ポリゴン・ピクチュアズで未来なアニメ映画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがアニメ映画のポリゴン・ピクチュアズで未来な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月22日の時点で一番のポリゴン・ピクチュアズで未来なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

70.1 1 ポリゴン・ピクチュアズで未来なアニメランキング1位
GODZILLA 決戦機動増殖都市(アニメ映画)

2018年5月18日
★★★★☆ 3.8 (62)
289人が棚に入れました
「ゴジラ」シリーズ初のアニメ作品として製作された劇場3部作「GODZILLA」の第2章。ゴジラに蹂躙された地球を取り戻すため決死の戦いに挑んだハルオをはじめとした人類だったが、地中深くから現れた真のゴジラ=ゴジラ・アースに敗退。ハルオは、かつての地球人類の生き残りと目される「フツア」と呼ばれる民族の少女ミアナに助けられる。フツアもかつてゴジラに敗れたと言い伝えられていたが、彼らの持つ金属のナノメタルが、21世紀に対ゴジラ決戦兵器として開発されたメカゴジラを構成する物質と同じものであることが判明。メカゴジラの開発プラントがいまだ残されていることが明らかになり…。

http://godzilla-anime.com/

声優・キャラクター
宮野真守、櫻井孝宏、花澤香菜、杉田智和、梶裕貴、諏訪部順一、小野大輔、三宅健太、堀内賢雄、山路和弘、中井和哉
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

さよなら人類

NETFLIX世界配信。
ポリゴンピクチュアズ制作。
静野・瀬下監督、脚本虚淵玄。

シリーズ第2弾。
前作以上に怪獣映画の趣も少なく、
ハリウッドSF映画に近い。
人類の英知の結集が未知なる生物に挑む。
良く知るゴジラとして見ると寂しいかな。

ただここからは個人的な意見ですが、
昨今の映画に倦怠と停滞しか感じないので、
手にするのは決まってB級路線なのですが、
{netabare}未知との遭遇、冒険、謎の巨大生物、
原始のインカ文明のような都市など、
何がこの惑星で待ち受けているのか!?
生物はどのように進化または退化しているのか!?{/netabare}
そういったものに反応できる方にはお勧めです。
楽しみ方は、人それぞれですから。

無機質なゴジラに納得いきませんが、
高品質な作画と音響効果を持つ娯楽大作。
あまり期待していなかった分、
前作よりは冒険心が煽られて好きです。

人類の武器は知恵しかない。
進化の頂点は強さでも賢さでもなく適応ですから、
さてどうやって絶望から抜け出せるのか、
最終章を待ちましょう。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 40
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

怪獣退治のジレンマ

ポリゴンピクチュアズの3DCG作画×原案・虚淵玄氏などの陣容でお送りする、
“アニゴジ”三部作の二作目。


そもそも怪獣とは何か?
人知を越えた存在。
人類の力では太刀打ちできないからこそ、怪獣なのではなかろうか。

こうした視座から見た場合、怪獣打倒を決意した時点で、
人類は人間であることから逸脱せねばならないのではないか?

事実、この2万年間、生態系の頂点にゴジラが君臨するこの地球は、
生きとし生けるもの、環境含めて、
ゴジラへの奉仕を前提に、各々生存するため“ゴジラ化”、怪物化し
人類が生誕の地を放棄する前とは大きく変容している。

ましてやゴジラからこの星の主の座を奪還するとなれば、
人類も原型を留めない程の進化が必須なのではないか?

だが、そうやって勝利を手にした所で、
怪獣の如く変貌した人類は、元通り人間の文明を取り戻せるのだろうか?


人類と三種族共同戦線を張る異星の人型種族。

感情を排し論理的思考と合理主義を徹底する黒肌のビルサルド。
宇宙が一心となる予言と宗教的価値観を確信する白肌のエクシフ。

確固たる信念を持つ二種族の狭間で、
故郷奪還戦でも軸を持てず、感情に振り回され、
ブレない決断がなかなかできない地球人類。

大体この星を覆う怪獣自体、地球人の業が生み出したものだと言う……。
ゴジラ殲滅戦でも人間性は見失わないと人類は豪語するが、
そもそも人間らしさとは何なのか?


