マフィアでガンアクションなTVアニメ動画ランキング 8

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画のマフィアでガンアクションな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年03月01日の時点で一番のマフィアでガンアクションなTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

89.9 1 マフィアでガンアクションなアニメランキング1位
BLACK LAGOON ブラックラグーン(TVアニメ動画)

2006年春アニメ
★★★★★ 4.1 (5061)
23695人が棚に入れました
日本の一商社・旭日重工(あさひじゅうこう)の社員だった岡島緑郎は、会社の機密ディスクを運ぶ任務中、南シナ海で違法な運び屋・ラグーン商会にディスクを奪われ、自らも拉致されてしまった。ラグーン商会(レヴィ)の狙いは、旭日重工から岡島の身代金を取ることだったが、機密の漏洩を懸念した会社と彼の上司・景山は、会社のためにはやむを得ずとして彼をディスクもろとも抹殺せんと画策し、傭兵部隊に商会を襲わせる。自分が旭日重工から見捨てられたことを知った岡島は、ラグーン商会のメンバーにアイディアを提案し、この危機を脱することに成功する。

声優・キャラクター
豊口めぐみ、浪川大輔、磯部勉、平田広明、小山茉美
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

世界中のアウト・ローの見本市みたいな【ヴァイオレンス・アクション&エンターティンメント】

※1期・2期・OVA全て含めた感想・レビューです。
本サイト総合ランキング25位(総合得点90.2点)<2016.5.10時点>の面白作ということなので一気観してみました。

◆総評

最初は、これ本当に面白いの?と半信半疑だったのですが、下記のシリーズ別評価のとおり、作品世界に慣れるにつれて尻上がりに面白く思うようになっていきました。

何といっても、1990年代後半の東南アジア(および東京)という作品舞台の設定が優秀で、これなら、ネタバレレビューを読むや、ネタバレレビューを読む、が登場しても全然違和感がないし、ネタバレレビューを読むみたいのが出てきたり、ネタバレレビューを読むもギリギリでまだ存命で暗躍中、という話に出来る、ってなもんです。

また、この手のヴァイオレンス・アクションものにありがちな、“社会批判”“体制批判”をしてやろう・・・みたいな制作側の寒い下心も皆無で、エンターテインメントに徹しているところも、個人的に非常にポイント高く思いました。

グロ表現も心配したほど酷くなく、未視聴の方にはお勧めしたい作品となりました。


◆シリーズ別評価

第1期   ☆   並 3.8 (76点相当)
第2期   ★   良 4.1 (82点相当)
OVA    ★   良 4.3 (86点相当)
---------------------------------------------
総合    ★   良 4.1 (82点相当)


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回


================== BLACK LAGOON (2006年4-6月) =================

ネタバレレビューを読む
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★★★(神回)0、★★(優秀回)1、★(良回)6、☆(並回)4、×(疑問回)1 個人評価 ☆ 3.8


OP 「Red fraction」
ED 「Don't Look Behind」


======== BLACK LAGOON The Second Barrage (2006年10-12月) =======

ネタバレレビューを読む
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★★★(神回)0、★★(優秀回)1、★(良回)5、☆(並回)6、×(疑問回)0 個人評価 ★ 4.1


※OP/EDは第1期と同じ


== BLACK LAGOON Roberta's Blood Trail (OVA) (2010年10月-2011年6月) ==

ネタバレレビューを読む
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★★★(神回)0、★★(優秀回)1、★(良回)3、☆(並回)1、×(疑問回)0 個人評価 ★ 4.3


OP 「Red fraction IO drive mix」
ED 「When Johnny Comes Marching Home」


◆その他メモ・・・女性キャラ達の強さ順 →ネタバレレビューを読む

サムネにもなっているネタバレレビューを読むが、一応は本作のメイン・ヒロインなのですが、(1)個人戦闘力、(2)組織力、(3)情報力その他、を総合的に見ると、

(1) 個人戦闘能力では、ネタバレレビューを読む

(2) 組織力では、ネタバレレビューを読む

(3) 情報力と後ろ盾の強大さでは、ネタバレレビューを読む

・・・という設定で、

(4)ネタバレレビューを読むは、せいぜいネタバレレビューを読むに過ぎません。

こういう意外さも、本作の魅力のひとつと思いました。

以上、まとめると、本作最大のヒロインは、ネタバレレビューを読むだった!!!

投稿 : 2025/03/01
♥ : 51
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

熱帯アンダーグラウンド

原作未読

20周年記念の地上波再放送にて(アニメは2013年)。Youtubeの期間限定chもあったりもしました。
私のサムネ≪『LEON』のスタン捜査官≫でお察しかもですが、物騒な映像作品は大好物です。

タイの架空の犯罪都市ロアナプラを舞台に、荒事も請け負う運び屋と、いわゆる裏社会に属する組織や人物たちが繰り広げるクライムアクション作品(wiki)。
日本人プラント?マンが業務上のいざこざで会社から見捨てられ、運び屋たちに合流して始まる物語。
住む世界の違いから生じる考え方や行動の違和感がしっかりスパイスとして効いてるのがポイントですね。私のサムネ(二回目)元ネタとも通ずるものがあって、生まれた時から荒事しか知らず育ってきた人間と、問題はあるも平々凡々な生活が壊れ巻き込まれてしまった人間との化学反応です。


放送年(2013年!?)
2006年放送とあります。ほどなくブラグラ的世界を我々も現実で疑似体験しました。
○○重工というロックの勤め先はそのネーミングから商社というより重工業ないしプラント系と思われるのですが、2013年初頭にはアルジェリア人質事件が発生してます。良心とか交渉とかとは無縁な圧倒的な暴力に蹂躙された事件。間髪入れずイスラム国の人質事件があったりと日本にいては理解不可能な現実の出来事が発生してた頃合い。
それから10年近く経ってからの初体験中の私でございます。まずは驚きというか監督〝片渕須直”氏。「おー、この世界の片隅に…の人やんけ」と。そして「こんなもん作れんのね」と名作劇場映画との違いやら共通点を探ってみたりでした。
これは新参者ならではの感覚でしょう。その観点でしたらヒロイン役の豊口めぐみさんも直近の超絶メガヒット劇場アニメで〝強く生まれた者の責務”をよもやよもやな息子に説いた母役の印象が強すぎだったりでなにかと困ります。


おおむね好きなテイストかつあまりアニメ作品では見かけない作風でもあったりして評価の下駄底は上げ気味であることをお許しください。
実写でもいいじゃんと思いかけましたが、近距離発砲で銃弾が当たらないのはアニメ以上に実写だと不自然に見えるので、これで良かったんだと思います。そうです。わりと雑なとこあります。
そんなのもいったん横に置いとけるくらい良かったと具体的に評価できるとこを明らかにしときましょう。以下四点↓

1.生きざまのぶつかり合い
⇒美学と言わないまでも芯が通ってあるため簡単に流されはしないハードボイルド調なやりとり。
 ネタバレレビューを読む

2.生命の軽さ
⇒人はびっくりするくらい簡単に死ぬ。ここでは殺すのに躊躇がない。逆もしかりで殺られるのも覚悟してる。
 ネタバレレビューを読む

3.アジアの純真
⇒フィリピンぽいけどタイをイメージしてるらしいですね。北の三角地帯か南のプーケット方面か。ラグーンだけにラングーン(今のヤンゴン)あたりがしっくりきそうな佇まい。
 ネタバレレビューを読む

4.時代設定(90年代後半?)
⇒第二次世界大戦の兵士もギリ存命。冷戦終結直後の地殻変動もある。ベトナム反戦運動で踊った連中も壮年期。おおむね共産主義の派生物に該当しますが、不安定要素のヴァリエーション豊富な時代でした。もう少し経過すると伝統のイスラム過激派くらいしか残りません。

多分に自分の趣味が反映されてますね。こんな感じです。
そういえば触れてませんでしたが、もしかするとクライムアクションというよりバトル色が強いと言えなくもないくらい奇天烈な敵役が複数登場するのも面白みの一つかも。バトルは苦手意識ある私です。きっと本作にはバトルの背景にお互いの人生が透けて見えたのが飽きなかった理由かもしれません。
あにこれの評価も低くないし、自分の好きな作風でしたし、また珍しいタイプのアニメ作品でもありますのでおススメ強度はわりと強めでございます。



※余談

■パブリックエネミー

最初フィリピンとか島嶼国家のイメージがあったのはイスラム過激派っぽいのが出てきてたから。
ネタバレレビューを読む

ネタバレレビューを読む

少し落ち着いたら2期いってみよう!



視聴時期:2021年4月~2021年6月 地上波再放送

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2021.06.26 初稿
2022.05.17 修正

投稿 : 2025/03/01
♥ : 45

シェリー さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

偽善的な三文芝居

裏社会を描いたお語です。
銃、酒、人殺しがたくさん出てきます。
でもレビューで言われているほどダークな印象を僕は受けませんでした。
それは本作の主人公ロックのおかげというか、彼のせいというか、毒というものがあまりありません。
ロックがいるからこその本作なのでしょうが僕からしたらただ「邪魔」なだけでした。

日本のサラリーマンだった岡島緑郎は会社のあることに巻き込まれ、さらに見捨てられます。
けれどひょんなことから新たにその見捨てられた先で生きていくことになるのがコードネーム:ロックです。
そして彼が足を突っ込んだ先はラグーン商会。
黒人で大柄な体格のダッチ、”二挺拳銃”という異名まで付く銃の使い手レビィ、
コンピュータの扱いに長けたベニーの3人で構成された違法集団の集まりです。
まさに裏社会を象徴するような3人の中に、ロックがいるのはあまりにも異質で、世界観を台無しにしていたように思えます。

レヴィたちとは生まれも育ちも違うロックはどうしても彼女たちの世界の常識とルールに馴染めず、いちいちそっち側に意見してしまうし、なぜか知らないけどずっとサラリーマンの格好なんです。観てるこっちとしてはがっかりです。なにそれって感じ。
僕としてはレヴィたちの世界を描くならば、無抵抗な相手の後ろから自動小銃で躊躇いなく頭をぶち抜くのが理想です。
でも作者の描きたいことはこれとは反対にあり、僕たちと同じ目線を持ったロックを通して、「いくら生きるためとはいえ踏みにじっていい人の道はない」ことだと思います。
太陽の照らす昼でもなく、闇に飲まれた夜でもない、夕闇という立場から眺めるロックを追う話の構成です。
でもこれは成立しません。言葉として一見筋が通っているように見える気がするし、口当たりの良い言葉ではあるけれど、
外の人間が口を出せるほど簡単な問題ではないし、自分が「まっとうな人間」であるという上から目線が甚だしいです。
そりゃあ押し付けの正義ほどかっこよく見えるものはありませんから。
だから7話なんてのは僕は全然受け付けません。ただパフォーマンスとしてインパクトがあっただけです。

