くもって正常な事だと思います。ヨダレ舐めるなんて良識ある一般人はしないんで・・・・そりゃ気持ち悪いです、やってることは実質キスとさして変わらない気もするのだけど、絵的に気持ち悪い。でも思春期の頃を思い出せばこの程度の妄想はね、まぁ普通・・・・なのかな、私にはちょっと分かりかねますが(笑)。真面目な話をするなら、普通に慣れの問題かなと思います。私は衝撃的な一話以外は気持ち悪さは全く感じなかったです。むしろだんだん関係が深まっていくにつれて澄み切った愛を感じていきます。彼ら二人のための愛の形であって、気持ち悪いとかもう関係ないのだから、実に甘美な世界じゃないですか、多分。まぁこの作品では出てくる人物が誰も気持ち悪がらないという謎の世界観で、その怪しげな雰囲気も魅力だったりします。

・まとめ・・・てしまった。
とにかく終始安定した面白さを持続した優良作だったと思います。正直に言うと衝撃の一話を見た時は、直前に食べたカレーをケロっと吐きそうになりましたが、それゆえに掴みは抜群に良く一気に引き込まれた。誰でも共感出来る部分は一つはあるはずで、一話さえ乗り切ればそこまでハードルの高い作品じゃないと思います。まぁ某女子みたいに唾液舐めたいとか言いそうな女性には関係ない話ですが、基本的に男性向けです。難しいかも知れないが実写化とかも是非して欲しいですね。アニメも良いですが限りなく実写向きな気がするし、配役次第では実写のが面白くなりそうです。思春期における妄想の全てを詰め込み舐め回しなぜか綺麗に纏めてしまった怪作。ダラダラといつもより長文ですが、真面目に「非常に良かった」ということだけ伝われば、それだけで十分です。

・消化酵素。
遠い昔の理科の実験の事を思い出しました。ジャガイモかなんかのデンプンをアミラーゼで分解する実験で、人の唾液に含まれるアミラーゼによって分解されるか否かヨウ素液の反応を見る懐かしのアレ。誰もが唾液の提供に嫌がっていたところ、健気な一人の女子が大量に唾液を提供した。拍手喝采。そしてアミラーゼのアミちゃんというあだ名をつけられ可哀相な事になっていた。そんな彼女の事が好きでした。なんか無駄に恥ずかしい事を殴り書いた気がするけど、多分ほとんどの人はこんな狂乱文全部読まないからまぁいいか。とりあえず二期を期待したいですね、熱烈的に。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 38
ネタバレ

あずにゃん  さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

.゚+。★『 (*▼ー(。-_-。)ゝダキツイタラダメ』☆.゚+。(*´-ω)(ω-`*)。ぎゅっ♪

意思疎通できる『涎(ヨダレ)』色々な『未経験』に触れる作品です。

視聴当時は私も、あまりにも理解できない性癖のアニメだなと思いましたが、
観終わってみれば、まさに直球の純愛ラブコメストーリーだったと言えます。
不思議な男女交際ですが、速度が早いとも遅いとも感じさせない作風で、
涎に関しては回を重ねるたびに気にならなくなり、涎を通して互いの気持ちが変化していき、
卜部美琴の心情も少しずつそういった行動を通じて理解できてくると思います。


■物語
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
時代はケータイやパソコンのない昭和テイスト。性に対する感覚も、やや遅れているように見える時代。
主人公・椿明(つばき あきら)は高校二年生。彼のクラスに卜部美琴(うらべ・みこと)
という女子が転校してきて、椿明の隣の席に座ったところから話は始まります。
ボサボサのショートカットで少し伸びた前髪で目を隠し、無愛想で友達を作る気も見られない。
授業中に突然腹を抱えて笑い出すかと思えば、昼休みには机に突っ伏して寝てしまう。「浮いた女の子」
そして ある日の放課後、一人教室の机で眠りこけている卜部を見つけ、起こしてやった椿。
彼女が去った後の机が涎で濡れていることに気づき、その涎を指ですくい取って舐めてしまう。
ところがその後、暫くして彼は熱を出して寝込んでしまう。一向に熱は下がらず、学校を休み続ける椿。
そこに突然転校生・卜部が彼の自宅を訪れ、衝撃的なことを告げる。{netabare}
「椿くん。わたしのよだれを舐めたでしょう。あなたの熱は、わたしのよだれを舐めていないから禁断症状が出たのよ」ε=ε=((((((;;-д-ノ)ノ|壁|{/netabare}
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
これが1話の大まかな流れですが、こうした『謎』に興味を惹かれ、視聴意欲になるかがキーポイント。
そして『涎』ですが。恋愛にウブな男女を繋ぐ絆として重要な役割を果たしています。
涎と言えば汚らわしさや後ろめたさを感じさせるものですが、
『好きな女の子の「涎」』ですので、少しニュアンスが違ってくると思います。
実際にキスをするときは唾液が交わりますし、それが好きな人の唾液なら嫌う人はいないはず。
それをいわゆる指フ●ラで、ことを大っぴらにしている感じです。
現実でもリコーダーを舐めたりする方もおられますし、フェチもまたひとつの愛の形だと思います
寧ろ、この涎が無ければ、魅力的で味わいのある作品にならなかったと思います!
それと、『涎』には性的な意味合いも込められていて、
作品に性的な彩り、色合いを持たせるために『涎』というモチーフが選ばれたそうです。
思春期の十代の男女が異性を意識する時、性的なモノを感じないはずありませんから、
それを表現するのに相応しいモチーフだったと思います♫

作画は今風のものとは違い、ノスタルジックな雰囲気を感じられ、
絵も決して美少女ってわけじゃないのに、妙に色気があります。
萌え系・エロ系のキャラデザ・絵柄に頼らないことにより、
それがかえって良いギャッブを生んでいたのだと思います。
声優は素人で正解でしたね~。彼女自身、アニメの声優は初体験だったそうで、
それだけに声優のように声を作ると言うことをしません。
それがまた、なんか非常にエロイんです。
AV女優より素人の方が興奮するのと似た感覚でしょうか(笑
音楽はOP「恋のオーケストラ」ED「放課後の約束」どちらもノスタルジックで素晴らしい曲です

徐々に作品の本当の姿が明らかになっていく…その過程を楽しんで頂けたらな と思います。

{netabare}〆の綺麗さといい「それでも町は廻ってる」に通づるものがありました。
設定からは想像つかない妙な爽やかさがありましたし、見ていて恥ずかしくなるくらい
初々しい交際をしていて、そうした二人を見てるととても微笑ましい気持ちになりました。
2期あれば是非視聴させて欲しいですね。{/netabare}

投稿 : 2024/07/06
♥ : 8
ネタバレ

ともか さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

妙にハマったw 敬遠しててスミマセンでしたっ><

原作は漫画で、未読。 全13話。

最初に言います、私はこの作品を気に入りました。

主人公は普通の高校生・椿明(つばき あきら)。
同じクラスに転校してきた卜部美琴(うらべ みこと)は
初日から「変な奴」のレッテルを貼られてしまう。
居眠りをしていた卜部は机に付いたよだれを気にすることも無く下校。
そのよだれを舐めた椿が翌日以降原因不明の高熱を出して学校を欠席
…というところから始まる「純愛」+「フェチ」な物語。

他人のよだれを舐める椿の行為自体が完全に異常ですし
よだれによって起きた「恋の病」というのも
多くの視聴者は理解に苦しむかもしれません。

でも、この2点を「設定」と割り切ってることができれば
この作品に対する見方が一気に変わるようにも思えます。

よだれなんかで恋を成就させることはできるのか?という
多くの視聴者に興味を持たせることが出来る。
「よだれフェチですか?」と聞かれて「Yes」と答える人は
世界広しと言えども かなり少ないのではなかろうか?
だからこそ、この作品はよだれを選んだのだと、勝手に考えてますw