こうした問いをゴジラ映画をSF設定等で再定義しつつ提示していく。

二作目では、主にビルサルドの合理主義が突っ走る最中で問答が繰り広げられ、
シリーズのテーマや方向性が明確化されて行き、
私の中で俄然、面白くなって来ました。

相変わらず怪獣映画ファンとしてのメンタルは木っ端微塵に打ち砕かれますが(苦笑)
最終三作目も是非、SF映画ファンとして劇場鑑賞に挑みたいと思います。


……ただ、SFと割り切る!と決意していたとは言え、
やはりゴジラへの怪獣映画としての期待は本作でも早々捨てきれるものではなく……。

だって……{netabare} 「人類最後の希望〈メカゴジラ〉が、起動する」とか煽られたら、
残されたビル群なんかを舞台にしたゴジラVSメカゴジラの熱い取っ組み合いとか、
期待しちゃうじゃないですか。

で、蓋を開けてみたら……、
{netabare} 頭部のみの残骸となって尚、ゴジラ打倒の命を捨てなかったメカゴジラ自体が
増殖する〈ナノメタル〉等の活動により決戦“都市化”するという
予想の斜め上を行く超SF展開w

売店に並んでいた、都市じゃない方のメカゴジラグッズとか、
一体何のつもりだったのでしょう(苦笑)
(恐らくはメカゴジラがまだ機動兵器だった前日譚設定の具現化だとは思われますが……){/netabare}

ここまで鮮やかに怪獣映画への期待を裏切られると、
驚きや呆れを通り越して、清々しい笑いすらこみ上げて来ますw


で、次作ではついに……、

{netabare} ゴジラ最大のライバル・ギドラがこのSF問答に巻き込まれるようで……。

さらにはゴジラ映画にて、伝承を受け継ぐ種族とかによく祭られている、
例の飛行怪獣の羽化及び乱入なんかも大いに予想されます。

ただ、ギドラも告知映像を観るに、一応、ギドギドでキングな金色ですし、
ちゃんと三本、クビとか頭とかがあるようですが……。
現状、胴体とかが見当たらない?辺り、{/netabare}
早くも不安でジワジワと笑いがこみ上げて来ますw{/netabare}


私も捨て切れない怪獣映画へ憧れに片脚を突っ込んだ
優柔不断な精神を抱えたまま、
揺れる地球人たちの行く末と導き出した答えを見届けたいと思います。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 21
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

絶望からの起死回生なるか?

  まさか、平日昼間、初日観れるとは思わなかったです。

 「GODZILLA 怪獣惑星」の続きのお話です。前回、ゴジラを倒したと思っていた矢先、さらに巨大な筋肉ムキムキゴジラの襲撃に合いハルオ達、壊滅させられたように見えた展開からどうなるのかなぁ?です。あの謎の少女は一体?です。

 この映画の画像や劇場CM、ビラなどでも公にされている通り、ハルオ達何とか生きているです。
 その真相、あの少女とのつながりは、見に行ってのお楽しみです。
{netabare} あの少女を通して、前作序盤の歴史で出動もままならないまま、ゴジラに破壊されたメカゴジラ??とその施設???にたどり着くことになるのです。それはどういうことなのか?です。あれからどうなっているか?、{/netabare}驚きビックリ展開は、ハルオたちに何をもたらすのだろうか?です。

{netabare} このアニメを見る前、前作で見たメカゴジラが復活してゴジラと戦うのかなぁと想像して見に行ったです。勝手に思っていたけど、想像との違いに驚かされたです。

 メカゴジラに似ているかもしれないロボット出てきたりしたけど・・・・想像とかけ離れてたです。{/netabare}

 圧倒的な力を見せるゴジラをハルオ達は、目のあたりにしたです。その後、偶然なのか?必然なのか?思わぬ力に出会い、なおもゴジラ倒すために団結するハルオたちです。このアニメのタイトルを正に象徴する意味が、そこから始まるのです。
 ゴジラを倒す共通の目的を持つ仲間の間に何が、起きていくのか?です。

 ゴジラを倒すチャンスがきたとき、信じられない選択を迫られるです。「これでいいのか?」を問われたとき、ハルオの最後の最後の選択で、何を取るのか?が、最大の見どころだったです。その結果、凄まじかったです。
 強力な装備による前作以上にもみえる作戦で、ゴジラを追い詰める戦闘も迫力あったです。