それにしてもこのロックが上でも書きました通りがっかり屋さん。まずこなれてる感じがすごく不自然で個人的に腹が立つ。
そのノリで発せられる声も喋りも聞くに堪えません。ちなみにこの作品で使われる言葉は常にB級品です。
形だけを模ったシャボン玉。突っつけば簡単に割れます。要するに、どういう言葉で罵ればいいのかを知らない。
とにかく見栄えとイメージをつけるために間に合わせのつぎはぎをガンガンと投げています。
ロックは最初のうちは「日本のサラリーマンがどうたら」とすごくうるさい。今言うことじゃなくない?って思う。
そういうのは前提としてあればいいもので、わざわざ言葉にすることではありません。
するべきことは、その状況に置かれた人間がどういった行動をとるかと、ということだと思います。

すごく個人的な意見になってしまいましたが何が言いたいかと言うと
要するに、徹底的に裏社会を描くわけでもないのにそこをフィールドに選んだ中途半端さ、裏社会面のハリボテ感、
さらにロックの説得力の無い綺麗ごとと作者の描くテーマの偽善を、僕は受け入れることができませんでした。
ロックのいない残虐で救いのない世界の方がいくらか見応えがあったと思います。レヴィ、ダッチ、ベニーの3人の話。
分を超えた意見で申し訳ありません。作品がこうであったらいいなんてあまり言うことではないです。

まあそれだけではなく全体的にも「アニメ」の要素が強かったと思います。
戦うメイドとか、双子とか、当らない銃弾とか。どこまでいってもこの作品は「アニメ」です。
形だけ取り繕った空っぽの箱のような、実体のない物語。深みがなく、触った感触すら残らないような。
まるで海に来て浅瀬で足だけを水につけてばしゃばしゃと遊んでいるようなそんな作品です。泳ぐことも、潜ることもしません。
その目には遠くの方で世界を分断する水平線は映らず、目先のそれだけで、おそらく十分なのでしょう。
かっこいい台詞とそれに付随する偽善、浮き沈みには単に視聴者を傷つけ、とってもきれいなエンドで締め括る。
扇情的な無限のループを繰り返しているだけでは、またそんな作品を観てもおそらく感じることは何もないでしょう。
深く潜らなければ、あるいは、水平線を見つめなければ、物語は成り立たず、そこになにかを投じることはできない。


そんなことを言いつつも最後のヤクザとの戦いというかバラライカによる一方的な殲滅はなかなか面白かったです。
バラライカによる武力による有無を言わせぬ殺戮と日本のヤクザにある義理人情を対比させたのはグッドアイデアです。
レビィ役の豊口さんはハマり役ですね。だんだんレビィが可愛くみえてくるから不思議です。


裏社会的恐さを求めるなら『HUNTER×HUNTER 旅団編』
ハードボイルドを求めるなら『COWBOY BEBOP』または『DARKER THAN BLACK-黒の契約者』
銃撃戦を求めるなら『ヨルムンガンド』
また、総体的な寄せ集め「アニメ」が観たいのであれば本作だと思います。




余談

「実体のない物語」と上に書きました。他にどんなものがあるかあげてみたいと思います。
ただこれはどういった目で作品、あるいはアニメを観ているのかによります。
そしてこう言い切るからには僕の見解を話さなければならないのでしょうがそれは止めておきます。
あげる作品を見れば分かる人には分かると思います。そうでなければ帰納的に知ってもらえば良いかと。
こういうと少し上から目線でモノを言っているように聞こえますが、まったくそんなつもりはなくひとつの捉え方として言うだけなのでいじめないで下さい(笑)痛い!石を投げないで!w

僕が今まで観た中では『ヒカルの碁』『リトルバスターズ』『エンジェルビーツ』『あの日見た花の名を僕たちはまだ知らない』

特にその色の濃いものをほんの一例としてあげてみました。
まあそれでもおおかたこういう傾向にあるのがアニメの宿命のような気もします。

よしなに。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 26

87.4 2 マフィアでガンアクションなアニメランキング2位
BLACK LAGOON The Second Barrage[ブラックラグーン・ザ・セカンドバラージ](TVアニメ動画)

2006年秋アニメ
★★★★★ 4.1 (1861)
10897人が棚に入れました
日本の商社マン岡島緑郎は、東南アジアへ出張中に、海賊まがいの運び屋「ブラック・ラグーン」のメンバーに誘拐される。商社は機密保持の為、傭兵を使って人質の岡島ごと全てを殲滅する行動をとるが、岡島の機転で絶対絶命の危機を脱した。あっさりと会社に見捨てられた岡島は、名も立場も捨て、”ロック”としてブラック・ラグーンの一員となる。
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

きかせてバラライカ

あいかわらずピュアな殺意が夜空で弾け飛びそうに輝いてるヴァイオレンス大作。
夜ですね夜。夕闇や片割れ時の半端な時間帯でなく真正の夜闇に紛れ込んだ気にさせる一品。

1期の続きです。こっちの2期のほうが自分好み。
基本評価は1期レビューにて。さてこの2期はざっとですが以下

1.コスプレ映えするキャラの逐次投入
2.覚悟決めやがれ

です。容赦ないヴァイオレンスが気にいって継続視聴と相成るわけですが
ネタバレレビューを読む

やってることはきっちり外道なのですが大きいお友達好みの外道がこれでもかと登場するあたりはアニメーションらしい。コッポラや世界のキタノの作品には絶対出てこなさそうな外道。あ、でもタランティーノならワンチャンあるかも。
近距離で銃乱射しても一発も当たらなかったりするシーン演出と合わせて、実写では醸し出せない雰囲気を纏っているのが心地よいですね。だからアニメを観ているのです。実写だと一気に陳腐化しそうなキャラ造形を面白がれたのが一点め。
二点めは覚悟。覚悟を決めるよう迫られるのは熱帯でもネクタイを外さない本編の主人公です。1期の海底でレヴィとひと悶着した一件から後を引いてるものについての結論を出して物語は着地。
このへんの機微が実に繊細ゆえに評価を上げました。

このまま終わっても綺麗ですし、続きがあっても驚かない綺麗な着地だったと思います。
その上で先述の通り“アニメ”でヴァイオレンスやる場合のお手本みたいになってます。
さらに一言申せば、キャラ掘りの具体的説明をあえてぼかしておきながら各々の背景が分かるつくりになっていること。これがプラスαになってることで単なるみためだけの評価にはならないことですかね。良作であることは間違いないでしょう。




※ネタバレ所感

■ソ連崩壊の記憶

忘れそうになるんですけど90年代の設定なんですよねこれ。
WWⅡ以降の冷戦スキームと一緒にいろんなものがぶっ壊れてしまい情勢が不安定になった頃合い。その震源地旧ソ連のお歴々が物語の中心にいる点が示唆に富みます。

ネタバレレビューを読む

時代考証はきっちりしてそう。
ある意味冷戦崩壊のひずみの結実した形が“9.11”なわけで、その20年後節目のこの時期(2021年)の再放送は意味のあることに思えます。
さらに関連するアフガンからの米軍撤退の年とも重なりやや数奇なものを感じますね。


■キャラ堀りの優先度

具体的説明をけっこうぼかしてます。【対象キャラ / キャラ掘り説明の具体性】で並べると

 通常作品 / 〇
 名作傑作 / ◎

これが普通なんですがことブラックラグーンになると

 レヴィ / ×
 その他 / △

なのです。通常は回想シーンに頼るところをレヴィは徹底排除。ときおりフラッシュバックのような一枚絵が挿入されるだけ。他のキャラも似たり寄ったりでレヴィよりちょい多いかな程度でした。
おおむねセリフで代用してます。他作品の場合、映像無しでありがちなのが「こいつ(キャラ)の行動原理が分からんので薄っぺらに感じる」なんですけど、幸いなことに本作では感じませんでした。

現在進行形のキャラの行動と、時折挿入される回想っぽいセリフとの一致を感じることが要因でしょう。よくできてます。



■(主題)三人の女

主題と言いつつさらっと。

 ネタバレレビューを読む

ネタバレレビューを読む



■(余談)終戦直後の日本の女

こちらもさらっと。

ネタバレレビューを読む



視聴時期:2020年7月~9月 地上波再放送

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2021.09.12 初稿

投稿 : 2025/03/01
♥ : 29

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

事実はお祭りの灯りより儚くグリム童話より残酷で…

本作品は、BLACK LAGOONの2期に位置する作品です。物語の内容に繋がりがあるので、前期未視聴の方はそちらからの視聴をお勧めします。

ラグーン商会の仕事も徐々にこなせるようになってきたロック…ロアナプラの街並みも来たばかりの頃とは違って見えるようになってきた頃…
そして仕事仲間との絆の深まりを実感できるようになった頃…
そんなところから今回の物語は始まります。

これまでもたくさんのドンパチを見てきました…
時には鉛の様に重く…時に真綿の様に軽く扱われた数多くの命…
銃は引き金を引くだけで全てを終わらせることのできる代物…
だから取り扱いには本当に気を付けなければいけない物…
こんな当たり前の事を当たり前の様にこの作品でも感じてきましたが…

ここから先は明らかにこれまでと指向が異なっていました。
その事実に驚愕し…思わず号泣してしまったのが「ヘンゼルとグレーテル」の物語です。
といってもグリム童話に出てくる口減らしをテーマにした物語ではありません。

「姉様」と呼ぶ幼い男の子がヘンゼルで「兄様」と呼ぶ幼い女の子がグレーテル…二人は双子の兄弟です。
物語は双子の二人がロアナプラに入りいつも通りのお遊戯を…
でもお遊戯といっても二人のは我々がこれまで慣れ親しんできた物と全く異質で硝煙と死の香りに噎せ返りそうになる類のもの…
そしてそれはロアナプラの極めて短い導火線に火が付くのは一瞬の事でした。
こうして街は争いの場へと一気に様相を変えて物語が動いていきます。

でもこの物語で私が心を震わせたのは街全体のドンパチでもなければラグーン商会の活躍でもありません。
何故「ヘンゼルとグレーテル」の様な子供が生まれたのか…
結果的にグリム童話に立ち還ってくるなんて…運命の無情さを感じずにはいられません。

旧共産主義時代の独裁者だったニコラエ・チャウシェスクの政策の一つである「国力とはすなわち人口なり」の考えに基づき、避妊及び人工妊娠中絶が禁じられた時代…
でも共産党政権崩壊以降…法が残したのは養いきれない大量の子供たち

人間としてみんな平等に生まれてきただけなのに…
子は親を選べないと同時に親も子を選べない…だからたくさんの無償で包んで育てるのは人間に均等に与えられた権利であると共に、進化の過程で人間が選択してきた事だと思います。
赤ちゃんはヤギや馬の様に生まれてすぐ自分の力で立つことなんてできません。
他の生物と明らかに異なるのは赤ちゃんをその様な無防備な状況で産んでも育てられる土壌を我々人間が作ってきたからに他なりません。

それを勝手な理由を背景にこれまで培ってきた権利を放棄するのは人としてあまりにも横暴…
親の立場から見ると横暴なんて言葉で片づけてしまうのはあまりに非礼な事だとも思います。
本当に子どもをバッサリと切り捨てる親なんていないの分かっていますから…
人生のトリアージ…順番的には子供が親より早く死んではいけません。
でももしその親がいなかったら残り9人の子供も見殺しにしてしまう…
この場合、私たちは生きる事を選択した親を責める事は絶対にできません。
だって、この親は良心の呵責に悩まされながら9人の我が子と向き合い続けなければいけないのですから…
それに一度手を放してしまった子供の…記憶は絶対に消えないから…