これまでにない斬新な設定で、物語も分かりやすい。
第2話まで観た時点で、続きが気になって案外惹かれ、
その後も視聴を続けるごとにクセになっていきました。
そして、あっという間に観終わりましたw


作画について、
最初のうちは
・全体的に丸顔
・キャラの「目」が好きじゃない
・描線が全体的に荒い
といった辺りの作画に抵抗がありましたが、
観ていくうちにこの作品に合った味のある良い作画だと思えてきました。
気のせいかもしれませんがw(^_^;A


声優について、
多くの登場人物は比較的リアルに近い声です。
特筆することは無いのですが、違和感は感じなかったし
個人的に恋愛相手の卜部の声が気に入りました。


音楽について、
OP曲・ED曲ともに、いかにも純愛という爽やかな曲調・歌詞で好印象です。
ただ、作品を気に入った私もちょっと引くくらいの
よだれフェチのためだけに作られたような映像でした(;^ ^;;A
少しは自重してほしかったかなw

OP曲:恋のオーケストラ
ED曲:放課後の約束


キャラについて、
椿と卜部はお互いにひとすじなので、
この2人を気に入ることが出来るか否か。これに尽きる気がします。
私は視聴が進むほど卜部のことを(ちょっと怖いけど)可愛いと思えました^^
ハサミ技は見事!毎話1回は披露してくれた気がしますw


特にENDは個人的に最高でした^^
{netabare}カップルで椿の母(故人)の墓参りで「近況報告」と言って
2人とも母の墓に片手を置きながらよだれの交換。
…しながらのEND。{/netabare}
もし2期があれば2人の関係の続きを是非とも観たいです。


観る人を選ぶ作品であることは間違いないでしょう。
という以前に、よくぞアニメ化してくれました^^
私は不思議とハマりましたが、ハッキリ言ってオススメはできませんw

純愛が好きな方や、物好きな方は、
試しに最初の2話くらいをご覧になってみてはいかがでしょうか?
それでダメならスッパリ切ったほうが良さそうです。
もし受け入れることが出来れば、後は
一風変わった純愛物語を楽しんでいけることと思います。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 34

66.3 3 ミステリアスで恋愛なアニメランキング3位
ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド(TVアニメ動画)

2010年冬アニメ
★★★★☆ 3.5 (491)
3170人が棚に入れました
高校生・鏑木アキラには、幼い頃に交わした約束がある。彼の正体は狼男であり、その約束とは夜の眷属の王・ヴァンパイアの女王に仕えるというもの。そしてアキラの前に今、昔と変わらぬ姿の少女が現れる。彼女こそヴァンパイアの女王・ミナ・ツェペッシュだった。
日本に現れた彼女の目的は、ヴァンパイア達の専用居住区、ヴァンパイアバンドを設立する事。戸惑う人間達、そして、彼女を快く思わないヴァンパイアの勢力はミナの命を狙う。アキラは幼い頃の約束を守り、人狼の騎士として彼女を守ることになる。

声優・キャラクター
悠木碧、中村悠一、斎藤千和、甲斐田裕子、伊藤静、小林ゆう、喜多村英梨、渡辺明乃、谷井あすか、中田譲治

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

幼い頃に交わした誓約に基づき、自ら従僕となることを望んだ少年とヴァンパイアの女王との恋の物語…

この作品の原作は未読です。
私がアニメの視聴を本格的に始めたのが2012年ですが、最初の頃に視聴した作品です。
そしてアニメにドップリ漬かる道に舵を切ることとなった作品の一画となっています。
当時、そのくらい影響を受けた作品でしたが、今考えると監督が新房さんで、アニメーション制作がシャフトさんだったら、相応の衝撃を受けてもおかしくないと思います。

dアニメストアで「おおかみかくし」の視聴後、次にお勧めの作品という感じで3作ほどピックアップされた中に本作品を見つけ、懐かしさも相まって視聴することにしました。


普通の高校生活を送っていた鏑木アキラ。
しかし彼には幼い頃に交わした誓約があった。
それは夜の眷属の王・ヴァンパイアの女王に仕えるといういうもの。

あるときアキラの前に一人の少女が現れる。
その少女こそが古の契約の王女、ヴァンパイアを統べる
孤高の女王にして夜の闇に君臨する少女ミナ・ツェペッシュだった。

日本に来た彼女の目的は、
ヴァンパイア専用居住区=ヴァンパイアバンドを設立する事…。
空想と思われたヴァンパイアの出現と、日本における特区の建国。

戸惑う人々はヴァンパイアと共存すべきか否かを模索し、
そして対立するヴァンパイア勢力は、
女王の座を降ろさんとミナの命を狙う…。


TOKYO MXのイントロダクションを引用させて頂きました。
この作品が放送されたのは2010年の冬なので、もう10年以上前になります。
先日視聴した「おおかみかくし」でも思いましたが、10年経っても残っているモノなんですね。

視聴したのは8年ほど前になるので、内容はほぼ朧気にしか覚えていません。
また、その頃は声優さんにも疎かったので、本当に右も左も分からない状況でした。

物語は、真祖の血脈を受け継ぐヴァンパイアの女王であるミナ姫と、幼い頃にミナ姫と出会い、彼女の傍にいることを約束した人狼の少年アキラが、お互いの絆を深めていく一方、ミナ姫の目的であるヴァンパイアバンドの設立を巡る攻防、そして、真祖を巡る血の陰謀など、内容は盛りだくさんです。

今回改めて視聴して思ったのは、一応アニメの展開上は終わりを迎えましたが、それが物語の終わりでは無かったということ…
それにメッチャ大きな謎を残して終わってるじゃありませんか!
原作はいずれも完結しているようです。
伏線が殆ど回収されていないので続きが気になって仕方ありません。

これまで、原作の完結から相応の時間を経てアニメ化されている作品が幾つかあります。
「フルーツバスケット」や、「うしおととら」などが該当すると思います。
どちらもしっかり腰を据えて制作された作品だと思います。
原作の販促目的のアニメと合わせて、原作が完結している作品も是非検討の遡上に挙げて欲しいところです。

オープニングテーマは、中野愛子さんの「フレンズ」
エンディングテーマは、hibikuさんの「爪痕」
最終話はオープニングとエンディングが入れ替わっていました。
記憶に残っていたモノの一つがレベッカの楽曲をカバーしたオープニングです。
レベッカとかムッチャ懐かしいんですけど^^

1クール全12話の物語でした。
今回視聴して一つだけ思ったことがあります。
主人公であるミナ姫の声優は碧ちゃんですが、本作品の第9話のタイトルが「ワルプルギスの夜」なんです。
この頃から碧ちゃんと「ワルプルギスの夜」って切っても切れない関係だったんですね^^;
しっかり堪能させて頂きました!