 この続き{netabare}が2018年11月公開予定の「星を喰らう者」へになるけど、有名な何かが出てくるかも???しれないです。モスラかなぁ?何かなぁ?ゴジラより強いのかなぁ?{/netabare}その時が来る頃、分かると思うです。

 

投稿 : 2024/12/21
♥ : 7

67.6 2 ポリゴン・ピクチュアズで未来なアニメランキング2位
GODZILLA 星を喰う者(アニメ映画)

2018年11月9日
★★★★☆ 3.7 (54)
218人が棚に入れました
アニメーション映画『GODZILLA』(通称:アニゴジ)がついに最終章を迎える。

二万年後の地球で繰り広げられた、<ゴジラ>とそれに抗う人類の物語。最終章『星を喰う者』では、超科学が生み出した<メカゴジラシティ>をも焼き尽くし、地上の覇者となった究極の生命<ゴジラ・アース>と高次元怪獣<ギドラ>が相まみえる。

『アニゴジ』の誕生は2017年。これにより『ゴジラ』は新たな領域へ足を踏み入れた。同年11月公開の第一章『GODZILLA 怪獣惑星』はゴジラ映画史上初の3DCGアニメーション作品であり、その映像体験は大きな驚きと称賛をもって迎えられ、第二章『GODZILLA 決戦機動増殖都市』は、アニメーションならではの<メカゴジラ>の新解釈で観客を圧倒した。

そして最終章では、虚空の神<ギドラ>と破壊の王<ゴジラ>がついに激突。戦いの果てに待つのは、人類への啓示か。

監督は、昨年公開の劇場版『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』で邦画年間興行収入ランキング1位を獲得し、確かな演出力を遺憾なく発揮する静野孔文と3DCGの第一線で培われた手腕を『シドニアの騎士 第九惑星戦役』、『亜人』、『BLAME!』で磨きあげ、余すことなくその魅力をフィルムに焼きつける瀬下寛之が務め、両者の最高のコンビネーションは最終章でも見事に発揮されている。ストーリー原案・脚本は、『魔法少女まどか☆マギカ』や『PSYCHO-PASS サイコパス』などで知られる虚淵玄が担当。観る者全てを出し抜く突破力抜群のアイデアに今作でも驚かされるのは間違いない。

制作は米国エミー賞最優秀賞(デイタイム・エミー賞アニメーション番組特別部門最優秀賞)を4度受賞を果たし、直近では「スター・ウォーズ」シリーズの最新アニメーション作品「Star Wars: Resistance」を手掛けるなど、国内外から高い評価を得ている3DCGスタジオ、ポリゴン・ピクチュアズ。


声優・キャラクター
宮野真守、櫻井孝宏、花澤香菜、杉田智和、梶裕貴、小野大輔、堀内賢雄、中井和哉、山路和弘、上田麗奈、小澤亜李、早見沙織、鈴村健一
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

『ゴジラ』が食い散らかしたテーマをSFとして総括した力作。

人類&ビルサルド&エクシフの三種族共同戦線が、
怪獣化した地球の奪還を目指してゴジラに戦いを挑む“アニゴジ”三部作の最終章。

昨今の世界における怪獣映画の再興については、
童心に戻って怪獣を楽しむ気持ち半分、斜に見る気持ち半分。
そんな捻くれた私にとっては、『ゴジラ』映画が繰り広げて来たお祭りの中で、
怪獣とは?怪獣退治とは?ゴジラに通用するのは科学か?伝承か?人類はどうあるべきか?
等々、整理されぬまま散乱したテーマを、硬派なSFの枠組みで、
角度を変えて諸要素を考察したりして、再構築を試みた本劇場版シリーズは、
有意義な思索に耽ることができた刺激的なSF映画鑑賞でした。

最終章はバトルそっちのけで時に心象世界も交えた
哲学的な問答が応酬される場面が特に多かったのですが、
私は食い入るように見入ってしまいました。


ただ、やはり明快な怪獣映画として観るのは全くオススメできません。
だって三部作通じて例えば……
{netabare}ビル群や名所を破壊するゴジラの勇姿が観たい。
都市じゃない二足歩行のメカゴジラが観たい。
この世界の物理法則に則った、首だけじゃなく、ちゃんと胴体もあるキングギドラが観たい。{/netabare}
こんな『ゴジラ』ファンとして求めて当たり前の権利すらSFに蹂躙されるw