こういう背景があると知っていても…特に金田朋子さんの演じたグレーテルの話にはグッとしかきませんでした。
誰もが優しくなれない場所がある…頭では理解しているつもりです。

「私…いい人を見分けるのも得意なのよ…」
と笑って、ちょこんとロックの膝の上に乗って話を始めるグレーテルの姿を思い出すと今でも涙が溢れそうです…
だってそこにはは本来あるべき普通の少女のありのまんまが…そこには殺し屋なんて雰囲気は微塵も感じさせず、年相応の女の子がお父さんの温もりについて真正面から受け止めるだけのかけがえのない空間が広がっていて…
彼女は凄い殺し屋なのかもしれません。けれど、それが似合わない空間を持ち合わせている少女である事もまた事実です。

だから思わず考えてしまいます…
でももし…大人が二人の手を引いていたら、少なくてもマフィアから命を狙われる存在になんてならなかった…
死ぬほど殴られ蹴られ…血のオシッコが止まらなくなるなんてことなかった…
そしたら南の海で真っ青な空を見上げる事もなかったのに…

誰でも一度は頭に思い浮かべたことがあるのではないでしょうか…
日本の極道 vs 世界のマフィアという強さの構図を…
銃 vs 剣…それはルパン3世の世界の中だけではないことを…
この作品ではそんな我々の描いた構図を具現化してくれる物語が準備されています…
まぁ、今回の場合、マフィアの代表として名乗りを上げたのがパラライカ率いるホテル・モスクワなので、マフィアの常軌…範疇を逸脱していると言われてしまえばそれまでですけれど…

一つ思ったのは、これから目指す山が高ければ高いほど心の弱さは具体的変化として如実に現れるということ…
己の信念を貫き通す事…

そして巨大な組織 vs 組織の戦いの渦中でもロックとレヴィは確かにそこに存在したこと…
ロックの生まれ故郷である日本を訪れてレヴィは何を思うのか…
こちらの展開からも目が離せません。

この他にもいくつか物語が纏められており、1クール計12話の構成になっています。
ロックとレヴィのコンビは相当良くなっていると思います。
お互いを認め合っているから…?
或いはそれ以上の何か…?
いずれにしろこの作品の魅力にすっかり吸い寄せられてしまったみたいです。
引き続き「BLACKLAGOON Robertas Blood Trail」を視聴します。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 26
ネタバレ

いしゆう さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

お前 生きようとしたな。 Ⅱ期はハード成分マシマシ!バトルもパワーアップ!

あらすじはあにこれを参照ください。
放送時期:2006年10月~12月

Ⅰ期からの続きです。
OP/ED は変更なし 
好きな楽曲だから 嬉しかったです♪。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

◎物語
”双子の殺し屋編” ”偽札編” ”日本(鷲峰組)編”の三部作です

〇双子の殺し屋編 
強烈なキャラが登場しました!
お互いを”兄様””姉様”と呼び合う幼い双子
その名もヘンゼルとグレーテル
斧と自動小銃を武器にロアナプラで暴れます

双子の依頼された標的はホテル・モスクワ
バラライカ姐さんとのパワーバトルは必見です!
ネタバレレビューを読む

〇偽札編
精巧な偽札原版データを巡って
ロアナプラ中の殺し屋たちが争います!
さっきまで一緒に酒を酌み交わした人と次の瞬間殺し合う
そんな この街の日常が垣間見える所が面白かったです。
ネタバレレビューを読む   

〇日本(鷲峰組)編
舞台は日本! やくざ同士の抗争に
ロアナプラからバラライカ姐さん参戦します!
ネタバレレビューを読む

.。o◎*:..。o◎*:..。o◎*:..。o◎*:..。o◎*:..。o◎*:..。o◎*:..。o◎

◎感想
〇全体的
Ⅰ期は派手なガンアクションや刺激的な物語が中心だったのですが
Ⅱ期は+α”狂気””非情””哀愁”などの要素が加わります

そのため 描写や展開は最近のアニメではあまり見ない
ハード成分マシマシ!バトルもパワーアップ! 
確実に危険度のリミッターを外しにかかってます♪。

今回色々な”深み”を増した分 アクの強い内容になってます 
きっとディープな世界観にどっぷり浸かれますよ。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

〇最後に
運命に翻弄される”ロック”
Ⅱ期はそのロックが悩みながらも成長していく過程が個人的には◎
この先彼がどんなロアナプラの住人になるのか注目しています。

その ロックが体験したⅡ期の出来事を下記にサラッとまとめました。
ネタバレレビューを読む

このまま終わるのかなって思っていたのに
ラストのあの展開は何!? この先どうなるの!? 知りたい!!
う~~~!! Ⅲ期も見逃せません!

以上 最後までお読み下さりありがとうございます。
 
 

投稿 : 2025/03/01
♥ : 34

86.2 3 マフィアでガンアクションなアニメランキング3位
ヨルムンガンド PERFECT ORDER(TVアニメ動画)

2012年秋アニメ
★★★★☆ 4.0 (1797)
9877人が棚に入れました
両親を戦争で失い、武器に関する一切を憎むようになった元少年兵ヨナは、ひょんな事から若き女性武器商人ココ・ヘクマティアルと、彼女が率いる私兵達と共に世界中を旅する事になるのであった……。

声優・キャラクター
伊藤静、田村睦心、石塚運昇、大原さやか、乃村健次、小西克幸、四宮豪、勝沼紀義、羽多野渉、箭内仁、豊口めぐみ、松風雅也、冬馬由美、奈良徹、小清水亜美、加藤沙織、磯部勉、久川綾
ネタバレ

ポル さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

「ふふーふ」2期の感想

2012年4月から6月まで第1期12話まで放送、同年10月2期として13話から放送で物語の続きである。1期から見ることをオススメします。

各話の大まかな展開と感想↓
1話(13話) 天を仰ぐ蛇
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2話(14話) Dance with Undershaft phase.1
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3話(15話) Dance with Undershaft phase.2
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4話(16話) キャスパーとヨナ
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5話(17話) 嘘の城 phase.1
ネタバレレビューを読む
6話(18話) 嘘の城 phase.2
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7話(19話) Pazuzu
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8話(20話) NEW WORLD phase.1
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9話(21話) NEW WORLD phase.2
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10話(22話) NEW WORLD phase.3
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11話(23話) ウォーモンガー
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12話(24話)(最終話) 恥の世紀
ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 7
ネタバレ

buon さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

戦闘と会話がこの作品の売りだと思う、体を揺さぶる砲撃あるいは心を貫く弾丸のような

悪くないが、期待していた面白さではない。
ヨルムンガンドの全容が明らかになるまでと、それを実行するまでの話。

1クール、シリーズものの2期で最後、漫画原作
1期の感想はこちら→ http://www.anikore.jp/review/637825/

※ネタバレのオンパレード感想


ネタバレレビューを読む


余談だが、ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 10
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

<最終回まで視聴完了> ヨルムンガンド計画の全貌を知った上でみつめる世界はどう見えるのだろう

原作は未読だけれど、1期から視聴してきた。
この作品を観るとき、銃撃戦にワクワクしてしまう気持ちと同時に
いとも簡単に人が殺されていくことに対しての麻痺に恐怖を感じ
ちょっと複雑な想いに駆られる。

両親を戦争で亡くし、武器に深い憎しみを抱きながらも
武器商人であるココたちと行動をともにし、自分と彼女達の身を守るヨナ少年の
心境にはまるで及ばないにしても、少し理解した気持ちにはなれる。

兵器や武器は人を殺す道具であると同時に、身を守るものでもある。
兵器や武器は憎しみを生む道具であると同時に、
一部の平和は保たれているという現状。
無抵抗ではやられてしまうだけなのだ。
だから戦うしかない。
生きるために。後世のために。
だから兵器や武器は作られ続け、それを売る人がいて使う人がいる。
だったら・・本当の平和はいつやってくるのだろう?
ココが言う世界平和とは?そう思って最終回までを見届けた。
彼女の考えに賛否は分かれるかもしれないが、僕は概ね共感できた。
もしそれが実現したとして、いったい誰が実現させるかで
世界は大きく変わってしまう恐れはあるけれど、
少なくとも武器を持つ戦争はなくなるのだろう。
しかし同時にそれは、武器に変わる新たな戦法でしかなく
この地球に人間が生きている限り、その危険は続くのかもしれない。

ミリタリー的なものが好物な自分にとって、もしかしたら永遠のテーマかも。
リアルな銃声や映像に心躍らせつつも、単純にカッコいい!と喜ぶだけじゃ
なんだか不謹慎な気持ちになり、綺麗ごとでもなく、
この想いを追求したくて「戦う作品」をついつい観ている自分がいる。

特にこの『ヨルムンガンド』はスケールの大きさや、リアルさが
演出や作画、脚本ともに際立って感じるのでなおさらなのだ。

今回の2期は、やたらドンパチやっていた1期に比べ
人間ドラマのほうを深く描いていたので、感情移入もハンパなかった。
とにかく、納得のいく良い最終回だった。
ちなみに、OPは相変わらずカッコいい曲なのだけれど
EDは正直、1期のほうが好みだったな~
---------------------------------------
<8話(20話)の感想>

おぉ、ついに「ヨルムンガンド」動き出すのだね。
今回は女性陣の活躍が中心で、観てて楽しかった。
アマーリアさん鋭いし、寡黙なカレンさんクールだし
料亭?っぽい座敷でのミルボとカレンの殴り合いが始まったのに
無視して話し合いを続けるDrマイアミたちも可笑しい。
さてさて今後はぐんぐん山場になっていくのかな。
次週が待ち遠しいです。
--------------------------------------
<7話(19話)の感想>

緊迫感の連続で、今回はすごく面白かった!
OPなしで始まったのに、あっという間に次回予告になってた。
銃撃戦以上に、人間の悪意と良心、計算高さや洞察力が
とても興味深かった。いいなぁ・・・ワイリのキャラ。
ヨナも冗談が言えるほどになって、随分と変わったよね。
冷静に考えれば、とんでもないことが起きているのに
ワクワクしてしまう・・・許してくり(苦笑)
------------------------------------- 
<6話(18話)の感想>

海ほたる懐かしい。って思ってられないほどの緊張感。
気づいたら握りこぶしになって身を乗り出してたし(汗)
後半、なんとも日本人らしいというかなんというか。
なかなか渋いまとめ方だったけれど、底知れぬ怖さがあるよね。
-------------------------------------
<5話(17話)の感想>

舞台は日本に。
よく知った場所や建物が見れるのはなんだか嬉しいけど
ホテルでの血しぶき飛び散るドンパチ見ながら
「あらあらあらあら」と『ARIA』のアリシアさんみたいに
心の中でつぶやいてしまった。
でも今回は空港での飛行機の描き方、カメラワークが
すごく好みだったので特に嬉しかった!
-------------------------------------
<4話(16話)の感想>