投稿 : 2024/07/06
♥ : 10
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

一族の長の苦悩、計算された(?)金髪幼女設定

【レビューNo.14】(初回登録:2023/1/5)
コミック原作で2010年作品。全12話。
YOUTOUBEで「1話で騙される超展開アニメ」で紹介されていたので視聴。
シャフト制作。

(ストーリー)
主人公は金髪幼女のヴァンパイアの女王「ミナ」。
物語の格子は下記の通りですかね。
{netabare}・「ヴァンパイアバンド」建国
 「人間とヴァンパイアの共存」を実現するため、ミナはヴァンパイア
 の女王として、ヴァンパイアが安心して暮らせる世界「ヴァンパイア
 バンド」を東京湾の人工島に建国することに邁進します。
 そこには日本政府との政治的な駆け引きだったり、また因縁の「真祖」
 と呼ばれる三支族との権力闘争といった要素が加わって・・・
 彼女は時に非情な決断を迫られることになります。
・人狼・アキラとの愛と絆の物語
 記憶を失って普通の高校生活を送っていたアキラですが、過去にミナとの
 盟約(永遠に女王に仕える)を交わしていた。その記憶を取り戻した今、
 二人の絆の物語が動き出す。
 作中では恋愛描写的な感じが多いですが、実際はそれよりも大きな愛・
 絆的なもののような?
・バトルアクション&ホラー
 異能の力を持つヴァンパイアや人狼たちのダイナミックなバトルシーンも
 この作品の見どころとなります。
 あとヴァンパイアが人を襲っていくホラー要素もぶっ込まれているかな。{/netabare}

(評 価)
{netabare}ストーリーを見たらわかるように、1クールの中に結構いろいろ詰め込んで
いるのでちょっと苦しいかなって感じる部分はありますね。
特に三支族の話は、ヴァンパイアの女王であっても彼らの後ろ盾がないと
その権威を保つことができないらしいのですが、非常に分かりにくいです。
そういう意味でもシャフト独特の演出を入れつつ、上述要素のバランスを
保ちつつよく1クールでまとめたなと感心します。

個人的にこのアニメの一番の見どころは
「ヴァンパイアの女王「ミナ」の抱える苦悩や葛藤~心の強さと弱さ」
それを見事に魅せてくれた悠木碧の快演だと思います。

一族の長として彼女には皆を守るという重責があり、また理想実現のため
に清濁併せ呑み、時に非情な決断を下さねばならない場面もあります。
彼女は常に強くあらねばならないのです。でもその反面本当は誰かに
支えて欲しい、特にアキラにはずっとそばにいて欲しい、そして汚れた
自分を本当はアキラに見られたくないという心の弱さも併せ持っています。

それを効果的に魅せるのが「金髪幼女」設定なのです!
(まあ本当は400歳位らしいのだが)あの幼い容姿で凛として振舞うから
そのギャップで彼女の強さが引き立つのであり、またその幼さは彼女自身
の弱さの象徴でもあるともいえます。
正直最初は金髪幼女設定にあざとさを感じていたのですが、悠木碧の演技
を観るにつれ腑に落ちました。
まあ本当に原作者にそういう意図があったのか知らんけどw
(あと種族的な設定で子供を産まねばならないらしいが、体が成長して
 いないから産むことができないという口実に使ってる部分もあるらしい){/netabare}

上述の通りいろいろな要素を詰め込んでいるため、人によっては捉えた方
が違ったり、途中から「なんか思ってたのと違う」と感じる人もいるかと
思います。それでも個人的には高評価で観てほしい作品ですね。
あと「1話で騙される超展開」については、作品を見てのお楽しみ(笑)

投稿 : 2024/07/06
♥ : 2

らしたー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

「租界をつくるのじゃ!」「そうかい」

まあ、指導者ミナ・ツェペッシュを眺めるお話でしょうね。

OPの「フレンズ」だけは納得できなかったなあ。
カラオケで必ず歌うやつがいるから、こんなとこでまで聴きたくねー。
さすがにそこは1曲作ろうや。作品内容とあってるとも思えないし。

内容的には、吸血鬼が日本の埋立地に血族の租界(ヴァンパイアバンド)を作るというお話。
要素としては[微エロ、一人称ワラワなロリ、人外、アクション]あたり。
2話の時点でいろいろ、このご時勢アウトくさい描写が出てきて、これどーなのよと。
全体的には、まあわりと無難な感じになってはいたが。
ときどきあるアクションシーンはいいアクセントになっていたように思う。

興味深いのは、おとぎ話の存在であったヴァンパイアが、
突如表立って人間社会に存在と主張を展開する、そのやり方でしょう。
けして暴力一辺倒で破壊と混乱を招くのではなく、
表面上は交渉可能な相手を装いつつ、資本主義国家の首根っこを押えてくるなど、
硬軟織り混ぜてよく考えてるなあと。
たぶん、あれをやられるのが一番効果的で、怖い。

『シャングリ・ラ』の感想で、アニメの組織描写について与太話をしましたが
本作におけるヴァンパイア組織の描写はそこそこ洗練されたものを感じました。
血を吸うだけがヴァンパイアではない、と。
そこの意識の高さは個人的に高く評価したい。

各話の脚本はそれなりに出来が良く、それとはべつに、
主要人物の設定含め、コアな部分を視聴者に握らせないまま
ズルズルと話を引っ張っていく構成が、なかなかお上手で。
あらゆる物事が、核心を残して周辺部分だけ埋まっていくので、
意外と途中でドロップアウトできない感じ。

なんだけど。
すごく「コントロールされたシナリオ展開」という印象を受ける反面、
キリキリと物語のテンションをあげていく、
燃え上がる感じが今一歩足りてないのではなかろうかと。
明らかに終盤の加速感が足りない気がするのよね。

マクロスFやギルティクラウンの吉野氏が、シリーズ構成を務めつつ、
自身が直接、各話の脚本の8割がたを手がけている模様。

どうにも評判は芳しくないようですが、なかなか端正な仕上がりの佳作かなと。


●どえらく評判の悪い第1話について

なかなか面白い切り口で世界設定の提示と今後の期待感を織り込んでおり、
むしろ良く出来た第1話と思っている。
スタートダッシュにおいてどれだけ「基本的なもの」を
広く浅くタッチできているだけを、自分は見ちゃったりするので。

基本的なものってのは、たとえば
舞台となる社会の価値観や成熟度であったり、独自設定の枠組であったり、
あるいは作品の通俗性の度合いであったり。そのへんのことで。
2話目以降にガツンと走っちゃっても視聴者を置いてけぼりにしない仕込みが
ちゃんとできているかだけを考えてしまう。

で、悪いクセなのか、それらをけっこう項目ベースで評価してしまう。
いざ絵と声が乗ってアニメーションとなった際に
アニメ好きな人の目にどう映るのだろうとか、あんまり想像できない。
根本的に自分はアニメってものに対する情熱やこだわりが足りないんだろうなと。
ほんと、いろいろ勉強になります。

ていうか、この第1話、アリだと思う人は、
けっこう自分と似たスタンスでアニメに接してる方なのかもしれない。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 6

69.6 4 ミステリアスで恋愛なアニメランキング4位
ヴァンパイア騎士(TVアニメ動画)

2008年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (441)
2662人が棚に入れました
全寮制の私立「黒主学園」には、一般生徒が通う普通科(デイ・クラス)と、エリートで美形揃いの吸血鬼(ヴァンパイア)が通う夜間部(ナイト・クラス)が存在するが、普通科の生徒は夜間部全員が吸血鬼という事実を知らない。5歳以前の記憶を持たない主人公・黒主優姫は、麗しい吸血鬼で夜間部のクラス長を務める玖蘭枢に命の恩人として憧れつつも、錐生零と共に学園の秘密を守るため、風紀委員として守護係(ガーディアン)を務めている。人間と吸血鬼を共生させる学園、そして、吸血鬼を激しく憎む零には、それぞれにひた隠す秘密があった。