第一部・人類の知恵と勇気、第二部・マッドな狂気を含んだ科学と
ゴジラに立て続けにぶつけて、
特に第三部に至っては、カルトな狂信を含んだ宗教が出張って来るわけです。

私としては、カルトじみた宗教の描き方にしても、
人類文明が説明できない現象をカルトと断じるのは、
人類がその現象を理解できるレベルにないからである。
さらに進歩した文明は神への信仰による奇跡をも数学的に説明できる。
などとキチンとSF設定として組み上げられており、
それらを骨組みにして具現化した脅威(即ち{netabare}ギドラ{/netabare})には、
背筋が凍る迫力を感じました。

けれどSFに興味ない方にとっては、怪獣プロレス見物に胸躍らせて劇場に足を運んだら、
怪しげな宗教勧誘ビデオを見せられたwといった感じでトラウマにすらなりかねないので、
鑑賞の際は、自らの視聴動機と本SF映画との
折り合いの目処を立てて行くのが必須だと思います。


本三部作を展開した時期も尚早だと感じました。
例えば、魔法少女が消費し尽くされ、ブームも底を打った所へ、
諸要素を逆さに見たり、SFも交えて再構築してみたりすれば、
それはブレークスルーになり得ます。

が、『ゴジラ』の場合は、2014年に二度目のハリウッドリメイクが成功し、
2016年に日本で『シン・ゴジラ』の大ヒットがあって、
2019年公開予定のハリウッド版続編『~キング・オブ・モンスターズ』と
再興した怪獣映画の収穫期へと向かう上り坂の途上。

そこでゴジラの周辺に転がった諸々のテーマをSFとして冷静に振り返っても、
ゴジラに熱狂していく人々にとっては水を差されかねないタイミング。
私も怪獣バトル要素が悉くお預けにされて、
これは興行的には上映前に予告編が打たれた『~キング・オブ・モンスターズ』が
全部持って行くパターンかな?と苦笑してみたりw


とは言え、再興した『ゴジラ』ブームもやがて踊り場に至り下り坂に向かうでしょう。
パーティーの後で、取り残された人々の耳元に、
実はこんな渋いSFゴジラもあるんですよ♪と囁いてみる。
本作はそう言うポジションの映画だと感じますw

だから私としては本作を良作SFとして評価し語り継ぎつつ、
来たるべき終焉の時を待ちたいと思いますw
(但し怪獣映画ファンの端くれとしては、ブームの終わりは勿論来て欲しくないので、複雑な心境ですw)


以下、一部、時事ネタや私見も交えたキワドい感想&考察長文。

{netabare}人類文明の過ちが怪獣を生んだのではない。
そもそも人類は怪獣を生み出すための前座に過ぎなかったのではないか?

冒頭から虚淵玄氏&ニトロプラスとその一味による
逆からテーマを再構築する伝統の捻り技に脳汁を分泌させられた最終章。

前作で提示された決して倒せないからこそ怪獣という視点も交えつつ、
加速するSF設定はやがて、文明とは興隆と栄華の果てに
怪獣を生み出し滅び去ると言う宇宙観に到達。
主人公は無敵のゴジラとの死闘に加え、
エクシフの信仰や宇宙観から滅びの運命を受け入れ、心地よい終焉を迎えるよう迫られ、
心身共に過酷な状況に追い込まれる。
次第に、主人公はゴジラ相手に単純な勝ち負けとは異なる道。
敗北する運命との向き合い方等を自問するようになり……。


世界にとって普遍的な文明論を投げかける一連の流れの中で、
私が異彩を感じたのは、主人公とエクシフの司教が心象世界で対峙する中で、
やがて破滅する運命にある文明のイメージとして、
“ヒロシマ”や“ナガサキ”を連想させる入り組んだ島国と思しき地形に炸裂する
原子爆弾のキノコ雲と言う、ローカルな題材が提示されたこと。