1期の1話の冒頭シーンが再び映し出された。
ヨナのいきさつを知り、これまでを見てきた今もう一度観ると本当にせつない。
ネタバレレビューを読む
寡黙なヨナの気持ちを想うとき、いつも胸が締め付けられる。
そしてキャスパーがヨナに言った言葉が、どうにも引っかかって気になった。
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<3話(15話)の感想> 真実より事実

哀しかった。でも救われた部分もある。
ネタバレレビューを読む
ココ同様、事実を大切にしたいと思った。
いつも以上に深く、いつも以上にきめ細かく
ココの中にある憎しみ、怒り、そして哀しみを感じた回だった。
今回だけなのかな、EDもいつもと違っていた。
やなぎなぎの唄う「真実の羽根」がとてもせつなかった。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 70

78.8 4 マフィアでガンアクションなアニメランキング4位
Phantom ~Requiem for the Phantom~(TVアニメ動画)

2009年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (1093)
7175人が棚に入れました
犯罪組織・インフェルノの暗殺者・ツヴァイは、ファントムの称号を持つインフェルノ最高の暗殺者・アインと共に、与えられたミッションをこなす日々を送っていた。実はツヴァイは平凡な日本人旅行者だったが、インフェルノの幹部・サイス=マスターに暗殺者としての才能を見出されて記憶を消去され、インフェルノに取り込まれていたのである。ツヴァイを暗殺者として養成する際、サイスは思考能力が失われるほどの激しい訓練をツヴァイに課し、彼を完全な組織の奴隷として育て上げようと目論んでいた。しかし、サイスの知らないところで、ツヴァイは運命の力に負けない意志を取り戻す。サイスの目を盗み、彼の上司であるクロウディア・マッキェネンがツヴァイの耳元で「君は組織の奴隷と思ってはいけない」とささやき、自由な生き方が残されている可能性を示唆していたのだ。自分が本当は何者なのかも思い出せないながら、ツヴァイは心の奥底で組織の奴隷ではない生き方を模索し始めた。

声優・キャラクター
高垣彩陽、入野自由、沢城みゆき、久川綾、千葉一伸、渡辺明乃、千葉進歩、志村知幸、保志総一朗
ネタバレ

fluid さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

生きる理由 殺す罪悪感

【記憶】を奪われ全てを失った少年が、人殺しを強要され【暗殺者】になるまでの苦悩を描いた作品。

絶望の中にもったった一つの希望が。
自分の中に見失った生きる目的を大切な誰かの中に見つける、そんな描写が素晴らしいアニメでした。

現代人ってアニメや映画で人の死に慣れ過ぎて、どこか他人事のように見てるとこあると思うんです。
最近は、死の重さが全然感じられないアニメが量産され、死者をバカにしてるのかと思うような作品も少なくないですよね。
それと比べると【生きる理由】や【殺す罪悪感】をここまで細かく表現した作品は珍しいんじゃないかな。

■どこにも存在できない亡霊、誰でもないファントム
逃げれば組織に殺される、そもそも海外旅行中に記憶を失い帰る家が分からない、自分が誰なのかすら分からない。
【生きる理由】を失った彼らの【絶望】の描写が素晴らしかったです。

■オレは・・・殺す、生きるために殺す。
はじめて人を殺すときの描写
相手を殺す直前でためらい、舌なめずりして逆にピンチに。
人殺しになるくらいなら自分が死んだ方が良いというあきらめにも近い力の抜け方。
そして自分が本当に殺されるという瞬間、極限状態で呼び覚まされた生存本能。 ためらいの無い一突き・・・

殺らなければ殺られる、という描写をここまで精密に表現した作品は珍しい、というより他では見たことが無いですね。凄すぎです。

■無表情、そしてギリギリ保たれる精神
一人殺すだけでも物凄い罪悪感なのに、何度も何度も殺さなければいけない、暗殺者をやめれば組織に追われる。

感情を押し殺して何も考えないようにしてるのは、そんな終りの見えない【罪悪感】によって精神が壊れないようにする為なんですよね。
自分がやってることを他人事なんだと自分に暗示をかけて、意識しないようにしてわけです。
【心の壁】ですね。ちょっとしたことで壊れてしまいそうな危うい壁。

アインがたまに見せる無表情ではない表情、そこに危うさを感じました。

■生きる理由
絶望の中で生きる理由を失った彼らが触れ合うことでお互いを大切にしたいと思うようになる。
生きる希望を見つけるまでの描写が素晴らしかったです。

自分の中に失った【生きる理由】を大切な誰かの中に見出したわけですね。

人を思う描写ってなんでこんなに目を奪われるんだろう?
と考えると、人が人を好きになる本質ってここにあるからなんじゃないかな。
好かれれば好かれるほど、必要とされるほど、好きになる。

恋愛だけでなく人付き合いにも通用する原理↑なので、身近に幸せになってほしい人や子供がいたらぜひ教えてあげてください。

いきなり告白しないで自分が好きだということを相手にさりげなく気付かせるのも有効的ですね。
まあ実際、自分もそんなトラップに引っ掛かってしまったことがありますし(笑)
ポイントは気があることを相手に気づかせてから少し考える猶予を与えることですね。あとは時間が経つうちにだんだん好きになってくれるかどうか、そこが分かれ目です。

■大切な人を殺さなければいけない・・・
知らない人を殺すことでさえ物凄い罪悪感を感じて、無感情にならないと精神を保てないほどの苦しみだったのに・・・
物語の後半、大切な人を殺さなければいけないシーンがいくつも出てきます(泣)

大切な人のためなら自分の命さえ引き換えにしたり、
昔大切だった人と今大切な人、どちらの命を選ぶのか悩み苦しんだり、
泣けるシーンが沢山ありました。

無感情になんてなれない、逃げ道のない苦しみ・・・

答えなんてない極限状態で何を選び、どうするのか、目が離せないですね。

■名作だけど見る人を選ぶ?
このアニメは間違いなく名作ですね。
実写の海外映画を見てるようなクオリティ、今まで見た暗殺アニメの中で一番面白いです。
ただ、心理描写が良すぎて、、その複雑すぎる描写を読み取れるかどうかで見る人を選ぶ作品かな?

無表情でつまらないという感想も見かけますが、、感情を押し殺すのは精神が崩壊するのを防ぐためですし、無表情だからこそ輝くたまに見せる表情に隠された心理を読み取るのが楽しいわけです。

■ドラマがホント素晴らしい!
このアニメで特徴的なのが視聴者にキャラの考えを伝えるためのセリフが必要最小限なところ。
そのおかげで、心理描写から少ないヒントを探し出し、組み上げて予測するという楽しみが倍増!

人間って1から10まで言葉にしなくても伝わったり、人の考えを予測するのが人付き合いの面白いところじゃないですか。
人間って100%自分の思い通りにならないところが面白い、自由への欲求は不自由が無ければ生まれない。とも言いますしね。

アニメの心理描写にも同じことが言えると思うんです。
全てを説明してくれるアニメの方が視聴者が理解しやすいというメリットはありますが、面白味が無い。
例えるなら、映画見てる最中に横から色々説明してくれる人がいると楽しくないですよね、それと同じです。
逆にこのアニメみたいに過剰に言葉数を減らす作品は視聴者が理解しにくいというデメリット、つまりは楽しめない人の割合が増える危険性がある反面、難しいパズルを解くような楽しみを演出できるわけです。

もちろん作るのが難しいのは後者ですね。この作者さんはかなりの頭脳派。
まあどちらが面白いと感じるのかは見る人によると思いますけど、自分は難しい心理描写の方が好きですね(笑)

ちなみに小説やラノベのように文字が原作のアニメは前者のタイプ、つまりは全部言葉で説明するアニメになりやすい傾向が。そこはアニメ制作会社の腕次第?

■ニトロプラス
ニトロプラスの原作は銃やメカ、戦闘の知識がはんぱないですね。ビックリさせられます。
なのでバトルアニメとして評価する人が多いみたいですけど、本当に評価するべきなのは中身。このアニメはドラマが素晴らしい!
心理描写のクオリティは今まで見てきたアニメの中で最高クラスでした。

■ドイツ
サイスマスターはドイツ出身。
アイン、ツヴァイ、ドライ、というのもドイツ語で1,2,3、つまりファントムの1番目、2番目、、という意味ですね。

■アインの真実ネタバレレビューを読む


■感想ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 25
ネタバレ

love_kg さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

最終シーンの賛否両論以前に、終盤の展開について語ろーよw

原作未読です。

物語 ☆3.5
1〜3話、訓練編。4〜6話、ファントムとしての仕事。
ここらまでは展開も遅く、さして面白くは感じませんでした。

7〜10話 (11話)、逃走編?。は、良いテンポで話が進み先がどんどん気になりますね。ネタバレレビューを読む

12〜18話(19話)、キャル編。
ここが1番面白かったですね。ここだけなら☆4.2でも良い位ですよ(そんな星ねぇーよw)この章は、特に変な所もなく、様々な人物の思惑が交錯して面白い感じになってますw(語彙が貧困ですいません)ネタバレレビューを読む

20〜26話、日本編。
ネタバレレビューを読む

この章が1番の蛇足。まずいくら礼二の故郷だからって日本に来て銃をぶっ放すって言うのはちょっと雰囲気が合わないかなー。

ネタバレレビューを読む

とりあえず日本編についてまとめると!
あんまり面白くないですw
↑ネタバレタグをみてくださいm(_ _)m

作画 ☆4.0
綺麗です。稀に崩れるのはアニメなのでしょうがないです。
ネタバレレビューを読む

声優 ☆4.0
語れないので、割愛。特に何もないので☆4.0で

音楽 ☆3.0
op1、ed1、後挿入歌だけなら☆3.5でしたね。
op2はまじで無いでしょ!曲とかじゃなくて、背景の動画が何あれ?日常アニメ?は?まじ意味わからん!
ついでに、サントラは良い曲が多いんですがなんか使う場面が違うなーと思ったんですよね。プロの人に対して言ってるわけじゃないですよ!w
ネタバレレビューを読む

キャラ ☆3.5
リズィカッコいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!好きだー!
すいません、取り乱しましたw

このアニメは、
掘り下げられてるキャラと掘り下げられていないキャラの違いが大きくありますね。主要キャラに無ければ良いのですが、これがまた…(特にサイスとか、意味わからん変態じゃんw後はマグワイヤとかですかね。なぜファントムを作り、なぜ裏社会のてっぺんを目指すのか位は掘り下げて欲しいものです。)

いやーでも
礼二、アイン、キャルの3人は凄く掘り下げられていて、感情移入してしまい苦しかったですw

それとですよ!(変に語ります。)
クロウディアとリズィ!あの2人の胸熱関係?!良いですね。ネタバレレビューを読む

まとめると、
キャラ項目の1番始めの文章になりますねww

総評 ☆3.6
本当の所は物語の部分を☆4.0にしたいのですが、どうしても日本編に納得出来ない自分がいるので☆3.5として頂きたいと思います。ファンの方には申し訳ない。