声優・キャラクター
堀江由衣、宮野真守、岸尾だいすけ、千葉進歩、福山潤、諏訪部順一、保志総一朗、皆川純子、喜多村英梨、水野理紗、郷田ほづみ

Baal さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

抗えぬ血

樋野まつりによる少女漫画を原作とする作品です。

全13話、原作未読。

先日のニコ生一挙で視聴したのですが、前知識を一切

持たずに視聴に入ったので第一話を見て初めて少女漫画原作

で逆ハーレム系って知りました。


そんなことはさて置き、

全寮制の私立「黒主学園」には、普通の生徒が通う普通科の

クラスとヴァンパイアが通うクラスがありますが普通科の生徒は

その事実を知らない。黒主優姫はこの学園の秘密であるこの

事実を隠し、人間と吸血鬼が共存する学園の秘密を守るために

風紀委員(守護係)としてやっていました。もうひとりの

守護係である錐生零は吸血鬼を激しく憎み、その理由を隠して

いるのだった・・・


上にも書いたのですが、明らかに少女漫画系は視聴意欲すら

わかないのですがこの作品にいたっては前知識もなく、ただ

見始めたので視聴することになってしまいました。

ただ切っても良かったのですが切らなかったのは世界が

いかにも中世のヨーロッパ的な感じで(そこはあんまり関係

はないのだがw)それよりも吸血鬼と人間、さらに眷属なんか

が出る感じの話だったので最後まで視聴できました。


絵はやっぱりしょうがないかという感じであんまり好きでは

ないものでした。ストーリー展開はキャラが多くてそれぞれの

意志が見にくい感じはしましたが概ね良かったと思います。

まあ背景設定が少し物足りない感じはしました。多分それが

原因でキャラの意志が読み取れなかったのかなと思いました。

(実際のところはそれも一つの要因ではあると思いますが

こういう作品の表現の仕方をほぼ知らないというのもあった

と思います。)

それに終わり方が分割2クール?っていうこともあって

スッキリした感じがないままのように思いました。


あと言うとしたら、多分(いや確実に)この続きの作品は

積極的に見ようとは思いません。ただ時間と運があれば

みようかなと思います。(はっきりと言ってしまい好きな

人には申し訳ありません。)

◆個人的点数評価 67.705点

投稿 : 2024/07/06
♥ : 23

吉田くん^ ^ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

ヴァンパイアと人間

この作品は2クールの内容を1クールずつ分けて放送された作品です。

物語の内容は
全寮制の私立「黒主学園」には、一般生徒が通う普通科(デイ・クラス)と、エリートで美形揃いの吸血鬼(ヴァンパイア)が通う夜間部(ナイト・クラス)が存在していて普通科の生徒たちに夜間部の生徒がヴァンパイアとばれないようや問題を起こらないように学園の秘密を守るガーディアンがいた。それが主人公である黒主優姫と錐生零です。そして夜間部のヴァンパイアの長であるのが玖蘭枢です。これ以上説明すると長くなるので書きませんが主にこの3人が中心です。

ここからは感想ですがまず話の設定が好きでした。学園でヴァンパイアだったのでまさにヴァンパイアものが好きな自分にはこれははまりものでした。そして人間がヴァンパイアに噛まれるとヴァンパイアになってしまうというのもしっかりしていて良かった。純血種のヴァンパイアにだけだが。後、夜間部の長である玖蘭枢が主人公の優姫に特別な感情を抱いているところが良かった。出てくる男のキャラはほとんどイケメンばっかです。たぶんはなしを見てる人は玖蘭枢派か錐生零派で分かれる思いますが自分は玖蘭枢の方が好きでした。ちなみに藍堂も好きでした^ ^
声優も意外に有名な人達ばかり(堀江由衣さん、宮野真守さん、岸尾だいすけさん、福山潤さん、諏訪部順一さん、皆川純子さん、保志総一郎さん、喜多村英梨さん)などが出てて良かったです(≧∇≦)

ヴァンパイア、イケメン、学園ものが好きな人にオススメです。
興味があったら是非見てみてください^ ^

ちなみに個人的には2期目の方が謎が少し解決されていくので好きです(≧∇≦) ちなみに自分は男子だけど少女漫画が原作のこの作品を続きが気になり最終巻まで買ってしまった笑 買うの辛かったわ‥

投稿 : 2024/07/06
♥ : 13

★mana★ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

まさか、Knight(騎士)とnight(夜)かけてんの?( ・`ω・´)ナン…ダト!?

ストーリーより、何よりまずOP耳に残るってか、
入り方が狙い過ぎてて逆に恥ずかしい事になってたんですが、
そう思ったのは私だけ?(。・`Д・´)
あれは、変に頭に残るOPでした!

ヴァンパイアの枢(カナメ)に救われた主人公と優姫(ユキ)と、
ヴァンパイアハンターであった両親をヴァンパイアに奪われた零(ゼロ)。
2人は幼馴染で、小さい時からずっと一緒だった。
2人が通う、私立・黒主学園には
一般人が通うデイクラス(昼間)と、エリートヴァンパイアが通うナイトクラス(夜間)があり、
優姫と零 意外はナイトクラスの生徒がヴァンパイアである事を知らなかった…

少女漫画原作で、現在も連載中の模様。
ストーリーに関しては2期もあるので最後はもちろん中途半端です。
1話観た印象では、あんま面白くないなぁ…引き込まれないなぁ…観るの止めようかなぁ…
なんて思いましたが
この作品は秘密が多くあるようで、それが色々明らかになってくと、次が気になりだし、
継続する事にしました。
しかし、思ったより盛り上がりには欠け、
終盤にかけては若干失速気味かもです( ´゚д゚`)アチャー
まぁ、人間と吸血鬼という立場で揺れ動く登場人物達の心境(主に負の感情)だったりがみどころなんじゃないかと思います!

原作が少女漫画なだけあって、吸血鬼は男の子が多く、みんな容姿端麗(´∀`*)ポッ
恋愛に重点を置いてくると思いきや、恋愛要素は少なめです!
声の方は、優姫を堀江由衣さん、零を宮野真守さん、
枢を岸尾だいすけさんと普通に有名な方が多いです♫

私事ですか、特に2期をすぐ観たい!とは思えなかった作品です(´-ω-`)

投稿 : 2024/07/06
♥ : 16

72.0 5 ミステリアスで恋愛なアニメランキング5位
ファンタジックチルドレン(TVアニメ動画)

2004年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (308)
1971人が棚に入れました
南の島で両親と暮らす11歳の少年・トーマは、ある日島の遺跡で一人の少女と出会う。少女の名前はヘルガ。無口で、どことも知れぬ場所の絵を描いては、そこに行きたいと言う不思議な少女。トーマは、ヘルガを慕う少年・チットと共に、ヘルガを“行きたい場所”へ連れていこうとする。
何十年かおきに現れる、謎の黒衣の子供たち。“ベフォールの子供たち”と呼ばれる彼らは、長い長い年月をかけて、ある一人の人物を追いかけ続けていた。繰り返される年月に疲弊し、また謎の少年・デュマの妨害によって仲間を減らしながらも、彼らはただ、ひたすらに“彼女”を追い求め続ける。
少年少女の連続失踪事件を追う刑事・クックスは、捜査の中で“ベフォールの子供たち”と呼ばれる存在に辿り着く。追い求めるほどに深まる子供たちの謎、不可解な現象、そして現れる謎の青年。一体、失踪した子供たちにどんな秘密が隠されているというのか。
平行する3つの物語は、やがて複雑に絡み合い、500年の時を超えた、ある惑星の悲劇へと収束していく。


声優・キャラクター
河原木志穂、皆川純子、花輪英司、小林希唯、浦田優、高口幸子、はらさわ晃綺、松本さち、矢口アサミ、坂本真綾、鈴木千尋、甲斐田ゆき、辻親八、住友優子、後藤哲、羽多野渉