日本人にとっては“ヒロシマ”や“ナガサキ”は確かに進化し過ぎた文明がもたらす
悪夢や破滅の代表的なイメージです。
ところが世界にとっては、ある人は“ヒロシマ”や“ナガサキ”の悲劇の詳細なども知らなかったり、
原爆など大きな爆弾程度の認識だったり……。
さらに一部の戦勝国(と思っている方々も含む)にとっては、かのキノコ雲、
特に日本に上がったそれは勝利確定や解放の祝砲だったりもします。
先日も、キノコ雲に抱くイメージの相違に起因する騒動が持ち上がったばかり……。

さらに本作はエクシフの司教への抵抗として、
モスラがエノラ・ゲイと思しき重爆撃機を撃墜する、
一部米軍遺族等にとっては噴飯物?のイメージも展開。

そして葛藤の末、披露されたラストの、
美化された特攻映画の如き?ゴジラへの単機突撃。

こんなローカルな日本のネタや思考法で、
普遍的なテーマをNetflixを通じて世界へ発信しても、
一体どれ位の方が理解してくれるだろう?と訝しんでいた私ですが、
やがて『ゴジラ』は日本のローカルな土壌から生まれた作品だと、
スタッフは暗に主張したかったのでは?との仮説も芽生えて来ました。


そこで私が思い出すのは初代『ゴジラ』
水爆実験による第五福竜丸・被爆事故から着想を得たという製作エピソードの流布により、
進歩した人類科学文明による環境破壊への怒りを具現化した
反核怪獣映画とのイメージが一般化している初代『ゴジラ』

ですが私がもう一つ重視するのは昭和二十九年という製作・公開年代。
米軍の焼夷弾により東京が焼け野原と化してから間もなく十年。
東京の街を眺めると一見綺麗で、戦後復興も順調に進んでいるように見える。
けれど敗戦の記憶は未だ人々の心に燻り続けている。

どうにか心の荒廃をなだめて、取り繕った東京の街並みが、
ゴジラによって再び破壊され火の海となる惨劇。
展開される地獄絵図はまさに十年前の大空襲の再来!?

これはもう日本人は敗北や喪失に対して狂気するか、達観するか、墜ちるか。
もはや悟りでも開くしかない、いたたまれない心境。

この敗北感の二段重ねもある点こそが、
私が未だに『ゴジラ』映画は初代が原点にして頂点と信じる理由の一つ。

当時鑑賞した900万人超の日本人がゴジラに抱いた原点の絶望感を説明し切るには、
敗北を重ね、追い打ちをかけられたと言う、
二次大戦での敗戦経験も含めた日本人のローカルな心情の表現が欠かせないのではないか?

こうした視点に立った場合、
一度ゴジラに敗れて地球を追われた人類が再戦を挑んでは跳ね返される。
という敗北を重ねる基本設定の上に、
敗れ続ける人々の心境を日本人特有の?敗北感や死生観も交えて、
ラストに向けて最大化させていく構成は、
これも、ある意味、『ゴジラ』の原点をリスペクトして
世界に向けて誤解や白眼視も恐れず発信した、
勇気ある試みだったと私は受け止めています。{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 25

ワドルディ隊員 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

あっけない幕切れ

このアニメ映画は、ゴジラシリーズで初の長編アニメーション映画
として制作された作品である。ちなみに、このアニメ映画は3部構成と
なっており、今作はその三作目にあたる。
地味に、専門用語が多いので、それの事前知識を踏まえたうえで
視聴したほうが、比較的スムーズに理解しやすいと思われる。

前作のラストから続いているので、あらすじは省かせていただく。

全体を通した感想だが、今までの2作を全て台無しにしている
としか思えない中々酷い出来だった。ゴジラよりも人間に焦点を
当てていることはひしひしと伝わってきたのだが、
結果として悪い方向へ進んでいったようにしか思えなかった。

良かったところを挙げるとするならば、ギドラのデザイン位だろうか。
かなりスタイリッシュなイメージがあるが、ゴジラアニメにおいては
これで正解だったと言える。

前作よりも明らかに、ゴジラの出番は少なくなっていた。
怪獣バトル要素はほぼ皆無といっていい。一応、戦闘シーン
は用意されているが、非常に味気なく、見所は一切ないので
睡眠時間に利用する視聴者が続出しても不思議ではない。