この物語について、
ネタバレレビューを読む

色々と報われない話です。

最後に、
なんだかんだ言いましたが長い時間楽しませていただきました。ありがとうございます。時間に余裕のある方は是非見ていただきたいなと思います。

長文、駄文、失礼しました。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 2
ネタバレ

天啓 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

裏社会に翻弄される少年少女の物語

原作 虚渕玄
ニトロプラスのゲーム原作作品
殺し屋として育成され、組織に翻弄される少年少女を描いた作品
主人公 レイジ=ツバイ メインヒロイン =エレン=アイン
サブヒロイン=キャル=ドライ
※ドイツ語でアインツバイドライ=1,2,3 殺し屋1号、2号、3号という意味
主人公レイジはアメリカ旅行中 ギャングの抗争現場に出くわす
そこで 殺し屋アインのお仕事を目撃していまう
目撃者は抹殺するのがその世界での掟
しかし、アインはレイジの殺害に失敗 逃げるレイジ
最終的には組織に捕まるが 殺し屋として最高の称号であるPHANTOMを与えられたアインから逃げたことで、レイジにも殺し屋としての素質があることを アインを育てたサイスマスターから見込まれ
レイジもツバイとして 殺し屋の教育を受け 立派な暗殺者として成長して行く

この裏の世界 騙し、騙され 誰が味方で誰が敵なのか?まったく判らない
そんな中でアインとツバイの運命ももてあそばれる
20話まではとても面白くて 次が気になって気になって ほぼ一気見してしまいました
21話以降はアメリカでの裏稼業に見切りをつけ、アインと共に日本に帰り身を潜めながら暮らすレイジとエレン
ただ、高校二年生と一年生の兄弟という設定
これでもうガッカリ
どう考えても年齢設定おかしすぎる
ましてや21話の冒頭 2YEARS LATERという文字が流れる
それから二年後という意味だよな?
二年もたって高校生はおかしすぎ
PHANTOMとして殺し屋の頂点に立ったとき どう若く見積もっても18才は超えていただろう?

それの二年後だ
アインと初めて会った時 15才前後と思われるが そうるとアインの年齢は?

14才にしちゃナイスバディすぎるべ?
更に追い打ちを掛けるのがキャル=ドライの再登場
始めてレイジと出会った年齢が10歳程度
1年ほどレイジと暮らしたとして 再登場した年齢を考察すると
10+1+2=13才ということになるが
日本での再登場は ネタバレレビューを読む

そしてボンキュボンのナイスバディ
どうみても17~18才でしょ
この問題は多くの方が同じ感想をお持ちのようですね
後半はこれが気に成っちゃってね 
大きな減点
それに日本でも武器を隠し持っていたレイジとアインだけど
どうやって拳銃入手した 裏の組織に頼めば、居場所を教える様なもの密輸できるツテがあっても同じことだし 日本の公安はそんな甘くないですよ
それと21話以降OPが変わった
それまでは作品雰囲気にあった感じてすごく良いと思っていたのに
21話以降のOP曲は聞くに堪えないくらい酷かった
OPアニメもなんか雰囲気合わなかった
21話以降で興ざめでしたね
もう一点 気になった点
インフェルノの最高幹部 マグワイヤが何故そんなに恐れられているのか?という描写が一切無かったこと 最高幹部である以上何らかの成り上がり物語があり部下から恐れられる存在であるはずなのだが?
どう見ても簡単に暗殺できるようにしか思えなかったのも残念だった
最終話はネタバレレビューを読む

これはなんともシュールで良かったんだが 最終的にどうなるのかが読めちゃったのもちょっと残念だった。
二人には幸せになって欲しかったのだが・・・・
年齢設定とか気にしなければ 相当楽しめる作品だと思いますが
個人的には気にする方なので・・・・
そういう細かいところの設定とかしっかり作り込んでくれいたらと思うと
もの凄くもったいない作品かと思います。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 13

76.0 5 マフィアでガンアクションなアニメランキング5位
Gungrave ガングレイヴ(TVアニメ動画)

2003年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (431)
3172人が棚に入れました
権力への野心に心奪われた親友、ハリーの暴走を止めようとするも裏切りの銃弾に倒れたブランドン。皮肉にもハリーの勧めていた秘密研究により巨大な二挺拳銃と、武器を満載した棺桶を携えた人間兵器“ビヨンド・ザ・グレイヴ”として甦る。そしてまたハリーの暴走を止めるべく組織へ、そして親友へ一人戦いを挑む。

声優・キャラクター
関智一、浜田賢二、磯部勉、佐久間紅美、茶風林、子安武人、大友龍三郎、立木文彦、井上喜久子
ネタバレ

とまときんぎょ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

「あの日から 街が小さく見えるぜ…」

原作・内藤泰弘、監督・都留稔幸、脚本・黒田洋介

ひとりは寡黙で不器用な想いを抱え続ける腕の立つ青年、ひとりは上に登りつめる野心を磨き続ける切れ者の青年。うらぶれた街で戯れていた若い二人が、マフィアの世界に魅入られ…


初っ端、車でブーンとやって来た博士が大きな武器を放りつけて主人公を助けていたので (肉体改造風な整備をされていた様な割には、悪い奴らをのす時に丸腰で)、
この博士…毎回「アンパンマン」のジャムおじさんみたいにこんなお世話をするのかしら…と想像したのですが。

その後は長らく過去の話。
ブランドンと親友ハリーがマフィアの組織に入るまでと、入った後の回想譚。実写でやってもいいんじゃないのってくらい現実的な話が続く。仁義ものの様式美というか、物語の基盤がしっかりしているので、飽きずに浸ることができました。
重厚な人間ドラマを観たい方にはうってつけですね。


毎度、漬物石のようにひっそりとしたグレイヴの語りが添えられて、ジワジワ旨味が染み出します。
殺し屋 ときに 詩人…

「あの頃のオレに言ってやりたい…
守るということは 他人のために自分を顧みないこと
守り続けるとは 裏切らないことだと…」


「無口だな。無口な人は気持ちを溜め込んでるから 想いが強いって…オレの叔母が言ってた。本当なのか?」
コレははじめの頃のイイ上司のイイ台詞
イイ人は長生きしないんだろうなーって気がして、いつ死んじゃうんだろこの人 T^T と見守ってましたが、結構命拾いしてましたね。


戦争での最低最悪な命がけが忘れられねぇんだ…という二人組が出てきたあたりは、
ネタバレレビューを読む

10話越えると自らをストイックな愛に囚人のように身を捧げ切って心を殺したがためか、漬物石みたいなシンミリした語りが無くなってきて、寂しいぞ。(´・_・`)

14話越えると人物の描き方が、やたら肩幅が四角くて、上にイチゴみたいに頭が乗っかってる風だけど、もはや作画は問題じゃないんだ…いいんだ…


「何でも奪い、何でも与えられる存在になる」はずの自分の中の嫉妬がもたらした決定的なわがままが、もう取り戻しようのない間違いを犯したんだと気づいた時のハリーの混乱が痛々しい…。焦るくらい人間臭く、胸を締め付けられましたが、その後は思い出すことも無く生きて来た様子がまた「ありそう」でした。
ハリーの声の人が交代して、年齢とともに声色が太く暗く変わっていましたが、違和感なくハッと時の経過を感じさせます。


マリアが選択した幸せは、至極普通で純粋なものだったんだなと、最期の状況を観てうるうると思い。叔父様迎えにきちゃうんだもん。(/ _ ; )もうここだけ昔の少女漫画。*・゜゚・*:.。..。.:*・
人外と少女の組み合わせは好きなんですが、本作のグレイヴとミカにはいまいちキュンと来ず。んー、なんでだろ。ブランドンを見守るビッグダディとマリア、かつての上司と同僚達の眼差しのほうがキュンとしましたよ。

ハリーは還りたい時代を思い出せて、空っぽじゃなくなれたのかな、と。



テーマソングやサントラがものすごく良いです。いいシーンには使いまわされていないいい曲がかかる。
音楽は「トライガン」や「はじめの一歩」のサントラを手がけられているギタリスト今堀恒雄。
トライガンの時より深みがあって、テーマの「ファミリィ」揺らぎのある音が耳触りよく、すごくカッコイイ。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 28

ルル さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

レジェンド作品

ゲームを元に制作された作品。ゲームは未プレイ。


『スラム街でうだつが上がらないチンピラ生活を送る「無口で不器用なブランドン・ヒート」と「野心家のハリー・マクドゥエル」の親友の2人。喧嘩に明け暮れ自堕落な生活が続いていたある日こと、街に巨大マフォア組織「ミレニオン」のボス、通称「ビッグ・ダディ」が偶然訪れたことをきっかけに2人は「ミレニオン」に加わることになる。こうして名実共にマフォアの一員となった2人は、やがて組織の中で頭角を現し始め上へ上へと出世階段を昇り詰めていく。だが、2人は気づかなかった。固い友情の絆で結ばれていたはずの2人の間に、徐々に不穏な空気が漂い始めていた事を・・そして・・』という全26話の物語。 制作は、「マッドハウス」で、キャラクターデザインと原作は、「血界戦線」の「内藤泰弘さん」です。


実話、私はずっと前からこの作品が名作である事を知っていたんですよ。他の方のレビューも恐ろしいほど軒並み高評価ですしね。ただ、何せ26話もあるので時間が無くて指をくわえて放置していました。しかし今回は思い切って観てみました。で、観終えた率直な感想なんですけど、名作の名にふさわしい名作でしたね。途中からはアニメを観ているという感じが段々と無くなってきて、コッポラやタランティーノやリュック・ベッソンのクライム映画を観ているような感覚になりましたよ。観始めたら止まらない状態になってしまい、「あと1話だけ観てから寝る、あと1話だけ観てから絶対に寝る」の連続。こうして自分に負け続けた結果、とどのつまりの朝の5時。寝不足で死にそうになりましたよ。アホですよね~私は(笑)


この作品は、ざっくり大きく分けて「過去篇」と「現在篇」の2つで構成されています。「過去篇」は2話~16話で、「現在篇」は残り全話です。あっ それから、第1話はとりあえず意味が分からないと思いますが、そこで切らずに我慢して2話を観てみて下さいね。2話からはいよいよ過去篇が始まりますので。そこからが本番なんです。マフォア組織に加わったブランドンとハリーがどんどん成り上がっていく姿は必見ですので心して下さいな兄貴。特に14話は神回ですぜ。


この作品は、2003年~2004年に放送されたのですが、キャラクターデザインにそれほど古さを感じませんでした。


声優陣が重鎮ばかりでキャラの魅力アップに華を添えてくれていました。中には亡くなられた声優さんもいます。私が個人的に好きなのは、哀愁を感じさせる渋い声「ビッグ・ダディ」役の「家弓 家正(かゆみ いえまさ)さん」と、イケボな低音でジンジン響いてくる、ヘッドホンで聴いているとやばい「ベア・ウォーケン」役の「大友 龍三郎さん」ですね。特にウォーケンは良かったなぁ~。ナイスミドルの魅力というやつです(*´⊥`*)ポッ