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

明らかに過小評価されている2000年台の名作

長年世界名作劇場シリーズを制作し続けてきた古参の老舗制作会社、
日本アニメーションによって、2004年に公開された2クールのオリジナル作品。

☆物語☆

日本アニメーションというと、世界名作劇場を代表として、
「ちびまる子ちゃん」など所謂子供向けの作品が多いというイメージが定着している印象を受けるものの、
本作は長年温めてきたオリジナル作品ということもあってか、
子供以外の幅広い年代にも訴えかけるものがある、とても練られた物語で、
2000年代の名作、と呼んでも全く差し支えないものだと思う。

物語の展開は、前半は謎が多いまま淡々と進み、
不穏な雰囲気とともにサスペンス・ミステリー的な感じで、
ある程度想像しながらの視聴ということになると思われるが、
後半になると前半の謎や伏線は全て丁寧に明らかにされるので、
それまではある程度の我慢が必要かもしれない。
振り返ってみると前半のやや冗長気味な展開が、非常に意味のあるものだと気付かされるが、
目まぐるしく退屈しない引きの強い展開が連続するようなものが好みの人には合わないかもしれない。

内容はジャンルで言うならSF、サスペンス・ミステリー、冒険ファンタジーであり、
恋愛、生と死、争い、人間の愚かさなど、それらが「輪廻転生」をメインテーマとして、
数百年に渡る時間と2億光年という時空を越えた壮大なスケールで描かれる。

作風として、終始シリアスな雰囲気に包まれており、
楽しいとか面白いと思えるコメディ的な要素は殆ど無く、
むしろ悲しい場面が大半で、なかなか気楽な気持ちで視聴という訳にはいかないかも知れないが、
都合の悪いものも含めて全ては観る者へ訴えかけるため、
という作りは、やはり世界名作劇場を想起させる部分でも有るところで、
製作者の思いがとても良く伝わってくる作品だと感じました。

☆声優☆

演技自体はとても良く演じられているものの、所謂人気声優という人はあまり起用されていない印象。
声優自体がこの頃はまだ今ほどアイドル的な扱いもされておらず、
あまり表に出てない頃だったんだと思いますね。
まぁ本来の声優はこれで良いんだと思いますけど。

☆キャラ☆

各キャラクターの思いがとても深いですね。
この物語をどれだけ評価できるかは、キャラクター達の抱えている思いをどれだけ酌めるかでしょう。
時間と時空を越えて抱え続けた想い、とりわけべフォールの子供たちの心情には胸を打たれました。

☆作画☆

キャラデザインが今観るとやや古臭さはありますが、
日本アニメーションらしさという点でも有るので、この点はマイナス面ではないですが、
今時のアニメ好きにはあまり受けないでしょうね。
3DCGの導入のハシリでちょこっとだけ出てきますが、背景美術なんかは完全に手描きの味わいが出てます。

☆音楽☆

荘厳で美しいOP&EDは如何にもな名作臭を漂わせるもので、
これで内容がダメならどうしようもない、と言いたい所ですが、
安心してください、名作ですよ笑
しかし、このOP聴いただけでシリアス度合いが推し量れるというものですね。

作中BGMは曲数はさほど多くないながらも、
ミステリアスなものと重苦しいものが繰り返されたのが印象的で、
終始明るい曲調のものは無かったように思います。
まぁあっても作風には合わないでしょうが。。


あにこれ、の中でも何故この作品がこんなに点数が低いのか?
オリジナル作品として、非常によく考えられた感動的な物語で、
間違いなく名作に相応しいのに、この点数だと完全に隠れた名作扱いですね。
キャラデザで食わず嫌いをしないアニメファンなら観て損はないと思いますよ。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 19

るぅるぅ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

巡る心の居場所

全26話
ジャンル:SFファンタジー冒険活劇
ブランド:日本アニメーション

ある絵の場所を探し求め旅する少年少女達に立ち塞がる、ベフォールの子供達と呼ばれる黒装束の目的は何か? 謎の研究組織がもたらす事件に潜む真相との関連は、見えない方向性に収束し命の在り方を問う。

初見のハードルは、やや高いと想う。それも冒険活劇という子供向けに見える設定により間口の狭さ、キャラデザインもあって、これ面白くなるのか? と、疑問を抱かずにはいらないだろう(笑)
久し振りに微妙な作品を引いてしまった感が否めないが、観終わった後は180度印象が覆る作品であったことは間違いない。それも日本アニメショーンといえば世界名作劇場を観て育った方なら尚更、作品のギャップを感じると想う。実際は全く子供向けではない(苦笑)

タグに隠れた名作とあるが成るべくしてなった作品の印象が強く、あまり認知されているようには感じられない。それも中盤10話辺りまで伏線を張り巡らし考察する作風となっており、本質が見え隠れする故である。ネタバレすると視聴意欲が下がる類ではあるが、恋愛に裏打ちされた命の儚さ、重さ、尊さを紐解き心に響き渡る。
BGMを挿入するタイミングも相まって、感情移入させる演出・台詞には、嫉妬・葛藤・苦悩・救済は感動以上の何か心に訴えかけるモノが込み上げて来る。
そこには時を越えた想いを描き隠された真意は、曖昧なキャラの性質が色濃く反映させるミステリーなストーリーラインがもどかしくもあるが少年少女を取り巻く因果を知ることになる。

主要キャラのヘルガは、当初、内向的かつ無口なヒロインで魅力に欠けてはいるが、時折みせる凛々しさが持ち味となっており芯の強さが伺える。それに振り回されるトーマ自身は、苛立ちを拭えず時に感情的に責めるも彼女の優しさに触れた時に初めて理解したいと心情変化していく。ストーリーラインと同じくキャラの持ち味も徐々に加速する形となっている。

中盤以降、この世界観の全貌が紐解かれる爽快感が心地よく夢中で見入ってしまう。さらに終盤の真実については、王道な感動を覆す見せ方に良い意味で裏切ってくれた。
人間味ある行動が贖罪という重くのしかかる心理描写を加味させ、余韻を引き締めるカタルシスが魅力とも感じられる。

感動作品をある程度、観ていて何かお勧めできるアニメはないか? と、聞かれたらプッシュしたくなる作品ではある。 是非、中盤まで見て判断して欲しい(笑)
お勧めしたいけど、やや敷居の高い作品として今後も眠りそうな作品だけに残念ではある。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 27

鎖天 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

壮大なスピリチュアル・ファンタジー

2004年放送、2クール、原作なしのオリジナル作品。
日本アニメーション制作ということで、漂う世界名作劇場感。
ジブリ感もありますね。スタッフも関わっている。

確かに古臭い印象はあるんですが、
もっと知られてもいい作品だと思いますね。
やはりキャラデザがネックか。
苦手てでも観ていくうちに慣れると思うので我慢して頂ければ・・・

ヘルガという少女がいて、記憶にある風景画の場所を探している。
それに少年トーマが協力して共に行動していくという少年少女の冒険譚、
べフォールの子どもたちと呼ばれる、彼らの謎めいた行動の真意とは?
更にはそのべフォールの子どもたちを追う刑事の視点。

大枠はファンタジーですが、
そこに様々な要素や各キャラの視点が重層的に絡み合い、
序盤は時代も頻繁に飛んだりするので、
観ていて結構しんどいかもしれない。
前半で伏線を張って後半から回収していくスタイルですね。
衝撃的な事実が判明したりします。
前半のミステリアスな雰囲気も、なかなかどうして悪くないと思いますが。