私自身劇場で見てはいないが、仮に隣の席に座っていたおじさんが
爆睡をしていたとしてもサイレン並みにうるさいいびきを
かいていない限りは起こすことはしないだろう。

なんせ、ギドラに至っては、ただゴジラの体に巻き付いている
だけなのだ。ゴジラvsビオランテでも似たようなシーンが
あったが、特に違和感なく視聴でき作品に没頭することが出来た。
今作のギドラ戦においては何の感情もわいてこない。
任天堂のゲーム、ポケットモンスターに登場するウツボット
による巻き付きの方がよっぽど怖いように見えるのは私だけだろうか。

(一応)痛そうな雰囲気は伝わってくるが、見方を変えれば
マッサージをしているようにも見えるので、誤解を招く
可能性もある。ギドラがゴジラへ向けて、直接光線を放てば
その点は払拭されるのだが、その辺りは議論しなかったのだろうか。
予算が足りなかったという事でいいのかな?

人間ドラマに関してだが、魅力的なキャラクターがいない上に
掘り下げが全くと言っていいほどされていないため、没頭するのは
困難を極めた。そもそも、冒頭から眠気を誘われる会話が
延々と続くので、人によっては眠眠打破などといった
眠気覚ましドリンクを常備する必要が出てくる。

前作では割と好印象だった主人公だが、今作はそこまで惹かれる
ものがない。最後のシーンも共感しづらいものがあったし。
終始コメディアンを貫くことは難しかったから、あの判断
を下したのかな?と自らを納得させることにした。
要は只のこじつけである。

今後も、虚淵氏脚本のゴジラ映画を作る予定はあるのだろうか?
もし上層部内に一人でもその気があるのなら、止めたほうが良い
とだけ告げておく。
この様な作風を求めているゴジラファンは、相当限られている上に
二度も同じ手が通用するとは到底思えないからだ。
一定のファンはつくだろうが、今まで以上に酷評が
溢れかえるリスクの方が高い。

そうなった時どのような対処をするのか、興味本位で見て
みたくはあるが、今後のゴジラ作品に悪影響を及ぼす
可能性がある。ここで手を引くのが賢明な判断だろう。
虚淵ゴジラはこれっきりにしてもらいたいというのが私からの想いだ。

良くも悪くも虚淵色が非常に強いゴジラアニメとなっているため、
虚淵ファン以外は観ないことを推奨する。
今までのゴジラアニメを心の底から楽しんでいる人なら
特に問題なく見れる作品だと考えている。
私からは無理に勧めない。

先にゴジラキングオブモンスターズを見たのでそっちの感想も。
2014版のゴジラよりも明確なバトルシーンが増え、臨場感ある
仕上がりとなっていた。当然のことながら、こっちのギドラは
光線をきちんと吐いてくれるので戦闘面で
退屈することはなかったように思う。初代のオマージュとも
いえるシーンが挿入されているのも大きなポイントとなる。
やはりゴジラはこうでなくちゃ。

冷静に思い返せば、ストーリーは少しばかしおかしなところがあったが、
それを差し引いても心の底から楽しめるゴジラ映画であった。
機会があればまた一度視聴してみたいものである。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 10
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

召喚するか、ドアを開けるか

NETFLIX世界配信。
ポリゴンピクチュアズ制作。
静野・瀬下監督、脚本虚淵玄。

シリーズ最終章。
総評としては怪獣映画ではなく、
未知の巨大生物に挑むサイエンスフィクション。
宗教・哲学・科学を交え人類の苦闘が、
称賛すべき映像と共に描かれています。

物語の軸は一貫して「生命論」であり、
この点に於いては一定の評価をしたいのですが、
最終章だけに、論説ばかりが先行して、
スペクタクルな活劇としては物足りないです。
{netabare}ギドラ・モスラ、ほとんど見せ場がない。{/netabare}
やはり娯楽怪獣映画としては厳しいでしょうか。

人類は興味深い観察対象であり、
ゴジラという究極の生命体の前座である。
{netabare}驚くべき進化、生命力で人類史を蹂躙する。
エクシフが仕掛ける、人類史への功名な罠が、
神と崇める、高次元怪獣ギドラを召喚させる。{/netabare}
ゴジラとは人類の傲慢さへの「罰」なのでしょう。

撃退するのか、全滅するのか、
力強くも悲劇的なメッセージと共に、
金色の終焉の翼は天高く舞い上がるのです。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 24
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