人を狂わせるものと言えば金・権力・女(男)など、大抵相場は決まっていますが、25話と最終話では何かを犠牲にしてそれら全てを手に入れた者の悲哀が描かれていました。見所満載ですよ。また、過去と現実が入り乱れる演出も見応えがありました。ちなみに私は最終話でブランドンに泣かされちゃいましたよ。つまり見事ブランドンに心を撃ち抜かれたわけです....。←カリオストロ風オチのパクリとか言う突っ込みは一切受け付けません。(笑)


注)徹夜でアニメを観るのはやめた方がいいです。これはホントの話。人に気付かれるくらいのクマを目の下に作る事になります。おまけに何者にもなれません。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 38

セメント さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

お前を撃つなんて、出来ないよ

うおおおおおおおおおおおお(雄叫び
熱い!熱すぎる!ハードボイルド!!!
男の友情、これより熱く厚いものなんて存在しないでしょう
ガンアクションが売りのゲーム原作でありますが、
むしろゲームの設定が足枷になってるような(ry
隠れた名作、見た後はオサレアニメ症候群に罹るも致し方なし


ストーリー重視型アニメです
構成がなかなか挑戦的な組立になっており
1話が視聴者をその世界に突如としてほっぽりだしたかの如く、何の説明もなくストーリーが始まります
その後、2話からは過去編が、そして17話になると、1話の時系列に戻ってきて、一気に最終章へと駆け上がります
1話の視聴者放置プレイを食らって切ってしまう人は人数いたと思われますが、大いに勿体ない
全体を通しての盛り上がりを演出する一つのファクターであり、事実過去編の中でほどけていく1話との繋がり、それからの展開も含め、満足のいく出来となってます
そして最終回、回想に入ってのあの締め方、もう最高です
ブランドン・・・ハリー・・・

制作はマッドハウス、シリーズ構成は黒田洋介氏
作画は崩れ気味です、映像自体が暗くて見にくいというのもありますが
チンピラ時分、ミレニオン下っ端時分、メガネスーツ時分、そしてスペリオール時分、様々な人物たちとの関わりの中で繰り広げられる時には熾烈な、時には心温まる人間模様
一切シリアス調、迫力ある演出は流石マッドハウス制作とも言うべきでしょうか、巧いものです

声優はハリーの声変わりすぎだろ、とは思いますが
まぁ物語を見れば納得するような、しないような
あとは文治さんスかね、立木文彦をして関智をアニキと呼ぶ作品はこれ以外ないでしょう
ボブコプター役の茶風林さんのビチクソォォォォッや
バラッドバードリー役の子安さんのヨクモデースや
色々すごい台詞がありましたね・・・

音楽について言及するならば、やっぱオサレ走り(ry
ED「茜色が燃えるとき/Scoobie Do」でしょうね、あのオサレ走り(ry
いまに!
OPもかっこいいです、歌はありませんが

ウィッジとゲーリーは良い奴らでした・・・


実写映画化が決定したわけですが、どうなるんでしょう・・・
確かに映像的に映えそうな部分は多々ありますが
実写か・・・

投稿 : 2025/03/01
♥ : 17

80.4 6 マフィアでガンアクションなアニメランキング6位
BANANA FISH(TVアニメ動画)

2018年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (555)
2515人が棚に入れました
ニューヨーク。並外れて整った容姿と、卓越した戦闘力を持つ少年・アッシュ。ストリートギャングを束ねる彼は手下に殺された男が死ぬ間際に“バナナフィッシュ”という謎の言葉を発するのを聞く。時を同じくして、カメラマンの助手として取材にやってきた日本人の少年・奥村英二と出会う。二人はともに“バナナフィッシュ”の謎を追い求めることに──。


声優・キャラクター
内田雄馬、野島健児、平田広明、石塚運昇、古川慎、細谷佳正、川田紳司、福山潤、森川智之、千葉翔也、斉藤壮馬、上田燿司、小形満、村瀬歩
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

どうせみんなホモになる

自分には珍しい原作既読。ネタバレレビューを読む

15話までの感想ネタバレレビューを読む

最終回までの感想ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 10
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

キース・へリングやバスキアが生きた時代

2019.01.03記


原作未読


書店で平積みされてたり、学校で女子が話題に挙げてたような挙げてないような。20年以上前の記憶です。
タイトルだけは知っていて中身がどんなか知らないものの、吉田秋生先生でノイタミナでという話題性に食いついてみました。

全24話2クール作品です。
舞台はアメリカN.Y。若くしてストリートギャングのボスであるアッシュ・リンクス(♂)は容姿端麗・頭脳明晰・殺人スキルも無問題の完璧超人。イラクで消息を絶った兄が残した「BANANA FISH」という単語を追って動き始める。
同じ頃、カメラマン助手として日本からやって来た青年奥村英二がひょんなことからアッシュと出会い、BANANA FISHを巡るいざこざに巻き込まれながら友情を育んでいく物語です。
けっこうハードなクライム・サスペンスで、コルシカマフィア、華僑の闇勢力、ストリートギャング、はたまた国家機関も出張ってきての組んずほぐれつ。諸悪の根源はBANANA FISHということになるんでしょう。

設定が設定だけに人が死ぬのはしょうがないとして、これでもかこれでもかと不運がアッシュに降りかかるのが本作の特色でしょうか。
30年前なら『おしん』、20年前なら『家なき子』、最近だと『東京喰種』の金木研ばりに過酷な試練の連続です。どうしようもない沼に嵌りこんでいるアッシュをもうこれ以上いじめないでください、となります。
このアッシュに共感できるなら作品にすっと入れると思います。
対する英二は平和ボケの権化みたいな向こうの人から見た“Tipical Japanese”を地でいく青年です。私は苦手なタイプですが、なぜか完璧超人アッシュにとっては安らぎを得られる存在。
生い立ちから歩んできた人生からまるで違う二人がなぜ共鳴し合えるか?
この友情物語を紐解くカギとなります。


私はけっこうながら見でした。
英二がまぬけというか、いや普通そんなんやったら死ぬで!の局面でけっこう素っ頓狂な行動を取ったりでイライラが募り、ストーリーに没入するのを邪魔します。
アウトローが自分に無いものを求めて無垢な存在に惹かれるというモチーフはよくあるため、逆側の無垢な存在がどうアウトローにシンパシーを感じるかの部分で弱い気がしました。

『だから二人は惹かれ合うのね』

ここがもっと欲しかったかな。男同士、女同士、男女でもそれは変わらないと思います。
クライム・サスペンスと友情物語がリンクする作風の中で、前者がなかなか面白いのは事実なものの、後者がしっくりこないと早々に“腐”認定してとりわけ男性視聴者が離脱してもおかしくないでしょう。
逆に両者がかちっとはまるとめちゃくちゃ面白く感じそうです。私はその一歩手前でした。

とはいえ完走はできました。佳作の域にはあると思います。

※メモ//石塚運昇氏遺作



■余談 
地味に良かったのがN.Yの雰囲気。
1985~1994年連載の原作でベトナム戦争帰りの設定だったのがアニメではイラクだったり、スマホがあったりと現代に合わせた調整はしょうがないとしても、ベースとなったであろう1980年代前半の超凶悪な街N.Yの雰囲気がよく出てたのは良かったです。
今と違って観光客が地下鉄に乗るなんてご法度もいいところで、昼間でもサウスブロンクスを歩けるわけがなく、例えばタイムズスクエア近辺のホテルから地下鉄でヤンキースの試合を観戦しに行くことは「死にたいの?」という世界。・・・だったらしい。なにぶんこの時期ガキンチョだったので見聞きした話です。
一方でアートやファッションはとても魅力的だったり。キース・へリングやバスキア。元は落書きの“グラフィティ”は画集を買ったこともあるし、ヒップホップも発祥はこの頃のN.Y。自分がはまったのはちょっと後の東と西でドンパチしてた頃ですが、私には興味惹かれる場所なり時代だったりします。

作中でも地下鉄でドンパチ普通にやるし、建設中ビルや廃墟などいたるところで銃声が響きます。このやさぐれ感はたまんなかったです。

リアルのN.Yで初の黒人市長が出て警官増員したのが1989年。ジュリアーニの登場が1994年。治安は急速に改善してきました。
私の初N.Yが2001年だったのでその頃はもう快適に過ごせましたね。

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やっぱり、あんな危ないエリアだったりストリートの悪がきがたむろするところを無警戒でほっつき回る英二って“なんだかなぁ”と思う私でした。


■余談2 ※最終回ネタバレ有
国民的愛唱歌『とんぼ』言わずと知れた長渕剛の名曲ですが、元は本人出演ドラマ「とんぼ」の主題歌です。
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2019.06.02追記
《配点を修正》

投稿 : 2025/03/01
♥ : 53

Jacks さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

二人が紡ぐ絆

街の中に紛れ込んだ男。その男の名は誰も知らない。彼は殺しと仲間の為に生き、そして自分の為に戦う。だが、それだけではない。
復讐、償い、親友。これらは彼にとって大きな鍵となっている。特に親友...もう一人の少年は彼を慕っている。二人は互いに強い絆で結ばれた間柄なのだ。
もしその少年と別れてしまったら、彼はどうなると思う?怒りと悲しみ。あらゆる感情に左右され、成すべき事を見失ってしまう。その可能性がある。
出逢いは難しそうで簡単にできるが、別れはすぐにやってくる。死が二人を分かつまで、彼は足掻く。たとえどのような目に遭っても。
彼がその親友と仲間達を大事にする引き金となったのは、彼自身のモットーだ。同時に彼を取り巻く多くの陰謀と黒幕が関与している。
果たして彼は突き付けられた現実を輝かしい未来へと変えることができるのか?それとも、このまま堕ちていくのか...