この作品が素晴らしいのは、伏線の回収そのものというより、
物語の全容を把握した上で1話から観直すと、
印象がまるで違って見えるという点ですね。
むしろ2周目からが本番というか。
第1話にて、石像の掌に寝そべるヘルガ。
それに気付いたトーマが声をかけるんですが、
彼の声は決して彼女には届かない・・・
これも色々と意識しているのだろうか。

個人的に注目していたのはベフォールの子どもたちですね。
白髪碧眼に黒いマントという出で立ちの少年少女たち。
OP映像の、何処か遠くを見据えながら
一歩一歩大地を踏みしめていくあの感じ。
何かとてつもない業を背負ってるんじゃないかと、
先の展開がもう気になりすぎた。
DVD最終巻の特典映像となっている、
本編では描き切れなかった彼らの顛末は必見です。
目からオエセルが・・・

劇中の音楽も良かったです。OPテーマのアレンジの使い方が絶妙でした。
数年前に亡くなった、攻殻の主題歌で有名なOrigaさんが歌うED曲も印象的。
日本語歌唱なのが新鮮でしたね。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 5

71.1 6 ミステリアスで恋愛なアニメランキング6位
ブギーポップは笑わない(TVアニメ動画)

2019年冬アニメ
★★★★☆ 3.4 (414)
1736人が棚に入れました
竹田啓司は、同じ学校の後輩でもある恋人の宮下藤花を待っていた。しかし約束の時間が過ぎても彼女は現れず、連絡も通じない。日も暮れ始め、あきらめて帰ろうとした竹田の視界に涙を流しながらふらふらと歩く男の姿が映る。どう見ても普通ではない男の姿に、竹田自身も、そして周囲の人間たちも我関せずを決め込んだそのとき、不思議な人物が男に駆け寄ってくる。大きなマントに身を包み、奇妙な帽子を被った不思議な人物。ソレは竹田との待ち合わせをすっぽかした宮下藤花と同じ顔をしていて……。

声優・キャラクター
悠木碧、大西沙織、近藤玲奈、小林千晃、下地紫野、諏訪彩花、榎木淳弥、市川蒼、竹達彩奈、宮田幸季、八代拓、市ノ瀬加那、細谷佳正、長谷川芳明、阿澄佳奈、上田燿司、花澤香菜

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

時の壁

【未評価】*少し修正

ストーリーが読み取り辛い。
妙に訳知り顔の学生たちが、利いた風なセリフを演説するような印象ばかりが強く、話している内容が素通りしていく感触がある。

この分かりにくさは、カットバックを多用した演出や、キャラの描き分けといった技術上の問題ではなく、原作小説の発表された20年前と現代との時代差にあるように思える。


世界に侵入した世界の「敵」を、二重人格のような「学生」の主人公が密かに排除してゆく。

日常的な社会の運営とは隔絶して、「世界」の根本的な危機に社会参加していない「学生」がダイレクトに関与していく作品構造は、原作発表当時に萌芽し始めていた「セカイ系」を先取りしていた。
「学生」が訳知り顔で利いた風な能書きを述べるのは、社会参加していない「身分」と、「社会領域」が存在しない「セカイ系」世界との相互作用による必然だろう。

全体の構造が把握しきれないまでに複雑化して、感覚的に「よくわからな」くなってしまった社会が、社会を不可視化して排除する「セカイ系」の想像力を生んだ。

世界に侵入する「敵」は、政府や大企業などの「上のほう」の「えらい人たち」が「秘密」に独占して抱え込んでいる本作の陰謀論的な「世界」は、典型的な「セカイ系」構造だ。
一般人=大衆=社会から隠された「秘密」を巡って、「えらい人」と「学生」は同水準に立つことになる。
「社会」から秘匿して独占した「秘密」を、「えらい人」と共有していることが、社会参加していない「学生」が、多くの「セカイ系」作品で、世界の命運に接近して利いた風な口をきける根拠だ。

だが、こうした「セカイ系」構造の説得力が、この20年で変質したことが、本作の「分かりにくさ」の理由ではないだろうか。
原作でストーリーに説得力を与えていた時代感覚が変化してしまったのに、現代へと時代設定を変更してそのまま同じ舞台設定を使用してしまったことが、細かな技術上の齟齬などではない、根本的な「伝わりにくさ」の原因である気がする。


20年前、「セカイ系」に説得力を与えていたのは、逆説的に現実の「社会」は強固で不変であるかのような時代的な「信憑」だったのではないだろうか。

自律作動する複雑で「よくわからない」機械のようなものとしてイメージされる「社会」。

「よくわからない」ままに、自分とは無関係に自動的に作動していく複雑な機構としての「社会」、という現実の「世界観」が、逆に「社会領域」が削除されても「日常」は何の不都合もなく維持されていく「セカイ系」の「リアリティ」を支える。

「学生」が訳知り顔で「世界」の根本に関与していく背後で、電車は時刻表通りに運行され自動車は信号に従って走行する。
水は蛇口から流れ、スイッチ一つで電気は点き、コンビニに並んだ商品は望むままに購入できる。

本作でも同様に反復されているこのような「日常」のあり方は、逆説的に「社会」の不動の安定を暗黙の前提としている。

だが、この20年という時間は、こうした暗黙の信憑を掘り崩す過程であったのかもしれない。


こうした「セカイ系」世界の「安定」を支えていたのは、陰謀論的に歪曲された権力者=「えらい人」だった。(時として企業経営者がこれに加わる)
「ズル賢」く「悪賢」い権力者は、自らの権益を確保するために、権力の源泉である「社会」を自分に都合の良い形で「安定」させる強い動機がある。
「世界」の動揺と切り離して「日常」を安定させるために、「秘密」を独占する「敵」としての権力者は陰謀家として登場するしかない。
(世界の危機を「秘密」にしたまま「密かに」戦う主人公とは、「安定」を口実とした「陰謀」の共犯者であるともいえる)
多くの「セカイ系」で、「政治家」を始めとする権力者が役職も権能も不明な「えらい人」として現れるのは、「複雑系」の社会を「よくわからない」の一言で理解する裏返しだ。

本作もまた、この構造をなぞっているのは上述の通りだ。

当然、こうした「設定」は、読者=視聴者の現実感覚との連続性があるからこそ採用されてきた。
しかし、現代の視聴者には、こうした世界構造は説得力が薄れているのではないか。

そう、この20年で暴露されたのは、現実の政治家=企業経営者=権力者は「ズル賢く」もなければ「悪賢く」もないという事態ではないだろうか。

単に「ズル」くて「悪い」だけで、「賢く」などはない。
「ズルくて悪い」だけのバカではないかと。

「自分は何もしなくとも自律運動する社会」の「信憑」を支えていたのは、「えらい人」が自己利益のためにズル「賢く」社会を操作しているはずだ、という、ある種の合理思考だ。

しかし「えらい人」が「悪い」だけのバカならば、合理思考など存在していたはずがない。
「社会」の自律運動は、「複雑さ」から目を背ける反知性の怠惰が見せていた幻影ではなかったか。

「ズルい」バカが、思い付きで「権力」を振り回すことで、「社会」の機能不全を引き起こしてくるさまを目撃してきたことが、「自律運動」の幻想を、もはや「信憑」できない地点に視聴者を連れてきたのだろう。

おそらく現代の視聴者には、「学生」が利いた風なセリフで「世界」を救う背後で、日常が「自動的に」維持されているようには見えていない。

誰かが電力網を維持し、運行を管理して電車のダイヤを維持している人がいる。
信号機をメンテナンスする人に支えられて自動車は運行し、その流れに乗って商品の配送する人が、24時間のコンビニでの買い物を可能にしている。

こうした個々の「社会人」たちの肩で支えられた「社会」では「自動作動の安定」がリアルさを喪失するのであれば、「安定」のための共犯行為が要請する、「密か」に戦う「聖戦」の密儀性もまた説得力を失う。
社会参加していない「学生」が訳知り顔をする本作が、わかりにくいものとなるのは避けられないだろう。


時代的に失効した「世界観」を、無自覚に「現代」へ持ち込んだ設定が、本作を分かりにくいものにした。

だが、これは原作小説が現代では無価値になってしまった、という事ではない。
水準を超えて構築された作品は、その時代を離れても物語の訴求力は、衰えない普遍性を持つ。

ただ、その時代と強く結びついて説得力を発揮した「もの」を、十分に検討することなく時代だけ現代へスライドさせた不手際が、作品の語るものを不明瞭にしてしまったという事だ。
おそらく同じ失敗をアニメ版『BANANA FISH』にも指摘できるだろう。
東京もニューヨークも同方向に等質のものとしてフラット化する圧力に晒される21世紀世界で、温室の「日本」に対する「リアル」の渦中にある「アメリカ」、という80年代特有の誤解の対立構造に基づいていた原作マンガの説得力は機能しない。


「社会」や「世界」の理不尽さへ対する若者の不満は、いつの時代でも繰り返されるだろう。
可視化装置として、ある時代では有効であった「自動作動する不変の社会」への信憑を利用した「セカイ系」は、現代では有効性が薄れた。
新たな装置が求められるし、試みも多くなされているが、しかし、そうした「改変」を加えれば「原作」とはまるで異なる「作品」となるわけで、原作の「アニメ化」とは難しいものだと思う。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 10
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

どっからどう見てもポップ・・・ではないよね

『これは猟奇サスペンスであり青春群像劇であるんだよ』 

相反しそうな言葉を同一の意味合いのものとしてキャラに語らせる。するとあら不思議!深淵なる哲学的ななにかに聞こえてきます。

『猟奇サスペンスである一方青春群像劇』 並列は×
『猟奇サスペンスである以上に青春群像劇』 序列も×

いずれもパンチが弱いため、ここではあくまであたかも相反するものが一体となってるような表現に努めねばなりません。

・レトリックのみでくどく、キャラをイタく感じてしまうのが “梅”
・レトリックがハマリ、キャラに魅力を感じてしまうのが “竹
・レトリックとストーリーがマッチし、作品に魅力を感じてしまうのが “松”

本作『ブギーポップは笑わない』はまごうことなき松!
抽象的な「世界の危機」という大問題を巡って登場人物たちの極めて主観的な台詞回しで進行していくサスペンスタッチの青春群像劇のようなものと言ってよいでしょう。猟奇性を帯びたキャラクターも複数登場するため、グロ描写も所々出てまいります。


1クールなのに全18話のお得感。トリッキーな放送スタイルのおかげで何話か飛ばしましたがなんとか視聴を完了しました。配信やタイムシフトのある時代で良かったです。
そんな便利なサービスの欠片もなく、ラノベという単語も浸透してなかった1998年に刊行されたヒット小説のアニメ化です。
元ネタの刊行年度を考えれば古典といって良いでしょう。私としては珍しく原作既読の作品です。作品の意義だったり影響等についてはgoogle先生あたりをご参照くださいませ。

実際に視聴してみて巷で言われるような “古臭さ” というのが実はよく分かりませんでした。
だいぶ原作の記憶が薄れているためほぼ初見のような新鮮さで堪能できてます。全18話を通してキーになる人物(人格)がブギーポップ。いくつかに別れたエピソードはこちら、

(1) 第1話 - 第3話 ブギーポップは笑わない
(2) 第4話 - 第9話 VSイマジネーター
(3) 第10話 - 第13話 夜明けのブギーポップ
(4) 第14話 - 第18話 オーバードライブ 歪曲王

計4つのエピソード。時系列は前後してたりするのでながら見は禁物です。時系列の掴みづらさと同様に、キャラ相関が難解、そして台詞回しが難解です。私は後者をあきらめました。
ただキャラ相関は小難しそうに見えて意外とシンプルなのではなかろうかと思ってます。ここが掴めてくるとテーマらしきものも見えてくる作品でした。


◆相関その1 二つの二項対立
・《世界の敵》 と 《世界の敵の敵》 の二項対立。
{netabare}《世界の敵の敵》はブギーポップ。前者はブギーポップに“自動的に殺される”人が目安でした。合成人間もいいセンいってますが、MPLSと呼ばれる元は普通の人間でふと異能に目覚めちゃったのが敵認定される場合が多かった気がします。{/netabare}

・《社会の敵》 と 《社会の敵の敵》 の二項対立。
{netabare}霧間お父さんの「社会の敵」というセリフに引っ掛かりを感じました。統和機構に殺されるのが《社会の敵》に見えます。ブギーポップは社会の敵は殺しません。{/netabare} 

《敵の敵》の主語は一つで《敵》はいろいろですが、《世界の敵》か《社会の敵》かに分けて整理するとスッキリします。《世界》と《社会》の違いはようわかりませんでした。
{netabare}強いて言えば
《世界の敵》はマジやばいやつ。世界を滅亡に陥れる者。
《社会の敵》はプチやばいやつ。世界を大混乱に陥れる者。{/netabare}

{netabare}ここでふと、《世界の敵》は超異能だけどスケールが小さいというか世界はさすが言い過ぎじゃね?と思ってみたり。
この作品でいう世界の規模感や質感が我々がイメージできるものならば、目立ってマークされてそのうち一個師団が出てきて壊滅させられる程度の異能ぶりです。おそらく煮詰まった上で殺される前といいますか勃興期のイケイケな時にブギーポップが登場するのかもしれません。だからこう噂されてるのかな。

{netabare}「その人が一番美しい時に、それ以上醜くなる前に殺す」{/netabare}{/netabare}


◆相関その2 宮下籐花はモブ
ブギーポップが主要人物であることはよいとして、肉体を間借り!?している籐花にも焦点をあてると混乱します。
先入観だと、ふつう主役はこの人だよって観る側に柱を作ってあげてから話を進めるとか、群像劇でもグループ(だいたい5名くらい)を作ってその囲いの中で話を進めるものだと思うのですが、それがありません。登場人物の母集団に大きな変動はないのにです。さらに4エピソードと分けてることでなおさらこんがらがります。
前のエピソードで主役を張ったかと思えば次のエピソードは台詞なしとか、ブギーポップに視点を置きたいけどなかなかもったいぶって出てこないとか。
{netabare}当初は、別人格に悩まされる少女(宮下籐花)と恋人竹田啓司との奮闘記を想像してしまったせいでとても混乱した私です。{/netabare}
{netabare}霧間凪も髪型変わってヴィジュアル判別が難しくなったりとかホント勘弁して~{/netabare}


対立の構図や人物相関が整理できたらあとは身を委ねて完走です。
こういった「世界の危機」といった抽象的な大問題をさも大事のように扱う作品って、外からだと馬鹿馬鹿しくつまらなく見えがちなのですが、中に入ってみるとけっこう陶酔できるものです。
作品が世に出た1998年あたりで例えれば、ヴィジュアル系バンドの歌詞世界とライブ模様みたいなものかと。「破滅」「追憶」「世界の果て」「彷徨」「闇」「孤独」「血」「薔薇」「憂鬱」「堕ちる」・・・とだんだん楽しくなってきちゃったのでこのへんで。あと「とりあえずフランス語」。