舞台はアメリカ。本作の主人公であるアッシュ・リンクスはギャングのボス。彼は自らの手を汚してまで今の地位にのし上がってきました。
裏社会という名の犯罪行為は頻繁に起こり、その中でアッシュは生きています。頼れるのは自分の力と仲間達との協同です。特にショーターはアッシュにとってかけがえのない存在。
そして訳あって日本から来た奥村英二(おくむらえいじ)もアッシュの仲間の一人。彼らは次第にお互いを大切に思いやるようになります。
アッシュの本心はこの闘争を一刻も早く終結させ、英二達と一緒に平和で幸せな日々を過ごす事でしょう。それがアッシュにとって非常に望ましいと僕は思っています。
しかし、それを邪魔するのはゴルティネを始めとした極悪非道な連中。アッシュは何度も苦渋を味わい、拷問に近い罰を受け、そして時には利用されることになります。
それでもアッシュは諦めません。何故なら、彼には確固とした信念があります。目の前の敵を躊躇なく殺す。それが強き者の使命であり、宿命です。

本作の魅力は何と言っても非常に作り込まれた登場人物と世界観。MAPPAの美麗で安定的な作画も相まって、鮮明に描かれています。
アッシュは基本的にクールで頭脳明晰。自分が認めた人間を受け入れる寛容さも兼ね備えています。とにかく渋いですね。
英二は世話焼きで心優しい少年。アッシュを友人としても仲間としても意識していて、そこに好感が持てます。
他にも李月龍(リー・ユエルン)という後々のエピソードに登場するキャラもいますが、彼もまた魅力的です。
個人的にシン・スウ・リンも好きですね。声と容姿が僕のタイプだからでしょうか。良い意味で威勢のある好青年です。

僕は原作を読んでいませんが、吉田秋生(よしだあきみ)さんの類まれなエッセンスとストーリーテリングが本作を絶妙に味付けしています。
利口で筋の通った会話の数々、予想の斜め上を行く流れ、スリル満載の怒涛の展開。これでもかというぐらいバラエティに富んでいて、視聴者を飽きさせません。
少女漫画らしからぬハードボイルドな作風が本作の特徴ですが、随所に挟まれる意味深なシーンや柔らかな絵柄が実に優秀です。そこに少女漫画らしさを感じます。
台詞回しも海外ドラマのようなカッコよさですね。現代版ゴッドファーザーと言うべきでしょうか。マフィアものが好きな方はハマること間違いなしです。
比率としては男性キャラが圧倒的に多く、女性キャラは申し訳程度でしか出演しません。そこに好みは分かれるでしょうが、僕は気に入っています。

OPとEDは素晴らしいの一言です。1クール目のOPはこれから壮大な物語が始まる予感を匂わせ、EDはアッシュの葛藤が精巧に描かれています。2クール目も同様です。
Survive Said The Prophetの記念すべき初テレビアニメのタイアップでもあります。歌詞とメロディが本作に合いすぎです。そしてカッコよすぎる。
僕は本作がきっかけで、このバンドのファンになりました。僕の好きな音楽はロックとメタルなので、相性はバッチリですね。
King Gnuも本作のおかげで僕は彼らのファンになりました。ミクスチャーとは思えないほど本作に合った曲調に天晴れです。
声優陣の演技も完璧で、キャラにピッタリです。特にアッシュ!彼の魅力が更に増したのは言うまでもないでしょう。

生々しくて胸が痛くなるようなシーンが多い。これは話の展開上仕方がないかもしれませんが、確実に人を選びます。

人間は窮地に陥っても必ず救いはあります。それを改めて実感させられたアニメがBANANA FISHです。
本作は決して万人向けではありません。遥か彼方の程遠い位置です。それぐらいリアリティがあります。
ですが、僕はこの作品を多くの人々に推したい。理由は単に面白いだけでなく、身近にいる大切な人達のありがたみを再び知ってほしいからです。
僕はアッシュと英二が羨ましいです。二人の関係性は僕と実兄に似ています。それだけ本作に感情移入しています。
原作と同様に後世に語り継がれてほしい名作です。僕は明らかに過小評価だと思っています。もっと観られてもらいたいです。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 1

67.5 7 マフィアでガンアクションなアニメランキング7位
NOIR -ノワール(TVアニメ動画)

2001年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (232)
1770人が棚に入れました
パリで裏の仕事を営むミレイユ・ブーケは、ある日、夕叢霧香と名乗る日本の女子高生から不思議なメールを受け取る。そのメールから流れてくるオルゴールの曲を耳にして、ミレイユは驚愕した。その音楽こそ、かつて家族が惨殺された日、現場で流れていた曲だったからである。
ミレイユは霧香にオルゴールの曲について尋ねるために日本へと飛ぶが、霧香は過去の記憶を失っていた。そして、とある事件がきっかけで二人はコンビを組み、裏社会の仕事人として仕事を始めることになる。ユニットの名は「NOIR(ノワ-ル)」。
様々な依頼をこなすうちに2人は真のパートナーとしての絆に目覚めていくが、そんな彼女達の前に秘密組織ソルダの影が忍び寄る。
ソルダとは一体何なのか?その正体は?そして「ノワ-ル」の名が持つ真の意味とは…?

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

「あなたと私の過去への巡礼…」

この作品は2001年春から放送された「銃と少女」をコンセプトとした2クールのオリジナルアニメ作品です。
作品に関する事前情報といえば、音楽を梶浦由紀さんが担当されている事くらい…

梶浦さんといえば、魔法少女まどか☆マギカやソードアート・オンラインといった超人気作の音楽を担当されていますが、コゼットの肖像やPandoraHeartsなど、少しマイナーでも梶浦サウンドを思い切り堪能できる作品が存在します。
そういった事から考えても梶原さん目当てで作品を視聴しても大きく外れる事は無いと思っていましたが、今回も予想通り外れクジではありませんでした。

この物語の主人公は、高校生の夕叢霧香(ゆうむらきりか)…パッと見は普通の女子高生…ですが、彼女には自分の過去に関する一切の記憶がありませんでした。
目覚めた時に彼女の持っていたモノの全ては「ノアール」という単語の記憶と飾りの入った懐中時計だけ…

そんな彼女の前に現れたのは銃を持った刺客の数々…
もちろん目覚めたばかりの彼女は銃を持った屈強な男たちに追われる理由なんか分かりません。
ただ一つ分かっている事といえば「自分が殺らなきゃ殺られてしまう」事だけ…
でも不思議と彼女には対処すべき技が身体に染み付いていて、次々と襲い来る刺客を次々と返り討ちにしていくんです。

「自分の過去を取り戻したい…」
こう考えるのはごく自然の摂理だと言えるでしょう…
彼女はパリで暗殺代行業を営むミレイユ・ブーケに一通のメールを発信するのです。

メールを受け取ったミレイユは、頭を金槌で殴られた様な衝撃を受けました。
メールから流れてくるオルゴールの音色はかつて両親の持っていた懐中時計のメロディーと同じだったから…
ミレイユの両親は、ミレイユがまだ幼い頃に何物かによって暗殺されていたのでした。
だからミレイユの頭の片隅には「両親の敵討ち」が離れる事はありませんでした。

日本に渡り霧香と接触したミレイユでしたが、霧香の持っていた懐中時計以外、彼女の敵討ちを進展させる情報を得る事はできませんでした。
「自分の過去を取り戻したい」霧香と、「両親の敵討ちしたい」ミレイユはお互いの利害関係が一致することから、パリで共同戦線…暗殺ユニット「ノアール」を立ち上げ物語が動いていきます。

銃自体の扱いに長けたミレイユと、全身とありとあらゆるモノを殺傷道具にしてしまう霧香とのコンビは最初はチグハグでした。
この作品の見どころの一つは、この暗殺ユニットの成長していく様だと思います。

ミレイユはこれまでずっと一人でした。
相手の事を考えながら生死を掛けた殺し合いなんてできる筈がない…
だってもしもの時の足枷になる…

確かにミレイユの考え方もある意味では正しいと思います。
有事の際のリスクを最小限にするという事においては…
でも「ノアール」での活動を通してミレイユはリスク以上のモノを手に入れたと思います。

活動の幅とバリエーションが広がり、戦闘時におけるリスクを分け合うことができるから…
誰とでも…という訳にはいかないと思います。きっと霧香とミレイユだからこそ、色んなモノを分かち合えたんだと思います。
お互いがお互いの背中を預けるに足るスキルを身につけている…これってやっぱりどんな場面でも大切な事なんですね…

二人が自分たちを「ノアール」と名付けたのは、かつての偉大な暗殺者の伝説にあやかったからでした。
でもこの世には「真のノアール」が存在する…という事実が明らかになった以降、物語の転がり方がこれまでと比べてだいぶ異質に変化したと思います。

これまでは二人の仲を育んできました。
でも、二人の間に様々な横やりが入る様になったんです。
それは物語の核心に近づいているから…

霧香とミレイユへの下に執拗に繰り返し送り込まれた刺客の数々…
全ての免罪符の様な「真のノアール」の存在…
それぞれに意味があり、それらは1本の糸で繋がっていました。
全ての手札が揃い、そして大鉈が振り下ろされる…
物事の真実と二人がどう向き合うのか…気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、ALI PROJECTさんの「コッペリアの柩」
エンディングテーマは、新居昭乃さんの「きれいな感情」
オープニングの旋律はかなり独特で一度聴いたらフレーズが頭から離れない系の曲でした。

2クール全26話の物語でした。
しっかりと物語が完結している事が素直に嬉しく思えます。
アニメの持つ販促性の高さも理解できますが、やっぱり腰を据えて制作頂いた作品は確実に見応えが増すと思います。
過去作の視聴も細々ですが、これからも継続していきたいと思います。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 14

雀犬 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

黒百合物語

【概要】
 2001年春-夏に放送された全26話のオリジナルアニメ。dアニメストアで視聴しました。ノワールとは「黒」を意味するフランス語。

 パリに住み裏社会で名を馳せる殺し屋ミレイユ・ブーケ、記憶を失い本名すら忘れてしまったが超人的な殺人術を身に付けている夕叢霧香(ゆうむら きりか)。2人が出会い、暗殺ユニット「ノワール」を結成し「過去への巡礼」を始める美少女ピカレスク・ロマン。

【感想】
 序盤は1話完結形式で、2人の過去にまつわる話はじわりじわりと進行する。話が動くのは後半からですね。今のアニメに比べると台詞が少なめでスピード感に乏しく、同じシーンの繰り返しも多いので一気見はしんどいかもしれない。

 見所はやはりガンアクションでしょうか。色々凝った演出で楽しませてくれます。ただ後半はやや単調になります。ガンアクションの宿命か、当たると致命傷になってしまうので、当然のことながら主人公の2人はなかなか弾が当たらないんですよね。黒服に何人囲まれようが、弾を平然と交わしていきます(笑) 引き金を引くのを躊躇って取り逃がす場面が敵も味方も多すぎるんですが、これもピンチの場面ではそうせざるをえないガンアクションのお約束というものか。あと、放送当時は表現規制が厳しかったのか撃たれても流血することがなく、やや違和感あり。

 メインストーリー(真相)は引っ張ったわりにやや平凡な印象を受けた。マスターキートンにようにヨーロッパの文化・風習・歴史あるいはミリタリ蘊蓄を盛り込んで話に厚みを持たせた方がよかったかもしれない。

【作画】
 背景は良く書き込まれており、ヨーロッパの街並み・景観・自然はデジタル作画にはない絵画的な味わいがあって素晴らしい。

 キャラデザインはちょっと古い感じがします。あと目の大きいキャラと小さいキャラの差がありすぎるようにも思う。終盤に霧香が覚醒して目つきが鋭くなるのだけど、ややギャグっぽくなってしまった感があります。あと、アイキャッチが超ださい。

【音楽】
・オープニングテーマはALI PROJECT「コッペリアの柩(ひつぎ)」
・エンディングテーマは新居昭乃「きれいな感情」

 とにかくOP曲が耳に残ります。気が付くと「♪コッペリアの柩~♪」が脳内で無限再生されるので注意が必要。「ロッテリアのひつじ」に空耳するという声もある。ED曲はあまり印象に残らず。

 そして梶浦由記さんの音楽が最高に良いですね。ムードたっぷりで曲数も豊富。中でも戦闘時にかかる「salva nos」は必聴。

【百合】
 「ノワール」は深夜アニメにおける百合の古典としても知られています。暗殺者コンビ、ミレイユと霧香が紡ぎ上げる奇妙な絆に注目して見るべき作品です。

 すでにヨーロッパの暗黒街を舞台に「裏の仕事」を引き受け名も上げていたミレイユが霧香をパリまで連れていき一緒に生活し世話をするという保護者的な関係で始まる。
 
 2人で仕事をこなし死線をくぐるうちに強い信頼関係が生まれ、霧香はミレイユに対して親愛の情を深めていくのですが、実は戦闘能力にかけては霧香の方が数段上で、実際にミレイユはピンチを霧香に助けられる場面も多く次第に霧香に対してコンプレックスを抱くようになるのです。