極めて私的で閉じた空間でのダークな物語。
きっと中学生や高校生くらいの思春期に出会ってたらドはまりしてたと思います。では思春期が遥か遠い大人の私はどうだったかというと、「とても楽しく鑑賞できました」になります。
毎度OPが楽しみだったのと、意外と大人がいい役回りをしてたことが理由としては大きいですね。語り部的な大人らしい大人もいれば、大人になりきれなくて身を滅ぼす大人と。
彼ら高校生が抱く未来への期待と不安を象徴するような大人ばかりでした。
子供ばかりだけだったら見られなかったような気がします。

思春期世代の抱える不穏さをファンタジーでふわりと包んだ良作です。

この作品に影響を受けた奈須きのこ氏の『空の境界』にドはまりした私にはとても相性の良い作風でした。



-----
2019.09.19追記 


視聴時期:2019年1月~3月 リアタイ視聴



2019.04.27 初稿
2019.09.19 追記

投稿 : 2024/07/06
♥ : 51
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

ブギーバックは笑えない

ダンスフロア~に鮮やかな光~。
…。
ピエール瀧ぇ。
ってことで妙に薬物ネタが出てくるこの作品、もうちょっと時期遅かったら世間に「配慮」して放送できなかったってことは…無いか?大丈夫か?

{netabare}噂には聞きつつもどんな作品なのかは全然知らず、「よしこれで内容知れるぜ」と1話見てみたら全然意味分からなくて一旦脱落。
脱落したといっても妙に後ろ髪引かれる部分があって…まずOPカッコ良いよね。
爆発したビルをボケーっと見てたら何者かが空をスッ飛んでいってハっと白昼夢見て最後は再びハっとする所に戻ってという内容で、「しょうゆおいしいです」みたいな。
それとこれ結構重要だと思うんだけど、女性キャラをワザと絵的にブサイクに描いてない?
青ブタのように美女に生まれて大変って内容ならまだしも、意味も無く美少女に描かれてる限り媚びてる匂いってのはどうにも付きまとい、それでいて所謂「意識高い系」をやられるとな~~んか気持ち悪い。
意識高い系でないならどんなに媚びてても平気なんだけどねぇ。
新シリーズ版のなんとかの旅とかヴァイオレットなんとかとか…自分的には評価低いんだけどブサイクに描かれてたらまた違ってたんじゃないかなー?と最近思ってて。
また色づくなんちゃらはそこら辺考えて、ブサイクになりかけギリギリのラインを攻めてた気配を感じます。
ってことで、この作品はめっちゃ思い切ったことをしてるという認識で、1話で脱落したといっても録画溜めて後で見るつもり満々ではいました。
これがきゃろ~んとした美少女だったら1話で完全に切ってたと思う。
(小声:というかですね、「ワザとブサイクに描いてる」と言うと普段深夜アニメ見ない人の食いつきが良いゾ)

でもって全話見てみたところ…ナルホドそういうことねー。
自分はどうしてもSF的に(機械的にと言った方がいいのか?)処理しがちで、哲学的・情緒的に考えるのが苦手というか。
つまりはコトの発端はエコーズが地球にやってきた、もっと厳密には過剰に進化したことが東亜機構の設立も含めたキッカケなのかな?と思っちゃってて。
なので全てはエコーズが余計なことをしたせい(実際、カミキシロはエコーズに優しくしなければ死ななかっただろう)、観測者が観測対象に接触してしまったのが悪い(=ブギポの敵)と思ってしまったのだけど、そうではないみたい。
実際は「(人類が)影響受けるのはどうでもいい、進化したいのならどうぞお好きに、但しそれが間違った方向だと判断したら始末しまっせ」ってことみたい。
あ、ブギーポップのスタンスのことね。
正義・悪の基準が曖昧というか、ブギポは別に身近な人を助けるために出現するってことではない。
むしろ場合によっては身近な人には迷惑な存在にもなりえたり。
ここら辺、どんな選択をしようが主人公の選ぶことが正義と扱われたサクラダなんとかより全然好感が持てる、自分は。

とはいえ…今作最終章になる歪曲王編、能力の合わせ技かぁ…。
これやられると何が起きてるのか一気に分かりにくくなる。
何が幻覚で何が現実か、または幻覚のどこまでが現実に影響したのかとか、よく分かりませんでした。
ってか田中お前も能力者だったのか…。
改めて考えるとカミキシロに始まりカミキシロに終わる構成だったのかな?
とりあえず歪曲王編以外は実はそんなに難しい内容ではなかった、1話でかなり身構えてたのでホっとした感じ。
むしろ簡単な話を必死に難しそうに装った感じ?

進化についてはこちとら園芸(生き物)を趣味としてるので色々と思うところがあるのだけど(書き始めたら止まらなくなるので割愛)、ある意味真っ当な捉え方だと思います。
まぁ能動的じゃあないよね、と。
漠然としたものを漠然と流してて、「現象」を紹介したものに近いので地味だし感想も書きにくい。
実はそんな難しいこと考えずに各キャラが微妙なタイミングでニアミスするのを「フフッ」っとほくそ笑むのが正しい楽しみ方だったりして。
ナギが父親と、知らぬ間に助けてくれた黒田の仇(実行犯なだけで一番悪いのは命令下した奴だけど)だと知らずに佐々木と手を組んだり、委員長何度も巻き込まれて災難だなぁとか、先にも書いた通りカミキシロと付き合ってた田中がアレだったり、人間関係を追うだけでも面白いかと。
キスギ先生の元へ宮下藤花がかかりに来たのもナギとニアミスだったのを演出しただけで、世間で言われる二重人格そのものはあまり重要じゃないんじゃないかな、だってブギポはそれを超越した存在だろうし。
1話があんなんだったので身構えがちだけど、軽くダラーっと流し見でもOKな気がする。


余談
16話が恐竜の頭のデザインが妙に上手くて、またキャラの顔(特に目)の描き方が他の回と違って「リトルウィッチアカデミアみたいだなぁ」と思ったら作監が半田修平で大正解。
やったぜ、本編からスタッフ当てるのは自分にとっては稀なのでチト嬉しい。
もし「派手なアクションシーンだけ見たい、その回だけ教えろ」って方が居たら、16話お勧めでっせ…まぁトリガートリガーしたアクションですが。{/netabare}

追記{netabare}
例えばライオンが草食獣を狩るシーンを、ナレーションやBGM入れずにただ淡々と流す映像があったとします。
それを見て「ライオンかっけぇ」と思う人も居れば、逆に草食獣に感情移入して「草食獣可愛そう」と思う人も居るでしょう、中には「自然はなんて荒々しくも美しいんだ」と涙を流す人も居るかも知れない。
どう思おうともそれは間違ってはいない、↑で書いた「現象を紹介したもの」というのはそういうことになります。
ブギポでいえば「何が起こったのか」を理解するのは実はそんなに難しくない、歪曲王編は除いて。
但し「これで作者は何を伝えたかったのかを言え」と言われたら…それは非常に難しい。
現象映しただけなので…掴みどころがないというか、自己主張が無いというか。
自分は性格ヒネくれてるので「露悪趣味披露したかっんじゃね?」と答えちゃうけど、こういう場合って大抵鏡のようなものになるのでお察し。
(そうはいってもさ、織機の設定はちょっとチンピクしたぞ?)

──なんてことを思ったら、冒頭で書いたキャラをワザとブサイクにしてる意図が分かった気分。
キャラに感情移入させないためだったのかなー?、と。
キャラが魅力的じゃないっていうのは狙い通りなんだろうなぁ、と。{/netabare}

投稿 : 2024/07/06
♥ : 23
ページの先頭へ