 そこに「真のノワール」を名乗る第三の女、キリエが加わりますます混沌としてくる。やがて真実を知った後、非情な試練が2人待ち受ける…

 仕事のパートナー以上の存在でありながら、親友でもなく、姉妹でもなく、恋人でもなく、「ノワール」という固有の名称でしか表現できない関係性。殺し屋として罪を重ね続け、他の道を選べぬ呪われた少女にとっての唯一つのよすが。うーん、これこそが至高の百合なのかもしれないな。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 16
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

絡まった2つの謎と2人の殺し屋の乙女。脚本と音楽が素晴らしい良作です。

 2001年時点で暗殺者がヒロインになるアニメは極めて珍しかったと思います。マンガでは「あずみ」がありました。アニメは女性のバディものガンアクションで「ガンスミスキャッツ」があるくらいでしょうか。この後「ガンスリンガーガール」などが登場します。

 本作は、毎話「ノワール、其は古よりの定めの名、死を司る二人の乙女、黒き御手は嬰児の、安らかなるを守り給う」という詩の朗読があります。これがなかなか良くてOPから含めて作品に入り込んでゆきます。

 1話。時計そして音楽をモチーフに記憶を無くしたJKとフランスの美人殺し屋ということが一気に説明され、あっという間に引き入れられます。

 2話以降、この記憶をなくしたJKと美人フランス人殺し屋のバディものとして、2クールで話が展開します。時に本筋と関係ない話も入りますが、1話の脚本として内面描写や郷愁を感じさせる出来で、引き延ばし感や中だるみ感は感じませんでした。

 アクションシーン、特にピンチの場面の描写に若干時間的間延びがあり、ツッコミを入れたくなりますが、これは古いアニメの演出なので極めて短い時間を詳細に描写しているものとして受け入れましょう。

 2クールものですし、内容がシリアス寄りですので一気見には向きません。「刺激」や「緊張感」は麻痺が来るので、段々退屈すると思います。1日1、2話。多くても3話くらいで余裕があるときに見た方がいいと思います。

 で、後継の「マドラックス」と極めて雰囲気は似ています。作画、演出、アクション、音楽性、展開、キャラ配置など。ですが、本作にマドラックスのような難解さ、オカルトはあまり感じません。
 その割には、ガンアクションものとしてもそうですけど神秘感や、死と隣り合わせのアンニュイな雰囲気が出ていました。

 脚本が秀逸で展開、謎解きについて物語、構成がよく練られていました。初めの詩や時計・音楽、そしてパリの雰囲気が上手く活きていたと思います。

 謎部分は見てのお楽しみですが、要するに宗教原理主義、歴史の裏、暗殺者として生い立ち、少女と女性は最後どうなるのかを見極める話です。
 クールそうに見えて、実は2人とも友情や家族愛に隙があるのがキャラに感情移入できる要因になっている気がします。

 で、最後の謎部分です。
ネタバレレビューを読む
 作品の根底に流れる無常観、アルテナ・ソルダの両方に対する自分たちの解答、殺人行為の清算と言う意味でもそういう結論がしっくりくると思います。

 アクション要素の他、絡まった2人の謎解きとどうやって2人の殺し屋の乙女が生きてきたかという運命について考えてしまう作品でした。テーマ性は重視せず、運命についてのモヤモヤを咀嚼するのがいいと思いました。そこがラストの解釈になってくると思います。
 エンタメ性を保ちつつ、殺伐とした世界観と詩情を融合させて、最後には感動と言うよりも、切ないながらも納得の行く作品になったと思います。素晴らしい脚本でした。

 音楽はOP、EDもいいですけど、BGMも聞かせました。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 7

63.0 8 マフィアでガンアクションなアニメランキング8位
MADLAX マドラックス(TVアニメ動画)

2004年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (166)
1070人が棚に入れました
近代化を推し進める政府の国王派と、それに反発する反政府組織ガルザとの間で12年の長きに渡り内戦を続ける、ガザッソニカ王国。
そこでは、あるエージェントの存在が、政府軍兵士と反政府ゲリラ双方の間で知れ渡っていた。驚異的な戦闘能力を誇る美少女の名はマドラックス。
一方、先進国ナフレスに12年前の記憶をなくしたマーガレット・バートンという一人の美少女が、何不自由ない普通の生活を送っていた。
全く別々の場所で対照的な生活を送る、マドラックスとマーガレット。しかし、マーガレットが自宅で見つけた赤い本の秘密を探り始め、ヴァネッサが内戦の原因を探るためにガザッソニカに飛んだことで、隠されていた二人の接点が明らかになっていく…。
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

意図せず生まれた純文学といえるかもしれません。

 本作は意図しないで出来上がった純文学なのかもしれません。純文学とは大衆に迎合しないことで、その意味では本作は文学ではありません。演出、構成、キャラ、音楽、そしてストーリー。どれをとっても計算して作ってあります。大衆向けのエンターテイメントです。

 ですが、見ている側からすると「どうしてそうなるの?」が語られません。ガンアクションなのか、ファンタジーなのか、サスペンスなのか。いろんなことに幻惑されうちに、いつの間にか人の内面について考えさせられます。
 エヴァ以降世界観だけを見せて「理由」を語らないアニメが増えましたが、その一つの到達点として意図しない純文学的なアニメになっていると感じました。

 ストーリーです。ストーリーは不思議な構成で、主要な登場人物の誰に感情移入しても、何かが見える、ということです。ここがこの物語の文学性を高めています。

ネタバレレビューを読む

 と、書きだしたらきりがないくらいに多面的に人間の欲望や感情というものを見せてくれます。もっといえば存在の虚ろさみたいなものが随所に感じられます。

 物語は謎が多いしギミックや伏線が多いせいで複雑に見えますが、そこは最後まで見れば解決します。不思議なテンポというか間が美しい音楽とマッチして、普通のアニメではない独特の雰囲気を醸し出しています。

 ガンアクションだと思われがちですが、人の内面について考察できるアニメだと思います。製作意図は恐らくもう少し違ったものかもしれませんが、一度じっくり見ると純文学のように持て余した感情を後に引きずるでしょう。

 ヤンマー二でギャグみたいに思えるかもしれませんが、音楽のクオリティーの高さには驚きます。エンディングのモノ寂しい雰囲気が大好きでした。オープニングの歌詞がかなりストーリーの本質に迫っているかもしれません。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 3
ネタバレ

ヌンサ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

イニシエーション

「ノワール」(ずっと「NOIR」だと思っていたのですが、カタカナ表記が正式なタイトルのようです)「エル・カザド」と並んで"美少女ガンアクション三部作"と言われている作品の第二弾です。

例によって真下耕一監督アンド"美少女×銃"大好き人間なので、果たして皆さんが参考にできるレビューと言えるかはわかりませんが(笑)、やっぱり面白かったです!

マドラックスを執拗に追いかけるイメルダ・ユルグからは「エル・カザド」のL・A(性別は違いますが)、ナハルからは服装を含めて「ノワール」のクロエを感じる(クアンジッタ・マリスンはもちろんアルテナ)
など、"三部作"と言われるのも納得の既視感があります(だが、それが良い!)。マーガレット・バートンに至っては声優からしてモロ「ノワール」の夕叢霧香・・・(笑)

放送時は911から間もないということも関連してか、"戦争"が作品全体を薄っすらと覆っています。エリックが劇中で語る自分と世界の距離感というものは完全に「機動警察パトレイバー 2 the Movie」で語られたアレです。ガザッソニカのアジア感はベトナム戦争っぽくもあり、「BLACK LAGOON」のロアナプラっぽくもあり・・・。

飛行機事故のくだりで「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」を思い出したり、カロッスア・ドーンやフライデー・マンデーからムスカ臭を嗅ぎとったりもしました(笑)。終盤にマーガレットと二人でいる感じはまさにラピュタ(?)

声優陣では、有名かつ真下監督作品でもお馴染みの面々が名を連ねる一方、エリノア・ベイカー役の内川藍維さんに注目しました。ヘタウマな感じ(失礼)が非常にクセになります
(出演作品の数を見ると、長所になっているわけではないみたいですが・・・(^-^;)。

金田朋子さんもめっちゃ良かったです、っていうかキャラクターの中ではレティシアが一番かわいかったです!特に目。

梶浦由記さんによる音楽が素晴らしいことは言うまでもありません。彼女が音楽を担当したアニメをもっと見たい・・・と思ったら、たまたま僕が見ていない作品を担当しているだけでした(;^ω^)

年齢的に難しいのかもしれませんが、真下耕一監督の新作を是非見てみたいと改めて思いました。"美少女×銃"でも、「無限の住人」や「へうげもの」に通じる時代劇でも、監督の集大成と言えるテレビシリーズを切望します。(調べてみると、ビィートレインがアレしてしまってるみたいで心配ですが・・・)


P.S.めっちゃネタバレになるのでやめたレビュータイトル候補→ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 4

nori さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

隠れた名作ハードボイルド系

2000年代の深夜アニメでは1番だと思ってます。当時リアルタイムでも観て
DVDでも見ました。
張り巡らされた伏線、世界観BGM 世界も国をまたいで2世界と異世界もあるし
マーガレット以外のキャラクターが狙いすぎの萌えみたいなのがないし
女キャラ多いけど、エロとか萌えとかで釣るような内容じゃなくキチンとリアル気味に描写されていてそれぞれ生きている感が伝わってくる感じ
内容自体は人を選ぶかなりハードな内容ですはっきり言って娯楽感は捨ててる内容です これぞ深夜って感じでした。
真下監督のEATMAN辺りが好きな人に完全にはまります。
リアル気味に描写されてるけど、戦闘自体はファンタジーっぽい感じもあります主人公の存在理由にかかわりますがあと戦闘はあっさりです、戦闘のアクション自体が見どころの作品ではない感じです。 イカにもガンアクションが好きな人にも向かないと思います ネットとかでキャラクター人気とかがいまいち出なかった理由もわかります、ハードすぎる話で見る視点によればつまらないと感じるでしょう、 人がいきる意味 自分探し的な要素 家族愛と戦争 憎しみ など テーマは重いですが見ごたえあります。マーガレットのキャラ絵で萌え系の軽い作品かなと思ってみるとなんじゃこりゃーとなりますのでご注意を。
EATMANもそうでしたが視聴後に考えさせられる作風です。鬱気味になるかもしれません。
 追記 今さらで古いですが BGMが相当良いので サントラ1と2
は聞いた方がいいです kalafinaになってからの梶浦より良いと思いました
MADLAXのサントラは定期的に番組とかで切り出されて使われてるようです。
マイナーな楽器チェンバロみたいな古楽器が使われてたりしてクオリティは高いです。 マスタリングは言うほどでもないので高給なオーディオで聞くと粗が見えますが、クラシック聞いてる人でも聞けます。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 4
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